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平成10(行ウ)48 公金支出差止等請求事件(甲事件)平成10年(行ウ)第54号 損害賠償請求事件(乙事件)平成11年(行ウ)第30号 損害賠償請求事件(丙事件)

裁判所

平成13年3月2日 名古屋地方裁判所 住民訴訟

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35,777 文字

主文 1 原告らの被告愛知県知事及び被告愛知県出納長に対する訴えのうち,平成11年9月,平成12年3月及び同年9月になされた各公金の支出並びに平成22年9月以降平成30年3月まで毎年3月及び9月になされる各公金の支出に係る支出命令及び支出の差止めを求める訴えをいずれも却下する。2 原告らの被告愛知県知事及び被告愛知県出納長に対するその余の請求並びに被告A及び被告Bに対する請求をいずれも棄却する。3 訴訟費用は原告らの負担とする。事実及び理由 第1 請求(甲事件)長良川河口堰共用施設負担金その他長良川河口堰関連事業資金に充てるため,愛知県一般会計から同工業用水道事業会計へ対してなす出資,長期貸付けその他一切の名目による公金の支出につき,被告愛知県知事は支出命令を,被告愛知県出納長は支出をそれぞれしてはならない。(乙事件)被告Aは愛知県に対し,16億5328万8146円及びこれに対する平成10年9月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。(丙事件)被告Bは愛知県に対し,16億6680万9508円及びこれに対する平成11年3月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要本件は,原告らが,水資源開発公団(以下「公団」という。)に対する長良川河口堰(以下「本件堰」という。)の建設事業費用負担金等の支払資金に充てるため,愛知県が一般会計から工業用水道事業会計(特別会計)に長期貸付け,出資等の方法により公金を支出するのは違法であるとして,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項1号に基づき,平成11年3月以降平成30年3月まで毎年3月及び9月になされる甲事件被告愛知県知事の支出命令及び甲事件被告愛知県出納長の支出の差止めを求めるとともに,既に支出された部分につ の2第1項1号に基づき,平成11年3月以降平成30年3月まで毎年3月及び9月になされる甲事件被告愛知県知事の支出命令及び甲事件被告愛知県出納長の支出の差止めを求めるとともに,既に支出された部分については不法行為が成立するとして,同項4号前段に基づき,愛知県に代位して,平成10年9月支出分ついてはその支出命令をした前愛知県知事である乙事件被告Aに対し,平成11年3月支出分についてはその支出命令をした現知事である丙事件被告Bに対して,それぞれ各支出額と同額の損害賠償を請求した事案である。 事件被告愛知県知事の支出命令及び甲事件被告愛知県出納長の支出の差止めを求めるとともに,既に支出された部分については不法行為が成立するとして,同項4号前段に基づき,愛知県に代位して,平成10年9月支出分ついてはその支出命令をした前愛知県知事である乙事件被告Aに対し,平成11年3月支出分についてはその支出命令をした現知事である丙事件被告Bに対して,それぞれ各支出額と同額の損害賠償を請求した事案である。1 争いのない事実等(1) 当事者ア原告らは,いずれも愛知県住民である。イ被告Aは,平成10年9月21日時点で愛知県知事の地位にあった者であり,被告Bは平成11年2月15日から現在に至るまで愛知県知事の地位にある者である。(2) 本件堰の概要(甲2,乙イ5,6)本件堰は,木曽川水系における水資源開発基本計画(以下改正の前後を含めて「本件基本計画」と総称する。)に基づき公団が建設した水資源開発施設であり,木曽川水系長良川の河口から約5.4キロメートル上流に位置する堰延長661メートル(うち可動部555メートル)の可動堰である。その設置目的は,① 治水面堰の設置により塩水の遡上を防止しながら,相当上流域までの河床の大規模浚渫を可能にし,これにより河床を下げて,計画高水流量毎秒7500立方メートルを安全に流下させ,洪水を防止すること② 利水面堰の上流水域を淡水化し,愛知県,三重県及び名古屋市の水道用水,工業用水として最大毎秒22.5立方メートルの用水(このうち,愛知県の工業用水は最大毎秒8・39立方メートル)を確保することとされている。なお,公団は,水資源開発促進法(以下「促進法」という。)の規定による水資源開発基本計画に基づく水資 用水(このうち,愛知県の工業用水は最大毎秒8・39立方メートル)を確保することとされている。なお,公団は,水資源開発促進法(以下「促進法」という。)の規定による水資源開発基本計画に基づく水資源の開発又は利用のための事業を実施すること等により,国民経済の成長と国民生活の向上に寄与することを目的とする法人である(水資源開発公団法(以下「公団法」という。)1条,2条)。(3) 本件堰建設の経緯ア内閣総理大臣は,促進法4条に基づき,目標年次を昭和50年度として,「木曽川水系における水資源開発基本計画」(以下「当初基本計画」という。)を策定し,昭和43年10月15日の閣議決定を経て,これを決定した(甲9の2,乙イ3)。 業を実施すること等により,国民経済の成長と国民生活の向上に寄与することを目的とする法人である(水資源開発公団法(以下「公団法」という。)1条,2条)。(3) 本件堰建設の経緯ア内閣総理大臣は,促進法4条に基づき,目標年次を昭和50年度として,「木曽川水系における水資源開発基本計画」(以下「当初基本計画」という。)を策定し,昭和43年10月15日の閣議決定を経て,これを決定した(甲9の2,乙イ3)。これを受けて,建設大臣は,昭和46年12月27日,公団法19条1項に基づき,「長良川河口堰建設事業に関する事業実施方針」(以下「事業実施方針」という。)を定め,これを公団に指示した(甲2,11)。イその後,内閣総理大臣は,当初基本計画の目標年次を昭和60年とする全部変更を行い,昭和48年3月23日の閣議決定を経て,これを決定した(甲9の3,乙イ4,変更後の基本計画を以下「旧基本計画」という。)。建設大臣は,昭和48年7月31日,公団法20条1項に基づき,公団が作成した「長良川河口堰建設事業に関する事業実施計画」(以下「事業実施計画」という。)を認可した。そして,旧基本計画に基づいて,木曽川水系において,岩屋ダム,三重用水,本件堰,阿木川ダム,徳山ダム及び味噌川ダムの建設計画が立てられ,建設事業が進められていった。なお,旧基本計画は,昭和57年3月26日,愛知用水二期工事事業の追加等一部が変更され(甲9の4),事業実施方針は昭和63年12月28日に,事業実施計画は平成元年2月13日にそれぞれ変更されている(甲2,12の 画は,昭和57年3月26日,愛知用水二期工事事業の追加等一部が変更され(甲9の4),事業実施方針は昭和63年12月28日に,事業実施計画は平成元年2月13日にそれぞれ変更されている(甲2,12の1,2)。ウ旧基本計画の目標年次である昭和60年度の8年後である平成5年3月26日,内閣総理大臣は,旧基本計画を再度全面的に改定し,目標年次を平成12年度として新しい基本計画(以下「新基本計画」という。)を策定し,同日の閣議決定を経て,これを決定した(甲9の5,乙イ5)。新基本計画の決定に伴い,事業実施方針は平成7年3月1日に,事業実施計画は同月20日にそれぞれ改定された(甲2)。エ本件堰建設事業は,昭和46年度に事業着手され,平成7年3月までに完成し,同年4月から管理が開始された(甲2・乙イ7)。 本計画を再度全面的に改定し,目標年次を平成12年度として新しい基本計画(以下「新基本計画」という。)を策定し,同日の閣議決定を経て,これを決定した(甲9の5,乙イ5)。新基本計画の決定に伴い,事業実施方針は平成7年3月1日に,事業実施計画は同月20日にそれぞれ改定された(甲2)。エ本件堰建設事業は,昭和46年度に事業着手され,平成7年3月までに完成し,同年4月から管理が開始された(甲2・乙イ7)。(4) 本件堰の建設及び管理に要する費用に関する愛知県の負担金と償還ア本件堰の建設及び管理に要する費用負担の根拠本件堰の建設及び管理に要する費用の負担については,治水分及び利水分の負担率により按分され,治水分については,公団法26条,同法施行令16条に基づき,国及び都道府県が負担することとされ,利水分については,公団法29条1項に基づき,本件堰を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者が本件堰の新築及び管理に要する費用を負担することとなっている。イ愛知県の本件堰建設事業費用のうち工業用水分の負担金について公団が,公団法20条2項に基づき,愛知県に対して,平成7年3月2日付けで本件堰の建設事業費用のうち工業用水に係る費用の負担について同意を求めた(乙イ8)ところ,愛知県は,同月6日付けでこれに同意した(乙イ9)。本件堰建設事業に係る事業費の用途別負担額並びにその負担者及び負担者ごとの負担額は,事業実施方針及び事業実施計画に 同意を求めた(乙イ8)ところ,愛知県は,同月6日付けでこれに同意した(乙イ9)。本件堰建設事業に係る事業費の用途別負担額並びにその負担者及び負担者ごとの負担額は,事業実施方針及び事業実施計画に規定されている(甲2)。本件堰の建設に係る総事業費は建設費1493億1459万2312円及び建設利息312億6700万2894円の合計1805億8159万5206円であり,上記事業費のうち,愛知県は,工業用水分として,461億5769万1537円を負担すべきものとされたが,その内訳は,建設費348億5450万5284円,建設利息113億0318万6253円であった。そして,上記建設費348億5450万5284円のうち,平成6年度までに支払済みの175億6614万2000円を除く分については,還付消費税3億8705万8984円と財政投融資借入金169億0130万4300円を財源として賄われた。 ,工業用水分として,461億5769万1537円を負担すべきものとされたが,その内訳は,建設費348億5450万5284円,建設利息113億0318万6253円であった。そして,上記建設費348億5450万5284円のうち,平成6年度までに支払済みの175億6614万2000円を除く分については,還付消費税3億8705万8984円と財政投融資借入金169億0130万4300円を財源として賄われた。