主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の請求 1 主位的請求(平成16年(行ウ)第44号事件)被告が,原告に対し,平成16年6月14日付け東都発第61号をもってなした工事中止命令処分が無効であることを確認する。 2 予備的請求(平成16年(行ウ)第47号事件)被告が,原告に対し,平成16年6月14日付け東都発第61号をもってなした工事中止命令処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,愛知県愛知郡東郷町内でホテルの建築に着手した原告が,被告から,東郷町ホテル等建築の適正化に関する条例(平成6年東郷町条例第19号。以下「本件条例」という。)に基づく同ホテルの建築中止命令(以下「本件中止命令」という。)を受けたため,主位的には同命令が無効であることの確認を,予備的には同命令の取消しを,それぞれ求めた抗告訴訟である。 1 前提事実(争いのない事実,後掲の証拠により容易に認められる事実等)(1) 当事者ア原告は,旅館,飲食店等の経営を業とする会社である。 イ被告は,本件条例5条1項及び10条1項に基づき,東郷町内のホテル建築についての同意権及び同条例違反行為等に対する中止命令などの是正措置命令権を有するとされている者である。 (2) 本件中止命令発令に至る経緯ア原告によるホテル建築同意申請原告は,平成14年5月28日,被告に対し,本件条例5条1項に基づいて,その所有に係る愛知県愛知郡東郷町大字a字bc番dの土地(以下「本件土地」という。)上に地上7階地下1階のホテル用建物(以下「当初建物」という。)を建築することの同意申請をした(甲2,7の1ないし12)。 イ被告による不同意通知被告は,平成14年7月17日,原告に対し,「ホテル等建築不同意通知書」を送付して,当初建物の建築に 」という。)を建築することの同意申請をした(甲2,7の1ないし12)。 イ被告による不同意通知被告は,平成14年7月17日,原告に対し,「ホテル等建築不同意通知書」を送付して,当初建物の建築に同意しない旨を通知した(甲8)。その理由の概要は,以下の8項目である(以下,①ないし⑧をそれぞれ「不同意理由①ないし⑧」という。)。 ① 当初建物の1階部分に10か所も設けてある消防用開口部から,客等が日常的に出入りする可能性が高く,営業時間中必ず通過しなければならない玄関についての基準に適合しない(本件条例4条1項1号)。 ② 当初建物には玄関とロビーとの間に窓のないエントランス及び通路部分があり,ロビーが玄関に接近しているとの基準に適合しない(本件条例4条1項2号)。 また,2階部分にある外部避難階段が通常の出入口として使用される可能性も高く,玄関,ロビー等の共用部分を通り客室に入る構造の基準に適合しない(本件条例4条1項7号,東郷町ホテル等建築の適正化に関する指導基準(以下「本件指導基準」という。)第3(1))。 ③ 当初建物においては,事務室の反対側にフロントが設けられていて,実際に使われない可能性が高く,ロビー等と一体で開放的に客等と応接できるフロントの基準に適合しない(本件条例4条1項3号)。 ④ 当初建物では,2階の会議室等の中央に柱があり,会議室等の形も凸凹が多くいびつであり,ドアの位置から見て無理なく使える配置,構造とはいえない(本件条例4条1項5号,本件指導基準第3(5))。 ⑤ 当初建物の2階には,バス・トイレのついていない1人用客室26室,会議室,レストラン及びこれらを利用する客等のための共同便所及び共同シャワー室が設置してあるところ,実際上は客等の利用に供されないことを承知の上で,無理に2階全体をこのような構造にしたもの 26室,会議室,レストラン及びこれらを利用する客等のための共同便所及び共同シャワー室が設置してあるところ,実際上は客等の利用に供されないことを承知の上で,無理に2階全体をこのような構造にしたものと判断でき,そうなると条例,規則等の基準には実質的に適合していない(本件条例4条1項5号,8号)。 ⑥ 当初建物は,建築物,広告物の形態,意匠,色彩等において,一般的なホテルと比較すると異質に感じる(本件条例4条1項9号)。 ⑦ 当初建物に,いわゆるラブホテル等に通常見られる客室の内部を撮影した写真パネルその他これに類する掲示物,門,車庫等に利用状況を示す表示及び目隠しのためののれん等が設けられていないことについて,原告から,明確な回答が得られなかった(本件指導基準第3(9))。 ⑧ 当初建物は,形式上は本件条例をある程度遵守したものの如きホテルとして申請されているが,申請者が現在経営している他のホテルは,一般的にラブホテル等といわれる専ら異性を同伴する客が利用する宿泊(休憩を含む。)をさせる形態のものであることから考えると,本件申請に係る当初建物もラブホテル等としての使用のされ方がされる可能性が高く,そうなると実質的には本件条例4条の基準に適合せず,同条例1条の目的に反する。 ウ本件建物の建築確認原告は,平成15年6月9日,愛知県尾張建設事務所建築主事に対して,本件土地上に地上6階地下1階のホテル用建物(以下「本件建物」という。)を建築すべく,建築確認申請書(甲18の1ないし12)を提出したところ,同年8月8日,建築基準法6条1項に基づき,本件建物の建築確認を受け,確認済証を交付された(甲5)。 エ本件中止命令原告は,平成16年6月1日,本件建物の建築工事に着手し,同月14日,本件土地上において杭打ち工事を開始した(弁論の全趣旨)。 物の建築確認を受け,確認済証を交付された(甲5)。 エ本件中止命令原告は,平成16年6月1日,本件建物の建築工事に着手し,同月14日,本件土地上において杭打ち工事を開始した(弁論の全趣旨)。 これに対し,被告は,同月14日付けで,原告に対し,本件条例10条1項に基づき,本件建物の建築工事を同月22日までに中止することを求める内容の本件中止命令(甲6)を発令し,同命令は,同月16日,原告に通知された。 オ本件建物の本件条例適合性本件建物は,本件条例4条,東郷町ホテル等建築の適正化に関する条例施行規則(平成6年東郷町規則第12号。以下「本件施行規則」という。)2条に定める構造等の基準を満たしていない。 (3) 原告による本訴提起原告は,平成16年7月20日,名古屋地方裁判所に対し,本件中止命令の無効確認を求める本件訴え(平成16年(行ウ)第44号)を提起し,同年8月2日,予備的に本件中止命令の取消しを求める請求を追加した(平成16年(行ウ)第47号)。 2 関係法令等(抜粋)(1) 本件条例(甲3の1)(目的)1条この条例は,ホテル等の建築の適正化に関し必要な事項を定めることにより,町民の快適で良好な生活環境を保持し,併せて青少年の健全な育成を図ることを目的とする。 (定義)2条この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 (1) ホテル等旅館業法(略)第2条第2項に規定するホテル営業又は同条第3項に規定する旅館営業の用に供することを目的とする施設をいう。 (2) 建築建築基準法(略)第2条第13号に規定する建築……をいう。 (構造等の基準)4条ホテル等は,次に掲げる基準に適合したものでなければならない。 (1) 客その他の関係者(以下「客等」という。)が,営業時間中必ず通過し 2条第13号に規定する建築……をいう。 (構造等の基準)4条ホテル等は,次に掲げる基準に適合したものでなければならない。 (1) 客その他の関係者(以下「客等」という。)が,営業時間中必ず通過し,自由に出入りすることができ,かつ,外部から玄関の内部を見通すことのできる玄関を有すること。 (2) 玄関に接近し,客等が自由に利用することのできるロビー又は応接室若しくは談話室(以下「ロビー等」という。)を有すること。 (3) ロビー等と一体で,開放的に客等と応接できるフロント又は帳場を有すること。 (4) 食堂,レストラン又は喫茶室(以下「食堂等」という。)及びこれらに付随する調理室,配膳室等を有すること。 (5) 会議,宴会又はその他催物等の用に供することのできる施設(以下「会議室等」という。)を有すること。 (6) ロビー等又は食堂等の共用部分付近に便所及び洗面所を有すること。 (7) 客等が,玄関,ロビー等の共用部分を通り,客室に入る構造になっていること。 (8) 総客室に対する定員別の客室の構成が,別に規則で定める割合を有すること。ただし,規則で定めるホテル等については,この限りでない。 (9) 建築物,広告物及び広告物を掲出する物件の形態,意匠及び色彩は,付近の住環境を損なわないもので,かつ,都市景観上の配慮がなされていること。 2 前項第2号から第5号までに掲げる構造等については,業種及び収容人員に相応した規模及び態様のものとしなければならない。 (同意)5条建築主は,あらかじめ町長に申請し,その同意を得なければならない。 2 町長は,前項の申請があったときは,速やかに第12条に規定する東郷町ホテル等建築審議会の意見を聴かなければならない。 (同意の制限)6条町長は,前条第1項に規定する申請に係るホテル等が第4条に規定する構造 項の申請があったときは,速やかに第12条に規定する東郷町ホテル等建築審議会の意見を聴かなければならない。 (同意の制限)6条町長は,前条第1項に規定する申請に係るホテル等が第4条に規定する構造等の基準に適合していないと認めるときは,当該ホテル等の建築について同意することができない。 (指導等)8条町長は,第5条第1項の規定による申請をしようとする建築主に対して,当該申請に係る建築について必要な指導又は助言を行うことができる。 (中止命令等)10条町長は,次の各号のいずれかに該当する者に対し,当該ホテル等の建築の中止その他必要な措置を命ずることができる。 (1) 第5条第1項の規定に違反してホテル等を建築し,又は建築しようとする者(以下略) 2 町長は,前項の規定による命令を受けた者がその命令に従わないときは,その旨を公表することができる。 (罰則)13条第10条第1項の規定による町長の命令に違反した者は,6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。 (以下略)(2) 本件施行規則(甲3の2)(構造等の基準)2条条例第4条第1項第2号から第5号までに掲げるホテル等の基準は,次のとおりとする。 (1) ロビー等の床面積は,次の表(注・本判決添付別表1)の上欄に掲げる客室の収容人員の区分ごとに,それぞれ同表の下欄に定める数値以上であること。 (2) フロント又は帳場に設置される受付台は,長さが1.8メートル以上あり,高さが0.8メートル以上1.0メートル以下のものとする。 (3) 食堂等の床面積は,次の表(注・本判決添付別表1)の上欄に掲げる客室の収容人員の区分ごとに,それぞれ同表の下欄に定める数値以上であること。 (4) 会議室等の床面積は,次の表(注・本判決添付別表1)の上欄に掲げる客室の収容人員の区分ごとに,それぞれ 欄に掲げる客室の収容人員の区分ごとに,それぞれ同表の下欄に定める数値以上であること。 (4) 会議室等の床面積は,次の表(注・本判決添付別表1)の上欄に掲げる客室の収容人員の区分ごとに,それぞれ同表の下欄に定める数値以上であること。 2 条例第4条第8号に規定する規則で定める割合は,客室1室当たりの床面積が15平方メートル以下である1人用の客室の数が,客室総数の3分の1以上とする。 3 条例第4条第8号ただし書に規定する規則で定めるホテル等は,専ら飲食,湯治,団体宿泊その他これらに類するものの用に供することを目的とするもので,その形態等が町民の快適で良好な生活環境の保持及び青少年の健全な育成を阻害するおそれがないと町長が認めるものとする。 (3) 本件指導基準(乙15)(趣旨)第1 この指導基準は,東郷町ホテル等建築の適正化に関する条例(略)第8条の規定に基づきホテル等の建築について指導又は助言を行うため,必要な事項を定めるものとする。 (構造等の基準)第3 構造等の具体的基準は,次のとおりとする。 (1) 玄関ア主要な道路に面し,入口の幅はおおむね1.8メートル以上で客等が荷物を持って容易に行き違うことができる構造であること。 イ当該建築物の1階部分に設けられていること。ただし,敷地の形態,周辺の地形,建築物の権利関係等により,町長がやむを得ないと認めるときは,この限りではない。 (2) ロビー等玄関と同一の階に設けられていること。 (3) フロント又は帳場ア客等の出入りを直接確認することができる場所に設けられていること。 イ客等と直接面接することができる構造であること。 ウ客等の出入りを容易に見通すことができなくなるような囲い等が設けられていないこと。 (4) 食堂等客等の利便を考慮した配置,構造であること。 (5 客等と直接面接することができる構造であること。 ウ客等の出入りを容易に見通すことができなくなるような囲い等が設けられていないこと。 (4) 食堂等客等の利便を考慮した配置,構造であること。 (5) 会議室等会議,宴会,催物等を無理なく行える配置,構造であること(6) 共同便所男女別に1階及びその他必要な階に設けられていること。 (7) 客室ア内装は,天井及び壁面の仕上材に鏡等を用いない清楚なものであること。 イ浴室は,その内部が当該浴室の外から容易に見えるような構造でないこと。 (8) 建築物,広告物及び広告物を掲出する物件の形態等ア広告物の外観の形態及び意匠は,次のとおりとし著しく奇異でないこと。 (ア) 過度の装飾又は突起物等が設けられていないこと。 (イ) けばけばしい色彩が用いられていないこと。 (ウ) 過度の照明設備が設けられていないこと。 イ広告物及び広告物を掲出する物件は,高架水槽又は屋上部分の階段室を覆う程度を超える大きさでないこと。 ウネオンサイン等は,次のとおりとすること。 (ア) ネオン等を順次又は一斉に点滅させる方式でないこと。 (イ) 色彩は,白色又は白色を基調とした3色以内であること。 エ施設の外部には,休憩料金を表示する広告物その他性的好奇心をそそるおそれのある広告物を備え付けないこと。 (9) その他ア客室の内部を撮影した写真パネルその他これに類する掲示物が設けられていないこと。 イ門,車庫等に利用状況を示す満室空室等の表示及び目隠しのためののれん等が設けられていないこと。 (4) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号。以下「風営法施行令」という。)(法第2条第6項第4号の政令で定める施設等)3条法第2条第6項第4号の政令で定める施設は,次に掲げ 及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号。以下「風営法施行令」という。)(法第2条第6項第4号の政令で定める施設等)3条法第2条第6項第4号の政令で定める施設は,次に掲げるものとする。 一レンタルルームその他個室を設け,当該個室を専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設二ホテル,旅館その他客の宿泊(休憩を含む。以下同じ。)の用に供する施設であつて,その食堂(調理室を含む。以下同じ。)又はロビーの床面積が,次の表(注・本判決添付別表2)の上欄に掲げる収容人員の区分ごとにそれぞれ同表の下欄に定める数値に達しないもの(前号に該当するものを除く。) 2 法第2条第6項第4号の政令で定める構造は,前項第二号に掲げる施設(客との面接に適するフロント,玄関帳場その他これらに類する設備において常態として宿泊者名簿の記載,宿泊料金の受渡し及び客室のかぎの授受を行う施設を除く。)につき,次の各号のいずれかに該当するものとする。 一客の使用する自動車の車庫(天井(天井のない場合にあつては,屋根)及び二以上の側壁(ついたて,カーテンその他これらに類するものを含む。)を有するものに限るものとし,二以上の自動車を収容することができる車庫にあつては,その客の自動車の駐車の用に供する区画された車庫の部分をいう。以下同じ。)が通常その客の宿泊に供される個室に接続する構造二客の使用する自動車の車庫が通常その客の宿泊に供される個室に近接して設けられ,当該個室が当該車庫に面する外壁面に出入口を有する構造三客の宿泊する個室がその客の使用する自動車の車庫と当該個室との通路に主として用いられる廊下,階段その他の施設(当該施設の内部を外部から容易に見通すことができるものを除く。)に通ずる出入口を有する構造 3 法第2条第6項第4号の政令 自動車の車庫と当該個室との通路に主として用いられる廊下,階段その他の施設(当該施設の内部を外部から容易に見通すことができるものを除く。)に通ずる出入口を有する構造 3 法第2条第6項第4号の政令で定める設備は,次の各号のいずれかに該当するものとする。 一動力により振動し又は回転するベッド,横臥している人の姿態を映すために設けられた鏡(以下「特定用途鏡」という。)で面積が一平方メートル以上のもの又は二以上の特定用途鏡でそれらの面積の合計が一平方メートル以上のもの(天井,壁,仕切り,ついたてその他これらに類するもの又はベッドに取り付けてあるものに限る。)その他専ら異性を同伴する客の性的好奇心に応ずるため設けられた設備二次条に規定する物品を提供する自動販売機その他の設備三第1項第1号に掲げる施設にあつては,前二号に掲げるもののほか,長いすその他の設備で専ら異性を同伴する客の休憩の用に供するもの(法第2条第6項第5号の政令で定める物品)4条法第2条第6項第5号の政令で定める物品は,性的好奇心をそそる物品で次に掲げるものとする。 