平成5(ワ)24103等 日本貨物鉄道労働時間

裁判年月日・裁判所
平成10年6月12日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-18882.txt

判決文本文30,783 文字)

主文 一被告は、原告に対し、金三九五万四八八六円並びに別紙未払賃金一覧表の「認容額」欄記載の各金員に対する、それぞれ対応する「年月」欄記載の各月の翌月二六日から各支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。 二原告のその余の請求を棄却する。 三訴訟費用は、これを五分し、その三を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第一請求(平成五年(ワ)第二四一〇三号賃金請求事件)一被告は、原告に対し、金七九〇万九七七二円並びにそのうち別紙未払賃金一覧表(住友電設関係)(一)から(三)までの「H」欄及び「K」欄各記載の各金員並びに「L」欄記載の平成三年一〇月、同年一二月、平成四年一月に対応する各金員及び平成四年五月に対応する金二一一二円の内金四二三円に対する、それぞれ対応する「年月」欄記載の各月の翌月二六日から各支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。 (平成六年(ワ)第一一五三九号賃金等請求事件)二被告は、原告に対し、金一九七万三四四六円並びにそのうち別紙未払賃金一覧表(エフプラザ東京関係)の「N」欄記載の各金員並びに「T」欄記載の平成四年九月から平成五年二月までに対応する各金員及び平成五年三月に対応する金一万五一二四円の内金三〇一二円に対する、それぞれ対応する「年月」欄記載の各月の翌月二六日から各支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要本件は、被告の従業員であった原告が、出向先会社で夜勤を伴う警備業務に従事したが、警備室における仮眠時間その他の休憩時間は出向先会社の指揮命令下に置かれた労働時間にほかならなかったとして、その分に相当する超過勤務手当、夜勤手当等の支払を請求する事案である。 一争いのない事実等 1 原被告間の雇用契約被告は、昭和六二年四月一日に設立され 置かれた労働時間にほかならなかったとして、その分に相当する超過勤務手当、夜勤手当等の支払を請求する事案である。 一争いのない事実等 1 原被告間の雇用契約被告は、昭和六二年四月一日に設立された貨物鉄道事業等を業とする株式会社である。原告は、元日本国有鉄道の職員であったが、昭和六二年四月一日被告の従業員として採用された。 2 原告の出向原告は、平成三年四月一日から平成五年三月三一日まで、被告の関連会社であるジェイアールエフ・パトロールズ株式会社へ出向した。 3 出向先会社における原告の業務の内容出向先会社における原告の職種は警務職(いわゆる警備員)であり、平成三年四月四日から平成四年八月三一日までの間住友電設株式会社の東京本社ビル(以下「住友電設ビル」という。)へ、同年九月一日から平成五年三月三一日までの間主として被告の東京貨物ターミナル駅の敷地内に存するエフプラザ東京(以下「エフプラザ東京」という。)へ、それぞれ派遣され(平成四年九月から同年一二月までの間も別紙未払賃金一覧表のとおりの回数、住友電設ビルに派遣された。)、出入り・受付管理、防火管理、防犯管理、保安管理、巡回等の警備業務に従事した。 4 就業規則の適用原告の右警務職としての労働条件は、労働時間、休憩時間、休日、休暇等は出向先会社であるジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の就業規則が適用されるが、賃金その他の労働条件については被告の就業規則によることとされた。 5 原告の勤務形態(一) 原告は、平成三年四月四日から平成四年五月三一日までの間、ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社(出向先会社)の就業規則(平成元年六月二六日施行、乙第一号証)が警務職について次のとおり定める「隔日交代Ⅱ型」及び「夜勤一六型」の勤務形態により、住友電設ビルにおいて警備業務に従事した ルズ株式会社(出向先会社)の就業規則(平成元年六月二六日施行、乙第一号証)が警務職について次のとおり定める「隔日交代Ⅱ型」及び「夜勤一六型」の勤務形態により、住友電設ビルにおいて警備業務に従事した。社休日については「隔日交代Ⅱ型」で、平日については「夜勤一六型」で勤務した。 (1) 隔日交代Ⅱ型始業時刻終業時刻労働時間休想時間拘束時間一〇時一〇時一六時間八時間二四時間(2) 夜勤一六型始業時刻終業時刻労働時間休憩時間拘束時間一七時九時一一時間一七分四時間四三分一六時間(二) 原告は、平成四年六月一日から同年八月三一日までの間、ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社(出向先会社)の就業規則(平成四年六月一日施行、乙第二号証)が警務職について次のとおり定める「隔日交替」及び「夜勤一六型」の勤務形態により、住友電設ビルにおいて警備業務に従事した。社休日については「隔日交替」で、平日については「夜勤一六型」で勤務した。 原告は、同年九月一日以降は(三)で述べるとおりエフプラザ東京において警備業務に従事したが、同年九月一日から同年一二月三一日までの間は、別紙未払賃金一覧表のとおりの回数、住友電設ビルにおいても、右同様の勤務形態により警備業務に従事した。 (1) 隔日交替始業時刻終業時刻労働時間休憩時間拘束時間一〇時一〇時一六時間八時間二四時間(2) 夜勤一六型始業時刻終業時刻労働時間休憩時間拘束時間一七時九時一一時間五時間一六時間(三) 原告は、平成四年九月一日から平成五年三月三一日までの間、エフプラザ東京において警備業務に従事したが、その間に労働条件を定めるジェイアールエフ・ 一一時間五時間一六時間(三) 原告は、平成四年九月一日から平成五年三月三一日までの間、エフプラザ東京において警備業務に従事したが、その間に労働条件を定めるジェイアールエフ・パロトールズ株式会社(出向先会社)の就業規則が変更され、平成四年九月一日から平成五年一月三一日までの間は、平成四年六月一日施行の就業規則(乙第二号証)が警務職について次のとおり定める「日勤」、「隔日交替」及び「夜勤一五型」の勤務形態により、また、平成五年二月一日から同年三月三一日までの間は、平成五年二月一日施行の就業規則(乙第一五号証)が警務職について次のとおり定める「隔日交替」及び「夜勤一五型」の勤務形態により、それぞれ警備業務に従事した(この勤務形態の点については就業規則上の変更はない。)。 (1) 日勤始業時刻終業時刻労働時間休憩時間拘束時間九時一八時八時間一時間九時間(2) 隔日交替始業時刻終業時刻労働時間休憩時間拘束時間一〇時一〇時一六時間八時間二四時間(3) 夜勤一五型始業時刻終業時刻労働時間休憩時間拘束時間一七時八時一〇時間二一分四時間三九分一五時間 6 原告の業務の遂行(一) 原告は、別紙未払賃金一覧表「月別勤務回数」欄のとおり、同欄に対応する「年月」欄記載の各月につき「月別勤務回数」欄記載の各勤務形態で、住友電設ビル及びエフプラザ東京において5(一)ないし(三)の勤務形態で勤務に従事した。 (二) 原告が右のとおり各勤務形態で勤務した際に休憩時間として過ごした時間(以下「本件各休憩時間」という。)は、別紙未払賃金一覧表の休憩時間に関する欄記載のとおりである。 7 就業規則の規定内容関係する就業規則の おり各勤務形態で勤務した際に休憩時間として過ごした時間(以下「本件各休憩時間」という。)は、別紙未払賃金一覧表の休憩時間に関する欄記載のとおりである。 7 就業規則の規定内容関係する就業規則の規定内容は次のとおりである(できる限り原文の表現を尊重したが、縦書きの文章に直す等の事情から、内容を損なわない限度で表現を改めた箇所もある。)。 (一) 被告の出向規程(甲第四号証)第一章総則(目的)一条この規定は、就業規則二八条に基づき、社員に出向を命ずるときの取扱いを定めたものである。 (出向の意義)「出向」とは、社員としての地位を保有したまま、会社の命により関連会社又は団体等(以下「出向先」という。)に勤務することをいう。 (就労条件)八条一項出向社員の労働時間、休憩時間、休日、休暇等は出向先の定めによる。 第二章賃金(賃金の支給)一一条出向社員に対する賃金の支給は、出向先基準又は会社基準に区分して行う。 (会社基準)一三条出向社員に対し、会社の基準で賃金を支給する場合は、次の各号に定めるところにより取り扱う。 (1) 基本給は、賃金規程により支給する。 (9) 特殊勤務手当は、出向先において、賃金規程の特殊勤務手当支給対象と同様と認められる作業に従事する場合に、賃金規程を準用して支給する。 (12) 割増賃金は、賃金規程により支給する。ただし、割増賃金の単価等の計算は、出向先の就業規則等の定める労働時間により行うものとし、次により取り扱う。 ア出向先の就業規則等における会社の公休日、特別休日、調整休日及び非番に相当する日は、公休日、特別休日、調整休日及び非番と同様に取り扱う。 イ一時間当たり賃金額は、次の算式により計算するものとする。