主文 被告らは,原告に対し,連帯して528万0466円及びこれに対する平成12年7月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを9分し,その1を被告らの負担とし,その余を原告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求被告らは,原告に対し,連帯して4684万2356円及びこれに対する平成12年7月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,原告が自動車運転中に,被告Bが所有し,被告Cが運転していた自動車に追突された交通事故(以下「本件事故」という。)について,この交通事故により,頸椎捻挫,頸椎症の疑い,線維筋痛症等を発症した旨主張し,被告Bに対しては自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任に基づき,また,被告Cに対しては不法行為に基づき,治療費,休業損害,後遺障害による逸失利益,傷害慰謝料,後遺障害慰謝料,弁護士費用の損害の賠償及び交通事故の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めている事案である。 前提事実(証拠の摘示のない事実は当事者間に争いのない事実である。)(1)当事者等ア原告は,本件事故当時,D電工に勤務し,高所での電気工事等の作業に従事していた45歳の中卒の男性であって,本件事故時には自家用軽貨物自動車(以下「原告車」という。)を運転していた者である。 イ被告Cは,本件事故時,自家用普通乗用車(以下「被告車」という。)を運転していた者である。 ウ被告Bは,本件事故当時,被告車を所有し,被告Cに使用させていた者である。 (2)交通事故の発生平成12年7月17日,原告車と被告車との間で,以下の事故が発生し を運転していた者である。 ウ被告Bは,本件事故当時,被告車を所有し,被告Cに使用させていた者である。 (2)交通事故の発生平成12年7月17日,原告車と被告車との間で,以下の事故が発生した。 日時平成12年7月17日午後8時58分ころ場所山口県E町(地名表記は当時のものである。)事故の態様原告車が交差点手前で赤色信号に従って停止していところ,後方から進行してきた被告車が原告車に追突した。 (3)原告の受診経過ア原告は,本件事故により,頸椎捻挫,右肩,上腕打撲,腰部捻挫等の傷害を負い,平成12年7月18日から同年8月3日までの間,G病院に通院して治療を受けた(実日数9日)。 平成12年7月31日時点で,原告の胸部打撲,腹部打撲は治癒していたが,頸椎捻挫,左肩,上腕打撲,腰部捻挫に関しては治癒していなかった。 イその後,原告は,P医院に転医し,平成12年8月7日から平成16年1月9日までの間,同病院で通院治療を受けた(実日数269日)。 原告の主訴は後頭,後頸部鈍痛,頸部運動痛,右前腕ないし手指知覚過敏であり,原告のこれらの痛みは,同病院への通院治療にもかかわらず,解消しなかった。 ウまた,原告は,P医院への通院と並行して,以下のとおり通院治療又は施術を受けた。 (ア)原告は,平成13年2月1日,同年7月12日,同年10月24日,同年11月12日に,G病院に通院して診察治療を受けた(実日数4日)。 原告の後頭,後頸部痛,両肩肩甲部痛,頸部運動痛,両上肢,肩の知 覚異常は,前記アのころから改善が見られなかった。 (イ)原告は,平成13年10月11日から同年11月26日までの間,国立I病院(現「独立行政法人国立病院機構I医療センター」)に通院して治療を受けた(実日数6日)。 (ウ)原告は,平成14年5月27 )原告は,平成13年10月11日から同年11月26日までの間,国立I病院(現「独立行政法人国立病院機構I医療センター」)に通院して治療を受けた(実日数6日)。 (ウ)原告は,平成14年5月27日から平成15年9月23日までの間,温泉施設Jで温浴療法をしたり(実日数41日)マッサージ(実日数11日)を受けた。 エ平成17年7月11日,原告がK県立身体障害者リハビリテーションセンターのL医師の診察を受けたところ,線維筋痛症,脳脊髄液減少症の疑いと診断された。 平成17年8月17日,原告は,M医療センター脳神経外科を受診し,同年9月7日から同月9日まで同病院に入院して,低髄液圧症候群の有無について検査を受けたが,低髄液圧症候群については否定的と診断された(甲265)。 原告は,平成17年10月17日,N病院で診察を受け,外傷後頸部症候群,線維筋痛症疑い,外傷後頭痛との診断を受けた。原告は,同病院で,首や肩の痛みの原因になるとして,激しい運動や,同じ姿勢でいたり同じ動きをすること,長時間の歩行やウォーキングをすることを禁止し,風呂や温泉に入ることが身体に良いという指導を受けた。 (4)自賠責保険からの支払額原告は,本件事故による後遺障害として14級の認定を受け(症状固定日は平成13年7月12日),治療費,通院費,文書料,休業損害,傷害慰謝料及び後遺症損害につき,合計205万1178円の支払を受けることとなった(甲187)。 本件における争点及びこれに対する当事者の主張(1)本件事故と原告の傷害結果との因果関係について(原告の主張) ア本件事故と線維筋痛症との因果関係(ア)本件事故による衝撃の程度本件事故は,被告Cが,酒気を帯びて自動車を運転中,ほとんどノーブレーキのまま時速約70キロメートルで原告車に追突したというも ア本件事故と線維筋痛症との因果関係(ア)本件事故による衝撃の程度本件事故は,被告Cが,酒気を帯びて自動車を運転中,ほとんどノーブレーキのまま時速約70キロメートルで原告車に追突したというものである。 本件事故による衝撃により,原告車は約25メートル前方に飛ばされ,骨組み自体が曲がり,荷台の床面の金属板も波状になり,背もたれ部分の金属部分までへこんでしまうほどであった。 このような本件事故により原告の身体に加えられた衝撃はすさまじいものであったことが明らかである。 (イ)痛みの発生及び継続原告は,本件事故前には,その作業能力に支障を及ぼすような既往症等はなく,本件事故後に残存しているような痛み等の症状も全くなかった。 