平成18(行ウ)5 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年11月9日 神戸地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文5,235 文字)

主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求の趣旨 被告は,A及び篠山市総務部職員課長Bに対し,31万5000円及びこれに対する平成17年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払いを請求せよ。 仮執行宣言第2事案の概要本件は,篠山市の住民である原告が,同市総務部職員課長と原告が主張するBの決裁により同市がした弁護士に対する着手金の支払は違法な公金支出であるとして,被告に対し,同市市長であるA及びBに同着手金相当額の損害賠償の請求をすることを求める住民訴訟である。 争いのない事実及び容易に認定できる事実(後記(1)は争いがない。)(1)原告は,篠山市の住民である。 (2)原告は,平成17年9月20日,篠山市監査委員(以下「監査委員」という。)に対し,篠山市が同市職員に対する懲戒処分でっち上げ事件を推進するためにC法律事務所の弁護士藤井勲及び同西野航らに着手金として30万円を支払ったのは違法な公金支出であるとする住民監査請求をし(以下「本件監査請求」という。),監査委員は,同年11月17日までに,原告の主張には理由がない旨の監査結果を記載した書面(以下「本件通知書面」という。)を作成した(乙1)。 主な争点 (1)出訴期間徒過①被告の主張ア監査委員は,平成17年11月17日,原告に対して本件通知書面を書留郵便で発送し,同書留郵便は,同月18日,原告方に配達されようとしたが,不在のため配達できず,同年12月5日,保管期間切れのため篠山市役所に返送された。監査委員は,原告に対し,同年12月5日,本件通知書面を再度書留郵便で発送したが,同月26日,前回同様,返送された。 イ書留郵便の不在配達通知には,差出人の氏名,配達日時,留置期間,郵便物の種 。監査委員は,原告に対し,同年12月5日,本件通知書面を再度書留郵便で発送したが,同月26日,前回同様,返送された。 イ書留郵便の不在配達通知には,差出人の氏名,配達日時,留置期間,郵便物の種類等が記入される扱いとなっており,また,原告は,従前,何度も監査請求をし,監査結果が郵送されてくること及び監査期間が法定されていることを熟知していたから,本件についても,監査結果が出されるころに,篠山市役所から書留郵便物が届けば,中身が監査結果であることは容易に推測できた。 加えて,現在の郵便実務上,原告は,郵便物の受取方法を指定することで容易に受領が可能である。 ウ以上からすると,原告は,第1回目の書留郵便の中身が監査結果であることが容易に推測可能であり,遅くともその保管期間の満了日である平成17年12月5日には同書留郵便を受領することが可能であった。 原告の本訴提起は,平成17年12月5日から30日を経過した後の平成18年1月24日であるから,本件訴えは,出訴期間を徒過したものとして不適法である。 なお,第2回目の書留郵便の保管期間満了日である平成17年1 2月13日を基準としても,本件訴えは,出訴期間を徒過している。 ②原告の主張日本の法律は,一部例外を除き大半が到達主義であり,本件の郵便物は,平成17年12月27日ころ,原告宅に配達されたことは推定されるが,到達したかどうかは不明である。仮に,同日到達したとしても,原告は,それから30日以内に本訴を提起しているから,本件訴えは適法である。 (2)違法な財務会計行為の有無①原告の主張Bと篠山市長A及びC法律事務所の弁護士らの三者は,共謀して,同市の特定の職員に関する恐喝未遂の懲戒理由を捏造し,同職員に対する懲戒処分事件をでっち上げた。篠山市が,前記でっちあげ事件に関し,B Bと篠山市長A及びC法律事務所の弁護士らの三者は,共謀して,同市の特定の職員に関する恐喝未遂の懲戒理由を捏造し,同職員に対する懲戒処分事件をでっち上げた。篠山市が,前記でっちあげ事件に関し,Bの決裁によりC法律事務所の弁護士らに対して着手金31万5000円(消費税分含む。)