平成23年9月5日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成22年(ワ)第7213号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成23年6月6日判決東京都渋谷区<以下略>原告日本放送協会 同訴訟代理人弁護士手島康子 同梅田康宏 同秀桜子 熊本県山鹿市<以下略>被告A同訴訟代理人弁護士篠倉慎一 主文 1 被告は,原告に対し,1257万2459円及びこれに対する平成21年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを20分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し,1463万8450円及びこれに対する平成21年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 仮執行宣言 第2 事案の概要 本件は,日本国内において地上波テレビジョン放送等を行う放送事業者である原告が,「ジェーネットワークサービス」の名称で,海 の割合による金員を支払え。 2 仮執行宣言第2 事案の概要 本件は,日本国内において地上波テレビジョン放送等を行う放送事業者である原告が,「ジェーネットワークサービス」の名称で,海外居住者向けに,日本国内でテレビ放送された番組を有料でインターネット配信するサービス(以下「本件サービス」という。)を提供する事業を営んでいた被告に対し,被告の提供する本件サービスは,地上波テレビ番組の放送に関して原告が有する著作隣接権(送信可能化権〔平成22年12月法律第65号による改正前の著作権法99条の2。以下,改正前著作権法99条の2という。〕,複製権〔著作権法98条〕)等を侵害するものであると主張して,不法行為責任(民法709条,著作権法114条1項)に基づき,1463万8450円及びこれに対する不法行為日の後である平成21年6月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実以外は,証拠等を末尾に記載する。)(1) 当事者等ア原告は,放送事業者であり,日本国内において地上波テレビジョン放送等を行う特殊法人である(甲4)。 イジェーネットワークサービスインターナショナル非公開株式会社(以下「ジェーネット社」という。)は,被告を代表者とし,本店所在地をタイ王国バンコク市<以下略>とする,インターネット事業等を業とする会社である(甲11,27)。 ジェーネットワークサービス合資会社(以下「ジェーネット合資会社」という。)は,本店所在地をタイ王国バンコク市<以下略>とし,日本における支店所在地を東京都中央区<以下略>とする会社である(甲4,10,11)。 ウ被告は,ジェーネット社の代表者であり,同社を実質的に一人で経 店所在地をタイ王国バンコク市<以下略>とし,日本における支店所在地を東京都中央区<以下略>とする会社である(甲4,10,11)。 ウ被告は,ジェーネット社の代表者であり,同社を実質的に一人で経営している者である(甲11)。 (2) 本件サービスに関する配信システムの開発等 ア被告は,平成18年6月ころ,それまで個人的に使用していた,コンピュータに入力端子から送られてくるテレビ映像をデータ変換し,インターネット回線を経由して送信することにより,離れた場所にあるコンピュータでテレビ番組を視聴することができるシステムを応用して,海外居住者向けのテレビ番組配信サービスを行いたいと考え,コンピュータシステム構築等を業とする会社である株式会社スフィアの代表者であるB(以下「B」という。)及び同社従業員であるC(以下「C」という。)に対し,上記サービスを実現するための配信システム,入金システム,認証システム等の構築を依頼し,同人らは,上記依頼を受けて,上記配信システム等の開発・構築に着手した(甲9)。 イ被告と上記B,Cらは,互いにアイデアを出し合い,試行錯誤を重ねて,上記サービスを実現するためのシステムを構築した。これにより最終的に完成した配信システムの具体的内容は下記のとおりである(甲9,13,16,20,21)。 (ア) テレビ番組のストリーミング配信ケーブルテレビ等の配線から,原告を含む放送事業者らが放送したテレビ番組の映像(音及び影像)を受信し,チューナーを通してサーバ機に入力し,コンピュータが処理できるようデータ変換した上で,マイクロソフト社が提供する「WindowsMedia サービス」との名称のアプリケーションを使用して,利用者に対し,テレビ映像データをストリーミング ピュータが処理できるようデータ変換した上で,マイクロソフト社が提供する「WindowsMedia サービス」との名称のアプリケーションを使用して,利用者に対し,テレビ映像データをストリーミング配信(利用者が,サーバ機からファイルをダウンロードすることなく,リアルタイムで画像及び音を視聴することができる動画配信形式)する(以下,本件サービスにおいて,上記のとおりストリーミング配信に使用されるサーバ機を指して「ストリーミング配信用サーバ機」という。)。 (イ) テレビ番組の動画ファイル形式による記録及び配信 ケーブルテレビ等の配線から,原告を含む放送事業者らが放送したテレビ番組の映像(音及び影像)を受信し,チューナーを通してサーバ機に入力し,動画ファイル形式へとデータ変換を行い,上記動画ファイルデータを記録媒体に記録し(以下,本件サービスにおいて上記の動画ファイル記録のために使用されるサーバ機を指して「録画用サーバ機」という。),録画用サーバ機に記録された動画ファイルデータをウェブサーバ用ソフトウェアがインストールされたサーバ機の記録媒体に複製又は移動させ,利用者からの求めに応じて,利用者が,上記動画ファイルデータをダウンロードすることを可能とする(以下,本件サービスにおいて上記の動画ファイルデータをダウンロード可能な状態に蔵置するため使用されたサーバ機を指して「動画ファイル配信用サーバ機」という。)。 (ウ) 上記(ア)のストリーミング配信システムにより,利用者は,インターネット回線に接続したコンピュータを使用して,上記のとおりストリーミング配信される映像データにアクセスして,原告を含む放送事業者らが放送したテレビ番組を,その放送とほぼ同時に視聴することができ,また,上記(イ)の動画ファイル記録システ して,上記のとおりストリーミング配信される映像データにアクセスして,原告を含む放送事業者らが放送したテレビ番組を,その放送とほぼ同時に視聴することができ,また,上記(イ)の動画ファイル記録システム及び動画ファイル配信システムにより,過去に放送されたテレビ番組のうち,被告が録画用サーバ機に動画ファイルとして記録しているもの(なお,被告は,各テレビ番組の放送日から1か月間,当該テレビ番組の動画ファイルを録画用サーバ機に記録することとしていた。)について,インターネット回線に接続したコンピュータを使用してアクセスし,ダウンロードすることにより,過去分のテレビ番組を視聴することができる。 ウ被告は,前記配信システム構築と並行して,平成18年11月30日,代表者を被告と面識のないタイ現地人としてジェーネット合資会社を設立し,同年12月8日,東京都中央区銀座所在のバーチャルオフィスに同 社の日本支店を登記した(甲8,11)。 エさらに,被告は,千葉県市原市内に,上記ストリーミング配信用サーバ機,録画用サーバ機及び動画ファイル配信用サーバ機として使用するためのサーバ機を複数台設置し,被告本人を契約者として,ケーブルテレビ契約,光ファイバーケーブルによるインターネット回線契約,インターネットサービスプロバイダ契約をそれぞれ締結した(甲6)。 また,株式会社スフィアとの間で,前記配信システム等のメンテナンス契約及びサーバ機の維持管理契約を締結した(甲13,21)。 オ被告は,これらの準備を調えた上で,平成18年12月ころ,前記イの配信システムを利用して,本件サービスの提供を開始した。 カ被告は,その後,大阪府寝屋川市内にも,千葉県市原市内におけると同様にサー 準備を調えた上で,平成18年12月ころ,前記イの配信システムを利用して,本件サービスの提供を開始した。 カ被告は,その後,大阪府寝屋川市内にも,千葉県市原市内におけると同様にサーバ機を複数台設置し,被告本人を契約者として,ケーブルテレビ契約,光ファイバーケーブルによるインターネット回線契約,インターネットサービスプロバイダ契約をそれぞれ締結し,これらのサーバ機,インターネット回線等を,本件サービスの提供に使用するようになった(甲4,6)。 キ被告は,平成19年9月ころ,被告を代表者としてジェーネット社を設立した(甲4,11)。 (3) 被告サイトの開設等ア被告は,本件サービスの提供を前記のとおり開始するに当たり,インターネット上に,「JNetworkService-日本のテレビが世界中どこからでも見れる-」とのタイトルを付したウェブサイト(以下「被告サイト」という。)を開設した(甲25)。 イ被告サイトは,当初は単一のものであったが,平成19年12月ころから,北米,中米及び南米地域に居住している利用者向けの「北・中・南米サイト」と,上記地域以外の日本国外地域に居住している利用者向けの「通 常サイト」の二種類に分けられ(以下,これらを併せて「被告各サイト」という。),上記被告各サイトにおいて,各地域において利用可能なサービスの内容,利用規約,料金等がそれぞれ説明,紹介されるようになった(甲18)。 ウ被告各サイトにおいて説明,紹介されていた本件サービスの具体的内容は下記のとおりである(甲10,14,25)。 (ア) 基本料金を支払うことで,下記(イ)の「基本チャンネル」における各放送番組のうち,「関東地区」若しくは「関西地区」記載のもののどちらか一方又はこれら両方を である(甲10,14,25)。 (ア) 基本料金を支払うことで,下記(イ)の「基本チャンネル」における各放送番組のうち,「関東地区」若しくは「関西地区」記載のもののどちらか一方又はこれら両方を視聴又はダウンロードすることができ,さらに,追加料金(オプション料金)を支払うことで,下記(イ)の「オプションチャンネル」のうち,選択・登録したものを視聴又はダウンロードすることができる。 「基本チャンネル」のうち,関東地区又は関西地区のどちらか一方のみを選択・登録した場合の基本料金は,「北・中・南米サイト」では月額3600円,「通常サイト」では月額5000円であり,関東地区及び関西地区の両方を選択・登録した場合の基本料金は,「北・中・南米サイト」では5000円,「通常サイト」では7000円である。また,オプション料金は,いずれのサイトにおいても,1チャンネルにつき月額1000円である。 (イ) 被告各サイトにおける各チャンネルの内容は下記のとおりである(甲10)。 ①「北・中・南米サイト」基本チャンネル関東地区:日本テレビ,TBSテレビ,フジテレビ,テレビ朝日,テレビ東京関西地区:MBS毎日放送,ABCテレビ,関西テレビ,よみうり テレビ,テレビ大阪オプションチャンネル:NHK総合,NHK教育,NHKBS1,NHKBS2,WOWOW,衛星劇場,アニマックス,サンテレビ,MusiconTV②「通常サイト」基本チャンネル関東地区:NHK総合,NHK教育,日本テレビ,TBSテレビ,フジテレビ,テレビ朝日,テレビ東京関西地区:NHK総合,NHK教育,MBS毎日放送,ABCテレビ,関西 関東地区:NHK総合,NHK教育,日本テレビ,TBSテレビ,フジテレビ,テレビ朝日,テレビ東京関西地区:NHK総合,NHK教育,MBS毎日放送,ABCテレビ,関西テレビ,よみうりテレビ,テレビ大阪オプションチャンネル:NHKBS1,NHKBS2,WOWOW,衛星劇場,アニマックス,サンテレビ,MusiconTV(4) 本件サービスの利用方法ア利用者は,その居住地域に応じて,被告各サイトのどちらかから利用登録を行うことで,本件サービスを利用するための会員ID及びパスワードの割当てを受けることができ,インターネット回線に接続し,「WindowsMediaPlayer」が搭載されたコンピュータを使用し,上記会員ID及びパスワードで本件サービスにログイン(認証)して,利用登録した放送局のテレビ番組につき,前記(2)イ(ア)のとおりストリーミング配信される映像を視聴し,又は,上記(2)イ(イ)のとおり,未放送のテレビ番組のうち,視聴したいものを「録画予約」する旨指定した上で,当該テレビ番組の放送後に,当該テレビ番組の動画ファイルをダウンロードすることができた(甲7)。 イなお,利用者は,上記(4)アの「録画予約」の手続をとらなかった場合でも,被告サイトにおいて,録画不具合報告等の手続をとることで,当該利 用者が利用登録をしたチャンネルの過去1か月分の番組を表示させ,これをダウンロードすることができた(甲16)。 ウ利用者は,前記(4)アの利用登録時に,利用料金の支払に関し,銀行口座への振込み又はクレジットカードでの引き落としのどちらかを選択することができ,銀行口座への振込みを選択した場合には,当月分の利用料を,前月最 記(4)アの利用登録時に,利用料金の支払に関し,銀行口座への振込み又はクレジットカードでの引き落としのどちらかを選択することができ,銀行口座への振込みを選択した場合には,当月分の利用料を,前月最終営業日までに,ゆうちょ銀行,ジャパンネット銀行,イーバンク銀行又はタイの金融機関であるカシコーン銀行に氏名及びIDを明示して振り込むものとされ,クレジットカードでの引き落としを選択した場合には,前月最終営業日の3営業日内に,翌月分の利用料金が自動決済されるようになっていた(甲10,12,14,15)。 (5) 本件サービスの停止株式会社フジテレビは,平成21年4月,著作権法違反(同法119条1項)により本件サービスの提供者を刑事告訴し,同年5月,被告が同法違反の被疑事実により逮捕され,これにより,そのころ,本件サービスの提供は停止された(甲4,弁論の全趣旨)。 本件サービス停止時において,「通常サイト」の登録人数は2773人,「北・中・南米サイト」の登録人数は2125人であった(甲18)。 (6) 本件サービスによる収益等ア被告は,本件サービス利用料の振込先として,前記のとおり,ジェーネット合資会社名義のジャパンネット銀行,イーバンク銀行,ゆうちょ銀行の各口座又はジェーネット社名義のカシコーン銀行口座を指定していた。また,被告は,本件サービス利用料の決済を代行するクレジットカード会社からの入金先として,当初は三井住友銀行のジェーネット合資会社名義口座を指定していたが,その後,入金先指定口座をイーバンク銀行の同名義口座に変更し,さらにその後,もみじ銀行焼山支店の同名義口座に変更した。これらの口座に入金された利用料は,被告が毎月引き出し,被告個人 名義口座に振り込んだ上 指定口座をイーバンク銀行の同名義口座に変更し,さらにその後,もみじ銀行焼山支店の同名義口座に変更した。これらの口座に入金された利用料は,被告が毎月引き出し,被告個人 名義口座に振り込んだ上で,株式会社スフィアへのメンテナンス料等の支払,被告の生活費等に充てていた(甲12,14,15)。 被告が,株式会社スフィアに対し,本件サービスにおける配信システムの構築・維持管理等のため支払った金員の合計額は,約3150万円である(甲22)。 イ被告がサーバ機を設置していた大阪府寝屋川市の物件内から押収されたディスク装置の「売上金管理画面」に表示された各売上金額によれば,平成19年1月から平成21年5月までの通常サイトの売上金額は別紙「利益額計算表」の左側の表の「通常サイト」記載のとおりであり,その合計額は1億9086万4862円である。また,平成19年12月から平成21年5月までの北・中・南米サイトの売上金額は,同表の「北中南米サイト」欄記載のとおりであり,その合計額は1億0259万7785円である(甲18)。 (7) 刑事事件ア被告は,平成21年6月1日,著作権法違反(著作権法21条,23条1項,119条1項)の公訴事実により東京地方裁判所に起訴され(なお,同年7月17日付け追起訴並びに同月1日付け及び同年8月28日付け各訴因及び罰条変更請求により,最終的な罰条は同法21条,23条1項,119条1項,刑法60条となった。),同年10月23日,懲役3年(執行猶予5年)及び罰金500万円の有罪判決を受けた(甲1の1・2,27,30ないし32)。 イジェーネット社は,同年8月31日,著作権法違反(著作権法21条,23条1項,119条1項,124条1項1号,刑法60条)の公 判決を受けた(甲1の1・2,27,30ないし32)。 イジェーネット社は,同年8月31日,著作権法違反(著作権法21条,23条1項,119条1項,124条1項1号,刑法60条)の公訴事実により東京地方裁判所に起訴され,被告の上記アの刑事事件と併合され,同年10月23日,罰金2000万円,ジェーネット社が株式会社もみじ銀行焼山支店口座に対して有する普通預金債権2173万5046円を 没収し,2177万3953円を追徴する旨の有罪判決を受けた(甲27,33) 2 争点(1) 被告による著作隣接権侵害の成否(2) 被告の故意・過失の有無(3) 原告の損害額第3 争点に対する当事者の主張 1 争点(1)(被告による著作隣接権侵害の成否)について(原告の主張)(1) 本件サービスの内容等本件サービスは,サービス提供者が日本のテレビ放送をケーブルテレビ経由で受信した上,そのテレビ放送の影像・音声を圧縮し,①インターネットに接続された自動公衆送信機能を有するサーバ機に入力して,海外に居住する顧客がリアルタイムで日本のテレビ番組を視聴できるようにするとともに,②圧縮したテレビ放送の影像・音声のデータをサーバ機に記録・複製(「録画」)して,顧客がその録画データにアクセスしてダウンロードすることにより,日本のテレビ番組を視聴できるようにするものであり,被告は,本件サービスを実現するため,千葉県市原市内等にテレビ受信装置及びインターネットに接続されたサーバ機を設置・管理し,同地においてケーブルテレビを経由して原告の行う放送及び他社のテレビ放送を受信して,そのテレビ放送の影像・音声の圧縮,その圧縮データの自動公衆送信機能を有するサーバ機への入力及び記録を行っていた。 本件サービ ビを経由して原告の行う放送及び他社のテレビ放送を受信して,そのテレビ放送の影像・音声の圧縮,その圧縮データの自動公衆送信機能を有するサーバ機への入力及び記録を行っていた。 本件サービスにおいて,利用者は,自分で録画機器やテレビ受信装置を購入したり,レンタルを受けたりする必要はなく,インターネットに接続されたパソコンを用意するのみであり,放送番組を受信・録画,送信するための機器類等は,すべて被告側において用意し管理されていた。 また,送信側の機器と受信側の機器とは1対1の関係にはなく,送信側のサーバ機から多数の顧客に向けて,1対多の送信を行うものであり,利用者が送信側の機器を操作するものでもなかった。 (2) 本件サービスの上記内容にかんがみると,本件サービスにおける放送の公衆送信可能化行為及び複製行為の主体がサービス事業者側であることは明らかである。 (3) 原告は,本件サービスで配信等されていた放送番組について,複製,公衆送信すること,原告の行う放送について,本件サービスにより複製又は送信可能化することを許諾していないのであるから,本件サービスが,原告が著作権を有する本件サービスに係る放送番組の著作権(著作権法21条,23条1項),その放送について有する著作隣接権(同法98条,改正前著作権法99条の2)を侵害するものであることは明らかである。 (4) 本件サービスは,被告の発案により被告主導で行われたものであるから,上記(3)の著作隣接権侵害行為の実質的行為者は被告である。 なお,ジェーネット社及びジェーネット合資会社は,被告が,本件サービスにより利益を得るために設立した法人であるから,本件サービスによる著作隣接権侵害が,ジェーネット社の代表者として行われたとしても,被告が, ーネット社及びジェーネット合資会社は,被告が,本件サービスにより利益を得るために設立した法人であるから,本件サービスによる著作隣接権侵害が,ジェーネット社の代表者として行われたとしても,被告が,個人としての不法行為責任を免れるものではない。このことは,被告が,本件サービスの提供を内容とする著作権法違反の罪により起訴された刑事事件において罪を認め,有罪判決を受けていることからも明らかである。 したがって,被告は,本件サービスにより,原告の著作隣接権を侵害したものである。 (被告の主張)(1) 原告の主張のうち,本件サービスにおいて使用されたサーバ機に自動公衆送信機能があるとの点及び利用者が送信側の機器を操作するものではないとする点は否認し,法的主張は争う。 被告は,IPアドレス,UA(利用者が利用するOSやブラウザ等の情報),セキュリティキー等によって利用者を識別管理するプログラム(SQL)を導入し,上記プログラムにより識別された利用者にのみ番組を送信するとともに,個々の利用者に仮想PCを割り当てて各利用者による機器の操作を可能ならしめ,各利用者が録画予約した番組のみをダウンロードできる仕様としていたのであり,本件サービスの利用には,各利用者による機器の操作が不可欠であった。 (2) 本件サービスは,ジェーネット社及びジェーネット合資会社により行われたものであり,被告個人に対し,その責任を問うべきものではない。なお,刑事事件において被告が自白したのは,刑事事件からの早期解放を希望したからにすぎない。 2 争点(2)(被告の故意・過失の有無)について(原告の主張)(1) 本件サービスが原告の著作隣接権を侵害する態様であることは争点(1)に関する原告の主張のとおりであり,被告は,この点に 争点(2)(被告の故意・過失の有無)について(原告の主張)(1) 本件サービスが原告の著作隣接権を侵害する態様であることは争点(1)に関する原告の主張のとおりであり,被告は,この点につき,本件サービス開始以前の配信システム開発の段階から確定的に認識していた。 (2) このことは,被告が,本件システムの開発に当たり,株式会社スフィアに対し,配信元のIPアドレスを偽装することを持ちかけたり,日本からの調査が困難となるように,日本のIPアドレスからのアクセスや代理サーバを通じたアクセスを禁止するシステムとしたりするなどの隠蔽手段を講じていたことからも明らかである。 (被告の主張)(1) 原告の主張は争う。 (2) 被告は,まねきTVやロクラクⅡに関する東京地裁及び知財高裁の各決定及び判決の趣旨を正しく理解しておらず,機械が共通でも個々の契約者が個別に機械を操作することができれば著作権法には違反しないものと考え ていたのであり,契約者から個々の機械を預かる代わりに高額なソフトを導入し,個々の契約者に仮想PCを割り当て各契約者に機器の操作を可能ならしめることにより,本件サービスが著作権法に違反することはないと考えていた。被告が意図的に著作権法に違反したのではないことは,被告が,植物防疫法違反事件について警視庁等に捜査協力し,ワシントン条約関係で関税局に協力するなどしてきたことからも明らかである。 3 争点(3)(原告の損害額)について(原告の主張)(1)ア本件サービスは,原告が現に事業として行った放送を受信し,無許諾で複製するなどしたものであるところ,原告は,海外の放送事業者に原告の放送番組の放送権を販売するなどの有効活用を進めているところであり,また,日本唯一の公共放送として,海外に向 放送を受信し,無許諾で複製するなどしたものであるところ,原告は,海外の放送事業者に原告の放送番組の放送権を販売するなどの有効活用を進めているところであり,また,日本唯一の公共放送として,海外に向けて積極的に日本の情報を発信し,在外邦人に対する情報提供にも取り組んでいるところである。 イしたがって,被告が本件サービスによって得た利益のうち,原告の行う放送に係る部分を算出することにより,同部分を原告の受けた損害の額と推定することができる(著作権法114条2項)。 (2) 本件サービスによる利益額中の原告の放送に係る部分についてア本件サービスの利益率平成19年3月期から平成21年4月期までの本件サービスに係る売上金合計額は2億3357万6942円であるところ,上記売上金は,いったんジェーネット合資会社名義の口座に入金された後,もみじ銀行焼山支店の被告個人名義口座に移され,同口座から,株式会社スフィアに対する支払金,ジェーネット社従業員に対する支払金,ロイズティーエスビーバンクへの送金(海外代理店への支払に充てられたと考えられる。),エイゼックスへの支払金(仮想オフィス代金の支払),パソコン店への支払金等の経費が支出されている。なお,同口座からの出金のうち,被告の子弟 の学費・塾代金の支払,被告個人名義口座への送金等は,被告の個人的支出であると考えられるので,経費に含めるべきではない。 上記各経費の総額から株式会社スフィアに対する支払金を除いた合計額は6405万2581円であり,株式会社スフィアに対する本件サービス開始時からの支払総額は約3150万円であるので,本件サービスにおける経費総額は,これらの合計額である9555万2581円となる。 したがって,上記期間における売上金合計 する本件サービス開始時からの支払総額は約3150万円であるので,本件サービスにおける経費総額は,これらの合計額である9555万2581円となる。 したがって,上記期間における売上金合計額2億3357万6942円から,上記期間における経費総額を控除した1億3802万4361円が上記期間における利益総額であり,本件サービスにおける利益率は59%を下回ることはない。 イ原告の放送に係る利益額について(ア) 平成19年1月から平成21年5月までの本件サービスの売上高合計額は2億9346万2647円であり,これに上記利益率を掛けた1億7314万2961円が,本件サービス全体の利益額となる。 (イ) 「通常サイト」における利益額のうち,原告の放送に係る部分について原告の放送に係るテレビ番組は,本件サービスのうち,「通常サイト」では「基本チャンネル」で,「北・中・南米サイト」では「オプションチャンネル」でそれぞれ提供されていたものであるところ,「北・中・南米サイト」で原告の放送に係るテレビ番組を視聴していた利用者数は不明であるので,「通常サイト」における利用者を前提に,本件サービスにおける利益額のうち,原告の放送に係る部分の金額を計算する。 本件サービスの「通常サイト」と「北・中・南米サイト」の売上比率は,四捨五入すると1.86対1であるから,「通常サイト」からの利益額は約1億1260万3464円となる。 本件サービスにおいて,衛星放送はオプションチャンネルに分類され ていたため,「NHK放送文化研究所」の調査に基づき,①地上波と衛星波を合わせた1日当たりのテレビ視聴時間(週平均による。)から,原告及び民放各局の衛星放送の視聴時間を除外することにより,原告及び民放各局 め,「NHK放送文化研究所」の調査に基づき,①地上波と衛星波を合わせた1日当たりのテレビ視聴時間(週平均による。)から,原告及び民放各局の衛星放送の視聴時間を除外することにより,原告及び民放各局の地上波テレビの平均視聴時間を算出し,次に,②平成19年6月から平成21年9月までの間の調査結果をもとに,NHK全体の視聴時間からNHK衛星視聴時間を引いた視聴時間を算出し,③上記②のNHK地上波視聴時間が上記①の地上波テレビ平均視聴時間に占める割合を算定し,その平均を算出すると,約26%となる。 (ウ) そこで,「通常サイト」の利益額である1億1260万3464円に,上記26%(地上波テレビ平均視聴時間中にNHKの地上波放送の視聴時間が占める割合)を掛け合わせると,約2927万6900円となり,これが,「通常サイト」からの利益額のうち,原告の放送に係る部分の金額となる。 ウ原告の損害額について(ア) 上記イ(ウ)の金額は,著作権侵害及び著作隣接権侵害を合わせた損害の総額であるところ,放送事業者の著作隣接権は,放送事業者が放送事業を行う上で必要不可欠な権利であることからすれば,これが侵害されたことによる損害は,総額の50%を下らない。したがって,上記イで算出した2927万6900円の半額である1463万8450円が,本件サービスにより原告が被った損害のうち,地上波放送の著作隣接権(送信可能化権)侵害による損害額となる。 (イ) なお,上記損害額は,本件サービスのうち「通常サイト」における利益に限定し,かつ,オプションチャンネルに係る損害を除外して算出されたものである上,本件サービスは原告が放送したテレビ番組について有する著作権(原告は,その放送番組の大半について著作権を有している。)も侵害するもので プションチャンネルに係る損害を除外して算出されたものである上,本件サービスは原告が放送したテレビ番組について有する著作権(原告は,その放送番組の大半について著作権を有している。)も侵害するものであるから,本件において原告が被った損害額 は,少なくとも1463万8450円を下らない。 (被告の主張)(1) 原告の主張のうち,(1)ア記載の事実は認め,その余の事実は否認し,法的主張は争う。 (2) 本件サービスに係る利益額等に関する原告の主張は,「売上金マネーフロー及び売上金一覧表作成報告書(ジェーネットワークサービス売上金)」と題する捜査報告書(甲19)を根拠とするものであるが,上記報告書は,本件サービスに係るマネーフローの一部を明らかにしたものにすぎず,パソコン工房が被告及びジェーネット社との間の全取引を開示していない事実等などから,その信用性に限界があることは明らかである。 (3) 本件サービスの経費についてア被告は,別紙「ジェーネットワークサービス支払合計一覧表」記載のとおり,3億3464万1703円を支出しているところ,同表に記載された総支出から,明らかに経費ではない個人支出を除外し,日付毎に,支払先,科目,摘要等を整理して作成したものが別紙「日計表」である(なお,「摘要」につき,被告は上記「日計表」において「適用」と記載しているが,誤記であると解される。以下においても同じ。)。上記「日計表」によれば,被告は,平成17年5月から平成21年8月までの間,本件サービスに係る経費として合計2億3084万7011円を支出している上,上記「ジェーネットワークサービス支払合計一覧表」記載のとおり,ジェーネット社のタイオフィスに係る経費として約3113万3000円及びSEIWAに対するサーバ用OSのライセン 1円を支出している上,上記「ジェーネットワークサービス支払合計一覧表」記載のとおり,ジェーネット社のタイオフィスに係る経費として約3113万3000円及びSEIWAに対するサーバ用OSのライセンス料として4415万4390円を支払い,かつ,本件刑事事件により,2173万5046円を没収されている。また,被告は,本件刑事事件により,罰金500万円を支払っている。 イ東京地判平成7年10月30日等において,著作権者等の損害額の推定 の前提である著作権等侵害者が得た「利益」とは,侵害行為による売上額から,その製造販売のための変動経費のみを控除した額と考えるのが相当であるとされているが,これらの裁判例においては,著作権者等が,「新たな設備投資や従業員の雇用,訓練を要さず,そのままの状態で侵害品の製造販売ができること」が前提とされているのであって,本件のように,原告が,本件サービスと同様のサービスを実施していなかった(すなわち,原告が,本件サービスと同様のサービスを実施する設備や従業員を有していなかった)場合とは事案を異にする。 むしろ,東京地判平成13年2月8日(判例時報1773号130頁)は,特許法102条2項の解釈に関し,「『侵害の行為により利益を受けているとき』における『利益』とは,侵害者が侵害製品の製造,販売のみに要する専用の設備や従業員を新たに設置し,あるいは雇い入れたといった例外的な事情がない限り・・(中略)・・経費のうち侵害製品の製造,販売のみのために要した部分を控除した限界利益ともいうべきものを指すと解するのが相当である。」とした上で,当該事件における「限界利益」は,「売上額から販売に直接要する費用である変動費を控除した利益ではなく,右利益の額から,更に固定費の中でも対象となっている製品に直 解するのが相当である。」とした上で,当該事件における「限界利益」は,「売上額から販売に直接要する費用である変動費を控除した利益ではなく,右利益の額から,更に固定費の中でも対象となっている製品に直接関連する経費(直接固定費)を控除して算出したものを指すものと解すべきである。」と判示しているのであって,本件において,被告が,本件サービスに関し,専用の設備や従業員を新たに設置し,又は雇い入れていることにかんがみ,被告の利益額の算出に当たり,上記アの支出は,全額が控除されるべきである。 