- 1 - 主文 1 本件訴えのうち用途廃止の無効確認を求める旨の訴えを却下する。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 城陽市長(以下「処分行政庁」という。)が平成30年1月19日に行った別紙1物件目録(省略)記載1の建物(以下「本件建物」という。)について同年2月1日に文化パルク城陽(建物)の用途を廃止するとの処分は無効であることを確認する。 2 被告城陽市長A(以下「被告城陽市長」という。)が,NTTファイナンス株式会社(以下「NTTファイナンス」という。)に対し,本件建物についての被告城陽市からNTTファイナンスに対する所有権移転登記の抹消登記手続請求を怠ることは違法であることを確認する。 3 被告城陽市長は,本件建物について別紙2賃料目録(省略)記載の金員をN TTファイナンスに支払うことを命じてはならない。 4 被告城陽市長が,NTTファイナンスに対し,本件建物及び別紙1物件目録記載2ないし11の土地(以下,併せて「本件土地」といい,本件建物と併せて「本件土地建物」という。)の引渡請求を怠ることは違法であることを確認する。 第2 事案の概要本件は,被告城陽市が,その所有に係る本件土地建物において大規模複合文化施設である文化パルク城陽(以下「本件施設」という。)を設置,運営していたところ,被告城陽市長において本件建物の用途廃止(以下「本件用途廃止」という。)を行い,その管理区分を行政財産から普通財産に変更した上で,NT Tファイナンスとの間で,本件建物を同社に売却する旨の売買契約及び本件建 - 2 -物を同社から賃借する旨の賃貸借契約を含むセール・アンド・リースバック から普通財産に変更した上で,NT Tファイナンスとの間で,本件建物を同社に売却する旨の売買契約及び本件建 - 2 -物を同社から賃借する旨の賃貸借契約を含むセール・アンド・リースバック契約(以下「本件契約」という。)を締結したことにつき,城陽市の住民である原告らが,被告城陽市に対し,本件建物について本件施設としての使用を継続したまま行政財産としての用途を廃止することは違法,無効であるなどと主張して,地方自治法242条の2第1項2号に基づき,本件用途廃止が無効で あることの確認(以下「請求1」という。)を求めるとともに,被告城陽市長に対し,行政財産である本件建物の売買契約を含む本件契約は地方自治法238条の4第1項に違反し,私法上も無効であると主張して,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,被告城陽市長がNTTファイナンスに対し,本件建物についてされた被告城陽市からNTTファイナンスに対する所有権移 転登記の抹消登記手続請求を怠ることが違法であることの確認(以下「請求2」という。)を求めるとともに,同項1号に基づき,被告城陽市長が本件契約に基づき別紙賃料目録記載の本件建物に関する賃料の支払命令をすることの差止め(以下「請求3」という。)を求め,同項3号に基づき,被告城陽市長がNTTファイナンスに対して本件土地建物の引渡請求を怠ることが違法であ ることの確認(以下「請求4」という。)を求める事案である。 2 前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 原告ら原告らは,いずれも城陽市の住民である。 ⑵ 本件契約の締結等ア被告城陽市は,平成7年4月,「城陽市文化パルク城陽の設置及び管理に関する条例」(平成6年条例第28号。以下「本 原告ら原告らは,いずれも城陽市の住民である。 ⑵ 本件契約の締結等ア被告城陽市は,平成7年4月,「城陽市文化パルク城陽の設置及び管理に関する条例」(平成6年条例第28号。以下「本件条例」という。)に基づき,「市民が芸術に感動し,文化を創造し,共に交歓する場を提供することにより,市民の文化活動の向上を図り,もって市民福祉の増進に寄与する」 ことを目的として(本件条例1条),被告城陽市が所有する本件土地建物に - 3 -おいて,文化ホール,こども館,コミュニティセンター,図書館,歴史民俗資料館及び公園といった施設からなる大規模複合文化施設である文化パルク城陽(本件施設)を開設し,以降,本件土地建物を,行政財産(公共用財産)として管理してきた。 イ本件施設の建設には約178億円の費用が充てられており,そのための 市債償還期限は平成38年度(令和8年度)とされていたところ,被告城陽市長は,①本件施設の耐用年数が市債償還年数より長く,受益世代と負担世代のギャップが大きいことから,その平準化を図ること,②平成35年度(令和5年度)に新名神高速道路が全線開通となるのを契機として進めているプロジェクトにより一時的に増加する資金需要に対応することな どを目的として,被告城陽市が,その所有する本件建物を代金80億円で売却する(売却先に本件土地を無償で使用させる)と同時に本件建物を売却先から賃借し,本件土地建物において従前どおり本件施設の運営を継続すること(以下,この方式を「セール・アンド・リースバック方式」ともいう。)を計画し,これを平成29年10月19日の平成29年第3回城陽 市議会定例会の総務常任委員会において発表した。 ウ被告城陽市長は,平成29年11月21日,NTTファイナンスを上記売却先に )を計画し,これを平成29年10月19日の平成29年第3回城陽 市議会定例会の総務常任委員会において発表した。 