この場合、計算額に一銭未満の端数が生じたときは、その端数は一銭に切り上げるも る日は、公休日、特別休日、調整休日及び非番と同様に取り扱う。 イ一時間当たり賃金額は、次の算式により計算するものとする。この場合、計算額に一銭未満の端数が生じたときは、その端数は一銭に切り上げるものとする。 基本給、都市手当又は地域手当、職務手当、技能手当、初任給調整手当及び出向特別手当を合算し、これを一二倍して得られる金額を、各勤務種別ごとに定める一日平均労働時間に二六一を乗じて得られる時間数で除して得られる金額をもって一時間当たり賃金額を算出する。 ウ一日平均労働時間は、出向先の就業規則等に定める年間所定労働時間数を年間所定労働日数で除した時間数とする。この場合、年間所定労働時間数は、出向先の就業規則等に定める年間の所定労働日における所定労働時間数の総和とする。ただし、その月を二種以上の異なった勤務種別によって勤務する場合の一日平均労働時間数は、次の算式によって計算した時間数とする。この場合「実働日数」は、実際に勤務した日数とし、出向先の就業規則等に定める会社における調整休日及び非番に相当する日を含むものとする。 「Aの勤務種別による一日平均労働時間数」に「Aの勤務種別によって勤務した実働日数」を乗じて得られる時間数に、「Bの勤務種別による一日平均労働時間数」に「Bの勤務種別によって勤務した実働日数」を乗じて得られる時間数を加算し、これを「その月の実働日数」で除して得られる時間数をもって一日平均労働時間を算出する。 オ前ウにより得られる一日平均労働時間数に一分未満の端数がある場合は、その端数は切り捨てるものとする。 カ超過勤務手当、夜勤手当及び祝日等勤務手当を計算する場合において、出向先の就業規則等に定める年間所定労働時間数が一九九二時間を超えるときは、一九九二時間として計算する。 (その他の取扱い)一四条会社の基準で 夜勤手当及び祝日等勤務手当を計算する場合において、出向先の就業規則等に定める年間所定労働時間数が一九九二時間を超えるときは、一九九二時間として計算する。 (その他の取扱い)一四条会社の基準で賃金を支給する出向社員については、前条の定めによるほか、賃金規程による。(以下略)(二)ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の就業規則(平成元年六月二六日施行、平成四年五月三一日まで適用。乙第一号証、証人aの証言(平成九年三月一八日付け証人調書三一項から三四項まで))第四章労働条件(労働時間、休憩時間及び始業、終業時刻)一八条一項勤務種別別の労働時間、休憩時間及び始業、終業時刻は、次のとおりとする。 警務職隔日交代Ⅱ型(労働時間)一週平均労働時間四八時間一勤務労働時間一六時間休憩時間八時間拘束時間二四時間(始終業時刻)始業時刻一〇時終業時刻一〇時夜勤一六型(労働時間)一週平均労働時間四八時間一勤務労働時間一一時間一七分休憩時間四時間四三分拘束時間一六時間(始終業時刻)始業時刻一七時終業時刻九時(休日)一九条一項休日は、次のとおりとする。 (1) 労働基準法第三五条に基づく休日(以下「公休日」という。)は、特定の四週間に四日となるように付与する。 (2) 国民の祝日に関する法律(昭和二三年法律第一七八号)第二条及び第三条第三項に規定する日(以下「国民の祝日」という。)は、有給の休日とする。 (3) 年末年始の休日は、一二月三一日より翌年の一月三日(一月一日は除く。)は、有給の休日とする。 (以下略)(休日振替)二〇条一項交通障害その他やむをえない事由がある場合は、前条の休日を四週間以内の他の日に振替えることがある。 二〇条二項警務職は前 は除く。)は、有給の休日とする。 (以下略)(休日振替)二〇条一項交通障害その他やむをえない事由がある場合は、前条の休日を四週間以内の他の日に振替えることがある。 二〇条二項警務職は前条各号の適用については、毎月の勤務日程表により個々に指定する。 二〇条三項振替えた休日に勤務させた時は、休日扱いとする。 (三) ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の就業規則(平成四年六月一日施行、平成五年一月三一日まで適用。乙第二号証、証人aの証言(平成九年三月一八日付け証人調書三二項から三五項まで))第四章労働条件(労働時間、休憩時間及び始業、終業時刻)一八条一項勤務種別別の労働時間、休憩時間及び始業、終業時刻は、次のとおりとする。 警務職日勤(労働時間)週平均労働時間四六時間一勤務労働時間八時間休憩時間一時間拘束時間九時間(始終業時刻)始業時刻九時終業時刻一八時隔日交替(労働時間)週平均労働時間四六時間一勤務労働時間一六時間休憩時間八時間拘束時間二四時間(始終業時刻)始業時刻一〇時終業時刻一〇時夜勤一六型(労働時間)週平均労働時間四四時間一勤務労働時間一一時間休憩時間五時間拘束時間一六時間(始終業時刻)始業時刻一七時終業時刻九時一五型(労働時間)週平均労働時間四四時間一勤務労働時間一〇時間二一分休憩時間四時間三九分拘束時間一五時間(始終業時刻)始業時刻一七時終業時刻八時(休日)一九条一項休日は、次のとおりとする。 (1) 労働基準法第三五条に基づく休日(以下「公休日」という。)は、特定の四週間に四日となるように付与する。 (2) 国民の祝日に関する法律(昭和二三年法 一九条一項休日は、次のとおりとする。 (1) 労働基準法第三五条に基づく休日(以下「公休日」という。)は、特定の四週間に四日となるように付与する。 (2) 国民の祝日に関する法律(昭和二三年法律第一七八号)第二条及び第三条第三項に規定する日(以下「国民の祝日」という。)は、有給の休日とする。 (3) 年末年始の休日は、一二月三一日より翌年の一月三日(一月一日は除く。)までとし、有給の休日とする。 (以下略)(休日振替)二〇条一項交通障害その他やむをえない事由がある場合は、前条の休日を四週間以内の他の日に振替えることがある。 二〇条二項警務職は前条各号の適用については、毎月の勤務日程表により個々に指定する。 二〇条三項振替えた休日に勤務させた時は、休日扱いとする。 (四) ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の就業規則(平成五年二月一日施行、乙第一五号証、証人aの証言(平成九年三月一八日付け証人調書三五項))第四章労働条件(労働時間、休憩時間及び始業、終業時刻)一八条一項勤務種別別の労働時間、休憩時間及び始業、終業時刻は、次のとおりとする。 警務職日勤(労働時間)週平均労働時間四六時間一勤務労働時間八時間休憩時間一時間拘束時間九時間(始終業時刻)始業時刻九時終業時刻一八時隔日交替(労働時間)週平均労働時間四六時間一勤務労働時間一六時間休憩時間八時間拘束時間二四時間(始終業時刻)始業時刻一〇時終業時刻一〇時夜勤一五型(労働時間)週平均労働時間三九時間四二分一勤務労働時間一〇時間二一分休憩時間四時間三九分拘束時間一五時間(始終業時刻)始業時刻一七時終業時刻八時(連夜勤務)二(休日)一九条一項 時間三九時間四二分一勤務労働時間一〇時間二一分休憩時間四時間三九分拘束時間一五時間(始終業時刻)始業時刻一七時終業時刻八時(連夜勤務)二(休日)一九条一項休日は、次のとおりとする。 (1) 労働基準法第三五条に基づく休日(以下「公休日」という。)は、特定の四週間に四日となるように付与する。 (2) 国民の祝日に関する法律(昭和二三年法律第一七八号)第二条及び第三条第三項に規定する日(以下「国民の祝日」という。)は、有給の休日とする。 (3) 年末年始の休日は、一二月三一日より翌年の一月三日(一月一日は除く。)までとし、有給の休日とする。 (以下略)一九条三項警務職は本条各号の適用については、毎月の勤務日程表により個々に指定する。 (休日振替)二〇条一項業務遂行上やむを得ない事由がある場合は、前条の休日を他の日に振替えることがある。この場合、予定休日の前日までに振替えるものとする。 二〇条二項振替えた休日に勤務させた時は、休日勤務扱いとする。 (五) 被告の賃金規程(甲第四号証)第一章総則(賃金の種別及び体系)三条賃金の種別及び体系は次のとおりとする。 賃金基準内賃金基本給都市手当又は地域手当扶養手当基準外賃金住宅手当通勤手当職務手当技能手当特殊勤務手当初任給調整手当割増賃金日直・宿直手当別居手当寒冷地手当その他期末手当(賃金の支給日)四条一項賃金のうち、基本給(中略)は、毎月二五日にその月分を支給し、特殊勤務手当、割増賃金及び日直・宿直手当は、その月分を翌月二五日に支給する。(以下略)(端数計算)五条賃金の種別ごとの支給額(賃金計算期間内において支給すべき合計額をいう。)に一円未満の端数を生じた場合は、それ 及び日直・宿直手当は、その月分を翌月二五日に支給する。(以下略)(端数計算)五条賃金の種別ごとの支給額(賃金計算期間内において支給すべき合計額をいう。)に一円未満の端数を生じた場合は、それぞれこれを切り捨てる。 第九章特殊勤務手当第一節通則六一条特殊勤務手当の種類は、次の各号に定めるとおりとする。 (8) 交代制等勤務手当六二条(1) 「作業時間数」とは、支給対象となる作業における月の従事時間数等をいう。 (2) 「深夜時間帯」とは、二二時から翌日五時までの間をいう。(以下第一〇章において同じ。)