一衣服を脱いだ人の姿態を被写体とする写真又はその複製物二前号に掲げる写真又はその複製物を主たる内容とする写真集三衣服を脱いだ人の姿態の映像を主たる内容とするフィルム又はビデオテープ,ビデオディスク,シー・ディー・ロムその他電磁的方法(電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法をいう。)による記録に係る記録媒体四性具その他の性的な行為の用に供する物品,性器を模した物品,性的な行為を表す写真その他の物品又はこれらに類する物品(5) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和59年愛知県条例第36号。以下「愛知県風営法施行条例」という。)(用語の意義 な行為を表す写真その他の物品又はこれらに類する物品(5) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和59年愛知県条例第36号。以下「愛知県風営法施行条例」という。)(用語の意義)2条この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 一第一種地域別表第1(注・本判決添付別表3)に掲げる地域二第二種地域別表第2(注・本判決添付別表4)に掲げる地域三第三種地域第一種地域,第二種地域,第四種地域及び第五種地域以外の地域四第四種地域別表第3(注・本判決添付別表5)に掲げる地域五第五種地域別表第4(注・本判決添付別表6)に掲げる地域(店舗型性風俗特殊営業の禁止区域の基準となる施設)11条法第28条第1項の条例で定める施設は,次のとおりとする。 一病院及び診療所二社会教育法(略)第5章に規定する公民館三都市公園法(略)第2条第1項に規定する都市公園(店舗型性風俗特殊営業の禁止地域)12条店舗型性風俗特殊営業は,次の各号に掲げる営業の区分に応じ,それぞれ当該各号に掲げる地域においては,これを営んではならない。 一法第2条第6項……第4号の営業(同項第4号の営業にあつては,個室に自動車の車庫(略)が個個に接続する施設であつて,個室に接続する車庫の出入口が扉等によつて遮へいできる構造設備,車庫の内部から個室に通ずる専用の人の出入口若しくは階段若しくは昇降機が設けられている構造設備又は個室と車庫とが専用の通路によつて接続しているものにあつては当該通路の内部が外部から見えない構造設備を有するものに限る。) 県の全域二前号に掲げる営業以外の営業第一種地域,第二種地域及び第三種地域 3 本件の争点本件条例10条に基づく本件中止命令に無効事由(主位的請求)ない えない構造設備を有するものに限る。) 県の全域二前号に掲げる営業以外の営業第一種地域,第二種地域及び第三種地域 3 本件の争点本件条例10条に基づく本件中止命令に無効事由(主位的請求)ないし取消事由(予備的請求)となるべき違法性が存在するか。 (1) 本件条例の有効性ア憲法22条との適合性イ風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。ただし,特段の留保がない限り,昭和59年法律第76号による改正後のものを指す。以下「風営法」という。)との適合性ウ旅館業法との適合性(2) 本件中止命令の対象の特定性(3) 本件条例の差別的適用による違法性 4 争点に関する当事者の主張(1) 憲法22条との適合性(争点(1)ア)について(原告の主張)風営法は,憲法22条の定める職業選択の自由,営業の自由を制限するものであるから,条例により風営法よりも強度の規制を行うためには,それに相応する合理性・必要性が存在し,かつ規制の程度も必要最小限のものでなければならない。 しかるところ,風営法が,店舗型性風俗特殊営業であるラブホテルに対する規制対象を同法2条6項4号,同法施行令3条に該当するものに限定したのは,憲法22条の規定を考慮したものであるから,条例により風営法よりも強度の営業規制を行うためには,東郷町という地域において,かかる強度の規制を行う合理性・必要性が存在し,かつ規制の程度も必要最小限のものでなければならないはずであるが,そのような事情は認められない。 したがって,本件条例は,風営法ひいては憲法22条に違反する無効なものというべきである。 (被告の主張)原告の主張は争う。 被告としても,ラブホテル等の営業に職業選択の自由,営業の自由を定める憲法22条が適用されることを争うものではないが,このような する無効なものというべきである。 (被告の主張)原告の主張は争う。 被告としても,ラブホテル等の営業に職業選択の自由,営業の自由を定める憲法22条が適用されることを争うものではないが,このような営業は,特有のけばけばしい建物の外観,広告等により,風俗環境を著しく損なわせるばかりか,異性を同伴する利用者によって醸成される特殊かつ隠微な雰囲気により,地域住民の静穏な生活環境に多大な悪影響を与え,これが青少年の健全育成にも好ましくない影響を及ぼす上,この種の業態に特有の密室的構造のために,性犯罪を始め各種の犯罪を誘発・助長させるというような様々な弊害を生ぜしめる。 このように,ラブホテル等の営業は,近隣の住民の生活環境及び青少年の健全な育成等に多大な悪影響を及ぼすものであるから,公共の福祉による強い制約に服する合理的な根拠がある。風営法上も,適正な運用が行われれば,国民のために健全な娯楽を与える「風俗営業」と異なり,「性風俗関連特殊営業」は,健全化を図ることになじまない性格を有するから,規制のみが想定されている。 ところで,東郷町は,名古屋市と豊田市のベッドタウンといわれ,質の高い住環境・生活環境の実現・保全を行政施策の柱としている住宅の街である。都市計画法上の用途地域区分からみても,市街化区域のうち97.8パーセントが住宅関連地域である。また,東郷町の人口の半数以上が本件建物の建設に反対し,署名を提出していること,住民自ら本件建物の建設の禁止を求める仮処分申請を行っていることなどからうかがえるように,同町の住民もまた,同町に対し,快適な住環境の保全・実現を強く期待しているから,弊害の大きいラブホテル等について規制を施す強い合理性・必要性がある。 他方,本件条例は,ホテル,旅館の建物の構造等の基準を通じて,間接的にラブホテル等の営業を規制 保全・実現を強く期待しているから,弊害の大きいラブホテル等について規制を施す強い合理性・必要性がある。 他方,本件条例は,ホテル,旅館の建物の構造等の基準を通じて,間接的にラブホテル等の営業を規制するものにすぎず,しかも,その内容は,ラブホテル等の建設や営業を一切不能ならしめるようなものではなく,せいぜい,これらを抑制する程度の効果しか有していない。 そうすると,本件条例の規制内容は,その必要性に照らして,合理性・必要性を欠くものではなく,ラブホテル等の営業に対し,公共の福祉を超えた過度の制約を課するものではないから,憲法22条に反するとはいえない。 (2) 本件条例の風営法適合性(争点(1)イ)について(原告の主張)ア条例の法律適合性の判断基準憲法94条は,「地方公共団体は,……法律の範囲内で,条例を制定することができる。」と定め,地方自治法14条1項も,「普通地方公共団体は,法令に違反しない限りにおいて……条例を定めることができる。」と規定している。 したがって,法律による規制を超えて,過度に職業選択の自由,営業の自由,財産権を侵害するような条例は法令に違反するものであり,それに基づく処分は,無効とされるべきである。 このように,地方公共団体の制定し得る条例は,あくまでも法律の範囲内でなければならず,「地方自治の本旨」の一言をもってすれば,いかに無軌道かつ過度に広範にわたる内容のものであっても制定し得るというものではない。 イ本件条例の風営法との不適合性(ア) 規制目的の共通性風営法は,「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」風俗営業等の規制を行うべく制定されている(1条)。他方,本件条例は,「町民の快適で良好な生活環境を保持し,併せて青少年の健全な育成を図ることを目的とす 健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」風俗営業等の規制を行うべく制定されている(1条)。他方,本件条例は,「町民の快適で良好な生活環境を保持し,併せて青少年の健全な育成を図ることを目的とする」と規定している(1条)ことからも明らかなとおり,その目的は,風営法のそれと相当な部分で共通し,重なり合うものである。 この点につき,被告は,風営法は風俗営業に関する規制及びその適正化を図ることによる警察規制(消極的規制)を主たる目的とするのに対し,本件条例は,「行政施策の一環として,積極的に,町民の快適で良好な住環境,生活環境の保全・実現を図る」という積極目的で制定された旨主張するが,風営法においても,その目的は消極的規制にとどまるものではなく,風俗営業が適正に行われる限り,国民の良好な生活環境の保全・実現に寄与することから,消極目的と同時に積極目的をも有するものであるし,本件条例においても,被告自身が,本件条例の制定経緯について,「ラブホテルあるいはモーテル類似ホテルが,「青少年の健全育成に好ましくない。」,「性犯罪をはじめ各種の犯罪を誘発,助長させている。」との考えから,住民から懸念の声が上がり,その犯罪の温床ないし青少年の健全育成上好ましくないと考えるラブホテルあるいはモーテル類似ホテルの建設・営業を阻止するために制定された」と主張していることからも明らかなとおり,警察目的(消極目的)を含んでいるといえる。 したがって,風営法と本件条例とでその目的に「顕著な相違がある」とはいえない。 (イ) 規制方法の共通性風営法は,風俗営業を営もうとする者は「当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない」と規定して営業の許可制を採用し,営業規制を行っている(3条)。 他方,本件条例は,「建築主は,あらかじめ町長に( る者は「当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない」と規定して営業の許可制を採用し,営業規制を行っている(3条)。 他方,本件条例は,「建築主は,あらかじめ町長に(建築予定建物の構造を)申請し,その同意を得なければならない。」とする建築の規制を採用しており,形式上,直接営業を規制する形を取っていない(5条)。しかし,同意を得ずにホテル等を建築しようとする場合には,町長は,建築主に対して中止命令を発することができ(10条1項1号),しかもその命令に従わない場合には,罰則を科し得る(13条1項)こと,「東郷町にはラブホテル等の建設を規制する条例は置かれていなかったため,前記ラブホテルの建設,営業を阻止することはできなかった」前例を受けて本件条例が制定された経緯に照らすと,町長の同意を得ない限り,建築主は,ホテル等を建築し,そこで営業を行うことができなくなるのであるから,本件条例は,実質的には,営業規制を行っているといえる。 したがって,本件条例と風営法とは,規制方法においても,実質的に重なり合っている。 (ウ) 風営法と本件条例の矛盾抵触その1(場所的規制の強化)風営法は,昭和59年の改正によって,前記の目的を実現するため,性風俗関連特殊営業を定義し(2条5項),その営業時間や営業区域等の規制を設けているところ,店舗型性風俗特殊営業の営業区域の規制として,一定の公共的施設からの距離規制を設けている(28条1項)ほか,「……都道府県は,善良な風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは,条例により,地域を定めて,店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止することができる。」と定める(同条2項)とともに,風営法施行令6条3号は,「制限地域の指定は,風俗 為を防止するため必要があるときは,条例により,地域を定めて,店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止することができる。」と定める(同条2項)とともに,風営法施行令6条3号は,「制限地域の指定は,風俗営業の種類及び態様,地域の特性……その他の事情に応じて,良好な風俗環境を保全するために必要最小限のものであること」を規定している。そして,この規定を受けて愛知県風営法施行条例12条が設けられている。 このように,風営法には,場所的規制について,「都道府県の条例」に委任する規定は存在するが,市町村の条例に委任する旨の規定は存しないことから,風営法は,店舗型性風俗特殊営業の場所的規制について,全国的に一律に施行されるべき最高限度の規制を定めたものであり,もはや,同一目的をもって,市町村が,条例により,さらに強度の規制をすることは,風営法及び愛知県風営法施行条例により排斥されるというべきである。 この点につき,被告は,東郷町全域が,風営法上のラブホテル等の営業禁止区域に当たるので,場所的規制の強化の問題は生じないと主張する。 しかし,そもそも,風営法が場所的規制を行っているのは,「風営法上のラブホテル等」にすぎないため,これに該当しないホテル等であれば,東郷町全域において,自由に建築し得るはずである。にもかかわらず,本件条例は,東郷町全域において,風営法上のラブホテル等に該当しないホテル等の建築及び営業を禁止しているのであるから,本件条例は風営法の場所的規制を強化したものである。 したがって,本件条例は,風営法が許容していない場所的規制を強化している点で,風営法に矛盾抵触しており,違法である。 (エ) 風営法と本件条例の矛盾抵触その2(構造基準の強化)a 構造基準を強化する条例が風営法に矛盾抵触しないための要件一般論として,風営法が定める構造基準と 風営法に矛盾抵触しており,違法である。 (エ) 風営法と本件条例の矛盾抵触その2(構造基準の強化)a 構造基準を強化する条例が風営法に矛盾抵触しないための要件一般論として,風営法が定める構造基準とは別個の規制を条例により行うこと自体は是認する余地がある。しかし,風営法の規定の趣旨からは必要最小限度の規制しか許されないというべきである。 すなわち,風営法2条6項4号は,店舗型性風俗特殊営業(ラブホテル)の規制対象となる建物につき,①専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。)の用に供する施設であること,②その施設は,政令(風営法施行令)で定める構造又は設備を有する個室を設けるものであることの2要件を要求し,風営法施行令3条において,②の構造及び設備を具体的に定めている。同号が①という顧客の利用目的という主観的要件以外に,②の客観的要件を付加したのは,①のような基準だけでは,憲法22条1項で保障された職業選択の自由・営業活動の自由に対して制限を加える基準として,全く抽象的かつ曖昧不明確であって,その該当性判断が恣意に流れ,本来許されるべき営業まで過度に制限されるおそれがあるため,①の「専ら異性を同伴する客の宿泊,休憩の用に供する」という目的を有する施設が通常有する特徴的な構造又は設備を政令で列挙することにより,客観的な判断を担保し,もって,行き過ぎた営業規制がされないように配慮したためである。 したがって,その施設が②の要件を満たしていなければ,およそ風営法上の規制を受ける施設にはなり得ない。また,①,②の両要件を満たす施設であっても,それをもって,一律に営業が禁止されるのではなく,風営法28条1項2項の禁止区域,同条4項の営業時間の制限などの規定に違反しなければ,同法27条に基づき公安委員会に営業等の届出をすることによって,適法に営業 て,一律に営業が禁止されるのではなく,風営法28条1項2項の禁止区域,同条4項の営業時間の制限などの規定に違反しなければ,同法27条に基づき公安委員会に営業等の届出をすることによって,適法に営業を行うことができる。 このような趣旨にかんがみれば,風営法が定める構造基準よりも強度な規制をする条例が風営法に矛盾抵触しないためには,当該条例が必要最低限度の規制であること(比例原則)と,客観的判断が担保される内容であることの2つが必要である。 b 本件条例の比例原則違反本件条例は,風営法と同じ目的から制定されたものであるにもかかわらず,風営法上の規制を受ける建物の構造よりも,更に多くの構造基準を要求し,しかも,それらの構造基準すべてを満たさなければ,当該建物の建築を認めず,結果としてそのホテル等の営業を禁止するという規制方法をとっており,かかる規制が比例原則に違反するものであることは明らかである。 本件条例4条1項8号に例を取れば,同号は,「総客室に対する定員別の客室の構成が,別に規則で定める割合を有すること」と定め,これを受けた本件施行規則2条2項は,「条例第4条第8号に規定する規則で定める割合は,客室1室当たりの床面積が15平方メートル以下である1人用の客室の数が,客室総数の3分の1以上とする。」と規定して,シングルルーム(しかも床面積が15平方メートル以下のもの)を客室総数の3分の1以上作ることを強制し,東郷町全域において,「専ら2人以上同伴して利用する客の宿泊(休憩を含む。)の用に供する施設」を建築することを不可能とする規制を行っている。 