18,355 文字
主文 被告人を懲役三年六月に処する。未決勾留日数中六〇〇日を右刑に算入する。訴訟費用は、別紙のとおり、被告人の負担とする。理由 (本件犯行の背景等)一被告人の経歴等被告人は、滋賀県高島郡で出生し、京都市内の小、中、高校を経て、昭和三二年三月大学を卒業し、昭和三四年にA公団に採用され、昭和六二年九月末には同公団を退職して、関連会社などで勤務し、平成元年八月、同公団が発売するハイウェイカードを同公団から委託を受けて販売することなどを目的とする同公団の関連会社であるB株式会社(以下、「B」ともいう。)に常任参与として入社した。被告人は、平成三年六月のBU支店(以下、「U支店」ともいう。)の開設と同時に支店長に就任し、その後、平成六年六月にBの取締役となり、同年八月一日にU支店がVに移転してBV支店(以下、「V支店」ともいう。)と名称が変わった後も、引き続き、V支店長を勤めていた。二 C株式会社との取引 1 被告人がU支店長をしていた平成三年一〇月ころ、C株式会社(以下、「C」という。)の嘱託社員であり、同社のツーリスト事業部長の肩書を持つ分離前相被告人DがU支店を訪れ、「Cのツーリスト事業部では旅行の取り扱いをしています。Cは、神戸でベルトコンベアベルトなどを製造している一部上場のE株式会社の一〇〇パーセント出資の子会社です。親会社のE本社やその関連会社を含めて取引先の社員にハイウェイカードを販売していきたいんです。」と申出をしてきて、ハイウェイカードの取引について説明を聞きにきた。そこで、被告人はDに対し、ハイウェイカードについて、現金で支払わなくてもよく、割引も付いているので、大変便利なカードであるが、未だ市場性がなく、商品としてあまり売れていないが、販売を拡大しようとU支店ができたのであると、熱心に売り込み、また、取引 現金で支払わなくてもよく、割引も付いているので、大変便利なカードであるが、未だ市場性がなく、商品としてあまり売れていないが、販売を拡大しようとU支店ができたのであると、熱心に売り込み、また、取引代金の支払方法として、現金と引換えでハイウェイカードを支給する前払い方式の契約(以下、「前払い契約」という。 してあまり売れていないが、販売を拡大しようとU支店ができたのであると、熱心に売り込み、また、取引 現金で支払わなくてもよく、割引も付いているので、大変便利なカードであるが、未だ市場性がなく、商品としてあまり売れていないが、販売を拡大しようとU支店ができたのであると、熱心に売り込み、また、取引代金の支払方法として、現金と引換えでハイウェイカードを支給する前払い方式の契約(以下、「前払い契約」という。)と毎月二〇日締めで翌月七日払いの後払い方式の契約(以下、「後払い契約」という。)の二種類がある旨の説明をした。Dは、当時、多額の借金を抱えており、また自ら経営するF株式会社の事業資金もひっ迫していたため、後払い契約の方法によるハイウェイカードの取引によって資金を手に入れ、借金を返済して事業資金も捻出したいと考えた。すなわち、Bから大量のハイウェイカードを後払い契約で仕入れて金券ショップ等に販売して金を作り、これを自らの借金返済や事業資金に充て、その代金は、締め日以降翌月の支払日までの間に新たに仕入れたハイウェイカードを同様の方法で換金して支払うという、いわゆる自転車操業による資金繰りを行うことを計画し、しかも、Bから仕入れたハイウェイカードを仕入れ代金よりも安い金額で金券ショップ等へ販売する心積もりであった。しかし、Dは、CやBには、仕入れたハイウェイカードで自転車操業を行う積もりであることや直接金券ショップ等に安売りする積もりであることを秘したまま、契約締結の交渉が進むよう働きかけ、他方、被告人は、ハイウェイカードの販売拡張のために取引を望んでいたことから、B本社に対し、Cが一部上場企業のE株式会社の一〇〇パーセント出資の子会社であるから支払能力に問題はなく契約を締結したい旨の上申を行い、平成三年一二月一九日、BとCとの間で、ハイウェイカードの販売委託契約が後払い契約の形で締結された。Dは、契約当日に四七〇〇万円分のハイウェイカード 能力に問題はなく契約を締結したい旨の上申を行い、平成三年一二月一九日、BとCとの間で、ハイウェイカードの販売委託契約が後払い契約の形で締結された。Dは、契約当日に四七〇〇万円分のハイウェイカードを仕入れて、直ぐに金券ショップに売り捌き、以後、Dは、概ね、Bから券面額の約九七パーセントで仕入れたハイウェイカードを、金券ショップ等へ券面額の約九五パーセントで売り捌いて行こうとし、取引をすればするほど損失が増大する商売をすることになった。 上申を行い、平成三年一二月一九日、BとCとの間で、ハイウェイカードの販売委託契約が後払い契約の形で締結された。Dは、契約当日に四七〇〇万円分のハイウェイカードを仕入れて、直ぐに金券ショップに売り捌き、以後、Dは、概ね、Bから券面額の約九七パーセントで仕入れたハイウェイカードを、金券ショップ等へ券面額の約九五パーセントで売り捌いて行こうとし、取引をすればするほど損失が増大する商売をすることになった。Dは、このように、自転車操業を行いながらハイウェイカードを仕入れ値以下で販売して、取引をすればするほど損失を増大させ、それを補填するために、さらに取引量を増やして行き、ハイウェイカードの取引量は、券面額で言えば、契約時の平成三年一二月分は四七〇〇万円分で始まったが、一年余り経過した後の平成五年二月分は五億六六〇〇万円分となって五億円を超え、そのまた一年経過した後の平成六年二月分は八億円分を超えるというように、急激に増大して行った。