ところが,原告は,本件事故で身体にすさまじい衝撃を受けたことにより,身体に激しい痛みを生じた。原告は,前記1(3)掲記のとおり,痛みの解消法を求めて方々の医療機関で受診したり,温浴療法やマッサージを受け続けたが,激しい痛みは解消されることなく,現在に至っている。 (ウ)L医師の意見線維筋痛症の症例の経験が豊かな専門医であるL医師は,原告を直接診察した上で,原告の線維筋痛症と本件事故との因果関係があると認められる旨の意見を述べている。 (エ)訴訟上要求される因果関係の立証の程度線維筋痛症の原因や発症のメカニズムについては,現時点では医学的に明らかにされてはいない。しかし,訴訟上の因果関係の立証は,経験則に照らして全証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果発生を招来 した関係を是認しうる程度の高度の蓋然性を証明することであり,その判定は,通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし,かつ,それで足りるものとされている。 (オ)小括以上を総合すれば,原告の線維筋痛症は本件 ことであり,その判定は,通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし,かつ,それで足りるものとされている。 (オ)小括以上を総合すれば,原告の線維筋痛症は本件事故により生じたものであって,本件事故と線維筋痛症との間には因果関係があると言うべきである。 イ症状固定について原告は,平成13年7月12日に頸椎捻挫等の症状が固定した旨の診断書をP医師に発行してもらい,後遺障害14級の認定を受けている。しかし,これは,自賠責保険の保険金請求のために診断書を書いてもらったものであって,この日において症状固定があったものではない。現在も原告の線維筋痛症の治療は終了していない。 (被告らの主張)ア本件事故と線維筋痛症との因果関係(ア)因果関係の立証がないことそもそも,現時点においても,医学的に,交通事故による外傷から線維筋痛症に至る機序は明らかになっていない。 また,線維筋痛症については,その原因として,ウイルス感染説や不眠説,食物アレルギー説,化学物質過敏説,自律神経異常説,下行性疼痛抑制系の機能不全説など,多くの説があるが,これらの説で原因としてあげられているのは,交通事故による外傷と関係がないものである。一方,交通事故による外傷があっても,線維筋痛症を発症しない場合もある。 そして,線維筋痛症の原因は一つと限らないのであるから,本件事故と原告の線維筋痛症との間の因果関係が否定できないとしても,それによって両者の因果関係の存在が立証できたとは言えない。 これらを総合すれば,本件事故と原告の線維筋痛症との因果関係は,到 底立証されているとは言えない。 (イ)素因論,割合的因果関係仮に本件事故が原告の線維筋痛症の原因の一つであるとしても,本件事故以外の原因も原告の線維筋痛症に寄与していることが考えら 係は,到 底立証されているとは言えない。 (イ)素因論,割合的因果関係仮に本件事故が原告の線維筋痛症の原因の一つであるとしても,本件事故以外の原因も原告の線維筋痛症に寄与していることが考えられる。本件においては,本件事故が原告の線維筋痛症に及ぼした寄与の程度についても医学的に解明できていないものと思われるが,本件事故以外の原因をも総合して,割合的因果関係等を十分検討するべきである。 イ頸椎捻挫等の治療期間(ア)一般的な治療期間一般に,頸椎捻挫の治療期間は,急性期が最長で1か月,慢性期が2ないし3か月程度であり,この慢性期に,薬物療法,温熱療法,牽引療法などが行われる。そして,その後の社会復帰期の治療は2ないし3か月程度である。このように,頸椎捻挫の治療期間は,長く見積もっても合計7か月程度である。 (イ)原告の症状の推移P医院では,原告に対して,薬物療法,温熱療法,牽引療法を長期間継続していたが,原告の症状は,平成12年8月3日と平成13年7月12日とで変化がなかった。 なお,原告には,加齢性変化による変性頸椎症その他の私病がある。 また,平成13年10月18日のMRI検査では,原告に頸椎症を疑わせる所見が見られるが,平成12年3月31日のMRI検査では,頸椎の異常所見が認められていない。頸椎捻挫の異常所見は,受傷直後が最も著しく,経過とともに正常化するものであるから,平成13年10月18日に見られた頸椎症の異常所見は,本件交通事故と無関係である。 (ウ)小括以上によれば,原告の頸椎捻挫の症状は,少なくとも平成13年7月12日には症状固定していたことが明らかであり,通常の頸椎捻挫の治療期 間を考慮すれば,受傷後7か月後に当たる平成13年2月中旬ころには,原告の頸椎捻挫の治療は完了するべきものであり,その後の治療費等 日には症状固定していたことが明らかであり,通常の頸椎捻挫の治療期 間を考慮すれば,受傷後7か月後に当たる平成13年2月中旬ころには,原告の頸椎捻挫の治療は完了するべきものであり,その後の治療費等は本件事故と相当因果関係がない。 (2)本件事故による損害について(原告の主張)ア治療費原告の本件事故後の治療のため,以下の治療費を要した。平成13年1月末までは自賠責保険から治療費が支払われたが,平成13年2月1日以降は原告が自ら治療費を支払っている。 (ア)G病院分自賠責から支払済みの分10万3549円原告が自ら支払った分3万5112円(イ)P医院分自賠責から支払済みの分32万3112円原告が自ら支払った分51万5864円(ウ)I国立病院分原告が自ら支払った分1万4742円(エ)I医師会病院分原告が自ら支払った分5万6627円(オ)マッサージセンターI原告が自ら支払った分1万5750円(カ)J分原告が自ら支払った分3万6330円(キ)Qプラザ分原告が自ら支払った分4万0050円なお,通院に要した交通費については,煩雑に過ぎるから,慰謝料の事情として加味されたい。 イ休業損害(ア)欠勤分原告は,平成12年7月18日から同年10月31日まで,本件事故により41日の欠勤を余儀なくされた。 