- 1 - 主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 第1審原告らの本件控訴に係る控訴費用は第1審原告らの負担とし,第1審被告の本件控訴に係る控訴費用は第1審被告の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 第1審原告ら⑴ 原判決中,第1審原告ら敗訴部分を取り消す。 ⑵ 第1審被告は,第一審原告Aに対し,更に715万円及びうち544万5000円に対する平成26年11月13日から,うち170万5000円に対する同月16日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑶ 第1審被告は,第一審原告Bに対し,更に715万円及びうち544万5000円に対する平成26年11月13日から,うち170万5000円に対する同月16日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 第1審被告⑴ 原判決中,第1審被告敗訴部分を取り消す。 ⑵ 前項の部分に係る第1審原告らの請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は,承継前第1審原告Cの訴訟承継人である第1審原告ら及びCが住職兼代表役員であった第1審原告宗教法人X(以下「第1審原告X」という。)が,第1審被告に対し,第1審被告が制作し放送した「グッド!モーニング」,「報道ステーションSUNDAY」及び「スーパーJチャンネル」において,断定的にCが放火行為を行ったという事実等を摘示され,C及び第1審原告Xの名誉を毀損されたなどと主張して,不法行為に基づく損害賠償として,精神的損害に対する慰謝料及び弁護士費用相当額の一部である第1審原告らにつき各825万円,第1審原告Xにつき1650万円及びこれに対する不法行為日(上記各番- 2 -組の放送日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害 費用相当額の一部である第1審原告らにつき各825万円,第1審原告Xにつき1650万円及びこれに対する不法行為日(上記各番- 2 -組の放送日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,不法行為に基づく名誉回復の措置として,原判決別紙1記載の謝罪広告を,同別紙2の(掲載媒体)欄記載の各新聞の平日朝刊に,同別紙2記載の条件で各1回掲載することを求めた事案である。 原判決が,第1審原告らの各請求を,それぞれ前記「グッド!モーニング」及び「報道ステーションSUNDAY」の各放送内容の一部に関する慰謝料及び弁護士費用相当額の合計110万円並びに上記各番組の放送日である「グッド!モーニング」分(5万5000円)につき平成26年11月13日,「報道ステーションSUNDAY」分(104万5000円)につき同月16日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容し,その余の請求をいずれも棄却し,第1審原告Xの請求を棄却したところ,第1審原告ら及び第1審被告はこれを不服としてそれぞれの敗訴部分につき控訴した。第1審原告らは,当審において,謝罪広告に関する請求を除外する趣旨の請求の減縮をした。 2 前提事実並びに争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」1及び2のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)原判決5頁11行目の「及び原告X」を削り,13行目の「原告ら」を「第1審原告ら」に,7頁11行目の「本件放送①ないし③」を「本件各放送」にそれぞれ改め,12行目及び18行目の各「及び原告X」をそれぞれ削り,11頁14行目の「また」から同行目から15行目にかけての「低下させるものではない。 目の「本件放送①ないし③」を「本件各放送」にそれぞれ改め,12行目及び18行目の各「及び原告X」をそれぞれ削り,11頁14行目の「また」から同行目から15行目にかけての「低下させるものではない。」まで,22行目の「また」から同行目から23行目にかけての「低下させるものではない。」まで及び12頁3行目の「また」から4行目の「低下させるものではない。」までをそれぞれ削り,13行目及び17頁8行目の各「原告ら」並びに23行目の「原告」をいずれも「第1審原告ら」に,18頁11行- 3 -目の「,損害額及び謝罪広告の当否」を「及び損害額」に,12行目の「原告ら」を「第1審原告ら」にそれぞれ改め,13行目の「及び原告X」並びに15行目及び17行目の各「C及び原告Xにつき各」をそれぞれ削り,15行目の「下ることはない」の次に「(本訴では,上記の各番組につきそれぞれ275万円の支払を求める。)」