- 1 - 令和3年4月23日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(行ウ)第5号違法公金支出金返還請求事件口頭弁論終結日令和3年1月29日判決京都市(以下略) 原告 A京都市(以下略)原告 B原告ら訴訟代理人弁護士別紙原告代理人目録記載のとおり京都市(以下略) 被告京都市長C被告訴訟代理人弁護士野 﨑 隆史大阪市(以下略)被告補助参加人吉本興業株式会社同代表者代表取締役 D 同訴訟代理人弁護士原田裕同西田伸祐同向井義博 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用及び補助参加によって生じた費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,C及び被告補助参加人に対し,連帯して420万円及びこれに対する令和元年5月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう 請求せよ。 - 2 - 2 被告は,Eに対し,420万円及びこれに対する令和元年5月10日から支払済みまで年5分の割合による金員の賠償命令をせよ。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,京都市が,被告補助参加人(令和元年6月21日商号変更前は株式 会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー。以下,商号変更の前後を通じて「参加人」という。)との間で,参加人の の要旨本件は,京都市が,被告補助参加人(令和元年6月21日商号変更前は株式 会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー。以下,商号変更の前後を通じて「参加人」という。)との間で,参加人の所属タレントが京都市の重要施策をPRする内容をSNSで発信することなどを内容とする業務委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結し,委託料420万円を参加人に支払ったところ,京都市の住民である原告らが,① 参加人の所属タレントが本件委託 契約に基づき行ったSNS(ツイッター)の発信は,いわゆるステルスマーケティングであり,広告倫理上問題があるから,本件委託契約は違法かつ無効である,② 本件委託契約の対価は不相当に高額であるから,随意契約として締結された本件委託契約は違法かつ無効である,③ ツイッターフォロワー数が契約条項に適合しておらず,参加人に債務不履行があったなどとして,当時の 京都市総合企画局市長公室広報担当広報課長であるE(以下「相手方E」という。)が京都市長の専決権者として行った委託料の支出命令(以下「本件支出命令」という。)は違法であり,それにより京都市が損害を受けた等と主張して,京都市の執行機関である被告に対し,⑴ 地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき, ア本件支出命令の当時,京都市長であったC(以下「相手方C」という。)に対して不法行為に基づき420万円の損害賠償請求をすること(請求①),イ本件支出先である参加人に対して,本件委託契約が違法無効であることを前提に同額の不当利得返還請求をすること,又は,債務不履行に基づき 同額の損害賠償請求をすること(請求②),- 3 - ⑵ 同号ただし書に基づき,本件支出命令を行った相手方Eに対して同額の損害賠償命令をすること(請求 こと,又は,債務不履行に基づき 同額の損害賠償請求をすること(請求②),- 3 - ⑵ 同号ただし書に基づき,本件支出命令を行った相手方Eに対して同額の損害賠償命令をすること(請求③)を求める事案である。 2 関係法令の定め⑴ 地方自治法2条14項 地方公共団体は,その事務を処理するに当っては,住民の福祉の増進に努めるとともに,最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。 ⑵ 地方自治法234条1項売買,貸借,請負その他の契約は,一般競争入札,指名競争入札,随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。 2項前項の指名競争入札,随意契約又はせり売りは,政令で定める場合に該当するときに限り,これによることができる。 ⑶ 地方自治法施行令167条の2第1項地方自治法第234条第2項の規定により随意契約によることができる場合は,次に掲げる場合とする。 