- 1 -平成23年10月13日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(ワ)第22918号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成23年8月4日判決東京都中央区<以下略>原告株式会社東京にいたか屋同訴訟代理人弁護士岩瀬吉和同城山康文同森清圀生同浅井孝夫同盛里吉博同佐橋雄介同後藤未来同工藤奏子広島県福山市<以下略>被告備後漬物有限会社東京都中央区<以下略>被告株式会社東京漬膳被告ら訴訟代理人弁護士岩井泉同中澤構同鶴由貴同小柴仁同潮田治彦被告ら補佐人弁理士藤本昇同白井里央子同田中成幸- 2 - 主文 1 被告らは,別紙イ号包装目録,同ロ号包装目録及び同ハ号包装目録記載の包装を使用し,又は,同包装を用いた商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのため展示してはならない。 2 被告らは,漬物に関する宣伝用カタログその他の広告物に前項記載の 及び同ハ号包装目録記載の包装を使用し,又は,同包装を用いた商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのため展示してはならない。 2 被告らは,漬物に関する宣伝用カタログその他の広告物に前項記載の包装の図柄を表示して頒布してはならない。 3 被告らは,第1項記載の包装,同包装を表示した宣伝用カタログその他の広告物及び同包装の印刷用原版を廃棄せよ。 4 被告らは,原告に対し,連帯して,390万8296円及びこれに対する平成22年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,これを5分し,その2を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。 7 この判決は,第4項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告らは,別紙イ号包装目録,同ロ号包装目録,同ハ号包装目録及び同ニ号包装目録記載の包装(以下「イ号包装」などという。また,これらの包装を併せて「被告包装」ということがある。)を使用し,又は,同包装を用いた商品(以下「被告商品」という。)を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのため展示してはならない。 2 被告らは,漬物に関する宣伝用カタログその他の広告物に被告包装の図柄を表示して頒布してはならない。 3 被告らは,被告包装,同包装を用いた商品,同包装を表示した宣伝用カタログその他の広告物及び同包装の印刷用原版を廃棄せよ。 - 3 - 4 被告らは,原告に対し,連帯して,5000万円及びこれに対する平成22年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,東京都中央区<以下略>に所在し,「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」の表示を用い,別 る平成22年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,東京都中央区<以下略>に所在し,「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」の表示を用い,別紙原告商品等表示目録記載の包装を使用して,大根を麹で漬けた漬物である「べったら漬け」を製造,販売している原告が,「東京べったら」及び「東京ゆずべったら」の表示を用い,被告包装を使用して,埼玉県所在の会社が埼玉県内の工場において製造,加工したべったら漬けを販売している被告らに対し,① べったら漬けは,東京の名産品であり,「東京べったら」という商品名を有するべったら漬け商品は,東京産の原料を使用しているか,又は,東京都内で製造,加工されたものとして購入されるものであるのに,被告商品は,その原料である大根の産地も,製造加工地も,製造者の本店・住所も東京にはないから,被告商品に「東京べったら」ないし「東京ゆずべったら」と表示することは不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項13号の原産地等誤認惹起行為に該当する,② 被告商品の包装には,「しろざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です」,「白ざらめとは…白砂糖の中で最も高級な,純度99.8~99.9%の最高級砂糖です」などと表示されているが,白ざらめより高価格で高級な砂糖は多数存在するものであり,被告商品が他社のべったら漬けよりも著しく優良であるともいえないから,被告商品に上記表示をすることは不競法2条1項13号の品質等誤認惹起行為に該当する,③ 「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」の表示や別紙原告商品等表示目録記載の包装は,原告の商品表示として周知なものであり,被告らが,これに類似する「東京べったら」及び「東京ゆずべったら」の表示や,被告包装を使用したべったら漬けを販売等すること や別紙原告商品等表示目録記載の包装は,原告の商品表示として周知なものであり,被告らが,これに類似する「東京べったら」及び「東京ゆずべったら」の表示や,被告包装を使用したべったら漬けを販売等することは,不競法2条1項1号の不正競争に該当する,④ 仮に,被告らに上記①及び②の不正競争行為が認められないとしても,被告らの上記行為は,原告がべったら漬けの老- 4 -舗業者として築き上げてきた「東京べったら漬」ブランドに乗じて,被告商品があたかも原告の商品と同品質であるかのような体裁を生じさせているものであり,取引における公正かつ自由な競争として許される範囲を逸脱しているから,民法709条の不法行為に該当する,などと主張して,不競法3条1項に基づく被告包装の使用等の差止め及び同条2項に基づく被告包装等の廃棄を求めるほか,損害賠償として,主位的には不競法4条に基づき,予備的には民法709条に基づき,5000万円及びこれに対する不正競争(主位的請求)ないし不法行為(予備的請求)の後である平成22年6月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求める事案である。 1 争いのない事実等(末尾に証拠を掲げていない事実は,当事者間に争いがない事実である。)(1) 当事者ア原告原告は,東京都中央区<以下略>に本店を置く株式会社であり,べったら漬けを始めとする漬物を製造し,これらを全国の卸売店及び小売店を通じて需要者たる一般消費者に販売している。 イ被告ら(ア) 被告備後漬物有限会社(以下「被告備後漬物」という。)は,広島県福山市に本店を置き,漬物全般の製造販売を業とする有限会社である。 (イ) 被告株式会社東京漬膳(以下「被告東京漬膳」という。)は,東京都中央区を本店所在地とする株式会社である という。)は,広島県福山市に本店を置き,漬物全般の製造販売を業とする有限会社である。 (イ) 被告株式会社東京漬膳(以下「被告東京漬膳」という。)は,東京都中央区を本店所在地とする株式会社である。 被告東京漬膳の代表取締役は,被告備後漬物の代表取締役の子であり,被告備後漬物の常務取締役を務めている。 (2) 原告商品の製造,販売ア原告商品1(東京べったら漬)について- 5 -(ア) 原告は,原告の製造販売するべったら漬けの包装に,原告の製造販売する商品であることを示す表示として,別紙原告商品等表示目録記載1-1の表示(「東京べったら漬」。以下「原告表示1-1」といい,原告が同表示を付して販売する商品を「原告商品1」という。)を付している。 (イ) 原告は,原告の製造販売するべったら漬けの包装に,別紙原告商品等表示目録記載1-2の図柄(以下「原告表示1-2」といい,同表示を付した商品を「原告商品1-2」という。)を表示している。 (ウ) 原告は,原告の製造販売するべったら漬けのうち「東京べったら漬一本」という商品の包装に,別紙原告商品等表示目録記載1-3の図柄(以下「原告表示1-3」といい,同図柄を付した商品を「原告商品1-3」という。)を表示している。 (エ) 原告は,原告の製造販売するべったら漬けのうち「東京べったら漬スライス」という商品の包装に,別紙原告商品等表示目録記載1-4の図柄(以下「原告表示1-4」といい,同図柄を付した商品を「原告商品1-4」という。)を表示している。 イ原告商品2(東京ゆずべったら漬)について(ア) 原告は,原告の製造販売するゆず風味のべったら漬けの包装に,原告の製造販売する商品であることを示す表示として,別紙原告商品等表示目録記載2-1の表示(「東京ゆずべったら漬」。以下 について(ア) 原告は,原告の製造販売するゆず風味のべったら漬けの包装に,原告の製造販売する商品であることを示す表示として,別紙原告商品等表示目録記載2-1の表示(「東京ゆずべったら漬」。以下「原告表示2-1」といい,原告が同表示を付して販売する商品を「原告商品2」という。また,原告商品1及び原告商品2を総称して「原告商品」ということがある。)を付している。 (イ) 原告は,原告の製造販売するゆず風味のべったら漬けの包装に,別紙原告商品等表示目録記載2-2の図柄(以下「原告表示2-2」という。また,原告表示1-1ないし1-4,同2-1及び2-2を総称し- 6 -て「原告表示」ということがある。)を表示している。 ウ原告商品の製造地及び原材料(ア) 原告は,埼玉県深谷市に所在する原告の自社工場(以下「原告埼玉工場」という。)において,原告商品を製造している。また,原告商品の原材料となる大根は,東京都において生産されたものではない。 (イ) 原告商品の包装の表面ないし裏面には,原告商品の製造者が,東京都中央区<以下略>を本店所在地とする株式会社である原告であることが表示されている。なお,同包装には,原告商品が原告埼玉工場において製造されたものであることは表示されていない。 (3) 被告商品の製造,販売ア被告商品1(東京べったら)について(ア) 被告らは,平成21年9月1日ころから,イ号包装を使用したべったら漬け(以下「被告商品イ」という。)を販売した。 (イ) 被告らは,遅くとも平成22年1月から,ハ号包装を使用した「東京べったら(一本)」というべったら漬け(以下「被告商品ハ」という。)を販売した。 (ウ) 被告らは,遅くとも平成22年1月から,ニ号包装を使用した「東京べったら(スライス)」というべったら漬け( 京べったら(一本)」というべったら漬け(以下「被告商品ハ」という。)を販売した。 (ウ) 被告らは,遅くとも平成22年1月から,ニ号包装を使用した「東京べったら(スライス)」というべったら漬け(以下「被告商品ニ」といい,被告商品イ及び被告商品ハと併せて「被告商品1」という。)を販売した。 イ被告商品2(東京ゆずべったら)について被告らは,平成21年9月1日ころから,ロ号包装を使用したゆず風味のべったら漬け(以下「被告商品2」という。)を販売した。 ウ被告商品の製造者,製造地及び原材料(ア) 被告東京漬膳は,埼玉県北本市を本店所在地とする鈴木食品株式会社(以下「鈴木食品」という。)との間で製造委託契約を締結し,べっ- 7 -たら漬けを製造させ,このべったら漬けを被告包装に封入させて,商品として完成させている。鈴木食品は,埼玉県北本市に所在する自社工場において被告商品を製造した(乙27,80)。被告商品の原材料である大根は,東京都で生産されたものではない。 被告東京漬膳は,鈴木食品において製造した被告製品を同社から購入し,これを被告備後漬物に販売した。被告備後漬物は,被告東京漬膳から購入した被告商品をスーパー等の小売店に販売した。 (イ) 被告商品の包装の裏面には,「販売者」として,被告東京漬膳の商号及びその本店所在地が東京都であることが表示されている。なお,同包装には,「販売者」として,被告備後漬物の商号及び本店所在地は表示されていない。また,被告商品の包装には,被告商品の製造者が埼玉県を本店所在地とする鈴木食品であり,被告商品は鈴木食品の埼玉県内の工場において製造されたものであること,被告商品の原材料の大根の産地が東京都でないこと,は表示されていない。 2 争点(1) 不競法2条1項13号違反の有無(争点1 商品は鈴木食品の埼玉県内の工場において製造されたものであること,被告商品の原材料の大根の産地が東京都でないこと,は表示されていない。 2 争点(1) 不競法2条1項13号違反の有無(争点1)ア被告商品の包装に「東京漬膳の」,「東京べったら」などと表示することは,被告商品の原産地等を誤認させる表示に当たるか(争点1-1)イ被告商品の包装に「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です」,「白ざらめとは…白砂糖の中で最も高級な,純度99.8~99.9%の最高級砂糖です」などと表示することは,被告商品の品質等を誤認させる表示に当たるか(争点1-2)(2) 不競法2条1項1号違反の有無(争点2)ア原告表示は,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているか(争点2-1)イ原告表示と被告包装は類似するか(争点2-2)- 8 -ウ被告商品を販売等することは,原告表示と混同を生じさせるか(争点2-3)(3) 被告らが被告商品を販売等することは,取引における公正かつ自由な競争として許される範囲を逸脱し,民法709条の不法行為(一般不法行為)が成立するか(争点3)(4) 原告の損害(争点4) 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(不競法2条1項13号違反の有無)についてア争点1-1(被告商品の包装に「東京漬膳の」,「東京べったら」などと表示することは,被告商品の原産地等を誤認させる表示に当たるか)について[原告の主張](ア) べったら漬け商品における「東京」の表示の有する意義べったら漬け商品における「東京」の表示は,次のとおり,原産地表示機能を有し,かつ,付加価値を有するものである。したがって,べったら漬け商品に根拠なく「東京」という表示を付すことは,許されない。 a たら漬け商品における「東京」の表示は,次のとおり,原産地表示機能を有し,かつ,付加価値を有するものである。したがって,べったら漬け商品に根拠なく「東京」という表示を付すことは,許されない。 a べったら漬け商品における「東京」の表示は,原産地表示機能を有するものであること加工食品の商品名に地名が表示されている場合,需要者は,一般的に,当該商品の製造地ないしその原材料の生産地がその土地にあるものと理解する。したがって,べったら漬け商品において,「東京」の表示は,原産地表示機能を有するものであり,需要者は,「東京べったら」という商品名を有するべったら漬け商品である被告商品を,特段の事情がない限り,①東京産の原料を使用しているか,又は,②東京で製造,加工されたものとして,購入する。 また,消費者は,漬物に関して,各土地に古くから伝わる名産品た- 9 -る漬物にも強い魅力を感じる傾向があるため(例えば,「京都の漬物は高級」,「京都の漬物は美味しい」といった漠然としてイメージを持っている。),漬物という商品の商品価値は,商品包装等に表示され,消費者に認識される原産地に大きく左右される。 b べったら漬け商品における「東京」の表示は,付加価値を有するものであること(a) 「べったら漬け」の名称及び「べったら市」の由来べったら漬けは,江戸時代の初めから,江戸名物として広く人々に親しまれてきたものである。べったら漬けの由来は,当時,江戸日本橋の宝田恵比須神社に商人が集まって市をたて,盛大な祭りが行われていたところ,年々市が栄え,祭りが賑わうため,付近の百姓たちが,飴と糀で漬けた大根を浅漬けと称して,この市で売り始めたことに由来する。そして,この漬物が,べったら,べったら,着物や手につくことから,「べったら漬け」と呼ばれるよ が賑わうため,付近の百姓たちが,飴と糀で漬けた大根を浅漬けと称して,この市で売り始めたことに由来する。そして,この漬物が,べったら,べったら,着物や手につくことから,「べったら漬け」と呼ばれるようになったなどといわれている。江戸日本橋の宝田恵比須神社の市は,この「べったら漬け」に由来して,「べったら市」と呼ばれるようになった。 (b) べったら市の振興及び原告の支援べったら市は,太平洋戦争の勃発を契機に中止されていたが,原告の前身である株式会社新高屋(以下「新高屋」という。なお,原告は,平成5年に,新高屋が分社化して設立された会社であり,新高屋から,べったら漬けの製造販売部門の営業を譲り受けた会社である。)が,戦後間もなく,露天商やべったら市保存協会に働きかけて,べったら市を復興させた。新高屋及び原告は,それ以後約60年間にわたり,べったら市に自ら出店するだけでなく,他の露店に対してべったら漬けを提供したり,べったら市のために提灯やの- 10 -ぼり等の販促物を提供し続けてきた。 このように,原告は,べったら市保存協会と協力してべったら市の振興に努め,その甲斐があり,べったら市は,毎年10月19日から20日にかけて東京日本橋で開催される恒例の秋祭りとして,広く認知されるようになった。 (c) 上記のとおり,べったら漬けは,東京を発祥の地とするといわれ,東京の名産品として周知になっており,これには,東京日本橋において毎年開催される,べったら市の振興が貢献している。 そのため,べったら漬け商品における「東京」の表示は,商品のイメージや商品価値を顕著に高めるものであり,需要者は,こうした東京の名産品たる漬物を,単なるべったら漬けと区別して,より高級なものとして認識する。現に,「東京」と付されたべったら漬け商品 商品のイメージや商品価値を顕著に高めるものであり,需要者は,こうした東京の名産品たる漬物を,単なるべったら漬けと区別して,より高級なものとして認識する。現に,「東京」と付されたべったら漬け商品は,一般的に高価であり,他のべったら漬け商品よりも高度の顧客誘引力を有する。 (イ) 被告商品の包装に「東京べったら」の商品名等が表示されることは,不競法2条1項13号の原産地等を誤認させる表示に当たることa 被告包装には,「東京漬膳の」,「東京べったら」(ないし「東京ゆずべったら」)と表示され,被告包装の裏面には,被告商品の販売者が「東京都」に所在する「株式会社東京漬膳」であることが表示されている。 このように,被告商品の包装全体では,合計4か所に「東京」の文字が記載されており,これらを見る者に対し,被告商品が「東京」と関連があるかのごとく印象付けている。 他方,被告商品の包装には,国産の大根を使用していることは記載されているが,被告商品の原材料の産地,製造者及び製造地は記載されていない。 - 11 -そのため,被告商品の包装における表示は,後記b及びcのような外観とあいまって,商品の原産地が東京であることを示すものといえ,需要者は,被告商品が東京産の原料を使用しているか,又は,東京で製造・加工された漬物であると認識,信頼して,被告商品を購入する。 b また,イ号包装,ロ号包装及びハ号包装(これら3つの包装を併せて,以下「イ号包装ないしハ号包装」という。)の右下部には,べったら漬けを売る市を描いた白黒の図絵が記されており(「べったら漬」と書かれた立て看板,「名物べったら」と書かれた暖簾が見て取れる。),その図絵に描かれた人々の衣装から,江戸時代の様子を描いたものであることが見て取れる。そして,これとほとんど同一の図絵は ら漬」と書かれた立て看板,「名物べったら」と書かれた暖簾が見て取れる。),その図絵に描かれた人々の衣装から,江戸時代の様子を描いたものであることが見て取れる。そして,これとほとんど同一の図絵は,被告らの新聞広告(甲40)にも大きく掲載され,この図絵にも「名物べったら」,「べったら漬」と書かれた暖簾が見て取れるばかりか,「日本橋」と書かれた路標が描かれている。 したがって,イ号包装ないしハ号包装に描かれているべったら漬けを売る市の図絵からは,江戸日本橋の「べったら市」が想起され,被告商品が日本橋のべったら市と関連があるかのごとく印象付けている。そのため,イ号包装ないしハ号包装を見た需要者は,被告商品はべったら市に出店,参加,協賛,協力等をする企業によって製造されているものと認識,信頼し,そのような商品として購入する。 c さらに,イ号包装ないしハ号包装の裏面には,上方に,赤色のバックに黒太字毛筆体で,非常に目立つ形で,「東京漬膳こだわりの味『白ざらめ』」と記載されている。また,「東京漬膳」という商号は,単なる漬物の販売業者ではなく,漬物メーカーであることを彷彿とさせる商号である。 したがって,この記載は,東京漬膳という会社が,「白ざらめ」の点を含め,商品の品質,内容に責任を有する製造主体であることを示- 12 -唆するものである。 なお,被告包装には,被告東京漬膳が「製造者」として表示されているわけではないが,需要者,とりわけ,一般消費者は,ある会社が「販売者」として記載されている事実が,その会社は「製造者」であることを否定する積極的な意味を有するとは理解しない。被告商品のように,商品に「製造者」が明記されていない場合は,なおさらである。 d 一方,被告商品は,前記1(2)ウのとおり,その原材料は東京産ではなく,その 積極的な意味を有するとは理解しない。被告商品のように,商品に「製造者」が明記されていない場合は,なおさらである。 d 一方,被告商品は,前記1(2)ウのとおり,その原材料は東京産ではなく,その製造者は埼玉県に所在する鈴木食品であり,埼玉県に所在する鈴木食品の工場で製造されている。また,被告ら及び鈴木食品は,ベったら市に自ら出店,参加,協賛,協力等をしたことはない。 さらに,被告東京漬膳は,被告商品を発売する直前に東京に移転してきたものであって,被告備後漬物の関東支店に本店を有するものの,実際にいかなる業務が行われているのかは不明である。被告東京漬膳は,被告商品の包装に「販売者」として表示されているが,被告備後漬物から独立した固有の実態を有しておらず,「東京漬膳」という商号は,専ら,被告商品の原産地誤認を惹起する目的で付されているものである。 e したがって,被告商品の包装に上記aないしcの表示をして販売等する被告らの行為は,不競法2条1項13号所定の原産地,内容等を誤認させる行為に該当する。 (ウ) 原告商品に「東京」と表示することは不競法2条1項13号に違反するものではないこと原告商品は,原告埼玉工場で製造されるものであるが,次のような特段の事情が存在するため,同商品に「東京」と表示しても,不競法2条1項13号に違反するものではない。 - 13 -a 原告及びその前身である新高屋は,昭和5年に旧東京市京橋区(現在の東京都中央区)において創業して以来,一貫して,東京都内に本店を有している。 新高屋は,昭和39年までは,東京都台東区所在の自社工場においてべったら漬け商品を製造していたが,近隣の環境への配慮から,すべての製造を原告埼玉工場に移した。しかしながら,原告及び新高屋は,それ以降も,原告埼玉工場におけるべったら 台東区所在の自社工場においてべったら漬け商品を製造していたが,近隣の環境への配慮から,すべての製造を原告埼玉工場に移した。しかしながら,原告及び新高屋は,それ以降も,原告埼玉工場におけるべったら漬け商品の製造過程を自社で管理している。 また,原告は,東京日本橋の「べったら市」の振興に努めるなどして,原告のべったら漬け商品を東京名産品として自ら育て上げた者であり,原告のべったら漬け商品は,商品名「東京べったら漬」として,全国観光土産品連盟から東京の観光土産品の推奨品に認定され,東京都中央区観光協会推奨名産品にも認定されている。 b このように,ある土地(東京)で設立され商品を製造していた老舗が,その本店を保ったまま,他の土地(埼玉)で商品を製造・加工するようになったとしても,製造工程が自社管理されている限り,需要者が原産地表示に寄せる期待が裏切られない特段の事情が存在するといえる。 このような考え方は,観光土産品の表示に関する公正競争規約(「伊勢市で製造販売している観光土産品について,…県外の工場で製造された完成品に伊勢名物と表示できるか」という問いに対し,「県外であっても自社工場で製造したものであればあれば,『名物』等の使用は可能」とし,「他社工場(製造委託)で製造したものは,使用不可」とする。以下「本公正競争規約」という。)及び全国観光土産品公正取引協議会の策定した内規(平成20年2月27日付け通達「観光土産品の表示について」。以下「本公正取引協議会内規」という。)に- 14 -も則るものである。 c よって,原告商品については,不競法2条1項13号違反は成立しない。 [被告らの主張](ア) 「東京べったら漬」商品における「東京」の表示の意味a べったら漬けは,江戸時代から作られている東京名産の漬物である。 し は,不競法2条1項13号違反は成立しない。 [被告らの主張](ア) 「東京べったら漬」商品における「東京」の表示の意味a べったら漬けは,江戸時代から作られている東京名産の漬物である。 したがって,べったら漬け商品における「東京」の表示は,べったら漬けが東京発祥であり,その意味において東京の名産であることを表示しているにすぎず,原産地を表示するものではない。 「東京べったら漬」という表示が付されて販売されている商品について,その原材料の生産地や商品の加工地が東京と関係のないものは,古くから少なからず存在し,昭和60年代以降では,少なくとも,鈴木食品や株式会社南食販売が「東京べったら漬」という表示を付した商品を製造,販売していた。また,現在では,「東京べったら(漬)」という表示を付した商品は,原告及び被告ら以外に,鈴木食品の他,少なくとも11社が販売しており(なお,これら11社は,原告に商品の製造を委託した会社ではない。),原告自身も,原産地が東京都でないべったら漬けに「東京べったら漬」と表示して販売している。 このように,「東京べったら漬」という表示は,原材料の生産地や商品の製造,加工地とは無関係に長年にわたって使用されてきたというのが実情である。この事実は,「東京べったら漬」における「東京」の表示は「べったら漬け」の発祥の地が東京であるということを表示しているにすぎないものであることを如実に物語っている。 b また,べったら漬けは,東京を発祥の地とする東京の名産品であり,そのことは需要者も認識しているところであるが,「べったら漬け」と称する漬物の中には,「紀州べったら」(紀州大根の皮をむき,紀- 15 -州業界独特の加工方法で作り上げられる)など,米麹と砂糖で漬けられる東京名産の「べったら漬け」とは異なった製法によ 漬け」と称する漬物の中には,「紀州べったら」(紀州大根の皮をむき,紀- 15 -州業界独特の加工方法で作り上げられる)など,米麹と砂糖で漬けられる東京名産の「べったら漬け」とは異なった製法により製造されるものがある。したがって,「東京べったら漬」商品における「東京」の表示は,東京の伝統的な製法に従って生産されたものであることを示すものでもある。 c 以上のとおり,「東京べったら漬」との表示から需要者が認識するのは,「東京発祥のべったら漬」又は「米麹と砂糖で漬けられたべったら漬け」ということである。原告の主張するような「特定地域の業者によって製造・加工されたべったら漬け」ということではない。 (イ) 被告商品の包装における「東京べったら」などの表示は,原産地等を誤認させるものではないことa 「東京べったら」の表示について(a) べったら漬け商品における「東京」の表示は,上記(ア)のとおり,べったら漬けの発祥の地が東京であることや,東京の伝統的な製法に従って生産されたべったら漬けであることを表示するものにすぎない。 (b) したがって,被告商品の包装に「東京べったら」ないし「東京ゆずべったら」と表示することにより,需要者に対し,東京の名産品であるとの印象を付与することは,虚構ではない。一般消費者の中には,べったら市のことを知らない者も多く,消費者は,必ずしも,「べったら市で販売されている」と考えて被告商品を購入するわけではない。 (c) また,被告商品の製造者である鈴木食品は,べったら漬けの老舗メーカーである株式会社金久(以下「金久」という。)の工場長を務めていた者が,昭和48年に「鈴木商店」の名称でべったら漬けの製造販売を始めたことを起源とする会社であり,べったら漬け- 16 -製造専門の老舗のメー 会社金久(以下「金久」という。)の工場長を務めていた者が,昭和48年に「鈴木商店」の名称でべったら漬けの製造販売を始めたことを起源とする会社であり,べったら漬け- 16 -製造専門の老舗のメーカーである。鈴木食品は,皮を剥いだダイコンを1~2日間低塩で下漬けし,米麹と砂糖で漬けるという,東京名産のべったら漬けの伝統的な製法によって,被告商品を製造した。 したがって,被告らには,実質的にも,被告商品に「東京」という表示を付する理由がある。このような鈴木食品が製造する商品に「東京べったら」ないし「東京ゆずべったら」の表示をしたとしても,消費者の信頼を裏切るものではない。 そして,このような被告商品の表示は,全日本漬物協同組合連合会(以下「全漬連」という。)の自主基準に適うものでもある。すなわち,全漬連の自主基準では,「○○特産,○○名産,○○土産等としていることについては,国内産,輸入原料の如何を問わず,国内の地域独特のあるいは伝統的な製造加工技術によって製品化されたことを以って当該○○(地域)特産等の名称を使用しているものとの理解に立つこととした。」と説明されている。そうすると,被告らが,東京べったら漬けの老舗業者の一つである鈴木食品に製造を委託し,東京名産のべったら漬け製造加工技術によって製品化された被告商品を販売した場合,全漬連の考えとしては,東京名産のべったら漬けという意味で「東京べったら漬」が使用されていると理解されるといえる。 b イ号包装ないしハ号包装の図絵についてイ号包装ないしハ号包装に表示された図絵は,「日本橋べったら市」を描いたものではなく,べったら漬けの発祥の地といわれる江戸でべったら漬けを販売している町の風景を描いたものにすぎない。 したがって,被告包装に刷られている図絵から,被告商品が,あ 本橋べったら市」を描いたものではなく,べったら漬けの発祥の地といわれる江戸でべったら漬けを販売している町の風景を描いたものにすぎない。 したがって,被告包装に刷られている図絵から,被告商品が,あたかも,何かしら日本橋の「べったら市」と関連があるかのごとく印象付けられるわけでない。また,仮に,原告の主張を前提とするとして- 17 -も,原告の主張する前記のべったら漬けの由来に照らせば,べったら漬けの包装に日本橋のべったら市の図絵を使用することは,何ら,需要者の誤認を惹起するものではない。 このように,イ号包装ないしハ号包装に表示された図絵によって,被告商品が,べったら市に出店,参加,協賛,協力等をする企業によって製造されていると認識されることはない。 c 「東京漬膳」の表示について「東京漬膳」の表示は,同社が漬物メーカーであることを彷彿とさせるものではない。また,被告東京漬膳は,被告商品の包装に,「製造者」ではなく,あくまで「販売者」として明記されている。 したがって,「東京漬膳」を含む被告商品の表示から,被告東京漬膳が販売者として商品の品質,内容に責任を有する旨を認識することができるとしても,それ以上に,製造主体であることが示唆されているということはできない。 また,被告東京漬膳は,東京に本店を置き,被告東京漬膳の従業員を雇用し,販売業務を行っている。被告備後漬物は,各地方において伝統的な製法により漬物を製造してきた生産者に商品の製造を委託し,これらの生産者と協力しながら多様な商品を消費者に提供しようとしているのである。各地方の伝統的な手法により製造された漬物の販売に関し,個別に会社を設立することは,違法でもなければ,不当なものでもない。 (ウ) 原告は,不競法により保護されるべき正当な「営業上の利益」を有 。各地方の伝統的な手法により製造された漬物の販売に関し,個別に会社を設立することは,違法でもなければ,不当なものでもない。 (ウ) 原告は,不競法により保護されるべき正当な「営業上の利益」を有しないこと不競法2条1項13号の不正競争(誤認惹起行為)によって侵害される「営業上の利益」とは,誤認惹起行為がない場合に競争相手である債権者が取得し得たであろう売上げであり,「公正な条件の下で営業活動- 18 -を行う利益」のことをいう。 しかしながら,原告が「東京べったら漬」と表示して販売している商品(原告商品1)は,東京都で生産された大根を使用しているわけでも,東京都内の工場で製造されたものでもなく,埼玉県に所在する原告埼玉工場で製造されたものである。 そうすると,仮に,原告の主張するとおり,被告商品に「東京」という表示を付して販売することが原産地又は内容について誤認させる行為となる場合,原告自身も,公正な条件で営業活動を行っているものではないものといえる。 なお,原産地とは,当該商品が製造,加工された特定の土地であり,製造者の本店所在地や製造工程が管理されていることによって左右されるものではない。原告が前記[原告の主張](ウ)において主張する事情は,現に販売されている原告商品に対する需要者の信頼(原告が主張する「東京産の原料を使用しているか,又は,東京で製造・加工されたもの」という付加価値に対する需要者の信頼)とは直接関係がない。 原告は,原告の商品表示が本公正競争規約等に則るものであるとも主張する。しかしながら,上記規約等は,あくまで,観光土産品に関するものであるのに対し,本件で問題となっているのは,スーパー等で販売されている日常生活品であり,観光土産品とは商品の特性や需要者が全く異なる。 したがって,原告については, まで,観光土産品に関するものであるのに対し,本件で問題となっているのは,スーパー等で販売されている日常生活品であり,観光土産品とは商品の特性や需要者が全く異なる。 したがって,原告については,「公正な条件の下で営業活動を行う利益」の侵害はないというべきである。 [被告らの主張に対する原告の反論](ア) べったら漬け商品における「東京」の表示の意味についてa 東京は,べったら漬けの発祥地として知られているが,ある商品の発祥地が知られていることは,その発祥地の地名の原産地表示機能を- 19 -失わしめるものではない。一般に,一般の消費者が,商品名にその商品の発祥の地が付されていると認識するとは考えられない。 被告らは,東京がべったら漬けの発祥の地であり,そのことが知られていることを根拠に,べったら漬け商品に付された「東京」という地名の表示が原産地表示機能を失い,一般名称化していると主張するようであるが,国語辞典には,「東京べったら漬」(又は「東京べったら」)という単語は掲載されておらず,農林水産省告示「農産物漬物品質表示基準」にも掲載されていない。事典等の文献にも,「べったら漬け」という項目の記載はあるが,「東京べったら漬」という項目,記載は存在しない。したがって,「東京べったら漬」という単語を,一般名称化した「奈良漬け」や「野沢菜漬け」といった単語と同列に論じることはできない。 b 「東京べったら漬」の商標は,べったら漬けの老舗メーカーであった金久が,昭和40年代に,同社が製造したべったら漬け商品について使用を開始したものであり,遅くとも昭和60年ころまでに,金久の商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていた。 そのため,昭和60年ころから,平成14年(金久が倒産した年)までの間は,金久や,金久にプライベ り,遅くとも昭和60年ころまでに,金久の商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識されていた。 そのため,昭和60年ころから,平成14年(金久が倒産した年)までの間は,金久や,金久にプライベート・ブランド商品の製造を委託していた会社及び金久から暖簾分けを受けた会社以外に,「東京べったら漬」の商標及びこれに類似する商標を使用する業者は存在せず,仮に存在したとしても,無視し得る規模,態様でのものであった。なお,被告らは,鈴木食品などが昭和60年代以降に「東京べったら漬」という表示を付した商品を製造,販売していたと主張するが,同事実は否認する。鈴木食品は,同社の新聞広告(乙19,21~25等)に「東京べったら」というキャッチコピーを用いたことはあるが,同社の商品に「東京べったら漬」という表示を付した事実はない。 - 20 -原告は,平成14年に,金久から,「東京べったら漬」商標を使用する権利を含む,べったら漬けに関わるすべての業務についての営業譲渡を受け,これを契機に,原告の製造販売するべったら漬け商品に「東京べったら漬」の商標(原告表示1-1)を付して,販売促進を図った。現在では,「東京べったら漬」又は「東京」を商品名に含むべったら漬け商品における原告のシェアは,売上基準で約8割から9割に及び,原告が「東京べったら漬」という商標をほぼ独占的に使用している状況にある。 c べったら漬け商品は,漬物の中でも,全国的にポピュラーな商品となり,全国各地で製造販売されるに至っている。また,被告らの主張するべったら漬けの伝統的な製造加工技術は,現在までに,全国的に広まっており,東京以外の地方でも採用されている。 しかしながら,これら全国各地において,被告らの主張する伝統的な製造加工技術で生産されてきたべったら漬けが,「東京べったら」 現在までに,全国的に広まっており,東京以外の地方でも採用されている。 しかしながら,これら全国各地において,被告らの主張する伝統的な製造加工技術で生産されてきたべったら漬けが,「東京べったら」と呼ばれたことはない。 各地域では,「紀州べったら漬」,「京のべったら漬」,「火の国べったら漬け」など,商品名の一部に各地の地名を含むべったら漬け商品が販売されている。これらの表示は,その特定地域の業者によって製造,加工されたべったら漬けを表示するものであり,需要者は,そのように理解するものである。同様に,「東京べったら漬」という表示における「東京」の部分も,原産地表示機能を有しているといえる。 仮に,被告らの主張に従い,被告商品の「東京べったら」という商品名の「東京」の部分に原産地表示機能がないとした場合,日本国内外を問わず,いずれの場所で生産されたべったら漬けであっても,「東京べったら漬」として販売して構わないということになるが,これは,- 21 -一般消費者の感覚とかけ離れたものである。 (イ) 被告商品の製造方法について鈴木食品の製造する被告商品は,伝統的な東京のべったら漬けではなく,鈴木食品が製造する食品に「東京べったら」,「東京ゆずべったら」の表示をすることは,消費者の信頼を裏切るものである。すなわち,被告商品は,近時全国的に行われている,皮を剥いだ大根を1~2日間低温で下漬けし,米麹と砂糖で漬ける,という一般的製法により製造されているものにすぎず,その内容又は製造方法に特別に変わった地域的特色や伝統的特色があるわけではない。また,被告商品の包装に鈴木食品が「製造者」であると記載されているわけでもない。 したがって,被告製品の製造者が鈴木食品であるという事実は,原産地についての需要者の誤認を解消するものではない。 また,被告商品の包装に鈴木食品が「製造者」であると記載されているわけでもない。 したがって,被告製品の製造者が鈴木食品であるという事実は,原産地についての需要者の誤認を解消するものではない。 (ウ) 被告商品の表示は全漬連の自主基準に準拠するものではないこと全漬連の自主基準は,原料が輸入品である場合に表示をどのようにすべきかという問題についての,自主ルールを定めるものである。本件のように,商品の原産地と異なる地名を商品の包装に表示すること(すなわち,原料の産地でも製造加工地でもない地名を表示すること)が許されるかという問題を対象にするものではない。 被告らの主張は,全漬連の自主基準の制定経緯,制定目的等を無視し,その字面だけを追って自分に都合のよい解釈をするものにすぎない。 イ争点1-2(被告商品の包装に「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です」,「白ざらめとは…白砂糖の中で最も高級な,純度99. 8~99.9%の最高級砂糖です」などと表示されることは,被告商品の品質等を誤認させる表示に当たるか)について[原告の主張](ア) イ号包装ないしハ号包装には,「白ざらめを使用した上品な味わい- 22 -が自慢の逸品です」との文言が記載され,包装の裏面には,下図のとおり,「東京漬膳こだわりの味『白ざらめ』」,「白ざらめとは…白砂糖の中で最も高級な,純度99.8~99.9%の最高級砂糖です。」,「こだわりの『白ざらめ』が美味しさの秘訣です。」などの文言が記載されている(下線は,原告の主張に基づき裁判所が付した。)。 【イ号包装ないしハ号包装の裏面】 (イ) 上記包装は,その裏面に「最も高級な」,「最高級砂糖」と,最上級の意味を表す表現を繰り返して使用した上,包装の表面には,「この上もなくすぐれ 【イ号包装ないしハ号包装の裏面】 (イ) 上記包装は,その裏面に「最も高級な」,「最高級砂糖」と,最上級の意味を表す表現を繰り返して使用した上,包装の表面には,「この上もなくすぐれた品物や作品。絶品。」(大辞泉)を意味する「逸品」という表示をして,これを見る者に対し,他社の商品よりも著しく優良であるかのような印象を与える。 しかしながら,「白砂糖」については,白砂糖という名称そのものが俗称であるにすぎず,それが何を指しているのかあいまいである上,「白ざらめ」より高価格である糖類も,グラニュー糖,顆粒状糖(フロストシュガー),和三盆等多数存在することから,「白ざらめ」が,高級品の中でも一番高級という意味を表す「最も高級」な砂糖であるとはいえ- 23 -ない。 また,「不当表示の禁止」を定めた本公正競争規約7条は,「事業者は,観光土産品について,次の各号に掲げる表示をしてはならない」と規定した上,同8号は,「客観的な根拠又は全国協議会の定める基準によらないで,「特上」,「特選」,「極上」,「超」,「最高級」等の文言を用いることにより,当該商品が特に優良であるかのように誤認されるおそれがある表示」を挙げている。 (ウ) また,イ号包装ないしハ号包装には,上記(ア)のとおり,「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です」との文言が記載され,包装の裏面には,上方に,赤色のバックに黒太字毛筆体で,非常に目立つ形で,「東京漬膳こだわりの味『白ざらめ』」との文言が記載され,さらにその下に「こだわりの『白ざらめ』が美味しさの秘訣です。」との文言が記載されている。これらの表示は,一般消費者に対し,被告商品に白ざらめが使用されたことによって,有意に味が良好なものに変化したという印象,すなわち,べったら漬けのごく一部である砂糖に 。」との文言が記載されている。これらの表示は,一般消費者に対し,被告商品に白ざらめが使用されたことによって,有意に味が良好なものに変化したという印象,すなわち,べったら漬けのごく一部である砂糖に用いられた品質が,その全部の品質であるかのごとき印象を与えるものである。 しかしながら,べったら漬けの味は,砂糖だけでなく,大根,食塩,麹等の原材料や製造方法により変化する。また,被告商品には,果糖ぶどう糖液糖に加え,ステビア,ラカンカといった甘味料も使用されている。ステビアは,その種類にもよるが,砂糖(白ざらめを含む)の100倍ないし300倍の甘味度を有し,ごく少量用いられただけでも食物の味に大きく影響するものであるから,被告商品の味は,白ざらめもさることながら,白ざらめよりも安価なステビアによって,より大きく影響されている。 (エ) したがって,被告らが被告商品の包装に上記表示を付して販売する行為は,不競法2条1項13号の商品の品質又は内容の誤認惹起行為に- 24 -該当する。 [被告らの主張](ア) 白ざらめは,糖度がほぼ100%であり,高級砂糖として扱われ,主に,高級菓子や飲料に使われている。また,「白ざらめ」(白ざら糖)とは,糖度が高く,グラニュー糖よりも品質が高い最上品質の砂糖である。なお,和三盆は,高級と言われているが,香川県,徳島県という特定地域の特産品であり,しかも,糖度において「白ざらめ」に劣るものであって,必ずしも,糖類の中の最高級品ではない。 (イ) また,糖類の種類は様々であり,各糖類の甘みを感じるには時間差がある。被告商品は,被告商品を食した後も甘みを長時間継続して感じられるよう,複数の糖類を組み合わせることにより工夫したものであり,ステビアを使用しているからステビアの甘みしか感じないということには ある。被告商品は,被告商品を食した後も甘みを長時間継続して感じられるよう,複数の糖類を組み合わせることにより工夫したものであり,ステビアを使用しているからステビアの甘みしか感じないということにはならない。 (ウ) したがって,被告包装に原告の主張する表示を行なうことは,何ら商品の品質について誤認させるものではない。 (2) 争点2(不競法2条1項1号違反の有無)についてア争点2-1(原告表示は,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているか)について[原告の主張]原告表示は,次のとおり,遅くとも平成21年8月までには,全国の卸売業者,小売業者及び一般消費者の間で,原告の商品を示す表示として広く知られるようになっていた。 (ア) 原告表示1-1について原告表示1-1(「東京べったら漬」)は,「東京」という地名と「べったら漬」という普通名称から成るものである。 しかしながら,次のとおり,原告表示1-1は,遅くとも昭和60年- 25 -ころから,金久の商品等表示として広く周知されていたものであり,原告は,原告表示1-1の周知性についても金久から承継した。 また,原告は,平成14年以降,原告の製造販売するべったら漬けの包装に,原告の製造販売する商品であることを示す表示として原告表示1-1を付し,圧倒的なシェアを確保,維持している。 その結果,原告表示1-1は,原告商品を示す表示としての識別力を取得し,不競法2条1項1号の商品等表示性及び周知性を備えたものである。 a 金久による「東京べったら漬」表示の使用「東京べったら漬」の表示は,べったら漬けの老舗メーカーであった金久が,昭和40年代に,同社が製造したべったら漬け商品について使用を開始したものである。 金久は,同商標を使用した宣伝広告を多数行い,新聞 べったら漬」の表示は,べったら漬けの老舗メーカーであった金久が,昭和40年代に,同社が製造したべったら漬け商品について使用を開始したものである。 金久は,同商標を使用した宣伝広告を多数行い,新聞記事においても,金久のべったら漬け商品の名称として「東京べったら漬」が紹介された。その結果,「東京べったら漬」の表示は,遅くとも昭和60年ころまでに,金久の商品を表示するものとして,商品等表示性及び周知性を備えた。 そのため,昭和60年から金久が倒産した平成14年までの間は,金久や,金久にプライベート・ブランド商品の製造を委託していた会社及び金久から暖簾分けを受けた会社以外に,「東京べったら漬」の表示及びこれに類似する表示を使用する業者は存在せず,仮に存在したとしても,無視し得る規模,態様のものであった。 また,金久の「東京べったら漬」商品の昭和40年代から平成14年までの累計売上額は,300億円を下らない。 b 金久から原告への「東京べったら漬」表示の承継金久は,平成14年に倒産した。原告は,同年,金久から,「東京- 26 -べったら漬」表示を使用する権利を含む,べったら漬けに関わるすべての業務についての営業譲渡を受け,「東京べったら漬」表示の周知性についても金久から承継した。 c 原告による「東京べったら漬」表示(原告表示1-1)の使用開始及び原告の使用による周知性の強化原告は,金久から上記営業譲渡を受けたことを契機に,原告の製造販売するべったら漬け商品に原告表示1-1を付して,販売促進を図ることとした。 原告は,その後,次のとおり,原告表示1-1を継続的かつ大量に使用し,「東京べったら漬」又はこれに類似する商品名のべったら漬け商品の中での圧倒的なシェアを確保,維持するとともに,原告商品について多数の宣伝広告をし, のとおり,原告表示1-1を継続的かつ大量に使用し,「東京べったら漬」又はこれに類似する商品名のべったら漬け商品の中での圧倒的なシェアを確保,維持するとともに,原告商品について多数の宣伝広告をし,べったら市とのタイアップを図るなどして,原告表示1-1の周知性を確固たるものとした。 (a) 原告商品の市場占有率あ原告は,金久から営業譲渡を受けた平成14年から平成21年7月までの間に,原告表示1-1を使用した商品を約2805万6532個販売した。その販売額の合計は,約45億2548万5489円であり,1年間の売上額は約8億5000万円である。 い他方,べったら漬け市場全体の年間売上額は,40億円程度である。 うまた,原告以外に「東京べったら漬」又はこれに類似する商品名のべったら漬けを販売している業者の売上高は,最大の鈴木食品でも,年間約1億2000万円ないしそれを下回る程度のものである(なお,鈴木食品の上記売上高は,包装等が一般消費者の目に触れることのない,いわゆる樽もの商品(べったら漬け大根が個々に包装されず,まとめて樽や発泡スチロール箱に入れられ- 27 -て販売されるもの。)が売上げの半分以上を占めている。)。その他の業者の売上高は,すべての業者を含めても,年間約3500万円にすぎない。 えしたがって,「東京べったら漬」又はこれに類似する商品名を付して販売されるべったら漬け商品における原告商品の市場占有率は,仮に樽もの商品を含めたとしても,売上高ベースで8割以上であり(なお,原告商品の上記売上高には,樽もの商品は含まれていない。),樽もの商品を含めない場合は,売上高ベースで約9割である。 (b) 原告商品の宣伝広告及びべったら市とのタイアップについてあ原告は,新聞広告により,遅くとも平成14年ころから原 れていない。),樽もの商品を含めない場合は,売上高ベースで約9割である。 (b) 原告商品の宣伝広告及びべったら市とのタイアップについてあ原告は,新聞広告により,遅くとも平成14年ころから原告商品1を含む原告の商品を,遅くとも平成16年ころから原告商品2を宣伝広告しており,「東京べったら漬」(原告表示1-1)及び「東京ゆずべったら漬」(原告表示2-1)が,それぞれ,原告の商号を使わない形で,原告の商品名として記載され,原告表示1-2及び同2-2の包装の写真も掲載されている。原告は,ここ数年,これらの新聞広告のために毎年400万円から700万円を支出している。 い原告は,東京都交通局の地下鉄車内,バス車内,都電車内,都営交通案内所において,毎年2000枚ないし4000枚程度の広告により,遅くとも平成14年ころから,べったら市,自社,原告表示1-1ないし1-4及び原告商品1を含む原告の商品を,遅くとも平成16年ころから原告商品2を宣伝広告しており,1年あたり約70万円を支出している。 う原告は,遅くとも平成14年ころから,自社及び原告商品1を含む原告の商品に関する店頭の看板等の販促物(平成16年ころ- 28 -からは原告商品2に関するものも含む)を小売店等に提供しており,ここ数年は900万円ないし1200万円を支出している。 え原告は,昭和22年から,「べったら市」に対し,のぼり,提灯,法被その他の提供を行い,べったら市を全面的に支援することにより自社を宣伝し,かつ,遅くとも平成14年ころからは原告商品1を含む原告の商品を,遅くとも平成16年ころからは原告商品2を宣伝広告しており,ここ数年は,毎年約300万円を支出している。 お以上のとおり,原告商品は,極めて多数の新聞記事で取り上げられ,多数の宣伝広告がされ ,遅くとも平成16年ころからは原告商品2を宣伝広告しており,ここ数年は,毎年約300万円を支出している。 お以上のとおり,原告商品は,極めて多数の新聞記事で取り上げられ,多数の宣伝広告がされている。これらの新聞記事では,「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」が,原告の商号を伴わない形で,原告の商品名として紹介されており,原告商品の包装の写真も掲載されている。新聞広告においても,「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」が原告の商品名として記載され,原告表示1-2及び原告表示2-2の包装の写真も掲載されている。 さらに,一般消費者向けには,スーパーのチラシ等の宣伝広告のほか,べったら市とタイアップして原告が企画するキャンペーン等により,原告商品を含む原告のべったら漬け商品及び原告表示が,消費者に強く印象付けられている。そして,テレビやマスコミの影響もあって,東京日本橋の「べったら市」が開催される10月になると,原告商品の売上げは急激に上がり,例年,年末までその状態が続く。 (c) このように,「東京べったら漬」の表示を付したべったら漬け商品における原告商品の市場占有率は,少なくとも8割以上である上,業界紙,マスコミ報道,店頭でのべったら市企画等,「東京べ- 29 -ったら漬」として露出するものは,ほぼすべて原告の商品である。 そのため,大多数の消費者は,「東京べったら漬」といえば,原告の商品を連想し,イメージする。 これらの事情に鑑みれば,原告表示1-1は,金久及び原告の使用により識別力を取得し,遅くとも平成21年8月までには,商品等表示性及び周知性を備えたものであるといえる。 (イ) 原告表示1-2ないし1-4についてa 原告表示1-2について(a) 原告は,平成14年以後,原告の製造販売するべったら でには,商品等表示性及び周知性を備えたものであるといえる。 (イ) 原告表示1-2ないし1-4についてa 原告表示1-2について(a) 原告は,平成14年以後,原告の製造販売するべったら漬けの包装に原告表示1-2を表示した商品(原告商品1-2)を販売している。 (b) 原告が金久から営業譲渡を受けた平成14年から平成21年7月までの期間における,原告商品1-2の販売数の合計は約891万6887個である。その販売額の合計は,約14億128万1724円であり,1年間の売上額は約3億円である。 (c) 原告表示1-2の販売状況については,上記のとおりである。 また,原告表示1-2中の「東京べったら漬」という文字部分(原告表示1-1)は,上記(ア)のとおり周知性を有するものである。 したがって,原告表示1-2は,遅くとも平成21年8月までには,原告の商品を示す表示として広く知られるようになったといえる。 b 原告表示1-3について(a) 原告は,遅くとも平成18年以後,原告の製造販売するべったら漬けのうち「東京べったら漬一本」という商品の包装に原告表示1-3を表示した商品(原告商品1-3)を販売している。 (b) 原告商品1-3の1年間の売上額は約2000万円であるが,- 30 -べったら漬け商品の中で,商品名に「東京」及び「一本」と付した商品は,原告商品1-3及び被告商品ハのみであり,原告商品1-3の市場占有率は,100%である。 (c) 原告表示1-3の販売状況については,上記のとおりである。 また,原告表示1-3中の「東京べったら漬」という文字部分(原告表示1-1)及び原告表示1-3とほぼ同一の商品等表示である原告表示1-2は,上記(ア)及び(イ)のとおり周知性を有するものである。 したがって,原告表示1- 東京べったら漬」という文字部分(原告表示1-1)及び原告表示1-3とほぼ同一の商品等表示である原告表示1-2は,上記(ア)及び(イ)のとおり周知性を有するものである。 したがって,原告表示1-3は,遅くとも平成21年8月までには,原告の商品を示す表示として広く知られるようになったといえる。 c 原告表示1-4について(a) 原告は,遅くとも平成18年以後,原告の製造販売するべったら漬けのうち「東京べったら漬スライス」という商品の包装に原告商品1-4を表示した商品(原告商品1-4)を販売している。 (b) 原告商品1-4の1年間の売上額は約400万円であるが,べったら漬け商品の中で,商品名に「東京」及び「スライス」と付した商品は,原告商品1-4及び被告商品ニのみであり,原告商品1-4の市場占有率は,100%である。 (c) 原告表示1-4の販売状況については,上記のとおりである。 また,原告表示1-4中の「東京べったら漬」という文字部分(原告表示1-1)は,上記(ア)のとおり周知性を有するものである。 したがって,原告表示1-4は,遅くとも平成21年8月までには,原告の商品を示す表示として広く知られるようになったといえる。 (ウ) 原告表示2-1及び同2-2について- 31 -a 原告商品2の販売開始時期原告は,平成16年以後,原告の製造販売するゆず風味のべったら漬けの包装に原告表示2-1(「東京ゆずべったら漬」)及び同2-2を表示した商品(原告商品2)を販売している。 b 原告商品2の売上高原告は,平成14年から平成21年7月までの間に,原告商品2を約69万5347個販売した。その販売額の合計は,約1億1098万2460円であり,1年間の売上額は約4000万円である。 c 原告商品2の市場占有率べ ら平成21年7月までの間に,原告商品2を約69万5347個販売した。その販売額の合計は,約1億1098万2460円であり,1年間の売上額は約4000万円である。 c 原告商品2の市場占有率べったら漬け商品の中で,「東京ゆずべったら漬」又はこれに類似する商品名を有する商品は,原告商品2以外には存在しない。したがって,原告商品2の市場占有率は,100%である。 d 原告表示2-1の周知性について原告表示2-1は,上記(ア)のとおり原告による長年の使用により商品等表示性及び周知性を備えた原告表示1-1(「東京べったら漬」)に,「ゆず」という文字が挿入されたものであり,原告表示1-1に類似する。そのため,原告表示2-1は,需要者にとって,原告の商品を示すものであると容易に認識することができる。 したがって,原告表示2-1は,遅くとも平成21年8月までには,原告の商品を示す表示として広く知られるようになったといえる。 e 原告表示2-2の周知性について原告商品2は,平成16年以来,一貫して,原告表示2-2の包装により販売されており,また,原告表示2-2中の「東京ゆずべったら漬」という文字部分は,上記dのとおり,商品等表示性及び周知性を有する。 したがって,原告表示2-2は,遅くとも平成21年8月までには,- 32 -原告の商品を示す表示として広く知られるようになったといえる。 [被告らの主張](ア) 原告表示1-1(「東京べったら漬」)及び同2-1(「東京ゆずべったら漬」)は,商品等表示性を有しないこと次のとおり,「東京べったら漬」は,東京の名産品としてのべったら漬けの一般的名称であり,それ自体に出所表示機能や自他商品識別機能を具備するものではない。また,金久ないし原告のみが「東京べったら漬」の表示を り,「東京べったら漬」は,東京の名産品としてのべったら漬けの一般的名称であり,それ自体に出所表示機能や自他商品識別機能を具備するものではない。また,金久ないし原告のみが「東京べったら漬」の表示を独占的に使用している事実はなく,金久ないし原告の使用によって「東京べったら漬」の表示が識別力を生じたものでもない。 「東京ゆずべったら漬」も,「ゆず味の」東京べったら漬という漬物のことを示すにすぎず,それ自体に出所表示機能や自他商品識別機能を具備するものではなく,原告のみが「東京ゆずべったら漬」という表示を独占的に使用している事実もない。 a 「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」は,一般的名称であること(a) 「べったら漬け」は,江戸時代に日本橋の恵比寿神社の祭礼で売られたことから始まる物品であり,その意味において,東京の名産品としての「江戸べったら漬け」と称呼され,明治以降,東京発祥の物品(東京名産)の代表として「東京べったら漬」として周知,著名となり,「べったら漬け」といえば東京の名産品であると認識されている。 「東京」は,「江戸」と同様に,べったら漬けの発祥の地(名産品)としての意味であり,「東京べったら漬」は,「奈良漬け」や「野沢菜漬け」,「仙台長なす漬け」と同様に,発祥地を示す「東京」と商品名としての「べったら漬け」が結合したものであって,「東京発祥のべったら漬」(東京名産のべったら漬)又は「東京の- 33 -べったら漬け」を意味することは明らかである。 このように,「東京べったら漬」は,東京の名産品としてのべったら漬けの一般的名称であって,それ自体に出所表示機能や自他商品識別機能を具備するものではなく,これによって,何人かの業務に係る商品であることを認識することはできない。出所表示機能や自他商品識別機能 ら漬けの一般的名称であって,それ自体に出所表示機能や自他商品識別機能を具備するものではなく,これによって,何人かの業務に係る商品であることを認識することはできない。出所表示機能や自他商品識別機能を発揮する表示は,後記のとおり,包装等に併記した製造者名や販売業者名,屋号である。 (b) 「東京ゆずべったら漬」という表示も,「ゆず風味のべったら漬け」という漬物を意味するにすぎず,出所表示機能や自他商品識別機能を具備するものではない。 b 「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」の表示は,使用により識別力を得たとはいえないこと(a) 金久による「東京べったら漬」表示の使用状況金久が昭和60年ころから自社の商品に表示していたのは,「金久の東京べったら漬」の商標であり,「東京べったら漬」を単独で表示していた事実はなく,「金久の」文字と「東京べったら漬」の文字は,常に一体化されて使用されていた。 金久が登録していた商標も,「東京べったら漬」ではなく,「金久の東京べったら漬」であった。なお,「東京べったら漬」の文字を含む商標として登録されている商標は,「金久の東京べったら漬」,「東京新高屋の東京べったら漬」,「東京漬膳の東京べったら」などのように,「東京べったら漬」または「東京べったら」の前に商標権者の社名や屋号が一体的に結合されて登録されているものであり,「東京べったら漬」のみで登録された商標は存在しない。 (b) 原告による「東京べったら漬」表示の使用状況原告が「東京べったら漬」の表示を付して販売している商品は,- 34 -単に「東京べったら漬」という表示がされているのではなく,必ず,「東京新高屋」と一体的に表示して使用がされている。 原告は,「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」が,原告の商号を使わない形で に「東京べったら漬」という表示がされているのではなく,必ず,「東京新高屋」と一体的に表示して使用がされている。 原告は,「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」が,原告の商号を使わない形で,新聞記事や新聞広告に原告の商品名として記載されたと主張する。しかしながら,原告が引用する新聞記事及び宣伝広告においては,原告の商品について,原告の商号ないし原告を指し示す「同社」等という記載と「東京べったら漬」,「東京ゆずべったら漬」という記載とが一体表示されているものであり,原告の商号と無関係に「東京べったら漬」ないし「東京ゆずべったら漬」が表示されている新聞記事及び宣伝広告は存在しない。また,原告による宣伝広告の媒体は,食品新聞,食料新聞及び食品経済新聞であり,その購入者は業界関係者のみであって,一般消費者が購入するものではない。 (c) 他社による「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」の使用状況「東京べったら漬」の表示を使用していたのは,金久及び原告のみではなく,鈴木食品ほか11社が「東京べったら漬」という表示を付した商品を製造,販売していたことについては,前記(1)ア「被告らの主張」(ア)のとおりである。 そして,鈴木食品の「東京べったら漬」の1年間の売上額は,2億円を上回るものであり,その販売個数は,約125万個である。 また,ゆず風味のべったら漬けは,原告の他に,鈴木食品など7社が販売しており,原告のみが「東京ゆずべったら漬」なる表示を独占的に使用している事実はない。 (d) 「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」の表示の周知性とべったら市との関係- 35 -原告は,べったら市の周知性の向上に伴い,原告のべったら漬け商品の周知性が向上したと主張する。 しかしながら,べったら市では,「べったら漬け 漬」の表示の周知性とべったら市との関係- 35 -原告は,べったら市の周知性の向上に伴い,原告のべったら漬け商品の周知性が向上したと主張する。 しかしながら,べったら市では,「べったら漬け」という商品が紹介されているものであり,これにより,「べったら漬け」という商品の一般的名称としての周知性が向上するとしても,「東京べったら漬」の周知性が向上するわけではない。いわんや,原告の商品等表示である「東京新高屋の東京べったら漬」の周知性が向上するわけでもない。 また,原告は,原告又は原告の商品を取り上げたテレビ番組や新聞記事の存在について主張するが,これらは,べったら市に関するものであるか,又は,べったら漬けという商品を一般的に紹介する中で付随的に原告の商品に触れているにすぎず,これによって,「東京べったら漬」,又は,原告の商品等表示である「東京新高屋の東京べったら漬」が周知であるとはいえない。 (イ) 原告表示1-2ないし1-4及び同2-2の周知性についてa 原告表示1-2ないし1-4について原告は,「東京べったら漬」(原告表示1-1)の表示を付した商品のすべてについて,原告表示1-2の包装を使用して販売しているものではない。そして,原告以外に,鈴木食品その他の会社も,「東京べったら漬」の表示を付したべったら漬け商品を販売していることから,原告表示1-2を付した商品のシェアは,「東京べったら漬」商品の全売上げのわずか26.37%であり,販売個数においても26.9%と小さいものである。また,原告は,原告表示1-2の包装の写真が多数の新聞広告に掲載されているかのごとく主張するが,甲第37号証の写真以外は,すべて原告表示1-2とは異なる包装の写真である。 - 36 -したがって,原告表示1-2が原告の商品を示す表示として 数の新聞広告に掲載されているかのごとく主張するが,甲第37号証の写真以外は,すべて原告表示1-2とは異なる包装の写真である。 - 36 -したがって,原告表示1-2が原告の商品を示す表示として広く知られるようになったとはいえない。また,この点は,原告表示1-3及び同1-4についても同様である。 b 原告表示2-2について原告表示2-2が「東京べったら漬」商品の全売上げに占めるシェアは約3.5%であり,商品の販売個数においても約3.4%であって,極めて小さいものである。このような売上高,販売個数ともに少ない商品についてシェアを論じること自体,周知性の認定にとっては無意味である。 また,原告表示2-2が新聞広告に掲載されているものは,甲第37号証の写真しか存在しない。 したがって,原告表示2-2が原告の商品を示す表示として広く知られるようになったとはいえない。 イ争点2-2(原告表示と被告包装は類似するか)について[原告の主張]以下のとおり,イ号包装,ハ号包装及びニ号包装の主たる文字部分は,原告表示1-1に類似し,ロ号包装の主たる文字部分は,原告表示2-1に類似する。また,イ号包装及びロ号包装は,それぞれ原告表示1-2及び原告表示2-2に類似し,ハ号包装は原告表示1-2及び原告表示1-3に,ニ号包装は原告表示1-4に,それぞれ類似する。 (ア) 原告表示1-1とイ号包装,ハ号包装及びニ号包装の類似性について原告表示1-1(「東京べったら漬」)は,漬物の名称であり,「漬」以外の「東京べったら」が要部である。 これに対し,イ号包装,ハ号包装及びニ号包装の主たる文字部分は,「東京べったら」であり,これは,原告表示1-1の要部と共通する。 - 37 -また,使用されている商品は,いずれも漬物である。 したがって 対し,イ号包装,ハ号包装及びニ号包装の主たる文字部分は,「東京べったら」であり,これは,原告表示1-1の要部と共通する。 - 37 -また,使用されている商品は,いずれも漬物である。 したがって,イ号包装,ハ号包装及びニ号包装の主たる文字部分は,原告表示1-1と類似する。 (イ) 原告表示1-2とイ号包装の類似性について原告表示1-2及びイ号包装の外観は下図のとおりであり,両者は類似する。その理由は,次のとおりである。 【原告表示1-2】 【イ号包装】 a 原告表示1-2は,縦約12cm,横約25cmの透明な包装パッ- 38 -クに印刷されている。 これに対し,イ号包装は,縦約12cm,横約23cmの透明な包装パックに印刷されている。 b 原告表示1-2は,中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京べったら漬」と毛筆字体で書かれている。 一方,イ号包装も,中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京べったら」と毛筆字体で書かれている。 両者は,いずれも,その包装の内側に大根が入ることにより,中央部に記された文字が目立ち,見る者の目に強く印象付けられる。 c 原告表示1-2の中央部の商品名表示の下には,緑色の太い横線が引かれ,その横線の上に白抜き文字で「低温熟成」と記され,さらに「じっくりねかせて仕上げました。」と商品の説明が記されている。 一方,イ号包装の中央部の商品名表示の下には,青色の太い横線が引かれ,その横線の上に白抜き文字で「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です。」と商品の説明が記されている。 d 原告表示1-2の下部は,左側から右側まで緑色で塗られており,その上には白色の模様が記されている。また,包装の切り口が上下2か所に赤色で示されるほか,包装中央部に赤 商品の説明が記されている。 d 原告表示1-2の下部は,左側から右側まで緑色で塗られており,その上には白色の模様が記されている。また,包装の切り口が上下2か所に赤色で示されるほか,包装中央部に赤色が配され,包装全体が,緑・白・黒・赤の色彩から構成されている。 一方,イ号包装の下部は,左側から右側まで青色で塗られており,その上には白色の模様が記されている。また,包装の切り口が上下2か所に赤色で示されるほか,包装中央部に赤色が配され,包装全体が,青・白・黒・赤の色彩から構成されている。 e 原告表示1-2の右下部には,前記(1)ア[原告の主張](イ)bのとおり,江戸の日本橋を描いた白黒の図絵が記されている。これに対し,イ号包装の右下部には,江戸日本橋のべったら市の様子を描いた白黒- 39 -の図絵が記されている。 f 以上のとおり,イ号包装は,次の点において原告表示1-2と共通する特徴を採用している。 ① 原告表示1-2とほぼ同じ大きさの透明な包装パックを用い,② 原告表示1-2と同様に,中央部に,大きくはっきりと目立つ態様で商品名である「東京べったら」の文字が毛筆字体で表記され,③ 中央部の商品名表示の下には,原告表示1-2と同様に太い横線を引き,白抜き文字で商品説明を加え,④ 包装の下部は,左側から右側まで原告表示1-2に配された緑色と類似する青色が配され,その上には白色の模様が記され,⑤ 原告表示1-2と同様,包装の切り口は上下2か所に赤色で示され,包装中央部に赤色が配され,⑥ 包装全体が原告表示1-2と同じく,4種類の色彩から構成され,⑦ 包装の右下部には,日本橋のべったら市を描いた図絵が施されており,⑧ 上記②の「東京べったら」の文字は,原告表示1-2の中央部に大きくはっきりと目立つ態様で毛筆字体 類の色彩から構成され,⑦ 包装の右下部には,日本橋のべったら市を描いた図絵が施されており,⑧ 上記②の「東京べったら」の文字は,原告表示1-2の中央部に大きくはっきりと目立つ態様で毛筆字体で表記されている「東京べったら漬」の文字と類似し,⑨ 包装表面の構図は,ほぼ中央に,毛筆体で商品名である「東京べったら」という文字を記載し,右側に図絵を描き,商品名の上に自社名を記載し,上部は無色透明のまま,下部は左から右にかけて青色が配され,大きさもほぼ同一であるなど,原告表示1-2の構図と全く同一である。 g これらを全体観察すれば,イ号包装が取引者や一般消費者に与える印象は,原告表示1-2と変わらないものであり,イ号包装は原告表示1-2に類似するといえる。特に,原告が東京<以下略>の老舗漬- 40 -物業者であり,原告表示1-2にも「東京・日本橋」と記載しているところ,イ号包装に「東京」の文字や江戸の日本橋の「べったら市」の図絵が記されていることは,原告表示1-2とイ号包装の類似性を際立たせている。 (ウ) 原告表示1-2及び原告表示1-3とハ号包装の類似性についてa 原告表示1-2の外観及び特徴は,上記(イ)のとおりである。一方,原告表示1-3の外観は下図のとおりであり,両者の外観は,包装のサイズ(原告表示1-3は,縦約12cm,横約34cmの透明な包装パックに印刷されている。)及び商品名の表示(原告表示1-3の商品名は,「東京べったら漬一本」である。)以外は,ほぼ同じである。また,ハ号包装の外観は下図のとおりであり,包装のサイズ(ハ号包装は,縦約12cm,横約32cmの透明な包装パックに印刷されている。)及び商品名の表示(ハ号包装は,「東京べったら」の表示のやや右上部に,大きくはっきりと目立つ態様で「一本」と毛 のサイズ(ハ号包装は,縦約12cm,横約32cmの透明な包装パックに印刷されている。)及び商品名の表示(ハ号包装は,「東京べったら」の表示のやや右上部に,大きくはっきりと目立つ態様で「一本」と毛筆字体で書かれている。)を除き,イ号包装の外観とほぼ同じである。 【原告表示1-3】 【ハ号包装】- 41 - b 以上のとおり,ハ号包装は,次の点において,原告表示1-2及び同1-3と共通する特徴を採用している。 ① 原告表示1-3とほぼ同じ大きさの透明な包装パックを用い,② 原告表示1-2及び同1-3と同様に,中央部に,大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京べったら」の文字が毛筆字体で表記され,③ 中央部の商品名表示の下には,原告表示1-2及び同1-3と同様に太い横線を引き,白抜き文字で商品説明を加え,④ 包装の下部は,左側から右側まで原告表示1-2及び同1-3に配された緑色と類似する青色が配され,その上には白色の模様が記され,⑤ 原告表示1-2及び同1-3と同様,包装の切り口は上下2か所に赤色で示され,包装中央部に赤色が配され,⑥ 包装全体が,原告表示1-2及び同1-3と同じく,4種類の色彩から構成され,⑦ 包装の右下部には,日本橋のべったら市を描いた図絵が施されており,⑧ 上記②の「東京べったら」の文字は,原告表示1-2及び同1-3の中央部に大きくはっきりと目立つ態様で毛筆字体で表記されて- 42 -いる「東京べったら漬」の文字と類似し,⑨ 包装表面の中央付近には,原告表示1-3の包装表面の中央付近と同様,「東京べったら」に続けて「一本」と大きく記載されており,⑩ 包装表面の構図は,ほぼ中央に毛筆体で商品名である「東京べったら一本」という文字を記載し,右側に図絵を描き, 表面の中央付近と同様,「東京べったら」に続けて「一本」と大きく記載されており,⑩ 包装表面の構図は,ほぼ中央に毛筆体で商品名である「東京べったら一本」という文字を記載し,右側に図絵を描き,商品名の上に自社名を記載し,上部は無色透明のまま,下部は左から右にかけて青色が配され,大きさもほぼ同一であるなど,原告商品1-3の構図と全く同一である。 c これらを全体観察すれば,ハ号包装が取引者や一般消費者に与える印象は,原告表示1-2及び同1-3と変わらないものであり,ハ号包装は,原告表示1-2及び同1-3に類似する。 (エ) 原告表示1-4とニ号包装の類似性について原告表示1-4及びニ号包装の外観は,次図のとおりであり,両者は類似する。その理由は,次のとおりである。 - 43 -【原告表示1-4】 【ニ号包装】 a 原告表示1-4は,縦約10cm,横約12cmの透明な四角の容器で,その中央部にラベルが貼られている。ニ号包装もまた,縦約1- 44 -0cm,横約12cmの透明な四角の容器で,その中央部にラベルが貼られている。 b 原告表示1-4のラベル部分には,大きくはっきりと目立つ態様で,商品名の要部である「東京べったら漬」と毛筆字体で縦書きされている。ニ号包装のラベル部分には,大きくはっきりと目立つ態様で,商品名の要部である「東京べったら」と毛筆字体で縦書きされている。 c 以上のとおり,原告表示1-4とニ号包装とは,類似している。 (オ) 原告表示2-1とロ号包装の類似性について原告表示2-1(「東京ゆずべったら漬」)は,漬物の名称であり,「漬」以外の「東京ゆずべったら」が要部である。 これに対し,ロ号包装の主たる文字部分は,「東京ゆずべったら」であり,これ について原告表示2-1(「東京ゆずべったら漬」)は,漬物の名称であり,「漬」以外の「東京ゆずべったら」が要部である。 これに対し,ロ号包装の主たる文字部分は,「東京ゆずべったら」であり,これは,原告表示2-1の要部と共通する。また,使用されている商品は,いずれも漬物である。 したがって,ロ号包装の主たる文字部分は,原告表示2-1と類似する。 (カ) 原告表示2-2とロ号包装の類似性について原告表示2-2及びロ号包装の外観は次図のとおりであり,両者は類似する。その理由は,次のとおりである。 - 45 -【原告表示2-2】 【ロ号包装】 a 原告表示2-2は,縦約12cm,横約25cmの透明な包装パックに印刷されている。 これに対し,ロ号包装は,縦約12cm,横約23cmの透明な包- 46 -装パックに印刷されている。 b 原告表示2-2は,中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京ゆずべったら漬」と毛筆字体で書かれている。 一方,ロ号包装も,中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京ゆずべったら」と毛筆字体で書かれている。 両者は,いずれも,その包装の内側に大根が入ることにより,中央部に記された文字が目立ち,見る者の目に強く印象付けられる。 c 原告表示2-2の中央部の商品名表示の下には,黄色の太い横線が引かれ,その横線の上に「低温熟成」と記され,さらに小さな黒字で「じっくりねかせて仕上げました。」と商品の説明が記されている。 一方,ロ号包装の中央部の商品名表示の下には,黄色の太い横線が引かれ,その横線の上に小さな黒字で「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です。」と商品の説明が記されている。 d 原告表示2-2の下部は,左側から右側まで黄色で塗られており,その上には が引かれ,その横線の上に小さな黒字で「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です。」と商品の説明が記されている。 d 原告表示2-2の下部は,左側から右側まで黄色で塗られており,その上には白色の模様が記されている。また,包装の切り口が上下2か所に赤色で示されるほか,包装中央部に赤色が配され,包装全体が,黄・白・黒・赤の色彩から構成されている。 一方,ロ号包装の下部は,左側から右側まで黄色で塗られており,その上には白色の模様が記されている。また,包装の切り口が上下2か所に赤色で示されるほか,包装中央部に赤色が配され,包装全体が,黄・白・黒・赤の色彩から構成されている。 e 原告表示2-2の透明な部分には,やや弓なりで長さ数cmほどの黄色い曲線が複数描かれている(あたかも細いゆず皮が宙を舞うように描かれている。)。 一方,ロ号包装の透明な部分にも,同様に,やや弓なりで長さ数cmほどの黄色い曲線が複数描かれている。 - 47 -f 原告表示2-2の右下部には,江戸の日本橋を描いた白黒の図絵が記されている。 これに対し,ロ号包装の右下部には,江戸日本橋のべったら市を描いた白黒の図絵が記されている。 g 以上のとおり,ロ号包装は,次の点において,原告表示2-2と共通する特徴を採用している。 ① 原告表示2―2とほぼ同じ大きさの透明な包装パックを用い,② 原告表示2-2と同様に,中央部に,大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京ゆずべったら」の文字が毛筆字体で表記され,③ 中央部の商品名表示の下に,原告表示2-2と同様に黄色の太い横線を引き,黒色の文字で商品説明を加え,④ 包装の下部は,左側から右側まで黄色が配されて塗られ,その上には白色の模様が記され,⑤ 原告表示2-2と同様に,包装の切り口は,上下2か 黄色の太い横線を引き,黒色の文字で商品説明を加え,④ 包装の下部は,左側から右側まで黄色が配されて塗られ,その上には白色の模様が記され,⑤ 原告表示2-2と同様に,包装の切り口は,上下2か所に赤色で示され,包装中央部に赤色が配され,⑥ 包装全体が,原告表示2-2と同じく,黄・白・黒・赤の4色の色彩から構成され,とりわけ,黄色が支配的であり,⑦ 包装の右下部には,江戸日本橋のべったら市を描いた図絵が施されており,⑧ 上記②の「東京ゆずべったら」の文字は,原告表示2-2の中央部に大きくはっきりと目立つ態様で毛筆字体で表記されている「東京ゆずべったら漬」の文字と類似し,⑨ 包装表面の透明な部分に,原告表示2-2と同様に,やや弓なりで長さ数cmほどの黄色い曲線が,あたかも細いゆず皮が宙を舞うように複数描かれており,- 48 -⑩ 包装表面の構図は,ほぼ中央に,毛筆体で商品名である「東京ゆずべったら」という文字を記載し,右側に図絵を描き,商品名の上に自社名を記載し,上部は無色透明のまま,下部は左から右にかけて黄色が配され,大きさもほぼ同一であるなど,原告表示2-2の構図と全く同一である。 h これらを全体観察すれば,ロ号包装が取引者や一般消費者に与える印象は,原告表示2-2と変わらないものであり,ロ号包装は原告表示2-2に類似するといえる。 [被告らの主張](ア) 原告表示1-1とイ号包装,ハ号包装及びニ号包装の主要な文字部分の類似性について原告は,原告表示1-1(「東京べったら漬」)とイ号包装,ハ号包装及びニ号包装の文字部分(「東京べったら」)とを対比する。 しかしながら,前記ア[被告らの主張]のとおり,そもそも,原告表示1-1は,不競法2条1項1号の他人の商品等表示には該当しない。 また,イ号包装,ハ 包装の文字部分(「東京べったら」)とを対比する。 しかしながら,前記ア[被告らの主張]のとおり,そもそも,原告表示1-1は,不競法2条1項1号の他人の商品等表示には該当しない。 また,イ号包装,ハ号包装及びニ号包装についても,「東京べったら」の文字部分のみが商品等表示として使用された事実はない。 したがって,イ号包装,ハ号包装及びニ号包装の文字部分と原告表示1-1を対比することは,誤りである。 (イ) 原告表示1-2及び同1-3とイ号包装及びハ号包装の類似性についてa 包装の形態及び商品名の表示位置について原告表示1-2及び同1-3とイ号包装及びハ号包装は,いずれも,横長透明な包装の正面側に商品名を表示して成る態様において,共通する。しかしながら,これは,この種のべったら漬け商品の包装としては原告のみならず同業他社でも古くから使用されている,ありふれ- 49 -た包装の形態であり,包装の正面側に商品名を表示することも,周知の態様である。 b 包装の文字部分について(a) 原告表示1-2及び同1-3の正面には,「東京」と「べったら漬」の文字が,黒色で同書同大で横一列に配置表示されるとともに,この横一列の文字の略中央部分の上方側に,屋号としての「東京新高屋」の5文字とその社章が,赤色の暖簾に白抜きにして表示されている。また,該暖簾の左側には,やや小さく,「東京・日本橋」と表示されている。 このような表示態様に加え,前記ア[被告らの主張]のとおり,「東京べったら漬」自体には商品識別力や出所表示機能がないことからすると,原告表示1-2及び同1-3においては,「東京新高屋」という屋号が商品識別力ないし出所表示機能を有するものであり,上記表示からは,「東京新高屋の東京べったら漬」,「トーキョウニイタカヤノトーキョーベ 告表示1-2及び同1-3においては,「東京新高屋」という屋号が商品識別力ないし出所表示機能を有するものであり,上記表示からは,「東京新高屋の東京べったら漬」,「トーキョウニイタカヤノトーキョーベッタラヅケ」,又は,識別力のある文字から「トーキョウニイタカヤ」と称呼されるのが自然である。 (b) これに対し,イ号包装ないしハ号包装の正面には,「東京」の文字のうち,「東」が左上がりで他の文字より大きく表示され,かつ,「京」の横に「べったら」と表示され,しかも,「東京」は「べったら」より大きく表示され,かつ,各文字は黒色で,その外周縁は白色で縁取りされ,前記「京べったら」の上方には,同様に白色で縁取りされた屋号としての「東京漬膳の」との黒文字が表示されている。 このようなイ号包装及びハ号包装の表示態様からすると,上記表示は,「東京漬膳の東京べったら」,「トーキョウツケゼンノトーキョーベッタラ」,又は「トーキョウツケゼン」と称呼されるのが- 50 -自然である。 (c) 以上のとおり,原告表示1-2及び同1-3とイ号包装及びハ号包装の文字部分は,明らかに称呼が相違するのみならず,外観,観念においても類似しない。 c 包装のその他の表示態様について(a) 原告表示1-2及び同1-3の右下にやや小さく描かれた図絵は,著名な歌川広重の「東海道五十三次の日本橋」の浮世絵を模写した図絵であることが何人でも容易に判別することができる。 これに対し,イ号包装及びハ号包装の右側略半分に大きく描かれた図絵は,江戸時代の町の風景画であって,原告表示1-2及び同1-3の日本橋の図絵とは全く異なる図形である。 (b) また,原告表示1-2及び同1-3における日本橋の図絵は,包装の下辺に緑色で凹凸状に縁取りされた右側の凹状部内に小さく配置されてい 2及び同1-3の日本橋の図絵とは全く異なる図形である。 (b) また,原告表示1-2及び同1-3における日本橋の図絵は,包装の下辺に緑色で凹凸状に縁取りされた右側の凹状部内に小さく配置されている。 これに対し,イ号包装における風景画は,その上方の空が青色で,かつハート型の帯で大きく区画表示されており,風景画の左下方側は白色のさざ波風の大きな幅のある海風に青色で描かれている。 (c) このように,原告表示1-2及び同1-3の包装表示とイ号包装及びハ号包装の包装表示とは,全体のデザインコンセプトが明らかに相違し,図柄の構成が全く異なるとともに色彩も異なるものであって,これが類似することはあり得ない。 (ウ) 原告表示1-4とニ号包装の類似性についてa 原告表示1-4とニ号包装は,いずれも,透明な四角の容器の中央部にラベルが貼られ,商品名を表示している態様において共通する。 しかしながら,この種のべったら漬けの包装は,原告だけでなく同業他社でも古くから使用されている,ありふれた包装の形態である。 - 51 -また,包装の中央部にラベルが貼られて商品名を表示することも,周知の態様である。 b 原告表示1-4では,包装の正面右端部分に,「東京」と「べったら漬」の文字が黒色で縦列に配置表示されているが,「東京」と「べったら漬け」の大きさは異なり,左上部分には屋号としての「東京新高屋」の5文字が赤字で横書きに表示されており,右下部分には,赤地に白抜きで「スライス」と表示されている。このような表示態様に加え,「東京べったら漬」自体には自他商品識別力や出所表示機能がないことからすると,原告表示1-4においては,「東京新高屋」という屋号が自他商品識別力ないし出所表示機能を有するものであり,上記表示からは,「東京新高屋の東京べったら漬」,「 別力や出所表示機能がないことからすると,原告表示1-4においては,「東京新高屋」という屋号が自他商品識別力ないし出所表示機能を有するものであり,上記表示からは,「東京新高屋の東京べったら漬」,「トーキョウニイタカヤノトーキョウベッタラヅケ」,又は,識別力のある文字から「トーキョウニイタカヤ」と称呼されるのが自然である。 c これに対し,ニ号包装の中央部分には,「東京」の文字と「べったら」の文字が,同書同大で2行にわたって表示され,右上部には,屋号としての「東京漬膳の」との文字が青地に白抜きで縦書きに表示されている。このようなニ号包装の表示態様からすれば,上記表示は,「東京漬膳の東京べったら」,「トーキョウツケゼンノトーキョーベッタラ」,又は「トーキョウツケゼン」と称呼されるのが自然である。 d したがって,原告表示1-4とニ号包装の文字部分は,明らかに称呼が相違するのみならず,外観,観念においても類似するものではない。 (エ) 原告表示2-1の主要な文字部分とロ号包装の類似性について原告は,原告表示2-1(「東京ゆずべったら漬」)とロ号包装の文字部分(「東京ゆずべったら」)とを対比する。 しかしながら,そもそも,原告表示2-1は,不競法2条1項1号の他人の商品等表示には該当しないものであり,ロ号包装についても,「東京- 52 -ゆずべったら」の文字部分のみが商品等表示として使用された事実はない。 (オ) 原告表示2-2とロ号包装の類似性についてa 包装の形態及び商品名の表示位置について原告表示2-2とロ号包装は,いずれも,横長透明な包装の正面側に商品名を表示して成る態様において,共通する。しかしながら,これは,この種のべったら漬け商品の包装としては原告のみならず同業他社でも古くから使用されている,ありふれた包装の形 長透明な包装の正面側に商品名を表示して成る態様において,共通する。しかしながら,これは,この種のべったら漬け商品の包装としては原告のみならず同業他社でも古くから使用されている,ありふれた包装の形態であり,包装の正面側に商品名を表示することも,周知の態様である。 b 包装の文字部分について(a) 原告表示2-2の正面には,「東京」と「ゆずべったら漬」の文字が,黒色で同書同大で横一列に配置表示されるとともに,この横一列の文字の略中央部分の上方側に,屋号としての「東京新高屋」の5文字とその社章が,赤色の暖簾に白抜きにして表示されている。 