平成24年1月31日判決言渡平成22年(ワ)第8627号損害賠償請求事件主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告らは,原告に対し,連帯して8815万0617円及びこれに対する平成20年6月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告株式会社銀蔵(以下「被告会社」という。)の従業員として被告会社A店(以下「A店」という。)で勤務していたころ,被告会社の代表者であった被告B及びA店店長であった被告Cによって強姦等されたことに加え,強姦等されたことに関する被告会社会長のDの言動によって,肉体的精神的苦痛を受けたとして,被告らに対し,不法行為の損害賠償請求権に基づき,慰謝料等損害賠償の支払を求めた事案である。 1 争いのない事実等(1) 当事者等ア原告(昭和▲年▲月▲日生)は,大学卒業前に,実家のある千葉から大阪に引っ越した上,平成19年10月から,アルバイトとして,平成20年1月中旬から,正社員として,A店の従業員として稼働していたが,同年3月21日,被告会社を退職する決意のもと,千葉の実家に戻り,同年6月15日,同年4月8日付けで被告会社を退職した。 イ被告会社は,質屋業等を目的として,平成16年5月12日に設立された株式会社である。 被告B(昭和▲年▲月▲日生)は,遅くとも平成17年6月24日から 被告会社の代表取締役であり,平成19年10月ころから平成20年1月下旬まで,A店にて稼働していたが,原告との性的関係が発覚した後の同年6月24日,被告会社の代表取締役を辞任した。同被告は既婚者である。 被告C(昭和 成19年10月ころから平成20年1月下旬まで,A店にて稼働していたが,原告との性的関係が発覚した後の同年6月24日,被告会社の代表取締役を辞任した。同被告は既婚者である。 被告C(昭和▲年▲月▲日生)は,被告会社の従業員であり,平成19年10月ころから,A店店長として稼働していたが,原告との性的関係が発覚した後,被告会社から,降格と減給3か月の処分を受けた。 D(昭和▲年▲月▲日生)は,被告会社の会長であり,遅くとも平成17年6月24日以降,被告会社の取締役である。 (2) 原告と被告Bとの関係ア原告と被告Bは,平成19年12月11日,原告宅において,性交渉を行った。 イ原告と被告Bは,同月下旬,原告宅において,性交渉を行った。 (3) 原告と被告Cとの関係ア原告と被告Cは,平成19年12月20日以降平成20年2月にかけて,原告宅や被告C宅において,複数回,性交渉を行った。 イ原告と被告Cは,上記アと同じころ,二人だけで,飲食店で食事をするほか,EやFに出かけるなどしていた。 (4) 原告とDとの面談Dは,原告が被告会社を退職するに当たって,平成20年4月15日,同月23日及び同月27日,原告と面談し,生活費等として50万円を支払うことを約束した。そして,被告会社は,原告に対し,同年5月,50万円を支払った。 2 争点(1) 被告Bの加害行為(原告の主張)ア被告Bは,平成19年11月上旬,原告に対し,A店内において, 「Tバック持ってるの」と聞いたり,原告の太ももを触ったり,「僕は性癖だ」と述べたりした。 イ被告Bは,平成19年12月11日午後12時過ぎ,原告宅を訪れ,「寂しくないの?」「最近スト 「Tバック持ってるの」と聞いたり,原告の太ももを触ったり,「僕は性癖だ」と述べたりした。 イ被告Bは,平成19年12月11日午後12時過ぎ,原告宅を訪れ,「寂しくないの?」「最近ストレスたまっている」などと述べて,原告の側に寄って原告の腰に手を回し,原告を横に倒した。原告が「ダメですよ」と制止しようとすると,被告Bは「いいじゃん」「さみしいでしょ」と言い続けて原告の体を触り,原告に自らの性器をなめさせた。原告が「これ以上は無理です」と言っても,被告Bは「いいじゃん」「脱ぎなよ」と言って無理矢理その服を脱がせ,原告の性器を触り,「ビショビショじゃん」と言って,原告を強姦した。 