を加え,17行目の「また」から19行目の末尾までを削り,21行目の「原告ら」を「第1審原告ら」に改める。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,第1審原告らの各請求は,それぞれ前記「グッド!モーニング」(本件番組①)及び「報道ステーションSUNDAY」(本件番組②)の各放送内容の一部に関する慰謝料及び弁護士費用相当額の合計110万円並びに上記各番組の放送日である本件番組①に係る5万5000円につき平成26年11月13日から,本件番組②に係る104万5000円につき同月16日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余の請求は理由がないと判断する。その理由は,次項のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 争点に対する判断」1ないし3のとおりであるから,これを引用する。 2⑴ 原判決18 の余の請求は理由がないと判断する。その理由は,次項のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 争点に対する判断」1ないし3のとおりであるから,これを引用する。 2⑴ 原判決18頁23行目の「及び原告X」を削り,21頁8行目の「檀家が」を「檀家側が対抗策として」に改め,17行目の「難しくなっているため,」の次に「この」を加え,23行目の「原告ら」を「第1審原告ら」に改め,同行目の「及び原告X」を削る。 ⑵ 原判決22頁10行目の「原告ら」から17行目の「できない。」までを「第1審原告らは,伝聞の摘示は,伝聞の存在ではなく伝聞内容たる事実の摘示であることからすると,『そんな住職にお経をあげてもらっても成仏できませんよ』というDの発言は,放火行為等を行ったCにお経をあげてもらっても成仏できないことを摘示したものである旨主張する。しかし,第1審被告が本件放送①で上記発言をとり上げた趣旨は,一般の視聴者の普通の注- 4 -意と視聴の仕方を基準とすれば,当該部分の前後の文脈等に照らして,上記発言内容自体を事実であるとして視聴者に印象づけることにあるのではなく,放火行為の背景にあることがうかがわれる住職と檀家との対立の具体例として,檀家側の代表であるDが住職であるCへの不平不満の表れとして上記発言をしたことに焦点を当てたものであると理解できるのであり,第1審原告らの主張は採用することができない。」に改める。 ⑶ 原判決23頁2行目の「参照」の次に「。なお,第1審原告らは,『すぐにスプレーがかけられたり切り取られたり。そこで檀家側が取った対抗策は,防犯カメラでした。』とのナレーションは,檀家側が立て看板へのペンキ吹付け行為や横断幕切取り行為の犯人に関する証拠をつかむために防犯カメラを設置した事実を摘示しており,これに当 側が取った対抗策は,防犯カメラでした。』とのナレーションは,檀家側が立て看板へのペンキ吹付け行為や横断幕切取り行為の犯人に関する証拠をつかむために防犯カメラを設置した事実を摘示しており,これに当然に含意されるCが上記各行為を行ったとの事実をも摘示したものである旨主張する。しかし,第1審被告が本件放送①で上記ナレーションを行った趣旨は,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば,当該部分の前後の文脈等に照らして,放火行為の背景にあることがうかがわれる住職と檀家との対立の具体例として,檀家側が住職の辞任を求めて設置した立て看板にスプレーが吹き付けられたり横断幕が切り取られたりしたことへの対策として,檀家側が防犯カメラを設置したことを示すことにあると理解できるのであり,上記各行為をCが行ったことを示すものとはいえないから,第1審原告らの主張は採用することができない。」を加える。 ⑷ 原判決23頁7行目の「参照」の次に「。なお,第1審原告らは,第1審被告がコメンテーターである弁護士に『このお布施のお金を巡るトラブル』とコメントさせることで,Cがお布施のお金を巡るトラブルの末に放火行為に及んだとの事実を摘示したものである旨主張する。しかし,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば,上記弁護士のコメントは,放火行為の背景に住職と檀家とのトラブルがあるとうかがわれることを踏まえて,- 5 -寺と檀家とのトラブル一般につき,その解決の困難さを問われたのに対し,高齢化により檀家の数が減少してきて寺の存続が難しくなっているという社会情勢の下で,檀家によるお布施のお金を巡るトラブルが増えているという見解を示したものと理解できるのであり,それ以上,Cについて言及するものではないから,第1審原告らの主張は採用することができない。」 情勢の下で,檀家によるお布施のお金を巡るトラブルが増えているという見解を示したものと理解できるのであり,それ以上,Cについて言及するものではないから,第1審原告らの主張は採用することができない。」