平成25(行ウ)180 特定事業変更許可処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年11月30日 大阪地方裁判所 その他
ファイル
hanrei-pdf-86953.txt

判決文本文43,248 文字)

平成28年11月30日判決言渡平成25年(行ウ)第180号特定事業変更許可処分取消請求事件主文 1 原告株式会社太新興産及び原告Z1の訴えをいずれも却下する。 2 原告Z2の訴えのうち,土砂等を移動,撤去等するよう指示及び指導することの義務付けを求める部分を却下する。 3 原告Z2のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 河内長野市長は,株式会社メイビ(以下「メイビ」という。)に対し,同社が平成24年5月7日付けで許可を受け平成27年4月24日付けで廃止の届出をした特定事業(以下「本件事業」という。)について,河内長野市土砂埋立て等による土壌汚染と災害を防止するための規制条例(以下「本件条例」という。)20条4項に基づき,同条第1項の措置が講じられていない旨の通知(以下「本件通知」という。)をせよ。 2 河内長野市長は,メイビに対し,メイビが本件事業の許可申請時において提出した埋立計画以上の高さに積み上げ,堆積させ,又は盛った土砂等を,直ちに移動,撤去等するよう指示及び指導(以下「本件指示等」という。)を行え。 3 河内長野市長は,メイビに対し,本件条例7条3項に基づき,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令(以下「本件撤去命令1」という。)をせよ。 4 河内長野市長は,メイビに対し,本件条例23条2項に基づき,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令(以下「本件撤去命令2」という。)をせよ。 第2 事案の概要 1 要旨メイビは,本件条例に基づき,河内長野市長から,河内長野市内の区域において土砂等の埋立て等をする特定事業(本件事業)を行う許可を受けたが,その後,本件事業を廃止した旨届け出た。 概要 1 要旨メイビは,本件条例に基づき,河内長野市長から,河内長野市内の区域において土砂等の埋立て等をする特定事業(本件事業)を行う許可を受けたが,その後,本件事業を廃止した旨届け出た。 本件は,上記区域の周辺に所在する土地を所有又は利用する原告らが,上記区域においては,メイビが本件事業の許可申請時において提出した埋立計画以上の高さに土砂等が積み上げられ,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置も講じられていない上,六価クロム,フッ素,鉛等の有害物質が混入した土壌環境基準に適合しない土砂等の埋立てが行われたほか,本件事業の許可の申請書に埋立てに使用する土砂等の採取場所として記載された場所以外の場所から採取された土砂等が埋立てに使用されたなどと主張して,行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条6項1号所定の非申請型の義務付けの訴えとして,被告に対し,河内長野市長が,メイビに対して本件事業につき,①本件条例20条4項に基づく同条1項の措置(土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置)が講じられていない旨の通知(本件通知),②メイビが本件事業の許可申請時において提出した埋立計画以上の高さに積み上げ,堆積させ,又は盛った土砂等を,直ちに移動,撤去等するよう指示及び指導を行なうこと(本件指示等),③本件条例7条3項に基づく本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令(本件撤去命令1)及び④本件条例23条2項に基づく本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令(本件撤去命令2)をすることの義務付けを求める事案である。 2 本件条例の定め(甲16)(1) 目的本件条例1条は,土砂等(土砂及びこれに混入し,又は吸着した物をいう 〔本件条例2条1項〕。以下 2)をすることの義務付けを求める事案である。 2 本件条例の定め(甲16)(1) 目的本件条例1条は,土砂等(土砂及びこれに混入し,又は吸着した物をいう 〔本件条例2条1項〕。以下同じ。)の埋立て等(土砂等による土地の埋立て,盛土その他の土地への土砂等のたい積を行う行為をいう〔同条2項〕。以下同じ。)による土壌の汚染及び災害の発生を未然に防止するため,必要な規制を行うことにより,もって市民生活の安全を確保するとともに,市民の生活環境を保全することを目的とする旨規定する。 (2) 土壌環境基準に適合しない土砂等による土砂等の埋立て等の禁止等本件条例7条1項は,何人も,土壌環境基準(人の健康を保護し,生活環境を保全する上で必要なものとして規則で定めるものをいう〔本件条例6条〕。 以下同じ。)に適合しない土砂等を使用して,土砂等の埋立て等を行ってはならない旨規定する。 本件条例7条3項は,河内長野市長は,土砂等の埋立て等に土壌環境基準に適合しない土砂等が使用されていることを確認したときは,速やかに当該土砂等及び当該土砂等の埋立て等が行われ,又は行われた場所の土壌に係る情報を住民に提供するとともに,当該土砂等の埋立て等を行い,又は行った者に対し,当該土砂等の埋立て等に使用された土砂等の全部若しくは一部を撤去し,又は当該土砂等の埋立て等による土壌の汚染を防止するために必要な措置を執るべきことを命ずることができる旨規定する。 (3) 特定事業の許可本件条例9条1項は,特定事業(土砂等の埋立て等を行う事業のうち,土砂等の埋立て等に供する区域の面積が500㎡以上のもの等〔土砂等の埋立て等に使用する土砂等の量が500㎥未満のものを除く。〕をいう〔本件条例2条2項〕。以下同じ。)を行う者は,原則として,特定事業に供する区域ごとに する区域の面積が500㎡以上のもの等〔土砂等の埋立て等に使用する土砂等の量が500㎥未満のものを除く。〕をいう〔本件条例2条2項〕。以下同じ。)を行う者は,原則として,特定事業に供する区域ごとに,あらかじめ河内長野市長の許可を受けなければならない旨規定する。 (4) 許可の申請本件条例10条1項は,特定事業の許可を受けようとする者は,特定事業の期間,特定事業に使用される土砂等の採取場所等の所定の事項を記載した 申請書を河内長野市長に提出しなければならない旨規定する。 本件条例12条の2は,特定事業の許可を受けようとする者は,当該特定事業区域の周辺関係者に対して,当該特定事業の計画内容を事前に説明し,協議を行い,その結果を市長に報告しなければならない旨規定する。 (5) 変更の許可本件条例13条1項は,特定事業の許可を受けた者は,当該許可の申請書に記載された特定事業の期間,特定事業に使用される土砂等の採取場所等の変更をしようとするときは,河内長野市長の許可を受けなければならない旨規定する。 (6) 特定事業の廃止等本件条例20条1項は,特定事業の許可を受けた者は,当該許可に係る特定事業を廃止しようとするときは,当該特定事業に使用された土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置を講じなければならない旨規定する。 本件条例20条2項は,特定事業の許可を受けた者は,当該許可に係る特定事業を廃止したときは,遅滞なく,その旨を市長に届け出なければならない旨規定し,同条3項は,当該廃止の届出があったときは,当該許可は,その効力を失う旨規定する。 同条4項は,河内長野市長は,特定事業の廃止の届出があったときは,速やかに,当該特定事業について,同条1項の措置が講じられているかどうかの確認を ときは,当該許可は,その効力を失う旨規定する。 同条4項は,河内長野市長は,特定事業の廃止の届出があったときは,速やかに,当該特定事業について,同条1項の措置が講じられているかどうかの確認を行い,その結果を当該届出をした者に通知しなければならない旨規定し,同条5項は,同条4項の規定により,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置が講じられていない旨の通知を受けた者は,廃止の届出に係る特定事業に使用された土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置を講じなければならない旨規定する。 本件条例25条は,河内長野市長は,本件条例20条5項の規定に違反した者に対し,その特定事業に使用された土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置を執るべきことを命ずることができる旨規定する。 (7) 許可を受けることなく特定事業を行った者に対する措置命令本件条例23条2項は,河内長野市長は,本件条例9条又は13条1項の規定に違反して特定事業を行った者に対し,当該特定事業に使用された土砂等の全部又は一部を撤去し,又は土砂等の崩落,飛散若しくは流出による災害の発生を防止するために必要な措置を執るべきことを命ずることができる旨規定する。 (8) 罰則本件条例32条1号は,本件条例7条3項,25条又は23条2項の規定による命令に違反した者は,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する旨規定する。 (9) 河内長野市土砂埋立て等の規制に関する条例の施行及び経過措置平成27年7月1日からは,河内長野市土砂埋立て等の規制に関する条例が施行されているが,同条例附則3は,同条例の施行日前になされた本件条例に基づく処分については,なお従前の例による旨規定 措置平成27年7月1日からは,河内長野市土砂埋立て等の規制に関する条例が施行されているが,同条例附則3は,同条例の施行日前になされた本件条例に基づく処分については,なお従前の例による旨規定する(なお,本件は,本件条例に基づき平成24年5月7日付けで許可され平成27年4月24日付けで廃止された特定事業(本件事業)についての義務付け訴訟であり,平成27年7月1日よりも前になされた本件条例に基づく処分についてのものといえるから,本件の判断に当たっては本件条例の規定が適用されるものと解される。)。 3 前提となる事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。 (1) 原告株式会社太新興産(以下「原告会社」という。)は,昭和62年12月16日以降,別紙物件目録1記載1の土地(別紙図面1において「○」と記載され赤色で表示された範囲に所在する土地。以下「本件土地1」という。)を所有している。(甲1の1)原告Z2は,昭和61年11月6日以降,別紙物件目録1記載2の土地(別紙図面1において「○」と記載され赤色で表示された範囲に所在する土地。 以下「本件土地2」という。)を所有している。(甲1の2)原告Z1は,平成26年11月10日当時,別紙物件目録1記載3の土地(別紙図面1において「○」と記載され赤色で表示された範囲に所在する土地。以下「本件土地3」といい,本件土地1及び本件土地2と併せて「本件各土地」という。)を所有していた。(甲1の3,乙18)(2) メイビは,平成24年5月7日付けで,河内長野市長から,本件条例9条に基づき,許可の期間を同日から1年3か月とすること等を許可条件として,別紙物件目録2記載の各土地のうち別紙図面1において実線で囲まれ黄色で表示 24年5月7日付けで,河内長野市長から,本件条例9条に基づき,許可の期間を同日から1年3か月とすること等を許可条件として,別紙物件目録2記載の各土地のうち別紙図面1において実線で囲まれ黄色で表示された範囲に所在する区域(以下「本件事業区域」という。)において,土砂等の埋立て等をする特定事業(本件事業)を行うことの許可(以下「本件許可」という。)を受けた。(甲2の1~31,4,乙1)その後,本件許可の期間は,本件条例13条に基づき,河内長野市長の許可を受けて,平成25年6月28日付けで,平成26年8月6日までと変更され,同年7月31日付けで,平成27年5月6日までと変更された。(甲28,乙17)(3) メイビは,同年4月24日付けで,河内長野市長に対し,本件条例20条2項に基づき,同日に本件事業を廃止した旨届け出た。(乙21) 4 争点及び当事者の主張本件の争点は,①原告らが義務付けを求める各措置(本件通知,本件指示等,本件撤去命令1及び本件撤去命令2。以下「本件各措置」という。)の処分性 の有無(争点1),②原告らが本件各措置の義務付けを求める原告適格を有するか(争点2),③本件各措置がされないことにより原告らに重大な損害を生ずるおそれがあるか(争点3),④当該重大な損害を避けるため他に適当な方法がないか(争点4),⑤本件各措置の義務付けを求める請求が行訴法37条の2第5項の要件を充足するか(具体的には,河内長野市長が本件各措置をすべきであることが本件条例の規定から明らかであると認められ又は同市長が本件各措置をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるか。争点5)であり,これらの点についての当事者の主張は以下のとおりである。 (1) 争点1(処分性)(原告らの主張)ア ことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるか。争点5)であり,これらの点についての当事者の主張は以下のとおりである。 (1) 争点1(処分性)(原告らの主張)ア本件通知河内長野市長は,特定事業の廃止の届出があったときは,速やかに,当該特定事業について,本件条例20条1項の措置(土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置)が講じられているかどうかの確認を行い,その結果を当該届出をした者に通知しなければならない(同条4項)ところ,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置が講じられていない旨の通知を受けた者は,廃止の届出に係る特定事業に使用された土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置を講ずる義務を負う(同条5項)。 したがって,河内長野市長が,本件条例20条4項に基づき,本件事業について同条1項の措置が講じられていない旨の通知をすること(本件通知)は,行訴法3条2項の「処分」に該当する。 イ本件指示等本件許可においては,許可条件として,申請時において提出された埋立計画以上の高さに積み上げ,堆積させ,又は盛った土砂等は,直ちに移動, 撤去等すること,また,市職員から是正等の指示,指導等があった場合は,直ちにその指示,指導等に従い,是正等の適切な措置を講ずることが定められており,特定事業の許可を受けた者が当該指示,指導等を受けた場合は,適切な措置を講ずべき義務を負う。 したがって,河内長野市長が,本件事業の許可申請時において提出された埋立計画以上の高さに積み上げられ,堆積され,又は盛られた土砂等を,直ちに移動,撤去等するよう指示及び指導を行うこと(本件指示等)は,行訴法3条2項の「処分」に該当す の許可申請時において提出された埋立計画以上の高さに積み上げられ,堆積され,又は盛られた土砂等を,直ちに移動,撤去等するよう指示及び指導を行うこと(本件指示等)は,行訴法3条2項の「処分」に該当する。 ウ本件撤去命令1本件条例によれば,何人も,土壌環境基準に適合しない土砂等を使用して,土砂等の埋立て等を行ってはならず(本件条例7条1項),河内長野市長は,土砂等の埋立て等に土壌環境基準に適合しない土砂等が使用されたときは,当該特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすることができる(同条3項)とされており,かかる命令を受けた特定事業者は,当該土砂等の撤去をするための措置を講ずべき義務を負う。 したがって,河内長野市長が,本件条例7条3項に基づき,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすること(本件撤去命令1)は,行訴法3条2項の「処分」に該当する。 エ本件撤去命令2本件条例によれば,特定事業の許可を受けようとする者は,当該特定事業に使用される土砂等の採取場所等を記載した申請書を提出しなければならず,当該採取場所等の変更をしようとするときは,河内長野市長の許可を受けなければならない(本件条例9条1項,10条1項7号,13条1項)ところ,本件条例9条又は13条1項に違反して,当該特定事業の許可の申請書に採取場所として記載されておらず,採取場所とする旨の変更の許可も受けていなかった場所からの土砂等の採取が行われたときは,当 該特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすることができる(本件条例23条2項)とされており,かかる命令を受けた特定事業者は,当該土砂等の撤去をするための措置を講ずべき義務を負う。 したがって,河内長野市長が,本件条例23 令をすることができる(本件条例23条2項)とされており,かかる命令を受けた特定事業者は,当該土砂等の撤去をするための措置を講ずべき義務を負う。 したがって,河内長野市長が,本件条例23条2項に基づき,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすること(本件撤去命令2)は,行訴法3条2項の「処分」に該当する。 (被告の主張)争う。 (2) 争点2(原告適格)(原告らの主張)ア本件条例等の目的等について本件条例が,土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生を未然に防止するため,必要な規制を行い,市民生活の安全を確保するとともに,市民の生活環境を保全することを目的としていること(本件条例1条),土壌汚染対策法施行規則が定める測定方法を用いた土壌環境基準を採用し,土壌環境基準に適合しない土砂等を使用して土砂等の埋立て等を行うことを禁止していること(本件条例7条1項),土砂等の埋立て等を行う者に対し,埋立て等に使用された土砂等が崩落し,飛散し,又は流出しないように必要な措置を講じる義務を課していること(本件条例8条)などからすると,本件条例は,特定事業から生じる土壌汚染,土砂災害等によって生活の安全や生活環境に被害を受けないという個々人の個別的利益を保護しようとするものと解すべきである。 そして,土壌汚染対策法は,環境基本法21条の環境の保全上の支障を防止するための規制を具体化するものであり,環境基本法は,本件条例と目的を共通にする関係法令というべきところ,同法2条3項が,「公害」とは,「人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の 生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずること」をいう旨規定している 公害」とは,「人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の 生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずること」をいう旨規定していることからすれば,本件条例が個々人の個別的利益として保護する生活の安全や生活環境には,人の健康,人の生活に密接な関係のある所有地等の財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境等が含まれ,特定事業によって,健康,生活に密接な関係のある所有地等の財産並びに生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境等を害されるおそれがある者は,河内長野市長が本件条例に基づき当該特定事業をした者に対し一定の処分をすることの義務付けを求める原告適格を有すると解すべきである。 イ本件事業によって害される原告らの利益等について原告らが所有する本件各土地は,いずれも本件事業区域から10~12mの位置に近接し,本件事業区域の崖地と連続しているところ,本件事業においては,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置が講じられておらず,本件事業区域において土砂崩れが発生し,本件各土地が毀損されるおそれがある。 また,本件各土地は,本件事業区域に直接つながる既存の水路に接しているところ,本件事業によって,本件事業区域には,六価クロム,フッ素,鉛等の有害物質が混入した土砂等が搬入されており,本件各土地にも,上記水路や地下水を通じて当該有害物質が浸潤し,また,当該有害物質を含む土壌が飛散するおそれがある。 ウ各原告の原告適格について(ア) 原告会社について原告会社は,本件土地1を所有しており,本件事業区域において土砂崩れが発生し,また,本件事業区域から有害物質が浸潤したり,有害物質を含む土壌が飛散したりすれば,同土地が毀 (ア) 原告会社について原告会社は,本件土地1を所有しており,本件事業区域において土砂崩れが発生し,また,本件事業区域から有害物質が浸潤したり,有害物質を含む土壌が飛散したりすれば,同土地が毀損されるおそれがあるから,原告会社は,河内長野市長が,メイビに対し,本件各措置をするこ との義務付けを求める原告適格を有する。 (イ) 原告Z2の原告適格について原告Z2は,本件土地2を所有しており,本件事業区域において土砂崩れが発生し,また,本件事業区域から有害物質が浸潤したり,有害物質を含む土壌が飛散したりすれば,同土地が毀損されるおそれがある。 また,原告Z2は,自身やその家族等の食用に供するため,本件土地1においてみかんの木を栽培し,また,本件土地3を原告Z1から無償で借り受け,同土地上に小屋を建てて,上記みかんの木の栽培のための農機具等の保管場所や休憩場所として使用している。本件事業区域において土砂崩れが発生し,また,本件事業区域から有害物質が浸潤したり,有害物質を含む土壌が飛散したりすれば,上記のとおり本件土地1及び本件土地3をみかんの木の栽培のために使用する原告の健康・生活環境が害されるおそれがある。 したがって,原告Z2は,河内長野市長が,メイビに対し,本件各措置をすることの義務付けを求める原告適格を有する。 (ウ) 原告Z1の原告適格について原告Z1は,本件土地3を所有しており,本件事業区域において土砂崩れが発生し,また,本件事業区域から有害物質が浸潤したり,有害物質を含む土壌が飛散したりすれば,同土地が毀損されるおそれがあるから,原告Z1は,河内長野市長が,メイビに対し,本件各措置をすることの義務付けを求める原告適格を有する。 (被告の主張)ア本件事業によって害される原告の利益等 地が毀損されるおそれがあるから,原告Z1は,河内長野市長が,メイビに対し,本件各措置をすることの義務付けを求める原告適格を有する。 (被告の主張)ア本件事業によって害される原告の利益等について(ア) 本件事業においては,①盛土構造の点で,法面の安定勾配(30度未満)や階段状の小段が確保され,「ふとんかご」と呼ばれる土留めの設備や土留め擁壁も設けられていること,②地下排水処理の点で,三層の 地下排水処理設備等が設置されていること,③盛土高さの点で,本件事業に係る当初の計画とほぼ同じかそれよりも低い高さとなっていることなどからすれば,本件事業区域において,土砂崩れ等が発生するおそれがあるとはいえない。 仮に,本件事業区域において土砂崩れが発生したとしても,本件各土地は,本件事業区域から第三者の土地を挟んで離れた位置に所在し,本件事業区域よりも高所に位置しており,本件事業区域の埋立土砂等が本件各土地に崩落してくるなどの可能性はない。また,本件事業区域の斜面において土砂崩れが発生したとしても,「円弧滑り」と呼ばれる部分的な崩落が生じるにとどまり,本件事業区域内に堆積する土砂の流出範囲・高さも,本件各土地の位置・高さにまでは及ばない。 したがって,本件事業区域において土砂崩れが発生するおそれはなく,仮に本件事業区域において土砂崩れが発生したとしても,本件各土地が毀損されるおそれはない。 なお,原告Z1は,平成24年7月3日,売買により,本件土地3を原告会社から取得したが,平成26年11月10日,原告会社との間で,上記売買に係る契約を合意解除し,同土地の所有権を失ったから,本件事業区域において土砂崩れが発生したとしても,原告Z1が自身の所有地を棄損されるおそれはない。 (イ) 本件事業によって,本件事業区域に六価ク 係る契約を合意解除し,同土地の所有権を失ったから,本件事業区域において土砂崩れが発生したとしても,原告Z1が自身の所有地を棄損されるおそれはない。 (イ) 本件事業によって,本件事業区域に六価クロム,フッ素,鉛等の有害物質が混入した土砂等が搬入された事実はないから,本件各土地に,当該有害物質が浸潤し,また,当該有害物質を含む土壌が飛散するおそれはない。 イしたがって,本件事業によって,原告Z2の健康,原告らが所有する本件各土地の財産権並びに原告Z2が栽培する旨主張するみかんの木及びその生育環境等が害されるおそれはないから,原告らは,河内長野市長が, メイビに対し,本件各措置をすることの義務付けを求める原告適格を有しない。 (3) 争点3(重大な損害を生ずるおそれ)(原告らの主張)前記(2)(原告らの主張)イのとおり,本件事業区域において土砂崩れが発生し,原告らが所有する本件各土地が毀損されるおそれがあり,また,本件各土地に六価クロム,フッ素,鉛等の有害物質が湿潤するなどのおそれがあるから,原告らには,本件各措置がされないことによって,身体や財産等が害されるという重大な損害が生ずるおそれがある。 (被告の主張)前記(2)(被告の主張)アのとおり,本件事業区域において土砂崩れが発生することによって,本件各土地が毀損されるおそれはなく,また,本件各土地に六価クロム,フッ素,鉛等の有害物質が湿潤するなどのおそれはないから,原告らに,本件各措置がされないことによって,重大な損害が生ずるとはいえない。 (4) 争点4(補充性)(原告らの主張)原告らが前記(2)(原告らの主張)ウ(ア)~(ウ)の重大な損害を避けるためには,本件事業区域内においてメイビに必要な措置を講じさせなければならないところ,原告らは 充性)(原告らの主張)原告らが前記(2)(原告らの主張)ウ(ア)~(ウ)の重大な損害を避けるためには,本件事業区域内においてメイビに必要な措置を講じさせなければならないところ,原告らは本件事業区域内の土地をいずれも所有しておらず,本件訴えによって河内長野市長がメイビに対し本件各措置をすることの義務付けを求めるほかには,適当な方法がない。 (被告の主張)争う。 (5) 争点5(行訴法37条の2第5項の要件充足性)(原告らの主張) ア本件通知についてメイビは,本件事業において,以下の施設不設置や施工の不備等により,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害発生のおそれを生じさせていながら,その発生を防止するために必要な本件条例20条1項の措置を講じておらず,本件事業区域において土砂等の崩落,飛散又は流出による災害が発生するおそれがあるから,河内長野市長が,メイビに対し,同条4項に基づき,当該措置が講じられていない旨の通知をすべきことが本件条例の規定から明らかであり,又は同市長が当該通知をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となる。 (ア) 排水設備の不設置メイビは,本件事業区域における排水設備の設置等について計画図面等を提出し,必要な排水設備の仕様等が決定された上で,本件許可を受けたが,当該排水設備の仕様等を変更することにつき河内長野市長の許可を受けることなく,本件事業を廃止した。 メイビは,当該仕様等のとおり当該排水設備を設置しなければならないにもかかわらず,当該排水設備としてのU字溝,集水桝,区域外ヒューム管を設置していない。また,メイビは,地下排水のための有孔管を,計画していた箇所の一部にしか設置していない。 (イ) 沈砂池の設置不備メイビは,本件事業廃止後も本 溝,集水桝,区域外ヒューム管を設置していない。また,メイビは,地下排水のための有孔管を,計画していた箇所の一部にしか設置していない。 (イ) 沈砂池の設置不備メイビは,本件事業廃止後も本件事業区域において沈砂池を設置しているとされるが,本件許可を受ける際に提出した計画図面等のとおりに,当該沈砂池から本件事業区域外に排水を排出するためのU型トラフを設置しておらず,当該沈砂池を適切に設置していない。 (ウ) 竹木の埋立てメイビは,本件事業区域において,根を取り除くことなく伐採した竹木のほとんどを,同区域外に搬出せず,同区域内に埋め立てており,こ れにより,本件事業区域において土砂崩れ等が発生する危険が生じている。 (エ) 土留擁壁の不設置メイビは,本件許可を受けるに際し,沈砂池付近に埋め立てた土砂等が崩落するのを防ぐための土留擁壁を設置する旨の工事予定図面を提出していたにもかかわらず,本件事業区域において,上記土留擁壁を設置していない。 (オ) 原地盤の表土の剥取り作業の不実施本件事業区域の底部は含水率が高い有機土質であり,当該底部の上に土砂等を埋め立てれば,盛土が不等沈下を引き起こすおそれがある。そのため,本件事業区域において土砂等の埋立てを行うためには,当該底部の原地盤の表土の剥取りをしなければならないにもかかわらず,メイビは,かかる剥ぎ取り作業を実施しなかった。 イ本件指示等について本件許可においては,許可条件として,申請時において提出された埋立計画以上の高さに積み上げ,堆積させ,又は盛った土砂等は,直ちに移動,撤去等すること,また,市職員から是正等の指示,指導等があった場合は,直ちにその指示,指導等に従い,是正等の適切な措置を講ずることが定められていた。 メイビは せ,又は盛った土砂等は,直ちに移動,撤去等すること,また,市職員から是正等の指示,指導等があった場合は,直ちにその指示,指導等に従い,是正等の適切な措置を講ずることが定められていた。 メイビは,当該条件に反して,本件事業の許可申請時において提出した埋立計画以上の高さに土砂等を積み上げるなどしており,本件事業区域において土砂崩れ等が発生する危険が生じているから,河内長野市長が,メイビに対し,当該土砂等を直ちに移動,撤去等するよう指示及び指導を行うべきことが明らかであり,又は同市長が当該指示及び指導をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となる。 ウ本件撤去命令1について メイビは,堺市α×番○外の土地から,六価クロム及びフッ素が混入した土壌環境基準に適合しない土砂等を採取し,また,堺市β×番○号の土地から,鉛等が混入した土壌環境基準に適合しない土砂等を採取し,それぞれ本件事業区域に埋め立てており,原告らの健康や所有地の環境等が害されるおそれが生じ,しかも,汚染土砂と他の土砂との区別は不可能な状況にある。 したがって,河内長野市長が,メイビに対し,本件条例7条3項に基づき,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすべきことが本件条例の規定から明らかであり,又は同市長が当該命令をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となる。 エ本件撤去命令2についてメイビは,以下の各日に,本件許可の申請書に採取場所として記載されておらず,採取場所とする旨の変更の許可も受けていなかった以下の各場所から土砂等を搬出し,当該土砂等を本件事業区域内に搬入したものであり,現在,このように違法に搬入された土砂と他の土砂との区別は不可能な状況にある。 平成25年2月5日堺市γ×-○同月12日 から土砂等を搬出し,当該土砂等を本件事業区域内に搬入したものであり,現在,このように違法に搬入された土砂と他の土砂との区別は不可能な状況にある。 平成25年2月5日堺市γ×-○同月12日堺市δ×~×同年3月5日富田林市ε×平成26年4月12日堺市ζ×番○~○同月14日同上同年5月19日東大阪市η×番○,×番○,×番○同年6月3日堺市θ×付近同月13日堺市ι×-○同月16日東大阪市λ×番○メイビによる上記土砂等の搬入は,本件許可の申請書に採取場所として 記載されておらず採取場所とする旨の変更の許可も受けていなかった場所から採取した土砂等を搬入したものであるから,本件条例9条又は13条1項に違反するものであって,河内長野市長が,メイビに対し,本件条例23条2項に基づき,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすべきことが本件条例の規定から明らかであり,又は同市長が当該命令をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となる。 (被告の主張)ア本件通知について本件事業については,以下のような設備の設置や施工,処理等がされ,本件条例20条1項の措置(土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置)が講じられており,本件事業区域において土砂等の崩落,飛散又は流出による災害が発生するおそれはないから,河内長野市長が,メイビに対し,同条4項に基づき,当該措置が講じられていない旨の通知をすべきことが本件条例の規定から明らかであり,又は同市長が当該通知をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となるとはいえない。 (ア) 排水設備の設置メイビは,今後,本件事業区域において宅地等の開発をする予定であるところ,当該開 同市長が当該通知をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となるとはいえない。 (ア) 排水設備の設置メイビは,今後,本件事業区域において宅地等の開発をする予定であるところ,当該開発の計画が明確になるまでの暫定的措置として,本件事業区域の東側部分においては,十分な排水能力を有する素掘りのU字溝を設置している。 また,メイビは,本件事業区域の北側部分においては,本件事業の当初の計画のとおり,U字溝及び集水桝を設置している。 メイビは,現時点において区域外ヒューム管を設置していないが,今後,上記宅地等の開発を準備しつつ,大阪府の許可を得て設置する予定であり,現在,区域外ヒューム管が設置されていないことで,雨水が滞 留するなどの問題は生じていない。 メイビは,本件事業の当初の計画どおりに,本件事業完了時における地表面の予定の高さからマイナス5m,マイナス10m,マイナス15mの各高さにおいて,有孔管を既に設置している。 (イ) 沈砂池の設置メイビは,本件事業区域における宅地等の開発計画が明確になるまでの間の暫定的措置として,本件事業区域の北側部分に,区域外に土砂や濁水等が流出することを防止するための沈砂池を設置している。 メイビは,現時点において当該沈砂池にU型トラフを設置していないが,U型トラフは,上記宅地等の開発計画が明確になり,当該沈砂池が撤去された後に,当該沈砂池に代わって設置され本件事業区域の排水を下流域に排出するものである。現時点においてU型トラフが設置されていなくても,本件事業区域内の濁水は当該沈砂池に沈降し,同区域外に流出しておらず,同区域内において,土砂等の崩落のおそれも生じていない。 (ウ) 竹木の処理メイビは,伐採した竹木を本件事業区域外に搬出し,廃棄物処理法に基づき適正に に沈降し,同区域外に流出しておらず,同区域内において,土砂等の崩落のおそれも生じていない。 (ウ) 竹木の処理メイビは,伐採した竹木を本件事業区域外に搬出し,廃棄物処理法に基づき適正に処理している。 (エ) 土留擁壁の設置メイビは,本件事業区域の北側部分において,土留擁壁を既に設置している。 (オ) 原地盤の表土処理メイビは,本件事業区域の原地盤の表土処理及び軟弱地盤の改良等を適正に行っており,前記(ア)のとおり本件事業区域に地下排水処理のための有孔管も設置している。 イ本件指示等について メイビが本件事業区域において積み上げるなどした土砂等の高さは,一部の箇所についてのみ,本件事業の埋立計画以上の高さになっているが,当該箇所の法面勾配は30度未満の安定勾配となっており,また,当該箇所は本件事業区域のほぼ中央部分に位置することなどからすれば,土砂崩れ等が生じたとしても周辺環境に被害を与えることはない。 したがって,メイビが,本件許可に付された条件に反して,本件事業の許可申請時において提出した埋立計画以上の高さに土砂等を積み上げ,堆積させ,又は盛っている箇所があるとしても,河内長野市長が,メイビに対し,当該土砂等を直ちに移動,撤去等するよう指示及び指導を行うべきことが本件条例の規定から明らかであり,又は同市長が当該指示及び指導をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となるとはいえない。 ウ本件撤去命令1についてメイビが,本件事業区域内に,六価クロム,フッ素,鉛等が混入した土壌環境基準に適合しない土砂等を埋め立てた事実はないから,河内長野市長が,メイビに対し,本件条例7条3項に基づき,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすべきことが本件 等が混入した土壌環境基準に適合しない土砂等を埋め立てた事実はないから,河内長野市長が,メイビに対し,本件条例7条3項に基づき,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすべきことが本件条例の規定から明らかであり,又は同市長が当該命令をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となるとはいえない。 エ本件撤去命令2について原告らが主張する搬入のうち,平成25年2月5日,同月12日,同年3月5日,平成26年5月19日,同年6月3日,同月13日及び同月16日における搬入について原告らが証拠として提出する写真からは,土砂等が積み込まれた場所や運送車両等の移動経路が判然としない。また,これら搬入のうち,平成25年2月12日の搬入は,メイビが平成24年10月30日付けで採取場所とすることについて許可を受けた羽曳野市の株 式会社から購入した改良土を搬入したものである。 また,本件事業区域への土砂等の搬入を請け負っていた業者は,メイビが採取場所としての許可を受けていた場所から土砂等を搬出し,堺市θ×番○外の土地に一時仮置きし,後日に当該土砂等を本件事業区域に搬入していた。上記業者は,被告以外の者との間で,堺市ζの土地からの土砂等の搬出も請け負っていたところ,原告らが主張する平成26年4月12日及び同月14日における上記ζの土地からの搬入については,上記業者が同土地から搬出した土砂等を上記θの土地に仮置きし,同所において,メイビが許可を受けていた採取場所から搬出された土砂等を積み込み,本件事業区域に搬入したもので,許可を受けていない場所から採取された土砂等を搬入したものではない。 以上のように,メイビが,本件条例9条に基づく許可又は本件条例13条1項に基づく変更の許可を受けなければならなかったにもかかわらず 可を受けていない場所から採取された土砂等を搬入したものではない。 