主文 本件各控訴を棄却する。当審における訴訟費用は全部被告人Aの負担とする。理由 本件控訴の趣意は、被告人ら三名の弁護人大蔵敏彦、同新井章、同小林達美連名提出の控訴趣意書に記載されたとおりであり、これに対する答弁は、東京高等検察庁検事辰巳信夫作成名義の答弁書に記載されたとおりであるから、ここにこれらを引用し、これに対し次のように判断する。その一、控訴趣意第一点(法令適用の誤りがある旨の主張)について。所論は要するに、本件起訴状は、公訴事実の冒頭において、本件昭和四十二年三月二十四日被告人らがB事務局に赴いた目的・意図を記載しているが、このうち、いわゆる一〇・二一闘争の処分の撤回を求める目的・意図があつたという部分は、原判決も認めているように虚偽の記載である。而して、これら目的・意図に関する記載は、本件不退去の訴因の退去要求の当否を明らかにするため必要な記載であるところ、この記載が右のように虚偽な場合は結局裁判官に事件について被告人らに不利益な予断を抱かせる虞のある余事記載となるから、本件起訴状は刑事訴訟法第二百五十六条第六項に違反し無効であり、本件については同法第三百三十八条第四号に則り公訴棄却の判決をなすべきものである。しかるに、原判決が本件起訴状を有効なものとして本案について判断したのは、刑事訴訟法の解釈適用を誤つたものであり破棄を免れない、というにある。よつて、記録を精査して案ずるのに、記録によれば、本件起訴状に所論指摘のような記載があること並びに原判決が被告人らがB事務局に赴いた目的・意図のうちいわゆる一〇・二一闘争に関する点につき所論指摘のように認定していることはいずれも明らかであるが、右記載が右の場合本件起訴状の有効性に影響があるか否かに関する原判決の判断は に赴いた目的・意図のうちいわゆる一〇・二一闘争に関する点につき所論指摘のように認定していることはいずれも明らかであるが、右記載が右の場合本件起訴状の有効性に影響があるか否かに関する原判決の判断は相当であり、所論のような違法はない。 わゆる一〇・二一闘争に関する点につき所論指摘のように認定していることはいずれも明らかであるが、右記載が右の場合本件起訴状の有効性に影響があるか否かに関する原判決の判断は に赴いた目的・意図のうちいわゆる一〇・二一闘争に関する点につき所論指摘のように認定していることはいずれも明らかであるが、右記載が右の場合本件起訴状の有効性に影響があるか否かに関する原判決の判断は相当であり、所論のような違法はない。その上、右一〇・二一闘争に関する記載が証拠により認められなかつたとしても、このことが本件において原審裁判所に判決に影響を及ぼすべき予断を抱かせたとは、記録を精査しても認められない。従つて原判決には何等所論の如き非違はない。論旨は理由がない。その二、控訴趣意第二点乃至第四点について。第一、 控訴趣意に対する判断に先き立ち、本件現場の状況を明らかにすると、記録中の原審検証調書及び同添付の現場見取図によれば、一、 本件現場である原判示静岡県庁別館四階の模様は、コの字形のコンクリート廊下の外側に沿うて各部屋が設けられ、同館三階より四階に上るために、コの字形の中央部分にある幅三・四六メートルの階段を廊下より遠ざかるように上り、踊り場に至り、同所より折り返えすように左右に幅員一・九一メートルの階段があり、これを上れば四階のコの字形廊下の略中央に達すること。二、 又、四階の廊下は壁面処処に柱の一部が突出しているため、幅員に多少の広狭はあるが、その幅員は略二メートル前後であり、その長さは、コの字形の中央部分が約二七メートル、左翼の部分が約一七メートル右翼の部分が約一三メートルであること。三、 廊下に面した各室は、前記三階より四階に上つた略正面に教育長室があり、その左方に企画室分室(秘書室)、教育次長室教育委員室と続き、その左の角に当る部分に学校教育課室(現在は教育委員会議室)があり、左翼廊下には、右学校教育課室に続き、福利課、体育保健課の各室が続く。