この間、平成五年に入るころから、Dは、BU支店からA公団へのハイウェイカード代金支払日である一〇日ころには間に合うが、後払い契約に定めるU支店への代金支払日の七日には代金の支払が間に合わないという支払遅延を頻繁に起こすようになったが、被告人は、そのことをU支店限りにしてB本社には知らせなかった。平成六年三月中旬、U支店の取引先のGの経営者Hからもたらされた情報により、Cに納品したハイウェイカードが金券ショップに流出していることが判明し、被告人は、Dに調査するよう言ったところ、DはIという男がDの販売先から買い取って金券ショップに流出させたもので、自分は関係ないと報告してきたので、その顛末書を出させたものの、被告人はDの説明を聞いても、顛末書を読んでも、不合理な内容で、信用していい 男がDの販売先から買い取って金券ショップに流出させたもので、自分は関係ないと報告してきたので、その顛末書を出させたものの、被告人はDの説明を聞いても、顛末書を読んでも、不合理な内容で、信用していいものとは思わなかったが、特にそれ以上の調査を行わなかった。U支店の社員のJやKが、Cとの取引量の異常な増加、締め日以降の注文の多さ、支払遅延状況、ハイウェイカードの金券ショップへの流出などから、Dが自転車操業をしているのではないかと疑うようになり、何度かその懸念を被告人に伝えたが、被告人は「私が責任者だからいちいち口を出すな。 告人はDの説明を聞いても、顛末書を読んでも、不合理な内容で、信用していいものとは思わなかったが、特にそれ以上の調査を行わなかった。U支店の社員のJやKが、Cとの取引量の異常な増加、締め日以降の注文の多さ、支払遅延状況、ハイウェイカードの金券ショップへの流出などから、Dが自転車操業をしているのではないかと疑うようになり、何度かその懸念を被告人に伝えたが、被告人は「私が責任者だからいちいち口を出すな。」などと言ってとりあげなかった。2 他方、B本社は、Cに対するU支店の取引額が非常に高額になっていたことから、後払い契約による代金の回収に不安を持つようになり、平成五年夏ころから、L営業部長が、被告人に対し、取引額に応じた銀行保証ないし親会社のE株式会社の支払保証の取得を指示するようになり、また、平成六年二月ころ、L部長は、被告人に対し、Cが銀行保証等を取得できない以上、取引を前払い契約に移行させるか、さもなくば契約を解除する旨指示するようになった。これを受けて、被告人は、平成六年五、六月ころから、Dに対し、「本社から、取引額が五億を超えているので、・・・銀行保証を取るように言われている。」、「銀行保証の差入れが無理なら親会社のEの保証をつけてくれ。そうでないと契約解除か、前払いの現金取引しかできなくなる。」と強く言うようになり、銀行保証や親会社のE株式会社の支払保証を得るように求めたが、保証の件はうまく行かなかった。そこで、被告人はDと相談し、「Cとの取引が膨れていることが問題だ。契約を分割するしかない。」ということになり、Cの取引を分割することになり、Dは、いわばその受け皿とするための会社を探していたところ、知人 被告人はDと相談し、「Cとの取引が膨れていることが問題だ。契約を分割するしかない。」ということになり、Cの取引を分割することになり、Dは、いわばその受け皿とするための会社を探していたところ、知人のMから株式会社N(以下、「N」ともいう。)の話が持ち込まれた。三 Nとの取引 1 被告人は、Cとの取引については、銀行保証も親会社の保証もとれないままに、その取引額が膨れ上がっていたことから、NがCの販売先の一部を引き継いで分割移行してもらいたいと思った。そこで、被告人はDとともにNの事務所に行き、被告人がN専務のOらに対して、「Dさんは、Cで数年ハイウェイカードの業務を責任者としてやっておられ、有数の営業成績を収められ、何のトラブルも起こしたことがない。 。三 Nとの取引 1 被告人は、Cとの取引については、銀行保証も親会社の保証もとれないままに、その取引額が膨れ上がっていたことから、NがCの販売先の一部を引き継いで分割移行してもらいたいと思った。そこで、被告人はDとともにNの事務所に行き、被告人がN専務のOらに対して、「Dさんは、Cで数年ハイウェイカードの業務を責任者としてやっておられ、有数の営業成績を収められ、何のトラブルも起こしたことがない。Cの売上げが徐々にふくらんできて、Bの規定の枠を既にオーバーしているが、Dさんは大手の会社を中心とした顧客を持っておられるので、その顧客をみすみす全く見ず知らずの業者に持っていかれるのは、もったいないので、釜本さんのところでされればいかがですか。」という趣旨のことを言って、ハイウェイカードの取引を勧めた。Dは、Nが会社として後払い契約にしてもらえれば、Cで持っている顧客を分割し、業務は全部責任を持ってする旨説明した。そして、NはBとの取引に応じることになったが、会社の資産規模が小さく、後払い契約をするためには、Bで定められた基準を満たしていなかったので、六か月以内に仕入れ代金相当額の銀行保証を差し出すこと及び仕入れ代金は月三回に分けて支払うことを条件に、平成六年九月一六日、BとNとの間で、後払い契約による販売委託契約が締結された。