平成11(ワ)584等 シマハラエンタープライズ損害賠償

裁判年月日・裁判所
平成13年2月28日 大阪地方裁判所 堺支部
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判決文本文17,404 文字)

主文 一被告らは、原告に対し、各自金四三七六万三六四〇円及びこれに対する平成八年七月一六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 二原告のその余の請求をいずれも棄却する。 三訴訟費用は九分し、その五を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。 四この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第一請求被告らは、原告に対し、各自金一億円及びこれに対する平成八年七月一六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要一本件は、知的障害者である原告が、勤務先の会社の工場において、クリーニング作業中機械に右腕を挟まれて右上肢完全切断等の傷害を負ったのは、同社の安全配慮義務違反行為及び不法行為によるものであるとともに、同社の工場の責任者である代表取締役の不法行為によるものでもあり、同人は併せて商法上の取締役の第三者責任も負うほか、本件機械の保守、修理、点検を共同で行っていた別の二会社も不法行為責任を負うとして、それぞれに対して、慰謝料等の損害賠償を請求した事案である。 二前提となる事実(証拠の摘示のない事実は、いずれも当事者間に争いがないか、明らかに争いがない。) 1 当事者(一) 原告は、平成七年四月一日、クリーニング業を営む被告シマハラエンタープライズ株式会社(以下「被告シマハラ」という)に工員として雇用され、大阪府和泉市所在の和泉工場(以下「本件工場」という)において、クリーニング作業に従事していた者である。 (二) 被告シマハラは、衣類のクリーニングを業とする会社であり、「ホワイト急便」の商標でクリーニング業の全国フランチャイズチェーンを展開する「日本さわやかグループ」のフランチャイジーであって、従前から知的障害者を多く雇用し、本件工場での作業に従事させ であり、「ホワイト急便」の商標でクリーニング業の全国フランチャイズチェーンを展開する「日本さわやかグループ」のフランチャイジーであって、従前から知的障害者を多く雇用し、本件工場での作業に従事させてきた(乙七)。 (三) 被告Aは、被告シマハラの代表取締役であり、本件工場の責任者である。 (四) 被告ビクター商事株式会社(以下「被告ビクター商事」という)は、クリーニング機械の販売・修理等を目的とする会社であり、被告有限会社ビクターエンジニアリング(以下「被告ビクターエンジニアリング」という、また、被告ビクター商事と被告ビクターエンジニアリングを合わせて「被告ビクター商事ら」という。)は、クリーニング機械の修理等を目的とする会社である。 後者は、前者と本店所在地を同じくし、前者の代表取締役及び取締役のみが後者の役員を務めている。 2 本件事故の経緯(一) 被告シマハラは、被告ビクター商事から、平成七年三月ころ、ベルギーのラポー社製のシーツロールプレス機械「アイロナー」(以下「本件機械」という)を購入し、本件工場においてクリーニング作業に使用していた。本件機械は、洗濯したシーツ、ユカタ等をロールプレスでしわ伸ばしをする機械であり、同機械の送込口(幅三メートル)の左右にそれぞれシーツの端を持った作業員二名が立ち、シーツを送込口に置くと、そのシーツがアクリル板の下を通って直径一・六メートルのロールに送り込まれ、同ロールでプレスされた後、裏側の仕上口から出てくる仕組みとなっている。(丁四、六、証拠保全の結果)(二) 平成八年六月二六日、本件機械が動かないため、被告シマハラは被告ビクター商事に対し、本件機械の修理を依頼した。被告ビクター商事から指示を受けた被告ビクターエンジニアリングの修理担当者であるBが本件機械を点検したところ、同機械が作動しない め、被告シマハラは被告ビクター商事に対し、本件機械の修理を依頼した。被告ビクター商事から指示を受けた被告ビクターエンジニアリングの修理担当者であるBが本件機械を点検したところ、同機械が作動しない原因は安全装置のセンサー不良であることが判明した。 本件機械には、送込口とロールの間にアクリル板が設置され、同板の両端に光センサーによる安全装置が取り付けられている。これは、送込口からアクリル板内に異物が入ろうとすると、同板が押されて動き、その動きを光センサーが感知して本件機械のロールを自動停止させる仕組みとなっている(以下「本件安全装置」という。)。 センサー不良とは、この光センサーの感知装置の不良であり、アクリル板が動いていない場合でも、センサーが誤感知して本件機械を自動停止する信号を送っていたことによるものであった。 センサーを適正に作動させるためには、センサーの基盤装置を新しい物に取り替える必要があったが、被告ビクターエンジニアリングの修理担当者Bはこれを行わず、本件機械の電気配線を短絡させて安全装置を無効にする処置(以下「短絡」という。)