1 令和5年2月24日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官令和3年(ワ)第31482号 特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日 令和4年12月14日判 決 5原 告 株式会社ベネフィット-イオン 同訴訟代理人弁護士 網谷 威同訴訟代理人弁理士 北川泰隆 10被告 オドレート株式会社 同訴訟代理人弁護士 倉 持 麟太郎同阿部 尚同補佐人弁理士 桂 田 健 志15主 文1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由第1 請求201 被告は、別紙方法目録記載の方法を使用してはならない。 2 被告は、別紙方法目録記載の衣服を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、400万円及び令和4年1月9日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 4 被告は、自ら開設するウェブサイト(https:// 以下省略 )のトップページ25に、別紙謝罪文目録記載の内容の謝罪文を、同別紙記載の要領で投稿して、これ2 を6か月間掲載せよ。 5 仮執行宣言第2 事案の概要等1 事案の概要本件は、発明の名称を「特定のユーザの体臭成分を分析する方法」とする特許5権を有する原告が、被告が体臭測定キット及びワキガ検査キットという名称で商品を販売して消費者に提供しているサービスにおいて用いられている方法が、同特許権に係る発明の技術的範囲に属するとして、特許法100条1項に基づき、同サービスの提供の差止め、同条2項に基づき同サービスで用いられた衣服の廃棄、同法10 ービスにおいて用いられている方法が、同特許権に係る発明の技術的範囲に属するとして、特許法100条1項に基づき、同サービスの提供の差止め、同条2項に基づき同サービスで用いられた衣服の廃棄、同法106条に基づき、被告が開設するウェブサイトへの謝罪文の掲載を求10めるとともに、同法102条2項及び民法709条に基づき、被告に対して損害賠償金1559万2500円の一部として400万円及び不法行為の後の日である令和4年1月9日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金を請求する事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって容15易に認められる事実)ア 原告は、洗濯用洗剤の製造、加工、販売、輸出、輸入等を業とする株式会社である。(甲1)イ 被告は、体臭測定・解析サービスの提供等を業とする株式会社である。(甲2)20ア 原告は、以下の特許権(以下、「本件特許権」といい、本件特許権に係る特許を「本件特許」という。)を有している。(甲3、4)特許番号 特許第6721893号発明の名称 特定のユーザの体臭成分を分析する方法原出願日 平成27年9月24日25出願日 平成31年1月8日3 登録日 令和2年6月23日イ 原告は、令和3年7月20日、本件特許につき訂正審判を請求した(訂正2021-390104)。特許庁は、同年9月27日付けで当該訂正を認める旨の審決をし、同年10月8日、同審決は確定した。(甲4、5)本件特許権に係る訂正後の特許請求の範囲の請求項1、6の記載は、以下の5とおりである(以下、請求項1に記載された発明を「本件発明1」、請求項6に記載された発明を「本件発明2」といい、これらの発 本件特許権に係る訂正後の特許請求の範囲の請求項1、6の記載は、以下の5とおりである(以下、請求項1に記載された発明を「本件発明1」、請求項6に記載された発明を「本件発明2」といい、これらの発明を総称して「本件各発明」という。また、本件特許に係る明細書を「本件明細書」という)。 ア 本件発明1特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、10前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、15前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含む方法。 イ 本件発明2特許のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封20された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試25料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定すること4 によって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含み、前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態 の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含み、前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケ5ージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、方法。 前記の請求項は、次のとおり分説することができる(以下、分説されたそれぞれの構成について、冒頭の符号に従い「構成要件A」等という。)。 ア 本件発明1A 特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直10接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、B 前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、15C 前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含む方法イ 本件発明2D 特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直20接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、E 前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、25F 前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記5 試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を ーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含み、G 前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れ5た状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、方法。 被告は、被告が体臭測定用キット及びワキガ検査キットを消費者(測定者)に販売し、それを購入した測定者はキットに入っているTシャツ等を着用し、10その後、測定者は同Tシャツを被告に返送し、被告がこれらを分析してその結果(測定者の体臭の性質や、被告が推奨する体表ケア等)をその測定者に提供するというサービスを提供している。被告による体臭測定用キットを用いた体臭の分析に至る方法(以下「被告方法1」という。)及びワキガ検査キットを用いた体臭の分析に至る方法(以下「被告方法2」といい、被告方法1、2を併15せて「被告各方法」という。)の内容は次のとおりである。(甲6、7、乙1、2、弁論の全趣旨)ア 被告方法1被告は、体臭測定用キットを購入した測定者に対して、ビニール袋で密封されたTシャツ1着及び銀色の袋の中に入ったふた付きのビン(同ふ20たの内側には捕集剤が付けられている。以下、同ふたを「本件ふた」といい、同ビンを「本件ビン」という。)1個及び説明書等が含まれるキットを測定者に送付する。 測定者は、説明書の指示に従い、着用の直前にTシャツ及び本件ビンを開封し、本件ふたをTシャツの内側(高さは、脇の位置、左右については25体の中心)に両面テープで固定し、Tシャツの本件ふたが固定された部分 、説明書の指示に従い、着用の直前にTシャツ及び本件ビンを開封し、本件ふたをTシャツの内側(高さは、脇の位置、左右については25体の中心)に両面テープで固定し、Tシャツの本件ふたが固定された部分6 の直下の生地をつまんでTシャツのえりから2~3センチメートルの位置に引き上げ、この状態が維持されるようにキットに同封されている安全ピンで固定する。この作業によって、測定者がTシャツを着用すると、本件ふたが地面に向き、かつ、測定者の体表に直接触れないことになる。 ビンの本体については密封されていた袋に入れて保管しておき、Tシャ5ツが入っていたビニール袋についても、空気を抜いて折りたたんで保管しておく。測定者は、これらの作業をした後に、同Tシャツを肌に直接触れるように24時間着用する。 前記が終了した後、測定者はTシャツを着用したまま、安全ピンを外して本件ふたをTシャツからはがし、本件ビンに本件ふたを乗せて本件10ふたを強く閉める。その後、測定者は、Tシャツを体にこすりつけてからこれを脱ぐ。測定者は、同Tシャツをたたまずに保管していたビニール袋に入れ、チャックを締め切らず少し開けた状態で巻いてビニール袋の内の空気をできる限り抜き、その後チャックを閉めて密封する。 測定者は、縦と横に1回ずつ折りたたんだTシャツ入りのビニール袋及15び本件ビン等を返送用レターパックに入れて被告に返送する。 被告は、送付されてきたTシャツをビニール袋から取り出し、全件について、Tシャツの右脇、左脇、胸元、腹部、襟前、襟後、背中上部、背中下部の8か所の官能評価を実施し、また、全件について本件ふたに付けられた捕集剤が捕集した体臭成分を分析し、官能評価と本件ふたが捕集し20た体臭成分の検査結果を基に測定者に交付する報告書を作成する。 8か所の官能評価を実施し、また、全件について本件ふたに付けられた捕集剤が捕集した体臭成分を分析し、官能評価と本件ふたが捕集し20た体臭成分の検査結果を基に測定者に交付する報告書を作成する。 イ 被告方法2被告は、ワキガ検査キットを購入した測定者に対して、ビニール袋で密封されたTシャツ1着及び説明書等が含まれるキットを測定者に送付する。 25測定者は、説明書の指示に従い、着用の直前にTシャツを開封しTシャ7 ツが入っていたビニール袋についても、空気を抜いて折りたたんで保管しておく。