ウ被告城陽市長は,平成29年11月21日,NTTファイナンスを上記売却先に選定し,同年12月5日,城陽市議会に,本件建物の売却及び本件土地の無償貸与(セール・アンド・リースバック方式)に関する議案を提出し,城陽市議会は,同月25日,両議案を可決した。 エ被告城陽市長は,平成30年1月19日,同年2月1日をもって本件建物について用途廃止し,その管理区分を行政財産から普通財産に変更することを決定した(本件用途廃止)。 オ被告城陽市は,本件用途廃止の効力が生じたと同日の平成30年2月1日,NTTファイナンスとの間で,以下の内容のセール・アンド・リース バック方式による本件契約を締結した(甲6)。 - 4 -本件契約の目的a 本件契約は,土地使用貸借契約に基づきNTTファイナンスが被告城陽市から借り受けた本件土地上に,建物売買契約に基づきNTTファイナンスが被告城陽市から取得し所有する本件建物を,建物賃貸借契約に基づきNTTファイナンスが被告城陽市に賃貸し,被告城陽市 がこれを賃借することを目的とする。 b 被告城陽市は,本件建物を本件施設の運営を目的として賃借するものとする。なお,NTTファイナンスは,被告城陽市が本件建物の用途のために合理的な範囲内において本件土地の空地部分を使用することを妨げない。 土地使用貸借契約a 被告城陽市は,NTTファイナンスに対し,本件土地を,借地期間を平成30年2月1日から平成55年(令和25年)1月31日までの25年間として,無償で使用させる。 b 被告城陽市は,上記借地期間開始日に,本件土地を現状有姿(本件 建物が存在する 地期間を平成30年2月1日から平成55年(令和25年)1月31日までの25年間として,無償で使用させる。 b 被告城陽市は,上記借地期間開始日に,本件土地を現状有姿(本件 建物が存在する状態をいう。)のままNTTファイナンスに引き渡す。 建物売買契約a 被告城陽市は,NTTファイナンスに対し,本件建物を,構造,規模及び仕様等を現状有姿のまま,代金80億円(消費税込み)で売り渡す。 b 本件建物の所有権は,NTTファイナンスが売買代金全額を支払ったときに,被告城陽市からNTTファイナンスに移転する。 建物賃貸借契約aNTTファイナンスは,被告城陽市に対し,本件建物を,賃貸期間を平成30年2月1日から平成55年(令和25年)1月31日まで の25年間,賃料を別紙2賃料目録記載のとおりとして賃貸する。 - 5 -bNTTファイナンスは,本件建物を現状有姿のまま被告城陽市に引き渡すものとし,上記賃貸期間開始日において当然にNTTファイナンスから被告城陽市への本件建物の引渡しが完了したものとする。 c 本件賃貸借契約が期間の満了,解除その他の事由により終了した場合,被告城陽市が賃料又は規定損害金を完済していることを条件に, NTTファイナンスは本件建物を無償で被告城陽市に譲渡する。 カ本件契約に基づき,平成30年2月1日,本件土地建物が被告城陽市からNTTファイナンスに引き渡されると同時に,本件建物がNTTファイナンスから被告城陽市に引き渡され,また,NTTファイナンスは,被告城陽市に対し,本件建物の売買代金80億円を支払った。さらに,同年3 月13日受付けで,本件建物について被告城陽市からNTTファイナンスに対する所有権移転登記がされた。 キ被告城陽市は,平成30年 対し,本件建物の売買代金80億円を支払った。さらに,同年3 月13日受付けで,本件建物について被告城陽市からNTTファイナンスに対する所有権移転登記がされた。 キ被告城陽市は,平成30年2月1日以降,本件契約に基づきNTTファイナンスから本件建物を賃借するなどして,本件土地建物において本件施設を運営している。 ⑶ 住民監査請求等ア原告Cは,城陽市監査委員に対し,平成29年12月22日に別紙3-1(省略)「城陽市職員措置請求書」(以下「本件監査請求書(C)」という。)を,平成30年1月16日に別紙3-2(省略)「補正書」(以下,「本件補正書」といい,本件監査請求書(C)と併せて「本件監査請求書(C)等」 という。)を提出して住民監査請求(以下「本件監査請求(C)」という。)をした(甲1の1・2,甲2)。 イ原告D,原告E及び原告F(以下「原告Dら」という。)は,城陽市監査委員に対し,平成30年1月11日,別紙4(省略)「城陽市職員措置請求書」(以下「本件監査請求書(Dら)」という。)を提出して住民監査請求(以 下「本件監査請求(Dら)」といい,本件監査請求(C)と併せて「本件各 - 6 -監査請求」という。)をした(甲20)。 ウ城陽市監査委員は,原告らに対し,平成30年2月20日,本件各監査請求について,原告らの主張には理由がなく,措置する必要は認められない旨の監査結果をそれぞれ通知した(甲3,4)。 ⑷ 本件訴えの提起 原告らは,平成30年3月16日,本件訴えを提起した。 