を講じた(証人B)。 (三) 被告シマハラは、短絡させた状態で本件機械を作動させていたが、平成八年七月一六日午前一〇時ころ、原告が、本件機械で他の工員と二人で病衣のプレス加工作業に従事していた最中、本件機械のロールに原告の右上肢が巻き込まれ、右上肢完全切断、左上肢熱傷等の傷害を負った(以下、この事故を「本件事故」という。)。 三 争点 1 被告シマハラの責任(雇用契約上の安全配慮義務違反等) 2 被告Aの責任(民法七〇九条、商法二六六条の三の責任) 3 被告ビクター商事及び同ビクターエンジニアリングの責任(民法七〇九条の責任) 4 原告の損害第三争点に関する当事者の主張一被告シマハラの責任 責任(民法七〇九条、商法二六六条の三の責任) 3 被告ビクター商事及び同ビクターエンジニアリングの責任(民法七〇九条の責任) 4 原告の損害第三争点に関する当事者の主張一被告シマハラの責任(原告)原告は知的障害者であるところ、このような知的障害者は危険の予知並びに危険発生時に対応する能力が健常者と比べて欠如しているのであるから、知的障害者を多く雇用していた被告シマハラとしては、従事させる機械につき、右能力の欠如から生ずる知的障害者の危険な行為を予測して不可抗力以外の労災事故が発生しないよう万全の危害防止措置をとるべき義務を有していた。 そして、本件においては、安全装置が有効に機能していれば、ロール部に手が巻き込まれる前に本件機械は停止し、本件事故を未然に防止できたのであるから、被告シマハラは、作業者の身体がロール部に接近したり巻き込まれたりすることを未然に防止すべき安全装置を本件機械に設置し、それが有効に機能するよう常時保守点検するとともに、右安全装置が機能しないときには本件機械での作業を停止すべき具体的な安全配慮義務を負っていたにもかかわらず、これを怠り安全装置を無効にしたまま原告ら知的障害者を稼働させたものであり、右義務違反は明白である。 同時に、被告シマハラは民法七〇九条及び通常備えるべき安全性を欠いた土地工作物である本件機械の占有者として同法七一七条の責任も負う。 (被告シマハラ)被告ビクター商事らは、本件機械の取扱い業者として、本件機械の危険性を熟知しており、安全装置を取り外して稼働させる場合、洗濯物の投入者等が巻き込まれる危険性を十分予見していたのであるから、代替の安全装置を取り付けて稼働させるべき義務があるにもかかわらず、これを怠り、簡単に取り付けられるリミットスイッチがあるにもかかわらずこれを取り付けず、 れる危険性を十分予見していたのであるから、代替の安全装置を取り付けて稼働させるべき義務があるにもかかわらず、これを怠り、簡単に取り付けられるリミットスイッチがあるにもかかわらずこれを取り付けず、センサーを作動させないように配線を短絡したまま本件機械の稼働を許容したため、本件事故が発生したのであって、本件事故の原因は、被告ビクター商事らにある。 被告シマハラは、本件機械には、本件安全装置の他に二重、三重の安全装置が作動すると信じていたのであり、被告シマハラには責任はない。 二被告Aの責任(原告)被告Aは、被告シマハラの代表取締役及び工場の責任者として、本件機械の安全装置が正常に機能するよう常時点検すべき注意義務を有していたにもかかわらず、自ら右安全装置のスイッチを切り、あるいはスイッチが切れていることを知りつつこれをそのまま放置した状態で、知的障害者である原告らを稼働させたことによる重大な過失によって本件事故が発生したのであり、民法七〇九条の責任を負う。 加えて、被告シマハラの取締役として、被告シマハラが原告に対して負うべき前記安全配慮義務を有するところ、その職務を行うについての重大な過失により原告に損害を招来させたものであるから、商法二六六条の三の責任も負う。 (被告A)被告シマハラは、他にも三か所のクリーニング工場を有し、各工場に責任者を置いており、被告A自身が各工場の機械について、自ら常時点検すべき義務を負うものではなく、必然的に取締役としての重過失もあるわけではない。 三被告ビクター商事らの責任(原告)被告ビクター商事らは、本件機械の保守、修理、点検につき、共同で行っていたものであり、平成八年六月二六日に修理をした際に、安全装置が有効に機能するようになるまで被告シマハラに対し本件機械の使用を停止させるか、本件安全 は、本件機械の保守、修理、点検につき、共同で行っていたものであり、平成八年六月二六日に修理をした際に、安全装置が有効に機能するようになるまで被告シマハラに対し本件機械の使用を停止させるか、本件安全装置に代替すべき安全装置を応急的に設置すべき注意義務を有していたにもかかわらず、右注意義務を怠り、被告シマハラに安全装置が無効となったままで本件機械の使用を許したため本件事故が発生したものであり、民法七〇九条の責任を負う。 (被告ビクター商事ら)① 被告ビクター商事らは、本件機械への投入作業は健常者が行うことを前提に、被告シマハラへ本件機械を納品し、同機械の修理を請け負ったが、被告シマハラは、原告を含めた障害者二人のみによる投入作業を行わせ、右の投入現場には監督者を置くこともしなかった。 