測定者は、同Tシャツを肌に直接触れるように24時間着用する。 前記が終了した後、測定者は、Tシャツを体にこすりつけてからこれを脱ぐ。測定者は、同Tシャツをたたまずに保管していたビニール袋に入5れ、チャックを締め切らず少し開けた状態で巻いてビニール袋の内の空気をできる限り抜き、その後チャックを閉めて密封する。 測定者は、縦と横に1回ずつ折りたたんだTシャツ入りのビニール袋等を返送用レターパックに入れて被告に返送する。 被告は、返送されてきたTシャツをビニール袋から取り出し、全件につ10いて、Tシャツの右脇及び左脇の部位の官能評価を実施し、検査結果を基に測定者に交付する報告書を作成する。 ウ 被告各方法が本件発明1の技術的範囲に属することについては当事者間に争いがない。また、被告各方法がいずれも構成要件D、Eを充足することについても当事者間に争いがない。 153 争点本件発明1についてア 「Female body odour is a potential cue to ovulation」と題する論文(以下「乙7論文」という。)記載の発明(以下「乙7発明」という。)に基づく本件発明1の進歩性欠如の有無(争 odour is a potential cue to ovulation」と題する論文(以下「乙7論文」という。)記載の発明(以下「乙7発明」という。)に基づく本件発明1の進歩性欠如の有無(争点1-1)20イ 米国特許公報(US 2007/0196831)(以下「乙18公報」という。)記載の発明(以下「乙18発明」という。)に基づく本件発明1の進歩性欠如の有無(争点1-2)ウ 実施可能要件違反の有無(争点1-3)本件発明2について25ア 被告各方法は、「前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中して8 いる部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程」(構成要件F)を含んでいるといえるか(争点2-1)イ 被告各方法は、試料が「そのままの状態でパッケージに密封された状態」5(構成要件G)でユーザから回収する工程を含んでいるか(争点2-2)ウ 乙18発明に基づく本件発明2の進歩性欠如の有無(争点2-3)エ 明確性要件違反の有無(争点2-4)オ 実施可能要件違反の有無(争点2-5)損害(争点3)10謝罪文掲載の必要性(争点4)4 争点に対する当事者の主張乙7発明に基づく本件発明1の進歩性欠如の有無(争点1-1)(被告の主張)ア 乙7論文には、次の乙7発明が記載されている。 15(A)被評価者のTシャツに付着した体臭を評価する方法であって、(B)被評価者に着用してもらうTシャツをプラスチックのフリーザーバッグ(Ziplock(R))の中に入れられた状態で被評価者に提供する提供工程と、(C)前記提供工程で提供された前記被評価者の肌 (B)被評価者に着用してもらうTシャツをプラスチックのフリーザーバッグ(Ziplock(R))の中に入れられた状態で被評価者に提供する提供工程と、(C)前記提供工程で提供された前記被評価者の肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記Tシャツを、前記バッグに入れられた状態で前記被評価者20から回収する回収工程と、(D)前記回収工程で回収された前記被評価者の肌に直接触れた前記Tシャツに付着した前記被評価者の体臭成分を分析する分析工程と、(E)を含む方法。 イ 本件発明1と乙7発明とを対比すると、本件発明1と乙7発明は、構成(A)25及び(D)~(E)において一致する一方、次の相違点1a及び1bにおい9 て相違する。 [相違点1a]本件発明1では「試料をパッケージに密封」された状態で提供するのに対し、(B)において、乙7発明では「試料をパッケージに密封」された状態で提供しているかが明確ではない点5[相違点1b]本件発明1では「試料をパッケージに密封」された状態で回収しているのに対し、(C)において、乙7発明では「試料をパッケージに密封」された状態で回収しているかが明確ではない点ウ相違点1aについて10乙7発明においては、各参加者に密封可能な大きなプラスチックフリーザーバッグ(Ziplock(R))の中に入れられたTシャツが提供されている。Tシャツを入れた後にプラスチックバッグ「Ziplock(R)」を密封するために必要な行為はスライダーをスライドさせるだけという簡易な行為であり、当該行為を阻害する要因は見当たらないこと、衣服に体臭原因物質を付着15させた「後」に、その「衣服に付着した体臭原因物質」に汚染及び損失がないようにすることが技術常識であることから、衣服に体臭原因物質 為を阻害する要因は見当たらないこと、衣服に体臭原因物質を付着 させた「後」に、その「衣服に付着した体臭原因物質」に汚染及び損失がないようにすることが技術常識であることから、衣服に体臭原因物質を付着させる「前」に、その「体臭原因物質を付着させる衣服」に汚染がないようにしようとする動機付けは十分に存在し、そのための具体的な方法として、「体臭原因物質を付着させる衣服」を「プラスチックバッグに密封さ れた状態で提供する」ことは当業者が適宜検討しかつ採用し得た設計事項である。 したがって、相違点1aに係る本件発明1の構成は当業者に容易に想到できる。 相違点1bについて 乙7論文には、被験者がTシャツを着用した後、Tシャツが密封された 状態で冷凍庫に保管していることなどが記載されている。密封されて保管されていたものをわざわざ密封されない状態にして回収する合理的な理由が見当たらないことなどから、「密封された状態で回収すること」は、乙7論文に記載されているに等しい事項といえる。 また、「体臭が付着(つまり、体臭原因物質が付着)した衣服やパッド」 を、プラスチックバッグに入れて密封して保管し、評価時にプラスチックバッグから取り出して評価することは、本件特許の原出願日前から広く実施されている。 また、試料が「衣服に付着した体臭原因物質」であれば、回収時に、その「衣服に付着した体臭原因物質」に汚染及び損失がないようにすること は、化学分析を行う者にとって本件特許の出願時における周知の技術常識であり、そのための具体的な方法として、「体臭原因物質が付着した衣服」を「プラスチックバッグに密封された状態で回収する」ことは当業者が適宜検討しかつ採用し得た設計事項である。 したがって、相違点1bに係る本件発明1の 的な方法として、「体臭原因物質が付着した衣服」を「プラスチックバッグに密封された状態で回収する」ことは当業者が適宜検討しかつ採用し得た設計事項である。 したがって、相違点1bに係る本件発明1の構成は当業者に容易に想到15できる。 エ原告は、本件発明1と乙7発明の技術分野が異なると主張する。しかし、乙7発明は卵胞後期と黄体期の女性の性的魅力度を明らかにするために「体臭を分析」しているのであるから、特定のユーザの体臭を分析する本件発明1とは技術分野が同じである。そのため、本件発明1及び2の属す20る技術分野における当業者が乙7論文を目にする機会は少なくなく、乙7発明を選択することは容易である。 原告は、「特定ユーザ」を対象とするか否かの点も本件発明1と乙7発明の相違点に当たると主張する。しかし、「特定ユーザ」を対象とするかという点は技術的な事項ではなく、特定ユーザを対象とすることに起因25して、本件発明1が何らかの「技術的特徴」を有するわけでもないから、11 「特定ユーザ」を対象とするか否かという点は、本件発明1と乙7発明との相違点ではない。 (原告の主張)ア 乙7発明の課題は、卵胞期後期の女性が着用したTシャツと黄体期の女性が着用したTシャツの性的魅力度に差が生じるかどうかである。これに対し、5本件発明1の課題は、汎用的な消臭製品による消臭の効果に満足できず、自身の体臭に悩みを有する特定のユーザを対象として、当該特定のユーザからいかなる体臭成分が発せられているかを特定できるようにすることにある。 乙7発明と本件発明1の課題は全く異なるものであり、また、そもそも、乙7発明は、卵胞後期と黄体期の女性の性的魅力度を明らかにするものである10から、特定のユーザの体臭を分析する本件発明1と乙7発明は技術 と本件発明1の課題は全く異なるものであり、また、そもそも、乙7発明は、卵胞後期と黄体期の女性の性的魅力度を明らかにするものである から、特定のユーザの体臭を分析する本件発明1と乙7発明は技術分野が相違する。そのため、本件発明1の属する技術分野における当業者が乙7発明を選択することは容易ではなく、乙7論文は対比資料として相当ではない。 イ本件発明1と乙7発明の相違点には、被告が主張するものに加え、本件発明1が「特定ユーザ」を対象としているのに対し、乙7発明が不特定多数の 女性被験者を対象としている点がある。乙7発明には、不特定多数の女性被験者以外の「特定のユーザ」を対象とした体臭成分の分析についての記載も示唆もない。 ウ原告が相違点1a、1bの副引例として挙げる文献(乙14、15)は、Tシャツを密封して提供したり、回収したりすることは記載も示唆もないか ら副引例として適格でない。また、他の文献(乙17)は課題に共通性がないから副引例として適用する動機付けがなく、別の文献(乙19)は、本件発明1と全く関係ない事項を開示しているから引例としての適格を欠く。相違点1a、1bに係る本件発明1の構成が容易に想到できたとはいえない。 乙18発明に基づく本件発明1の進歩性欠如の有無(争点1-2) (被告の主張) ア乙18公報には、次の乙18発明が記載されている。 (A)ユーザ(テストキットの購入者)の体臭成分を分析する方法であって、(B)前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料(サンプルパッチ)及び密封可能なエンクロージャを含むテストキットを前記ユーザに提供する提供工程と、 (C)前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記エンクロージャ 密封可能なエンクロージャを含むテストキットを前記ユーザに提供する提供工程と、5(C)前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記エンクロージャに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、(D)前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、10(E)を含む方法。 イ 本件発明1と乙18発明との対比本件発明1と乙18発明とを対比すると、本件発明1と乙18発明は、構成(A)及び(C)~(E)において一致する一方、次の相違点2において相違する。 