平成12年(行ケ)第92号取消決定取消請求事件(平成12年7月10日口頭弁論終結)判決原告ユーロポート株式会社代表者代表取締役 A訴訟代理人弁理士 B被告特許庁長官 C指定代理人 D同 E被告補助参加人ザポロ/ローレンカンパニーリミテッドパートナーシップ代表者 F訴訟代理人弁理士 G同 H同 I 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた判決 1 原告特許庁が、平成10年異議第90858号事件について、平成12年2月4日にした決定を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯原告は、「ROYALPRINCEPOLOCLUB」の欧文字を左横書きしてなり、平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表による第17類「被服その他本類に属する商品」を指定商品とする登録第4094710号商標(平成3年5月14日登録出願、平成9年12月19日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。 被告補助参加人は、平成10年4月22日、本件商標について商標登録異議の申立てをし、特許庁は、この申立てを平成10年異議第90858号事件として審理したうえ、平成12年2月4日、「登録第4094710号商標 参加人は、平成10年4月22日、本件商標について商標登録異議の申立てをし、特許庁は、この申立てを平成10年異議第90858号事件として審理したうえ、平成12年2月4日、「登録第4094710号商標の登録を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は同月28日原告に送達された。 2 決定の理由の要点本件決定は、別添決定書写し記載のとおり、本件商標をその指定商品である被服等に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品に付される標章として周知となっている「POLO」を想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生じるおそれがあるから、本件商標は商標法4条1項15号の規定に違反して登録されたものであるとした。 第3 原告主張の決定取消事由の要点本件決定の理由中、本件商標の認定(決定書1頁21行~25行)、ラルフ・ローレンに係る「POLO」の標章の周知性の認定(同3頁37行~5頁5行)は認める。 本件決定は、本件商標の構成中に「POLO」の文字が含まれていることをもって、直ちに本件商標とラルフ・ローレンに係る「POLO」の標章との関係で出所混同のおそれがあると誤った判断をしたものであるから、違法として取り消されなければならない。 すなわち、ラルフ・ローレンは、横長四角中に記載された「Polo」の文字に「byRALPH LAUREN」の文字を結合させた商標や、「POLORALPHLAUREN」との商標(以下「POLO標章」という。)を通じて、「POLO」(「Polo」ないし「ポロ」を含む。以下同じ。)の文字を「RALPHLAUREN」の語と関連づけて、長年にわたって HLAUREN」との商標(以下「POLO標章」という。)を通じて、「POLO」(「Polo」ないし「ポロ」を含む。以下同じ。)の文字を「RALPHLAUREN」の語と関連づけて、長年にわたって被服等に使用することにより、「POLO」の文字とラルフ・ローレンとの関連性を一般に強くアピールしているのであって、「RALPHLAUREN」の語の存在を抜きにして、「POLO」の語そのものに強い自他識別力を認めることはできない。 「POLO」の語が、それ自体自他識別力を有さないことは、これが普通名称として用いられていることからも明らかである。すなわち、「POLO」の語が、馬に乗ってプレーするスポーツであるポロ競技を意味することは、辞書等においても説明されており、我が国において広く知られていたものである。また、このポロ競技に際してプレーヤーが着用する襟付き半袖シャツは、古くから「POLOSHIRT/ポロシャツ」と称されており、現在では遊び着的な襟付きシャツを広く指称する普通名称になっている。そして、商品「POLOSHIRT/ポロシャツ」は、本件商標の出願当時、我が国の取引の実際において、「POLO」、「ポロ」と略称されていたことは明らかである。以上のとおり、「POLO」、「ポロ」の語は、ポロ競技を意味する既存の英単語又はポロシャツの略称であり、商品「被服」について自他商品の識別機能を果たし得ない普通名称であるから、商品「被服」について使用される商標の一部に「POLO」の文字が含まれていることをもって、取引者、需要者が直ちにラルフ・ローレンに係る「POLO」標章を想起すると結論づけることはできないというべきである。 