を加える。 ⑸ 原判決26頁3行目及び31頁12行目の各「原告らがC及び原告X」をいずれも「第1審原告らがC」に,32頁12行目の「なお,」から22行目の「できない。」までを「第1審被告は,『この直談判の3日後,檀家側が設置した防犯カメラがC容疑者の姿を捉えた』とのナレーションについて,本件放送②でCと檀家の間のトラブルと横断幕への放火をとり上げた部分は約7分50秒間であるのに対し,『埼玉・久喜市 8日午後11時50分すぎ防犯カメラの映像』とのテロップ及び放火の瞬間の防犯カメラの映像を映しながら上記ナレーションが流れた部分は約9秒間であり,全体の約1.1%にすぎないこと,上記ナレーションは,Cと檀家との対立の経緯や対立があった状況で放火事件が発生し,Cが容疑者として逮捕され,防犯カメラ映像には放火犯人の姿が映っていたことを『C容疑者の姿を捉えた』としたものであること,その後,本件放送②では放火容疑で逮捕されたCが容疑を否認している事実を示したことからすると,本件放送②の全体的な構成,テロップ等の文字情報や映像及びナレーションの内容,放送内容全体から受ける印象等を総合的に考慮すれば,本件放送②は,『C住職が横断幕に放火した疑いがあり,放火の容疑で逮捕された』ことを摘示したものであり,『Cが横断幕に放火した』ことを摘示したものではないというべきである旨主張する。しかし,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とする限り,放火の瞬間の防犯カメラの映像を映しながら行われた『防犯カメラがC容疑者の姿を捉えた』とのナレーションは,上記映像に である旨主張する。しかし,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とする限り,放火の瞬間の防犯カメラの映像を映しながら行われた『防犯カメラがC容疑者の姿を捉えた』とのナレーションは,上記映像に映る横断幕に放火した犯人がC容- 6 -疑者であること,すなわちCが横断幕に放火したことを事実として摘示するものであると理解するほかなく,上記ナレーションの所要時間や上記ナレーション後の放送でCが容疑を否認している旨を伝えたことを考慮しても,上記判断は左右されない。他方,第1審原告らは,上記ナレーションにおいて『この直談判の3日後』と述べられていることから,このナレーションは,看板への落書き等に係る直談判をCの放火行為と結び付け,もって落書き等もCが行ったと示す表現である旨主張する。しかし,本件放送②では,Cが落書等をした旨の直接的な言及はなく,上記直談判の内容としてCが立て看板への落書き行為や横断幕の切取り行為を自らはしていない旨述べていたことを伝えており,放火行為と落書き行為及び切取り行為とは物を毀損する行為としての危険性の程度等が異なることも考え併せると,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば,上記ナレーションが摘示しているのはCが横断幕に放火したことであると理解することができ,それ以上に落書き行為や切取り行為をCが行ったことまで摘示したものであるとはいえない。以上によれば,第1審原告ら及び第1審被告の各主張は,いずれも採用することができない。」にそれぞれ改める。 ⑹ 原判決33頁26行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 第1審被告は,犯罪報道において,容疑者が逮捕されたことを報道する際には,容疑者の言い分についても報道することは,報道が一方的にならないようにするための報道機関による報道の原則であり,の事実 「 第1審被告は,犯罪報道において,容疑者が逮捕されたことを報道する際には,容疑者の言い分についても報道することは,報道が一方的にならないようにするための報道機関による報道の原則であり,の事実は,同原則に従って,防犯カメラに放火の映像があり,Cが放火の容疑で逮捕されたことを報道するとともに,Cの言い分として容疑を否認していることを報道したものであり,Cが不合理に容疑を否認しているとしたものではない旨主張する。しかし,本件放送②においては,既に防犯カメラの映像等によりCが横断幕に放火したとのの事実を摘示したすぐ後に,Cがその容疑を否認しているとのの事実に言及したものであり,一般の視聴者- 7 -の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば,Cが放火行為に及んだことを示す決定的な証拠映像があるにもかかわらず,Cは容疑を否認しているとの印象を与える報道をしたものであるといわざるを得ない。Cが容疑を否認していることについての報道は,一般的にはその言い分を伝えることにより報道が一方的にならないようにする意味を有するものではあるが,本件放送②においては,第1審被告がCが放火をしたのは事実であるとの報道を行った後にその嫌疑を否認する容疑者自身の捜査機関に対する供述内容を伝えていることから,第1審被告の主張は採用することができない。」