15[相違点2]本件発明1では「試料をパッケージに密封」された状態で提供するのに対し、(B)において、乙18発明では「試料をパッケージに密封」された状態で提供しているかが明確ではない点ウ 相違点2について20衣服に体臭原因物質を付着させた「後」に、その「衣服に付着した体臭原因物質」に汚染及び損失がないようにすることが技術常識であることから、衣服に体臭原因物質を付着させる「前」に、その「体臭原因物質を付着させる衣服」に汚染がないようにしようとする動機付けは十分に存在し、そのための具体的な方法として、「体臭原因物質を付着させる衣服」25を「プラスチックバッグに密封された状態で提供する」ことは当業者が適13 宜検討しかつ採用し得た設計事項である。「体臭原因物質を付着させる衣服」を「密封された状態で提供すること」は当業者が容易に想到し得た。 乙18公報のエンクロージャは、乙7論文記載のプラスチックバッグと同じ商品(Ziplock(R))と同じ商品であり、外気の侵入を防ぐために容易に再密封可能である。乙18発明に乙7発明を適用 た。 乙18公報のエンクロージャは、乙7論文記載のプラスチックバッグと同じ商品(Ziplock(R))と同じ商品であり、外気の侵入を防ぐために容易に再密封可能である。乙18発明に乙7発明を適用して、容易に「体臭原5因物質を付着させる衣服」を「プラスチックバッグに密封された状態で提供する」との構成を想到することができる。乙18公報には、体臭が付着したサンプルパッチがプラスチックバッグに密封された状態で、郵送によって回収されることが記載されている。密封可能なプラスチックバッグが提供され、かつ、密封のために必要な行為がスライダーをスライドさ10せるだけという簡易な行為であるから、当該行為を阻害する要因はない。 (原告の主張)ア 本件発明1の課題は、汎用的な消臭製品による消臭の効果に満足できず、自身の体臭に悩みを有する特定のユーザを対象として、当該特定のユーザからいかなる体臭成分が発せられているかを特定できるようにすることであ15る。これに対し、乙18発明は、同じ遺伝子を持つ男性に惹かれ、性的反応を示すという女性の生物学的特性を利用したシステムを開発することであって、乙18発明では、組織サンプルが既に分析されている女性の遺伝子属性に合った強化された香りを含む嗅覚試薬(特に、自分のMHC 由来ペプチドプロファイルに対応する嗅覚試薬)を含むカスタム調合香水「My Aroma20™」または「My Cologne™」が製造され、顧客である女性は調合香水「My Aroma™」又は「My Cologne™」を受け取る。ここで、調合香水「My Aroma™」又は「My Cologne™」は、組織サンプルが既に分析されている女性の遺伝子属性に合った強化された香りを含むから、「体臭の消臭」とは逆の技術的思想に基づいた製品である。 2 y Aroma™」又は「My Cologne™」は、組織サンプルが既に分析されている女性の遺伝子属性に合った強化された香りを含むから、「体臭の消臭」とは逆の技術的思想に基づいた製品である。 25乙18発明と本件発明1の課題は全く異なるものであり、ましてや、「体14 臭の消臭」について検討している当業者が、体臭を増強し、周囲に対して自身の体臭をより際立たせるための乙18発明を参考にするとは到底考えられないから、本件発明1と乙18発明は技術分野が相違する。乙18発明は主引例としての適格性を欠く。 イ 相違点2について、5プラスチックバックにおいて、その密封が容易に行えることと、試料の提供時に試料をこのプラスチックバックに密封状態とするかは、全く別のことである。加えて、実験後に行うことは実験前にも行う、といった技術常識も存在しない。 また、乙18発明は、商業的に実施されるサービスの提供を希望する特定10の個人を対象とするのに対し、乙7発明は、研究目的の実験であって、不特定多数の女性被験者を対象としているから、この点において、乙7発明及び乙18発明は、関連性を有さないそれぞれ異なる技術分野に属する別の発明であるといえ、組み合わせる動機付けがない。そして、乙7発明は、分析対象とする体臭の発生源を胴体全体としているのに対して、乙18発明は、身15体の限られた一部としていて、これらは全く異なる発明である。本件特許の出願当時、当業者の間では、胴体の臭気を全体的に採取する場合にはパッドを使用する方法は採用できないと考えられていた。Tシャツのような布の物品を試料として用いた場合、乙18発明の当時の当業者の技術水準からすれば、一部の皮膚から発せられた局所的な体臭(脇からの臭気など)を分析す20ることはできないから、乙1 。Tシャツのような布の物品を試料として用いた場合、乙18発明の当時の当業者の技術水準からすれば、一部の皮膚から発せられた局所的な体臭(脇からの臭気など)を分析す20ることはできないから、乙18発明において、Tシャツのような布の物品を、一部の皮膚から発せられた局所的な体臭を分析するための試料として採用し得ないことは明らかである。したがって、乙18発明においてTシャツは代替品として用いることはできないから、この点でも乙18発明に乙7発明を適用することには阻害理由がある。 25実施可能要件違反の有無(争点1-3)15 (被告の主張)本件明細書には「発明者は、体臭の原因となる体臭成分は、複数の物質が組み合わされた組成物であり、複数の物質の配合は、個人によって異なっていることを、経験的に知っている。」(【0007】)と記載された上で、「本発明は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法を提供する」ことを発明が解決しよう5とする課題としている(【0008】)。 本件発明1の構成要件C記載の「分析工程」は従来技術に対して何らかの技術的特徴を有するものではない。また、構成要件A記載の「提供工程」及び構成要件B記載の「回収工程」によって、本件発明1がどのような作用・効果を有するのかについて具体的な記載が本件明細書には一切ないため、どのような10作用・効果を有するのかが不明である。それゆえ本件発明1は、発明が解決しようとする課題を解決して、従来技術からは得られない特有の作用・効果を奏する発明として実施することができる程度に発明の詳細な説明の記載が明確かつ十分にされておらず、実施可能要件を満たさないといえる。 (原告の主張)15本件発明1について、例えば、本件明細書【0017】から【0019】には、構成要件Aの提供工 な説明の記載が明確かつ十分にされておらず、実施可能要件を満たさないといえる。 (原告の主張)15本件発明1について、例えば、本件明細書【0017】から【0019】には、構成要件Aの提供工程に関する記載が少なくとも当業者であれば実施できるように記載されている。また、例えば、本件明細書【0020】から【0021】には、構成要件Bの回収工程に関する記載が少なくとも当業者であれば実施できるように記載されている。更に、例えば、本件明細書【0023】か20ら【0025】には、構成要件Cの分析工程に関する記載が少なくとも当業者であれば実施できるように記載されている。 そして、本件明細書のこれらの記載に準じて本件発明1を実施することで、特定のユーザの体臭成分を分析することができるから、パッケージへの試料の密封により、試料にユーザの体臭成分以外の臭い成分が付着することを抑制し、25特定のユーザの体臭成分を分析する方法を得るといった作用効果が得られる16 ことは明らかである。 被告各方法は、「前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程」を含んでいるといえるか(構成5要件F)(争点2-1)(原告の主張)被告各方法では、Tシャツを用いて臭いの「強度」のある部位や「不快感」のある部位を特定し、「部位別の印象」において官能評価による臭いの印象を報告書に記載していることから構成要件Fを充足する。 10被告は、被告各方法ではあらかじめ特定された部位について官能評価を行うことになっており、体臭の発生している部位を特定していないと主張する。し 告書に記載していることから構成要件Fを充足する。 10被告は、被告各方法ではあらかじめ特定された部位について官能評価を行うことになっており、体臭の発生している部位を特定していないと主張する。しかし、構成要件Fには、体臭の発生が集中している部位の特定が、あらかじめ特定された部位から特定されるか、又は任意の部位から特定されるかについては一切限定しておらず、あらかじめ部位が特定されているか否かは関係ない。 15分析によって体臭の発生が集中している部位を特定していれば足りる。 (被告の主張)構成要件Fは、「回収した試料について体臭の発生が集中している部位を特定して、その特定された部位について分析する」ものである。「体臭の発生が集中している部位の特定」が先で、「各部位の評価・分析」が後である。 20被告各方法では、衣服のあらかじめ決められた各部位について官能評価を行うのであって、どの部位について官能評価を行うかはあらかじめ決められており、回収した試料について体臭の発生が集中している部位を特定して、その特定された部位について分析しているわけではない。したがって、被告各方法は構成要件Fを充足しない。 25被告各方法は、試料が「そのままの状態でパッケージに密封された状態」(構17 成要件G)でユーザから回収する工程を含んでいるか(争点2-2)(原告の主張)構成要件E、F、Gの記載及び本件明細書の記載から、「そのままの状態で」とは、ユーザの肌に直接触れ、かつ所定期間使用されたままの状態であること及び臭いが集中している部位の特定に資する状態であることは明らかである。 5被告各方法では、「使用手順」に「Tシャツの裾がビニール袋のチャック側へくるようにたたまずいれ、チャックを閉め切らず少し開けた状態で、Tシャツの襟側 に資する状態であることは明らかである。 5被告各方法では、「使用手順」に「Tシャツの裾がビニール袋のチャック側へくるようにたたまずいれ、チャックを閉め切らず少し開けた状態で、Tシャツの襟側からくるくる巻いてビニール袋内の空気をできる限り抜きます。」と記載されており、測定者は、Tシャツを脱いだ後、洗うなど何らかの作業を施すことなく、たたまずにビニール袋に入れるように指示されており、構成要件G10を充足する。 (被告の主張)「そのままの状態」がどのような状態であるか不明であるが、本件明細書の記載(【0009】、【0020】)によれば、いずれにせよ、「パッケージに密封する」という「ユーザの行為」に関するものであり、被告の行為ではないから、15被告各方法の構成要件とはならない。 