(支給方法)六三条(2) 特殊勤務手当の額が、回数によって定められている場合は、月間の作業回数にそれぞれの一回当たり支給額を乗じて得た額(特殊勤務手当計算における端数整理)六四条一箇月間の作業時間数の計算において一時間未満の端数を生じた場合は、三〇分以上を一時間とし、三〇分未満を切り捨てる。 (正規の勤務時間外の作業)六五条正規の勤務時間(勤務定刻を超えて勤務した場合であっても、その時間が正規の労働時間数に達するまでの部分を含む。以下この条において同じ。)外の作業に対する特殊勤務手当の取扱方については、次の各号に定めるとおりとする。 (注) 正規の勤務時間及び正規の労働時間数については、第九八条第三項参照(1) 特殊勤務手当の支給額が時間によって定められている特殊勤務手当及び自動車運転手当については、支給対象とする。 (注) このほかに、特殊勤務手当の割増(二五/一〇〇)が支給される。 (2) 特殊勤務手当の支給額が日によって定められている特殊勤務手当については、支給対象としない。 (注) この場合、特殊勤務手当の割増(一二五/一〇〇)が支給される。 第九節交代制等勤務手当(支給範囲)八二条交代制等勤務手当 って定められている特殊勤務手当については、支給対象としない。 (注) この場合、特殊勤務手当の割増(一二五/一〇〇)が支給される。 第九節交代制等勤務手当(支給範囲)八二条交代制等勤務手当は、次の各号に定める社員が、次条の勤務種別により勤務した場合に支給する。 (1) 操車業務、誘導業務、燃料業務、構内業務、踏切業務に従事する者及び保線・電気関係等の屋外作業に従事する者(2) 車両修繕・検査業務(総合鉄道部、機関区、貨車区及び駅に限る。)、諸機業務、配車業務、信号業務及び動力業務・動力車運転業務(車両所に限る。)に従事する者(3) 前各号以外の業務に従事する者(支給額)八三条交代制等勤務手当の支給額は、勤務一回について次に定めるとおりとする。 (勤務種別)(前条第一号に該当する者)(前条第二号に該当する者)(前条第三号に該当する者)(1) 隔日交代三交代二形夜番八五〇円六八〇円五九〇円(2) 三交代一形早番五九〇円四七〇円四〇〇円(3) 三交代一形遅番四六〇円三六〇円三一〇円(4) 変形深夜時間帯を全て含む場合又は深夜時間帯にかかり拘束時間一五時間以上の場合八五〇円六八〇円五九〇円(5) 変形深夜時間帯を三時間以上含む場合又は深夜時間帯が三時間未満で、かつ拘束時間が一一時間以上の場合五九〇円四七〇円四〇〇円(6) 変形深夜時間帯が三時間未満の場合四六〇円三六〇円三一〇円(7) 変形深夜時間帯にかからない場合で、かつ拘束時間が一一時間以上の場合三九〇円三一〇円二七〇円(8) 変形五時を過ぎ七時三〇分まで又は一八時三〇分を過ぎ二二時までの間にあり拘束時間が八時間以上の場合二六〇円二一〇円一八〇円(注) 「拘束時間」とは、始業から終業までの時間をいう 円(8) 変形五時を過ぎ七時三〇分まで又は一八時三〇分を過ぎ二二時までの間にあり拘束時間が八時間以上の場合二六〇円二一〇円一八〇円(注) 「拘束時間」とは、始業から終業までの時間をいう。 八四条一項交代制等勤務手当は、夜間特殊業務手当、乗務員手当及び超過勤務手当と併せて支給しない。 第一〇章割増賃金第一節通則(割増賃金の種類)九三条(1) 超過勤務手当(2) 夜勤手当(3) 祝日等勤務手当(4) 特殊勤務手当の割増(単価)九六条一項超過勤務手当、夜勤手当及び祝日等勤務手当を計算する場合の一時間当りの単価は、次の各号に定めるとおりとする。この場合、一時間当りの単価の計算額に一円未満の端数が生じた場合は、五〇銭以上は一円に切り上げ、五〇銭未満は切り捨てる。 (1) A単価一時間当り賃金額に一〇〇/一〇〇を乗じたもの(2) B単価一時間当り賃金額に一二五/一〇〇を乗じたもの(3) C単価一時間当り賃金額に二五/一〇〇を乗じたもの(4) D単価一時間当り賃金額に三〇/一〇〇を乗じたもの九六条二項前項の一時間当り賃金額は、超過勤務手当、夜勤手当及び祝日等勤務手当を計算する場合に限り、各勤務種別ごとに定める一日平均労働時間数が七時間三八分を超えるものについては、七時間三八分として計算する。 (時間計算)九七条一項超過勤務手当、夜勤手当及び祝日等勤務手当を計算する場合の時間計算は、休憩時間を除いた実労働時間によるものとし、それぞれの手当別に支給割合を異にする部分ごとに、その月の全時間数によって計算する。(以下略)第二節超過勤務手当(支給範囲及び支給額)九八条一項本文超過勤務手当は、社員が、正規の勤務時間外(公休日、特別休日、調整休日、非番及び代休を含む。以下括弧内省略)に勤務した場合に支 以下略)第二節超過勤務手当(支給範囲及び支給額)九八条一項本文超過勤務手当は、社員が、正規の勤務時間外(公休日、特別休日、調整休日、非番及び代休を含む。以下括弧内省略)に勤務した場合に支給する。 (以下略)九八条二項超過勤務手当の支給額は、超過勤務時間一時間につきB単価の額とする。ただし、勤務定刻を超えた場合であっても、その勤務した時間が正規の労働時間数に達するまでの部分の単価は、A単価とする。 九八条三項前各号の「正規の勤務時間」は、事実上あらかじめ割り振られた一日の勤務定刻とし、「正規の労働時間数」は、事実上あらかじめ割り振られた一勤務の労働時間数とし、その時間数は、就業規則第五四条〔勤務種別の指定に関する規定〕に規定するところによる。 第三節夜勤手当(支給範囲及び支給額)一〇〇条一項夜勤手当は、社員が、深夜時間帯に勤務した場合に支給する。 一〇〇条二項夜勤手当の支給額は、実労働時間一時間につき、D単価の額とする。 第四節祝日等勤務手当(支給範囲)一〇一条祝日等勤務手当は、社員が、就業規則第五五条に基づく勤務指定により次の各日に勤務した場合に支給する。 四月二九日、五月三日、五月五日、九月一五日、秋分の日、一〇月一〇日、一一月三日、一一月二三日、一二月二三日、一二月三〇日、一二月三一日、一月一日、一月二日、一月三日、一月一五日、二月一一日、春分の日(支給額)一〇二条祝日等勤務手当の支給額は、正規の勤務時間内において現に勤務した時間一時間につき、C単価の額とする。 (六) 被告の就業規則(甲第四号証)二八条一項会社は、業務上の必要がある場合は、社員に転勤、転職、昇職、降職、昇格、降格、出向、待命休職等を命ずる。ただし、満五五歳に到達した社員については、昇職、昇格等は行わない。 二八条三項 二八条一項会社は、業務上の必要がある場合は、社員に転勤、転職、昇職、降職、昇格、降格、出向、待命休職等を命ずる。ただし、満五五歳に到達した社員については、昇職、昇格等は行わない。 二八条三項社員は、前各号の場合、正当な理由がなければこれを拒むことができない。 二八条四項社員の出向に関する事項については、出向規程(中略)の定めるところによる。 (勤務の指定及び変更)五五条社員の勤務は、毎月二五日までに翌月分を指定する。ただし、業務上の必要がある場合は、指定した勤務を変更する。 二争点本件各休憩時間は、手待時間の実質を有し労働時間に当たるか。 第三当事者の主張一請求の原因 1 「争いのない事実等」(第二、一)1項ないし6項「商事債務性、原被告間の雇用契約、原告の出向、出向先会社における原告の業務の内容、就業規則の適用、原告の勤務形態、原告の業務の遂行、本件各休憩時間の時間数等)のとおり。 2 本件各休憩時間は労働時間である。この点に関する原告の主張は「三争点についての主張」で述べるとおりである。 3(一) 被告の賃金規程は次のとおり定めている。すなわち、超過勤務手当は、従業員が、正規の勤務時間外に勤務した場合に、超過勤務時間一時間につき一時間当たりの賃金額に一・二五を乗じた額が支給される。また、夜勤手当は、従業員が、深夜時間帯に勤務した場合に、実労働時間一時間につき一時間当たりの賃金額に〇・三を乗じた額が支給される。さらに、祝日等勤務手当は、従業員が、所定の勤務指定により次の各日に勤務した場合に、正規の勤務時間内において現に勤務した時間一時間につき一時間当たりの賃金額に〇・二五を乗じた額が支給される。 四月二九日、五月三日、五月五日、九月一五日、秋分の日、一〇月一〇日、一一月三日、一一月二三日、一二月二三日、一二月三 務した時間一時間につき一時間当たりの賃金額に〇・二五を乗じた額が支給される。 四月二九日、五月三日、五月五日、九月一五日、秋分の日、一〇月一〇日、一一月三日、一一月二三日、一二月二三日、一二月三〇日、一二月三一日、一月一日、一月二日、一月三日、一月一五日、二月一一日、春分の日(二) 被告の賃金規程によれば、賃金のうち、基本給(中略)は、毎月二五日にその月分を支給し、特殊勤務手当、割増賃金及び日直・宿直手当は、その月分を翌月二五日に支給することとされている。 4 本件各休憩時間に関する超過勤務手当等の金額は別紙未払賃金一覧表(住友電設関係、エフプラザ東京関係)のとおりである。 