又、前記教育長室の右方には、企画室の本室(現在は企画調査課 、その左の角に当る部分に学校教育課室(現在は教育委員会議室)があり、左翼廊下には、右学校教育課室に続き、福利課、体育保健課の各室が続く。又、前記教育長室の右方には、企画室の本室(現在は企画調査課室)、右角に当る部分に総務課の各室があり、右翼の廊下には、右総務課に続き経理課の室があること。 学校教育課室に続き、福利課、体育保健課の各室が続く。又、前記教育長室の右方には、企画室の本室(現在は企画調査課 、その左の角に当る部分に学校教育課室(現在は教育委員会議室)があり、左翼廊下には、右学校教育課室に続き、福利課、体育保健課の各室が続く。又、前記教育長室の右方には、企画室の本室(現在は企画調査課室)、右角に当る部分に総務課の各室があり、右翼の廊下には、右総務課に続き経理課の室があること。四、 尚、総務課、企画室本室、教育長室、企画室分室、教育次長室、学校教育課室には、これに対応する出入口として、それぞれ前記三階より上つた正面廊下に面し両開きのドアが一箇所宛あり、その間口は各一・五五メートルであること。以上の事実が認められる。第二、 控訴趣意第二点(事実誤認の主張)について。所論は、原判決が被告人Aにつき原判示第一の如く事実を認定したのは誤認であるとし、その理由とするところは要するに、被告人Aは、原判示第一掲記のガラスが割れたときにはそのガラス扉の前にはいなかつたものであり、又、ガラスの損壊を共謀したことも共同実行したこともないのであるから、被告人Aを暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条(刑法第二百六十一条)に該当する行為があつたとして有罪と認定したのは明らかに採証法則を誤り、延いては事実を誤認したものであるから、原判決はこの点において破棄を免れない、というにある。よつて、記録を検討して案ずるのに、被告人Aに対する原判示第一の事実は、その挙示する関係証拠により、犯意の点をも含めて優にこれを認めるに足り、原判決には何等採証法則を誤り、延いては事実誤認を犯したという違法はない。尚、若干これを敷衍するに、記録、特に原審証人C、同D、同Eの各供述及び原審検証調書を総合するときは、(1)、 D、C、Fの三名はいずれもBの職員であるが、上司である企画室長Gの指揮に従い、原判示当日、原判示四階秘書室(企画室分室)入口ドアの前廊下におい 供述及び原審検証調書を総合するときは、(1)、 D、C、Fの三名はいずれもBの職員であるが、上司である企画室長Gの指揮に従い、原判示当日、原判示四階秘書室(企画室分室)入口ドアの前廊下において、両開きの右ドアの前にD、左右ドアの中間位にF、左ドアの前にCの順で並び、(イ)集団で押しかけてきて面会を強要する場合には委員会の者は会わないこと、(ロ)大勢が一時に部屋に入ることは断る、(ハ)代表が二、三名中に入つて話をするといつた場合にはその時に応じて中にいる室長補佐の指示を受けて態度を決定する、との方針のもとに、警備並びに交渉のために立つていたこと。 書室(企画室分室)入口ドアの前廊下において、両開きの右ドアの前にD、左右ドアの中間位にF、左ドアの前にCの順で並び、(イ)集団で押しかけてきて面会を強要する場合には委員会の者は会わないこと、(ロ)大勢が一時に部屋に入ることは断る、(ハ)代表が二、三名中に入つて話をするといつた場合にはその時に応じて中にいる室長補佐の指示を受けて態度を決定する、との方針のもとに、警備並びに交渉のために立つていたこと。(2)、 同日午前十時頃、多数の静岡県H組合(以下、Hと略称する。)組合員が企画室の本室の前の方の階段をがやがや言いながら一団となつて上つてきて、四階の廊下をDらのいる方にきて、Dらの前に二、三十人屯ろし、その後も続いてきた組合員達で、遂には教育長室の前、企画室の本室の前あたりまで幅二メートル前後の廊下に一杯になつたこと。(3)、 そして、Cの右直前には被告人A、Fの前あたりにはI、ついで一、二人おいてDの前にはJという者が立つたこと。