3 争点⑴ 本件訴えの適法性(請求1~4・本案前の争点)(争点⑴)ア本件用途廃止が財務会計上の行為に当たるか(請求1)(争点⑴①)イ適法な住民監査請求の前置の有無(請求2~4)(争点⑴②) 点⑴ 本件訴えの適法性(請求1~4・本案前の争点)(争点⑴)ア本件用途廃止が財務会計上の行為に当たるか(請求1)(争点⑴①)イ適法な住民監査請求の前置の有無(請求2~4)(争点⑴②) 本件用途廃止が無効か(請求1)(争点⑵)本件契約が無効か(請求2~4)(争点⑶)被告城陽市がNTTファイナンスに対し占有回復請求として本件土地建物の引渡しを請求できるか(請求4)(争点⑷) 4 争点に関する当事者の主張 ⑴ 争点⑴(本件訴えの適法性(請求1~4・本案前の争点))ア争点⑴①(本件用途廃止が財務会計上の行為に当たるか(請求1))(被告らの主張)地方自治法242条の2第1項2号に基づく無効確認請求の対象は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による行政上の諸活動のうち財務会 計上の行為であることを要する。財務会計上の行為とは,普通地方公共団体の公金その他の財産の財産的価値の維持,保全を目的とする行為であって,その行為の結果如何によって直接に当該普通地方公共団体に財産的損害を与え,又は与えるおそれのあるものに限られる。 行政財産の用途廃止は,公有財産管理上の内部措置であって行政庁の内 部的行為にすぎず,普通地方公共団体の公金その他の財産の財産的価値の - 7 -維持,保全を目的とする行為ではない。また,その行為の結果如何によって直接に当該地方公共団体に財産的損害を与えるおそれのあるものでもない。 したがって,本件用途廃止は財務会計上の行為には当たらず,その無効確認を求める訴えは不適法である。 (原告らの主張)行政財産の用途廃止は,定められた用途が廃止されることによって住民の利用に供することができなくなるという不利益な効果を与えるものであり,また,公有財産に対する行 である。 (原告らの主張)行政財産の用途廃止は,定められた用途が廃止されることによって住民の利用に供することができなくなるという不利益な効果を与えるものであり,また,公有財産に対する行政執行目的を解除して,原則的に処分ができないとされる公有財産から処分可能な公有財産へと当該公有財産の 法的性質を転換する行為であるから,財産の管理又は処分に該当する行為であり,住民訴訟の対象となる財務会計行為である。 イ争点⑴②(住民監査請求の前置の有無(請求2~4))(被告らの主張)請求2及び4について 請求2及び4に係る訴えは,いずれも怠る事実の違法確認請求であるが,本件各監査請求の時点においては,怠る事実の前提となる抹消登記手続請求権や占有回復請求権がそもそも発生しておらず,監査の対象となりえない。 したがって,請求2及び4に係る訴えは,住民監査請求を経ておらず, 不適法である。 請求3について住民監査請求における請求の対象と住民訴訟における請求の対象の同一性は,財務会計行為(財務会計上の行為又は怠る事実)に係る行為又は事実の同一性を基準に判断される(最高裁昭和57年(行ツ)第16 4号昭和62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁参 - 8 -照)。そして,住民監査請求においては,対象とする当該行為等を監査委員が行うべき監査の端緒を与える程度に特定すれば足りるというものではなく,当該行為等を他の事項から区別して特定認識できるように個別的,具体的に適示することを要する(最高裁平成元年(行ツ)第68号平成2年6月5日第三小法廷判決・民集44巻4号719頁参照)こと から,対象となる請求の同一性の判断に当たっては,個別的,具体的に適示され特定された監査請求の対象たる財務 元年(行ツ)第68号平成2年6月5日第三小法廷判決・民集44巻4号719頁参照)こと から,対象となる請求の同一性の判断に当たっては,個別的,具体的に適示され特定された監査請求の対象たる財務会計行為と住民訴訟で対象とされている財務会計行為とを比較して判断することとなる。 本件監査請求(C)においては,本件補正書に,「文化パルク城陽の建物について80億円で,NTTファイナンス株式会社に売却すること及 び同敷地を無償で貸与することが確定しました。」「平成30年度から25年間にわたる建物賃借料の債務負担行為9億9千万円(建物賃借料)を設定することが可決されました。」との記載があるものの,対象とする財務会計上の行為については,「これらの一連の行為を防止することによって城陽市に損害が生じることの無いよう措置の請求を補正致します。」 という包括的かつ抽象的な表現となっている。また,本件監査請求(Dら)においては,本件監査請求書(Dら)に,「城陽市長Aに対して,文化パルク城陽の建物の売却及び同建物の敷地の無償貸与の契約の締結及び履行の停止を求める次第である」と記載されており,賃料支払命令の差止めについては,「履行の停止」という抽象的な表現となっている。 上記のとおり,本件各監査請求は,対象とする財務会計上の行為につき,「他の事項から区別して特定認識できるように個別的,具体的に適示」しておらず,不適法である。 したがって,請求3に係る訴えは,適法な住民監査請求を経ておらず,不適法である。 (原告らの主張) - 9 -請求2及び4について被告らの主張は争う。 請求3について本件監査請求書(C)では,「城陽市長Aは,公有財産である「文化パルク城陽」をセール・アンド・リースバックの方法で売 9 -請求2及び4について被告らの主張は争う。 