主文 1 被告は,被告補助参加人に対し,96万4129円の支払を請求せよ。 2 訴訟費用は,補助参加によって生じた費用を被告補助参加人の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求主文と同旨第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,京都府の住民である原告が,京都府議会議員である被告補助参加人 (以下「参加人」といい,被告と併せて「被告ら」という。)が平成28年度に交付を受けた政務活動費の一部(合計96万4129円)について違法な支出があり,京都府は参加人に対して同額の不当利得返還請求権を有するにもかかわらず,京都府の執行機関である被告がその行使を違法に怠っていると主張して,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,不当利得返 還請求として上記96万4129円の支払を参加人に請求するよう求める住民訴訟である。 2 関係法令等の定め政務活動費に関する法令等の定めア地方自治法100条(平成29年法律第54号による改正前のもの。以 下同じ)14項普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務活動費を交付することができる。こ の場合において,当該政務活動費の交付の対象,額及び交付の方法並び に当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は,条例で定めなければならない。 15項前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出す るものとする。 16項議長は,第14項の政務活動費については,その使途の透 交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出す るものとする。 16項議長は,第14項の政務活動費については,その使途の透明性の確保に努めるものとする。 イ京都府政務活動費の交付に関する条例(乙6。以下「本件条例」という。) 本件条例は,地方自治法100条14項ないし16項の規定に基づき,京都府議会議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,政務活動費を交付することに関し必要な事項を定めるものである(1条)。 本件条例は,議員が政務活動費を充てることができる経費として,調査 研究費,人件費等の10項目の経費を定め,このうち,人件費の使途については,「議員が行う活動を補助する職員を雇用する経費」と定めている(本件条例10条1項,別表第2。以下,政務活動費を充てることができる経費に関する本件条例等の定めを「本件使途基準」という。)。また,本件条例は,知事は,会派及び議員がその年度において交付を受けた政務 活動費の総額から,当該会派及び議員がその年度において本件使途基準に定める経費の範囲に従って支出した総額を控除して残余がある場合は,当該残余の額に相当する額の政務活動費の返還を命ずることができる旨定めている(本件条例13条)。 政務活動費の運用マニュアル(甲4。以下「本件マニュアル」という。) 京都府議会事務局は,政務活動費の適正な執行に資するため,本件使途基 準の解釈説明等を記載した本件マニュアルを作成している。本件マニュアルには,本件使途基準について,概略以下のとおり記載されている。 ア政党活動に要する経費,選挙活動に要する経費及び後援会活動に要する経費等の支出には,政務活動費を充てることはでき る。本件マニュアルには,本件使途基準について,概略以下のとおり記載されている。 ア政党活動に要する経費,選挙活動に要する経費及び後援会活動に要する経費等の支出には,政務活動費を充てることはできない(6頁)。 イ議員が行う活動を補助するために雇用する職員が行った業務のうち,政 務活動の業務に従事した割合が明らかでない場合,人件費として政務活動費を充てることができるのは,実際に支出した経費の2分の1に限られる(23頁)。 3 前提となる事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によ って容易に認められる。 当事者等ア原告は,京都府の住民である。 イ被告は,京都府の執行機関である。 ウ参加人は,京都府議会議員として,京都府から平成28年度政務活動費 の交付を受けた者である。 政務活動費の交付被告は,本件条例に基づき,平成28年4月1日付けで,参加人に対し,平成28年度政務活動費(以下「本件政務活動費」という。)として480万円の交付決定をし,同年4月1日,同年7月1日,同年10月3日及び平 成29年1月4日に120万円ずつ支出した(甲1〈14枚目〉)。 