⑺ 原判決34頁6行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 第1審原告らは,の事実について,第1審被告は,『あれだけ真面目な住職が事件を起こすとは信じられない』との檀信徒を擬した男の声に,直前で『C容疑者の姿』と言及された放火犯の映像を重ねることにより,Cが檀家の信頼を裏切った事実まで示した旨主張する。しかし,が住職として寺の再建に真面目に努力していたと評価する檀家の声や,事件の背景に住職の交替 の姿』と言及された放火犯の映像を重ねることにより,Cが檀家の信頼を裏切った事実まで示した旨主張する。しかし,が住職として寺の再建に真面目に努力していたと評価する檀家の声や,事件の背景に住職の交替という問題があったことを指摘する他の住職の声があることなどを伝えるものであり,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば,Cが放火の犯人であるとしても,その背景にはCのために酌むべき様々な情状事実があり得ることを示したものと理解することができ,Cの社会的評価を低下させるものではないから,第1審原告らの主張は採用することができない。 ⑸ 第いて,犯人が容疑を否認しているとの事実は往生際が悪いとの社会的評価を生じるものであり,Cの社会的評価を低下させる旨主張する。しかし,既に説示したとおり,本件放送①及び本件放送③においては,本件放送②とは異なり,Cが放火行為を行ったとの摘示はされておらず,一- 8 -般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば,上記各は,いずれも放火の容疑で逮捕されたということ以上にCの社会的評価を低下させるものとはいえないから,第1審原告らの主張は採用することができない。 ⑹ 第1審原告らは,本件放送①及び本件放送③について,前記引用に係る原判決「た部分)に加え,それぞれ防犯カメラが映した放火犯が放火行為を行っている映像に,Cの氏名のスーパーを重ねることその他の手法により(本件放送①),又は『住職とみられる一人の男,何やら液体をかける。 その後,火を付けたのだ』とのナレーションを被せ,その上にCの氏名のスーパーを重ねることその他の手法により(本件放送③),いずれも『Cが,第1審原告Xの檀信徒一般との対立の末,放火行為に及んだ』という事実を摘示したものである旨主張する。しかし,本件放送①及び本件 スーパーを重ねることその他の手法により(本件放送③),いずれも『Cが,第1審原告Xの檀信徒一般との対立の末,放火行為に及んだ』という事実を摘示したものである旨主張する。しかし,本件放送①及び本件放送③においては,本件放送②とは異なり,Cが放火行為を行ったとの摘示はされておらず,防犯カメラの映像に被せられたCの氏名のテロップも,『曹洞宗・X住職 C容疑者(72) 『私は何もやってません』容疑を否認』というもの(本件放送①)や,『逮捕(建造物等以外放火の疑い) X 住職 C容疑者(72)』あるいは『C容疑者『私は何もやっていません』→容疑を否認』(本件放送③)というものであることなどを考慮すると,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば,本件放送①及び本件放送③において,Cが放火行為に及んだことが摘示されたとみることはできないから,第1審原告らの主張は採用することができない。 ⑺ 第1審原告らは,さらに当審において,第1審原告らが処分権に基づき本件番組①及び③の各摘示事実を「Cが,第1審原告Xの檀信徒一般との対立の末,放火行為に及んだこと」と主張しているのであるから,- 9 -これと異なるものを摘示事実として認定するのは問題であると主張する。しかし,本件放送①及び③の摘示事実の認定は当事者が主張している事実を前提とするものである(弁論主義)が,第1審原告ら及び第1審被告双方の主張事実を前提にするものであって,第1審原告らの主張事実だけが前提になるのではない。前記認定のとおり,本件番組①は「放火の瞬間の映像があり,そこではフードをかぶりマスクで顔を覆った人物が液体をかけた直後に横断幕が燃え上がった事実」「第1審原告Xの住職であるCが建造物等以外放火の疑いで逮捕された事実」が摘示されていると認められ,これは第1審被告が本件 かぶりマスクで顔を覆った人物が液体をかけた直後に横断幕が燃え上がった事実」「第1審原告Xの住職であるCが建造物等以外放火の疑いで逮捕された事実」が摘示されていると認められ,これは第1審被告が本件番組①の摘示事実と主張している被告主張摘示事実①及び②と同旨ということができる。また,本件番組③は「第1審原告Xの住職であるCが建造物等以外放火の疑いで逮捕された事実」「顔を隠した人物が放火をする瞬間の防犯カメラ映像がある事実」が摘示されていると認められ,これは第1審被告が本件番組③の摘示事実と主張している被告主張摘示事実①,㉗と同旨ということができる。」