令和6年7月16日東京地方裁判所刑事第4部宣告令和6年特(わ)第276号、同第480号、同年刑(わ)第875号入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、あっせん収賄被告事件 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 被告人から32万3080円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、千代田区議会議員を務めていたものであるが、第1(令和6年2月14日付け起訴状記載の公訴事実) 1 千代田区が令和2年5月20日に執行予定であった区立A小学校・幼稚園改築空調設備工事の制限付き一般競争入札に関し、⑴ 同区議会事務局長を務めていたB及び同区政策経営部契約課契約係長(当時)として同区が発注する公共工事の入札及び契約等に関する事務を処理する職務に従事していたCと共謀の上、同人において前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務があるのにその職務に反し、被告人が、同年4月3日、東京都千代田区(住所省略)被告人方において、同入札に参加することを予定していたD株式会社の取締役Eに対し、CからBを介して入手していた同入札の最低制限価格を推知させる金額等が記載された最低制限価格算出表を、浜松市(住所省略)前記D株式会社本社東館(当時)にファクシミリ送信して前記最低制限価格を推知させる情報を教示し、⑵ 千代田区議会事務局長を務めていたB及び同区政策経営部契約課長(当時)として同区が発注する公共工事の入札及び契約等に関する事務を指揮監督する 職務に従事していたFと共謀の上、同人において前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務 として同区が発注する公共工事の入札及び契約等に関する事務を指揮監督する 職務に従事していたFと共謀の上、同人において前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務があるのにその職務に反し、被告人が、同月10日、前記被告人方又はその周辺において、同入札に参加していた前記D株式会社のEに対し、FからBを介して入手していた同入札の参加業者数等の情報を記載した電子メールを送信して同参加業者数等の情報を教示し、 2 千代田区が令和2年5月20日に執行予定であった区立A小学校・幼稚園改築給排水衛生設備工事の制限付き一般競争入札に関し、同区議会事務局長を務めていたB及び前記職務に従事していたFと共謀の上、同人において前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務があるのにその職務に反し、被告人が、同年4月17日、東京都内又はその周辺において、同入札に参加していたG株式会社H支店営業部営業課長Iに対し、電話で、FからBを介して入手していた同入札の参加業者数等の情報を教示し、もって入札等に関する秘密を教示することにより、入札等の公正を害すべき行為を行った。 第2(令和6年3月6日付け追起訴状記載の公訴事実)千代田区議会事務局長を務めていたB、同区政策経営部契約課長(当時)として同区が発注する公共工事の入札及び契約等に関する事務を指揮監督する職務に従事していたFらと共謀の上、別表(別表省略)記載のとおり、令和2年6月23日に執行予定であった区立J児童館給排水設備他改修工事の総合評価方式による制限付き一般競争入札ほか2件の入札に関し、Fらにおいて前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務があるのにその職務に反し、被告人が、同月12日頃から同年7月20日頃までの間、3回にわたり、東 争入札ほか2件の入札に関し、Fらにおいて前記職務に従事するものとして適正に入札等に関する職務を行う義務があるのにその職務に反し、被告人が、同月12日頃から同年7月20日頃までの間、3回にわたり、東京都内又はその周辺において、K会の会長として同会員企業間の千代田区発注の管工事案件に関する受注調整等を行っていたD株式会社の取締役Eに対し、FらからBを介して入手していた各入札の参加業者数等の情報を教示し、もって入札等に関する秘密を教示することにより、入札等の公正を害すべき行為を行った。 第3(令和6年3月29日付け追起訴状記載の公訴事実)令和2年3月17日頃から同年4月10日頃までの間、K会の会長であって、D株式会社取締役であったEから、千代田区が同年5月20日に執行予定であった区立A小学校・幼稚園改築空調設備工事及び同給排水衛生設備工事に係る各制限付き一般競争入札に関し、これらの入札への応札を予定していたK会会員事業者のため、順次、秘密事項である最低制限価格及び入札参加業者数等の情報を、これらを知り得る立場にある同区職員から聞き出してもらいたい旨の請託を受け、いずれもその頃、平成30年4月1日から令和2年3月31日まで同区が実施する入札等の契約事務を所掌する同区政策経営部行政管理担当部長であったBを介して、同事務に従事していた同区政策経営部契約課長F及び同区政策経営部契約課契約係長Cに対し、前記各入札の最低制限価格及び入札参加業者数等の情報を教示するよう申し入れて、同人らに職務上不正な行為をさせるようにあっせんし、Eらから前記あっせんをしたことに対する謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら、 1 同年6月26日、Eから、東京都千代田区(住所省略)ホテルL1階レストランMにおいて、現金5万5880円及び商品 記あっせんをしたことに対する謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら、 1 同年6月26日、Eから、東京都千代田区(住所省略)ホテルL1階レストランMにおいて、現金5万5880円及び商品券(金額合計10万円)の供与を受け、 2 同年9月11日頃、K会会員事業者であり、前記給排水衛生設備工事を落札したG株式会社H支店営業部営業課長Iから、同社に支払うべき同区(住所省略)被告人方に設置した洗面台の工事代金合計16万7200円の支払債務の免除を受けて、同金額相当の財産上の利益の供与を受け、もって賄賂を収受した。 (量刑の理由)被告人は、千代田区議会議員という立場を利用して、共犯者らと共謀の上、合計5つの工事の一般競争入札に関する秘密の漏示を主導し、さらに、秘密を漏示した見返りとして賄賂を収受している。被告人が漏示したのは、最低制限価格を 推知させる情報や参加業者数、参加業者名等という入札制度において特に重要性の高い秘密情報であり、本件漏示行為は、入札の公正を害し、入札行政に対する区民の信頼を損なうものである。実際、秘密情報が漏示されたことで、入札の公正を害する結果も生じている。また、本件収賄行為は、2度の機会に合計で約32万円と少なくない額の賄賂を収受したもので、公務員の職務の公正さとこれに対する社会の信頼を損なう悪質な犯行というべきである。 この点、被告人は、地元業者を優遇するという政治的信条に基づいて本件漏示行為を行った旨主張する。しかし、被告人は、漏示行為を行うことで、自身の政治活動に対する支援を受けることも目的としていたといえ、本件漏示行為の見返りを要求して利益を得ていることからしても、本件各犯行は被告人の身勝手かつ利欲的な動機に基づくものと認められ、動機に酌量の余地はない。 以上によれば、被告 も目的としていたといえ、本件漏示行為の見返りを要求して利益を得ていることからしても、本件各犯行は被告人の身勝手かつ利欲的な動機に基づくものと認められ、動機に酌量の余地はない。 以上によれば、被告人の刑事責任を軽視することはできない。 他方、被告人は、議員の職を辞した上で、本件各犯行を認めて謝罪し、本件発覚後、地域行事への参加を拒まれるなどの出来事を通じて反省を深めており、これまで前科前歴もない。また、被告人の内妻や知人も被告人のために出廷している。 そこで、主文の刑に処し、その刑の執行を猶予して社会内で更生する機会を与えるのが相当と判断した。 (求刑:懲役2年6月、主文掲記の追徴)令和6年7月16日東京地方裁判所刑事第4部 裁判長裁判官中村光一 裁判官内山香奈 裁判官平 出 久里子
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