平成16(ワ)2135 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年10月27日 さいたま地方裁判所
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判決文本文15,464 文字)

- 1 -主文原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1請求 被告らは,原告X1に対し,連帯して4329万2675円及びこれに対する平成15年8月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告X2に対し,連帯して4329万2674円及びこれに対する平成15年8月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要原告らは,A(昭和59年7月23日生まれ,平成15年8月24日死亡)の両親でその相続人である。被告Y1(昭和61年6月7日生まれ)は,被告Y2と被告Y3の次男である。 Aは平成15年8月24日午前1時ころ埼玉県志木市内を普通自動二輪車以,,(下「」という)で走行中,被告Y1の暴走族仲間であるEの運転する普A二輪車。 通自動二輪車(以下「」という)に後方から執ように煽られ追跡を受けE二輪車。 たため(以下「」という,これから逃れようとして高速度で走行本件追走行為。)し,カーブを曲がりきれずに転倒して,ガードレールに衝突し,同日午前11時9分ころ,重症胸部外傷による出血性ショックにより死亡した。 本件は,原告らが,①被告Y1に対し,本件追走行為につきEと共謀したなどとして,共同不法行為(民法719条)による損害賠償請求権に基づき,②被告Y2及び被告Y3に対し被告Y1につき監督義務違反があるとして不法行為民,,(法709条)による損害賠償請求権に基づき,連帯して,原告X1においては4329万2675円,原告X2においては4329万2674円及び各損害金に対する不法行為の日である平成15年8月24日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 - 2 - 前提事実(証拠 ては4329万2674円及び各損害金に対する不法行為の日である平成15年8月24日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 - 2 - 前提事実(証拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない)。 (1)当事者等アAは,原告X1と原告X2の次男として昭和59年7月23日に生まれ,平成15年8月24日当時,大学生であった。Aは,自動二輪車の運転を趣味としており,日ごろから,B,C及びDらとともに自動二輪車を運転していた。 (甲11の3,21,47及び50,弁論の全趣旨)イ被告Y1は,昭和61年6月7日生まれで,平成15年8月24日当時,川越工業高等学校を中退後,電話電気工事の会社に勤務していた。被告Y2は被告Y1の父親であり,被告Y3はその母親である。被告Y1は,E(昭和60年11月21日生まれ,F(昭和61年9月9日生まれ)及びG(昭和59年5月5日生)まれ)らといわゆる暴走族仲間等として顔見知りで遊び仲間であった。 (,,,,)甲11の1及び約80甲12の1及び3丁1被告Y1本人弁論の全趣旨(2)E二輪車についてE二輪車は,普通自動二輪車で型式はスズキGS400である。E二輪車は,自動車登録検査の有効期間が平成15年7月16日で終了しており,自動車損害賠償責任保険にも加入しておらず,いわゆる無車検無保険の状態であった。 E二輪車は,座席が背もたれ付きに交換されており,ハンドル,マフラー,ミラーなども交換された改造自動二輪車である。また,E二輪車の近接排気騒音は法令の規制値である99デシベルを上回る125デシベルであり,極めて大きな騒音が生じる。これらの改造により,E二輪車は暴走族が乗る自動二輪車としての特徴を表しており,一見して暴走族と見られた。 (甲11の97, である99デシベルを上回る125デシベルであり,極めて大きな騒音が生じる。これらの改造により,E二輪車は暴走族が乗る自動二輪車としての特徴を表しており,一見して暴走族と見られた。 (甲11の97,98,102,110,113及び119)(3)本件追走行為の現場付近の道路状況川ア本件追走行為は,別紙経路見取図(省略)記載の③地点の交差点(以下「」という)付近から④地点の交差点(以下「」口信金前交差点本町3丁目交差点。 