原告の事故前3か月の平均収入は1か月50万4333円であったから,上記欠勤による逸失利益は,68万9255円である。 (50万4333円÷30日)×41日=68万9255円(円未満切捨て)(イ)求職期間分a原告は,本件事故後,身体のつらさや,身体の自由がきかなくなり業務に支障や危険を生じるようになったことから,平成14年5月,それまで勤務してきたD電工を辞めざるを得なくなった。 このよ 職期間分a原告は,本件事故後,身体のつらさや,身体の自由がきかなくなり業務に支障や危険を生じるようになったことから,平成14年5月,それまで勤務してきたD電工を辞めざるを得なくなった。 このように,原告は本件事故による受傷のために退職せざるを得なくなったのであるから,再就職ができるまでに必要な期間についての休業損害は,本件事故と相当因果関係のある損害として賠償されるべきである。 b原告が,何か新たな収入を得る途を探すには,少なく見積もって5年間を要すると考えられる。 そして,この間の得べかりし収入は,原告の本件事故前3か月間の平均収入(50万4333円)や,原告が受給することとなった生活保護費を勘案して,1か月25万円とするのが相当である。 cしたがって,本件事故と相当因果関係のある求職期間分の休業損害額は,1500万円である。 25万円×12か月×5年=1500万円ウ後遺障害による逸失利益(ア)対象となる期間前記イの平成19年4月までの休業損害が認められることを前提として,後遺障害による逸失利益を計算する。 (イ)後遺障害の程度原告は,線維筋痛症との診断を受け,R病院では,長時間肩や腕を動かすと,肩や肩甲骨の関節や筋肉に負担がかかり,首や肩の痛みの原因となるとして,激しい運動や,同じ姿勢でいること,同じ動きをすること,長時間の歩行・ウォーキングを禁止する旨の指導を受けている。 このような原告の症状に照らせば,少なくとも,後遺障害等級第9級にいう,「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」に該当すると言うべきである。 もっとも,後遺障害等級の認定基準は,後遺障害の認定のための一応の基準を定めたものに過ぎないから,訴訟においては,原告の具体的な障害の態様を参酌して,後遺 限されるもの」に該当すると言うべきである。 もっとも,後遺障害等級の認定基準は,後遺障害の認定のための一応の基準を定めたものに過ぎないから,訴訟においては,原告の具体的な障害の態様を参酌して,後遺障害等級第7級に該当すると認定できることは明らかである。 (ウ)逸失利益額原告は,平成19年5月には51歳となるところ,本件事故がなければ,その後67歳に達するまでの16年間にわたって稼働し,この間,毎年,50ないし54歳の中卒男子労働者の平均年収である528万9100円(賃金センサス平成14年による。)の収入を得られたはずであったが,前記bの後遺障害により,原告は労働能力の35パーセントを喪失することとなった。 よって,後遺障害による逸失利益額は,2006万3143円となる。 528万9100円×0.35×10.838=2006万3143円(10.838は,就労可能年数16年に対応するライプニッツ係数である。)エ傷害慰謝料原告は,本件事故により受傷し,前記1(3)のとおり通院治療を受けることを余儀なくされた。このことによる精神的苦痛を金銭で慰謝するに,300万円が相当である。 オ後遺障害慰謝料 原告は,本件事故により,前記ウ(イ)掲記の後遺障害が残存することとなった。このことによる精神的苦痛を金銭で慰謝するに,700万円が相当である。 カ小計以上の損害額を合計すると,4689万3534円となる。 キ既払額の控除原告は,上記損害を填補するものとして,自賠責保険から,205万1178円の給付を受けているから,これを控除した損害額は4484万2356円となる。 ク弁護士費用原告は,被告らが任意の支払いに応じなかったため,弁護士に依頼して本件訴訟を提起し遂行せざるを得なくなった。本件訴訟にかかる弁護士費用のうち,200万円に 84万2356円となる。 ク弁護士費用原告は,被告らが任意の支払いに応じなかったため,弁護士に依頼して本件訴訟を提起し遂行せざるを得なくなった。本件訴訟にかかる弁護士費用のうち,200万円については,本件事故と相当因果関係があるものとして,賠償されるべきである。 ケ合計したがって,被告らが原告に賠償するべき損害額は,4684万2356円である。 (被告らの主張)ア治療費本件交通事故と相当因果関係のある後遺障害は,頸椎捻挫だけである。そして,これは平成13年2月15日ころには後遺障害等級第14級の症状として固定しているのであるから,それ以後の治療費は,本件事故との相当因果関係はない。 また,マッサージや温泉浴治療については,医師が必要と判断したものではなく,この点でも,これらの費用は本件事故と相当因果関係のある損害とは言えない。 なお,通院交通費についても,原告はこれを慰謝料算定に際して考慮され たい旨主張しているが,平成13年2月15日以後については,通院治療の必要性がなかったのであるから,これを慰謝料算定上の事情として考慮するべきではない。 イ休業損害について(ア)欠勤分a欠勤日数について争う。原告の主張する欠勤日数には,休日が含まれている。 b基礎収入額についても争う。原告は,平成12年1月から3月までの平均額を,本件事故当時の収入として主張しているが,これは収入がよかった時期のものである。 原告は,D電工で専属的に働いていたが,従業員としてではなく,いわゆる一人親方として日当2万円の手間請けで働いていたものであって,仕事が切れる時期には収入がなかった。実際には原告の仕事が切れる時期があったことを考えると,原告の実収入はこれよりも低かったはずである。 また,原告がD電工から受け取る金額には,交通費等の あって,仕事が切れる時期には収入がなかった。実際には原告の仕事が切れる時期があったことを考えると,原告の実収入はこれよりも低かったはずである。 また,原告がD電工から受け取る金額には,交通費等の経費も含まれていたのであるから,これらは収入から差し引くべきである。 (イ)求職期間分原告が退職したことは,本件事故と相当因果関係がないから,就職準備期間の休業損害も本件事故と相当因果関係がない。 ウ後遺障害による逸失利益原告は,本件事故により労働能力を35パーセント喪失した旨主張しているが,これは過大な主張である。本件事故と相当因果関係が認められる障害は頸椎捻挫のみである。 エ傷害慰謝料争う。原告が主張する通院日数には,本件事故と相当因果関係のない部分が含まれているから,前提を異にする。 オ後遺障害慰謝料争う。原告が主張する後遺障害の程度は,本件事故と相当因果関係のない傷害を含めているのであって,前提を異にする。本件事故と相当因果関係が認められる後遺障害は,14級の頸椎捻挫だけである。 カ弁護士費用争う。 第3争点に対する判断 本件事故と線維筋痛症の因果関係について(1)事故の態様についてアまず,本件事故と線維筋痛症の因果関係を論じる前提として,本件事故の態様について検討するに,証拠(甲4,179,原告本人)によれば,以下の事実が認められる。 原告車が信号のある交差点の停止線手前で,赤信号に従い,サイドブレーキを引いて停止していた。 被告Cは,酒を飲んで自動車を運転し,時速60キロメートル程度で走行していたが,衝突直前まで前方で停止していた原告車に気がつかず,ほとんどそのままの速度で原告車に追突した。 この衝突の衝撃で,原告車の後部が一瞬浮き上がり,原告車の運転席に乗っていた原告は運転席の天井に頭をぶつけた(甲 まで前方で停止していた原告車に気がつかず,ほとんどそのままの速度で原告車に追突した。 この衝突の衝撃で,原告車の後部が一瞬浮き上がり,原告車の運転席に乗っていた原告は運転席の天井に頭をぶつけた(甲4,183)。また,原告車はこの衝突の弾みで交差点内に弾き出され,前方約23.8メートルで停止した。また,原告車は,フレームが曲がり,重い荷物が積めない状態になった。 イこれに対して,被告らは,被告車は衝突時点では時速約20ないし30キロメートルであった旨主張しており,一部これに沿う内容の証拠も存在する(甲181,184)。 しかしながら,証拠(甲179)によれば,被告車が原告車に追突した弾みで,停止していた原告車が前方に20メートル以上もはじき出されて いることが認められる。 また,被告車の後方約100メートルをトラックで追従していたHは,事故現場付近ではそれほどスピードを出していなかったと思うとしながらも,被告車が前方に止まっていた原告車にブレーキを掛けないまま追突したように見えた旨述べている(甲178)。同人は,本件事故現場の約2. 5キロメートル手前で被告車に追い越された後,被告車が左右にふらつきながら走行していたことから,被告車の動向に意識を向けて観察していたものであって,本件事故の状況についても,原告車が前方に止まっているところへ被告車が接近してゆく場面からはっきりと認識しているのであって,その目撃供述は信用に値するものと言える。 これらの事実に照らせば,被告らの主張は採用できない。 (2)原告の症状の経過について次いで,本件事故後の原告の症状の経過について検討するに,証拠(甲6ないし21,24ないし36,258,259,264,265,原告本人)によれば,以下の事実が認められる。 ア本件事故から約20日間の症状の経過( の原告の症状の経過について検討するに,証拠(甲6ないし21,24ないし36,258,259,264,265,原告本人)によれば,以下の事実が認められる。 ア本件事故から約20日間の症状の経過(ア)原告は,本件事故翌日である平成12年7月18日にG病院を受診した。原告には,頸部痛,頸部運動痛,右肩・上腕痛,胸腹部痛,腰部痛が認められたが,レントゲン写真では明らかな骨折は認められなかった(甲6)。その後,原告は,同年8月3日までの間,同病院に外来通院で受診し(診療実日数は9日),痛み止めのための投薬や,頸部固定などの治療を受けた(甲6ないし8)。 (イ)また,原告は,この間の平成12年7月31日には,I市医療センター医師会病院で頸椎MRI検査を受けた(甲6)。カルテ上は異常所見は認められなかったと記録されているが,原告は,頸椎が3個ほど飛び出ており,後頸部を通る神経の表面に触れていた旨の説明を受け,また,加齢性の変性の可能性を示唆された(原告本人)。 (ウ)原告は,この間,頸部をカラーで固定した上,毎日痛み止めの注射をしてもらっていたため,耐えられないほど強い痛みを感じることはなかった(原告本人)。 イ激しい痛みの発生本件事故後20日くらいで,原告は,仕事に行くために,医師に確認の上,頸部を固定していたカラーを外すほどになっていた(原告本人)。 ところが,そのころから,原告は,首に衝撃があると目の前が真っ白になるような痛みが走り,急に首を動かしたり縁石から飛び降りたりすると響くような痛みを感じるようになった。この痛みは,次第に下を向いたりあくびをするだけでもがくんと痛むようになるなど激しくなり,平成15年ころには,響くような痛みはなくなったものの,こめかみがうずくなどの痛みが持続していた(原告本人)。 ウその後の受診 向いたりあくびをするだけでもがくんと痛むようになるなど激しくなり,平成15年ころには,響くような痛みはなくなったものの,こめかみがうずくなどの痛みが持続していた(原告本人)。 ウその後の受診(ア)原告は,平成12年8月7日,P医院で受診し,頸椎捻挫,右肩,上腕打撲,腰部捻挫と診断された(甲10)。また,原告は,後頭部から頸部にかけての疼痛を訴えていた。 原告は,平成13年7月末までの間,同病院に通院して,投薬や温熱治療などの理学療法,頸椎牽引治療,リハビリテーション等を受けていた(甲10ないし21,24ないし35,原告本人)が,症状の改善は見られず,一時しのぎの効果しか得られなかった(原告本人)。 なお,原告の実通院日数は,平成13年1月までは月15ないし21日,同年2月から6月までは月6ないし11日,同年7月は2日であった。 (イ)原告は,平成13年7月,後遺障害について保険金の請求をするため,P医院で後遺症の診断書を書いてくれるよう依頼したが,P医師に,事故当初の状況をよく知っているG病院に行くよう言われて紹介状を書いてもらい,それを持ってG病院で,平成13年7月12日に症状固定し た旨の診断書を作成してもらった(甲9,原告本人)。 (ウ)平成13年10月18日に,国立I病院で頸部MRI検査を実施したところ,頸椎症を疑わせる所見が認められた(甲36)。 エ線維筋痛症の診断(ア)原告は,平成17年7月11日にK県立身体障害者リハビリテーションセンターのL医師の診察を受け,線維筋痛症,脳脊髄液減少症の疑いがあると診断された(甲259)。 (イ)原告が,平成17年9月7日から同月9日までの間,M医療センターに入院して受診したところ,低髄液圧症候群については否定的との診断がされた(甲265)。 (ウ)平成17年10月 甲259)。 (イ)原告が,平成17年9月7日から同月9日までの間,M医療センターに入院して受診したところ,低髄液圧症候群については否定的との診断がされた(甲265)。 (ウ)平成17年10月17日,N病院で診察を受け,外傷後頸部症候群,線維筋痛症疑い,外傷後頭痛と診断された(甲264)。 原告は,同病院で,今後の仕事,生活について,激しい運動の禁止,同じ姿勢でいることや同じ動きをすることの禁止,長時間の歩行・ウォーキングの禁止などの注意を与えられ,風呂や温泉に入ることが,血行がよくなり,浮力で筋肉がリラックスできるとの指導を受けた(甲258)。 (3)線維筋痛症について証拠(甲268,269)によれば,線維筋痛症について,以下の事実が認められる。 ア線維筋痛症は,圧痛以外の他覚所見がないにもかかわらず,全身に疼痛を来す疾患である。 3か月以上広範囲の疼痛が継続し,かつ,指による触診で所定の18箇所のうち11箇所以上に圧痛(ここで圧痛とは,約4キログラムの力で触診し,医師が何も尋ねないにもかかわらず患者が痛みを訴えた場合をいう。)がある場合に,線維筋痛症と診断される。 イ線維筋痛症の原因については,ウイルス感染説,不眠説,食物アレルギ ー説,化学物質過敏説,内分泌異常説,自律神経異常説,下行性疼痛抑制系の機能不全説など多くの説が唱えられているが,現在においても医学的に明らかにされていない。 ウ有病率は全人口の2パーセント強と推測されている。患者の8割から9割が女性であり,年齢とともに有病率が増加すると推測されており,70歳代女性の有病率が7.4パーセントであるとの報告もある。 エ線維筋痛症の発症に関連する要因としては,社会的,精神的ストレスが線維筋痛症の引き金となると考えられている。また,職場のいじめや,労働量の多い 性の有病率が7.4パーセントであるとの報告もある。 エ線維筋痛症の発症に関連する要因としては,社会的,精神的ストレスが線維筋痛症の引き金となると考えられている。また,職場のいじめや,労働量の多い職種,単純労働は線維筋痛症を引き起こしやすいとの報告がある。そのため,線維筋痛症と心因性疼痛との鑑別ないし競合が問題となる。 オまた,線維筋痛症の発症の契機として,外傷や手術なども挙げられており,外傷後に生じた線維筋痛症のうち約60パーセントは交通事故が原因であるという報告もある。また,頸椎外傷を受けた患者の線維筋痛症の発症率は21.6パーセントであり,下肢の骨折患者における線維筋痛症の発病率は1.7パーセントであるのに対して,極めて高い発病率を示している。 (4)小括ア以上に述べたところを総合すれば,原告は,本件事故により身体に大きな物理的衝撃を受けて頸椎捻挫などによる頸部痛等を発症し,その後投薬や頸部の固定などの治療を受けていたところ,本件事故から20日くらい経ったころ,首や肩などの痛みが増し,その後,頸椎捻挫等の治療として牽引等の施術を継続して受けていたにもかかわらず,長期間にわたって痛みが引かないまま症状が推移し,最終的に線維筋痛症と診断されるに至っている。 そして,前述したとおり,外傷が線維筋痛症の発症の契機として挙げられており,特に頸椎外傷を受けた患者で線維筋痛症の発症率が高いことに照らせば,原告の線維筋痛症が本件事故による頸椎捻挫等と無関係に生じ たものとは考えがたく,両者の間に一応の因果関係の存在が認められると言うべきである。 イもっとも,線維筋痛症の原因は医学的に明らかになっていないが,これまでに得られた医学的知見では,線維筋痛症の発症に影響する因子として,精神的・社会的ストレスなどの要素が有意なものとして指摘 る。 イもっとも,線維筋痛症の原因は医学的に明らかになっていないが,これまでに得られた医学的知見では,線維筋痛症の発症に影響する因子として,精神的・社会的ストレスなどの要素が有意なものとして指摘されていることや,線維筋痛症の診断条件を満たすものの中には,心因性疼痛として分類されてきたものも含まれることなどが認められるのであって,線維筋痛症の発症において,心因的な要素も大きな影響を及ぼしている可能性も高い。 ウそして,原告は,本件事故後15日目に撮影されたMRIで,頸椎のうち3個が飛び出して後頸部で神経の表面に軽く接触していることや,このことについて加齢性変化による影響が疑われることを指摘されているのであって,本件事故以前から原告には,頸椎外傷又はこれと類似の現象を引き起こしやすい身体的素因があったと考える余地も大きい。 エこのように,原告の線維筋痛症の原因については,線維筋痛症の発症の機序そのものが医学的に明らかになっていないため,現時点において科学的に特定することは不可能であるが,これまでに得られている知見や,本件事故により原告が頸椎等に受けた物理的衝撃の大きさを考慮すれば,本件事故による物理的衝撃がまず第一に挙げられるべきものであると言える。 しかしながら,これらと並んで,頸椎の加齢性変性や心因的要素も,線維筋痛症の発症や増悪をもたらす有力な要素となった可能性も高いと言わざるを得ない。 オそこで,これらを総合すれば,原告が線維筋痛症を発症するについて,本件事故の与因の程度は全体の25パーセントと見るのが妥当であると考える。 本件事故による損害について(1)本件事故に帰するべき損害の範囲について ア頸椎捻挫等の傷害に関する損害についてまず,原告の傷害のうち,頸椎捻挫については,追突事故などにより通常に発生する 件事故による損害について(1)本件事故に帰するべき損害の範囲について ア頸椎捻挫等の傷害に関する損害についてまず,原告の傷害のうち,頸椎捻挫については,追突事故などにより通常に発生するものであるから,本件事故によって通常生じるべきものであることが明らかである。 