平成14年(行ケ)第111号特許取消決定取消請求事件(平成16年5月10日口頭弁論終結)判決原告エスケー化研株式会社訴訟代理人弁理士鈴木崇生同尾崎雄三同梶崎弘一同光吉利之同村田美由紀被告特許庁長官今井康夫指定代理人森田ひとみ同雨宮弘治同一色由美子同宮川久成同伊藤三男被告補助参加人関西ペイント株式会社訴訟代理人弁護士久保田穣同増井和夫同橋口尚幸 主文 特許庁が異議2001-70412号事件について平成14年1月29日にした決定を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,発明の名称を「水性塗料用低汚染化剤,低汚染型水性塗料組成物及びその使用方法」とする特許第3073775号発明(平成10年7月21日出願〔国内優先日平成9年7月24日(以下「本件優先日」という。)〕,平成12年6月2日設定登録,以下,「 染型水性塗料組成物及びその使用方法」とする特許第3073775号発明(平成10年7月21日出願〔国内優先日平成9年7月24日(以下「本件優先日」という。)〕,平成12年6月2日設定登録,以下,「本件発明」といい,その特許を「本件特許」という。)の特許権者である。 本件特許につき,特許異議の申立てがされ,特許庁に異議2001-70412号事件として係属したところ,原告は,平成13年10月5日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等の訂正(以下「本件訂正」という。)の請求をした。特許庁は,上記事件につき審理した結果,平成14年1月29日,「訂正を認める。特許第3073775号の請求項1ないし10に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同年2月15日,原告に送達された。 (2) 原告は,同年3月7日,本件決定の取消しを求める本訴を提起した後,平成15年2月19日,本件明細書の特許請求の範囲の記載等の訂正を求める訂正審判の請求をし,特許庁に訂正2003-39034号事件として係属した。特許庁は,上記事件につき審理した結果,平成16年3月19日,「特許第3073775号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。」との審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その謄本は,同月31日,原告に送達された。 2 本件明細書の特許請求の範囲の記載(1) 設定登録時のもの(以下,その明細書を「登録明細書」という。)【請求項1】少なくとも1個のポリオキシアルキレン基及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物であり,前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素数が1~4,前記アルコキシ 【請求項1】少なくとも1個のポリオキシアルキレン基及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物であり,前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素数が1~4,前記アルコキシル基の炭素数が1~4であることを特徴とする水性塗料用低汚染化剤。 【請求項2】前記ポリオキシアルキル基の繰り返し単位の炭素数が2のポリオキシエチレン基であり,前記アルコキシル基の炭素数が2のエトキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料用低汚染化剤。 【請求項3】合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対して,少なくとも1個のポリオキシアルキレン基及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物であって,前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素数は1~4,前記アルコキシル基の炭素数は1~4である水性塗料用低汚染化剤(B)がSiO2換算にて1.0~40.0重量部添加されたものであることを特徴とする低汚染型水性塗料組成物。 【請求項4】前記水性塗料用低汚染化剤(B)は,前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素数が2のポリオキシエチレン基であり,前記アルコキシル基の炭素数が2のエトキシ基であることを特徴とする請求項3に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項5】合成樹脂エマルション(A)が,アクリル樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項6】合成樹脂エマルション(A)が,アクリルシリコン樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項7】合成樹脂エマルション(A)が,フッ素樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請 ンであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項7】合成樹脂エマルション(A)が,フッ素樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項8】合成樹脂エマルション(A)が,ウレタン樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項9】合成樹脂エマルション(A)が,架橋反応型エマルションであることを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項10】合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対して,少なくとも1個のポリオキシアルキレン基及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物であって,前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素数は1~4,前記アルコキシル基の炭素数は1~4である水性塗料用低汚染化剤(B)をSiO2換算にて1.0~40.0重量部を添加して混合し,塗装することを特徴とする低汚染型水性塗料組成物の使用方法。 (2) 本件訂正に係るもの(注,訂正部分を下線で示す。)【請求項1】少なくとも1個のポリオキシアルキレン基及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物(アルキルシリル基を有するものを除く)であり,前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素数が1~4,前記アルコキシル基の炭素数が1~4であることを特徴とする使用時に混合する水性塗料用低汚染化剤。 【請求項2】前記ポリオキシアルキル基の繰り返し単位の炭素数が2のポリオキシエチレン基であり,前記アルコキシル基の炭素数が2のエトキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料用低汚染化剤。 2】前記ポリオキシアルキル基の繰り返し単位の炭素数が2のポリオキシエチレン基であり,前記アルコキシル基の炭素数が2のエトキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料用低汚染化剤。 【請求項3】合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対して,少なくとも1個のポリオキシアルキレン基及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物(アルキルシリル基を有するものを除く)であって,前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素数は1~4,前記アルコキシル基の炭素数は1~4である水性塗料用低汚染化剤(B)がSiO2換算にて1.0~40. 0重量部使用時に添加されたものであることを特徴とする低汚染型水性塗料組成物。 