平成16(行ケ)136 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年10月27日 東京高等裁判所
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判決文本文6,025 文字)

平成16年(行ケ)第136号審決取消請求事件(平成16年10月20日口頭弁論終結)判決原告ノバルティス・アクチエンゲゼルシャフト訴訟代理人弁護士品川澄雄同吉利靖雄同阿部隆徳同弁理士岩崎光隆同高山裕貢被告メルク・ホエイ株式会社訴訟代理人弁護士村林隆一同松本司同岩坪哲同緒方雅子同弁理士三枝英二同斎藤健治同藤井淳同中野睦子 主文 特許庁が無効2002-35474号事件について平成15年11月27日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,名称を「シクロスポリン含有医薬組成物」とする特許第1996397号発明(平成1年9月14日特許出願〔優先権主張昭和63年9月16日及び平成1年2月9日・英国〕,平成7年12月8日設定登録,以下この特許を「本件特許」という。)の特許権者である。 被告は,平成14 平成1年9月14日特許出願〔優先権主張昭和63年9月16日及び平成1年2月9日・英国〕,平成7年12月8日設定登録,以下この特許を「本件特許」という。)の特許権者である。 被告は,平成14年10月31日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1,10,12~15,18並びに20~29に係る発明について無効審判の請求をした。特許庁は,同請求を,無効2002-35474号事件として審理し,平成15年11月27日,「特許第1996397号の請求項1,10,12~15,18並びに20~29に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年12月9日,原告に送達された。 (2) 原告は,本件審決の取消しを求める本訴を提起した後,平成16年6月18日,本件明細書の特許請求の範囲等の記載の訂正を求める訂正審判の請求をした。特許庁は,同請求を訂正2004-39142号事件として審理し,同年7月23日,上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」といい,本件訂正審決に係る訂正を「本件訂正」という。)をし,その謄本は,同年8月4日,原告に送達された。 2 本件明細書の特許請求の範囲の記載(1) 設定登録時における記載(無効審判請求に係る請求項番号に下線付記)【請求項1】有効成分としてシクロスポリンを含有する水中油(oil-in-water)型のミクロエマルジョン前濃縮物である,医薬組成物。 【請求項2】親水相成分として1,2-プロピレングリコールを含有する,請求項1に記載の組成物。 【請求項3】更に,(1)医薬的に許容されるC1-5アルキルジーまたは部分エーテルを含む親水相成分,(2)親油相成分,および(3)界面活性剤を含有する ールを含有する,請求項1に記載の組成物。 【請求項3】更に,(1)医薬的に許容されるC1-5アルキルジーまたは部分エーテルを含む親水相成分,(2)親油相成分,および(3)界面活性剤を含有する,請求項1に記載の組成物。 【請求項4】親水相成分が更にC1-5アルカノールを含む,請求項2または3に記載の組成物。 【請求項5】C1-5アルカノールがエタノールである,請求項4に記載の組成物。 【請求項6】親油相成分が脂肪酸トリグリセリドを含有する,請求項3に記載の組成物。 【請求項7】界面活性剤がポリオキシエチレングリコール化された天然または水素化植物油を含有する,請求項3に記載の組成物。 【請求項8】界面活性剤が共界面活性剤を含む,請求項7に記載の組成物。 【請求項9】界面活性剤としてポリオキシエチレングリコール化された天然または水素化植物油,共界面活性剤としてモノグリセリドを含む,請求項8記載の組成物。 【請求項10】水と接触させたとき,平均粒子径<1,000Åのミクロエマルジョンを提供することが出来る,請求項1~9のいずれかに記載の組成物。 【請求項11】粘度上昇剤を含む,請求項1~10のいずれかに記載の組成物。 【請求項12】経口投与に適した,請求項1から11のいずれかに記載の組成物。 【請求項13】単位用量形態である,請求項12記載の組成物。 【請求項14】ゼラチンカプセルに封入されている,請求項13記載の組成物。 【請求項15】シクロスポリン5~20重量%を含有する,請求項12~14のいずれかに記載の組成物。 【請求項16】1,2-プロピレングリコールを全組成物の3~45重量%の割合で含有する,請求項12~15のいずれかに記載の組成物。 【請求項17】シクロスポリン対1,2-プロ に記載の組成物。 【請求項16】1,2-プロピレングリコールを全組成物の3~45重量%の割合で含有する,請求項12~15のいずれかに記載の組成物。 