請求3について本件監査請求書(C)では,「城陽市長Aは,公有財産である「文化パルク城陽」をセール・アンド・リースバックの方法で売却するとし」と した上で,「城陽市長Aに対し,このような違法行為(文化パルク城陽の売却及びその敷地を無償で貸し付けること)を行うこと」について監査委員の措置を請求している。さらに,本件補正書においては,「平成30年度から25年間にわたる建物賃借料の債務負担行為99億9千万円(建物賃借料)を設定することが可決されました」とした上で,「今後, 違法な支出及び違法な債務の負担による損害を生じることが予測されるところとなり」,「これらの一連の行為を防止することによって城陽市に損害が生じることの無いよう措置の請求を補正」するとされている。そして,監査においても,監査対象事項として,「城陽市が25年間にわたる建物賃借料99億9000万円を負担することが違法な債務負担とな るか」との点が挙げられている。 また,本件監査請求書(Dら)では,「「セール・アンド・リースバック方式」により文化パルク城陽を80億円で売却し,リース料として25年間99億9000万円,各年度の賃借料3億9960万円を支払うことになり,市民の税金19億9000万円が業者の利益となる不当な 公金の支出にあたる」とした上で必要な監査を求めている。そして,監査においても,監査対象事項として,「文化パルク城陽を80億円で売却した上で,リース料として25年間にわたり99億9000万円を支払うことについて,その差額19億9000万円の支払いが不当な公金の支出にあたるか」との点が挙げられている。 以上によれば,請求3の対象である賃料の支払と本件各住民監査請求 - 万円を支払うことについて,その差額19億9000万円の支払いが不当な公金の支出にあたるか」との点が挙げられている。 以上によれば,請求3の対象である賃料の支払と本件各住民監査請求 - 10 -の対象との間に同一性が認められるから,請求3に係る訴えは,適法な住民監査請求を経ており,適法である。 ⑵ 争点⑵(本件用途廃止が無効か(請求1))(原告らの主張)本件建物においては,本件条例に基づいて本件施設が設置され,本件用途 廃止をした平成30年2月1日当時,本件条例は廃止されておらず,同日及びそれ以降も文化的行事が計画されており,本件建物は行政財産として使用されていた。 公有財産が行政財産と普通財産のいずれに当たるかは,その用途自体によって客観的に決せられ,地方公共団体の内部事務処理上いずれに分類される かには左右されないから,本件条例が存続し,本件建物を本件施設として使用し続けたまま行政財産としての用途を廃止することは違法であり,本件用途廃止は無効である。 (被告らの主張)被告城陽市長は,本件建物につき,平成30年2月1日限り,被告城陽市 がこれを所有して公共用に供することは行わない(売却後賃借することにより公共の用に供する)ことを決定し,本件用途廃止をしたものであり,地方自治法238条3項の趣旨に沿って適法に処理したものである。 本件用途廃止の前後で,住民による一般的共同利用という点においては変更がないが,所有形態で公共の用に供することを止め,賃借形態で公共の用 に供することとしたのであるから,客観的にその利用形態が変更されたものといえる。 本件条例は,地方自治法244条の2第1項に基づく「公の施設」の設置管理に係る条例であるところ,「公の施設」は,普通地方公共団体において所有して ,客観的にその利用形態が変更されたものといえる。 本件条例は,地方自治法244条の2第1項に基づく「公の施設」の設置管理に係る条例であるところ,「公の施設」は,普通地方公共団体において所有しているものでも賃借しているものでもよく,本件建物については,所有 から賃借に変更するのみで「公の施設」であることに変わりはない。そのた - 11 -め,本件条例は,同日以降も存続しているものであって,本件条例の存在は,本件建物が行政財産であることの根拠となるものではない。 したがって,本件用途廃止は適法であり,これにより,本件建物は行政財産から普通財産になった。 ⑶ 争点⑶(本件契約が無効か(請求2~4)) (原告らの主張)ア公有財産が行政財産と普通財産のいずれに当たるかは,その用途自体によって客観的に決せられる。本件建物は,本件用途廃止にかかわらず,依然として公共用に供されている行政財産であるから,行政財産を処分する内容の本件契約は,地方自治法238条の4第1項に違反し,無効である (同6項)。 イ地方自治法238条の4第1項は,行政財産に「私権を設定」することができないとし,私権の設定には担保権の設定が含まれるところ,本件契約の実体は,本件土地建物を物的担保に供した借金(80億円の借金とNTTファイナンスのもうけ(利息)を織り込んだ返済合意)である。 すなわち,本件建物の賃貸借契約において,①賃貸人が,通常賃貸人が負担する諸々の義務を一切負担しない一方で,賃借人が,通常であれば賃貸人が担う義務を負い,解約権が残期間の賃料相当の規定損害金の支払なしには認められていない,②賃貸借が終了すれば,通常,賃貸物件を明け渡して賃貸人に返還しなければならないのに,本件建物所有権が当然に賃 借人に移転すると が残期間の賃料相当の規定損害金の支払なしには認められていない,②賃貸借が終了すれば,通常,賃貸物件を明け渡して賃貸人に返還しなければならないのに,本件建物所有権が当然に賃 借人に移転するとされている,といった点で,賃貸人が賃貸対象物を使用収益させ,賃借人はその使用収益の対価として賃料を支払うという,賃貸借の本質的な部分を全く欠いている。 