主文 1 第1審被告の控訴に基づき、原判決中第1審被告敗訴の部分を取り消す。 2 第1審原告の原判決別紙文書目録一記載の公文書について第1審被告が平成10年4月8日付けでした公開しない旨の処を取り消す旨の訴えのうち、原判決別紙文書目録二、二記載の文書を除く公文書で秋田県議会事務局以外の部局が保管する公文書について公開しない処分の取消しを求める部分を却下する。 3 第1審原告の原判決別紙文書目録一記載の公文書について第1審被告が平成10年4月8日付けでした公開しない旨の処分を取り消す旨の訴えのうち原判決別紙文書目録二、二記載の公文書を公開しない処分の取消しを求める部分の請求を棄却する。 4 第1審原告の控訴を棄却する。 5 訴訟の総費用は、第1審原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 第1審原告の控訴の趣旨(1) 原判決中第1審原告敗訴部分を取り消す。 (2) 第1審被告が平成10年4月8日付けでした原判決別紙文書目録一記載の公文書中、同文書目録二記載の公文書を除く公文書を公開しないとの処分を取り消す。 (3) 訴訟費用は、第1、2審とも第1審被告の負担とする。 2 第1審被告の控訴の趣旨(1) 原判決中第1審被告敗訴の部分を取り消す。 (2) 第1審原告の請求を棄却する。 (3) 訴訟費用は、第1、2審とも第1審原告の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は、秋田県(以下「県」という。)の住民である第1審原告が、秋田県公文書公開条例(昭和62年秋田県条例第3号。平成10年秋田県条例第38号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき、第1審被告に対し、原判決別紙文書目録一記載の公文書について公開を請求したところ、第1審被告が平成10年4月8日付けで原判決別紙文書目録一記載の公文書を 前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき、第1審被告に対し、原判決別紙文書目録一記載の公文書について公開を請求したところ、第1審被告が平成10年4月8日付けで原判決別紙文書目録一記載の公文書を公開しない処分をしたため、第1審原告が上記第1審被告の処分の取消しを求めて提訴したところ、原審が第1審被告に対し、上記処分中原判決別紙文書目録一記載の公文書のうち同目録二記載の公文書を公開しない部分の取消しを認め、その余の部分の請求を棄却する判決をしたので、第1審原告、第1審被告がそれぞれ敗訴部分につき控訴した事案である。 2 争いのない事実及び争点本件における「争いのない事実」及び「争点」は、次のとおり付加・訂正するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の「第二事案の概要等」中の「二争いのない事実」及び「三争点及び争点に関する当事者の主張」(原判決4頁4行目から同15頁3行目まで)と同一であるから、これを引用する。 (1) 原判決7頁4行目から同5行目までを「3 第1審原告は、平成10年3月11日、公文書公開請求書(乙3)の「請求しようとする公文書の内容」欄に、「県議会の下記の財務執行に係る一切の公文書(平成5~9年度分)①食料費 ②旅費 ③県政調査研究交付金 ④科目更正(県議会事務局)」と記載して、これらの公文書(以下「本件公文書」という。)の公開を請求した。」と改める。 (2) 原判決8頁1行目から同3行目の「通知した」までを「5 第1審被告は、平成10年4月8日、第1審原告に対し、総務部財政課長作成名義の「公文書の公開請求について(回答)」と題する書面(甲2)にて、第1審原告の請求は県議会事務局において保管する県議会の財務執行に係る公文書を公開せよとの趣旨のものと理解したうえで、請求に係る公文書は、実施機関たる第1審被告が管理して と題する書面(甲2)にて、第1審原告の請求は県議会事務局において保管する県議会の財務執行に係る公文書を公開せよとの趣旨のものと理解したうえで、請求に係る公文書は、実施機関たる第1審被告が管理しているものではなく、本件条例2条1項に規定する公文書としては存在しないため、第1審原告の請求を受理することができない旨通知した」と改める。 (3) 原判決8頁5行目の次に行を改め、次のとおり加える。 「1 争点1(開示請求された本件公文書の範囲)第1審原告が第1審被告に公開を請求した本件公文書は、県議会事務局が現実に保管している公文書に限定されるのか(第1審被告の主張)、それとも上記に限定されず、第1審被告が現実に保管している公文書も含むのか(第1審原告の主張)。 