平成25年7月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成23年(ワ)第18317号商標権侵害差止等請求事件口頭弁論の終結の日平成25年5月14日判決東京都荒川区<以下略>(商標登録原簿上の住所東京都足立区<以下略>)原告 A同訴訟代理人弁護士弓削田 博同訴訟復代理人弁護士森田雄貴福島県いわき市<以下略>(商標登録原簿上の本店所在地東京都足立区<以下略>)被告レイシオフィンインターナショナル株式会社同訴訟代理人弁護士渡辺法華 主文 1 被告は,原告に対し,別紙商標目録記載の商標権について,別紙登録目録記載の登録の抹消登録手続をせよ。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを2分し,それぞれを各自の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 主文第1項と同旨 2 被告は,別紙被告標章目録記載1及び2の各標章を別紙被告商品目録記載1ないし3の各商品に付してはならない。 3 被告は,別紙被告標章目録記載1及び2の各標章を付した別紙被告商品目録記載1ないし3の各商品を譲渡してはならない。 4 被告は,別紙被告標章目録記載1ないし6の各標章を別紙被告商品目録記載1ないし3の商品に関するパンフレット,ウェブサイトその他広告宣伝物に使用してはならない。 5 被告は,別紙被告標章目録記載1及び2の各標章を付した別紙被告商品目録記載1ないし3の各商品及び別紙被告標章目録記載1ないし6の各標章を付した別紙被告商品目録記載1ないし3の商品に関するパンフレットを廃棄せよ 被告標章目録記載1及び2の各標章を付した別紙被告商品目録記載1ないし3の各商品及び別紙被告標章目録記載1ないし6の各標章を付した別紙被告商品目録記載1ないし3の商品に関するパンフレットを廃棄せよ。 6 被告は,原告に対し,500万円及びこれに対する平成24年6月12日付訴えの変更申立書送達の日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,別紙商標目録記載の商標権を有するとして,被告に対し,別紙登録目録記載の登録の抹消登録手続,被告による別紙被告標章目録記載1ないし6の標章(以下「被告標章」という。)の使用の差止め及び被告標章を付した商品等の廃棄並びに本件商標権侵害による損害賠償として損害金500万円及びこれに対する平成24年6月12日付訴えの変更申立書送達の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提となる事実(当事者間に争いのない事実)(1) 原告は,被告代表者,Bらとともに,「ratiofin」のブランド名を使用したサーフボード用フィン等の製造販売を目的とする事業(以下「本件事業」という。)をしていた。 (2) 原告は,平成20年1月11日,別紙商標目録記載の商標権(以下「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)の設定登録を受けた。 (3) 原告は,平成20年10月ころ,被告代表者らに対し,本件事業を譲渡した。 (4) 被告代表者らは,平成21年2月25日に被告を設立し,これに伴い,被告に対し,本件事業を譲渡した。 (5) 被告は,平成21年2月25日から,本件商標の使用として,その製造する別紙被告商品目録記載1ないし3の各商品(以下「被告商品」という。)に別紙被告標章目録記載1及び2の各標章 を譲渡した。 (5) 被告は,平成21年2月25日から,本件商標の使用として,その製造する別紙被告商品目録記載1ないし3の各商品(以下「被告商品」という。)に別紙被告標章目録記載1及び2の各標章を付して販売し,また,被告商品に関するパンフレット,ウェブサイトなどの広告宣伝物に被告標章を付してきた。 (6) 被告は,平成21年9月3日,本件商標権について,別紙登録目録記載の登録(以下「本件移転登録」という。)を経由した。 2 争点及びこれについての当事者の主張争点は,①原告が本件商標権を喪失したか,②被告が本件商標権を侵害し,又は侵害するおそれがあるか,③被告が本件商標権を侵害したか,④被告の侵害により原告が受けた損害の額である。 (1) 争点①(原告が本件商標権を喪失したか)についてア被告本件事業の遂行には本件商標の使用が不可欠であるから,本件事業の譲渡の対象に本件商標権が当然に含まれる。そうであるから,本件商標権は,原告から被告代表者らに譲渡され,被告代表者らから被告に譲渡された。 Cは,平成21年8月ころ,原告から本件商標権の移転登録手続をすることについて承諾を受け,これに基づき,本件移転登録がされた。 イ原告本件事業の譲渡の対象に本件商標権は含まれないし,原告がCに対し本件商標権の移転登録手続をすることを承諾したことはない。 (2) 争点②(被告が本件商標権を侵害し,又は侵害するおそれがあるか)についてア原告 被告は,平成23年3月11日に発生した東日本大震災以降も,被告商品に被告標章を付してこれを販売しているから,本件商標権を侵害し,又は侵害するおそれがある。 イ被告被告は,東日本大震災により本件事業が行えない状態に陥り,平成24年6 告商品に被告標章を付してこれを販売しているから,本件商標権を侵害し,又は侵害するおそれがある。 イ被告被告は,東日本大震災により本件事業が行えない状態に陥り,平成24年6月30日をもって休業したから,被告が本件商標権を侵害し,又は侵害するおそれはない。 (3) 争点③(被告が本件商標権を侵害したか)についてア原告被告は,平成21年2月25日から本件商標を使用して本件事業をし,これにより本件商標権を侵害した。 仮に原告が本件商標を使用することを許諾したものであるとしても,商標権は汚染的使用により簡単に価値を損ねる権利であって,商標権者が信用することのできない者に登録商標の使用を許諾することはないところ,被告は無断で本件移転登録をして,原告との間の信頼関係を破壊したのであるから,被告が本件商標の使用の許諾があると主張することは信義則に反し許されない。 イ被告原告は,被告代表者らに対し,本件事業を譲渡した際に,本件事業に本件商標を使用することを許諾した。 (4) 争点④(被告の侵害により原告が受けた損害の額)についてア原告被告は,サーフボード用フィンを1年間3674セット製造し,直販では9800円で734.8セット,卸売りでは5880円で2939.2セット販売していたのであって,平成21年2月から平成24年5月末までの3年4か月間の売上げは合計8161万0960円(円未満切捨て) になるところ,原告がサーフボード用フィンに関して本件商標の使用に対し受けるべき使用料相当額は,売上げに5%の割合を乗じた額である408万0548円になる。 被告商品には,サーフボード用フィンのほか,サーフボード用フィンバッグやサーフボード用シールがあるから,これ 受けるべき使用料相当額は,売上げに5%の割合を乗じた額である408万0548円になる。 被告商品には,サーフボード用フィンのほか,サーフボード用フィンバッグやサーフボード用シールがあるから,これらに関して本件商標の使用に対し受けるべき使用料相当額を合わせれば,原告が被告商品に関して本件商標の使用に対し受けるべき使用料相当額は500万円を下らない。 イ被告原告の主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点①(原告が本件商標権を喪失したか)について原告が被告代表者らに対して本件商標権を譲渡したことを認めるに足りる証拠はない。 確かに,本件事業は,「ratiofin」のブランド名を使用したサーフボード用フィン等の製造販売を目的とするものであり,本件事業を遂行するためには本件商標の使用が不可欠であるが,そうであるからといって,本件商標権を保有していなければ本件事業を遂行することができないというわけではないから,本件商標権が当然に本件事業資産を構成することにはならない。そして,証拠(原告,被告代表者)によれば,原告から被告代表者らに対して本件事業を譲渡するに当たり,本件商標権の譲渡について当事者間で特段の話合いが持たれた形跡がないことが認められる。そうであるから,本件事業を遂行するために本件商標の使用が不可欠であることをもって,原告が被告代表者らに対して本件商標権を譲渡したということはできない。 したがって,原告が本件商標権を喪失したとは認められないから,原告の抹消登録手続請求は理由がある。 