そして,上記財政投融資借入金169億0130万4300円と建設利息113億0318万6253円の合計額から消費税還付分6847万7173円を控除した281億3601万3380円が愛知県が負担する償還金の元本となった(乙イ7)。ウ建設事業費用負担金の支払方法について前記建設事業負担金の支払方法は,公団法施行令24条4項の割賦支払の方法によるものとされており,同規定に基づく平成7年8月25日総理府・建設省告示第1号によれば,その具体的内容は次のとおりである(乙イ10)。① 当該負担金のうち当該水資源開発施設を利用させることにつき課されるべき消費税に相当する額(以下「消費税に相当する額」という。)を除いた部分については,元利均等半年賦支払の方法,消費税に相当する額については,毎期の償還元金に対応する額を支払う方法によるものとする。ただし,当該負担金 る額(以下「消費税に相当する額」という。)を除いた部分については,元利均等半年賦支払の方法,消費税に相当する額については,毎期の償還元金に対応する額を支払う方法によるものとする。ただし,当該負担金を負担する者の申出により,その負担金の全部又は一部につき一時支払の方法によることができるものとする。② 支払期間及びその始期支払期間は23年とし,その始期は,平成7年度とする。③ 利子率年5.33419パーセントとする。愛知県は公団に対して,割賦元金(消費税相当額を除いたもの。)281億3601万3380円を前記ウの支払条件で支払うこととなっており,その償還総額は499億7482万2380円となる。各期の償還金額は別表「長良川河口堰建設事業割賦負損金償還表」のとおりである(乙イ11)。(5) 本件堰の建設及び管理に要する費用に関する負担金支払のための愛知県一般会計から同工業用水道事業会計への公金の支出等愛知県においては,工業用水道事業は愛知県企業庁の所管業務であり(地方公営企業法(以下「地公企法」という。 ウの支払条件で支払うこととなっており,その償還総額は499億7482万2380円となる。各期の償還金額は別表「長良川河口堰建設事業割賦負損金償還表」のとおりである(乙イ11)。(5) 本件堰の建設及び管理に要する費用に関する負担金支払のための愛知県一般会計から同工業用水道事業会計への公金の支出等愛知県においては,工業用水道事業は愛知県企業庁の所管業務であり(地方公営企業法(以下「地公企法」という。)7条,愛知県公営企業の設置等に関する条例(昭和55年3月26日愛知県条例第3号)),工業用水道事業の経理は,特別会計である工業用水道事業会計をもって行うものとされている(地公企法17条)から,本件堰の建設及び管理に要する費用に関する前記負担金(以下建設事業負担金の償還金及び管理に要する費用に関する負担金として平成7年9月以降平成30年3月まで毎年3月及び9月に公団に支払うべき負担金を「本件負担金」という。)は工業用水道事業会計から支払われることとなる。そして,本件負担金の支払は,当分の間,愛知県一般会計からの地公企法18条の2による長期貸付けを財源として行われることとなり,平成10年度については,愛知県一般会計からの貸付金 払われることとなる。そして,本件負担金の支払は,当分の間,愛知県一般会計からの地公企法18条の2による長期貸付けを財源として行われることとなり,平成10年度については,愛知県一般会計からの貸付金として,平成10年9月21日に16億5328万8146円(建設事業負担金10億6890万8797円と維持管理費等5億8437万9349円の合計金,乙イ1,2),平成11年3月23日に16億6680万9508円(建設事業負担金10億6890万8797円と維持管理費等5億9790万0711円の合計金,乙イ13,14)の合計33億2009万7654円が同工業用水道事業会計へと支出された(以下,本件負担金の財源とするための愛知県一般会計から同工業用水道事業会計への長期貸付け,出資その他の名目による公金支出を「本件貸付け」といい,平成10年9月の長期貸付けを「本件貸付け①」,平成11年3月の長期貸付けを「本件貸付け②」という。)。なお,当初原告らは,甲事件において,訴え提起以後の本件貸付けの差止めを求めていたが,同事件提起後に本件貸付け①及び②がなされたため,原告らは,平成10年10月20日付け及び平成11年6月29日付けで請求の追加的併合を申立てて乙,丙事件の訴えを追加し,本件貸付け①及び②の差止請求を取り下げた。 いい,平成10年9月の長期貸付けを「本件貸付け①」,平成11年3月の長期貸付けを「本件貸付け②」という。)。なお,当初原告らは,甲事件において,訴え提起以後の本件貸付けの差止めを求めていたが,同事件提起後に本件貸付け①及び②がなされたため,原告らは,平成10年10月20日付け及び平成11年6月29日付けで請求の追加的併合を申立てて乙,丙事件の訴えを追加し,本件貸付け①及び②の差止請求を取り下げた。(6) 住民監査請求原告C外24名は平成10年7月10日に,原告D外5名は同年8月10日に,原告E外3名は同月24日に愛知県監査委員に対し,本件貸付けの差止め等を求めてそれぞれ住民監査請求を行った(甲1の1ないし3)が,同年9月8日,愛知県監査委員はこれらの各請求を棄却する旨の決定を行い(甲2),同決定はそのころ原告らに通知された。また,原告C外26名は,平成10年11月17日,愛知県知事Aが本件貸付け①の支出命令を行ったことが 監査委員はこれらの各請求を棄却する旨の決定を行い(甲2),同決定はそのころ原告らに通知された。また,原告C外26名は,平成10年11月17日,愛知県知事Aが本件貸付け①の支出命令を行ったことが違法であるとして,当該支出に係る支出額と同額の損害賠償を被告Aに行うことを求めて,愛知県監査委員に対し,住民監査請求を行ったが,同監査請求は同原告らが行った前記監査請求と同一の財務会計上の行為又は怠る事実を対象とするものであるから,不適法であるとして却下された(甲13)。2 本件の争点(1) 本件貸付けが法242条の2第1項1号(差止請求)及び同4号(損害賠償代位請求)の対象となりうるか(本案前の争点)。(2) 被告A及び被告Bは法242条の2第1項4号前段の「当該職員」に該当するか(本案前の争点)。(3) 被告A及び被告Bに対する訴えは鑑査請求を経ているか,また,同被告らに対する訴えは出訴期間を遵守しているか(本案前の争点)。(4) 本件貸付けは違法か。ア本件基本計画は違法か,またその違法を承継することにより本件貸付けは違法となるか。イ愛知県は公団法に基づき支払義務を負うか。ウ本件貸付けは地公企法17条の2第2項(地方公営企業の独立採算の原則)に違反するか。3 当事者の主張(1) 争点(1)(住民訴訟の対象性)について(被告らの主張)本件において対象とされている財務会計行為は,公金を愛知県の一般会計から同工業用水道事業会計へ長期貸付金として支出する行為であるが,愛知県工業用水道事業会計は会計単位としては一般会計から独立しているものの,その会計主体は同じ愛知県という地方公共団体であるから,愛知県の一般会計から特別会計に公金を支出することは同一会計主体内部における公金の移動にすぎない。 )(住民訴訟の対象性)について(被告らの主張)本件において対象とされている財務会計行為は,公金を愛知県の一般会計から同工業用水道事業会計へ長期貸付金として支出する行為であるが,愛知県工業用水道事業会計は会計単位としては一般会計から独立しているものの,その会計主体は同じ愛知県という地方公共団体であるから,愛知県の一般会計から特別会計に公金を支出することは同一会計主体内部における公金の移動にすぎない。法242条の2第1項が予定する「公金 ものの,その会計主体は同じ愛知県という地方公共団体であるから,愛知県の一般会計から特別会計に公金を支出することは同一会計主体内部における公金の移動にすぎない。法242条の2第1項が予定する「公金の支出」とは,地方公共団体から外部に対してなされる公金の支出を指すのであって,地方公共団体である愛知県内部の公金の移動がこれに該当しないことは明らかである。また,このような一般会計から工業用水道事業会計への支出は,当該支出がなされた時点においては,住民訴訟の対象とするにはいまだ成熟していないというべきであるし,愛知県という法人格を基準とした場合,愛知県が保有する公金の額は何ら減少するものではないから,愛知県に損害を与える客観的可能性がない行為であり,法242条の2第1項1号及び4号が予定する「公金の支出」ではなく,住民訴訟の対象とはならない。(原告らの主張)工業用水道事業の経理は一般会計から分離独立した特別会計によって行われるものであり,料金収入による独立採算の原則が制度化されており,この点で主に税金を財源とする一般会計とは経費の負担者を異にする。一般会計から工業用水道事業会計への繰入れは,本来利用者からの料金収入で賄うべき地方公営企業の経費を一般会計に負担させるもので,税金で維持される公金を減少させるものであり,本件貸付けは住民訴訟の対象となる「公金の支出」に当たる。被告らは,「支出」又は「支払」とは自己の有する金銭を法人格を異にする者に移転することをいうと主張するが,支出等をそのような意味に限定して解釈する根拠はなく,繰出しに関し支出決定,支出命令をすべき旨を定めている愛知県財務規則の規定からも,一搬会計から地方公営企業特別会計への繰入れも「支出」に該当することは明らかである。また,本件貸付けは,本件負担金償還に充てる目的で愛知県 出命令をすべき旨を定めている愛知県財務規則の規定からも,一搬会計から地方公営企業特別会計への繰入れも「支出」に該当することは明らかである。 そのような意味に限定して解釈する根拠はなく,繰出しに関し支出決定,支出命令をすべき旨を定めている愛知県財務規則の規定からも,一搬会計から地方公営企業特別会計への繰入れも「支出」に該当することは明らかである。また,本件貸付けは,本件負担金償還に充てる目的で愛知県 出命令をすべき旨を定めている愛知県財務規則の規定からも,一搬会計から地方公営企業特別会計への繰入れも「支出」に該当することは明らかである。また,本件貸付けは,本件負担金償還に充てる目的で愛知県一般会計から同工業用水道事業会計へと支出されるものであり,本件貸付後直ちに愛知県工業用水道事業会計から公団へと支出がなされる。したがって,本件貸付けがなされれば,当該支出に係る公金が愛知県から失われることになる。そして,本件貸付けは地公企法18条の2第1項に基づく長期貸付けによるものであるが,本件堰で開発された愛知県工業用水は水需要がないために料金収入が得られず,愛知県工業用水道事業会計から同一般会計への貸付金の返還は不可能である。