2 争点2(第1審被告が不受理とした対象)第1審被告が第1審原告に対してなした不受理通知は、県議会事務局が現実に保管している公文書についての公開請求書を受理しないとするものに過ぎないのか(第1審被告の主張)、それとも、第1審被告が現実に保管している公文書についてもこれを公開しないとする処分があったのか(第1審原告の主張)。」(4) 原判決8頁6行目「1 争点1」を「3 争点3(取消対象処分の存否)」と、同9頁10行目の「2 争点2」を「4 争点4(不受理通知の適法性)」とそれぞれ改める。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、第1審原告の本訴請求は、原判決別紙文書目録二、二記載の文書を除く公文書で県議会事務局以外の部局が保管する公文書について公開しない処分の取消しを求める部分は却下すべきであり、その余の請求はこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおりである。 2 争点1(開示請求された本件公文書の範囲)について本件公文書を公開請求した際、その末尾に「(県議会事務局)」 あり、その余の請求はこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおりである。 2 争点1(開示請求された本件公文書の範囲)について本件公文書を公開請求した際、その末尾に「(県議会事務局)」との記載が認められることは上記のとおりであり、証拠(甲22、23、差戻前控訴審における第1審原告本人)によれば、第1審原告は、平成8年10月24日付けで、県議会議長等に対し、県議会事務局保管にかかる食料費等の関係文書の自主公開等を要請する文書を送付し、同9年3月5日付けで、県議会議長に対し、上記と同様の書面を送付して同様の要請を行い、同議会を相手に食料費等の支出に関する疑惑の解明やその保管に係る文書の公開を求めてきたこと、さらに、第1審原告は、出納局会計課長が支出命令権者として決裁した県議会分の旅行請求書につき、平成9年4月28日付けで平成6年から同8年度分の、同年9月19日付けで平成4、5、7年度分の公開を請求しているが、その際には「請求しようとする公文書の内容」欄に「会計課」と記載していたこと、これらの旅費請求書は既に第1審原告に公開されていることが認められるのであって、これらの事実に照らせば、第1審原告は県議会事務局が現実に保管する本件公文書の公開を請求したものと認められるが、それ以上に、第1審被告が保管する同一の内容の公文書の公開を請求したものとは認められない。 この点、第1審原告は、本件公文書の公開請求は、多種類の公文書を、しかも場合によっては保管場所の異なるものも含んで、一通の請求書に記載したものであるため、「県議会事務局の財務執行分」であることを示して公開請求する公文書の範囲を特定したものであって、「(県議会事務局)」との付加記載は、そのような意味をもつに過ぎないなどとも主張する。しかしながら、本件公文書の公開請求は、「県議 であることを示して公開請求する公文書の範囲を特定したものであって、「(県議会事務局)」との付加記載は、そのような意味をもつに過ぎないなどとも主張する。しかしながら、本件公文書の公開請求は、「県議会の下記の財務執行に係る一切の公文書(平成5~9年度分)」と特定してなされているのであって、「(県議会事務局)」との記載がなくても特定性に欠けるといったものではなく、また、財務執行の主体を県議会事務局に限定するというのであれば、県政調査研究交付金など県議会事務局がその財務執行の主体ではないものも包含することとなって、かえって矛盾をきたすことになり、第1審原告の上記主張は採用できない。 3 争点2(第1審被告が不受理とした対象)について上記2で検討したところによれば、第1審被告が本件公文書の公開請求を不受理とした対象は、県議会事務局において現実に保管する県議会の食料費等の財務執行に係る公文書だけであることになる。なお、第1審被告は、同人が現実に保管する上記と同様の内容の公文書については、第1審原告が公開請求をしているものではないと認識していたものであって、そうすると、第1審被告が現実に保管する公文書について、第1審被告がその公開を拒否するといった事実はなかったものである。 4 争点3(取消対象処分の存否)について本件公文書の公開請求を不受理とした通知は、実質的には本件公文書を公開しない旨の決定であり、取消訴訟の対象である「行政庁の処分」に該当するものと解するが、その理由は、原判決15頁6行目から同10行目までと同一であるからこれを引用する。 