ウすなわち,限界利益とは,権利者が最大限逸失する可能性のある粗利益を意味し,販売額から製造原価などの製品を追加的に製造する場合に必要となる費用のみを控除した金額である以上,「製品を追加的に製造する場合に必要となる費用」の内容が問題なのであって,それが固定経費なのか 変動経費なのかは重要ではない。原告が,本件サービスが提供されていた当時,海外居住者向けテレビ番組配信サービスを実施しておらず,本件サービスと同様のサービスを実施するには,被告が支出した費用と同様の費用あるいはそれ以上の費用を支出する必要がある以上,上記アの被告の支出は,すべて変動経費として控除されるべきである。 (4) ジェーネット社の本件サービスによる売上金総額は,本件サービス停止後の返金分を控除すると2億3357万6942円にすぎず,変動経費として控除されるべき別紙「ジェーネットワークサービス支払合計一覧表」記載の3億3464万1703円を控除すると,約1億円の赤字となる。なお,同表記載の各費用のうち,経費性に問題がないと思われる「広告」,「通信費等」,「インフラ」及び「機材費」欄各記載の金額のみを控除したとしても,約1000万円の赤字となる。 以上のとお ,同表記載の各費用のうち,経費性に問題がないと思われる「広告」,「通信費等」,「インフラ」及び「機材費」欄各記載の金額のみを控除したとしても,約1000万円の赤字となる。 以上のとおり,被告は,本件サービスにより利益を得ていないばかりか,逆に債務を負っているのであるから,原告の損害額の主張には理由がない。 (原告の反論)(1) 著作権法114条2項にいう「利益」とは,限界利益を指すと解され,限界利益とは売上から変動費を引いたものであり,変動費とは,原材料費,運搬費等の売上に応じて変動する費用を指し,売上に応じた変動がない宣伝広告費,人件費,不動産賃借料,水道光熱費,通信費,減価償却費,旅費交通費,接待交際費などの費用は,固定費であると解される。 (2) これを本件についてみると,被告が経費に当たると主張する広告費,通信費,インフラ整備費,機材費等は,いずれも固定費であるから,同法114条2項の利益算定に当たり控除されるべきものではない。 また,被告が経費として主張する別紙「ジェーネットワークサービス支払合計一覧表」及び別紙「日計表」の内容をみると,金額が書証と符合しないものがあるなど,算定自体が不正確である上,各費目においても,明らかに 経費ではないものや根拠不明なもの,広告費等の具体的内容が明らかにされていないものなどが含まれているのであって,その内容は信用できない。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(被告による著作隣接権侵害の成否)について前記前提事実に照らし,被告による著作隣接権侵害の成否について検討する。 (1) 送信可能化権侵害についてア放送事業者は,その放送又はこれを受信して行う有線放送を受信して,その放送を送信可能化する権利(送信可能化権,改 接権侵害の成否について検討する。 (1) 送信可能化権侵害についてア放送事業者は,その放送又はこれを受信して行う有線放送を受信して,その放送を送信可能化する権利(送信可能化権,改正前著作権法99条の2)を専有するところ,「送信可能化」とは,①公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより,その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分〔公衆送信用記録媒体〕に記録され,又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し,情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え,若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し,又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること又は②その公衆送信用記録媒体に情報が記録され,又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について,公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線,自動公衆送信装置の始動,送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には,当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うことのいずれかの行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう(著作権法2条1項9号の5)とされ,「自動公衆送信」とは,公衆送信のうち,公衆からの求めに応じ自動的に行うものをいう(同項9号の4)とされている。 イそこで,前記前提事実(2)イでみた本件サービスにおける配信システムの 具体的内容をみると,本件サービスは,前記前提事実(2)イ(ア)のストリーミング配信システムにおいて,テレビ放送に係る音及び影像を,ケーブルテレビ配線を介して受信した上,これをストリ ムの 具体的内容をみると,本件サービスは,前記前提事実(2)イ(ア)のストリーミング配信システムにおいて,テレビ放送に係る音及び影像を,ケーブルテレビ配線を介して受信した上,これをストリーミング配信用サーバ機にデータ化して入力するものであり,上記ストリーミング配信用サーバ機は,インターネット回線を利用して,本件サービスにアクセスしてきた利用者に対し,上記のとおりデータ化した音及び影像をストリーミング配信するものであるから,上記ストリーミング配信は自動公衆送信であり,上記ストリーミング配信用サーバ機は,自動公衆送信装置に該当し,本件サービスは,上記のとおり自動公衆送信装置に該当するストリーミング配信用サーバ機にテレビ放送に係る音及び影像を入力することで,利用者からの求めに応じテレビ放送に係る音及び影像を自動的に送信できる状態を作り出しているのであるから,テレビ放送に係る音又は影像を送信可能化するものということができる。 また,本件サービスは,前記前提事実(2)イ(イ)の動画ファイル形式による記録及び配信システムにおいて,テレビ放送に係る音及び影像を,ケーブルテレビ配線を介して受信し,録画用サーバ機に動画ファイル形式により記録した上,上記動画ファイルデータを動画ファイル配信用サーバ機の記録媒体に複製又は移動させ,上記動画ファイルデータを,インターネット公開フォルダに指定されたフォルダに記録・蔵置することにより,インターネット回線を利用して当該動画ファイルにアクセスしてきた利用者に,当該動画ファイルをダウンロードすることを可能とするものであるから,上記動画ファイル形式による記録及び配信は自動公衆送信であり,上記動画ファイル配信用サーバ機は自動公衆送信装置に該当し,本件サービスは,上記のとおり自動公衆送信装置に該当す 能とするものであるから,上記動画ファイル形式による記録及び配信は自動公衆送信であり,上記動画ファイル配信用サーバ機は自動公衆送信装置に該当し,本件サービスは,上記のとおり自動公衆送信装置に該当する動画ファイル配信用サーバ機のインターネット公開フォルダに動画ファイルデータを記録させることで,利用者の求めに応じテレビ放送に係る音及び影像を自動的に送信 できる状態を作り出しているのであるから,テレビ放送に係る音又は影像を送信可能化するものということができる(以上につき,最高裁平成23年1月18日第三小法廷判決・裁判所時報2103号124頁参照)。 ウ前記前提事実(3)ウでみたとおり,本件サービスにおいて視聴可能なテレビ番組中に原告の地上波テレビ放送に係る放送番組が含まれていることからすれば,本件サービスが,原告が放送事業者としてその放送について有する送信可能化権を侵害するものであることは明らかである。 (2) 複製権侵害についてア放送事業者は,その放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して,その放送に係る音又は影像を録音し,録画し,又は写真その他これに類似する方法により複製する権利(複製権,著作権法98条)を専有する。 イ前記前提事実(2)イでみた本件サービスにおける配信システムの具体的内容によれば,本件サービスのうち,前記前提事実(2)イ(イ)のテレビ番組の動画ファイル形式による記録及び配信システムにおいては,テレビ放送を,ケーブルテレビ配線を介して受信した上,記録用サーバ機に記録するものであるから,テレビ放送に係る音及び影像を録音,録画するものであり,これを複製するものということができる(最高裁平成23年1月20日第一小法廷判決・裁判所時報2103号128頁参照)。 ウ本件サービスにおいて視聴可能な 係る音及び影像を録音,録画するものであり,これを複製するものということができる(最高裁平成23年1月20日第一小法廷判決・裁判所時報2103号128頁参照)。 ウ本件サービスにおいて視聴可能なテレビ番組中に原告の地上波テレビ放送に係る放送番組が含まれていることは前記のとおりであるから,本件サービスのうち,動画ファイル形式により記録及び配信するものは,原告が放送事業者としてその放送について有する複製権を侵害するものである。 (3) この点に関し,被告は,本件サービスでは,利用者に個々の仮想PCが割り当てられ,各利用者による機器の操作が可能であって,各利用者が録画予約した番組のみをダウンロードできる仕様としていたのであり,各利用者に よる機器の操作が不可欠であったと主張し,各サーバ機の自動公衆送信装置該当性を否認するが,前記前提事実でみた本件サービスの内容及び利用者数等に照らすと,何人も本件サービス利用契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであるから,本件サービスの利用者は不特定かつ多数の者に当たり,「公衆」(同法2条5項)に該当するものと認められるのであって,本件サービスにおけるストリーミング配信用サーバ機及び動画ファイル配信用サーバ機は自動公衆送信装置に該当する。被告の主張は採用することができない。 (4) 送信可能化権侵害及び複製権侵害の主体について前記前提事実によれば,本件サービスは,ジェーネット合資会社及びジェーネット社により管理運営され,その利用料金は,上記2社名義の銀行口座に入金されていたものであることが認められるが,上記2社は,いずれも,被告が,本件サービスの管理運営のために設立した会社であって,実質的には被告一人で経営していたものであると認められる上,前記前提事実( 金されていたものであることが認められるが,上記2社は,いずれも,被告が,本件サービスの管理運営のために設立した会社であって,実質的には被告一人で経営していたものであると認められる上,前記前提事実(6)のとおり,上記2社の銀行口座に入金された利用料金は,ほぼ全額が出金され,被告個人名義口座に入金されていたものであって,本件サービスによる利益は被告個人に帰属していたものであり,後記2のとおり,被告は本件サービスの違法性を認識しながら,本件サービスに係るシステムを構築していたと認められるのであるから,本件サービスに係る送信可能化権侵害及び複製権侵害行為は,被告個人も独立の侵害行為の主体として関与したものであると認められる。