よって,本件貸付けがなされた時点で,愛知県に財産的損害が生じる客観的可能性があり,このような損害を与える客観的可能性のある財務会計行為は,住民訴訟の対象となるというべきである。(2) 争点(2)(被告A及び被告Bの当該職員性)について(被告A及び被告Bの主張)被告A及び被告Bは,本件貸付け①又は②について,愛知県知事として支出命令を行っていないから「当該職員」(法242条の2第1項4号前段)に該当しない。(原告らの主張)本件貸付けについて支出命令をなす権限を有するのは愛知県知事であり(法232条の4),「当該職員」に該当することは明らかである。(3) 争点(3)(監査請求前置及び出訴期間)について(被告A及び被告Bの主張)ア被告A及び被告Bに対する訴えは,法242条の2第1項4号前段に基づく損害賠償代位請求訴訟であると解されるから,その請求の趣旨及び請求の原因記載の公金支出に係る監査請求を経ていることが必要であるにもかかわらず,原告らはかかる監査請求を経ていない。原告らは,甲事件に係る鑑査請求の中で 訴訟であると解されるから,その請求の趣旨及び請求の原因記載の公金支出に係る監査請求を経ていることが必要であるにもかかわらず,原告らはかかる監査請求を経ていない。原告らは,甲事件に係る鑑査請求の中で,「上記が支出されたときは,知事等の職員に対する賠償請求その他適切な措置をする。 監査請求を経ていることが必要であるにもかかわらず,原告らはかかる監査請求を経ていない。原告らは,甲事件に係る鑑査請求の中で 訴訟であると解されるから,その請求の趣旨及び請求の原因記載の公金支出に係る監査請求を経ていることが必要であるにもかかわらず,原告らはかかる監査請求を経ていない。原告らは,甲事件に係る鑑査請求の中で,「上記が支出されたときは,知事等の職員に対する賠償請求その他適切な措置をする。」ことをも求めているが,当該部分の趣旨は,原則として監査請求の時点までに差止請求の対象となる支出がされていたか,または遅くとも監査請求の時点から監査結果が出されるまでに支出された場合の措置を求めているものと解すべきところ,前記監査請求に対する監査結果が出た段階では,本件貸付け①,②の支出命令はされておらず,本件貸付け①,②については監査はなされていないのであるから,この点につき監査請求の前置があったものとすることはできない。よって,被告A及び被告Bに対する訴えは,監査請求前置主義に違反する不適法な訴えである。イ甲事件に係る監査請求が被告A及び被告Bに対する訴えに係る監査請求を含むものであると解し得たとしても,同訴えは,甲事件に係る監査請求に対する監査結果の通知があった日から30日を経過した後に提起されたものであり,出訴期間(法242条の2第2項)を徒過した不適法な訴えである。(被告Bの主張)ウ仮に,本件において,乙・丙事件に係る新たな監査請求は要しないとしたとしても,出訴期間を定めた法の趣旨からすれば,本件貸付け②があったことを知り得た日から30日以内に訴えを提起すべきである。本件の場合,甲事件の監査結果において本件貸付け②がなされる予定の日が示され,かつ甲事件被告らの準備書面等により本件貸付け②がなされたことを知り得たところ,被告Bに対する訴えは,本件貸付け②がなされたことを知り得た時点(甲事件被告らの平成11年4月30日付け準備書面が提出された同 件被告らの準備書面等により本件貸付け②がなされたことを知り得たところ,被告Bに対する訴えは,本件貸付け②がなされたことを知り得た時点(甲事件被告らの平成11年4月30日付け準備書面が提出された同日又は同準備書面が陳述された同年5月12日)から30日を経過した後(同年6月29日)になされており不適法である。(原告らの主張)ア公金支出の違法を理由とする差止請求は,支出差止めを求めていた公金の支出がなされた場合には,その部分についての差止請求を維持することができないので,当該支出を行った当該職員に対する違法支出を理由とした損害賠償請求に転化せざるを得ないから,甲事件に係る監査請求において既に乙・丙事件被告に対する損害賠償請求についても監査請求を経ているというべきである。 9日)になされており不適法である。(原告らの主張)ア公金支出の違法を理由とする差止請求は,支出差止めを求めていた公金の支出がなされた場合には,その部分についての差止請求を維持することができないので,当該支出を行った当該職員に対する違法支出を理由とした損害賠償請求に転化せざるを得ないから,甲事件に係る監査請求において既に乙・丙事件被告に対する損害賠償請求についても監査請求を経ているというべきである。イ被告A及び被告Bは,甲事件の監査結果の通知があった日から30日以内に被告A及び被告Bに対する訴えを提起できることを前提とした主張をするが,公金支出がされていない段階で,その支出をしたことを理由とした損害賠償請求をすることはできない。(4) 争点(4)ア(本件基本計画の違法性の承継による本件貸付けの違法)について(原告らの主張)ア本件基本計画自体の違法性について旧基本計画では,水需要について,昭和60年には都市用水(工業用水と水道用水)の木曽川水系からの一日最大取水量が毎秒132立方メートルになる予測であったが,同年の実績は毎秒37立方メートルにとどまった。このように,過大な見積りであったため,予測されただけの水需要はその期限が切れる昭和60年の時点においては存在しなかったのであって,木曽川水系においては過剰な水余りの状況にあった。このような状況において,平成5年3月に旧基本計画の改定が行われ,本件堰の工業用水の需要予測について若干の下方修正がなされたが なかったのであって,木曽川水系においては過剰な水余りの状況にあった。このような状況において,平成5年3月に旧基本計画の改定が行われ,本件堰の工業用水の需要予測について若干の下方修正がなされたが,昭和60年から平成4年までの実績を平成12年まで単純に延長した場合の増加量が1日105万立方メートルであったにもかかわらず,新基本計画における昭和60年から平成12年までの予測都市用水増加量は一日約330万立方メートルとされるなど,依然として過大な予測となっており,実績と予測増加量との間に乖離が生じている。平成4年の実績からすれば,平成12年においても,平成4年の保有水源のままで水需給は十分であったはずである。旧基本計画の期限が切れる昭和60年及び新基本計画の期限が切れる平成12年の各時点はもちろん,今後においても本件堰の水需要は全くなく,愛知県にとって本件堰が無用の施設であることは明らかであって,このように水需要の予測を著しく誤った本件基本計画は違法である。 績と予測増加量との間に乖離が生じている。平成4年の実績からすれば,平成12年においても,平成4年の保有水源のままで水需給は十分であったはずである。旧基本計画の期限が切れる昭和60年及び新基本計画の期限が切れる平成12年の各時点はもちろん,今後においても本件堰の水需要は全くなく,愛知県にとって本件堰が無用の施設であることは明らかであって,このように水需要の予測を著しく誤った本件基本計画は違法である。イ本件基本計画の違法性の承継前記のとおり,本件基本計画は違法というべきであり,予算執行の適正確保の見地から看過できない程度の違法である。そして,事業の実施計画は,基本計画に基づく事業実施方針に従って作成,認可されるものであり,本件基本計画によって定められた水資源開発計画の内容を実行するだけであるから,本件基本計画自体の違法は,以後の事業実施計画とその認可のみならず,費用負担に関する行為(負担金の支払方法の決定,負担金の納付の通知と催促)の違法をもたらすと解すべきである。このような違法な事業実施計画により愛知県に本件堰の建設負担金の支払義務が発生することはなく,公団法20条2項の費用負担の同意がなされたとしても,支払義務が発生することはない。しかるに,被告愛知県知事及び被告愛知 な事業実施計画により愛知県に本件堰の建設負担金の支払義務が発生することはなく,公団法20条2項の費用負担の同意がなされたとしても,支払義務が発生することはない。しかるに,被告愛知県知事及び被告愛知県出納長は本件負担金について漫然と本件貸付けを行い,あるいはしようとしており,違法である。(被告らの主張)ア本件基本計画自体の違法性について水資源開発基本計画は当該水資源開発水系における水資源の総合的な開発及び利用の合理化の基本となるものである。本件基本計画に基づく水資源開発施設をその水源とする工業用水道事業の場合のみをみても,給水を開始するまでに水資源開発を行う必要があるところ,将来の工業用水需要を見込んで水資源開発施設の新設に着工しても,水資源開発施設が完成するまでには極めて長期間を要することから,水資源開発施設が完成し現実に給水が可能となる時点までの間に,産業構造や経済環境が変化することも少なくないのである。そもそも水資源開発基本計画は前記のように当該水資源開発水系における水資源の総合的な開発及び利用の合理化という大きな目的を有する性格のものであるから,単に計画時の需要予測と給水可能時点のそれとが乖離しているという事実だけで,直ちに本件基本計画が違法となるものではない。 間を要することから,水資源開発施設が完成し現実に給水が可能となる時点までの間に,産業構造や経済環境が変化することも少なくないのである。そもそも水資源開発基本計画は前記のように当該水資源開発水系における水資源の総合的な開発及び利用の合理化という大きな目的を有する性格のものであるから,単に計画時の需要予測と給水可能時点のそれとが乖離しているという事実だけで,直ちに本件基本計画が違法となるものではない。イ本件基本計画の違法性の承継について住民訴訟において問題とされている財務会計上の行為に先行する原因行為の違法が全て後行する財務会計上の行為の違法につながるとすると,普通地方公共団体の行う行為の多くは何らかの形で予算の支出を伴うものであるから,それらの原因行為がすべて住民訴訟における審査の対象となるのと同一に帰することとなり,それでは,財務会計上の違法な行為又は怠る事実に限ってその予防又は是正を請求し得るものとされる住民訴訟の建前にそぐわない結果となる。特に て住民訴訟における審査の対象となるのと同一に帰することとなり,それでは,財務会計上の違法な行為又は怠る事実に限ってその予防又は是正を請求し得るものとされる住民訴訟の建前にそぐわない結果となる。特に,本件のように対象とされる財務会計上の行為と,これに先行する原因行為が別個の行政主体によって行われるような場合に,際限なく原因行為を遡っていくことが許されるとすれば,住民訴訟の目的の逸脱は一層顕著なものとなる。