このように,風営法が,過度の営業規制を防止すべく,その規制対象となる「店舗型性風俗特殊営業」を行う施設に当たることの判断基準として,その施設が政令で定める構造又は設備を有する個室を設けているこ このように,風営法が,過度の営業規制を防止すべく,その規制対象となる「店舗型性風俗特殊営業」を行う施設に当たることの判断基準として,その施設が政令で定める構造又は設備を有する個室を設けていることに照らすと,本件条例が,東郷町全域において過度の営業規制を行っていることは明らかである。 したがって,本件条例は,比例原則に違反するものである。 c 客観的判断が担保されないこと本件条例4条1項8号ただし書は,規則で定めるホテル等について,シングルルームを3分の1以上作ることを強要していないかのような形式を取っている。 しかし,これを受けた本件施行規則2条3項は,「条例第4条第8号ただし書に規定する規則で定めるホテル等は,専ら飲食,湯治,団体宿泊その他これに類するものの用に供することを目的とするもので,その形態等が町民の快適で良好な生活環境の保持及び青少年の健全な育成を阻害するおそれがないと町長が認めるものとする」と規定しており,被告の判断が極めて恣意に流れる危険性をはらんでいる。すなわち,客室の広さ及びシングルルームの割合というものは,ホテル等の営業を行う経営者にとっては,その経営判断の根幹に関わる重要な問題であることから,この規定の有無によって,対象となる客層,客質が明らかに変わってくる非常に重要なものであるところ,風営法上の店舗型性風俗特殊営業に当たらないにもかかわらず,被告が「ラブホテル」と考えるものについて,常に,本件条例4条1項8号の基準が適用されることとなり,被告の恣意を許すこととなる。 したがって,本件条例は,規制権者の客観的判断を担保する内容となっておらず,風営法の趣旨に反するものである。 このほか,本件条例4条に定める構造基準は,「見通すことができる」,「ロビー等と一体的で開放的」,「都市景観上の配慮」など,それぞれに 担保する内容となっておらず,風営法の趣旨に反するものである。 このほか,本件条例4条に定める構造基準は,「見通すことができる」,「ロビー等と一体的で開放的」,「都市景観上の配慮」など,それぞれによって受け止め方の異なる内容となっており,これらの点についても,判断権者の恣意に流れる危険性をはらみ,全く客観性は担保されていない。 (オ) 風営法の脱法目的前記のとおり,本件条例は,形式上,営業行為・営業活動自体の制限ではなく,その営業を行うための建物の構造基準を規制するという,営業手段の制限という形を採っている。 しかし,実際には,町長が認めるホテル営業については,一部の構造基準の制限規定が適用されないという規制の仕方や,構造・設備の条例適合性に関わりなく,町長がラブホテルと考えるものについては同意しないとの東郷町ラブホテル等建築規制条例(平成16年東郷町条例第16号。以下「新条例」という。)の規定,被告の原告に対するこれまでの対応,本件条例の目的はラブホテル等の建築を規制することであるとの被告自身の認識などからも明らかなように,本件条例は,本来適法とされ,過度に制限することの許されない営業行為・営業活動を脱法的に規制しようとするものである。 (被告の主張)原告の主張は争う。 ア条例の法律適合性の判断基準(ア) 条例制定権の根拠条例は,地方公共団体の自治権を構成する自治立法権に基づいて制定された自主法であり,その根拠は,憲法94条にある。これにより,地方公共団体は,その地方自治事務に関して個別の法律の委任がなくとも,「地方自治の本旨」を果たし得るような十分な範囲において,独自に条例を制定することができる。 ここにいう「地方自治の本旨」とは,地方公共団体が,国家から独立して独自の意思をもって自らの公共事務を処理する(団体自治)ととも たし得るような十分な範囲において,独自に条例を制定することができる。 ここにいう「地方自治の本旨」とは,地方公共団体が,国家から独立して独自の意思をもって自らの公共事務を処理する(団体自治)とともに,地方の政治,行政が,その地域の住民の意思によりなされること(住民自治)を包摂するものである。かかる見地から憲法第8章を具体化した地方自治法をみると,同法は,殊に住民の生活条件を整備するための行政については,広範に「地方自治の本旨」に基づく地方公共団体の事務として予定しているものと解される。よって,地方公共団体は,住民の生活条件整備に関する行政については,積極的に施策していく義務があり,地方公共団体の条例制定権の対象となる地方自治事務の範囲は,一般に相当広範にわたるものというべきである。 (イ) 条例が国の法令に違反するかどうかの判断基準条例が国の法令に違反するかどうかは,両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決しなければならない。 例えば,特定事項についてこれを規律する国の法令と条例が併存する場合でも,後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり,その適用によって前者の規定の意図する目的と効果を何ら阻害することがないときや,両者が同一の目的に出たものであっても,国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく,その地方の実情に応じて,別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは,法令と条例との間に何らの矛盾抵触はなく,条例が国の法令に違反する問題は生じ得ないと解すべきである。 イ本件条例の風営法との適合性(ア) 規制目的の異同a 風営法の目的風営法は,「善良の風俗と清浄な風俗環境を に何らの矛盾抵触はなく,条例が国の法令に違反する問題は生じ得ないと解すべきである。 イ本件条例の風営法との適合性(ア) 規制目的の異同a 風営法の目的風営法は,「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため,風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について,営業時間,営業区域等を規制し,及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに,風俗営業の健全化に資するため,その業務の適正化を促進する等の措置を講ずること」を目的としている(同法1条)。かかる規定から,風営法は,善良の風俗と清浄な風俗環境の保持及び少年の健全な育成を保護法益としつつも,直接的には風俗営業に関する規制及びその適正化を図ることに主要な目的があると解される。 b 本件条例の目的(a) 本件条例制定の経緯昭和40年後半以後,全国的に,ラブホテルあるいはモーテル類似ホテルと呼ばれるような施設(以下,風営法上のラブホテル等と区別する意味で「社会通念上のラブホテル等」ということもある。)が住宅地の近くに多数建築されるようになり,けばけばしい外観,広告等により風俗環境が著しく損なわれるばかりではなく,異性を同伴する利用者によって醸成される特殊かつ隠微な雰囲気が,地域住民の静穏な生活環境に多大な悪影響を与え,これが青少年の健全育成にも好ましくない影響を及ぼすことになった上,この種の業態に特有の密室的構造のために,性犯罪をはじめ各種の犯罪を誘発,助長させているという実情が生じた。 東郷町内においても,平成5年ころ,東名高速道路三好インターチェンジから上伊保知立バイパス道路の建設計画が決定されるのと軌を一にして,同バイパス道路沿いにあった工場跡地にラブホテルの建築計画が持ち上がった。これに対し,近隣住民は,住環境や青少年 好インターチェンジから上伊保知立バイパス道路の建設計画が決定されるのと軌を一にして,同バイパス道路沿いにあった工場跡地にラブホテルの建築計画が持ち上がった。これに対し,近隣住民は,住環境や青少年の健全育成に対する悪影響を懸念し,ラブホテルの建築反対運動を起こしたほか,東郷町の行政当局に対してもラブホテルの建築に反対する旨の要望をした。しかし,当時,東郷町にはラブホテル等の建設を規制する条例がなかったため,前記ラブホテルの建築,営業を阻止することはできなかった。 この一件を受け,東郷町の行政及び議会は,今後前記インターチェンジ周辺においてラブホテル等が林立すると,住宅の街である東郷町内の住民の生活環境や青少年の健全な育成が阻害されることを強く懸念し,これを未然に防止する必要性を痛感するところとなった。そこで,町議会は,他の地方公共団体においても,ラブホテル等の建築を規制する条例が多数制定されている現状を勘案し,本件条例を制定したものである。 (b) 本件条例の目的以上のとおり,本件条例の目的は,「ホテル等の建築の適正化に関し必要な事項を定めることにより,町民の快適で良好な生活環境を保持し,併せて青少年の健全な育成を図ること」にあり(1条),東郷町の豊かな町づくりを目指す行政施策の一環として,町民の快適で良好な住環境,生活環境の保全及び青少年の健全な育成を図るという積極的な目的を有している。 c 検討風営法は,善良の風俗と清浄な風俗環境の保持及び少年の健全な育成を保護法益としつつも,直接的には,全国的見地から,風俗営業に関する規制及びその適正化を図ることを主要な目的とするものであるのに対し,本件条例は,住民自治の見地から,東郷町の豊かな町づくりを目指す行政施策の一環として,積極的に,町民の快適で良好な住環境,生活環境の保全・実 の適正化を図ることを主要な目的とするものであるのに対し,本件条例は,住民自治の見地から,東郷町の豊かな町づくりを目指す行政施策の一環として,積極的に,町民の快適で良好な住環境,生活環境の保全・実現を図ることに主たる目的があるのであって,両者の狙いとしているところには,顕著な相違がある。 (イ) 規制方法の異同a 風営法の規制方法前記(ア)aの目的を達成するため,風営法2条6項4号は,施設の利用方法と構造・設備を基準として,店舗型性風俗特殊営業に該当するものを定義し,官公庁施設,学校,図書館,児童福祉施設又はその他の施設でその周辺における善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地の周囲200メートルの区域内並びに善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは青少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要があるとして都道府県条例により定めた地域における風営法上のラブホテル等営業を禁止している(同法28条1項2項)。 これを受けて,愛知県風営法施行条例は,病院,診療所,公民館及び都市公園を都道府県条例で定める施設として定め(11条),営業を禁止する地域として,所定の構造を有するものについては県の全域,それ以外のものについては,専ら都市計画法上の商業地域以外の地域と定めている(12条1項2項,2条)。 b 本件条例の規制方法前記(ア)bの規制目的を受けて,本件条例は,旅館業法2条2項3項に規定するホテル及び旅館を対象とし(2条1号),その建物の構造等について所定の基準を設け(4条),その基準に適合しない場合には,町長は当該ホテル等の建築に同意せず(5条,6条),かかる同意なくしてホテル等を建築し,又は建築しようとする者に ),その建物の構造等について所定の基準を設け(4条),その基準に適合しない場合には,町長は当該ホテル等の建築に同意せず(5条,6条),かかる同意なくしてホテル等を建築し,又は建築しようとする者に対しては,当該ホテル等の建築の中止等を命ずることができる旨の定めを置いている(10条1号)。 c 検討風営法は同法上のラブホテル等の営業を規制するのに対し,本件条例は旅館業法上のホテル等の建築を規制するものであって,規制の対象が異なること,風営法は,専ら地域規制による営業制限であるのに対し,本件条例は,構造等の規制による建築制限である点で,規制の角度,視点が異なり,およそ重なるところがない。 なお,原告は,本件条例が実質的には営業規制であると主張するところ,確かに,例えば,地域を定めて全面的に建築を禁止する態様で制限をするような場合には,建築規制であっても,実質的には営業規制ということが可能かもしれない。しかし,本件条例は,そのような場合とは異なり,所定の構造等の基準さえ満たせば,町内全域でホテル等の建築が可能であり,かつ,その構造等の基準に沿った建物であれば,ホテル等の営業は可能である(社会通念上のラブホテル等の営業も可能であるといわざるを得ない。)。 よって,本件条例における規制方法は,実質的に営業を規制しているとはいえず,風営法と規制方法を共通にするものではない。 (ウ) 風営法と本件条例との矛盾抵触の不存在その1(場所的規制)仮に,本件条例の目的が,風営法のそれと重なり合う部分があったとしても,以下のとおり,本件条例は風営法とは矛盾抵触しない。 原告は,本件条例は,風営法よりも広い場所的規制を行うものであるから,同法に矛盾抵触する旨主張する。 しかし,風営法及びその規制を具体化した愛知県風営法施行条例において,風営法上のラブホテル等の 。 原告は,本件条例は,風営法よりも広い場所的規制を行うものであるから,同法に矛盾抵触する旨主張する。 しかし,風営法及びその規制を具体化した愛知県風営法施行条例において,風営法上のラブホテル等の営業禁止区域を,所定の構造を有するものについては県の全域,それ以外のものについては,専ら都市計画法上の商業地域以外の地域と定めているところ,東郷町においては,都市計画法上の商業地域に指定されている地域はない。 したがって,結局,東郷町全域が,風営法上のラブホテル等の営業禁止区域に当たることになるのであって,場所的規制という観点からは,風営法及び愛知県風営法施行条例と本件条例の間には,矛盾・抵触の問題は生じない。 (エ) 風営法と本件条例との矛盾抵触の不存在その2(構造基準)原告は,本件条例の定める構造等の基準が,風営法よりも強度の規制を定めるものであるから,本件条例は同法に矛盾抵触すると主張するが,これについての反論は,以下のとおりである。 a 国と地方公共団体の事務配分の視点憲法92条を受けた地方自治法1条の2は,「地方公共団体は,住民の福祉の増進を図ることを基本として,地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担うものと」した上で(同条1項),国に対し,「住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として,地方公共団体との間で適切に役割を分担する」ことを義務付けている(同条2項)。 したがって,本件条例が目的とする東郷町住民の快適で良好な住環境,生活環境の保全・実現といった行政事務については,国が画一的,独占的に行うべき合理的な理由は存しない。このような行政事務は,無論,住民に身近な問題であるから,むしろ,地方公共団体が,その地域の実情や行政需要に応じ,「地方自治の本旨」(憲法92条),とりわけ住民自治に基づい 合理的な理由は存しない。このような行政事務は,無論,住民に身近な問題であるから,むしろ,地方公共団体が,その地域の実情や行政需要に応じ,「地方自治の本旨」(憲法92条),とりわけ住民自治に基づいて,自治事務を形成するにふさわしい領域であり,本来的な地方自治事務に属するものである。 以上のような見地に立つと,この分野における国の規制は,地方自治の本旨に反しない態様・程度において許されるにすぎず,風営法の規制は,全国一律に実施されるべき,いわゆる「ナショナル・ミニマム」の規制であると解するのが相当であるから,地方公共団体が条例で独自の規制をする権限を排除するものではないというべきである。 すなわち,地方自治の本旨に基づいて制定されている本件条例が,風営法との関係で矛盾・抵触するといったような問題は生じる余地がないというべきである。 b 風営法の規制対象の限定の趣旨また,風営法が,その規制対象を同法上のラブホテル等に限定した趣旨及びその規制の実情に照らしても,同法が,本件条例のような別段の規制を一切許さない趣旨であると解する合理的な理由はない。 すなわち,風営法は,その規制対象とするラブホテル等営業の定義について,「専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。……)の用に供する……施設(略)を設け,当該施設を当該宿泊に利用させる営業」(2条6項4号)という施設の利用目的に着目した要件とは別に,「政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)」という物理的な構造,設備に関する要件を付加し(2条6項4号),これを受けた風営法施行令3条が前記施設,構造及び設備を規定している。つまり,①専ら異性を同伴する客の宿泊・休憩の用に供する施設であっても,②政令が定める施設であって,③政令が定める構造若しくは政令が定める設備を有 施行令3条が前記施設,構造及び設備を規定している。つまり,①専ら異性を同伴する客の宿泊・休憩の用に供する施設であっても,②政令が定める施設であって,③政令が定める構造若しくは政令が定める設備を有する施設でなければ,風営法の規制対象とはならない。 ところで,風営法が,同法上のラブホテル等営業に規制を加えた理由は,端的にいえば,これが特に男女の性的関係を前提として成立する営業であり,性風俗犯罪を引き起こしやすく,青少年に与える影響も大きいからであるところ,一般人の理解においては,①の専ら異性を同伴する客の宿泊・休憩の用に供する施設という要件を充足するホテル等であれば,それは社会通念上のラブホテル等であり,かつ,そのような施設であるだけで,その施設の構造や設備に関わらず,風営法の保護法益である「善良の風俗と清浄な風俗環境や少年の健全な育成」は阻害され得るものといえる。 