なお、我が国において、「POLO」の語を含む結合商標「POLOCLUB」、「BEVERLYHILLSPOLO る「POLO」標章を想起すると結論づけることはできないというべきである。 なお、我が国において、「POLO」の語を含む結合商標「POLOCLUB」、「BEVERLYHILLSPOLOCLUB」、「WORLDPOLOCHAMPIONSHIPS」ほか多数の商標が、それぞれ第三者によって商品「被服」等に登録され、使用されており、それぞれ取引者、需要者から高い認知を得ているだけでなく、ラルフ・ローレンに係る「POLO」標章とは明確に区別して取引されているものである。 次に、本件商標の外観、観念及び称呼の各要素ごとに、本件商標中の「POLO」の部分の識別機能を検討しても、①本件商標の構成は、「ROYAL」、「PRINCE」、「POLO」、「CLUB」の各語を、同一の書体で、等間隔に左横書きに配したものであり、その外観構成上、「POLO」の文字部分が独立して自他商品の識別機能を発揮する部分として分離抽出される要素は全くないこと、②本件商標は、「王子」を意味する「ROYALPRINCE」の語と、「ポロ競技のクラブ」を意味する「POLOCLUB」の語とを結合した商標であり、ポロ競技が貴族趣味のスポーツであることから、この両者は観念的に密接な関連性を有しており、観念上も、本件商標中の「POLO」の文字部分が独立して自他商品の識別機能を果たすと認識しなければならない要素はないこと、③本件商標を構成する各語は、いずれも日本人にとってもなじみの深い簡潔な英単語であり、全体の称呼が冗長になるものではなく、本件商標からは「ロイヤルプリンスポロクラブ」の一連の称呼のみが生じると見るのが相当であることから、いずれの要素から考えても、本件商標中の「POLO」の部分を分離抽出すべき理由はなく、したがって、「POLO」の語のみをに着目して「POL ブ」の一連の称呼のみが生じると見るのが相当であることから、いずれの要素から考えても、本件商標中の「POLO」の部分を分離抽出すべき理由はなく、したがって、「POLO」の語のみをに着目して「POLO」標章の連想に基づく出所混同のおそれを導くことは相当でない。 第4 被告の反論の要点本件決定の認定判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。 原告は、「POLO」の語はポロ競技又はポロシャツを意味する普通名称として自他商品の識別機能を果たし得ないと主張するが、「POLO」標章の著名性は原告も認めるとおり、遅くとも昭和55年ころまでには、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されるに至っており、極めて強い自他商品の識別力、顧客吸引力を有するものである。これに対し、我が国においてポロ競技は、愛好者の極めて少ないなじみの薄いスポーツにすぎず、これらを総合すると、被服等のファッション関連の商品に「POLO」の文字を使用した場合は、これに接する取引者、需要者は、スポーツ競技の名称を表したというより、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品であると認識するというべきである。 また、「ポロシャツ」が取引の実際において「POLO/ポロ」と略称されているとしても、ラルフ・ローレンの「POLO」標章の著名性が確立された以降、これに引きずられたものとみられないこともなく、少なくとも、ポロシャツ以外の本件商標の指定商品については原告の主張は妥当しない。 さらに、本件商標は、「ROYALPRINCEPOLOCLUB」の欧文字を書してなるところ、全体として親しまれた熟語的意味合いを有するものではなく、また、特定の団体名称を表すものとも言えないうえ、19文字という極めて多い文字からなり、 EPOLOCLUB」の欧文字を書してなるところ、全体として親しまれた熟語的意味合いを有するものではなく、また、特定の団体名称を表すものとも言えないうえ、19文字という極めて多い文字からなり、「ロイヤルプリンスポロクラブ」という13音もの称呼を生じる本件商標は、外観及び称呼上冗長であるというべきであり、この点の原告の主張も失当である。 第5 当裁判所の判断 1 ラルフ・ローレンに係る「POLO」標章の周知性(審決書3頁37行~5頁5行)については、当事者間に争いがなく、これに甲第12号証の1~27、乙第1号証の1~6及び弁論の全趣旨を総合すると、「PolobyRALPHLAUREN」又は「POLORALPHLAUREN」と表示される「POLO」標章は、我が国において、遅くとも昭和55年ころまでには、被服等のファッション関係分野において、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたこと、そして、当該標章又はこれを付した商品ブランドは、「ポロ」(「Polo」ないし「POLO」)と略称されることもあり、当該標章又はブランドは、ラルフ・ローレンの「ポロ」(「Polo」ないし「POLO」)として著名となり、こうした事情は、現在においても継続していること、さらに、ラルフ・ローレンに係る「POLO」標章は、そのブランド力に便乗しようとした被服、眼鏡等の偽物が市場に出回り、摘発される事例が多数発生するほど、ファッション関係商品についての強い顧客吸引力を獲得していたこと、以上の事実を認めることができる。 