そして、株式会社Pの代表取締役としてDとNとの間で、覚書が交わされ、ハイウェイカードに関する業務は全面的に株式会社Pが委任を受けてその責任で行い、利益は相互の 契約による販売委託契約が締結された。そして、株式会社Pの代表取締役としてDとNとの間で、覚書が交わされ、ハイウェイカードに関する業務は全面的に株式会社Pが委任を受けてその責任で行い、利益は相互の話し合いとする旨の合意がされた。そして、取引が始まったが、その実態は、DがCの名義を借りて行っていた取引方法を引き継ぐものであって、今度はNの名義を借りて行うものであり、Dが、Bへのハイウェイカードの発注内容を決定して、必要なハイウェイカードの種類と枚数をNに連絡し、NがV支店に正式の発注を行ってハイウェイカードの支給を受け、これをDが受け取って金券ショップ等に売り捌いて換金し、その金をNの銀行口座に入金し、Nは、その中から仕入れ代金をBV支店の銀行口座に振り込んで、自社の手数料を取るとともにDにも販売手数料を支払うというものであった。 名義を借りて行うものであり、Dが、Bへのハイウェイカードの発注内容を決定して、必要なハイウェイカードの種類と枚数をNに連絡し、NがV支店に正式の発注を行ってハイウェイカードの支給を受け、これをDが受け取って金券ショップ等に売り捌いて換金し、その金をNの銀行口座に入金し、Nは、その中から仕入れ代金をBV支店の銀行口座に振り込んで、自社の手数料を取るとともにDにも販売手数料を支払うというものであった。2 BのNに対するハイウェイカード取引は、取引開始当初の平成六年一〇月分の販売額は三億四六九三万七八〇〇円であったが、BとCとの取引が減少するにつれて、Nとの取引が急激に増加して行き、C名義での取引が終了した後の平成七年四月分の販売額は一七億九六〇四万八五一二円に上っており、その後、ほぼ毎月二〇億円を超えていた。そして、Nからは、契約時の条件である銀行保証も差し出されず、月三回の支払が励行されることがないばかりか、翌月七日の支払も支払遅延をし、V支店からA公団への支払日である翌月一〇日の直前になって、Dがハイウェイカードを金券ショップ等に売り捌いて換金した現金をV支店に持ち込んで支払をするというような、綱渡り状態が続いていた。平成七年五月二五日に、V支店の取引先であるGの経営者Hから、V支店に、大量のハイウェイカードが金券ショップに出回っているとの連絡が入り、売りに来た者は、いくらでも用意できる、一〇日に決 いていた。平成七年五月二五日に、V支店の取引先であるGの経営者Hから、V支店に、大量のハイウェイカードが金券ショップに出回っているとの連絡が入り、売りに来た者は、いくらでも用意できる、一〇日に決済があるので、今度七日にまたお願いできないかと話していたというのであり、Q主任が実際に出回っているハイウェイカードのコピーを入手して調査したところ、いずれもNに販売したハイウェイカードで、Nから五つの販売先に販売されたはずの物であることが判明した。Q主任はBから仕入れたハイウェイカードをDらが金券ショップに横流ししていると確信し、自転車操業の危険があると記された報告書を被告人のもとに持参して、被告人がそれなりの対応をしてくれるものと期待したが、被告人は後で見ておくという感じで、報告書をしまい、反応がなかった。そして、被告人は、このことでDを呼び出し、「このような情報が入っているけど本当か。 つの販売先に販売されたはずの物であることが判明した。Q主任はBから仕入れたハイウェイカードをDらが金券ショップに横流ししていると確信し、自転車操業の危険があると記された報告書を被告人のもとに持参して、被告人がそれなりの対応をしてくれるものと期待したが、被告人は後で見ておくという感じで、報告書をしまい、反応がなかった。そして、被告人は、このことでDを呼び出し、「このような情報が入っているけど本当か。契約解除になるぞ。」と言い、Dは調査する旨答えたのみで、その後の報告はなかったが、被告人もそれ以上の追及はしなかった。そして、Dは、平成七年五月分のハイウェイカード仕入れ代金二三億七〇九五万六四〇〇円については、支払日である翌月の六月七日までにBに対して一円の入金もすることができなかった。この時点では、被告人は、「Nが、本当に一流企業に販売しているのであれば、まず、支払いが遅れるはずはなく、しかも、何か特別の事情があったとしても、全ての販売先企業について代金を払えないような特別の事情で入金が遅れるということもないはずでした。ですから、このことだけでも、Nが自転車操業をしていることが明らか」との認識を示さざるを得なくなっており、気が気ではなく、夜も眠っていられない状態であった。さらにBV支店からA公団への送金日である同年六月一二日にも全額を工面することができな していることが明らか」との認識を示さざるを得なくなっており、気が気ではなく、夜も眠っていられない状態であった。さらにBV支店からA公団への送金日である同年六月一二日にも全額を工面することができなくて、四億五〇〇〇万円の未払いが生じ、B本社において、やむなく銀行から借入れをして未払い分をA公団に送金し、後日、これをNから回収したものの、この支払遅延がB本社の知るところとなり、B本社は、Nの支払能力について強い危機感を抱くに至った。