これに反する被告の主張は採用できない。 (5) 小括したがって,被告は,原告の送信可能化権(改正前著作権法99条の2),複製権(著作権法98条)を侵害したものと認められる。 原告は,放送した番組の著作権に基づく複製権侵害(同法21条),公衆送信権侵害(同法23条1項)の主張をするが,具体的に放送番組を特定し てその著作物性を主張するものではないので,その主張を採用することはできない。 2 争点(2)(被告の故意過失の有無)について(1) 前記前提事実(2)イでみた本件サービスにおけるテレビ番組配信システムの具体的内容並びに前記前提事実(2)イのとおり上記配信システムの発案及び構築に当たり被告が主体的に関与したと認められることに加え,被告が,本件サービスの開始に当たり,配信元のIPアドレスを隠匿する手段を模索していたこと(甲8),被告が,本件サービスを開始するに当たり,タイにジェーネット合資会社を設立し,同社の日本支社の本店所在地をバーチャルオフィスにするなどしていること(甲8, を隠匿する手段を模索していたこと(甲8),被告が,本件サービスを開始するに当たり,タイにジェーネット合資会社を設立し,同社の日本支社の本店所在地をバーチャルオフィスにするなどしていること(甲8,11)も考慮すれば,被告は,本件サービスの開始当初から,本件サービスの違法性について認識していたものと認めるのが相当であり,本件サービスが原告を含む放送事業者の著作隣接権を侵害するものであることにつき,被告には,故意があったものと認められる。 (2) なお,被告は,東京地決平成18年8月4日(まねきTV仮処分決定)などを挙げて,被告が本件サービスを適法であると考えていた旨主張するが,本件サービスの配信システムは,上記事件におけるシステムと全く異なるものであることに加え,被告の上記(1)の行動も考慮すると,被告の主張を採用することはできない。 3 争点(3)(原告の損害額)について(1) 争点(1)及び(2)に関する判断でみたとおり,被告は,本件サービスの主体として,原告の放送に係る送信可能化権及び複製権を故意に侵害したものであるから,被告は,民法709条により,原告に対し,原告が上記侵害行為によって受けた損害について賠償すべき義務があるところ,原告は,上記損害額について,著作権法114条2項に基づき算定される額をもって原告の損害額と推定すべきと主張する。 なお,著作権法114条2項は,当該著作物を利用して侵害者が現実にある利益を得ている以上,著作権者等が同様の方法で著作物を利用する限り同様の利益を得られる蓋然性があるという前提に基づき,侵害者が侵害行為により得た利益の額をもって著作権者等の逸失利益と推定する規定であると解されるから,同項の適用が認められるためには,著作権者等が侵害者と同様の方法で著作物を利 るという前提に基づき,侵害者が侵害行為により得た利益の額をもって著作権者等の逸失利益と推定する規定であると解されるから,同項の適用が認められるためには,著作権者等が侵害者と同様の方法で著作物を利用して利益を得られる蓋然性があることが必要であるが,本件において,原告は,その放送番組の放送権を海外の放送事業者に販売するなどしており,かつ,海外に向けて積極的に日本の情報を発信し,在外邦人に対する情報提供のための取り組みを進めているところであって(争いがない。),平成21年12月からは,「NHKオンデマンド」の名称で,放送番組のインターネット配信を開始していることも認められる(甲24,25)のであるから,本件サービスが提供されていた当時においても,原告に,本件サービスと同様に,日本国外の居住者に対し,その放送番組をインターネット配信するという方法により,利益を得られる蓋然性が存在したということができ,同項の適用の前提に欠けるところはないというべきである。 (2) 著作権法114条2項による損害額についてアそこで,著作権法114条2項による損害額(本件サービスにおける原告の著作隣接権侵害により被告が受けた利益額)について検討する。 イ本件サービスによる利用料総額前記前提事実(6)イによれば,被告が,平成19年1月から平成21年5月までの間に,本件サービスの提供により利用者から得た利用料の総額は,「通常サイト」に係る分につき1億9086万4862円,「北・中・南米サイト」に係る分につき1億0259万7785円であると認められる。 ウ本件サービスにおける利益額(ア) 被告が本件サービスによって得た利益額を算出するに当たっては, 粗利益(売上額から固定費,売上原価等を控除した額)から と認められる。 ウ本件サービスにおける利益額(ア) 被告が本件サービスによって得た利益額を算出するに当たっては, 粗利益(売上額から固定費,売上原価等を控除した額)から,変動経費(売上に伴って変動する経費)を控除した額を算定の基礎とするのが相当であるところ,原告は,平成19年3月期から平成21年4月期までの間におけるジェーネット合資会社名義のジャパンネット銀行,イーバンク銀行,ゆうちょ銀行,三井住友銀行,もみじ銀行の各口座の出入金状況によれば,上記時期における本件サービスの利用料総額は2億3357万6942円であり,上記時期における上記各口座からの出金総額は8439万0523円であって,上記出金額から株式会社スフィアに対する支払額2033万7942円を控除し,同社に対する支払総額である3150万円を加えて算出した経費総額は9555万2581円であるから,本件サービスの利益率は,下記計算式①により算出されるとおり,約59%となり,本件サービスにより被告が得た利益額は,下記計算式②のとおり上記アの利用料総額に59%を掛けた金額である1億7314万2961円であると主張する(訴状及び甲4参照。なお,甲4では,上記利益総額につき,2億3357万6942円ではなく2億3358万6942円と記載されているが,甲19によれば,平成20年2月期の売上額は454万4891円であるところ,甲4添付の利益額計算表には,同月の売上額が455万4891円と記載されているのであって,これにより総額が上記のとおり異なるに至っているものであるが,上記の違いは,甲4における単なる誤記であると認められる。 )。 ①(2億3357万6942円-9555万2581円)÷2億3357万6942円=約0.59②(1億90 るが,上記の違いは,甲4における単なる誤記であると認められる。 )。 ①(2億3357万6942円-9555万2581円)÷2億3357万6942円=約0.59②(1億9086万4862円+1億0259万7785円)×0.59=1億7314万2961円(イ) この点に関し,上記時期におけるジェーネット合資会社名義のジャ パンネット銀行,イーバンク銀行,ゆうちょ銀行,三井住友銀行,もみじ銀行の各口座からの出入金状況を整理した捜査報告書である「売上金マネーフロー及び売上金一覧表作成報告書」(甲19。なお,被告は,前記前提事実(7)の刑事事件において,被告は,刑事手続からの早期解放を望む気持ちから任意性に欠ける供述をするなどしたから,上記刑事事件における捜査関係書類に十分な信用性はないと主張するが,上記捜査報告書は,上記各銀行口座の出入金を客観的な資料に基づき分析し,整理したものであるから,仮に被告の主張するような事情があったとしても,その信用性は左右されない。また,被告は,上記捜査報告書には被告の支出した経費が十分に反映されていない旨も主張するが,被告の支出した経費の内容及び額については後で検討する。)に記載された上記各口座の出入金内容及び被告名義の銀行口座への入金内容等によれば,平成19年3月期から平成21年5月期までの間の本件サービスの利用料総額は,別紙利益額計算表の「売上」欄最下部記載のとおり2億3357万6942円であり,同時期に上記各口座から出金された費目の内訳及びその金額は,別紙利益額計算表の右側表の「内訳」及び「金額」のとおりであって,その合計額は,原告の主張する8439万0523円(甲4添付の「利益額計算表」の額)ではなく,別紙「利益額計算表」下部の「(A)小計」のとおり9090万 側表の「内訳」及び「金額」のとおりであって,その合計額は,原告の主張する8439万0523円(甲4添付の「利益額計算表」の額)ではなく,別紙「利益額計算表」下部の「(A)小計」のとおり9090万7496円であると認められる(なお,原告が前記イ(ア)の主張の計算根拠として提出する甲4添付の「利益額計算表」を見ると,平成20年1月におけるGMOペイメントへの支払金額が5万2542円である〔甲19〕にもかかわらず5万4542円と記載されており,また,平成20年12月に349万9775円,平成21年1月に128万8001円,同年2月に173万1197円のカード支払が存在する〔甲19〕にもかかわらず,これらが記載されていないことが認められるのであって,上記合計額の相 違は,これらの理由から生じているものと認められる。)。 原告の上記ウ(ア)の主張は,甲19に基づくものであるというのであるから(訴状9頁),上記合計額の相違は,単なる誤記によるものとみるべきであって,原告の上記ウ(ア)の主張の趣旨は,①甲19により認められる出金額(別紙利益額計算表の右側表の「金額」欄各記載のもの)のうち,株式会社スフィアに対する支払を除いたもの及び②株式会社スフィアに対する支払額3150万円については,被告の経費として控除することを認めるというものであると解される。 そうすると,原告の自認する被告の経費総額は,別紙利益額計算表の右側表の「経費(C+D)」欄のとおり,1億0206万9554円となり,その内容は,同表の「内訳」欄記載のとおりということになる。 エ経費に関する被告の主張この点に関し,被告は,被告が本件サービスにおいて支出した経費は,別紙「ジェーネットワークサービス支払合計一覧表」のとおり3億3464万1 りということになる。 エ経費に関する被告の主張この点に関し,被告は,被告が本件サービスにおいて支出した経費は,別紙「ジェーネットワークサービス支払合計一覧表」のとおり3億3464万1703円であると主張し,上記経費支出の日付別内訳は別紙「日計表」のとおりであると主張する。 (ア) そこで,被告の主張する上記経費の内容について検討すると,被告が別紙1「ジェーネットワークサービス支払合計一覧表」において経費に当たると主張する支出は,大別して,①クレジットカード支払額(乙3ないし7),②住友信託銀行,Citibank,新生銀行,ロイズティーエスビーバンクからの「代理店」等への送金(乙8,9,17ないし19),③広告費(乙15,16,20),④株式会社スフィアへの支払(乙12),⑤本件サービスに係る通信費(ケーブルテレビ契約〔乙26,27〕,インターネット回線契約〔乙22〕,インターネットサービスプロバイダ契約〔乙21,24,25〕),⑥本件サービスに係るクレジットカード決済代行会社への支払(乙28),⑦本件サー ビスに係るサーバ設置場所の賃借料,水光熱費等(乙29,31ないし39),⑧ジェーネット合資会社の日本支社所在地のバーチャルオフィス費用(乙30),⑨SEIWAに対するサーバ関係費用(乙40),⑩その他機材費(乙41ないし46),⑪タイにおけるオフィス経費,⑫人件費,⑬没収・追徴金に分けられるので,各項目に分けて検討する。 (イ) クレジットカード支払額について乙3ないし7で利用代金明細書が提出されているクレジットカードは,いずれも被告個人名義のものであり,その利用代金明細書(乙3ないし7)には,明らかに被告の個人的支出であるとみられるものも含まれているところ,被告は,「明らか 書が提出されているクレジットカードは,いずれも被告個人名義のものであり,その利用代金明細書(乙3ないし7)には,明らかに被告の個人的支出であるとみられるものも含まれているところ,被告は,「明らかに経費ではない個人的支出を除外して作成した」(被告第2準備書面)ものとして別紙「日計表」を提出しているのであるから,上記クレジットカード支払額のうち,上記「日計表」に記載されたものを,経費として主張する趣旨であると解される。 そこで,上記「日計表」に記載された各項目のうち,クレジットカード支払によるもの(上記「日計表」の「支払方法」欄に「アメックス」,「シティカードジャパン」,「シティプラチナVISAカード」,「三井住友カード」又は「JCBカード」と記載されているもの)について検討すると,次のとおりとなる。 ① 旅費交通費(航空運賃,電車料金,タクシー代金,高速バス代金,高速道路通行料,宿泊代金),燃料費(自家用車,借用車),車両関係費(損害保険料,修理費)について上記各支出につき,別紙「日計表」の「適用」(「摘要」の誤記であるとみられることについては前記のとおり。)欄に記載された各説明をみると,上記説明は,単に移動先や宿泊先を摘示するのみにとどまるものが大半を占めるのであって,説明が上記の程度にとどまるものについては,上記各移動,宿泊等と本件サービスとの関連性が不明 であるといわざるを得ない。また,上記「適用」欄において,本件サービスとの関連性について説明を加えているもの(5頁の2及び3行目の「スフィアへの移動」等)についても,被告は,上記説明を裏付ける資料を何ら提出していないのであって,これらが,本件サービスの管理運営のために必要なものであったと認めることはできない。 ② スフィアへの移動」等)についても,被告は,上記説明を裏付ける資料を何ら提出していないのであって,これらが,本件サービスの管理運営のために必要なものであったと認めることはできない。 ② 交際費(飲食代,手土産代)について上記支出は,その内容上,本件サービスのための支出であると認められない。なお,被告は,上記支出の一部につき「打合せのため」等と説明を加えているが,上記説明を考慮しても,上記認定は左右されない。 ③ 通信費のうち,被告個人の携帯電話使用料・電話代(SKYPE,国際電話等),福利厚生費(被告個人や従業員の雑貨代,被服費,飲食費),新聞図書費上記支出は,被告又は従業員のための個人的支出とみるほかないものであって,本件サービスのための支出であるとは認められない。 ④ 諸会費(クレジットカード年会費,インターネットオークション会費等),寄付上記支出は,その内容上,本件サービスとの関連性を認めることができず,本件サービスのための支出であるとは認められない。なお,被告は,上記会費の一部につき,別紙「日計表」で「PC部品購入のため」などの説明を加えているが,上記説明を考慮しても,本件サービスとの関連性を認めるに足りない。 ⑤ キャッシングサービス,カードローン,リボ等の返済金及びこれらの利息上記各支出は,クレジットカード利用明細書(乙3ないし7)上,その使途が明らかではなく,かつ,「日計表」上も,使途についての 説明がされていないものであって,本件サービスのために支出されたものとは認められない。 ⑥ 小括したがって,別紙「日計表」記載の各支出のうち,上記①~⑤の各項目に該 説明がされていないものであって,本件サービスのために支出されたものとは認められない。 ⑥ 小括したがって,別紙「日計表」記載の各支出のうち,上記①~⑤の各項目に該当するものについては,本件サービスに関連して支出されたものとは認められない。 ⑦ 消耗品,備品費及び上記各支出に伴う手数料,送料被告は,上記消耗品,備品費の各支出について,別紙「日計表」の「適用」欄において,「事務所のプリンターインク」,「JNet仮サーバーの部品」,「PC部品」,「ルーター」,「JNetServer部品」等を購入したものである旨記載しているが,クレジットカード明細書(乙3ないし7)上は,利用日,支払先(販売店名等),金額が記載されているのみであり,同明細書からは,上記各支出が,上記備品等のために支出されたものであると認めるに足りない。 したがって,被告が,上記明細書に加え,上記各備品等の支払に関する領収書等(乙41ないし46)の資料を提出していないもの及びこれに伴う手数料,送料については,本件サービスとの関連性は認められない(なお,領収書等が提出されているものについては,乙41ないし46に関する支出として後で検討する。)。 ⑧ 通信費(ぷらら情報サービス,フュージョン・コミュニケーションズ,ASAHIネット,さくらインターネット株式会社等)被告は,上記各支出につき,別紙「日計表」の「適用」欄において,本件サービスの接続確認等に要したものである旨記載しているが,上記説明の裏付けとなる資料は提出されておらず,上記各支出と本件サービスとの関連性は認められない。 ⑨ 通信費(ケーブルTV〔市原CATV,ジェイコム〕,KDDI, NTTコミュニケーションズ) となる資料は提出されておらず,上記各支出と本件サービスとの関連性は認められない。 ⑨ 通信費(ケーブルTV〔市原CATV,ジェイコム〕,KDDI, NTTコミュニケーションズ),賃借料(市原警備保障,株式会社エイゼックス),水道光熱費,諸会費(GMOペイメントゲートウェイ)上記各支出は,前記前提事実(2)エ及びカでみた,千葉県市原市内及び大阪府寝屋川市内のサーバ機設置場所に係る通信費,賃借料,水道光熱費,ジェーネット合資会社の日本支社に係る賃借料,本件サービスのクレジットカード決済代行料等とみられるものであるところ,被告は,これらの支出に関し,利用明細書,領収書等(乙21ないし28)を提出しているので,上記利用明細書等に係る支出として後で検討する。 (ウ) 住友信託銀行,Citibank,新生銀行,ロイズティーエスビーバンクからの「代理店」等への送金等(乙8,9,17ないし19)被告は,上記各銀行から本件サービスの「代理店」に対し送金したと主張し,その根拠資料として乙8,9,17ないし19を提出する。 そこで,これらの送金内容について検討するに,上記各送金のうち,住友信託銀行からの送金に係るもの(乙8及び9に記載されているもの)については,振込主が被告個人である上,乙8及び9には各振込日及び振込金額が記載されているのみで,振込先が記載されていないことが認められるから,これらの振込が,「代理店」への送金であって本件サービスに関連するものであると認めるに足りない。 次に,上記各送金のうち,Citibankからの送金に係るもの(乙18に記載されているもの)については,別紙「日計表」上,本件サービスの広告宣伝費,本件サービスの関東事務所(千葉県市原市所在のサーバ機設置場所を指 のうち,Citibankからの送金に係るもの(乙18に記載されているもの)については,別紙「日計表」上,本件サービスの広告宣伝費,本件サービスの関東事務所(千葉県市原市所在のサーバ機設置場所を指すものと思われる。)の賃借料又は株式会社スフィアへの支払である旨説明がされていることが認められる。これらのうち,広告宣伝費について見ると,乙18には送金先の名称等が記載されてお り,上記名称等の記載が,別紙「日計表」の「支払先」欄の記載と一致していること,乙13及び14からは,本件サービスについて,複数の主体により,相当数の広告がされていたこと及び被告が本件サービスに関し代理店を設けていたことがうかがわれることを指摘できるのであって,上記各送金が,広告代理店への送金である旨の被告の主張は,一応首肯できるものというべきである。したがって,Citibankからの送金のうち,広告宣伝費として特定されているもの(別紙「日計表」の110,115,120,125頁に記載のもの)の合計額である523万0003円については,本件サービスに関連するものであると認めることができる。また,本件サービスの関東事務所の賃借料及び株式会社スフィアへの支払についても,本件サービスとの関連性がうかがわれるところであるが,上記賃借料については,内訳書(乙39の1)に係る支出として,株式会社スフィアへの支払については,預金通帳(乙12)に関連する支出として,それぞれ後で検討する。 次に,新生銀行からの送金に係るもの(乙19に記載されているもの)については,別紙「日計表」上,その大部分につき,本件サービスの広告宣伝費,JnetServer部品,GMOペイメントゲートウェイ株式会社(以下「GMO社」という。)への支払,ジェーネット社従業員であったDへの給料手当,新生 その大部分につき,本件サービスの広告宣伝費,JnetServer部品,GMOペイメントゲートウェイ株式会社(以下「GMO社」という。)への支払,ジェーネット社従業員であったDへの給料手当,新生銀行からロイズティーエスビーバンクへの振込手数料である旨説明がされている一方,一部の振込については説明が記載されていないことが認められる。これらのうち,広告宣伝費について見ると,乙19には振込先の名称等が記載されており,上記記載が,別紙「日計表」の「支払先」の記載と一致していることが指摘できる上,本件サービスの代理店及び広告については,乙18でみた点と同様の点を指摘できるのであるから,新生銀行からの振込のうち,広告宣伝費として特定されているもの(別紙「日計表」の45,59, 62,66,70,81,90,93,100,105,1006,108,110,115,120,125頁に「広告宣伝費」として記載されているもの)の合計額である632万5248円については,本件サービスに関連するものであると認めることができる。また,GMO社への振込については,本件サービスに係るクレジットカード決済代行会社への支払であることがうかがわれるところ,請求書(乙28)に係る支出として後で検討する。その他の振込については,乙19の記載と別紙「日計表」の該当部分の記載を検討しても,本件サービスとの関連性を認めるに足りず,本件サービスに関する支出であると認めることはできない。 