- 1 -平成29年10月18日判決言渡名古屋高等裁判所平成29年(行コ)第19号法人税更正処分取消等請求控訴事件(原審名古屋地方裁判所平成26年(行ウ)第56号)主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 上記取消しに係る被控訴人の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要(略語は新たに定義するものを除き,原判決の例による。以下,本判決において同じ)。 内国法人である被控訴人は,平成22年3月期及び平成23年3月期の各事業年度(本件各事業年度)の法人税の各確定申告をしたところ,処分行政庁から,いわゆるタックスヘイブン対策税制に基づき,A国において設立された被控訴人の子会社であるB会社の課税対象留保金額に相当する金額が被控訴人の本件各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されることなどを理由に,本件各事業年度の法人税について,3次にわたる更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(本件各処分)を受けた。 本件は,被控訴人が,本件各処分のうち,被控訴人主張金額を超える部分の取消しを求める事案である。 原審は,第1次更正処分は第2次更正処分に吸収され,第2次更正処分は第3次更正処分に吸収されたと解するのが相当であるとして,第1次更正処分及び第2次更正処分の取消しを求める訴えの利益を否定したが,第3次更正処分- 2 -のうち被控訴人主張金額を超える部分及び第1次及び第2次の各賦課決定処分をいずれも違法と判断し,被控訴人の請求を一部認容した。これに対し,控訴人は敗訴部分を不服として控訴を提起したが,被控訴人は控訴を提起しなかった(原判決中,第1次及び第2次の各更正処 各賦課決定処分をいずれも違法と判断し,被控訴人の請求を一部認容した。これに対し,控訴人は敗訴部分を不服として控訴を提起したが,被控訴人は控訴を提起しなかった(原判決中,第1次及び第2次の各更正処分の取消しを求める訴えに関する部分,第3次賦課決定に関する部分は,当審における審理の対象になっていない。 。) 前提事実及び争点については,次のとおり補正をし,次項において当審における控訴人の主張を補足するほかは,原判決「事実及び理由」欄の第2の2ないし5に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)( )原判決4頁19行目から20行目にかけて及び24行目の「平成22年 法律第6号」を「平成21年法律第13号」といずれも改める。 ( )原判決13頁21行目の「措置法66条の6第1項の適用がないとされ た場合」を「措置法66条の6第1項が適用される場合」と改める。 当審における控訴人の主張控訴人は,主位的に,B会社が行っていた地域統括業務は株式保有業に包含され,これとは別個の事業ではないとし,予備的に,B会社の行った地域統括業務が株式保有業に包含されず,独立の事業であるとしても,B会社は株式保有業を主たる事業とするものであったとして,第3次更正処分並びに第1次及び第2次賦課決定処分はいずれも適法であると主張するもので,その要旨は次のとおりである。 ( )B会社が行っていた地域統括業務は株式保有業に包含され,これとは別個 の独立の事業ではないことアタックスヘイブン対策税制の適用除外の基本的な理念は「所在地国に,おいて①独立企業としての実体を備え,かつ,②それぞれの業態に応じ,その地において事業活動を行うことに十分な経済的合理性があると認めら- 3 -れる海外子会社等は適用除外とする」という点にあり(乙23・ ①独立企業としての実体を備え,かつ,②それぞれの業態に応じ,その地において事業活動を行うことに十分な経済的合理性があると認めら- 3 -れる海外子会社等は適用除外とする」という点にあり(乙23・7頁,)この「十分な経済的合理性」を業態に即して具体化したものが適用除外の規定であるとされる。そして,我が国のタックスヘイブン対策税制は業態に即したアプローチを取っており,全ての業種を三つに大別し,グループごとに異なるアプローチを採用し,事業基準対象業種を主たる事業とする法人については,他の業種のグループとは異なり,その具体的な事業実体・内容がいかなるものであったとしても,一律に適用除外から排除するという仕組みが採用されている。そして,事業基準が他の適用除外基準と大きく異なる点は,事業基準の対象である業種を主たる事業とする特定外国子会社等については,その事業実体や事業内容についての個別の検討を経ることなく,一律にタックスヘイブン対策税制の適用除外を認めないとする点にある。このことは,事業基準が,その対象業種の事業実体・内容とは関係なく認められる事情,すなわち,当該業種を主たる事業とする法人が稼働する所得の性質に着目した基準であることを示すものである。すなわち,事業基準の対象業種を主たる事業とする法人が稼得する所得とは,配当,キャピタルゲイン(譲渡益,賃貸料,特許料等のいずれも受動的)な性質を持つもの(受動所得〔パッシブインカム)であり,地理的に移〕動しやすく,課税逃れのために軽課税国に逃げていきやすい所得であるところ,タックスヘイブン対策税制は持株会社等を設立してこのような所得を移すことは積極的な経済的合理的理由を見いだし難い(すなわち,このような法人は租税節減対策のためだけのものである)と考えられたこと。 