平成19(ワ)9510 建物明渡請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年3月27日 大阪地方裁判所
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判決文本文36,377 文字)

主文 被告らは,原告に対して,別紙明渡目録中の各被告に対応する建物を明渡すとともに,別紙損害金目録中の各被告に対応する金員を支払え。 訴訟費用は被告らの負担とする。 この判決は,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求主文同旨。 第2事案の概要本件は,原告が被告らに対して,所有権に基づいて別紙明渡目録1~4各記載の建物の明渡しを求めるとともに,占有権原を喪失した日の次の日である平成19年4月1日から上記各明渡済みまで不法行為に基づいて損害金(被告部落解放同盟大阪府連合会A支部につき使用料相当額月額5万4116円,その消費税相当額月額2705円,光熱費相当額月額5802円の月額合計6万2623円,被告部落解放同盟大阪府連合会B支部につき使用料相当額月額5万2063円,その消費税相当額月額2603円,光熱費相当額月額5243円の月額合計5万9909円,被告部落解放同盟大阪府連合会C支部につき使用料相当額月額5万9055円,その消費税相当額月額2952円,光熱費相当額7699円の月額合計6万9706円,被告部落解放同盟D支部につき使用料相当額月額7万1553円,その消費税相当額月額3577円,光熱費相当額6252円の月額合計8万1382円)の支払を求める事案である。 前提事実(争いのない事実並びに証拠(後掲)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,書証番号は特記しない限り枝番を含む。)(1)被告らについてア被告落解放同盟大阪府連合会A支部(以下「被告A支部」という。)は,大阪市立A人権文化センター(以下「Aセンター」という。)内に支部事 務所を設置し,部落差別から部落民衆を完全に解放することを目的とし,その目的を達成するため上部機関の指導を受け,部落解放同盟の綱領・規約を承認す センター(以下「Aセンター」という。)内に支部事 務所を設置し,部落差別から部落民衆を完全に解放することを目的とし,その目的を達成するため上部機関の指導を受け,部落解放同盟の綱領・規約を承認する同盟員で構成される権利能力なき社団である(弁論の全趣旨)。 イ被告部落解放同盟大阪府連合会B支部(以下「被告B支部」という。)は,大阪市立B人権文化センター(以下「Bセンター」という。)内に支部事務所を設置し,部落の完全解放・真に人権が確立された民主社会の実現を図ることを目的とし,大阪市B区を拠点として,その目的を達成するために活動する部落住民・部落出身者で構成する権利能力なき社団である(弁論の全趣旨)。 ウ被告部落解放同盟大阪府連合会C支部(以下「被告C支部」という。)は,大阪市立C人権文化センター(以下「Cセンター」という。)内に支部事務所を設置し,封建的身分差別とそれに伴う悲惨な生活状態から部落大衆を完全に解放することを目的とし,大阪市C区を拠点として,部落解放同盟の綱領・規約を承認する支部員によって構成される権利能力なき社団である(弁論の全趣旨)。 エ被告部落解放同盟D支部(以下「被告D支部」という。)は,大阪市立D人権文化センター(以下「Dセンター」という。なお,以下,Aセンター,Bセンター及びCセンターと併せて「本件各センター」という。)内に支部事務所を設置し,部落差別の解消及び真に人権が確立された民主社会の実現を図ることを目的とし,大阪市D区を拠点として,その目的を達成するために活動する部落住民・部落出身者で構成する権利能力なき社団である(弁論の全趣旨)。 オ部落解放同盟大阪府連合会(以下「大阪府連」という。)は,被告A支部,被告B支部,被告C支部及び被告D支部(以下,被告ら各支部を「被告ら」と総称することがある。) 社団である(弁論の全趣旨)。 オ部落解放同盟大阪府連合会(以下「大阪府連」という。)は,被告A支部,被告B支部,被告C支部及び被告D支部(以下,被告ら各支部を「被告ら」と総称することがある。)の上部組織である(弁論の全趣旨)。 (2)隣保館,解放会館及び本件各センターについて(甲18,弁論の全趣旨)ア隣保館・市民館は,同和地区及びその周辺地域の住民を含めた地域社会全体の中で,福祉の向上や人権啓発のための住民交流の拠点となる地域に密着した福祉センター(コミュニティーセンター)として,生活上の各種相談事業をはじめ社会福祉等に関する総合的な事業及び人権・同和問題に対する理解を深めるための活動を行い,もって,地域住民の生活の社会的,経済的,文化的改善向上を図るとともに,人権・同和問題の速やかな解決に資することを目的として設置された施設である。 イ隣保館・市民館は,昭和45年4月に制定された大阪市同和地区解放会館条例(大阪市昭和45年3月31日条例18号。甲5の1。大阪市人権文化センター条例の平成12年4月1日条例43号による改正前のもの。 以下「解放会館条例」という。)によって,大阪市立同和地区解放会館(以下「解放会館」という。)に名称が改められた。 解放会館の目的は,「基本的人権尊重の精神に基づき,同和地区住民の社会的,文化的,経済的生活の向上を図り,同和問題のすみやかな解決に資すること」であり(解放会館条例2条),解放会館は,その目的を達成するために「(1)同和問題の調査,研究及び啓蒙に関すること,(2)地区住民の各種講習,相談及び指導に関すること,(3)地区住民の自主的,組織的活動の促進に関すること,(4)地区住民並びに関係機関及び団体との連絡調整に関すること」等の事業を行う(同条例3条)。 ウ解放会館は,解放会館条例が 指導に関すること,(3)地区住民の自主的,組織的活動の促進に関すること,(4)地区住民並びに関係機関及び団体との連絡調整に関すること」等の事業を行う(同条例3条)。 ウ解放会館は,解放会館条例が平成12年4月1日条例43号によって大阪市立人権文化センター条例(甲6の1。以下「人権文化センター条例」という。)に改正されたことに伴い,その名称が解放会館から,大阪市立人権文化センター(以下「人権文化センター」という。)に変更された。 人権文化センターの目的は,「基本的人権尊重の精神に基づき,歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上を図る必要がある地域の住民の福 祉の向上並びに市民に対する人権啓発の推進及び市民交流の促進を図り,もってすべての人の人権が尊重される社会の実現に寄与すること」であり(人権文化センター条例2条。),人権文化センターは,その目的を達成するために「(1)地域住民の自立支援及び自主的活動の促進に関すること,(2)人権啓発及び人権に係る調査研究に関すること,(3)市民交流の促進に関すること」等の事業を行う(同条例3条)。 エ本件各センターは,人権文化センター条例1条に基づいて設置された施設であり,行政財産であり,原告が所有している(争いのない事実)。 (3)別件訴訟に至る経緯ア被告A支部について(ア)被告A支部は,平成12年9月ころ,大阪市長に対して,別紙明渡目録記載1の建物(Aセンターの1階事務室部分(37.73㎡)であり,以下「本件事務室部分1」という。)について,使用目的を被告A支部のための事務所として,行政財産使用許可申請を行い,大阪市長は,同年10月ころ,同申請に対して,地方自治法(平成18年法律53号による改正前のもの。)238条の4第4項に基づいて,目的外使用許可をした。被告A支部は,これ以 財産使用許可申請を行い,大阪市長は,同年10月ころ,同申請に対して,地方自治法(平成18年法律53号による改正前のもの。)238条の4第4項に基づいて,目的外使用許可をした。被告A支部は,これ以降定期的に同申請を行い,大阪市長は,使用期間を1年間とする目的外使用許可を平成19年3月31日まで更新(継続)した(弁論の全趣旨)。 (イ)被告A支部は,同年2月23日,大阪市長に対して,本件事務室部分1について,使用目的を被告A支部のための事務所として,使用期間を平成19年4月1日から平成20年3月31日までとする行政財産使用許可申請を行ったが,大阪市長は,平成19年3月22日,地方自治法238条の4第7項に基づき,同申請を不許可とする処分をした(甲5の1,8の1)。 (ウ)被告A支部は,平成19年7月2日,上記不許可処分の取消しを求 める訴訟(以下,後記のとおり,被告A支部以外の被告らが提起した行政財産使用不許可処分取消請求訴訟と併せて,「別件訴訟」という。)を提起した(顕著な事実)。 イ被告B支部について(ア)被告B支部は,平成12年9月ころ,大阪市長に対して,別紙明渡目録記載2の建物(Bセンターの2階事務室部分(40.35㎡)であり,以下「本件事務室部分2」という。)について,使用目的を被告B支部のための事務所として,行政財産使用許可申請を行い,大阪市長は,同年10月ころ,同申請に対して,地方自治法(平成18年法律53号による改正前のもの。)238条の4第4項に基づいて,目的外使用許可をした。被告B支部は,これ以降定期的に同申請を行い,大阪市長は,使用期間を1年間とする目的外使用許可を平成19年3月31日まで更新(継続)した(弁論の全趣旨)。 (イ)被告B支部は,同年2月21日,大阪市長に対して,本件事務室部分2につい 行い,大阪市長は,使用期間を1年間とする目的外使用許可を平成19年3月31日まで更新(継続)した(弁論の全趣旨)。 (イ)被告B支部は,同年2月21日,大阪市長に対して,本件事務室部分2について,使用目的を被告B支部のための事務所として,使用期間を平成19年4月1日から平成20年3月31日までとする行政財産使用許可申請を行ったが,大阪市長は,平成19年3月22日,地方自治法238条の4第7項に基づき,同申請に対する不許可処分をした(甲5の2,8の2)。 (ウ)被告B支部は,平成19年7月2日,上記不許可処分の取消しを求めて,別件訴訟を提起した(顕著な事実)。 ウ被告C支部について(ア)被告C支部は,平成12年9月ころ,大阪市長に対して,別紙明渡目録記載3の建物(Cセンターの3階事務室部分(59.64㎡)であり,以下「本件事務室部分3」という。)について,使用目的を被告C支部のための事務所として,行政財産使用許可申請を行い,大阪市長は, 同年10月ころ,同申請に対して,地方自治法(平成18年法律53号による改正前のもの。)238条の4第4項に基づいて,目的外使用許可をした。被告C支部は,これ以降定期的に同申請を行い,大阪市長は,使用期間を1年間とする目的外使用許可を平成19年3月31日まで更新(継続)した(弁論の全趣旨)。 (イ)被告C支部は,同年3月1日,大阪市長に対して,本件事務室部分3について,使用目的を被告C支部のための事務所として,使用期間を平成19年4月1日から平成20年3月31日までとする行政財産使用許可申請を行ったが,大阪市長は,平成19年3月22日,地方自治法238条の4第7項に基づき,同申請に対する不許可処分をした(甲5の3,8の3)。 (ウ)被告C支部は,平成19年7月2日,上記不許可処分の取消し たが,大阪市長は,平成19年3月22日,地方自治法238条の4第7項に基づき,同申請に対する不許可処分をした(甲5の3,8の3)。 (ウ)被告C支部は,平成19年7月2日,上記不許可処分の取消しを求めて,別件訴訟を提起した(顕著な事実)。 エ被告D支部について(ア)被告D支部は,平成12年9月ころ,大阪市長に対して,別紙明渡目録記載4の建物(Dセンターの1階事務室部分(64.96㎡)であり,以下「本件事務室部分4」といい,本件事務室部分1~3と併せて「本件各事務室部分」という。)について,使用目的を被告D支部のための事務所として,行政財産使用許可申請を行い,大阪市長は,同年10月ころ,同申請に対して,地方自治法(平成18年法律53号による改正前のもの。)238条の4第4項に基づいて,目的外使用許可をした。被告D支部は,これ以降1年ごとに同申請を行い,大阪市長は,使用期間を1年間とする目的外使用許可を平成19年3月31日まで更新(継続)した(弁論の全趣旨)。 (イ)被告D支部は,同年2月28日,大阪市長に対して,本件事務室部分4について,使用目的を被告D支部のための事務所として,使用期間 を平成19年4月1日から平成20年3月31日までとする行政財産使用許可申請を行ったが,大阪市長は,平成19年3月22日,地方自治法238条の4第7項に基づき,同申請に対する不許可処分(以下,被告A支部,被告B支部及び被告C支部に対する上記各不許可と併せて「本件各不許可処分」という。)をした(甲5の4,8の4)。 (ウ)被告D支部は,平成19年7月2日,上記不許可処分の取消しを求めて,別件訴訟を提起した(顕著な事実)。 オ本件各不許可処分の理由は,「人権文化センターにおける貴支部事務所による行政財産の使用については,平成12年4月に人権文 2日,上記不許可処分の取消しを求めて,別件訴訟を提起した(顕著な事実)。 オ本件各不許可処分の理由は,「人権文化センターにおける貴支部事務所による行政財産の使用については,平成12年4月に人権文化センター条例が施行された後,その前身である解放会館当時から使用されてきたという歴史的経緯に鑑み,平成12年10月より暫定的に目的外使用許可を行ってきた。しかしながら,人権文化センター条例施行後7年近くが経過しており,平成17年度定期監査等結果報告において本市監査委員からは『広く一般の利用に供する市民利用施設という性質に鑑み,使用許可の見直しについて早急に検討されたい』との意見,また,昨年8月,『大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会』の提言において『外部への移転』との方向が示された。こうした意見を踏まえ,広く一般の利用に供する市民利用施設という性格に鑑み,特定の団体事務所に対する使用許可について見直すこととし,平成19年度は行政財産の目的外使用許可は行わない。」というものであった(乙3~6)。 (4)本件訴訟に至る経緯ア被告らは,本件各不許可処分を受けた後もそれぞれ本件各事務室部分を占有している(争いのない事実)。 イ原告は,被告らに対して,平成19年4月12日及び13日に口頭により,また,同月27日付けで文書により,同年5月31日を期限として物品等を搬出し,本件各事務室部分から退去することを求める旨の通知をし た(争いのない事実)。 ウ原告は,平成19年8月8日,被告らに対して,本件各事務室部分の明渡し及び平成19年4月1日から上記明渡済みまでの損害金の支払を求めて(以下「本件明渡請求」という。)本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 争点 (1)被告らに占有権原が認められるか否か。 (2)本件各不許可処分が違法か から上記明渡済みまでの損害金の支払を求めて(以下「本件明渡請求」という。)本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 争点 (1)被告らに占有権原が認められるか否か。 (2)本件各不許可処分が違法か否か。 (3)原告の本件明渡請求が信義則違反か否か。 (4)使用料相当額等の損害額。 争点に対する当事者の主張(1)争点(1)(占有権原)について[被告らの主張]ア大阪府連と原告は,平成11年10月19日,同年12月3日及び平成12年1月20日に本件各事務室部分を被告らの支部事務所として使用することについて協議した。これらの協議には,大阪府連側から大阪府連書記長Eと書記次長Fが出席し,原告側から原告市民局人権部長G及び人権課長Hが出席した。これらの協議を経て,大阪府連と原告は,解放会館条例を改正し,これまでの無償使用を改め,本件各事務室部分を被告らの支部事務所として使用料を支払って継続的に利用できること,そのような関係にするために形式的に「目的外使用」という形態を用いることの合意をした。被告らは,この合意に基づいて本件各センターの支部事務所の使用範囲(本件各事務室部分)及びその使用料を原告との話合いにより確定した(以下,上記合意を含め「本件各合意」という。)。 このように被告らは,本件各合意に基づき本件各事務室部分を使用する正当な権原を有している。 イ原告は,本件各合意は,地方自治法(平成18年法律第53号による改 正前のもの。)238条の4第1項に違反すると主張するが,以下のとおり,本件各合意は適法である。 (ア)地方自治法に優先する特別法である社会福祉法2条3項11号は,第二種社会福祉事業の1つとして,「隣保事業(隣保館等の施設を設け,無料又は低額な料金でこれを利用させることその他その近隣地域における住民の生活の改善及 する特別法である社会福祉法2条3項11号は,第二種社会福祉事業の1つとして,「隣保事業(隣保館等の施設を設け,無料又は低額な料金でこれを利用させることその他その近隣地域における住民の生活の改善及び向上を図るための各種の事業を行うものをいう。)」を実施すると定めており,国は,隣保事業を行うために隣保館,すなわち人権文化センターを設け,その近隣地域における福祉に欠けた住民(これには被告らによる支援の対象としての住民という意味とこの住民の代表ないし当事者団体としての被告らそのものを含む。)に対し,無料又は低額な料金でこれを利用させ,当該住民ないしはその地域の生活の改善と向上を図り,もって社会福祉の増進を期すものとされていることからすれば,行政財産について私権の設定が認められると解すべきである。 (イ)仮に,上記社会福祉法の適用がないとしても,公用又は公共用財産について一切の私権の設定を禁止することは,財産の効率的な運用に支障を来すこと,公法学会においても行政財産と普通財産の二元論に対する批判的な立場から議論が行われていること(乙30,31)からすれば,行政財産と普通財産の区別は相対化しており,行政財産についても原則として私権の設定を認め,その用途又は目的を妨げるような例外的な場合にのみ私権の設定が禁止されると解すべきである。 (ウ)地方自治法238条の4第2項4号は,行政財産のうち庁舎その他の建物及びその附帯施設並びにこれらの敷地についてその床面積又は敷地に余裕がある場合として政令で定める場合において,当該普通地方公共団体以外の者に当該余裕がある部分を貸し付けることができると定めており,行政財産についての私権の設定を認めている。 本件において,被告らは,原告との合意のもとに本件各事務室部分の使用を継続し,人権文化センター条例施 がある部分を貸し付けることができると定めており,行政財産についての私権の設定を認めている。 本件において,被告らは,原告との合意のもとに本件各事務室部分の使用を継続し,人権文化センター条例施行後には,相応の使用料を支払っている。そして,被告らの支部事務所として本件各事務室部分を使用していることが原告の業務の支障になっている事実は存在せず,今後,原告がこれを事業の遂行に関し直接使用することが確実であるという事情もない。また,被告らの支部事務所として本件各事務室部分を利用することは本件各センターの目的及び事業を遂行し,その有効活用のためには不可欠である。以上からすれば,被告らの支部事務所として本件各事務室部分についての使用関係は,地方自治法238条の4第2項4号に基づくものであり,適法な私権の設定というべきである。 (エ)したがって,本件各合意は適法である。 [原告の主張]ア原告は,大阪府連との間において,被告らの主張するような本件各合意はしていない。 イ人権文化センターは,地方自治法244条の規定及び人権文化センター条例の規定から,「住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設」すなわち公の施設であるから,財産管理者たる大阪市長としては,その設置目的に沿って適切に管理しなければならない。そして,公の財産も行政財産であるから,地方自治法(平成18年法律第53号による改正前のもの。)238条の4により,原則として,貸付や私権の設定等をすることができず,その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができるにとどまる。 そうだとすれば,被告らが主張する本件各合意は,同法238条の4第1項に違反した違法無効なものであり,本件各合意は,占有権原にはなり得ない。 (2)争点(2)(本件各不許可処分が違法か とどまる。 そうだとすれば,被告らが主張する本件各合意は,同法238条の4第1項に違反した違法無効なものであり,本件各合意は,占有権原にはなり得ない。 (2)争点(2)(本件各不許可処分が違法か否か)について [被告らの主張]原告の本件明渡請求は,本件各不許可処分が適法であることを前提とするが,以下のとおり,本件各不許可処分は,違法無効であるから,本件明渡請求は,その前提要件を欠き,理由がない。 ア本件各不許可処分が本件各合意に反すること行政行為に行政庁の効果裁量が認められている場合に行政庁がある行政行為をすると私人と約束をしたときには,法律が行政庁に裁量権を認めた趣旨に反しない限り,契約としての法的拘束力が認められると解すべきである(以下「確約の法理」という。)。