また,本件建物の売買契約においても,①賃貸継続期間のみ買主の所有となるものの,賃貸終了後はその所有権が売主に当然に戻るとされてい る,②80億円という売買代金は,「収益還元法という形で将来得られる家 - 12 -賃などの収益を現在の価値に割引するということで評価」しただけであり,時価に基づいて定められていない,といった点で,売買の本質的部分を欠いている。 ウ地方公共団体の財政の健全化に関する法律は,負債が過大とならないよう,早期健全化基準を超えると財政早期健全化計画を策定させ(4条),財 政再生基準を超えると財政再生計画を策定させ(8条),地方債の起債を制限しており(11条),地方財政法は地方債の起債を国との協議にかからしめている(5条の3・1~3項)。 早期健全化基準は,①実質赤字比率,②連結実質赤字比率,③実質公債比率,④将来負担比率の4つであり,上記①~③はフロー規制(2条1~ 3号),④はストック規制であり,④の将来負担比率は,実質的負債残高の標準財政規模に対する比率とされている(同4号)。ここで実質的負債とされているのは,同号イ~ワに規定されている負債であるところ,建物賃料は含まれていない。しかし,建物賃料が実質的には借金の返済金であることは上記イのとおりであり,本件契約は地方財政健全化法を潜脱するもの であり,違法である。 (被告らの主張)ア 建物賃料は含まれていない。しかし,建物賃料が実質的には借金の返済金であることは上記イのとおりであり,本件契約は地方財政健全化法を潜脱するもの であり,違法である。 (被告らの主張)ア被告城陽市長は,本件建物について,平成30年2月1日をもって被告城陽市において所有することにより公共用に供することはしない(売却後賃借することにより公共用に供する)ことを決定し,同日限り本件用途廃 止をして普通財産とした上,同日,本件契約により,NTTファイナンスに本件建物を売却したものである。 上記のとおり,本件建物は普通財産となった上で売却されたものであるから,地方自治法238条の4第1項の適用の余地はなく,本件契約が違法ないし無効とはいえない。 イ本件契約が実質的担保権設定であり,地方自治法238条の4第1項に - 13 -反するとの主張は争う。 本件契約は,本件用途廃止決定により普通財産となった本件建物につきなされたものであるから,行政財産に係る規定である地方自治法238条の4の規定の適用はない。 賃貸借契約の本質は,貸主の目的物を使用収益させる義務と借主の賃料 支払義務であり,貸主の修繕義務は任意規定にすぎず,期間の定めのある賃貸借で解約権の留保は特段の意思表示をしない限り認められるものではない。また,収益還元法は不動産評価基準において定められた不動産の鑑定評価の方式の1つである。 ウ本件契約が地方財政健全化法を潜脱するものであるとの主張は争う。 被告城陽市長は,本件施設が資産価値はあるものの,他方で,耐用年数と市債償還年数の差による受益世代と負担世代のギャップが大きい施設でもあったことから,コストの平準化を図り,上記の世代間のギャップを少なくすることなどを目的として本件契約を締結すること で,耐用年数と市債償還年数の差による受益世代と負担世代のギャップが大きい施設でもあったことから,コストの平準化を図り,上記の世代間のギャップを少なくすることなどを目的として本件契約を締結することとしたものであり,本件契約の内容に照らしても,これが実質的には借金と物的担保の 提供であるなどとはいえない。 地方財政健全化法は,地方公共団体の財政状況を統一的な指標で明らかにし,財政の健全化や再生が必要な場合に迅速な対応をとるために制定されたものであるところ,同法の具体的規定に何ら反していない本件契約が「潜脱」というあいまいな理由により違法となるいわれはない。 ⑷ 争点⑷(本件土地建物の引渡請求の可否(請求4))(原告の主張)被告城陽市は,本件契約で定められた義務の履行として,NTTファイナンスに対し,本件土地を貸し渡し,本件建物の所有権を譲渡し,これを同社から賃借した。その結果,NTTファイナンスは,本件土地を直接占有し, 本件建物を間接占有するところとなった。本件契約は無効であるが,占有は - 14 -物に対する事実上の支配であるから,本件契約が有効であるものとして被告城陽市が移転した占有は,NTTファイナンスから被告城陽市への移転がなければ,依然としてNTTファイナンスが保持していることになる。 したがって,被告城陽市は,本件土地建物を占有するNTTファイナンスに対し,本件土地建物の引渡しを請求することができる。 (被告の主張)仮に本件契約が無効であれば,NTTファイナンスは,使用貸借契約に基づき本件土地を直接占有しているとはいえず,また,賃貸借契約に基づき代理占有ないし間接占有しているとはいえない。したがって,NTTファイナンスは本件土地建物を占有していないから,同社に対する本件土地建物の 件土地を直接占有しているとはいえず,また,賃貸借契約に基づき代理占有ないし間接占有しているとはいえない。したがって,NTTファイナンスは本件土地建物を占有していないから,同社に対する本件土地建物の引 渡請求は認められない。 