から,これらを適用除外 制は持株会社等を設立してこのような所得を移すことは積極的な経済的合理的理由を見いだし難い(すなわち,このような法人は租税節減対策のためだけのものである)と考えられたこと。 から,これらを適用除外の対象から一律に排除するため事業基準が設けられたものである。 イこのような事業基準の趣旨等を踏まえた場合,同基準の対象業種とされる株式保有業とは,株式を保有することでその配当及びキャピタルゲイン(譲渡益)等の受動所得を稼得する事業をいうと解することができる。そ- 4 -して,株式発行会社の活動を管理し,いつ,どれだけ配当を受けるかをコントロール(支配・管理)することは株式保有業の本質的な要素であるところ,株式保有業の典型である「持株会社」は「株式保有に基づいて支,配している従属企業を全体としての利益の観点から管理・運営するため設立される」ものであり,その業務は「不可避的に,子会社の内部の管理に及び得る」ものである。 したがって,持株会社形態で営まれる株式保有業では,子会社を支配するという事業目的に基づいて株式発行会社の活動を支配・管理することは,正に本来的業務といえる。例えば,子会社の事業支配を目的とする外には本業を有しない純粋持株会社(その事業活動として専ら純粋に他社の事業活動の支配のみを行う持株会社)は,株式等を保有することで配当等を稼得する事業を営む法人といえるところ,このような純粋持株会社の事業に係る収益の源泉は配当等に限られるのであるから,被支配会社の事業計画,資金計画の策定等の重要事項を管理したり,契約書等に基づいて子会社のために各種サービスを提供したりすることといった支配・管理業務も,結局のところ当該子会社の収益性の向上(配当可能利益の増大)のために行われるものと評価できる。そして,これらの業務を株式保有業の一部と評価 各種サービスを提供したりすることといった支配・管理業務も,結局のところ当該子会社の収益性の向上(配当可能利益の増大)のために行われるものと評価できる。そして,これらの業務を株式保有業の一部と評価することは,株式保有業の本質に即したものということができる(上記のような支配・管理業務は独立した「事業」とは評価されていない。 。)ウ以上のとおり,事業基準の対象となる株式保有業とは,株式を保有することによって配当等を稼得する事業をいい,その典型例は純粋持株会社であるところ,持株会社の事業目的は他社(子会社)の事業活動を支配することにあるから,子会社に対する事業計画策定等の重要事項の管理のみならず,契約等に基づいて経営管理上のサービスを提供することも,その事業の本来的業務としての支配・管理業務に当たると解され,このような支- 5 -配・管理業務が子会社の収益性の向上(配当可能利益の増大)のために行われていると評価できる場合には,配当等を稼得する株式保有業の一部を構成すると解すべきである。 エ事業基準の対象となる株式保有業の範囲を限定した原判決の判断は,事業基準がなぜ設けられたものなのかを正面から検討しておらず,結果としてタックスヘイブン対策税制の仕組みを大きく逸脱したものである。 ,,,,すなわち原判決は①事業基準であっても適用除外基準であっても適用除外基準の適否の検討するための要件の一つであるという点においては,他の基準と特に異なることはなく,立案担当者の解説でも,これを他の事業と並列的に論じているものがあり,②立案担当者の解説によれば,株式保有業を営んでいる海外子会社等であれば,それが主たる事業であるか否かにかかわらず,全て適用除外基準を考えないとするものではなく,主たる事業を株式保有業とする海外子会社等については 説によれば,株式保有業を営んでいる海外子会社等であれば,それが主たる事業であるか否かにかかわらず,全て適用除外基準を考えないとするものではなく,主たる事業を株式保有業とする海外子会社等については実体があっても適用除外基準を考えないと説明するにとどまるものと解され,事業基準を定めた趣旨から,直ちに株式保有業が配当所得を稼得する事業(子会社を支配しかつ管理するものに限る)として理解されるということはできない。 と判示している(原判決49頁23行目ないし50頁10行目。 )しかし,これらの判示は,事業基準対象業種を主たる事業とする法人については,他の業種のグループとは異なり,その具体的な事業実体及び内容がいかなるものであったとしても一律に適用除外から排除する仕組みが採用されており,その理由は事業基準対象業種が稼得する所得の性質に着目しているからにほかならないこと,我が国のタックスヘイブン対策税制がアメリカ及び西ドイツで採用された所得別管理方式(適用対象を決定するのに当たり所得の性質に即したアプローチ)ではなく,執行の困難性を考慮して業態に即したエンティティ(実在物)方式によるアプローチを採用しており,その趣旨からすると,事業基準は専ら受動所得を稼得する事- 6 -業については,わざわざタックスヘイブンに本店を置くことに税負担の軽減以外の積極的な経済的合理性を見いだすことは困難であるから,企業実体等があったとしても,一律に適用除外を認めないという価値判断を示した規定であることを看過している。 また,原判決は,①措置法66条の6第3項括弧書きの「株式の保有を主たる事業」の意味を,株式を自己のものとして持ち続けることを主たる事業とするものを意味し,株式保有業を株式の保有の概念を離れて配当所得を得るための子会社に対する広範な支配及び管理業務 株式の保有を主たる事業」の意味を,株式を自己のものとして持ち続けることを主たる事業とするものを意味し,株式保有業を株式の保有の概念を離れて配当所得を得るための子会社に対する広範な支配及び管理業務と解することは許されないとし,②そのことは措置法66条の3第3項の趣旨が株式を保有又は運用することにより利益配当又はキャピタルゲインを得るといった株式の保有に係る事業は,その性質上,我が国においても十分に行うことができるものであって,これは主たる事業とする特定外国子会社等が我が国ではなくわざわざタックスヘイブンに所在する積極的な経済的合理性は税負担の軽減以外には見いだし難いため適用除外とできないことと整合するとしている(原判決50頁11行目ないし51頁11行目。 )しかし「株式を自己のものとして持ち続ける」という活動が,営利を,目的とする会社の「事業」として成り立ち得るのは当該株式の保有によって配当及びキャピタルゲインといった受動所得を稼得するもので,配当等の受動所得を稼得することを事業として行う以上,当該企業の活動を支配及び管理することは当該事業における本質的な要素というべきであり,特に持株会社形態をとる株式保有業は他の会社を支配するという事業活動を行うもので不可避的に子会社の管理まで及ぶものであるから,上記①の判示は誤りである。そして,我が国においても十分行い得るとは,その事業において稼得される所得の受動的性質によれば我が国においても十分に当該事業を行うことができるという意味で捉えるべきものであり,その事業によって稼得される所得が配当等の受動所得である以上,当該事業はその- 7 -性格からして我が国においても十分行い得るものと評価できる。このことは,株式保有業以外の船舶若しくは航空機の貸付けを主たる事業とするものについても所在地 動所得である以上,当該事業はその- 7 -性格からして我が国においても十分行い得るものと評価できる。このことは,株式保有業以外の船舶若しくは航空機の貸付けを主たる事業とするものについても所在地国における実態ある事業活動の成果としてリース収益を稼得している事例があるが,実務上は,その稼得する所得がリース料という受動所得であり,船舶若しくは航空機の貸付けを主たる事業とするものとされるため,その実態等にかかわらず,適用除外を受けることができないものであるとして,税制改正要望が提出されている。したがって,上記②の判示も誤りである。 さらに,原判決は,配当等を得るための諸活動を株式保有業の一部をなす事業活動と評価すると,特定外国子会社等は,独立企業としての実体を備え,その所在する国又は地域において事業活動を行うことにつき十分な経済的合理性がある場合であっても,子会社の株式を保有して,主として子会社に関連する事業を行っていれば,原則として株式の保有を主たる事業とするものになりかねず,措置法66条の6第3項及び第4項の趣旨を没却することになりかねないと判示する(原判決52頁4行目ないし16行目。しかしながら,十分な経済的合理性があるか否かの判断は,適用)除外要件を満たすか否かを通じて判断することが予定されており,その規定を離れて,条文の予定されていない要件によりタックスヘイブン対策税制の適用の可否を判断することは予定されておらず,上記判示は誤りである。 オ平成22年改正の国会審議における当時の財務省主税局長や国際課税研(,究会の座長を務めたC大学大学院会計研究科教授当時D大学大学院教授元国税庁審議官)の答弁によれば,平成22年改正で規定された統括会社は,それまでは,タックスヘイブン対策税制の規定上適用除外が認められないものであったが 大学大学院会計研究科教授当時D大学大学院教授元国税庁審議官)の答弁によれば,平成22年改正で規定された統括会社は,それまでは,タックスヘイブン対策税制の規定上適用除外が認められないものであったが,平成22年改正によって,初めてタックスヘイブン対策税制の適用除外の対象となり得るものとなったことが認められるか- 8 -ら,このような改正の経緯に照らしても,B会社の行った地域統括業務が株式保有業に含まれる(独立の事業を構成しない)という結論が正当というべきである。 ( )B会社の行った地域統括業務が株式保有業に包含されない別個独立の事業 であると解したとしても,B会社は株式保有業を主たる事業とするものであったこと(予備的主張,控訴理由書第1の及び第3)アB会社各事業年度においてB会社が行っていた地域統括業務が株式保有業の一部ではなく独立の事業であると解した場合にはB会社の主,「」,「たる事業」が株式保有業と地域統括事業のいずれであるかを判定する必要が生じる。 特定外国子会社等が複数の事業を営む場合に,そのいずれの事業が「主たる事業」であるかの判定方法については,その事業年度における具体的かつ客観的な事業活動の内容から判定するほかないから,一般的にその事業活動の客観的結果として得られた収入金額又は所得金額の状況,使用人,。 の数固定施設の状況等を総合的に勘案して判定するべきであるといえるそして,本件で問題になる事業基準対象業種(株式保有業)が,その稼得する所得(配当等)の性質を理由として,タックスヘイブンに所在することにつき税の軽減以外の積極的な経済的合理性を見いだし難いと考えられた特殊な業種であることからすれば,唯一その経済的合理性の有無を左右するのは,稼得した配当等の金額やそれが利益に占める割合等の金銭 とにつき税の軽減以外の積極的な経済的合理性を見いだし難いと考えられた特殊な業種であることからすれば,唯一その経済的合理性の有無を左右するのは,稼得した配当等の金額やそれが利益に占める割合等の金銭的規模を示す要素を重視すべきであり,また,株式保有業には減価及び経費の支出を要しないという特性があるから,収入金額よりも,原価及び経費の額を併せて考慮に入れて計算される所得金額の方が,判断要素としてより重要となる。そして,B会社の所得のうち保有株式の受取配当が占める割合は,2009事業年度は約100.1%,2010事業年度は約87. 