という)付近までの間で行われた。 。 - 3 -イ川口信金前交差点から本町3丁目交差点までの道路は,県道保谷志木線で,片側1車線で幅員約7メートル,距離約400メートルのほぼ直線道路である。上記道路は,最高速度が時速30キロメートルに制限されており,追越しのための右側部分はみ出し禁止となっている。 ウ本町3丁目交差点の南側道路は,県道志木停車場線で,片側1車線で幅員約7メートル,車道の両側に歩道が設けられており,車道と歩道との間にはガードレールが設置されている。県道志木停車場線は,県道保谷志木線と同様に,最高速度が時速30キロメートルに制限されており,追越しのための右側部分はみ出し禁止となっている。 本町3丁目交差点は,変形した十字路で,県道保谷志木線から県道志木停車場線に進行する場合,曲率半径70メートルのカーブになっている。Bが運転していた自動二輪車で鑑定したところ,このカーブでの旋回速度の限界値は,時速75ないし85キロメートルであった。 (甲11の12,99,112及び121)(4)本件追走行為に至る経緯アA,B,C及びDは,平成15年8月23日午後11時ころ埼玉県志木市宗岡所在の秋ヶ瀬運動公園に集まり,レースのようなスピードを競う走行をした後,翌24日午前1時前ころ(以下,時刻のみを記載する アA,B,C及びDは,平成15年8月23日午後11時ころ埼玉県志木市宗岡所在の秋ヶ瀬運動公園に集まり,レースのようなスピードを競う走行をした後,翌24日午前1時前ころ(以下,時刻のみを記載する場合,平成15年8月24日の時刻を指す,それぞれ,各自の自動二輪車を運転して,上記秋ヶ瀬運動公園。)から志木駅方面に向かった。 イ被告Y1,E,F及びGは,午前0時50分ころ,ほか2名とともに,別紙経路見取図①所在のコンビニエンスストアの駐車場(以下「」といコンビニ駐車場う)でたむろしていた。 。 午前1時ころ,Aらの運転する自動二輪車4台がコンビニ駐車場前の道路を通過した。被告Y1らは,Aらが暴走族等に加わらずに,改造自動二輪車によるいわゆる暴走行為を行う者,いわゆる「もぐり(以下「」という)であると考」。 もぐり- 4 -え,仲間内で「もぐり狩り」と称している懲らしめ等を実行するため,Aらを追跡することにした。 Eは,コンビニ駐車場に駐車してあったE二輪車を持ち出し,後部座席に被告Y1を乗せて,志木駅方面に向けて出発した。また,Gは,自ら運転してきていた軽ワゴン車(スズキワゴンR)にFらを乗車させて,志木駅方面に向けて出発した。 ,,,。 ウAらは午前1時過ぎころ川口信金前交差点において赤信号で停止したAらの自動二輪車4台の前方には,乗用車3台が信号待ちをしていた。 Eは,川口信金前交差点でAらの自動二輪車に追いつき,前方の乗用車3台とAらの自動二輪車との間にE二輪車を割り込ませるようにして停車させた。Eは,E二輪車のエンジンを空ぶかしし,Aらをにらみつけた。A及びBは,これを見て,それぞれ自動二輪車を発進させ,歩道等を走行して,前方に停車していた乗用車を追い抜き,川口信金前交差点の赤信号を無視して,川口信金前交 ンジンを空ぶかしし,Aらをにらみつけた。A及びBは,これを見て,それぞれ自動二輪車を発進させ,歩道等を走行して,前方に停車していた乗用車を追い抜き,川口信金前交差点の赤信号を無視して,川口信金前交差点から県道保谷志木線を南に向かって走行した。 Eは,川口信金前交差点において,C,Dを見張らせるために,被告Y1をE二輪車から降ろした後,一人でE二輪車を発進させ,A及びBを追いかけた。 (5)本件追走行為アA及びBは,Aを先頭にして川口信金前交差点から本町3丁目交差点に向けて,それぞれの自動二輪車を走行させた。速度はそれぞれ時速約70ないし約80キロメートルであった。Eは,A及びBに対し,後方から約25メートルの距離まで接近するなどして,煽り,執ように追いかけた。 Aは,時速約70ないし約80キロメートルの速度のまま,本町3丁目交差点から県道志木停車場線に進行しようとしたが,本町3丁目交差点のカーブでハンドル操作を制御できず曲がりきれないまま転倒し,A二輪車ごと県道志木停車場線の左側ガードレールに衝突し,受傷した。 イBは,Aが転倒したのを見て,カーブを曲がりきれないと判断し,自らバイクを倒して転倒し,ガードレールへの衝突を回避した。Bは,この転倒で,全治2- 5 -週間を要する見込みの両肘挫創,右大腿膝挫創の傷害を負った(甲11の18,。 