平成16(う)82 廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成16年10月13日 広島高等裁判所 岡山支部 岡山地方裁判所 平成15(わ)117
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判決文本文11,154 文字)

主文 本件各控訴を棄却する。 理由 1 被告人両名の本件控訴の趣意は,弁護人松島幸三作成の控訴趣意書(平成16年10月7日付け上申書により一部訂正),同補充書及び同補充書(2)に記載されているとおりであるから,これらを引用する。 そこで記録を調査し,当審における事実取調べの結果を併せて検討する。 2 控訴趣意中,訴訟手続の法令違反の点について論旨は,要するに,原裁判所は,原判示第3別表番号1の投棄について,その投棄日時を「平成14年12月24日ころから同月25日ころ」とする訴因に対し,「平成14年12月22日ころから同月25日ころ」と認定したが,上記認定は,被告人らの防御権を不当に侵害するものであり,訴因変更の手続を経ることなく上記認定をした原審の訴訟手続には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反がある,というのである。 そこで検討するに,上記投棄について,その投棄日時に関する原審段階の訴因とこれに対する原裁判所の認定が所論指摘のとおりであること,及び訴因変更の手続がとられていないことは,記録上明らかであるところ,両者は,原判示事実がその始期において約2日早まっている点に違いがあるけれども,投棄場所,投棄数量においては違いがなく,投棄行為の始期が約2日早まったとしても,これにより審判の対象に実質的な差異を生ずるものではないから,この限りでは,訴因変更の手続を要するものとはいえない。しかしながら,本件の審理経過を子細にみると,被告人らは,公判当初から,原判示第2及び別表番号1を含む同第3の各投棄について,被告人Aが,B(以下「B」という。)及びC(以下「C」という。)と共謀したことを争っていたこと,検察官は,原審第2回公判期日の冒頭陳述において,上記 2及び別表番号1を含む同第3の各投棄について,被告人Aが,B(以下「B」という。)及びC(以下「C」という。)と共謀したことを争っていたこと,検察官は,原審第2回公判期日の冒頭陳述において,上記各投棄,とりわけ別表番号1,2の各投棄について,「平成14年12月20日過ぎころ,被告人Aは,Bを誘い,B運転の車両で不法投棄場所を物色に赴いた。被告人Aは,別表番号1の投棄場所でBに車両を止めるよう指示すると,『ここなら見えないだろう』などと話した。さらに,被告人Aは,Bを伴って別表番号2の投棄場所へ赴き,Bに『夜になったら,さっきの所かここにゴミを持ってこい』と指示した。この物色について,被告人Aは,Cに対しては『ただで捨てに行く山を探しよる』などと説明した。その翌日,被告人Aは,C及びBと共に車で別表番号1の投棄場所などを物色に赴き,その際,車内でCらに対し,『今晩からCが一人でaのゴミを積んで捨て出すこと』等と申し向け,産廃の不法投棄を行う共謀を遂げた」「Cは,同月24日ころから同月28日ころまで,aの現場から産廃を搬出して別表番号1,2の投棄場所に投棄し,各犯行に及んだ」などと,被告人Aにつき,いわゆる共謀共同正犯が成立する旨主張していたこと,その後,立証趣旨を「被告人Aとの共謀,犯行状況等について」とする検察官の請求により,第3回公判期日から第5回公判期日まで,B及びCの証人尋問が実施されたが,弁護人は,第9回公判期日後の平成16年1月16日付けで,B及びCの再尋問を求める証拠申出書を提出し,Bの再尋問を必要とする理由として,「冒頭陳述によれば,Bと被告人Aは,別表番号1の投棄場所への最初の投棄の前日に現場を下見し,その翌日,Cも加えて3人で下見し,被告人Aがその晩からの投棄を指示したことで共謀を遂げたとされているが,Cの供述が