【請求項17】シクロスポリン対1,2-プロピレングリコールの重量比が1:0.5~1:3である,請求項16記載の組成物。 【請求項18】親油相成分が全組成物の2~45重量%の割合で存在する,請求項12~17のいずれかに記載の組成物。 【請求項19】親油相成分と1,2-プロピレングリコールの重量比が1:0.15~1:6である,請求項12~18のいずれかに記載の組成物。 【請求項20】界面活性剤が全組成物の20~90重量%の割合で存在する,請求項12~18のいずれかに記載の組成物。 【請求項21】シクロスポリン対界面活性剤の重量比が1:1~1:10である,請求項12~20のいずれかに記載の組成物。 【請求項22】シクロスポリンが全組成物の0.05~15重量%の割合で存在する,経口投与または局所投与に適した,請求項1~11のいずれかに記載の組成物。 【請求項23】シクロスポリン0.1~10重量%を含有する,請求項22記載の組成物。 【請求項24】シクロスポリンが「シクロスポリン(Ciclosporin)」である,請求項1~23のいずれかに記載の組成物。 【請求項25】シクロスポリンが「[Nva]2-シクロスポリン([Nva]2-Ciclosporin)」である,請求項1~23のいずれかに記載の組成物。 【請求項26】請求項1または2に記載の前濃縮物を水と共に混合して含有する,ミクロエマルジョン形態の医薬組成物。 【請求項27】有効成分としてシクロスポリン,親水相,親油相,界面活性剤および水を含有してなる,ミクロエマルジョン形態の医薬組成物。 【請求項28】 る,ミクロエマルジョン形態の医薬組成物。 【請求項27】有効成分としてシクロスポリン,親水相,親油相,界面活性剤および水を含有してなる,ミクロエマルジョン形態の医薬組成物。 【請求項28】シクロスポリンが「シクロスポリン(Ciclosporin)」である,請求項27に記載の組成物。 【請求項29】シクロスポリンが「[Nva]2-シクロスポリン([Nva]2-Ciclosporin)」である,請求項27に記載の組成物。 (請求項30以下の記載略)(2) 本件訂正後の記載(注,訂正部分を下線で示す。なお,本件訂正により,訂正前の請求項12,26~29が削除され,これに伴い,訂正前の請求項の項番号が繰り上がっているので,繰り上げられたものにつき旧請求項番号を付記する。)【請求項1】有効成分としてシクロスポリンを含有する水中油(oil-in-water)型のミクロエマルジョン前濃縮物であって,当該前濃縮物がシクロスポリン5~25重量%,親水相成分0.5~90重量%,親油相成分0.5~90重量%および親水性界面活性剤0.5~90重量%(重量%は組成物の全量に基づく)を含有し,シクロスポリン,親水相成分,親油相成分および親水性界面活性剤の相対的比率が当該前濃縮物をその1重量部に対し5重量部の水で希釈したとき,平均粒子径が1,500Å未満である水中油型ミクロエマルジョンを自然発生的に形成するものである,経口投与用医薬組成物。 【請求項2】有効成分としてシクロスポリンを含有する水中油型のミクロエマルジョン前濃縮物であって,親水相成分として1,2-プロピレングリコールを含有する,医薬組成物。 【請求項3】有効成分としてシクロスポリンを含有する水中油型のミクロエマルジョン前濃縮物であって,更に,(1)医薬的に許容されるC1- として1,2-プロピレングリコールを含有する,医薬組成物。 【請求項3】有効成分としてシクロスポリンを含有する水中油型のミクロエマルジョン前濃縮物であって,更に,(1)医薬的に許容されるC1-5アルキルジーまたは部分エーテルを含む親水相成分,(2)親油相成分,および(3)界面活性剤を含有する,医薬組成物。 【請求項4】親水相成分が更にC1-5アルカノールを含む,請求項2または3に記載の組成物。 【請求項5】C1-5アルカノールがエタノールである,請求項4に記載の組成物。 【請求項6】親油相成分が脂肪酸トリグリセリドを含有する,請求項3に記載の組成物。 【請求項7】界面活性剤がポリオキシエチレングリコール化された天然または水素化植物油を含有する,請求項3に記載の組成物。 【請求項8】界面活性剤が共界面活性剤を含む,請求項7に記載の組成物。 【請求項9】界面活性剤としてポリオキシエチレングリコール化された天然または水素化植物油,共界面活性剤としてモノグリセリドを含む,請求項8記載の組成物。 【請求項10】水と接触させたとき,平均粒子径<1,000Åのミクロエマルジョンを提供することが出来る,請求項1~9のいずれかに記載の組成物。 【請求項11】粘度上昇剤を含む,請求項1~10のいずれかに記載の組成物。 【請求項12】(旧請求項13)単位用量形態である,請求項1~11のいずれかに記載の組成物。 【請求項13】(旧請求項14)ゼラチンカプセルに封入されている,請求項12記載の組成物。 