証人B)ウAは,救急車でさいたま赤十字病院に搬送されたが,午前11時9分ころ,重症胸部外傷による出血性ショックにより死亡した(甲11の18,38及び4。 2)(6)被告Y1,並びに遅れて川口信金前交差点に到着したF及びGは,川口信金前交差点において,C及びDに対し殴るなどの暴行を加えた上,Gの運転する乗用車に押し込んで志木市内の富士見下橋下の新河岸川右岸河川敷まで連行し,同所において,さ 交差点に到着したF及びGは,川口信金前交差点において,C及びDに対し殴るなどの暴行を加えた上,Gの運転する乗用車に押し込んで志木市内の富士見下橋下の新河岸川右岸河川敷まで連行し,同所において,さらに殴る蹴るの暴行を加えたり,川に突き落としたりした。 (7)なお,原告らは,本件訴訟において,被告らのほか,E及びその両親,F及びその両親並びにG及びその母親も相手方とした。被告らを除く相手方との間では,それぞれ個別に和解が成立した。 争点 (1)被告Y1の責任原因被告Y1が本件追走行為につき共謀したか(争点①)。 (2)被告Y2及び被告Y3の責任原因ア被告Y2及び被告Y3にそれぞれ監督義務違反があったか(争点②)。 イ被告Y2及び被告Y3の各監督義務違反により,それぞれ本件追走行為が生じ,その結果Aが死亡したか(争点③)。 (3)A及び原告らの損害額はいくらか(争点④)。 (4)Aに過失があるか,その過失割合はいくらか(争点⑤)。 争点に関する当事者の主張(1)争点①(被告Y1が本件追走行為につき共謀したか)について(原告ら)ア被告Y1及びFは,駅などに集団でたむろし,目立つ格好をしている者に因縁をつけるなどの暴力的な不良行為を行っていた少年グループであり,仲間内で- 6 -「a」と称しているグループに所属していた。被告Y1らのaに所属する少年は,暴走族等に加わらずに,改造自動二輪車による暴走行為を行う「もぐり」を見つけると,もぐり狩りと称して,懲らしめのため,これを捕まえて暴行を加えるなどしていた。 Eは,いわゆる暴走族である「b」に所属しており,被告Y1及びF同様に,もぐり狩りを行っていた。 Gは,かつて,aの前身で,スタンガンやナイフといった凶器を使用して路上強盗や恐喝などの犯罪を行う「c」と称するグ る暴走族である「b」に所属しており,被告Y1及びF同様に,もぐり狩りを行っていた。 Gは,かつて,aの前身で,スタンガンやナイフといった凶器を使用して路上強盗や恐喝などの犯罪を行う「c」と称するグループに所属していた。 イ被告Y1,E,F及びGは,午前1時ころ,コンビニ駐車場でAら4名が自動二輪車で走行しているのを見て,Eにおいて「もぐりだ,追おう」などと述べ。 ,,。 たことから意思を通じてAらを追跡してこれを捕まえ暴行することを共謀したウE及び被告Y1は,上記共謀に基づき,Aら4名に対し,コンビニ駐車場から川口信金前交差点まで自動二輪車で追跡した。 さらに,Eは,自動二輪車で逃走したA及びBに対し,川口信金前交差点から本町3丁目交差点まで,E二輪車で大きな騒音を響かせながら,Aの運転するA二輪車を執ように追走する本件追走行為に及んで,Aを死亡させた。 エまとめ被告Y1は,Aらに対するもぐり狩りについて共謀しており,本件追走行為は上記共謀に基づく一連の暴行・傷害行為の一部であるから,被告Y1の上記共謀と本件追走行為によるAの死亡との間には相当因果関係がある。 (被告ら)争う。本件追走行為は,被告Y1らとの共謀に基づく行為ではなく,Eの単独行為である。被告Y1は,本件追走行為を共謀した事実はなく,Aらをコンビニ駐車場から川口信金前交差点までEとともに追跡したに止まり,本件追走行為にも関与していないから,被告Y1の行為とAの死亡との間には,因果関係がない。 (2)争点②(監督義務違反)について- 7 -(原告ら)ア被告Y1は,平成15年8月24日当時17歳で,両親である被告Y2及び被告Y3と同居していた。被告Y1は,高校を中退後,電話電気工事を行う会社に勤務していたが,不良少年グループであるaに所属し,改造した自動二輪車の 15年8月24日当時17歳で,両親である被告Y2及び被告Y3と同居していた。被告Y1は,高校を中退後,電話電気工事を行う会社に勤務していたが,不良少年グループであるaに所属し,改造した自動二輪車の無免許運転や不良交友,深夜はいかいを繰り返しており,生活態度は芳しくなかった。 したがって,被告Y2及び被告Y3は,被告Y1に対して,交友関係をただし規則正しい生活を送らせることにより,犯罪行為を行わせないように指導監督すべき注意義務があった。 イ被告Y2及び被告Y3は,それぞれ上記注意義務に反し,被告Y1に対し,安易に自立を求めた結果,被告Y1の行動を放任していた。 (被告ら)争う。被告Y1は,既に17歳であり,被告Y2及び被告Y3において,その一挙手一投足を監督する義務はない。また,被告Y2及び被告Y3は,被告Y1に対し,それぞれ繰り返し深夜はいかいをしないよう注意しており,指導監督を尽くしている。 (3)争点③(監督義務違反との因果関係)について(原告ら)被告Y2及び被告Y3の各監督義務違反により,被告Y1は,Eらとの間でAらを追跡して,同人らを捕まえ暴行することを共謀するに至り,その結果,Aを死亡させており,被告Y2及び被告Y3の監督義務違反とAの死亡との間にはそれぞれ相当因果関係がある。 (被告ら)争う。 (4)争点④(損害額)について(原告ら)アAの損害額- 8 -(ア)治療関係費71万3280円(イ)入院雑費(入院1日)1500円(ウ)文書料1万5750円(エ)葬儀費用552万0075円(オ)逸失利益5177万8724円あ基礎収入674万4700円Aは,死亡当時,19歳の大学1年生で,生涯にわたり大卒男子の平均賃金を得ることができたから,平成14年賃金センサス男性労働者大卒全年齢平均 益5177万8724円あ基礎収入674万4700円Aは,死亡当時,19歳の大学1年生で,生涯にわたり大卒男子の平均賃金を得ることができたから,平成14年賃金センサス男性労働者大卒全年齢平均賃金を基礎収入とする。 い就労可能年数45年間Aは,大学卒業時の22歳から67歳までの45年間,就労可能であった。 う生活費控除50%(未婚の単身者)え中間利息控除15.3539死亡時から67歳までの48年間に対応するライプニッツ係数18.0071から,死亡時から大学卒業時までの3年間に対応するライプニッツ係数2.7232を差し引いた値。 お計算式万円×(-)×=万円 4700 0.515.353951778724(カ)死亡慰謝料3000万円Aは,本件事件において,約400メートルにわたり,時速約70ないし約80,,キロメートルもの高速度で執ように追いかけられ著しい不安と恐怖を感じながら死に追いやられたことを考慮すれば上記金額が相当である。 (キ)A二輪車の価格55万6020円Aは,平成14年ころ,A二輪車を55万6020円で購入したが,本件事件で全損したから,上記購入金額が損害額となる。 (ク)小計8858万5349円- 9 -イ原告らの損害額(ア)Aの損害賠償請求権の相続分(法定相続による)原告X1につき4429万2675円原告X2につき4429万2674円(イ)原告ら固有の慰謝料各1000万円(ウ)損害の填補各-1495万円原告らは,平成17年3月31日,自動車損害賠償保障法72条1項の規定に基づき,政府の自動車損害賠償保障事業から合計2990万円の支払を受けたから,これを損害額から控除する。 (エ)弁護士費用各395万円弁護士費用のうち,原告ら 車損害賠償保障法72条1項の規定に基づき,政府の自動車損害賠償保障事業から合計2990万円の支払を受けたから,これを損害額から控除する。 (エ)弁護士費用各395万円弁護士費用のうち,原告ら各自の損害額である上記(ア)から(ウ)までの各合計額の約1割は,本件事件と相当因果関係がある。 ウ合計原告X1につき4329万2675円原告X2につき4329万2674円(被告ら)争う。 (5)争点⑤(過失相殺)について(被告ら)本件事件によるAの死亡には,Aにおいて,自動二輪車の運転操作を誤り,転倒した過失が介在しており,相当程度の過失相殺をすべきである。 (原告ら)争う。 第3争点に対する判断 前記前提事実及び当該認定箇所に掲記する証拠によって認められる事実は次のとおりである。 - 10 -(1)当事者等アAについて(ア)Aは,川口総合高等学校を卒業後,大学に進学し,平成15年8月24日当時,第1学年に在籍していた。 Aは,自動二輪車の運転が趣味で,自動二輪車を改造しては公園などでスピードを競う遊びのレースなどをしており,B,C及びDも同じ遊び仲間でこのようなレ。 ,,ースに参加していたAらは特に暴走族等のグループには所属していなかったが一見すると暴走族のような集団に見えた。 (甲11の21,40,47及び50,証人B)(イ)A二輪車は,普通自動二輪車で型式はカワサキZRX400である。A二輪車は,前輪のサスペンション,ハンドル,テールカウル及びマフラー等が改造されており,近接排気騒音は120から140デシベル(本件事件による破損で測定されていない)に達し,騒音の規制値(99デシベル以下)を超える騒音が発生。 し,外見上からは暴走族と変わらなかった。 