そして,一般に行政財産の目的外使用許可については,行政庁に裁量権限があると解されることからすれば,原告ないし大阪市長がかかる裁量権の行使として被告らとの間で行政財産の使用合意をした場合には,当該合意は法的拘束力を有すると解すべきであり,これに反する当該行政財産についての目的外使用不許可処分は,違法無効である。 前記のとおり,被告らと原告は,本件各不許可処分に先立ち本件各合意をしており,これは適法であり,上記確約の法理が認められていることに照らせば,本件各合意に反する本件各不許可処分は,違法無効である。 イ本件各不許可処分が大阪市長の裁量権の逸脱濫用にあたること(ア)被告らの本件各センターの使用が目的内使用に該当し,本件各不許可処分が地方自治法244条に違反することa行政財産の使用について,当該行政財産の本来的効用ないし設置目的に基づく使用については,同法244条が適用され,大阪市長は,正当な理由がない限り,その使用許可をしなければならないと解すべきである 行政財産の使用について,当該行政財産の本来的効用ないし設置目的に基づく使用については,同法244条が適用され,大阪市長は,正当な理由がない限り,その使用許可をしなければならないと解すべきである。 b本件において,本件各センターは,基本的人権の尊重の精神に基づき,歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上を図る必要がある 地域の住民の福祉の向上並びに市民に対する人権啓発の推進及び市民交流の促進を図り,もってすべての人の人権が尊重される社会実現に寄与することにある(人権文化センター条例2条)。そして,被告らは,行政主体が責任をもって行う同和対策事業や人権擁護施策等を推進する活動を継続的に行っている。そうだとすれば,「地区住民の大多数で構成されている団体」である被告らの本件各事務室部分の利用は,その設置目的に基づくものである。これに加えて,解放会館の設置から人権文化センターの設置に至る歴史的経緯,人権文化センターが社会福祉事業に基づく隣保事業の実施機関としての機能を併せ持ち貸館のみを目的とする公共用財産とはその性質を異にすること,被告らと原告担当者との間でなされてきた本件各合意までの経緯にも照らせば,被告らの本件各事務室部分の利用は,行政財産の目的内使用に該当し,「公の施設」(同法244条)に関する使用として,正当な理由がない限り,その使用が認められると解すべきである。 そうすると,原告は,上記正当な理由を主張,立証していない以上,本件各不許可処分は,同法244条に反し,違法である。 cこの点,原告は,本件各事務室部分は,人権文化センター条例6条の使用許可の対象となっていないことから,被告らの本件各事務室部分の利用は,同法238条の4第7項の目的外使用許可に基づくと主張する。 しかし,本件各センターの目的(人権文化センター条例 ー条例6条の使用許可の対象となっていないことから,被告らの本件各事務室部分の利用は,同法238条の4第7項の目的外使用許可に基づくと主張する。 しかし,本件各センターの目的(人権文化センター条例2条)を達成するためには,人権文化センター条例の別表2のように部屋やスペースを単位時間当たりで使用させる事務が行われるだけでは不十分である。また,同条例3条が定める本件各センターの事業は,地域住民の自立支援及び自主的活動の促進,人権啓発及び人権に係る調査研究に関すること,市民交流の促進に関すること,その他市長が必要と認 める事業と定めており,これらの事業は,永続的な持続性が確保されるべきことが予定されており,このような事業を同条例別表2に掲げる物件の貸館のみによって実現するのは不可能である。 したがって,本件各事務室部分が人権文化センター条例の使用許可の対象となっていないことをもって,被告らの本件各事務室部分の利用が地方自治法238条の4第7項の規律に服するとの原告の前記主張は失当である。 (イ)被告らの本件各事務室部分の利用が目的外使用に該当したとしても,本件各不許可処分は,大阪市長の裁量権の逸脱濫用であることa行政財産は,広く一般の使用,利用に供され,住民の利便や公共の要請に即応することが地方公共団体の住民の利益に合致し,地方公共団体の財産運営にも資することが多いことからすれば,行政財産の目的外使用許可について定めた地方自治法238条の4第7項の大阪市長の裁量権の判断については,行政財産の目的適合型使用に該当する場合には,同法244条2項,3項を適用ないし準用して,大阪市長の裁量権は収縮されると解すべきである。したがって,行政財産の目的適合型使用の場合には,大阪市長にその使用の許否の判断に裁量権が認められるものの,その使用許 2項,3項を適用ないし準用して,大阪市長の裁量権は収縮されると解すべきである。したがって,行政財産の目的適合型使用の場合には,大阪市長にその使用の許否の判断に裁量権が認められるものの,その使用許可申請を拒否するには,正当な理由を原告において主張立証しなければならないと解すべきである。 本件において,被告らの事務所として本件各事務室部分を利用することは本件各センターの目的に適合することは前記のとおりであるから,原告は,正当な理由なく被告らの使用許可申請を拒否することは許されない。そして,原告は正当な理由について主張立証をしていない以上,本件各不許可処分は,裁量権を逸脱濫用したものであり,違法である。 bこの点,原告は,別件訴訟において,最高裁平成18年2月7日第 三小法廷判決民集60巻2号401頁(以下「平成18年判決」という。)を引用の上,本件各不許可処分は適法であると主張するが,以下のとおり,本件各不許可処分は,考慮事項の評価の合理性を欠如しており,要考慮事項の考慮が不十分であり,大阪市長の裁量権を逸脱濫用しており,違法というべきである。 (a)原告は,被告らが特定の運動団体であることを本件各不許可処分の理由としている。しかし,被告らは,運動団体としての性格を有するも,それと同時に人権文化センターの事業である「地域住民の自立支援及び自主的活動」,「人権啓発及び人権に係る調査研究」,「市民交流」(人権文化センター条例3条)を推進する団体であることからすれば,被告らが運動団体であることを強調する原告の主張は,考慮事項の評価の合理性を欠いている。 (b)本件各センターは,被差別部落地域ないし同和地区内に建築されて設置されたものであり,原告と被告らは,その建築にあたり,地区内住民の権利関係等錯綜する利害関係の調整を協調して行ってき いている。 (b)本件各センターは,被差別部落地域ないし同和地区内に建築されて設置されたものであり,原告と被告らは,その建築にあたり,地区内住民の権利関係等錯綜する利害関係の調整を協調して行ってきたものである。そして,被告らは,本件各センターの建築以来,本件各センターを支部事務所として使用しており,原告は,本件各不許可処分に至るまで,一度も被告らに対する退去要請や退去に向けた協議をせず,また,上記の歴史及び実態も考慮せず,本件各不許可処分をしている。これらに照らせば,本件各不許可処分は,要考慮事項の考慮が不十分である。 (c)原告は,本件各不許可処分の理由として,広く一般の利用に供する市民施設であることを強調しており,被告らが本件各センターの効用を害したり,他者の利用を妨げているかのような主張をしているとも思われる。しかし,被告らの本件各センターの利用によって他の利用者の便益が害された,あるいは害されるおそれがあるとい う具体的な主張は全くないことからすれば,考慮事項の評価の合理性を欠いている。 (d)被告らと原告は,エセ同和行為廃絶,人権啓発などの人権領域に関わる主要な団体や事業体に協調的に参画して具体的協議,会議,企画,運営,行事,行動及び活動内容等の意思決定を行っており,本件各事務室部分は,これらの活動の場としても利用されており,大阪市長がこれらを考慮しなかったことは明らかであるから,要考慮事項の考慮が不十分である。 (e)被告らは,部落差別の解放を目的としている以上,被差別部落という各地区内に支部事務所を設置することがその目的から不可欠であるが,被告らの中には本件各センター以外に各地区内にその支部事務所として利用できる場所が官民問わず存在しない状況にあるものもある。そうだとすれば,本件各不許可処分は,被告らの存在意 から不可欠であるが,被告らの中には本件各センター以外に各地区内にその支部事務所として利用できる場所が官民問わず存在しない状況にあるものもある。そうだとすれば,本件各不許可処分は,被告らの存在意義の否定にすら至るものであり,大阪市長がこれを考慮していないことは明らかであるから,要考慮事項の考慮が不十分である。 (f)被告らは,長年にわたり何の問題もなく本件各センターの一部を継続的に使用しており,目的外使用許可申請と同許可は形式的なものであったこと,人権文化センター条例に改正されるに当たっても従来の解放会館条例時代と同様に明渡しを求めないとの説明がされていたこと,原告から退去を求める意向が示されたり,協議したことは全くないことなどの本件各不許可処分に至る経緯が認められる。 そして,平成18年判決も「当該中学校の校長が職員会議を開いた上で支障がないとし,いったんは口頭で使用を許可する意思を表示した後に,市教育委員会が過去の右翼団体の妨害行為を例にあげて使用させない方向に指導し,不許可処分するに至った」という経過を裁量権の逸脱濫用の積極要素と解しており,本件各不許可処分に 至る経過も平成18年判決の経過と本質的な点で共通していることからすれば,上記の本件の経過は,裁量権逸脱濫用の積極要素となる。 (g)大阪市長は,大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会の提言及び平成17年度定期監査等結果報告に基づいて本件各不許可処分を行っている。しかし,同委員会は,市議会の政治情勢を受けた市長の私的諮問機関にすぎない上に,上記提言及び結果報告は,社会福祉の領域における当事者の位置付けや活動の検証とプロセスを一切排除してなされたものであり,大阪市長の裁量権の逸脱濫用というべきである。 [原告の主張]ア被告らは,人権文化センター条例上,被 社会福祉の領域における当事者の位置付けや活動の検証とプロセスを一切排除してなされたものであり,大阪市長の裁量権の逸脱濫用というべきである。 [原告の主張]ア被告らは,人権文化センター条例上,被告らが本件各事務室部分をその支部事務所として利用することが認められるから,本件各不許可処分はこれらを侵害するものとして違法無効と主張するが,以下のとおり,被告らの上記主張は,失当である。 