また、被告各方法では、Tシャツをビニール袋に入れた後、チャックを閉め切らず少し開けた状態でT シャツの襟側からくるくる巻いてビニール袋内の空気をできる限り抜くという工程を含むから、「そのままの状態で密封している」とはいえない。 20⑹ 乙18発明に基づく本件発明2の進歩性欠如の有無(争点2-3)(被告の主張)ア 乙18公報に記載されている乙18発明は、前記における被告の主張ア記載のとおりである。 イ 本件発明2と乙18発明とを対比すると、本件発明2と乙18発明は、構25成(A)及び(C)において一致する一方、次の相違点3a~3cにおいて18 相違する。 [相違点3a]本件発明2では「試料がパッケージに密封された状態で提供」される点(前記相違点2に同じ)[相違点3b]5本件発明2では「体臭の発生が集中している部位に対応する試料の部分に付着した体臭成分を分析」する点[相違点3c]本件発明2では 」される点(前記相違点2に同じ)[相違点3b]5本件発明2では「体臭の発生が集中している部位に対応する試料の部分に付着した体臭成分を分析」する点[相違点3c]本件発明2では「試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収」する点10ウ 相違点3aについて前記における被告の主張ウと同じ理由で当業者は容易に想到することができた。 エ 相違点3bについて分析対象の集中する部位を特定し、その後当該部位について分析すること15は、体臭成分分析に限らず、化学分析一般において通常行われることであり、当業者が当然に採用し得る方法である。 オ 相違点3cについて「そのままの状態で回収する」とは「特別なことはなにもせずにパッケージに密封された状態で回収する」と考えるのが合理的である。このように考20えると、「そのままの状態で回収する」ことは、従来技術そのものであるか、又は従来技術に基づいて当業者が適宜検討しかつ採用し得た設計事項である。 (原告の主張)ア 乙18公報は主引例として適格でないことは前記原告の主張アで主張25したとおりである。 19 イ 前記原告の主張イと同様の理由で、相違点3aに係る本件発明2の構成に容易に想到できない。 ウ 相違点3bについて、本件発明2と乙18発明は、正確には、回収されたユーザの肌に所定期間直接触れた試料からユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定すること(以下「相違点3b1」という。)、及び特定5された部位に対応する試料の部分に付着したユーザの体臭成分を分析すること(以下「相違点3b2」という。)、の2点で相違するというべきである。 乙18公報には、これらいずれの点についても何ら記載も示唆もない。被告は、相違 試料の部分に付着したユーザの体臭成分を分析すること(以下「相違点3b2」という。)、の2点で相違するというべきである。 乙18公報には、これらいずれの点についても何ら記載も示唆もない。被告は、相違点について当業者が当然に採用し得る手法であると主張するが、当業者の技術常識に反し、技術的に全く根拠のない後知恵でしかない。 エ相違点3cについて、「そのままの状態」とするのは、体臭成分がどの部位から発生しているかを特定するに当たって不可欠の要素であるところ、乙18発明は体臭成分がどのような部位から発生しているかを分析する発明ではないことから、乙18公報には、当然、この点を示唆する記載はない。 ⑺ 明確性要件違反の有無(争点2-4) (被告の主張)構成要件Gの「そのままの状態」という用語の技術的意味を理解することができず、本件発明2は発明の外延を明確に把握することができないため、本件発明2は特許法36条6項2号(明確性要件)の規定に適合しておらず、本件発明2に係る特許は、無効とすべきものである。 (原告の主張)前記⑸で主張したとおり、「そのままの状態で」とは、ユーザの肌に直接触れ、かつ所定期間使用されたままの状態であること及び臭いが集中している部位の特定に資する状態であることは明らかであり、明確性に欠けることはない。 ⑻ 実施可能要件違反の有無(争点2-5) (被告の主張) 本件明細書には、本件発明2が本件発明1に比べて分析対象を絞り込んだことによる、本件発明2の作用・効果についての具体的な記載が一切なく、本件発明2が、どのような作用・効果を有するのかが不明である。そうすると、本件発明2は、従来技術からは得られない特有の作用・効果を奏する発明として実施することができる程度に発明の詳細な説 一切なく、本件発明2が、どのような作用・効果を有するのかが不明である。そうすると、本件発明2は、従来技術からは得られない特有の作用・効果を奏する発明として実施することができる程度に発明の詳細な説明の記載が明確かつ十分にされ ておらず、特許法36条4項1号(実施可能要件)の規定に適合しておらず、本件発明2に係る特許は無効とすべきものである。 (原告の主張)本件発明2について、例えば、本件明細書【0017】から【0019】には、構成要件Dの提供工程に関する記載が少なくとも当業者であれば実施でき るように記載されている。また、例えば、本件明細書【0020】から【0021】には、構成要件E、Gの回収工程に関する記載が少なくとも当業者であれば実施できるように記載されている。更に、例えば、本件明細書【0023】から【0025】には、構成要件Fの分析工程に関する記載が少なくとも当業者であれば実施できるように記載されている。 加えて、本件明細書【0020】、【0023】には、回収工程において、ユーザが所定期間着用した衣服をそのままの状態でパッケージに密封した状態で回収することで、分析工程において、ユーザにおける体臭の発生が集中している部位が特定されることが明らかにされている。 そして、本件明細書のこれらの記載に準じて本件発明2を実施することで、 特定のユーザの体臭成分を分析することができるから、本件明細書【0010】、【0011】に記載された作用効果が得られることは明らかである。 よって、本件明細書には、当業者が本件発明2を実施できる程度に発明の構成が記載されており、実施可能要件を満たす。 ⑼ 損害(争点3) (原告の主張) 被告の体臭測定キットは1個当たり1万5000円、ワキガ検査 2を実施できる程度に発明の構成が記載されており、実施可能要件を満たす。 ⑼ 損害(争点3)25(原告の主張)21 被告の体臭測定キットは1個当たり1万5000円、ワキガ検査キットは1個当たり1万円である。これらについての変動費は衣服、配送料、捕集材、ガスクロマトグラフ分析用機器のレンタル代程度であるから、限界利益率は70%程度と考えられる。したがって、体臭測定キット1個あたりの限界利益は1万500円、ワキガ検査キット1個あたりの限界利益は7000円である。 5被告は平成28年10月19日に起業してから、4年で1000個を販売していることから、1年あたり250個ほど売り上げていることになる。そうなると、現在までに、体臭測定キットは1250個、令和3年2月から始めたワキガ検査キットについても150個は売れていると考えられる。 したがって、特許法102条2項により、原告の損害額は1417万500100円((1万0500円×1250個)+(7000円×150個))と推定され、同額の1割である141万7500円が弁護士費用相当損害金であり、これらの合計は1559万2500円である。 そのうち、本訴ではその一部である400万円を請求する。 (被告の主張)15体臭測定キット及びワキガ検査キットの販売価格は認め、その余は否認ないし争う。 ⑽ 謝罪文掲載の必要性(争点4)(原告の主張)被告は、本件各発明と全く同じ方法を使用し、原告よりも安価でインターネ20ット販売して、売上げを得て原告の顧客を奪っていった。被告は、新聞において、被告各方法を自分が開発したかのごとく振る舞っており、原告は憤りを感じている。また、被告の商品が原告の商品と全く同じということもあり、原告には顧客から、被告 客を奪っていった。被告は、新聞において、被告各方法を自分が開発したかのごとく振る舞っており、原告は憤りを感じている。また、被告の商品が原告の商品と全く同じということもあり、原告には顧客から、被告との関係性や価格の違いなどの問合せがあり、また、原告に対し顧客から「以前被告で検査したが結果が来ないので詐欺だと思った。原25告も詐欺ではないか」などと言われたこともあり、被告の行為により原告の信22 用まで毀損されている。 したがって、被告が本件特許権を侵害したことによる原告の信用棄損は大きく、それを回復するには、被告自身が自社サイトに謝罪文言を掲載することが必要である。 (被告の主張)5否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断1 本件各発明について本件明細書(甲15)【発明の詳細な説明】10【技術分野】【0001】本発明は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法に関する。 【背景技術】【0002】15体臭の抑制に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、加齢臭抑制剤が開示されている。加齢臭抑制剤は、有効成分としてウーロン茶抽出物及び/又は甜茶抽出物を含む。更に、加齢臭抑制剤は、有効成分として緑茶抽出物及び/又は柿果実抽出物を含む。加齢臭抑制剤は、加齢臭を含む臭いに対して用いることができ、特に不飽和アルデヒドに対する消臭効果が顕著であ20る。不飽和アルデヒドとしては、ノネナール及びオクテナールが挙げられる。 【0003】非特許文献1には、体臭の原因となる主な臭い成分が開示されている。例えば、腋の臭いの原因となる成分として、3-メチル-2-ヘキセン酸とビニルケトン類が例示されている。足の裏の臭いの原因となる成分として、イソ吉草25酸が例示されている。頭 分が開示されている。例えば、腋の臭いの原因となる成分として、3-メチル-2-ヘキセン酸とビニルケトン類が例示されている。足の裏の臭いの原因となる成分として、イソ吉草25酸が例示されている。頭皮の臭いの原因となる成分として、アルデヒド類と脂23 肪酸が例示されている。加齢臭の原因となる成分として、特許文献1にも記載されたノネナールが例示されている。 【0004】非特許文献2には、消臭方法として、化学的消臭法と物理的消臭法と感覚的消臭法と生物的消臭法が開示されている。化学的消臭法は、悪臭成分を化学反5応によって臭いのない成分に変えてしまう方法であるとされている。物理的消臭法は、悪臭成分を吸い込んで取り去ってしまう方法であるとされている。感覚的消臭法は、良い香りを使って嫌な臭いを感じないようにする方法であり、この消臭方法には、マスキング法とペアリング法が含まれるとされている。