また、平成七年六月分の支払についても、七月七日を過ぎても完済されず、七月一〇日のA公団への支払日にも、三億六五八九万九六八一円の支払遅延となり、前月同様、Bが銀行から借り入れた金をA公団への送金に充てる事態となった。ここに至り、Nの代金の支払遅延は深刻な事態になっており、B本社は、L部長が被告人と電話で連絡を取りつつ、直接にNと交渉してハイウェイカード代金の回収を確保する必要を認め、L部長はR営業第一課長を伴い、七月一四日に、大阪のNの事務所に赴き、V支店から被告人、J、N側からO専務、M、Pの代表取締役としてDが出席して、協議が行われて合意が成立した。 行から借り入れた金をA公団への送金に充てる事態となった。ここに至り、Nの代金の支払遅延は深刻な事態になっており、B本社は、L部長が被告人と電話で連絡を取りつつ、直接にNと交渉してハイウェイカード代金の回収を確保する必要を認め、L部長はR営業第一課長を伴い、七月一四日に、大阪のNの事務所に赴き、V支店から被告人、J、N側からO専務、M、Pの代表取締役としてDが出席して、協議が行われて合意が成立した。その合意内容は、B社長の決済を受けたものであり、ハイウェイカードの支給額について、七月及び八月は一八億円を限度とし、九月以降は月額一五億円を限度とするが、支給に当たり七億五〇〇〇万円ずつを上期、下期に分割して支給すること、七月分及び八月分の代金は各月末までに、九月以降の代金は上期支給分の代金は当月末に、下期支給分は翌月七日に全額を支払うこと、右支払が完了しなければ翌月のハイウェイカード販売を行わないことなどを取り決めたものであり、出席者も了承した。L部長は、同日、V支店の支店長室で、この内容について、被告人に説明をし、内容どおり行うことを指示した。さらに、相 のハイウェイカード販売を行わないことなどを取り決めたものであり、出席者も了承した。L部長は、同日、V支店の支店長室で、この内容について、被告人に説明をし、内容どおり行うことを指示した。さらに、相手のN側には言わないが、B本社の「腹づもり」として、V支店に対し、七月及び八月のハイウェイカード代金が各月末までに全額支払われなかった場合でも、翌月七日までは、月末までに支払われた金額を限度としてカードを支給することを許し、その間に月末までに支払われなかった残額を支払わせて、その後、当月支給分の残りを支給するものとされ、このこともL部長から被告人へ説明がされた。(罪となるべき事実)被告人は、A公団委託に係る代金前払い方式の磁気カードであるハイウェイカードの作成及び販売等を業とするB株式会社の取締役兼V支店長として同支店における業務全般を統括していたもの、分離前相被告人Dは、スポーツ用品等の製作及び販売等を業とする株式会社Nから委任を受け、ハイウェイカードの仕入れ、販売等の業務に従事していたものであるが、被告人は分離前相被告人Dと共謀の上、別表記載のとおり、平成七年八月三日ころから同年九月六日ころまでの間、前後一二回にわたり、大阪市中央区本町a丁目b番c号BV支店において、被告人らの利益を図る目的をもって、被告人において、BがNに対しハイウェイカードを代金後払いの約定で販売するに当たり、前記のとおり、取引額が巨額に上り、銀行保証も差し出されず、Nからの代金回収が危ぶまれていたため、その対策をしていたB本社に対して、オンラインシステムにより販売額等を正確に報告するのはもとより、B本社から、同年八月は一八億円を、同年九月は半月間で七億五〇〇〇万円を、それぞれ越えて販売することや、月末までにその月の代金の完済がなかった場合の翌月当初には、その月 ドを代金後払いの約定で販売するに当たり、前記のとおり、取引額が巨額に上り、銀行保証も差し出されず、Nからの代金回収が危ぶまれていたため、その対策をしていたB本社に対して、オンラインシステムにより販売額等を正確に報告するのはもとより、B本社から、同年八月は一八億円を、同年九月は半月間で七億五〇〇〇万円を、それぞれ越えて販売することや、月末までにその月の代金の完済がなかった場合の翌月当初には、その月 正確に報告するのはもとより、B本社から、同年八月は一八億円を、同年九月は半月間で七億五〇〇〇万円を、それぞれ越えて販売することや、月末までにその月の代金の完済がなかった場合の翌月当初には、その月末までに入金された金額を超えて販売することなどを禁止する旨の指示を受けていたのであるから、販売額等を正確に報告するとともに、右指示を遵守するなどして代金の回収を確保するための措置を講じ、Bのため忠実にその業務を遂行すべき任務があるのにこれに背き、B本社に対しオンラインシステムにより虚偽の販売額等を報告し、また、右指示に違反し、同年七月分の二三億円余りの販売代金の支払として同月末までの入金額が二億八一五二万五三〇〇円にとどまっていたにもかかわらず右入金額を超え、あるいは各月に販売を許された右各金額を超えて、Nに対し、ハイウェイカード合計一八万六七〇〇枚(券面額合計四九億七九〇〇万円)を代金後払いの約定で合計四八億三九五一万七四〇〇円で販売し、もって、Bに同額相当の損害を加えたものである。(証拠の標目)省略(弁護人の主張に対する判断)弁護人の主張は多岐にわたるが、その主なものについて検討する。