イ(ア)人権文化センターは,住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設であり,「公の施設」(地方自治法244条)であり,人権文化センターを利用しようとする者は,指定管理者の許可を受けることが必要であり(人権文化センター条例6条),その許可は,人権文化センターの供用時間の範囲内(午前9時15分から午後9時15分まで)において,同条例中の別表第2に掲げる人権文化センター内の施設を使用する限りにおいて認められ,使用許可を受けた者は,使用料を前納しなければならない(同条例10条,同条例施行規則2条)。そして,人権文化センターは,公の施設であり,行政財産であるところ,行政財産の管理に係る地方自治法238条の4は,適正かつ効率的な行政財産の管理を期するという趣旨から,行政財産については,原則とし て貸し付けや私権の設定等することができず,その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができるとしている。 したがって,人権文化センター内の同条例別表第2に掲げる施設については,同条例が規定している許可がされ,それ以外の施設は,人権文化センターの用途又は目的を妨げない限度において,地方自治法238条の4第7項に基づく例外的な目的外使用許可が認められるにすぎないと解される。 (イ)本件において,被告らは,本件各事務室部分を被告らの支部事務 用途又は目的を妨げない限度において,地方自治法238条の4第7項に基づく例外的な目的外使用許可が認められるにすぎないと解される。 (イ)本件において,被告らは,本件各事務室部分を被告らの支部事務所として利用することを目的として使用許可申請書を提出しているところ,①被告らが申請している本件各事務室部分は,人権文化センター条例中の使用許可の対象となる施設とは異なる部分であること,②被告らの使用許可申請は,人権文化センター条例6条に基づく使用許可の内容としては認められることのない被告らの支部活動のための事務所スペースとしての使用に係る申請であることからすれば,被告らの使用許可申請は,地方自治法(平成18年法律53号による改正前のもの。)238条の4第4項(ただし平成19年3月1日以降の申請は同条7項。)に基づく行政財産の目的外使用許可の申請としてされたものといえる。これは,「大阪市使用財産使用許可申請書について」(甲8)自体にも地方自治法238条の4に基づく行政処分であることが明確に記載されていることからも明らかである。 そうだとすれば,被告らの本件の目的外使用許可申請は,人権文化センター条例上の使用許可とは法的根拠を異にする地方自治法238条の4第7項に基づくものである以上,同条例によって認められた何らかの法的地位を有することを前提とする被告らの前記主張はそれ自体失当である。 (3)争点(3)(信義則違反)について [被告らの主張]前記のとおり本件各不許可処分が違法であること,被告らが本件各事務室部分をその支部事務所として継続して使用してきたという歴史的経緯,本件各合意がされたこと,被告らにおいて現状の利用形態が継続することに対する合理的期待が高度に存していたことからすれば,原告の被告らに対する本件明渡請求は,禁反言の法理 用してきたという歴史的経緯,本件各合意がされたこと,被告らにおいて現状の利用形態が継続することに対する合理的期待が高度に存していたことからすれば,原告の被告らに対する本件明渡請求は,禁反言の法理を含む信義則に違反する。 [原告の主張]被告らの主張は,本件各不許可処分が違法であることの根拠の1つとして,信義則違反を主張するのか,被告らが主張する本件各合意を破棄することが信義則違反であることを主張するのか明らかではないが,本件各不許可処分が適法にされたこと,本件各合意がそもそも法律上認められないものであることからすれば,被告らの信義則違反の主張は失当である。 (4)争点(4)(使用料相当額等の損害額)について[原告の主張]ア使用料相当額の損害平成19年4月1日以降の被告らの不法占有によって,原告は,本件各事務室部分を使用することができなくなっており,その損害は1月につき本件事務室部分1については5万6821円,本件事務室部分2については5万4666円,本件事務室部分3については6万2007円,本件事務室部分4については7万5130円を下らない。すなわち,原告における行政財産の目的外使用に係る使用料は,大阪市財産条例(甲3,4)7条1項の規定に基づいて算定しているところ,本件各事務室部分の1㎡あたりの使用料は,本件事務室部分1は1か月1434.3円,本件事務室部分2は1か月1290.3円,本件事務室部分3は1か月990.2円,本件事務室部分4は1か月1101.5円であり,これに被告らが占有している本件各事務室部分の面積をそれぞれ乗じ(円単位未満を切り捨て), 消費税を加えた額の損害が生じているというべきである。 イ光熱費相当額の損害平成19年4月1日以降の被告らが本件各事務室部分を使用することによって,電気代,ガス代及び水 位未満を切り捨て), 消費税を加えた額の損害が生じているというべきである。 イ光熱費相当額の損害平成19年4月1日以降の被告らが本件各事務室部分を使用することによって,電気代,ガス代及び水道代(以下「光熱水費」という。)として,本件事務室部分1については1か月5802円,本件事務室部分2については1か月5243円,本件事務室部分3については1か月7699円,本件事務室部分4については1か月6252円を下らない額の損害が生じている。具体的には,本件各事務室部分に係る光熱水費は,本件各センターの光熱水費の前年度実績,本件各事務室部分が本件各センターにおいて占める面積割合(ホール部分等について特別な配慮をしたもの。)及び本件各事務室部分の使用時間割合を基に算出したものである。 [被告らの主張]原告の主張は争う。 第3争点に対する判断 争点(1)(占有権原)について被告らは,本件明渡請求に対する占有権原として本件各合意がされたことを主張する。 しかし,地方自治法(平成18年法律第53号による改正前のもの。)238条の4第1項は,行政財産は,同条2項に定めるものを除くほか,これを貸し付けたり,これに私権を設定することはできないとし,同条3項は,これに違反する行為を無効としている。したがって,仮に原告が,大阪府連及び被告らとの間で,行政財産である本件各事務室部分を被告らに継続的に貸し付けることを内容とする本件各合意をしたとしても,それは上記各条項に違反する無効なものであり,本件各合意は,占有権原にはなり得ない。 これに対し,被告らは,社会福祉法2条3項11号において,第二種社会福祉事業として隣保事業(隣保館等の施設を設け,無料又は低額な料金でこれを 利用させることその他その近隣地域における住民の生活の改善及び向上を図るための各 祉法2条3項11号において,第二種社会福祉事業として隣保事業(隣保館等の施設を設け,無料又は低額な料金でこれを 利用させることその他その近隣地域における住民の生活の改善及び向上を図るための各種の事業を行う)の実施が定められていることから,被告らは,近隣地域住民の代表として隣保館である本件各センターについて私権の設定が認められると主張する。しかし,上記規定は,第二種社会福祉事業に含まれる隣保事業の定義を定めたものにすぎない上,同号にいう隣保館等の施設の利用は,近隣住民による公の施設としての隣保館等の利用を規定したものであり,同施設に対する私権の設定を想定したものとはいえず,行政財産に対して私権の設定を禁じた地方自治法(平成18年法律第53号による改正前のもの。)238条の4第1項の規定を排除する趣旨を含むと解することはできない。被告らの上記主張は失当である。 また,被告らは,行政財産と普通財産の区別は相対化しており,行政財産についても,原則として私権の設定が認められると解すべきであると主張する。 しかし,これは,地方自治法238条の4第1項の明文に反するものであり,解釈として失当である(被告らがその主張の根拠として引用する論文(乙30,31)はいずれも立法論として,同項の規定の見直しを論ずる趣旨と解される。)。 被告らは,本件各合意が地方自治法238条の4第2項4号に基づくものであるとも主張する。しかし,同号は,平成18年法律第53号による地方自治法の改正により定められた規定であり(施行日は,平成19年3月1日(平成19年政令第32号)である。),被告らが本件各合意がされたと主張する時点(平成12年)において同号は未施行であった以上,本件各合意が同号に基づくものであることはあり得ず,被告らの上記主張も失当である。 このように,本件各 る。),被告らが本件各合意がされたと主張する時点(平成12年)において同号は未施行であった以上,本件各合意が同号に基づくものであることはあり得ず,被告らの上記主張も失当である。 このように,本件各合意は,仮にそれがされたとしても,違法無効というべきであるから,本件各合意を占有権原とする被告らの前記主張は理由がない。 争点(2)(本件各不許可処分の違法性)について被告らは,本件各不許可処分が適法であることが本件明渡請求の前提要件で あると解した上で,本件各不許可処分は違法であるから,本件明渡請求は理由がないと主張する。しかし,本件明渡請求は,所有権に基づく返還請求権としての建物明渡請求であるから,本件各不許可処分が適法であることがその前提要件であるとは解せない。また,仮に,本件各不許可処分が違法であったとしても,これにより被告らの占有が直ちに適法(占有権原を有するもの)になるとも解せない。したがって,被告らの前記主張は失当である(もっとも,本件各不許可処分が違法であることは,本件明渡請求が信義則に反することの評価根拠事実の1つにはなり得る。)。 争点(3)(信義則違反)について被告らは,本件各不許可処分が違法であること,現状の利用形態が継続することに対する合理的期待が高度に存することから,原告の本件明渡請求は信義則に反すると主張するので,以下検討する。 (1)本件各不許可処分が違法であるか否かについてア確約の法理について被告らは,行政庁が私人とある行政行為をする合意をしたときには,その裁量権が付与された趣旨に反しない限り,当該合意に法的拘束力が認められるという確約の法理が解釈上認められることを前提とした上で,本件各合意に反する本件各不許可処分は違法であると主張する。しかし,仮に原告が,大阪府連及び被告らとの間で,行政財 意に法的拘束力が認められるという確約の法理が解釈上認められることを前提とした上で,本件各合意に反する本件各不許可処分は違法であると主張する。しかし,仮に原告が,大阪府連及び被告らとの間で,行政財産である本件各事務室部分を被告らに継続的に貸し付けることを内容とする本件各合意をしたとしても,それが違法無効であることは前記のとおりであるから,確約の法理を適用する前提を欠くというべきである。したがって,本件各合意が有効であることを前提として確約の法理の適用を主張する被告らの前記主張は理由がない。 