2号不動産の買入れ又は借入れ,普通地方公共団体が必要とする物品の製造,修理,加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき⑷ 地方財政法4条1項地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最少の限度を こえて,これを支出してはならない。 3 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに証拠〔特に掲げるもののほか,枝番を含む。〕及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)⑴ 当事者等ア原告らは,京都市の住民である。 イ被告は,京都市の執行機関である。 - 4 - ウ相手方Cは,本件委託契約締結当時から現在まで京都市長の職にある者である。 エ相手方Eは,本件支出命令の当時,京都市総合企画局市長公室広報担当 は,京都市の執行機関である。 - 4 - ウ相手方Cは,本件委託契約締結当時から現在まで京都市長の職にある者である。 エ相手方Eは,本件支出命令の当時,京都市総合企画局市長公室広報担当広報課長として本件支出命令を専決で行った者である。 オ参加人は,芸能人等の著名人の育成,マネージメント,エージェント業 務及び芸能等のエンターテイメントに関するイベント関連業務等を目的とする株式会社である。F1及びF2は,参加人に所属するタレント(2人組タレント「F」)である。 ⑵ 本件委託契約について京都市は,平成30年9月3日,参加人に対し,「京都国際映画祭201 8」(以下「本件映画祭」という。)及び「京都市の重要施策」の周知・振興を目的として業務を委託した(本件委託契約)。本件委託契約の内容は,概略,以下のとおりである(甲4の4,4の5)ア委託事項(契約書第1条)参加人所属のタレントが「京都市盛り上げ隊」を結成し,京都市のイ ベント及び市民しんぶん等に出演する等して広報活動を行うこと(対価200万円)20万人のSNSフォロワーを有する参加人所属のタレント(Fを予定)が,平成30年10月14日までに,「京都市の重要施策」をPRする内容をSNSで計2回発信すること(対価100万円。以下「本件 SNS発信委託」という。)参加人所属のタレントを起用した京都市交通局(市営地下鉄)とのコラボレーションポスターを作成し,京都市営地下鉄各駅に掲示すること(対価120万円)イ委託料(契約書第2条) 京都市は,参加人に対し,委託料として420万円を支払う。委託料は,- 5 - 委託した事項が全て完了した後,参加人からの適法な支払請求書を受理した日から30日以内に支払うものとする。 京都市は,参加人に対し,委託料として420万円を支払う。委託料は,- 5 - 委託した事項が全て完了した後,参加人からの適法な支払請求書を受理した日から30日以内に支払うものとする。 ウ契約の解除等(契約書第5条)京都市は,参加人がこの契約に違反したと認めたときは,本契約を解除することができる。 エ本件SNS発信委託に係る見積書(甲4の5)の記載項目欄「◆京都市盛り上げ隊 SNS発信F:SNS発信 2回」単価欄 「¥500,000」数量欄「2」金額欄「¥1,000,000」 ⑶ 本件支出に至る経緯等ア参加人所属のタレント8名(G及びHほか6名)は,本件委託契約に基づく債務の履行として,平成30年8月28日,京都市役所において相手方Cを表敬訪問し,参加人所属のタレント10名により「京都市盛り上げ隊」を結成したことを報告した(以下,この訪問を「本 件表敬訪問」という。)。本件表敬訪問については,新聞及びインターネット配信ニュース等において報道された。各媒体の報道内容は概ね以下のとおりである。(甲6,乙3~10)参加人所属のタレントが結成した「京都市盛り上げ隊」が本件表敬訪問を行ったこと(乙3~10) 京都市盛り上げ隊は,本件映画祭等の出演を通して京都市の魅力を全- 6 - 国にアピールするために結成されたこと(乙4)京都市盛り上げ隊のメンバーは,本件映画祭で京都市へのふるさと納税をPRするほか,京都市交通局のポスターに起用されること(乙3)イ F1及びF2は,平成30年10月6日及び10日,SNS(ツイッター)のアカウント「F1兄」(当時のフォロワー数約11万人)及び「F 2弟」(当時のフォロワー数 ーに起用されること(乙3)イ F1及びF2は,平成30年10月6日及び10日,SNS(ツイッター)のアカウント「F1兄」(当時のフォロワー数約11万人)及び「F 2弟」(当時のフォロワー数約21万人)を利用して,本件委託契約(本件SNS発信委託)に基づく債務の履行として,以下のとおり各2回ずつ計4回の投稿をした(上記⑵ア参照。