また,原因行為が行政行為である場合には,抗告訴訟制度(行政事件訴訟法3条)がその対象を処分性のあるものに限り,原告適格,出訴期間,訴えの利益等の訴訟要件を訴えの適法要件としているにもかかわらず,原因となる行政行為の違法を理由として公金支出の差止めを認めると,住民は住民であるという地位だけに基づいて,当該行為の処分性の有無にかかわらず,地方公共団体の行為一般を争い,かつ事実上その実現を阻止できる結果となってしまい,著しく整合性を欠くことになる。本件の場合,内閣総理大臣が策定した本件基本計画及び建設大臣が認可した本件実施計画は,その決定・変更において促進法及び公団法所定の適法な手続を経ているのであるから,被告愛知県知事及び被告愛知県出納長としては,これを尊重しなければならず,また,その後の愛知県の費用負担同意,内閣総理大臣及び建設大臣による建設事業費用負担金の支払方法等の決定,公団が愛知県に対して行った本件負担金の納付通知までの一連の手続はいずれも適法に行われており,その主体も被告愛知県知事及び被告愛知県出納長とは別の独立の行政機関ないし特別法に基づく公的機関であり,愛知県としてこれらの独立した機関の有する固有の権限にまで介入し得るものではないことから,これを尊重したものである。 の愛知県の費用負担同意,内閣総理大臣及び建設大臣による建設事業費用負担金の支払方法等の決定,公団が愛知県に対して行った本件負担金の納付通知までの一連の手続はいずれも適法に行われており,その主体も被告愛知県知事及び被告愛知県出納長とは別の独立の行政機関ないし特別法に基づく公的機関であり,愛知県としてこれらの独立した機関の有する固有の権限にまで介入し得るものではないことから,これを尊重したものである。したがって,本件基本計画の違法性の承継を根拠とした本件 に基づく公的機関であり,愛知県としてこれらの独立した機関の有する固有の権限にまで介入し得るものではないことから,これを尊重したものである。したがって,本件基本計画の違法性の承継を根拠とした本件貸付けの違法の主張は,本件貸付けの直近の原因行為のみならず,本件基本計画まで遡ってその効力を争おうとするものであり,しかもそれらの一連の原因行為はいずれも愛知県とは別の行政機関等によるものであることからすると,住民訴訟によって保護しようとする範囲を大きく逸脱する内容を含むものであって,主張自体失当である。なお,仮に最高裁平成4年12月15日第3小法廷判決の判旨に照らし,本件基本計画の違法性の承継が認められる余地があるとしても,先行行為である本件基本計画が著しく合理性を欠き,そのため,本件基本計画自体に予算執行の適正確保の点から,看過し得ない瑕疵が存することが必要であるであるところ,原告らはこの点について何ら具体的な主張立証をしていない。(5) 争点(4)イ(本件負担金の支払義務の不発生)について(原告らの主張)ア公団法29条1項は,「水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者」等に当該水資源開発施設の新築等の費用を負担させるとするものであるが,これは,その文言上水資源開発施設によって開発された流水を用いて現実に工業用水道事業等を実施する者に費用を負担させるという意に解すべきものである。しかるに,愛知県は本件堰に関して工業用水道を建設しておらず,その流水を工業用水道に用いていないのであるから,本件負担金について支払義務を負わない。イ公団法20条2項は,公団は水資源開発施設の新築等に要する費用の負担について「水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとする者が特定しているときは」その者の同意を 道事業等を実施する者に費用を負担させるという意に解すべきものである。しかるに,愛知県は本件堰に関して工業用水道を建設しておらず,その流水を工業用水道に用いていないのであるから,本件負担金について支払義務を負わない。イ公団法20条2項は,公団は水資源開発施設の新築等に要する費用の負担について「水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとする者が特定しているときは」その者の同意を わない。イ公団法20条2項は,公団は水資源開発施設の新築等に要する費用の負担について「水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとする者が特定しているときは」その者の同意を得なければならないとしているが,ここでいう同意とは当該水資源開発施設の開発水を利用する工業用水道施設を建設,改良して工業用水道事業を行う管理者,すなわち愛知県においては工業用水道事業を目的とする地方公営企業である愛知県企業庁の管理者である企業庁長の同意でなければならず,愛知県知事がこの同意をしたからといって,愛知県が本件負担金のうち建設事業費用の支払義務を負うものではない。本件において,愛知県企業庁長は上記の同意をしていない。したがって,愛知県には,本件堰の建設事業費用の負担義務はなく,その費用についての公団からの納付請求等に対する支払義務もない。(被告らの主張)ア公団法29条1項は,「用に供する者」と規定し,水資源開発施設の費用負担の義務のある者を現在「用に供している者」に限定していない。したがって,将来工業用水道の水源として利用する者もこれに該当する。また,負担金の支払時期について,公団法施行令は支払時期及びその始期については内閣総理大臣及び建設大臣の定めるところによる(24条4項)と規定しているのであって,水資源開発施設を利用して流水を工業用水道の用に供する時期とは無関係である。一般論としても,流水を利用するかしないかという利用者個別の事情で費用負担義務が発生したりしなかったりという解釈が成り立つはずがない。イ公団法20条2項の同意は,工業用水道の水源として利用しようとする者の同意であり,現時点で工業用水道事業を行う者の同意には限られず,将来水源として工業用水道に利用する者も含まれる。そもそも原告らは,「工業用水道事業者」が同 工業用水道の水源として利用しようとする者の同意であり,現時点で工業用水道事業を行う者の同意には限られず,将来水源として工業用水道に利用する者も含まれる。 釈が成り立つはずがない。イ公団法20条2項の同意は,工業用水道の水源として利用しようとする者の同意であり,現時点で工業用水道事業を行う者の同意には限られず,将来水源として工業用水道に利用する者も含まれる。そもそも原告らは,「工業用水道事業者」が同 工業用水道の水源として利用しようとする者の同意であり,現時点で工業用水道事業を行う者の同意には限られず,将来水源として工業用水道に利用する者も含まれる。そもそも原告らは,「工業用水道事業者」が同法所定の同意者であるかのように主張しているが,同項は,「工業用水道の用に供しようとする者」をもって同意者と定めているのであるから,同主張は失当である。(6) 争点(4)ウ(独立採算の原則違反)について(原告らの主張)愛知県においては工業用水道事業は地方公営事業として事業が営まれているところ,地方公営企業は独立採算の原則が採られており,例外的に法令で定める場合を除いては一般会計から特別会計への繰入れは認められない(地方財政法6条,地公企法17条の2,17条の3)。工業用水道事業は,市民生活に密着する事業ではなく,市民生活との関わりは間接的である。したがって,安易に一般会計から工業用水道事業会計への繰入れを認めることは,一般行政事務の財源を奪うことになり,その結果,一般住民の福祉が制限されることになるから,工業用水道事業は,地方公営企業のなかでも,特に独立採算の原則が厳格に維持されなければならない。そして,本件堰に係る愛知県の工業用水は,その需要がなく,本件負担金に見合う料金収入がないことは明らかである。このような債務を負担することは事業自体を再建不能な経営破綻に陥らせるものであり,本件貸付けは,法が許容する繰入れの要件に該当しないことは明らかである。また,地公企法18条,18条の2によって地方公営企業の特別会計への出資等が認められているが,これは独立採算の原則の例外であって,前記のとおり許容されるか否か厳格に審査される必要があるから,これらの出資等を行うことができるためにはそのための合理的根拠を示す特別の事由が必要である。繰入出資等 これは独立採算の原則の例外であって,前記のとおり許容されるか否か厳格に審査される必要があるから,これらの出資等を行うことができるためにはそのための合理的根拠を示す特別の事由が必要である。繰入出資等が例外的に許容されるのは,工業用水道事業が経営破綻したものの,経営再建ができる場合,すなわち将来的に独立採算で健全な企業経営が可能なときのみであって(地公企法43条,49条),かつ出資等をする際には財政再建計画又は経営健全化計画が策定され,それが自治大臣に承認される必要がある。 される必要があるから,これらの出資等を行うことができるためにはそのための合理的根拠を示す特別の事由が必要である。繰入出資等が例外的に許容されるのは,工業用水道事業が経営破綻したものの,経営再建ができる場合,すなわち将来的に独立採算で健全な企業経営が可能なときのみであって(地公企法43条,49条),かつ出資等をする際には財政再建計画又は経営健全化計画が策定され,それが自治大臣に承認される必要がある。以上のことは自治省財政局長通知(平成10年4月28日自治企一第34号)「平成10年度の地方公営企業繰出金について(通知)」にも明らかにされている。本件貸付けの場合,上記の許容基準を満たしていないことは明らかであり,また上記の手続もなされていない。したがって,本件貸付けは違法である。(被告らの主張)工業用水道事業だけを独立採算の原則を厳格に維持すべき理由はない。地公企法17条の2第1項2号,17条の3,18条,18条の2により,地方公共団体は,一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計へ補助,出資,長期貸付けができるとされている。このうち地公企法18条の2第1項に基づく長期貸付けは,営業運転資金等に充てるためにも,また施設の建設改良に充てるためにもこれをなし得るとされており,同貸付けに係る支出は裁量的支出である。したがって,原告らの主張はその前提において失当である。なお,原告らは地公企法43条,49条を根拠に,一般会計から工業用水道事業会計への繰入れの許容基準を主張しているが,これらの規定は,実質上収支が均衡していない,一定の不良債務を有する地方公営企業について,地公企法第7章の規定によって財政の再建を行おうとする地方公共団体に国の援助,協力のもとに計画 張しているが,これらの規定は,実質上収支が均衡していない,一定の不良債務を有する地方公営企業について,地公企法第7章の規定によって財政の再建を行おうとする地方公共団体に国の援助,協力のもとに計画的に再建を行わせるために必要な措置を定めた規定であることは明白であり,原告らの見解は独自の見解というべきである。