本件は、このような被告ビクター商事らの予期しない態様によって発生した事故であるから、同被告らは民法七〇九条の責任を負わない。 ② 被告ビクターエンジニアリングの修理担当者Bは、被告シマハラに対し、取扱いに十分注意するように指示し、異常が発生した時又は本件機械のアクリル板内を点検等するような場合は、必ず緊急停止ボタンを押して同機械を停止させてから行うよう注意・説明し、このことを他の作業員にも周知し実行させることを約束させた上で、本件機械の安全装置を停止させる処置を講じた。 それにもかかわらず、被告シマハラは、原告を含めた障害者二名だけで投入作業を行わせ、そのために本件が発生した。 以上のとおり、被告ビクター商事らは、本件安全装置を外すに当たって、被告シマハラに対し、その取り扱いについての注意・説明を十分に履行しており、本件事故の責任は全て被告シマハラにある。 なお、リミットスイッチによる安全装置は、これが適正に働くか否かを毎日稼働前にチェックすることができ その取り扱いについての注意・説明を十分に履行しており、本件事故の責任は全て被告シマハラにある。 なお、リミットスイッチによる安全装置は、これが適正に働くか否かを毎日稼働前にチェックすることができず、安全装置としては不完全なものであるから、被告ビクター商事らには、このような不完全な安全装置であるリミットスイッチを必ず取り付ける義務はない。 四原告の損害(原告) 1 治療状況原告は、本件事故により、以下のとおり入通院し、後遺障害を残した。 (一) 入院(1) 平成八年七月一六日から同年一〇月二七日(2) 平成九年六月四日から同月二八日(3) 平成一〇年一月二六日から同年三月二六日なお、右入院期間中に計五回の手術が施行された。 (二) 通院入院期間を除き、本件事故から平成一一年一月一九日までの期間近大医学部付属病院実治療日数三二日咲花病院実治療日数一三二日(三) 後遺障害原告は、右上肢の肩関節以下を切断し(四級四号)、左上肢に顕著な熱傷瘢痕と大腿部に植皮術のための瘢痕を残しており(一二級一四号)、これは、労災保険法施行規則別表第一障害等等級表の併合三級相当の後遺障害にあたる。 2 原告の損害額(一) 入通院分合計金八二一万一六二〇円(1) 入通院慰謝料金四〇〇万円本件により、入院期間中、五度にも及ぶ重い手術を受けることを余儀なくされたことからして、右の額が相当である。 (2) 入通院中の休業損害金三一三万八〇〇〇円受傷後、平成一一年一月一九日まで二年六か月休業している。過去三か月間の平均月収である一〇万四六〇〇円を基にこの間の休業損害を算定すると右の額となる。 (3) 通院交通費金二五万五九二〇円(4) 付添看護費金五七万二〇〇〇円第一回目の入院の際、完全看護のため治療上の付添いは求めら 四六〇〇円を基にこの間の休業損害を算定すると右の額となる。 (3) 通院交通費金二五万五九二〇円(4) 付添看護費金五七万二〇〇〇円第一回目の入院の際、完全看護のため治療上の付添いは求められていなかったが、受傷が重篤であり、原告の精神状況からしても付添看護を父あるいは母においてすることが必要であった。 (5) 入院雑費金二四万五七〇〇円(二) 後遺障害分合計金一億三八三九万九〇〇〇円(1) 後遺障害慰謝料金二〇〇〇万円(2) 後遺障害による逸失利益金八八六九万九〇〇〇円原告は、本件後遺障害がなければ、女子労働者の平均的賃金を、後遺障害症状固定の二八歳から六七歳に至るまでの三九年間得ることが可能であった。なお、新ホフマン方式による中間利息控除の利率は、近年の金利水準を考慮すれば年三パーセントの割合が相当である。 三四七万〇八〇〇円×二五・五五六=八八六九万九〇〇〇円(3) 介護料金二九七〇万円原告は、中度の知的障害を有していた上に、本件事故で重い身体障害が加わっており、今後近親者の随時介護が必要な状態となっている。介護に要する費用は一日二五〇〇円が相当であり、原告は症状固定時二八歳であり、その平均余命は五六歳であり、右平均余命の期間右介護を要する。なお、中間利息控除は、近年の金利水準を考慮すれば年三パーセントの割合が相当である。 二五〇〇円×三六五(日)×三二・五四九=二九七〇万円(三) 弁護士費用金八〇〇万円(四) 損害合計額金一億五四六一万〇六二〇円(被告ら) 1 後遺障害による逸失利益の主張について原告の平均賃金が日額金三五三八円一五銭であるため、事故前の年収は、金一二九万一四二四円となるはずである。したがって、後遺障害等級を三級とした場合、金二七五一万八九五四円となる。なお、原告の場合、知的障 の平均賃金が日額金三五三八円一五銭であるため、事故前の年収は、金一二九万一四二四円となるはずである。したがって、後遺障害等級を三級とした場合、金二七五一万八九五四円となる。なお、原告の場合、知的障害を有しているので、最低賃金以下の右賃金で雇用されていたのであって、賃金センサスの平均賃金が得られる蓋然性はない。 