マスキング法は、強い香りで悪臭を感じないようにする方法であり、ペアリング10法は、悪臭を良い香りの一部分として取り込んで、更に良い香りに変える方法であるとされている。生物的消臭方法は、悪臭を作り出す雑菌の繁殖を抑制することで、悪臭の発生を抑える方法であるとされている。 【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】15【0007】個人の清潔志向の高まりと共に、自身又は他人の体臭を気にする者が多くなっている。 例えば、体臭は、家庭内又は職場若しくは学校等の家庭外の複数人が集合する環境下において、他人に配慮すべき、重要な要素となっている。そのため、20体臭を抑制することができる消臭製品が多く開発され販売されている。これに対して、現在、流通している消臭製品は、万人を対象とした汎用的な製品である。従って、発明者は、その効果に満 。そのため、20体臭を抑制することができる消臭製品が多く開発され販売されている。これに対して、現在、流通している消臭製品は、万人を対象とした汎用的な製品である。従って、発明者は、その効果に満足していない者もいると考えた。発明者は、体臭の原因となる体臭成分は、複数の物質が組み合わされた組成物であり、複数の物質の配合は、個人によって異なっていることを、経験的に知っている。 25【0008】24 本発明は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】【0009】本発明の一側面は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記5ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成10分を分析する分析工程と、を含む方法である。前記提供工程では、前記試料を密封するパッケージとして提供用のパッケージを使用し、前記回収工程では、前記試料を密封するパッケージとして前記提供用のパッケージとは異なる回収用のパッケージを使用し、前記提供工程は、前記提供用のパッケージに密封された前記試料と、前記回収用のパッケージと、を前記ユーザに提供する工程15である、ようにしてもよく、前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、ようにして 収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、ようにしてもよい。また、前記分析工程では、前記試料が官能評価される、ようにしてもよい。更に、前記分析工程では、前記ユーザの体臭成分を20含むガスがガスクロマトグラフ分析される、ようにしてもよい。 【0010】上述した方法によれば、特定のユーザの体臭成分を分析することができる。 パッケージへの試料の密封により、試料にユーザの体臭成分以外の臭い成分が付着することを抑制することができる。 25【発明の効果】25 【0011】本発明によれば、特定のユーザの体臭成分を分析する方法を得ることができる。 【発明を実施するための形態】【0013】5本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。 【0015】10実施形態では、消臭製品の製造方法を、単に「製造方法」という。また、製造方法によって製造される消臭製品の利用者となる前述した特定のユーザを、単に「ユーザ」という。製造方法を実行する者を、「製造者」という。製造者は、1人又は複数人によるグループの何れであってもよい。製造者は、法人であってもよい。 15【0017】製造方法は、提供工程(S1)と、回収工程(S2)と、特定工程(S3)と、生成工程(S4)を含む(図1左側のフローチャート参照)。提供工程(S1)は、ユーザの肌に い。 【0017】製造方法は、提供工程(S1)と、回収工程(S2)と、特定工程(S3)と、生成工程(S4)を含む(図1左側のフローチャート参照)。提供工程(S1)は、ユーザの肌に直接触れた状態で使用される布製品を製造者からユーザに提供する工程である。ユーザの肌に直接触れた状態で使用される布製品とし ては、ユーザの肌に直接触れた状態で着用される衣服、又は枕カバーが例示される。この他、この布製品としては、洗顔後又は入浴後に、ユーザの肌に付着した水分を拭き取るタオルが例示される。実施形態では、衣服を例に説明する。 【0018】ユーザに提供される衣服は、ユーザの肌に直接触れた状態で着用されるタイ プの衣服とされる。このような衣服としては、上半身に着用される下着又はT シャツが例示される。提供工程(S1)では、未着用(未使用)の衣服が製造者において準備される。このとき、製造者は、衣服をパッケージに密封する。 パッケージとしては、樹脂製の袋が例示される。例えば、衣服は、ビニル製の袋に密封される。パッケージを形成する樹脂材料は、通気性の低い材質とするとよい。製造者は、衣服をパッケージ内に入れた後、パッケージの開口を閉じ る。例えば、パッケージの開口は、所定の粘着剤又は粘着剤が塗布されたテープによって閉じられる。この他、パッケージをチャック付のパッケージとし、衣服をパッケージ内に入れた後、パッケージの開口に設けられたチャックを閉じるようにしてもよい。パッケージは、樹脂製のケースであってもよい。この場合、衣服をケースの本体部に入れた後、蓋がされる。 【0019】製造者からユーザへの衣服の提供は、例えば、次のようにして行われる。製造者が店舗を有し、ユーザが店舗の近郊にいるとする。この場合、 ケースの本体部に入れた後、蓋がされる。 10【0019】製造者からユーザへの衣服の提供は、例えば、次のようにして行われる。製造者が店舗を有し、ユーザが店舗の近郊にいるとする。この場合、衣服は、店舗に来店したユーザに、直接渡される。製造者がインターネットを利用した営業活動を行っているとする。この場合、製造者は、自身のホームページ等で、15利用の申請を受け付ける。製造者は、上述したように衣服をパッケージに密封した後、宅配又は郵便等の公知のサービスを利用し、これを発送する。ユーザは、配達されてきたパッケージを受領する。衣服が、パッケージに密封された状態で、製造者からユーザに提供されると、提供工程(S1)は、終了する。 パッケージを受け取ったユーザは、パッケージを開封し、衣服を所定期間着用20する。例えば、ユーザは、24時間着用する。その後、製造方法は、回収工程(S2)に移行する。 【0020】回収工程(S2)は、ユーザが所定期間着用し、且つパッケージに密封された状態の衣服を、製造者がユーザから回収する工程である。ユーザは、衣服を25所定期間着用した後、着用した衣服をそのままの状態で、パッケージに密封す27 る。回収工程(S2)で用いられる回収用のパッケージは、提供工程(S1)で用いられた提供用のパッケージとは別の新たなパッケージとされる。この場合、製造者は、提供工程(S1)における衣服の提供時に、回収用のパッケージをユーザに提供する。但し、例えば、提供用のパッケージが、繰り返して衣服を密封できる構造のパッケージである場合、回収工程(S2)では、提供用5のパッケージを回収用のパッケージとして再利用するようにしてもよい。回収用のパッケージへの衣服の密封は、提供工程(S1)に関連して上述したように行われ である場合、回収工程(S2)では、提供用5のパッケージを回収用のパッケージとして再利用するようにしてもよい。回収用のパッケージへの衣服の密封は、提供工程(S1)に関連して上述したように行われる。従って、これに関する説明は、省略する。 【0021】製造者によるユーザからの衣服の回収は、例えば、次のようにして行われる。 10製造者が店舗を有し、ユーザが店舗の近郊にいるとする。この場合、衣服は、店舗に来店したユーザから直接回収される。製造者がインターネットを利用した営業活動を行っており、上述したように、製造者のホームページを介して利用申請がされているとする。この場合、ユーザは、衣服をパッケージに密封した後、宅配又は郵便等の公知のサービスを利用し、これを発送する。製造者は、15配達されてきたパッケージを受領する。パッケージに密封された状態の衣服が、ユーザから製造者によって回収されると、回収工程(S2)は、終了する。製造者では、回収された衣服は、例えば、冷蔵庫内で保管される。回収された衣服は、既に衣服に付着しているユーザの体臭成分以外の他の臭い成分の付着が防止可能な状態で保管される。例えば、複数のユーザのそれぞれから複数の衣20服が回収されているとする。この場合、各ユーザの衣服は、他のユーザの衣服と隔離された状態で保管される。例えば、回収用のパッケージ又は新たなパッケージに密封された状態のまま、保管される。 【0022】回収工程(S2)の終了に伴い、製造方法は、特定工程(S3)に移行する。 25特定工程(S3)は、回収工程(S2)で回収された衣服に付着したユーザの28 体臭成分に対して消臭効果を有する消臭成分を特定する工程である。特定工程(S3)は、分析工程(S31)と、選択工程(S32)と、収容工程(S 工程(S2)で回収された衣服に付着したユーザの28 体臭成分に対して消臭効果を有する消臭成分を特定する工程である。特定工程(S3)は、分析工程(S31)と、選択工程(S32)と、収容工程(S33)と、評価工程(S34)を含む(図1右側のフローチャート参照)。特定工程(S3)では、評価工程(S34)は、選択工程(S32)で選択された消臭成分の数だけ実施される(S35)。特定工程(S3)では、評価工程(S354)の評価結果に応じて、1個の消臭成分が特定される(S36)。分析工程(S31)は、回収工程(S2)で回収された衣服に付着した体臭成分を同定する工程である。選択工程(S32)は、回収工程(S2)で回収された衣服に付着した体臭成分に対して消臭効果を有すると想定される消臭成分の候補を選択する工程である。選択工程(S32)では、前述の候補となる消臭成分10が1個又は複数個選択される。 【0023】分析工程(S31)では、回収工程(S2)で回収された衣服を試料として、例えば、臭いセンサとpHチェッカを用いた分析が行われる。これにより、ユーザにおける体臭の発生が集中している部位が特定され、体臭成分が、酸性又15はアルカリ性の何れであるかが判定される。また、分析工程(S31)では、回収工程(S2)で回収された衣服を対象として、官能評価が行われる。これにより、ユーザの体臭を、他人がどのように感じているかが判定される。次に、分析工程(S31)では、試料の衣服から、体臭が集中的に発生している部位に対応する部分が裁断され、裁断された布片がバイアルに密封される。裁断さ20れる布片の大きさは、例えば、縦5cm×横5cm程度とされる。その後、バイアル内に揮発した体臭成分を含むガスを対象として、ガスクロマトグラフ分析が行われる。 