にもかかわらず,風営法があえて前記②,③の要件を付加した理由は,一般にラブホテル等がこれら構造,設備等の要件を具備しているものであるという認識を前提として,健全な一般のホテル,旅館と区別する指標とし,もって一般のホテル,旅館を同法の規制の対象となることから除外するところにある。つまり,風営法が規制対象としている同法上のラブホテル等営業は,風俗環境や青少年の健全育成に害を及ぼすホテル,旅館営業のうち,全国一律の基準になじむ典型的な営業を拾ったにすぎないと解することができるのであって,その要件を具備しないホテルや旅館について,同法が,全く規制を許さずに放置するといった積極的な趣旨をも有しているとは到底解されない。 c 風営法を上回る規制の必要性(風営法施行令3条の定める基準がラブホテル等営業のための適切な指標とはなっていないこと)風営法施行令3条が定める施設,構造及び設備の基 有しているとは到底解されない。 c 風営法を上回る規制の必要性(風営法施行令3条の定める基準がラブホテル等営業のための適切な指標とはなっていないこと)風営法施行令3条が定める施設,構造及び設備の基準は,以下のとおり,現実には,風俗環境へ害を及ぼすホテル,旅館か否かの判断の適切な指標とはなっておらず,その結果,全く規制目的を達成していない。このような実情に照らしても,同法が,他の方法による規制を一切許さない趣旨であるとは到底解することはできない。 (a) ラブホテルという利用形態においては,一般に,ホテルや旅館というにふさわしい食堂やロビーを備えていないという実態を前提として,風営法施行令は,食堂又はロビーの床面積が,収容人員に応じて定められた所定の数値未満であるホテル等と定めている(3条1項2号)。しかし,利用実態に関わらず,形式的に所定の床面積以上の食堂,ロビーを備えることで,容易に規制を免れ得るものであるから,ラブホテルと一般のホテル等とを区別する適切な指標になっていない。 (b) 風営法施行令は,政令で定める設備として,回転ベッド,大きな鏡その他性的好奇心に応ずるため設けられた設備(ガラス張りの浴室,SM用の設備等),裸体を被写体とする写真集,ビデオテープ等の自動販売機を定めている。 しかしながら,社会通念上のラブホテル等営業は,その性質上,これらの設備(ハード)に依存するものではなく,これらは,現実のラブホテル等営業に必須なものではないから,現実のラブホテルと一般のホテルとを区別する適切な指標ではない。 (c) したがって,社会通念上のラブホテル等に該当し,客観的に風俗環境や少年の健全育成に害を及ぼすラブホテル等であることが明白な施設であったとしても,形式的に,風営法施行令の施設,構造及び設備を具備しないことによって,同法の のラブホテル等に該当し,客観的に風俗環境や少年の健全育成に害を及ぼすラブホテル等であることが明白な施設であったとしても,形式的に,風営法施行令の施設,構造及び設備を具備しないことによって,同法の規制を容易に潜脱することができる。 このように,風営法の規制方法は,合理性を欠き,十分ではなく,現実には,その目的を達していないから,同法が,本件条例のような別段の規制を一切許さない趣旨であると解すべき根拠は存在しない。 d 他の市町村の動向なお,本件条例と同様のホテル等の建築規制を目的とする条例等は,数多くの市町村で制定されている。平成13年4月の時点で,愛知県の88市町村のうち30の市町村が条例として,23の市町村が要綱として,ホテル等の建築規制を定めていた。 このような実態を見ても,ラブホテル等に関する風営法の規制が,住民の生活環境の保全,青少年の健全育成といった目的からは,いかに不十分であるが裏付けられる。 e 小括以上のとおり,仮に本件条例と風営法が目的において重なる部分があったとしても,本来,このような行政事務は地方公共団体が行うべき性質のものであること,風営法の規定の趣旨や規制の実情に照らし,その規制対象,手段以外の方法で,地方公共団体が独自の規制を施すことを全く禁止していると解する理由がないことなどに照らすと,本件条例と風営法との間に何らの矛盾抵触はなく,本件条例が風営法に反するといった問題は生じない。 (オ) 比例原則との関係等a 規制手段の必要性・合理性(総論)原告は,まず,本件条例は,風営法よりも強度の規制を行うものであるから,それに相応する合理性・必要性が存在し,かつ,規制手段が必要性に比例した相当なものであることが必要であるところ,本件条例にはこれらがなく,比例原則に反する旨主張する。 しかし,そもそも,本件条 から,それに相応する合理性・必要性が存在し,かつ,規制手段が必要性に比例した相当なものであることが必要であるところ,本件条例にはこれらがなく,比例原則に反する旨主張する。 しかし,そもそも,本件条例は,風営法とは別個の目的を有するものであるから,同法との関係で比例原則を問題とする余地はない。仮に,風営法との関係で比例原則を問題とする余地があったとしても,風営法の規制方法及び規制の実態に照らせば,風営法の規制のみではその目的を十分に達していないから,本件条例によって風営法と別段の定めを置くことには十分な合理性,必要性が存在する。 b 構造等の基準の合理性原告は,本件条例の定める構造基準の不合理性について論難するが,これらの基準については,住民の住環境,生活環境及び青少年の健全育成を阻害するおそれのある社会通念上のラブホテル等と,そのおそれのない一般のホテル,旅館の建物構造等の相違点を綿密に検討した上で定められたものであり,本件条例の規制によって,一般のホテル,旅館の財産権や営業の自由を不当に阻害することのないよう十分な配慮がされている。 この点につき,原告は,①本件条例4条1項8号,本件施行規則2条2項の定める定員別の客室数の構成に関する基準は,過度の制約である,②本件施行規則2条3項は,判断が町長の恣意に流れることを許すものであるなどと主張する。 しかし,1人用の客室数を客室総数の3分の1以上備えることを要求している趣旨は,ラブホテル等においては,その利用目的の性質上,一般に1人用の客室を備えていないという実態を踏まえて,これによって東郷町内におけるラブホテル等の建設を抑制することにあり,また1人用の客室の床面積を15平方メートル以下と規定したのは,1人用客室としての実質を担保する趣旨であるから,前記基準は,本件条例の目的に照らし 町内におけるラブホテル等の建設を抑制することにあり,また1人用の客室の床面積を15平方メートル以下と規定したのは,1人用客室としての実質を担保する趣旨であるから,前記基準は,本件条例の目的に照らして,十分な合理性がある。 また,本件条例4条8号ただし書を受けた本件施行規則2条3項は,「専ら飲食,湯治,団体宿泊その他これらに類するものの用に供することを目的とするもので,その形態等が町民の快適で良好な生活環境の保持及び青少年の健全な育成を阻害するおそれがないと町長が認める」ホテル等については,前記基準の対象外とすることを認めるものであって,一般のホテル,旅館の財産権や営業の自由が不当に害されることはないから,基準として何ら相当性を欠くところもない。そして,同規定の例示列挙により,一般のホテルや旅館のうち主要なものが前記基準の対象外となることが明らかになり,本件条例の目的・規制内容に照らせば,「その形態等が町民の快適で良好な生活環境の保持及び青少年の健全な育成を阻害するおそれが」あるホテル等とは,ラブホテル等を指すことは明らかであり,かつ,ラブホテル等は,専ら異性を同伴する客の利用に供するという施設であるが故に,建物の構造や設備等に顕著な特徴があり,これと一般のホテル,旅館との区別は客観的,合理的になされ得る。 よって,上記規定は,判断者の恣意に流れるような明確性を欠くものではないから,原告の前記主張は失当というべきである。 c 小括したがって,比例原則に反するという原告の前記主張には理由がない。 (3) 本件条例の旅館業法適合性(争点(1)ウ)について(原告の主張)ア規制目的,方法の共通性旅館業法は,旅館業の健全な発達を図り(善良な風俗保持),公衆衛生及び国民生活の向上に寄与するとの目的(1条)を持って種々の規制を定めていると )について(原告の主張)ア規制目的,方法の共通性旅館業法は,旅館業の健全な発達を図り(善良な風俗保持),公衆衛生及び国民生活の向上に寄与するとの目的(1条)を持って種々の規制を定めているところ,旅館業を経営しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならず(3条1項),その許可の申請があった場合において,その申請に係る施設の構造設備が政令で定める基準に適合しないと認めるときや,当該施設の設置場所が公衆衛生上不適当であると認めるときは,許可を与えないことができると規定している(同条2項)。 他方,本件条例も,町民の快適で良好な生活環境の保持及び青少年の健全育成を図るという目的から規定されており(1条),その定める構造基準を満たさなければ,町長は,建築に同意せず,中止命令を発令し,罰則を適用し得る旨規定している。 したがって,両者は,その規制目的,規制方法において,併存・競合していることになる。 イ旅館業法との矛盾抵触しかし,本件施行規則は,その帳場に設置される受付台の長さから高さに至るまで,こと細かく規定しており(2条1項2号),さらには,会議室の設置義務や,床面積が15平方メートル以下の1人用の客室数の全体に占める割合(客室総数の3分の1以上とする。)に至るまで,多数の構造基準を遵守するよう求めている(2条2項)。 しかし,旅館業法施行令は,旅館業法3条2項に規定するホテル営業施設の構造設備の基準を定めているところ,例えば,「宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場」(1条1項4号)や,客の利便を考慮して,「一客室の床面積は,9平方メートル以上であること」(1条1項2号イ)という最低限の広さを確保すべき旨を定めており,あえて狭い部屋を一定数以上作らなければならない旨の規定は存在しない。 ウ比例原則違反そもそも,旅 ,9平方メートル以上であること」(1条1項2号イ)という最低限の広さを確保すべき旨を定めており,あえて狭い部屋を一定数以上作らなければならない旨の規定は存在しない。 ウ比例原則違反そもそも,旅館業法が,昭和32年法律第176号による改正により,旅館業の健全な発達(善良の風俗保持)という目的を加えたのは,風営法の規制対象とはならないが,なお,善良の風俗に反するおそれがある建物については,旅館業法によって営業規制を行おうという趣旨に基づくものである。 確かに,旅館業法は,地方公共団体が,その地方の行政需要に応じて,善良な風俗を保持し,あるいは地域的生活環境を保護すべく,同法の定めるよりも強度の構造設備についての規制をすることを全く否定する趣旨まで含んでいないとしても,そもそも,同法も,憲法上保障されている職業選択の自由・営業の自由を制限するものであるから,条例によって同法よりも強度の規制を行う場合には,それに相応する合理性,すなわちこれを行う必要性と規制手段が必要性に比例した相当なものであることを要するというべきである。 しかるところ,前記のとおり,本件条例及び本件施行規則は,旅館業法施行令に比べ,より細かな構造基準を規定し,また客室割合等の規制も行っているところ,そもそも,1人用の客室をどれだけ設けるか,また,部屋の広さをどの程度にするかということは,どのような客層を対象に営業を行うかなどといった営業の根幹に関わることであるにもかかわらず,本件条例等は,これをも制限するものであって,旅館業法に比べて極めて強度の営業規制を行っていると評し得る(このことは,本件条例の規制を強化した新条例ですら,1室の広さを18平方メートルまで広げていることからも明らかである。)。しかしながら,東郷町という地域において,かかる強度の営業の自由に対する規制を このことは,本件条例の規制を強化した新条例ですら,1室の広さを18平方メートルまで広げていることからも明らかである。)。しかしながら,東郷町という地域において,かかる強度の営業の自由に対する規制を行う合理性・必要性が存在し,かつ規制手段が必要性に比例した相当なものであるという事情は認められない。 (被告の主張)原告の主張は争う。 ア規制目的,方法の共通性の欠如(ア) 旅館業法の目的旅館業法は,昭和23年に公衆衛生の見地からの取締りを目的として制定され,その後,昭和32年に善良な風俗を保持する目的を加えたが,平成8年,その目的規定が見直され,旅館業の健全な発達を図ること等により公衆衛生及び国民生活の向上に寄与するという積極的目的規定に改められるとともに,善良な風俗を保持する目的という文言は削除された。 このことは,旅館業法の規制が,いずれも公衆衛生の見地から定められていることからも明らかである。 (イ) 旅館業法の規制方法旅館業法は,旅館業を経営しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならない旨定め(3条1項),都道府県知事は,許可の申請に係る施設の構造設備が政令で定める基準に適合していないと認めるとき,当該施設の設置場所が公衆衛生上不適当であると認めるときには都道府県知事は旅館業の許可を与えないことができるところ(3条2項),上記基準を定める政令も公衆衛生の見地から定められている(旅館業法施行令1条)。また,ホテル等の施設について宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならないこととされている(同法4条1項)。 なお,施設の設置場所が,学校,児童福祉施設及び社会教育施設の周辺で,その設置によって当該施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると認められるときは,許可を与えないことができる(同法3条3項)とされている 場所が,学校,児童福祉施設及び社会教育施設の周辺で,その設置によって当該施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると認められるときは,許可を与えないことができる(同法3条3項)とされているが,その制限地域は極めて限定されており,善良な風俗の保持という見地からは十分な規制ではないこと及び平成8年の目的規定の改正の経緯を併せて勘案すれば,前記規定は,旅館業の健全な発達という積極目的に基づくものであると解せられる。 イ旅館業法との矛盾抵触の有無本件条例は,建物の構造等の基準を採用している点で旅館業法の規制方法と一部重なっているとしても,同法とは全く別の目的に基づく規律を意図するものであり,かつ,その適用によって旅館業法の規定の意図する目的と効果を阻害するようなことは考えられないから,旅館業法との抵触の問題は生じない。 仮に,本件条例の目的が,旅館業法のそれと重なり合う部分があるとしても,旅館業法は,各地方公共団体の制定する条例が,住民の生活環境の保全等の見地から,同法よりも強度の規制をすることを排斥する趣旨を含むものとは到底解されない。 よって,本件条例が,旅館業法に抵触するといった問題は生じない。 ウ比例原則との関係原告は,本件条例は,旅館業法よりも強度の規制を行うものであるから,それに相応する合理性・必要性が存在し,かつ,規制手段が必要性に比例した相当なものであることが必要であるところ,本件条例にはこれらがなく,比例原則に反する旨を主張する。 しかし,そもそも,本件条例は,旅館業法とは別個の目的を有するものであるから,同法との関係で比例原則を問題とする余地はない。 仮に,旅館業法との関係で比例原則を問題とする余地があったとしても,本件条例によって旅館業法よりも詳細な構造等の基準を設け,規制をすることには,十分な合理性・必要性 比例原則を問題とする余地はない。 仮に,旅館業法との関係で比例原則を問題とする余地があったとしても,本件条例によって旅館業法よりも詳細な構造等の基準を設け,規制をすることには,十分な合理性・必要性が存在する。 (4) 本件中止命令の対象の特定性(争点(2))について(原告の主張)行政処分は,その行為が個人の法律上の地位ないし権利関係に対し,直接に何らかの影響を及ぼすものであるから,かかる行政処分によって制限される権利内容,求められる行為については具体的に特定されていなければならない。 とりわけ,本件条例に基づく建築中止命令は,そのホテル等の建築の中止を命じ,それに従わないときは,その旨の公表及び罰則の適用が予定されている(本件条例10条,13条)ものであるから,その内容が明確に特定されている必要がある。そうすると,本件条例に基づく建築中止命令は,その命じられる内容・範囲が,万人の認識し得る表現形式によって明らかにされなければならず,その対象たるホテル等(建物)を特定することを要することは明らかである。 しかしながら,本件中止命令は,「下記ホテル等の建築の中止を命じます。」とし,ホテルを建築している場所,中止期限を記載しているが,建築中止を求めるホテル等(建物)を特定する記載がない。 被告は,従前の申請建物の内容を知り,また,現在建築中の本件建物についても,それを特定することは,建築計画概要書を閲覧すること等により,容易になし得るのであって,本件中止命令上,何ら建物が特定されていないということは,本件中止命令につき重大かつ明白な瑕疵というべきである。 