7%と極めて高いものであり,そのほとんどが配当で占められていた。し- 9 -たがって,B会社が行った事業の結果得られた所得金額を重視した場合には,B会社各事業年度におけるB会社の「主たる事業」は株式保有業であり,その他の金銭的規模を示す判断要素(資産価値)や人的・物的規模を示す判断要素を踏まえても,この判断は左右されない。 イ仮に,事業基準対象業種が含まれている場合に,一般的に金銭的な規模を示す判断要素を重視すべきといえないと解したとしても,特定外国子会社等が営利企業である以上,その「事業」は正に利益を稼得するために行われる営利活動にほかならないから,その「主たる事業」を判定する際には,当該特定外国子会社等において具体的にどのように利益を稼得する構造(事業構造)が採られ,実際にどのように利益を稼得していたのかなどの点を,収入金額又は所得金額の状況,使用人の数,固定施設の状況等の各要素に照らし,総合的に勘案することが必要不可欠というべきである。 そして,B会社が行っていた株式保有業及び地域統括事業を見ると,B会社は,多額の費用,人員,固定資産等を用いて地域統括事業を大規模に展開して子会社等の利益率を上げつつも, 要不可欠というべきである。 そして,B会社が行っていた株式保有業及び地域統括事業を見ると,B会社は,多額の費用,人員,固定資産等を用いて地域統括事業を大規模に展開して子会社等の利益率を上げつつも,自らその事業の利益をほとんど受け取らず,他方で費用,従業員及び固定資産等をほとんど用いないまま,保有する子会社等が稼得した多額の利益を配当により還元させていたのであって,専ら配当によって利益を稼得するという事業構造を主体的に採用して実行していたものである。このことからすれば,B会社においては,株式保有業が中心的な事業(直接的に利益を産み出す事業)と捉えられており,地域統括事業は,直接的には子会社の利益率の上昇を図りつつも,最終的,究極的には自社配当利益を最大化するための手段として事業(付随的事業)と捉えられていたというべきであるから,このような具体的な利益稼得構造(事業構造)を踏まえると,B会社の「主たる事業」は株式保有業であったと判定されるべきである。 ウ原判決は,B会社の従業員の大半が地域統括業務に従事し,株式保有業- 10 -には1人も従事せず,その所有する固定資産が株式保有業に使用されていなかったこと(原判決48頁4行目ないし15行目の①ないし③,物流)改善業務に関する売上高がその収入の約85%に上っていること(原判決48頁15行目ないし18行目の④,B会社の設立目的が地域統括業務)を行うことであったこと(原判決48頁18行目ないし23行目の⑤,)B会社の地域統括事業は順次拡大し,その業務内容も多方面・多岐にわたるものであり,これによって被控訴人グループ会社全体に原価率の大幅な低減による利益がもたらされ,B会社の配当収入の中にも相当程度反映されることになったこと(原判決48頁23行目ないし49頁12行目の⑥ないし⑧)を主 によって被控訴人グループ会社全体に原価率の大幅な低減による利益がもたらされ,B会社の配当収入の中にも相当程度反映されることになったこと(原判決48頁23行目ないし49頁12行目の⑥ないし⑧)を主たる業務が地域統括事業である理由として認定している。 しかしながら,そもそも株式保有業はその性質上さしたる人員及び設備を要しない事業であるから,各事業に従事した人員及び使用された固定資産等の物的規模に関する事情は「主たる事業」の判定に当たり重要な要素と。 ,,はならないまた物流改善業務は輸出入の事務代行をしていたにすぎずその売上高は見かけ上のものにすぎない。さらに,B会社が地域統括事業を効果的に行うためには,株式を保有して資本的な支配力を行使できる体制をとることが必要不可欠であり,地域統括業務は子会社等の利益率を上げるために行われたもので,それによってB会社は子会社が稼得した利益を配当という形で得ていたから,原判決が挙げた点は,結局株式保有に基づく配当を得る手段として地域統括事業が行われていたという関係性を示す要素でもあるから,地域統括事業を「主たる事業」と判定する理由とはなり得ない。 また,原判決は,①株式の配当による所得の金額が大きいとしても,株式保有以外の実体的な事業活動が現実に行われており,当該事業活動に相応の経営資源が投入されている場合には,事業基準(株式の保有等を主たる事業とするものでないこと)を満たすと解することが,タックスヘイブ- 11 -ン対策税制の制度趣旨にかなうものというべきである(そうでなければ,株式保有以外の実体的な事業活動にいかに多大な経営資源が投入されていても,当該事業活動の収益が芳しくない状況の下では当該特定外国子会社等の主たる事業は株式保有業と判定されることとなるという不都合な結果になりかねない)とし 業活動にいかに多大な経営資源が投入されていても,当該事業活動の収益が芳しくない状況の下では当該特定外国子会社等の主たる事業は株式保有業と判定されることとなるという不都合な結果になりかねない)とした上,②特定外国子会社等が株式の保有を主たる。 事業とするものか否かの判定に当たり,収入金額や所得金額という金銭的な規模を示す判断要素のみを重視すべきであるということはできないし,地域統括事業は被統括会社に対する統制をするために株式保有が重要な意味を持つ一方,さほど多くの固定資産等を必要とするものではないのは事業の性質上,当然のことであるから,資産総額に占める株式額の割合を重視することが相当であるということはできないと判示している(原判決57頁12行目ないし58頁10行目。 )しかしながら,原判決のような解釈を採用した場合,事業基準対象以外の事業を当該所在国で行うことに十分な経済的合理性があるときは,仮に法が規制対象とした株式保有業による配当等がはるかに大きかったとしても,タックスヘイブン対策税制の適用対象としないことになったり,全く利益を産み出さない事業であっても,多大な経営資源さえ投入していれば常に当該事業が「主たる事業」と判定されたりするという不合理な結果ともなりかねない。また,原判決は,各事業に従事した人員や使用された有形固定資産等の物的規模を示す要素を重視しているが,株式保有業の性質に基づく特徴を考慮していない。したがって,上記①②の判示は誤りである。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,本件各処分を,原判決主文第1ないし第4項(平成29年1月27日付け更正決定後のもの)の限度で取り消すべきものと判断する。 その理由は,以下の補正をし,次項において控訴人の主張に対する判断を補- 12 -足するほかは,原判決「事実及び理由」欄の 9年1月27日付け更正決定後のもの)の限度で取り消すべきものと判断する。 その理由は,以下の補正をし,次項において控訴人の主張に対する判断を補- 12 -足するほかは,原判決「事実及び理由」欄の第3の2及び3記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)( )原判決37頁18行目の「E国」を「F国」と改める。 ( )原判決38頁7行目の「なお」から9行目末尾までを「また,B会社 ,,はG会社(A国地域統括センターでB会社の100%子会社)が担っていた補修品の販売機能(以下「市販営業機能」という)に関する業務を引き継。 いだことにより,B会社の従業員は,2009事業年度が78人,2010事業年度が75人と2008事業年度の34人から大幅に増加し,その大半(両事業年度とも44人)は地域統括業務に従事し,その余(2009事業年度34人,2010事業年度31人)は上記プログラム設計業務及び市販営業機能に関する業務に従事していたものであり,持株機能(株主総会・配当処理等)に関する業務に従事している者は,1人もいなかった(甲10。 26,乙10,弁論の全趣旨」と改める。 )( )原判決39頁1行目の「物流改善業務に係る売上総利益」から6行目末 尾までを「総収入から売上原価を控除した額に対する受取配当以外の収入の占める割合は,2009事業年度では約23.5%,2010事業年度は約. ,(. , 1%であり受取配当の占める割合2009事業年度は765%2010事業年度は75.9%)を大きく下回っているが,B会社が行った地域統括業務が,長期的な利益を追求する性質の活動であり,随時対価を徴収することが難しいため,B会社が被統括会社から受け取っている配当が実質的には地域統括業務を行ったことに対する対価として が行った地域統括業務が,長期的な利益を追求する性質の活動であり,随時対価を徴収することが難しいため,B会社が被統括会社から受け取っている配当が実質的には地域統括業務を行ったことに対する対価としての性質を有していることによると考えられる(甲1025,乙3,10,弁論の全趣旨」と。 )改める。 ( )原判決40頁3行目の「2010事業年度」を「B会社各事業年度」と 改め,同6行目の「乙4」を「甲16,乙4」と改める。 ()()- 13 -( )原判決48頁14行目の「大半を占めていたこと」から15行目の「変 わることはなかった」を「大半を占めており,この状況は,B会社各事業年度においても変わることはなかったこと,③B会社はG会社が担っていた市販営業機能に関する業務を引き継いだことにより,B会社の従業員は,2009事業年度が78人,2010事業年度が75人と2008事業年度の34人から大幅に増加し,その大半(B会社各事業年度とも44人)は地域統括業務に従事し,その余(2009事業年度34人,2010事業年度31人)はプログラム設計業務及び市販営業機能に関する業務に従事していたものであり,持株機能(株主総会・配当処理等)に関する業務に従事している者は,1人もいなかったこと」と改める。 控訴人の主張について( )本件各事業年度におけるB会社の「主たる事業」について ア証拠(甲1006,1016,1018,1020,1021,1022の1ないし6,1023ないし1028,1029ないし1032の各1,2,1033ないし1035,乙3,10)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア)近年,被控訴人のように複数の国家にまたがって世界的な規模で企業活動を行っている多国籍企業では,地域ごとに地域統括本社を置 35,乙3,10)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア)近年,被控訴人のように複数の国家にまたがって世界的な規模で企業活動を行っている多国籍企業では,地域ごとに地域統括本社を置き,地域統括本社に当該地域グループ会社に対する生産,販売,物流,資材調達,研究開発,人事,財務等の各種業務の統括及び支援活動を行うことが広く行われるようになってきているところ,東南アジアではその地,,,,理的位置空港等の利便性公用語が英語であること法人税率が低く資本取引から生じるキャピタルゲインが非課税であることや国外投資先から所得が一定の要件で非課税であり,地域統括本部についての各種税制優遇措置等があること,労働者の教育レベルが高いこと,インフラが整備されていること,行政や法制度の透明性が高いこと等の理由から,- 14 -多くの多国籍企業がA国に地域統括拠点を設置している。 (イ)H地域,I地域及びJ国にも地域統括本社を設置している被控訴人,,,,(「」。)は平成11年A国にKL及びM地域以下K域内というの地域統括本社として,被控訴人の100%子会社でK及びLの地域統括センターであったG会社を含むK域内のグループ7会社の被控訴人所有株式を現物出資してB会社をA国に設置した(なお,B会社各事業年度においては,既にG会社は解散し,休眠会社を除くとK域内に更に過半数の株式を有する子会社を4社(N国に3社,O国に1社,F国に)50%,P国に28.6%,Q国に38.9%の各株式を保有する関連会社3社を設立し,B会社各事業年度におけるB会社に係る子会社は10社,関連会社は3社で,グループ会社(被統括会社)は合計13社となっていた(原判決添付(別表1,2))。 (ウ)アジア通貨危機の影響でその後,B会 ,B会社各事業年度におけるB会社に係る子会社は10社,関連会社は3社で,グループ会社(被統括会社)は合計13社となっていた(原判決添付(別表1,2))。 (ウ)アジア通貨危機の影響でその後,B会社は子会社の過半数の株式を取得し,B会社の総資産に占める子会社株式の割合は本件各事業年度において4割前後であった。そして,B会社は,A国に事務所を賃借し,相当数の従業員を雇用し(2009事業年度が78人,2010事業年度が75人,事務用じゅう器備品,車両及びコンピューター等を保有)し,上記域内の被統括会社に対する地域企画業務(R地域社長会及び機能別会議の開催,新AICO(K産業協力)の認可取得活動,FTA及び関税の調査等,原材料及び部品の調達業務(材料及び資材の調達交)渉や廉価調達先の発掘,グローバルネッティングの運営とその対象範囲の拡大作業等,物流改善業務(インボイスの集中発行決済,インボイ)スの自動化等,資金調達,為替及び税務等を含む財務業務(グループ)ローンの推進,財務システムの標準化等,原材料の品質管理等の材料)技術に関する業務(材料品質保証の仕組みの策定,原材料の品質調査等,人事業務(マネジメント研修,人事制度の見直し検討等,情報))- 15 -システム業務及びプログラム設計業務(統合サーバーへの集中化や各種ソフトの標準化)等の地域統括業務を行ってきた。 ,,,(エ)B会社の設立後K域内の控訴人のグループ会社間では集中生産相互補完体制の構築が進展し,効率化及び規模の経済(スケールメリット)によって,原価率が大幅に低減し,グループ会社の利益が拡大することとなった。 (())(オ)本件各事業年度におけるB会社の損益計算書原判決添付別表6を基に計算すると,総収入から売上原価を控除した額に対する被統括子 に低減し,グループ会社の利益が拡大することとなった。 (())(オ)本件各事業年度におけるB会社の損益計算書原判決添付別表6を基に計算すると,総収入から売上原価を控除した額に対する被統括子会社からの受取配当の割合は76%程度に達するが,地域統括業務の成果は企業の長期的な活動を通じて効果が徐々に発現するものであり,サービス・フィーとして随時対価を徴収することが困難なものが多く,B会社が受け取る配当は,実質的には地域統括業務を行ったことに対する対価としての性質を有している。 イ上記のとおり,①被控訴人が所持していたK域内の子会社7社の株式を現物出資してB会社を設立した目的はK域内を統括する地域統括業務を行うことにあったこと,②B会社各事業年度において,B会社が75人以上の従業員を雇用していたこと,③被統括会社に対する地域企画業務,調達業務,物流改善業務,資金調達,為替及び税務等を含む財務業務,品質管理等の材料技術に関する業務,人事業務,情報システム業務及びプログラ,,,ム設計業務等の地域統括業務を行いその結果K域内の被統括会社では集団生産及び相互補完体制の構築,維持及び発展が図られ,効率化及び規模の経済(スケールメリット)によって,原価率が大幅に減少し,被統括会社の利益が拡大することとなったこと,④B会社の被統括会社からの配当金は資本投下に対する受動的な所得ではなく,上記B会社が被統括会社に対して行った地域統括業務に対する対価としての性質を有する所得であること等からすれば,B会社が被統括会社の株式を保有しているのは,そ- 16 -の地域統括事業を達成するための手段にすぎないと認められるから,B会社各事業年度において行ってきた地域統括業務が,株式保有業に包含されるとは解されず,B会社各事業年度におけるB会社の主たる事業 -の地域統括事業を達成するための手段にすぎないと認められるから,B会社各事業年度において行ってきた地域統括業務が,株式保有業に包含されるとは解されず,B会社各事業年度におけるB会社の主たる事業は,地域統括事業であったと認めるのが相当である。 ウこれに対し,控訴人は,事業基準の制定経緯やその趣旨によれば,事業基準はその対象業種が稼得する所得の性質(受動所得)に着目して設けられた基準であり,株式保有業とは,株式を保有することで配当等を稼得する事業を意味するもので,持株会社形態をとる株式保有業においては,その本来的な業務として子会社の事業活動を支配及び管理する業務を行うこととなり,当該子会社の重要事項の管理にとどまらず,契約等によって子会社に経営管理上のサービスを提供することも,事業活動を支配するという持株会社の機能に合致したものであるから,その事業の本来的業務(持株機能の一環としての支配及び管理業務)に当たるところ,このような支配及び管理業務が子会社の収益性の向上(配当可能利益の増大)のために行われていると評価できる場合には,配当等を稼得する株式保有業の一部を構成するというべきであり,B会社がB会社各事業年度において行った地域統括業務は,株式保有業に包含され,これとは別個独立の事業を構成するものではなく,仮にB会社の行った地域統括業務が株式保有業に包含されず,独立の事業であったとしても,B会社の主たる事業は株式の保有であったと主張する。 