よれば,Bと被告人Aは,別表番号1の投棄場所への最初の投棄の前日に現場を下見し,その翌日,Cも加えて3人で下見し,被告人Aがその晩からの投棄を指示したことで共謀を遂げたとされているが,Cの供述が明らかに平成14年12月24日から投棄を始めたという内容である以上,その前日である同月23日には,被告人A及びBが岡山にいなければ,別表番号1の投棄場所の下見は不可能である」「Bは,前回の尋問時に,同月23日に岡山県外に出た可能性を否定したが,Bの携帯電話の記録には,同月23日に広島県内から発信された記録が残されている上,Bの尋問後に行われたDの証人尋問によれば,Bは,その前後に尾道に行っており,Bが同月23日に尾道に行っていたとすれば,その日に被告人Aと別表番号1の投棄場所を下見することは不可能であるから,検察官の冒頭陳述は根本から覆ることになる」「したがって,Bに対し,尾道へ行ったことの有無及び時期を再度尋問する必要がある」旨記載していたこと,その後,B及びCの再尋問が決定され,第10回公判期日に各尋問が実施されたが,検察官は,第11回公判期日において,立証趣旨を「広島県内で発信された携帯電話が岡山県内の受信局で受信されうるかどうかの照会」とする捜査関係事項照会書(謄本)及びこれに対する回答書各1通の証拠調べを請求し,その取調べを了した上,論告において,上記証拠申出書における弁護人の指摘に対し,「隣接県内で発信された携帯電話の電波が別の隣接県内の中継局で捉えられる現象は稀ではなく,Bが平成14年12月23日に広島県内に所在したことを決定づけるものではない」などと反論していたこと,他方,弁護人は,弁論において,「平成14年12月23日は,Cらによる最初の投棄を同月24日とする検察側の主張によれば,Bと被告人Aが最初に下見に行った日としての ではない」などと反論していたこと,他方,弁護人は,弁論において,「平成14年12月23日は,Cらによる最初の投棄を同月24日とする検察側の主張によれば,Bと被告人Aが最初に下見に行った日としての意味を持つ」「しかし,携帯電話の発信記録から,Bはこの日,広島にいたことが明らかであ」り,別表番号1の投棄場所へ3人で下見に行った日,「つまり最初の投棄があった日について,BとCの供述は食い違っている」から,被告人Aとの共謀に関する上記両名の供述は,相互に食い違っており信用できないものであって,共謀共同正犯を認定することはできない旨主張していたことの各事実が認められる。以上の審理経過に照らせば,別表番号1の訴因における「平成14年12月24日」という日は,単に投棄行為の始期としての意味を持つだけでなく,検察官の冒頭陳述と相まって,被告人AとB及びCとの間に別表番号1,2の各投棄についての共謀共同正犯が成立したか否かを左右する日として重要な意味を持ち,当事者もこれを争点と認識して攻撃防御を行っていたことが明らかであり,このような審理の経過に鑑みると,原裁判所が投棄行為の始期を両当事者が主張していない同月22日ころと認定することは,被告人側において同月22日における共謀共同正犯の成立の有無を争う機会を不当に奪うものであり,この点を新たに争点として顕在化させる措置をとることなく,別表番号1の投棄日時を「平成14年12月22日ころから同月25日ころ」と認定した本件の訴訟手続には,被告人らに不意打ちを与え,その防御権を不当に侵害した違法があるといわなければならない。 もっとも,さらに検討すると,原判決挙示の関係各証拠によれば,後記のとおり,被告人Aは,平成14年12月24日,B及びCと共に車で別表番号1,2の投棄場所へ下見に赴き,Cらに対し,「今晩 ない。 もっとも,さらに検討すると,原判決挙示の関係各証拠によれば,後記のとおり,被告人Aは,平成14年12月24日,B及びCと共に車で別表番号1,2の投棄場所へ下見に赴き,Cらに対し,「今晩からaのゴミを積んで捨て出すこと」等と申し向け,産業廃棄物の不法投棄を行う共謀を遂げたと認められ,別表番号1につき,原審段階における訴因どおりの事実を肯認することができるから,上記措置として訴因変更手続は結果的に不要であったということになり,上記違法は,判決に明らかに影響を及ぼすものとはいえない。 論旨は結局,理由がない。 3 控訴趣意中,事実誤認の点について論旨は,要するに,原判決は,被告人Aが,(1) 岡山市a所在の被告人会社の産業廃棄物保管場所(以下「aの土地」という。)において,産業廃棄物約1424立法メートルを保管し,平成13年11月16日付けで,岡山市長から,上記産業廃棄物を平成14年3月9日までに撤去すべき旨の命令(以下「本件命令」という。)を受けたが,上記期日までに上記命令に従わなかった(原判示第1),(2) B及びCと共謀し,産業廃棄物である廃プラスチック類を岡山県倉敷市b所在の倉敷市役所残土置場(原判示第2)及び原判決添付別表番号1ないし4の各投棄場所にそれぞれ投棄した(原判示第3)と認定したが,(1)について,当該産業廃棄物は,被告人Aが知らないうちにE「以下「E」という。)