人件費の支出及び収支報告ア参加人は,A(以下「A」という。)との間で,雇用期間を平成28年4月1日から平成29年3月31日まで,業務内容を政務活動に係る補助及び関係書類の作成,給与を毎月16万円とする雇用契約(以下「本件契 約」という。)を締結した(甲5)。 イ参加人は,本件契約に基づいて平成28年4月ないし平成29年3月の間にAに対して支払った192万8258円(給与総計188万8678円と交通費総計3万9580円の合計。以下「給与等」という。)について,その全額を人件費として本件 28年4月ないし平成29年3月の間にAに対して支払った192万8258円(給与総計188万8678円と交通費総計3万9580円の合計。以下「給与等」という。)について,その全額を人件費として本件政務活動費から支出した(甲1,2,乙1~4の5。以下「本件支出」という。)。 ウ参加人は,平成29年5月1日,京都府議会議長に対し,本件政務活動費に係る支出を462万8735円とする平成28年度分の収支報告書を提出し,残余額17万1265円を返還した(甲1,2)。 参加人は,平成30年8月15日,京都府議会議長に対し,本件政務活動費に係る支出を446万9004円と修正した収支報告書を提出し,残 余額33万0996円のうち上記返還済みの金額を控除した15万9731円を返還した(甲1,2,乙1~4の5)。 監査請求原告は,平成30年7月4日,京都府監査委員に対し,本件政務活動費のうち104万5600円の支出は違法にされたものであると主張して,参加 人に対して不当利得返還請求をするよう被告に勧告することを求める住民監査請求をしたが,京都府監査委員は,同年8月31日,これを棄却した(甲1)。 本件訴えの提起原告は,同年9月18日,本件訴えを提起した。 4 争点及び当事者の主張本件の争点は,被告の参加人に対する不当利得返還請求権の存否(本件支出の違法性)であるが,具体的には,Aが本件契約に基づく業務として参加人の政務活動以外の業務に従事したか否かである。 (原告の主張) 本件契約におけるAの業務内容は,参加人の政務活動に関する補助及び関 係書類の作成(以下「政務活動補助業務」という。)であったが,実際には,参加人の事務所が後援会事務所や政党活動の本拠地を兼ねていたこともあり Aの業務内容は,参加人の政務活動に関する補助及び関 係書類の作成(以下「政務活動補助業務」という。)であったが,実際には,参加人の事務所が後援会事務所や政党活動の本拠地を兼ねていたこともあり,Aは,参加人から指示を受け,政務活動補助業務だけでなく,参加人の政治活動,政党活動,選挙活動等に関わる補助業務(以下,これらを併せて「非政務活動補助業務」という。)にも従事していた。 Aは,参加人の指示に従わざるを得なかったため,本来は業務内容に含まれないはずの非政務活動補助業務についても,不本意ながら本件契約上の業務としてこれを行っていたものであって,同業務を参加人のために無償で行ったなどという認識はない。これらの業務も,補助参加人の指示を受け,本件契約により拘束された時間内に行ったものであるから,無償の業務となる はずがない。 以上のとおり,Aは,本件契約に基づく業務として,政務活動補助業務だけではなく非政務活動補助業務にも従事し,その対価として報酬を受領していたところ,Aが従事していた業務のうち政務活動補助業務と非政務活動補助業務の割合は明らかでない。したがって,本件マニュアルに照らし,参加 人が本件政務活動費から支出した人件費(本件支出)の2分の1である96万4129円は,本件使途基準に適合しない違法な支出というべきである。 よって,参加人は,同額を不当利得として京都府に返還すべき義務を負う。 (被告らの主張)Aが政務活動補助業務に加えて非政務活動補助業務も行っていたことは認 めるが,このうち非政務活動補助業務が本件契約に基づく業務として行われていたことは争う。 Aは,非政務活動補助業務が本件契約上の業務に含まれないことを認識した上で,飽くまで参加人のために無償の業務としてこれを行っていたも 動補助業務が本件契約に基づく業務として行われていたことは争う。 Aは,非政務活動補助業務が本件契約上の業務に含まれないことを認識した上で,飽くまで参加人のために無償の業務としてこれを行っていたものである。このことは,Aが,自身のブログ(日記等を時系列的に公開するウェ ブサイト)で,「勤務に,選挙活動や政党活動は入ってないので,タダバタラ キが始まりました。」,「明日は,月曜日。キホン,9時から12時は,事務所にいます。私は,党員募集とか,政党・政治活動できる立場にない」などと記載していることから明らかである。 また,Aが行った非政務活動補助業務は,本件契約の勤務時間内に行われた業務ではないことからも,本件契約に基づく業務には当たらない。 