もっとも,前記1(2)ア(イ),ウ(ウ)掲記の事実によれば,原告の頸椎には一定の加齢性変性が存在していたこともうかがわれる。 また,前記1(2)ウ(イ)掲記のとおり,原告は,平成13年7月に,症状が固定した旨の診断書をG病院に発行してもらっている。 そして,証拠(乙1)によれば,頸椎捻挫の一般的な治療期間は,急性期治療が受傷後最長で1か月程度,慢性期治療が2ないし3か月程度であり,それ以後は,薬剤その他の治療からの離脱や,それまでの療養生活で低下した基礎体力の向上,仕事への復帰の促進などを目的とした社会復帰期とされていることが認められる。また,証拠(証人Fの回答書,甲10ないし21,24ないし35)によれば,原告がG病院からP医院に転医した平成12年8月から,同医院での治療を中止した平成13年7月までの間,通院のペースは減少傾向にあったものの,原告の頸椎捻挫の症状についてさほどの変化がなかったことが認められる。 これらの事実を総合すれば,原告が受けた治療のうち,平成13年2月までの部分に限り,追突事故等による頸椎捻挫の治療として通常必要となるものと認めるのが相当である。 イ線維筋痛症を発症したことによる損害についてまた,前記1に述べたところによれば,原告に生じた損害のうち,頸椎捻挫によるものとは認められないものについても,線維筋痛症を発症したことにより生じたと認められるものは,その25パーセントが本件事故に起因する損害として賠償されるべきである。 (2)治療費等 椎捻挫によるものとは認められないものについても,線維筋痛症を発症したことにより生じたと認められるものは,その25パーセントが本件事故に起因する損害として賠償されるべきである。 (2)治療費等ア証拠(甲7ないし8,甲24ないし30,44,187)によれば,平 成13年2月までに原告の治療に要した治療費等は,以下のとおりであると認められる。 (ア)G病院平成12年7月分9万0038円(甲7)平成12年8月分1万3511円(甲8)平成12年11月分7732円(甲44)小計11万1281円(イ)P医院平成12年8月分5万2304円(甲24)平成12年9月分9万2681円(甲25)平成12年10月分9万7074円(甲26)平成12年11月分8万1047円(甲27)平成12年12月分7万4449円(甲28)平成13年1月分7万4617円(甲29)平成13年2月分4万8071円(甲30)小計52万0243円(ウ)I医師会病院5万6627円(甲187)また,証拠(甲9,50)によれば,以下の治療費等については,頸椎捻挫の症状固定の判断を受けるための診察等のために支出したものであると認められる。これについても,全額が本件事故と相当因果関係のある損害に当たると認められる。 (エ)G病院平成13年7月12日1万7100円(甲50)(オ)合計70万5251円イさらに,証拠(甲48ないし133,136ないし143,207ないし252)によれば,原告が以下の治療費等を自費で支出したことが認め られる。これらは,原告の頸椎捻挫の症状固定後の診察及び治療に関するものであるが,原告が線維筋痛症であることが明らかにならない状態で,痛みの原因と解消方法を求めて診察及び治療を受けたことによるも られる。これらは,原告の頸椎捻挫の症状固定後の診察及び治療に関するものであるが,原告が線維筋痛症であることが明らかにならない状態で,痛みの原因と解消方法を求めて診察及び治療を受けたことによるものであるから,線維筋痛症による損害というべきものである(合計34万3749円)。 (ア)P医院平成13年3月分6万2629円(甲48)平成13年4月分3万8864円(甲49)平成13年5月分5万0329円(甲51)平成13年6月分3万5780円(甲52)平成13年7月分1万3525円(甲53)平成13年8月分4400円(甲54ないし58)平成13年9月分3160円(甲59ないし62)平成13年10月分2560円(甲63ないし65)平成13年11月分4370円(甲66ないし72)平成13年12月分4480円(甲73ないし78,133)平成14年1月分4120円(甲79ないし83,89)平成14年2月分3000円(甲84ないし88,90)平成14年3月分1610円(甲91)平成14年4月分1810円(甲92,93)平成14年5月分6300円(甲94ないし98)平成14年6月分6080円(甲99ないし105)平成14年7月分4800円(甲106ないし115)平成14年8月分3660円(甲116ないし122)平成14年9月分4310円(甲123,124,207) 平成14年10月分6240円(甲125ないし131)平成14年11月分5410円(甲132,208ないし211)平成15年2月分6850円(甲212ないし214)平成15年3月分5250円(甲215ないし216)平成15年4月分2060円(甲217)平成15年5月分4240円(甲218,219)平成15年7月分 6850円(甲212ないし214)平成15年3月分5250円(甲215ないし216)平成15年4月分2060円(甲217)平成15年5月分4240円(甲218,219)平成15年7月分4310円(甲220ないし223)平成15年8月分7410円(甲224ないし232)平成15年9月分6120円(甲233ないし240)平成15年10月分5390円(甲241ないし247)平成15年11月分4900円(甲248ないし250)平成15年12月分2380円(甲251)平成16年1月分2380円(甲252)小計31万8727円(イ)G病院平成13年10月24日6724円(甲136)平成13年11月12日3556円(甲137)小計1万0280円(ウ)国立I病院平成13年10月1万1562円(甲138ないし140)平成13年11月3180円(甲141ないし143)小計1万4742円(エ)合計34万3749円ウなお,証拠(甲134,144ないし164,169ないし176,188ないし206)によれば,原告はマッサージ料金や温泉入浴料金を支出していることが認められる。 (ア)マッサージセンターI(甲134,188ないし190)原告は,平成15年9月から同年11月にかけて,マッサージセンターIでマッサージ料金1万7500円を支払った。 (イ)J(甲144ないし164,191ないし206)原告は,平成14年2月に2回(甲163,164),平成14年5月から平成15年3月までに32回(甲144ないし162,191ないし203),平成15年5月,同年8月,同年9月に各1回(甲204ないし206),国民保健温泉地Jで温泉に入浴し,温泉入館料として毎回630円(合計2万3310円)を 144ないし162,191ないし203),平成15年5月,同年8月,同年9月に各1回(甲204ないし206),国民保健温泉地Jで温泉に入浴し,温泉入館料として毎回630円(合計2万3310円)を支払った。また,平成14年6月及び7月にはマッサージ等を受け,合計1万3020円を支払った(甲165ないし168)。 (ウ)Qプラザ(甲169ないし176)原告は,平成13年2月から同年6月まで及び平成14年5月に,Qプラザでマッサージ等を受け,合計4万0050円を支払った(甲169ないし176)。 しかしながら,証拠(原告本人)によれば,原告は,これら温泉施設や浴場に行くに当たって,自ら医師に対して「マッサージはいいですか」などと軽く問いかけて,医師から「いいですよ」という返事を得たに過ぎず,医師から治療上必要なものとしてこれらの温泉施設や浴場に行くよう指示を受けたわけではないことが認められる。 また,証拠(甲258)によれば,原告は,平成17年になって線維筋痛症という診断名が浮上してきた後,N病院から,風呂や温泉に入ることが身体に良いという指導を受けたことが認められるが,これも,単なる日常生活上の指導を越えて,医師から治療上必要なものとして温泉施設や浴場での入浴を指示されたものであると認めるに足りる証拠はない。 これらによれば,上記各支出は,本件事故による傷害の治療に要するべき費用と認めることができない。 (3)欠勤による休業損害ア実稼働日数1日当たりの得べかりし利益証拠(甲37,38,原告本人)によれば,以下の事実が認められる。 (ア)原告が,いわゆる一人親方の形で,Tが代表を務めるD電工において1日2万円の基本給で働いており,残業手当や,現場までの交通費として支給される1日500円ないし1000円程度の経費などと併せて支 ア)原告が,いわゆる一人親方の形で,Tが代表を務めるD電工において1日2万円の基本給で働いており,残業手当や,現場までの交通費として支給される1日500円ないし1000円程度の経費などと併せて支給されていた(原告本人)。 (イ)平成12年1月から同年3月までの91日間(稼働日数64日)で151万3000円の支給を受けていた(甲37)。なお,これによれば,稼働日数1日当たりの支給額は2万3640円である。 (ウ)平成12年4月から本件事故までの間は,D電工の仕事が空いていたため,知り合いのところに仕事に行って収入を得ていた(原告本人)。 (エ)本件事故後も平成14年5月までの間,月によって増減はあるが,平成13年10月分が極端に少ないほかは,D電工から毎月約30万円弱から50万円強の支給を受けていた(甲253,254)。この時期,原告は,現場まで長時間の自動車の運転が辛かったり,急に首を上下に動かすと響くような頭痛がしたりするために作業に支障を来す中で,無理をして仕事を続けていた(原告本人)。 これらによれば,原告は,本件事故後も,本件による欠勤がなければ,平成12年1月から同年3月までの間と同程度の収入が見込まれる状態にあったといえる。 そして,上記(ア)及び(イ)掲記の事実を総合すれば,交通費等の経費を除いた実稼働日数1日当たりの原告の得るべかりし利益は,2万3000円と認めるのが相当である。 イ欠勤の実日数証拠(甲37,38)によれば,原告の欠勤日数は,平成12年7月18日から31日まで休日を含めて14日,同年8月から10月までに休日 を含めず27日であり,欠勤分の給与は全く支給されなかったことが認められる。 ところで,証拠(甲38)によれば,平成12年8月から10月までの92日のうち原告の勤務先所定の休日が23日で 休日 を含めず27日であり,欠勤分の給与は全く支給されなかったことが認められる。 ところで,証拠(甲38)によれば,平成12年8月から10月までの92日のうち原告の勤務先所定の休日が23日であったことが認められるから,これによれば,同年7月18日から31日までの14日間の休日数は4日程度であり,これを除いた欠勤日は10日程度であったと認めることができる。 以上によれば,原告が本件事故により欠勤したことによる休業損害は,85万1000円(2万3000円×37日)であると認められる。 (4)失職後に新たな職を見つけるまでの休業損害原告は,本件事故により線維筋痛症を発症したため,平成14年5月にD電工を退職せざるを得なくなり,以後少なくとも5年間は職につくことができなくなった旨主張する。 しかしながら,証拠(原告本人)によれば,原告は,無理を押してではあるが,本件事故から2年近くの間,D電工で従来どおりの作業に従事していたが,本件事故後の痛みなどにより作業に支障が生じることがあり,周囲の者が残業しているのに早退したり,休暇をもらうことが続いたため,雇主に迷惑が掛かり,周囲の目も冷たくなって居づらさを感じたことから,D電工を退職したことが認められる。 このことによれば,原告は,本件事故により,労働能力の一部は喪失したものの,残部を活用して就労を継続することも一応は可能であったところ,自発的に退職を決意したものと考えられるのであって,原告がD電工を退職したことや,その後一定期間新たな職に就けないことと,本件事故との間に相当因果関係があるとまでは認められない。 したがって,原告が主張する平成14年5月から5年間の休業による損害は,本件事故との間に相当因果関係があるとは認められない。 (5)後遺障害による逸失利益 ア対象となる期間 認められない。 