平成15(行ウ)649 違法公金支出差止等(住民訴訟)請求事件

裁判年月日・裁判所
平成18年11月10日 東京地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文94,442 文字)

主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 被告は,P1組合に対してエコセメント事業に係る一切の公金の支出をしてはならない。 被告は,P2に対し,金6653万2500円及びこれに対する本判決確定の日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。 第2事案の概要 本件は,東京都日野市の住民である原告らが,P1組合(平成18年4月1日に変更される前の名称はP3組合。以下「本件組合」という。)が行っているエコセメント事業は違法であり,日野市が本件組合に対し負担金として支出した金員のうちエコセメント事業に係る分は違法な公金の支出に当たるから,日野市長であるP2にはエコセメント事業に係る分の違法な公金の支出によって日野市が被った損害を賠償すべき義務がある旨主張して,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,本件組合に対する負担金のうちエコセメント事業に係る分の支出の差止めを当該執行機関である被告に求めるとともに,同項4号に基づき,当該職員であるP2に対し,日野市が住民監査請求前1年間に本件組合に対して支出した負担金のうちエコセメント事業に係る分,すなわち,日野市が同14年12月25日に本件組合に支出した2589万3000円,及び同15年6月24日に本件組合に支出した4063万9500円の合計6 653万2500円並びにこれに対する本判決確定の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求するよう,当該執行機関である被告に求める住民訴訟である。 前提となる事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。なお,証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることのできる事実並びに当裁判所に顕著な事実は,その旨付記しており,それ以外の事 訟である。 前提となる事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。なお,証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることのできる事実並びに当裁判所に顕著な事実は,その旨付記しており,それ以外の事実は,当事者間に争いがない事実である。 (1)当事者等ア原告らは,日野市の住民である。 イ被告は,日野市の執行機関である。 ウ本件組合は,地方自治法284条2項の規定に基づいて昭和55年11月に設立された一部事務組合であり,日野市を含む25市1町(平成13年1月に保谷市と田無市とが合併して西東京市となるまでは26市1町)によって組織され,①一般廃棄物の最終処分を広域的に行うための最終処分場の設置及び管理に関する事務,②一般廃棄物の焼却残さ等の処理を広域的に行う事業に関する事務を共同で処理するものとされている。(乙1)(2)エコセメント事業の導入の経緯及び日野市の本件組合に対する負担金のうちエコセメント事業に係る分の支出の経過等ア多摩地域の全31市町村は,平成7年10月,多摩地域ごみ減量・リサイクル推進会議(以下「本件推進会議」という。)を設置した。(乙3)イ東京都清掃局は,多摩地域の全31市町村に対し,平成9年7月,多摩 地域の全市町村が共同で焼却灰全量の資源化を図るため,多摩地域にエコセメント工場を建設することを提案した。本件推進会議は,エコセメント技術の導入について検討し,同10年2月,多摩地域の広域的な焼却残さの処理(資源化)の技術として,エコセメント化技術を有力な選択肢の1つとして早期に導入の方向性を決定する必要があり,より具体的な検討に着手すべきである旨の検討結果を出し,本件組合がその具体的な検討を担当することになった。本件組合は,同年8月,プロジェクト・チームを設置して,エコセメント化施設導入基本計画(以下「本 具体的な検討に着手すべきである旨の検討結果を出し,本件組合がその具体的な検討を担当することになった。本件組合は,同年8月,プロジェクト・チームを設置して,エコセメント化施設導入基本計画(以下「本件導入基本計画」という。)について検討を開始し,同年11月25日,中間報告を発表するとともに,寄せられた意見を基に,エコセメント化技術及び事業の評価の拡充,施設計画の見直し,事業化に当たって必要となる市町村が負担する事業費の経年推移,環境影響評価の実施計画案,詳細な事業スケジュール等を新たに追加して,プラントの安全性,環境に対する影響,エコセメントの販路の確実性,最終処分場の延命効果及び財政負担の軽減等の面からエコセメント化技術及び事業を評価し,施設計画,運営計画,建設計画及びエコセメント化施設導入の課題等について取りまとめ,同11年2月,多摩地域の最終処分場に埋立処分されている廃棄物のうち全埋立容量の約6割を占めている焼却残さを資源化することによって最終処分場の延命を図ることを主たる目的とする本件導入基本計画を策定した。