以下,これらの投稿のうち,平成30年10月6日の投稿を併せて「本件投稿①」,同月10日の投稿を併せて「本件投稿②」といい,本件投稿①と本件投稿②を併せて「本件各投 稿」という。)(甲6,7)。 平成30年10月6日の投稿(本件投稿①。いずれもFの2名が京都市交通局とコラボレーションしたポスターを掲げ持つ写真が添付されている。)aF1の投稿 「今日から京都市営地下鉄各駅に京都市と京都国際映画祭のコラボポスターが掲示されています!Fのポスターは烏丸御池駅に!他のポスターも探してみてくださいね〜!G師匠のスペシャル構内アナウンスも…?! #京都市盛り上げ隊 #京都国際映画祭2018 #コラボポスター #京都市営地下鉄」 bF2の投稿「今日から京都市営地下鉄各駅に京都市と京都国際映画祭のコラボポスターが掲示されています!Fのポスターは烏丸御池駅に!他のポスターも探してみてくださいね〜!なんとG師匠のスペシャル構内アナウンスも! #京都市盛り上げ隊 #京都国際映画祭2018 #コラ ボポスター #京都市営地下鉄」- 7 - 同月10日の投稿(本件投稿②。いずれもFの2名が京都の街並みを背景に撮影された写真が添付されている。投稿文中のURLはいずれも京都市ふるさと納税のURLである。)aF1の投稿「大好きな京都の街並み!!京都を愛する人なら誰でも, の2名が京都の街並みを背景に撮影された写真が添付されている。投稿文中のURLはいずれも京都市ふるさと納税のURLである。)aF1の投稿「大好きな京都の街並み!!京都を愛する人なら誰でも,京都市を応援 できるんやって!詳しくはここから!www2.city.kyoto.lg.jp/rizai/furusato... #京都市盛り上げ隊 #京都国際映画祭2018 #京都市ふるさと納税」bF2の投稿「京都最高ー♪みんなで京都を盛り上げましょう!!京都を愛する人な ら誰でも,京都市を応援できるんです!詳しくはここから!www2.city.kyoto.lg.jp/rizai/furusato. #京都市盛り上げ隊 #京都国際映画祭2018 #京都市ふるさと納税」ウ相手方E(相手方Cの専決権者)は,参加人から請求書及び業務完了報告書が提出されたことを受け,平成31年4月19日,本件委託契約の履 行として420万円を参加人に支出する命令(本件支出命令)をした(甲4の7,5,乙1,2)。 エ被告は,令和元年5月10日,参加人に対し,本件委託契約の報酬として420万円を支出した(本件支出)。 ⑷ 住民監査請求 ア原告らは,令和元年12月12日,京都市監査委員に対し,本件委託契約締結(債務負担行為)及び本件支出命令を監査対象として,京都市の被った損害を填補するため参加人に対して必要な措置をとることを求める住民監査請求をした(甲1,2)。 イ京都市監査委員は,令和2年2月10日,上記アの住民監査請求のうち, 本件委託契約締結(債務負担行為)を対象にする部分について監査請求期- 8 - 間徒過を理由として却下し,本件支出命令を対象とする部分について監査の上,本件支出命令が違法又は不当で , 本件委託契約締結(債務負担行為)を対象にする部分について監査請求期- 8 - 間徒過を理由として却下し,本件支出命令を対象とする部分について監査の上,本件支出命令が違法又は不当であったとはいえないとして棄却した(甲3)。原告らは,同月12日,同監査請求結果の通知を受けた。 ⑸ 本件訴訟の提起原告らは,令和2年3月12日,本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 4 争点本件の主要な争点は,本件支出命令の違法性の有無であり,具体的には,本件委託契約が違法かつ無効か,⑵ 参加人に本件委託契約上の債務不履行があったか,である。 5 争点に関する当事者の主張 争点⑴(本件委託契約が違法かつ無効か)(原告らの主張)ア本件各投稿がステルスマーケティングであることステルスマーケティングとは,一般に,SNS等において,自発的な発信であるかのように装って投稿すること等により,消費者に宣伝であるこ とを気付かれないように行う宣伝行為をいうところ,このような宣伝手法は,広告であることを明示しておらず,消費者の自主的合理的判断を阻害する危険性の高いものであるから,公序良俗に反する。 本件各投稿に当たり,F及び参加人は京都市から多額の金銭の提供を受けているから,本件各投稿には宣伝の主体(京都市)及び投稿者が便益を 提供されていることが明示されなければならないところ,本件各投稿には「#京都市盛り上げ隊」との記載があるのみであり,これをもって京都市から便益を受けたことの表示がされているとは評価できない。したがって,本件各投稿はステルスマーケティングに該当し,公序良俗に反する。 