さらに,ロイズティーエスビーバンクからの送金(乙17に記載されているもの)に関しては,上記送金主が被告個人ではなくジェーネット合資会社であること,乙17に,送金理由として「AdvertisementandAgentFee」,「ThePaymenttoanA 関しては,上記送金主が被告個人ではなくジェーネット合資会社であること,乙17に,送金理由として「AdvertisementandAgentFee」,「ThePaymenttoanAgent,Advertising」,「AdvertisingFee」などと記載されており,広告費等として送金されたものであることがうかがわれること,本件刑事事件においても,ロイズティーエスビーバンクに係る送金については,本件サービスに係るものとして計上されていること(甲19)から,本件サービスに関する支出であると認めることができるところ,上記各送金額を合計すると,4020万1085円となる。 以上によれば,Citibank,新生銀行,ロイズティーエスビーバンクからの送金等のうち,本件サービスに関する支出であると認められる金額の合計額は,5175万6336円となる。 (エ) 広告費(乙15,16,20)について被告は,乙15,16及び20に記載された各金額について,広告費 として各社に支払われたものであると主張するが,上記各書証の体裁等に照らし,上記金額が広告費として現実に支払われたことを認めるに足りない。 なお,被告は,上記各書証に記載されたもののほかに,ヨーロッパにおける広告費として概算2000万円を支出したと主張するが,上記根拠については,「概算」であると主張するのみで,これを裏付ける資料を何ら提出していないから,採用することができない。 (オ) 株式会社スフィアへの支払(乙12)について被告は,株式会社スフィアへの支払総額は3129万2562円であると主張し,その根拠資料として,乙12(預金通帳)を提出しているところ,乙12には振込金額が記載されているのみであって,振込先の記載はない ,株式会社スフィアへの支払総額は3129万2562円であると主張し,その根拠資料として,乙12(預金通帳)を提出しているところ,乙12には振込金額が記載されているのみであって,振込先の記載はないことが認められる。しかし,株式会社スフィア代表者は,本件サービスに関し受領した金員の総額は約3150万円であると述べており(甲22),上記供述は,同社の決算書,口座元帳等に基づくものであって信用性を有するものと思われるのであって,被告の主張する株式会社スフィアへの支払総額は,上記供述とほぼ一致する上,原告は,前記3(2)ウ(ア)及び(イ)のとおり,株式会社スフィアへの支払総額が3150万円であることを認めているのであるから,同社に対する支払総額は,原告の自認する金額と被告の主張する金額のうち,多額に当たる原告の自認額(3150万円)と認めることができる。 (カ) 本件サービスに係る通信費(ケーブルテレビ契約〔乙26,27〕,インターネット回線契約〔乙22〕,インターネットサービスプロバイダ契約〔乙21,24,25〕)について上記各通信費は,前記前提事実(2)エ及びカでみた,千葉県市原市内及び大阪府寝屋川市内の被告サーバ機設置場所に係る通信費であるとみられるところ,それぞれ総額は下記のとおりである。 KDDI料金(乙21) 166万6816円NTTBフレッツ利用料(乙22) 159万2500円NTTコミュニケーションズ(乙24) 560万6137円NTTPCコミュニケーションズ(乙25) 74万2140円Jコムウエスト(乙26) 29万6687円いちはらコミュニティー・ネットワークテレビ(乙27) 7万6125円上記合計 998万0405円(キ) 本件サービスに係るクレジットカード決済代行 ウエスト(乙26) 29万6687円いちはらコミュニティー・ネットワークテレビ(乙27) 7万6125円上記合計 998万0405円(キ) 本件サービスに係るクレジットカード決済代行会社への支払(乙28)について上記支払は,前記前提事実(4)ウでみた,本件サービス利用料のクレジットカード決済のため利用していた決済代行会社(GMO社)に対する支払であって,本件サービスに係る支出と認められるところ,その合計額は168万2189円となる。 (ク) 本件サービスに係るサーバ設置場所の賃借料,水光熱費等(29,31ないし39)上記各支払は,本件サービスに係るサーバ設置場所(千葉県市原市及び大阪府寝屋川市)に関する賃借料,水道光熱費,設備費(電気工事費等)であるところ,下記に挙げたものについては,本件サービスに関連するものであると認められる。なお,前記前提事実(5)でみた本件サービス停止時(平成21年5月)以後に支払われたもの〔水道費等につき,同月以後に支払われたもの及び平成22年6月22日付けである乙33号証に係るもの〕については,本件サービスに関連するものであるとは認められない。また,乙34~36及び乙39の2,3に係る支出についても,設備整備の対象等が証拠上明らかではなく,本件サービスに関連するものとは認められない。 千葉県市原市内物件の賃借料(乙29)敷金15万6000円,礼金7万8000円,平成20年5月(入居日)から平成21年5月までの賃料合計101万4000円千葉県市原市内物件の平成21年5月までの水道費(乙31。平成21年5月分については,同年5,6月分の支払の半額として計算した。)1万7690円千葉県市原市内物件の平成21年5月までの下水道使用料(乙32。 成21年5月までの水道費(乙31。平成21年5月分については,同年5,6月分の支払の半額として計算した。)1万7690円千葉県市原市内物件の平成21年5月までの下水道使用料(乙32。平成21年5月分については,同年5,6月分の支払の半額として計算した。)1万1490円千葉県市原市内物件の平成21年5月までの電気料金(乙37)131万8702円大阪府寝屋川市内物件の平成21年5月までの電気料金(乙38)124万3602円大阪府寝屋川市内物件の賃料等(乙39の1。乙39の2,3については見積書のみの提出であるため,その支払の事実を認めることはできない。)235万4408円上記合計 619万3892円(ケ) ジェーネット合資会社の日本支社本店所在地のバーチャルオフィス費用(乙30)について上記支出は,前記前提事実(2)ウでみた,ジェーネット合資会社の日本支社所在地として指定されたバーチャルオフィスに係る賃料であると認められるところ,その合計額は51万2170円となる。 (コ) SEIWAに対するサーバ関係費用(乙40)について被告は,上記支払は本件サービスのために使用するソフトウェア関連 費用であると主張するが,乙40を見ても,その内容は明確ではなく,上記書面記載の金額が実際に支払われたものかも明らかではないというべきであるから,本件サービスに関連して支出されたものとは認められない。 (サ) その他機材費(乙41ないし46)について被告は,上記支出は本件サービスに使用するOA消耗品,パーツ等の購入費用であると主張するが,上記支出に係る領収書等であるとして提出された各書証(乙41ないし46)を見ても,本件サービスとの関連性が明らかではなく,本 本件サービスに使用するOA消耗品,パーツ等の購入費用であると主張するが,上記支出に係る領収書等であるとして提出された各書証(乙41ないし46)を見ても,本件サービスとの関連性が明らかではなく,本件サービスのために支出されたものと認めるに足りない。 (シ) タイにおけるオフィス経費について被告は,上記支出につき,1237万9500円と主張するが,その根拠については「概算」というのみであり,具体的な根拠又は資料に欠けるものであるから,採用できない。 (ス) 人件費について被告は,上記支出につき,360万円と主張するが,その根拠については「概算」というのみであり,具体的な根拠又は資料に欠けるものであるから,採用できない。 (セ) 没収・追徴金について上記支出が,本件サービスに係る経費に当たらないことは明らかである。 (ソ) その他,別紙「日計表」には,上記(ア)ないし(セ)の各項目に該当しないもの(「支払方法」欄に「現金」と記載されたものなど)が存在するが,これらについて,被告は,支出を裏付ける資料自体何ら提出していないのであって,これらの支出の具体的内容(「日計表」の「科目」及び「適用」欄に記載されたもの)をみても,本件サービスの提供に 当たり当然支出がされたであろうと推認されるような性質のものとはいうことができないものであるから,これらについて,本件サービスによる「利益」から控除されるべきものということはできない。また,乙10,11,23,47~53の各証拠をもって,本件サービスに係る支出と認めることはできない。 (タ) そうすると,被告の各支出のうち,本件サービスに関連する支出と認められるものは,前記(ウ)の5175万6336円,(オ)の3150万円,(カ)の998万0405 ることはできない。 (タ) そうすると,被告の各支出のうち,本件サービスに関連する支出と認められるものは,前記(ウ)の5175万6336円,(オ)の3150万円,(カ)の998万0405円,(キ)の168万2189円,(ク)の619万3892円,(ケ)の51万2170円となり,これらの合計額は,1億0162万4992円となるのであって,上記支出がすべて変動費として被告の利益から控除されるべきものとみたとしても,なお,原告が経費として認める金額を超えないこととなる。 オしたがって,本件サービスに係る被告の経費については,前記ウのとおり原告が認めるとみられる金額である別紙利益額計算表の「経費」欄記載の1億0206万9554円の限度で控除するのが相当であり,当該経費を売上高2億3357万6942円から除いた1億3150万7388円と認められる。 そうすると,上記「経費」が支出された期間に対応する時期における被告の売上総額は,別紙「利益額計算表」の中央の表記載のとおり,2億3357万6942円であると認められるから,被告の利益率は,約56. 3%となる。 カ前記前提事実(3)ウ(イ)でみたとおり,本件サービスにおいて,原告の地上波テレビジョン放送に係るテレビ番組は,通常サイトにおける基本チャンネル及び北・中・南米サイトにおけるオプションチャンネルで提供されていたものであるところ,原告は,北・中・南米サイトにおけるオプションチャンネルに係る著作隣接権侵害については請求原因として主張して いないものと解されるので(第3の3(2)イ(イ)),原告の損害額の算定に当たっては,通常サイトから被告が得た利益のみを考慮すべきこととなる。そこで,本件サービスが提供されていた全期間における通常サイトからの利用料 るので(第3の3(2)イ(イ)),原告の損害額の算定に当たっては,通常サイトから被告が得た利益のみを考慮すべきこととなる。そこで,本件サービスが提供されていた全期間における通常サイトからの利用料総額をみると,前記アのとおり1億9086万4862円であるので,上記売上に上記利益率56.3%を掛けた1億0745万6917円が,通常サイトにおける被告の利益額となる。 