本件推進会議は,同月,焼却残さのエコセメント化を多摩地域の全市町村で取り組んでいくことを再確認した。(乙4から6まで)ウ日野市長は,平成11年3月,エコセメント事業を実施するために必要 な本件組合の組合規約(以下「本件規約」という。)の一部改正案を日野市議会に提出し,同議会は,同月,これを可決し,また,本件組合を組織する地方公共団体(以下「本件組織団体」という。)のうち日野市以外の地方公共団体の長も,日野市長と同様にエコセメント事業を実施するために必要な本件規約の一部改正案を議会に提出し,議会はこれを可決した。 そこで,本件組合は,同月ころ,本件組織団体の協議により本件規約の一部を改正し,本件組合が処理する事務として ント事業を実施するために必要な本件規約の一部改正案を議会に提出し,議会はこれを可決した。 そこで,本件組合は,同月ころ,本件組織団体の協議により本件規約の一部を改正し,本件組合が処理する事務として,新たに一般廃棄物の焼却残さ等の処理を広域的に行う事業に関する事務を加え,東京都知事は,同年6月11日,上記改正を認可した。(甲28,乙1,6)エ本件組合は,平成11年8月,エコセメント事業は今後の多摩地域における廃棄物に関する施策の中で重要な役割を担うことになるとの認識から,本件導入基本計画を基に具体的に事業化を図る際の課題となっている事業の運営の方式や販路の確保等について検討を深めたエコセメント事業基本計画(以下「本件事業基本計画」という。)を作成する方針を決定した。 これを受けて,東京都,本件組織団体代表及び本件組合事務局によって構成されたエコセメント事業基本計画検討委員会(以下「本件検討委員会」という。)が設置され,本件検討委員会は,同月から約8か月にわたり,焼却残さの発生量,事業の運営の主体,販路の確保等について検討を行って,その検討結果を取りまとめるとともに,エコセメントの施設用地として本件組合の管理に係る最終処分場であるα廃棄物処分場(以下「α処分場」という。)内を選定した。本件組合は,上記検討結果及び上記選定結果に基づき,同12年4月,本件事業基本計画を策定した。(乙6) オ本件組合は,平成13年4月,α処分場内に設置する予定のエコセメント化施設について環境影響評価調査計画書概要を取りまとめ,これに従って環境影響評価を実施し,同15年1月,その結果を環境影響評価書に取りまとめた。(乙8,28,32)カ(ア)本件組合の組合議会は,平成14年2月26日,平成14年度一般会計予算を議決した。同予算には,日野市の同年度の負 同15年1月,その結果を環境影響評価書に取りまとめた。(乙8,28,32)カ(ア)本件組合の組合議会は,平成14年2月26日,平成14年度一般会計予算を議決した。同予算には,日野市の同年度の負担金として3億4392万6000円が計上されており,同負担金のうちエコセメント事業に係る分は,同年度のエコセメント事業費に,平成9年度から平成12年度までの本件組織団体別の焼却灰埋立処分実績重量を平成9年度から平成12年度までの焼却灰総埋立処分実績重量で除して得られる数値(埋立比率)を乗じて得られた金額であった。(甲5,乙2,弁論の全趣旨)(イ)日野市議会は,平成14年3月29日,平成14年度日野市一般会計予算を議決した。同予算には,同年度の本件組合に対する負担金(以下「平成14年度負担金」という。)として3億4881万8000円が計上されていた。(甲8,乙18)(ウ)日野市長は,平成14年4月1日,平成14年度負担金として3億4392万6000円の支出を決定する旨の支出負担行為を行った。 (甲8)(エ)本件組合は,日野市に対し,平成14年4月5日,平成14年度負担金のうち876万4000円を管理費上半期分として支払うよう求め,日野市長から権限の委任を受けたリサイクル推進課長は,日野市収入役 に対し,同月16日,同金員を本件組合に支払う旨の支払命令を発し,日野市収入役は,本件組合収入役に対し,同月25日,これを支払った。 (甲9)(オ)本件組合は,日野市に対し,平成14年5月27日,平成14年度負担金のうち1億6319万9000円を事業費上半期分として支払うよう求め,日野市長から権限の委任を受けたリサイクル推進課長は,日野市収入役に対し,同年6月4日,同金員を本件組合に支払う旨の支払命令を発し,日野市収入役は,本件組合収入役 業費上半期分として支払うよう求め,日野市長から権限の委任を受けたリサイクル推進課長は,日野市収入役に対し,同年6月4日,同金員を本件組合に支払う旨の支払命令を発し,日野市収入役は,本件組合収入役に対し,同月25日,これを支払った。(甲10)(カ)本件組合は,日野市に対し,平成14年9月25日,平成14年度負担金のうち876万4000円を管理費下半期分として支払うよう求め,日野市長から権限の委任を受けたリサイクル推進課長は,日野市収入役に対し,同月30日,同金員を本件組合に支払う旨の支払命令を発し,日野市収入役は,本件組合収入役に対し,同年10月25日,これを支払った。