一犯意がなかった旨の主張について弁護人は、被告人がNに対する日々のハイウェイカードの販売額等をそのまま正しくオンラインシステムに入力せず、B本社が指示した取引制限額を超えるハイウェイカードを、本社の指示に違反して、Nに販売したのは事実であるが、そうしなければ、Nの代金の支払遅延が発生し、支払遅延が発生すると、BがNとの契約を解除することになり、ハイウェイカード代金が回収できなくなることが予想されたので、それを避けるため、ハイウェイカード代金の回収という、より究極的な任務達成のために、被告人はオンラインシステムへの不正入力を行い、また、本社の ェイカード代金が回収できなくなることが予想されたので、それを避けるため、ハイウェイカード代金の回収という、より究極的な任務達成のために、被告人はオンラインシステムへの不正入力を行い、また、本社の指示に違反する取引を行ったものであって、B本社も、取引を継続しながらハイウェイカード代金を回収していく方針であったのだから、被告人に、①自己の利益を図る目的はなく、②Bに損害を生じさせるという認識もなく、③任務違背をするという認識もないので、犯意がなかった旨主張し、被告人も公判廷において、右主張に沿う供述をしているので検討する。 成のために、被告人はオンラインシステムへの不正入力を行い、また、本社の指示に違反する取引を行ったものであって、B本社も、取引を継続しながらハイウェイカード代金を回収していく方針であったのだから、被告人に、①自己の利益を図る目的はなく、②Bに損害を生じさせるという認識もなく、③任務違背をするという認識もないので、犯意がなかった旨主張し、被告人も公判廷において、右主張に沿う供述をしているので検討する。関係各証拠によれば、次の事実が認められる。被告人はNに販売したハイウェイカードが金券ショップに売り捌かれているとの情報を得ており、後払い契約によるハイウェイカード代金は莫大な額に上り、銀行保証も差し出されておらず、その代金のV支店への支払遅延が繰り返されていることを知悉しており、しかも、平成七年五月分のハイウェイカード代金二三億七〇九五万六四〇〇円については、支払日である翌月の六月七日までにV支店に対して一円の入金もなかったことから、被告人は、Nが、本当に一流企業に販売しているのであれば、まず、支払が遅れるはずはなく、しかも、何か特別の事情があったとしても、全ての販売先企業について代金を払えないような特別の事情で入金が遅れるということもないはずであるから、このことだけでも、Nが自転車操業をしていることが明らかであるとの認識を示さざるを得なくなっていた(被告人の検察官調書・乙一五)。さらにV支店からA公団への送金日である六月一二日にも全額を支払うことができなくて、四億五〇〇〇万円の未払いが生じ、B本社において、やむなく銀行から借入れをして未払い分をA公団に送金したことにより、支払遅延がB本社の知るところとなり、 六月一二日にも全額を支払うことができなくて、四億五〇〇〇万円の未払いが生じ、B本社において、やむなく銀行から借入れをして未払い分をA公団に送金したことにより、支払遅延がB本社の知るところとなり、B本社は、Nの支払能力について強い危機感を抱くに至った。そして、B本社では、被告人を東京に呼び、平成七年五月分の代金が回収されるまでは新たにハイウェイカードを販売しないよう口頭で指示していたが、被告人はその指示に従わず、Nにハイウェイカードを支給し、これに気づいたB本社のS営業課長は、L営業部長と相談して、六月二九日付けの文書で、被告人に対し、Nへのハイウェイカード支給に際しては、当分の間営業課長の承認を得て行うことを指示し、また、七月上旬、B本社のT社長やL部長から、被告人に対し、Nへのハイウェイカード販売額を月額一五億円程度にとどめるよう指示がなされた。 ないよう口頭で指示していたが、被告人はその指示に従わず、Nにハイウェイカードを支給し、これに気づいたB本社のS営業課長は、L営業部長と相談して、六月二九日付けの文書で、被告人に対し、Nへのハイウェイカード支給に際しては、当分の間営業課長の承認を得て行うことを指示し、また、七月上旬、B本社のT社長やL部長から、被告人に対し、Nへのハイウェイカード販売額を月額一五億円程度にとどめるよう指示がなされた。しかし、平成七年六月分の支払についても、七月七日を過ぎても完済されず、七月一〇日のA公団への支払日にも、三億六五八九万九六八一円の支払遅延となり、前月同様、Bが銀行から借り入れた金をA公団への送金に充てる事態となった。ここに至り、B本社は、直接にNと交渉してハイウェイカード代金の回収を確保する必要を認め、Nの事務所において、V支店から被告人、J主任、N側からD、M、O専務、B本社からL部長らが出席して、協議がなされて合意が成立し、L部長は、前判示のとおり、B本社として、Nに対するハイウェイカード支給制限の指示を被告人に出した。被告人は、平成七年七月中にNに支給したハイウェイカードのうち約五億円分について、B本社の指示する一八億円の制限枠を超えていたため、オンラインシステムに入力・計上することができずにいたので、D、Mに対し、「本社に報告できないものが五億円あるんだ。その支払いをしてくれ。」 ついて、B本社の指示する一八億円の制限枠を超えていたため、オンラインシステムに入力・計上することができずにいたので、D、Mに対し、「本社に報告できないものが五億円あるんだ。その支払いをしてくれ。」と請求するとMは、Dに対し、「支店長(被告人のこと)が背任になるぞ。