平成12(あ)690 恐喝,強盗殺人,死体遺棄,有印私文書偽造,同行使,詐欺

裁判年月日・裁判所
平成17年7月15日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 名古屋高等裁判所
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判決文本文2,134 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 検察官の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は量刑不当の主張であって,適法な上告理由に当たらない。 所論にかんがみ,被告人の量刑につき,職権により判断する。 本件は,被告人らによる次のような犯行である。すなわち,被告人は,(1) 平成6年7月,Aと共に,保険代理店を営むAを言葉巧みに連れ出し,自動車内で,Aにおいて,けん銃3発を頭部に撃ち込んで殺害した上,アタッシュケース,自動車等を強取し,強取した預金通帳等を利用し,関係書類を偽造,行使して,預金払戻し名下に現金1000万円を詐取し,Aの死体を土中に埋めた(強盗殺人,有印私文書偽造,同行使,詐欺,死体遺棄)。(2) 同年10月,Aと共に,金融業を営むBに,けん銃様のものを突き付け,現金100万円を喝取した(恐喝)。(3)同年11月,A,Bと共に,宝飾品販売業等を営むCを言葉巧みに連れ出し,自動車内で,Aにおいて,けん銃1発を頭部に撃ち込んで殺害した上,かばん,自動車等を強取し,強取した預金通帳等を利用し,関係書類を偽造,行使して,預金払戻し名下に現金227万円を詐取し,Cの死体を土中に埋めた(強盗殺人,有印私文書偽造,同行使,詐欺,死体遺棄)。 大金目当てで被告人らの行った一連の犯行の動機,経緯に酌むべきものはなく,短期間のうちに2名をけん銃で殺害した上で物品を奪うという強盗殺人を重ね,掘削機械を使って各遺体を土中深くに埋め,強取した預金通帳等を利用して預金を払い戻し,その間にも,けん銃様のものを用いて恐喝をするという一連の犯行に及んだ犯情は著しく悪質である。殊に,各強盗殺人等は計画的な犯行で,殺害の態様は冷酷,残忍,非情であり,結果が甚だ重大であって,現金の利得だけでも1200- のを用いて恐喝をするという一連の犯行に及んだ犯情は著しく悪質である。殊に,各強盗殺人等は計画的な犯行で,殺害の態様は冷酷,残忍,非情であり,結果が甚だ重大であって,現金の利得だけでも1200- 1 -万円を超えている。被害者らの無念,遺族の処罰感情は極めて大きいが,これまでに慰謝の措置は講じられておらず,本件が社会に与えた影響も大きい。 被告人についてみても,A事件では,犯行の対象として知人のAを選び,その実行に当たってはAを現場に誘い出し,自動車内で同人の注意をそらせてAの発砲を容易にし,また,C事件では,Bを犯行に引き入れ,同人が名前を出した知人のCを次の対象とすることとし,BにCを犯行現場まで連れ出させ,Cに対し,Aと共に殴る蹴るの暴行を加え,ガムテープで縛るなどしてAの発砲を容易にするなど,計画,実行の両面にわたって重要な役割を果たしており,犯行により利得した現金に関しては,Aと平分している。恐喝事件の計画及び実行に果たした役割も重要である。これらの諸点を考慮すると,被告人の罪責は誠に重大であり,本件は,被告人に対して死刑を選択することを十分考慮しなければならない事案というべきである。 他方において,各強盗殺人等において,被告人は,けん銃による殺害行為を行っていない。すなわち,Aにおいて,暴力団組員から預かり保管中のけん銃を使って資産家を殺害し財産を奪うという犯行を被告人に提案し,けん銃を発射して被害者らを殺害し,金品の強取のほか,預金の払戻し,死体の処理についても,手はずを整え率先して実行していくなど,常に主導的な役割を果たしたほか,被告人に隠れて,強取したクレジットカード類を利用するなどして多額の利得を独占している。 このように,具体的な殺害の実行や金品強取及び死体の処分など,重要な局面では,Aが終始主導権を取って判断 ほか,被告人に隠れて,強取したクレジットカード類を利用するなどして多額の利得を独占している。 このように,具体的な殺害の実行や金品強取及び死体の処分など,重要な局面では,Aが終始主導権を取って判断しつつ犯行を推進し,被告人の意向に構うことなく行動する場面が見受けられ,被告人にとっては,必ずしも用意周到に準備計画された犯行とは言い難い面があり,計画及び実行の各段階における被告人の役割は,Aとの対比において見れば,主導性,積極性の点で劣るものがあると見る余地がある。 これに加えて,過度に重視することのできない主観的事情とはいえ,被告人には,- 2 -Aが事実を否認するなかで,進んで詳細な自供をしたことにより各強盗殺人の遺体等が発見されて事案の真相解明が可能となったこと,各犯行に対する反省悔悟の情を明らかにしていること,粗暴犯や財産犯を含む同種前科がないことなどの酌むべき事情がある。 そうすると,以上のような事情を酌んで,被告人を無期懲役に処した第1審判決を維持した原判決について,その量刑がこれを破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認めることができない。 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 平成17年7月15日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官津野修裁判官福田博裁判官滝井繁男裁判官今井功裁判官中川了滋- 3 - 功裁判官中川了滋

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