を支払ったのは,違法な公金支出である。 ②被告の認否篠山市が特定職員の懲戒処分手続をC法律事務所に委任し,平成17年6月8日,着手金31万5000円(消費税分を含む。)を支払ったことは認めるが,この着手金の支払が違法であることは争う。 第3当裁判所の判断 出訴期間徒過について(1)前記第2,1,(2)の事実,乙2号証の1ないし4,3号証の1ないし4,4号証,10,11号証及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が 認められる。 (監査結果通知送付の経緯)①原告は,平成17年9月20日,本件監査請求をした。 ②篠山市の監査委員事務局(以下「監査委員事務局」という。)は,平成17年11月17日,原告に宛てて,本件通知書面を書留郵便で発送した(以下「本件書留郵便1」という。)。本件書留郵便1の封筒には,差出人として,篠山市役所監査委員事務局と記載されていた。 ③篠山郵便局の職員は,平成17年11月18日,2回にわたり,本件書留郵便1を原告の肩書住所地に配達しようとしたが,原告が不在のため配達できなかった。 ④篠山郵便局は,留置期間満了日である平成17年11月25日を経て同年12月4日までの間,本件書留郵便1を留め置き,同年12月4日,これを還付するため監査委員事務局宛に発送し,同事務局は,同月5日,これを受領した。 ⑤監査委員事務局は,平成17年12月5日,再度,原告に宛てて,本件通知書面を書留郵便で発送した(以下「本件書留郵便2」という。)。本件 事務局宛に発送し,同事務局は,同月5日,これを受領した。 ⑤監査委員事務局は,平成17年12月5日,再度,原告に宛てて,本件通知書面を書留郵便で発送した(以下「本件書留郵便2」という。)。本件書留郵便2の差出人の記載は,同書留郵便1と同じであった。 ⑥篠山郵便局の職員は,平成17年12月6日,2回にわたり,本件書留郵便2を原告の肩書住所地に配達しようとしたが,原告が不在のため配達できなかった。 ⑦篠山郵便局は,留置期間である平成17年12月13日を経て同月25日までの間,本件書留郵便2を留め置き,同月25日,これを還付するため監査委員事務局宛に発送し,同事務局は,同月26日,こ れを受領した。 ⑧監査委員事務局は,平成17年12月26日,原告に宛てて,本件通知書面を普通郵便で発送した。 (受取人不在の場合の取扱)①篠山郵便局は,平成17年12月当時,書留郵便の受取人が不在で配達できなかった場合は,「郵便物お預かりのお知らせ」(以下「お知らせ」という。)を受取人宅に投函していた。 お知らせには,配達日時,保管期間(留置期間。通常は配達日から1週間),郵便物の種類(現金書留,その他の書留,特別送達等)等が記載されている。また,お知らせには,差出人の氏名又は団体名が記載されたが,篠山市が差出人の場合,郵便物には実際に差し出した担当部署の記載があっても,お知らせの差出人欄には,担当部署まで記載しないことが多かった。 不在であった受取人は,お知らせに配達希望日時,住所地以外の希望配達先の住所等を記載してポストに投函するか又はファクシミリ,電話,インターネットにより,再配達の希望日時等を篠山郵便局に連絡して再配達を受けるか,または,直接郵便局に赴いて郵便物を受け取る。 ②篠山郵便局は,お知らせを投函してから数日経過しても受取人が 電話,インターネットにより,再配達の希望日時等を篠山郵便局に連絡して再配達を受けるか,または,直接郵便局に赴いて郵便物を受け取る。 ②篠山郵便局は,お知らせを投函してから数日経過しても受取人が郵便局を訪れて郵便物を受領せず,また,受取人からの連絡もない場合,保管中の郵便物の種類,保管期間及び差出人の氏名等を記載した葉書(以下「案内葉書」という。)を受取人宅に投函していた。 (原告に対する郵便物の配達状況)原告方には,多くの郵便物が配達されるが,篠山市からの郵便物は, 税金,選挙及び文書公開等関係の普通郵便が平均すると週に2,3通ある。篠山市から書留郵便で原告宛てに発送されるのは,ほとんどが監査委員事務局からのものである。 (監査委員事務局が発送する郵便物の内容)監査委員事務局が,監査請求人に対して発送する郵便物は,通常は,口頭陳述の期日指定通知及び監査結果の通知であり,他に,監査請求書が補正を要する場合に補正を命ずる書面等を郵送することがある。 (2)①地方自治法242条の2第2項1号にいう「監査の結果の通知があった日」とは,監査結果の通知が監査請求人に到達した日をいうと解されるところ,ここでいう「到達」は,監査請求人が,当該通知を直接受領し,又はその内容を了知することを要するものではなく,監査請求人の了知可能な状態に置かれることをもって足りると解すべきである。これと異なる原告の主張は採用できない。 本件のように,監査委員の事務局が,監査結果を書留郵便で監査請求人に対して発送したが,監査請求人が不在で配達されず留置期間経過後同事務局に還付された場合においては,監査請求人が,郵便局に自分宛の郵便物が留置されていることを認識することが可能で,かつ留置されている郵便の内容が監査結果である蓋然性が高いことを認識することができ,また に還付された場合においては,監査請求人が,郵便局に自分宛の郵便物が留置されていることを認識することが可能で,かつ留置されている郵便の内容が監査結果である蓋然性が高いことを認識することができ,また,監査請求人に受領の意思があれば,さしたる労力,困難を伴うことなく当該書留郵便を受領することができたときは,当該通知は,社会通念上,監査請求人の了知可能な状態に置かれ,遅くとも留置期間満了時点で監査請求人に到達したものと解するのが相当である。 ②ア本件についてこれをみると,前記認定事実によれば,篠山郵便局 の職員は,平成17年11月18日,本件書留郵便1を原告に配達できなかった際,お知らせを原告宅に投函し,さらに同郵便局は,留置期間満了日である同月25日までの間に,案内葉書を原告宅に投函したものと推認され,これを覆す特段の事情を認めるべき証拠はないから,原告は,留置期間満了前に,本件書留郵便1が郵便局に留置されていることを認識し得たものといえる。 イまた,その当時,原告及びその家人が,長期間の旅行又は入院等により自宅を留守にしていたなどの事情を窺わせる証拠はないから,原告は,お知らせに記載された受取方法の指定等により,さしたる労力,困難を伴うことなく本件書留郵便1を受領することができたということもできる。 ウ前記認定事実によれば,お知らせには,差出人として篠山市役所の記載はあったはずであるが,「監査委員事務局」とまで記載されていた可能性は低い。 しかし,お知らせの記載内容からは,郵便局に留置されている郵便物が,篠山市役所からの書留郵便であることが判明するところ,原告宅に配達される原告宛ての篠山市からの書留郵便は,ほとんどが監査委員事務局からのものであること,監査委員事務局が,監査請求人に対して発送する郵便物は,通常は,口頭陳述の期 ことが判明するところ,原告宅に配達される原告宛ての篠山市からの書留郵便は,ほとんどが監査委員事務局からのものであること,監査委員事務局が,監査請求人に対して発送する郵便物は,通常は,口頭陳述の期日指定通知及び監査結果の通知であること,原告は本件監査請求前にも住民監査請求をした経験が複数回あること(弁論の全趣旨)に照らすと,仮に,原告が当時他の監査請求をしていたとしても,本件監査請求の時期等を考え併せれば,留置されている書留郵便の内容が,本件監査請求に対する監査結果の通知である蓋然性が高いことを認識す ることができたというべきである。仮に,原告又は家人による紛失等の事情により原告宅に投函されたお知らせを原告が現実には見ていなかったとしても,前記判断は左右されない。 エ以上によれば,本件通知書面は,遅くとも本件書留郵便1の留置期間満了の日である平成17年11月25日に原告に到達したものと認められる。 (3)本件訴えは,原告に対する本件通知書面の到達日である平成17年11月25日から30日を経過した後の平成18年1月24日に提起されたから,地方自治法242条の2第2項1号所定の出訴期間を徒過したものであることが明らかである。 結論 以上の次第で,本件訴えは不適法であるからこれを却下することとし,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官佐藤明裁判官菊池章裁判官松下絵美

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