【請求項14】(旧請求項15)シクロスポリン5~20重量%を含有する,請求項1~13のいずれかに記載の組成物。 【請求項15】(旧請求項16)1,2-プロピレングリコールを全組成物の3~45重量%の割合で含有する,請 15)シクロスポリン5~20重量%を含有する,請求項1~13のいずれかに記載の組成物。 【請求項15】(旧請求項16)1,2-プロピレングリコールを全組成物の3~45重量%の割合で含有する,請求項1~14のいずれかに記載の組成物。 【請求項16】(旧請求項17)シクロスポリン対1,2-プロピレングリコールの重量比が1:0.5~1:3である,請求項15記載の組成物。 【請求項17】(旧請求項18)親油相成分が全組成物の2~45重量%の割合で存在する,請求項1~16のいずれかに記載の組成物。 【請求項18】(旧請求項19)親油相成分と1,2-プロピレングリコールの重量比が1:0.15~1:6である,請求項1~17のいずれかに記載の組成物。 【請求項19】(旧請求項20)界面活性剤が全組成物の20~90重量%の割合で存在する,請求項1~17のいずれかに記載の組成物。 【請求項20】(旧請求項21)シクロスポリン対界面活性剤の重量比が1:1~1:10である,請求項1~19のいずれかに記載の組成物。 【請求項21】(旧請求項22)シクロスポリンが全組成物の0.05~15重量%の割合で存在する,経口投与または局所投与に適した,請求項2~11のいずれかに記載の組成物。 【請求項22】(旧請求項23)シクロスポリン0.1~10重量%を含有する,請求項21記載の組成物。 【請求項23】(旧請求項24)シクロスポリンが「シクロスポリン(Ciclosporin)」である,請求項1~22のいずれかに記載の組成物。 【請求項24】(旧請求項25)シクロスポリンが「[Nva]2-シクロスポリン([Nva]2-Ciclosporin)」である,請求項1~22のいずれかに記載の組成物。 (旧請求項26~29は削除。以下の請求項の記載 25)シクロスポリンが「[Nva]2-シクロスポリン([Nva]2-Ciclosporin)」である,請求項1~22のいずれかに記載の組成物。 (旧請求項26~29は削除。以下の請求項の記載略) 3 本件審決の理由本件審決は,本件特許の各請求項に係る発明の要旨を設定登録時の本件明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(1)参照)のとおり認定した上,本件明細書の記載は,請求項1,10,12~15,18並びに20~29の発明について,特許法(注,平成2年法律第30号による改正前のもの)36条3項,4項に規定する要件を満たしていないものであるから,これらの請求項に係る特許は同法123条1項4号の規定により無効とすべきものであると判断した。 第3 当事者の主張 1 原告本件審決が,本件特許の請求項1,10,12~15,18並びに20~29に係る発明の要旨を設定登録時における本件明細書の特許請求の範囲の記載のとおり認定した点は,本件訂正審決の確定により,特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになる。そして,この瑕疵は本件審決の結論に影響を及ぼすものであるから,本件審決は違法として取り消されるべきである。 2 被告本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたことは認める。 第4 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により,特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって,訂正前の請求項1,10,13~15,18,並びに20~25に係る発明の特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである(なお,訂正前の請求項12,26~29は,本件訂正により,削除された。)そうすると,本件 1,10,13~15,18,並びに20~25に係る発明の特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである(なお,訂正前の請求項12,26~29は,本件訂正により,削除された。)そうすると,本件審決が,本件発明の要旨を上記第2の2(1)のとおりであると認定したことは,結果的に誤りであったことに帰し,これが本件審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,本件審決は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所知的財産第2部裁判長裁判官篠原勝美裁判官古城春実裁判官岡本岳

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