なお,B,C及びDの所有する自動二輪車も,それぞれ暴走 本件事件による破損で測定されていない)に達し,騒音の規制値(99デシベル以下)を超える騒音が発生。 し,外見上からは暴走族と変わらなかった。 なお,B,C及びDの所有する自動二輪車も,それぞれ暴走族になじみのあるスタイルに改造されており,Bの自動二輪車の近接排気騒音は120から140デシベル(本件事件による破損で測定されていない,Cの自動二輪車の近接排気騒。)音は103デシベル,Dの自動二輪車の近接排気騒音は98デシベルに達し,騒音の規制値を超えるか規制値ぎりぎりであった。 (甲11の23,32,40,53,54及び63)イ被告Y1並びにE,F及びGについて(ア)被告Y1(昭和61年6月7日生まれ)は,平成13年3月,中学校を卒業後,川越工業高等学校に進学した。被告Y1は,平成14年1月ころ,川越工業高等学校を中退し,電話電気工事の会社に就職した。 被告Y1は,aといういわゆる不良少年グループに所属しており,駅周辺やゲームセンターでたむろし,目立った格好をしている人に因縁を付けるなどの暴力的な- 11 -不良行為を行っていた。Fも被告Y1と同じグループに所属しており,また,グル。 ,,ープの集まり以外でも一緒に遊ぶなどしていた被告Y1はGの中学校の後輩でGとも交友関係があった。 被告Y1は,さいたま家庭裁判所において,当日行ったC及びDに対するもぐり狩り,すなわち同人らに対する傷害及び逮捕監禁の罪を非行事実として送致され,その旨の認定をされて少年院送致の処分を受けたが,本件追走行為についてはそもそも送致の対象とされておらず,非行事実も認定されなかった。 (甲11の79及び80,甲12の1,丙の3の1,丙4,被告Y1本人,弁論の全趣旨)()(),,,イE昭和60年11月21日生まれは平成12年3月中学 実も認定されなかった。 (甲11の79及び80,甲12の1,丙の3の1,丙4,被告Y1本人,弁論の全趣旨)()(),,,イE昭和60年11月21日生まれは平成12年3月中学校卒業後建設関係の会社に就職した。その後,職を転々とし,平成13年夏ころ,bという暴走族グループに加わった。Eは,平成14年4月ころ,無免許運転及び窃盗事件で家庭裁判所から6か月の試験観察処分を受け,そのころ,bを脱退した。 Eは,Fと同じ中学校の出身で先輩後輩の関係にあり,bを脱退した後も,bに所属している少年やFらと深夜,コンビニエンスストアやゲームセンターでたむろする等の交遊が続いていた。もっとも,Fらが所属するaというグループに所属したり,そのようなグループと行動を共にしたりしたことはない。 ,,。 ,Eは平成15年8月24日当時自動車運転免許を取得していなかったEは本件追走行為につき,平成15年11月21日,さいたま家庭裁判所において,Aに対する傷害致死等の罪により中等少年院送致の処分を受けた。 (甲11の1及び100,乙1,被告E本人,被告E親権者本人)(ウ)F(昭和61年9月9日生まれ)は,平成13年3月,中学校を卒業後,鶴ヶ島高等学校に進学したが,第1学年の夏ころ中退した。Fは,高校中退後,塗装業の会社等を転々とした。 Fは,平成13年12月ころ,被告Y1と同じグループに加わった。Fは,平成15年7月ころ,平成14年12月の池袋周辺を行動範囲とする少年グループとの- 12 -抗争事件において金属バットを持って集合したとの凶器準備集合の罪により,保護観察処分を受けていた。 Fは,さいたま家庭裁判所において,C及びDに対する傷害及び逮捕監禁の罪により少年院送致の処分を受けたが,Aに対する傷害致死を含め,本件追走行為につ 準備集合の罪により,保護観察処分を受けていた。 Fは,さいたま家庭裁判所において,C及びDに対する傷害及び逮捕監禁の罪により少年院送致の処分を受けたが,Aに対する傷害致死を含め,本件追走行為についての処分はなかった。 (丁3,被告F本人,被告F親権者本人,弁論の全趣旨)(エ)G(昭和59年5月5日生まれ)は,平成11年3月,中学校を卒業後,浦和学院高等学校に進学したが,同年9月ころ中退した。Gは,平成13年2月に両親が離婚し,母親とともに埼玉県比企郡鳩山町に転居した。Gは,平成13年夏ころ,aの前身であるcと称するグループに加入したが,自動二輪車での暴走行為や暴力行為には余り関与しないまま,数か月で脱退した。Gは,平成13年9月ころ,父親の下で仕事を探すと言って,母親宅から埼玉県志木市周辺に移り住み,以後,定職に就かず,アルバイトなどをしながら過ごしていた。 (甲12の32,戊1,2,被告G本人,被告G親権者本人)(2)本件追走行為の経緯についてア被告Y1及びFは,平成15年8月23日夜,aのグループの集まりに参加,。