らによって持ち込まれたもので,被告人Aが保管していたものではない上,被告人Aは,岡山市長から本件命令に係る書面を受け取っておらず,(2)についても,被告人Aは,B及びCと不法投棄の共謀をしたことはないから,上記各事実を認定した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。 そこで検討するに,原判示事実のうち 被告人Aは,B及びCと不法投棄の共謀をしたことはないから,上記各事実を認定した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。 そこで検討するに,原判示事実のうち,原判示第3別表番号1の投棄日時を「平成14年12月22日ころから同月25日ころ」と認定した点は,前記のとおり,原審段階における訴因どおりの事実を認定するのが相当であり,この点に関する原判決の認定には誤りがあるが,その誤りは,量刑上格別の差異をもたらすものではないから,判決に明らかに影響を及ぼすものとはいえない。また,原判決の(弁護人の主張に対する判断)欄には,aの土地への搬入の代価が少額になっている理由を説示した箇所において,一部相当性を欠く部分があるものの,結論としては,原判決に所論の事実誤認は存しない。以下,所論に即して検討する。 (1) 原判示第1の事実についてまず,被告人Aが原判示第1の産業廃棄物を保管していたか否かについて検討するに,原判決挙示の関係各証拠,とりわけC及びEの原審公判供述によれば,平成12年4月ころ,被告人Aは,建物解体等の事業を営む有限会社F商事(以下「F商事」という。)の代表者であったEに対し,搬入量の上限を画することなく,aの土地に産業廃棄物を持ち込むことを承諾し,同年5月ころから,Eによってaの土地に産業廃棄物が搬入されるようになったことが認められ,被告人Aが,原判示第1の産業廃棄物を保管していたことは優に認定できる。これに対し,被告人Aは,原審公判廷において,「Eからあなたの方にごみを置かせて下さいという許可は求められましたか」という弁護人の質問に対し,「それが,事後承諾だったか前もって承諾を出したかというのはちょっとよく覚えていない」「多分事後承諾だったんだと思う」と供述し,その後重ねて,「事 う許可は求められましたか」という弁護人の質問に対し,「それが,事後承諾だったか前もって承諾を出したかというのはちょっとよく覚えていない」「多分事後承諾だったんだと思う」と供述し,その後重ねて,「事後承諾をしたということはありますか」と問われると,「ないと思います。事後承諾もしていないような気もするんですけども,したのかなあ」などと供述しているが,被告人Aの上記供述は,それ自体甚だ曖昧なものである上,関係各証拠によれば,被告人Aは,平成12年7月下旬にaの土地への廃棄物の搬入が岡山市役所担当課によって問題とされて以降,たびたび担当職員の事情聴取を受け,Gを被告人会社の名目上の代表取締役に就任させた後は,Gを通じて担当職員から指導を受けた内容を聞いていたにもかかわらず,上記職員らに対し,当該廃棄物は無断で搬入されたもので,自己の与り知らないものであるといった弁明は一切しておらず,また,捜査段階においても,平成14年5月22日付けで岡山市長から告発がなされて以降,検察官による平成15年2月14日の取調べのころまでは,警察官,検察官のいずれに対しても,上記認定に沿う供述をし,自らが原判示第1の産業廃棄物を保管していたことを肯認していたことが明らかであって,その後これを翻し,否認に転じた理由について,被告人Aが合理的な説明をなし得ていないことをも考慮すると,被告人Aの上記公判供述は信用できない。 所論は,原判示第1の産業廃棄物は被告人Aが知らないうちに持ち込まれたものであるとし,その根拠として,① 廃棄物をaの土地に搬入することで利益があるのはF商事及びEである,② 被告人AはEらから廃棄物の処理料金を受け取っていない,③ Eは,aの土地への廃棄物の搬入が岡山市役所担当課によって問題とされた後の平成14年8月ころ,自己の所有地に被告人Aを 商事及びEである,② 被告人AはEらから廃棄物の処理料金を受け取っていない,③ Eは,aの土地への廃棄物の搬入が岡山市役所担当課によって問題とされた後の平成14年8月ころ,自己の所有地に被告人Aを権利者とする担保権を設定し,aの土地から廃棄物を搬出する費用を捻出しようとしていた,などと主張する。