一二九万一四二四円×二一・三〇九(年五分・三九年の新ホフマン係数)=二七五一万八九五四円 2 既払額等(一) 被告シマハラから原告に対して既に支払われたもの(1) 損害金内金金二〇〇万円(2) 入院保証金金五万円(3) 通院交通費金一〇万円(二)労働者災害補償保険法に基づき原告に対して支払われたもの(1) 休業補償金金二四四万六七七八円(2) 同法六四条一項による支払猶予額である前払一時金(平均賃金の一〇五〇日分)金五七九万七四四〇円(三) 原告が既に受け取った国民年金金一〇〇万五三〇〇円第四当裁判所の判断一認定した事実等前記前提となる事実及び証拠(甲一、乙一ないし三、七、八、一二の1ないし6、丁一、三の1、2、六、証人B、同C、同D)並びに弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実を認めることができる。 1 原告は、重度の第二種精神薄弱であり、いわゆる知的障害者であるところ、平成七年四月から、本件機械を使用してシーツや病衣等のしわ伸ばしをする作業に従事していた。 そして、その作業内容は、同様に知的障害者であるEと組になって、同機械の送込口からシーツ等を送り込むというものであった。 病衣のしわ伸ばし作業は、シーツに比べて作業内容が難しく、特に肩の辺りにしわが寄りやすいが、原告が作業した病衣にしわが寄ってしまうと、原告の指導者であるDから、叱られたり、手を叩かれたり、やり直しのため居残るように言われたりす に比べて作業内容が難しく、特に肩の辺りにしわが寄りやすいが、原告が作業した病衣にしわが寄ってしまうと、原告の指導者であるDから、叱られたり、手を叩かれたり、やり直しのため居残るように言われたりすることがあった。 2 本件機械は、被告シマハラが、平成七年三月ころ、被告ビクター商事から訴外西日本リース興発株式会社からのファイナンスリースにより購入したものであるが、右購入の際、本件機械には、知的障害者の使用を前提として、洗濯物を入れる際に作業者の手などが巻き込まれる危険を防ぐため、巻込防止ガードや非常停止ボタン等の安全装置を取り付ける改造が行われていた。 なお、被告ビクター商事らの代表者Fは、被告シマハラが加盟する「日本さわやかグループ」の顧問の地位にあり、被告ビクター商事の西日本支店(熊本市)は、同グループの中心的企業である中園化学株式会社の分室内にあることが認められ、被告ビクター商事は、同グループのグループ内企業ともいえる存在であるといい得るところ、同グループのフランチャイジーは皆、本部から被告ビクター商事が取り扱う本件機械のようなアイロンプレス機を購入するように指示されていた(乙七、八)。 また、同グループの本部は、フランチャイジーに対し、障害者を積極的に雇用するよう指示していた。 3 平成八年六月二六日、本件機械が作動しないため、本件工場の副工場長であるCが被告ビクター商事に連絡を取り、本件機械の修理を依頼した。 4 被告ビクター商事から指示を受けた下請会社被告ビクターエンジニアリングの修理担当者Bが、同日午後零時三〇分ころ、同工場に赴き、本件機械を点検したところ、同機械が稼働しない原因は安全装置のセンサーを制御している基盤が故障していることにあることが判明した。 そこで、Bが、Cに対し、機械の故障原因について説明したところ、Cは 本件機械を点検したところ、同機械が稼働しない原因は安全装置のセンサーを制御している基盤が故障していることにあることが判明した。 そこで、Bが、Cに対し、機械の故障原因について説明したところ、Cは、しわ伸ばしをするシーツが溜まっているので機械を動かしたいから、何か動かす方法はないかとBに尋ねたので、Bは、センサーを無効にすることによって動かすことは可能であると答えた。 Cがセンサーを無効にして機械を作動できるようにして欲しいと依頼したため、Bは、センサーを短絡させ、安全装置を停止させる処置を講じることにより、同日午後二時過ぎころには、本件機械を稼働できるようにした。 5 右処置により本件機械が動くようになったため、取り敢えず溜まった仕事を処理したいとのCの希望により、約五時間、本件機械を使用してプレス作業が行われたが、その間、Bは、本件機械の横で待機していた。 6 作業終了後である同日午後七時三〇分ころから、Bは再度本件機械を調査し、故障個所はセンサー部分だけであるとの結論に至った。 Bは、その旨をC及びDに伝えるとともに、安全装置が作動しないこと、新しい安全装置の基盤を取り寄せるのに三週間程度かかることを伝えたところ、C及びDは、三週間も機械が止まると非常に困るのでこのままの状態で動かすにようして欲しいと述べた。 なお、証人Dは、証人尋問において、この日(平成八年六月二六日)、Bと会ったことはなく、本件機械が故障により作動しなかったことを知らなかった旨供述するが、証人Dの証言によっても、同人は本件機械を用いた作業の指導・監督を担当していたというのであり、原告本人も尋問において、本件機械の故障をDが見に来ていた旨供述しているとのことであって、故障当日の状況等について具体的かつ詳細に述べるB証言に明らかに反する右Dの証言は信用するこ たというのであり、原告本人も尋問において、本件機械の故障をDが見に来ていた旨供述しているとのことであって、故障当日の状況等について具体的かつ詳細に述べるB証言に明らかに反する右Dの証言は信用することができない。 また、被告シマハラは、Bに対して、短絡によって安全装置を停止する措置を採るように依頼したことはない旨主張し、証人Cはこれに沿う供述をする。 