第3 当裁判所の判断 1 争点⑴(本件訴えの適法性(請求1~4・本案前の争点))について⑴ 争点⑴①(本件用途廃止が財務会計上の行為に当たるか(請求1))について ア地方自治法242条の2に定める住民訴訟は,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とし,その対象とされる事項は,同法242条1項に定める事項,すなわち公金の支出,財産の取得・管理・処分,契約の締結,債務その他の義務の負担,公金の賦課・徴収を怠る事実,財産の管理を怠る事実に限られ,これらの事項はいずれも財務会計上の行為又は事 実としての性質を有するものである。したがって,原告らの請求1に係る訴えが適法といえるためには,原告らが主張する違法な行為(本件用途廃止)が財務的処理を直接の目的とする財務会計上の行為に当たるといえなければならない(最高裁昭和62年(行ツ)第22号平成2年4月12日第一小法廷判決・民集44巻3号431頁参照)。 イそこで検討するに,本件用途廃止は,被告城陽市長が,被告城陽市の所 - 15 -有に属する本件土地建物について,公有財産として公共の用に供することをやめること,すなわち,行政財産(公共用財産)を普通財産とすることを決定するものであるが,これは,公共施設の使用可能性及び行政内部における管理区分上の分類に関する措置ないし判断であって,本件土地建物の不動産としての財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財務 的処理を直接の目的とする財務会計上の財産管理行為には当たらないと 管理区分上の分類に関する措置ないし判断であって,本件土地建物の不動産としての財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財務 的処理を直接の目的とする財務会計上の財産管理行為には当たらないと解するのが相当である。 原告は,公共用財産の用途廃止により,当該財産が住民の利用に供されなくなるという不利益が生ずると主張するが,住民による当該財産の利用可能性に影響を及ぼす行為であることをもって直ちに,これが財務会計上 の行為に該当すると解することはできない。 また,原告は,本件用途廃止が行政財産から普通財産へと公有財産の性質を変更させる行為であるから,財務会計上の行為に当たるとも主張する。 しかしながら,用途廃止により普通財産となった公有財産を処分する行為については,これをもって財務会計上の行為ということができるとしても, 用途廃止それ自体は,公有財産を処分する行為ではなく,また,その財産的価値に着目して価値の維持,保全を図るという意味での財産管理行為にも当たらないことは,上記に判示したとおりである。 ウ以上によれば,本件用途廃止は,財務的処理を直接の目的とする財務会計上の行為に当たらないから,本件訴えのうち本件用途廃止の無効確認を 求める旨の訴え(請求1)は,不適法である。 ⑵ 争点⑴②(適法な住民監査請求前置の有無(請求2~4))についてア請求2及び4について被告は,請求2及び4に係る訴えについて,いずれも,本件各監査請求の時点では,違法確認の対象である怠る事実の前提となる抹消登記手続請 求権や占有回復請求権が発生しておらず,住民監査の対象となり得ないか - 16 -ら,上記各訴えは住民監査請求を経ておらず不適法であると主張する。 そこで検討するに,前記前提事実⑶アのとおり,本件監査請求書( 請求権が発生しておらず,住民監査の対象となり得ないか - 16 -ら,上記各訴えは住民監査請求を経ておらず不適法であると主張する。 そこで検討するに,前記前提事実⑶アのとおり,本件監査請求書(C)には,本件契約による本件建物の売却及び本件土地の無償貸与が地方自治法238条の4第1項に違反するとした上で,本件建物の売却及び本件土地の無償貸与を行うことのないよう措置を請求する旨の記載があること が認められる。また,同イのとおり,本件監査請求書(Dら)には,同じく本件契約による本件建物の売却及び本件土地の無償貸与が地方自治法238条の4第1項に違反するとした上で,本件建物の売買契約及び本件土地の使用貸借契約の締結及びその履行の停止を求める旨の記載があることが認められる。 上記各監査請求書における記載によれば,本件各監査請求が対象とした行為は,同請求の時点では,本件建物の売買契約及び本件土地の使用貸借契約の締結及びその履行であったと解されるが,被告城陽市からNTTファイナンスに対する本件建物所有権移転登記手続や本件土地建物の引渡し(占有移転)は,上記各契約(本件契約)に基づく債務の内容に当然含 まれるものであり(甲6),仮に上記各契約(本件契約)が私法上無効とされればその保持権原が失われるものであるといえる。そうすると,本件各監査請求は,その記載内容から,将来本件契約が締結され,その履行として上記所有権移転登記及び本件土地建物の引渡しがなされた場合には,本件各監査請求において主張したのと同一の違法性を主張して同登記の抹 消登記手続や占有の回復を怠る事実を監査の対象とし又は住民訴訟において争う意思が客観的に明白であったということができる。 したがって,請求2及び4に係る訴えは,本件各監査請求と同一の違法性を主 消登記手続や占有の回復を怠る事実を監査の対象とし又は住民訴訟において争う意思が客観的に明白であったということができる。 