- 1 -令和2年11月12日判決言渡令和2年(行コ)第80号在留を特別に許可しない処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成30年(行ウ)第280号,第290号,第291号) 主 文1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由第1 控訴の趣旨1 原判決を取り消す。 2⑴ 東京入国管理局長が平成30年1月16日付けで控訴人Aに対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分を取り消す。 ⑵ 処分行政庁は,控訴人Aに対し,本邦における在留を特別に許可せよ。 3⑴ 東京入国管理局長が平成30年1月16日付けで控訴人Bに対してした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分を取り消す。 ⑵ 処分行政庁は,控訴人Bに対し,本邦における在留を特別に許可せよ。 第2 事案の概要(略称は,原判決のものを用いる。)1 本件は,コンゴ民主共和国の国籍を有する外国人である控訴人ら及びCが,それぞれ難民認定申請をしたところ,法務大臣がいずれについても不認定処分をし,法務大臣から権限の委任を受けた東京入管局長が,いずれについても入管法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分(本件各在特不許可処分)をしたことから,それぞれ本件各在特不許可処分の取消しを求めるとともに,行訴法3条6項1号の義務付けの訴えとして,在留特別許可の義務付けを求める事案である。 - 2 -原審は,本件各在特義務付けの訴えをいずれも却下し,本件各在特不許可処分の取消しを求める請求のうち,東京入管 の義務付けの訴えとして,在留特別許可の義務付けを求める事案である。 - 2 -原審は,本件各在特義務付けの訴えをいずれも却下し,本件各在特不許可処分の取消しを求める請求のうち,東京入管局長が平成30年1月16日付けでCに対してした入管法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分(Cに対する本件在特不許可処分)の取消しを求める部分を認容し,その余の請求をいずれも棄却したところ,これを不服として控訴人らが控訴した。 2 前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり原判決を補正し,後記3のとおり当審における控訴人らの補充的主張を付加するほかは,原判決の「第2 事案の概要」の1ないし3に記載のとおりである(ただし,控訴人らに関する部分に限る。)から,これを引用する。 ⑴ 原判決21頁9行目冒頭から同行目末尾までを「Cには『永住者』又は『定住者』と同様の在留資格が付与されているとみるべきである。」に改める。 ⑵ 原判決21頁13行目の「家族である。」の次に「控訴人AがCを監護養育することの重要性からすれば,通信手段を用いて交流を維持することでは不十分なのであって,」を加える。 ⑶ 原判決22頁7行目から8行目にかけての「問題はない。」を「問題はなく,このことは,訴外永住者が,控訴人Aに在留資格が与えられていないことを知っていたとしても左右されるものではない。」に改める。 ⑷ 原判決23頁5行目冒頭から同6行目の「ところ,」までを「Cには『永住者』又は『定住者』と同様の在留資格が付与されているとみるべきであるところ,」に改める。 3 当審における控訴人らの補充的主張新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,日本社会は不安定な状況にあり,コンゴ民主共和国も全ての国境を封鎖している模様である。このような未曾有 ころ,」に改める。 3 当審における控訴人らの補充的主張新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,日本社会は不安定な状況にあり,コンゴ民主共和国も全ての国境を封鎖している模様である。このような未曾有の困難な状況において,控訴人らを同国へ送還し,本邦に残留するCと引き離した場合,控訴人らに与える苦痛や損害は計り知れないから,控訴人らに在留特 - 3 -別許可を付与すべきである。 第3 当裁判所の判断1 当裁判所も,控訴人らの在留特別許可の義務付けを求める訴えをいずれも却下し,控訴人らに対する在留特別許可をしない旨の処分の取消しを求める請求をいずれも棄却するのが相当であると判断する。その理由は,以下のとおり原判決を補正し,後記2のとおり,当審における控訴人らの補充的主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「第3 当裁判所の判断」の1及び2に記載のとおりである(ただし,控訴人らに関する部分に限る。)から,これを引用する。 ⑴ 原判決43頁1行目の「原告母が」から同2行目の「不法在留していることは,」までを「控訴人Aが,本邦に適法に在留することができない地位にあることが確定し,速やかにコンゴ民主共和国に送還されるべき地位にあるにもかかわらず,あえて本邦に長期間不法在留していることは,」に改める。 ⑵ 原判決43頁10行目の「原告長女に在留特別許可が付与されるべきであるから,」を「Cには『永住者』又は『定住者』と同様の在留資格が付与されているとみるべきであるから,」に改める。 ⑶ 原判決43頁13行目の「暮らすことにより,」の次に「Cの監護を十分にすることができなくなり,」を加える。 ⑷ 原判決43頁15行目から16行目にかけての「本件在特不許可処分時においても,」の次に「親元を離れて生活をすることが不可能ではない年齢に近づ 監護を十分にすることができなくなり,」を加える。 ⑷ 原判決43頁15行目から16行目にかけての「本件在特不許可処分時においても,」の次に「親元を離れて生活をすることが不可能ではない年齢に近づいていたものであり,」を加える。 ⑸ 原判決44頁11行目から12行目にかけての「上記申立てを行っていることが明らかであることからすれば,」を「上記申立てを行い,控訴人Bが退去強制により本国に送還される等の事態があることを承知の上で養親子関係を構築しようとしているものであることからすれば,」に改める。 ⑹ 原判決45頁15行目の「本件口頭弁論終結時において5歳」を「当審口 - 4 -頭弁論終結時において6歳」に改める。 ⑺ 原判決47頁1行目の「原告長女に在留特別許可が付与されるべきであるから,」を「Cに『永住者』又は『定住者』と同様の在留資格が付与されているとみるべきであるから,」に改める。 ⑻ 原判決47頁3行目末尾に「きょうだいである」を加える。 ⑼ 原判決47頁16行目の「送還された場合,」の次に「控訴人Aの監護養育を受けるとしても,」を加える。 ⑽ 原判決47頁18行目から19行目にかけての「本件口頭弁論終結時においても5歳」を「当審口頭弁論終結時においても6歳」に改める。 2 当審における控訴人らの補充的主張に対する判断控訴人らは,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う未曾有の困難な状況において,控訴人らをコンゴ民主共和国へ送還し,本邦に残留するCと引き離した場合,控訴人らに与える苦痛や損害は計り知れないから,控訴人らに在留特別許可を付与すべきであると主張する。 しかし,控訴人らの主張する新型コロナウイルスの感染拡大等の事情は,控訴人らに対する本件在特不許可処分後に生じた事由であるから,控訴人らに対する本件在特不許可 許可を付与すべきであると主張する。 しかし,控訴人らの主張する新型コロナウイルスの感染拡大等の事情は,控訴人らに対する本件在特不許可処分後に生じた事由であるから,控訴人らに対する本件在特不許可処分に係る裁量権の範囲の逸脱又は濫用を基礎づけるものとはいえない。また,甲68,乙59によれば,コンゴ民主共和国においては,新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,一時は非常事態宣言が発令され,令和2年3月24日から全ての国境が封鎖されたものの,同国大統領は,同年7月21日,国営ラジオ・テレビ放送を通じて,非常事態宣言の終了及び政府による措置の段階的解除を発表し,同年8月15日以降,港,空港及び国境が再開されたことが認められ,控訴人らは,同国に送還されたとしても,本邦に残留するCとの間で,国外で会うことや,電話や電子メール等の通信手段により連絡を取り合うことで交流を維持することが可能である。そして,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う危険や混乱が,特定の国や地域においてのみ発生して - 5 -いるものではなく,控訴人らに対してのみ生じている特別の事情でもないことに照らすと,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う危険や混乱といった事情が,控訴人らに対する在留特別許可を付与するか否かの判断に当たり積極的な事情として考慮されなかったとしても,格別不合理であるということはできない。 したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。 3 以上の次第で原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がないから棄却することとする。 よって,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第7民事部 裁判長裁判官 足 立 哲 裁判官 濱 口 浩 裁判官 堀 田 東京高等裁判所第7民事部 裁判長裁判官 足 立 哲 裁判官 濱 口 浩 裁判官 堀 田 次 郎
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