キところで,前記前提事実(3)ウでみたとおり,通常サイトにおいて,利用者は,「基本チャンネル」として,「関東地区」及び「関西地区」のチャンネルの一方又は双方を登録することができた上,上記基本チャンネルの利用料に加えて「オプション料金」を支払うことで,「オプションチャンネル」を視聴することもできたことが認められるから,上記オでみた利益額は,「基本チャンネル」による利益と,「オプションチャンネル」による利益の双方を含むものということになるが,原告は,本件において,地上波テレビジョン放送に係る著作隣接権侵害のみを請求原因として主張しているものと解されるから(第3の3(2)イ(イ)・(ウ),ウ),通常サイトにおける衛星放送等を対象とするオプションチャンネルに係る被告の利益は,損害額算定の基礎から除外すべきことになる。 そこで,上記オでみた通常サイトにおける利益額から,オプションチャンネルに係る被告の利益を除いた利益額(基本チャンネルに係る利益額)を検討することになるが,本件記録上,通常サイトにおけるオプションチャンネルの登録状況又はオプション料金収入の状況は明らかではない。 この点について,原告は,NHK及び民放の地上波及び衛星放送について,視聴時間に関する一般的な統計の比率に応じて,本件サービスにおける地上波と衛星放送との比率を算出する方法を採用し,この方法に 。 この点について,原告は,NHK及び民放の地上波及び衛星放送について,視聴時間に関する一般的な統計の比率に応じて,本件サービスにおける地上波と衛星放送との比率を算出する方法を採用し,この方法に基づいてNHK地上波及び民放地上波に対するNHK地上波の比率を算出し,これを通常サイトの利益額に乗じることにより,通常サイトからの利益額を 算出している。しかし,本件サービスにおける基本チャンネル及びオプションチャンネルの支払額は視聴時間の多寡によって定められるものではないから,原告の採用する方法でオプションチャンネル分を除外することは相当でないものと考えられる。そこで検討するに,甲14添付資料中の資料2,4及び5により,ジェーネット合資会社名義の銀行預金口座元帳一覧表が提出されており,同表の「入金」欄記載の入金の大半は,本件サービス利用者からの利用料支払に係る入金であると認められるところ,甲14添付の上記資料記載の上記利用者には,通常サイトのほか,北・中・南米サイトの利用者も含まれることが認められるが,前記前提事実(3)ウのとおり,①本件サービスにおいて,利用者が,基本チャンネルの登録を原則とし,これにオプションチャンネルの登録を付加することができたこと及び②オプションチャンネル1件当たりの金額が1000円と設定されていたことについては通常サイトと北・中・南米サイトとの間で違いはないのであって,基本チャンネルのみを登録する利用者と,基本チャンネルにオプションチャンネルを付加して登録する利用者の比率及びこれによる利益の割合は,両サイトにおいて大きな違いはないものと認めるのが相当である。 したがって,上記口座元帳一覧表記載の入金状況から推測される,基本チャンネルのみを登録する利用者と,基本チャンネルにオプションチャンネルを付加し いて大きな違いはないものと認めるのが相当である。 したがって,上記口座元帳一覧表記載の入金状況から推測される,基本チャンネルのみを登録する利用者と,基本チャンネルにオプションチャンネルを付加して登録する利用者の比率等を考慮して,本件サービスの利益中に基本チャンネルに係る利益が占める割合(通常サイト及び北・中・南米サイトにおける基本チャンネルによる利益の割合)を算出し,上記割合が通常サイトと北・中・南米サイトを通じて等しいものであるとみて,前記第4の3(2)カでみた,通常サイトにおける被告の利益額(1億0745万6917円)に上記基本チャンネルに係る利益が占める割合を乗じることで,通常サイトにおいて,基本チャンネル(民放による放送分を含む )から被告が得た利益額を算出することができるものというべきである。 そこで,上記口座元帳一覧表記載の入金状況を見ると,本件サービス利用者が本件サービスの利用料として支払った金額としては,3600円又は5000円が大半を占め,その割合は,少なく見積もっても7割程度であることが認められる。本件サービスの利用料内訳は,前記前提事実(3)ウのとおりであって,基本チャンネルのみの利用の場合,通常サイトでは5000円(関東地区又は関西地区の一方のみを選択・登録した場合)又は7000円(関西地区及び関東地区の双方を選択・登録した場合),北・中・南米サイトでは3600円(関東地区又は関西地区の一方のみを選択・登録した場合)又は5000円(関東地区又は関西地区の双方を選択・登録した場合)であり,オプション料金は1チャンネルにつき月額1000円であるから,(ア)3600円の支払については北・中・南米サイトで関東地区又は関西地区の一方のみを選択・登録した利用者による利用料の支払であり,(イ)5000円の支払 チャンネルにつき月額1000円であるから,(ア)3600円の支払については北・中・南米サイトで関東地区又は関西地区の一方のみを選択・登録した利用者による利用料の支払であり,(イ)5000円の支払については,①通常サイトで関東地区又は関西地区の一方のみを選択・登録した利用者か,②北・中・南米サイトで関東地区及び関西地区の双方を選択・登録した利用者による利用料の支払であって,オプションチャンネルの追加に係る利用料は含まれていないものと認められる(すなわち,基本チャンネルにオプションチャンネルを選択・登録した場合には,通常サイトでは,利用料支払額は最低でも6000円となり,北・中・南米サイトでは,利用料支払額は3600円に1チャンネル追加毎に1000円を足した4600円,5600円などとなるか,6000円を超える金額になるかのいずれかであり,いずれのサイトでも5000円となることはない。)。 したがって,本件サービスの利用料のうち,約7割については,基本チャンネルのみを登録した利用者に係る利用料の支払であるとみることができ,その全額が,基本チャンネルに係る利益に当たるということができ る。 また,残りの約3割については,(ア)通常サイトにおいて,基本チャンネルのうち,関東地区及び関西地区の双方を登録した利用者による利用料の支払か,(イ)通常サイト又は北・中・南米サイトにおいて,基本チャンネルにオプションチャンネルを付加して登録した利用者による利用料の支払であるとみることができるところ,上記(ア)の場合には,その全額が基本チャンネルに係る利益に当たるものということができる。また,上記(イ)の場合にも,前記のとおり,本件サービスにおいて,利用者は,オプションチャンネルのみを登録することはできず,基本チャンネルに加えてオプション 係る利益に当たるものということができる。また,上記(イ)の場合にも,前記のとおり,本件サービスにおいて,利用者は,オプションチャンネルのみを登録することはできず,基本チャンネルに加えてオプションチャンネルを選択・登録することができるのみであったことからすれば,その利用料の中には,基本チャンネル登録分の利用料と,オプションチャンネル追加登録分の利用料が含まれているということができるところ,基本チャンネルの利用料額(通常サイトにおいて5000円又は7000円,北・中・南米サイトにおいて3600円又は5000円)の方がオプションチャンネルの利用料額(1件追加するごとに1000円)より高額であることに加え,上記口座元帳一覧表記載の入金額をみると,7000円を超えない金額が相当数みられるのであって,オプションチャンネルを多数登録する利用者は多いものではなかったとみられることも考慮すると,上記残りの3割の利用料のうち,3分の2程度は,基本チャンネル登録分の利用料に当たるものであり,基本チャンネルに係る利益であるとみるのが相当である。 そうすると,本件サービスにおいて,全利益中に基本チャンネルに係る利益が占める割合は,下記計算式のとおり,9割程度と算出されることになる。 7割+(3割×2/3)=9割前記のとおり,上記割合は,本件サービス全体(通常サイト及び北・中 ・南米サイト)の利益中に基本チャンネルに係る利益が占める割合として算出されたものであるが,上記割合は,通常サイトと北・中・南米サイトを通じて等しいものと認めるのが相当であるから,上記割合を,通常サイトの利益に乗じることにより,通常サイトにおける基本チャンネルに係る利益を算出することができ,上記利益は,下記計算式のとおり,9671万1225円となる。 1億0745万69 上記割合を,通常サイトの利益に乗じることにより,通常サイトにおける基本チャンネルに係る利益を算出することができ,上記利益は,下記計算式のとおり,9671万1225円となる。 1億0745万6917円×0.9=9671万1225円クさらに,上記利益額は,前記前提事実(3)ウでみた「基本チャンネル」で視聴可能である原告及び民放各社に係る放送によって被告が得た利益であるから,上記利益から,原告に係る放送によって得た利益部分を算出する必要がある。 上記利益は,利用者らが原告及び民放各社に係る放送を視聴した時間の割合によって配分されるべきものと認められるところ,本件サービスが提供された時期における,地上波放送の視聴平均時間中に原告に係る地上波放送が占める割合(甲4)の平均を計算すると,別紙「視聴時間調査結果」のとおり,約26%となる。 ケしたがって,上記利益の26%に当たる2514万4918円が原告に係る損害となり,上記損害のうち,原告が本件において著作隣接権侵害に係る損害として請求する部分はその50%の額であると解されるから,原告の著作隣接権侵害による損害額は,上記損害の50%である1257万2459円となる。 (3) 不法行為の終了日なお,前記前提事実(5)のとおり,本件サービスは,平成21年5月ころ停止されたものと認められる。 第5 結論したがって,原告の請求は,1257万2459円及びこれに対する不法行 為終了日の後であると認められる平成21年6月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余については理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判 主文 分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余については理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 理由 事実 争点 判断 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官大須賀滋 裁判官菊池絵理 裁判官森川さつき
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