平成19(行ウ)653 特許出願審査請求手続却下処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年11月21日 東京地方裁判所
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平成19年11月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成19年()第653号特許出願審査請求手続却下処分取消等請求事件行ウ判決東京都江東区<以下略>原告A東京都千代田区<以下略>被告国主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求特許庁長官が,平成11年特許願第153547号に関し,平成18年6月22日付け提出の出願審査請求書に係る手続について平成19年4月5日付けで行った手続却下の処分及び平成18年6月22日付け提出の出願人名義変更届に係る手続について平成19年4月5日付けで行った手続却下の処分を,いずれも取り消す。 第2原告の主張 本件各手続却下処分の違法性⑴平成11年6月1日,特許庁長官に対し,出願番号を平成11年特許願第153547号とする特許出願がされた(以下「本件特許出願」という。)。 ⑵平成11年6月23日,本件特許出願について,手続の補正が行われた。 ⑶原告は,平成18年6月22日,特許庁長官に対し,本件特許出願について,同日付けの出願審査請求書(以下「本件出願審査請求書」という。)及び出願人名義変更届(以下「本件名義変更届」という。)を提出し,出願審 査の請求及び出願人名義変更の届出を行った。 ⑷特許庁長官は,平成19年4月5日,原告に対し,本件出願審査請求書及び本件名義変更届に係る手続について,それぞれ,手続却下の処分を行い(以下,まとめて「本件各処分」という。),それらは,同月17日に発送された。 ⑸原告は,本件出願審査請求書の提出前,弁理士から,特許出願に係る出願審査の請求期間について,7年間である旨を聞かされていたものの,起算日については,特許出願提出日と手続補正書提出日のいずれであるかの説明は受けなか 審査請求書の提出前,弁理士から,特許出願に係る出願審査の請求期間について,7年間である旨を聞かされていたものの,起算日については,特許出願提出日と手続補正書提出日のいずれであるかの説明は受けなかった。また,出願時の書式には,出願審査の請求期間が明記されていない。 手続補正がされた場合,その時点で特許出願が修正されるのであるから,出願審査の請求期間は,最終の補正手続書提出日より起算するのが合理的であり,そうでないのであれば,そのことが明確になるように,国民に広く告知されるべきである。 したがって,本件各処分には,取り消されるべき事由がある。 行政事件訴訟法8条2項に該当する事由本件について,行政事件訴訟法8条2項に該当する事由,すなわち,本件各処分に対し,異議申立てに対する決定を経ずに,訴えを提起することができる事由は,以下のとおりである。 すなわち,原告の母は,平成17年10月より老人介護保険施設に入所しており,肺炎を繰り返し患い,長期にわたって飲食の制限を受けて衰弱し,そのために退所の勧告を受けていたところ,原告は,本件各処分を受けた平成19年4月ころ,母を自宅で療養させるか,看護付医療療養施設に入所させるかの選択を迫られていた。そして,自宅で療養させることを決定し,医師への相談,検査,介護会社の手配,金策,自宅の清掃,衣類の整理等の準備をせざるを得なかった。さらに,母は,当時,生存が危ぶまれる状態にあり,同年9月末こ ろより,ようやく安定し始め,危機を脱してきた状態である。 このようなことから,原告には,本件各処分の通知を受けた日の翌日から起算して60日以内に異議申立てを行う体力,気力はなかったものであり,異議申立てに対する決定を経ずに,本件各処分についての訴えを提起することができる事由がある。 第3当裁判所の判断 本 日から起算して60日以内に異議申立てを行う体力,気力はなかったものであり,異議申立てに対する決定を経ずに,本件各処分についての訴えを提起することができる事由がある。 第3当裁判所の判断 本件各処分に対する不服申立てに関する法令の定め本件各処分は,行政庁である特許庁長官による処分であり,「処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき」(行政不服審査法6条2号)に該当するので,これについて,異議申立てをすることができる(同条柱書本文)。 そして,本件各処分は,特許法18条の2に規定する処分(不適法な手続であって,その補正をすることができないものについての却下)に該当するから,異議申立てに対する決定を経た後でなければ,取消しの訴えを提起することはできない(特許法184条の2)。 ただし,その場合でも,①審査請求(異議申立てを含む。以下同じ。行政事件訴訟法3条3項)があった日から3箇月を経過しても裁決がないとき(同法8条2項1号),②処分,処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき(同項2号),③その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき(同項3号)には,異議申立てに対する決定を経ないで,処分の取消しの訴えを提起することができる(同項柱書)。 本件において,異議申立てに対する決定を経ないで本件各処分の取消しの訴えを提起することができる正当な理由の有無行政事件訴訟法8条2項は,処分の取消しの訴えの訴訟要件の1つとして,訴え提起前に,裁決を経ることを要求する審査請求前置についての例外を規定するものであり,同項1号及び2号が具体的な場合を規定し,同項3号が一般 的な救済を図る条項となっている。 審査請求前置は,処分を行った行政庁自身に処分是正の機会を与えたり 前置についての例外を規定するものであり,同項1号及び2号が具体的な場合を規定し,同項3号が一般 的な救済を図る条項となっている。 審査請求前置は,処分を行った行政庁自身に処分是正の機会を与えたり,行政庁による簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を期待し得る等の趣旨から認められているものであり,他方,その例外は,過度に出訴が制限されることを防ぐために規定されているものであるから,このような,双方の利益を衡量して,例外に該当する場合を検討する必要がある。 そこで,本件について,同項3号の「正当な理由」があるかを検討すると,原告が主張する上記の事情には,同情すべき点があるものの,原告本人又はその代理人において,異議申立ての手続を行うことが全く困難であったと解されるようなやむを得ない事由は認め難く,上記事情をもって,正当な理由があると認めることはできないと言わざるを得ない。 その他,正当な理由をうかがわせる事情の主張もなく,一件記録によっても,これを認めることはできない。 第4 結論 以上の次第で,本件訴えは,特許法184条の2に規定する審査請求前置の訴訟要件を具備しないという点で不適法な訴えであり,その不備を補正することができないから,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法140条により,口頭弁論を経ないで本件訴えを却下することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官清水節 裁判官山田真紀裁判官國分隆文

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