主文 被告人を懲役5年に処する。 未決勾留日数中160日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和6年5月9日午後8時4分頃から同月10日午前6時45分頃までの間に、津市(住所省略)所在の被告人方において、実母であるA(当時66歳)に対し、その胸部及び腹部等を5回から10回手拳で殴打し、5回から10回足蹴りした上、その頭部を1回熊手の柄で殴打する暴行を加え、Aに多発肋骨骨折に基づく肺挫傷等の傷害を負わせ、その頃から同月10日午後7時頃までの間に、同所において、Aを肺挫傷による左血気胸により死亡させた。 (量刑の理由)同居していた実母に対する傷害致死事件である。 無抵抗の被害者に対し一方的に執拗な暴行を加えた。暴行は多数の肋骨骨折、更には致命傷となった肺挫傷、血気胸を負わせるほど強度なもので、被害者を死亡させる危険性は相応に高かったといえる。被害者を死亡させた結果は当然ながら重大である。 被害者が無断で被告人の部屋に立ち入ったと思い立腹して犯行に及んだ。安易、浅はかである。かねてから被害者に対し、同じような暴行を常習的に繰り返していたことも併せ考えると、一層強い非難に値する。もっとも、被害者は、無断で被告人の部屋に立ち入って物色するなど、被告人の嫌がる行動を繰り返し、何度注意されてもやめなかった。このような被害者の行動が、被告人にストレスを与え、被告人を立腹させて犯行を招いた一面がある。また、自閉スペクトラム症の影響で、被害者によるストレスが一層大きく感じられ、被害者に対して適切に対処できず、安直に暴力に訴えて解決しようとした一面もある(もっとも、犯行への影響は間接的で、正常な精神の働きを若干低下させたにとどまる)。これらは非 トレスが一層大きく感じられ、被害者に対して適切に対処できず、安直に暴力に訴えて解決しようとした一面もある(もっとも、犯行への影響は間接的で、正常な精神の働きを若干低下させたにとどまる)。これらは非難を若干軽減す る事情となり得る。 さらに、被害者の異常に気付くと直ちに119番通報し、臨場した警察官に自首し、事件の早期解決に寄与したことも、有利な事情として若干考慮できる。 本件の犯情は、傷害致死事案(単独犯、1件、被害者が親)の中で、中等度よりやや重い部類に位置付けられる。 事実を認め、不利な事実も素直に供述するなどして、反省の態度を示している。 姉(被害者の長女)が社会復帰後は支援したいとの意向を示している。これらの事情も踏まえた上、主文の刑を科するのが相当である。 (求刑懲役6年) 令和7年3月18日 津地方裁判所刑事部 裁判長裁判官出口博章 裁判官深見翼 裁判官髙島菜緒
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