したがって,参加人が本件政務活動費から支出したAの給与等は,Aが本件契約に基づく業務として政務活動補助業務を行ったことの対価であって,非政務活動補助業務に従事したことの対価ではないから,本件支出は,その全額が本件使途基準に適合した支出である。 第3 当裁判所の判断 1 判断枠組み地方自治法100条14項は,普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務活動費を交付することができ,この場合において,当該政務活動費の交付の対象,額及び交付 の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は,条例で定めなければならない旨規定しているところ,その趣旨は,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究その他の活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化したものであると解される。そうすると,政務活動費を充てる ,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究その他の活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化したものであると解される。そうすると,政務活動費を充てることが許される会派又は議員の 調査研究その他の活動に係る経費に該当するためには,当該行為ないし活動が,議員としての議会活動に当たること又はその客観的な目的や性質に照らし,議会活動の基礎となる政務活動との間に合理的関連性を有することを要するものと解される(最高裁平成22年(行ヒ)第42号同25年1月25日第二小法廷判決・集民243号11頁参照)。 本件条例(乙6)は,地方自治法の上記規定を受けて,京都府議会議員の 調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,議員に対し,政務活動費を交付することに関し必要な事項を定めるものである(1条)。本件条例10条1項は,政務活動費を,議員が行う京都府の政策形成に関わる調査研究,企画,立案等,府政の課題及び府民の意思を把握し,府政に反映させる活動その他の府民福祉の増進を図るために必要な活動(すなわち政務 活動)に要する経費に充てることができるとし,具体的には,本件条例別表第2で定める政務活動に要する経費に充てることができる旨規定する(本件使途基準)。また,本件条例13条は,知事は,議員がその年度において交付を受けた政務活動費の総額から本件使途基準に定める経費の範囲に従って支出した総額を控除して残余がある場合,当該残余の額に相当する額の政務活 動費の返還を当該議員に命ずることができる旨規定する。 京都府議会事務局は,平成25年3月,上記本件条例の規定を踏まえ,政務活動費の適正な執行に資するため,本件使途基準の解釈説明等をまとめたマニュアルを作成したところ,平成27 とができる旨規定する。 京都府議会事務局は,平成25年3月,上記本件条例の規定を踏まえ,政務活動費の適正な執行に資するため,本件使途基準の解釈説明等をまとめたマニュアルを作成したところ,平成27年7月に改正された本件マニュアルは(甲4),本件使途基準における解釈の指針を示すものとして参考となるも のである。 以上のように,政務活動費が使途を限定して交付される公金であり,残余があれば返還を命ずることができるとされていることからすれば,政務活動費を充てることが許される議員の調査研究その他の活動に係る経費に該当するためには,当該行為ないし活動に基づく支出が本件条例(本件使途基準) に則したものであることを要するものと解され,本件条例に基づき政務活動費の交付を受けた議員が,当該年度において交付を受けた政務活動費を本件条例(本件使途基準)の定めに違反する支出に充てた場合には,当該支出は,議員としての議会活動を離れ,議会活動の基礎となる政務活動との間に合理的関連性が認められない活動に関する経費に充てられた違法なものとなり, 当該議員は,これらの支出に充てられた部分に相当する額を京都府に対して 不当利得として返還すべき義務を負うものというべきである。 以下,上記基準に従って,検討する。 2 争点(本件支出が違法か-Aが本件契約に基づく業務として非政務活動補助業務に従事したか)について認定事実 前記前提事実並びに証拠(後掲各証拠のほか,甲21,証人A。)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 ア本件契約の締結Aは,平成27年頃から,参加人が京都府議会議員選挙に立候補した際にその手伝い(ボランティア)をしたり,同年4月に参加人が同選挙 に当選した後には参加人の事務員を務めたりす 本件契約の締結Aは,平成27年頃から,参加人が京都府議会議員選挙に立候補した際にその手伝い(ボランティア)をしたり,同年4月に参加人が同選挙 に当選した後には参加人の事務員を務めたりするなどしていた。 