(4)、 Dらは被告人Aに来意をきくや、Dらの前の者達は、「教育長に合わせろ」等と申し向け、Dらが、「教育長は今日は不在である」旨応答するや、いきなり「そこをどけ」等といつて同人らの排除にかかり、最初にDがその前にいた者達に引つぱられて前の方に引き抜かれ、そのあとCがすぐ被告人Aに右腕をもたれた上、その場に居合せた他の者達に引つぱられ或は押されて、企画室分室の入口のドアを背にして押し出され、そのあとFも排除されて、結局先に立つていた位置から二、三メートル教育次長室寄りに移されて、Dら三名は廊下に被告人Aらのいる方に向つて横に並ぶような形で立ち、その場 入口のドアを背にして押し出され、そのあとFも排除されて、結局先に立つていた位置から二、三メートル教育次長室寄りに移されて、Dら三名は廊下に被告人Aらのいる方に向つて横に並ぶような形で立ち、その場で組合員らの様子を見ていたこと。(5)、 組合員達は、Dらが排除されるや直ちに企画分室のドアに接近して、同ドアのガラスや枠を叩いたり、ドアを押したり、ドアの腰板を蹴つたりしながら、「教育長に会わせろ」「教育長出てこい」「開けろ、開けろ」等といつていたが、前記企画室分室前附近の廊下に満ちた組合員のうち、前記ドアのすぐ前に並んでいた者達、特に被告人Aは、向つて左側のドアのところで、一寸腰をかがめてドアに体をつけて体や手を前後に動かしたり等してドアを押したり叩いたりしており、又、Iは、ガラスを叩いており、Jは、ドアの前でドアを押したり或はガラスを叩いたりしており、そのうちに左側のドアのガラスが割れ、次いで右側のドアのガラスも割れたこと。 といつていたが、前記企画室分室前附近の廊下に満ちた組合員のうち、前記ドアのすぐ前に並んでいた者達、特に被告人Aは、向つて左側のドアのところで、一寸腰をかがめてドアに体をつけて体や手を前後に動かしたり等してドアを押したり叩いたりしており、又、Iは、ガラスを叩いており、Jは、ドアの前でドアを押したり或はガラスを叩いたりしており、そのうちに左側のドアのガラスが割れ、次いで右側のドアのガラスも割れたこと。(6)、 その頃、企画室分室の内部よりドアの合せ目を押えていたEからは、被告人A及びIがドアのガラスを叩いていることがガラスを透した人相、風体より判つたこと。(7)、 Dらが見ても、被告人Aのドアを押したりしている行動よりガラスが割れはしないかと危ぶまれたこと。(8)、 被告人Aらは、前記のようにドアのガラスが割れても、すぐに叩くのを止めることなく、依然ドアを叩いたり押したり腰板の部分を蹴つたりしており、次第にガラスの割れた箇所が拡つていつたが、その後被告人Kに携帯マイクで「手を出すな」といわれて初めて右行為を止めたことがそれぞれ認められる。而して、前記認定事実、特に右(5)乃至(8)の事実を併せ考察すると、右各ドアのガラスの損壊は被告人Aらが相呼応してドアを蹴つたり、押したり、ガラスを叩いたりし めたことがそれぞれ認められる。而して、前記認定事実、特に右(5)乃至(8)の事実を併せ考察すると、右各ドアのガラスの損壊は被告人Aらが相呼応してドアを蹴つたり、押したり、ガラスを叩いたりした有形力の総合行使の結果であり、又、その行為は傍で見ている者をしてガラスの破損を危惧させる程度に激しかつたものであるから、右のようなガラスの損壊は、被告人Aらの単なる過失行為と認めることはできず、これらの行為はこれによりガラスが損壊するやも測り難いことを知りながら敢えてこれを容認の上なされたものと認めるに十分である。所論は、証人D及び同Cは組合員らによつて前記企画室分室入口前より教育次長室前まで排除され、更に、組合員らの抗議を受けて企画室分室前の廊下の左端内側角にある湯沸室附近まで移動したものであるところ、同室と前記企画室分室との間は相当離れており、この距離並びに企画室分室前の組合員の密集状況等の客観的状況に徴すると、同証人らはガラスの破損時の状況並びに破損したガラス扉前にいた人物など識別し得る状況になく、その証言には信憑性は全くない旨主張するけれども、ガラスの破損時に同人らがいた位置は前記認定のとおりであり、この点に関する被告人A、原審証人Lの供述は措信し難く、従つて、証人Dらは被告人Aらの右行動を十分認識できる状況下にあつたことが明らかであり、所論の如くその認識を否定することは相当でない。 