また,該暖簾の左側には,やや小さく,「東京・日本橋」と表示されている。 このような表示態様に加え,「東京ゆずべったら漬」自体には自他商品識別力や出所表示機能がないことからすると,原告表示2-2においては,「東京新高屋」という屋号が自他商品識別力ないし出所表示機能を有するものであり,上記表示からは,「東京新高屋の東京ゆずべったら漬」,「トーキョウニイタカヤノトーキョウユズベッタラヅケ」,又は,識別力のある文字から「トーキョウニイタカヤ」と称呼されるのが自然である。 (b) これに対し,ロ号包装の正面には,「東京」の文字のうち,「東」が左上がりで他の文字より大きく表示され,かつ,「京」の文字と「べったら」の文字との間にこれらの文字色(黒)と異なる赤色文- 53 -字で縦書きの「ゆず」の文字が挿入されて表示され,しかも,「東京」は「べったら」より大きく表示され,かつ,各文字は「ゆず」を除き黒色で,その外周縁は白色で縁取りされ,前記「京べったら」の上方には,同様に白色で縁取りされた屋号としての「東京漬膳の」との黒文字が表示されている。 このようなロ号包装の表示態様からすると,上記表示は,「東 の外周縁は白色で縁取りされ,前記「京べったら」の上方には,同様に白色で縁取りされた屋号としての「東京漬膳の」との黒文字が表示されている。 このようなロ号包装の表示態様からすると,上記表示は,「東京漬膳の東京べったら」,「トーキョウツケゼンノトーキョーベッタラ」,又は「トーキョウツケゼン」と称呼されるのが自然である。 (c) 以上のとおり,原告表示2-2とロ号包装の文字部分は,明らかに称呼が相違するのみならず,外観,観念においても類似しない。 c 包装のその他の表示態様について(a) 原告表示2-2の右下にやや小さく描かれた図絵は,著名な歌川広重の「東海道五十三次の日本橋」の浮世絵を模写した図絵である。 これに対し,ロ号包装及びハ号包装の右側略半分に大きく描かれた図絵は,江戸時代の町の風景画であって,原告表示2-2の日本橋の図絵とは全く異なる。 (b) また,原告表示2-2における日本橋の図絵は,包装の下辺に黄色で凹凸状に縁取りされた右側の凹状部内に小さく配置されている。 これに対し,ロ号包装における風景画は,その上方が黄色で,かつハート型の帯で大きく区画表示(ゆずを截断した状態表示)されており,風景画の左下方側は白色のさざ波風の大きな幅のある海風に黄色で描かれている。 (c) 原告表示2-2の左上方には,「ゆず味」の文字とゆずの実の図柄が大きく表示されている。これに対し,ロ号包装には,このような表示態様はない。 - 54 -(d) このように,原告表示2-2の包装表示とロ号包装の包装表示とは,全体のデザインコンセプトが明らかに相違し,図柄の構成が全く異なるとともに色彩も異なるものであって,これが類似することはあり得ない。 ウ争点2-3(被告商品を販売等することは原告表示と混同を生じさせるか)について[原告の に相違し,図柄の構成が全く異なるとともに色彩も異なるものであって,これが類似することはあり得ない。 ウ争点2-3(被告商品を販売等することは原告表示と混同を生じさせるか)について[原告の主張](ア) 原告表示と被告包装の類似性前記イ[原告の主張]のとおり,イ号包装,ハ号包装及びニ号包装の主たる文字部分は原告表示1-1に類似し,ロ号包装の主たる文字部分は原告表示2-1に類似する。また,イ号包装及びロ号包装は,それぞれ原告表示1-2及び原告表示2-2に類似し,ハ号包装は原告表示1-2及び原告表示1-3に,ニ号包装は原告表示1-4に,それぞれ類似する。 (イ) 原告が東京の名産品である「東京べったら漬」の製造者であり,べったら市に出店している業者であることは,需要者の間に広く知られてることa 前記イ[原告の主張]のとおり,原告表示は,遅くとも平成21年8月までには周知になっていたものであり,原告の商品は,東京<以下略>のべったら漬けの老舗メーカーである原告の製造する東京の名産品のべったら漬けであるという認識も,需要者の間に定着している。 b 原告表示と被告包装のいずれにも挿入されている日本橋の図絵は,「ベったら市」の販促企画のポスターなどの印象と密接に関連するものである。原告は,長年にわたり,全国の各スーパーで「べったら市」特別企画を行い,店頭デザインパネルや新聞広告において「お江戸日本橋」の「東京べったら漬」とうたい,マスメディアの露出にあわせ- 55 -て,「東京の観光行事にベったら市があり」その「日本橋べったら市に出店して販売している」東京ベったら漬けの商品として原告商品を店頭に表示しており,原告商品は,毎年,一般消費者の記憶に刷り込まれ続けてきている。 そのため,被告包装上の上記図絵の存在により,需 に出店して販売している」東京ベったら漬けの商品として原告商品を店頭に表示しており,原告商品は,毎年,一般消費者の記憶に刷り込まれ続けてきている。 そのため,被告包装上の上記図絵の存在により,需要者は,べったら市,ひいては,べったら市に出店している業者(すなわち,原告)を想起する。 c 他方,被告包装は,被告東京漬膳の会社名や商品名として,「東京」の文字を含むものであるが,被告東京漬膳は,平成21年9月以前は商品の販売実績を有しなかったものであり,現在も固有の従業員を有さず,品質管理を担当する従業員も存在しない,実体のない会社である。また,被告らは,べったら市に参加したり,協賛,協力したりしたことは一度もないにもかかわらず,イ号包装ないしハ号包装の右下部には江戸日本橋のべったら市の図絵が挿入されている。 このように,べったら市に全く関与したこともなく,縁もゆかりもない被告東京漬膳のべったら漬け商品の包装に,江戸日本橋のべったら市の図絵を用いれば,流通小売各社及び問屋等の取引業者並びに一般消費者において,原告商品との誤認混同を生じる。 (ウ) また,スーパーを始めとする小売店等では,定番商品としては1社の商品しか取り扱われないものであり,この状態が,原告商品1については平成14年ころから,原告商品2については平成16年ころから継続し,原告商品のみが,数年以上ほぼ同じ陳列場所に陳列され続けていた。 さらに,原告は,毎年,べったら市が開催される時期になると,マスメディアでの露出にあわせて大々的に「べったら市」企画を催し,ポスターやポップ,チラシ等の販促物を展示・配布しており,原告商品は,確実に消費者の記憶に焼き付いている。 - 56 -このように長期間原告表示を目にしていた取引者や一般消費者が,ある日突然,同じ陳列場所に,原告 チラシ等の販促物を展示・配布しており,原告商品は,確実に消費者の記憶に焼き付いている。 - 56 -このように長期間原告表示を目にしていた取引者や一般消費者が,ある日突然,同じ陳列場所に,原告商品の包装に類似した包装の被告商品が原告商品と置き換えられているのを目にすれば,過去の原告商品の包装についての記憶と無意識に関連付け,被告商品が原告商品と同一であるか,又は同じ出所であると誤認混同してしまうのは当然である。 [被告らの主張](ア) 原告表示と被告包装とが類似するものでないことについては,前記イ[被告らの主張]のとおりである。特に,原告商品の包装の表面には「東京新高屋」という屋号が明記されており,他方,被告包装の表面には「東京漬膳」という屋号が明記されているのであって,両者が誤認混同されるおそれはない。流通小売各社が,商品名に「東京べったら漬」と記載され,商品の販売者欄に「東京」という文字が記載されていることをもって,出所を混同することはあり得ない。 また,卸売業者や小売業者は,商品の包装表示から購入するかどうかを判断するのではなく,むしろ,味と価格で商品を吟味するのであって,この点からしても,原告の商品と被告商品とが誤認混同されるおそれはない。 さらに,べったら漬けは,スーパーをはじめとする小売店等では,定番商品として1社の商品のみが取り扱われる傾向があり,このような販売形態がとられているべったら漬けにおいて,一般消費者が商品の出所を誤認混同することはあり得ない。 (イ) 原告は,被告らがべったら市に参加,協賛,協力をしたことが一度もないのに,べったら市の図絵をイ号包装ないしハ号包装に挿入していると主張する。 しかしながら,イ号包装ないしハ号包装は,べったら漬けの発祥地といわれる江戸でべったら漬けを販売してい たことが一度もないのに,べったら市の図絵をイ号包装ないしハ号包装に挿入していると主張する。 しかしながら,イ号包装ないしハ号包装は,べったら漬けの発祥地といわれる江戸でべったら漬けを販売している町の風景が描かれたもの- 57 -にすぎず,べったら市の絵でもなければ,べったら市を想起させるものでもない。また,東京べったら漬けの小売包装において,江戸時代ころの絵が挿入されているものとしては,被告商品の他に,株式会社八幡屋の商品も存在する。 したがって,上記のような想像画にすぎないものを包装に表示していることによって,被告商品が原告商品と誤認混同を生じさせるものであるとはいえない。 (3) 争点3(一般不法行為の成否)について[原告の主張]仮に,被告らに不正競争行為が認められないとしても,被告らの行為は,次のとおり,民法709条の不法行為に該当する。 ア原告は,東京を本拠に昭和5年に創業した新高屋の,べったら漬けの老舗製造業者としての地位を引き継ぎ,東京・日本橋の「べったら市」の振興及び周知に尽力し,「べったら漬けといえば新高屋」と言われるまでに自社のブランドを築き上げ,特に平成14年以降は,「東京べったら漬」及び「東京ゆずべったら漬」のブランドを高めてきた。 その結果,べったら漬けの市場において,「東京べったら漬」は,単なるべったら漬け商品とは異なる高価格帯で販売されるブランドとして確立され,また,市場に出回る「東京べったら漬」なる商品のほとんどを,原告の商品が占めている。このような原告の「東京べったら漬」ブランドの構築には,原告の多大な費用と労力がかけられている。 イ被告備後漬物は,平成14年以来,中国地方最大の問屋として,原告の「東京べったら漬」商品を取り扱ってきたものであるが,原告が全国の各小売店で大々的な ,原告の多大な費用と労力がかけられている。 イ被告備後漬物は,平成14年以来,中国地方最大の問屋として,原告の「東京べったら漬」商品を取り扱ってきたものであるが,原告が全国の各小売店で大々的な販促活動を行って「東京べったら漬」の売上げを伸ばしていることに目を付け,突如,べったら漬け市場に参入し,しかも,原告が被告備後漬物に卸してきた主力商品である「東京べったら漬」,「東京- 58 -ゆずべったら漬」,「東京べったら漬一本」及び「東京べったら漬スライス」と同じ商品構成である,「東京べったら」,「東京ゆずべったら」,「東京べったら(一本)」及び「東京べったら(スライス)」の4品目を取り揃えた。また,被告備後漬物は,商品パッケージのデザインには無数の選択肢があるにもかかわらず,べったら市を想起させる図絵を載せるなどして,被告商品の包装を対応する原告商品の包装(原告表示1-2ないし1-4,原告表示2-2)に類似させた。 ウべったら漬けは,各小売店において,通常,定番商品としては1社の商品しか取り扱われないものであり,被告商品は,原告商品に置き換えられて販売されている。 また,被告らは,被告商品は東京の原材料を使用するものではなく,東京で製造又は加工するものでもないため,商品名に「東京」と付することのできる理由がないにもかかわらず,「東京べったら」「東京ゆずべったら」「東京べったら(一本)」「東京べったら(スライス)」という商品名を使用して,安価に第三者に委託製造させたべったら漬けを,原告商品と同様の高価格帯で販売している。 これは,原告がべったら漬けの老舗製造業者として多大な費用と労力を投資して築き上げてきた「東京べったら漬」ブランドに乗じて被告商品を販売しているものであり,あたかも,被告商品が原告商品と同じ品質であるか ,原告がべったら漬けの老舗製造業者として多大な費用と労力を投資して築き上げてきた「東京べったら漬」ブランドに乗じて被告商品を販売しているものであり,あたかも,被告商品が原告商品と同じ品質であるかのような体裁を生じさせている。 エこのような被告らの行為は,取引における公正かつ自由な競争として許される範囲を逸脱しており,不法行為に該当するものであり,上記不法行為を行うにつき,被告らには,故意又は過失がある。また,被告備後漬物は,平成21年9月以前から原告商品を取り扱っていたものであり,被告東京漬膳は,被告備後漬物の役員によって設立され,かつ役員を共通にする会社であるから,被告らの行為は,客観的に共同でされたものである。 - 59 -[被告らの主張]不競法の対象とならない行為が民法709条所定の一般不法行為となるか否かの判断に当たっては,市場における競争は本来自由であることを考慮しなければならない。市場における競争は本来自由であるべきであり,一定の範囲の行為についてのみ不正競争行為としてこれを規制する不競法の趣旨に照らせば,同法において規制対象とならない行為については,当該行為が市場において利益を追求するという観点を離れて,殊更に相手方に損害を与えることのみを目的としてされたような特段の事情が存在しない限り,民法709条の一般不法行為を構成することもないというべきである。 本件において,原告は,被侵害利益,被告らの加害行為,被告らの故意についてるる主張するものの,結局のところ,これらは不競法2条1項1号違反を基礎付ける事実の主張の繰返しにすぎず,上記特段の事情が存在しないことは明らかである。 (4) 争点4(原告の損害)について[原告の主張]ア被告らの共同行為(ア) 被告備後漬物は,平成21年9月以前から原告商品 にすぎず,上記特段の事情が存在しないことは明らかである。 (4) 争点4(原告の損害)について[原告の主張]ア被告らの共同行為(ア) 被告備後漬物は,平成21年9月以前から原告商品を取り扱っていたものであり,被告東京漬膳は,被告備後漬物の役員によって設立され,かつ役員を共通にする会社である。 (イ) したがって,被告らには,前記不競法2条1項13号及び同1号の不正競争行為を行うにつき,故意又は過失がある。また,被告らの行為は,客観的に共同でされたものである。 イ不競法5条2項により推定される損害被告らは,平成21年9月から本件訴訟の提起日である平成22年6月18日までの間に,被告商品の販売等による不正競争行為によって,次のとおり,合計3000万円以上の利益を上げており,これは,原告の得べ- 60 -かりし利益と推定される(不競法5条2項)。したがって,被告らは,上記期間における被告商品の販売について,原告に対し,連帯して3000万円を支払う義務を負う。 (ア) 被告商品1個当たりの販売利益被告商品は,いずれも,鈴木食品から被告東京漬膳に対して販売され,被告東京漬膳から被告備後漬物に転売された後,被告備後漬物から小売店に販売された。被告らにおける被告商品1個当たりの販売利益は,次のとおりである。 a 被告商品イ及び被告商品ロについて被告東京漬膳は,被告商品イ及び被告商品ロを鈴木食品から1個当たり平均120円で購入し,被告備後漬物に対し,1個当たり平均160円で販売した。 被告備後漬物は,スーパー等の小売店に対し,これらの商品を1個当たり平均200円で販売した。被告備後漬物がこれらの商品の販売について支出する経費の額は,被告東京漬膳が鈴木食品からこれらの商品を購入した金額の7.5%程度である。 し 対し,これらの商品を1個当たり平均200円で販売した。被告備後漬物がこれらの商品の販売について支出する経費の額は,被告東京漬膳が鈴木食品からこれらの商品を購入した金額の7.5%程度である。 したがって,被告らは,被告商品イ及び被告商品ロの販売について,被告ら合計で1個当たり少なくとも71円(200 円-(120 円+120 円×7.5%)=71 円)の利益を得た。 b 被告商品ハについて被告東京漬膳は,被告商品ハを鈴木食品から1個当たり平均150円で購入し,被告備後漬物に対し,1個当たり平均200円で販売した。 被告備後漬物は,スーパー等の小売店に対し,被告商品ハを1個当たり平均250円で販売した。被告備後漬物が被告商品ハの販売について支出する経費の額は,被告東京漬膳が鈴木食品から被告商品ハを- 61 -購入した金額の8%程度である。 したがって,被告らは,被告商品ハの販売について,被告ら合計で1個当たり少なくとも88円(250 円-(150 円+150 円×8%)=88円)の利益を得た。 c 被告商品ニについて被告東京漬膳は,被告商品ニを鈴木食品から1個当たり平均90円で購入し,被告備後漬物に対し,1個当たり平均120円で販売した。 被告備後漬物は,スーパー等の小売店に対し,被告商品ニを1個当たり平均150円で販売した。被告備後漬物が被告商品ニの販売について支出する経費の額は,被告東京漬膳が鈴木食品から被告商品ニを購入した金額の7.5%程度である。 したがって,被告らは,被告商品ニの販売について,被告ら合計で1個当たり少なくとも55.5円(150 円-(90 円+90 円×7.5%)=55.5 円)の利益を得た。 (イ) 被告商品の販売個数被告らは,平成21年9月から平成22年6 告ら合計で1個当たり少なくとも55.5円(150 円-(90 円+90 円×7.5%)=55.5 円)の利益を得た。 (イ) 被告商品の販売個数被告らは,平成21年9月から平成22年6月18日までの間に,被告商品イを28万個以上,被告商品ロを9万個以上,被告商品ハを6万個以上,被告商品ニを6万個以上,それぞれ販売した。 (ウ) したがって,被告らが平成21年9月から平成22年6月18日までの間に被告商品の販売により得た利益の額は,被告商品イにつき1988万円(71 円×28 万個),被告商品ロにつき639万円(71 円×9 万個),被告商品ハにつき528万円(88 円×6 万個),被告商品ニにつき333万円(55.5 円×6 万個)を下らず,これらの合計額は3488万円を下らない。 原告は,この一部請求として,イ号商品につき1900万円,ロ号商品につき600万円,ハ号商品につき490万円及びニ号商品につき1- 62 -0万円(合計3000万円)を請求する。 ウ信用毀損,弁護士費用等の損害原告は,上記アの損害のほか,被告らの不正競争行為によって,以下のとおり,営業上の損失を蒙り,又は費用を支出したので,被告らに対し,この損害の賠償を求める。 (ア) 信用毀損による損害 300万円(イ) 侵害調査費用 200万円(ウ) 弁護士費用 1500万円[被告らの主張]ア上記[原告の主張]ア(被告らの共同行為)については,(ア)の事実は認め,(イ)の事実ないし主張は否認ないし争う。 イ上記[原告の主張]イ(不競法5条2項により推定される損害)については,否認ないし争う。 被告商品イ,被告商品ロ及び被告商品ハ(以下,これらの商品を併せて「被告商品イないしハ」という。)の販売による被告らの の主張]イ(不競法5条2項により推定される損害)については,否認ないし争う。 被告商品イ,被告商品ロ及び被告商品ハ(以下,これらの商品を併せて「被告商品イないしハ」という。)の販売による被告らの利益は,次のとおりである。 (ア) 被告東京漬膳の利益の額a 被告東京漬膳は,鈴木食品から,被告商品イ及び被告商品ロを1個当たり●(省略)●円で購入し,被告商品ハを1個当たり●(省略)●円で購入した。 被告東京漬膳は,被告備後漬物に対し,被告商品イないしハを販売した。被告東京漬膳の被告備後漬物に対する被告商品イないしハの販売価額は,被告東京漬膳が鈴木食品に支払った代金(消費税抜き)に●(省略)●%を乗じた金額を付加した金額であった。 b 被告東京漬膳は,鈴木食品に対し,平成21年9月1日から平成23年3月31日までの間に製造された被告商品イないしハの代金とし- 63 -て,別表1「東京漬膳べったら3品仕入金額一覧」のとおり,合計●(省略)●円に消費税を付加した●(省略)●円を支払った。 他方,被告東京漬膳は,同被告が平成21年9月1日から平成23年3月31日までの間に被告備後漬物に販売した被告商品イないしハの代金として,被告備後漬物から,別表2「備後漬物べったら3品販売データー」(以下,単に「別表2」という。)のとおり,合計●(省略)●円に消費税を付加した●(省略)●円の支払を受けた。 c したがって,被告東京漬膳が平成21年9月1日から平成23年3月31日までの間に被告商品イないしハの販売により得た利益の額は,最大でも●(省略)●円(●(省略)●円-●(省略)●円)である。 (イ) 被告備後漬物の利益の額a 被告備後漬物は,平成21年9月1日から平成23年3月31日までの間に,別表2のとおり,被告商品イないしハの販売により ●(省略)●円-●(省略)●円)である。 (イ) 被告備後漬物の利益の額a 被告備後漬物は,平成21年9月1日から平成23年3月31日までの間に,別表2のとおり,被告商品イないしハの販売により合計●(省略)●円の売上げを得た。 一方,同期間中に被告備後漬物が被告東京漬膳に支払った被告商品イないしハの代金額は,上記(ア)bのとおり●(省略)●円である。 b 被告備後漬物は,被告東京漬膳から購入した被告商品イないしハを全国の取引先に販売するに当たり,商品の運搬費,センターフィー(集中配送センターを有する取引先に商品を搬送する場合に,集中配送センターから各小売店舗への搬送に要する運搬費),リベート(取引先への販売額に応じて取引先に対して支払う割戻し),データ処理料(取引先がオンライン発注システムを利用する場合に,取引先からいわゆる手間賃として請求されるもの)及び特売条件による負担(取引先が被告備後漬物から購入した商品を一般消費者に対して販売するに際して,割引等を行って販売促進をする場合に,被告備後漬物が当該割引分を負担するもの)などとして,別表2のとおり,合計●(省略)●- 64 -円を支出した。これらの費用は,被告商品イないしハの販売のために追加的に増加した費用であるから,被告備後漬物の利益を算定するに当たって控除すべきである。 c したがって,平成21年9月1日から平成23年3月31日までの間に被告備後漬物が被告商品イないしハの販売により得た利益の額は,最大でも●(省略)●円(●(省略)●円-●(省略)●円-●(省略)●円)である。 (ウ) 被告商品の販売に対する被告包装の寄与度被告商品の売上げ及び利益の獲得には,次のとおり,被告備後漬物の独自の営業努力,信用,被告商品自体の品質の高さなどが寄与するところ る。 (ウ) 被告商品の販売に対する被告包装の寄与度被告商品の売上げ及び利益の獲得には,次のとおり,被告備後漬物の独自の営業努力,信用,被告商品自体の品質の高さなどが寄与するところが大きいものである。被告商品の販売に対する被告包装の寄与は,皆無であるか,又は極めて小さいものである。 