まず,①の点についてみると,廃棄物をaの土地に搬入することで,一次的に利益を得るのがF商事ないしEであることは,所論指摘のとおりと考えられるけれども,当審における事実取調べの結果によれば,被告人Aは,Eらがaの土地に廃棄物の搬入を始める相当前から,F商事が買い受けた重機2台の割賦代金債務(合計1254万5000円)について,自己が代表取締役を務める株式会社Hにおいて連帯保証人となった上,F商事が上記割賦金債務の支払に窮した際,これを代わって支払うなど,F商事ないしEと相当親密な関係にあり,F商事の事業継続に重大な利害関係を有していたと認められるから,このような被告人Aが,廃棄物の処理料金の支払に窮したEの依頼を受け,aの土地への廃棄物の搬入を承諾することは,十分あり得るところと考えられる。次に,②の点についてみると,被告人側に処理料金を渡した旨のCの原審公判供述は,原判決が説示するとおり,原審検31添付のノート及び請求書の記載によって裏付けられており,十分信用できるところ,確かに,Cの供述を前提としても,Cが被告人側に渡した金額は,搬入した廃棄物の量に比して甚だ低額であることは否めず,被告人Aが処理料金欲しさから,積極的に廃棄物の搬入を承諾したとは認め難いものの,被告人Aが上記のとおり,F商事の事業継続に重大な利害関係を有していたことを考慮すると,処理料金の低廉さから,前記認定が左右されるものとはいえない。さらに,③の点についてみると,B,C め難いものの,被告人Aが上記のとおり,F商事の事業継続に重大な利害関係を有していたことを考慮すると,処理料金の低廉さから,前記認定が左右されるものとはいえない。さらに,③の点についてみると,B,C及びEの原審公判供述並びに当審における事実取調べの結果によれば,Eは平成14年8月ころ,aの土地から廃棄物を搬出する費用を捻出すべく,被告人Aに対して自己の所有地を売却することを依頼し,その後,同年10月29日受付で上記土地に被告人Aを権利者とする根抵当権設定仮登記及び条件付賃借権設定仮登記を経由していたことが認められるけれども,aの土地へ廃棄物を搬入することで,一次的に利益を得るのがF商事ないしEであり,被告人Aは,F商事の事業継続に重大な利害を有する関係で,いわば消極的に廃棄物の搬入を承諾したにすぎないと考えられることからすると,それまで低額の処理料金しか支払っていなかったEが,本件命令が発せられるなど事態の深刻化に伴って,応分の搬出費用を負担する態度を示したとしても,不自然,不合理なこととはいえず,③の点も,前記認定を妨げるものとはいえない。所論は採用できない。 次に,被告人Aが本件命令に係る書面を受け取ったか否かについて検討するに,Bは,捜査段階において,本件命令に係る郵便を含め,岡山市から配達証明付きで郵送され自己が受け取った郵便はすべて,被告人Aに渡した旨一貫して供述しているところ,その供述に不自然,不合理な点はなく,十分信用できる。 これに対し,被告人Aは,当公判廷で,本件命令に係る書面は受け取っていない旨所論に沿う弁解をするけれども,被告人Aは,捜査段階においては一貫して,Bから上記郵便を受け取ったことは認めた上,ただ,内容をよく確認していなかったと弁解していたにとどまり,原審段階においても,所論に沿う弁解は全くしていな も,被告人Aは,捜査段階においては一貫して,Bから上記郵便を受け取ったことは認めた上,ただ,内容をよく確認していなかったと弁解していたにとどまり,原審段階においても,所論に沿う弁解は全くしていなかったものである。このように,当公判廷における弁解が,極めて唐突になされたものであることを考慮すると,これを信用することはできず,警察官とのやりとりを一部録音したテープ及びその反訳書である当審弁5ないし7も,前後の文脈に照らし,上記弁解を裏付けるものとはいえない。本所論も採用できない。 (2) 原判示第3別表番号1,2の事実についてこの点について,Cは,原審公判廷において,「平成14年12月ころ,被告人Aから,aの土地の廃棄物を分別してほしいと頼まれた。分別がある程度できた同月20日ころ,IとJ物産に依頼して廃棄物を搬出したが,先方から,もう少し丁寧に分別しろと苦情を言われたため,被告人Aは,分別できていないごみは別の場所に移し替えようと言っていた」「同月24日の午後,被告人Aと共にBの運転する車に乗り,被告人Aの道案内に従って,別表番号1の投棄場所へ行き,そこで被告人Aから,『ここへaから分別できていない悪いごみを持ってこい。