京都市は,京都市消費者条例において,消費者の心理を操作して契約締 結を勧誘する行為を不適正な取引行為として禁止している って,本件各投稿はステルスマーケティングに該当し,公序良俗に反する。 京都市は,京都市消費者条例において,消費者の心理を操作して契約締 結を勧誘する行為を不適正な取引行為として禁止しているにもかかわらず,- 9 - あえて自らステルスマーケティング広告に公金を支出しているのであり,このような契約を締結する行為は裁量権を逸脱しているから,本件委託契約は違法である。 イ随意契約によることが違法であること本件委託契約は,随意契約(地方自治法234条1項)であるところ, 本件は,随意契約を締結することができる場合の要件(地方自治法施行令167条の2第1項)に該当しない。本件映画祭の運営を参加人のグループ企業が受託しているからといって,参加人のタレントを出演させる必然性はないのに,相見積もりをとることなく,4本のSNS発信を100万円という高額な対価で委託することは不適正である。したがって,随意契 約とする必要性も合理性もないのに,不相当な価額で随意契約として締結された本件委託契約は,地方自治法234条,地方自治法施行令167条の2第1項に反し違法である。 ウ小括以上のとおり,本件委託契約は違法であるところ,その違法の程度は重 大であるから,本件委託契約は私法上無効である。 (被告の主張)ア本件各投稿が違法な広告手法には該当しないこと本件各投稿には,「#京都市盛り上げ隊」,「#京都市営地下鉄」,「#京都市ふるさと納税」,「#京都国際映画祭2018」といった記載 があるところ,本件映画祭及び京都市の重要施策を発信する取組みとして,参加人に所属するタレントらによって「京都市盛り上げ隊」が結成されたものであり,京都市長を表敬訪問した際には報道機関向けの発表もされて報道されていることからすれ 市の重要施策を発信する取組みとして,参加人に所属するタレントらによって「京都市盛り上げ隊」が結成されたものであり,京都市長を表敬訪問した際には報道機関向けの発表もされて報道されていることからすれば,本件各投稿が,「京都市盛り上げ隊」の活動の一環として行われたものであって,京都市より委託された広報であ ることは明白であるから,本件各投稿はステルスマーケティングに該当し- 10 - ない。 なお,ステルスマーケティングが広告倫理上議論のある手法であることについては被告も争うものではないが,ステルスマーケティングに該当する広告であっても,直ちに違法と評価されるものではない。 イ随意契約によることが違法とはならないこと 本件委託契約は,本件映画祭と連動して,京都市の重要施策をSNS発信及びイベント出演等を通じて広く周知・振興することを目的とした業務委託契約であるところ,本件映画祭は,主催者である京都国際映画祭実行委員会が参加人のグループ企業である株式会社きょうのよしもとに運営委託して実施しており,本件映画祭には全国的に人気,知名度が高く発信力 を有する多くの参加人所属タレントが出演していた。このため,参加人所属タレントに本件映画祭と併せて京都市の重要施策(京都市営交通機関の利用促進等)についてもPRを行ってもらうことにより,より広く効果的な広報を行うことが可能になる。こういった事情から,京都市としては,本件映画祭及び京都市の重要施策の周知・振興を行うことができるのは, 参加人のみであると判断した。したがって,相見積もりをとることなく参加人との間で本件委託契約を締結したことに裁量権の著しい逸脱又は濫用はない。 また,一般的にインフルエンサ―マーケティングにおける価格相場は,1フォロワー当たり3~8円とさ 積もりをとることなく参加人との間で本件委託契約を締結したことに裁量権の著しい逸脱又は濫用はない。 また,一般的にインフルエンサ―マーケティングにおける価格相場は,1フォロワー当たり3~8円とされているところ,本件委託契約における 1フォロワー当たりの単価は2.5円であるから,その対価は適正である。 ウ小括以上によれば,本件委託契約は違法ではなく,無効でもない。 ⑵ 争点⑵(本件委託契約における参加人の債務不履行の有無)(原告らの主張) 本件委託契約は,その委託事務として,20万人のSNSフォロワーを有- 11 - するタレントが,京都市の重要施策をPRする内容をSNSで計2回発信すること(本件SNS発信委託)を含むものであるところ,見積書によれば,「SNS発信2回」を1単位として単価50万円が定められ,その数量が「2」とされているから,当事者の合理的意思解釈としては,Fの2人のそれぞれ1人ずつについて,ツイート2回を1単位として各50万円の価格が 設定され,2人併せて(ツイート合計4回)100万円の価格が設定されているとみるべきである。