((),した後E及びGらとコンビニ駐車場でたむろしていた前記前提事実 イ甲11の81)イ午前1時ころ,A,B,C及びDの運転する自動二輪車4台がコンビニ駐車場前の道路を通過した。Aらの自動二輪車は,改造されており,大きな騒音を出して走行していた。 E,被告Y1及びFは,それぞれ,Aらの自動二輪車がコンビニ駐車場前の道路を通過するのを見て,暴走族に加入せずに改造バイクで走るもぐりであると認め,自分たちの縄張である志木市周辺を断りなく走行していることに怒りを覚えた。Eは,被告Y1らに対し「どうする,追うか」などと言って,いわゆるもぐり狩,。 り,すなわちAらを追跡して,因縁をつけ,暴行を加えて懲 縄張である志木市周辺を断りなく走行していることに怒りを覚えた。Eは,被告Y1らに対し「どうする,追うか」などと言って,いわゆるもぐり狩,。 り,すなわちAらを追跡して,因縁をつけ,暴行を加えて懲らしめようとすること- 13 -を言い出した。被告Y1及びFは,すぐにこれに賛同した。Eは,E二輪車を持ち出し,被告Y1に対し,後部座席に乗るように言った。Eは,被告Y1を後部座席に乗せると,Aらが走行していった方向に向けて発進した。 Gは,EがE二輪車でコンビニ駐車場から発進するのを見て,跡を追いかけようとし,軽ワゴン車に,F,H及びIを乗せて,E二輪車の進行した跡を追って発進した。 (前記前提事実(4)イ,甲11の72,79,86,91及び106,12の32及び34,乙1,丙3の2,丁1,2,戊1,証人B,被告E本人,被告Y1本人,被告F本人,被告G本人),,ウコンビニ駐車場から川口信金交差点までは約1キロメートルの距離がありその間,信号機の設置された交差点が5か所ある。また,平成15年8月23日夜から翌24日まで,別紙経路見取図の②地点で道路工事が行われており,片側交互通行になっていた。 Aらは,それぞれの自動二輪車で,上記区間を時速約30キロメートル程度の速度で走行した。Eは,E二輪車で,Aらを追跡して,上記区間を走行したが,信号機の設置された交差点が5か所あり,片側交互通行になっている区間も交通誘導員の指示に従って進行しており,高速度で進行した事実はうかがわれない。 (甲11の62から65まで,99),,,。 エAらは午前1時過ぎころ川口信金前交差点において赤信号で停止したAらの自動二輪車4台の前方には,乗用車3台が信号待ちをしていた。 Eは,川口信金前交差点でAらの自動二輪車に追いつき,前方の乗用車3台とAらの 時過ぎころ川口信金前交差点において赤信号で停止したAらの自動二輪車4台の前方には,乗用車3台が信号待ちをしていた。 Eは,川口信金前交差点でAらの自動二輪車に追いつき,前方の乗用車3台とAらの自動二輪車との間にE二輪車を割り込ませるようにして停車させた。Eは,E二輪車のエンジンを空ぶかしし,Aらをにらみつけた。 A及びBは,これを見て,それぞれ自動二輪車を発進させ,歩道等を走行して,前方に停車していた乗用車を追い抜き,川口信金前交差点の赤信号を無視して,川口信金前交差点から県道保谷志木線を南に向かって走行した。 - 14 -,「。」,,これを見たEは被告Y1に対し降りろよと言ってE二輪車から降ろし一人で,E二輪車を発進させ,A及びBを追いかけた。一方,被告Y1は川口信金交差点で停まっていたDの自動二輪車に近づきその鍵を抜き,その横に停まって発車しようとしたCの自動二輪車を右足でけり倒した。 (前記前提事実(4)ウ,甲12の55,被告E本人,被告Y1本人)オA及びBは,Aを先頭にして川口信金前交差点から本町3丁目交差点に向けて,それぞれの自動二輪車を走行させた。A及びBは,乗用車数台を追い抜きながら,時速約70ないし約80キロメートルで進行した。 Eは,威嚇するためエンジンを空ぶかしし,大きな騒音を響かせ,反対車線にはみ出て蛇行運転をしながら,時速約70ないし約80キロメートルでA及びBを追跡した。Eは,途中,A及びBに対し,後方約25メートルの距離まで接近するなどして,本町3丁目交差点まで追走して煽った。 (前記前提事実(5)ア,甲11の68,92,100,証人B,被告E本人)カAは,時速約70ないし約80キロメートルの速度のまま,本町3丁目交差点から県道志木停車場線に進行しようとしたが,高速であったためにカーブを )ア,甲11の68,92,100,証人B,被告E本人)カAは,時速約70ないし約80キロメートルの速度のまま,本町3丁目交差点から県道志木停車場線に進行しようとしたが,高速であったためにカーブを曲がりきれずに本町3丁目交差点のカーブで転倒し,A二輪車ごと県道志木停車場線の左側ガードレールに衝突した。 