(甲11)(キ)本件組合は,日野市に対し,平成14年12月3日,平成14年度の負担金のうち1億6319万9000円を事業費下半期分として支払うよう求め,日野市長から権限の委任を受けたリサイクル推進課長は,日野市収入役に対し,同月4日,同金員を本件組合に支払う旨の支払命令を発し,日野市収入役は,本件組合収入役に対し,同月25日,これを支払った。上記支出のうちエコセメント事業費は,2589万3000円であった。(甲12) キ本件組合は,平成14年7月,エコセメント事業実施計画(以下「本件実施計画」という。)を策定した。(乙7)ク本件組合は,P4・P5・P6・P7建設共同企業体(以下「P4等共同企業体」という。)との間で,平成14年10月31日,エコセメント化施設のための用地造成工事請負契約を締結し,同15年2月,α処分場の敷地内においてエコセメント化施設の建設のための用地造成工事を開始した。(弁論の全趣旨)ケ(ア)本件組合の組合議会は,平成15年2月26日,平成15年度の本件組合の負担金に関する議案を議決した。同議案には,日野市の同年度の負担金として めの用地造成工事を開始した。(弁論の全趣旨)ケ(ア)本件組合の組合議会は,平成15年2月26日,平成15年度の本件組合の負担金に関する議案を議決した。同議案には,日野市の同年度の負担金として2億9102万8000円が計上されており,同負担金のうちエコセメント事業に係る分は,同年度及び平成14年度のエコセメント事業費の合計に,平成9年度から平成13年度までの本件組織団体別の焼却灰埋立処分実績重量を平成9年度から平成13年度までの焼却灰総埋立処分実績重量で除して得られる数値(埋立比率)を乗じて得られた金額から,日野市の平成14年度の負担金のうちエコセメント事業に係る分を控除した残額であった。(乙17,19,21,弁論の全趣旨)(イ)日野市議会は,平成15年3月28日,平成15年度日野市一般会計予算を議決した。同予算には,同年度の本件組合に対する負担金(以下「平成15年度負担金」という。)として2億9102万8000円が計上されていた。(乙20,21)(ウ)本件組合は,日野市に対し,平成15年6月6日,平成15年度負 担金のうち1億3477万4000円を事業費上半期分として支払うよう求め,日野市長は,同月9日,同金員の支出を決定する旨の支出負担行為を行うとともに,日野市長から権限の委任を受けたリサイクル推進課長は,日野市収入役に対し,同日,同金員を本件組合に支払う旨の支払命令を発し,日野市収入役は,本件組合収入役に対し,同月24日,これを支払った。上記支出のうちエコセメント事業費は,4063万9500円であり,日野市が同日までにエコセメント事業費として本件組合に支出した金員の総額は,6653万2500円であった。(乙21)コ本件組合は,平成15年7月,P8・P9特別共同企業体(以下「P9等共同企業体」という。)との間 コセメント事業費として本件組合に支出した金員の総額は,6653万2500円であった。(乙21)コ本件組合は,平成15年7月,P8・P9特別共同企業体(以下「P9等共同企業体」という。)との間でエコセメント化施設の建築工事請負契約を,P10株式会社(以下「P10」という。)との間で運営業務委託契約を,それぞれ締結した。エコセメント化施設の建設費の総額は,271億8450万円であり,エコセメント化施設の運営業務委託費は,同18年4月から同38年3月までの20年間で,総額530億0305万9200円であった。(乙14,16)サ平成16年1月,α処分場内においてエコセメント化施設の建設が開始され,同18年3月,しゅん工し(以下,上記エコセメント化施設を「本件施設」といい,本件施設において行おうとしているエコセメント事業を「本件事業」という。),同年7月1日から稼働を始めた。(弁論の全趣旨)(3)住民監査請求 ア原告らを含む日野市の住民15名は,日野市監査委員に対し,平成15年9月8日付けで,①本件組合は,清掃工場から出た焼却灰を原料としてエコセメントを造ろうとしているが,焼却灰を原料とするエコセメントには多量の有害物質が含まれており,有害物質が溶出しないという保証はない,②エコセメントで造られた構造物を将来取り壊す際に有害物質を含んだエコセメントをどのように把握し管理していくかに関する計画がない,③エコセメント事業は,施設の建設,維持管理及び運営のために高額な負担金を支出することになるところ,日野市についていえば,本件組合に毎年3億4000万円ほどの負担金を支出しており,エコセメント事業を行うと,更に毎年2億3000万円を追加して負担しなければならなくなるにもかかわらず,負担金の額について各自治体に対する具体的な説明がさ 3億4000万円ほどの負担金を支出しており,エコセメント事業を行うと,更に毎年2億3000万円を追加して負担しなければならなくなるにもかかわらず,負担金の額について各自治体に対する具体的な説明がされないまま,エコセメント事業が開始されていることを理由に,エコセメント事業に係る支出は,違法な財務会計上の行為又は怠る事実に当たる旨主張して,日野市の本件組合に対する負担金のうちエコセメント事業に係る分の支出の返還及びエコセメント事業の見直しを求める住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)を行った。