したがって,本件中止命令は無効であり,仮に重大かつ明白な瑕疵といえなくとも取り消されるべきである。 (被告の主張)原告の主張は争う。 本件中止命令の対象は,その発令当時に原告が建築を行ってい る。 したがって,本件中止命令は無効であり,仮に重大かつ明白な瑕疵といえなくとも取り消されるべきである。 (被告の主張)原告の主張は争う。 本件中止命令の対象は,その発令当時に原告が建築を行っていた建物であることが明らかであり,特定性に欠けるところはない。 (5) 本件条例の差別的適用・運用(争点(3))について(原告の主張)ア原告に対する差別的取扱いの経緯(ア) 原告は,平成14年5月28日,被告に対し,本件条例5条に基づき,当初建物についての同意申請を行った。 これに対し,被告は,同年7月17日,原告に対し,不同意通知をしたが,この中の「同意できない理由」には,以下のような差別的内容が記載されていた。 a 本件条例では,規制対象となる「ホテル等」は,旅館業法において規制されているホテル等をすべて含むと規定されているにもかかわらず,「同意できない理由」には,実際の立法趣旨として「専ら異性を同伴する客に利用させることを目的とするラブホテル等の建物を規制する」と記載され,一部のホテルのみをねらい撃ちする目的で制定されたものであることが記載されていた。 b しかも,「仮に(申請建物が)概ね構造基準に適合するとしても条例第1条の目的,条例第3条の建築主の責務に照らした判断として,同意することができません。」と記載されていた。 c 具体的な理由として列挙された不同意理由①ないし⑧のうち,①ないし⑦においては,「使用される可能性が高く」,「実際に使われない可能性が高く」などといった使用方法の推測・憶測に基づいて,当初建物が本件条例の基準に適合しているか否かが判断されている。 d 不同意理由⑧においては,「申請者(原告)の現在経営している他のホテルは,一般的にラブホテル等といわれる専ら異性を同伴する客が利用する宿泊(休憩を含む。)をさせる形態 るか否かが判断されている。 d 不同意理由⑧においては,「申請者(原告)の現在経営している他のホテルは,一般的にラブホテル等といわれる専ら異性を同伴する客が利用する宿泊(休憩を含む。)をさせる形態のものであることから考えると,本件申請にかかるホテルも……ラブホテル等としての使用のされ方がされる可能性が高く,そうなると実質的には条例第4条の基準に適合するものではなく」とまで記載し,原告の営業を差別する旨明言している。 (イ) 原告は,被告の上記対応に対して強い憤りを感じたが,被告と事を構えることを避け,不同意通知(行政指導)を甘んじて受け入れるしかないと考えた。 そのため,原告は,被告に対し,平成14年7月19日付け「不同意通知後の申請手続きについて」と題する書面を送付して,是正できる客観的な構造について是正し,その上で同意していただきたい旨お願いし,また,同年8月29日,被告に面談を求めて,不同意理由を確認した。原告は,その上で,被告に対し,同年9月14日付け「御通知書」を送り,今後も被告の行政指導を受け,本件条例に適合した建物を建築する所存であること,不同意理由⑧は納得できず,撤回ないし合理的理由を説明してほしいこと,改めて申請手続を求めるのではなく,継続審議としてもらいたいことなどを伝えた。 これに対し,被告は,原告に対し,不同意理由①ないし⑦で指摘した部分のみを解決すれば同意すること,しかし,その場合でも,原告は新たな同意申請をすべきことを回答した。 (ウ) 原告は,これに従うこととし,前記不同意理由①ないし⑦を解決すべく,東郷町役場に何度も足を運び,担当者と協議を重ねた。その結果,修正すべき点はほぼ解消された状態となっため,近日中に改めて同意申請する予定であることを被告担当者に伝えたところ,事前に申請内容について協議を持ちた 何度も足を運び,担当者と協議を重ねた。その結果,修正すべき点はほぼ解消された状態となっため,近日中に改めて同意申請する予定であることを被告担当者に伝えたところ,事前に申請内容について協議を持ちたいとの申入れがあった。 そこで,原告は,平成14年12月11日,被告に面談し,不同意理由①ないし⑦の解決策を説明したところ,被告は,再申請の場合,これら以外にも指導内容があり,それに応じなければ同意しない旨示唆し,同月18日付け「町の指導内容について(回答)」と題する書面が送付されてきた。 (エ) 原告は,やむなく,愛知県条例等に基づいて本件建物を建築することとし,平成15年4月14日,東郷町の担当部署に建築確認申請書類を提出しようとしたところ,担当者は,不当にもこれを拒否した。 そこで,原告は,同月21日,やむなく愛知県尾張建設事務所を訪問し,上記書類の受取を要請し,最終的に,同年6月9日,同事務所へ提出した結果,同年8月8日,建築確認を得ることができた。 イ被告による恣意的,差別的適用・運用の違法性以下のような被告による本件条例の適用・運用が,自己の権限を濫用し,原告に対し,その営業活動を理由に不当な差別をした違法なものであることは明らかである。 (ア) 本来,建物の「構造,設備」というものは,客観的に判断し得るものであり,また判断すべきものである。そもそも,本件条例5条に基づく同意申請は,申請建物の建築前の段階における判断であることから,その建物が,建築後にどのような使われ方をするかは確定しておらず,被告がこれを確実に判断することはできない。したがって,建物の建築後に行われるであろうと被告が推測する営業内容・使用方法に基づいて,「構造・設備」が条例の基準に適合しているか否かを判断することは,予断と偏見に基づいて不当な差別を行うことになり がって,建物の建築後に行われるであろうと被告が推測する営業内容・使用方法に基づいて,「構造・設備」が条例の基準に適合しているか否かを判断することは,予断と偏見に基づいて不当な差別を行うことになり,許されるものではない。 そもそも,本件条例6条は,「町長は,……ホテル等が第4条に規定する構造等の基準に適合していないと認められるときは,……建築について同意することができない。」と定め,4条において,客観的な構造等の基準を定めているところ,東郷町行政手続条例30条1項は,「行政指導にあっては,……いやしくも当該町の機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならない……。」旨規定しているから,被告が行政指導を行い得る事項は,申請に係る建物が本件条例4条の構造等の基準に客観的に適合するか否かに関する事項に限定されなければならない。しかるに,被告は,不同意理由⑧において,客観的な建物の構造とは無関係に,何ら規制対象となっていない「使用方法」の憶測・偏見や原告の営業行為に対する偏見に基づいて不当な行政指導を行ったものであるが,このような権限を本件条例は与えていない。 (イ) 次に,被告は,具体的な不同意理由①ないし④及び⑥において,「開放的なロビー及び玄関まわりとはほど遠い」,「接近しているとはいえない」,「合理的な配置ではない」,「無理なく使える配置,構造とはいえない」,「異質感を感じる」など,およそ不明確な基準に基づく判断をしているが,かかる規定は,本来許される原告の権利を制限するものであるから,抑制的で厳格な考慮が払われなければならない。特に,不同意理由③において,本件条例にない「合理的な配置」,「事務室とフロントが一体になっていること」を挙げているが,そのような要件は,いかに柔軟に解釈をしても出てくることはあり得ない。したがって,被告の行 理由③において,本件条例にない「合理的な配置」,「事務室とフロントが一体になっていること」を挙げているが,そのような要件は,いかに柔軟に解釈をしても出てくることはあり得ない。したがって,被告の行政指導は,裁量権を逸脱するものである。 また,不同意理由②において,「2階部分にある外部避難階段が通常の出入口として使用される可能性も高く」と記載し,避難階段の存在を問題視するといった,およそ現実的でないことを理由に,「玄関ロビー等の共用部分を通り客室に入る構造の基準に適合していない」などと述べるが,そもそも建築基準法施行令121条によれば,ホテル等は,避難階段又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならないとされている。したがって,建築基準法上要求されている避難階段が設置されていることを理由に不同意とするのは,上位法である建築基準法に違反した違法な行政指導である。 (ウ) 行政指導とは,行政庁が一定の目的を達成するため,相手方の任意の履行を期待してなす勧告,説得,啓発などの行為を指すところ,これはあくまで,相手方の任意にまつことを本質としている。したがって,相手方が行政指導に応ずる意思のないことを明確にして,本来の処分を求めているときは,それ以上の行政指導は許されないから,その名の下に,本来の行政処分をすることを留保したり,本来受け取るべき書面の受領を拒否することは違法である。 しかるに,被告は,原告が行政指導に応ずる意思がないことを明確に通知したにもかかわらず,建築同意の不存在を理由に,建築確認申請書類の受取を拒否したものであり,かかる原告の権利行使を妨害する行為は,行政指導にすぎない同意・不同意を,法的効果を有する行政処分と曲解して,本件条例を不当に運用・適用するものにほかならない。 (エ) さらに,原告は,被告の要求のすべてに 告の権利行使を妨害する行為は,行政指導にすぎない同意・不同意を,法的効果を有する行政処分と曲解して,本件条例を不当に運用・適用するものにほかならない。 (エ) さらに,原告は,被告の要求のすべてに応じ,誠実な対応を続けてきたものであるが,被告は,条例の定める構造基準に適合すれば同意するなどと述べながら,実際は,当初の不同意通知書に記載されているとおり,原告の営業活動を不当に差別し,原告の申請する建物は,どのような内容であっても同意することがあり得ないことが明らかになった。 ウ新条例からみた被告の意図被告が,当初建物について一切同意する意思のなかったことは,本件条例の目的・効力をさらに強化すべく,本件条例に代わって制定施行されることになった新条例からも明らかである。 すなわち,新条例2条1項2号は,ラブホテルを「ホテル等のうち専ら異性を同伴する客に利用させることを目的とするものであって,別表第1に定める構造及び設備を有しないもの並びにこれらの構造及び設備を有するものであっても,周囲の環境及び立地条件からみて当該目的に供すると認められるもの」と定義した上,被告が「ラブホテルと認めたとき」は,ホテル建築に同意しない旨規定している(4条1項1号)。つまり,新条例は,規定している構造基準を満たさなくとも,被告が風営法2条6項4号が規定する「店舗型性風俗特殊営業」と同様の目的を有していると考えるものについては,一切同意しない旨を明らかにし,営業内容による差別を行うことを当然の前提としている。 エ違法性の承継被告は,当初建物と本件建物とは同一性がなく,後者は同意申請すらなされていないから,前者についての不同意の判断や行政指導の違法性は,本件中止命令に承継されない旨主張する。 しかしながら,被告は,平成14年7月17日の不同意の判断(指導)により 後者は同意申請すらなされていないから,前者についての不同意の判断や行政指導の違法性は,本件中止命令に承継されない旨主張する。 しかしながら,被告は,平成14年7月17日の不同意の判断(指導)により,当初建物についての手続はすべて終了したものであるとして,原告に対して再度の同意申請を要求していたものであり,これが存在しないことを理由に本件中止命令を発するのは,本件条例の適用権者であることを悪用して,原告の建築,営業行為を制限ないし妨害するものであって,権利の濫用に当たる。 すなわち,被告は,原告が再申請する際に考慮すべき事項は,当初建物の不同意の通知書に記載された7項目であると回答したため,原告は,これらの修正を行えば,同意が得られるとの強い期待・信頼を抱き,改善に努力してきたが,改善策が具体化するや,被告は,上記7項目以外にも指導事項があり,それらを踏まえて再申請の適否を判断する旨通知してきた。かかる行為は,被告の言を信じて誠実に対応してきた原告の信頼を裏切る不当なものである。 被告は,本件建物については,同意申請が行われていない旨主張するが,そもそも本件建物について再申請しても,上記の対応に照らすと,同意を得ることはあり得なかったことが明らかである。このように同意する意思がないにもかかわらず,原告に対し,申請することを要求するのは,信義則に反するものであり,手続的に同意申請がないことを理由に本件中止命令を発するのは,権利を濫用するものである。 そもそも,被告の不同意の判断や行政指導などの一連の手続は,当初建物に関するものと本件建物に関するものとに明確に2分することはできず,前者にどれだけ違法性があろうとも,後者について全く不問に付されるというのは,あまりに不当であり,かかる主張は,信義則に反する。 (被告の主張)原告の主張は争う ものとに明確に2分することはできず,前者にどれだけ違法性があろうとも,後者について全く不問に付されるというのは,あまりに不当であり,かかる主張は,信義則に反する。 (被告の主張)原告の主張は争う。 ア恣意的,差別的適用・運用の不存在(ア) 本件条例5条に基づく不同意の性質原告は,本件条例5条に基づく同意,不同意の判断・通知が行政指導であることを前提として,その適用・運用が違法である旨主張する。 しかし,本件条例は,ホテル等の建築主に対し,あらかじめ町長の同意を得なければならないことを要求し,その違反者は10条1項1号に基づいて中止命令の対象となり得,同命令が発令された場合には,その対象者は,ホテル等の建築をしてはならない行政上の義務を負うとともに,その違反には13条1項に基づく刑罰が課せられる。 このような規定にかんがみれば,同意,不同意は,直接的には対象者の権利義務関係に法的効果を及ぼさない点で,講学上の行政行為とはいい難いものの,これに準ずる行為であると解される。少なくとも,対象者に対して,何らかの作為・不作為を求めるものではないから,行政指導ではなく,したがって,これを前提とした原告の主張は失当である。 (イ) 行政指導と法律の根拠次に,原告は,被告が行政指導を行い得る事項は,本件条例4条の構造等の基準に適合するか否かの点に限定されるべきである旨主張するが,行政指導は,行政機関が,行政需要の変動に機敏に順応し,臨機応変の対応措置を展開するために認められたもので,必ずしもその内容について法律の根拠が必要なものではない。したがって,法律の根拠がないことのみを理由として,行政指導の適法性を論難する原告の主張は失当である。 (ウ) 被告による不同意通知の理由a 原告は,平成14年7月17日付け不同意通知の理由中に,「使用される可 の根拠がないことのみを理由として,行政指導の適法性を論難する原告の主張は失当である。 (ウ) 被告による不同意通知の理由a 原告は,平成14年7月17日付け不同意通知の理由中に,「使用される可能性が高く」,「実際に使われない可能性が高く」などの文言があることを問題としている。しかし,本件条例4条は,「営業時間中必ず通過し」,「開放的に客等と応接できる」,「客等が,玄関,ロビー等の共用部分を通り」などのように,完成後の建物の利用方法,態様についても基準の中に取り入れている。また,同条は,「フロント又は帳場」,「食堂,レストラン又は喫茶室」などといった施設,設備を備えることも基準として要求しているが,施設や設備は,一定の目的のために供されるものであるから,その認定に当たっては,その施設・設備としての実質を有しているかを判断することになり,その際に,建物完成後の利用形態についての検討がなされるのは当然である。したがって,被告が,不同意通知の理由の中で,完成後の当初建物の利用実態等について検討を加えたとしても,何ら本件条例の適用を誤ったものとはいえない。 b 原告は,不同意理由⑧を問題とするが,これは独立,個別の不同意事由ではなく,不同意理由①ないし⑦を理由付ける補完的事情,すなわち,申請建物の利用のされ方を推認させる間接事実の趣旨で記載したにすぎず,このことは,原告にも説明済みである。 c 原告は,不明確な基準に基づいて不同意の判断をしていると主張するが,その理由の内容を読めば明らかなとおり,被告は十分かつ合理的な根拠をもって,そこに記載された事実を認定したものであり,何ら不明確なところはない。特に,不同意理由③については,「フロント」や「帳場」というようなものは,建物の構造というより,一定の目的のために供される設備であるから,その認 事実を認定したものであり,何ら不明確なところはない。特に,不同意理由③については,「フロント」や「帳場」というようなものは,建物の構造というより,一定の目的のために供される設備であるから,その認定に当たっては,その実質を有しているか否かも判断されるべきであり,原告が条例にない文言として指摘する「合理的な配置」等は,その文脈から明らかなように,フロントの実質を有していないことを示す間接事実の一つとして記載したにすぎない。 d 原告は,不同意理由②が建築基準法施行令121条に反すると主張する。しかし,これも,客等が玄関,ロビー等の共用部分を通って客室に入る構造になっているか否かの判断において,否定に傾く間接事実の一つとして問題としたにすぎず,2階部分に外部避難階段が設置してあること自体を不同意の理由としたわけではないから,上記主張は失当である。 