平成14年(行ケ)第621号特許取消決定取消請求事件口頭弁論終結日平成15年5月22日判決原告株式会社三共訴訟代理人弁理士深見久郎同森田俊雄同塚本豊同中田雅彦被告特許庁長官太田信一郎指定代理人藤井俊二同鈴木寛治同涌井幸一同大野克人 主文 1 特許庁が異議2000-73135号事件について平成14年10月25日にした決定を取り消す。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 1 原告の請求(1) 主文1項と同旨。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 当事者間に争いのない事実(1) 特許庁における手続の経緯原告は,発明の名称を「遊技用設備装置」とする特許第3011272号の特許(昭和63年6月21日出願,平成11年12月10日設定登録,以下「本件特許」といい,その発明を「本件発明」という。)の特許権者である。 本件特許に対し,請求項1につき,特許異議の申立てがあり,その申立ては,異議2000-73135号事件として審理された。原告は,この審理の過程で,平成13年6月18日,本件特許の出願に係る願書の訂正の請求をした。特許庁は,上記事件につき審理し,その結果,平成14年10月25日,この訂正(以下「本件第1訂正」とい 。原告は,この審理の過程で,平成13年6月18日,本件特許の出願に係る願書の訂正の請求をした。特許庁は,上記事件につき審理し,その結果,平成14年10月25日,この訂正(以下「本件第1訂正」という。)を認めた上で,「特許第3011272号の請求項1に係る特許を取り消す。」との決定をし,同年11月18日に,その謄本を原告に送達した。 (2) 決定の理由決定の理由は,要するに,本件発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許は,この規定に違反して登録されたものである,とするものである。 (3) 原告は,本訴係属中の平成15年3月10日,本件特許の出願の願書に添付された明細書の訂正をすることについて審判を請求した。特許庁は,これを訂正2003-39048号事件として審理し,その結果,平成15年4月28日に上記訂正(以下「本件第2訂正」という。)をすることを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,これが確定した。 3 本件第1訂正前の本件特許の特許請求の範囲(甲第3号証・特許公報に記載のもの)「【請求項1】「遊技場に設置された遊技機により遊技を行なった後遊技者の所有となった持点を使用して景品交換を行なうための遊技用設備装置であつて,遊技場で遊技者が使用する記録媒体であって,記録媒体同士を識別するための記録媒体識別情報が記録された記録媒体と,前記記録媒体識別情報毎に対応させて持点情報を格納している持点格納手段と,前記記録媒体の記録媒体識別情報を読取り,前記持点格納手段に格納されている持点情報のうち前記読取った記録媒体識別情報に対応する持点情報に対し,当該記録媒体識別情報を記録している記録媒体を使用している遊技者が前 体の記録媒体識別情報を読取り,前記持点格納手段に格納されている持点情報のうち前記読取った記録媒体識別情報に対応する持点情報に対し,当該記録媒体識別情報を記録している記録媒体を使用している遊技者が前記遊技機により遊技を行なった後当該遊技者の所有となった持点情報を加算更新可能な持点加算更新手段と,前記記録媒体の記録媒体識別情報を読取り,前記持点格納手段に格納されている持点情報のうち前記読取った記録媒体識別情報に対応する時点情報の範囲内で景品交換が可能な景品交換手段とを含み,数日間にわたって前記遊技機により遊技を行なつた結果,該数日間にわたつて前記持点格納手段に格納されて累積的に加算更新された持点情報による景品交換を可能にするとともに,前記記録媒体には前記持点情報を記録させないようにしたことを特徴とする,遊技用設備装置。」 4 本件第1訂正後の本件特許の特許請求の範囲(下線部が訂正された箇所である。)「【請求項1】「遊技場に設置された遊技機により遊技を行なった後遊技者の所有となった持点を使用して景品交換を行なうための遊技用設備装置であつて,遊技場で遊技者が使用する記録媒体であって,記録媒体同士を識別するための記録媒体識別情報が記録された記録媒体と,前記記録媒体識別情報毎に対応させて持点情報を格納している持点格納手段と,前記記録媒体の記録媒体識別情報を読取り,前記持点格納手段に格納されている持点情報のうち前記読取った記録媒体識別情報に対応する持点情報に対し,当該記録媒体識別情報を記録している記録媒体を使用している遊技者が前記遊技機により遊技を行なった後当該遊技者の所有となった持点情報を加算更新可能な持点加算更新手段と,前記記録 し,当該記録媒体識別情報を記録している記録媒体を使用している遊技者が前記遊技機により遊技を行なった後当該遊技者の所有となった持点情報を加算更新可能な持点加算更新手段と,前記記録媒体の記録媒体識別情報を読取り,前記持点格納手段に格納されている持点情報のうち前記読取った記録媒体識別情報に対応する持点情報の範囲内で景品交換が可能な景品交換手段とを含み,数日間にわたって前記遊技機により遊技を行なつた結果,該数日間にわたつて前記持点格納手段に格納されて累積的に加算更新された持点情報による景品交換を可能にするとともに,前記記録媒体には前記持点情報を記録させないようにしたことを特徴とする,遊技用設備装置。」 