片がバイアルに密封される。裁断さ20れる布片の大きさは、例えば、縦5cm×横5cm程度とされる。その後、バイアル内に揮発した体臭成分を含むガスを対象として、ガスクロマトグラフ分析が行われる。ガスクロマトグラフ分析によれば、前述のガスに含まれる体臭成分が定量的に分析される。 ガスクロマトグラフ分析は、公知の分析方法である。そのため、これに関す25る説明は、省略する。 29 【0024】分析工程(S31)では、検知管分析を実施するようにしてもよい。検知管分析では、回収工程(S2)で回収された衣服が、検知管分析用の容器に収容される。検知管分析用の容器には、例えば、ガスクロマトグラフ分析用として、一部が裁断された後の衣服の全体又はその一部が収容される。但し、検知管分5析用の容器には、裁断前の衣服の全体を収容するようにしてもよい。検知管分析は、検知管分析用の容器に衣服が収容された状態で、この容器に設けられた導入口に、反応物質が内包された検知管の先端を挿入して行われる。検知管分析によっても、検知管分析用の容器内に揮発したガスに含まれる体臭成分を、定量的に分析することができる。検知管分析は、衣服が収容された検知管分析10用の容器を、加熱しながら実施するようにしてもよい。検知管分析の実施により、ガスクロマトグラフ分析の検査品目を減少させることができる。検知管分析は、公知の分析方法である。そのため、これに関する説明は、省略する。 【0025】分析工程(S31)では、上述した各分析等は、例えば、次のような順序で15実施される。先ず、臭いセンサとpHチェッカを用いた分析が行われる。続けて、官能評価が行われる。最後に、ガスクロマトグラフ分析が行われる。検知管分析を実施する場合、検知管分析は、官能評価とガスクロマト 施される。先ず、臭いセンサとpHチェッカを用いた分析が行われる。続けて、官能評価が行われる。最後に、ガスクロマトグラフ分析が行われる。検知管分析を実施する場合、検知管分析は、官能評価とガスクロマトグラフ分析との間に行われる。但し、このような実施順序は、例示である。分析工程(S31)における各分析等の実施順序は、これとは異なる順序としてもよい。各分20析等の実施順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。 【0030】分析工程(S31)では、ガスクロマトグラフ分析の結果、又はガスクロマトグラフ分析及び検知管分析の結果等に従い、衣服に付着した体臭成分が、事前に特定されている体臭成分の中から同定される。その後、選択工程(S32)25で、上述したデータベースを用いて、分析工程(S31)で同定された各体臭30 成分に関連付けられた消臭成分が、1個又は複数個選択される。 【0031】収容工程(S33)は、回収工程(S2)で回収された衣服を、評価装置10の容器部11の収容室12に収容する工程である。収容室12には、例えば、ガスクロマトグラフ分析の実施に際し一部が裁断された後の衣服の全体又は5その一部が収容される。収容室12に収容された衣服は、評価工程(S34)における評価の試料となる。評価装置10は、前述した容器部11と、筒部20を備える(図2及び図3参照)。容器部11は、底を有する筒状の容器である。収容室12は、容器部11の内部に形成された空間である。容器部11は、例えば、ガラス製とされる。容器部11をガラス製とすることで、容器部1110の周側壁と底部からの空気の透過を防止することができる。また、容器部11の洗浄が容易となる。 【0035】評価工程(S34)は、収容工程(S33)で衣服が収容された収容室 容器部1110の周側壁と底部からの空気の透過を防止することができる。また、容器部11の洗浄が容易となる。 【0035】評価工程(S34)は、収容工程(S33)で衣服が収容された収容室12から媒体40を通過して開口21に到達する臭気を評価する工程である。実施15形態では、評価工程(S34)における臭気の評価は、臭覚を用いた官能評価によって行われる。図2に示す1点鎖線は、収容室12から開口21へと臭気が流れる方向を示す。官能評価は、検査官によって行われる。検査官は、製造者に含まれる。検査官は、例えば、臭覚による臭気の官能評価について一定の経験を有する者である。検査官は、臭覚測定の資格を有する者であってもよい。 20臭覚測定の資格としては、臭気判定士が例示される。評価工程(S34)では、筒部20が分解され、選択工程(S32)で選択された一の消臭成分を含む媒体40が取付部26にセットされる(図3参照)。続けて、第一筒部23と第二筒部24と取付部26が組み立てられる。その後、収容室12に衣服が収容された容器部11の部分が、加熱される。実施形態では、この加熱は、容器部1251を、加熱器50によって一定の温度に保たれたお湯に漬けて行われる(図231 参照)。加熱器50では、加熱温度が40~60℃の範囲の所定の温度に設定される。前述した加熱温度は、例示である。加熱温度は、諸条件を考慮して適宜設定される。評価工程(S34)における官能評価は、容器部11が加熱されている状態で行われる。 【0036】5評価工程(S34)では、検査官は、衣服が収容された収容室12から開口22に流入し、媒体40を通過し、開口21に到達する臭気を官能評価する。 検査官は、選択工程(S32)で選択された全ての消臭成分を対象として、評価工 では、検査官は、衣服が収容された収容室12から開口22に流入し、媒体40を通過し、開口21に到達する臭気を官能評価する。 検査官は、選択工程(S32)で選択された全ての消臭成分を対象として、評価工程(S34)を実施する。即ち、選択工程(S32)で複数個の消臭成分が選択されていた場合、検査官は、評価工程(S34)を、選択された消臭成10分の数だけ繰り返して行う(S35:No)。検査官は、評価工程(S34)を繰り返す毎に、開口カバー30を交換する。開口カバー30によって、筒部20の第一側の端部に、検査官の臭いが付着することを抑制することができる。 開口カバー30を交換することで、前回の評価工程時に開口カバー30に付着した検査官の臭いに影響されることなく、評価工程(S34)を繰り返して実15施することができる。 【0037】選択された全ての消臭成分が評価された場合(S35:Yes)、検査官は、実施済みの評価工程(S34)における官能評価において、最も優れた消臭効果が得られた一の消臭成分を特定する(S36)。なお、選択工程(S32)で20選択された消臭成分が1個である場合、評価工程(S34)は、その1個の消臭成分を対象として1回だけ行われる。この場合、1回の評価工程(S34)における官能評価により、1個の消臭成分の消臭効果が確認され、S36で、その1個の消臭成分が、最も優れた消臭効果が得られた一の消臭成分として特定される。 25【0044】32 <実施形態の効果>実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。 【0045】(1)製造方法では、提供工程(S1)と回収工程(S2)と特定工程(S3)と生成工程(S4)が実施される(図1左側のフローチャート参照)。提供5工程(S1)と回収 できる。 【0045】(1)製造方法では、提供工程(S1)と回収工程(S2)と特定工程(S3)と生成工程(S4)が実施される(図1左側のフローチャート参照)。提供5工程(S1)と回収工程(S2)では、衣服がパッケージに密封された状態で、製造者とユーザとの間を受け渡しされる。特定工程(S3)では、回収工程(S2)で回収された衣服を試料として、衣服に付着した体臭成分に対して消臭効果を有する消臭成分が特定され(S36)、生成工程(S4)では、この消臭成分を含む消臭製品が生成される。 10【0046】そのため、特定のユーザが肌に接触する状態で所定期間着用した衣服を対象として、この衣服に付着した体臭成分に適した消臭成分を特定することができる。提供工程(S1)と回収工程(S2)において、特定工程(S3)での試料となる衣服が外気に曝されることを防止することができる。更に、この衣服15に、ユーザ以外の者が触れることを防止することができる。従って、衣服にユーザの体臭成分以外の臭い成分が付着することを抑制することができる。 【0047】(2)特定工程(S3)では、収容工程(S33)が実施され、続けて、評価工程(S34)が実施される。収容工程(S33)では、収容室12に、回20収工程(S2)で回収された衣服が収容される。評価工程(S34)では、収容工程(S33)で衣服が収容された収容室12から媒体40を通過して開口21に到達する臭気が官能評価される。評価工程(S34)は、選択工程(S32)で選択された消臭成分を対象として実施される。評価工程(S34)は、選択工程(S32)で選択された消臭成分が1個である場合、1個の消臭成分25を対象として1回実施される。評価工程(S34)は、選択工程(S32)で33 選 施される。評価工程(S34)は、選択工程(S32)で選択された消臭成分が1個である場合、1個の消臭成分25を対象として1回実施される。評価工程(S34)は、選択工程(S32)で33 選択された消臭成分が複数個である場合、複数個の消臭成分のそれぞれを対象として複数回実施される(S35:No)。即ち、評価工程(S34)は、選択工程(S32)で選択された消臭成分の数だけ繰り返される。特定工程(S3)では、選択工程(S32)で選択された1個又は複数個の消臭成分の全てを対象とした評価工程(S34)が実施された場合(S35:Yes)、実施済みの5評価工程(S34)における官能評価において、最も優れた消臭効果が得られた一の消臭成分が特定される(S36)。 【0048】そのため、臭気の官能評価を、外気の影響が抑制された状態で行うことができる。体臭成分を含む臭気が消臭成分を含む媒体40を通過することとなり、10消臭成分の消臭効果を適切に評価することができる。複数の消臭成分の中から、体臭成分に対して高い消臭効果が得られる消臭成分を、適切に特定することができる。 【0049】(3)評価工程(S34)は、容器部11が加熱器50によって加熱された15状態で行われる(図2参照)。そのため、衣服に付着した体臭成分を揮発させ易くすることができる。官能評価をスムーズに行うことができる。官能評価の精度を向上させることができる。 【0050】(4)特定工程(S3)では、評価工程(S34)に先立ち、分析工程(S2031)と選択工程(S32)が実施される。製造者では、事前の検討により、体臭の原因となる複数個の体臭成分が特定され、各体臭成分に消臭成分を関連付けたデータベースが構築されている。分析工程(S31)では、ガスクロマ 程(S32)が実施される。製造者では、事前の検討により、体臭の原因となる複数個の体臭成分が特定され、各体臭成分に消臭成分を関連付けたデータベースが構築されている。