a 被告備後漬物の業態及び販売地域被告商品は,被告東京漬膳が鈴木食品から購入した商品のすべてが被告備後漬物に販売され,被告備後漬物の販売網を通じて,卸業者や小売業者に販売された。被告商品の売上げは,その約85%が西日本地域におけるものである。 被告備後漬物は,昭和21年に広島県で創業して以来,西日本を中心に,卸売業者や小売業者に対して各種漬物を販売しており,特に,キムチに関しては,その売上げや販売数量は日本でトップクラスである。被告備後漬物は,被告商品の販売に際しても,西日本における同社の営業網や営業力の強みを生かし,その販売力や販売網を駆使することによって,その売上げを伸ばしたものである。 b 被告商品の品質被告商品は,「味」が決め手となる「漬物」である。需要者は,被告商品の「味」を選択して被告商品を購入するものであり,被告包装- 65 -に着目して被告商品を購入するわけではない。また,被告商品は食品であるから,「安全」,「安心」という点も,需要者が商品を購入する強い動機となる。 この点,被告備後漬物が販売する漬物は,「味」が良いということだけでなく,「安心・安全な漬物」として広く認知されている。被告備後漬物の主力商品であるキムチが,国際的な品評機関である「モンドセレクション」の金賞を受賞している事実は,このことを端的に示している。また,被告商品イは,モンドセレクションの2011年度銀賞を受賞しており,同商品自体も高い品 が,国際的な品評機関である「モンドセレクション」の金賞を受賞している事実は,このことを端的に示している。また,被告商品イは,モンドセレクションの2011年度銀賞を受賞しており,同商品自体も高い品質を有するものである。 被告商品の売上げには,このような,「高品質な漬物を長年にわたって提供してきた備後漬物が販売する漬物」であるという需要者の信頼及び被告商品の品質の高さが,大きく寄与している。 c 被告備後漬物の提案力,企画力被告備後漬物は,長年の営業経験を生かし,各取引先に対し,商品展示方法や商品の陳列方法等について独自な提案を行っており,これらの提案力や企画力が取引先に評価され,売上げを伸ばしている。被告商品の売上げの向上は,被告備後漬物の企画力や提案力という,他社にはない独自な営業手法が功を奏したものである。 d 被告商品の販売形態スーパー等の小売店の陳列棚には,通常,特定の1社のべったら漬けのみが陳列される。そのため,べったら漬けの販売(仕入れ)に当たっては,仕入担当者(購入者)との人的関係,商品の企画力・品質・価格等が,最大の要因となる。 このような事情の下で,被告商品の売上げについては,上記aないしcの被告備後漬物の人的ネットワーク・営業網・販売網,被告商品の品質の高さ,被告備後漬物の企画力こそが寄与したものであり,商- 66 -品の包装に着目して商品が購入されることはほとんどない。 e 被告包装の色彩及び「東京漬膳の」という表示「べったら漬け」及び「東京べったら漬」を販売している各社の商品包装の色彩は,ほとんどが「緑色」である。これに対し,イ号包装の色彩は,従来の包装には存在しない「青色」を採用したため,取引先業者の目にとまり,イ号包装を使用した被告商品の売上げに貢献した。 また,被告包装には, どが「緑色」である。これに対し,イ号包装の色彩は,従来の包装には存在しない「青色」を採用したため,取引先業者の目にとまり,イ号包装を使用した被告商品の売上げに貢献した。 また,被告包装には,「東京漬膳の」という表示が,購入者から一見して明らかな態様で明記されているため,購入者が被告商品を原告の商品と誤認することは考え難い。 f 被告商品の包装表示べったら漬け及び東京べったら漬けは,原告及び被告ら以外にも多数の企業が販売し,その包装表示は,「屋号」や「商号」を除き,各社が独自に,又は類似するものを用いているが,包装表示にとって重要な表示は,その出所識別標識としての販売業者の「屋号」や「商号」であって,包装デザインではない。 また,本件では,前記(2)ア[被告らの主張](ア)のとおり,原告表示1-1(「東京べったら漬」)及び同2-1(「東京ゆずべったら漬」)には出所表示機能や自他商品識別機能がないため,この表示を度外した包装表示が,被告商品の需要を喚起せしめて商品の販売に寄与した程度が検討されなければならない。このような見地からすると,被告包装の被告商品の販売に対する寄与は,皆無であるといえる。 イ上記[原告の主張]イ(信用毀損,弁護士費用等の損害)については,否認ないし争う。 [被告らの主張に対する原告の反論]ア上記[被告らの主張]イ(ア)(被告東京漬膳の利益の額)及び(イ)(被告- 67 -備後漬物の利益の額)については,おおむね認める。 イ上記[被告らの主張]イ(ウ)(被告商品の販売に対する被告包装の寄与度)については,否認ないし争う。 被告らは,商品包装のデザインや掲載する図絵,包装パッケージの形態や大きさには無数の選択肢があるにもかかわらず,被告商品の包装の表示態様を原告商品の包装に意図的に 度)については,否認ないし争う。 被告らは,商品包装のデザインや掲載する図絵,包装パッケージの形態や大きさには無数の選択肢があるにもかかわらず,被告商品の包装の表示態様を原告商品の包装に意図的に類似させ,一般消費者らに原告商品との誤認混同を生じさせて,被告商品を販売した。また,被告包装は,包装表示のデザイン・図絵が原告商品の包装と類似するだけでなく,包装の素材,形状,大きさに至るまで,原告商品と同一,又は極めて類似している。したがって,被告商品の売上げに被告包装が寄与したことは明らかである。 被告らが主張する事情は,次のとおり,被告商品の売上げに寄与したものではない。 (ア) 被告商品の販売地域について被告備後漬物が,被告商品とは別種類の商品である「キムチ」に関して構築してきたとする営業網などは,被告商品の売上げとは関係がない。 仮に,被告備後漬物が西日本を中心に築いてきたという「営業網」や「人的ネットワーク」のみで被告商品を販売できるのであれば,被告らは,原告表示を模倣する必要などなかったはずである。また,被告らは,販売ネットワークを維持するための「センターフィー」等の管理費用を被告らの利益の額から控除しているのだから,さらに,被告らの営業網で販売されたことをもって利益の額の一定割合を減じることは相当でない。 (イ) 被告商品の品質についてモンドセレクションでの受賞は,その実態を見ると,被告らが強調するほど大げさなものではなく,被告商品イが銀賞を受賞したことなど,取り上げるだけの価値に乏しい。モンドセレクションは,審査料を支払- 68 -って自ら応募するものであり,ノーベル賞のようにあらゆる候補者の中から選考されて表彰されるものとは全く異なる。日本においてさえマイナーな商品が数多く金賞を受賞しているのは,このような自 - 68 -って自ら応募するものであり,ノーベル賞のようにあらゆる候補者の中から選考されて表彰されるものとは全く異なる。日本においてさえマイナーな商品が数多く金賞を受賞しているのは,このような自薦の形をとる応募システムのためである。 また,被告らは,「被告備後漬物が販売する漬物」であるという需要者の信頼が被告商品の販売に寄与したと主張するが,被告商品の包装には,被告備後漬物の社名は表示されていない。 (ウ) 被告備後漬物の提案力,企画力について被告らの「企画力」,「提案力」,「人的関係」,「人的ネットワーク」等については,これを立証する証拠が何ら提出されていない。また,これらは,被告商品の販売のためにのみ必要なものではなく,このように,侵害商品の売上高の多寡にかかわらず必要となり,侵害商品の販売に直接結び付けられないものは,損害額の算定に当たって考慮すべきではない。 (エ) 被告商品の色彩について被告商品イの「青色」の色彩が取引業者の目にとまったことや,そのことが同商品の売上げに貢献したことを裏付ける証拠はない。 本件では,被告商品の包装に「青色」が使用され,「東京漬膳の」という表示がされたとしてもなお,被告包装は原告表示と類似し,被告商品と原告商品との間に誤認混同を生じさせるおそれがあるものであり,これらの事実は,寄与度による減額をすべき事情には当たらない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(不競法2条1項13号違反の有無)について(1) 争点1-1(被告商品の包装に「東京漬膳の」,「東京べったら」などと表示することは,被告商品の原産地等を誤認させる表示に当たるか)について- 69 -ア前記争いのない事実等のとおり,被告商品は,東京都内で製造されたものではなく,その原材料も,東京都で生産されたものでは は,被告商品の原産地等を誤認させる表示に当たるか)について- 69 -ア前記争いのない事実等のとおり,被告商品は,東京都内で製造されたものではなく,その原材料も,東京都で生産されたものではない。 この点について,原告は,べったら漬けにおける「東京」の表示は原産地表示機能を有し,被告包装には,「東京漬膳の」,「東京べったら」と表示され,被告包装の裏面には,被告商品の販売者が「東京都」に所在する「株式会社東京漬膳」であることが表示されるなど,包装全体では合計4か所に「東京」の文字が記載されていることから,これらを見る者に対して被告商品が「東京」と関連があるかのように印象付けている上,① 被告商品の包装には,被告商品の原材料の産地,製造者及び製造地は記載されていないこと,② イ号包装ないしハ号包装には,江戸時代の日本橋のべったら市を描いた図絵が記されており,被告商品が日本橋のべったら市と関連があるかのように印象付けていること,③ 「東京漬膳」という商号は,単なる漬物の販売業者ではなく,漬物メーカーであることを彷彿とさせる商号であること,などとあいまって,被告商品の包装における上記各表示は,商品の原産地が東京であること,すなわち,被告商品が東京産の原料を使用しているか,又は,東京で製造・加工された漬物であることを示すものであると主張する。 イそこで検討するに,証拠(甲6,11,12,14,15,18,120,甲120の2,甲131~134,136,138~141,143,144,甲157の14~19,乙1,6,14~16,乙18の1~10,乙19~27,46~52,54,55,67,68,70)及び弁論の全趣旨によれば,べったら漬けの沿革や,「東京」の表示を付したべったら漬け商品の販売状況等に関して,以下の事実が認められ,同認 0,乙19~27,46~52,54,55,67,68,70)及び弁論の全趣旨によれば,べったら漬けの沿革や,「東京」の表示を付したべったら漬け商品の販売状況等に関して,以下の事実が認められ,同認定を左右するに足りる証拠はない。 (ア) べったら漬けの沿革等べったら漬けは,大根を塩で下漬けし,麹,砂糖などで漬けた漬物で- 70 -あり,江戸時代から作られている東京発祥の名産品である。 べったら漬けの由来は,江戸時代に,江戸日本橋の恵比寿神社の祭礼で大根の麹漬けの浅漬けが売られたことに始まるなどといわれている。 現在も,東京日本橋の恵比寿神社の界隈では,毎年10月19日及び同月20日にべったら市が開かれており,例年,べったら漬けを販売する露天が連なり,原告ほか多数のべったら漬けメーカーや小売業者が出店し,多くの客が同市を訪れるなど,賑わいをみせている。 (イ) 「東京」の表示を付したべったら漬けの販売状況a べったら漬けは,東京発祥の名産品であるが,現在では,東京都内に限らず,和歌山県,京都府,熊本県,北海道など,全国各地で製造されており,これらの地で製造される商品には,「紀州べったら漬け」,「京のべったら漬け」,「肥後自慢べったら漬け」,「北海道べったら漬」などの表示を付して販売されているものがある。 b 一方,べったら漬け商品に「東京」の表示を付した商品も,次のとおり,古くから,複数の会社によって製造ないし販売されている。 (a) 金久による「東京べったら漬」の表示の使用べったら漬けの老舗メーカーであった金久は,昭和40年代ころから,同社が製造したべったら漬けに「東京べったら漬」の表示を付して販売することを始め,同社が倒産した平成14年まで,同商品の販売を続けた。 また,金久は,昭和56年に,「金久の東京べっ 年代ころから,同社が製造したべったら漬けに「東京べったら漬」の表示を付して販売することを始め,同社が倒産した平成14年まで,同商品の販売を続けた。 また,金久は,昭和56年に,「金久の東京べったら漬」という標章について商標登録を出願し,商標登録を受けており,金久が販売していた「東京べったら漬」の包装には,「金久の東京べったら漬」と表示されたものが使用されていた。 なお,金久は,当初は東京都内の工場でべったら漬けを製造していたが,昭和45年ころ以降,金久の関連会社である金久食品の埼- 71 -玉県に所在する工場においてべったら漬けを製造するようになり,「東京べったら漬」の表示を付した商品についても,上記工場で製造していた。また,金久は,上記商品の原材料として東京産のものは使用していなかった。 (b) 原告による「東京べったら漬」の表示の使用金久は,平成14年に倒産し,原告は,同年,金久から,「金久の東京べったら漬」の商標権を含む,べったら漬けに関わるすべての業務について営業譲渡を受けた。 原告は,金久から上記営業譲渡を受けた平成14年ころから,原告の製造販売するべったら漬けに「東京べったら漬」の表示(原告表示1-1)を付すことを始め,現在まで,同商品(原告商品)の販売を続けている。 また,原告は,平成18年に,「東京にいたかやの東京べったら漬」,「東京新高屋の東京べったら漬」及び「新高屋の東京べったら漬」の各標章について商標登録を出願し,同年,商標登録を受けた。原告の販売する「東京べったら漬」の表示をした商品の包装には,「東京べったら漬」の表示と近接した位置に「東京新高屋」の商号が表示されている。 なお,原告は,昭和39年ころまでは,東京都内の自社工場でべったら漬けを製造していたが,近隣の問題もあって,工場を埼玉県 京べったら漬」の表示と近接した位置に「東京新高屋」の商号が表示されている。 なお,原告は,昭和39年ころまでは,東京都内の自社工場でべったら漬けを製造していたが,近隣の問題もあって,工場を埼玉県に移転し,その後は,原告埼玉工場においてべったら漬け(「東京べったら漬」の表示を付した商品を含む。)を製造している。また,原告商品の原材料は,東京都で生産されたものではない。 (c) その他の会社による「東京べったら漬」等の表示の使用べったら漬け商品に「東京」の表示を付して製造ないし販売している会社は,原告及び金久以外にも存在し,少なくとも昭和60年- 72 -ころには,鈴木食品及び株式会社南食販売が,「東京べったら漬」ないし「東京べったら」という表示を付したべったら漬けを製造,販売していた(なお,鈴木食品は,金久において工場長を務めていた者が興した会社である。)。 また,平成21年の時点において,鈴木食品の他に,少なくとも11社(株式会社八社会,コプロ株式会社,株式会社八幡屋,株式会社彩園,株式会社タカヤマコーポレーション,株式会社大森屋,株式会社城忠一商店,有限会社堀江紘一商店,千住金久漬物株式会社,やまう株式会社,有限会社出町なかにし)が,「東京べったら漬」ないし「東京べったら」という表示を付したべったら漬けを販売している(なお,これら11社は,原告に商品の製造を委託した会社ではない。)。 これらの会社の販売するべったら漬けも,そのほとんどは,東京都内で製造されたものではなく,原材料として東京産のものは使用されていない。 ウ上記認定事実によれば,べったら漬けは,江戸日本橋の恵比寿神社の祭礼で売られていたことに始まる東京発祥の名産品であり,現在でも,毎年日本橋で開催されるべったら市を多くの人が訪れるなど,東京(江戸 ウ上記認定事実によれば,べったら漬けは,江戸日本橋の恵比寿神社の祭礼で売られていたことに始まる東京発祥の名産品であり,現在でも,毎年日本橋で開催されるべったら市を多くの人が訪れるなど,東京(江戸)やべったら市との関係が深い商品であり,「東京べったら漬」,「東京べったら」などの表示を付されたべったら漬けは,少なくとも20年以上前から複数の会社によって製造,販売されてきているものの,その大半は,原告及び金久が製造販売していた商品を含めて,原材料は東京産ではなく,東京都内の工場で製造されたものでもないことが認められる。 このような事情に鑑みると,「東京べったら漬」の表示は,長年にわたり原材料の生産地や商品の製造,加工地とほとんど関連付けられることなく使用されてきたということができるから,べったら漬けの包装に「東京- 73 -べったら漬」や「東京べったら」などの表示や江戸時代のべったら市の図絵が付されていたとしても,これらの表示を見た需要者においては,「東京発祥のべったら漬」という意味に受け取ることはあっても,東京産の原料を使用しているとか,あるいは,東京都内で製造,加工されたものであると認識して購入するものとは認め難い。 したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 エ原告は,イ号包装ないしハ号包装に描かれているべったら漬けを売る市の図絵からは,江戸日本橋のべったら市が想起され,被告商品が日本橋のべったら市と関連があるかのように印象付けているため,同包装を見た需要者は,被告商品はべったら市に出店,参加,協賛,協力等をする企業によって製造されているものと認識,信頼すると主張する。 しかしながら,上記図絵は,一見したところ,江戸時代のべったら漬けを販売している町の風景を描いたものとみられるにすぎず,同図絵が需要者に江戸日 よって製造されているものと認識,信頼すると主張する。 しかしながら,上記図絵は,一見したところ,江戸時代のべったら漬けを販売している町の風景を描いたものとみられるにすぎず,同図絵が需要者に江戸日本橋のべったら市を描いたものであると認識されることを認めるに足りる証拠はない。 また,仮に,上記図絵が江戸日本橋のべったら市を描いたものであると需要者に認識されるとしても,前記認定のべったら漬けの由来等に照らせば,べったら漬けという商品は,古くからべったら市と深い関係があったものといえるから,同図絵を見た需要者が,当該商品(べったら漬け)は,江戸時代から作られている日本橋ゆかりの商品であると認識することはあり得るとしても,当該商品が現代のべったら市に出店,参加,協賛,協力等をする企業によって製造されていると認識するとは,にわかに認め難く,原告の主張は理由がない。 オさらに,原告は,イ号包装ないしハ号包装の裏面には,「東京漬膳こだわりの味『白ざらめ』」と記載されている上,「東京漬膳」という商号は,単なる漬物の販売業者ではなく,漬物メーカーであることを彷彿とさせる- 74 -商号であることから,上記記載は,東京漬膳という会社が,「白ざらめ」の点を含め,商品の品質,内容に責任を有する製造主体であることを示唆するものであるとも主張する。 しかしながら,被告東京漬膳は,被告商品の包装に「製造者」として表示されているものではなく,「販売者」として表示されているにすぎない。 また,「東京漬膳」という商号は,「漬」の文字を含むことから,漬物を扱う業者であることをうかがわせるものであるものの,商号の主体が直ちに漬物の「製造者」であることを示すものであるとまではいえない。 したがって,「東京漬膳」を含む被告商品の表示からは,被告東京漬膳が製造主体で ることをうかがわせるものであるものの,商号の主体が直ちに漬物の「製造者」であることを示すものであるとまではいえない。 したがって,「東京漬膳」を含む被告商品の表示からは,被告東京漬膳が製造主体であることが示唆されているということはできず,原告の主張は理由がない。 カ以上のとおりであるから,被告商品の包装に「東京べったら漬」,「東京漬膳の」などと表示することは,被告商品の原産地等を誤認させる表示に当たるということはできない。 (2) 争点1-2(被告商品の包装に「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です」,「白ざらめとは…白砂糖の中で最も高級な,純度99.8~99.9%の最高級砂糖です」などと表示することは,被告商品の品質等を誤認させる表示に当たるか)についてア原告は,被告商品の包装は,① その裏面に「最も高級な」,「最高級砂糖」と,最上級の意味を表す表現を繰り返して使用した上,包装の表面に,「この上もなくすぐれた品物や作品。絶品。」(大辞林)を意味する「逸品」という表示をして,これを見る者に対し,他社の商品よりも著しく優良であるかのような印象を与える,② 包装の表面に「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です」と表示し,包装の裏面に「東京漬膳こだわりの味『白ざらめ』」,「こだわりの『白ざらめ』が美味しさの秘訣です。」と表示することにより,一般消費者に対し,被告商品に白ざ- 75 -らめが使用されたことによって有意に味が良好なものに変化したという印象(べったら漬けのごく一部である砂糖に用いられた品質がその全部の品質であるかのごとき印象)を与える,と主張する。 イしかしながら,証拠(乙10~13)及び弁論の全趣旨によれば,白ざらめ(「白双糖(しろざらとう)とも呼ばれる。)は,無色大粒の結晶で,純度が高く, であるかのごとき印象)を与える,と主張する。 イしかしながら,証拠(乙10~13)及び弁論の全趣旨によれば,白ざらめ(「白双糖(しろざらとう)とも呼ばれる。)は,無色大粒の結晶で,純度が高く,甘味は淡泊で,上品な甘さを持つことなどが特徴であり,用途としては高級な菓子類等の製造に用いられ,辞典において「品質的にはグラニュー糖と同じか,それ以上です」(乙10 日高秀昌等編[砂糖の辞典]),「最上品質の砂糖」(乙11 五十嵐脩等編[丸善食品総合辞典<普及版>]),などと説明されていることが認められる。また,上記②の表示によって,需要者に対し,べったら漬けの原材料のごく一部である砂糖に用いられた品質がべったら漬け全部の品質であるかのような印象を与えると認めることもできない。 上に述べたところによれば,被告商品の包装の上記表示をもって,被告商品の品質について原告の主張する誤認をさせるものとは認められず,原告の上記主張を採用することはできない。 2 争点2(不競法2条1項1号違反の有無)について(1) 争点2-1(原告表示は,原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているか)についてア原告表示1-1(「東京べったら漬」)について(ア) 原告は,原告表示1-1は,「東京」という地名と「べったら漬」という普通名称から成るものであるものの,金久及び原告が長期間にわたって自社の商品に独占的に使用したことにより,遅くとも平成21年8月までには,原告商品を示す表示としての識別力を取得し,商品等表示性及び周知性を備えたものであると主張する。 (イ) しかしながら,「東京べったら漬」という表示は,その語自体が普- 76 -通名称である「べったら漬」という語に「東京」という地名を付したにすぎないものである上,べったら漬けは東京(江戸) (イ) しかしながら,「東京べったら漬」という表示は,その語自体が普- 76 -通名称である「べったら漬」という語に「東京」という地名を付したにすぎないものである上,べったら漬けは東京(江戸)を発祥の地とし,東京の名産品として広く知られているものであることを併せ考えると,基本的には,自他商品識別機能を有しておらず,本来的に特定人の独占になじまないものであって,特定人がそれを長年にわたり使用し続けることにより,需要者において当該特定人の商品を表示するものとして広く認識されるに至っているなどの特段の事情のない限り,不競法2条1項1号の「商品等表示」に当たらないというべきである。 (ウ) このような考え方に立って,上記「特段の事情」の有無について検討するに,前記(1)イのとおり,「東京べったら漬」ないし「東京べったら」の表示は,必ずしも,金久及び原告によって長年にわたって独占的に使用されてきたものではなく,鈴木食品ほか十数社も,自社の製造ないし販売する商品に上記表示を付していたこと,金久及び原告も,自社の商品の包装に「東京べったら漬」の表示のみを付していたわけではなく,「金久の東京べったら漬」と表示したり,「東京べったら漬」の表示に近接して「東京新高屋」の屋号を表示するなどしていたこと,が認められる。 また,証拠(甲1,2,6,7,32~38,49~103,107~117,133,134,139~141,151,157の1,133,乙67,68)及び弁論の全趣旨によれば,「東京べったら漬」ないし「東京べったら」の表示を付したべったら漬けの宣伝広告,販売個数,売上高等について,次の事実が認められる。 a べったら漬け全体の市場べったら漬けは,漬物の一種であり,べったら漬け全体の市場は,年間30億円ないし40億円程度と推測され 宣伝広告,販売個数,売上高等について,次の事実が認められる。 a べったら漬け全体の市場べったら漬けは,漬物の一種であり,べったら漬け全体の市場は,年間30億円ないし40億円程度と推測されている。 b 金久の「東京べったら漬」の売上高等- 77 -金久は,老舗の漬物メーカーであり,平成14年に同社が倒産するまでの間は,べったら漬けについて,全国の漬物メーカーの中でもトップクラスの売上高があった。「東京べったら漬」の表示を付したべったら漬けは,金久が昭和45年ころから製造販売していた同社の主力商品であり,新聞に同商品の広告を掲載するなどして宣伝し,毎年,相当額の売上高があった(なお,原告は,金久の「東京べったら漬」商品の昭和40年代から平成14年までの累計売上額は300億円を下らないと主張するものの,これを認めるに足りる証拠はない。)。 c 原告の「東京べったら漬」の売上高等原告は,市場においてべったら漬けのトップメーカーであると評価されており,同社の製造するべったら漬けの1年間の売上高は,約10億円である。また,このうち「東京べったら漬」の表示の付くべったら漬け(原告商品1)の売上高は約8億5000万円であり,原告商品1のうち原告商品1-2の売上高は約3億円,原告商品1-3の売上高は約2000万円,原告商品1-4の売上高は約400万円である(なお,原告商品1-3及び1-4は,いずれも,原告が平成18年ころから販売を開始した商品であるが,例年,原告商品1-3については,べったら市の行われる10月期及び12月期にのみ出荷され,原告商品1-4については10月期にのみ出荷される。)。 一方,「東京ゆずべったら漬」(原告商品2)の1年間の売上高は,約4000万円である。 原告商品は,原告の主力商品であり,原告は,新 され,原告商品1-4については10月期にのみ出荷される。)。 一方,「東京ゆずべったら漬」(原告商品2)の1年間の売上高は,約4000万円である。 原告商品は,原告の主力商品であり,原告は,新聞に同商品の広告を掲載するなどして,同商品を宣伝している。 d その他の会社の「東京べったら漬」ないし「東京べったら」の売上高等鈴木食品は,遅くとも昭和60年ころから,同社の製造するべった- 78 -ら漬けに「東京べったら漬」ないし「東京べったら」の表示を付して販売している。また,他社の製造委託を受けて,上記商品を製造し,当該他社において,「東京べったら漬」ないし「東京べったら」の表示を付して販売している(なお,鈴木食品の製造に係る上記商品の販売額について,原告は年間約1億2000万円ないしそれを下回る程度であると主張し,被告らは年間2億円を上回るものであると主張するが,その正確な販売額は,本件証拠上明らかでない。)。 鈴木食品の製造に係るもの以外に他社において製造ないし販売している「東京べったら漬」の表示を付したべったら漬けの1 年間の売上高は,約3500万円である。 (エ) 上記認定の事実関係によれば,確かに,本件では,金久及び原告が自社の商品に「東京べったら漬」の表示を付して長期間販売を続けており,両者の商品が「東京べったら漬」の表示を付して販売されるべったら漬けの売上高,販売個数の中で占める割合も,相当に高いものであることが認められる。しかしながら,他方で,金久及び原告以外の鈴木食品など複数の会社によっても,相当以前から,「東京べったら漬」ないし「東京べったら」の表示を付したべったら漬けが販売され続けており,これらの会社が販売する商品の売上高,販売個数が全体に占める割合も,決して少ないものではない。これに加えて,前記 京べったら漬」ないし「東京べったら」の表示を付したべったら漬けが販売され続けており,これらの会社が販売する商品の売上高,販売個数が全体に占める割合も,決して少ないものではない。これに加えて,前記のとおり,そもそも「東京べったら漬」という語自体が元々自他商品識別力を有しない語であることや,金久及び原告が「東京べったら漬」の表示を使用する態様(「東京べったら漬」の表示のみではなく,「金久の東京べったら漬」と表示したり,「東京べったら漬」の表示に近接して「東京新高屋」の屋号を表示するなどしていること。)や,べったら漬けは東京を発祥の地とする商品として有名なものであることなどをも総合的に考慮すると,原告について「東京べったら漬」の語のみで識別力を得た特段の事情がある- 79 -と認めることはできないというべきである。 したがって,原告表示1-1について使用により識別力を得たものであると認めることはできず,この点についての原告の主張は,採用することができない。 イ原告表示2-1(「東京ゆずべったら漬」)について原告は,原告表示2-1は,金久及び原告による長年の使用により商品等表示性及び周知性を備えた原告表示1-1に「ゆず」という文字が挿入されたものであり,原告表示1-1に類似するため,需要者にとって原告の商品を示すものであると容易に認識することができることから,原告表示2-1についても,遅くとも平成21年8月までには商品等表示性及び周知性を備えたものであると主張する。 しかしながら,「東京べったら漬」という表示は,前記のとおり出所表示機能や自他商品識別機能を有さない「東京べったら漬」の語に,漬物に加えた風味を表す「ゆず」の語を付したものにすぎず,それ自体自他商品識別機能を有しておらず,特定人の独占になじまない のとおり出所表示機能や自他商品識別機能を有さない「東京べったら漬」の語に,漬物に加えた風味を表す「ゆず」の語を付したものにすぎず,それ自体自他商品識別機能を有しておらず,特定人の独占になじまないものであり,特段の事情のない限り不競法2条1項1号の商品等表示に当たらないというべきである。原告表示1-1が商品等表示性及び周知性を備えたものであると認められないことについては,上記アに説示したとおりである。 したがって,原告表示1-1に商品等表示性及び周知性が認められることを前提とする原告の主張は,採用することができず,他に原告表示2-1について「東京ゆずべったら漬」の語のみで使用により識別力を得た特段の事情があることを認めるに足る証拠はない。 ウ原告表示1-2(「東京べったら漬」の包装に用いられた文字及びデザイン)及び同2-2(「東京ゆずべったら漬」の包装に用いられた文字及びデザイン)について(ア) 前記ア(ウ)に掲げた各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が- 80 -認められる。 a 原告表示1-2を包装に用いた原告商品1-2及び原告表示2-2を包装に用いた原告商品2の販売個数等(a) 原告表示1-2を包装に用いた原告商品1-2は,原告が原告商品(「東京べったら漬」の表示を付したべったら漬け)の販売を開始した時期と同じころに販売を始めた商品であり,平成14年から平成21年7月までの期間における販売数の合計は,約890万個である。 また,その販売額の合計は約14億円であり,1年間の売上額は約3億円である。 べったら漬け商品の包装のデザインに原告表示1-2と類似のものは証拠上見当たらず,原告表示1-2のデザインは原告独自のものと認められる。 (b) 原告は,平成16年以後,原告の製造販売するゆず風味のべった け商品の包装のデザインに原告表示1-2と類似のものは証拠上見当たらず,原告表示1-2のデザインは原告独自のものと認められる。 (b) 原告は,平成16年以後,原告の製造販売するゆず風味のべったら漬けの包装に原告表示2-2を表示した商品(原告商品2)を販売している(なお,原告の製造販売するゆず風味のべったら漬けは,原告商品2-2のみである。)。原告は,平成14年から平成21年7月までの間に,原告商品2を約70万個販売した。その販売額の合計は,約1億1000万円であり,1年間の売上額は約4000万円である。また,ゆず風味のべったら漬けは,原告商品2以外にも存在するが,べったら漬け商品の中で,「東京ゆずべったら漬」又はこれに類似する商品名を有する商品は,被告商品の販売が開始されるより以前には原告商品2以外に存在しない。 べったら漬け商品の包装のデザインに原告表示2-2と類似のものは証拠上見当たらず,原告表示2-2のデザインは原告独自のものと認められる。 b 原告商品1-2及び原告商品2の宣伝広告- 81 -(a) 原告は,漬物業界の業界誌である食料新聞,食品新聞及び食品経済新聞の新聞広告に,遅くとも平成14年ころから原告商品1-2を含む原告の商品を,遅くとも平成16年ころから原告商品2を宣伝広告しており,原告表示1-2及び同2-2の包装の写真も多数回掲載された。 (b) 原告は,一般消費者向けに,スーパーのちらし等に原告商品1-2を含む原告商品1及び原告商品2の宣伝広告を行った。 (イ) 前記認定事実によれば,原告は,平成14年から平成21年7月までの間において,いずれも原告独自のデザインである原告表示1-2をその包装に付した原告商品1-2及び原告表示2-2をその包装に付した原告商品2を,多くの一般顧客が容易に購入すること 平成21年7月までの間において,いずれも原告独自のデザインである原告表示1-2をその包装に付した原告商品1-2及び原告表示2-2をその包装に付した原告商品2を,多くの一般顧客が容易に購入することができ,かつ,容易に目にすることのできると考えられる,全国各地のスーパー等において大量に販売していたこと,原告商品1-2の売上高は,原告商品1のうち約3分の1を占め,他社の商品を含めた「東京べったら漬」の表示を付されたべったら漬け全体の売上高との関係でみても約2割を占めていること,原告商品2の売上高は,原告の販売するゆず風味のべったら漬けの売上高のすべてを占めており,被告ら以外の他社からは「東京ゆずべったら漬」ないし「東京ゆずべったら」の表示を付されたべったら漬けは販売されていないこと,新聞広告やスーパーのちらし等にも原告商品1-2及び原告商品2-2が多数回掲載されたこと,が認められる。 このような状況に照らせば,原告表示1-2及び原告表示2-2は,被告商品の販売が開始された平成21年9月1日ころには,原告の商品を表すものとして需要者(全国の卸売業者,小売業者,一般消費者)の間に広く認識されていたといえ,その状態は現時点においても継続しているものといえる。 - 82 -エ原告表示1-3及び同1-4について前記ア(ウ)cのとおり,原告商品1-3及び同1-4は,いずれも,平成18年ころから販売を開始したものであり,1年間のうち限られた時期にのみ販売されるものであって,売上高も約2000万円(原告商品1-3)及び約400万円(原告商品1-4)にとどまり,原告商品(「東京べったら漬」の表示を付した商品)全体の販売高に占める割合も約2%(原告商品1-3)及び約0.5%(原告商品1-4)にすぎないものである。 したがって,原告表示 1-4)にとどまり,原告商品(「東京べったら漬」の表示を付した商品)全体の販売高に占める割合も約2%(原告商品1-3)及び約0.5%(原告商品1-4)にすぎないものである。 したがって,原告表示1-3及び同1-4については,いまだ商品等表示として需要者の間に広く認識されているものとは認められない(なお,原告表示1-4は,ニ号包装と類似しているとも認められない。)。 (2) 争点2-2(原告表示と被告包装は類似するか)について上記のとおり,本件では,原告表示1-2及び2-2について,原告の商品等表示としての周知性を認めることができる。そこで,以下において,原告表示1-2とイ号包装及びハ号包装,原告表示2-2とロ号包装について,それぞれ類似するか否かを検討する。 ア原告表示1-2とイ号包装の類似性について(ア) 証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 a 原告表示1-2は,縦約12cm,横約25cmの透明な包装パックに印刷されている。イ号包装は,縦約12cm,横約23cmの透明な包装パックに印刷されている。 b 原告表示1-2は,中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京べったら漬」の文字が,黒色・同書・同大の毛筆字体で,横一列に書かれている。また,「東京べったら漬」の文字の略中央部分の上方側に,「東京新高屋」の5文字とその社章が,赤色の暖簾に白抜きで,横一列に表示されている。上記暖簾の左側には,やや小さく「東京・日本橋」と表示されている。 - 83 -イ号包装は,中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京べったら」の文字が,黒色で,その外周縁が白色で縁取りされて,毛筆字体で書かれている。「東京べったら」の文字のうち,「東」の文字は,他の文字よりやや上方に表示されて 目立つ態様で,商品名である「東京べったら」の文字が,黒色で,その外周縁が白色で縁取りされて,毛筆字体で書かれている。「東京べったら」の文字のうち,「東」の文字は,他の文字よりやや上方に表示されている。また,「京べったら」の文字の上方には,「東京漬膳の」の文字が,商品名よりも小さな黒色の文字で,横書きで表示されている。そして,「べったら」の「ら」の文字の右上には,「国産」の文字と「大根使用」の文字が,赤色の略円形の内側に横2列に記載されている。 c 原告表示1-2の「東京べったら漬」の文字の下には,緑色の太い横線が引かれ,その横線の上に白抜き文字で「低温熟成」と記され,さらに,「じっくりねかせて仕上げました。」と商品の説明が記されている。上記横線の下には,黒文字で,「国内産大根・米糀使用要冷蔵」の文字が,黒色で横一列に記されている。 イ号包装の「東京べったら」の文字の下には,原告表示1-2の上記横線と同程度の太さの青色の横線が引かれ,その横線の上に白抜き文字で「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です。」と商品の説明が記されている。上記横線の下には,黒文字で「要冷蔵」と横書きで記されている。 d 原告表示1-2の下部は,左端から右端まで上記cの横線と同じ緑色で塗られており,その上には白色の模様が記されている。また,包装の切り口が左上及び左下の2か所に赤色で示されている。 イ号包装の下部は,左端から中央部のやや右側まで上記cの横線と同じ青色で塗られており,その上には白色の模様が記されている。また,包装の切り口が左上及び左下の2か所に赤色で示されている。 e 原告表示1-2の右下部には,包装の下辺に緑色で凹凸状に縁取りされた右側の凹状部内に,江戸時代の日本橋を描いた白黒の図絵(橋- 84 -の上に江戸時代の人々が描かれ 所に赤色で示されている。 e 原告表示1-2の右下部には,包装の下辺に緑色で凹凸状に縁取りされた右側の凹状部内に,江戸時代の日本橋を描いた白黒の図絵(橋- 84 -の上に江戸時代の人々が描かれ,橋の上部に空が広がっている。)が記されている。 イ号包装の右下部から右上部にかけては,江戸時代のべったら漬けを販売している店舗及び店舗を訪れる人々の様子を描いた白黒の図絵が記されており,上記図絵の中央部分には太鼓型の橋が記され,右上部には青色の空が記されている。 (イ) そうすると,イ号包装は,次の点において原告表示1-2と共通ないし類似する。 ① 原告表示1-2とほぼ同じ大きさの透明な包装パックを用いている。 ② 包装の中央部に,大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京べったら」の文字が毛筆字体で表記されている。 ③ 中央部の「東京べったら」の文字の下には,太い横線を引き,白抜き文字で当該商品の説明を加えている。 ④ 包装の下部は,左端から右端ないし中央部のやや右側まで,上記③の横線と同色の模様が表記され,その上に白色の模様が記されている。 ⑤ 包装の切り口は,左上と左下の2か所に赤色で示されている。 ⑥ 包装全体が4種類の色彩から構成されており,うち3色は,黒色,白色,赤色である。③の太い横線及び④の模様には,原告表示1-2では緑色,イ号包装では青色と,いずれも寒色系の色が用いられている。 ⑦ 包装の右下部には,江戸時代の町の風景を描いた白黒の図絵が施され,図絵の中には,太鼓型の橋,江戸時代の人々及びその上空が描かれている。 (ウ) 以上のとおり,イ号包装と原告表示1-2とは,いずれも,包装の- 85 -ほぼ中央に毛筆体で,商品名である「東京べったら」という文字を横一列ないし略横一列に記載し,その右側に江戸 いる。 (ウ) 以上のとおり,イ号包装と原告表示1-2とは,いずれも,包装の- 85 -ほぼ中央に毛筆体で,商品名である「東京べったら」という文字を横一列ないし略横一列に記載し,その右側に江戸時代の町及び人々の様子を描いた白黒の図絵を太鼓型の橋やその上空を含めて描き,商品名の上には,自社名を商品名よりも小さい文字で横一列に記載し,商品名の下には,いずれも寒色系の色付きの太い横線を引き,その中に当該商品の説明文を記載し,包装の上部は無色透明のまま,包装の下部は左端から右端ないし中央部のやや右側にかけて上記横線と同色の模様が表記され,包装全体を構成するその余の色彩も共通するなどしており,両者は,その構図や色彩の構成に共通点が多いことが認められ,包装の大きさもほぼ同一である。これらの点に加え,上記(2)で判示した原告表示1-2の周知性をも併せ考慮するならば,原告表示1-2とイ号包装とは,全体的,隔離的に対比して観察した場合には,その共通点から生じる印象の強さが相違点(「東京べったら」の文字の上方に表示された会社名,「東京べったら」の文字の下に引かれた太線及び左端から右端ないし右側まで表記された模様の色彩,商品を説明する文章や包装の右下に表示された図絵の細部等)から生じる印象の強さを上回り,需要者又は取引者において,両表示が類似するものと受け取られるおそれがあるというべきである。 イ原告表示1-2とハ号包装の類似性について需要者又は取引者において原告表示1-2とイ号包装が類似するものと受け取られるおそれがあることについては,上記ア(イ)に説示したとおりである。一方,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,イ号包装の外観とハ号包装の外観は,包装のサイズ(ハ号包装は,縦約12cm,横約32cmの透明な包装パックに印刷されている。) )に説示したとおりである。一方,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,イ号包装の外観とハ号包装の外観は,包装のサイズ(ハ号包装は,縦約12cm,横約32cmの透明な包装パックに印刷されている。)及び商品名の表示(ハ号包装は,「東京べったら」の表示のやや右上部に,大きくはっきりと目立つ態様で「一本」と毛筆字体で書かれている。)を除き,ほぼ同じである- 86 -ことが認められる。 したがって,原告表示1-2とハ号包装についても,これを全体的,隔離的に対比して観察した場合には,需要者又は取引者において,両表示が類似するものと受け取られるおそれがあるといえる。 ウ原告表示2-2とロ号包装の類似性について(ア) 証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 a 原告表示2-2は,縦約12cm,横約25cmの透明な包装パックに印刷されている。ロ号包装は,縦約12cm,横約23cmの透明な包装パックに印刷されている。 b 原告表示2-2は,中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京ゆずべったら漬」の文字が,黒色・同書・同大の毛筆字体で,横一列に書かれている。また,「東京べったら漬」の文字の略中央部分の上方に,「東京新高屋」の5文字とその社章が,赤色の暖簾に白抜きで,横一列に表示されている。上記暖簾の左側には,やや小さく「東京・日本橋」と表示されている。 ロ号包装は,中央部に大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京ゆずべったら」の文字が,黒色で,その外周縁が白色で縁取りされて,毛筆字体で書かれている。「東京ゆずべったら」の文字のうち,「東」の文字は,他の文字よりやや左上方に表示され,「京」の文字と「べったら」の文字との間に,これらの文字色(黒)と異なる赤色文字で,縦書きの「ゆず」の文字が挿 。「東京ゆずべったら」の文字のうち,「東」の文字は,他の文字よりやや左上方に表示され,「京」の文字と「べったら」の文字との間に,これらの文字色(黒)と異なる赤色文字で,縦書きの「ゆず」の文字が挿入されている。