イ違法性の承継の欠如原告が平成14年5月28日に被告に対して行った同意申請は,当初建物の建築についてのものであり,不同意通知の判断はもちろん,行政指導もこれを対象として行われたのに対し,本件中止命令の対象は本件建物である。 ところで,本件建物は,当初建物と比較して,1人用客室や会議室等がなく,食堂等が所定の面積を有しないなどの差異があり,両者は全く別個の建物といわざるを得ない。しかして,被告がした不同意の判断やその後の行政指導の対象は,当初建物であり,本件建物については,本件条例の定める構造等の基準に明らかに抵触する(原告も自認している。)上,被告に対する同意申請すらなされていない。そうすると,上記の不同意の判断や行政指導と本件中止命令とは,手続上,連続性を有しないことは明らかであるから,仮に前者の過程に何らかの瑕疵があったとしても,後者に承継される余地はない。 第3 争点に対する当裁判所の判 同意の判断や行政指導と本件中止命令とは,手続上,連続性を有しないことは明らかであるから,仮に前者の過程に何らかの瑕疵があったとしても,後者に承継される余地はない。 第3 争点に対する当裁判所の判断 1 本件条例の有効性(争点(1))について(1) 職業選択の自由について憲法22条1項は,「何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。」と定めているところ,職業選択の自由を保障するという中には,広く一般に,いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含していると解される(最高裁判所昭和47年11月22日大法廷判決・刑集26巻9号586頁,同裁判所昭和50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁参照)。もっとも,狭義の職業選択の自由,すなわち自己の従事すべき職業を決定する自由は,人間が自らの意思でその能力発揮の場を選択するものとして,いかなる社会体制にあっても普遍的に保障されるべき自由権に属すると考えられるのに対し,営業活動の自由は,憲法29条の定める財産権の保障にも根拠を有する経済的自由権の性格が強いと考えられる。 そして,職業選択の自由が公共の福祉による制約を受け得ることは,前記のとおりであるところ,憲法12条,13条の「公共の福祉」が,権利自体の内在的制約ないし人権相互間の調整原理として理解されるのに対し,憲法22条,29条のそれは,社会国家的見地から,その理念を実現するための政策的制約をも内容とすると考えられる。 そうすると,本件で問題となっているホテル経営についても,公共の福祉の実現という観点から一定の制約を受けると解することは,憲法22条に何ら反するものとはいえない上,その制約の程度についても,必ずしも内在的制約ないし人権相互間の調整の範囲にとどまることが求められているわけではなく,社会国家的見地か けると解することは,憲法22条に何ら反するものとはいえない上,その制約の程度についても,必ずしも内在的制約ないし人権相互間の調整の範囲にとどまることが求められているわけではなく,社会国家的見地からする積極的,政策的なものであっても,その規制の程度が,その目的を達成するために合理的な関連性を有する範囲内である限り,許容されると解することができる。とりわけ,性的な営みを行う場所を提供することを目的とするラブホテル経営については,そのような利用客の出入り自体が周辺の生活環境,教育環境に悪影響を与え得るものと考えられる上,かかる場所における性犯罪等の発生の可能性も無視できないなど,公共の福祉の観点からする規制の必要性が高いことは否定できない。 したがって,これらに対する規制は,それが合理的と解される範囲内である限り,憲法上の問題を生ずることはないというべきところ,後掲(6)で判示するとおり,本件条例が憲法22条,29条に違反するとはいえない。 (2) 条例制定権及びその限界について憲法94条は,「地方公共団体は,……法律の範囲内で条例を制定することができる。」と定めているところ,地方自治法14条1項も,「普通地方公共団体は,法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し,条例を制定することができる。」と規定して,その趣旨を確認している。 ところで,地方公共団体の定める条例が,国の法令よりも厳しい規制を行う「上乗せ条例」であったり,その規制対象以外の事項について規制を行う「横出し条例」であることが許されるかについては,両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾抵触があるかどうかによって判断されるべきものであって,特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも, するのみでなく,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾抵触があるかどうかによって判断されるべきものであって,特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも,後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり,その適用によって前者の規定の意図する目的と効果を何ら阻害することがないときや,両者が同一の目的に出たものであっても,国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく,それぞれの普通地方公共団体において,その地方の実情に応じて,別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは,国の法令と条例との間には何ら矛盾抵触はなく,条例が国の法令に違反する問題は生じないと解される(最高裁判所昭和50年9月10日大法廷判決・刑集29巻8号489頁参照)。 (3) 風営法の趣旨,目的,規制手法についてア風営法の前身である「風俗営業取締法」(昭和23年法律第122号。なお,昭和34年の改正により,「風俗営業等取締法」と改称された。以下,昭和59年法律第76号による改正前のそれを「旧法」という。)は,制定当初,①待合,料理店,カフェーその他客席で客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業,②キャバレー,ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業,③玉突場,まあじゃん屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業の3業種を対象に,公安委員会にその営業許可(取消し,停止)権限を与えることによって警察規制を行うことを定めていた。 その後,風俗営業が多様化し,また新たな形態の風俗営業が出現する事態に対応すべく,数次にわたる改正によって風営法の規制対象が徐々に増加した(例えば,昭和29年法律第95号により,ぱちんこ屋を風俗営業として明記し,昭和3 化し,また新たな形態の風俗営業が出現する事態に対応すべく,数次にわたる改正によって風営法の規制対象が徐々に増加した(例えば,昭和29年法律第95号により,ぱちんこ屋を風俗営業として明記し,昭和34年法律第2号により,低照度飲食店及び区画席飲食店を風俗営業に追加し,昭和41年法律第91号により,個室付き浴場業,興行場営業が規制対象となり,昭和59年法律第76号により,ゲームセンター等が規制対象に追加されている。もっとも,玉突場については,昭和30年法律第76号によって,規制対象から外されている。)。 ところで,欧米諸国において自動車旅行者の宿泊所として発達したモーテルが,我が国においては,専ら異性を同伴する客に利用させる特殊な業態として増加してきたことから,これによるけばけばしい広告や利用客によって醸し出される特殊な雰囲気等によって,地域住民の静穏な住環境,教育環境に悪影響を与えることが指摘されるようになったため,昭和47年法律第91号により,モーテル営業が規制対象とされるに至った。すなわち,規制の対象を「個室に自動車の車庫が個個に接続する施設であって総理府令で定めるものを設け,当該施設を異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。)に利用させる営業」と定義した上,これが営まれることにより清浄な風俗環境が害されることを防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定める地域においては,営むことができないと定めた(旧法4条の6)。これを受けた「モーテル営業の施設を定める総理府令」(昭和47年総理府令第53号)は,上記構造設備として,①個室に接続する車庫(2以上の側壁(カーテン,ついたて等を含む。)及び屋根を有するものに限る。以下同じ。)の出入口がとびら等によってしゃへいできるもの,②車庫の内部から個室に通ずる専用の人の出入口又は階段若しくは昇降 2以上の側壁(カーテン,ついたて等を含む。)及び屋根を有するものに限る。以下同じ。)の出入口がとびら等によってしゃへいできるもの,②車庫の内部から個室に通ずる専用の人の出入口又は階段若しくは昇降機が設けられているもの,③個室と車庫とが専用の通路によって接続しているものにあっては,当該通路の内部が外部から見られないもの,以上のいずれかに該当するものと定義していた。 イしかしながら,その後は,旧法の実質的改正がなされず,他方,旧法によるモーテルの規制を潜脱する類似モーテルやラブホテル,レンタルルーム等の出現により,住環境,教育環境が悪化する事態が生じたことから,各地の地方公共団体は,「ラブホテル(建築)規制条例」や「モーテル類似施設規制条例」などの名称で,その建築や営業に種々の規制を加えるようになった。 このような動きを反映して,国としても,新たに出現した性風俗産業を含めて規制対象の範囲を拡大し,風俗関連営業として規制を強化すべく,昭和59年法律第76号による改正に至った。具体的には,まず,旧法にはなかった目的規定を置き,「この法律は,善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため,風俗営業及び風俗関連営業等について,営業時間,営業区域等を制限し,及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに,風俗営業の健全化に資するため,その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。」と規定した(1条)。 また,風俗関連営業(その後,平成10年法律第55号によって,「店舗型性風俗特殊営業」とし,新たに規制対象とした「無店舗型性風俗特殊営業」と「映像送信型性風俗特殊営業」とを併せて「性風俗関連特殊営業」と呼ぶことになった。)として,5つの営業を挙げているが,その3号は,「専ら異性 業」とし,新たに規制対象とした「無店舗型性風俗特殊営業」と「映像送信型性風俗特殊営業」とを併せて「性風俗関連特殊営業」と呼ぶことになった。)として,5つの営業を挙げているが,その3号は,「専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。以下この号において同じ。)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)を設け,当該施設を当該宿泊に利用させる営業」として定義した(2条4項。現行の風営法では,店舗型性風俗特殊営業として,2条6項4号に定義されている。)。そして,前記(第2の2(4))のとおり,風営法施行令(昭和59年政令第319号)3条は風営法2条6項4号の施設について,4条は同項5号の物品について,それぞれ定義しているが,これらは,当時のラブホテル営業の実態にかんがみ,性的好奇心を高めるための施設,物品が掲げられている。 その上で,風営法は,公安委員会への届出制を採用する(27条)とともに,一定の施設の周囲200メートルの区域内での営業や,都道府県が条例で定めた地域内での営業を禁止し(28条1,2項),また,都道府県が条例で営業時間を制限することを認め(同条4項),広告宣伝の方法についても規制を加えている(同条5項)。これを受けて,風営法施行令6条3号は,「制限地域の指定は,風俗営業の種類及び営業の態様,地域の特性……その他の事情に応じて,良好な風俗環境を保全するために必要な最小限度のものであること」と定めているところ,愛知県風営法施行条例12条は,風営法2条6項4号に係る営業のうち,個室に自動車の車庫が個個に接続する施設であって,個室に接続する車庫の出入口が扉等によって遮へいできる構造設備,車庫の内部から個室に通ずる専用の人の出入口若しくは階段若しくは昇降機が設けられている構造設備又は個室と車庫 個に接続する施設であって,個室に接続する車庫の出入口が扉等によって遮へいできる構造設備,車庫の内部から個室に通ずる専用の人の出入口若しくは階段若しくは昇降機が設けられている構造設備又は個室と車庫とが専用の通路によって接続しているものにあっては当該通路の内部が外部から見えない構造設備を有するものについては,県の全域で禁止し,かかる構造設備を有しないものについては,商業地域及び名古屋市の一部を除き禁止している。そして,これらに反する行為があったときは,公安委員会は,営業の停止等を命ずることができる(30条)ほか,罰則の対象としている(49条)。 なお,風俗営業については公安委員会の許可制を採用しているのに,風俗関連営業(現在の性風俗関連特殊営業)が届出制とされたのは,前者に比較して後者の弊害が小さいと考えられたからではなく,後者は,専ら性を商品化して営業の対象とするものであって,国が公的に許可し,適切な指導監督によって健全な営業として育成する対象とするのになじまないことから,営業自体は届出制をとって実態を把握しつつ,他方で強力な規制を施して監視し,これに違反する行為に厳しい制裁を加えるという立法態度を取ったためである。 (4) 本件条例の趣旨,目的,規制手法についてア本件条例は,「……ホテル等の建築の適正化に関し必要な事項を定めることにより,町民の快適で良好な生活環境を保持し,併せて青少年の健全な育成を図ることを目的とする」ものである(1条)。 これを敷えんするに,本件条例は,ホテルや旅館等の建築全般の適正化を図るとの建前を取っているものの,後記のとおり,その内容に照らすと,その主たる目的は,東郷町における現状や将来的な展望にかんがみ,自然と調和の取れた生活環境,教育環境を維持すべく,これの妨げとなると考えられたラブホテル等のこれ以上 記のとおり,その内容に照らすと,その主たる目的は,東郷町における現状や将来的な展望にかんがみ,自然と調和の取れた生活環境,教育環境を維持すべく,これの妨げとなると考えられたラブホテル等のこれ以上の出現を抑制することにあり,かかる目的実現のために制定されたことが明らかである。 イ本件条例の規制の手法は,ホテルを建築しようとする者は,あらかじめ町長の同意を得なければならないものとし(5条),町長は,4条の定める構造等の基準に適合しないと認めるときは,建築に同意できないものとすることにより(6条),建築そのものについて規制を加えるものである。 そして,建物の構造等については,ラブホテルが,専ら性的営みを行う場所を提供するものであり,できる限り他人との接触を避けたいとの利用者の希望に沿った構造を有することにかんがみ,通常のホテルは備えているものの,ラブホテルとしての営業には支障となると考えられる設備,具体的には,外部から内部を見通すことのできる玄関(4条1項1号),玄関に近接した場所のロビー,応接室,談話室(2号。本件施行規則2条1項1号により,その床面積が定められている。),ロビーと一体化した応接用フロント,帳場(3号。本件施行規則2条1項2号により,その受付台の規模が定められている。),食堂,レストラン,喫茶室及びこれらに付随する調理室,配膳室(4号,本件施行規則2条1項3号により,その床面積が定められている。),会議室,宴会場,催物会場(5号。本件施行規則2条1項4号により,その床面積が定められている。),共用部分付近の便所,洗面所(6号),玄関,ロビー等を通って客室に入る構造(7号),本件施行規則で定める定員別の客室構成(8号。本件施行規則2条2項により,床面積15平方メートル以下のシングルルームが客室総数の3分の1以上と定められ 玄関,ロビー等を通って客室に入る構造(7号),本件施行規則で定める定員別の客室構成(8号。本件施行規則2条2項により,床面積15平方メートル以下のシングルルームが客室総数の3分の1以上と定められている。),住環境を損なわない建築物,広告物等の形態,意匠,色彩(9号)を要求することにより,実質的にラブホテルの建築を抑制しようというものである。 ウなお,東郷町においては,平成16年3月,本件条例を廃止した上,新条例(東郷町ラブホテル等建築規制条例)が制定,公布されているところ,新条例は,「……東郷町における町づくりの基本姿勢及び青少年の健全育成の観点から,ラブホテルの営業を行う施設の建築等に対し必要な規制を行うことにより,良好な生活環境を維持形成するとともに,青少年の健全育成に資することを目的とする」ものである(1条)。 