⑻ 原判決34頁7行目の「⑸」を「⑻」に,15行目の「に無断で」を「の承諾を得ることなく」にそれぞれ改め,35頁23行目から37頁1行目までを削り,38頁24行目及び26行目の各「原告ら」をいずれも「第1審原告ら」に,40頁23行目の「同月22日」を「同年10月22日」に,42頁17行目の「同月10日」を「同年11月10日」に,48頁16行目及び17行目の各「⑸」をいずれも「⑻」に,50頁9行目,12行目及び14行目の各「摘示事実④」を「摘示事実④前段」にそれぞれ改める。 ⑼ 原判決51頁3行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 第1審被告は,摘示事実④後段によってCの社会的評価が低下するのは,信仰に不可欠であり寺や檀家にとって極めて重要な仏像や経典を,CがXにおいて保存・管理せずに処分したという点にあり,骨董品店に売却した- 10 -との点にあるのではないから,摘示事実④後段における重要な部分は,『Cが寺にあった仏像や経典を骨董品店に売却したりした』との事実のうち,Cの社会的評価を低下させる部分,すなわち「CがXにあった仏像や経典を処分した」との事実となるが,当該事実 おける重要な部分は,『Cが寺にあった仏像や経典を骨董品店に売却したりした』との事実のうち,Cの社会的評価を低下させる部分,すなわち「CがXにあった仏像や経典を処分した」との事実となるが,当該事実は真実であるなどとして,名誉毀損の不法行為は成立しないというべきである旨主張する。しかし,Cの社会的評価を低下させる事情としては,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とする限り,住職であるにもかかわらず,Cが寺宝を処分したということのみならず,Cが寺宝を骨董品店に売却したということもこれに該当するというべきであり,殊更に後者を除外すべき合理的理由はないから,第1審被告の主張は採用することができない。」⑽ 原判決51頁4行目の「に無断で」を「の承諾を得ることなく」に改める。 ⑾ 原判決54頁12行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 第1審被告は,当審において,①警察は防犯カメラ映像からCを放火の容疑者として逮捕しており,防犯カメラ映像を見た複数の檀家は映像に映る犯人がCであることを確認していること,②Xの向かいに住むEは,放火し現場から立ち去って庫裏に入っていくCを目撃しており,その証言内容は,防犯カメラ映像に映る犯人の歩き方や,庫裏・本堂の状況,本堂に鍵がかけられていたこと,本堂にガソリンやチャッカマンが存在していたことなどの客観的事実と整合しており,EにはCへの悪感情から虚偽の証言をする動機はなく,十分信用できるものであること,③Aは,放火された横断幕を切り取り庫裏の寝室の押し入れに隠しているが,これはCの放火を隠蔽するためにほかならないことなどからすると,Cが横断幕に放火したことは真実である旨重ねて主張する。 しかし,上記防犯カメラの映像は,帽子を被り,口元をタオルのようなもので覆った人物が放火 するためにほかならないことなどからすると,Cが横断幕に放火したことは真実である旨重ねて主張する。 しかし,上記防犯カメラの映像は,帽子を被り,口元をタオルのようなもので覆った人物が放火行為に及ぶなどした状況を映したものであり,その映像自体により,放火犯人がCであることを直ちに特定できるようなも- 11 -のではない(乙4,5)。上記映像を見た複数の檀家は,Cが犯人である旨述べているが,その根拠は,犯人の全体的な雰囲気や背格好,歩く様子等がCに似通っているなどというものであり(乙12,13,26),確証とはいえない。かえって,証拠(甲24)によれば,Cの主治医(F医師)は,平成26年8月7日時点で,Cは,車いすや歩行補助具等は用いていないものの,屋外歩行は介助があればしている状態にあるとしており,同年9月11日に実施された介護認定調査においても,Cは,両下肢に浮腫があり,両大腿部のつけ根の強い痛みが常時あり,起居動作は息子(B)の介助がないとできないなどとされているところ,上記介護認定調査では起居動作の確認が実際に行われたわけではなく,日頃の様子を妻であるAから聴取した結果が記載されていることなどを考慮しても,上記の診断ないし認定がおよそCの実際の容態からかけ離れた不正確なものであることをうかがわせる証拠はないのであり,このようなCの容態は,上記防犯カメラの映像における犯人の挙動と必ずしも整合しているとはいえない。