ウ被告Bは,平成19年12月下旬,原告宅を訪れ,ベッドに原告を横にして腕枕をして,コンドームを取り出して,原告を強姦した。 エよって,原告は,被告Bに対し,不法行為に基づき,損害賠償を請求する。 また,被告Bの加害行為は,代表取締役ではあるが,被告会社の被用者として,被告会社の事業の執行についてなされたものであるから,原告は,被告会社に対し,民法715条1項本文の使用者責任に基づき,損害賠償を請求する。 (被告Bの主張)ア否認する。 イ被告Bは,平成19年12月11日午後12時過ぎ,原告宅を訪れ,「寂しい?」「最近ストレスたまってる?」と言ったことは認め,その余は否認する。被告Bは,原告と,同意の上で性交渉を持ったものであり,暴行又は脅迫を加えたことはない。 ウ被告Bは,平成19年12月下旬,原告宅を訪れ,腕枕をしたこと,コンドームを取り出したことは認め,その余は否認する。被告Bは,原 告と,同意の上で性交渉を持ったものであり,暴行又は脅迫を加えたことはない。 (被告 ,原告宅を訪れ,腕枕をしたこと,コンドームを取り出したことは認め,その余は否認する。被告Bは,原 告と,同意の上で性交渉を持ったものであり,暴行又は脅迫を加えたことはない。 (被告会社の主張)被告Bの行為が被告会社の事業の執行についてなされたものであることは否認する。 (2) 被告Cの加害行為(原告の主張)ア被告Cは,平成19年12月16日,酔って自宅で寝ていた原告の横に寝て,服の上から原告の体を触った。 イ被告Cは,平成19年12月20日,飲食店において,原告の太ももを触った。 ウ被告Cは,平成19年12月20日,原告と飲食した後,原告を被告C宅に強引に連れて行き,原告の体を触り,「嫌だ」「触らないで」と言って抵抗する原告を強姦した。 エ被告Cは,平成20年1月1日午前1時過ぎ,原告宅を訪れ,原告の体を触り,生理中であると拒む原告に対し,「ちょっとだけ」「触るだけでもいいから」「触らして」と言って,原告の下着に手を入れようとした。 オ被告Cは,平成20年1月中旬,原告に対し,Eにおいて,「下着買ってあげようか,エロいやつ」「ラブホ行こうか」などと述べた。 カ被告Cは,平成20年2月6日,原告宅において,原告の体を触り,服を脱がせようとしたが,原告から拒まれ,性交渉を断念した。 キ被告Cは,平成20年2月9日,拒む原告の腕をつかんで強引に原告宅に入り,原告を強姦した。 ク被告Cは,平成20年2月中,週2回ほどの割合で,原告宅において,原告を強姦した。 ケ被告Cは,平成20年2月22日,原告とFに出かけ,「観覧車でキスする?」と述べた。 コ被告Cは,平成20年3月10日,A 割合で,原告宅において,原告を強姦した。 ケ被告Cは,平成20年2月22日,原告とFに出かけ,「観覧車でキスする?」と述べた。 コ被告Cは,平成20年3月10日,A店において,原告の太ももや臀部を触った。 サ被告Cは,平成20年3月9日,原告に対して,「家に遊びに行ってもいい?」とメールをしたり,同月10日,原告に対して,「ご飯食べに行こう」「G行こう」「温泉行こう」などと執拗に誘ったりしたほか,同日夜,原告をつかんで被告C宅に連れて行き,原告をつかんで抱きついた。 シよって,原告は,被告Cに対し,不法行為に基づき,損害賠償を請求する。 また,被告Cの加害行為は,被告会社の被用者として,被告会社の事業の執行についてなされたものであるから,原告は,被告会社に対し,民法715条1項本文の使用者責任に基づき,損害賠償を請求する。 (被告Cの主張)ア被告Cが,平成19年12月16日,原告宅に行ったことは認め,その余は否認する。 イ被告Cが,平成19年12月20日,原告と飲食店に行ったことは認め,その余は否認する。 ウ被告Cが,平成19年12月20日,原告と飲食した後,原告を被告C宅に連れて行ったことは認め,その余は否認する。被告Cは,原告の同意の上で性交渉を持ったものであり,暴行又は脅迫を用いて姦淫したことはない。 