早く代金を回収して支払え。」と何度も言っており、被告人も支払をしてもらえなければ背任になって大変なことになると思っていた。公判廷において、L部長は、実際にハイウェイカードを支給していながら、オンラインシステムに入力しない被告人の行為は、背信行為以外の何ものでもなく、真実をB本社が知っていたら、契約そのものは破棄して、取引を中止していたと思うと供述し、T社長も、被告人がオンラインシステムに入力してきた不正なデータが正しいとの前提のもとにNに対する対処を考えていたのであり、データが正しければ対処の仕方も異なっていた可能性があり、被告人に裏切られたという感を強くしていると供述している。 ら、オンラインシステムに入力しない被告人の行為は、背信行為以外の何ものでもなく、真実をB本社が知っていたら、契約そのものは破棄して、取引を中止していたと思うと供述し、T社長も、被告人がオンラインシステムに入力してきた不正なデータが正しいとの前提のもとにNに対する対処を考えていたのであり、データが正しければ対処の仕方も異なっていた可能性があり、被告人に裏切られたという感を強くしていると供述している。右事実によれば、被告人は、被告人の受けたB本社からの指示が、Nの後払い契約によるハイウェイカード代金が莫大な額に上り、銀行保証もなく、また、代金の支払遅延が繰り返される状況にかんがみて、B本社がNの代金支払能力に危機感を抱き、代金が回収できなくなり、損害が生じるおそれがあることから出されたハイウェイカードの支給制限の指示であることを知悉していること、被告人は本社の指示を受けた際に究極的な任務達成のため指示には従えない旨の意見の表明などはしていないこと、指示に反した取引をB本社に隠すためにオンラインシステムへの不正入力を行っており、B本社に真相を隠すという背信行為を行っていたこと、被告人は、平成七年五月分のハイウェイカード代金が支払日である翌月の六月七日までに一円の入金もなかったことから、自 ステムへの不正入力を行っており、B本社に真相を隠すという背信行為を行っていたこと、被告人は、平成七年五月分のハイウェイカード代金が支払日である翌月の六月七日までに一円の入金もなかったことから、自転車操業をしていることが明らかであるとの認識を示していること、B本社の制限枠を超えた五億円分について自己が背任になる旨の認識を有していたことが認められ、また、Nに対する後払い契約によるハイウェイカードの取引は、被告人の主導のもとV支店が担当していたのであり、巨額の販売代金が回収できなくなることが明るみに出れば、取締役兼V支店長である被告人は背信行為や未回収の責任の追及を受け、その地位を失い、あるいは降格等の身分上の不利益を受けることになりかねない状況にあったものというべきであり、右各事情を総合勘案すれば、被告人はその地位を失うことをおそれ、自己保身を図るために、本件指示違反、不正入力を行って任務に背き、また、指示違反をすることによりBに損害を加えるという認識があったものと認めるのが相当である。被告人がその内心において取引継続により代金回収を図る意図を有して指示に違反したとしても、それは現実的可能性に乏しい単なる期待ないし願望に過ぎないものというべきであって、被告人が、破綻が明らかになるのを先延ばしするために本件行為に及んだことは否定できないというべきである。 指示違反、不正入力を行って任務に背き、また、指示違反をすることによりBに損害を加えるという認識があったものと認めるのが相当である。被告人がその内心において取引継続により代金回収を図る意図を有して指示に違反したとしても、それは現実的可能性に乏しい単なる期待ないし願望に過ぎないものというべきであって、被告人が、破綻が明らかになるのを先延ばしするために本件行為に及んだことは否定できないというべきである。二 Dとの共謀の不存在の主張について弁護人は、被告人はDに騙されてハイウェイカードを販売していたもので、Dがハイウェイカードを金券ショップに売って、その代金を自転車操業で支払っていたことを知らなかったのであるから、Dとの間で特別背任罪について共謀した事実はない旨主張する。しかし、被告人がDの自転車操業を知っていたことは、前記一で認定したとおりであるので、本件の具体的な共謀につい らなかったのであるから、Dとの間で特別背任罪について共謀した事実はない旨主張する。しかし、被告人がDの自転車操業を知っていたことは、前記一で認定したとおりであるので、本件の具体的な共謀について、検討する。関係各証拠によれば、次の事実が認められる。1 被告人は、平成七年七月中に、Nに販売したハイウェイカードのうち約五億円分について、B本社の指示する一八億円の制限枠を超えていたため、オンラインシステムに入力・計上することができずにいたので、Dらに「本社に報告できないものが五億円あるんだ。その支払いをしてくれ。」と言っており、MもDに「支店長(被告人のこと)が背任になるぞ。早く代金を回収して支払え。」と何度も言っていた。七月一八日に六月分の支払遅延分三億六五八九万九六八一円の支払が終わった後、被告人は、七月分のハイウェイカード代金の支払についてDと協議をしていたが、七月下旬になっても、七月分の代金として入金されたのは、請求額二三億円余りに対し、二億八一五二万五三〇〇円であった。