2 争点②(被告が本件商標権を侵害し,又は侵害するおそれがあるか)につい て証拠(乙10の1,2,被告代表者)によれば,被告代表者は,平成24年5月,株式会社トランスワールドオーシャンを設立してその代表取 商標権を侵害し,又は侵害するおそれがあるか)につい て証拠(乙10の1,2,被告代表者)によれば,被告代表者は,平成24年5月,株式会社トランスワールドオーシャンを設立してその代表取締役に就任し,新たに「PROSFIN」のブランドを使用した事業を始めるとともに,平成24年6月末をもって,被告を休業させて「ratiofin」のブランド名を使用したサーフボード用フィンの製造等を終了し,その修理やメンテナンスも同年12月末までとしたことが認められる。 上記認定の事実によれば,被告は,現在本件商標を使用していないし,将来本件商標を使用することがあるということもできない。 したがって,原告の被告標章の使用の差止め及び被告標章を付した被告商品等の廃棄の請求は理由がない。 3 争点③(被告が本件商標権を侵害したか)について本件事業は,「ratiofin」のブランド名を使用したサーフボード用フィン等の製造販売を目的とするものであり,本件事業を遂行するためには本件商標の使用が不可欠であるから,原告は,被告代表者らに本件事業を譲渡するに当たり,本件事業において本件商標を使用することを許諾したということができる。そして,証拠(乙6,原告,被告代表者)によれば,原告は被告代表者らに本件事業を譲渡した時に,被告代表者らが会社を設立して本件事業を行う予定であったことを認識していたことが認められる。 そうすると,原告は,被告代表者らに本件事業を譲渡するに当たり,被告代表者らのほか,被告代表者らが本件事業を行うために設立することを予定していた会社に対しても,本件事業において本件商標を使用することを許諾し,被告はこれに基づき本件商標の使用として被告標章を使用したと認められるから,被告が本件商標権を侵害したということはできない。 なお, 対しても,本件事業において本件商標を使用することを許諾し,被告はこれに基づき本件商標の使用として被告標章を使用したと認められるから,被告が本件商標権を侵害したということはできない。 なお,原告は,商標権は汚染的使用により簡単に価値を損ねる権利であることを理由に,被告が無断で本件移転登録をして,原告との間の信頼関係を破壊 したから,被告が本件商標の使用の許諾があると主張することは信義則に反し許されないと主張する。しかしながら,本件移転登録によって,本件商標権の移転の効力が生じるわけではないし,本件移転登録の前後で被告標章の使用の態様が変化したことを認めるに足りる証拠はなく,本件移転登録後における被告標章の使用が本件商標の価値を損ねるようなものであることは格別窺えない。そうであるから,原告の主張する上記事実をもって,被告が本件商標の使用の許諾があると主張することが信義則に反するということはできない。 したがって,原告の損害賠償の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 4 結論以上のとおりであるから,原告の請求は,本件移転登録の抹消登録手続を求める限度で理由がある。 よって,上記の限度で原告の請求を認容し,その余は失当としてこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官高野輝久 裁判官三井大有 裁判官藤田 壮 別紙商標目録 商標登録番号第5104169号出願年月日平成19年5月18日出願番号商 別紙商標目録 商標登録番号第5104169号出願年月日平成19年5月18日出願番号商願2007-49834登録年月日平成20年1月11日商品及び役務の区分並びに指定商品第25類被服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴第28類サーフボード,サーフボード用バッグ,サーフボード用附属品,サーフボード用デッキ,サーフボード用リーシュコード,サーフボード用プロテクター,サーフボード用流れ止め,サーフボード用ワックス登録商標(標準文字) ratiofin 別紙登録目録 甲区順位番号2番【特定承継による本権の移転】受付年月日平成21年9月3日受付番号 015442登録名義人レイシオフィンインターナショナル株式会社 別紙被告標章目録 3 ratiofin 4 ratio 5 レイシオフィン 6 レイシオ 別紙被告商品目録 1 サーフボード用フィン 2 サーフボード用フィンバッグ 3 サーフボード用シール
▼ クリックして全文を表示