昭和24(れ)893 所得税法違反

裁判年月日・裁判所
昭和24年7月9日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  大阪高等検察庁検事長代理検事岡田善一の上告趣意第一点について。  論旨は所得税法第六九条第一項にいわゆる「不正の行為」に

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判決文本文1,395 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 大阪高等検察庁検事長代理検事岡田善一の上告趣意第一点について。 論旨は所得税法第六九条第一項にいわゆる「不正の行為」には納税義務者が所得税を免れるため故意に所定の申告をしない所謂単純不申告をも包含するものと解すべきであるから原判決が被告人の不申告を右法条の「不正の行為」に該らないとしたのは同法条の解釈適用を誤つた違法があると云うのである。ところで旧所得税法(昭和一五年法律第二四号)第八八条の規定も「詐偽其ノ他不正ノ行為ニ依リ所得税ヲ逋脱シタル者ハ」と云い用語は現行所得税法第六九条第一項のそれと異らないのである、そして旧法の下においては所得の単純不申告は犯罪ではなかつたのである。而して現行法の下においても不申告そのものを犯罪とする明文規定はないのみならず不申告を犯罪とする趣旨は現行法上何処にも現われていないのである。現行法第六九条第一項は詐偽その他不正の行為によつて所得税を免れた行為を処罰しているがそれは詐偽その他不正の手段が積極的に行われた場合に限るのである。それ故もし詐偽その他の不正行為を用いて所得を秘し無申告で所得税を免れた者はもとより右規定の適用を受けて処罰を免れないのであるが、詐偽その他の不正行為を伴わないいわゆる単純不申告の場合にはこれを処罰することはできないのである。なる程現行所得税は旧法と異り申告納税制度を採用し納税義務者の申告を所得税額決定の基礎とする建前をとつていることは所論のとおりである。しかしそれだからと云つて不申告という消極的な行為をもつていわゆる「不正の行為」の概念のうちに包含させようとする所論の見解は到底これを是認することはできないのである。もし単純不申告による所得税の逋脱行為を処罰する実際上の必要があるならばそれは立法によつて わゆる「不正の行為」の概念のうちに包含させようとする所論の見解は到底これを是認することはできないのである。もし単純不申告による所得税の逋脱行為を処罰する実際上の必要があるならばそれは立法によつて解決すべきであつて、所論のような解釈によつてこれを解決すること- 1 -はその当を得たものではない。従つて原判決の見解は正当であつて論旨は理由がない。 同第二点について。 しかし原判決は被告人の所為は単純不申告で所得税法第六九条第一項の詐偽その他不正の行為が伴わないのであるから罪とならないとしたもので被告人に犯意の成立が認められないから無罪だとしたのではない。被告人が納税義務あることを認識していた場合でも詐偽その他不正の行為の伴わない単純不申告は罪とならないのである、従つて原判決において被告人が申告をしなかつたのは納税義務がないと信じたが為であつて、納税義務あることを認識しながら敢て申告書を提出しなかつた事実を是認するに足る証拠もないと説明しているのは、単に被告人に詐偽その他の不正の行為がなかつた事情を強調するだけのもので、実は蛇足の説明である。それ故この点に関する趣旨は採用することを得ない。 よつて刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条により主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員一致の意見である。 検察官岡本梅次郎関与昭和二四年七月九日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官霜山精一裁判官粟山茂裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎- 2 - 谷勝重裁判官 藤田八郎

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