5 本件第2訂正後の本件特許の特許請求の範囲(下線部が本件第1訂正後のものと比較した場合の訂正箇所である。)「【請求項1】遊技場に設置された遊技機により遊技を行なった後遊技者の所有となった持点を使用して景品交換を行なうための遊技用設備装置であって,遊技場で遊技者が使用する記録媒体であって,記録媒体同士を識別するための記録媒体識別情報が記録された記録媒体と,前記記録媒体識別情報毎に対応させて持点を格納している持点格納手段と,前記記録媒体の記録媒体識別情報を読取り,前記持点格納手段に既に格納されている持点情報のうち前記読取った記録媒体識別情報に対応する持点情報に対し,当該記録媒体識別情報を記録している記録媒体を使用している遊技者が前記遊技機により遊技を行ない終了した後当該遊技者の所有となった新たな持点情報を加算更新可能な持点加算更新手段と,前記記録媒体の記録媒体識別情報を読取り,前記持点格納手段に格納されている持点情報のうち前記読取った記録媒 後当該遊技者の所有となった新たな持点情報を加算更新可能な持点加算更新手段と,前記記録媒体の記録媒体識別情報を読取り,前記持点格納手段に格納されている持点情報のうち前記読取った記録媒体識別情報に対応する持点情報の範囲内で景品交換が可能な景品交換手段とを含み,前記持点情報は,数日間にわたって景品交換に用いることができる数日間景品交換用持点情報と,遊技者が前記遊技を行ない終了した後当該遊技者の所有となった新たな持点情報であって使用期限が1日限りである1日使用期限持点情報とからなり,前記持点格納手段は,前記数日間景品交換用持点情報を格納する数日間景品交換用持点情報領域と,前記1日使用期限持点情報を格納する1日使用期限持点情報領域とを有し,遊技者が,前記遊技を行ない終了した後当該遊技者の所有となった新たな1日使用期限持点情報をその日の内に使用することなく前記数日間景品交換用持点情報領域の数日間景品交換用持点情報に加算更新して数日間にわたって累積的に格納する選択を行なうことにより,前記遊技を行ない終了した後当該遊技者の所有となった新たな1日使用期限持点情報が前記数日間景品交換用持点情報領域に既に格納されている数日間景品交換用持点情報に加算更新され,数日間にわたって前記遊技機により遊技を行なった結果,該数日間にわたって前記数日間景品交換用持点情報領域に格納されて累積的に加算更新された数日間景品交換用持点情報による景品交換を可能にするとともに,前記記録媒体には前記1日使用期限持点情報と前記数日間景品交換用持点情報を記録させないようにしたことを特徴とする,遊技用設備装置。」 6 当裁判所の判断上記当事者間に争いのない事実によれば,本件第2訂正前の本件特許の請求の範囲(本件第1訂正後の特許請求の範囲 を記録させないようにしたことを特徴とする,遊技用設備装置。」 6 当裁判所の判断上記当事者間に争いのない事実によれば,本件第2訂正前の本件特許の請求の範囲(本件第1訂正後の特許請求の範囲)請求項1の記載に基づき,その発明を認定し,これを前提に,特許法29条2項の規定に違反して登録された特許であることを理由に,請求項1につき本件特許を取り消した決定の取消しを求める訴訟の係属中に,当該特許に係る特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審判が請求され,特許庁は,これを認める審決(本件訂正審決)をし,これが確定したということができる。 決定は,これにより,結果として,請求項1について判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったことになり,この誤りが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,決定は,取消しを免れない。 7 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第6民事部 裁判長裁判官山下和明 裁判官設樂隆一 裁判官高瀬順久 順久
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