イ本件各不許可処分における裁量権の逸脱濫用の有無について(ア)地方自治法244条の規律に服するか否かについて 被告らは,裁量権の逸脱濫用を主張する前提として,本件各事務室部分の使用関係は,地方自治法244条の規律に服すると主張するので,検討する。 a同法244条2項は,「公の施設」について,普通地方公共団体が正当な理由のない限り,住民の利用を拒んではならないと規定するが,これは,住民がその所属する普通地方公共団体の提供する役務をひとしく受ける権利を有すること(同法10条2項)に鑑み,行政財産のうち,住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供された公の施設について,住民の自由な利用を保障した点にあると解される。 この趣旨に照らせば,同法244条2項の規律に服するのは,住民の利用に供するための施設を,その設置目的に基づいて使用する場合に限られ,それ以外の場合には,同法238条の4第7項の目的外使用許可の問題として処理するのが相当である。そして,公の施設の設置及び管理権限は普通地方公共団体の長にあり(同法149条7号),公の施設に関する事項は,原則として条例で定めるとされている(同法244条の2第1項)ことからすれば,当該施設が住民の利用 の施設の設置及び管理権限は普通地方公共団体の長にあり(同法149条7号),公の施設に関する事項は,原則として条例で定めるとされている(同法244条の2第1項)ことからすれば,当該施設が住民の利用に供されるためのものか否かは,当該施設に関する条例の規定や当該施設の使用・管理の実情などを考慮して判断すべきであり,この判断は,当該施設のある建物(本件では,本件各センター)全体についてではなく,当該施設(本件では,本件各事務室部分)ごとに行うべきである。 bそこで,このような観点から,本件各事務室部分が住民の利用に供するためのものであるか否かを検討する。 (a)証拠(甲19,乙8の1)及び前提事実によれば,以下の事実が認められる。 i本件各センターの設置及び管理に関する事項に関して,人権文化 センター条例が制定されている。同条例において,本件各センターは,地域住民の自立支援及び自主的活動の促進に関する事業,人権啓発及び人権に係る調査研究に関する事業,市民交流の促進に関する事業及びその他市長が必要と認める事業を行うこと(同条例3条),本件各センターの供用時間は,午前9時15分から午後9時15分まで,本件各センターのうち,ホール,講堂,集会室,研修室,会議室などの各施設部分(以下「本件各施設部分」という。)の供用時間は,午前9時30分から午後9時00までであり,本件各施設部分を使用しようとする者は,指定管理者の許可を受けなければならないこと(同条例5条1項,6条),本件各施設部分を使用するためには,使用料(例えば,研修室は,1室1日7600円の範囲で市長が定める額)を前納しなければならないこと(同条例10条)が定められている。 ii原告市民局のホームページには,本件各センターの貸室として,ホール,集会室,会議室,学習室などが,一 0円の範囲で市長が定める額)を前納しなければならないこと(同条例10条)が定められている。 ii原告市民局のホームページには,本件各センターの貸室として,ホール,集会室,会議室,学習室などが,一日当たりの使用料とともに記載されている。 iii本件各センターには,本件各事務室部分を含む事務室が複数あるが,そのいずれも,上記条例における本件各施設部分やホームページにおける貸室に含まれていない。 iv原告は,本件各事務室部分について,1年単位の目的外使用許可という上記条例に規定されていない形式で,被告らに継続的に使用させてきた。 (b)人権文化センター条例の上記各規定や本件各事務室部分の使用・管理方法等に照らせば,本件各事務室部分を住民の利用に供するための施設と認めることはできず,被告らの本件各事務室部分の使用関係について,地方自治法244条の規律に服するものということ はできない。 これに反する被告らの主張は,理由がない。 (イ)行政財産について目的外使用許可をするに当たっての裁量権についてa地方自治法238条の4第1項は,行政財産は,原則として,これを貸し付け,交換し,売り払い,譲与し,出資の目的とし,若しくは信託し又はこれに私権を設定することができないとし,同条6項は,これに違反する行為を無効とする。その一方,同条7項は,行政財産は,その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができるとし,行政財産の目的外使用許可の制度を定めている。 目的外使用許可の制度が定められた趣旨は,行政財産が,本来,公益を増進するという行政目的を達成するために用いられるべきものであることから,その使用による行政目的の達成を確保するとともに,他方で,行政財産によっては,本来の用途又は目的外に使用させても,その用途又は目的を妨げ う行政目的を達成するために用いられるべきものであることから,その使用による行政目的の達成を確保するとともに,他方で,行政財産によっては,本来の用途又は目的外に使用させても,その用途又は目的を妨げないばかりか,場合によっては,行政財産自体の効用を高めることもあることから,当該目的以外の使用に供しても本来の使用目的が阻害されない例外的な場合に,当該行政財産の効率的な利用を可能にしようとした点にあると解される。 このような目的外使用許可の制度が定められた趣旨に加えて,行政財産が,本来,行政目的達成のために使用されるものであり,地方自治法も目的外使用許可について具体的な要件を定めることなく,「その使用を許可することができる。」(同法238条の4第7項)とし,同条9項は,行政財産の目的外使用許可をした場合において,公用若しくは公共用に供するため必要を生じたときは,これを取り消すことができるとしていることからすれば,普通地方公共団体の長は,当該行政財産につき目的外使用許可の申請があったとしても,これを許可 すべき義務を負うものではなく,当該行政財産の性質,これにより達成しようとする行政目的の内容,公用又は公共用に供する必要の生ずる見込み,当該許可をした場合に予想される支障の程度及び当該許可の相手方が享受する利益の性質など諸般の事情を総合的に考慮してその可否を判断することが予定されていると解すべきである。 そして,これを判断するに当たり,普通地方公共団体の長には要件及び効果の双方において広い裁量があるというべきであり,目的外使用の不許可処分が違法となるのは,普通地方公共団体の長がかかる裁量権を逸脱濫用した場合に限られ,裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断 なるのは,普通地方公共団体の長がかかる裁量権を逸脱濫用した場合に限られ,裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱又は濫用として違法となると解すべきである。 b被告らは,本件各事務室部分を被告らの支部事務所として利用することが本件各センターの設置目的に適合していることから,本件各不許可処分の大阪市長の裁量は地方自治法244条2項の規定に準じて収縮され,正当な理由のない限り行政財産の使用の不許可処分をすることはできないと主張する。 しかし,前記のとおり,同条項の趣旨は,住民の利用が予定された施設について,住民の自由な利用を保障した点にあると解されるのであり,このような施設ではない本件各事務室部分の利用には妥当しない(もっとも,当該行政財産の利用が当該財産の設置目的に適合していることは,当該裁量権の逸脱濫用の評価根拠事実の1つにはなり得る。)。 したがって,被告らの前記主張は採用できない。 (ウ)本件各不許可処分が裁量権の逸脱濫用といえるか否かについてa争いのない事実,前記前提事実,証拠(後掲)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 (a)被告らの活動状況と本件各センターの歴史i被告A支部とAセンター(甲18,弁論の全趣旨)A市民館は,昭和36年に建設され,被告A支部は,そのころ結成され,A市民館内を活動拠点にして,A地区の環境改善や差別撤廃に向けた取り組みを行った。A地区の住民にとっては,A市民館に行けば被告A支部に相談をもちかけることができ,原告 A支部は,そのころ結成され,A市民館内を活動拠点にして,A地区の環境改善や差別撤廃に向けた取り組みを行った。A地区の住民にとっては,A市民館に行けば被告A支部に相談をもちかけることができ,原告もA支部を通じてA地区住民の声を拾い上げ,これを同和事業の実施に反映させることができた。 被告A支部は,A市民館が昭和45年4月にA解放会館に名称変更された後も,A保育所・A湯やトラコーマ(仮設)診療所の開設,部落解放A地区総合計画の策定,A地区消費生活協同組合設立等の活動及び部落差別撤廃の活動を原告の同和行政と共同して行っていた。 被告A支部は,A解放会館が平成12年4月にAセンターに名称変更された後も,I・東人権フェスティバル,世界人権宣言大阪・東連絡会議,いくえ人権教育ネットワーク,J区学校施設設備改善要求推進委員会,A地区フィールドワーク等の活動を行い,部落差別のみならず,外国人差別など他の人権問題や環境問題,労働問題など数多くのテーマを取り上げて人権啓発活動を行っている。 ii被告B支部とBセンター(甲18,弁論の全趣旨)被告B支部は,昭和31年に結成され,B隣保館は,昭和35年に建設された。それ以来,被告B支部は,B隣保館内を活動拠 点にして,差別解消のために運動を展開した。B隣保館は,B地区の財産としての「青年会館」を改修して建築されたものであり,原告が用地を取得し,建物及び設備の費用を助成して建築されたものであり,その運営は,昭和36年に設立された財団法人B隣保館によって行われた。 被告B支部は,B隣保館が昭和45年4月にB解放会館に名称変更された後も,B解放会館を拠点として,狭山部落差別裁判糾弾闘争の支援,部落解放基本法の制定運動をしたり,事業としては,B地区総合10カ年計画実行本部を設置し,町づくりの計画を推 解放会館に名称変更された後も,B解放会館を拠点として,狭山部落差別裁判糾弾闘争の支援,部落解放基本法の制定運動をしたり,事業としては,B地区総合10カ年計画実行本部を設置し,町づくりの計画を推進し,B地区における部落解放運動や事件問題をテーマにした全体会・分科会を開催し,人権啓発事業も展開した。B解放会館は,平成7年まで,財団法人B隣保館による運営が続けられ,その後,原告が運営するようになり,これに伴い,被告B支部は,B解放会館内に支部事務所を設置し,上記活動を継続した。 