5 よって、原告は、被告に対し、雇用契約に基づき、被告の賃金規程の定める超過勤務手当、夜勤手当及び祝日等勤務手当の支払請求として、別紙未払賃金一覧表記載の「住友電設(住友電設ビル)関係」の未払賃金合計金三九六万六六一五円のうち、「祝日手当未払分」欄記載の金員以外の金員合計金三九四万七九三七円(超過勤務手当請求額三三八万〇九一八円及び夜勤手当請求額五六万七〇一九円)並びに「祝日手当未払分」欄記載の金員合計金一万八六七八円のうち六九四九円(平成三年一〇月、同年一二月及び平成四年一月の各全額、同年五月の二一一二円のうち四二三円)、以上合計金三九五万四八八六円並びに右各金員に対する、それぞれ対応する「年月」欄記載の各月の翌月二六日から各支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求め、並びに労働基準法一一四条に基づき、右未払金合計金三九五万四八八六円と同一額の付加金の支払を求め(平成五年(ワ)第二四一〇三号賃金請求事件)、並びに別紙未払賃金一覧表記載の「エフプラザ東京関係」の未払賃金合計金一〇〇万九五一九円のうち、超過勤務手当請求額八八万六一一八円及び夜 金の支払を求め(平成五年(ワ)第二四一〇三号賃金請求事件)、並びに別紙未払賃金一覧表記載の「エフプラザ東京関係」の未払賃金合計金一〇〇万九五一九円のうち、超過勤務手当請求額八八万六一一八円及び夜勤手当請求額一一万二七一七円のうち一〇万〇六〇五円(平成四年九月、同年一〇月、同年一一月、同年一二月、平成五年一月、同年二月の各全額及び同年三月の一万五一二四円のうち三〇一二円)、以上合計金九八万六七二三円並びに右各金員に対する、それぞれ対応する「年月」欄記載の各月の翌月二六日から各支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求め、並びに労働基準法一一四条に基づき、右未払金合計金九八万六七二三円と同一額の付加金の支払を求める(平成六年(ワ)第一一五三九号賃金等請求事件)。 二請求の原因に対する認否 1 請求の原因1の事実はいずれも認める。 2 同2の事実は否認する。この点に関する原告の主張は「三争点についての主張」で述べるとおりである。 3 同3の事実は認める。 4 同4の事実のうち、別紙未払賃金一覧表(住友電設関係及びエフプラザ東京関係)のうち、「祝日手当未払分」欄記載の金額の祝日手当が発生したことは否認する。 5 同5は争う。 三争点についての主張(原告の主張) 1 労働基準法にいう労働時間とは、労働者が使用者の拘束下にある時間(いわゆる拘束時間)のうち、休憩時間を除いた時間、すなわち実労働時間をいう。ここにいう休憩時間とは、就業規則等で休憩時間とされている時間を指すのではなく、労働者が自由に利用できる時間を指す(同法三四条三項)。労働者が現実には労務に従事していなくても使用者の指揮監督下にある時間(いわゆる手待時間)は、休憩時間に当たらないから、労働時間に当たり、賃金支払の対象となる。 2 ジェイアールエフ・パトロールズ 。労働者が現実には労務に従事していなくても使用者の指揮監督下にある時間(いわゆる手待時間)は、休憩時間に当たらないから、労働時間に当たり、賃金支払の対象となる。 2 ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社と住友電設株式会社との契約では、警備員は住友電設ビルの警備につき二四時間万全を期すものとされており、警備員が本件各休憩時間中も含めて警備室に常時待機していることがジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の契約上の義務の履行につながっている。原告を始め、警備員は、本件各休憩時間中も有事即応の態勢を取ることを義務付けられていた。 ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社は、原告に対し、本件各休憩時間中であっても、警報や通報がある場合には、直ちにこれに対応した必要な措置を執ること、電話の接受を行うこと、通用口の扉及び内部の扉の開閉、出入り者の確認、各階の鍵の授受をすること等を義務付けていた。 本件各休憩時間中は、仮眠時間中もそれ以外の時間中も外出が許可されることはなく、実際には外出が禁止されていたのであり、場所的拘束性は大であった。 3 ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社は、エフプラザ東京の警備につき、警備員は二四時間万全を期すことを約しており、警備員が本件各休憩時間中も含めて警備室に常時待機していることがジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の契約上の義務の履行につながっている。原告を始め、警備員は、本件各休憩時間中も有事即応の態勢を取ることを義務付けられていた。 本件各休憩時間中も特殊勤務と称して管理事務所の窓ガラスふき、清掃等を命じられた。このような作業は、月に三、四回設けられていたほか、現場の上司の指示命令によって随時作業が行われた。 エフプラザ東京においても、本件各休憩時間中の外出は禁止されており、緊急時には直ちにしかるべき対応 のような作業は、月に三、四回設けられていたほか、現場の上司の指示命令によって随時作業が行われた。 エフプラザ東京においても、本件各休憩時間中の外出は禁止されており、緊急時には直ちにしかるべき対応を義務付けられていた。 仮眠室は、管理事務所出入口のすぐ脇に位置しており、出入口のドアの開閉音及び外部の自動車の走行音等が甚だしく、また、電話の呼出音もあって、十分な睡眠が取れる環境ではなかった。警備室がある「中央ランプ」と管理事務所とは徒歩で七分程度もかかる距離があり、この往復にかかる時間は仮眠時間に食い込んでいた。 4 以上のように、本件各休憩時間中であっても、原告が自由に利用できる時間は皆無に等しく、原告は、警備室又は管理事務所での常駐を義務付けられ、場所的制約が強度であったし、本件各休憩時間中も有事即応態勢を取ることを義務付けられ、作業を命じられることもあったから、本件各休憩時間中もジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の指揮命令下にあったものというべきである。 (被告の主張) 1 住友電設ビルの警備は住友電設株式会社との契約で一人勤務形態で実施しており、その制約上、仮眠時間中等、常時警備に万全を期すことができないことは住友電設株式会社も了解していた。実際には仮眠時間中に業務を行うことがあるが、これはジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の営業的配慮に基づくサービスである。 ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社は、原告に対し、午前一時から午前五時までの四時間を仮眠時間として指定し、その余の休憩時間については、平日では、午後七時三五分から午後九時までの間、業務が閑散となる時間帯に適宜取り、その間に夕食を取るよう指示していた。休憩時間中の外出については許可制にしていた。その運用としては、代替要員の手配が可能であるときや、本人の体調不良等 九時までの間、業務が閑散となる時間帯に適宜取り、その間に夕食を取るよう指示していた。休憩時間中の外出については許可制にしていた。その運用としては、代替要員の手配が可能であるときや、本人の体調不良等社会通念上やむを得ない場合に許可するものとしていた。ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社は、仮眠の場所については警備室内のベッドを指定していたが、その余の休憩時間については警備室で待機するよう命じていたわけではない。 ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社が原告に対し、休憩時間帯においても常時警備業務に就くよう業務命令を発したことはないが、休憩時間帯に警備上必要な事態が発生した場合は、これに対応した措置を執るよう指示しており、原告が休憩時間中に警備業務に就いた場合は、原告の自己申告により超過勤務手当を支払うこととしており、現に原告に対し、その申告に基づき、超過勤務手当を支払った。 その内容としては、ほとんどが出入り口施錠、車の出入り、鍵返却であるが、その頻度は少ない。また、原告が超過勤務手当を請求したのは平成三年一〇月二日から平成四年三月一九日までであり、それ以外は全く請求がなかった。住友電設株式会社は、平成三年一〇月にフレックスタイム制を導入したため、夜間に人の出入りが生ずるようになった。そこで、ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社は、住友電設株式会社と協議し、住友電設株式会社はこれを受けて、警備室前の内部の扉に電気錠を設置することにした。電気錠は、午前零時ころから午前五時半ころまでの間セットされ、タイマーにより自動的に作動、停止するようになっている。電気錠がセットされている間は、住友電設株式会社の従業員は暗証番号によって出入りするから、警備員の手を煩わすことはない。このように、フレックスタイム制の導入により夜間に住友電設株式会社の従業 いる。電気錠がセットされている間は、住友電設株式会社の従業員は暗証番号によって出入りするから、警備員の手を煩わすことはない。このように、フレックスタイム制の導入により夜間に住友電設株式会社の従業員の出入りが生じ、電気錠の設置までの間に原告の仮眠時間帯における業務が生じたが、電気錠の設置によりそれが解消されたのであって、現に原告は右の間以外は超過勤務手当の請求を一切していない。 本件各休憩時間が労働時間に当たるか否かは、その時間帯において原告の行った実作業の実態により判断されるべきである。