したがって,原告が主張する平成14年5月から5年間の休業による損害は,本件事故との間に相当因果関係があるとは認められない。 (5)後遺障害による逸失利益 ア対象となる期間失職後に新たな職を見つけるまでの休業損害が本件事故により生じた損害として認められない以上,原告が後遺障害のために労働能力を喪失したことによる逸失利益については,症状固定以後の部分が損害として認められるべきである。 もっとも,現時点において,線維筋痛症の原因自体が明らかでなく,治療法も確立していないことに加え,原告の症状が事故後数年を経てもなお継続しているが,今後,原告の線維筋痛症が自然治癒し,あるいは治療により相当程度軽快する可能性も否定できない。 このような不確定的な要素に加えて,原告の年齢をも考慮すれば,現時点の線維筋痛症の症状による労働能力減少が継続する蓋然性が認められる期間としては,症状固定日以降67歳に達するまでの期間の半分程度にあたる11年間と認めるのが相当である。 イ労働能力喪失割合ここまでの認定事実によれば,原告には,本件事故以来,長期間にわたって線維筋痛症の症状が残存したままであること,そのような中で原告が無理を押してD電工の仕事を続けてはいたが,現に原告が当時担当していた高所での作業等に一定の支障が生じていたこと,R病院から,仕事等に関しても,激しい運動や同じ動作の繰り返しをしないよう指導を受けていることが認められる。 これらによれば,原告は,線維筋痛症の症状が残存していることにより,一般的,機械的な労務のうち少なからぬ部分を行うことができない状態にあるといえるところ,これは,後遺障害等級第9級10号にいう「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」よりは多少軽微であると考 うことができない状態にあるといえるところ,これは,後遺障害等級第9級10号にいう「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」よりは多少軽微であると考えられるから,労働能力が30パーセント失われたと認めるのが相当である。 ウ基礎収入 原告は,本件事故がなければ,症状固定日以後,67歳に達するまでの22年間にわたり,毎年,505万1700円(甲294。45歳ないし49歳の中卒男子労働者の平均年間収入)の収入を得られたであろうと認められる。 エ逸失利益額以上によれば,原告の後遺障害による逸失利益額は,1258万7826円(円未満切り捨て)であると認められる。 505万1700円×0.30×8.306=1258万7826円(8.306は稼働可能年数11年に対応するライプニッツ係数である。)(6)傷害慰謝料原告は,本件事故により,頸椎捻挫の傷害を負い,その通常の通院治療期間を過ぎた後も,線維筋痛症により,少なくとも平成16年1月ころまでは,相応の交通費を支出して通院を続けていたことが認められる。 原告がこれらの障害を負ったことによる精神的苦痛を慰謝するには,頸椎捻挫部分については90万円,線維筋痛症部分を含めると205万円が相当である(線維筋痛症部分は115万円となる。)。 (7)後遺障害慰謝料原告は,本件事故により,頸椎捻挫の傷害を負い,さらには線維筋痛症を発症し,その症状が残存している状態にある。 もっとも,現時点において,線維筋痛症の原因自体が明らかでなく,治療法も確立していないことに加え,原告の症状が事故後数年を経てもなお継続しているが,今後,原告の線維筋痛症が自然治癒し,あるいは治療により相当程度軽快する可能性も否定できない。 これらの事情を考慮すれば,原告が線維筋痛症の に加え,原告の症状が事故後数年を経てもなお継続しているが,今後,原告の線維筋痛症が自然治癒し,あるいは治療により相当程度軽快する可能性も否定できない。 これらの事情を考慮すれば,原告が線維筋痛症の後遺障害を被ったことにより受けた精神的苦痛を金銭で慰謝するに350万円が相当である。 (8)小計以上をまとめると,損害額は以下のとおりとなる。 ア頸椎捻挫により通常生じるべき損害平成13年2月までの治療費等70万5251円欠勤による休業損害85万1000円傷害慰謝料90万円小計245万6251円イ線維筋痛症を発症したことによる損害平成13年3月以降の治療費等34万3749円後遺障害による逸失利益1258万7826円傷害慰謝料115万円後遺障害慰謝料350万円小計1758万1575円そして,上記アについては全額,上記イについては25パーセントが,本件事故と相当因果関係のある損害として賠償されるべきであるから,その合計額は685万1644円(円未満切捨て)となる。 1758万1575円×0.25=439万5393円245万6251円+439万5393円=685万1644円(9)既払額の控除原告は,自賠責保険から205万1178円の給付を受けており,これは前記(8)の損害の填補に充てられた。 よって,未補填の損害は,480万0466円である。 685万1644円-205万1178円=480万0466円(10)弁護士費用本件事案の内容に照らせば,原告が本件訴訟の提起及び遂行のために要した弁護士費用のうち,48万円については,本件事故と相当因果関係のある損害として賠償されるべきものと認められる。 (11)合計以上によれば,本件事故により原告に生じた損害のうち,本件事故と相当 因果関係がある損害と 万円については,本件事故と相当因果関係のある損害として賠償されるべきものと認められる。 (11)合計以上によれば,本件事故により原告に生じた損害のうち,本件事故と相当 因果関係がある損害として賠償されるべき額は,528万0466円である。 結論 以上によれば,原告の請求のうち,被告Cに対しては不法行為に,被告Bに対しては自動車運行供用者責任にそれぞれ基づき,両名連帯して528万0466円及びこれに対する本件事故日である平成12年7月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 平成18年10月13日山口地方裁判所岩国支部裁判官寺元義人
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