したがって,請求2及び4に係る訴えは,本件各監査請求と同一の違法性を主張して争うものであるから,改めて監査請求を経なくとも監査請求前置の要件を満たしているものと解するのが相当である。よって,上記各 訴えが不適法である旨の被告らの主張は理由がない。 - 17 -イ請求3について住民監査請求においては,対象とする財務会計上の行為又は怠る事実を監査委員が行うべき監査の端緒を与える程度に特定すれば足りるというものではなく,当該財務会計上の行為又は怠る事実を他の事項から区別し特定して認識することができるように個別的,具体的に摘示することを要 するところ(最高裁平成元年(行ツ)第68号同2年6月5日第三小法廷判決・民集44巻4号719頁,最高裁平成12年(行ヒ)第292号同16年11月25日第一小法廷判決・民集58巻8号2297頁参照),被告は,本件各監査請求は,請求3が対象とする賃料支払命令に関し,他の事項から区別して特定認識できるように個別的,具体的に適示しておらず, 不適法であると主張する。 前記前提事実⑶アのとおり,本件監査請求書(C)には上記ア認定の記載があるほか,本件補正書には,本件建物の賃料として平成30年度から25年間にわたり合計99億9000万円を支払うことを内容とする契約(本件契約のうち建物賃貸借契約部分)の締結が見込まれ,このような 違法な支出及び債務負担による損害が生じることが予測されるとして,「これらの一連の行為」を防止することにより被告城陽市に損害が生じることのないよう措置を請求する旨の記載があることが認められる。また,前記前提事実⑶イのとおり,本件監査請求 ことが予測されるとして,「これらの一連の行為」を防止することにより被告城陽市に損害が生じることのないよう措置を請求する旨の記載があることが認められる。また,前記前提事実⑶イのとおり,本件監査請求書(Dら)には,上記ア認定の記載があるほか,「セール・アンド・リースバック方式」により本件建物を 80億円で売却し,賃料として25年間にわたり合計99億9000万円を支払うことは,市民の税金19億9000万円がNTTファイナンスの利益となる不当な公金の支出に当たるとの記載があることが認められる。 上記各監査請求書等における記載によれば,本件各監査請求においては,その対象とする財務会計上の行為として,本件契約に基づく本件建物の賃 料の支払が適示されており,その適示は,他の事項から区別し特定して認 - 18 -識することができる程度に個別的,具体的であると認められる。そうすると,本件各監査請求において請求の対象の特定に欠けるところはなく,当該請求の対象と請求3の対象との同一性も認められる。 したがって,請求3に係る訴えは適法な住民監査請求を経たものというべきであり,同訴えが不適法である旨の被告らの主張は,理由がない。 2 争点⑵(本件用途廃止が無効か(請求1))について上記1⑴に判示したところにより,請求1に係る訴えは不適法であるから,判断を要しない。 を判断する前提として,本件用途廃止が無効か否か(本件建物が行政財産から 3 争点⑶(本件契約が違法ないし無効か(請求2~4))について⑴ 前提事実⑵アのとおり,本件建物は,本件用途廃止が決定された当時,本件施設として公共用に供されている行政財産であったところ,原告らは,本件用途廃止後も本件建物は行政財産のままであったから,本件契約は,行政財産の売却等を禁じた 物は,本件用途廃止が決定された当時,本件施設として公共用に供されている行政財産であったところ,原告らは,本件用途廃止後も本件建物は行政財産のままであったから,本件契約は,行政財産の売却等を禁じた地方自治法238条の4第1項に違反し,無効である と主張する。 ⑵ そこで,まず,本件用途廃止により本件建物が行政財産から普通財産になったか否かについて検討する。 ア一般に,普通地方公共団体の所有する財産の管理及び処分は普通地方公共団体の長の権限であるから(地方自治法149条6号),普通財産を行政 財産とし,又は,行政財産を普通財産とすることは,権限が他に委任されているなどの事情がない限り,原則として当該長の権限に属する。そして,本件においては,上記のとおり権限を有する被告城陽市長において,本件建物につき公有財産として公共の用に供することをやめること,すなわち,行政財産である本件建物を普通財産とすることを決定したのであるから, これにより,本件建物は普通財産になったものと解するのが相当である。 - 19 -イこれに対し,原告らは,本件建物を本件施設として使用し続けたまま用途廃止をすることは違法,無効であると主張する。同主張の趣旨は必ずしも明らかでないが,用途廃止を決定しただけでは足りず,実際に公共の用に供することをやめない限り用途廃止の効果は生じないとの趣旨をいうものと解される。しかしながら,被告城陽市長は,本件建物につき用途廃止 決定をした上,直ちにこれを普通財産として売却しているのであるから,実際にも,公有財産として公共の用に供することをやめたものということができ,原告らの上記主張を前提としても,本件用途廃止の効果を認めるに支障はないものというべきである。 なお,原告らの上記主張は,被告城陽市長におい として公共の用に供することをやめたものということができ,原告らの上記主張を前提としても,本件用途廃止の効果を認めるに支障はないものというべきである。 