Aは,平成28年4月1日,京都府議会議員である参加人との間で,以下の内容の雇用契約(本件契約)を締結した(甲5)。 雇用期間平成28年4月1日から平成29年3月31日まで業務内容政務活動に係る補助及び関係書類の作成 就業時間週3日(日,月,木,金のうち3日間),9時から18時又は12時から21時(休憩1時間)給与(賃金) 16万円(翌月20日に前月分の支払)イ Aの勤務実態参加人の政務活動を補助する事務員はAのみであり,参加人の事務所は Aが就業する1か所のみであった。Aは,本件契約によって定められた就業時間や業務内容にかかわらず,参加人から指示を受けて,参加人の活動を補助する業務に従事することがあり,その中には,以下のとおり,非政務活動補助業務も含まれていた。以下は,いずれも,Aが,参加人の指示を受けて行った業務である。 平成28年4月18日午後9時51分頃 参加人の所属政党の代表に対する「進退伺い」と題する書面の作成(政党活動)(甲7の1~甲7の3)。 同年5月12日参加人の所属政党が企画する集会の宣伝用チラシの作成(政党活動)(甲8の1,甲8の2)。 同年6月13日頃参加人の所属政党が推薦する立候補者の選挙の支援のため,所属政党の事務局に対してチラシの発送予定数を伝えた上,チラシを発送する業務(選挙活動)(甲9の1~甲9の3)。 同月23日午後4時頃,同年11月24日午後5時頃及び平成29年 3月30日午前1時頃参加人 してチラシの発送予定数を伝えた上,チラシを発送する業務(選挙活動)(甲9の1~甲9の3)。 同月23日午後4時頃,同年11月24日午後5時頃及び平成29年 3月30日午前1時頃参加人の後援会に係る会計業務等(後援会活動)。雇用期間を通じて,参加人と連絡を取り,継続的に会計処理等の後援会活動を行った(甲10の1~甲10の5,甲15の1,甲15の2,甲20の1~甲20の5)。 平成28年6月23日ないし同月26日参加人の選挙はがきの宛名を入力し,印刷する業務(選挙活動)(甲10の1,甲10の4~甲10の10)。 同年7月24日参加人の所属政党の会議資料の印刷(政党活動)(甲11の1,甲11 の2)。 同年8月26日参加人の所属政党が企画した納涼会への参加(政党活動)(甲12の1~甲12の3)。 同年9月12日 参加人の所属政党の党勢拡大のため支部長からの質問に対する回答 の作成(政党活動)(甲13の1~甲13の3)。 同年10月17日午後1時55分頃参加人が所属政党に送付する選挙区の状況に係る書面の作成(政党活動)(甲14の1~甲14の4)。 同年12月頃 参加人の所属政党に対する議員分担金の支払(甲16の1~甲16の3)。 平成29年2月9日参加人の所属政党のイベントについて担当者との連絡調整(政党活動)(甲17の1~甲17の4)。 同年3月9日及び同月14日参加人の所属政党が主催するイベントについてインターン生に対する参加の呼びかけ(政党活動)(甲19の1~甲19の5)。 ウ参加人の人件費の支出参加人は,本件契約に基づきAに対して支払った給与等192万825 8円の全額を,人件費として本件政務活動費から支出した 党活動)(甲19の1~甲19の5)。 ウ参加人の人件費の支出参加人は,本件契約に基づきAに対して支払った給与等192万825 8円の全額を,人件費として本件政務活動費から支出した(本件支出。甲)。 エ参加人は,本件契約の雇用期間中,Aに対し,本件契約に基づく給与等のほかに,別途残業代や報酬を支払ったことはない。 判断 ア,Aは,本件契約に基づく雇用期間である平成28年4月から平成29年3月までの間,政務活動補助業務に加え,参加人の指示を受けて,政党活動,選挙活動等の非政務活動補助業務に日常的に従事していたところ,本件契約に基づいて支払われた給与等以外には,これらの非政務活動補助業務に係る報酬等は支払われていなかったと いうのであるから,Aが雇用主である参加人の指示を受けて行った上記非 政務活動補助業務は,本件契約に基づく業務であり,また,参加人がAに対して支払った給与等は,上記非政務活動補助業務に対する対価を含むものであったと認めるのが相当である。 イこれに対し,被告は,Aが本件契約とは無関係に無償で非政務活動補助業務を行ったにすぎないなどと主張し,その根拠として,① Aと参加人 が男女関係にあったこと,② A自身,政務活動と非政務活動との区別や非政務活動について政務活動費を充てることができないことを理解した上で,非政務活動補助業務は無償であるとの認識を窺わせる発言をしていたことを挙げる。 しかしながら,上記①に関し,仮に,Aと参加人が男女関係にあったと しても,そのことのみから直ちに,Aが参加人のために無償で非政務活動業務を行ったものであるなどとはいえない。 