エ被告Cは,平成20年1月1日午前1時過ぎ,原告宅を訪れたかどうか記憶がない。 オ被告Cが,平成20年1月中旬,原告とEに行ったことは認めるが, その余は記憶がない。 カ被告Cが,平成20年2月6日,原告宅に行ったことは認め,その余は否認する。 キ被告Cが,平成20年2月9日,原 告とEに行ったことは認めるが, その余は記憶がない。 カ被告Cが,平成20年2月6日,原告宅に行ったことは認め,その余は否認する。 キ被告Cが,平成20年2月9日,原告宅に行ったことは認め,その余は否認する。被告Cは,原告の同意の上で性交渉を持ったものであり,暴行又は脅迫を用いて姦淫したことはない。 ク否認する。被告Cは,平成20年2月中,原告宅に行ったのは週1回程度であり,原告の同意の上で性交渉を持ったものであり,暴行又は脅迫を用いて姦淫したことはない。 ケ被告Cが,平成20年2月22日に原告とFに行ったことは認め,被告Cの発言は記憶がない。 コ否認する。 サ被告Cが,平成20年3月9日に「家に遊びに行ってもいい?」とメールをした明確な記憶はない。被告Cが,同月10日,原告を食事に誘い,食事をした上,原告と被告C宅に行ったことは認め,その余は否認する。 (被告会社の主張)被告Cの行為が被告会社の事業の執行についてなされたものであることは否認する。 (3) 被告会社の加害行為(原告の主張)Dは,平成20年4月23日,被告B及び被告Cについて,原告との性的関係を原因に処分してその事実を認めながらも,原告に対して,「あんたも悪いんだ」「何で部屋に入れたんだ」「暴力されたわけじゃないでしょ」「奥さんがいたの知ってるでしょ,一緒に食事だって行ってるじゃないか」「一番かわいそうなのは奥さんだ」「やるんだったら徹底的にやれ ばいいでしょ。あんたは奥さんに訴えられるぞ。あんたの為どうするのが一番いいか,みんな遅くまで話し合ってやってんのに」「お世話になった人だっているでしょ」「あんたは,わがままだ。自分の都合のいいよう ばいいでしょ。あんたは奥さんに訴えられるぞ。あんたの為どうするのが一番いいか,みんな遅くまで話し合ってやってんのに」「お世話になった人だっているでしょ」「あんたは,わがままだ。自分の都合のいいようにばかり言って」「辞めるのを決めたのは,あんたでしょ」と怒鳴りつけ,これにより吐き気を感じトイレに行った原告に対して,「ろくに食事をしてないだろうから,吐けるものだってないだろう」と述べた。 よって,原告は,被告会社に対し,不法行為に基づき,損害賠償を請求する。 (被告会社の主張)Dが原告主張の趣旨の発言をしたことは認めるが,同発言は不法行為に該当しない。 (4) 原告の損害(原告の主張)ア慰謝料 1000万円原告は,被告らの加害行為により,肉体的精神的苦痛を受け,外傷後ストレス障害・自律神経失調症等と診断された。 イ治療費 83万8940円原告は,被告らの加害行為により,うつ病を患い,平成20年9月6日から平成22年2月19日までの間に,治療費・通院費合計5万9725円を支出した。そして,将来の治療費として,77万9215円(5万9725円÷同期間531日×365日×(原告の平均余命61年のライプニッツ係数18.9803))が見込まれる。 ウ逸失利益 7931万1677円原告が被告会社を退職した後,平成20年9月1日に再就職するまでの間の逸失利益は,103万5908円(月額賃金21万5000円。 被告会社からの支払を差し引いた同年3月分から同年8月分)である。 原告が再就職先を休職した平成21年6月末以後の逸失利益 失利益は,103万5908円(月額賃金21万5000円。 被告会社からの支払を差し引いた同年3月分から同年8月分)である。 原告が再就職先を休職した平成21年6月末以後の逸失利益は,7827万5769円(平均賃金446万1200円×(休職当時の24歳から就労可能年齢の67歳までの43年間のライプニッツ係数17.5459))である。 