以上のように,メイビが,本件条例9条に基づく許可又は本件条例13条1項に基づく変更の許可を受けなければならなかったにもかかわらず,本件許可の申請書に採取場所として記載されておらず,採取場所とする旨の変更の許可も受けていなかった場所から採取した土砂等を搬入した事実はなく,また,仮にメイビがかかる場所から採取した土砂等を本件事業区域に搬入したとしても,当該搬入自体が原因となって本件事業区域において土砂崩れ等が生じるわけではなく,本件事業区域において有害物質が検出されているわけでもない。 したがって,河内長野市長が,メイビに対し,本件条例23条2項に基づき,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすべきことが本件条例の規定から明らかであり,又は同市長が当該命令をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となるとはいえない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実(1) 前記前提となる事実のほか,各項末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨によ れば,以下の事実が認められる。 ア原告らによる本件各土地の所有等(ア) 原告会社は,不動産の売買・仲介,宅地造成分譲業等を営む会社であり,本件土地1を所有している。なお,原告会社は,かつて,本件事業区域付近での埋立てを計画していたが,実施するには至らなかった。 (甲1の1,26)(イ) 原告Z2は,原告会社の取締役であり,本件土地2を所有している。 (甲1の2,20)(ウ) 原告Z1は,原告会社の従業員であり,平成24年7月3日,売買により,本件土地3を原告会社から取得したが,平成26年11月10日,原告会社との間で,上記売買に係る契約を合意解除し,同日以降,原告会社が,本件土地3を所有している。 り,平成24年7月3日,売買により,本件土地3を原告会社から取得したが,平成26年11月10日,原告会社との間で,上記売買に係る契約を合意解除し,同日以降,原告会社が,本件土地3を所有している。(甲18,乙18)イ原告らとメイビとの関係等メイビは,平成19年頃から,本件事業区域周辺に土地を所有する原告会社に対し,境界確定を申し入れるなどしていたが,原告会社から同意を得ることができなかった。 メイビは,平成22年10月10日,原告会社事務所において,メイビが予定していた特定事業(後の本件事業)の説明会を実施し,その際,メイビから,原告会社に対し,関係土地の境界の確定,メイビによる原告会社所有土地の買取り,共同での事業実施等を提案したが,原告会社の意向と内容的に大きな開きがあり,いずれの提案についても合意するには至らなかった。 (甲26)ウ本件事業区域及び本件各土地の位置関係等メイビが平成24年5月7日付けで本件許可を受けた当時,本件事業区域は,周辺の土地よりも地盤が低い谷状の地形となっており,本件事業区 域の地盤のうち最も低い地盤は,標高約88mの高さに位置していた。 本件各土地は,南北に延びた形状の本件事業区域の北側に位置し,本件事業区域から本件土地1及び本件土地2は約12m,本件土地3は約10mの距離にある。また,本件土地1は標高約100m,本件土地2は標高約94m,本件土地3は標高約100mの高さに位置している。 (乙1,6,7,16,25の1~8)エ本件許可,その変更及び本件事業の廃止(ア) 本件許可メイビは,平成23年5月16日付けで,特定事業に使用される土砂等の採取場所を「富田林市μ×番○,×番○」,採取量を6万8350㎥と記載した申請書を河内長野市長に提出し (ア) 本件許可メイビは,平成23年5月16日付けで,特定事業に使用される土砂等の採取場所を「富田林市μ×番○,×番○」,採取量を6万8350㎥と記載した申請書を河内長野市長に提出し,本件事業区域(実測面積9901.42㎡)において本件事業を行うことの許可を申請した。 メイビは,平成24年5月7日付けで,河内長野市長から,①許可の期間を同日から1年3か月とすること,②当該許可の申請時において提出された埋立計画以上の高さに積み上げ,堆積させ,又は盛った土砂等は,直ちに移動,撤去等しなければならず,また,河内長野市職員から是正等の指示,指導等があった場合は,直ちにその指示,指導等に従い,是正等の適切な措置を講ずること等を許可条件として,本件事業区域において本件事業を行うことについて本件許可を受けた。 (甲4,22,51,53)(イ) 本件許可の変更a 許可の期間についてメイビは,河内長野市長から,平成25年6月28日付けで,許可の期間を平成24年5月7日から平成26年8月6日までと変更することについて,同年7月31日付けで,許可の期間を平成24年5月7日から平成27年5月6日までと変更することについて,それぞれ 許可を受けた。 b 特定事業に使用される土砂等の採取場所についてメイビは,河内長野市長から,平成25年3月4日付けで,堺市α×-○の土地を,平成26年4月3日付けで,堺市β×番○号の土地を,それぞれ本件事業に使用される土砂等の採取場所として追加することについて許可を受けた。(甲50~52)(ウ) 本件事業の廃止メイビは,平成27年4月24付けで,河内長野市長に対し,本件条例20条2項に基づき,同日に本件事業を廃止した旨届け出た。 当該届出がされた時点において,本件事 )(ウ) 本件事業の廃止メイビは,平成27年4月24付けで,河内長野市長に対し,本件条例20条2項に基づき,同日に本件事業を廃止した旨届け出た。 当該届出がされた時点において,本件事業区域には,計画されていた採取量6万8350㎥(前記(ア))の約7割の土砂等が埋め立てられていた。(証人Z3)オ本件事業の廃止後における本件事業区域の状況(ア) 沈砂池本件事業区域のうち最も北側に位置する部分には,別紙図面2において「沈砂池」と記載された位置に,概ね正方形の形をした沈砂池が設置されている。当該沈砂池と本件事業区域外との間には,U型トラフ(U字溝)は設置されていない。(乙25の1・2)(イ) 埋め立てられた土砂等の高さ等本件事業区域のうち前記(ア)の沈砂池よりも南側に位置する別紙図面2の直線「NO.1」と直線「NO.8+17.60」との間の部分には,土砂等が埋め立てられ,概ね北側をより低い部分とする傾斜面が形成されており,当該土砂等の高さは,別紙図面2の直線「NO.1」上において標高約89.90m,直線「NO.2+4.00」上において標高約98.30mとなっており,同直線よりも南側の部分において概ね標高約100mとなっている。 また,本件事業区域のうち別紙図面2の直線「NO.5」から南側の部分には,埋め立てられた土砂等の高さが,メイビが本件許可の申請時において提出した埋立計画における土砂等の高さよりも最大で約2m高くなっている部分がある。 (乙25の1~8,証人Z3)(ウ) 排水設備aU字溝,集水桝及びヒューム管本件事業区域のうち,別紙図面2のA点,B点及びC点付近には,それぞれ集水桝が設置され,また,同図面の赤線AB,BC,AD,AE,BF,BG,CH及びCI上には,U型トラ 溝,集水桝及びヒューム管本件事業区域のうち,別紙図面2のA点,B点及びC点付近には,それぞれ集水桝が設置され,また,同図面の赤線AB,BC,AD,AE,BF,BG,CH及びCI上には,U型トラフ(U字溝)が設置され,さらに,本件事業区域の東側境界線付近に位置する別紙図面2のI点及びJ点を結ぶ赤線上には,素掘り水路が設けられている。 (乙23,26)また,メイビは,本件事業において,別紙図面2のK点とL点を結ぶ赤破線上付近に,本件事業区域外から本件事業区域内に流入してくる雨水を処理するためのヒューム管を設置することを計画していたが,現在,当該赤破線上付近には,ヒューム管は設置されていない。 (甲6,乙26,証人Z4)b 地下排水のための有孔管本件事業区域には,本件事業区域内に埋め立てられた土砂等の高さからそれぞれ地下に15m,10m及び5mの高さに,有孔管が,ほぼ当初の計画どおり,設置されている。(乙2,24の各1~3,26)(エ) 土留擁壁本件事業区域のうち,当該沈砂池の南側に埋め立てられた土砂等と当該沈砂池の間には,別紙図面2の直線「NO.1」上付近に,土留擁壁 が設置されている。(乙23)カ本件事業に係る土壌調査等(ア) 六価クロム,フッ素及び鉛の性質a 六価クロム六価クロムは,呼吸器・消化器系障害や腎臓障害を引き起こす発がん性物質とされ,慢性障害でアレルギー性皮膚炎,肺がん,急性障害で皮膚の火傷,壊死,下痢,嘔吐等を発生させる。 六価クロムは,陰イオン性の物質であり,水に溶解して地表から地下水面まではほぼ鉛直に浸透し,地下水に到達した後は地下水と共に移動するところ,特定有害物質に指定されている重金属の中で最も移動性が大きく,地下水汚染の到達距離が1000mに達する場合 て地表から地下水面まではほぼ鉛直に浸透し,地下水に到達した後は地下水と共に移動するところ,特定有害物質に指定されている重金属の中で最も移動性が大きく,地下水汚染の到達距離が1000mに達する場合もある。このように土壌中の六価クロムが地下水に溶出した場合,人が当該地下水を摂取等するおそれがある。我が国における六価クロムの水質環境基準値は0.05mg/L以下であり,また,汚染土壌からの六価クロムの摂取量が現行の飲用水からの理論最大摂取量と同程度となるよう算定すると,経口暴露に伴う影響を考慮する土壌含有基準値の設定値は900mg/kgとなる。 また,六価クロムによって表層土壌が汚染された場合,人が六価クロムを含む土壌を直接摂取する(例えば,風によって巻き上げられた土壌を吸い込む,皮膚に接触して吸収されるなど)おそれがある。このような汚染土壌の飛散によって六価クロムを大気から吸入暴露した場合,鼻粘膜等への直接的影響等が懸念され,肺がんが発生するおそれもある。 (甲56~59)b フッ素フッ素は,陰イオン性の物質であり,水に溶解して地表から地下水 面まではほぼ鉛直に浸透し,地下水に到達した後は地下水と共に移動するところ,移動性が相対的に大きく,地下水汚染の到達距離が400mに達する場合もある。 我が国におけるフッ素の水質環境基準は0.8mg/Lに定められており,汚染土壌からのフッ素の摂取量が飲用水からの理論最大摂取量と同程度となるよう算定すると,土壌含有基準値の設定値は1万mg/kgとなる。より高濃度の飲料水濃度では,骨へのフッ素沈着が認められ,骨の内部構造変化も引き起こすことが報告されている。 (甲56,57)c 鉛鉛は,水に溶解して地表から地下水面ま 料水濃度では,骨へのフッ素沈着が認められ,骨の内部構造変化も引き起こすことが報告されている。 (甲56,57)c 鉛鉛は,水に溶解して地表から地下水面まではほぼ鉛直に浸透し,地下水に到達した後は地下水と共に移動するところ,移動性が相対的に小さいが,地下水汚染の到達距離は90mに達する場合がある。 鉛は,主に呼吸器系からの吸引と水溶性の鉛化合物の消化器系からの吸収によって体内に入り,骨に最も多く定着する。こうした鉛の体表や消化器官に対する曝露(接触・定着)により,腹痛,嘔吐,伸筋麻痺,感覚異常症等の様々な中毒症状が発生するほか,血液に作用すると溶血性貧血,ヘム合成系障害,免疫系の抑制,腎臓への影響等も発生する。 (甲57,61)(イ) 平成25年1月頃,清水建設株式会社による建物建替工事の敷地であった堺市α×-○の土地において,土壌調査が実施され,11区画(1区画は1辺を30mとする正方形)のうち2区画で基準値を超える六価クロム化合物が,1区画で基準値を超えるフッ素及びその化合物がそれぞれ検出された。 そこで,同年3月21日から同年4月26日までの間,同土地におい て,基準値を超える上記六価クロム化合物並びにフッ素及びその化合物を含む土壌の掘削除去工事が実施され,当該工事終了後に実施された土壌調査においては,同土地から,基準値を超える六価クロム化合物並びにフッ素及びその化合物は検出されなかった。 (乙5,27の1~5)(ウ) 同年11月頃,株式会社大林組等による建物建設工事の敷地であった堺市β×番○号の土地において,土壌調査が実施され,同土地の一部から,基準値を超える鉛及びその化合物並びにフッ素及びその化合物が検出された。当該鉛及びその化合物 組等による建物建設工事の敷地であった堺市β×番○号の土地において,土壌調査が実施され,同土地の一部から,基準値を超える鉛及びその化合物並びにフッ素及びその化合物が検出された。当該鉛及びその化合物並びにフッ素及びその化合物を含む土壌は,平成26年4月12日頃,同土地から搬出され,同土地外で処理された。(甲47,48,乙28)(エ) 本件事業区域においては,平成25年4月19日から同年6月6日までの期間,平成26年9月4日から同年10月20日までの期間及び平成27年4月頃において,それぞれ土壌調査が実施されたが,いずれの土壌調査によっても,本件事業区域から,基準値を超える六価クロム,フッ素,鉛等の有害物質は検出されなかった。(乙4,19,22)(2) 事実認定の補足説明ア前記(1)オ(ウ)bの有孔管の設置状況について,原告らは,メイビが,本件事業区域において,地下排水のための有孔管を計画していた箇所の一部にしか設置していない旨主張し,本件事業区域に搬入された有孔管の本数や長さの合計が,当該計画において設置することとされていた有孔管の本数や長さの合計に満たないことを証明する証拠として,甲第65号証を提出する。 