的状況に徴すると、同証人らはガラスの破損時の状況並びに破損したガラス扉前にいた人物など識別し得る状況になく、その証言には信憑性は全くない旨主張するけれども、ガラスの破損時に同人らがいた位置は前記認定のとおりであり、この点に関する被告人A、原審証人Lの供述は措信し難く、従つて、証人Dらは被告人Aらの右行動を十分認識できる状況下にあつたことが明らかであり、所論の如くその認識を否定することは相当でない。又、所論は、原審証人Eらの供述は、同人らのいた場所が組合員らとガラス扉を隔てた企画室分室内であり、且つ、前記扉に使用されていたガラスは不透明で片面波形をしているため、廊下にいる者を正確に認識できない状況下にあることに徴し信憑性が薄く、同供述によつては被告人Aらの所為を確定し得ない旨主張するけれども、記録によれば、Eは予てより被告人A、Iらの風体、特徴 るため、廊下にいる者を正確に認識できない状況下にあることに徴し信憑性が薄く、同供述によつては被告人Aらの所為を確定し得ない旨主張するけれども、記録によれば、Eは予てより被告人A、Iらの風体、特徴を知つていた者と認めるに十分であり、又、ガラス越しとはいえ、被告人Aらが前記認定のように、接触時間は別として前記行動中ガラス扉に体を接していたこと並びに被告人らが静止状態でなく動的状態にあつたことも明らかであり、これらの事実は行動者の特徴を捉え易い状況であつたものといえる。これらの諸般の状況に照すと、その供述は十分措信できる。その他記録並びに当審事実取調の結果を精査しても前記認定を左右するに足る証拠は見当らない(当審証人M、同N、同O、同Pは、原審及ひ当審証人C、同E、原審証人Dの各供述と相対立する供述をしているが、C、E、Dの供述と対比するに、にわかに措信できない。O撮影にかかる写真六葉―主としてこれより看取できる本件ドアのガラスの破損状況並びにガラス破片の落下状況等は、これ又前記C、E、Dの各証言並びに押収してあるガラス破片の量((東京高等裁判所昭和四五年押第二四四号の一〇))等と対比考察するに、ガラス破損の原動力が所論の如く廊下側ではなく企画室分室側より加えられたものとはにわかに認め難い。)従つて、原判示第一事実には何等事実誤認はない。論旨は理由がない。第三、 控訴趣意第三点(原判決には憲法の解釈、法令の解釈を誤つた違法がある、との主張)について。 下状況等は、これ又前記C、E、Dの各証言並びに押収してあるガラス破片の量((東京高等裁判所昭和四五年押第二四四号の一〇))等と対比考察するに、ガラス破損の原動力が所論の如く廊下側ではなく企画室分室側より加えられたものとはにわかに認め難い。)従つて、原判示第一事実には何等事実誤認はない。論旨は理由がない。第三、 控訴趣意第三点(原判決には憲法の解釈、法令の解釈を誤つた違法がある、との主張)について。所論は要するに、(1)静岡県庁内管理規則(以下、庁内管理規則又は規則と略称する。)特にその第六条の規定は、憲法の保障する労働基本権、大衆行動の自由等を、その目的・理由の如何を問わず一率に制限するものであるから、同規則自体憲法第二十一条、第二十八条、第九十五条に違反するものであり、これを 第六条の規定は、憲法の保障する労働基本権、大衆行動の自由等を、その目的・理由の如何を問わず一率に制限するものであるから、同規則自体憲法第二十一条、第二十八条、第九十五条に違反するものであり、これを有効と解した原判決は法の解釈を誤つたものである。(2)仮に右庁内管理規則自体は憲法に違反しないとしても、本件にこれを適用したのは憲法第二十一条、第二十八条に違反する。即ち、本件庁内管理規則に基づきなされた原判示第二の退去命令の発動適用は、Q組合の切実な要求、緊急な交渉の必要性、憲法に保障された団結権、団体交渉権の行使等被告人ら組合員の行動のもつ目的、その正当性等については一切これを無視し、管財課職員の一方的判断で行われたものであり、原判決は判決に影響を及ぼすべき憲法解釈、法令解釈の誤りを犯したものである、というにある。