エ弁護士費用 800万円(被告らの主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 原告の被告会社への入社・退社,被告B及び被告Cとの関わり等について,争いのない事実等,証拠(甲6,15,乙イ1,乙ロ1,乙ハ1,証人D,原告,被告B,被告C)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1) 原告は,大学4年に在学中の平成19年4月,被告会社への平成20年4月の入社が内定した。 そして,原告は,平成19年8月,被告会社の人事担当者から,在学中でありながら,アルバイトとして,同年11月のA店のオープンに備えて大阪で働かないかと誘われ,親戚も知り合いもいない大阪に行くことに不安もあったが,オープンから仕事に携わる滅多にないチャンスであるし,バイヤーを目指したいと考え,誘いに応じることとした。 同年9月,原告は,被告B,被告C及び被告会社の人事担当者と面談したが,その際,「卒業式のころには1週間くらい帰ればいい」「卒業旅行も行って良い」「家賃は7,8割出る」などと言われた。 その後,原告が,被告会社の人事担当者と労働条件の確認をしたところ,時給1000円という条件が月給18万円で健康保険はなく,家賃も7,8割の会社負担ではなく5割の会社負担であるなどと条件が変わっていた。 (2) 原告は,平成19年10月1日,被告会社の内 ろ,時給1000円という条件が月給18万円で健康保険はなく,家賃も7,8割の会社負担ではなく5割の会社負担であるなどと条件が変わっていた。 (2) 原告は,平成19年10月1日,被告会社の内定式に出席し,同月18日,大阪へ引越をした。 A店では,原告のほか,被告Cその他5名が働き,被告Bも3か月間働くこととなっていた。被告会社の代表者であった被告Bは当時30歳,A店店長の被告Cは当時28歳,原告は当時23歳と年齢の若いメンバーであった。 原告は,同年11月3日のA店オープンに向けて働いていたが,仕事がきちんとできているのか不安に思っていた。 そういう中で,原告は,同月17日から,内定者研修に参加したが,そこで行われた飲み会の席で,被告Bに対し,初めての仕事でみんなに迷惑をかけ申し訳ないなどと話すうちに,涙を流すなどした。研修最終日には,被告Bから,内定者各人に手紙が渡され,原告への手紙には「普段はおとなしいが,責任感がある」などと書かれていた。 その後も,被告Bが,A店で,原告と面談を行ったところ,他のスタッフとうまくいかない,仕事を覚えるのが遅いなどと不安を覚えている様子であったが,原告から,具体的な悩みを打ち明けられるまでには至らず,被告Bとしては気がかりであった。 (3) 被告Bは,平成19年12月11日,気がかりにしていた原告から,原告宅で話を聞こうと思い立ち,午後11時過ぎころ,原告に対し,家に行ってよいかと電話し,了承を得られたため,酒とお菓子を手土産に,原告宅を訪問した。そして,原告は,被告Bを,床に敷いたベッドのスプリングに腰掛けさせ,自らも,被告Bに促されて,被告Bの隣に座って,被告Bの持参した酒を飲みながら,仕事面の悩みとして,同期と合わない,仕事がなかなか して,原告は,被告Bを,床に敷いたベッドのスプリングに腰掛けさせ,自らも,被告Bに促されて,被告Bの隣に座って,被告Bの持参した酒を飲みながら,仕事面の悩みとして,同期と合わない,仕事がなかなか覚えられないなどと愚痴をこぼしたほか,プライベートな悩みとして,家族と余り仲が良くない,彼氏がいなくて寂しい,ストレスがたまっているなどと愚痴をこぼした。 原告が異性関係の話題を持ち出してきたことなどから,被告Bは,原告から心を開かれ,好意を寄せられていると思い,原告にキスをし,体に触ると,原告も,被告Bの性器を触り,被告Bの要求に応じて,性器をなめた。原告 は,被告Bに対し,「こういうことはだめです」「奥さんがいますよね」などとは言ったが,その他に被告Bの行為を拒絶する素振りは見せず,結局,同意の上,被告Bと性交渉に至った。 被告Bは,既婚者であったため,原告に対し,原告との性交渉を誰にも言わないでほしいと依頼した。 (4) 平成19年12月16日,A店の新入社員歓迎会が行われた。原告も1次会,2次会に参加し,かなり酒を飲んで酔い,他のスタッフとともに,被告Cに送られて帰宅した。 その後,原告に好意を抱いていた被告Cは,二人で話をしたいと思い,原告に電話したところ,了承を得られたため,酒を持って原告宅を訪問し,酒を飲みながら,話をした。 (5) 平成19年12月20日,原告は,被告Cから,食事に誘われ,勤務終了後,おでん屋に行き,一緒に日本酒を飲むなどして,相当酒を飲んだが,さらに飲もうということになって,コンビニエンスストアで酒を買って,被告C宅へ向かった。 原告と被告Cは,テレビを見ながら酒を飲み,その後,合意の上,性交渉に及んだ。このとき,原告は,被告Cの行為を拒絶する素振りは見せなかった。 ビニエンスストアで酒を買って,被告C宅へ向かった。 原告と被告Cは,テレビを見ながら酒を飲み,その後,合意の上,性交渉に及んだ。このとき,原告は,被告Cの行為を拒絶する素振りは見せなかった。 原告は,そのまま,被告C宅に泊まった。翌日,被告Cは出勤日であったが,原告は休日であったため,被告Cが出勤した後,被告C宅を出た。 (6) 平成19年12月下旬夜,被告Bは,事前に,原告に電話で了承を得た上で,コンビニエンスストアで酒と軽食のほか,コンドームを買って,原告宅を訪問した。 そして,被告Bは,床に敷かれたベッドのスプリングに原告と並んで座り,話をした後,同意の上,原告と性交渉を行った。原告は,被告Bの行為を拒絶する素振りは見せなかった。性交渉後も,原告は,被告Bの腕枕で寝そべ ったまま,話をした。そして,原告は,被告Cとも既に性交渉を持つ関係にあったため,被告Bに対し,被告Cは原告と被告Bとの関係を知っているかと尋ねるなどした。 (7) 平成19年12月30日,A店の忘年会が行われた。原告は1次会のみ参加し,帰宅した。帰宅後,原告は,被告Cから,原告宅に行ってもよいかというメールを受信し,それを了承するメールを返信した。そうしたところ,原告は,被告Bからも,原告宅に行ってもよいかと電話を受けたが,被告Cが来ることになっていたため,鉢合わせを避けるために,眠いと言って断った。これに対し,被告Bは,原告宅に行きたいと執拗に要求することもなく,応じた。 (8) 平成19年12月31日深夜,被告Cは,原告宅を訪問し,テレビを見ながら,一緒に酒を飲んで,帰った。 (9) 平成20年1月上旬夜,被告Bは,事前に,原告に電話で了承を得た上で,原告宅を訪問した。この訪問以前に,原告は,A店勤務の先輩従業員に被告B ビを見ながら,一緒に酒を飲んで,帰った。 (9) 平成20年1月上旬夜,被告Bは,事前に,原告に電話で了承を得た上で,原告宅を訪問した。この訪問以前に,原告は,A店勤務の先輩従業員に被告B及び被告Cとの関係を打ち明け相談したところ,被告Bの妻に被告Bとの関係を知られると何をされるかわからないから被告Bとの関係をやめた方がよいなどと忠告を受けていたため,被告Bとの関係を断とうと考え,被告Bに対し,被告Cとの関係を打ち明けた。そうすると,被告Bは,ショックと言って,原告と性交渉を行おうとすることもなく,帰って行った。被告Bは,既婚者の自分よりも,独身の被告Cが原告と付き合う方がよいと考え,その後は,原告に連絡することはなかった。 (10) 原告は,平成20年1月中旬,被告Cに誘われ,Eに行き,ビールを飲みながら昼食をとるなどして,デートをした。 (11) 原告は,平成20年4月から被告会社の正社員になる予定であったが,同年1月中旬,被告Bから,正社員と同じ条件で働いているなどといった理由で,その予定を早める旨言われ,いずれにしても,4月からは正社員とし て働く予定であったため,正社員となることとなった。 (12) 原告と被告Cは,平成20年2月,食事に行ったり,お酒を飲んだり,合意の上,原告宅で週1ないし2回の割合で性交渉を持つなど,交際を続けた。 