被告B支部は,B解放会館が平成12年4月にBセンターに名称変更された後も,地域医療の推進,福祉運動の展開,公共施設の積極的な利用,各館連絡会(人権文化センター・青少年会館・総合福祉センター・保育所・B支部・B人権協会)や五者連絡会(B支部・B人権協会・財産法人B隣保館・自治会・社会福祉法人ライフサポート協会)による連携強化,地域活性化推進協議会の開催及び相談事業の実施等の活動を行っている。 iii被告C支部とCセンター(甲18,弁論の全趣旨)被告C支部は,昭和47年1月25日に結成され,解放会館が設立されるまでの措置として同年5月20日に設立された仮設解放会館に支部事務所を置き,部落差別解消のための活動を行い,昭和52年にC解放会館が建設されたことに伴い,支部事務所を C解放会館に移し,地区住民に対して学習会,人権相談,講演会を行ったり,部落解放C地区研究集会を開催して部落差別について学んだり,C解放教育実践交流会を開催する等の活動を行った。 被告C支部は,C解放会館が平成12年4月にCセンターに名称変更された後も,Cセンターの貸室事業の宣伝普及や,Cセンターの意義や被差別部落の歴史などについて話をし,Cセンターの利用を通じて被差別部落を知ってもらうこ 放会館が平成12年4月にCセンターに名称変更された後も,Cセンターの貸室事業の宣伝普及や,Cセンターの意義や被差別部落の歴史などについて話をし,Cセンターの利用を通じて被差別部落を知ってもらうことができるような活動を行っている。 iv被告D支部とDセンター(甲18,弁論の全趣旨)被告D支部は,昭和28年に結成された部落解放委員会D支部が昭和30年に名称変更された組織であり,D地区内での文化温泉建設運動,共同水道設置運動及び住宅要求などの運動を行った。 被告D支部は,昭和39年9月に大阪市立K市民館が建設されたことに伴い,同市民館に支部事務所を設置した。 被告D支部は,上記K市民館が昭和45年4月にD解放会館に名称変更された後も,地域の相談活動や被差別部落解消のための活動を行った。 被告D支部は,D解放会館が平成12年4月にD人権文化センターに名称変更された後も,被差別部落問題の解消のためだけでなく,人権尊重社会の実現のための活動,住民主体のまちづくり及び教育分野,就労分野,福祉分野における活動等を行っている。 (b)同和政策の経過について(乙15,16,33,弁論の全趣旨)i国において,昭和40年8月に同和対策審議会答申が出され,昭和44年に10年間の時限法として「同和対策事業特別措置法」(以下「同対法」という。)が制定され,全国的に本格的な同和事業が取り組まれることとなった。同対法は3年間延長されたが, その後,同対法の枠組みを基本的に引き継いだ「地域改善対策特別措置法」(以下「地対法」という。)が昭和57年に5年間の時限法として制定された。さらに,昭和62年には,5年間の時限法として「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(以下「地対財特法」という。)が制定された。地対財特法は,平成4年と平成9年 て制定された。さらに,昭和62年には,5年間の時限法として「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(以下「地対財特法」という。)が制定された。地対財特法は,平成4年と平成9年にそれぞれ5年間延長された後,平成14年3月31日をもって失効した。 ii原告において,昭和38年11月に「同和対策その他,地区改善対策に関する事項の調査・審議及び市長に対する意見の具申に関する事務」を担当する付属機関として大阪市地区改善対策審議会が設置され,同審議会は,昭和41年10月に大阪市同和対策審議会に改組された。大阪市同和対策審議会は,昭和43年10月に「大阪市同和地区の長期計画樹立のための基本構想について」を答申し,同和問題の解決に向け,具体的施策を求めた。また,昭和46年には,同和対策の推進にかかる重要事項の調査審議を行うため「大阪市同和対策推進協議会」が設置された。 原告は,上記地対法,地対財特法及び上記審議会等の答申に基づいて,同和地区の生活環境の改善や地域住民の自立・自覚を促進するとともに,地域におけるセンターとしての解放会館をはじめとする各種地区施設を整備するなど同和問題の早期解決を目指して特別対策を実施した。 iii地域改善対策協議会は,国に対する平成8年5月17日付けの「地域改善対策協議会意見具申」において,「四半世紀にわたって同和地区,同和関係者に対象を限定した特別対策を実施」した結果,「物的な生活環境をはじめ様々な面で存在した較差が大きく改善され」,「物的な基盤整備はおおかた完了したとみられ」, 総合的にみれば,「これまでの特別対策は現行法期限内におおむねその目的を達成できるものと考える。」とした上で,「今後の施策の基本的な方向」として,「特別対策は,事業の実施の緊要性等に応じて講じられるものであり ば,「これまでの特別対策は現行法期限内におおむねその目的を達成できるものと考える。」とした上で,「今後の施策の基本的な方向」として,「特別対策は,事業の実施の緊要性等に応じて講じられるものであり,状況が整えばできる限り早期に一般対策へ移行することになる。このようなことから,従来の対策を漫然と継続していたのでは同和問題の早期解決に至ることは困難であり,これまでの特別対策については,おおむねその目的を達成することができることから,現行法の期限である平成9年3月末をもって終了することとし,教育,就労,産業等の残された課題については,その解決のため,一般対策に工夫を加えつつ対応するという基本姿勢に立つべきである」とした。 これを受けて国は,地域改善対策特定事業の一般対策への円滑な移行に関する方策として,平成9年度以降5年間に限り,指定の事業について,財政上の特別措置を行うための法的措置や一般対策に工夫を加えるための行政的措置を講じるとともに,その他の事業については,一般対策で行う等の方針を示す「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について」(政府大綱)を閣議決定した。 iv大阪市同和対策推進協議会は,平成9年1月22日付けの「大阪市における今後の同和行政のあり方について(意見具申)」(乙15)において,「同和対策は本来,一般施策で当然実施されるべき性質のものであるが,それが実質的に行われなかったことから,一般施策を補完するものとして,特別措置を含めて実施されてきたところであり,平成4年の『大阪市における同和行政のあり方について』の意見具申が『同和行政にかかわる事業は特別対策として永続的に行われるべきものでない』と指摘している ことや前記のような国の動向を勘案すると,今後の同和行政は,一般施策を有効・適切に活用することによって, 『同和行政にかかわる事業は特別対策として永続的に行われるべきものでない』と指摘している ことや前記のような国の動向を勘案すると,今後の同和行政は,一般施策を有効・適切に活用することによって,残された課題の解決にあたることを基本方針として進めるべきである」とし,「これまでの特別措置については,今後,国の新たな法的措置にあわせ,施策の目的の達成状況,並びに一般施策の内容の充実度に応じ,これまでの同和対策による成果を損なうことがないよう配慮のうえ,廃止あるいは統合し,また,一般施策に移行すること等を基本として進めるべきである」とした。 v大阪市同和対策推進協議会は,平成13年10月30日付けの「大阪市における今後の同和行政のあり方について(意見具申)」(乙16)において,同和問題解決のための施策の方向として,「同和対策事業は,本来,一般施策で実施すべきものであるが,地区の環境改善や地区住民の生活向上が緊急の課題であったこと,また,こうした課題に一般施策が十分対応できなかったことから,これまで地区や地区住民を対象に特別措置として実施してきたものであり,地区の環境改善や住民の生活の向上に極めて大きな役割を果たしてきた。これまで大阪市においては,同和問題の解決を市政の重要な課題として取組んできた結果,環境改善を中心とする特別措置による物的事業は完遂する状況にあり,同和地区のかつての劣悪な住環境は基本的に解消されたといえることから終了すべきである。また,個人給付事業についても,従来の対策を漫然と継続していたのでは同和問題の早期解決は困難であるとの指摘もあり,また,同和地区住民が一律に低位な生活実態ではなくなってきたこと,施策ニーズが多様化し,当初のニーズが低下してきたことや一般施策の充実などにより所期の目的を達成したといえるので廃 るとの指摘もあり,また,同和地区住民が一律に低位な生活実態ではなくなってきたこと,施策ニーズが多様化し,当初のニーズが低下してきたことや一般施策の充実などにより所期の目的を達成したといえるので廃止すべきである。さらに,地対財特法 が失効し,特別措置法に基づく同和対策事業の前提となるいわゆる「地区指定」はなくなることになる。また,同和地区における住民の流出入の多さ,とりわけ同和地区外からの来住者の増加は,地域を限定した住民に対する一律の施策の実施そのものの困難さを示すものといえる。したがって,平成14年3月末の現行法期限をもって,同和地区および同和地区住民に限定した特別措置としての同和対策事業は廃止すべきであり,今後の残された課題の解決については,一般施策での対応を検討する必要がある。」とした。 (c)解放会館及び人権文化センターのあり方についてi大阪市地区改善対策審議会は,昭和40年12月4日付けの「同和地区における隣保館(市民館)の建設運営に関する中間答申」において,「同和地区における隣保館は,同和問題の根本解決のための拠点であって,単なる社会福祉施設ではない。同和地区における隣保館は,地区を対象とした『総合的社会福祉施設』であるとともに,住民の自主的な組織活動の拠点でもある。」とした(乙9)。 ii大阪市同和対策審議会は,昭和43年10月17日付けの「大阪市同和対策審議会答申」において,「隣保館(市民館)を地区における総合対策の場として位置付けることが必要であり,また,隣保館(市民館)の活動を活発化するためには,地区住民との信頼関係をより深くすることが不可欠の条件である。同和問題解決のためには,地区の社会構造の改善,地区住民の自立意識の向上をはかることが必要であり,そのためには,自己をとりまく社会についての地区 の信頼関係をより深くすることが不可欠の条件である。同和問題解決のためには,地区の社会構造の改善,地区住民の自立意識の向上をはかることが必要であり,そのためには,自己をとりまく社会についての地区住民の認識を深めるための社会教育が,隣保館(市民館)を中心として積極的に行われることが期待される。」 とした(乙10)。 