そうすると,F1のフォロワーは20万人を下回っているから,契約の内容に適合しておらず,参加人は債務の本旨に従った履行をしていない。 (被告の主張) 参加人に債務不履行があるとの主張は争う。 本件SNS発信委託の内容は,「平成30年10月14日までに,20万人のSNSフォロワーを有する乙所属のタレントが,「京都市の重要施策」をPRする内容をSNSで計2回発信する。」というものであるから,20万人以上のフォロワーを有するF2が平成30年10月6日及び10日に本 件各投稿をしたことをもって,債務の本旨に従った履行が行われたといえる。 第3 当裁判所の判 」というものであるから,20万人以上のフォロワーを有するF2が平成30年10月6日及び10日に本 件各投稿をしたことをもって,債務の本旨に従った履行が行われたといえる。 第3 当裁判所の判断 1 本件支出命令の違法性について争点⑴(本件委託契約が違法かつ無効か)についてア本件各投稿が違法な広告であるとの主張について 原告らは,本件各投稿が,広告であることを明示しておらず,消費者の自主的合理的判断を阻害する危険性の高いものであるから,公序良俗に反すると主張するので,この点について検討する。 本件各投稿は,本件委託事務である京都市の広報活動の一環として投稿されたものであるところ,本件投稿①(前提事実⑶は,「今日 から京都市営地下鉄各駅に京都市と京都国際映画祭のコラボポスターが- 12 - 掲示されています!Fのポスターは烏丸御池駅に!他のポスターも探してみてくださいね〜!」などと述べて京都市営地下鉄の利用等を呼び掛けるものであり,本件投稿②)は,「大好きな京都の街並み!! 京都を愛する人なら誰でも,京都市を応援できるんやって!」,「京都最高ー♪みんなで京都を盛り上げましょう!!京都を愛する人なら誰で も,京都市を応援できるんです!」などと述べて京都市へのふるさと納税を呼び掛けるものである。また,本件各投稿には,それぞれ,「#京都市盛り上げ隊」,「#京都市営地下鉄」,「#京都市ふるさと納税」,「#京都国際映画祭2018」等の記載があるほか,本件投稿①には,Fの2名が京都市交通局とコラボレーションしたポスターを掲げ持つ写 真が添付されている。 これらの投稿内容に加えて,本件各投稿に先立ち,参加人の所属タレントらが「京都市盛り上げ隊」を結成して本件表敬訪問を行ったことが ーションしたポスターを掲げ持つ写 真が添付されている。 これらの投稿内容に加えて,本件各投稿に先立ち,参加人の所属タレントらが「京都市盛り上げ隊」を結成して本件表敬訪問を行ったことが報道され,その際,京都市盛り上げ隊は,本件映画祭等の出演を通して京都市の魅力を全国にアピールするために結成されたこと,京都市盛り 上げ隊のメンバーは,本件映画祭で京都市へのふるさと納税をPRするほか,京都市交通局のポスターに起用されることについても広く報道されていたことなどを勘案すれば,本件各投稿が京都市の広報活動の一環として行われているものであることは明らかにされていたといえる。そして,芸能事務所に所属するタレントが無償で広報活動を行うなどとい うことは通常は想定し難いから,本件各投稿を目にした消費者においても,広告主である京都市からタレントないし所属事務所に何らかの便益が提供されているであろうことは,容易に想像し得るというべきである。 そうすると,本件各投稿が,消費者の自主的合理的判断を阻害する危険性の高いものであるということはできない。 したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 - 13 - イ随意契約によったことが違法であるとの主張について原告らは,必要性も合理性もないのに随意契約として本件委託契約を締結したことが違法である等と主張する。 しかし,本件委託契約は,本件映画祭及び「京都市の重要施策」の周知・振興を目的としたものであるところ(前提事実⑵),本件映画祭は 参加人の関連会社に運営委託して実施されていることからすれば(弁論の全趣旨),本件映画祭には参加人の所属タレントが主に出演することが予想される。そうすると,本件映画祭と関連させて「京都市の重要施策」(具体的には京都 運営委託して実施されていることからすれば(弁論の全趣旨),本件映画祭には参加人の所属タレントが主に出演することが予想される。そうすると,本件映画祭と関連させて「京都市の重要施策」(具体的には京都市営地下鉄の利用促進を図ること及び京都市へのふるさと納税を増やすこと)の周知・振興を図ろうとすれば,参加人の 所属タレントを広報活動に起用するのが合目的的であることは明らかであって,その場合,契約の相手方は参加人以外には想定し難い。 