に認定したとおり,Aは,かつて参加人の京都府議会議員選挙の手伝いを無償(ボランティア)で行っ ,そのことのみから直ちに,Aが参加人のために無償で非政務活動業務を行ったものであるなどとはいえない。 に認定したとおり,Aは,かつて参加人の京都府議会議員選挙の手伝いを無償(ボランティア)で行っていたところ,参加人が選挙に当選したことを機に,平成27年4月頃に参加人との間で雇用契約を締結し,それ以降は,同雇用契約及び本 件契約に基づいて業務を行い,その報酬を受領していたのであるから(認定事実ア),少なくとも本件契約締結以降,男女関係の有無にかかわらず,Aは,参加人の活動を補助する業務を無償(ボランティア)で行う意図を有していなかったと考えるのが自然である。 また,上記②に関し,Aにおいて,政務活動と非政務活動の区別を理解 しており,本来,非政務活動業務に政務活動費を充てることができないことを認識していた事実は認められるけれども(甲10の5,甲20の2,A証人),他方,Aが非政務活動補助業務を無償で行う旨を参加人に申し出たというような事実はなく,参加人が同業務を無償で行うようAに依頼したというような事実もないのであるから,Aと参加人との間で,本件契約 とは別に,Aが非政務活動補助業務を参加人のために無償で行う旨の合意 があったとは認められない。かえって,Aが参加人の活動を補助するために雇用された唯一の事務員であり,参加人による業務指示は,政務活動補助業務と非政務活動補助業務とを厳密に区別することなくされていたこと(A証人)などに照らせば,Aは,参加人からの業務指示の中に非政務活動補助業務が含まれることを認識していたものの,雇用主である参加人 の指示に逆らうことができず,本来は本件契約に基づく業務内容に含まれないはずの非政務活動補助業務に従事せざるを得なかったものと認めるのが相当である。 なお,Aは, ものの,雇用主である参加人 の指示に逆らうことができず,本来は本件契約に基づく業務内容に含まれないはずの非政務活動補助業務に従事せざるを得なかったものと認めるのが相当である。 なお,Aは,自身のブログで「勤務に,選挙活動や政党活動は入ってないので,タダバタラキが始まりました。」などと記載しているが(乙9), これは,本来は本件契約の業務内容に含まれないはずの非政務活動補助業務を指示され,残業代や別途報酬が支払われないにもかかわらず,勤務時間外に不本意ながら同業務を行わざるを得ないことの不満を吐露したものにすぎず,同記載をもって,Aが非政務活動補助業務を本件契約とは無関係の無償の業務として行うことを了解していたなどということはでき ない。 したがって,被告の上記主張は,いずれも採用できない。 ウ以上によれば,参加人が議員として行う活動を補助するために雇用したAが行った業務の中には,政務活動補助業務のほか,議員としての活動との間に合理的関連性が認められない非政務活動補助業務が含まれていたと 認められるところ,参加人による業務指示は,政務活動補助業務と非政務活動補助業務とを厳密に区別することなくされており,Aが行った業務のうち,政務活動補助業務に従事した割合を明らかにすることはできない。 ところで,本件使途基準における解釈の指針を示す本件マニュアルは,議員が行う活動を補助するために雇用する職員が行った業務のうち,政務 活動補助業務に従事した割合が明らかでない場合,人件費として政務活動 費を充てることができるのは,実際に支出した経費の2分の1に限られる旨定めている(甲4〈23頁〉)。このような定めは,一般に,議員としての活動が多岐にわたり,政務活動と選挙活動,後援会活動等の非政務活動が明確に区別 きるのは,実際に支出した経費の2分の1に限られる旨定めている(甲4〈23頁〉)。このような定めは,一般に,議員としての活動が多岐にわたり,政務活動と選挙活動,後援会活動等の非政務活動が明確に区別されることなく行われる場面も想定されるなどの議員の活動実態に照らすと,合理性があるものと解される。 したがって,参加人が本件政務活動費から支出した人件費(本件支出)のうち2分の1の割合を超える部分は,本件使途基準に適合しない違法な支出であったというべきである。 3 まとめ以上によれば,参加人は,本件支出のうち2分の1に相当する96万412 9円について,本件条例の定めに違反し,議員としての活動との合理的関連性を有しないものとして,京都府に対し不当利得返還義務を負う。 よって,原告の被告に対する請求は,理由がある。 第4 結語以上の次第で,原告の請求は理由があるから,これを認容することとして,主 文のとおり判決する。 京都地方裁判所第3民事部 裁判長裁判官増森珠美 裁判官佐藤彩香 裁判官牛島 賢
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