iii大阪市同和対策推進協議会は,昭和50年8月11日付けの「意見書(大阪市同和対策長期計画樹立のための基本構想について)」において,解放会館について,「基本的人権尊重の精神に基づき,地区住民の社会的・文化的・経済的生活の向上をはかり,同和問題をすみやかに解決する総合センターとするとともに,行政政策の円滑な推進が具現しうるよう,解放会館の質的強化をはかること」,「部落解放を指向し,かつ,地区住民の生活要求に即した基礎知識や教養を身につけうる機会を提供するとともに,地区内関係諸団体と話し合い,要求を組織化して,住民自らが実践活動を行いうるようにすること」とした(乙11)。 iv大阪市同和対策推進協議会小委員会は,平成元年9月22日付けの「同和地区解放会館及び同和地区青少年会館の利用促進についての提言」において,解放会館について,「その設置目的・趣旨を踏まえ,広く地区住民のニーズに等しく応え得るよう,財政措置を含めた条件整備を行い,一層の利用促進に努めること」,「地区内外住民の利用と社会的交流を促進し,交流等を通じて,広く周辺地域住民の同和問題に対する理解と認識を深めるための啓発活動の推進を図るため,周辺地域住民の参加を求めた事業を積極的に行うこと」とした(乙13)。 v大阪市同和対策推進協議会は,平成4年3月31日付けの「大阪市における同和行政のあり方について(意見具申)」において,地区施設のあり方について, めた事業を積極的に行うこと」とした(乙13)。 v大阪市同和対策推進協議会は,平成4年3月31日付けの「大阪市における同和行政のあり方について(意見具申)」において,地区施設のあり方について,上記の「提言の趣旨を踏まえ,地ⅳ区住民に等しく開かれた公平な運営について特に留意するとともに,その機能の充実と活性化を図るほか,運営委員会に周辺地域住民の参加を求めるなど,周辺地域住民との交流とコミュニティ づくりの拠点としての条件整備に力を注ぐべきである。」とした(乙14)。 vi大阪市同和対策推進協議会は,平成9年1月22日付けの「大阪市における今後の同和行政のあり方について(意見具申)」において,解放会館をはじめとする各種地区施設のあり方について,「人権尊重の社会的気運の高まりの中で,周辺地域住民を対象とした同和問題をはじめとする人権問題の学習・啓発・情報発信の拠点となる地域の人権啓発センターとしての機能と,住民交流の拠点となるコミュニティセンターとしての機能を発揮すべきである。このような観点から,そのあり方を検討すべきである。そのほか,各種地区施設の運営形態にはそれぞれ差異はあるが,今後は同和問題解決の視点を踏まえつつ,施設の一般利用がさらに推進され,より効果的に機能を発揮できるように務めるとともに,そのあり方を検討すべきである。」とした(乙15)。 vii原告は,原告が平成11年ころ作成した「解放会館のあり方について(案)」において,「人権行政の時代における解放会館は,一般施策を活用する自立支援センター,人権啓発・住民交流の拠点施設として地区内外に開かれたコミュニティセンターの機能を発揮し,地区住民の拠点施設にとどまらず広く市民が利用する施設へ移行することににより,人権行政の重要な一翼を担うこととなる。」とした( 拠点施設として地区内外に開かれたコミュニティセンターの機能を発揮し,地区住民の拠点施設にとどまらず広く市民が利用する施設へ移行することににより,人権行政の重要な一翼を担うこととなる。」とした(乙17)(d)被告らの上部組織である大阪府連と原告は,平成11年10月19日,同年12月3日,平成12年1月20日,解放会館の名称の変更等の今後の解放会館のあり方について協議を行った。原告は,これらの協議において,「解放会館のあり方について(案)」と題する書面(乙17),「解放会館の今後のあり方(案)」と題する 書面(乙22),「解放会館のあり方(基本事項)・改正のポイント」と題する書面(乙24[2~3丁])に基づいて,大阪府連に解放会館のあり方等を説明し,協議を行った(弁論の全趣旨)。 上記各書面には,解放会館の今後のあり方の基本事項として,支部事務所については,暫定的に目的外使用許可を行うと記載されている(乙17,22,24)。 (e)原告監査委員は,平成18年5月24日,平成17年度定期監査等結果報告において,「部落解放同盟大阪府連合会各支部事務所については,人権文化センター(当時解放会館)が設置されて以来,長年にわたり無償で使用されてきたことを考慮し,使用料の1/2の減免により目的外使用許可を認めているが,広く一般の利用に供する市民利用施設という性質に鑑み,使用許可の見直しについて早急に検討されたい。」との監査の結果に関する報告をした(甲6)。 (f)大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会は,平成18年8月31日,部落解放同盟大阪府連地域支部事務所については,外部への移転が望ましいとの意見をとりまとめた(甲7)。 b以上を前提に本件各不許可処分が大阪市長の裁量権の逸脱濫用といえるか否かを検討する。 (a)本件各センタ 大阪府連地域支部事務所については,外部への移転が望ましいとの意見をとりまとめた(甲7)。 b以上を前提に本件各不許可処分が大阪市長の裁量権の逸脱濫用といえるか否かを検討する。 (a)本件各センターの設置目的は,基本的人権尊重の精神に基づき,歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上を図る必要がある地域の住民の福祉の向上並びに市民に対する人権啓発の推進及び市民交流の促進を図り,もってすべての人の人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とし(人権文化センター条例2条),その事業は,地域住民の自立支援及び自主的活動の促進に関すること,人権啓発及び人権に係る調査研究に関すること,市民交流の促進に関すること等を行うものとされている(同条例3条)。そして,被 告らは,部落差別から部落民衆を解放すること等を目的とする団体であり(前記第2の1(1)ア~エ),地域住民に対する相談活動,地域住民の福祉向上のための活動,部落差別や外国人差別などについての人権啓発活動等を行っていること(前記第3の3(1)イ(ウ)a(a))からすれば,被告らの活動は,本件各センターの設置目的及び事業に沿うものといえる。 しかし,同和政策は,昭和44年に10年間の時限法(後に3年間延長)として同対法,昭和57年に5年間の時限法として地対法,昭和62年に5年間の時限法として地対財特法(平成4年と平成9年にそれぞれ5年間延長)という特別法が制定された上で,特別対策として物的な生活環境の改善を図るべく行われてきたこと(同(b)iii),平成8年5月には,国において,同和地区,同和関係者に対象を限定した特別対策の結果,その目的は概ね達成され,一般施策の中で同和問題の解決が図られるべきであるとされたこと(同iii),平成9年に地対財特法が5年間延長されたのは,従来の ,同和関係者に対象を限定した特別対策の結果,その目的は概ね達成され,一般施策の中で同和問題の解決が図られるべきであるとされたこと(同iii),平成9年に地対財特法が5年間延長されたのは,従来の特別対策から一般政策への移行を円滑に行うことを目的としており,指定の事業以外は,一般対策で行うことが基本方針とされたこと(同iii),平成9年1月には,大阪市同和対策推進協議会においても,今後の同和政策は,一般施策を有効,適切に活用することを基本方針とし,特別措置については,廃止あるいは統合し,一般施策に移行することを基本として進めるべきであるされたこと(同),ⅳ平成13年10月には,同協議会において,平成14年3月末の地対財特法の失効後は,同和地区及び同和地区住民に限定した特別措置としての同和対策事業は廃止すべきであり,残された課題については,一般施策での対応を検討すべきであるとされたこと(同),ⅴ地対財特法は,平成14年3月31日に失効したことなどからすれ ば,現在における同和政策については,同和地区ないし同和地区住民に対する特別政策という形ではなく,広く一般市民を対象とする一般施策の一環として対応することが地対財特法等の予定するところといえる。 そして,人権文化センターないし解放会館の位置付けについて,昭和40年ころから昭和50年ころまでは,解放会館は,同和問題の根本解決のための拠点であり,地区における総合対策の場であり,地区を対象とした総合的社会福祉施設として位置付けられていたこと(同(c)iiiiii),平成元年ころから平成4年ころには,地区住民のための施設であるとともに地区周辺地域住民との交流とコミュニティ作りのための拠点として位置付けられるようになったこと(同ivv),平成9年ころから平成11年ころには, 平成4年ころには,地区住民のための施設であるとともに地区周辺地域住民との交流とコミュニティ作りのための拠点として位置付けられるようになったこと(同ivv),平成9年ころから平成11年ころには,地区住民の拠点施設にとどまらず,周辺地域住民を対象とする人権啓発センターの機能と住民交流のコミュニティセンターとしての機能を有する広く市民が利用する施設として位置付けられるようになったこと(同vivii),平成12年4月1日には,解放会館から人権文化センターに名称が変更され,その設置目的・事業内容について,解放会館の設置目的が同和地区住民の社会的,文化的,経済的生活の向上を図り,同和問題の速やかな解決に資することであり,その事業内容も,同和問題の調査,研究や地区住民の各種講習,相談及び指導や地区住民の自主的組織活動の促進に関すること等とされていた(人権文化センター条例2条,3条)のに対して,人権文化センターの設置目的は,一定の地域の住民の福祉の向上だけでなく,市民に対する人権啓発の推進及び市民交流の促進を図り,もって人権尊重社会の実現に寄与することとされ,その事業内容も地域住民の自立支援等の促進だけでなく,人権啓発及び人権に係る調査研究や市 民交流の促進とされ(人権センター条例2条,3条),その設置目的・事業内容も変更されたことなどからすれば,人権文化センターは,同和地区住民のための施設ではなく,一般施策を活用する自立支援センター,人権啓発・住民交流の拠点として地区内外に開かれたコミュニティセンターというべきであり,広く市民が利用することを予定した施設といえる。 以上のように,同和政策が特別対策から一般施策として行われるようになり,それとともに人権文化センターの位置付けも広く一般市民が利用することを予定した施設になったことからす とを予定した施設といえる。 