住友電設ビルにおいては、右に述べた期間に超過勤務手当の請求があったほかは原告から超過勤務手当の請求はなかった。これは、本件各休憩時間において原告が請求した以外には遂行すべき義務がなかったことを物語っている。 右に述べた期間は実作業があったが、総勤務日数の半分強であり、一日の作業時間はおおむね二〇分ないし三〇分程度であるから、仮眠時間四時間に占める割合は小さく、事実上労働からの解放の保障があった。また、右に述べた期間以外の期間は、ほぼ一〇〇パーセント実作業から解放されていた。 休憩時間については、外出は許可制であり、場所的な拘束の程度はそれほど強いものとはいえない。仮眠時間については、警備室のベッドで寝るように指示されていたが、仮眠時間の場所的解放はせいぜい仮眠場所の選択程度の意味しかない。 以上からすれば、住友電設ビルにおける本件各休憩時間は労働時間に当たらないというべきである。 2 エフプラザ東京での勤務は、複数勤務であり、休憩時間は仮眠時間を含めて警務職員ごとにすべて時間帯が特定され、交替で取っており、休憩時間には他の警務職員が警備業務を行っているから、休憩が妨げられることはなかった。火災、地震等特殊例外的な場合を除いて休憩時間中に実労働が発生 職員ごとにすべて時間帯が特定され、交替で取っており、休憩時間には他の警務職員が警備業務を行っているから、休憩が妨げられることはなかった。火災、地震等特殊例外的な場合を除いて休憩時間中に実労働が発生するということはなく、実際にも原告が勤務中にそのような事態が生じたことはなかった。管理事務所の窓ガラスふき等の作業は、勤務時間中の手待ち時間にされたものであり、原告が休憩時間に作業をさせられたことはなかった。 待機時間中は、警務職員は、おおむね管理事務室内で適宜休憩を取っているが、休憩時間が指定されているということはない。ただし、外出する場合は許可を受ける必要があった。ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社は、原告に対し、仮眠時間については、管理事務室内の仮眠ベッドで仮眠を取るよう指示していたが、これは、交替制勤務を円滑に行うためである。 以上からすれば、エフプラザ東京における本件各休憩時間は労働時間に当たらないというべきである。 第四争点に対する判断一被告の出向規程及び賃金規程の定める割増賃金の発生要件について本件請求は、原被告間の雇用契約に基づく、被告の賃金規程の定める超過勤務手当、夜勤手当及び祝日等勤務手当の支払請求であるから、被告の賃金規程がこれらの手当の発生要件をどのように定めているかが問題になる。原告の出向中における警務職としての労働条件は、労働時間、休憩時間、休日、休暇等は出向先会社であるジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の就業規則が適用されるが、賃金その他の労働条件については被告の就業規則によることとされ、被告の出向規程一三条本文が、「割増賃金は、賃金規程により支給する。」と規定していることは既に述べたとおりである。 被告の賃金規程は、まず、九七条において、「超過勤務手当、夜勤手当及び祝日等勤務手当を計算する場 三条本文が、「割増賃金は、賃金規程により支給する。」と規定していることは既に述べたとおりである。 被告の賃金規程は、まず、九七条において、「超過勤務手当、夜勤手当及び祝日等勤務手当を計算する場合の時間計算は、休憩時間を除いた実労働時間によるものと」すると規定し、九八条一項本文において、「超過勤務手当は、社員が、正規の勤務時間外(公休日、特別休日、調整休日、非番及び代休を含む。以下括弧内省略)に勤務した場合に支給する。」と規定し、九八条三項において、「前各号の「正規の勤務時間」は、事実上あらかじめ割り振られた一日の勤務定刻とし、「正規の労働時間数」は、事実上あらかじめ割り振られた一勤務の労働時間数とし、その時間数は、就業規則第五四条[勤務種別の指定に関する規定]に規定するところによる。」と規定してる。また、一〇〇条一項において、「夜勤手当は、社員が、深夜時間帯に勤務した場合に支給する。」と規定している。さらに、一〇一条及び一〇二条によれば、祝日等勤務手当は、従業員が被告の就業規則第五五条に基づく勤務指定により、被告の賃金規程一〇一条所定の日(国民の祝日のほか、一月二日、一月三日、一二月三〇日及び一二月三一日)に勤務指定を受け、正規の勤務時間内において現に勤務した時間一時間につき、C単価の額を支給することとされている。 「実労働時間」という用語は、通常は、就業規則で定められている所定就業時間から休憩時間を差し引いた所定労働時間を意味するものと解されるが、被告の賃金規程九七条は、時間外、深夜及び休日を通じて割増賃金について定めている規定であり、九八条一項本文、同条三項、一〇〇条一項、一〇一条及び一〇二条と併せて考えると、被告の賃金規程は、正規の勤務時間(所定労働時間)以外の時間帯において、賃金の支払の対象とすべき労働時間が生じたときに、 九八条一項本文、同条三項、一〇〇条一項、一〇一条及び一〇二条と併せて考えると、被告の賃金規程は、正規の勤務時間(所定労働時間)以外の時間帯において、賃金の支払の対象とすべき労働時間が生じたときに、超過勤務手当、夜勤手当を支給することとし、従業員が国民の祝日等の日に勤務指定を受けたときには、正規の勤務時間内において現に勤務した時間分の祝日等勤務手当を支給することとし、その算出方法について規定しているものと解するのが相当である。そして、被告の賃金規程が、作業と作業との間の待機時間である手待時間を賃金の支払の対象から除外することを規定していると解すべき根拠はないから、被告の賃金規程九八条一項本文も、正規の勤務時間外、すなわち、就業規則で予定している所定労働時間以外の時間帯において手待時間が生じた場合には、これを超過勤務手当の支払の対象とするものと解するのが相当である。 もっとも、被告の賃金規程は、交代制等勤務手当その他の特殊勤務手当について定めており、原告の勤務形態の場合には、勤務一回ごとに交代制等勤務手当を支給し、この交代制等勤務手当は、超過勤務手当と併せて支給しないこととしている(八三条、八四条)ので、就業規則で定められている休憩時間については、実作業が行われない限り、超過勤務手当、夜勤手当又は祝日等勤務手当を支給しないことを定めている趣旨と解すべきではないかが問題になるが、右各規定は、超過勤務手当を支給すべき場合には超過勤務手当だけを支給し、超過勤務手当を支給すべき要件を満たさない場合において、所定の要件を満たすときに、交代制等勤務手当を支給すべき旨を定めているものと解するのが相当であり、客観的に超過勤務手当を支給すべき場合に該当するにもかかわらず、超過勤務手当を支給しないでこれに代えて交代制等勤務手当を支給すべき旨を定めているもの 給すべき旨を定めているものと解するのが相当であり、客観的に超過勤務手当を支給すべき場合に該当するにもかかわらず、超過勤務手当を支給しないでこれに代えて交代制等勤務手当を支給すべき旨を定めているものと解するのは相当ではない。 仮に、被告の賃金規程が、実作業が行われない限り、超過勤務手当、夜勤手当又は祝日等勤務手当を支給しないことを定めている趣旨であるとすれば、法定労働時間の制限を超えて前記の意味での手待時間が生じ、それが交代制等勤務手当の額を超える場合であっても超過勤務手当、夜勤手当又は祝日等勤務手当を支給しないこととする限度では、労働基準法一三条、三七条により無効となり、労働基準法三七条に基づく差額請求をすることができると解するのが相当である。しかし、就業規則としての性質を有する被告の賃金規程の解釈としては、文言上一義的に決まっているときは別として、可能な限り合理的に解釈するのが相当であるから、前記のように解するのが相当である。 そこで、本件各休憩時間が手待時間の実質を有するか否かが問題になる。 二本件各休憩時間の労働時間性 1 一般に、作業と作業との間の待機時間である手待時間が賃金支払の対象となるのは、手待時間においては、労働者は、労働契約に基づき、使用者の指示を受け次第、労務を遂行すべき職務上の義務を負っており、適時にこの義務を履行することができるようにするために、場所的に拘束される等使用者の指揮命令下に置かれて労務の提供を継続しているからである。労働者は、右のとおり使用者の指示を受け次第、労務を遂行すべき職務上の義務を履行することができるようにするために、場所的に拘束される等使用者の指揮命令下に置かれて労務の提供を継続しているのであるから、実際に労務を遂行しなくても賃金の支払を受けてしかるべきであり、他方、使用者は、実際には労 るようにするために、場所的に拘束される等使用者の指揮命令下に置かれて労務の提供を継続しているのであるから、実際に労務を遂行しなくても賃金の支払を受けてしかるべきであり、他方、使用者は、実際には労務を遂行すべき指示を出すに至らなかったとしても、右のとおり労働契約に基づき労働者を待機させておくことによって労働力を確保しているのであるから、労務の対価である賃金を支払ってしかるべきである。手待時間の労働時間性、有償性を肯定する理由はここにある。 労働基準法三四条に規定する休憩時間については、使用者は、労働者にこれを自由に利用させなければならないのであり(同条三項)、必要が生じた場合に限るにしても、労働者に労務を遂行すべき職務上の義務を課してはならない。