5 争点4(不受理通知の適法性)について(1) 本件条例は、開示の対象となる公文書の要件として、ア実施機関の職員が職務上作成しまたは取得した文書等であること、イ決裁または閲覧を終えた文書等であること、 点4(不受理通知の適法性)について(1) 本件条例は、開示の対象となる公文書の要件として、ア実施機関の職員が職務上作成しまたは取得した文書等であること、イ決裁または閲覧を終えた文書等であること、ウ実施機関が管理している文書等であることが必要である(本件条例2条1項)。ところで、ウの「管理」については、地方自治法149条8号は、普通地方公共団体のすべての証書及び公文書類の「保管」の総括的な責任と権限を有する者が長であることを明らかにしたものに過ぎないのに対し、本件条例2条1項にいう「管理」は、同条3項に掲げられた各実施機関がその主体であると構成されていることからみても、上記の「保管」と異なり、当該公文書を現実に支配、管理していることを意味するものと解するべきである(最高裁平成11年(行ヒ)第221号同13年12月14日第二小法廷判決・民集55巻7号1567頁参照)。 したがって、県の文書作成後における保存の根拠規程、保存に至る手続、保存の方法等の実態を確認した上、第1審被告の管理するものであるかどうかを判断すべきである。なお、本件公文書は予算執行に関する公文書であり、これらを作成した県議会事務局職員は、第1審被告に専属する予算執行事務を補助し、執行したものであるから、対外的には実施機関である第1審被告の職員が職務上作成したものと同様に評価することができるから、上記アの要件を充たすものと解される(但し、本件公文書中旅費に関する文書のうち旅行命令は、県議会事務局の職員が起案し、議員及び事務局長については議長が決裁し(地方自治法104条)、次長及び議長については事務局長が、議員については所属の課長が専決するし、旅行後に復命が議長ないしそれぞれの専決者によって行われるのであり、しかも、これらの文書は第1審被告が保管しているものであるから、旅行命 については事務局長が、議員については所属の課長が専決するし、旅行後に復命が議長ないしそれぞれの専決者によって行われるのであり、しかも、これらの文書は第1審被告が保管しているものであるから、旅行命令書及び復命書については、アの要件を充たさない。)。 (2) 証拠(乙1、10、12、13、25ないし27)によれば、本件公文書(上記旅行命令書及び復命書を除く。以下「本件文書」という。本件文書中には、県政調査研究交付金に関する文書のうち実績報告書(事業報告書、収支決算書)も含む。)については、議会事務局総務課が、「秋田県議会事務局の組織及び事務に関する規程」(乙13)及び「秋田県議会事務局文書編さん保存規程」(乙1)に基づき、同課内の書架または議会事務局の文書倉庫において他の議会関係文書と同様に現実に保管し、必要の都度議会事務局総務課の職員が取り出して参照したりしていたものであることが認められるから、本件文書は、議会事務局総務課が現実に支配、管理していたものと解するのが相当である。そうすると、本件文書は、その公開を請求されている実施機関としての第1審被告(知事)が現実に支配、管理している公文書ということはできないから、上記ウの要件を充たさないといわざるを得ない。 6 以上の次第で、第1審原告の請求は、原判決別紙文書目録二、二記載の文書を除く公文書で県議会事務局以外の部局が保管する公文書について公開しない処分の取消しを求める部分は却下すべきであり、原判決別紙文書目録二、二記載の公文書を含む公開しない処分の取消しを求める部分の請求を棄却すべきものである。したがって、これと異なる原判決は相当でないから、第1審被告の控訴に基づき、これを上記の趣旨に取り消すこととし、第1審原告の控訴は、理由がないから、これを棄却することとする。 よって、訴訟費用の したがって、これと異なる原判決は相当でないから、第1審被告の控訴に基づき、これを上記の趣旨に取り消すこととし、第1審原告の控訴は、理由がないから、これを棄却することとする。 よって、訴訟費用の負担につき民事訴訟法67条2項、61条を適用して、主文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第三民事部裁判長裁判官喜多村治雄裁判官小林崇裁判官浦木厚利
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