以上のように,同和政策が特別対策から一般施策として行われるようになり,それとともに人権文化センターの位置付けも広く一般市民が利用することを予定した施設になったことからすれば,その一室である本件各事務室部分を部落差別から部落民衆を解放することを目的として活動する特定の運動団体である被告ら(前記第2の1(1)ア~エ)の支部事務所として利用させることは,現在の同和政策のあり方と矛盾するだけでなく,広く一般市民の利用を予定する本件各センターの目的ないしそのあり方に反する。 そして,平成17年度定期監査等結果報告及び大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会の提言も上記と同じ趣旨であるから,大阪市長が上記監査等結果報告及び提言を本件各不許可処分における考慮要素としたことは合理的である。 (b)被告らは,大阪市長は,被告らに対して一度も退去要請やそれに向けた協議をしておらず,本件各センターの一部を支部事務所として使用してきた歴史的経緯や本件各合意があったことを考慮していないことから,本件各不許可処分は,考慮すべき事項を考慮していないと主張する。 しかし,原告と被告らの上部組織である大阪府連は,平成11年10月19日,同年12月3日,平成12年1月20日に解放会館の今後のあり方についての協議を行い,その際,原告が持参した資 料には,支部事務所については暫定的に目的外使用許可と記載されており,原告の担当者は目的外使用許可について説明したこと(前記第3の3(1)イ(ウ)a(d)),原告は,大阪市財政総務委員会等において,一貫して,特定の運動団体である被告らの支部事務所が本件各センターにあることは好ましくなく,その見直しの協議を継続している趣旨の陳述をしており,大阪市財政総務委員会は,非公開ではあるものの,モニ ,一貫して,特定の運動団体である被告らの支部事務所が本件各センターにあることは好ましくなく,その見直しの協議を継続している趣旨の陳述をしており,大阪市財政総務委員会は,非公開ではあるものの,モニターを通じて別室で傍聴ができ,その議事録は3か月から5か月後に公開されていたこと(乙39,40,弁論の全趣旨),被告らと部落解放同盟L支部以外の大阪府連の支部は,その支部事務所を各人権文化センターから他に移し,同センターから退去していること(乙39)からすれば,原告は,本件各不許可処分以前に,大阪府連や被告らに対して,退去要請及び退去に向けた継続的な協議を行っていたことが認められる。また,そもそも行政財産は,行政目的達成のために利用されるべき財産であることからすれば,従前の歴史的経緯として,その使用が認められていたことから,直ちにそれと異なる扱いをすることが裁量権の濫用となるものではない。むしろ,行政財産である本件各センターの一部を長年にわたり,特定の運動団体である被告らの支部事務所として,目的外使用許可という手続すら採ることなく平成12年まで使用させていたというその歴史的経緯自体,少なくとも法的観点からは,正当化することはできない(なお,大阪市議会等において,遅くとも平成元年,平成4年,平成9年に被告らが解放会館を無償で使用していることが問題となり,審議されている(乙40)。)。 加えて,前記のとおり,同和政策を特別対策としてするのではなく,一般施策として実施する基本方針が定められたこと(前記第3の3(1)イ(ウ)a(b)iii~v),それに伴い,解放会館ないし本件 各センターの位置付け,具体的な設置目的及び事業内容も変更されたこと(同(c)vivii)からすれば,現時点において,従前の歴史的経緯を重視する必要性は低い(しかも, い,解放会館ないし本件 各センターの位置付け,具体的な設置目的及び事業内容も変更されたこと(同(c)vivii)からすれば,現時点において,従前の歴史的経緯を重視する必要性は低い(しかも,大阪市長は,平成12年10月1日から平成19年3月31日まで目的外使用の許可を継続しており,これは上記同和政策や本件各センターの位置付け等が変更されたが,従前の歴史的経緯から直ちに退去できない被告らに対する猶予期間と解することができ,大阪市長は,本件各不許可処分をするに至るまで,従前の歴史的経緯を十分に踏まえてもいたといえる。)。 そして,仮に本件各合意がされていたとしても,それが違法,無効であることは前記のとおりであるから,これを考慮しないことが大阪市長の裁量権の逸脱濫用を基礎付けることにはならない。 したがって,被告らの前記主張は理由がない。 (c)被告らは,本件各不許可処分は,①被告らが原告と共同して,エセ同和行為廃絶,人権啓発などの人権領域に関わる主要な団体や事業体に協調的に参画して具体的協議,会議,企画等の活動を行っていること,②被告らの中には本件各センター以外にその事務所として利用できる場所が各地区内に存在しないものもあることを考慮しておらず,要考慮事項の考慮が不十分であるとも主張する。 しかし,被告らの活動が人権文化センターの目的に沿ったとしても,その支部事務所をそこに設置することまでその目的に沿うことにはならず,かえって,その目的に反することは前記のとおりである。したがって,被告らの上記活動を積極的に考慮したとしても本件各不許可処分が不合理であるとはいえず,被告らの前記①の主張は理由がない。 また,前記のとおり,大阪府連の各支部は,被告らとL支部を除 き,支部事務所を各人権文化センターから他に移していることや本件各事務 が不合理であるとはいえず,被告らの前記①の主張は理由がない。 また,前記のとおり,大阪府連の各支部は,被告らとL支部を除 き,支部事務所を各人権文化センターから他に移していることや本件各事務室部分の面積(前記第2の1(3)ア(ア),同イ(ア),同ウ(ア),同エ(ア))に照らせば,被告らの支部事務所を設置する場所が各地区内に存在しないと認めることはできず,被告らの前記②の主張も理由がない。 (d)以上からすれば,大阪市長が平成17年度定期監査等結果報告及び大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会の提言並びに本件各センターの性格を考慮して本件各不許可処分をしたことについて,その判断が重要な事実の基礎を欠くとも,社会通念に照らし,著しく妥当性を欠くもともいえず,大阪市長において,裁量権の逸脱又は濫用があったとはいえない。 (2)被告らは,その歴史的経緯や本件各合意の存在から,被告らは本件各事務室部分を使用することの合理的期待を有しており,本件明渡請求は信義則に反するとも主張する。しかし,前記のとおり,本件において,その歴史的経緯を正当なものとして評価できない上に,現在において,その歴史的経緯を重視する必要性は低いこと,本件各合意は,仮にされていたとしても違法であることからすれば,被告らが本件各事務室部分を使用することの期待が合理的なものとはいえない。被告らの上記主張は採用できない。 (3)以上より,本件明渡請求が信義則に反するとはいえず,被告らの争点(3)に係る主張は採用できない。 争点(4)(損害額)について(1)使用料等相当額の損害について前記前提事実及び証拠(甲12)によれば,本件各事務室部分の1㎡当たりの使用料は,本件事務室部分1が1か月1434.3円,本件事務室部分2が1か月1290.3円,本件事務室部分 相当額の損害について前記前提事実及び証拠(甲12)によれば,本件各事務室部分の1㎡当たりの使用料は,本件事務室部分1が1か月1434.3円,本件事務室部分2が1か月1290.3円,本件事務室部分3が1か月990.2円,本件事務室部分4が1か月1101.5円であること,本件各事務室部分の面積 は,本件事務室部分1が37.73㎡,本件事務室部分2が40.35㎡,本件事務室部分3が59.64㎡,本件事務室部分4が64.96㎡であること(第2の1(3)ア(ア),同イ(ア),同ウ(ア),同エ(ア))が認められる。 そうだとすれば,本件事務室部分1~4の各使用料相当額(以下「本件各使用料相当額」という。)は,本件事務室部分1~4の1か月当たりの使用料に上記各面積を乗じた額(ただし,円単位未満は切り捨て)というべきであり,本件事務室部分1が5万4116円,本件事務室部分2が5万2063円,本件事務室部分3が5万9055円,本件事務室部分4が7万1553円であると認められる。そして,本件各使用料相当額は,実質的には,本件各事務室部分を使用させたことに対する対価であり,消費税が課されると解される(消費税法4条1項参照)ことからすれば,原告には,本件各使用料相当額に消費税に相当する額を加えた額の損害が生じていると認められる。 したがって,被告らの本件各事務室部分の占有によって,原告には,本件事務室部分1について1か月5万6821円,本件事務室部分2について1か月5万4666円,本件事務室部分3について1か月6万2007円,本件事務室部分4について1か月7万5130円の各使用料等相当額の損害が生じていると認められる。 (2)光熱費相当額の損害甲第15号証によれば,本件各事務室部分の光熱費相当額は,本件事務室部分1については1か月5802円,本件事務 130円の各使用料等相当額の損害が生じていると認められる。 (2)光熱費相当額の損害甲第15号証によれば,本件各事務室部分の光熱費相当額は,本件事務室部分1については1か月5802円,本件事務室部分2については1か月5243円,本件事務室部分3については1か月7699円,本件事務室部分4については1か月6252円を下らないと認められる。 (3)以上より,被告らの本件各事務室部分の占有によって,原告には,本件事務室部分1について1か月6万2623円,本件事務室部分2について1か月5万9909円,本件事務室部分3について1か月6万9706円,本件事務室部分4について1か月8万1382円の損害が生じていると認められ る。 時機に後れた攻撃防御方法の申立てについて原告は,第7回口頭弁論期日において,被告らの2008年2月12日付け準備書面のうち平成18年判決に関して主張する部分で乙第41号証以下の書証を引用して主張する部分及びL支部に関する部分は,時機に後れた攻撃防御方法であると申し立てた。しかし,原告が指摘する被告らの上記各主張は,被告らの従前の主張を補強する趣旨のものか,別件訴訟の原告側証人(証人H)の供述(乙40)を弾劾する趣旨のものである上,これらの主張の審理のために新たな期日を指定する必要があったものではないことからすれば,被告らの上記主張は,訴訟の完結を遅延させるもとはいえず,原告の上記申立ては理由がない。 結論 よって,原告の請求はいずれも理由があるから認容し,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部裁判長裁判官廣谷章雄裁判官森鍵一 裁判官棚井啓 判官 廣谷章雄 裁判官 森鍵一 裁判官 棚井啓

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