平成27年6月10日判決言渡平成27年(行コ)第10001号特許庁長官方式指令無効確認請求控訴事件(原審東京地方裁判所平成26年(行ウ)第529号)口頭弁論終結日平成27年5月18日判決 控訴人 X 被控訴人国 処分行政庁特許庁長官 指定代理人久保寺 勝同山神暁恵同門奈伸幸同平 川 千鶴子主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 特許庁長官が控訴人に対して発した平成26年8月5日付け手続補正指令(発送番号067492号)による9万9000円の納付義務が不存在であることを確認する。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,控訴人が,自らの特許出願について拒絶査定を受けたために行った不服審判請求に関して,特許庁長官が控訴人に対して発した,未納の審判手数料の納付を命ずる補正命令(以下「本件補正命令」という。)は違法無効であると主張して,被控訴人に対して,本件補正命令に基づく審判手数料相当額9万9000円の納付義務が不存在であることの確認を求める事案である。 原審は,本件訴えは,当事者訴訟としての確認訴訟と見れば確認の利益を欠いており,また,行政処分(本件補正命令)の無効等確認の訴えと解したとしても,本件補正命令は無効等確認の訴えの対象となる行政処分には当たらないため,いずれにせよ本件訴えは不適法であるとして,これを却下した。 控訴人はこれを不服として控訴した。 2 前提となる事実及び当事者の主張は,原判 等確認の訴えの対象となる行政処分には当たらないため,いずれにせよ本件訴えは不適法であるとして,これを却下した。 控訴人はこれを不服として控訴した。 2 前提となる事実及び当事者の主張は,原判決を次のとおり付加補正し,当審における当事者の追加的主張を後記3のとおり付加するほかは,原判決の「事実及び理由」第2のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決2頁1行目末尾に「(当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨により認められる。)」を加え,同頁22行目の「〔当裁判所に顕著〕」を削る。 (2) 原判決2頁14行目の「当庁」(2か所)を,いずれも「東京地方裁判所」と改め,同頁15行目の「請求事件)が,」の次に「東京地方裁判所は,」を加える。 (3) 原判決2頁22行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「(4) 特許庁長官は,平成27年2月27日,本件審判請求について,指定した期間に手続の補正がされなかったことを理由とする審判請求却下の処分(以下「本件却下処分」という。)をし,控訴人は,同年4月14日に同処分の送達を受けた。」 3 当審における当事者の追加的主張 (控訴人の主張)前提となる事実(4)(本判決上記2(3))のとおり,本件却下処分がされたので,控訴人は,これを本訴の請求原因の追加として主張する。 これにより,本件補正命令の違法は後続の手続却下処分に対する不服によって争うべきであることを理由とする本件訴えの瑕疵は治癒されたから,本件訴えは適法である。 (被控訴人の主張)控訴人に対する本件却下処分の存在によっても,本件訴えに訴えの利益が認められず,不適法であることに変わりはない。 仮に,控訴人の上記主張が,本件却下処分取消しの訴えを追加的に併合することを申し立てる趣旨であるとし 下処分の存在によっても,本件訴えに訴えの利益が認められず,不適法であることに変わりはない。 仮に,控訴人の上記主張が,本件却下処分取消しの訴えを追加的に併合することを申し立てる趣旨であるとしても,本件訴えが不適法である上に,本件却下処分取消しの訴えも不服申立前置主義(特許法184条の2)に反する訴えであるから,このような訴えの追加的変更は,行訴法19条1項や民訴法143条のいずれの要件も満たさない。また,被控訴人は,かかる訴えの追加的変更に同意しない。 第3 当裁判所の判断当裁判所も,本件訴えは不適法であり却下を免れないと判断する。その理由は,原判決を後記1のとおり補正し,当審における当事者の追加的主張に対する判断を後記2のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」第3の1及び2のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決の補正(1) 原判決4頁23行目冒頭の「1」の次に「(1)」を加え,同6頁12行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「(2) また,本件訴えは,将来の不利益処分たる手続却下処分の予防を目的とする無名抗告訴訟と理解することもできないわけではないが,仮にそのように解したとしても,前提となる事実(4)(本判決第2の2(3))におい て認定したとおり本件却下処分が既にされてしまっている以上,予防訴訟を提起する意味はないことは明らかであり,やはり本件訴えは不適法である。」(2) 原判決6頁22行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「これに対し,控訴人は,旧医療法30条の7に基づく病床数削減の勧告の行政処分性を肯定した最高裁平成17年10月25日第三小法廷判決・集民218号91頁の存在を指摘するなどして,本件補正命令の行政処分性を肯定すべきであると主張する。 しかしながら,手 の勧告の行政処分性を肯定した最高裁平成17年10月25日第三小法廷判決・集民218号91頁の存在を指摘するなどして,本件補正命令の行政処分性を肯定すべきであると主張する。 しかしながら,手数料の納付を命ずる本件補正命令と,病床数削減の勧告とでは,促されている行為の内容が大きく異なるし,それに従わなかった場合に予想される不利益の内容,程度にも大きな違いがあるのであって,この両者を同視するのは適切ではない。 よって,控訴人の上記主張は採用することができない。」 2 当審における当事者の追加的主張に対する判断控訴人は,本訴の請求原因を追加するとして,特許庁長官から,指定した期間内に手続補正(本件補正命令に基づくものと解される。)が行われなかったことを理由に本件却下処分を受けたから,これにより本件訴えの瑕疵は治癒されたと主張する。 しかしながら,原判決が指摘しているとおり,控訴人が争うべき対象は,あくまでも特許庁長官がした手続却下処分(本件却下処分)である。したがって,本件却下処分がされたとしても,それによって訴えの対象を異にしている本件訴えが適法になるものではなく,控訴人としては,本件却下処分を争う必要がある(なお,控訴人の主張は,当審において本件却下処分の取消しないし無効等確認を求める訴えを併合提起する趣旨であるとも理解できないわけではないが,請求の趣旨が明らかに異なる上に,併合提起の対象となる本件訴えが不適法であることや,本件却下処分の取消しを求める訴えも,不服申立前置の要件 を欠いていること(特許法184条の2)など様々な問題点があり,上記のような善解をすることは到底困難である。)。 よって,控訴人の上記主張は採用することができない。 3 結論以上によれば,本件訴えは不適法であり却下を免れ 主文 以上によれば,本件訴えは不適法であり却下を免れず,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 理由 )など様々な問題点があり,上記のような善解をすることは到底困難である。よって,控訴人の上記主張は採用することができない。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官 鶴岡稔彦 裁判官 田中正哉 裁判官 神谷厚毅
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