しかし,甲第65号証は,原告会社の従業員であるZ4等が,本件事業区域周辺から,本件事業区域内の保管場所や進入路付近に置かれていた有孔管の写真や動画を撮影し,目視によって数えた当該有孔管の本数や長さ の合計を記載したものにすぎず(証人Z4),本件事業区域内に搬入された全ての有孔管の本数や長さの合計を正確に記載したものとはいい難い。 そして,通常,本件事業区域に搬入された有孔管は,上記保管場所や進入路付近に置かれることなく,計画されていた場所に直ちに設置されたと考えられること(証人Z3)からすれば,甲第65号証の はいい難い。 そして,通常,本件事業区域に搬入された有孔管は,上記保管場所や進入路付近に置かれることなく,計画されていた場所に直ちに設置されたと考えられること(証人Z3)からすれば,甲第65号証の記載をもって,当初の計画どおりの有孔管の設置がされていなかったものと認めるに足りない。なお,原告らは,有孔管が設置されていない証拠として平成25年3月26日に作成されたとする現場の撮影写真(甲11の2~8)も提出するが,その撮影場所は明らかではないし,その撮影画面から,有孔管が設置されていないことも直ちに明らかではなく,また,仮にその撮影時点(平成25年3月26日以前)において,有孔管が設置されていなかったとしても,その後設置されたことが否定されるわけではないから,上記写真をもって,前記判断が左右されるものではない。他に前記認定を覆すに足りる証拠はない。 イまた,前記(1)オ(エ)の土留擁壁の設置について,原告らは,メイビが,本件事業区域において,沈砂池付近に埋め立てた土砂等が崩落するのを防ぐために設置すべき土留擁壁を設置していない旨主張するが,その主張事実を認めるに足りる証拠はない。 2 争点1(処分性)について(1) 本件条例20条4項に基づく同条1項の措置が講じられていない旨の通知(本件通知)について本件条例20条4項は,河内長野市長は,特定事業の廃止の届出があったときは,速やかに,当該特定事業について,同条1項の措置(土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置)が講じられているかどうかの確認を行い,その結果を当該届出をした者に通知しなければならない旨規定し,同条5項は,同条4項の規定により,土砂等の崩落,飛 散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置が講じられていな を行い,その結果を当該届出をした者に通知しなければならない旨規定し,同条5項は,同条4項の規定により,土砂等の崩落,飛 散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置が講じられていない旨の通知を受けた者は,廃止の届出に係る特定事業に使用された土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置を講じなければならない旨規定する。これらの本件条例の規定によれば,本件条例20条4項に基づく同条1項の措置が講じられていない旨の通知は,通知を受けた当該特定事業の廃止の届出をした者に当該措置を講じる義務を生じさせ,その法的地位に直接的な影響を及ぼすものというべきであるから,義務付け訴訟の対象となる行訴法3条2項の「処分」に当たると解するのが相当である(土壌汚染対策法3条2項による通知に係る最高裁平成24年2月3日第二小法廷判決・民集66巻2号148頁参照)。 (2) 土砂等を移動,撤去等する旨の指示及び指導(本件指示等)について前記認定事実(1)エ(ア)のとおり,本件許可には,メイビが本件許可の申請時において提出した埋立計画以上の高さに積み上げ,堆積させ,又は盛った土砂等は,直ちに移動,撤去等しなければならず,また,河内長野市職員から是正等の指示,指導等があった場合は,直ちにその指示,指導等に従い,是正等の適切な措置を講ずることが条件として付されていた。 しかし,本件条例やその関係法令において,特定事業の許可に付された条件に関する河内長野市長の指示,指導等を受けた者が,当該指示,指導等に従う義務を負う旨の規定等,当該指示,指導等が対象者の権利ないし法的地位に影響を与えることをうかがわせる規定は見当らないことからすれば,河内長野市長が,メイビに対し,メイビが本件許可に付された条件に反して本件 う旨の規定等,当該指示,指導等が対象者の権利ないし法的地位に影響を与えることをうかがわせる規定は見当らないことからすれば,河内長野市長が,メイビに対し,メイビが本件許可に付された条件に反して本件許可の申請時において提出した埋立計画以上の高さに積み上げ,堆積させ,又は盛った土砂等を,直ちに移動,撤去等するよう指示及び指導することができるとしても,当該指示及び指導は,当該土砂等の移動,撤去等を促す事実上の措置にすぎず,メイビの権利ないし法的地位に直接影響を及ぼすものであるとはいえない。 したがって,河内長野市長が,メイビに対し,本件指示等を行なうことは,直接に国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえないから,義務付け訴訟の対象となる行訴法3条2項の「処分」には該当しないのであって,原告らの訴えのうち本件指示等の義務付けを求める部分は,訴訟要件を欠く不適法なものとして却下を免れない。 (3) 本件条例7条3項に基づく特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令(本件撤去命令1)について本件条例7条3項は,河内長野市長は,土砂等の埋立て等に土壌環境基準に適合しない土砂等が使用されていることを確認したときは,当該土砂等の埋立て等を行い,又は行った者に対し,当該土砂等の埋立て等に使用された土砂等の全部を撤去すべきことを命ずることができる旨規定するところ,同項に基づく本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの本件撤去命令1は,当該命令を受けたメイビに,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去する義務を生じさせ,その法的地位に直接的な影響を及ぼすものというべきであり,直接に国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものというべきで された土砂等の全部を撤去する義務を生じさせ,その法的地位に直接的な影響を及ぼすものというべきであり,直接に国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものというべきであるから,義務付け訴訟の対象となる行訴法3条2項の「処分」に該当するということができる。 (4) 本件条例23条2項に基づく特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令(本件撤去命令2)について本件条例23条2項は,河内長野市長は,本件条例9条又は13条1項の規定に違反して特定事業を行った者に対し,当該特定事業に使用された土砂等の全部を撤去すべきことを命ずることができる旨規定するところ,同項に基づく本件事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの本件撤去命令2は,当該命令を受けたメイビに,本件事業に使用された土砂等の全部を撤去する義務を生じさせ,その法的地位に直接的な影響を及ぼすものというべきであ り,直接に国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものというべきであるから,義務付け訴訟の対象となる行訴法3条2項の「処分」に該当するということができる。 3 争点2(原告適格)について(1) 本件条例において,原告らには,本件通知,本件撤去命令1及び本件撤去命令2に係る申請権は認められておらず,本件訴えは,行訴法3条6項1号に掲げるいわゆる非申請型の義務付けの訴えに当たるところ,行訴法37条の2第3項は,非申請型の義務付けの訴えは,行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り,提起することができる旨規定する。ここで,「法律上の利益を有する者」とは,当該処分がされないことにより自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそ を有する者に限り,提起することができる旨規定する。ここで,「法律上の利益を有する者」とは,当該処分がされないことにより自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分がされないことによりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の義務付け訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして,同法37条の2第4項は,上記の法律上の利益の有無の判断については,同法9条2項の規定を準用するところ,行政庁が一定の処分を第三者に対してすべき旨を命ずることを求める者について法律上の利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとし,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし,当該利益の内容及び 性質を考慮するに当たっては,行政庁が当該処分をすべきであることが当該処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁が当該処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるにもかかわらず,当該処分がされない場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(以上につき,最高裁平成26年7月2 その濫用となると認められるにもかかわらず,当該処分がされない場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(以上につき,最高裁平成26年7月29日第三小法廷判決・民集68巻6号620頁参照)。 (2)ア本件条例は,土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生を未然に防止するため,必要な規制を行うことにより,もって市民生活の安全を確保するとともに,市民の生活環境を保全することを目的とし(本件条例1条),特定事業を行おうとする者や特定事業の許可の申請書に記載された事項の変更をしようとする者は,河内長野市長の許可を受けなければならない旨規定し(本件条例9条1項,13条1項),特定事業の許可を受けようとする者は,当該特定事業区域の周辺関係者に対して,当該特定事業の計画内容を事前に説明し,協議を行い,その結果を市長に報告しなければならない旨規定する(本件条例12条の2)。また,本件条例は,特定事業の廃止の届出をした者が,河内長野市長から,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置が講じられていない旨の通知を受けたときは,当該措置を講じなければならず,河内長野市長は,当該措置を講じない者に対し当該措置を執るべきことを命ずることができる旨(本件条例20条,25条),河内長野市長は,土砂等の埋立て等に土壌環境基準(本件条例6条)に適合しない土砂等が使用されていることを確認したときは,速やかに当該土砂等の埋立て等が行われた場所の土壌等に係る情報を住民に提供するとともに,当該土砂等の埋立て等を行った者に対し,当該土砂等の埋立て等に使用された土砂等の全部を撤去することなどを命ずることができる旨(本件条例7条3項),河内長野 市長は,特定事業の許可・変更の許可を 土砂等の埋立て等を行った者に対し,当該土砂等の埋立て等に使用された土砂等の全部を撤去することなどを命ずることができる旨(本件条例7条3項),河内長野 市長は,特定事業の許可・変更の許可を受けることなく特定事業を行った者に対し,当該特定事業に使用された土砂等の全部を撤去するなどの措置を執るべきことを命ずることができる旨(本件条例23条2項)規定し,これら本件条例25条,7条3項及び23条2項の各規定による河内長野市長の命令に違反した者を2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する旨規定する(本件条例32条1号)。 そして,本件条例の制定,運用は,環境基本法7条,36条が規定する当該地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた環境保全のために必要な施策に当たると解されるところ,同法は,環境の保全について,国民の健康で文化的な生活の確保に寄与すること等を目的とし(同法1条),公害とは,環境の保全上の支障のうち,土壌の汚染等によって,人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害を生ずることをいう旨規定する(同法2条3項)。 