分析工程(S31)では、ガスクロマトグラフ分析を含む上述した各分析等により、衣服に付着した体臭成分が、事前に特定されている体臭成分の中から同定される。選択工程(S32)では、25上述したデータベースを用いて、分析工程(S31)で同定された体臭成分に34 関連付けられた消臭成分が、1個又は複数個選択される。そのため、評価工程の実施回数を少なくすることができる。その結果、特定工程に要する時間を短縮することができる。 【0051】<変形例>5実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。 【0054】10(3)特定工程(S3)では、分析工程(S31)と選択工程(S32)を省略するようにしてもよい。例えば、検査官が、豊富な知識と経験を有している場合、分析工程(S31)と選択工程(S32)を、省略することができる。 また、製造者が新たに製造方法による事業を開始する場合、事業の開始時点では、上述したような体臭の原因となる体臭成分が特定されておらず、体臭成分15に対して消臭効果を有する消臭成分が関連付けられたデータベースが準備されていない場合もある。このような場合も、分析工程(S31)と選択工程(S32)は、省略される。事業を開始後、各種のデータを蓄積することで、特定工程(S3)に、分析工程(S31)と選択工程(S32)を含めることができる。 20【0055】(4)評価工 (S32)は、省略される。事業を開始後、各種のデータを蓄積することで、特定工程(S3)に、分析工程(S31)と選択工程(S32)を含めることができる。 20【0055】(4)評価工程(S34)では、検査官によって臭気の官能評価が行われる。 評価工程は、収容工程(S33)で衣服が収容された収容室12から媒体40を通過して開口21に到達する臭気を、分析機器を用いて測定して行うようにしてもよい。この場合、S36では、実施済みの評価工程(S34)における25測定値から、最も優れた消臭効果が得られた一の消臭成分が特定される(S335 6)。 【0059】(8)特定工程(S3)では、評価装置10が用いられる。評価装置10は、他の用途に用いることもできる。即ち、評価装置10は、所定の物を対象として、この物に付着した所定の臭い成分に適した消臭成分を特定する評価に用い5ることができる。 本件各発明の意義本件特許の出願当時に流通していた消臭製品は、万人を対象とした汎用的な製品であったものの、一般に人の体臭の原因となる体臭成分は、複数の物質が組み合わされた組成物であり、複数の物質の配合は、個人によって異なってい10るため、個々人の体臭成分(体臭の組成)を分析する必要性があると考えられた(【0007】)。本件各発明は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、その分析に当たり、分析まで当該ユーザの体臭成分以外の成分が試料に付着しないようにするために、密封状態の試料を提供し、ユーザの体臭成分が付着した後、分析までの間に他の体臭成分の付着を防止するために、当該試料15を再度密封して回収し、回収した試料を官能試験その他の分析方法に基づいて分析することに関する発明である(【0008】~【0010】。 2 間に他の体臭成分の付着を防止するために、当該試料15を再度密封して回収し、回収した試料を官能試験その他の分析方法に基づいて分析することに関する発明である(【0008】~【0010】。 2 乙7発明に基づく本件発明1の進歩性欠如の有無(争点1-1)について乙7論文(「Female body odour is a potential cue to ovulation」(DevendraSingh and P. Matthew Bronstad: Proc. R. Soc. Lond. B、 268、 797 (2001)。 20平成13年(2001年)刊行)には次の記載がある。(乙7)ア 我々は正常な月経期を有し、ホルモン避妊薬を使用していない女性に卵胞期後期の間3晩連続してTシャツを着用し、月経の黄体期の間他のシャツを着用するように依頼した。男性評価者は黄体期に着用したTシャツの体臭よりも卵胞期後期に着用されたTシャツの体臭の方がより快楽的で性的魅力25的であると評価した。(1頁 Abstract 5行目以降)36 イ それぞれの参加者は未着用の100%コットン製のTシャツ、衣服及び寝具の洗濯用の無臭洗剤が入った箱、無臭のボディーソープのバー並びに無臭のヘアーシャンプーのボトルが与えられた。そのTシャツは無臭の洗剤で洗濯され、乾燥されたあと大きなプラスチックのフリーザーバッグの中に入れられた。(2頁左カラム26行目以降)5ウ それぞれの参加者は就寝中にFと書かれたバッグの中のTシャツを肌の上に直接着用した。毎朝、参加者はTシャツをプラスチックボックスに入れ、毎晩同じTシャツを着用した(月経期13-15日目)。期間の終了日に、それぞれの参加者はTシャツをたたみ、プラスチックバッグに入れ、その密封さ 。毎朝、参加者はTシャツをプラスチックボックスに入れ、毎晩同じTシャツを着用した(月経期13-15日目)。期間の終了日に、それぞれの参加者はTシャツをたたみ、プラスチックバッグに入れ、その密封されたバッグを冷凍庫に保管した。(2頁左カラム55行目以降)10エ 実験者は参加者から両方の冷凍されたバッグを回収し、体臭評価が行われるまで冷凍庫で保管した。(2頁右カラム4行目以降)オ (C)体臭魅力度の評価手順52人の白人男性(平均年齢=23.3±4.9 歳)が評価者として務めることに協力した。(2頁右カラム7行目以降)15上記によれば、乙7論文には次のとおりの乙7発明が記載されているといえる。 7A 被評価者のTシャツに付着した体臭を評価する方法であって、7B 被評価者に着用してもらうTシャツをプラスチックのフリーザーバッグ(Ziplock(R))の中に入れられた状態で被評価者に提供する提供工程と、207C 前記提供工程で提供された前記被評価者の肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記Tシャツを、前記バッグに入れられた状態で前記被評価者から回収する回収工程と、7D 前記回収工程で回収された前記被評価者の肌に直接触れた前記Tシャツに付着した前記被評価者の体臭成分を分析する分析工程と、257E を含む方法。 37 ア 本件発明1と乙7発明は、「特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試5料に付着した前記ユーザの体臭成分を分 ザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試5料に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含む方法」の点で一致し、次の相違点があると認められる。 相違点乙7-1本件発明1では「試料をパッケージに密封」された状態で提供するのに対し、乙7発明では「試料をパッケージに密封」された状態で提供してい10るかが明確ではない点相違点乙7-2本件発明1では「試料をパッケージに密封」された状態で回収しているのに対し、乙7発明では「試料をパッケージに密封」された状態で回収しているかが明確ではない点15イ 原告は、本件発明1では、特定ユーザを対象としているのに対し、乙7発明が不特定多数の女性被験者を対象としている点も相違点になると主張する。 しかし、前記1で説示したとおり、本件各発明は、本件各発明が出願された当時、消臭製品が万人を対象とした汎用的な製品であったことに対して、20体臭成分は個人によって異なることに着目し、ユーザ固有の体臭成分を分析するというものである。このような本件各発明の技術的意義からも、本件発明1の構成要件Aは、複数人の体臭成分をまとめて分析したり、複数人に共通する体臭成分を分析するというものではなく、特定の人ごとにその体臭成分を分析するという趣旨で分析対象を「特定のユーザ」としたものといえる。 25他方、乙7発明は一定数の女性被験者を対象とするものとはいえるものの、38 体臭成分の分析自体は個別の人物ごとに行われるのであって、そこで行われているのは、特定の人ごとの体臭成分の分析である。そうすると、乙7発明においても、本件発明1にいう「特定のユーザ」の体臭成分の分析 体臭成分の分析自体は個別の人物ごとに行われるのであって、そこで行われているのは、特定の人ごとの体臭成分の分析である。そうすると、乙7発明においても、本件発明1にいう「特定のユーザ」の体臭成分の分析を行っているといえる。よって、本件発明1が「特定のユーザ」を対象としている点が乙7発明との相違点に当たるとは認められない。 5相違点乙7-1について乙7発明では、「試料をパッケージに密封」された状態で提供しているかが明確ではない。しかし、被験者に提供されるTシャツについては、無臭の洗剤で洗濯された後にプラスチックのフリーザーバッグの中に入れて提供されており(前記イ)、また当該フリーザーバッグは、密封可能10であったこともその後の記載から明らかである(同ウ)。乙7発明は、被験者がTシャツを着用することによって付着した体臭成分を分析することによって被験者の体臭成分を分析するというものであり、その分析の目的からも、当該Tシャツに被験者以外の体臭成分その他の臭い成分が付着すると当該工程の趣旨が没却されることになることは明らかである。した15がって、乙7発明において、被験者に提供するTシャツを無臭の洗剤で洗濯することも、Tシャツを直接被験者に提供するのではなくわざわざプラスチックのフリーザーバッグに入れて被験者に提供することも、被験者に提供する前に被験者以外の体臭成分その他の臭い成分が付着することを防止する趣旨であることは当業者には明らかであるといえる。そして、T20シャツを入れたのが密封可能なフリーザーバッグであること、被験者が着用した後は密封して保管していることからすると、被験者に提供されるTシャツに臭い成分が付着することを予防するために密封しておくということは、乙7論文に記載されているに等しいといえるか、少なくとも 着用した後は密封して保管していることからすると、被験者に提供されるTシャツに臭い成分が付着することを予防するために密封しておくということは、乙7論文に記載されているに等しいといえるか、少なくとも当業者に容易に想到することができたといえる。 25よって、相違点乙7-1に係る本件発明1の構成は当業者に少なくとも39 容易に想到することができたと認められる。 相違点乙7-2について乙7発明では「試料をパッケージに密封」された状態で回収しているかが明確ではない。