加えて,証拠(甲1,18の1・2)によれば,さいたま地方検察庁は,Cに対する器物損壊(受理罪名建造物等以外放火)被疑事件について,同年12月25日に公訴を提起しない処分(嫌疑不十分)をし,これを不服としたDの申立てに基づくさいたま第一検察審査会の審査によっても,上記不起訴処分は相当であると議決されていること 疑事件について,同年12月25日に公訴を提起しない処分(嫌疑不十分)をし,これを不服としたDの申立てに基づくさいたま第一検察審査会の審査によっても,上記不起訴処分は相当であると議決されていることが認められる。 以上からすると,Eの証言については,前記のとおり,その信用性を減殺する方向の諸事情が認められる一方で,第1審被告が主張するようにその信用性を補強する方向の諸事情もあることや,Aが放火された横断幕を切り取り自宅に持ち帰ったこと(乙4,5,34の1ないし4,A本人(原審))などを考慮しても,Cが放火犯人であることを認めるには足りないというべきである。」⑿ 原判決54頁25行目の末尾に改行して次のとおり加える。 - 12 -「 第1審原告らは,テレビジョン放送をされる報道番組の一般視聴者は,流される情報をその順番どおりにあるがままの形で認識するのみで,後の報道内容に基づいて前の報道内容を解釈検討することはできないことなどからすると,摘示事実⑳は,Cが放火行為に及んだとの事実を摘示していると解するほかないものである旨主張する。 しかし,既に説示した本件放送③において防犯カメラの映像に被せられたCの氏名のテロップを含め,同放送の全体的な構成等を総合すると,一般の視聴者の普通の注意と視聴の仕方を基準とすれば,同放送は,総じてCが放火行為の容疑者であることを示したものであると理解することができるのであり,摘示事実⑳は,Cが放火行為に及んだことを摘示するものであるということはできず,第1審原告らの主張は採用することができない。」⒀ 原判決54頁26行目,55頁7行目,26行目,56頁3行目の各「摘示事実④」をいずれも「摘示事実④後段」に改める。 ⒁ 原判決57頁20行目末尾に改行して次のとおり加 ることができない。」⒀ 原判決54頁26行目,55頁7行目,26行目,56頁3行目の各「摘示事実④」をいずれも「摘示事実④後段」に改める。 ⒁ 原判決57頁20行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 第1審被告は,当審においても,Gディレクターの取材に対してHが防犯カメラ映像の放火犯人はCだと話したこと,第1審被告記者の取材に対して久喜警察署の担当者らは防犯カメラ映像からCが容疑者であると特定したと明言したこと,防犯カメラ映像に写っていた放火犯人は高齢男性の背格好で足を引きずるようにゆっくりとした歩き方であったから番組制作担当者にはCとしか考えられなかったことなどからすると,Cが放火犯人であることを真実と信じるにつき相当の理由があったということができ,Eに裏付取材をしていないことや,Cに取材をしていないことは真実と信じるにつき相当の理由がないことの根拠にならないと重ねて主張する。 しかし,既に述べたとおり,上記の事実によってCが放火をしたと信じることは相当とはいえないし,第1審被告は放送事業を行う者であり,本- 13 -件放送②は報道番組であって,関東一都六県に自ら放送し,また地方の放送局に配信して全国にテレビ放送されるものであるところ,容疑者が逮捕された直後であり,容疑者が否認をしているなどの状況における犯罪報道においては,犯罪行為をした者の特定について特に慎重さが求められる(現に,本件放送①及び③においては,Cが放火をした旨は摘示されていない。)ことも考慮すると,Cが放火行為に及んだと信ずるについて相当の理由があったとまでいうことはできない。」⒂ 原判決57頁21行目の「,損害額及び謝罪広告の当否」を「及び損害額」に,22行目,58頁15行目,17行目,20行目及び22行目の各「摘示事実④」をいずれも「摘示事実 いうことはできない。」⒂ 原判決57頁21行目の「,損害額及び謝罪広告の当否」を「及び損害額」に,22行目,58頁15行目,17行目,20行目及び22行目の各「摘示事実④」をいずれも「摘示事実④後段」にそれぞれ改め,59頁3行目から23行目までを削る。 3 以上の次第であり,第1審原告らの各請求は,それぞれ本件放送①及び本件放送②の各放送内容の一部に関する慰謝料及び弁護士費用相当額の合計110万円及びうち5万5000円に対する本件放送①の放送日である平成26年11月13日から,うち104万5000円に対する本件放送②の放送日である同月16日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその支払を命じ,その余の請求は理由がないから棄却すべきであり,これと同旨の原判決は相当であって,本件各控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第21民事部 裁判長裁判官中西茂 裁判官野原利幸- 14 - 裁判官金澤秀樹
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