七月三〇日に、Dの要請で、被告人は京都ホテルでDと会って七月分の支払について話し合ったが、Dは、「三一日までに代金全額の支払いは無理だ。一三億円のカードを出して欲しい。一三億円のカードを出してくれたら七月分は清算できる。」と言ってきた。しかし、被告人は、月末までにその月の代金の完済がなかった場合の翌月当初には、その月末までに入金された金額を超えて販売することなどを禁止する旨のB本社の指示を受けていたので、一三億円分のハイウェイカードの交付要求に応じられないところ、「この土壇場になって一三億円などという高額のハイウェイカードを出せば、Dは金券ショップにハイウェイカードを転売したこともある男だから、その一三億円のハイウェイカードを金券ショップなどで換金する。 にその月の代金の完済がなかった場合の翌月当初には、その月末までに入金された金額を超えて販売することなどを禁止する旨のB本社の指示を受けていたので、一三億円分のハイウェイカードの交付要求に応じられないところ、「この土壇場になって一三億円などという高額のハイウェイカードを出せば、Dは金券ショップにハイウェイカードを転売したこともある男だから、その一三億円のハイウェイカードを金券ショップなどで換金する。「この土壇場になって一三億円などという高額のハイウェイカードを出せば、Dは金券ショップにハイウェイカードを転売したこともある男だから、その一三億円のハイウェイカードを金券ショップなどで換金する。」と思ったので、このDの交付要求を断ったが、二億一〇〇〇万円分の販売には応じ、この分は七月末日までの入金額に見合う分として、八月一日に販売された。2 しかし、七月分の代金二三億円余り全額をA公団への支払日八月一〇日までに支払わなければならなかったので、八月三日、Dは、V支店に被告人を訪れ、居合わせたMらとともに、V支店の向かいにあるホテルWの喫茶室に場所を移して、ハイウェイカードの支給について、被告人と話し合った。Dは、「代金の支払いは不可能になった。万事休すという形で取引はやめたい」と発言し、Mも、未払い分はDに責任を持たせて払わすが、ここで取引は中止するという話も持ち出したが、被告人は、「それでは困る。」、「どうしても継続して行く。」などと言い、最終的に、B本社の指示によれば、ハイウェイカードを販売することができないのに、販売することを決断し、B本社の制限枠の指示を知悉しているDもこれに応じることになり、その日のうちにV支店で合計一五億九四〇〇万円分のハイカを販売して、Dに手渡し、Dらはそれを金券ショップ関係者に売り捌いて、小切手や現金の支払を受け、それを、Dの取引先から支払があったものとして、V支店の方に支払った。その日のうちにV支店に七月分の代金の一部として九億九七五〇万円のハイウェイカード代金が支払われた。それ以降、八月三日から九月六日までの間に、被告人は、B本社の指示に違反して、判示のとおり、ハイウェイカードを合計四八億三九五一万七四〇〇円でNに販売して、Bに同額相当の損害を与え、最終未収額として約二六億九四六三万円余りの代金 での間に、被告人は、B本社の指示に違反して、判示のとおり、ハイウェイカードを合計四八億三九五一万七四〇〇円でNに販売して、Bに同額相当の損害を与え、最終未収額として約二六億九四六三万円余りの代金が回収できなくなった。 告人は、B本社の指示に違反して、判示のとおり、ハイウェイカードを合計四八億三九五一万七四〇〇円でNに販売して、Bに同額相当の損害を与え、最終未収額として約二六億九四六三万円余りの代金 での間に、被告人は、B本社の指示に違反して、判示のとおり、ハイウェイカードを合計四八億三九五一万七四〇〇円でNに販売して、Bに同額相当の損害を与え、最終未収額として約二六億九四六三万円余りの代金が回収できなくなった。被告人は、B本社にハイウェイカード支給についての指示違反を行っていることが発覚しないように、Q主任に指示して、オンラインシステムに実際の取引をそのまま入力せず、ハイウェイカード支給を入力しなかったり、入力してもその金額を納品額よりも少なくしたり、入金がされた日に、ハイウェイカード支給をしていないのにカード支給した旨の入力をして、現金払いの取引をしたように仮装するなどしていた。以上の事実によれば、平成七年七月三〇日に、被告人は京都ホテルでDと会って七月分の支払について話し合った際、Dが、七月三一日までに代金全額の支払は無理であり、一三億円のハイウェイカードを出してくれたら七月分の代金は支払える旨のことを言ったのに対し、被告人は、一三億円分のハイウェイカードの交付要求を一旦は断ったが、しかし、七月分の代金として二三億円余り全額をA公団への支払日八月一〇日までにV支店に入金しなければならなかったので、八月三日、Dと話し合って、最終的には、七月分の代金支払のためにハイウェイカードを販売することを決断し、その日のうちにV支店で合計一五億九四〇〇万円分のハイウェイカードが支給され、Dはこれらハイウェイカードを売り捌いて金を作り、七月分のハイウェイカード代金の一部として九億九七五〇万円がV支店に支払われことが認められ、右事実によれば、被告人は、Dと共謀の上、Nのハイウェイカード代金支払のために、B本社の指示に違反して、ハイウェイカードを支給することを決断したものと認めるのが相当であり、Dに騙されてハイウェイカードを支給したもので 人は、Dと共謀の上、Nのハイウェイカード代金支払のために、B本社の指示に違反して、ハイウェイカードを支給することを決断したものと認めるのが相当であり、Dに騙されてハイウェイカードを支給したものではないというべきである。