(一)、 庁内管理規則の違憲性に関する主張について。<要旨>(1)、 所論は、庁内管理規則が違憲である根拠として「県庁舎等は県民に対して広く解放されるべきもので</要旨>ある。しかるに、同規則、特に第六条は憲法の保障する労働基本権、大衆行動の自由等(以下、集団行動と略称する。)をその目的・理由の如何を問わず一率に制限しこれを禁止している」旨主張する。案ずるに、庁内管理規則が県庁舎等における執務環境の整備と庁内秩序の維持(以下、この両者を含めて県庁舎等の正常な管理と略称する。)を図ることを目的として制定されたものであることは第一条に照し明白であり、この県庁舎等の正常な管理が県において自治体等としての使命及び機能を果すため不可欠ともいうべき重要な事項であることも多言を要しない。 の目的・理由の如何を問わず一率に制限しこれを禁止している」旨主張する。案ずるに、庁内管理規則が県庁舎等における執務環境の整備と庁内秩序の維持(以下、この両者を含めて県庁舎等の正常な管理と略称する。)を図ることを目的として制定されたものであることは第一条に照し明白であり、この県庁舎等の正常な管理が県において自治体等としての使命及び機能を果すため不可欠ともいうべき重要な事項であることも多言を要しない。而して、規則によれば、第五条はプラカード、旗等を掲げる行動について、許可を要するとはいいながら、県庁舎等においてこれを行ない得ることを明定しており、こ うべき重要な事項であることも多言を要しない。而して、規則によれば、第五条はプラカード、旗等を掲げる行動について、許可を要するとはいいながら、県庁舎等においてこれを行ない得ることを明定しており、これらの行動のうちには労働組合等の行なう集団行動もこれを含んでいるものと解する。このことは、規則が県庁舎等の正常な管理と労働組合等の行なう集団行動とを常に相対立するものとはみていないことを示すものであつて、規則は決して所論の如くこの種集団行動が県庁舎等において行なわれる場合これをその目的・理由・態様等の如何を問わず一率に制限する趣旨のものではない。これらの法条をはじめとして規則が定めている各法条をつぶさに総合考察すると、規則は憲法に保障された表現の自由及び動労者の団体行動権等はこれを尊重しながらも、他方かかる集団行動がこれに潜在する一種の物理的力によつて支持されていることから、時に異常な昂奮等の状態に陥り、常軌を逸する行為に移り易く、ために庁内の執務環境を阻害し、秩序を破壊するような不慮の事態に発展することに備え、そのような事態を回避するに足りる最少限に必要な限度において規制を加えているに過ぎないと認めるのが相当である。従つて第五条は勿論第六条も如上の限度の規制をしているに止まりこれを越えるものとは解されないから、結局労働組合等の行なう集団行動も県庁舎等の正常な管理に不当な支障を来すものでない限りこれを許容する趣旨と認められ、しかも右はやむを得ない規制である。しからば庁内管理規則は所論の如く所論憲法の諸法条に違反するものではない。(2)、 尚、原判決が、静岡県知事が地方自治法第百四十九条第六号により県庁舎等について管理権を有し、その作用として、県庁舎等の管理のため、単にこれを財産として管理するだけでなく、庁内秩序をはかる一般的準則を制定で 庁舎等の正常な管理に不当な支障を来すものでない限りこれを許容する趣旨と認められ、しかも右はやむを得ない規制である。しからば庁内管理規則は所論の如く所論憲法の諸法条に違反するものではない。(2)、 尚、原判決が、静岡県知事が地方自治法第百四十九条第六号により県庁舎等について管理権を有し、その作用として、県庁舎等の管理のため、単にこれを財産として管理するだけでなく、庁内秩序をはかる一般的準則を制定で 判決が、静岡県知事が地方自治法第百四十九条第六号により県庁舎等について管理権を有し、その作用として、県庁舎等の管理のため、単にこれを財産として管理するだけでなく、庁内秩序をはかる一般的準則を制定できること並びに庁内管理規則の内容及びその規則の法的性格等について判示していることはすべて相当である。