主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。 横浜地方検察庁で保管中の委任状1通(令和6年領第3764号符号2)及び「通常貯金お引き出し(払戻請求書)」1通(同符号1)の各偽造部分を没収する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、Aから預かった同人名義の総合口座通帳及び銀行届出印を使用して、同人から貯金の払戻権限を与えられているかのように装い、貯金払戻しの名目で現金をだまし取ろうと考え、同人名義の貯金の払戻しにつき何ら権限がないのに、いずれも行使の目的で、令和6年5月22日頃から同月24日までの間に、神奈川県横須賀市(住所省略)神奈川県横須賀警察署B駐在所ほか1か所において、C銀行所定の委任状の「委任者(名義人)」欄中「おなまえ」欄に「A」、「受任者(代理人)」欄中「おなまえ」欄に「被告人名」などと記載し、「お届け印」欄にA名義の銀行届出印を押印するなどして貯金払戻しに関する同人名義の被告人を受任者とする委任状1通(横浜地方検察庁令和6年領第3764号符号2)を偽造した上、同日、同市(住所省略)D郵便局において、C銀行所定の「通常貯金お引き出し(払戻請求書)」の「お名前」欄に「A」、「金額」欄に「7000000」などと記載し、「お届け印」欄にA名義の銀行届出印を押印して同人名義の「通常貯金お引き出し(払戻請求書)」1通(横浜地方検察庁令和6年領第3764号符号1)を偽造し、同日、同所において、同郵便局長Eらに対し、被告人がAから貯金の払戻権限を与えられており、前記委任状及び前記「通常貯金お引き出し(払戻請求書)」がいずれも真正に作成されたものであるように装い、これらを同人名義の前記総合口座通帳と共に提出行使して現金700万円の払戻しを請求し れており、前記委任状及び前記「通常貯金お引き出し(払戻請求書)」がいずれも真正に作成されたものであるように装い、これらを同人名義の前記総合口座通帳と共に提出行使して現金700万円の払戻しを請求し、出金承認権限を有するEにその旨誤信させ、よって、その頃、同所において、同人から現金7 00万円の交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させた。 (量刑の理由)当時駐在所の警察官であった被告人は、Aや郵便局員から信頼を得ていたその立場を悪用し、Aから銀行の通帳及び届出印を預かったことを奇貨として、委任状及び払戻請求書を偽造し、不正に現金の払戻しを受けたもので、悪質な犯行である。 被害額も700万円と多額である。ギャンブル依存症となり借金が膨らんでいたにもかかわらず、周囲にそれを相談せず、また、当時の妻へも言い出せずに結婚に係る諸費用等を節約することもしないで本件犯行に及んだことは、身勝手というほかなく、動機・経緯に酌むべき点はない。 そうすると、被告人の刑事責任は重いといえるが、被告人が、Aに対し、全額の被害弁償をして示談を成立させ、Aから宥恕を得ていることは、財産犯である本件において相当程度考慮する必要がある。また、被告人が、反省してAに謝罪するとともに、保釈後にはギャンブル依存症の治療のために通院を開始していること、被告人の母親が出廷して今後の監督を誓約していること、被告人には前科前歴がないこと等被告人のために酌むべき事情も認められる。 そこで、これらの事情も考慮し、被告人に対しては、今回に限り、社会内で更生する機会を与えるのが相当であるが、その刑事責任の重さを明確にするため、法律上執行猶予を付することのできる中では最も長い刑期及び執行猶予期間を定めることが相当と考え、主文のとおり判断した。 (求刑・懲役3年6月、主文同旨 であるが、その刑事責任の重さを明確にするため、法律上執行猶予を付することのできる中では最も長い刑期及び執行猶予期間を定めることが相当と考え、主文のとおり判断した。 (求刑・懲役3年6月、主文同旨の没収)令和7年2月21日横浜地方裁判所第5刑事部 裁判官菅野裕希
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