また,本件条例6条に規定する土壌環境基準は,土壌汚染対策法施行規則が定める測定方法等を用いているところ(本件条例施行規則3条,別表第1〔甲35〕),土壌汚染対策法は,土壌汚染対策の実施を図り,もって国民の健康を保護することを目的としている(同法1条)。 以上に述べた本件条例の規定並びに本件条例の関係法令に当たると解される環境基本法及び土壌汚染対策法の規定に照らせば,本件条例は,特定事業に伴う土砂等の崩落,飛散若しくは流出による災害並びに土壌環境基準に適合しない土砂等の埋立てによる土壌汚染等によって,市民の生命,身体の安全, び土壌汚染対策法の規定に照らせば,本件条例は,特定事業に伴う土砂等の崩落,飛散若しくは流出による災害並びに土壌環境基準に適合しない土砂等の埋立てによる土壌汚染等によって,市民の生命,身体の安全,健康又は生活環境が害されることを防止し,もって市民生活の安全を確保するとともに,市民の生活環境を保全することをその趣旨及び目的とするものと解される。 イそして,特定事業に伴う土砂等の崩落,飛散若しくは流出による災害並 びに土壌環境基準に適合しない土砂等の埋立てによる土壌汚染等によって,当該特定事業の事業区域の周辺において居住する者や動植物を飼育・栽培するなどの活動を行う者が直接的に受ける被害の程度は,当該居住等の活動の内容,当該活動が行われる土地と当該事業区域との近接の度合い・位置関係,当該事業区域に埋め立てられた土砂等に含まれる汚染物質の性質(土壌中,水中又は飛散等による移動特性等)等によっては,その者の生命,身体の安全,健康又は生活環境に係る著しい被害を受ける事態にも至りかねないものである。しかるところ,前記アの本件条例の趣旨及び目的に鑑みれば,本件条例は,特定事業の事業区域の周辺において居住する者や動植物を飼育・栽培するなどの活動を行う者に対し,そのような特定事業に伴う土砂等の崩落,飛散若しくは流出による災害並びに土壌環境基準に適合しない土砂等の埋立てによる土壌汚染等によって生命,身体の安全,健康又は生活環境に係る被害を受けないという具体的利益を保護しようとするものと解されるのであり,上記のような被害の内容,性質,程度等に照らせば,この具体的利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものといわなければならない。 ウしたがって,当該特定事業の事業区域の周辺において居住する者や動植物を飼育・栽培するなど らせば,この具体的利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものといわなければならない。 ウしたがって,当該特定事業の事業区域の周辺において居住する者や動植物を飼育・栽培するなどの活動を行う者のうち,当該事業区域において特定事業が行われた場合にこれに伴う土砂等の崩落,飛散若しくは流出による災害並びに土壌環境基準に適合しない土砂等の埋立てによる土壌汚染等によって,生命,身体の安全,健康又は生活環境に係る被害を直接的に受けるおそれのある者は,河内長野市長が,当該特定事業を行った者に対し,本件条例20条4項に基づく同条1項の措置が講じられていない旨の通知,本件条例7条3項に基づく特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令及び本件条例23条2項に基づく特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の 利益を有する者として,当該義務付け訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして,上記のような生命,身体の安全,健康又は生活環境に係る被害を直接的に受けるおそれがあるか否かについては,当該特定事業において埋め立てられた土砂等の量・態様,上記被害を直接的に受けるおそれがある旨主張する者が行う居住等の活動の内容,当該活動を行う土地と当該事業区域との近接の度合い・位置関係,当該事業区域に埋め立てられた土砂に含まれるとされる汚染物質の性質(土壌中,水中又は飛散等による移動特性等)等を総合考慮の上,社会通念に照らし,合理的に判断すべきである。 なお,以上説示したような本件条例の趣旨及び目的,本件条例が保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,本件条例は,当該特定事業の事業区域の周辺において居住,動植物を飼育・栽培するなどの活動 ,以上説示したような本件条例の趣旨及び目的,本件条例が保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,本件条例は,当該特定事業の事業区域の周辺において居住,動植物を飼育・栽培するなどの活動を行う者が当該特定事業に伴う土砂等の崩落,飛散若しくは流出による災害並びに土壌環境基準に適合しない土砂等の埋立てによる土壌汚染等によって生命,身体の安全,健康又は生活環境の被害を受けないという利益に加えて,所有権その他の財産上の権利,利益をも個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むものと解することはできないというべきである。 (3)アこれを本件についてみると,原告会社は株式会社であり,本件事業区域において特定事業が行われた場合であっても,法人としての性質上,生命,身体の安全,健康又は生活環境に係る被害を直接的に受けるおそれがあるとはいえない。 また,前記(2)ウのとおり,本件条例が,市民の生命,身体の安全,健康又は生活環境の被害を受けないという利益に加えて,所有権その他の財産上の権利,利益をも個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨 を含むものと解することはできないというべきであるから,本件事業区域において特定事業が行われた場合に,原告会社の本件土地1の所有権が侵害されるおそれがあるとしても,原告会社が,本件条例が個々人の個別的利益として保護する利益を侵害されるおそれがあるとはいえない。 したがって,原告会社は,本件通知,本件撤去命令1及び本件撤去命令2の義務付けを求める訴訟(以下「本件義務付け訴訟」という。)における原告適格を有するとはいえない。 イ(ア) 前記認定事実(1)ア(イ)のとおり,原告Z2は,本件土地2を所有している。もっとも原告Z2は,本件土地2を使用しておらず(弁論の全趣旨),前記(2 ける原告適格を有するとはいえない。 イ(ア) 前記認定事実(1)ア(イ)のとおり,原告Z2は,本件土地2を所有している。もっとも原告Z2は,本件土地2を使用しておらず(弁論の全趣旨),前記(2)ウのとおり本件条例が所有権その他の財産上の権利,利益をも個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むものと解することはできないから,原告Z2の本件土地2の所有権が侵害されるおそれがあるとしても,原告Z2が,本件条例が個々人の個別的利益として保護する利益を侵害されるおそれがあるとはいえない。 (イ) 他方,証拠(甲36,証人Z4)及び弁論の全趣旨によれば,原告Z2は,本件土地1においてみかんの木を植えて栽培し,これを摂取したり,本件土地3に建てられた小屋を上記みかんの木の栽培のための農機具等の保管場所等として使用したりしていることが認められる。 そして,前記認定事実(1)エ(ア)・(ウ),オ(イ)のとおり,本件特定事業においては,本件事業区域に合計6万8350㎥の土砂等を埋め立てることが計画されていたところ,本件事業が廃止された時点において,本件事業区域には,上記計画量の約7割の土砂等が埋め立てられており,当該土砂等の高さは,本件土地1及び本件土地3の付近に位置する別紙図面2の直線「NO.1」上において標高約89.90mとなっていた。 前記認定事実(1)ウ,カ(ア)のとおり,本件土地1及び本件土地3は,本件事業区域からそれぞれ約10mの距離に位置し,標高約100mの 高さにあるところ,原告らが本件事業区域に埋め立てられた旨主張する六価クロム,フッ素及び鉛をとってみても,いずれも水に溶解して地表から地下水面まではほぼ鉛直に浸透し,地下水に到達した後は地下水とともに移動し,地下水汚染の到達距離が少なくとも90mに達する場合 六価クロム,フッ素及び鉛をとってみても,いずれも水に溶解して地表から地下水面まではほぼ鉛直に浸透し,地下水に到達した後は地下水とともに移動し,地下水汚染の到達距離が少なくとも90mに達する場合があり,また,六価クロムは,これを含む土壌を人が直接摂取することによって肺がんを発生させるおそれがあり,鉛は,主に呼吸器系からの吸引と水溶性の鉛化合物の消化器系からの吸収によって体内に入り,中毒症状等を引き起こす。 以上のような本件事業において埋め立てられた土砂等の量・態様,原告Z2が本件土地1及び本件土地3において行う活動の内容,本件土地1及び本件土地3と本件事業区域との近接の度合い・位置関係,六価クロム,フッ素及び鉛の性質等によれば,本件事業区域において特定事業が行われた場合に,当該特定事業に伴う土砂等の崩落,飛散若しくは流出による災害並びに土壌環境基準に適合しない土砂等の埋立てによる土壌汚染等によって,原告Z2は,本件土地1及び本件土地3と本件事業区域の高低差を考慮しても,汚染された地下水等を使用して栽培されたみかんを摂取し,本件事業区域から飛散した汚染土壌を吸引するなどして,生命,身体の安全,健康又は生活環境に係る被害を直接的に受けるおそれがあるといえる。 したがって,原告Z2は,本件義務付け訴訟における原告適格を有するものというべきである。 ウ原告Z1は,本件事業区域の周辺に居住しておらず(弁論の全趣旨),また,前記認定事実(1)ア(ウ)のとおり,現在,本件各土地をいずれも所有していない。そして,原告Z1が,本件事業区域の周辺において,動植物を飼育・栽培するなどの活動を行っていることなど,原告Z1が,本件事業区域において特定事業が行われた場合に,生命,身体の安全,健康又は 生活環境に係る被害を直接的に受けるおそれが て,動植物を飼育・栽培するなどの活動を行っていることなど,原告Z1が,本件事業区域において特定事業が行われた場合に,生命,身体の安全,健康又は 生活環境に係る被害を直接的に受けるおそれがあることを基礎付ける事情を認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告Z1は,本件義務付け訴訟における原告適格を有するとはいえない。 エ以上によれば,原告Z2は,本件義務付け訴訟における原告適格を有するものの,原告会社及び原告Z1は,本件義務付け訴訟における原告適格を有するとはいえず,原告会社及び原告Z1の訴えは,訴訟要件を欠く不適法なものとして,却下を免れない。 4 争点3(重大な損害を生ずるおそれ)について行訴法37条の2第1項は,同法3条6項1号に掲げるいわゆる非申請型義務付けの訴えは,一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあるときに提起することができる旨規定し,同法37条の2第2項は,当該重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては,損害の回復の困難の程度を考慮するものとし,損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする旨規定する。 前記3(3)イのとおり,本件事業区域において特定事業が行われた場合,当該特定事業に伴う土砂等の崩落,飛散若しくは流出による災害並びに土壌環境基準に適合しない土砂等の埋立てによる土壌汚染等によって,原告Z2は,生命,身体の安全,健康又は生活環境に係る被害を直接的に受けるおそれがある。 かかる被害は,金銭賠償のみによっては回復が困難であることからすれば,原告Z2には,本件義務付け訴訟に係る前記2(1),(3)及び(4)の各処分がされないことにより,重大な損害を生ずるおそれがあるというべきである。 5 争点4(補充性)について原告Z2は,本件事業区域内 件義務付け訴訟に係る前記2(1),(3)及び(4)の各処分がされないことにより,重大な損害を生ずるおそれがあるというべきである。 5 争点4(補充性)について原告Z2は,本件事業区域内の土地をいずれも所有していない(弁論の全趣旨)ところ,原告Z2が,メイビに対し,所有権に基づく妨害排除請求等の民事上の請求によって,本件事業区域内において一定の措置を講じることを求め ることは困難であり,その他,義務付けの訴えと比較して,原告Z2が前記4の重大な損害を避けるため,より適当な方法があるとはいい難いから,原告Z2が前記4の重大な損害を避けるためには,本件義務付け訴訟の他に適当な方法がないというべきである。 