(3)、 以上の説示を総合考察すると、右規則が憲法第二十一条、第二十八条、第九十五条に違反する旨の所論は採用できない。(二)、 本件に庁内管理規則を適用したことの違憲性に関する主張について。よつて案ずるに、原判示第二の退去命令の当否、延いては同不退去罪の成否を判断するためには、被告人らH組合員に対し県庁舎より退去を求めた同庁舎管理者側とこれを拒否した被告人らH組合員側の双方についてそれぞれの具体的動機とその行為の態様とを相関的に考慮する必要のあることは所論のとおりである。ところで、(1)、 記録によれば、原判決の、昭和三十八年十二月以降同四十一年十二月に至るまでの間BとHとの間で行なわれた交渉の経過、同四十一年十月行なわれたいわゆる一〇・二一闘争に関連するBの処分及びそれに対するHの撤回要求並びに同四十一年度末定期人事異動の内示及びそれに対するHの修正要求の各経緯、本件当日被告人AらH組合員がH本部に参集し、B企画室分室に赴くに至つた目的・意図及びその経過等に関する認定は相当であり、事実誤認はない。(2)、 次に、被告人AらH組合員がB企画室分室前に到着後判示第二の退去命令の出されるまでの原判示県庁別館四階廊下における状況について案ずるに、記録によれば、原判示当日午前十時頃被告人Aは組合員約二百名の先頭に立つて、原判示県庁別館内B事務局各室の存在する四階廊下に赴き、右多数の組合員は同階教育委員会総務課から学校教育課に至る長さ約 に、記録によれば、原判示当日午前十時頃被告人Aは組合員約二百名の先頭に立つて、原判示県庁別館内B事務局各室の存在する四階廊下に赴き、右多数の組合員は同階教育委員会総務課から学校教育課に至る長さ約二七メートル、幅二メートル前後の廊下は勿論のこと、三階及び五階に通ずる各階段附近一帯に略一杯に立ち並び喧騒を極め、且つ、企画室分室附近においては前記控訴趣意第二点について認定の如く、警備並びに応接に出ていたDら教育委員会の職員をいきなり実力を以て排除し、「教育長を出せ」「(入口を)開けろ」等と叫び、企画室分室の扉のガラスを損壊する等の行為があり、更に、同分室及び総務課各出入口附近においては、その後も、組合員多数が群つて「開けろ」等と叫びながら各出入口の扉を手拳で乱打し足で蹴る等喧騒を極めたこと、右の結果、企画室等の職員は勿論のこと、同階の経理課等他課の職員らまで職務遂行のため外部に出られなかつたのみならず、室内での執務にも著しい障害を受けたことが認められる。 せ」「(入口を)開けろ」等と叫び、企画室分室の扉のガラスを損壊する等の行為があり、更に、同分室及び総務課各出入口附近においては、その後も、組合員多数が群つて「開けろ」等と叫びながら各出入口の扉を手拳で乱打し足で蹴る等喧騒を極めたこと、右の結果、企画室等の職員は勿論のこと、同階の経理課等他課の職員らまで職務遂行のため外部に出られなかつたのみならず、室内での執務にも著しい障害を受けたことが認められる。(3)、 労使の交渉は、いかなる場合においても、平静裡に、且つ秩序を保つて行なわるべきことはいうまでもないところであり、交渉の申入もこれ又同じ理であるところ、被告人Aらの右Dらに対する教育長との前記面会要求を交渉の申入と解しても、同申入時並びにこれに引続く状況は前記認定のとおりであり、その申入はこれを行なう方法等の点において著しく限度を超えており、到底適法なものとはいい難く、Bにおいてその推移等よりこれを拒否したことをもつて不当とはいえない。この適否の点については、所論のいうH側の切実な要求、緊急な交渉の必要性等組合側の事情は勿論、これらの行動がともすれば労使の対立拮抗という緊張関係のもとで異常な昂奮状態に陥り易いことをも考慮にいれて検討してみても、前記認定はこれを左右しない。尚、 急な交渉の必要性等組合側の事情は勿論、これらの行動がともすれば労使の対立拮抗という緊張関係のもとで異常な昂奮状態に陥り易いことをも考慮にいれて検討してみても、前記認定はこれを左右しない。