2 以上の事実関係に基づいて、本件商標に係る出所混同のおそれを判断するに、上記のような「POLO」標章の周知著名性を前提とすれば、本件商標をその指定商品「被服その他本類(旧第17類 とができる。 2 以上の事実関係に基づいて、本件商標に係る出所混同のおそれを判断するに、上記のような「POLO」標章の周知著名性を前提とすれば、本件商標をその指定商品「被服その他本類(旧第17類)に属する商品」に使用した場合には、これに接した取引者、需要者は、その「POLO」の部分に着目して、ラルフ・ローレンに係る「POLO」標章やそのブランド名を想起し、ラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じるおそれがあるというべきである。なお、原告は、「POLO」の語が「RALPHLAUREN」の語と併用されない場合には、ラルフ・ローレンとの関連性を示す識別力を持たないと主張するが、「POLO」標章又はそのブランドが「ポロ」(「Polo」ないし「POLO」)と略称されることもあるとの前記認定に照らして、採用することはできない。 3 原告は、「POLO」の語は、ポロ競技又はポロシャツを意味する普通名称であって、自他商品の識別力を有するものではないと主張する。しかし、まず、「POLO」の語がポロ競技を示すにすぎないとの主張については、甲第2号証の1~35によれば、多数の辞書、事典類にポロ競技の記載があることが認められるものの、このことは、ポロ競技が一般によく知られていることを当然に示すものとはいえず、かえって、乙第2~第5号証及び弁論の全趣旨によれば、我が国においてはむしろなじみの薄いスポーツであると認めるのが相当であって、少なくとも、ファッション関係商品に付される商標の構成部分としての「POLO」が、普通名称としてのポロ競技を示すにすぎない語として、周知著名なラルフ・ローレンに係る「POLO」標章ないしそのブランド名の連想を阻害するような強い意味づけを有するも 構成部分としての「POLO」が、普通名称としてのポロ競技を示すにすぎない語として、周知著名なラルフ・ローレンに係る「POLO」標章ないしそのブランド名の連想を阻害するような強い意味づけを有するものとは到底認めるに足りない。 次に、「POLO」の語はポロシャツを意味する略称であるとの原告の主張に関しては、確かに、甲第3~第9号証、第23~第25、第28号証(各枝番を含む。)によれば、「ポロシャツ」の語が、カジュアルな襟付き半袖シャツの名称として普通名称となっており、かつ、これが「ポロ」と略称されることがあることは認められる。しかし、本件商標中の「POLOCLUB」との構成部分に着目すると、この「POLO」の語がポロシャツの意味に用いられていると理解することは困難であり、しかも、本件商標の指定商品はポロシャツ以外の被服等を含むものであるから、本件商標に接した取引者、需要者が、本件商標中の「POLO」の語からポロシャツをまず想起するとは考えられないというべきである。 さらに、原告は、「POLO」の語を含む多数の商標が、取引者、需要者から高い認知を得ていると主張するが、そのような商標が登録、使用されているとしても、このことから直ちに、ラルフ・ローレンに係る「POLO」標章と他の「POLO」の語を含む商標とについて、取引者、需要者がその出所を明確に区別して認識していると認められるものではなく、他のそのような認識を示す証拠はないから、この点の主張も理由がない。 また、原告は、本件商標の外観、観念及び称呼のいずれに照らしても、「POLO」の部分のみに着目されるべき理由はないとも主張するが、前記認定のラルフ・ローレンに係る「POLO」標章の著名性に照らすと、取引者、需要者は、本件商標中の「POLO」の部分に着目すると考える POLO」の部分のみに着目されるべき理由はないとも主張するが、前記認定のラルフ・ローレンに係る「POLO」標章の著名性に照らすと、取引者、需要者は、本件商標中の「POLO」の部分に着目すると考えるのが相当であるから、原告の主張は、採用することはできない。 4 以上のとおり、原告の本件決定取消事由の主張は理由がなく、他に本件決定にこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。 よって、原告の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部裁判長裁判官田中康久裁判官長沢幸男裁判官宮坂昌利
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