エタックスヘイブン対策税制導入時の文献には「株式の保有という事業,には,わざわざタックス・ヘイブンに子会社を設立して行うための経済的な合理性,必要性がなく,国内からでも十分に営むことのできるものである(大蔵省主税局長・S監修「タックス・ヘイブン対策税制の解説,。」」乙22・38頁)との に子会社を設立して行うための経済的な合理性,必要性がなく,国内からでも十分に営むことのできるものである(大蔵省主税局長・S監修「タックス・ヘイブン対策税制の解説,。」」乙22・38頁)との記載や「株式の保有や船舶の貸付け等の事業は,,我が国からでも十分に営むことができるものであり,その地に本店をおく- 17 -ことに積極的な経済合理性を認め難いので,これら業種に属する外国子会社等はかりに実体があっても適用除外基準をはじめから考えないこととしています(必ずその留保所得を親会社に帰属させます(国税庁「昭和)。」53年改正税法のすべて,乙5・164頁)などの記載があるが,こ」れらの文献においては「株式の保有」について,軽課税国に子会社を設,立し,当該子会社が所有している株式の名義を移転したり,資本を移転して株式を取得したりするなどの方法で,受動所得である配当及びキャピタルゲイン(譲渡益)に対する課税を免れる事例が典型的なものとして想定されており,海外に事業を展開するために地域統括業務を行う子会社を設立し,海外にある被統括会社の株式を保有し,被統括会社に対する支援をすることで被統括会社の収益を向上させ,その利益を配当金として受け取るという事業形態の特定外国子会社までは想定されていなかったことがうかがわれる。 一方,当時の文献には「正常な海外投資活動を阻害しないため,所在,,,,地国において独立企業としての実体を備えかつそれぞれの業態に応じその地において事業活動を行うことに十分な経済合理性があると認められる海外子会社等は適用除外とする」との記載(税制調査会「昭和53年。 度の税制改正に関する答申,乙23・7頁「この適用除外の基本的な」),理念は,そこで実際に独立企業として事業をやっておられればセーフにすべ 適用除外とする」との記載(税制調査会「昭和53年。 度の税制改正に関する答申,乙23・7頁「この適用除外の基本的な」),理念は,そこで実際に独立企業として事業をやっておられればセーフにすべきであるという考え方が出ておるわけであります。もちろん,わが国の場合には非常に資源が乏しくて,海外での積極的な事業活動は必要なことでありますし,貿易立国としての立場からすれば,そういう正常な投資活動を妨げることはもってのほかである」との記載(T(大蔵省主税局国。 際租税課長「海外子会社課税について,甲6・18頁「海外子会社)」),等がたとえ軽課税国等に所在していたとしても正常な投資活動を営むもの,すなわち軽課税国等で事業活動を行うにつき十分な経済合理性を有す- 18 -るものについてまでも課税対象とすることは適当でなく,これを強いればむしろ角を矯めて牛を殺すようなことにもなりかねないであろう。このように,本適用除外規定は,純粋に納税回避を推認しうるもののみを対象とすべきであり,正常な事業活動は対象外とすべきであるとの基本的な認識のもとに置かれたものということができる(T(前同「タックスヘイ。」)ブン対策税制の導入」産業経理協会昭和53年12月号所収,乙61・75頁)との記載「軽課税国に所在する子会社等であっても,その地に所,在することに十分な経済合理性があれば課税対象とはされない。この『十』,分な経済合理性を業種に即して具体化したものが適用除外の規定であり本税制の一大特徴をなしている」との記載(上記S監修「タックス・ヘ。 イブン対策税制の解説,乙6・95頁)も見受けられる。 」オK域内では地域経済体が成立しており,多国籍企業が地域ごとの軽課税国に地域統括本社を置き,当該地域統括本社に当該域内グループ会社に対する生産 ン対策税制の解説,乙6・95頁)も見受けられる。 」オK域内では地域経済体が成立しており,多国籍企業が地域ごとの軽課税国に地域統括本社を置き,当該地域統括本社に当該域内グループ会社に対する生産,販売,物流,資材調達,研究開発,人事,財務等の各種業務の統括及び支援活動を行うことには,十分な経済的合理性があると認められるから,当該軽課税国で地域統括という事業活動を行うことから,直ちに「純粋」な納税回避の目的を推認し得るとはいえない。また,特定外国子会社等が被統括会社に対し独立した事業としての地域統括業務を行った結果,被統括会社の収益が向上し,当該特定外国子会社等が保有する被統括会社の株式配当金が増加した場合には,当該配当金を地域統括業務の成果と見ることができるから,これを単なる受動所得(パッシブインカム)と見ることは相当ではないと解される。 