しかし、乙7発明では、被験者が着用した後のTシャツは密封された状態で冷凍庫に保管することとされている(前記ウ)。そ5の趣旨は、前記で説示したとおり、被験者が着用した後に、被験者以外の体臭成分や他の臭い成分が付着することを防止することにあることは明らかである上、冷凍庫で保管していたTシャツを入れたバッグを回収するに当たり、当該バッグの密封をわざわざ開放することが想定されているとは考え難い。そうすると、試料の回収に当たり、試料を入れたパッケー10ジが密封されていたことについては、乙7論文に記載されているに等しいといえるか、少なくとも当業者が容易に想到することができたといえる。 よって、相違点乙7-2に係る本件発明1の構成は当業者に少なくとも容易に想到することができたと認められる。 原告は、本件発明1と乙7発明は、発明の課題も技術分野も異なるから乙715発明は主引例としての適格を欠くなどと主張する。 しかし、本件発明1は、個々人ごとに体臭成分が異なることを前提に、試料にできるだけ特定ユーザの体臭成分のみが付着するようにしてこれを分析するという原理に基づくものである。乙7発明も、それが記載されている乙7論文自体は、卵胞期後期の女性が着用したTシャツ 前提に、試料にできるだけ特定ユーザの体臭成分のみが付着するようにしてこれを分析するという原理に基づくものである。乙7発明も、それが記載されている乙7論文自体は、卵胞期後期の女性が着用したTシャツと黄体期の女性が着用したT シャツの性的魅力度に差が生じるかどうかを調査することに関するものであるが、その方法は、個々の女性の体臭成分のみを試料に付着させ、その体臭を評価するというものであり、上記に述べた本件発明1と同様の原理に基づいており、試料に付着した体臭を評価するという最終的な評価手法も共通している。 本件発明1は主として望ましくない体臭の評価を前提としており、乙7発明は 性的に魅力な臭いの評価を前提にしているとはいえるものの、試料に付着した 臭い成分を分析するという意味では同じ分野のものといえ、また、その臭いの違いにより、乙7発明の方法を本件発明1の技術分野に適用することを阻害する事由もうかがえない。したがって、乙7発明が主引例としての適格を欠くとはいえない。 よって、本件発明1は、乙7発明に基づいて容易に想到できるといえるから、 本件発明1に係る特許は、進歩性欠如により特許無効審判により無効にされるべきものといえる。 3 被告各方法は、「前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記 ユーザの体臭成分を分析する分析工程」を含んでいるといえるか(構成要件F)(争点2-1)について特許請求の範囲には、「前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所 点2-1)について特許請求の範囲には、「前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に 付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程」(構成要件F)と記載されている。その文言からは、ここでは、分析工程において分析する対象が規定されており、「前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された」、体臭の発生が集中している「部位に対応する」・・・「試料の部分」に付着した体臭成分を分析することが規定され ているといえる。すなわち、その文言上、本件発明2の分析工程で分析される対象は、体臭の発生が集中している部位に付着している体臭成分であるとされている。そして、体臭の発生が集中している部位は、「前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定され」るものとされている。したがって、本件発明2では、特許請求の範囲の文言上、 あらかじめ試料の中からユーザの体臭の発生が集中している部位を特定し、そ の特定に基づき当該部位について体臭成分の分析を行うことが規定されているといえる。 また、前記1で認定したとおり、本件各発明は、個々人ごとに体臭成分が異なることに着目し、個々人ごとに異なる体臭成分を分析することを目的としているのであり、各個人のどの部位に体臭の発生が集中しているかに関する分 析自体を目的とするものとはいえない。本件明細書の実施形態では、体臭の発生が集中している部位を特定することが言及されているが(【0023】)、ここでは、pHチェッカー等によって体臭が集中している部位を特定した後に、体臭が はいえない。本件明細書の実施形態では、体臭の発生が集中している部位を特定することが言及されているが(【0023】)、ここでは、pHチェッカー等によって体臭が集中している部位を特定した後に、体臭が集中している部位に対応する部分の試料のみを裁断して採取され、その後、当該試料についてのみガスクロマトグラフ分析により体臭成分を定量的に10分析している。すなわち、本件明細書の上記記載は、全部位についての試料に対して負担の大きいガスクロマトグラフ分析等の分析をするのは煩雑であり、また、各人固有の体臭成分の特定という目的に照らしても無駄が大きいことから、より効率的に各人固有の体臭成分を特定するために、あらかじめ体臭の発生が集中している部位を特定し、その特定に基づき当該部位のみを対象に詳細15かつ定量的な分析をすることを記載していると理解できる。そして、このような方法により、各人固有の体臭成分を特定するということは、前記で述べた本件発明2の目的にも合致し、また、特許請求の範囲の記載にも合致する。 これらによれば、構成要件Fは、試料についてあらかじめ分析を行って当該試料固有の体臭の集中している部位を特定し、その特定に基づき当該部位につ20いて体臭成分の分析を行うことを規定しているといえる。 この点について原告は、構成要件Fを充足するには、分析によって体臭の発生が集中している部位を特定すれば足りると主張する。しかし、前記のとおり、特許請求の範囲の記載や本件発明2の目的、本件明細書の記載に照らし、本件発明2は、試料についてあらかじめ分析を行って当該試料固有の体臭の集25中している部位を特定し、その特定に基づき当該部位について体臭成分の分析42 を行って個々人ごとに異なる体臭成分を分析するというものと認められる。原告の上記解 て当該試料固有の体臭の集25中している部位を特定し、その特定に基づき当該部位について体臭成分の分析42 を行って個々人ごとに異なる体臭成分を分析するというものと認められる。原告の上記解釈は、これに反するものであり、体臭の発生が集中する部位に関する分析をすること自体を目的とするのではなく、同分析を経ることによって個々人ごとに異なる体臭成分を分析するという本件発明2の目的に沿わない解釈ともいえる。原告の主張は採用できない。 5以上を前提に、被告各方法が構成要件Fを充足するか否かについて検討する。 被告方法1では、Tシャツについての体臭成分についての官能試験が問題になるところ(本件びんに関する体臭成分は測定者の肌に直接触れて付着したものではないため、この点に関する分析等が構成要件Fを充足することはない。)、被告は、送付されてきた試料(Tシャツ)について個別に予備分析等を行うこ10となどはせず、全件について右脇、左脇、胸元、腹部、襟前、襟後、背中上部、背中下部の8か所の官能評価を実施し、それ以上の分析をしていないのであるから、当該試料についてあらかじめ分析を行って当該試料固有の体臭の発生が集中している部位を特定し、その特定に基づき当該部位について体臭成分の分析を行っているとはいえない。被告方法1では、上記の分析の結果、体臭の発15生が特に強い部分を特定し、その結果を測定者に還元していることがうかがえるが、当該特定に基づいてさらなる分析を行うこともなく、また、同特定のための分析に先立って別の分析を行って体臭の発生が集中している部位を特定するなどしていないことから、同事実は上記で述べた構成要件Fの充足性についての判断を左右しない。 20また、被告方法2でも、被告は、送付されてきた試料(Tシャツ)について、個別 る部位を特定するなどしていないことから、同事実は上記で述べた構成要件Fの充足性についての判断を左右しない。 20また、被告方法2でも、被告は、送付されてきた試料(Tシャツ)について、個別に予備分析等を行うなどせず、全件について両脇について官能評価を実施し、それ以上の分析をしていないのであるから、当該試料についてあらかじめ分析を行って当該試料固有の体臭の発生が集中している部位を特定し、その特定に基づき当該部位について体臭成分の分析を行っているとはいえない。 25そうすると、被告各方法はいずれも、構成要件Fを充足するとはいえない。 43 よって、被告各方法は、いずれも本件発明2の技術的範囲に属するとはいえない。 第4 結論以上のとおりであって、本件発明1は進歩性を欠き本件発明1に係る特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められ、特許権者はその権利を行使5することができず(特許法104条の3)、また、被告各方法は本件発明2の技術的範囲に属するとはいえない。そうすると、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求にはいずれも理由がない。よって、原告の請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部10 裁判長裁判官 柴 田 義 明 15裁判官 佐 伯 良 子 裁判官 仲 田 憲 史 2044 別紙 方法目録 45 別紙謝 罪 文 目 録 1 謝罪文株式会社ベネフィット-イオン様に対する謝罪文5当社の販売する「体臭測定キット」及び「ワキガ検査キット」は、株式会社ベネフィット-イオン様(所在地: (所在地は 1 謝罪文株式会社ベネフィット-イオン様に対する謝罪文5当社の販売する「体臭測定キット」及び「ワキガ検査キット」は、株式会社ベネフィット-イオン様(所在地: (所在地は省略) )の特許権を侵害していました。 ここに、当社の販売する「体臭測定キット」及び「ワキガ検査キット」が株式会社ベネフィット-イオン様の特許権を侵害することを明言するとともに、速やかに10これらの販売を中止し、ご迷惑をおかけした株式会社ベネフィット-イオン様及び当社商品を購入されたお客様に心よりお詫び申し上げます。 2 謝罪文の掲載要領使用する活字15(ア) 「株式会社ベネフィット-イオン様に対する謝罪文」という見出し14ポイントのゴシック体(イ) 本文12ポイントの明朝体以上20
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