このように、労働者が、労務を遂行すべき職務上の義務を負っていない休憩時間は、労働時間に当たらず、賃金支払の対象とならない。仮に、外出を許可制とする等の場所的拘束性があっても、使用者が労働者に右のような職務上の義務を課していないのであれば、同条に規定する休憩時間に当たり得るものと解される。使用者が労働者に右のような職務上の義務を課していないのであれば、労働者が休憩時間中に自発的に労務に相当する活動を行っても、当該休憩時間全部が手待時間となるものではない。ただし、右労務の遂行が時間外手当の支払の対象となることはあり得る。 これに対し、使用者が労働者に対し、使用者が個別に指示した場合又は通常の業務遂行の範囲内で生じることが想定される事態であらかじめ使用者の定めたものが生じた場合に、労務を遂行しなければならない職務上の義務を課し、適時にこの義務を履行することができるようにするために、場所的に拘束する等使用者の指揮命令下に置いているときは、就業規則上は休憩時間であっても、労働基準法三四条に規定する休憩 い職務上の義務を課し、適時にこの義務を履行することができるようにするために、場所的に拘束する等使用者の指揮命令下に置いているときは、就業規則上は休憩時間であっても、労働基準法三四条に規定する休憩時間とはいえず、全体として労働時間に当たるものと解するのが相当である。ただし、使用者が労働者に対し、同法三三条一項所定の災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合に労務を遂行しなければならない職務上の義務を課したとしても、それが文字どおり例外的な場合にとどまるものであるならば、使用者が右労務遂行のために労働者を指揮命令下に置いて労働力を確保しているということができないから、当該休憩時間は労働時間に当たるものではないと解するのが相当である。 この理は、就業規則上の休憩時間が仮眠時間である場合にも当てはまり、使用者が労働者に対し、所定の仮眠時間中であっても、通常の業務遂行の範囲内で生じることが想定される事態が生じた場合に、必要に応じて労務を遂行すべき職務上の義務を課し、適時にこの義務を履行することができるようにするために、場所的に拘束する等使用者の指揮命令下に置いているときには、当該仮眠時間全体が労働時間に当たるのであって、実際には労働者が労務を遂行することなく睡眠を取ることができたときであっても同様であると解するのが相当である。使用者が右の職務上の義務を課し、適時にこの義務を履行することができるようにするために、場所的に拘束する等使用者の指揮命令下に置いているならば、それをもって当該休憩時間の労働時間性を肯定することができ、使用者が労働者に対し当該休憩時間に仮眠を取ることを認めていることによって、労働時間性が否定されるものではないからである。ただし、労働契約上は仮眠時間中に必要に応じて労務を遂行すべき職務上の義務が課されて 労働者に対し当該休憩時間に仮眠を取ることを認めていることによって、労働時間性が否定されるものではないからである。ただし、労働契約上は仮眠時間中に必要に応じて労務を遂行すべき職務上の義務が課されていても、実際には労働者が仮眠時間中に労務を遂行しなければならない可能性は皆無に等しく、そのことを労働者も認識して勤務に従事していたような特段の事情があれば、当該仮眠時間の労働時間性は否定すべきである。 就業規則上の休憩時間(仮眠時間を含む。)の労働時間性は、前記のとおり、使用者が、労働者に対し、通常の業務遂行の範囲内で生じることが想定される事態であらかじめ使用者の定めたものが生じた場合、あるいは使用者が個別に指示した場合に、労務を遂行しなければならない職務上の義務を課していること、かつ、適時にこの義務を履行することができるようにするために、場所的に拘束する等使用者の指揮命令下に置いていること、以上の要件を満たしているか否かの観点から判断することが必要であり、かつ、それをもって十分と解するのが相当であって、これらの要件を満たしている限りは、就業規則上の休憩時間の労働時間性を肯定すべきである。右の判断に当たり、職務遂行の実際上の頻度の多寡、可能性の大小という見地からの労働からの解放の保証の程度(逆にいえば、労務遂行の拘束度)は、右職務上の義務の存否を判断する上での間接事実とはなるが、これを離れて、独立した要件となるものではないから、右職務上の義務の存在を肯定できる場合には、労働からの解放の保障の程度は原則として考慮要素とならず、前記のような特段の事情の存するときに限り、当該休憩時間の労働時間性を否定すべきこととなるにとどまる。 労働基準法は、四一条三号において、監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたものについては、第四 するときに限り、当該休憩時間の労働時間性を否定すべきこととなるにとどまる。 労働基準法は、四一条三号において、監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたものについては、第四章(労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)等で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しないと定めているから、同法は、労働時間、休憩について右に述べたと同様の見解を採りつつ、所定の要件を満たし、行政官庁の許可を受けたものについては、同法の労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用の除外を認めているものであって、行政官庁の許可は右適用除外の効力発生要件であり、使用者が行政官庁の許可を受けないで監視又は断続的労働に労働者を従事させ、法定労働時間を超えた場合には、時間外の割増賃金の支払義務を免れないものと解するのが相当である。なお、労働基準法施行規則三四条は、所轄労働基準監督署長が、従事する労働の態様及び員数について労働基準法四一条三号所定の許可をする旨定めているので、この許可をするか否かの判断に当たっては、職務遂行の実際上の頻度の多寡、可能性の大小という見地からの労働からの解放の保障の程度(労務遂行の拘束度)も考慮されるものと解するのが相当である。 2 被告の賃金規程が、正規の勤務時間外、すなわち、就業規則で予定している所定労働時間以外の時間帯において手待時間が生じた場合には、これを超過勤務手当の支払の対象とするものと解するのが相当であることは既に述べたとおりである。 被告の賃金規程は、1で述べた一般的な意味での手待時間を賃金支払の対象としているものと解するのが相当である。したがって、本件各休憩時間は、通常の業務遂行の範囲内で生じることが想定される事態であらかじめ出向先の定めたものが生じた場合、又は原告が出向先の指示を受けた場合に、労務を遂行す 解するのが相当である。したがって、本件各休憩時間は、通常の業務遂行の範囲内で生じることが想定される事態であらかじめ出向先の定めたものが生じた場合、又は原告が出向先の指示を受けた場合に、労務を遂行すべき職務上の義務を負い、かつ、適時にこの義務を履行することができるようにするために、場所的に拘束される等出向先(使用者)の指揮命令下に置かれて労務の提供を継続していることを肯定することができるときに、手待時間に当たり、賃金支払の対象となるものというべきである。 そこで、本件各休憩時間について、右の観点から労働時間性の有無を検討する。 3 住友電設ビルにおける本件各休憩時間について(一) 本件各休憩時間における労務遂行の義務の有無について(1) 前記争いのない事実等に、甲第二号証、第三号証、第七号証、乙第五号証から第七号証まで、第九号証から第一二号証まで、証人b及び同aの各証言(いずれも次の認定に反する部分は採用しない。)、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を併せて考えれば、次の事実を認めることができる。 原告は、平成三年四月四日から平成四年一二月三一日までの間、住友電設ビルにおいて前記の勤務形態により警備業務に従事した。その間に、適用を受けるジェイアールエフ・パトロールズ株式会社(出向先会社)の就業規則(平成元年六月二六日施行、乙第一号証)が改正され、勤務形態の呼称が変更になったし、平成四年九月一日以降は主としてエフプラザ東京において警備業務に従事するようになった等の点はあるが、原告は、住友電設株式会社の社休日については、始業時刻一〇時、終業時刻一〇時、労働時間一六時間、休憩時間八時間、拘束時間二四時間の勤務形態で、また、平日については、始業時刻一七時、終業時刻九時、労働時間一一時間一七分、休憩時間四時間四三分、拘束時間一六時間の勤務形態で 〇時、労働時間一六時間、休憩時間八時間、拘束時間二四時間の勤務形態で、また、平日については、始業時刻一七時、終業時刻九時、労働時間一一時間一七分、休憩時間四時間四三分、拘束時間一六時間の勤務形態で勤務した。 住友電設ビルの警備業務は、一人勤務態勢であり、原告が一人で行うものであった。 住友電設ビル警備室は、住友電設株式会社の従業員の通用口及びその通路に沿うように位置しており、通用口と内部にそれぞれ施錠できる扉がある。