【請求項4】前記水性塗料用低汚染化剤(B)は,前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素数が2のポリオキシエチレン基であり,前記アルコキシル基の炭素数が2のエトキシ基であることを特徴とする請求項3に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項5】合成樹脂エマルション(A)が,アクリル樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項6】合成樹脂エマルション(A)が,アクリルシリコン樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項7】合成樹脂エマルション(A)が,フッ素樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項8】合成樹脂エマルション(A)が,ウレタン樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項9】合成樹脂エマル 【請求項8】合成樹脂エマルション(A)が,ウレタン樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項9】合成樹脂エマルション(A)が,架橋反応型エマルションであることを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項10】合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対して,少なくとも1個のポリオキシアルキレン基及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物(アルキルシリル基を有するものを除く)であって,前記ポリオキシアルキレン基の繰り返し単位の炭素数は1~4,前記アルコキシル基の炭素数は1~4である水性塗料用低汚染化剤(B)をSiO2換算にて1.0~40.0重量部を使用時に添加して混合し,塗装することを特徴とする低汚染型水性塗料組成物の使用方法。 (以下,上記【請求項1】~【請求項10】に係る発明を「本件発明1」~「本件発明10」という。)(3) 本件訂正審決に係るもの(注,訂正部分を下線で示す。なお,斜体字部分は,上記(2)との相違部分である。)【請求項1】少なくとも1個の及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物(を有するものを除く)であり,前記アルコキシル基の炭素数が1~4であることを特徴とする使用時に混合する水性塗料用低汚染化剤。 【請求項2】前記アルコキシル基炭素数が2のエトキシ基であることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料用低汚染化剤。 【請求項3】合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対して,少なくとも1個の及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物(を有するものを除く)であって,前記アルコキシ 【請求項3】合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対して,少なくとも1個の及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物(を有するものを除く)であって,前記アルコキシル基の炭素数は1~4である水性塗料用低汚染化剤(B)がSiO2換算にて1.0~40.0重量部使用時に添加されたものであることを特徴とする低汚染型水性塗料組成物。 【請求項4】前記水性塗料用低汚染化剤(B)前記アルコキシル基が炭素数2のエトキシ基であることを特徴とする請求項3に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項5】合成樹脂エマルション(A)が,アクリル樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項6】合成樹脂エマルション(A)が,アクリルシリコン樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項7】合成樹脂エマルション(A)が,フッ素樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項8】合成樹脂エマルション(A)が,ウレタン樹脂系エマルションであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項9】合成樹脂エマルション(A)が,架橋反応型エマルションであることを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の低汚染型水性塗料組成物。 【請求項10】合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対して,少なくとも1個の及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物(を有するものを除く)であって,前記アルコキシル基の炭素数は1~4である水性塗料用低汚染化剤( 100重量部に対して,少なくとも1個の及びアルコキシル基を有するアルコキシシランの変性縮合物(を有するものを除く)であって,前記アルコキシル基の炭素数は1~4である水性塗料用低汚染化剤(B)をSiO2換算にて1.0~40.0重量部を使用時に添加して混合し,塗装することを特徴とする低汚染型水性塗料組成物の使用方法。 3 本件決定の理由本件決定は,本件訂正を認めた上,本件発明1~10は,本件優先日前の出願であって,本件優先日後に出願公開された特願平8-29658号の願書に最初に添付した明細書に記載された発明(以下「先願発明」という。)と同一であると認められ,しかも,本件発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとも,また,本件特許出願の時にその出願人と先願発明に係る出願人とが同一であるとも認められないから,本件発明1~10に係る特許は,特許法29条の2の規定に違反してされたものであり,同法113条2号に該当し,取り消すべきものであるとした。 第3 原告主張の本件決定取消事由本件決定が,本件発明の要旨を本件訂正に係る本件明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(2))のとおり認定した点は,本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(3)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになるから,本件決定は,本件発明の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されるべきである。 第4 被告の主張本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは認める。 第5 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(3)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許請求の範囲が減縮されたこ 第5 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(3)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると,本件決定が,本件発明の要旨を本件訂正に係る本件明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(2))のとおり認定したことは,結果的に誤りであったことに帰し,これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,本件決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所知的財産第2部裁判長裁判官篠原勝美裁判官古城春実裁判官早田尚貴
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