めんどくさかったら,土をかぶせてもいいし,穴を掘って埋めてしまえ』などと言われた」「引き続き,被告人Aの道案内に従って,別表番号2の投棄場所へ行き,そこでも被告人Aから,『人は来んから大丈夫じゃ。悪いごみを持ってこい。午後8時以降に現場を出るように。トラックのF商事の文字はスプレーで消しとけ』などと言われた」「その日の夜,F商事の事務所でトラックの文字を消した上,aの土地で廃プラスチック類をトラックに積み込み,Bに携帯電話で『これから出発する』と連絡した。投棄を終えて帰るとき,携帯電話で妻に電話し,クリスマス 夜,F商事の事務所でトラックの文字を消した上,aの土地で廃プラスチック類をトラックに積み込み,Bに携帯電話で『これから出発する』と連絡した。投棄を終えて帰るとき,携帯電話で妻に電話し,クリスマスイブのプレゼントの話をした」旨供述している。Cの上記供述は,具体的かつ詳細で迫真性があり,B及び妻に対する電話の点で,携帯電話の発信記録(原審検98)により裏付けられている上,I等に依頼して廃棄物を一部搬出したものの,同月24日までに全部搬出することができなかったという点では,被告人A自身が,同月17日に検察官に供述した内容(同月18日からIにより廃棄物の搬出を始め,同月24日までにはすべての搬出を終えて検察庁に電話する,というもの),さらには,同月24日午後5時過ぎに検察官に電話をかけ,留守番電話に録音した言葉(今日電話する約束なんで電話差し上げたんですけれども,どうしてもあと2,3日かかるみたいなんですけど,一生懸命やっておりますので,終わり次第連絡差し上げます,というもの。原審検106)とも整合しており,これらの点に徴すると,Cの上記供述は十分信用できる。これに対し,被告人Aは,原審公判廷において,「同月24日の午後は,2時過ぎころに知人と待ち合わせて岡山市役所へ行き,その後,3時ごろから4時過ぎまで岡山地方検察庁で取調べを受けて調書を作成した。取調べを終えて家に帰る途中,検察庁から署名の書き直しに来てくれと電話連絡を受け,検察庁に引き返した。したがって,同月24日の午後,Cらと別表番号1,2の投棄場所へ行ったことはない」旨の供述をしているけれども,同月24日に岡山地方検察庁で被告人Aの取調べが行われていないことは,取調べ日時に関する報告書(原審検105)及び上記留守番電話の録音内容から明らかであり,被告人Aの上記供述は信用できない。 ども,同月24日に岡山地方検察庁で被告人Aの取調べが行われていないことは,取調べ日時に関する報告書(原審検105)及び上記留守番電話の録音内容から明らかであり,被告人Aの上記供述は信用できない。 所論は,Cの上記供述は,被告人A及びBと3人で最初に別表番号1の投棄場所へ行った日の点で,Bの供述と齟齬しており,信用性がない旨主張する。 確かに,Cの供述とBの供述との間に,3人で上記場所へ行った日の点において齟齬があることは,所論指摘のとおりである。しかしながら,Bの1度目の公判供述と2度目のそれとを比較検討すれば,日付の点に関するBの供述が,正確性に欠ける面があることは明らかであるのに対し,被告人A及びBと3人で別表番号1,2の投棄場所を下見し,最初に不法投棄に及んだ日に関するCの上記供述は,日付の点でも携帯電話の発信記録により客観的に裏付けられており,十分信用することができる。これに対し,前記DのBと会った時期に関する記憶は,甚だ曖昧である上,弁護人が指摘するBの広島からの携帯電話発信記録は,12月23日13時17分のみで,同日20時37分には岡山からの発信が記録されており,その間に被告人AとBとの下見が行われた可能性,あるいは被告人Aと2人で下見をした日が投棄の日の前日であるというBの記憶が不正確である可能性を否定できないから,所論指摘の点が,前記のとおり確実な証拠に裏付けられたC供述の信用性を左右するに足りるものとは考えられない。所論は採用できない。 