(法令の適用)省略(量刑の事情)本件は、Bの取締役兼V支店長であった被告人が、Nからハイウェイカードに関する業務の全面的な委任を受けていたDと共謀して、BがNに対しハイウェイカードを後払い契約で販売するに当たり、ハイウェイカード代金の回収が危ぶまれていたため、本社からハイウェイカードの販売を制限するように指示されていたのに、その指示に違反して、大量のハイウェイカードをNに販売し、その結果、代金回収ができなくなって、Bに対し巨額の損失を与えたという特別背任の事案である。 人が、Nからハイウェイカードに関する業務の全面的な委任を受けていたDと共謀して、BがNに対しハイウェイカードを後払い契約で販売するに当たり、ハイウェイカード代金の回収が危ぶまれていたため、本社からハイウェイカードの販売を制限するように指示されていたのに、その指示に違反して、大量のハイウェイカードをNに販売し、その結果、代金回収ができなくなって、Bに対し巨額の損失を与えたという特別背任の事案である。被告人は、Dが後払い契約の方法によるハイウェイカードの取引に目を付け、Bから大量のハイウェイカードを後払い契約で仕入れて金券ショップ等に販売して金を作り、これを自らの借金返済や事業資金等に充て、その仕入れ代金は、締め日以降翌月の支払日までの間に新たに仕入れたハイウェイカードをさらに金券ショップ等で換金して金を作って支払うという、自転車操業による資金繰りを行い、しかも、Bからのハイウェイカードの仕入れ金額よりも安い金額で金券ショップ等で販売するので、ハイウェイカード取引を行えば行うほど損失は増大し、それを糊塗するために益々取引量を増大して行ったのに、当初はDの自転車操業に気づかず、かえって取引量の増大を業績を上げているものと喜んでいたのであるが、Dが金券ショップ等へ販売しているとの情報、度重なる代金の支払遅延などから、自転車操業に気づくころには、取引量は巨額に上っており、ハイウェイカードの販売を中止することは、代金が回収できなくなり、Bが巨額の損 ョップ等へ販売しているとの情報、度重なる代金の支払遅延などから、自転車操業に気づくころには、取引量は巨額に上っており、ハイウェイカードの販売を中止することは、代金が回収できなくなり、Bが巨額の損失を被ったことが明るみに出ることであって、自己の責任を免れ得ない状況になっていたため、その地位を失うことをおそれて、本件犯行に及んだものである。被告人は、DとはCの取引の時から本件のNの取引まで足かけ五年の付き合いであり、Cの取引の時から、Dは支払遅延を繰り返しており、また、納品したハイウェイカードが金券ショップに流出していることが判明し、さらに部下の社員から取引量の異常な増加、締め日以降の注文の多さ、支払遅延状況、ハイウェイカードの金券ショップへの流出などから、Dがハイウェイカードを金券ショップに売り捌いたり、Dが自転車操業をしているのではないかとの懸念が表明されていたのであるから、Dが自転車操業をしていることは容易に気づいたと思われるのに、部下の表明する懸念に対し、真剣に調査もせずに認めようとしなかったため、自転車操業に気づくのが遅れたのであって、この点の被告人の責任は軽く見ることはできず、しかも、本件は、本社が危機感を持ち、本社からハイウェイカードの販売を制限するように明確に指示され、被告人はその時点では既にDの自転車操業に気づいていたのに、これに違反してハイウェイカードを販売したため、損害額を益々増大させたのであり、また、犯行を隠すため、オンラインシステムへの虚偽入力を部下に指示して行わせており、損害額も最終未収額で約二六億九四六三万円余りもの巨額であること、公判廷において種々の弁解をし、いたずらに他を責めて真摯な反省をしているとは思われないことなどにかんがみると、犯情は良くなく、その刑事責任は重いと言わなければならない。 いたのに、これに違反してハイウェイカードを販売したため、損害額を益々増大させたのであり、また、犯行を隠すため、オンラインシステムへの虚偽入力を部下に指示して行わせており、損害額も最終未収額で約二六億九四六三万円余りもの巨額であること、公判廷において種々の弁解をし、いたずらに他を責めて真摯な反省をしているとは思われないことなどにかんがみると、犯情は良くなく、その刑事責任は重いと言わなければならない。したがっ の巨額であること、公判廷において種々の弁解をし、いたずらに他を責めて真摯な反省をしているとは思われないことなどにかんがみると、犯情は良くなく、その刑事責任は重いと言わなければならない。したがって、被告人は当初はDがハイウェイカードを金券ショップ等に売り捌いて自転車操業をしているのに気づいておらず、気づいたときには巨額の取引量になっており、Dに起因する本件犯行に巻き込まれた面があり、また、本件犯行による金銭的利得を得たことはなく、本件までは真面目に勤め上げており、これまで前科もないことなど、被告人のために酌むべき諸事情を考慮しても、主文掲記の刑に処するを相当と判断する。よって、主文のとおり判決する。平成一三年九月六日東京地方裁判所刑事第一二部裁判長裁判官小倉正三裁判官森本加奈裁判官野澤晃一・別紙訴訟費用負担表省略別表省略
▼ クリックして全文を表示