そして,同月22日には,原告は,被告Cに誘われ,Fに出かけ,デートをした。 また,被告Cは,同年1月下旬ころ,原告と被告Bの関係を知るに至っていたが,同年3月10日,原告に対し,ちゃんと付き合ってほしいなどと言った。 (13) 平成20年2月ころ,原告から見れば,A店の従業員は,日常的には真面目に仕事もしないのに,東京から上司がやってきた 同年3月10日,原告に対し,ちゃんと付き合ってほしいなどと言った。 (13) 平成20年2月ころ,原告から見れば,A店の従業員は,日常的には真面目に仕事もしないのに,東京から上司がやってきたときには真面目に仕事をするという状態で,原告にとって非常にストレスになる仕事環境であった。 そして,原告は,被告会社から休暇をとった上で,大学の卒業式に出席して,卒業旅行で海外へも行きたいと思い,被告Cに訴えたが,被告Cからは,休暇ではなく,会社にいたことにしてやろうなどと言われ,大阪に来る前と話が違うと不満を持った。結局,原告は卒業式への出席も,卒業旅行に出かけることも叶わなかった。 また,このころ,A店では,原告が被告Bらとの関係を相談した先輩従業員も含め退職者が相次ぎ,原告は,A店の売上げは良くないし,被告会社は危ないのかなどと不安を抱いた。 しかも,原告は,同年3月15日,被告会社の人事担当者から,同年4月1日に東京で行われる入社式には,原告の休暇を使って出席するように言われ,さらに不満を持ち,その翌16日,入社式の出席は勤務日に変更すると通知されたが,二転三転する被告会社の対応に失望し,入社式には出席しないと回答した。 加えて,原告から,被告B及び被告Cとの関係を打ち明けられていた,A 店勤務の先輩従業員は,同年2月に退職する際,被告Bから,原告との関係をばらさないからということで50万円を脅し取った上,社員数人に話を広めたため,同年3月ころには,原告と被告Bの関係や原告と被告Cとの関係は被告会社内で広まっていた。 原告は,バイヤーになりたいと考え実家を出て大阪に来たものの,被告会社における労働条件や労働環境に対する不満,被告Bらとの関係が被告会社内に広まっていたことなどから,同月16 社内で広まっていた。 原告は,バイヤーになりたいと考え実家を出て大阪に来たものの,被告会社における労働条件や労働環境に対する不満,被告Bらとの関係が被告会社内に広まっていたことなどから,同月16日,退職を決意して,A店副店長に対し,被告会社を退職する旨伝え,同月18日,被告Cにも退職する意向を伝えた。 原告は,同月20日までA店へ出勤したが,同日は仕事もせず帰宅し,同月21日,実家のある千葉へ戻った。 (14) 原告は,平成20年4月6日,引越をするために大阪に戻った。 そして,原告は,同月7日,被告会社の人事担当者に対し,被告Bや被告Cからセクシュアル・ハラスメントを受けたことのほか,労働条件の不満をぶつけ,場合によっては被告会社を訴えると話した。 原告は,同月15日,同月23日及び同月27日,Dと面談した。同月23日の面談の際,原告は,Dから,「あんたも悪いんだ」「何で部屋に入れたんだ」「暴力されたわけじゃないでしょ」「奥さんがいたの知ってるでしょ,一緒に食事だって行ってるじゃないか」「一番かわいそうなのは奥さんだ」「やるんだったら徹底的にやればいいでしょ。あんたは奥さんに訴えられるぞ。あんたの為どうするのが一番いいか,みんな遅くまで話し合ってやってんのに」「お世話になった人だっているでしょ」「あんたは,わがままだ。自分の都合のいいようにばかり言って」「辞めるのを決めたのは,あんたでしょ」などと言われた。また,同日,原告は,被告会社から,生活費等として50万円の支払を約束され,同年5月に支払を受けた。 原告は,同年6月15日,同年4月8日付けで被告会社を退職した。 2 争点(1)について(1) 原告は,被告Bとの2度の性交渉について,強姦であり,同意していなかった旨主張し,同旨の供述等がある 15日,同年4月8日付けで被告会社を退職した。 