また,原告らは前記自治省財政局長通知も根拠の一つとしている。しかし,同通知は,平成10年度における地方公営企業繰出金の運用のあり方についての「基本的な考え方」と「基本的な考え方に沿って公営企業会計に繰出しを行ったときは,その一部について必要に応じ地方交付税措置等において考慮するものである」ことを通知したものであり,繰出しの許容基準を通知したものではないから,これを根拠とする原告らの主張もまた失当である。 原告らは前記自治省財政局長通知も根拠の一つとしている。しかし,同通知は,平成10年度における地方公営企業繰出金の運用のあり方についての「基本的な考え方」と「基本的な考え方に沿って公営企業会計に繰出しを行ったときは,その一部について必要に応じ地方交付税措置等において考慮するものである」ことを通知したものであり,繰出しの許容基準を通知したものではないから,これを根拠とする原告らの主張もまた失当である。第3 当裁判所の判断 1 差止請求の訴えの利益等証拠(乙イ11)及び弁論の全趣旨によれば,愛知県は本件負担金の支払のための支出として,前記争いのない事実等(5)のとおり,愛知県一般会計から同工業用水道事業会計に対する長期貸付けの履行として本件貸付け①及び②の支出を行ったほか,本件口頭弁論終結時までに平成11年9月,平成12年3月及び平成12年9月において,同様の支出を行ったと認められる。したがって,原告らの本件貸付けの差止めを求める訴えのうち,これらの支出の差止めに係る部分の訴えは,訴えの利益を欠くものであって,不適法である。ところで,前記争いのない事実によれば,本件負担金は平成30年3月まで毎年2期に分けて公団に償還されることになっているから,原告らの本件貸付けの差止めを求める訴えは,平成30年3月までの各年の3月及び9月に支払うべき本件負担金の支払資金に充てるために,本件負担金の支払時期に合わせて,愛知県一般会計から同工 ているから,原告らの本件貸付けの差止めを求める訴えは,平成30年3月までの各年の3月及び9月に支払うべき本件負担金の支払資金に充てるために,本件負担金の支払時期に合わせて,愛知県一般会計から同工業用水道事業会計に対して出資,長期貸付けその他の名目をもってなされる各支出の差止めを求めるものと解されるが,今後の水需要等の増加など社会情勢の変化により,本件負担金の支払資金を工業用水道事業会計において手当できる可能性もあり,平成30年3月までに愛知県一般会計から同工業用水道事業会計に対して本件負担金支払のための支出が確実になされるものとは認め難い。第7次愛知県地方計画においては,平成22年には本件堰による工業用水の需要が尾張地域で若干(毎秒約0.2立方メートル)発生することが見込まれるほか,西三河地域で水道用水や工業用水の水資源不足が生ずると予想されており,本件堰による工業用水でこれらを補うことが検討されているほか,平成22年度以降は中部国際空港の開港,第二東名・名神高速道路の開通などの広域的な交通基盤の整備などにより,愛知県における産業経済の発展が持続していくと考えられることや企業の水利用の合理化が限界に近づいてきていることから,水需要は着実に増加していくものと考えられるとし,本件堰の工業用水の事業化の見通しがあるとの意見もある(甲2)。 れており,本件堰による工業用水でこれらを補うことが検討されているほか,平成22年度以降は中部国際空港の開港,第二東名・名神高速道路の開通などの広域的な交通基盤の整備などにより,愛知県における産業経済の発展が持続していくと考えられることや企業の水利用の合理化が限界に近づいてきていることから,水需要は着実に増加していくものと考えられるとし,本件堰の工業用水の事業化の見通しがあるとの意見もある(甲2)。上記のような将来予測もあることに鑑みれば,平成21年度までは本件負担金の支払資金に充てるため,愛知県一般会計から同工業用水道事業会計への貸付けなどによる支出が行われる確実性があるものと認められるが,平成22年度以後については同支出が確実に行われるとは認め難いので,これらの年度の支出の差止めを求める訴えは不適法である。2 争点(1)(住民訴訟の対象性)について本件貸付けは,愛知県の一般会計から特別会計 後については同支出が確実に行われるとは認め難いので,これらの年度の支出の差止めを求める訴えは不適法である。2 争点(1)(住民訴訟の対象性)について本件貸付けは,愛知県の一般会計から特別会計である同工業用水道事業会計への長期貸付け等を原因とする繰入支出であるところ,被告らは,本件貸付けは住民訴訟の対象たる「公金の支出」(法242条の2第1項1号,4号,242条1項)に該当しないと主張するので検討する。(1) 「支出」について被告らは,上記「公金の支出」にいう「支出」とは,地方公共団体から外部に対してなされる公金の支出を指すのであって,地方公共団体である愛知県内部の公金の移動はこれに該当しないと主張する。ところで,国家財政については財政法2条3項は,同条1項の収入(国の各般の需要を充たすための支払の財源となるべき現金の収納をいう。)及び支出(国の各般の需要を充たすための現金の支払をいう。)には,会計間の繰入その他国庫内において行う移換を含むと規定しており,一般会計から特別会計への繰入れも支出に含まれる旨を明らかにしているが,地方公共団体の財政については,財政法2条3項に相当する規定は存在しない。しかし,財政法2条3項が,会計間の繰入れも同条1項の支出に含むと規定した趣旨は,財政活動を複数の会計に区分して別々に整理している場合,それぞれの会計において収入支出として整理する方が経理上便宜であるとともに,すべての収支を予算に編入し国会の監督下に置きやすくするという総計予算主義の原則(財政法14条)から好ましいためであると解される。 団体の財政については,財政法2条3項に相当する規定は存在しない。しかし,財政法2条3項が,会計間の繰入れも同条1項の支出に含むと規定した趣旨は,財政活動を複数の会計に区分して別々に整理している場合,それぞれの会計において収入支出として整理する方が経理上便宜であるとともに,すべての収支を予算に編入し国会の監督下に置きやすくするという総計予算主義の原則(財政法14条)から好ましいためであると解される。そうすると,普通地方公共団体の財政についても,法210条により総計予算主義の原則が採用され,実際上の便宜という観点からも国家財政と地方財政とでは異なるところがないので,地方公共団体においても,会計間の繰 ると,普通地方公共団体の財政についても,法210条により総計予算主義の原則が採用され,実際上の便宜という観点からも国家財政と地方財政とでは異なるところがないので,地方公共団体においても,会計間の繰入れは,上記「支出」に該当すると解するのが相当である。(2) 住民訴訟の対象としての「公金の支出」について住民訴訟制度の目的は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が究極的には当該普通地方公共団体の構成員である住民全体の利益を害するものであるところから,これを防止するため,地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として,住民に対しその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え,もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的としたものであって(最高裁昭和53年3月30日第1小法廷判決・民集32巻2号485頁参照),当該普通地方公共団体におよそ財産的損害が生じ得ない行為については住民訴訟の対象とならないが,逆に,住民全体の利益を害するおそれが具体的に認められる場合には当該行為は住民訴訟の対象となる。地方公共団体の特別会計は,その設置要件が法定されており(法209条2項),地方公営企業については地方財政法6条,地公企法17条により特別会計の設置が義務付けられている。そして,地方公営企業の特別会計の経費は,当該地方公営企業の経営に伴う収入によって賄われるのが原則とされている(地方財政法6条,地公企法17条の2第2項)が,この原則は独立採算ないし受益者負担の原則といわれる。地方公営企業における独立採算ないし受益者負担の原則は,地方公営企業の活動は一定の財貨又はサービスを個々の住民に供給することを目的として行われるものであり,民間企業の活動と本質的な差異があるわけでなく,また,住民はそれぞれ の経費は,当該地方公営企業の経営に伴う収入によって賄われるのが原則とされている(地方財政法6条,地公企法17条の2第2項)が,この原則は独立採算ないし受益者負担の原則といわれる。地方公営企業における独立採算ないし受益者負担の原則は,地方公営企業の活動は一定の財貨又はサービスを個々の住民に供給することを目的として行われるものであり,民間企業の活動と本質的な差異があるわけでなく,また,住民はそれぞれ 算ないし受益者負担の原則は,地方公営企業の活動は一定の財貨又はサービスを個々の住民に供給することを目的として行われるものであり,民間企業の活動と本質的な差異があるわけでなく,また,住民はそれぞれの需要に合わせて財貨又はサービスの提供を受けるものであり,受益関係も明確に限定して計量できることから,財貨又はサービスの供給の経費負担の公平と効率的な供給を図るために採用されたものである。すなわち,このような財貨又はサービスの供給の経費を一般会計からの繰入れによることは,これらの財貨,サービスの供給を受けない者に負担を求めることにほかならず,また,過剰供給あるいは過小供給をもたらすおそれがあり適当ではなく,市場原理に基づく適切な価格を付し,受益者から受益の程度に応じた対価の提供を求めてこれにより供給に要する費用を賄うこととするほうが住民間の公平にかなうということができるのである。地方財政法,地方公営企業法は,独立採算ないし受益者負担の原則を規定し,一般会計から繰入れできる経費と繰入れできる場合とその条件を限定している(地方財政法6条,地公企法17条の2第1項,17条の3)。これらの地方公営企業の特別会計と一般会計との関係についての財務会計規定に反する行為がなされた場合は,住民一般が負担すべきでないものを負担するという不公平が生じ,住民の利益が害されることになる。