以上の検討により,信用できるCの前記供述を含む関係各証拠によれば,被告人Aは,平成14年12月24日,B及びCと共に車で別表番号1,2の投棄場所へ下見に赴き,Cらに対し,「今晩からaのゴミを積んで捨て出すこと」等と申し向け,aの土地の産業廃棄物を搬出して不法投棄を行う共謀 ,平成14年12月24日,B及びCと共に車で別表番号1,2の投棄場所へ下見に赴き,Cらに対し,「今晩からaのゴミを積んで捨て出すこと」等と申し向け,aの土地の産業廃棄物を搬出して不法投棄を行う共謀を遂げた上,Cにおいて,別表番号1の投棄日時の始期を平成14年12月24日ころと改めるほかは,原判示事実のとおり,各投棄に及んだと認められる。 (3) その余の原判示各事実についてこの点についても,Cは,原審公判廷において,「平成14年12月28日の午後,自分が運転する軽トラックに被告人Aを乗せ,Bにも車で追従させて,被告人Aの道案内に従い,原判示第2の投棄場所へ行き,そこで被告人Aから,『今日の晩8時以降ここへ捨てろ。穴の中に捨てろ』などと言われた」「その土地には,残土の捨て場のようなことを書いた看板や,会社名の入ったパイロンなどがあったので,ここはやばいのではないかと言うと,被告人Aは,『心配ない』と言っていた」「引き続き,被告人Aの道案内に従って,cのKへ行った。入るときに,被告人Aから,『カメラがある。ガムテープで塞いでナンバープレートを隠せ』と言われ,その場所の説明として,『ここはいろんな業者が入っているので,自分たちが不法投棄しても分からない』とも言われた」「その後,日付がはっきりしないが,平成15年1月12日ぐらいに,被告人A及びBと共に車で,被告人Aの道案内に従って,別表番号3の投棄場所へ行き,そこで被告人Aから,『ここは残土を取っていたところだ。ごみを捨てるなら一番奥から捨てろ』などと言われた」「引き続き,被告人Aの道案内に従って,別表番号4の投棄場所へ行き,そこでも被告人Aから,『ここに捨てても2年ぐらいは人が入らない』と言われ,門に付いていた錠につき,『近いうちに段取りする』と言われた」旨供述している。Cの上記 従って,別表番号4の投棄場所へ行き,そこでも被告人Aから,『ここに捨てても2年ぐらいは人が入らない』と言われ,門に付いていた錠につき,『近いうちに段取りする』と言われた」旨供述している。Cの上記供述は,前同様,具体的かつ詳細で迫真性がある上,被告人A及びBと共にcのKに行ったという点では,原審検43添付の写真により,また,上記門の錠に関する点では,被告人Aが上記門に付けられた錠に適合する鍵を所持していたことにより(原審検91),それぞれ客観的に裏付けられており,十分信用できる。これに対し,被告人Aは,原審公判廷において,「平成14年12月28日にcに行ったことはあるが,それは,知人が申請していた残土捨て場の許可が下り,工事をしているというので,ちょっと現場を見て行こうかなと思って行ったんだと思う」,別表番号3の投棄場所には「行ったことないです。行ったかも分からないですけども,近所を通ったかも分からないですけども。行ってないと思います」,同番号4の投棄場所にも「行ってないと思います。門の鍵の管理者は知らないです」などと供述しているけれども,その供述は,甚だ曖昧なものである上,上記写真等の客観的証拠についての説明も不自然,不合理であり,到底信用することができない。 所論は,原判示第2の投棄について,種々の仮定に基づく計算を重ねた上,Cの供述するような投棄をすることは時間的に無理があり,Cの供述に信用性はない旨主張するが,上記計算が合理的な根拠に基づくものと認め得る証拠は存しないから,所論は,前提を欠くものというほかない。本所論も採用できない。 以上の検討により,信用できるCの前記各供述を含む関係各証拠によれば,被告人Aが,B及びCと共謀の上,原判示第2及び同第3別表番号3,4の各投棄に及んだことは優に認定できる。 以上の い。 以上の検討により,信用できるCの前記各供述を含む関係各証拠によれば,被告人Aが,B及びCと共謀の上,原判示第2及び同第3別表番号3,4の各投棄に及んだことは優に認定できる。 以上のとおりであって,その他,所論が縷々指摘する点を踏まえて記録を慎重に検討しても,原判決に所論の事実誤認は存しない。 論旨は理由がない。 4 よって,刑訴法396条により本件各控訴を棄却する(ただし,原判示第3別表番号1の投棄日時を「平成14年12月24日ころから同月25日ころ」と改める。)こととし,主文のとおり判決する。 平成16年10月13日広島高等裁判所岡山支部第1部裁判長裁判官安原浩裁判官石原稚也裁判官吉井広幸

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