2 争点(1)について(1) 原告は,被告Bとの2度の性交渉について,強姦であり,同意していなかった旨主張し,同旨の供述等がある。 しかしながら,原告は,1度目のときは,「こういうことはだめです」「奥さんがいますよね」などと言うのみで,その他に被告Bの行為を拒絶する素振りを見せず(前記1(3)認定事実),2度目のときは,やはり被告Bの行為を拒絶する素振りを見せていない(前記1(6)認定事実)。 そして,原告は,2度目のとき,被告Bが原告と性交渉を目的に来ると思ったが,自分は被告会社の内定者であり,被告会社代表者の被告Bの訪問を断って内定取り消し等になるのが怖く,訪問を了承した旨供述するが,最初から訪問の目的が分かり,それが嫌なのであれば,平成19年12月30日に訪問を断ったように(前記1(7)認定事実),断ることも十分可能であったはずである。 また,被告Bは,被告会社の代表者であったといっても,当時,まだ30歳であり,23歳の原告と年齢も近く,平成19年11月2日に原告らスタッフに対し送信した業務連絡のメールを見ても,社長風を吹かせるようなものではない(前記1(2)認定事実,甲7)。 そうすると,原告が,被告Bとの性交渉に同意していなかった旨の供述等は採用できないというべきである。 よって,前記1(3),(6)認定事実のとおり,原告と被告Bとの性交渉は合意の上で行われたものと認めるのが相当である。 (2) 原告は,被告Bから,A店内で,Tバック持っているかと聞かれ,太ももを触られ,僕は性癖だと言われた旨主張し,同旨の陳述書(甲15)もある。しかしながら,被告Bはこれを否認する上,原告の供述等は,上記(1)のとおり,直ちに採用 ,Tバック持っているかと聞かれ,太ももを触られ,僕は性癖だと言われた旨主張し,同旨の陳述書(甲15)もある。しかしながら,被告Bはこれを否認する上,原告の供述等は,上記(1)のとおり,直ちに採用しがたいものである。その他にこれを認めるに足りる証拠はない。 よって,被告Bには,上記言動があったとは認められない。 (3) 被告Bの加害行為の有無とリクルートホットラインの記録・回答(甲5,9)との関係については,後記3(4)にて,被告Cの加害行為の有無とリクルートホットラインの記録・回答との関係と併せて検討したとおりである。 (4) 以上,被告Bの不法行為責任及び被告会社の使用者責任はいずれも認められない。 3 争点(2)について(1) 原告は,被告Cとの性交渉について同意しておらず,強姦である旨主張し,同旨の供述等がある。 しかしながら,原告は,被告CはA店店長であったから,性交渉を断れば解雇されるかもしれないなどと思った旨供述する一方で,被告Cから性交渉を求められても拒絶し,性交渉に至らなかった場合もあり,そのような場合でも,被告CからA店店長であることを理由に嫌がらせを受けるなどした事実は証拠上窺われないし,原告の拒絶によって性交渉に至らない場合があったのであれば,被告Cが原告の拒絶を受けてもなお強引に性交渉に及んだとも考え難い。 そして,前記1(5)認定事実によれば,原告は,平成19年12月20日の性交渉後,翌朝の被告Cの出勤後もなお被告C宅にいたものである。この点,原告は,頭が真っ白で動けなくなり,同意のない性交渉後も被告C宅にいた旨供述するが,原告宅へ帰宅するすべもないのであればともかく,そういうわけでもないのに,同意もなく性交渉された後にそのまま被告C宅に泊まるというのは考 けなくなり,同意のない性交渉後も被告C宅にいた旨供述するが,原告宅へ帰宅するすべもないのであればともかく,そういうわけでもないのに,同意もなく性交渉された後にそのまま被告C宅に泊まるというのは考え難い。 また,原告は,同月30日,原告宅に行ってもよいかという被告Cのメールに対し,了承しているが(前記1(7)認定事実),被告Cとの関係が忌わしいのであれば,被告Bにしたように,眠いなどと言って断ることは十分可能であったはずである。 