しかしながら、証人Cは、Bから安全装置の基盤が故障原因であること及び右基盤を外国から取り寄せるには時間がかかることの説明を受けた旨証言していることのほか、本件事故後における労働基準監督署の調査に際して「何でもいいからとりあえず動かすようにしてくれ」と述べたと自認していること、本件事故の翌日からは本件機械の検査を受けた上で、作業を再開していることをも合わせ考慮すると、右Cの供述は、その責任回避に終始する無責任な供述態度とも相俟って、到底信用することができず、右被告シマハラの主張は採用することができない。 7 Bは、Cらに対し、シーツ等が挟まった際には安全装置が作動しないことから、その停止方法として、非常停止ボタンを押す方法、機械の停止ボタンを押す方法、機械の回転を止める方法があることを説明した(証人B、同C)。 証人Cは、右説明を受けていない旨供述するが、同証人は、安全装置の基盤が故障原因であること及び右基盤を取り寄せるには時間がかかることの説明をBより受けた旨供述しているところ、かかるCとBのやり取りに照らすと、Bより安全装置が作動しない旨の説明がなされるのが合理的であること、証人Cは、労働基準監督署員に対して、説明を受けた旨述べたと供述していること、通常、本件機械の始動に際しては、電源を入れると共にアクリル板を後部に押した上(安全装置の実行)、その後垂直位置に戻す(安全装置の解除)作業が 督署員に対して、説明を受けた旨述べたと供述していること、通常、本件機械の始動に際しては、電源を入れると共にアクリル板を後部に押した上(安全装置の実行)、その後垂直位置に戻す(安全装置の解除)作業が必要であるところ、本件機械を使用して安全装置の停止措置後も、作業は続けられていたのであるから、安全装置が働いていないことを容易に推知しうる状態にあったこと等に照らすと、Cの右供述は信用することができない。 8 被告シマハラは、以後、原告ら作業員に対し、安全装置を停止させている旨を説明することもなく、本件機械を作動させ、作業に従事させており、原告は、CやDからも本件機械の安全装置が故障していることを知らされていなかった。 9 平成八年七月一六日午前一〇時ころ、本件機械を使用してEと病衣のプレス加工作業に従事していた原告が、肩の所にできたしわを伸ばそうとしたところ、本件機械のロールに右上肢が巻き込まれてもぎ取られ、救急車で病院に搬送された(甲一一、原告本人)。 二被告シマハラの責任被告シマハラは、その従業員である原告に対し、労働契約に付随する信義則上の義務として安全配慮義務を負っている。労働安全規則によれば、事業者はプレス機械については安全囲いを設ける等労働者の身体の一部が危険限界に入らないような措置を講じるか、安全装置を取り付ける等必要な措置を講じることが義務づけられている(同規則一三一条参照)。 シーツや病衣をプレスするための加工機械である本件機械に作業者がその身体の一部を巻き込まれた場合には、その被害が甚大なものとなることは容易に想像しうるところ、かかる本件機械の危険性に鑑みれば、被告シマハラは、安全配慮義務の内容として、作業者の身体がロール部に接近したり、巻き込まれたりすることのないように、本件機械に安全装置を設置し、それが有効に機能 ろ、かかる本件機械の危険性に鑑みれば、被告シマハラは、安全配慮義務の内容として、作業者の身体がロール部に接近したり、巻き込まれたりすることのないように、本件機械に安全装置を設置し、それが有効に機能するよう常時保守点検するとともに、右安全装置が機能しない場合には本件機械での作業を停止すべき義務を負担していたことはいうまでもない。 本件では、被告シマハラにおいて、原告を直接指導監督し、指揮命令する立場にあるCやDが、安全装置が作動しない状態であることを認識しつつ、原告をプレス加工作業に従事させ、本件事故に至ったことに加え、原告において、安全装置が故障しており、短絡されている状態であることを知らされていなかったもので、被告シマハラが安全配慮義務に違反していた。 なお、被告シマハラは、被告ビクター商事らが、容易に取り付けられるリミットスイッチを含め、代替の安全装置を取り付けることを怠り、センサーを稼働させないように配線を短絡した状態で本件機械の稼働を許容したため、本件事故が発生したのであるから、本件事故の原因は、被告ビクターらにあるのであり、被告シマハラは、センサーの他に二重、三重の安全装置が作動すると信じていたのであるから、予見可能性を欠く旨主張する。 しかしながら、前記認定のとおり、本件機械の修理を担当したBが、被告シマハラの副工場長であるC及び取締役Dに対し、安全装置の基盤が故障原因であり、右基盤を取り寄せるまで約三週間を要する旨告げたところ、作業が滞ることを懸念したCらから、安全装置が作動しない状態(短絡した状態)で機械が作動するようにしておいて欲しいと言われたこと、BがCらに対し、シーツが機械にひかかっても機械が作動し続けるので、これを停止させるには非常停止ボタンないし機械の停止ボタンを押すか、機械の回転を止めなければならない旨 ておいて欲しいと言われたこと、BがCらに対し、シーツが機械にひかかっても機械が作動し続けるので、これを停止させるには非常停止ボタンないし機械の停止ボタンを押すか、機械の回転を止めなければならない旨説明したことが認められ、被告シマハラの右主張は採用できない。 