なお,原告らの上記主張は,被告城陽市長において,用途廃止を行う意 思(行政財産を普通財産とする意思)がなかったにもかかわらず,形式的に用途廃止決定をしたにすぎないから,用途廃止の効果が生じないとの趣旨とも解される。しかしながら,前記前提事実⑵イのとおり,被告城陽市長は,本件施設の設置・運営という公共サービスを継続して提供するためには,必ずしも被告城陽市が本件建物を所有する形態を維持する必要はな く,本件建物を賃借する形態でも可能であると判断し,コストの平準化と一時的な資金調達を図るという目的を達成するため,本件建物につき用途廃止を行ってこれを行政財産から普通財産に変更した上,本件建物を売却すると同時にこれを賃借することとし,上記の意思決定の下に,本件契約を締結する前提として本件用途廃止を行ったものと認められるから,本件 用途廃止に対応する意思(行政財産を普通財産とする意思)がなかったなどということはできない。 その他,被告城陽市長による本件用途廃止につき無効事由があるとは認められない。 ウなお,原告らの主張は,被告城陽市長による本件用途廃止がその裁量権 の範囲を逸脱し又は濫用したものとして違法ないし無効であるとの趣旨 - 20 -に解する余地もあるが,本件用途廃止及びこれに続く本件契約締結の目的は前記のとおりであって,その目的に合理性がないとはいえないし,本件用途廃止及び本件契約の締結が,本件施設を設置し,運営するという行政目的の達成を困難にするものともいえない(本件施設の設置,運営は本件用途廃止及び本件契約の締結後も継続されており,その設置,運営に 用途廃止及び本件契約の締結が,本件施設を設置し,運営するという行政目的の達成を困難にするものともいえない(本件施設の設置,運営は本件用途廃止及び本件契約の締結後も継続されており,その設置,運営に困難 が生じたというような事情も認められない。)から,そのような事態を防止するという地方自治法238条の4第1項の趣旨に照らし,本件用途廃止及び本件契約の締結が被告城陽市長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものとはいえない。 その他,本件用途廃止が裁量権の範囲を逸脱又は濫用したものと評価す べき事情の存在を認めるに足りる証拠はない。 エしたがって,被告城陽市長による本件用途廃止は有効であって,これにより,本件建物は行政財産から普通財産になったと解するのが相当である。 ⑶ 以上を前提に,原告らの主張について検討する。 ア原告らは,地方自治法238条の4第1項は,行政財産に「私権を設定」 することができないとし,私権の設定には担保権の設定が含まれるところ,本件契約の実体は,本件土地建物を物的担保に供した借金であるから,本件契約は違法,無効であると主張する。 しかしながら,とおり,本件建物は本件契約締結時には普通財産となっていたものであるから,そもそも,これに「私権を設定」 することが違法であるとはいえない。この点を措くとしても,被告城陽市が本件契約に基づいてNTTファイナンスから受領した80億円は,本件建物の売却代金であって,返還を予定した借入金ではないし,被告城陽市が本件契約に基づいてNTTファイナンスに支払う金員(年額3億9960万円)は,本件建物の使用の対価として支払われる賃料であって借入金 の分割返済金ではないから,本件契約を実質的にみても,これが本件土地 - 21 -建物を担保とし う金員(年額3億9960万円)は,本件建物の使用の対価として支払われる賃料であって借入金 の分割返済金ではないから,本件契約を実質的にみても,これが本件土地 - 21 -建物を担保とした金員の借入れであるなどと評価することはできない。よって,原告らの上記主張は,採用することができない。 イまた,原告らは,本件契約が地方財政健全化法を潜脱するものとして違法であるとも主張するが,本件契約の締結が同法の規定ないしその趣旨に反することについての具体的な主張立証はない。本件契約の締結が被告城 陽市長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又は濫用するものといえないことは,上記⑵エに判示したとおりである。 よって,原告らの上記主張も,採用することができない。 小括以上によれば,原告らの主張は,理由がない。 4 争点⑷(本件土地建物の引渡請求の可否(請求4))について前記3のとおり,本件契約は有効であるから,これが無効であることを前提とする原告らの主張は,その余の点につき判断するまでもなく,理由がない。 5 まとめ以上によれば,本件訴えのうち本件用途廃止の無効確認を求める旨の訴えは, 不適法であり,原告らのその余の請求は,いずれも理由がない。 第4 結論以上の次第で,本件訴えのうち本件用途廃止の無効確認を求める旨の訴えは不適法であるから,これを却下し,原告らのその余の請求は理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 京都地方裁判所第3民事部 裁判長裁判官増森珠美 - 22 -裁判官中田克之 裁判官神永暁は,転補のため署名押印できない。 裁判長 森珠美 裁判官中田克之 裁判官神永暁は,転補のため署名押印できない。 裁判長裁判官増森珠美
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