尚、原判決が、B側がD外二名を企画室分室前廊下に立たせ警備兼応対に当らせたこと、Dらが被告人Aらの面会要求に対して拒否的態度をとつたことについて、B側を一概に非難できないと判示した点並びに被告人AらH組合員の行動が社会通念上相当なものとして許容される限度を逸脱したものと判示した点は、記録を精査すればいずれも相当であり、この点に関する所論に鑑み、当審事実取調の結果を検討してみても、右認定には誤認はない。(4)、 所論は、県庁舎等管理者は本件退去命令を出すに当つては部下職員の報告を聞いただけで機械的にこれを発動しており、前記発動の必要性等については考慮していない旨主張するが、記録によれば、県庁舎等管理者である出納事務局長Sは管財課長Rより県庁別館四階の廊下での異常事態につき報告を受けるや、直ちに同館四階附近に到り、右事態を直接目撃しその状況を把握すると共に、部下職員の報告を聴取した上、退去命令を発したことが明らかであり、右所論は採用できない。 を出すに当つては部下職員の報告を聞いただけで機械的にこれを発動しており、前記発動の必要性等については考慮していない旨主張するが、記録によれば、県庁舎等管理者である出納事務局長Sは管財課長Rより県庁別館四階の廊下での異常事態につき報告を受けるや、直ちに同館四階附近に到り、右事態を直接目撃しその状況を把握すると共に、部下職員の報告を聴取した上、退去命令を発したことが明らかであり、右所論は採用できない。(5)、 以上認定の事実を総合考察すれば、県庁舎等管理者が被告人AらH組合員に対して退去命令を発したことは相当であり、憲法第二十一条、第二十八条に違反するものとは到底認められない。論旨はいずれも理由がない。第四、 控訴趣意第四点(原判決には不退去罪の訴因につき重大な事実誤認があり、延いては法令適用の誤りがある、との主張)について。所論は、原判決は本件退去要求には相当性がある旨認定し、その根拠を五点に亘り判示しているが、右認定は事ここに至る経緯等諸般の事情並びにB側が被告人ら組合側に対して執つた態度 、との主張)について。所論は、原判決は本件退去要求には相当性がある旨認定し、その根拠を五点に亘り判示しているが、右認定は事ここに至る経緯等諸般の事情並びにB側が被告人ら組合側に対して執つた態度等に鑑みると全くの事実誤認であり、原判決には延いては法令の解釈適用を誤つた違法がある旨主張する。よつて、記録を精査して案ずるに、この点に関しては、控訴趣意第三点(二)において判示したとおり原判決の説示は極めて至当であり、被告人らに不退去罪の成立すること原判示第二において認定するとおりであつて、原判決には何等所論の如き非違はない。論旨は理由がない。その三、控訴趣意第五点(量刑不当の主張)について。所論に基づき記録を精査検討してみるに、被告人らの原判示犯行に至る経緯、各被告人らの犯行の態様、罪質、因つて惹起した社会的影響、これに加えるに、過去における交渉の持ち方、B側の態度、被告人らの経歴、職業等諸般の情状を併せ考慮してみても、原判決の量刑は十分首肯し得るところであり、当審事実取調の結果を斟酌してみても未だ原判決の量刑が過重、不当であるとは思われない。論旨は理由がない。よつて刑事訴訟法第三百九十六条により本件各控訴を棄却し、当審における訴訟費用は同法第百八十一条第一項本文により全部被告人Aに負担させることとして、主文のとおり判決する。 における交渉の持ち方、B側の態度、被告人らの経歴、職業等諸般の情状を併せ考慮してみても、原判決の量刑は十分首肯し得るところであり、当審事実取調の結果を斟酌してみても未だ原判決の量刑が過重、不当であるとは思われない。論旨は理由がない。よつて刑事訴訟法第三百九十六条により本件各控訴を棄却し、当審における訴訟費用は同法第百八十一条第一項本文により全部被告人Aに負担させることとして、主文のとおり判決する。(裁判長判事八島三郎判事栗田正判事中村憲一郎)
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