三被告Aの責任前提となる事実及び弁論の全趣旨によれば、被告シマハラは資本金一〇〇〇万円、従業員約八〇名程度の規模の個人企業が法人成りした同族会社であり、被告Aは、被告シマハラの代表取締役として、従業員の雇用、労働条件、作業環境の確保、その他会社業務全般を統括管理していたことが認められるところ、かかる被告会社の規模、被告Aの地位等に鑑みれば、被告Aは、その職責上、被告シマハラにおいて安全配慮義務に適合するような作業環境を維持し、本件工場においては、妻であり取締役であるDと共同して本件機械の安全装置が正常に機能するような状態で稼働させるようにすべき注意義務を負い、また、副工場長であるCに対しても、そのように指導・監督すべき義務を負っていたというべきである。 とりわけ、自らの選択で日本さわやかグループのチェーン店に加盟し、その障害者積極雇用方針に賛同して原告らを雇用し、右雇用及び本件機械の購入に際しては、被告シマハラにおいて税法上の優遇措置を享受し、また、障害者助成金の給付も受ける(丁三の2、弁論の全趣旨)に至っていたのであるから、これらの経営判断を自ら主体的に行ったはずの被告Aとしては、原告ら障害者の作業上の安全に対しては、なお一層の深い配慮をすべき自覚が必要であったというべきである。 そして、被告Aは、Cや妻Dを通じて本件機械の故障や本件安全装置を外したことを認識していたと推認できる。 しかるに、被告シマハラ及び直接の責任者であるCやDは、右安全配慮義務に違反し、故障して安 そして、被告Aは、Cや妻Dを通じて本件機械の故障や本件安全装置を外したことを認識していたと推認できる。 しかるに、被告シマハラ及び直接の責任者であるCやDは、右安全配慮義務に違反し、故障して安全装置を外した本件機械を原告らに知らせないまま漫然と二〇日間も稼動させたのであり、被告AがDと共同で負うべき右注意義務を怠り、Cに対する指導、監督をも怠っていたことは明らかである。 そして、被告シマハラに対する前記説示をも総合すると、被告Aの右義務懈怠も相俟って、本件事故が発生したというべきであるから、被告Aは、民法七〇九条に基づき、原告に生じた損害を賠償すべき責任がある。 四被告ビクター商事及び被告ビクターエンジニアリングの責任前提となる事実及び前記認定事実によれば、被告ビクターエンジニアリングは被告ビクター商事の修理部門の下請会社であり、資本的にも人的にも両会社は一体というべきところ、被告ビクター商事が被告シマハラから本件機械を修理して欲しい旨の依頼を受け、被告ビクター商事からの指示により本件機械の修理に赴いた被告ビクターエンジニアリングの従業員であるBが、本件機械の故障原因を解明し、Cらにそれを説明したところ、Cから本件機械を動かすように懇願され、センサーを短絡させ、安全装置を停止させる措置をとったこと、その後、Bは約五時間にわたり、作動している本件機械の横で待機しており、障害者らが本件機械での投入作業を行っていたことを十分認識していたこと、Bは、C及びDに新しい安全装置の基盤を取り寄せるのに三週間程度かかることを伝えたところ、Cらからこのままの状態で動かすようにして欲しいと頼まれたことから、本件機械をそのままの状態とすることにし、シーツが挟まった際の停止方法として、①非常停止ボタンを押す方法、②機械の停止ボタンを押す方法、③機械の まの状態で動かすようにして欲しいと頼まれたことから、本件機械をそのままの状態とすることにし、シーツが挟まった際の停止方法として、①非常停止ボタンを押す方法、②機械の停止ボタンを押す方法、③機械の回転を止める方法があることを説明したことが認められ、また、その後、本件事故が発生するまでの約二〇日間、安全装置を外された本件機械の安全性を改めて確保する方策が被告ビクター商事らによって何らもなされていないことは明らかである。 ところで、本件機械が故障等をすることにより作業者の生命・身体に対して危険を生ぜしめるプレス加工用機械であることに鑑みれば、かかる機械の保守、修理等を担当する被告ビクター商事らは、最低限度の要請として、本件機械を作業者の生命・身体の安全を確保できるような状態に維持しておくべき共同の注意義務を有していたというべきであり(なお、労働安全衛生規則一三一条参照)、また、その下請も含めた従業員らに対しても、本件機械の人体への危険性を周知させ、安全確保への徹底した指導・監督を行うべき共同の注意義務があったというべきであって、これらの注意義務は、現実に機械を扱うのが納入先の従業員である以上、これら作業員に対する関係でも当然に負担すべき性質のものである。 とりわけ、前記一の2で認定したように、本件機械納入時の改造の事実や被告ビクター商事及びその代表者の日本さわやかグループ内における地位等に鑑みれば、本件機械を障害者らが取り扱う可能性が高いことは、会社として当然認識しており、少なくとも認識し得べきであったというべきであり、なお一層重い安全に対する注意義務を負担していたというべきである。 