令和4年(わ)第383号、令和5年(わ)第60号、第135号、第190号、第227号、第267号、第340号、令和6年(わ)第16号、第31号、第70号、第96号詐欺被告事件 主文 被告人を懲役5年に処する。 未決勾留日数中500日をその刑に算入する。 本件公訴事実中、令和6年2月16日付け起訴状記載の各公訴事実については、被告人は無罪。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、妻であるAと共謀の上、第1 株式会社C銀行とのカードローン契約に基づいて契約名義人に交付されるRカードを名義人からだまし取ろうと考え、真実は、被告人とAの長女が同銀行に勤めている事実も、同人のノルマ達成のためにカードローン契約の締結が必要という事実もなく、同契約を締結して名義人に交付されたRカードを使用して自己のために現金を引き出す意図であるのに、その情を秘し、 1 平成31年4月上旬頃、高知市内又はその周辺において、B1(当時41歳)に対し、電話で、長女が前記銀行に勤めており、同銀行を辞めるためにはカード契約のノルマを達成する必要があり、すぐに解約するのでカードを作成の上交付してほしい旨うその事実を申し向け、B1をその旨誤信させ、よって、同月18日頃、高知県宿毛市(住所省略)敷地内において、B1から、同人名義のRカード1枚の交付を受け、さらに、令和元年6月上旬頃、高知市内又はその周辺において、電話で、前記カードの解約手続をするために再発行を受けた上交付してほしい旨うその事実を申し向け、よって、同月18日午後9時頃、高知県四万十市(住所省略)高知県立D高等学校敷地内において、B1から、同人名義のRカード1枚の交付を受けた。 (訴因変更後の令和5年10月16日付け公訴事実第1) 2 Aが、令和元年8 高知県四万十市(住所省略)高知県立D高等学校敷地内において、B1から、同人名義のRカード1枚の交付を受けた。 (訴因変更後の令和5年10月16日付け公訴事実第1) 2 Aが、令和元年8月28日頃、高知市内又はその周辺において、B2(当時46歳)に対し、電話で、長女が前記銀行に勤めており、顧客にカード契約を締結させるノルマがあるため、カードを作成してノルマの達成に協力してほしいが、すぐにカードを解約するので迷惑はかけない旨うその事実を申し向け、同年9月3日頃、同市内又はその周辺において、B2に電話をかけ、同人に対し、銀行から届くカードの入った封筒を開封してしまうと解約手続ができないので、未開封のまま保管するよう申し向け、さらに、同月9日、同市内又はその周辺において、同人に対し、「先日ご協力いただいたカードですが今日か明日には、ご自宅に届きます。白い封筒に赤い字でC銀行と印字されています。 今、手元にある私達のカードと共に未開封の状態で早急に返送手続きとなります。」「学校に受け取りに伺います。主人が伺うことになると思います。」などとショートメッセージを送信し、B2をその旨誤信させ、よって、被告人が、同日、高知市(住所省略)高知県立E高等学校正門付近において、B2から、同人方に送付された封筒在中の前記銀行発行にかかる同人名義のRカード1枚の交付を受けた。 (令和4年12月16日付け公訴事実第1) 3 令和2年1月上旬頃から同年3月15日頃までの間に、高知市内又はその周辺において、B3(当時37歳)に対し、電話で、長女が前記銀行に勤めており、同銀行を辞めるためにはカード契約のノルマを達成する必要があり、すぐに解約するのでカードを作成の上交付してほしい旨うその事実を申し向け、B3をその旨誤信させ、よって、同日午後3時55 に勤めており、同銀行を辞めるためにはカード契約のノルマを達成する必要があり、すぐに解約するのでカードを作成の上交付してほしい旨うその事実を申し向け、B3をその旨誤信させ、よって、同日午後3時55分頃から午後4時26分頃までの間に、高知市(住所省略)被告人方郵便ポストに、B3名義のRカード1枚を入れさせて交付を受けた。 (訴因変更後の令和5年10月16日付け公訴事実第2) 4 令和2年7月下旬頃から同年8月15日までの間に、高知市内又はその周辺において、B4(当時47歳)に対し、電話、メッセージ及び対面で、長女が 前記銀行に勤めており、同銀行を辞めて大学院へ進学するためにはカード契約のノルマを達成する必要があるところ、すぐに解約するのでB4及び同人の夫名義のカードを作成の上交付してほしい旨うその事実を申し向け、B4をその旨誤信させ、よって、いずれも高知市(住所省略)Fにおいて、B4から、同月9日、同人方に送付された封筒在中の前記銀行発行にかかる同人名義のRカード1枚の交付を受け、更に、同月15日、同人方に送付された封筒在中の前記銀行発行にかかる同人の夫名義のRカード1枚の交付を受けた。 (令和5年12月11日付け公訴事実) 5 被告人が、令和3年2月20日、高知県吾川郡a 町(以下「a 町」という。)(住所省略)高知県立G高等学校敷地内において、B5(当時47歳)に対し、前記銀行に勤めている長女が同銀行を辞めて大学院に進学して法学の勉強をしたいと考えており、銀行を辞めるために、カードを作成してノルマの達成に協力してほしいが、すぐに解約する旨うその事実を申し向け、Aが、同月25日、高知市(住所省略)Hb 店において、B5に対し、銀行から届くカードの入った封筒を開封してしまうと解約手続ができないので、未開封のまま保管して渡す 解約する旨うその事実を申し向け、Aが、同月25日、高知市(住所省略)Hb 店において、B5に対し、銀行から届くカードの入った封筒を開封してしまうと解約手続ができないので、未開封のまま保管して渡すよう申し向け、同人をその旨誤信させ、よって、被告人が、同年3月2日から同月6日までの間、前記H駐車場において、B5から、同人方に送付された封筒在中の前記銀行発行にかかる同人名義のRカード1枚の交付を受けた。 (令和4年12月16日付け公訴事実第2) 6 令和3年5月上旬頃、高知市内又はその周辺において、B6(当時24歳)に対し、電話で、長女が前記銀行に勤めており、同銀行を辞めるためにはカード契約のノルマを達成する必要があり、すぐに解約するのでカードを作成の上交付してほしい旨うその事実を申し向け、B6をその旨誤信させ、よって、同月25日午後6時頃、高知市(住所省略)I株式会社d 本店南側駐車場において、B6から、同人名義のRカード1枚の交付を受けた。 (訴因変更後の令和5年10月16日付け公訴事実第3) 7 被告人及びAが、令和3年5月27日から同年6月7日頃までの間、高知市内又はその周辺において、B7(当時55歳)に対し、電話及び対面等で、長女が前記銀行に勤めており、同銀行を辞めるためにはカード契約のノルマを達成する必要があるところ、すぐに解約するのでカードを作成の上交付してほしい旨うその事実を申し向け、B7をその旨誤信させ、よって、被告人が、同日、高知市(住所省略)被告人方において、B7から、同人宛てに送付された封筒在中の前記銀行発行にかかる同人名義のRカード1枚の交付を受けた。 (令和5年8月1日付け公訴事実) 8 被告人及びAが、令和3年8月13日頃から同月24日頃までの間、高知市内又はその周 の前記銀行発行にかかる同人名義のRカード1枚の交付を受けた。 (令和5年8月1日付け公訴事実) 8 被告人及びAが、令和3年8月13日頃から同月24日頃までの間、高知市内又はその周辺において、B8(当時56歳)に対し、電話及び対面等で、長女が前記銀行に勤めており、同銀行を辞めて大学院へ進学するためにはカード契約のノルマを達成する必要があるところ、すぐに解約するのでカードを作成してほしい旨、さらに、同カードがキャッシュカードではなくローンカードであるRカードであることを知ったB8に対し、すぐに解約するので同カードが借り入れに使用されることはない旨それぞれ申し向け、同人をその旨誤信させ、よって、被告人が、同日、高知市(住所省略)Je 店駐車場において、B8から、同人方に送付された封筒在中の前記銀行発行にかかる同人名義のRカード1枚の交付を受けた。 (令和5年6月9日付け公訴事実第1) 9 被告人及びAが、令和3年10月上旬頃から同月19日頃までの間、高知市内、高知県香美市内又はその周辺において、B9(当時54歳)に対し、電話や対面等で、長女が前記銀行に勤めており、同銀行を辞めて大学院へ進学するためにはカード契約のノルマを達成する必要があるのでカードを作成してほしい旨うその事実を申し向け、B9をその旨誤信させ、よって、被告人が、同日、高知市(住所省略)Hc 店駐車場において、B9から、同人方に送付された封筒在中の前記銀行発行にかかる同人名義のRカード1枚の交付を受けた。 (令和5年6月9日付け公訴事実第2) 令和4年1月中旬頃から同年2月5日頃までの間に、a 町、高知市内又はその周辺において、B10(当時60歳)に対し、対面及びメッセージ等で、長女が前記銀行に勤めており、同銀行を辞めるためには 令和4年1月中旬頃から同年2月5日頃までの間に、a 町、高知市内又はその周辺において、B10(当時60歳)に対し、対面及びメッセージ等で、長女が前記銀行に勤めており、同銀行を辞めるためにはカード契約のノルマを達成する必要があり、すぐに解約するのでカードを作成の上交付してほしい旨うその事実を申し向け、B10をその旨誤信させ、よって、同日、a 町(住所省略)の同人方において、B10から、同人名義のRカード1枚の交付を受けた。 (令和6年3月27日付け公訴事実第1)第2 長男の心臓手術費用名目で金銭をだまし取ろうと考え、真実は、長男が間近い時期に心臓の病気のために手術を受けた又は受ける事実も、その手術費用を必要としている事実もないのに、これらがあるように装って、 1 令和3年1月6日頃、高知市内又はその周辺において、前記B1(当時43歳)に対し、電話及びメッセージで、長男が心臓の手術を受ける必要があり、補助金が下りたらすぐに返すので、いくらでも構わないので協力してほしい旨うその事実を申し向けて金銭の交付を要求し、B1をその旨誤信させ、よって、同月7日午後0時6分頃、高知県四万十市(住所省略)K銀行f 支店において、B1に、同所に設置された現金自動預払機を利用して、K銀行g 支店に開設されたA名義口座に50万円を振込送金させた。 (令和6年1月29日付け公訴事実第1) 2 令和4年4月21日及び同月22日、高知市内及びその周辺において、B11(当時67歳)に対し、電話及びメッセージで、長男の心臓手術費用として250万円が必要であるが、行政から補助が下り次第返すので貸してほしい旨うその事実を申し向け、B11をその旨誤信させ、よって、同日、高知市(住所省略)K銀行h 支店(当時)において、B11から、現金250万円の交 要であるが、行政から補助が下り次第返すので貸してほしい旨うその事実を申し向け、B11をその旨誤信させ、よって、同日、高知市(住所省略)K銀行h 支店(当時)において、B11から、現金250万円の交付を受けた。 (令和6年1月29日付け公訴事実第2) 3 令和4年4月27日、高知市内又はその周辺において、前記B10に対し、電話及びメッセージで、長男の心臓手術費用として130万円が必要であるが、 補助金が入ればすぐに返すので貸してほしい旨うその事実を申し向け、B10をその旨誤信させ、よって、同日、a 町(住所省略)月極駐車場東側路上において、B10から、現金130万円の交付を受けた。 (令和6年3月27日付け公訴事実第2)4⑴ 被告人が、令和4年6月9日、高知市内又はその周辺において、B12(当時55歳)に対し、電話で、長男の心臓手術費用の不足分として200万円が必要であるが、借り受けた金員は国から同年7月末に支払われる補助金を充てて必ず返済する旨うその事実を申し向け、B12をその旨誤信させ、よって、被告人が、同年6月9日、高知県南国市(住所省略)L病院敷地内において、B12から現金200万円の交付を受けた。 (令和5年3月27日付け公訴事実第1)⑵ 令和4年7月3日、高知市内又はその周辺において、B12に対し、電話で、前記手術費用の借り手として予定していた人物から金員を借りられなくなったため、同費用として更に300万円が必要であり貸してほしい旨うその事実を申し向け、B12をその旨誤信させ、よって、被告人が、同月4日、高知市(住所省略)Mi 店駐車場において、B12から現金300万円の交付を受けた。 (令和5年3月27日付け公訴事実第2) 5 被告人及びAが させ、よって、被告人が、同月4日、高知市(住所省略)Mi 店駐車場において、B12から現金300万円の交付を受けた。 (令和5年3月27日付け公訴事実第2) 5 被告人及びAが、令和4年8月4日、高知市内又はその周辺において、B13(当時55歳)に対し、電話で、長男が心臓の手術をしないといけなくなったが、手術代が足りず、国から補助を受けるが、手続に時間がかかり先に支払をしないといけないため、金を貸してほしい旨うその事実を申し向け、B13をその旨誤信させ、よって、同月5日、兵庫県姫路市(住所省略)N銀行ATMサービスj 支店k 支店l 出張所において、B13の妻に、同所に設置された現金自動預払機を利用して、K銀行g 支店に開設された被告人名義口座に20万円を振込送金させ、さらに、被告人が、同月7日、高知市内又はその周辺において、B13に対し、電話で、前記手術費用が足りないため追加で50万円 を貸してほしい旨うその事実を申し向け、B13をその旨誤信させ、よって、同月10日、前記同様に被告人名義口座に30万円を振込送金させた。 (令和5年9月11日付け公訴事実)第3 B14(当時59歳)から被告人の知人らが借り入れた金銭の返済資金名目で金銭をだまし取ろうと考え、真実は、前記知人らが、被告人の長女が勤める銀行のノルマを達成するために作成したローンカードを使って借入をした事実も、被告人及びAがその借入の返済を肩代わりする必要もないのに、これらがあるように装って、令和4年9月11日から同月15日までの間に、高知市内又はその周辺において、B14に対し、対面及び電話で、知人がローンカードを使って借り入れた金銭の返済を肩代わりするための資金が必要であるため、合計1130万円を貸してほしい旨うその事実を申し 知市内又はその周辺において、B14に対し、対面及び電話で、知人がローンカードを使って借り入れた金銭の返済を肩代わりするための資金が必要であるため、合計1130万円を貸してほしい旨うその事実を申し向け、B14をその旨誤信させ、よって、同日、前記被告人方において、B14から現金1130万円の交付を受けた。 (令和6年4月24日付け公訴事実)第4 前記B10から更に金銭をだまし取ろうと考え、 1 真実は、前記第2冒頭の事実に加え、手術費用として被告人及びAの知人から金銭を借用した事実もないのに、これらがあるように装って、令和4年9月11日から同月13日までの間に、高知市内又はその周辺において、B10に対し、電話及びメッセージで、知人から長男の心臓手術費用として借用した金銭の返済資金として合計150万円が必要であるが、補助金が入ればすぐに返すので貸してほしい旨うその事実を申し向け、B10をその旨誤信させ、よって、同日、前記第2の3の月極駐車場東側路上において、B10から現金150万円の交付を受けた。 (令和6年3月27日付け公訴事実第3) 2 真実は、被告人の元教え子が、被告人の長女が勤める銀行のノルマを達成するために作成したローンカードを使って借入をした事実も、被告人及びAがその借入の返済を肩代わりする必要もなく、かつ、被告人の長男が、間近い時期に心臓の病気のために手術を受ける事実も、その手術費用の補助金が支給され る予定もないのに、これらがあるように装って、令和4年9月15日、高知市内、a 町内又はその周辺において、B10に対し、電話及び対面で、元教え子がローンカードを使って借り入れた金銭の返済を肩代わりするための資金が至急必要であり、長男の心臓手術費用の補助金が入ればすぐに返すので、220万 周辺において、B10に対し、電話及び対面で、元教え子がローンカードを使って借り入れた金銭の返済を肩代わりするための資金が至急必要であり、長男の心臓手術費用の補助金が入ればすぐに返すので、220万円を貸してほしい旨うその事実を申し向け、B10をその旨誤信させ、よって、同日、前記月極駐車場東側路上において、B10から現金220万円の交付を受けた。 (令和6年3月27日付け公訴事実第4) 3 真実は、Aの実母がO病院に入院する事実も、治療費を前払しないと治療を受けられない事実もないのに、これらがあるように装って、令和4年9月22日から同月23日までの間に、高知市内、a 町内又はその周辺において、B10に対し、電話及び対面等で、前記病院に入院するAの実母の治療費として250万円が必要であり、金銭を用意できたら返すので貸してほしい旨うその事実を申し向け、B10をその旨誤信させ、よって、同日、前記月極駐車場東側路上において、B10から現金200万円の交付を受けた。 (令和6年3月27日付け公訴事実第5) 4 真実は、被告人及びAの知人が前記2冒頭のような借入をした事実も、その他前記2冒頭記載の事実もないのに、これらがあるように装って、令和4年10月11日、高知市内又はその周辺において、B10に対し、電話で、知人がローンカードを使って借り入れた金銭の返済を肩代わりするための資金が至急必要であり、長男の心臓手術費用の補助金が入ればすぐに返すので、200万円を貸してほしい旨うその事実を申し向け、B10をその旨誤信させ、よって、同日、a 町(住所省略)P駐車場において、B10から現金200万円の交付を受けた。 (令和6年3月27日付け公訴事実第6) 5 真実は、被告人及びAの知人等が前記2のような借入をした事 町(住所省略)P駐車場において、B10から現金200万円の交付を受けた。 (令和6年3月27日付け公訴事実第6) 5 真実は、被告人及びAの知人等が前記2のような借入をした事実も、被告人の勤務する高等学校の校長から、被告人及びAの返済能力を確かめるために学校へ金銭を預けるように求められた事実もなく、かつ、高知県教育委員会の面 談を受ければ前記金銭が返ってくる事実もないのに、これらがあるように装って、⑴ 令和4年10月31日、高知市内又はその周辺において、B10に対し、電話で、長女が勤める銀行のノルマを達成するために他人にローンカードを作成させていることが高知県教育委員会で問題となっているところ、被告人が勤務する高等学校の校長から、ローンカードの名義人が借り入れた金銭の返済能力が被告人及びAにあるかを確かめるために200万円を預けるように言われており、同教育委員会の面談を受ければ、金は返ってくるので、200万円を貸してほしい旨うその事実を申し向け、B10をその旨誤信させ、よって、同日、前記P駐車場において、B10から現金200万円の交付を受けた。 (令和6年3月27日付け公訴事実第7)⑵ 令和4年11月1日から同月3日までの間に、高知市内又はその周辺において、B10に対し、電話及びメッセージで、前記面談が終われば返すので、前記預託金として追加で3日間で100万円ずつ貸してほしい旨うその事実を申し向け、B10をその旨誤信させ、よって、同月1日から同月3日にかけて、3回にわたり、前記P駐車場において、B10から現金合計300万円の交付を受けた。 (令和6年3月27日付け公訴事実第8)⑶ 令和4年11月4日、高知市内又はその周辺において、B10に対し、電話で、前記面談が終 において、B10から現金合計300万円の交付を受けた。 (令和6年3月27日付け公訴事実第8)⑶ 令和4年11月4日、高知市内又はその周辺において、B10に対し、電話で、前記面談が終われば返すので、前記預託金として追加で100万円、100万円、50万円と3回に分けて貸してほしい旨うその事実を申し向け、B10をその旨誤信させ、よって、同日、前記P駐車場において、B10から現金100万円の交付を受けた。(令和6年3月27日付け公訴事実第9)(一部無罪の理由)令和6年2月16日付け起訴状記載の各公訴事実の要旨は、被告人が、Aと共謀の上、判示第1の各事実と同様、長女のノルマ達成名目で、①令和2年2月15日にQ1から、②令和3年9月20日にQ2から、それぞれRカードを詐取し、判示 第2の各事実と同様、長男の心臓手術費用名目で、いずれも令和4年6月17日に、③Q3及び④Q4から各100万円を、⑤同年10月4日にQ1から9万円をそれぞれ詐取したというものである。 前記各犯行の実行行為は全てAが行っているところ、前記各犯行について個別具体的にAと被告人との間で共謀が成立していたと認められるような証拠はない。検察官は、後述のとおり包括的共謀を主張するほか、前記⑤に関する個別的共謀の根拠として、令和4年9月9日、Aから被告人に「Q1さんは10だけ」というメッセージが送信されていること等を指摘するが、Q1は前記⑤とは別に同日Aに10万円を渡した旨供述しており(乙38)、上記メッセージが前記⑤の犯行に関する意思連絡とは認められない。 