のみならず,一般会計は当該普通地方公共団体の行政運営における基本的な経費を網羅して計上した会計であり,特別会計に属しない歳入歳出の経理全体をいい,同会計は,主に住民から賦課徴収した地方税によって賄われている(その他の収入として,法224条ないし227条に規定する分担金等がある。)から,一般会計から地方公営企業が設けた特別会計に対して違法な繰入支出がなされた場合には,地方公営企業の本来 て賄われている(その他の収入として,法224条ないし227条に規定する分担金等がある。 網羅して計上した会計であり,特別会計に属しない歳入歳出の経理全体をいい,同会計は,主に住民から賦課徴収した地方税によって賄われている(その他の収入として,法224条ないし227条に規定する分担金等がある。)から,一般会計から地方公営企業が設けた特別会計に対して違法な繰入支出がなされた場合には,地方公営企業の本来 て賄われている(その他の収入として,法224条ないし227条に規定する分担金等がある。)から,一般会計から地方公営企業が設けた特別会計に対して違法な繰入支出がなされた場合には,地方公営企業の本来の目的が公共の福祉の増進にある(地公企法3条)としても,一般会計に計上された支出,すなわち住民一般を対象とした予算支出の減少を来し,結果として住民全体の利益を害するおそれが生じることは否定し難い。そして,一般会計に計上されるべき支出の減少をもたらすという点においては,繰入支出が,後の返還が予定されている地公企法18条の出資として,あるいは同法18条の2の長期貸付けとしてなされる場合についても,同様である。住民訴訟の制度が設けられた目的に鑑みれば,住民全体の利益を害するおそれが具体的に認められる行為は住民訴訟の対象となるというべきところ,上記検討した結果によれば,一般会計から特別会計への繰出しは,住民全体の利益のために確保されるべき一般会計の予算支出を減少させ,住民全体の利益を害するおそれがあると認められる。このような関係は,普通地方公共団体外へ違法な支出がなされて財産的損害が発生する場合と同一であり,一般会計から特別会計への繰入支出に関する行為がなされた段階において財産的損害が発生したと同視すべきである。この点,被告らは,財産的損害のおそれの有無は法人格を基準とすべきであるとし,本件貸付けがなされた段階では愛知県に損害が生じる客観的可能性がないと主張する。一般会計から特別会計への繰出しがなされたとしても,特別会計に保持され,一定の場合には一般会計へ戻されることがあるというようなものについては,被告らの主張にも一理ある。しかしながら,本件貸付けは,本件負担金の支払という特定の目的のために支出されるものであり,実際にも本件貸付後直ちに,愛 計へ戻されることがあるというようなものについては,被告らの主張にも一理ある。しかしながら,本件貸付けは,本件負担金の支払という特定の目的のために支出されるものであり,実際にも本件貸付後直ちに,愛知県工業用水道事業会計から公団に対して本件貸付額と同額の支出がなされるのであり,特別会計にそのまま保持されることはない。 担金の支払という特定の目的のために支出されるものであり,実際にも本件貸付後直ちに,愛 計へ戻されることがあるというようなものについては,被告らの主張にも一理ある。しかしながら,本件貸付けは,本件負担金の支払という特定の目的のために支出されるものであり,実際にも本件貸付後直ちに,愛知県工業用水道事業会計から公団に対して本件貸付額と同額の支出がなされるのであり,特別会計にそのまま保持されることはない。このような実態に照らすならば,本件貸付けがなされた時点で愛知県の住民全体の利益が害されるおそれが具体的に認められるというべきであり,被告らの主張は採用できない。なお,本件負担金の支払財源の確保に関する財務会計法規違反の違法は,本件負担金の支払自体の違法と直接関連がなく,本件負担金の支払が適法な場合においても違法というべき場合があるから,本件負担金が支払われたときにおいて財務会計行為の違法を問題とすれば足りるとの見解は取り得ない。よって,本件貸付けは住民訴訟の対象となる「公金の支出」に該当すると解するのが相当である。3 争点(2)(被告A及び被告Bの当該職員性)について前記のとおり,被告Aは本件貸付け①がなされた時に,被告Bは本件貸付け②がなされた時に,それぞれ愛知県知事の地位にあった者であるが,被告A及び被告Bは,本件貸付け①又は②について,同被告らは自ら支出命令を行っていないから,法242条の2第1項4号前段にいう「当該職員」に該当しないと主張する。法242条の2第1項4号前段にいう「当該職員」とは,当該訴訟において適否が問題とされている財務会計上の行為をなす権限を法令上本来的に有するとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして上記権限を有するに至った者を広く意味する(最高裁昭和62年4月10日第2小法廷判決・民集41巻3号239頁参照)。そして,普通地方公共団体の長は,当該普通地方公共団体を代表 限の委任を受けるなどして上記権限を有するに至った者を広く意味する(最高裁昭和62年4月10日第2小法廷判決・民集41巻3号239頁参照)。そして,普通地方公共団体の長は,当該普通地方公共団体を代表する者であり,その条例,予算その他の議会の議決に基づく事務その他公共団体の事務を自らの判断と責任において誠実に管理し,執行する義務を負い,予算の執行,地方税の賦課徴収,分担金,使用料,加入金又は手数料の徴収,財産の取得,管理及び処分等の広範な財務会計上の行為をあらかじめ補助職員に専決させることとしている場合であっても,上記財務会計上の行為を法令上本来的に有する者とされている。 普通地方公共団体を代表する者であり,その条例,予算その他の議会の議決に基づく事務その他公共団体の事務を自らの判断と責任において誠実に管理し,執行する義務を負い,予算の執行,地方税の賦課徴収,分担金,使用料,加入金又は手数料の徴収,財産の取得,管理及び処分等の広範な財務会計上の行為をあらかじめ補助職員に専決させることとしている場合であっても,上記財務会計上の行為を法令上本来的に有する者とされている。よって,普通地方公共団体の長は,上記財務会計上の行為の適否が問題とされている当該代位請求住民訴訟において,法242条の2第1項4号前段にいう「当該職員」に該当するものと解すべきである(最高裁平成3年12月20日第2小法廷判決・民集45巻9号1455頁,最高裁平成5年2月16日第3小法廷判決・民集47巻3号1687頁参照)。本件貸付け①及び②は,貸付金として公金が支出されたものであり,その支出命令について普通地方公共団体の長が本来的にその権限を有することは明らかであるから,その地位にあった被告A及び被告Bが法242条の2第1項4号前段にいう「当該職員」に該当することは明らかである。なお,本件貸付けに係る支出命令をする権限が愛知県知事の補助職員に内部的に委任されていたとしても,被告愛知県知事に対して上記支出命令の差止めを命ずる判決があれば,行政事件訴訟法43条3項,41条1項,33条1項により専決者を拘束することになるから,差止請求の訴えにつき愛知県知事の被告適格も認められるというべきである。4 争点(3)(監査請求前置及び出訴期間)について(1) 監査請求について 33条1項により専決者を拘束することになるから,差止請求の訴えにつき愛知県知事の被告適格も認められるというべきである。4 争点(3)(監査請求前置及び出訴期間)について(1) 監査請求について当該普通地方公共団体の住民が特定の公金の支出を違法な財務会計上の行為であるとしてその差止めを求める監査請求には,当該公金の支出がなされたことによる損害賠償請求に関する監査請求が含まれると解することができるから,当該公金の支出がなされたことに対して,新たに監査請求をしなくとも,当該公金の支出が違法であることを理由として,法242条の2第1項4号前段の当該職員に対する損害賠償請求の訴えを提起することができると解するのが相当である。 定の公金の支出を違法な財務会計上の行為であるとしてその差止めを求める監査請求には,当該公金の支出がなされたことによる損害賠償請求に関する監査請求が含まれると解することができるから,当該公金の支出がなされたことに対して,新たに監査請求をしなくとも,当該公金の支出が違法であることを理由として,法242条の2第1項4号前段の当該職員に対する損害賠償請求の訴えを提起することができると解するのが相当である。したがって,被告A及び被告Bに対する法242条の2第1項4号前段に基づく損害賠償請求の訴えは,本件貸付け①及び②について新たな監査請求を経た上で提起しなければならないとする同被告らの主張は採用できない。(2) 出訴期間について前記(1)において,本件貸付け①及び②について新たな監査請求を経ることを要しないとしたとしても,本件のように,当該執行機関に対する公金の支出の差止請求(法242条の2第1項1号)の訴え提起後に,当該公金の支出が違法になされたことを理由とした当該職員に対する損害賠償請求(同項4号前段)の訴えを追加的に提起する場合において,追加分の訴えの出訴期間をどのように解するかが問題となる。この点,①被告A及び被告Bは,甲事件に係る監査結果の通知があった日から30日以内に乙事件及び丙事件の訴えを提起すべきであるところ,原告らはこれをしていないと主張し,②被告Bは,そうでないとしても,出訴期間を定めた法の趣旨からすれば,遅くとも本件貸付け②があったことを知り得た日から30日以内に訴えを提起すべきであると るところ,原告らはこれをしていないと主張し,②被告Bは,そうでないとしても,出訴期間を定めた法の趣旨からすれば,遅くとも本件貸付け②があったことを知り得た日から30日以内に訴えを提起すべきであると主張する。しかしながら,前記①のように解すると,本件のように監査結果の後30日以上が経過してから,本件貸付け①及び②が行われたようなときには,同行為の時点において既に出訴期間が徒過していることになり,当該行為に対し,住民訴訟を提起する途が閉ざされることになり余りにも不合理である。また,前記②の主張については,法文上そのような解釈が可能であるとはいい難く,そもそも法が出訴期間を定めた(法242条の2第2項)のは,住民監査請求において問題とされた財務会計行為に基づく結果を速やかに確定させることにより,財務会計行政の法的安定性を図ることにあるから,既に当該財務会計行為について住民訴訟が裁判所に係属し,その適法性が争われている事情の下において,その係属中の訴訟に追加的に提起された訴えについて前記出訴期間を定めた法の趣旨が妥当するとはいえないというべきである。 