右通路には住友電設株式会社の従業員が出社時及び退社時に打刻するタイムレコーダーが設置され、また、午後六時に正門が閉鎖されてから午前七時までは右通用口が唯一の出入口となるので、原告にとっては右通用口の扉及び内部の扉の開閉、出入り者の確認、各階の鍵の授受は業務の一つとして重要な意味を持っていた。警備室には、受付(テーブル付き窓)の前に電話二台を置いた警備員用机が置かれ、室内には防災及び警備用機器(自動火災報知器及び防犯センサー)、ビル監視盤(ビルの冷暖房のスイッチを含む。)、配電盤等が設置されていたほか、隅に仮眠用のベッドが置かれていた。 ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社は、住友電設株式会社から警備業務を請け負ったセントラル警備保障株式会社から住友電設ビルの警備業務を下請しており、午後五時から午前九時まで(住友電設株式会社の社休日は二四時間)警備を行うことを合意した。もっとも、住友電設株式会社とセントラル警備保障株式会社との間では、一人勤務態勢による警備が契約されており、勤務配置時程表では午前一時から午前五時までは「待機」と表示されたものの、仮眠時間とすることが了承されていた。 ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社は、原告に対し、午前一時から午前五時までの間を仮眠時間として指定し、その余の休憩時間については警備の 表示されたものの、仮眠時間とすることが了承されていた。 ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社は、原告に対し、午前一時から午前五時までの間を仮眠時間として指定し、その余の休憩時間については警備の実情に即して適宜取るよう指示していた。ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社は、原告に対し、仮眠時間であるとその余の休憩時間であるとを問わず、警報や通報がある場合には、直ちにこれに対応した必要な措置を執らなければならず、また、電話の接受を行うこと、通用口の扉及び内部の扉の開閉、出入り者の確認、各階の鍵の授受をすることを義務付けていた。住友電設ビルの警備業務に関する勤務配置時程表(甲第二号証、第三号証)には仮眠時間を「待機」と表示し、「待機」について有事即応の態勢で仮眠を取るという趣旨が記載されていたが、ここにいう有事即応の態勢で休憩を取るとは、右に述べたように本件各休憩時間中においても原告が警報、通報に対応し、電話の接受を行い、通用口の扉及び内部の扉の開閉、出入り者の確認、各階の鍵の授受をしなければならないことを意味していた。 (2) 被告は、本件各休憩時間中において警備業務を行わないことは、住友電設株式会社、セントラル警備保障株式会社との間で織り込み済であり、仮眠時間中に業務を行うことがあるのはジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の営業的配慮に基づくサービスであると主張し、証人aの供述中には被告の右主張に沿う部分がある。 しかし、仮に営業的配慮に基づくサービスであるにとどまるにしても、ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社がそのようなサービスを行うことができるようにするために、原告に対して労働契約上どのような義務を課していたかが問題なのであり、この点は、右に認定したとおりであって、証人aの右供述部分によって左右されるものではない。 被 うことができるようにするために、原告に対して労働契約上どのような義務を課していたかが問題なのであり、この点は、右に認定したとおりであって、証人aの右供述部分によって左右されるものではない。 被告の右主張は失当である。 (3) 住友電設ビルにおいては、住友電設株式会社の工事等の設計・計画部門が入っており、従業員が夜間、深夜まで職務を遂行して帰宅することが時折あり、殊に住友電設株式会社が平成三年一〇月にフレックスタイム制を導入してからはそのような事態が頻繁になり、恒常化していたから、これに伴い、原告が本件各休憩時間中においても通用口の扉及び内部の扉の開閉、出入り者の確認、各階の鍵の授受等を行う等の警備業務を遂行すべき状況が存していたということができ、現に原告は、夜間は、各階の鍵の授受のほか、住友電設株式会社の従業員が扉を開けて出ていった後に通用口の扉及び内部の扉を施錠し、住友電設株式会社の関係者が車でパーキングタワーに出入りする際には、原告が管理していた鍵を使用してパーキングタワーを作動させる等の作業を行い、別紙未払賃金一覧表(住友電設関係)の「支払いを受けた超過勤務手当の時間及び金額」欄記載のとおり超過勤務手当の支払を受けていた。もっとも、住友電設ビルの警備室前の内部の扉には平成四年二月ころ電気錠が取り付けられ、同年四月ころ以降は午前零時以後電気錠が作動し、住友電設株式会社の従業員はビル内に入る場合には自ら電気錠のテンキーに暗証番号を入力して扉を開き、出る際は扉を開けて出ていく(その後自動的に施錠される。)ようになり、原告が午前零時以後内部の扉の開閉を行うことはなくなったので、原告の実際上の負担もその限度で軽減されたが、通用口の扉は手動のままなので、用心のためには施錠が必要であったほか、各階の鍵の授受は必要であり、フレックスタイム制 扉の開閉を行うことはなくなったので、原告の実際上の負担もその限度で軽減されたが、通用口の扉は手動のままなので、用心のためには施錠が必要であったほか、各階の鍵の授受は必要であり、フレックスタイム制の導入により住友電設株式会社の従業員が夜間、深夜まで職務を遂行して帰宅することが恒常化していた以上、原告が警備業務を行うべき状況が前記電気錠の設置によって解消したということはできない。 したがって、被告が原告に対して課していた労務遂行の職務上の義務は、通常の業務遂行の範囲内で生じることが想定される事態が生じた場合に備える性質のものであったということができる。 (二) 場所的拘束性(1) 甲第二号証、第三号証、証人b及び同aの証言並びに原告本人尋問の結果に弁論の全趣旨を併せて考えれば、次の事実を認めることができる。 住友電設ビルの警備業務は、原告が一人で行うものであった。被告は、原告に対し、警備室で仮眠を取るよう義務付けていた。その余の本件各休憩時間については許可制で外出が認められることになっていたが、原告は、外で食事を取りたいとして外出の許可を求めたことが一度あっただけであり、このときは、aは、弁当を持参して警備室で食事を取るよう指示し、外出を許可しなかった。 本件各休憩時間については許可制で外出が認められることになっていたが、住友電設ビルの警備業務は、原告が一人で行うことになっており、原告が外出していれば、警報、通報への対応、電話の接受、出入口の扉の開閉、出入り者の確認を行う者は誰もいなくなるから、容易に許可が認められる状況になかった。 (2) 右によれば、本件各休憩時間のうち、仮眠時間については場所的拘束性が絶対的であり、その余の本件各休憩時間については、許可制で外出が認められることになっていたものの、容易に許可が認められる状況になく、場 によれば、本件各休憩時間のうち、仮眠時間については場所的拘束性が絶対的であり、その余の本件各休憩時間については、許可制で外出が認められることになっていたものの、容易に許可が認められる状況になく、場所的拘束性は相当強度であったというべきである。 (三) 住友電設ビルにおける本件各休憩時間の労働時間性について(一)及び(二)によれば、被告は、原告に対し、本件各休憩時間において、有事即応の態勢を取り、前記のような通常の業務遂行の範囲内で生じることが想定される事態が生じた場合には、適切に対応して労務を遂行しなければならない職務上の義務を課していること、かつ、適時にこの義務を履行することができるようにするために、警備室において休憩することを指示して場所的に拘束し、もって使用者の指揮命令下に置いていること、以上のとおり認めることができるから、本件各休憩時間は労働時間に当たるものというべきである。 4 エフプラザ東京における本件各休憩時間について(一)(1) 前記争いのない事実等に、甲第五号証の一、二、第九号証、乙第八号証、証人aの証言、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を併せて考えれば、次の事実を認めることができる。 原告は、平成四年九月一日から平成五年三月三一日までの間、エフプラザ東京において警備業務に従事した。その間に、適用を受けるジェイアールエフ・パトロールズ株式会社(出向先会社)の就業規則が変更されたが、原告は、前記の「日勤」、「隔日交替」及び「夜勤一五型」の勤務形態で勤務した。 エフプラザ東京における警備業務の遂行は、隊長が全般の指揮、打合せ、巡回を行うほか、四名の警務職員がローテーションを組んで業務を遂行することとされ、休憩時間は、仮眠時間を含めてすべて時間帯が特定され、ある警務職員の休憩時間には他の警務職員が警備業務を遂行するこ 、巡回を行うほか、四名の警務職員がローテーションを組んで業務を遂行することとされ、休憩時間は、仮眠時間を含めてすべて時間帯が特定され、ある警務職員の休憩時間には他の警務職員が警備業務を遂行することとされていた。警備室には仮眠室と休憩用区画が設けられていた。 (2) 被告が、原告に対し、本件各休憩時間において労務を遂行しなければならない職務上の義務を課していたことを認めるに足りる証拠はなく、右のとおり、四名の警務職員がローテーションを組んで業務を遂行することとされ、休憩時間は、仮眠時間を含めてすべて時間帯が特定され、ある警務職員の休憩時間には他の警務職員が警備業務を遂行することとされていたこと等からすれば、被告は、原告に対し、本件各休憩時間において労務を遂行しなければならない職務上の義務を課していなかったものと認めることができる。 (二) もっとも、原告は、仮眠時間以外の本件各休憩時間中において、特殊勤務と称して管理事務所の窓ガラス拭き、清掃等を命じられた旨主張し、原告本人の供述中には原告の右主張に沿う部分がある(平成七年一〇月二四日付け本人調書一四〇項から一四三項まで、平成八年二月五日付け本人調書一一四項から一三三項まで)。 しかしながら、本件各休憩時間中において、原告が右のような作業以外に警備業務その他の作業を行うべき職務上の義務を負っていたことを認めるに足りる証拠はなく、右のような作業は、上司から個別的な指示があり、又は上司の指示の下に立てた予定があって初めて行うべきものであり、個別的、分断的な性質を有するものということができるから、原告が右のような作業を行った都度それに従事した時間に相当する超過勤務手当の支払の対象とはなるものの、本件各休憩時間中において右のような作業が行われたことがあるからといって、本件各休憩時間全体が労働時 告が右のような作業を行った都度それに従事した時間に相当する超過勤務手当の支払の対象とはなるものの、本件各休憩時間中において右のような作業が行われたことがあるからといって、本件各休憩時間全体が労働時間に当たることにはならないというべきである。 したがって、原告が右のような作業を行った日時及び作業内容を特定して個別的に超過勤務手当の支払を請求するなら格別、本件各休憩時間全体が労働時間に当たるとしてそれに相当する超過勤務手当の支払を請求することには理由がない。 (三) 原告は、中央ランプから管理事務所に戻るまで徒歩で七分程度を要し、その分仮眠時間に食い込んでいたと主張し、原告本人の供述中には原告の右主張に沿う部分がある(平成七年一〇月二四日付け本人調書一二七項から一三〇項まで)。 しかしながら、中央ランプから管理事務所に徒歩で戻る間には、仮眠を取ることはできないが、労務を提供しているということもできず、休憩時間の一部と見るほかはないから、右の間に相当する時間の限度でも労働時間性を肯定することはできない。 (四) よって、エフプラザ東京における本件各休憩時間については、労働時間性を肯定することはできない。 三本件各休憩時間に関する超過勤務手当等の金額について二で検討したとおり、住友電設ビルにおける本件各休憩時間だけが労働時間に当たるから、以下、その超過勤務手当等の金額についてのみ算定する。 1 別紙未払賃金一覧表(住友電設関係)のうち、「祝日手当未払分」欄記載の金額の祝日手当が発生したか否かについては当事者間に争いがあり、その結果「未払賃金額」欄の金額についても右争いのある限度で食い違いが生じているが、本件各休憩時間の労働時間性について争いがあることを別にすれば、その余の点については、当事者間に争いがない。すなわち、該当する期間(平成三年四 金額についても右争いのある限度で食い違いが生じているが、本件各休憩時間の労働時間性について争いがあることを別にすれば、その余の点については、当事者間に争いがない。すなわち、該当する期間(平成三年四月から平成四年一二月まで)の各月ごとに見た、勤務形態ごとの月別勤務回数及び休憩時間、異なる勤務形態を通じて算出した休憩時間の合計時間及びこれが労働時間に当たるとして算出した超過勤務手当の合計金額(時間単価の点を含む。)、実際に支払を受けた超過勤務手当の合計時間及び合計金額、超過勤務手当の右各合計金額の差引計、休憩時間が労働時間に当たるとすれば、そのうち夜勤手当の対象となるべき部分の合計時間及び算出した夜勤手当の合計金額(時間単価の点を含む。)、実際に支払を受けた夜勤手当の合計時間及び合計金額、夜勤手当の右各合計金額の差引計については、当事者間に争いがない。 2 被告の賃金規程一〇一条及び一〇二条によれば、祝日等勤務手当は、従業員が被告の就業規則五五条に基づく勤務指定により、被告の賃金規程一〇一条所定の日(国民の祝日のほか、一月二日、一月三日、一二月三〇日及び一二月三一日)に勤務指定を受け、正規の勤務時間内において現に勤務した時間一時間につき、C単価の額を支給することとされている。ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社の就業規則(乙第一号証)一九条一項によれば、労働基準法三五条に基づく休日は、特定の四週間に四日となるように付与し、国民の祝日は有給の休日とし、一二月三一日から翌年の一月三日(一月一日は除く。)までは有給の休日とすることとされているので、ジェイアールエフ・パトロールズ株式会社に出向している者に被告の賃金規程一〇一条及び一〇二条を適用するに当たっても、格別修正を要する点はなく、国民の祝日のほか、一月二日、一月三日、一二月三〇日及び一二 ェイアールエフ・パトロールズ株式会社に出向している者に被告の賃金規程一〇一条及び一〇二条を適用するに当たっても、格別修正を要する点はなく、国民の祝日のほか、一月二日、一月三日、一二月三〇日及び一二月三一日に勤務指定を受け、正規の勤務時間内において現に勤務した時間一時間につき、C単価の額を支給されるものと解するのが相当である。 被告の賃金規程九八条は、「超過勤務手当は、社員が、正規の勤務時間外(公休日、特別休日、調整休日、非番及び代休を含む。(以下略))に勤務した場合に支給する。」と規定しているので、被告の賃金規程一〇二条にいう「正規の勤務時間」とは、就業規則で定められている所定就業時間から休憩時間を差し引いた所定労働時間を意味するものと解するのが相当である。 前記認定のほか、乙第六号証、第七号証を併せて考えれば、原告が平成三年一〇月一〇日の朝勤務したこと、同年一二月二三日に午前九時まで勤務したこと、原告が平成四年一月一五日に八時間勤務したこと、同年五月五日午前九時まで勤務したこと、原告が所定の勤務指定を受け、正規の勤務時間(所定勤務時間)内において右のとおり勤務したことが認められ、これらによれば、別紙未払賃金一覧表(住友電設関係)の右各月に対応する祝日等勤務手当が発生したものというべきである。 四結論 1 そうすると、原告の本件請求は、別紙未払賃金一覧表記載の「住友電設関係」の未払賃金のうち、「祝日手当未払分」欄記載の金員以外の金員合計金三九四万七九三七円(超過勤務手当請求額三三八万〇九一八円及び夜勤手当請求額五六万七〇一九円)並びに平成三年一〇月、同年一二月及び平成四年一月に対応する「祝日手当未払分」欄記載の祝日等勤務手当金額合計六五二六円並びに平成四年五月の祝日等勤務手当二一一二円のうち四二三円、以上合計金三九五万四八八六円並び 年一〇月、同年一二月及び平成四年一月に対応する「祝日手当未払分」欄記載の祝日等勤務手当金額合計六五二六円並びに平成四年五月の祝日等勤務手当二一一二円のうち四二三円、以上合計金三九五万四八八六円並びに右各金員に対する、対応する「年月」欄記載の各月の翌月二六日から各支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容するが、その余の請求は理由がないから失当として棄却する。 2 原告は、労働基準法一一四条に基づく付加金の支払を請求するが、同条によれば、付加金は制裁としての性質を有するものであり、裁判所は付加金を命ずることが不相当であると判断した場合にはこれを命じないことができるものと解するのが相当である。本件各休憩時間のような休憩時間、仮眠時間の労働時間性が裁判において争われ、正面から肯定された事例が生じたのは比較的最近であり、弁論の全趣旨によれば、本件訴訟も、そのような事例が生じたことを契機として提起されるに至ったことが認められるのであって、このような事情をも併せて考えると、被告は、裁判所の判断により解決することを要する問題について判断を誤っていたために、同法三七条に違反することとなることを認識していなかったものと認めることができる。被告が同法三七条に違反することを認識していなかったことが、同法一一四条に基づく付加金の支払を命ずることの障害になるわけではないとしても、付加金の支払を命ずるか否かの判断には考慮することができ、この点を考慮すると、本件において付加金の支払を命ずることは相当ではないと考えられ、付加金の支払は命じないこととした。 3 訴訟費用の負担について民事訴訟法六一条、六四条を適用し、仮執行宣言の申立てについては、その必要がないものと認めてこれを却下し、よって、主文のとおり判決する。 加金の支払は命じないこととした。 3 訴訟費用の負担について民事訴訟法六一条、六四条を適用し、仮執行宣言の申立てについては、その必要がないものと認めてこれを却下し、よって、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第一九部裁判官高世三郎<81877-001><81877-002><81877-003><81877-004>

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る