しかも,原告は,平成20年2月ころまでは,被告Cから,食事の誘いや,アウトレット等へ出かける誘いを受けても断っておらず(前記1(12)認定事実,甲15,乙ロ1,被告C),平成19年12月25日に被告Cが原告に送信したメール(甲6)を見ても,クリスマスの夜にも原告と被告Cが会う約束をしていたことが認められるのであって,原告と被告Cが親密な男女関係にあったことが窺われる。 そうすると,原告が,被告Cとの性交渉に同意していなかった旨の供述等は採用できないというべきである。 よって,被告Cは,原告と性交渉を持つ前に,交際を申し込む,好きだと告白するなどの行動には出てはいないが,前記1(5),(12)認定事実のとおり,原告と被告Cとの性交渉は合意の上で行われたものと認めるのが相当である。 (2) 原告は,被告Cから,平成19年12月16日,酔って寝ていた原告の体を,服の上から触られた旨主張し,同旨の供述等がある。 しかしながら,前記1(5)認定事実によれば,その後の同月20日に原告は被告Cから誘われて食事に行っているところ,仮に,上記主張の事実があったのであれば,被告Cから食事に誘われても,二人だけで食事に行くとは到底考え難い。そして,原告は,そのような被告Cを,上司であるから信頼してい れて食事に行っているところ,仮に,上記主張の事実があったのであれば,被告Cから食事に誘われても,二人だけで食事に行くとは到底考え難い。そして,原告は,そのような被告Cを,上司であるから信頼していた旨供述するが,上記主張の事実のごとき行動に及んだ上司を信頼できるはずがない。 そうすると,原告が,被告Cから,平成19年12月16日に上記主張の被害にあったとする供述等は採用できないというべきであり,その他にこれを認めるに足りる証拠はない。 よって,被告Cが上記行動に及んだとは認められない。 (3) その他,原告は,被告Cの様々な言動をもって加害行為である旨主張し,同旨の供述等があるところ,原告の供述等は,上記(1),(2)のとおり,直ち に採用しがたいものである。そして,仮に,そのような被告Cの言動があったとしても,親密な男女関係にある原告と被告Cとの間において,原告に対する加害行為であるとは認められない。 (4) なお,リクルートホットラインが,被告会社から,原告と被告Bの関係及び原告と被告Cの関係についてセクシュアル・ハラスメントであることを確認したとする記録がある(甲5)。しかしながら,同じく,リクルートホットラインからの回答(甲9)によれば,被告会社による回答は「そもそもC店長とH様は付き合っていた」とするものであり,被告Cとの関係をセクシュアル・ハラスメントであると認めたとする上記記録(甲5)と矛盾することからすると,被告Bとの関係の点も含め,上記記録(甲5)は直ちには採用できない。 そして,上記回答(甲9)には,被告会社による回答として「B社長は指摘のような行為に及んだ」とする部分があるが,前記1(3),(6)認定事実,2(1)の判断に照らすと,ここでいう「指摘のような行為」とは「性的関係 答(甲9)には,被告会社による回答として「B社長は指摘のような行為に及んだ」とする部分があるが,前記1(3),(6)認定事実,2(1)の判断に照らすと,ここでいう「指摘のような行為」とは「性的関係を強要した」ことをいうのか,それとも単に性的関係のあったことをいうのか明確とは言い難く,やはり,上記回答(甲9)も直ちには採用できない。 (5) 以上,被告Cの不法行為責任及び被告会社の使用者責任はいずれも認められない。 4 争点(3)について前記1(14)認定事実のとおり,Dは原告に対し発言したものであるが,原告と被告Bの関係及び原告と被告Cの関係について,前記1認定事実のとおりであることに照らすと,かかる発言に違法性があるとは認められない。 よって,被告会社の不法行為責任は認められない。 5 以上,その余の点を判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第17部 裁判官大野昭子
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