本町3丁目交差点付近道路は,最高速度が時速30キロメートルに制限されており,交通量もあり,カーブとなっているから,安全に進行するには少なくとも時速40キロメートル程度に減速して進行する必要があった。しかし,Aは,本件追走行為を受けて,時速40キロメートル程度に減速することなく,本件追走行為から逃れようとして時速約70ないし約80キロメートルという高速のまま走行し,その結果,上記カーブを曲がりきれずにガードレールに衝突した。ちなみに,上記の交差点のカーブでのAと類似するBの自動二輪車による旋回速度の限界値は,毎時75ないし85キロメートルとされており,Aの当時の走行速度はほぼ旋回限界値に達していた。 - 15 -なお,A二輪車が,Bの運転する自動二輪車と接触した事実は認められない。 (前記前提事実(3)ウ及び(5)ア,甲11の2,3,23,32,94及び112,証人B)キAは,救急車でさいたま赤十字病院に搬送されたが,午前11時9分ころ,重症胸部外傷による出血性ショックにより死亡した。 (前記前提事実(5)ウ)(3)Eが本件追走行為をしている間,被告Y1は,後から追い付いたF及びGとともに,川口信金前交差点において,C及びDに対し殴るなどの暴行を加えた。 その後,Eが,本町3丁目交差点から戻ってきて,被告Y1らに対し,川口信金前交差点では人目もあるので違うところに連れていくよう指示した。被告Y1らは,Gの運転する軽乗用車にC及びDを押 行を加えた。 その後,Eが,本町3丁目交差点から戻ってきて,被告Y1らに対し,川口信金前交差点では人目もあるので違うところに連れていくよう指示した。被告Y1らは,Gの運転する軽乗用車にC及びDを押し込み,Gの判断で,新河岸川右岸河川敷まで連行し,同所において,さらに殴る蹴るの暴行を加えたり,川に突き落としたりした。しかし,Eは別なところに出掛け,前記河川敷には来なかった。 (前記前提事実(6,甲12の56,被告G本人))(4)被告Y1は,平成15年9月10日逮捕され,勾留されたままさいたま家庭裁判所に送致された。送致事実は,傷害,逮捕監禁で,その内容は下記のとおりである(甲12の1,2)。 記「被告Y1は,F,G,Eと共謀の上,平成15年8月24日午前1時10分ころから同日午前2時30分ころまでの間,第1志木市本町2丁目5番40号川口信用金庫前路上において,たまたま信号待ちで停車中の自動二輪車に乗車した被害者C(当時19年)及びD(当時18年)らに対し因縁をつけ,強いて同人らを自動車内に押し込み,志木市本町2丁目1番まで前記車両を疾走させて,同人らの脱出を不可能にして監禁し第2そのころ,前記路上及び富士下橋下新河岸川右岸において- 16 - 前記Cに対し,その顔面を殴打し,頭部を足蹴にするなどの暴行を加え,よって,同人に加療1週間を要する顔面打撲,左膝打撲,頭部打撲の傷害を負わせ 前記Dに対し,その頭部を足蹴にするなどの暴行を加え,よって,同人に加療2週間を要する頭部打撲,顔面打撲の傷害を負わせたものである」。 しかし,被告Y1は,本件追走行為やAの死亡との関係については,送致されず,家庭裁判所の審判においても特に非行事実として取り上げられなかった(被告Y。 1本人,被告Y2本人,弁論の全趣旨) 以上認定 し,被告Y1は,本件追走行為やAの死亡との関係については,送致されず,家庭裁判所の審判においても特に非行事実として取り上げられなかった(被告Y。 1本人,被告Y2本人,弁論の全趣旨) 以上認定した事実に基づき,まず争点①(被告Y1は,本件追走行為につき共謀したか)について判断する。 (1)前記認定事実のとおり,Aは,本件追走行為を受けて,これから逃れるため,時速約70ないし約80キロメートルという,本町3丁目交差点のカーブを曲がりきれない程の高速度で走行したため,カーブを曲がりきれずにガードレールに衝突して死亡しており,死亡と本件追走行為との間に因果関係があることは明らかである。 (2)しかしながら,被告Y1が本件追走行為につき共謀したことを認めるに足りる証拠はない。その理由は以下のとおりである。 原告らは被告Y1とEらとの間でもぐり狩りをしようという共謀が成立していることをもって,本件追走行為についても共謀が成立したと主張している。 確かに,当日,E,被告Y1及びFは,コンビニ駐車場において,Aらが暴走族,,,風に改造されたバイクで走行しているのを見てもぐりであると認めもぐり狩り,,,すなわち同人らを追跡し暴行を加えて懲らしめようと共謀し上記共謀に基づきE及び被告Y1はE二輪車で,F及びGは軽乗用車で,それぞれ,Aらを追跡したことが認められる。 