その規制手法は,ホテル等の建築をしようとする者は,所定の手続を開始する前に,あらかじめ町長の同意を得なければならないものとし(3条),町長は,①当該建物がラブホテル(2条1項2号により,専ら異性を同伴する客に利用させることを目的とするものであって,別表第1に定める構造及び設備を有しないもの並びにこれらの構造及び設備を有するものであっても,周囲の環境及び立地条件からみて当該目的に供すると認められるもの)と認めたとき,②ホテル等を建築しようとする場所が別表第2に該当するときのいずれかに該当するときは,同意しないものとし,③ホテル等を建築しようとする場所が別表第2以外であるときも,隣接土地権利者の全員及び周囲300メートル以内の住民の3分の2以上が承諾していることを証する書面の提出を受けなければ,同意できないとされている(4条)。そして,別表第1には,本件施行規則と比較して,シングルルームの床面積が18平方メートル以下と緩 民の3分の2以上が承諾していることを証する書面の提出を受けなければ,同意できないとされている(4条)。そして,別表第1には,本件施行規則と比較して,シングルルームの床面積が18平方メートル以下と緩和されているものもあるが,ダブルベッドを備えた客室数の上限とか,窓ガラス,駐車場などについても要件を置いており,全体的に,本件条例,本件施行規則よりも規制が強化されている。 (5) 本件条例と風営法との矛盾抵触について以上を前提として,本件条例と風営法との矛盾抵触の有無について判断する。 アまず,風営法と本件条例の目的について検討するに,前者は,①「善良の風俗と清浄な風俗環境」の保持と,②「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止」するためのものであり,後者は,(a)「快適で良好な生活環境を保持」と,(b)「青少年の健全な育成を図る」ものであるところ,①と(a),②と(b)は,若干の表現の違いはあれ,その趣旨においてほぼ重なるものというべきである。 イ次に,規制の対象について検討するに,風営法は,「専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。……)の用に供する政令で定める施設(中略)を設け,当該施設を当該宿泊に利用させる営業」(2条6項4号),すなわちラブホテル営業を対象とし,本件条例は,旅館業法2条2項,3項に定めるホテル等営業の用に供することを目的とする施設全体を対象とするが,建築不同意となるのは,このうち,4条の基準を満たさない(満たした場合,実質的にラブホテル等としての営業に支障を生ずる)ラブホテルである。 そうすると,両者の規制対象は,「営業」と「施設」という点において異なっており,かつ風営法の規制対象となるのは,種々の形態のうち,性的な好奇心を高める設備等を有する典型的なものに限られるという違いはあるものの,いずれも実質的にラブ 業」と「施設」という点において異なっており,かつ風営法の規制対象となるのは,種々の形態のうち,性的な好奇心を高める設備等を有する典型的なものに限られるという違いはあるものの,いずれも実質的にラブホテルを規制対象とする点でかなり重なっていると解することができる。 このことは,本件条例が制定されるに至った経緯や,本件条例の実質的な後継法令である新条例の趣旨,目的,内容によっても裏付けられるというべきである。 ウさらに,規制の手法について,風営法は,公安委員会への届出によって営業することを認める一方,営業禁止区域等や禁止行為などを定め,これを遵守しない場合には,罰則や営業停止等の制裁を加えるという方法を採用しているのに対し,本件条例は,一定の基準(一般のホテルは備えるが,ラブホテルでは営業の支障となるような構造)を満たさない施設の建築に同意を与えず,これに反して建築しようとする者に対しては,公表や罰則によって強制力を担保している建築中止等の命令を発令するという方式を採用している。 このように,風営法が,性風俗関連特殊営業の性格上,専ら事後的な規制手法を採用しているのに対し,本件条例は,施設の建築という営業前の段階における規制手法を採用している点で両者の規制手法はかなり異なっているといえる。例えば,既存の建物を利用してラブホテル営業を行おうとする者に対しては,本件条例によって何らの規制も及ぼすことはできない。もっとも,新たにラブホテル営業を開始しようとする者は,これに適した施設の建築を計画するのが通常であろうから,実質的に重なる部分もあることは否定できない。 エところで,広義の風俗営業なかんずく性風俗関連営業は,決して固定的なものではなく,時代の変遷によりあるいは地域的な事情によってその形態が変化し,あるいは新たな業種が出現してきたことは できない。 エところで,広義の風俗営業なかんずく性風俗関連営業は,決して固定的なものではなく,時代の変遷によりあるいは地域的な事情によってその形態が変化し,あるいは新たな業種が出現してきたことは公知の事実である。本件で問題となっているようなラブホテル経営についても,風営法及び同法施行令は,誰が見てもラブホテルであることにつき疑いを容れない性的な好奇心を高める設備等を有するものを規制対象としているが,実際には,そのようなものを備えた形態でのラブホテル経営は必ずしも多くなく,風営法施行令が想定していない有線放送,ビデオデッキ,カラオケ等の娯楽設備を備えているものが多いといわれている(乙5)。 このような事態に対し,風営法がどのような立法態度を取っているかについては,風営法自体が,過去において,規制の対象を順次増加させてきたことなどにかんがみると,基本的には従来の規定では規制の及ばなかった新たな形態の性風俗営業が出現した場合には,これを規制の対象に取り込む必要があると考えていることが明らかである。ラブホテル経営に関していえば,上記のような性的好奇心を高める設備を有しなくとも,異性を伴う客の出入り自体によって,周辺の生活環境,教育環境に悪影響を与えることは否定できないが,現実には,法律改正は,社会における新現象の出現に遅れがちであることは,その性質上,避けられないことであって,法律改正が完了するまでの間,これについては何らの規制を加えるべきでないというのが風営法の趣旨であると解することはできない。 オ他方,普通地方公共団体は,地方自治法上,地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する(2条2項)が,とりわけ,市町村は,基礎的な地方公共団体として,都道府県が処理するとされているもの以外 おける事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する(2条2項)が,とりわけ,市町村は,基礎的な地方公共団体として,都道府県が処理するとされているもの以外の事務を処理するとされている(同条3項)。そして,具体的な事務内容について,「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号)による改正前においては,地方自治法2条3項に例示されていたところ,その1号には,「地方公共の秩序を維持し,住民及び滞在者の安全,健康及び福祉を維持すること」が,さらに7号には,「……風俗又は清潔を汚す行為の制限その他環境の整備保全,保健衛生及び風俗のじゅん化に関する事項を処理すること」が挙げられていた。そうすると,もともと,市町村などの地方公共団体が,その地域の実情に応じ,生活環境,教育環境等に悪影響を及ぼすおそれのある風俗営業に対して適切な規制を講ずることは,本来的な公共事務(固有事務)と観念されていたと考えられる。 カ以上を総合すると,風営法と本件条例とは,その目的及び規制対象についてはほぼ共通し,規制手法についてはかなりの程度異なる反面,重なる部分も存在しているものの,風営法は,それが規制の最大限であって,条例による上乗せ規制,横出し規制を一切許さない趣旨であるとまではいえず,かえって,地域の実情に応じた風俗営業への規制を行うことにより,良好な生活環境,教育環境の維持,発展を図ることが地方公共団体の本来的な責務であると考えられることに照らせば,本件条例が,風営法の規制の対象外となっている前記の性的好奇心を高める設備等を有しないラブホテル等をも規制の対象としているからといって,風営法の趣旨に反するとまではいえないと判断するのが相当である。 (6) 本件条例の規制と比例原則につい る前記の性的好奇心を高める設備等を有しないラブホテル等をも規制の対象としているからといって,風営法の趣旨に反するとまではいえないと判断するのが相当である。 (6) 本件条例の規制と比例原則についてこの点について,原告は,条例によって風営法が定める構造基準よりも強度の規制を行うためには,それが必要最小限度の規制であることを要するところ,本件条例はかかる比例原則に違反する旨主張する。 しかしながら,憲法上,営業の自由が保障されているとはいえ,あくまでも公共の福祉に適合する必要があるところ,証拠(乙1,2,19,21)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 ア東郷町は,名古屋市の東方向やや南寄りに位置し,西側において同市緑区に,北側において日進市に,東側において愛知郡三好町に,南側において豊明市にそれぞれ接している。そして,町内の中央部付近を国道153号線が走るほか,県道名古屋岡崎線,同瀬戸大府東海線,同豊田東郷線などが走り,また,東名高速道路三好インターチェンジからも約10分程度の距離にあって,名古屋市,豊田市などの都市部へのアクセスは良好である。 なお,人口は,漸増しつつあり,4万人に近づいている。 イ東郷町は,全体的に起伏の多い緑の丘陵地帯から成り,その北東端には,長野県王滝村の牧尾ダムを水源とする愛知池が存在し,さらにここを源として南西方向に愛知用水が流れているほか,同町の南側境界に沿って,境川が流れており,流域は緑地公園として整備されている。このように,同町は,自然環境に恵まれ,愛知池にて第49回国民体育大会夏季大会漕艇競技が開催されたのを契機に,「水と緑とボートのまち」の標語をもって全国に発信しようとしている。 もともと,同町は,田畑や林の広がる典型的な田園地帯であったが,昨今は,名古屋市を中心とする勤労者ら 競技が開催されたのを契機に,「水と緑とボートのまち」の標語をもって全国に発信しようとしている。 もともと,同町は,田畑や林の広がる典型的な田園地帯であったが,昨今は,名古屋市を中心とする勤労者らのベッドタウンとしての性格を強めており,市街化区域(町全体の28.6パーセント)のうち圧倒的多数が住宅関連地域に指定されており,商業関連,工業関連の地域として指定されたのは,わずかな面積にすぎない。 ウ東郷町においては,①昭和45年ころ,②昭和46年ころ,③昭和57年ころに,それぞれワンルーム・ワンガレージ形式のモーテルが建築され(①は平成3年ころ,②は平成10年ころに,ホテル形式に変更された。),実質的なラブホテルとして経営が行われてきたところ,平成5,6年ころ,さらに上記三好インターチェンジからの幹線道路である上伊保知立バイパス付近の諸輪地区において,ラブホテルの建設が始まり,生活環境等の悪化を憂慮する周辺住民らの反対運動にもかかわらず,営業が開始されたことから,それ以上の建築を抑止すべく,平成6年12月の町議会において,本件条例が成立した。 なお,同町議会における審議では,議員から,遅きに失したとの意見とともに,地域指定や定義された構造などに関連して,規制が実効性を有するかとの懸念が表明されたが,町当局からは,風営法や旅館業法などに比べて構造等の基準を強化しており,実効性を有すると考えているとの答弁がなされている。 上記認定事実によれば,東郷町は,町内全域が田園的雰囲気を残し,宅地化された地域も,生活のための居住空間がほとんどであって,都会化された地域と比較して,性的な営みの場所を提供することを目的とするラブホテルの存在による生活環境,教育環境への悪影響は相当なものがあると推認できることに照らすと,東郷町が,その全域において,良好な生 れた地域と比較して,性的な営みの場所を提供することを目的とするラブホテルの存在による生活環境,教育環境への悪影響は相当なものがあると推認できることに照らすと,東郷町が,その全域において,良好な生活環境,教育環境を維持すべく,ラブホテル経営に用いるのに適した建物の建築を抑制することを企図して,本件条例を定めたことには相応の合理性があるといわざるを得ない。 そして,本件条例は,前記のとおり,ラブホテル等の顧客ができる限り他の者との接触を避けて密室的構造の客室を利用したいとの希望を有することに着目し,そのような希望に沿わない,いわば通常のホテル等が有する構造でない限り,建築について同意しないという規制手法を採用することによって,間接的にラブホテル等の建築を抑制しようとするものであるが,もとより本件条例の定める構造基準を満たすホテル等を,あえてラブホテル等として使用すること,すなわち性的な営みをする場所として提供すること自体を禁ずるものでなく,また,既存の建物をラブホテル等として利用することも禁ずるものでないことを考慮すると,その規制の手法,内容が比例原則に反するとまではいえない。 (7) 本件条例と旅館業法について旅館業法1条は,「この法律は,旅館業の業務の適正な運営を確保すること等により,旅館業の健全な発達を図るとともに,旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し,もつて公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。」旨定め,その規制手法として,旅館業を経営しようとする者は,都道府県知事(又はこれに代わる市長,区長)の許可を受けなければならないとする(3条)ほか,安全及び衛生の水準の維持・向上,サービスの向上などについての営業者の責務(3条の4),宿泊者の衛生に必要な措置を講ずる義務(4条 代わる市長,区長)の許可を受けなければならないとする(3条)ほか,安全及び衛生の水準の維持・向上,サービスの向上などについての営業者の責務(3条の4),宿泊者の衛生に必要な措置を講ずる義務(4条),宿泊をさせる義務(5条),宿泊者名簿を備え,官吏等の求めがあったときに提出する義務(6条)を定め,さらに都道府県知事に対し,報告要求・立入検査権(7条),構造設備に関する必要な措置をとるべき旨の命令権(7条の2),営業者が違反行為を行った場合に,営業許可を取り消し又は停止を命ずる権利(8条)を与え,さらに一定の行為に対して罰則を加えることにしている(10条以下)。 ところで,平成8年法律第91号による改正前の旅館業法は,その目的に,善良な風俗が害されることがないように必要な規制を加えることを挙げていたため,風営法や本件条例と共通する部分が存在したことは否定できないが,上記改正によって,その目的は,利用者の需要に対応したサービスの提供を促進することによって公衆衛生や国民生活の向上を図るものとされ,善良な風俗の確保という観点が後退したことから,上記の共通する部分は解消されたと解するのが相当である。現に,その規制内容は,宿泊者の安全及び衛生の確保を目的とするものが中心を占め,善良,静穏な風俗環境の確保を目的とするものはほとんど存在しない(わずかに8条各号がこれに関する規定を置いているにすぎない。)。 そうすると,旅館業法が,ラブホテル経営ないしこれに用いられる建物の建築について,同法に定める以上の規制を禁止する趣旨のものであると解することはできない。 (8) 本件条例の規制内容の明確性について本件条例4条1項8号ただし書,本件施行規則2条3項は,町長が「専ら飲食,湯治,団体宿泊その他これらに類するものの用に供することを目的とするもので,その形 (8) 本件条例の規制内容の明確性について本件条例4条1項8号ただし書,本件施行規則2条3項は,町長が「専ら飲食,湯治,団体宿泊その他これらに類するものの用に供することを目的とするもので,その形態等が町民の快適で良好な生活環境の保持及び青少年の健全な育成を阻害するおそれがない」と認めたときは,本件施行規則2条2項が定めるシングルルームの割合に関する基準が適用されない旨定めているところ,原告は,これらの規定は被告がラブホテルと考えるものについて規制を行うという恣意的な扱いを許すものである旨主張する。 なるほど,上記の規定は,ラブホテルとは認められないものについては,客室割合に関する規制を外す趣旨のものと考えられるが,前記のとおり,そもそも,本件条例の目的が,地域における良好な生活環境,教育環境を保全すべく,これに悪影響を与えかねないラブホテル経営に用いられる建物の建築を阻止することにある(これが相応の合理性を有することは上記のとおりである。)以上,ラブホテル経営に用いられないと判断されるものについて,規制を外すことは当然のことと考えられるから,これをもって被告による恣意的な扱いを許すものとはいえない。 さらに,原告は,本件条例4条は,構造等の基準として,「見通すことができる」,「ロビー等と一体的で開放的」,「都市景観上の配慮」など,受け止め方によって異なる内容が定められていることから,判断の客観性が担保されていない旨主張するところ,これらは,一般のホテルと,できる限り利用者とそれ以外の者との接触を避ける構造となっているラブホテルとを区別しようとするものであって,社会通念上,必ずしも判断が困難とは考えられない上,本件施行規則,本件指導基準によって,さらに基準の具体化が図られていることをも考慮すれば,要件が明確性を欠き,客観的な判断が担保 するものであって,社会通念上,必ずしも判断が困難とは考えられない上,本件施行規則,本件指導基準によって,さらに基準の具体化が図られていることをも考慮すれば,要件が明確性を欠き,客観的な判断が担保されないとまではいえない。 (9) 小括よって,本件条例は,憲法22条,風営法,旅館業法のいずれの観点からも,矛盾抵触しているとまでは解されず,また,その規制内容も不明確であるとはいえないから,結局,無効なものではないと解するのが相当である。 2 本件中止命令の特定性(争点(2))について原告は,本件中止命令は,ホテルを建築している場所及び中止期限を記載しているものの,そのホテル自体を特定する記載がないから,同命令は無効である旨主張する。 一般に,行政処分は,これにより国民に対して直接権利義務を形成し,あるいはその範囲を確定するものである(行特法1条に関する最高裁判所昭和30年2月24日第一小法廷判決・民集9巻2号217頁,同裁判所昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁等参照)から,当該行政処分自体によって,その内容が明確であることが求められ,これが不明確である場合には,無効の瑕疵を有するといわざるを得ない。 しかしながら,原告も自認するとおり,本件中止命令は,建築場所が特定されており,そこにおいて原告が同命令発令時に建築しようとしているホテルを対象とするものであることが明らかであるから,ホテル自体について,その構造,規模等に関する記載がないとしても,その内容が不明確であって特定を欠くとはいえない。したがって,本件中止命令に瑕疵があるとはいえない。 3 本件条例の差別的適用(争点(3))について(1) 前記前提事実(2)に証拠(甲2,5,6,7の1ないし12,8,9,10の1・2,11ないし14,15の1・2,17の1な があるとはいえない。 3 本件条例の差別的適用(争点(3))について(1) 前記前提事実(2)に証拠(甲2,5,6,7の1ないし12,8,9,10の1・2,11ないし14,15の1・2,17の1ないし8,18の1ないし12,20,21,乙13の1ないし4,21ないし23)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件中止命令発令に至る経緯として,以下の事実が認められる。 ア原告によるホテル建築同意申請原告は,平成14年3月6日,売買により愛知県愛知郡東郷町大字a字bc番d所在の本件土地を取得し,同地上に地上7階地下1階のホテル用建物(当初建物)を建築することを計画した。 そこで,原告代表者Aやその役員及びB設計士ら4名は,同年4月16日,東郷町役場を訪れ,町担当者らに対し,事務的なことは担当者同士で詰めていきたいが,本件条例を守るつもりであること,周辺住民に対する説明会を開催する予定であるが,町担当者は立会を遠慮してもらいたいこと,迷惑をかけないように責任を持って対応するので,色眼鏡で見ないでほしいことなどを申し入れた。 その後,原告は,同年5月28日,本件条例5条1項に基づいて,被告に対し,同意申請をした。 イ被告による不同意通知町当局は,平成14年6月10日,周辺住民らから要求のあった説明会を開催したが,そこで原告のホテルを建設させないでほしいとの要望が強く出された。これに対し,町当局は,条例や法律の範囲内でしか規制はできない旨説明を行った。また,原告も,同月19日,住民に対する説明会を開催したが,住民の意向とは平行線をたどり,また,両者間の感情的な対立もあって,中途で打ち切られた。そのため,住民らは,原告のホテル建設反対の署名活動を展開し,これを町当局に対して提出するなどした。 被告は,本件条例に基づいて,東郷町ホテル等建築審議会による 的な対立もあって,中途で打ち切られた。そのため,住民らは,原告のホテル建設反対の署名活動を展開し,これを町当局に対して提出するなどした。 被告は,本件条例に基づいて,東郷町ホテル等建築審議会による審議結果を踏まえ,同年7月17日,原告に対し,「ホテル等建築不同意通知書」を交付して,当初建物の建築に同意しない旨を通知した。同通知書に記載された「同意できない理由」は,下記の不同意理由①ないし⑧のとおりである。 ① 当初建物の1階部分に10か所も設けてある消防用開口部は,常時開錠してあることから,客等が,駐車した位置に近い出入口から日常的に出入りする可能性が高く,そうなると,営業時間中必ず通過する主要な玄関以外からの出入りをすることになり,必ず通過しなければならない玄関についての基準に適合しない(本件条例4条1項1号)。 ② 当初建物には玄関とロビーとの間に窓のないエントランス及び通路部分があり,ロビーが玄関に接近しているとの基準に適合しない(本件条例4条1項2号)。 また,2階部分にある外部避難階段が通常の出入口として使用される可能性も高く,そうなると,フロント,ロビー等を通らずに客室に入室することができ,玄関,ロビー等の共用部分を通り客室に入る構造の基準に適合しない(本件条例4条1項7号,本件指導基準第3(1))。 ③ 当初建物においては,事務室の反対側にフロントが設けられているという不合理な配置がなされており,フロントが実際に使われない可能性が高く,そうなると,ロビー等と一体で開放的に客等と応接できるフロントの基準に適合しない(本件条例4条1項3号)。 ④ 会議室及び宴会その他催物の用に供することのできる施設は,会議,宴会,催物等を無理なく行える配置,構造である必要があるところ,当初建物では,2階の会議室等の中央に柱があり,会議室等の形 3号)。 ④ 会議室及び宴会その他催物の用に供することのできる施設は,会議,宴会,催物等を無理なく行える配置,構造である必要があるところ,当初建物では,2階の会議室等の中央に柱があり,会議室等の形も凸凹が多くいびつであり,ドアの位置から見て無理なく使える配置,構造とはいえない(本件条例4条1項5号)。 ⑤ 当初建物の2階には,バス・トイレのついていない1人用客室26室,会議室,レストラン及びこれらを利用する客等のための共同便所及び共同シャワー室が設置してあるところ,便所は男女別各1基で,シャワーも1基1か所にすぎず,利用者数に耐え得る設置数とは考えられない。 したがって,形式的に条例,規則の基準に適合させるべく,実際上は客等の利用に供されないことを承知の上で,無理に2階全体をこのような構造にしたものと判断でき,そうなると条例,規則等の基準には実質的に適合していない(本件条例4条1項5号,8号)⑥ 当初建物は,建築物,広告物の形態,意匠,色彩等において,一般的なホテルと比較すると異質に感じる(本件条例4条1項9号)。 ⑦ 当初建物に,いわゆるラブホテル等に通常見られる客室の内部を撮影した写真パネルその他これに類する掲示物,門,車庫等に利用状況を示す表示及び目隠しのためののれん等が設けられていないことについて,追加質問したところ,原告から,具体的な内容の検討をしていないこと及び今後の課題として検討したいとの表現で,明確な回答が得られなかった(本件指導基準第3(9))。 ⑧ 当初建物は,形式上は本件条例をある程度遵守したものの如きホテルとして申請されているが,申請者が現在経営している他のホテルは,一般的にラブホテル等といわれる専ら異性を同伴する客が利用する宿泊(休憩を含む。)をさせる形態のものであることから考えると,本件申請に係る当初建物 れているが,申請者が現在経営している他のホテルは,一般的にラブホテル等といわれる専ら異性を同伴する客が利用する宿泊(休憩を含む。)をさせる形態のものであることから考えると,本件申請に係る当初建物もラブホテル等としての使用のされ方がされる可能性が高く,そうなると実質的には本件条例4条の基準に適合せず,同条例1条の目的に反する。 ウ原告・被告間の折衝等(ア) 原告は,被告に対して,平成14年7月19日付け「不同意通知後の申請手続きについて」と題する書面(甲9)を提出し,被告(都市計画課)の指導を得て,不同意通知書の中で指摘された項目等を訂正し,本件条例に適合した建物として同意を得ることを考えているので,よろしく指導をお願いしたい旨要望した。 (イ) その上で,原告の当時の代表取締役であるAは,同年8月29日,被告との面談を行った。その場で,Aは,不同意の理由とされたもののうち,不同意理由⑧に対する不満を強調した上,再申請として扱うのではなく,当初の申請の継続として扱ってほしいこと,建物の外観をどのようにするかは,表現の自由であることなどを申し入れ,これに対し,被告は,不同意理由①ないし⑦で指摘したことが不同意の理由であること,計画を修正するとしても再申請をしてもらいたいこと,建物の外観は,東郷町に適合していないことなどと回答した。 (ウ) 原告は,被告に対して,同年9月14日付け「御通知書」(甲10の1)を送付し,①今後も,被告の行政指導を受け入れ,本件条例に適合した建物を建築する所存であること,②不同意理由⑧は納得できないので,撤回ないし合理的理由の説明をして欲しいこと,③申請建物の同意に当たり,あらためて,同意申請をさせるのではなく,継続審議として欲しいことなどを要望するとともに,2週間以内に回答することを求めた。 (エ) 被告 合理的理由の説明をして欲しいこと,③申請建物の同意に当たり,あらためて,同意申請をさせるのではなく,継続審議として欲しいことなどを要望するとともに,2週間以内に回答することを求めた。 (エ) 被告は,同月30日付け「回答書」(甲11)を送付して,①原告が,本件条例の手続に則って,新たな同意申請を行わなければ同意を行う意思はないこと,②不同意理由⑧は,同①ないし⑦を理由づける補完的事情にすぎないが,撤回することは考えていないこと,③平成14年5月28日に行った申請建物の同意申請手続は終了したので,改めて申請手続をする必要があることなどを回答した。 (オ) その後,Aは,少なくとも2度,東郷町役場に赴き,被告担当者と申請建物の修正について話した。また,原告は,被告に対し,今後の対応を決するため,被告の考え方などを問う5項目の質問事項を記載した同年10月10日付け「御通知書(2)」(甲12)や,建物設計者との連名で,不同意理由①ないし⑦の改善事項を記載した同年11月22日付け「同意できない理由への対処について」と題する書面及び図面(甲17の1ないし8)を送付した。 これに対し,被告は,原告に対し,不同意の直接的な理由は,あくまで不同意理由①ないし⑦であり,その判断の際の事情として,ラブホテル等としての使用可能性が高いことが挙げられることなどと記載された同年10月23日付け「回答書(2)」(甲13)を送付した。 (カ) Aは,同年12月11日,被告と面談したが,不同意理由⑧の位置づけをめぐってやりとりがなされた。原告側は,不同意理由①ないし⑦に対する解決策を記載した書面を被告側に交付した。その後,被告は,不同意理由①ないし⑧以外についても新たな指導がある旨を示唆した。 (キ) 被告は,原告に対し,同年12月18日付け「町の指導内容について(回答 決策を記載した書面を被告側に交付した。その後,被告は,不同意理由①ないし⑧以外についても新たな指導がある旨を示唆した。 (キ) 被告は,原告に対し,同年12月18日付け「町の指導内容について(回答)」と題する書面(甲14)を送付して,①当初の申請の継続審議とすることはできず,改めて申請をする必要があること,②再申請をする場合には,従前のものに加えて,建物がラブホテルとして使用されないような構造,外観に改善し,かつそのような使用をしないことを確約することなどを内容とする17項目にわたる新たな指導を検討すべきこと,③被告としては,本件条例,本件施行規則,本件指導基準への適合性の有無は,形式的ではなく,実質的に判断することなどを回答した。 (ク) これに対し,原告は,被告に対し,平成15年1月8日付け「御通知書(3)」(甲15の1)を送付し,平成14年12月18日付け書面の指導は本件条例にも根拠のないものであること,本件条例は違法であるから,本件条例の定める建築基準・手続規定に従わずに,旅館業法,建築基準法の規定に適合する建築計画を進めていくことを通知した。 エ本件建物の建築確認原告は,平成15年4月14日,本件土地上に地上6階地下1階のホテル用建物(本件建物)を建築すべく,被告担当者に対して,建築主事あての建築確認申請書類を提出しようとしたが,被告担当者は,本件条例5条1項,本件施行規則3条2項に従った手続が取られていないことを理由として,その受取を拒否した。 そこで,原告は,同年6月9日,愛知県尾張建設事務所建築主事に対して,本件建物の建築確認申請書(甲18の1ないし12)を提出したところ,同年8月8日,建築基準法6条1項に基づき,本件建物の建築確認を受け,確認済証を交付された。 オ本件中止命令の発令名古屋地方裁判所は,平成16年 認申請書(甲18の1ないし12)を提出したところ,同年8月8日,建築基準法6条1項に基づき,本件建物の建築確認を受け,確認済証を交付された。 オ本件中止命令の発令名古屋地方裁判所は,平成16年5月17日,本件建物の建築続行禁止を求める周辺住民の仮処分申請(同裁判所平成15年(ヨ)第831号事件)を却下した。これを受けて,原告は,同年6月1日,本件建物の建築工事に着手し,同月14日,本件土地上において杭打ち工事を開始した。 被告は,原告に対し,同月14日付けで,本件条例10条1項に基づき,本件建物の建築工事を同月22日までに中止することを求める本件中止命令を発し,同命令は,同月16日,原告に通知された。 被告は,同年7月15日,本件条例10条2項に基づき,原告が本件中止命令に従わない旨を公表した。 (2) 上記認定事実によれば,被告担当者は,ラブホテルの用に供される建物の建築抑制を目的として,原告からの同意申請や指導要請に対応してきたことが明らかであるが,前記のとおり,本件条例の主たる目的がそのようなラブホテル用建物の建築抑制にある以上,被告は,本件条例の趣旨,目的の実現に沿って行動してきたにすぎないとも評し得る。もっとも,被告が,その指導に従う意思のあることを表明した原告に対し,必ずしも本件条例や本件施行規則の定めるところにとどまらず,これらを超えた内容の実行を求めたこと(甲14)は,行政の在り方としてその当否が問題となり得るが,任意の協力を求めるにすぎない行政指導の枠内にとどまる以上,それが法令に根拠を持たないものであっても,直ちに違法とまではいい難い。したがって,被告は原告に対する予断と偏見に基づいて不当な差別を行ってきたものであるとの原告の主張は,採用できない。 そもそも,本件中止命令は,本件建物を対象として発せられたものである まではいい難い。したがって,被告は原告に対する予断と偏見に基づいて不当な差別を行ってきたものであるとの原告の主張は,採用できない。 そもそも,本件中止命令は,本件建物を対象として発せられたものであるのに対し,原告が非難する被告の「行政指導」(なお,当裁判所は,本件条例5条,6条に基づく被告の「不同意」は,これによって,10条所定の措置を受け得る地位に立たされるという法的効果を招来するものであるから,独立した行政処分と解する。)は,当初建物を対象とするものであるところ,本件建物と当初建物とは,その構造において顕著な相違点があって,同一性を肯定できるものではないから,仮に当初建物の建築同意をめぐる被告の「行政指導」の過程に違法性が存在したとしても,それが本件中止命令に承継されると解することはできない(なお,本件建物が本件条例,本件施行規則2条に定める構造等の基準を満たしていないことは,前記のとおりである。)。 そうすると,本件中止命令が,被告による恣意的・差別的なものとして違法であるとの原告の主張は採用できない。 4 結論以上の次第で,原告の本訴各請求はいずれも理由がないので棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤幸雄裁判官舟橋恭子裁判官尾河吉久(別表1)収容人員の区分30人以下の場合30人を超え100人以下の場合100人を超える場合床面積30平方メートル客室の収容人員に1平方メートルを乗じて得た数値。 ただし,40平方メートルを下限とする。 101平方メートル(別表2)収容人員の区分30人以下31人か える場合床面積30平方メートル客室の収容人員に1平方メートルを乗じて得た数値。 ただし,40平方メートルを下限とする。 101平方メートル(別表2)収容人員の区分30人以下31人から50人まで51人以上床面積食堂30平方メートル40平方メートル50平方メートルロビー30平方メートル40平方メートル50平方メートル(別表3)都市計画法(略)第8条第1項の規定により都市計画において定められた次に掲げる地域一第1種低層住居専用地域二第2種低層住居専用地域三第1種中高層住居専用地域四第2種中高層住居専用地域五第1種住居地域六第2種住居地域(別表4)都市計画法第8条第1項の規定により都市計画において定められた準住居地域(別表5)都市計画法第8条第1項の規定により都市計画において定められた商業地域(第五種地域を除く。)(別表6)名古屋市の区域のうち,千種区今池一丁目(8番から13番まで,29番及び30番に限る。),今池三丁目(4番に限る。),今池四丁目(7番及び9番から11番までに限る。),今池五丁目(1番から3番まで,8番から13番まで及び18番から27番までに限る。)及び内山三丁目(32番及び33番に限る。)並びに中区栄三丁目(8番から13番までに限る。),栄四丁目(1番,6番及び19番を除く。),新栄一丁目(1番,11番及び12番に限る。)及び錦三丁目(12番から14番まで及び17番から19番までに限る。)の区域
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