検察官は、被告人とAが社会的・経済的に一体の関係にあるところ、被告人は、家計の管理をAに一任していたが、住宅ローン等の借入金返済や子の学費等により家計が困窮していることは認識し、Aからこれを賄うた 検察官は、被告人とAが社会的・経済的に一体の関係にあるところ、被告人は、家計の管理をAに一任していたが、住宅ローン等の借入金返済や子の学費等により家計が困窮していることは認識し、Aからこれを賄うためローンカード詐欺を持ち掛けられて了承したのであるから、最初の犯行に及ぶ前に、継続的に長女のノルマ達成名目で複数の知人からローンカードを詐取し、これを利用して不正に借入を行うというスキームによる詐欺の共謀を遂げ、その合意に基づき同一手口の犯行を複数件重ねていく中、遅くとも令和元年9月時点で、被告人とAとの間で、いずれが欺罔行為を遂行するかを問わず、複数の知人から前記名目でローンカードを詐取し続けるなどして不正に得た金を家計に充て生計を維持していくという一連の犯行におけるスキームの本質的部分について共通認識が形成され、被告人らの共謀は、継続的に他人をだまして金銭を手に入れ、家族の生活費等を賄うという詐欺の包括的共謀に深化したものと評価できると主張する。 確かに、被告人とAは生計を同一にする夫婦であり、本件各犯行は住宅ローン等の借入金返済に加え子の学費等の資金に窮した被告人らが生計を維持するために始めたものであるから、いずれも犯行による利益を等しく享受する立場にあり、Aが提案したローンカード詐欺の方法は、家計収支が改善する見込みがなければ、複数 人に対して継続的に詐欺を実行しなければならなくなるものである。しかし、被告人らの共犯関係は特殊詐欺のような犯罪グループとは異なり、知人に対して自分の子に関する判示のうそを言うという犯行の手口からしても、対象者の選定は犯行においてそれなりに重要な要素になると考えられるところ、被告人も、実行行為の途中から加担した一部の犯行(判示第1の4、6、第2の1、2)を除き、各犯行の前にAと話し合って対象者を 対象者の選定は犯行においてそれなりに重要な要素になると考えられるところ、被告人も、実行行為の途中から加担した一部の犯行(判示第1の4、6、第2の1、2)を除き、各犯行の前にAと話し合って対象者を決めていた旨、一貫して供述している。本件において、共謀に関するAの供述はなく、検察官が指摘する諸事情を踏まえても、共謀成立過程に関する被告人の供述を排斥し、個別の詐欺を超えて被告人が対象者を認識しないままAが実行した詐欺についても共同実行したものとするような包括的共謀が成立していたと評価できるだけの立証がされているとはいえない。 よって、令和6年2月16日付け起訴状記載の各公訴事実については、犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをする。 (量刑の理由)本件は、夫婦で共謀し、知人10名にローンカードを作成させてだまし取り、知人6名(うち2名はローンカード詐取の被害者と同一)から現金合計3480万円をだまし取ったという詐欺の事案である。それまでの人間関係に基づき知人らが寄せる信用と善意につけ込み、3年7か月間にわたって次々と知人をだまし、1名からは理由を変えて8回も現金をだまし取っており、態様は悪質で、被害結果・金額は前記のとおり多数・多額に上る。各犯行を計画し、欺罔行為の大半を行い、だまし取ったローンカードや現金を管理していたのは共犯者であるが、被告人もこれを了承し、自分が知人との間に築いた関係を利用して犯行を実現させ、利益を等しく享受したのであるから、被告人の責任は共犯者と同等というべきである。 以上の犯情によれば、本件は同種事案の中で重い部類に属し、相当期間の実刑は免れないところ、被告人が共犯者の単独犯行についても道義的責任を認めて全ての被害者へ謝罪文を送るなどして反省と更生の意思を示してい の犯情によれば、本件は同種事案の中で重い部類に属し、相当期間の実刑は免れないところ、被告人が共犯者の単独犯行についても道義的責任を認めて全ての被害者へ謝罪文を送るなどして反省と更生の意思を示していること、前科前歴がな いことなど被告人に有利に考慮すべき事情も踏まえ、主文の刑が相当と判断した。 (求刑懲役6年(実刑))令和6年10月8日高知地方裁判所刑事部 裁判官大友真紀子
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