しかし,①上記追跡行為自体は,比較的低速度で,姿の見えないA二輪車等を追跡するというもので,交通誘導員の指示に従い走行するなど先行車両等に危害を- 17 -加えるような速度・態様で行われていない。②E及び被告Y1は,川口信金前交差点で,Aらに追い付いたが,A及びBが自動二輪車で逃走するのを見て,Eにおいて被告Y1に対し「降りろよ」と言って,E二輪車から降りるよう指示し, 行われていない。②E及び被告Y1は,川口信金前交差点で,Aらに追い付いたが,A及びBが自動二輪車で逃走するのを見て,Eにおいて被告Y1に対し「降りろよ」と言って,E二輪車から降りるよう指示し,,。 被告Y1はこれに従い,E二輪車から降りた。その後,EはAらに対し,一人で本件追走行為を開始し,川口信金前交差点から約400メートル離れた本町3丁目交差点で衝突事故が発生しており,その間,被告Y1は,川口信金前交差点に残ったC及びDに対し,暴行を加えるなどしており,本件追走行為とは離れて,これとは関係のない独自の行動をしており,本件追走行為自体を認識したり,認容したりしていたことをうかがわせる証拠もない。③上記の行動経過に照らせば,被告Y1は,Eらともぐり狩りについて共謀したと認められるものの,もぐり狩りの意味するところはAらを追跡し,暴行して懲らしめようという程度の認識であり,具体的にどのような方法でどの程度まで追跡するのか,どのような暴行を加えるかなどについて共通の認識や事前の共謀が成立していたわけではない。④川口信金前交差点に至るまでの追跡が高速度で又は危険な態様で行われた事実はうかがわれないのに対し,本件追走行為は,市街地の道路を時速約70ないし約80キロメートルで走行するA二輪車に対し,後方から,威嚇するためエンジンを空ぶかしし,大きな騒音を響かせ,反対車線にはみ出て蛇行運転をしながら,約25メートルの距離まで接近するなどしながら,約400メートルにわたり,煽り,追い上げたという行為であり,その態様,程度等は全く異なっており,被告Y1においてEがこのような追走にまで及ぶことについて具体的な認識・認容があったと認められない。 以上指摘した①から④までの点に照らせば,もぐり狩りについて共謀したことをもって本件追走行為についても共 1においてEがこのような追走にまで及ぶことについて具体的な認識・認容があったと認められない。 以上指摘した①から④までの点に照らせば,もぐり狩りについて共謀したことをもって本件追走行為についても共謀があった旨の原告らの上記主張は,これを認めることができない。 (3)なお,被告Y1は,Eの自動二輪車に同乗してコンビニ駐車場から川口信金前交差点までAらの自動二輪車を追跡したり,川口信金前交差点において,Aと一緒に走行していたC,Dに対し暴行を加えたりしたことが認められる。しかし,- 18 -このことはAにおいて逃亡しようとさせる要因にはなったとはいえるものの,本件追走行為と比較しても,Aに与えた影響は全く異なっており,Aが本町3丁目交差点に時速約70ないし約80キロメートルの高速度で進入するようになったことと直接結び付くとは認め難い。 (4)以上によれば,本件全証拠によるも被告Y1が本件追走行為について共謀した事実を認めることができない。このほか,被告Y1の行為とAが本町3丁目交差点において転倒し死亡したこととの間に,相当因果関係を認めるに足りる事実は見いだせない。 (5)よって,争点②及び④について判断するまでもなく,原告らの被告Y1に対する請求は,いずれも理由がない。 争点③(監督義務違反との因果関係)について上記判断のとおり,被告Y1の行為とAの死亡との間に相当因果関係が認められない以上,被告Y2及び被告Y3の監督義務違反とAの死亡との間の因果関係も認めることができない。 よって,その余の点について判断するまでもなく,原告らの被告Y2及び被告Y3に対する請求は,いずれも理由がない。 第4結語,,。 以上のとおり原告らの請求はいずれも理由がないから主文のとおり判決するさいたま地方裁判所第5民事部裁判長裁判官小島 2及び被告Y3に対する請求は,いずれも理由がない。 第4結語,,。 以上のとおり原告らの請求はいずれも理由がないから主文のとおり判決するさいたま地方裁判所第5民事部裁判長裁判官小島浩裁判官岩坪朗彦- 19 -裁判官小野寺健太

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