しかるに、本件では、前記のとおり、被告ビクター商事が被告シマハラから受けた本件機械の補修を被告ビクターエンジニアリングが実施しているが、その際、被告ビ る注意義務を負担していたというべきである。 しかるに、本件では、前記のとおり、被告ビクター商事が被告シマハラから受けた本件機械の補修を被告ビクターエンジニアリングが実施しているが、その際、被告ビクターエンジニアリングの従業員において、リミットスイッチを設置することにより容易に一時的な安全装置を確保することが可能であるにもかかわらず、これを設置しないままセンサーを短絡して安全装置を無効にする措置をとった結果、本件機械の安全装置は無効化され、仮に、作業者の身体が本件機械に挟み込まれた場合には、その生命・身体に危険を及ぼしかねない状況を惹起したと認められ、そのような修理担当者の危険な行為を禁止すべき措置を会社として何ら講じておらず(Bは、本件安全装置は人体のためではなく、衣類や機械自体の安全のための装置であると誤解しており、会社から機械の人体への安全性確保について何らかの指導・監督も受けていないことがうかがわれる。)、その後も早急に右危険な状況を除去すべき何らの対応も取っていないのであるから、被告ビクター商事らについても前記注意義務違反を認めることができる。 なお、被告ビクター商事らは、本件機械への投入作業は健常者が行うことを前提に、被告シマハラへ本件機械を納品し、同機械の修理を請け負ったのであり、障害者に投入作業を行わせていることを認識していなかった旨主張するが、それ自体が疑わしいことは前記のとおりであるし、仮にそうであったとしても、本件機械の安全装置を外してこれを二〇日間も放置しておくことは、作業員が健常者であろうと障害者であろうと、それにかかわりなく十分に危険なことというべきであるから、右主張をもって、免責の理由とはならない。 また、被告ビクター商事らは、Bが、Cらに対し、本件安全装置を短絡させて無効にした場合の取り扱いにつき、 かかわりなく十分に危険なことというべきであるから、右主張をもって、免責の理由とはならない。 また、被告ビクター商事らは、Bが、Cらに対し、本件安全装置を短絡させて無効にした場合の取り扱いにつき、十分に注意・説明し、他の作業員にも周知し実行させることを約束させた上で、本件機械の安全装置を停止させる処置を講じているから、本件の責任は全て被告シマハラにある旨主張するが、Bが注意を促した内容は、シーツや病衣等が挟まった場合の対処方法であり、直接的に人体が挟まれる危険性がある旨注意を促している事実は認められないのであって、被告シマハラらとの関係でのその責任の程度に関する主張としてはともかく、原告に対する関係でその責任は免れず、右主張も理由がない。 五原告の損害 1 治療状況及び後遺障害等証拠(甲三ないし一〇、乙四ないし六、一二、丁三、六、証人G)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実を認めることができる。 (一) 原告は、本件により、平成八年七月一六日から同年一〇月二七日(一〇四日間)、平成九年六月四日から同月二八日(二五日間)及び平成一〇年一月二六日から同年二月一一日(一七日間)の間、近畿大学医学部付属病院に入院した。なお、右入院期間中は完全看護であったが、第一回目の入院期間中、原告の父あるいは母が原告に付添看護をした。 (二) 原告は、入院期間を除き、本件事故日から平成一一年一月一九日までの間、近畿大学医学部附属病院及び咲花病院に通院し、治療を受けた。その実治療日数は、それぞれ、三五日、一三二日である。 (三) 原告及びその両親らが通院のため支払った交通費は、金二三万七九二〇円になる。 なお、平成八年一一月一六日の交通費については、一二月一四日との均衡から、二一〇〇円であると認めるのが相当である。 (四) 原告は、右上肢の肩関節以下を 払った交通費は、金二三万七九二〇円になる。 なお、平成八年一一月一六日の交通費については、一二月一四日との均衡から、二一〇〇円であると認めるのが相当である。 (四) 原告は、右上肢の肩関節以下を切断し(四級四号)、左上肢に顕著な熱傷瘢痕と大腿部に植皮術のための瘢痕を残しており(一二級一四号)、これは、労災保険法施行規則別表第一障害等等級表の併合三級相当の後遺障害に該当する。 (五) 原告は、受傷後、平成一一年一月一九日まで二年六か月休業しており、また、原告の過去三か月間の平均月収は一〇万四六〇〇円、給付基礎日額は三五三八円一五銭である。 (六) 本件事故に関し、被告シマハラから原告に対して、損害金内金二〇〇万円及び通院交通費金一〇万円が、既に支払われている。また、労働者災害補償保険法に基づき、原告には、休業補償金二四四万六七七八円、同法六四条一項による支払猶予額である前払一時金(平均賃金の一〇五〇日分)六五八万八七五〇円(ただし、厚生年金調整後の金額は五七九万七四四〇円)が支払われることになる。 また、原告は、平成一一年度分及び平成一二年度分につき、国民年金から金一〇〇万五三〇〇円を受領している。 2 原告の損害額(一) 入通院分(1) 慰謝料四〇〇万円原告が被った傷害の程度、治療経過に鑑みると、入通院慰謝料は四〇○万円が相当である。 (2) 休業損害三一三万八〇〇〇円原告は、本件により受傷した後、平成一一年一月一九日までの約二年六か月間、休業しており、原告の本件から過去三か月間の平均月収は一〇万四六〇〇円(百円未満切捨て)であるから、左記の計算式のとおりとなる。 一〇万四六〇〇円×三〇か月=三一三万八〇〇〇円(3) 通院交通費二三万七九二〇円(4) 付添看護費五七万二〇〇〇円原告の傷害の程度、知的障害者である るから、左記の計算式のとおりとなる。 一〇万四六〇〇円×三〇か月=三一三万八〇〇〇円(3) 通院交通費二三万七九二〇円(4) 付添看護費五七万二〇〇〇円原告の傷害の程度、知的障害者であること等を考慮すると、第一回入院時には付添が必要であったと認める。その付添看護費は一日五五〇〇円が相当であるから、一〇四日で五七万二〇〇〇円となる。 (5) 入院雑費一八万九八〇〇円原告の入院期間は合計一四六日であり、この間、一日一三〇〇円の入院雑費を要することは顕著である。 (6) (1)ないし(5)合計八一三万七七二〇円(二) 後遺障害分(1) 慰謝料二〇〇〇万円原告は、本件事故により、前記のとおり、右上肢切断等の後遺障害を負っており、後遺障害の程度、原告が負った精神的苦痛に鑑みると後遺障害慰謝料としては二〇〇〇万円が相当である。 (2) 逸失利益二一三五万九七三八円原告の事故前三か月の平均賃金が一〇万四六〇〇円であるから、原告の事故前の年収は一二五万五二〇〇円となるところ、労働能力喪失率一〇〇パーセントであるので、原告の満六七歳までの稼働可能年数三九年間の逸失利益を年五分の割合による中間利息の控除についてライプニッツ法により算定すると、原告の逸失利益は、以下のとおりとなる。 なお、中間利息の控除については、期間が三九年と長期にわたることから、法定利率五分によることが相当である。 一二五万五二〇〇円×一七・〇一七=二一三五万九七三八円(3) 介護料原告は、今後近親者の随時介護が必要な状態となっている旨主張して介護料も損害として主張しており、証人Gの証言もこれに沿うものであるが、他方、証拠(原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、まくらや弁当箱の作成作業に従事しており、また、自らの努力や訓練により、日常生活において て主張しており、証人Gの証言もこれに沿うものであるが、他方、証拠(原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、まくらや弁当箱の作成作業に従事しており、また、自らの努力や訓練により、日常生活において自分で身の廻りのことを行う能力が相当程度身についていることが認められ、したがって、未だ、常時介護を要するとまでは認めることはできず、この点に関する原告の主張は認めることができない。 (4) (1)及び(2)合計四一三五万九七三八円(三) 弁護士費用五〇〇万円事案の内容、審理経過、認容額等を総合して考慮すると、弁護士費用としては五〇〇万円が相当である。 (四) (一)ないし(三)合計五四四九万七四五八円 3 労災前払い一時金の履行猶予労災前払一時金五七九万七四四〇円については、労働者災害補償保険法六四条一項により、損害賠償の履行を猶予するのが相当である。 4 損益相殺(一) 損害金内金二〇〇万円(二) 入院保証金五万円(三) 通院交通費について被告らは通院交通費として一〇万円を原告に交付した旨主張するが、証人Gの証言によれば、原告は、一〇万円の交通費を受領したことを前提に、その後に要した交通費を損害として計上しているのであるから、被告らの主張を前提としても、右一〇万円については損益相殺の対象とはならない。 (四) 労災休業補償金二四四万六七七八円(五) 国民年金差額分四三万九六〇〇円原告は、従前より、国民年金から知的障害により障害等級二級の決定を受け、七八万五五〇〇円の年金を受給していたところ、平成一一年四月一日からは障害等級一級の決定を受けたことにより一〇〇万五三〇〇円の年金を受給するようになったので、その差額分のうち受領済みである二一万九八〇〇円の二年分(平成一一年度及び平成一二年度)につき、損益相殺の対象とな 級一級の決定を受けたことにより一〇〇万五三〇〇円の年金を受給するようになったので、その差額分のうち受領済みである二一万九八〇〇円の二年分(平成一一年度及び平成一二年度)につき、損益相殺の対象となる。 (六) (一)ないし(六)合計四九三万六三七八円 5 差引認容額四三七六万三六四〇円第五以上の次第で、原告の請求は、被告ら各自に対し(被告らの不真正連帯債務となる。)、金四三七六万三六四〇円及び本件事故発生の日である平成八年七月一六日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるから、右の範囲においてこれを認容し、その余は理由がないから棄却することとする。 大阪地方裁判所堺支部第一民事部裁判官上杉英司裁判官品川英基裁判長裁判官林醇は転補により署名押印することができない。 裁判官上杉英司

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