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昭和38(ネ)1253 貸金請求事件

裁判所

昭和38年11月12日 大阪高等裁判所

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2,880 文字

主文 原判決を取消す。被控訴人が昭和三八年三月五日付を以て、控訴人を相手方として為した訴訟手続受継申立はこれを却下する。本件を京都地方裁判所に差戻す。事実 控訴人は「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。当事者双方の事実上の主張、証拠の提出援用認否は、控訴人において、控訴人の父Aが昭和三八年二月二六日死亡したこと、控訴人が右Aの二女であり、Bが右Aの妻であることは認めるが、控訴人は昭和三八年五月六日京都家庭裁判所に対し相続の放棄の申述をしたから、Aの相続人ではない。Aに対する被控訴人の請求原因事実は知らない、と述べ、立証として乙第一号証を提出し、被控訴人において、控訴人の右相続放棄の事実は知らない、と述べ、乙第一号証の成立を認めたほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。理由 本件記録によれば、被控訴人は控訴人の父Aに対し貸金二五万円及びこれに対する利息、損害金の債権があるものとして本訴を提起したところ、右Aが昭和三八年二月二六日死亡し、Bが同人の妻、控訴人が同人の二女であるので、昭和三八年三月五日付訴訟手続受継申立書(同年四月九日受付)を以て、右B及び控訴人がそれぞれその相続分に相当する右賃金債務につき遺産相続によりその債権を承継したものとして、右両名を相手方とする訴訟手続の受継を申立てたものであることが明らかであるから、職権を以て按ずるに、右Aの死亡、右Bと控訴人の右Aとの身分関係については当事者間に争がないから、これを真実と認むべきであるが、真正の成立を認むべき 受継を申立てたものであることが明らかであるから、職権を以て按ずるに、右Aの死亡、右Bと控訴人の右Aとの身分関係については当事者間に争がないから、これを真実と認むべきであるが、真正の成立を認むべき乙第一号証によれば、控訴人は同年五月六日京都家庭裁判所に対して適法に相続放棄の申述を為したことが認められるから、控訴人に対する前記受継申立は控訴人の相続放棄可能期間中に為されたものである上に、控訴人は相続放棄により結局遺産相続人とならなかつたものであるから、右申立は民事訴訟法第二一八条第一項により原裁判所において却下すべきものであつたところ、原裁判所は事茲に出でず、控訴人を右Aの債務の一部(被控訴人の申立によれば、その三分の二)を相続した訴訟承継人として審理を進め、被控訴人の右請求を認容する判決を為したものである。 対する前記受継申立は控訴人の相続放棄可能期間中に為されたものである上に、控訴人は相続放棄により結局遺産相続人とならなかつたものであるから、右申立は民事訴訟法第二一八条第一項により原裁判所において却下すべきものであつたところ、原裁判所は事茲に出でず、控訴人を右Aの債務の一部(被控訴人の申立によれば、その三分の二)を相続した訴訟承継人として審理を進め、被控訴人の右請求を認容する判決を為したものである。<要旨第一>そうすると控訴人に対する関係の本件訴訟の一部受継の許容は明らかに違法であるから、右受継手続及び控訴</要旨第一>人に対する原判決は取消の要があることは明白であつて、控訴人はかような判決の形式的効力を消滅せしめるために、形式的当事者として、控訴申立の利益と権利を有するものと認むべきである。ところで、かような場合における被控訴人の訴及びこれに依る請求の処理につき検討するに、被控訴人の亡Aに対する訴訟提起については何等違法の点がなく、その後前記の受継手続によつて当事者となすべからざる者を誤つて当事者として訴訟が進行したものであり、このような場合には誤つた訴訟承継人に対する訴を却下すべきであるとの見解も存するけれども、民事訴訟法第七四条の定める訴訟引受の場合のように、引受を命じた裁判がたとえ誤つた場合でも、その引受人が当事者となつたことについては不服申立を許さず、事件を、同人に対する相手方の請求についての当事者適格(訴訟物 四条の定める訴訟引受の場合のように、引受を命じた裁判がたとえ誤つた場合でも、その引受人が当事者となつたことについては不服申立を許さず、事件を、同人に対する相手方の請求についての当事者適格(訴訟物についての正当な当事者の問題)の有無の点において処理解決することを建前とする場合とは異なり、同法第二一八条の受継の場合は、当然、にこれに対する当該訴訟手続中における不服申立とその審判が許容せられているものと解すべきであるから、誤つた訴訟承継による新当事者は、当事者としてはあくまでも、前記引受の場合と対照上、不確定のものであり、その者との間の訴訟係属も同様に不確定のものと考えなければならない。そうすると、右の誤つた受継手続を取消し、訴訟承継の効果を否定するときは、その者に対する訴訟関係も、単に実質的見地においてのみならず、訴訟法上においても消滅するものと解するを相当とし、これにより訴訟は右の訴訟承継人に仮りに移行した訴訟物に関する限り、いまだその正当な承継人を見出さない段階即ち中断状態において存在するものと言わねばならない。 者との間の訴訟係属も同様に不確定のものと考えなければならない。そうすると、右の誤つた受継手続を取消し、訴訟承継の効果を否定するときは、その者に対する訴訟関係も、単に実質的見地においてのみならず、訴訟法上においても消滅するものと解するを相当とし、これにより訴訟は右の訴訟承継人に仮りに移行した訴訟物に関する限り、いまだその正当な承継人を見出さない段階即ち中断状態において存在するものと言わねばならない。かような状態に在る訴訟を、たとえ右の誤つた当事者との関係を表示したとしても、その訴を却下することは、訴訟や記録の形式の点からも、又右の見解に立てば実質的にも、当初の適法な訴訟係属の効果を根底から覆滅<要旨第二>する結果を是認するに帰するものであつて、到底支持し得べき見解ではない。この場合は、単に受継以前の状</要旨第二>態に立帰らしむるを以て足り、そのためには違法な受継申立を却下し、誤つた訴訟承継人を名実共に訴訟手続より排除するを以て必要かつ充分な処理と解すべきである。そしてかようにして誤つた当事者を形式上からも訴訟手続から排除した事件は、さらに正当な訴訟承継人を見出してその審理を続行せしめる必要のあることは勿論であるから、 て必要かつ充分な処理と解すべきである。そしてかようにして誤つた当事者を形式上からも訴訟手続から排除した事件は、さらに正当な訴訟承継人を見出してその審理を続行せしめる必要のあることは勿論であるから、当裁判所は民事訴訟法第三八九条の場合に該当するものとして、右事件を原裁判所に差戻すを以て相当と考えるものである。よつて主文の通り判決する。(裁判長裁判官岡垣久晃裁判官宮川種一郎裁判官鈴木弘)

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