そも法が出訴期間を定めた(法242条の2第2項)のは,住民監査請求において問題とされた財務会計行為に基づく結果を速やかに確定させることにより,財務会計行政の法的安定性を図ることにあるから,既に当該財務会計行為について住民訴訟が裁判所に係属し,その適法性が争われている事情の下において,その係属中の訴訟に追加的に提起された訴えについて前記出訴期間を定めた法の趣旨が妥当するとはいえないというべきである。したがって,被告A及び被告Bの前記主張①,②はいずれも採用できない。そこで検討するに,訴えの追加的変更は,住民訴訟においても,変更後の新請求に関する限り新たな訴えの提起にほかならないから,変更後の新請求に関する出訴期間が遵守されているかどうかは,変更後の新請求と変更前の旧請求との間に訴訟物の同一性が認められるとき,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情がある場合を除き,当該訴えの変更時を基準として決するべきである。本件の場合,甲事件に係る差止請求と乙事件及び丙事件に たものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情がある場合を除き,当該訴えの変更時を基準として決するべきである。本件の場合,甲事件に係る差止請求と乙事件及び丙事件に係る損害賠償請求とは,その中心的な争点を共通とするものであるのみならず,公金の支出差止め,公金の支出,損害賠償の請求はいわば一連の流れであるにもかわらず,訴訟上差止めを求められている公金の支出がなされれば,差止請求は不適法な訴えとなり,住民としては支出に対する損害賠償の訴えに変更せざるを得なくなる関係にあるが,訴えが不適法となったことについて原告ら住民側に何らの責任はない。このような場合においては,後者の損害賠償を求める訴えは,出訴期間の遵守の関係では,前者の公金の支出差止めを求める訴えが提起された時に提起されたものと同視すべき特段の事情があるというべきである。この場合,訴えの変更の前後で被告が異なるが,前者の差止請求の被告が行政機関である愛知県知事であるのに対し,後者の各請求の被告は愛知県知事の地位にあった被告A個人ないし現にその地位にある被告B個人であり,両者は観念的には異なるものの,愛知県知事としての行為をなした段階で,被告Aないし被告Bに対する賠償請求の訴えに変更されることは予想できたものであるから,被告が異なることは前記特段の事情の存在を認めるべきとの結論を左右するに足るものではない。 ,前者の差止請求の被告が行政機関である愛知県知事であるのに対し,後者の各請求の被告は愛知県知事の地位にあった被告A個人ないし現にその地位にある被告B個人であり,両者は観念的には異なるものの,愛知県知事としての行為をなした段階で,被告Aないし被告Bに対する賠償請求の訴えに変更されることは予想できたものであるから,被告が異なることは前記特段の事情の存在を認めるべきとの結論を左右するに足るものではない。以上のことから,被告A及び被告Bに対する各訴えは出訴期間の遵守において欠けることがないというべきである。5 争点(4)ア(本件基本計画の違法性とその承継)について原告らは,本件貸付けが違法であることの根拠として,本件基本計画自体が違法であり,その違法性がその後の本件実施計画,愛知県による本件負担金を負担する旨の同意,本件負担金の支払方法の決定, について原告らは,本件貸付けが違法であることの根拠として,本件基本計画自体が違法であり,その違法性がその後の本件実施計画,愛知県による本件負担金を負担する旨の同意,本件負担金の支払方法の決定,同決定に基づく本件負担金の納付通知ないし本件貸付けへと承継されることを挙げる。しかしながら,住民訴訟において,当該職員に対して損害賠償を問うことができるのは,先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても,上記原因行為を前提としてなされた財務会計行為それ自体が財務会計法規上の義務に違反する違法な場合に限られるというべきであり(最高裁平成4年12月15日第3小法廷判決・民集46巻9号2753頁参照),この理は,法242条の2第1項1号の差止請求についても同様であると解され,これに反する原告らの主張は採用できない。本件においては,財務会計行為である一般会計から工業用水道事業会計への長期貸付金の交付である本件貸付けそれ自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものといえるかが検討されなければならない。しかるに,原告らは,本件基本計画の違法(その違法は,将来の水需要を誤ったというものであり,財務会計上の違法でないことは明らかである。)が,その後の本件負担金の負担の同意や本件負担金の納付通知へ承継されたとして,先行する原因行為(本件貸付けの原因行為は,本件負担金の支払の必要と工業用水道事業会計に本件負担金の支払原資がなかった事実であり,本件負担金の支払のみが原因行為ではないが,この点はひとまず措くこととする。 告らは,本件基本計画の違法(その違法は,将来の水需要を誤ったというものであり,財務会計上の違法でないことは明らかである。)が,その後の本件負担金の負担の同意や本件負担金の納付通知へ承継されたとして,先行する原因行為(本件貸付けの原因行為は,本件負担金の支払の必要と工業用水道事業会計に本件負担金の支払原資がなかった事実であり,本件負担金の支払のみが原因行為ではないが,この点はひとまず措くこととする。)の違法を主張するだけで,原因行為の違法の結果,本件貸付けそれ自体が財務会計法規上の義務に違反することとなった事実を具体的に主張しない。原告らの主張中には,本件基本計画は違法であるから,これによって本件負担金の支払義務が生じることはないと 結果,本件貸付けそれ自体が財務会計法規上の義務に違反することとなった事実を具体的に主張しない。原告らの主張中には,本件基本計画は違法であるから,これによって本件負担金の支払義務が生じることはないとの主張があるが,本件負担金債務は,前記第2の1(4)アのとおり,本件堰の建設のために現実に要した費用を治水分と利水分に分けて国,都道府県及び流水の利用者で分担するという目的の下に愛知県が負担したことにより発生したものであるから,本件基本計画の違法により直ちに本件負担金債務が発生しなくなるという原告らの上記主張には法論理上飛躍があり,にわかに採用し難く,これを根拠とする本件貸付けの違法の主張は理由がない。仮に,原因行為の違法が財務会計行為の違法につながる余地があるとしても,原因行為である非財務会計行為が国の行政機関や当該普通地方公共団体における行政組織上独立の権限を有する機関により,その権限に基づいてなされた行政処分その他の行為である場合には,一定の要件を満たした場合にのみ当該行為の効力を争うことを認めている抗告訴訟制度(行政事件訴訟法3条)に抵触することになるだけでなく,住民訴訟という枠の中で国の行政活動一般をも対象とすることになるものであって,住民訴訟の目的を著しく逸脱するものである。これを本件についてみるに,本件基本計画は,促進法4条に基づき,内閣総理大臣が決定するものであるところ,原告らが同計画は違法であり,本件貸付けもその違法性を承継しているから違法であるとして本件貸付けの適法性を争うことは,実質的にみて,住民訴訟である本件訴訟において内閣総理大臣が行った本件基本計画の計画決定を争うものであって,明らかに住民訴訟の目的を逸脱するものであるといわざるを得ない。 るものである。これを本件についてみるに,本件基本計画は,促進法4条に基づき,内閣総理大臣が決定するものであるところ,原告らが同計画は違法であり,本件貸付けもその違法性を承継しているから違法であるとして本件貸付けの適法性を争うことは,実質的にみて,住民訴訟である本件訴訟において内閣総理大臣が行った本件基本計画の計画決定を争うものであって,明らかに住民訴訟の目的を逸脱するものであるといわざるを得ない。この点においても,原告らの主張は失当というべきである。なお付言するに, 内閣総理大臣が行った本件基本計画の計画決定を争うものであって,明らかに住民訴訟の目的を逸脱するものであるといわざるを得ない。この点においても,原告らの主張は失当というべきである。なお付言するに,原告らは本件基本計画の違法事由として,同計画における将来の水需要の予測が著しく誤っていることを主張するのみであるが,かかる主張は国が行う同計画を含んだ木曽川水系における水資源開発政策の当否を問題にしているにすぎないというべきであって,本件基本計画の違法事由とはならないものであり,この意味でも失当である。6 争点(4)イ(本件負担金の支払義務の不発生)について(1) 公団法29条1項に基づく費用負担者について当該水資源開発施設の新築費用等について,公団法29条1項は,「水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者」に負担させると規定している。同規定について,原告らは,同規定の文言が「供する者」となっていることから,上記費用の負担者は本件堰によって開発された流水を用いて現実に工業用水道事業を実施する者であるとし,愛知県は本件堰の流水を利用していないから,本件負担金の費用負担者ではなく,よって愛知県は本件負担金の支払義務を負わないと主張する。しかしながら,同規定は,当該水資源開発施設の建設によって利水面で恩恵を受ける者に同施設の新築費用等を負担させることとした規定であって,文言上も「用に供している者」とは規定されていないのであるから,「水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者」とは,現に同施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供している者に限らず,将来にわたって同施設を利用する予定があり,その恩恵を受けることとなっている者もこれに含まれると解するのが相当である。 恩恵を受ける者に同施設の新築費用等を負担させることとした規定であって,文言上も「用に供している者」とは規定されていないのであるから,「水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者」とは,現に同施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供している者に限らず,将来にわたって同施設を利用する予定があり,その恩恵を受けることとなっている者もこれに含まれると解するのが相当である。