6 争点5(行訴法37条の2第5項の要件充足性)について(1) 行訴法37条の2第5項は,当該義務付けの訴えに係る処分につき,行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは,裁判所は,行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする旨規定する。 このうち,行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められる場合とは,当該処分について行政庁に裁量権がなく,当該処分の根拠となる法令の規定に事実をあてはめることによって当該行政庁が当該処分をすべきであることが明らかであると認められる場合をいい,また,行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められる場合とは,当該処分について行政庁が裁量権を有しているものの,行政庁が当該処分をしないことが当該裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した場合をいうものと 範囲を超え若しくはその濫用となると認められる場合とは,当該処分について行政庁が裁量権を有しているものの,行政庁が当該処分をしないことが当該裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した場合をいうものと解される。 (2) 本件条例20条4項に基づく同条1項の措置が講じられていない旨の通知(本件通知)についてア本件条例20条4項は,河内長野市長は,特定事業の廃止の届出があったときは,速やかに,当該特定事業について,同条1項の措置(土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置)が講じられているかどうかの確認を行い,その結果を当該届出をした者に通知しなければならない旨規定するところ,当該確認及び通知の対象となるのは,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要 な措置が講じられているかどうかという事実の有無であって,河内長野市長が,当該事実の有無についての判断,当該確認及び通知をすべきか否か,当該確認及び通知をする時期等について,裁量権を付与されているとは解されないことからすれば,当該特定事業について,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置が講じられていないという事実が認められる限り,河内長野市長は,当該事実を確認し,その結果を通知しなければならないものと解される。 もっとも,本件条例20条1項は,特定事業を廃止しようとする者が,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置を講じなければならない旨規定するのみで,当該措置のより具体的な内容について定めていないことからすれば,当該特定事業について当該措置が講じられていないか否かについては,当該特定事業の事業区域における工事等の実施の有無や内容を総合的に考慮し,当該特定 り具体的な内容について定めていないことからすれば,当該特定事業について当該措置が講じられていないか否かについては,当該特定事業の事業区域における工事等の実施の有無や内容を総合的に考慮し,当該特定事業の事業区域において,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害が発生するおそれが生じていると認められる場合に,当該措置が講じられていないということができるものと解すべきである。 イ(ア) これを本件についてみると,前記認定事実(1)オ(ア),(イ)のとおり,本件事業区域においては,別紙図面2において「沈砂池」と記載された位置に沈砂池が設置されており,当該沈砂池よりも南側の部分には土砂等が埋め立てられている(なお,本件事業区域のうち別紙図面2の直線「NO.5」から南側の部分には,埋め立てられた土砂等の高さが,メイビが提出した埋立計画における土砂等の高さよりも最大で約2m高くなっている部分があるものの,上記直線「NO.5」は,本件土地1及び本件土地3から約100m離れている〔乙25の2〕。)。そして,本件事業区域内で埋め立てられた土砂等については,地上及び地下の排水設備としてU型トラフ(U字溝),集水桝,素掘り水路及び有孔管が 設置されるとともに,当該沈砂池と当該土砂等の間に土留擁壁が設置されている。また,証拠(乙12,13,25の1~8,26,29,証人Z3)によれば,本件事業区域内で埋め立てられた土砂等のうち,本件土地1及び本件土地3の付近に位置する別紙図面2の直線「NO.1」と「NO.3」の間の部分については,傾斜面の勾配が安定勾配とされる30度未満であり,また,北側の傾斜部分は水平の小段を設けて階段状とされ,さらには,「ふとんかご」と呼ばれる土留めのための設備を設置するなどの措置が採られていることが認められる。これらの事 とされる30度未満であり,また,北側の傾斜部分は水平の小段を設けて階段状とされ,さらには,「ふとんかご」と呼ばれる土留めのための設備を設置するなどの措置が採られていることが認められる。これらの事情に照らすと,本件事業区域内においては,原告Z2との関係も含め,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために,相応の措置が講じられているということができる。 なお,前記認定事実(1)オ(ウ)のとおり,本件事業区域及びその周辺においては,素掘り水路が設置され,また,別紙図面2の赤破線KL上付近にヒューム管が設置されておらず,沈砂池と本件事業区域外との間にU型トラフ(U字溝)が設置されていないのであり,これらの点で,排水に関して,メイビが本件事業について計画していたとおりの工事が実施されていない部分があることがうかがわれるものの(甲5,6,17,弁論の全趣旨),かかる工事が実施されていないことによって,本件事業区域において上記のような相応の措置が講じられているにもかかわらず,本件事業区域内に排水がたまるなどの支障が生じていることを認めるに足りる証拠はない。 (イ) この点に関連し,原告らは,本件事業区域において,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害発生のおそれがあることを基礎付ける事情として,①メイビが,根を取り除くことなく伐採した竹木のほとんどを,同区域外に搬出せず,同区域内に埋め立てたことや,②メイビが,本件事業区域底部の原地盤の表土剥取り作業をしなかったことを指摘する。 しかし,上記①の指摘事情については,証拠(乙3)によれば,メイビは,本件事業区域において発生した木くず合計203.14トンを収集運搬業者に委託し,本件事業区域外の処理施設に運搬した上で,当該処理施設における処分業者による処理を委託 証拠(乙3)によれば,メイビは,本件事業区域において発生した木くず合計203.14トンを収集運搬業者に委託し,本件事業区域外の処理施設に運搬した上で,当該処理施設における処分業者による処理を委託したことが認められる。これに対し,原告らは,上記指摘事情を裏付ける証拠として,現場を撮影した写真(甲11の8,24,41),重機による作業状況等を動画により撮影したもののスクリーンショット(甲38~41)並びに上記指摘事情があった旨の原告会社の従業員Z4の報告書(甲17)及びその添付写真(現場を撮影した写真)を提出するほか,証人Z4は,竹木の除根分について,ブルドーザーで上から土をかぶせて埋めていた旨供述する。しかしながら,上記写真やスクリーンショットによっても,地面に樹木の根らしきものが混じり込んでいることは確認し得るものの,それ以上に,根を取り除くことなく伐採した竹木のほとんどが本件事業区域内に埋め立てられたことまでは確認することはできず,上記写真等によって,土砂等の崩落等による災害発生の原因となるような施工の不備があったことが裏付けられるものではない。また,前記認定事実(1)ア(ア),イのとおり,原告会社は,かつて,本件事業区域付近で埋めた事業を検討したことがあり,メイビとの間で,関係土地についての境界が未確定の状況にあり,本件事業前のメイビによる説明会においても,メイビからの境界確定,原告会社所有土地の買取り,共同事業といった諸提案があったものの,いずれも合意に至らなかったものであって,これらの事情にも照らすと,原告会社とメイビとの間には,本件事業によって生じ得る災害や環境汚染の問題とは別個の,関係土地の境界や事業の競合等の問題をめぐって利害対立があった疑いも否定することができない。その意味で,原告会社の従業員であるZ4の報告書 ,本件事業によって生じ得る災害や環境汚染の問題とは別個の,関係土地の境界や事業の競合等の問題をめぐって利害対立があった疑いも否定することができない。その意味で,原告会社の従業員であるZ4の報告書や証人尋問における証言も,その中立性について疑問が残り,脚色や誇張がないかなど,その 証言内容の採否に当たってはより慎重に判断する必要があるのであって,他に客観的な裏付け証拠のない本件においては,上記報告書の内容や証言内容は直ちに採用することができないものといわざるを得ない。他に,上記指摘事情を認めるに足りる証拠はない。 次に,上記②の指摘事情については,証人Z4は,証人尋問や陳述書(甲67)において,メイビが本件事業区域底部の原地盤の表土剥取り作業をしなかった旨証言,陳述するが,この点についても客観的裏付けを欠き,前示の事情に照らし,上記証言等を直ちに採用することはできない。その他,上記指摘事情を認めるに足りる証拠はない。 (ウ) 本件において,本件事業区域における土砂等の崩落,飛散又は流出による災害発生のおそれを防止するために,前記(ア)認定の措置以外に必要な措置があることを認めるに足りる証拠はない。本件事業区域において,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害が発生するおそれが生じているとは認められず,本件事業について,土砂等の崩落,飛散又は流出による災害の発生を防止するために必要な措置が講じられていないということはできないというべきである。 ウ以上によると,河内長野市長が,メイビに対し,本件事業について,本件条例20条4項に基づく同条1項の措置が講じられていない旨の通知(本件通知)をすべきであることが本件条例の規定から明らかであるとは認められず,原告Z2の前記第1の1の請求は理由がない。 (3) 本件条例7条 に基づく同条1項の措置が講じられていない旨の通知(本件通知)をすべきであることが本件条例の規定から明らかであるとは認められず,原告Z2の前記第1の1の請求は理由がない。 (3) 本件条例7条3項に基づく特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令(本件撤去命令1)についてア本件条例7条3項は,河内長野市長は,土砂等の埋立て等に土壌環境基準に適合しない土砂等が使用されていることを確認したときは,当該土砂等の埋立て等を行った者に対し,当該土砂等の埋立て等に使用された土砂等の全部若しくは一部を撤去し,又は当該土砂等の埋立て等による土壌の 汚染を防止するために必要な措置を執るべきことを命ずることができる旨規定するところ,同項は,土砂等の埋立て等に土壌環境基準に適合しない土砂等が使用された場合に,当該土砂等の埋立て等を行った者に対し一定の措置を執るべきことを命ずるか否か,命ずるとしていかなる措置を命ずるかの判断を,河内長野市長の合理的な裁量に委ねたものと解される。 イ本件において,上記裁量権の範囲からの逸脱やその濫用があったかについてみると,前記認定事実(1)カ(イ),(ウ)のとおり,メイビが本件事業に使用される土砂等の採取場所とすることの変更の許可(前記1(1)エ(イ)b)を受けた堺市α×-○及び同市β×番○号の各土地から,基準値を超える六価クロム,フッ素及び鉛が検出されたものの,両土地において,当該六価クロム,フッ素及び鉛を含む土壌の掘削除去等の措置が採られており,本件事業区域において実施された土壌調査によっても,本件事業区域から,基準値を超える六価クロム,フッ素,鉛等の有害物質は検出されていない。 これに対し,原告らは,メイビが,本件事業区域に,六価クロム,フッ素,鉛等が混入した土砂等を埋め立 ても,本件事業区域から,基準値を超える六価クロム,フッ素,鉛等の有害物質は検出されていない。 これに対し,原告らは,メイビが,本件事業区域に,六価クロム,フッ素,鉛等が混入した土砂等を埋め立てた旨主張する。そして,いずれも原告会社の従業員である証人Z4,Z5及び原告Z1は,報告書(甲17~19)や証人尋問において,本件事業区域に六価クロムが混入し異常に黄色を帯びた土砂が搬入された旨陳述,証言し,また,証人Z4は,陳述書(甲67)において,本件事業区域に鉛を含む土砂等が埋め立てられたと考えるべきである旨陳述する。 