また,「京ゆずべったら」の文字の上方には,「東京漬膳の」の文字が,商品名よりも小さな黒色の文字で,横書きで表示されている。そして,「べったら」の「ら」の文字の右上には,「国産」の文字と「大根使用」の文字が,赤色の略円形の内側に横2列に記載されている。 c 原告表示2-2の「東京ゆずべったら漬」の文字の下には,黄色の- 87 -太い横線が引かれ,その横線の上に「低温熟成」と記され,さらに小さな黒字で「じっくりねかせて仕上げました。」と商品の説明が記されている。上記横線の下には,黒文字で,「国内産大根・米糀使用要冷蔵」の文字が,黒色で横一列に記されている。また,「東京ゆずべったら漬」の文字の左上方には,「ゆず味」の文字とゆずの実の図柄が表示されている。 ロ号包装の「東京ゆずべったら」の文字の下には,原告表示2-2の上記横線と同程度の太さ及び上記横線と同色の黄色の横線が引かれ,その横線の上に黒色の文字で「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です。」と商品の説明が記されている。上記横線の下には,黒文字で「要冷蔵」と横書きで記されている。 d 原告表示2-2の下部は,左端から右端まで上記cの横線と同色の黄色で塗られており,その上には白色の模様が記されている。また,包装の切り口が左上及び左下の2か所に赤色で記されている。 ロ号包装の下部は,左端から中央部のやや右側まで黄色で塗られており,その上には白色の模様が記されている。また,包装の切り口が左上及び左下の2か所に赤色で示されている。 e 原告表示2-2の透明な部分には, の下部は,左端から中央部のやや右側まで黄色で塗られており,その上には白色の模様が記されている。また,包装の切り口が左上及び左下の2か所に赤色で示されている。 e 原告表示2-2の透明な部分には,やや弓なりで長さ数cmほどの黄色い曲線が,細いゆず皮が宙を舞うように複数描かれている。ロ号包装の透明な部分にも,同様に,やや弓なりで長さ数cmほどの黄色い曲線が,細いゆず皮が宙を舞うように複数描かれている。 f 原告表示2-2の右下部には,包装の下辺に黄色で凹凸状に縁取りされた右側の凹状部内に,江戸時代の日本橋を描いた白黒の図絵(橋の上に江戸時代の人々が描かれ,橋の上部に空が広がっている。)が記されている。 ロ号包装の右下部から右上部にかけては,江戸時代のべったら漬け- 88 -を販売している店舗及び店舗を訪れる人々の様子を描いた白黒の図絵が記されており,上記図絵の中央部分には太鼓型の橋が記され,右上部には黄色の空が記されている。 (イ) そうすると,ロ号包装は,次の点において原告表示2-2と共通ないし類似するといえる。 ① 原告表示2-2とほぼ同じ大きさの透明な包装パックを用いている。 ② 包装の中央部に,大きくはっきりと目立つ態様で,商品名である「東京ゆずべったら」の文字が毛筆字体で表記されている。 ③ 中央部の「東京ゆずべったら」の文字の下には,太い黄色の横線を引き,黒色文字で当該商品の説明を加えている。 ④ 包装の下部は,左端から右端ないし中央部のやや右側まで,上記③の横線と同色の黄色の模様が表記され,その上に白色の模様が記されている。 ⑤ 包装の切り口は,左上と左下の2か所に赤色で示されている。 ⑥ 包装全体が4種類の色彩(黒色,白色,赤色,黄色)から構成されている。 ⑦ 包装の右下部には,江戸時代の町の風景を描い いる。 ⑤ 包装の切り口は,左上と左下の2か所に赤色で示されている。 ⑥ 包装全体が4種類の色彩(黒色,白色,赤色,黄色)から構成されている。 ⑦ 包装の右下部には,江戸時代の町の風景を描いた白黒の図絵が施され,図絵の中には,太鼓型の橋,江戸時代の人々及びその上空が描かれている。 ⑧ 包装の表面の透明な部分に,やや弓なりで長さ数cmほどの黄色い曲線が,細いゆず皮が宙を舞うように複数描かれている。 (ウ) 以上のとおり,ロ号包装と原告表示2-2とは,いずれも,包装のほぼ中央に毛筆体で,商品名である「東京ゆずべったら」という文字を横一列ないし略横一列に記載し,その右側に江戸時代の町及び人々の様子を描いた白黒の図絵を太鼓型の橋やその上空を含めて描き,商品名の上には,自社名を商品名よりも小さい文字で横一列に記載し,商品名の- 89 -下には,いずれも黄色の太い横線を引き,その中に黒色文字で当該商品の説明文を記載し,包装の表面の透明な部分に,やや弓なりで長さ数cmほどの黄色い曲線が細いゆず皮が宙を舞うように複数描かれ,包装の上部は無色透明のまま,包装の下部は左端から右端ないし中央部のやや右側にかけて上記横線と同色の黄色の模様が表記され,包装全体を構成するその余の色彩も共通するなどしており,両者は,その構図や色彩の構成に共通点が多いことが認められ,包装の大きさもほぼ同一である。 これらの点に加え,上記(2)で判示した原告表示2-2の周知性をも併せ考慮するならば,原告表示2-2とロ号包装とは,全体的,隔離的に対比して観察した場合には,その共通点から生じる印象の強さが相違点(「東京ゆずべったら」の文字の上方に表示された会社名,原告表示2-2の左上に表示された「ゆず味」の文字とゆずの実の図柄,商品を説明する文章や包装の右下に表示された図絵 から生じる印象の強さが相違点(「東京ゆずべったら」の文字の上方に表示された会社名,原告表示2-2の左上に表示された「ゆず味」の文字とゆずの実の図柄,商品を説明する文章や包装の右下に表示された図絵の細部等)から生じる印象の強さを上回り,需要者又は取引者において,両表示が類似するものと受け取られるおそれがあるというべきである。 (3) 争点2-3(被告商品を販売等することは,原告表示と混同を生じさせるか)について上記(2)において説示したとおり,需要者又は取引者において,イ号包装及びハ号包装を原告表示1-2と,ロ号包装を原告表示2-2と,それぞれ類似するものと受け取られるおそれを有しているものと認められる。また,証拠(甲104,105)及び弁論の全趣旨によれば,① 原告商品及び被告商品は,いずれもスーパーを始めとする小売店等で販売されるものであること,② 被告備後漬物は,西日本を中心に業務を行っている会社であり,平成14年以来,問屋として原告商品を取り扱い,同社の取引先であるスーパー等の小売店に原告商品を販売していたこと,③ スーパー等の小売店では,べったら漬けという商品は,定番商品としては,通常,1社の商品しか取り- 90 -扱われないこと,④ 被告備後漬物は,平成21年9月ころに被告商品の販売を開始して以後,同社の取引先である上記小売店等に対し,原告商品に代えて被告商品を販売することが多くなり,そのため,これらの小売店等では,原告商品に置き換えられる形で被告商品が販売されたこと,が認められる。 これらの諸事情に照らせば,需要者又は取引者において,被告商品イ及びハを原告商品1-2と,被告商品ロを原告商品2と,それぞれ同一のものであると混同し,又は,被告商品イないしハが原告商品1-2及び原告商品2と出所を同じくする関連商品であ 引者において,被告商品イ及びハを原告商品1-2と,被告商品ロを原告商品2と,それぞれ同一のものであると混同し,又は,被告商品イないしハが原告商品1-2及び原告商品2と出所を同じくする関連商品であると誤認し得るものと認めることができる。 (4) 差止請求等の可否以上を前提に,原告の被告らに対する各差止請求及び廃棄請求の可否について検討する。 ア差止請求について被告らによる,イ号包装,ロ号包装及びハ号包装(以下「イ号包装ないしハ号包装」という。)の使用,同包装を用いた商品(被告商品イないしハ)の譲渡,引渡し,譲渡若しくは引渡しのための展示,漬物に関する宣伝用カタログその他の広告物に上記包装の図柄を表示して頒布する行為は,前記のとおり,不競法2条1項1号所定の不正競争に当たるものであると認められる。 また,弁論の全趣旨によれば,被告らは,上記行為は不競法2条1項1号所定の不正競争に当たらないものであるとして,平成22年6月に原告から本件訴訟を提起された後も,少なくとも,平成23年3月31日ころまでの間,被告商品イないしハの販売を継続し,本件訴訟においても,上記行為は不競法2条1項1号の不正競争に当たらないと主張して,これを争っていること,現在もイ号包装ないしハ号包装及び同包装の印刷用原版を廃棄せずに所持していることが認められる。 そうすると,被告らが,後記のとおり,平成23年4月1日以後は被告- 91 -商品イないしハを販売せず,イ号包装ないしハ号包装のデザインを変更した包装を用いてべったら漬けを販売しており,今後も,少なくともイ号包装ないしハ号包装を使用することが違法ではないと判断されるまではこれらの包装を使用する予定はないと述べていることなどを考慮したとしても,被告らにおいて,今後,イ号包装ないしハ号包装を使用したべ 号包装ないしハ号包装を使用することが違法ではないと判断されるまではこれらの包装を使用する予定はないと述べていることなどを考慮したとしても,被告らにおいて,今後,イ号包装ないしハ号包装を使用したべったら漬けを譲渡等するおそれがあると認められるから,これらの行為の差止めを認める必要性があるというべきである。 したがって,原告は,被告らに対し,不競法3条1項に基づき,イ号包装ないしハ号包装の使用,同包装を用いた商品の譲渡,引渡し,譲渡若しくは引渡しのための展示,漬物に関する宣伝用カタログその他の広告物に上記包装の図柄を表示して頒布すること,の差止めを求めることができる。 イ廃棄請求について前記のとおり,被告らは,現在も,イ号包装ないしハ号包装及び同包装の印刷用原版を廃棄しておらず,これらを所持していることが認められる。 また,被告らがイ号包装ないしハ号包装を表示した宣伝用カタログを廃棄したことについては,これを認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告は,被告らに対し,不競法3条2項に基づき,イ号包装ないしハ号包装,同包装を表示した宣伝用カタログその他の広告物及び同包装の印刷用原版の廃棄を求めることができる。 他方,証拠(乙99~102)及び弁論の全趣旨によれば,被告らは,遅くとも平成23年4月1日以後,イ号包装ないしハ号包装を用いた商品(被告商品イないしハ)の販売を取り止めていること,上記商品の賞味期限は製造日を含めて45日であること,被告らは,被告商品イないしハの在庫を既に廃棄したと述べていること,が認められるのであって,被告らが現在も被告商品イないしハを所持していることを認めるに足る証拠はない。 - 92 -したがって,原告の廃棄請求のうち,被告商品イないしハの廃棄を求める部分については理由がない。 3 争点3(被 現在も被告商品イないしハを所持していることを認めるに足る証拠はない。 - 92 -したがって,原告の廃棄請求のうち,被告商品イないしハの廃棄を求める部分については理由がない。 3 争点3(被告らが被告商品を販売することは,取引における公正かつ自由な競争として許される範囲を逸脱し,民法709条の不法行為(一般不法行為)が成立するか)について原告は,仮に,被告らが,被告包装に「東京べったら」,「東京ゆずべったら」などの商品名を表示したり,「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です」などと表示することが不正競争行為と認められないとしても,そのような表示をした包装を用いてべったら漬けを販売する行為は,原告が多大な費用と労力を投資して築き上げてきた「東京べったら漬」のブランドを損なうものであり,民法709条の不法行為に該当すると主張する。 しかしながら,被告包装に「東京べったら」や「白ざらめを使用した上品な味わいが自慢の逸品です」などと表示することが被告商品の原産地や品質を誤認させるものではないこと,原告表示1-1(「東京べったら漬」)は原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものといえないことについては,前記説示のとおりである。したがって,被告らが,被告らの販売するべったら漬けの包装に「東京べったら」,「東京ゆずべったら」などと表示して販売したとしても,それだけでは,取引における公正かつ自由な競争として許される範囲を逸脱した違法な行為であるということはできず,民法上の一般不法行為を構成することもないというべきである。 4 争点4(原告の損害)について(1) 不競法5条2項による推定ア証拠(乙84~90)及び弁論の全趣旨によれば,被告らは,平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に,被告商 4 争点4(原告の損害)について(1) 不競法5条2項による推定ア証拠(乙84~90)及び弁論の全趣旨によれば,被告らは,平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に,被告商品イないしハの販売により,次のとおりの利益を得たことが認められる。 (ア) 被告東京漬膳の利益- 93 -a 被告東京漬膳は,鈴木食品から,被告商品イ及び被告商品ロを1個当たり●(省略)●円で購入し,被告商品ハを1個当たり●(省略)●円で購入して,これらの商品すべてを被告備後漬物に販売した。 b 被告東京漬膳は,鈴木食品に対し,平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に製造された被告商品イないしハの代金として,別表3「平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間の被告商品イないしハの販売による被告らの利益」(以下,単に「別表3」という。)のとおり,合計●(省略)●円(消費税は含まない。)を支払った(なお,平成22年6月1日から同月18日までの間の代金については,日割計算で算定した。以下同じ。)。 他方,被告東京漬膳は,同被告が平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に被告備後漬物に販売した被告商品イないしハの代金として,被告備後漬物から,別表3のとおり,合計●(省略)●円(消費税は含まない。)の支払を受けた。 c したがって,被告東京漬膳が平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に被告商品イないしハの販売により得た利益の額は,●(省略)●円である。 (イ) 被告備後漬物の利益a 被告備後漬物は,平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に,別表3のとおり,被告商品イないしハの販売により合計●(省略)●円の売上げを得た。 一方,同期間中に被告備後漬物が被告東京漬膳に支払った被告商品 21年9月1日から平成22年6月18日までの間に,別表3のとおり,被告商品イないしハの販売により合計●(省略)●円の売上げを得た。 一方,同期間中に被告備後漬物が被告東京漬膳に支払った被告商品イないしハの代金額は,上記(ア)bのとおり●(省略)●円である。 b 被告備後漬物は,被告東京漬膳から購入した被告商品イないしハを全国の取引先に販売するに当たり,商品の運搬費,センターフィー(集中配送センターを有する取引先に商品を搬送する場合に,集中配送セ- 94 -ンターから各小売店舗への搬送に要する運搬費),リベート(取引先への販売額に応じて取引先に対して支払う割戻し),データ処理料(取引先がオンライン発注システムを利用する場合に,取引先からいわゆる手間賃として請求されるもの)及び特売条件による負担(取引先が被告備後漬物から購入した商品を一般消費者に対して販売するに際して,割引等を行って販売促進をする場合に,被告備後漬物が当該割引分を負担するもの)などとして,別表3のとおり,合計●(省略)●円を支出した。これらの費用は,被告商品イないしハの販売のために追加的に増加した費用であるから,被告備後漬物の利益を算定するに当たって控除するのが相当である。 c したがって,平成21年9月1日から平成22年6月18日までの間に被告備後漬物が被告商品イないしハの販売により得た利益の額は,●(省略)●円である。 イ被告らの関係前記争いのない事実等に加え,証拠(甲4,5,乙84,90)及び弁論の全趣旨によれば,① 被告東京漬膳は,平成20年10月7日に,漬物の製造及び販売等を目的として設立された株式会社であり,平成21年9月1日より前には漬物等の商品の販売実績を有していなかったこと,②被告備後漬物は,昭和25年10月12日に設立された有限会 ,漬物の製造及び販売等を目的として設立された株式会社であり,平成21年9月1日より前には漬物等の商品の販売実績を有していなかったこと,②被告備後漬物は,昭和25年10月12日に設立された有限会社であり,漬物の製造及び販売等を業とし,その年商は約100億円であること,③被告東京漬膳の役員は代表取締役1名であり,被告備後漬物の役員は代表取締役ほか2名であるところ,被告東京漬膳の代表取締役は,被告備後漬物の代表取締役の子であり,被告備後漬物の常務取締役を兼務していること,④ 被告東京漬膳は,鈴木食品から購入した被告商品を被告備後漬物に対してのみ販売し,被告備後漬物は,同社の販売する被告製品の全量を被告東京漬膳から仕入れていること,が認められる。 - 95 -以上のような被告商品の販売における被告らの緊密な一体性に鑑みると,被告東京漬膳が鈴木食品に被告商品の製造を委託し,鈴木食品から被告東京漬膳が購入した被告商品を被告備後漬物に転売し,被告備後漬物において被告商品を全国の小売店等に販売するという一連の不正競争行為について,これを全体的に考察すれば,被告らは主観的,客観的に共同して上記不正競争行為を行ったものと認められる。 したがって,不競法5条2項に基づいて,不正競争によって営業上の利益を侵害された者(原告)の損害の額を推定する際には,被告らを一体的な侵害者(共同不法行為者)と評価した上で,被告らが受けた利益の全体額をもって原告が受けた損害の額と推定するのが相当である。 ウ被告商品の販売に対する被告包装の寄与度(ア) 被告らは,被告商品の売上げ及び利益の獲得には,被告備後漬物の独自の営業努力,同社の信用,被告商品の品質の高さなどが大きく寄与したものであり,被告包装の寄与は皆無であるか極めて小さいものであると主張する。 被告商品の売上げ及び利益の獲得には,被告備後漬物の独自の営業努力,同社の信用,被告商品の品質の高さなどが大きく寄与したものであり,被告包装の寄与は皆無であるか極めて小さいものであると主張する。 (イ) しかしながら,原告表示1-2及び同2-2が周知であること,これらの原告表示とイ号包装ないしハ号包装とは,包装の素材,形状,大きさなどを含めて,相当程度類似していると認められることについては,既に説示したとおりである。また,証拠(甲1,乙2)及び弁論の全趣旨によれば,原告商品と被告商品とは,いずれも,べったら漬けという商品であり,商品一つ一つを個別に包装して,スーパー等の小売店において商品棚に陳列して販売するという販売態様において共通する点があり,商品の販売価格(小売価格)もほぼ同じ(1個当たり300円前後)であること,原告表示と類似するイ号包装ないしハ号包装は,被告商品の表面全体にわたるデザインないし図絵であり,需要者の目に入りやすいものであること,が認められる。 - 96 -一方,被告備後漬物の営業努力や同社の信用,被告商品の品質の高さなどが被告商品の販売に大きく寄与したことについては,これを裏付けるに足りる客観的な証拠はない(なお,被告らは,「被告備後漬物が販売する漬物」であるという需要者の信頼が被告商品の販売に寄与したと主張するが,前記第2の1(3)ウ(イ)のとおり,被告商品の包装に被告備後漬物の社名は表示されていない(包装の裏面に「販売者」として表示されているのは,被告東京漬膳である。)ことから,スーパー等の小売店で被告商品を購入した需要者が,被告備後漬物の販売する漬物であると信頼して被告商品を購入したものとは認められない。)。 これらの事情を総合的に考慮すると,本件において,寄与度による減額をすべき事情があると認め 購入した需要者が,被告備後漬物の販売する漬物であると信頼して被告商品を購入したものとは認められない。)。 これらの事情を総合的に考慮すると,本件において,寄与度による減額をすべき事情があると認めることはできず,被告らの主張は理由がない。 (2) 弁護士費用等の損害ア原告は,上記(1)の損害のほか,被告らの不正競争行為によって信用毀損による損害(300万円),侵害調査費用(200万円)及び弁護士費用(1500万円)の損失を蒙り,又は費用を支出したと主張し,これらの損害の賠償を請求する。 イしかしながら,信用毀損による損害については,被告らの不正競争行為により原告の信用が毀損されたことを認めるに足りる証拠はない。また,調査費用に関するものについては,原告は,その内訳,実際の支出額等について,具体的に主張しておらず,同主張を裏付けるに足りる客観的な証拠も存在しない。したがって,これらの損害賠償請求に関する原告の主張は,理由がない。 ウ弁護士費用の損害については,原告は,弁護士を選任して本件訴訟を追行しているものであり,本件事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,上記不正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は,- 97 -36万円と認められる。 (3) 小括したがって,被告らは,原告に対し,上記(1)ア(ア),同(イ)及び(2)ウの合計額である390万8296円(●(省略)●円+●(省略)●円+360,000円)及びこれに対する不正競争の後である平成22年6月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を連帯して支払う義務がある。 5 よって,原告の請求は主文第1項ないし第4項の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却し,仮執行宣言につ 主文 による遅延損害金を連帯して支払う義務がある。 よって,原告の請求は主文第1項ないし第4項の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却し,仮執行宣言については,主文第1項ないし第3項については相当でないからこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官阿部正幸 裁判官山門優 裁判官志賀勝 (別表1~3は,省略)
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