カ本件においては,前記のとおり,B会社はB会社各事業年度において,75人以上の従業員を雇用し,地域企画業務,調達業務,物流改善業務,資金調達,為替及び税務等を含む財務業務,品質管理等の材料技術に関する業務,人事業務,情報システム業務及びプログラム設計業務等の地域統- 19 -括業務を行い,その結果,被控訴人のグループ会社の間では,集中生産,,()相互補完体制の構築が進展し効率化及び規模の経済スケールメリットによって,グループ会社の利益が拡大することとなったが,B会社が行った地域統括業務は,長期的な利益を追求する性質の活動であり,直ちに効果が実現せず,サービスフィーとして随時対価を徴収することが困難なものが多く(甲1025,1041,B会社が被統括会社から受け取る配)当は,実質的には地域統括業務を行ったことに対する対価としての性質を有していると認められるから,B会社が行ってきた地域統括 難なものが多く(甲1025,1041,B会社が被統括会社から受け取る配)当は,実質的には地域統括業務を行ったことに対する対価としての性質を有していると認められるから,B会社が行ってきた地域統括業務が,株式保有業に包含されるとは認め難く,B会社の主たる事業が株式保有業であったと認めることも相当ではないというべきである。 ( )原判決の「主たる事業」の判定方法について 控訴人は,特定外国子会社等が複数の事業を営む場合に,そのいずれの事業が「主たる事業」であるかの判定方法について,金銭的な規模を示す判断要素を重視すべきであり,また,B会社の地域統括事業は,直接的には子会社の利益率の上昇を図りつつも,最終的,究極的には自社配当利益を最大化するための手段としての事業(付随的事業)であったと捉えるべきなのであって,直接的に利益を産み出した中心的な事業は株式保有業であったから,これこそがB会社の「主たる事業」と判定されるべきであると主張し,事業基準の対象となる株式保有業の範囲を限定した原判決の判断は,事業基準が設けられた趣旨を正面から検討しておらず,結果としてタックスヘイブン対策税制の仕組みを大きく逸脱したものであると原判決を批判する。 しかしながら,特定外国子会社等に係る主たる事業の判定は,それぞれの事業活動の客観的な結果として得られた収入金額又は所得金額,それぞれの事業活動に要する使用人の数,事務所,店舗,工場その他の固定施設の状況等の具体的な事業活動の内容を総合的に勘案して判定すべきであるから,外国子会社等の主たる事業が株式の保有であるか否かを判定するに際し,所得- 20 -に占める受取配当の割合のみを重視することは相当ではない。また,タックスヘイブン対策税制の導入時の資料においても,適用除外規定は,純粋に納税回避を推認し得るもの を判定するに際し,所得- 20 -に占める受取配当の割合のみを重視することは相当ではない。また,タックスヘイブン対策税制の導入時の資料においても,適用除外規定は,純粋に納税回避を推認し得るもののみを対象とすべきであり,特定外国子会社等は,独立企業としての実体を備え,その所在する国又は地域において事業活動を行うことにつき十分な経済的合理性がある場合には,タックスヘイブン対策税制は適用されないとされていたから(甲6,乙6,23,61,外国子)会社等の収益が被統括会社からの配当に依存していたとしても,それが経済的合理性を有する地域統括事業の結果であり,株式保有が地域統括事業を推進するための手段にすぎないと認められる場合には,株式保有業ではなく,地域統括事業が,当該外国子会社の主たる事業であると認定すべきものと考えられる。そして,原判決は,B会社について,その従業員,売上額,固定資産,設立目的,地域統括事業の具体的な事業内容,地域統括事業の結果等を認定した上で,地域統括事業がその実体を備えているか否か,当該外国子会社がその所在する国又は地域において事業活動を行うことに十分な経済的合理性があるか否か等の観点を踏まえ,B会社の主たる事業は地域統括事業であったと判断したものであって,その判断手法は合理的なものであると認められる。 したがって,控訴人の上記主張を採用することはできない。 ( )平成22年改正について 控訴人は,平成22年改正で規定された統括会社は,それまでは,タックスヘイブン対策税制の規定上適用除外が認められないものであったが,平成22年改正によって,初めてタックスヘイブン対策税制の適用除外の対象となり得るものとなったことが認められるから,このような改正の経緯に照らしても,B会社の行っていた地域統括業務は株式保有業に含まれ 成22年改正によって,初めてタックスヘイブン対策税制の適用除外の対象となり得るものとなったことが認められるから,このような改正の経緯に照らしても,B会社の行っていた地域統括業務は株式保有業に含まれる(独立の事業を構成しない)と解すべきであると主張する。 しかしながら,証拠(甲10,1041,1064,1073)及び弁論- 21 -の全趣旨によれば,平成22年改正以前においても,地域統括のような実体のある事業を行いながらグループ会社の株式を保有する特定外国子会社等が存在し,このような子会社が事業基準を満たすか否かが問題になるケースがあったことが認められ,平成22年改正は,株式保有業とは別個独立の地域統括事業を主たる事業として行う統括会社が存在することを前提として行われたと解されるから,平成22年改正が行われたことは,B会社の行っていた地域統括業務を株式保有業とは別個独立の事業であると認定することを妨げるものではないというべきである。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 ( )以上によれば,第3次更正処分並びに第1次及び第2次賦課決定処分に 係る各取消請求は,原判決主文第1ないし第4項(平成29年1月27日付け更正決定後のもの)の限度でいずれも理由があると認められる。 第4 結論 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第2部裁判長裁判官孝橋宏裁判官近田正晴- 22 -裁判官剱持亮
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