しかし,証人Z4,上記Z5及び原告Z1が陳述,証言するように,上記堺市αの土地から搬出された土砂等が本件事業区域に埋め立てられたとしても,前記認定事実(1)カ(イ)のとおり,同土地において六価クロム化合物等が検出されたのは11区画のうち合計3区画であって,当該3区画以外の区画から採取された土砂等が本件事業区域に埋め立てられた可能性も 否定できないし,Z4の陳述書(甲17)添付の資料2,3の写真に写っている土砂等の色のみから,直ちに当該土砂等に六価クロム化合物等が含まれているとまでは断じ難く,さらに,前記(2)イ(イ)のとおり,原告会社とメイビとの間には土地境界や競業をめぐる利害対立があった疑いも否定することができず,原告会社の従業員である上記3名の陳述・証言内容の採否に当たってはより慎重に判断する必要があるのであって,他に客観的な裏付け証拠のない本件においては,上記陳述・証言は直ちに採用することができないものといわざるを得ない。 また,同様に上記堺市βの土地から搬出された土砂等が本件事業区域に埋め立てられたとしても,前記認定事実(1)カ(ウ)のとおり,同土地において鉛化合物等が検出されたのは同土地の一部であ るを得ない。 また,同様に上記堺市βの土地から搬出された土砂等が本件事業区域に埋め立てられたとしても,前記認定事実(1)カ(ウ)のとおり,同土地において鉛化合物等が検出されたのは同土地の一部であって,その他の部分から採取された土砂等が本件事業区域に埋め立てられた可能性も否定できず,他に客観的な裏付け証拠のない本件においては,証人Z4の陳述内容は直ちに採用することができないものといわざるを得ない。 その他,メイビが,本件事業区域に,基準値以上の六価クロム,フッ素,鉛等が混入した土砂等を埋め立てたことを認めるに足りる証拠はないから,原告らの前記主張は採用することができない。 ウ以上のとおり,メイビが,本件事業区域に,六価クロム,フッ素,鉛等が混入した土砂等を埋め立てたことを認めることはできず,河内長野市長が,メイビに対し,本件事業について,本件条例7条3項に基づく特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令(本件撤去命令1)をしないことがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となるとは認められないから,原告Z2の前記第1の3の請求は理由がない。 (4) 本件条例23条2項に基づく特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令(本件撤去命令2)についてア本件条例23条2項は,河内長野市長は,本件条例9条又は13条1項 の規定に違反して特定事業を行った者に対し,当該特定事業に使用された土砂等の全部又は一部を撤去し,又は土砂等の崩落,飛散若しくは流出による災害の発生を防止するために必要な措置を執るべきことを命ずることができる旨規定するところ,本件条例23条2項は,本件条例9条又は13条1項の規定に違反して特定事業が行われた場合に,当該特定事業を行った者に対し一定の措置を執るべきことを命ずるか否か,命ず ることができる旨規定するところ,本件条例23条2項は,本件条例9条又は13条1項の規定に違反して特定事業が行われた場合に,当該特定事業を行った者に対し一定の措置を執るべきことを命ずるか否か,命ずるとしていかなる措置を命ずるかの判断を,河内長野市長の合理的な裁量に委ねたものと解される。 イ(ア) 本件において,上記裁量権の範囲からの逸脱やその濫用があったかについてみるに,原告らは,メイビの違反行為として,メイビは,本件許可の申請書に採取場所として記載されておらず,採取場所とする旨の変更の許可も受けていなかった場所から土砂等を採取し,本件事業区域に搬入した旨主張する。 (イ) そして,原告らは,平成26年6月3日における堺市θからの搬入について,証拠として,その搬入履歴を記載した原告会社作成の書面(甲44)を提出するが,それ以外には,搬出搬入状況等を撮影した写真等の客観的資料の提出はなく,前記(2)イ(イ)のとおり原告会社とメイビとの間には土地境界や競業をめぐる利害対立があった疑いも否定することができないことからすれば,上記書面の内容を直ちに採用することはできず,その他,メイビが上記搬入をしたとの事実を認めるに足りる証拠はない。 また,原告らは,平成25年2月5日における堺市γからの搬入について,その搬入履歴を記載したZ4作成の書面及びその添付写真(搬出・搬入状況を撮影したもの。以下の各書面の添付写真も,同様に搬出・搬入状況を撮影したものである。)等(甲32,66の1。なお,Z4は,甲32の1頁目左上の「ν」との記載が「γ」の誤記である旨証言する。) を,同年3月5日における富田林市εからの搬入について,その搬入履歴を記載したZ4作成の書面及びその添付写真(甲34)を,平成26年6月13日における堺 が「γ」の誤記である旨証言する。) を,同年3月5日における富田林市εからの搬入について,その搬入履歴を記載したZ4作成の書面及びその添付写真(甲34)を,平成26年6月13日における堺市δからの搬入について,その搬入履歴を記載した原告会社作成の書面(甲45)並びに同様のZ4作成の書面及びその添付写真等(甲66の4)を,それぞれ証拠として提出するが,上記各添付写真によっては,撮影された運送車両が土砂等を積み込んだ場所が上記の各場所であることは明らかではなく,上記各添付写真以外に上記各書面は客観的裏付けを欠くから,上記各書面等はいずれも直ちに採用することはできない。その他,メイビが上記各搬入をしたとの事実を認めるに足りる証拠はない。 (ウ)a 他方,原告らは,平成25年2月12日における堺市δからの搬入について,その搬入履歴を記載したZ4作成の書面及びその添付写真(甲33)を,平成26年5月19日における東大阪市ηからの搬入について,その搬入履歴を記載した原告会社作成の書面(甲43)並びに同様のZ4作成の書面及びその添付写真等(甲66の3)を,同年6月16日における同市λからの搬入について,その搬入履歴を記載した原告会社作成の書面(甲46)並びに同様のZ4作成の書面及びその添付写真等(甲66の5)を,それぞれ証拠として提出する。 上記各添付写真のうち,甲第33号証の平成25年2月12日午後2時30分を撮影時間とする写真には,「堺市δ地内」を区間とする下水道工事の標識が,甲第66号証の3の平成26年5月19日午前10時13分を撮影時間とする写真には,「η×」との地番表示板が,甲第66号証の5の同年6月16日午後2時34分を撮影時間とする写真には,「Z6新築工事」との工事標識が,それぞれ撮影されている。そ 10時13分を撮影時間とする写真には,「η×」との地番表示板が,甲第66号証の5の同年6月16日午後2時34分を撮影時間とする写真には,「Z6新築工事」との工事標識が,それぞれ撮影されている。そして,その他の写真と照らし合わせれば,上記各書面のうちこれら写真の撮影内容と合致する部分は採用することができ(その他の 部分は客観的裏付けを欠き直ちには採用することができない。),平成25年2月12日午後2時31分頃に上記δの土地において積み込まれた土砂等が同日午後3時39分頃に,平成26年5月19日午前10時13分頃に上記ηの土地において積み込まれた土砂等が同日午前11時11分頃に,同年6月16日午後2時34分頃に上記λの土地において積み込まれた土砂等が同日午後3時34分頃に,それぞれ本件事業区域に搬入された事実を認めることができる。 なお,被告は,上記各搬入のうち平成25年2月12日の搬入は,メイビが採取場所とすることについて許可を受けた羽曳野市の株式会社から購入した改良土を搬入したものである旨主張し,証人Z3は,証人尋問や陳述書(乙26)においてその旨証言,陳述するが,客観的裏付けを欠き,上記証言・陳述を直ちに採用することはできず,他に上記主張を認めるに足りる証拠はない。 b 原告らは,平成26年4月12日及び同月14日における堺市ζの土地からの搬入について,証拠として,その搬入履歴を記載した原告会社作成の書面(甲42)並びに同様のZ4作成の書面及びその添付写真等(甲66の2)を提出する。これに対し,被告は,本件事業区域への土砂等の搬入を請け負っていた木下建設株式会社(以下「木下建設」という。)は,上記ζの土地から搬出した土砂等を,堺市θの土地に一時仮置きし,同土地において,メイビが許可を受けていた場 事業区域への土砂等の搬入を請け負っていた木下建設株式会社(以下「木下建設」という。)は,上記ζの土地から搬出した土砂等を,堺市θの土地に一時仮置きし,同土地において,メイビが許可を受けていた場所から採取された土砂等を積み込んだ上で,本件事業区域に搬入した旨主張する。 上記添付写真のうち平成26年4月12日午後1時15分及び同日午後1時17分を撮影時間とする各写真には,車両番号○の運送車両(以下「本件車両」という。)に土砂等が積み込まれていることが撮影されているところ,上記各写真に撮影された土地の広さ・形状,当 該各写真に添付されたζの地図において斜線で示された土地の広さ・形状,同日午後1時53分付け写真2通に撮影された運送車両の色・形状,同車両に積み込まれている土砂等の色・量,本件車両の色・形状,本件車両に積み込まれた土砂等の色・量に加え,上記のとおり被告も木下建設の車両が上記ζの土地や本件事業区域において土砂等の搬出・搬入を行っていた事実自体は否定しないことに照らせば,本件車両が,同日午後1時15分頃,上記ζの土地において土砂等を積み込み,約38分後の同日午後1時53分頃,本件事業区域に土砂等を搬入した事実が認められる。そして,証拠(甲67)及び弁論の全趣旨によれば,上記ζの土地から本件事業区域まで自動車で移動するには約30分を要することが認められ,他方,本件車両が,約38分以内に,上記ζの土地から被告が主張する上記θの土地に立ち寄った上で本件事業区域に移動することが可能であったことを認めるに足りる証拠はない。 以上に照らせば,原告らが証拠として提出する原告会社及びZ4が作成した上記各書面のうち上記各写真の撮影内容と合致する部分は採用することができ(その他の部分は客観的裏付けを欠き直ちには採用するこ 以上に照らせば,原告らが証拠として提出する原告会社及びZ4が作成した上記各書面のうち上記各写真の撮影内容と合致する部分は採用することができ(その他の部分は客観的裏付けを欠き直ちには採用することができない。),本件車両は,同日午後1時15分頃,上記ζの土地において土砂等を積み込み,同土地から搬出した上で,同日午後1時53分頃,当該土砂等を本件事業区域に搬入した事実が認められる。 なお,証人Z3は,運送車両が上記ζの土地から上記θの土地に立ち寄った上で土砂等を積み替え,本件事業区域に移動した場合,上記ζの土地から本件事業区域までの移動に約45分を要するとの原告ら代理人の指摘に対し,「逆ルート」も考えられるなどと述べ,上記θの土地から本件事業区域に移動し,その後に別の現場に移動することも 考えられる旨証言するが,上記ζの土地から本件事業区域に向かう経路について説明するものではなく,当該証言は上記認定を左右するものではない。 ウ前記イ(ウ)a,bのとおり,本件事業区域には,平成25年2月12日,平成26年4月12日,同年5月19日及び同年6月16日において,それぞれ堺市δ,同市ζ,東大阪市η及び同市λの土地から搬出された土砂等が搬入されたことがあったところ,これら土砂等は,他に特段の反証もない本件においては,搬出元の上記各土地において採取されたものと推認される。そして,証拠(甲51)及び弁論の全趣旨によれば,メイビは,上記各土地を土砂等の採取場所とする旨の許可を受けていなかったことが認められる。 しかし,メイビが,上記各土地から採取した土砂等を無許可で本件事業区域に搬入していたとしても,当該土砂等の量・種類等は明らかではないし,前記(2)のとおり,本件事業区域において土砂等の崩落等の災害が発生するおそ が,上記各土地から採取した土砂等を無許可で本件事業区域に搬入していたとしても,当該土砂等の量・種類等は明らかではないし,前記(2)のとおり,本件事業区域において土砂等の崩落等の災害が発生するおそれが生じているとはいえず,また,前記(3)のとおり,土壌環境基準に適合しない土砂等が埋め立てられたことを認めることはできないから,河内長野市長が本件条例23条2項に基づき特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令をすべき必要性があるとは直ちに認め難く,河内長野市長が当該命令をしないことが不合理であるとはいえない。 したがって,河内長野市長が,メイビに対し,本件事業について,本件条例23条2項に基づく特定事業に使用された土砂等の全部を撤去せよとの命令(本件撤去命令2)をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となるとは認められないから,原告Z2の前記第1の4の請求は理由がない。 7 結論以上のとおり,原告会社及び原告Z1の訴え並びに原告Z2原告Z2の訴え のうち土砂等を移動,撤去等する旨の指示及び指導の義務付けを求める部分は,不適法であるからこれらを却下し,原告のその余の請求は,いずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官西田隆裕 裁判官山崎雄大 裁判官吉川 慶

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る