よって,原告 用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供している者に限らず,将来にわたって同施設を利用する予定があり,その恩恵を受けることとなっている者もこれに含まれると解するのが相当である。よって,原告らの前記主張は採用できない。(2) 公団法20条2項の費用負担の同意者について公団法20条2項は,公団が同条1項に基づき事業実施計画を作成又は変更しようとする場合において,当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとする者が特定しているときは,あらかじめ,その者の意見を聞くとともに,同法29条1項の規定による同施設の新築又は改築に要する費用の負担についてその者の同意を得なければならないと規定している。公団法20条2項について,原告らは,同規定における費用負担の同意者は,当該水資源開発施設の開発水を利用する工業用水道施設の建設,改良を行う工業用水道事業管理者(本件では,愛知県企業庁)であって,同事業を行わない愛知県ではないから,愛知県が同規定による同意をしたからといって,愛知県が本件負担金の支払義務を負うものではないと主張する。しかしながら,同規定も公団法29条1項と同様の趣旨の規定であって,当該水資源開発施設が将来建設された場合に,その建設によって利水面で恩恵を受ける者に同施設の新築費用等を負担させることを前提に,あらかじめその者の同意を得た上で,同施設に係る事業実施計画を作成又は変更することを公団に義務づけた規定である。したがって,公団法20条2項の同意者は,将来水源として工業用水道を利用し,同施設の恩恵を受けようとする者であれば足りるのであり,その同意者が工業用水道事業管理者(地公企法7条)である必要はない。原告らの前記主張は独自の見解に基づくものであって到底採用できない。(3) 以上の の恩恵を受けようとする者であれば足りるのであり,その同意者が工業用水道事業管理者(地公企法7条)である必要はない。 定である。したがって,公団法20条2項の同意者は,将来水源として工業用水道を利用し,同施設の恩恵を受けようとする者であれば足りるのであり,その同意者が工業用水道事業管理者(地公企法7条)である必要はない。原告らの前記主張は独自の見解に基づくものであって到底採用できない。(3) 以上の の恩恵を受けようとする者であれば足りるのであり,その同意者が工業用水道事業管理者(地公企法7条)である必要はない。原告らの前記主張は独自の見解に基づくものであって到底採用できない。(3) 以上のことから,愛知県が本件負担金の支払義務を負っていないとの原告らの主張はいずれも理由がなく,前記第2の1の争いのない事実等(4)イのとおり,愛知県は公団法20条2項に基づく同意をしているから,愛知県が本件負担金の支払義務を負っていることは明らかである。7 争点(4)ウ(独立採算の原則違反)について原告らは,本件貸付けは,地方公営企業の経費について独立採算の原則を定めた地方財政法6条,地公企法17条の2第2項に違反するものであって,違法であると主張する。地方公営企業の独立採算ないし受益者負担の原則とは,法によって認められた場合を除き,その事業ごとに設けられた特別会計においては,当該地方公営企業の経営に伴う収入(地方財政法5条の地方債による収入を含む。)をもってこれに充てることを原則とするというものであり,その性質上,上記収入をもって充てることが適当でないものや,当該地方公営金業の性質上能率的な経営を行ったとしても,なお上記収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費については当該地方公共団体の一般会計又は他の特別会計により負担することができるとされているほか(地方財政法6条本文,地公企法17条の2第1項),例外として,災害の復旧その他特別の理由により必要が生じた場合には,一般会計又は他の特別会計から補助を受けることができるとされている(地公企法17条の3)。もっとも,独立採算の原則は,地方公共団体内部における一般会計と特別会計との負担区分のあり方に関するものであり,同一地方公共団体内部での金銭の受入れであっても,財貨や いる(地公企法17条の3)。もっとも,独立採算の原則は,地方公共団体内部における一般会計と特別会計との負担区分のあり方に関するものであり,同一地方公共団体内部での金銭の受入れであっても,財貨やサービスの供給の対価として受け入れるのであれば,通常の経済的な取引であり,独立採算の原則に触れるものではない。 計との負担区分のあり方に関するものであり,同一地方公共団体内部での金銭の受入れであっても,財貨や いる(地公企法17条の3)。もっとも,独立採算の原則は,地方公共団体内部における一般会計と特別会計との負担区分のあり方に関するものであり,同一地方公共団体内部での金銭の受入れであっても,財貨やサービスの供給の対価として受け入れるのであれば,通常の経済的な取引であり,独立採算の原則に触れるものではない。同様に,地方公営企業が,その活動資金を調達するために,一般会計又はその他の特別会計から,出資を受け(地公企法18条),長期借入れをすることは(同法18条の2),その対価として納付金の納付や利子の支払をすることを前提としている点で,通常の経済的取引と変わらないので独立採算の原則に触れるものではないとされており,このように出資を受けたり,長期借入をすることにつき,補助を受ける場合のような特別の条件は付けられていない。原告らは,独立採算の原則から長期貸付けができる場合は制限されていると主張し,地公企法43条,49条を根拠として,一般会計から工業用水道事業会計への繰入れの許容基準が定められていると主張しているが,前記のとおり長期貸付けを受けることは独立採算の原則に触れるものではないし,地公企法43条,49条の規定は,実質上収支が均衡していない,一定の不良債務を有する地方公営企業について,地公企法第7章の規定によって財政の再建を行おうとする地方公共団体に国の援助,協力のもとに計画的に再建を行わせるために必要な措置を定めた規定であって,同法18条の2の長期貸付けの許容基準を規定したものでないことは明らかであり,原告らの主張は失当というべきである。また,原告らは自治省財政局長通知「平成10年度の地方公営企業繰出金について」も根拠の一つとしているが,同通知は,平成10年度における地方公営企業繰出金の運用のあり方についての基本的な考え方を示したにす 原告らは自治省財政局長通知「平成10年度の地方公営企業繰出金について」も根拠の一つとしているが,同通知は,平成10年度における地方公営企業繰出金の運用のあり方についての基本的な考え方を示したにすぎないものであり,上記長期貸付けの許容基準を通知したものではないから,これを根拠とする原告らの主張もまた失当である。本件貸付けは,地公企法18条の2に基づく長期貸付けによるものであるが,前記のとおり,同条による長期貸付けは,適正な利息を付さなければならないほかは,愛知県の裁量によりなし得るものである。 同通知は,平成10年度における地方公営企業繰出金の運用のあり方についての基本的な考え方を示したにすぎないものであり,上記長期貸付けの許容基準を通知したものではないから,これを根拠とする原告らの主張もまた失当である。本件貸付けは,地公企法18条の2に基づく長期貸付けによるものであるが,前記のとおり,同条による長期貸付けは,適正な利息を付さなければならないほかは,愛知県の裁量によりなし得るものである。そして,愛知県は,前記負担同意に基づき本件負担金の支払債務を負っているところ,その負担金は工業用水道事業の水資源確保のために発生した費用であるから,工業用水道事業会計において負担させるのが受益者負担の原則に適うものの,現時点においては,愛知県における本件堰を利用する工業用水道事業は事業化されておらず,工業用水道事業会計を利用した工業用水の料金収入がなく,同会計をもって本件負担金の支払をする余裕がないために,工業用水道事業が事業化されるまでの措置として本件貸付けを行ったと認められる(弁論の全趣旨)から,愛知県が本件貸付けをすることには合理的理由があるというべきである。また,上記長期貸付けに当たっては利息が付されている(甲2,弁論の全趣旨)。したがって,本件貸付けは地方公営企業の独立採算の原則に抵触せず,適法である。なお,原告らは,本件堰を利用する工業用水道事業の採算見通しは全くなく,本件負担金の支払のために貸付けをしても返済を受けることができないことは明らかであると主張するが,事業の見通しが全くないと断定すべき証拠はないし,上記工業用水道事業化とその事業化後の料金収入による本件負担金相当分の回収には長期間を要するものであり,これを考慮して とは明らかであると主張するが,事業の見通しが全くないと断定すべき証拠はないし,上記工業用水道事業化とその事業化後の料金収入による本件負担金相当分の回収には長期間を要するものであり,これを考慮して返済方法が取り決められているものと思われるから,現段階において工業用水道事業会計が破綻し本件貸付金の返済を受けられなくなる事態が生ずることが明らかであるとはいえない。第4 結論以上判示したところによれば,原告らの請求のうち,被告愛知県知事が支出命令を,被告愛知県出納長が支出をすることを差し止めるとの請求のうち,平成11年9月,平成12年3月及び同年9月の各公金の支出並びに平成22年9月以降平成30年3月まで毎年3月及び9月になされる各公金の支出に係る支出命令及び支出の差止めを請求している部分については不適法であるからこれを却下することとし,その余の請求についてはいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用については,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 うち,平成11年9月,平成12年3月及び同年9月の各公金の支出並びに平成22年9月以降平成30年3月まで毎年3月及び9月になされる各公金の支出に係る支出命令及び支出の差止めを請求している部分については不適法であるからこれを却下することとし,その余の請求についてはいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用については,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官野田武明裁判官橋本都月裁判官富岡貴美

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