また,原告らは,本件委託契約の対価が不相当に高額であるとも主張するが,本件SNS発信委託について1ツイート1フォロワー当たりの対価を計算すると,契約条項(20万人のフォロワーを有するタレント による2回の発信)によれば2.5円,実際の本件各投稿(計約33万人フォロワーを有するタレントによる2回の発信)によれば約1.5円であるところ,これがSNSを用いた広告の対価として高額に過ぎることを認めるに足りる証拠はない(かえって,被告提出の証拠〔乙13~17〕によれば,1ツイート1フォロワー当たりの対価は3~8円が相 場とされており,本件は相場に比して報酬が低額であるとも認められる。)。 以上のとおり,本件委託契約については,その目的及び内容に相応する相手方として参加人を選定し,参加人との間で契約を締結するという方法をとることが,本件委託契約の目的を達成する上でより妥当であり, ひいては京都市の利益の増進につながるものと認められるから,本件委- 14 - 託契約については地方自治法施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当するというべきである(最高裁昭和57年(行ツ)第74号同62年3月20日第二小法廷判決・民集41巻2号189頁参照 の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当するというべきである(最高裁昭和57年(行ツ)第74号同62年3月20日第二小法廷判決・民集41巻2号189頁参照)。 したがって,随意契約の方法で本件委託契約を締結したことが違法で あるとはいえず,原告らの上記主張は,採用できない。 ウ以上によれば,本件委託契約が違法であるとはいえない。よって,争点⑴に関する原告らの主張は,理由がない。 ⑵ 争点⑵(参加人に本件委託契約上の債務不履行があったか)についてア原告らは,本件委託契約に係る見積書によれば,「SNS発信2回」を 1単位として単価50万円が定められ,その数量が「2」とされているから,Fの2人が各2回(合計4回)で100万円の価格が設定されているとみるべきであると主張する。 しかし,本件委託契約に係る契約書(甲4の4)には,委託内容について「20万人のフォロワーを有するタレントがSNSで計2回発信するこ と」であると明記されており,このことを踏まえれば,見積書の数量欄の記載「2」というのは,SNS発信が「計2回」であることを項目欄にも確認的に記載したものにすぎず,Fの2人が各2回(合計4回)という趣旨ではないと解するのが相当である。したがって,本件SNS発信委託は,契約書記載のとおり,20万人のフォロワーを有する タレントがSNSで計2回発信することを100万円で委託したものと認められる。原告らの上記主張は,採用できない。 イそして,本件においては,当時約21万人のフォロワーを有していたF2が計2回のSNS発信をしているから,債務の本旨に従った履行がされているということができる。 ウよって,参加人に本件委託契約上の債務不履行があったとはいえず,争 ォロワーを有していたF2が計2回のSNS発信をしているから,債務の本旨に従った履行がされているということができる。 ウよって,参加人に本件委託契約上の債務不履行があったとはいえず,争- 15 - 点⑵に関する原告らの主張は,理由がない。 ⑶ 小括以上より,本件委託契約は適法であるから,本件委託契約が違法かつ無効であることを前提に本件支出命令が財務会計上違法であるとする原告らの主張は,前提を欠き,採用できない。 したがって,本件委託契約に基づく債務の履行としてされた本件支出命令は適法である。 2 請求①及び③について上記1で判断したところによれば,本件支出命令は適法であるから,その余の点につき判断するまでもなく,原告らの請求①及び③はいずれも理由がない。 3 請求②について上記1で判断したところによれば,参加人は,京都市に対して不当利得返還義務又は債務不履行に基づく損害賠償義務を負わないから,原告らの請求②は,理由がない。 4 まとめ 以上によれば,原告らの請求はいずれも理由がない。 第4 結論以上の次第で,原告らの請求は理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 京都地方裁判所第3民事部 裁判長裁判官増森珠美 裁判官藤野真歩子- 16 - 裁判官中田克之は,転補のため,署名押印できない。 裁判長裁判官増森珠美- 17 - (別紙)原告代理人目録奥村一彦,大河原壽貴,尾﨑彰俊,岡根竜介,井関佳法,中村和雄,塩見卓也,諸富健以上 (別紙) 原告代理人目録 奥村一彦 大河原壽貴 尾﨑彰俊 岡根竜介 井関佳法 中村和雄 塩見卓也 諸富健以上
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