(甲1)イ日野市監査委員は,上記アの請求人に対し,平成15年11月5日付けで,要旨,①本件組合は,地方自治法284条に基づいて設立された一部事務組合であり,一部事務組合が設立されると,それによって共同処理するものとされた事務は,関係地方公共団体の権能から除外され,その事務は一部事務組合に引き継がなければならないところ,本件組合の構成員である日野市は,「一般廃棄物の最終処分を広域的に行うための最終処分場 の設置及び管理に関する事務」,「一般廃棄物の焼却残さ等の処理を広域的に行う事業に関する事務」を本件組合に引き継いでおり,本件組合の共同処理事務に関する事業や本件組合の本件組織団体別負担金の決定については,従わざるを得ないものと解される,②エコセメント事業については,同10年2月から同15年7月までの間に,本件組合の理事会及び組合議会等で審議され,日野市議会では,同11年3月にエコセメント事業を実施するための本件規約の一部改正案の審議及びエコセメント事業に関する請願の審査が生活文教委員会及び本会議で行われ,同15年3月にはエコセメント事業に関する請願の審査がまちづくり建設委員会及び本会議で行われており,また,これまでのエコセメント事業に ント事業に関する請願の審査が生活文教委員会及び本会議で行われ,同15年3月にはエコセメント事業に関する請願の審査がまちづくり建設委員会及び本会議で行われており,また,これまでのエコセメント事業に係る費用を含む本件組合に対する負担金の支出については,本件組合で決定した本件組織団体別負担金の請求に基づき,日野市会計事務規則に沿って支出負担行為及び支出命令がされ,関係規則等に従い正当に処理されており,違法とはいえない,③請求人は,エコセメント事業について,将来長期間にわたる巨額の財政負担について日野市が具体的な検討をしないまま事業の進行を認めていくことが「違法な財務会計上の行為又は怠る事実である」という理由から,事業の見直しを求めているが,これは行政上の施策の見直しを求めているものであり,政策判断の問題である,④したがって,本件エコセメント事業に係る費用のこれまでの支出の返還及びエコセメント事業の見直しを求める請求人の主張には理由がないものと判断するとして,本件監査請求を棄却する旨の通知をした。上記アの請求人のうち原告らは,同年11月11日,上記通知を受領した。(甲15,弁論の全趣旨) (4)住民訴訟の提起等ア原告らは,平成15年12月10日,当裁判所に対し,請求の趣旨を「1被告は,P3組合に対してエコセメント事業にかかる一切の公金の支出をしてはならない。2被告は,P2に対し,2002年10月1日から2003年9月12日までに,P3組合に対して支出した6653万3000円及びこれに対する本案訴訟確定の日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払いを請求せよ。」とする本件訴状を提出して,本件訴えを提起した。 イ原告らは,平成16年2月5日,前記アの請求の趣旨を「1被告は,P3組合に対してエコセメント事業にかかる一切 割合による金員の支払いを請求せよ。」とする本件訴状を提出して,本件訴えを提起した。 イ原告らは,平成16年2月5日,前記アの請求の趣旨を「1被告は,P3組合に対してエコセメント事業にかかる一切の公金の支出をしてはならない。2被告は,P2に対し,金6653万2500円及びこれに対する本案訴訟確定の日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払いを請求せよ。」と訂正する旨記載した同月3日付け訴状訂正申立書を当裁判所に提出した。 ウ本件訴状及び平成16年2月3日付け訴状訂正申立書は,同月19日,被告に送達された。(当裁判所に顕著な事実) 争点 (1)日野市が本件監査請求前1年間に本件組合に対して負担金として支出した金員のうち本件事業に係る分の支出に関する支出負担行為,支出命令及び支出(以下,上記支出負担行為,支出命令及び支出を合わせて「本件支出1」という。),並びに日野市が本件監査請求後に本件組合に対して負担金として支出する金員のうち本件事業に係る分の支出に関する支出負担行為,支出 命令及び支出(以下,上記支出負担行為,支出命令及び支出を合わせて「本件支出2」といい,本件支出1と併せて「本件支出等」という。)は,違法な公金の支出に当たるか。 (2)本件支出2は,相当の確実さをもって予想されるか。 争点に関する原告らの主張の要旨別紙1のとおり 争点に関する被告の主張の要旨別紙2のとおり第3当裁判所の判断 前記前提となる事実のほか,証拠及び弁論の全趣旨によると,以下の事実を認めることができる(認定根拠は,各事実の後に付記することとする。)。 (1)本件組合は,本件組織団体から排出される焼却残さ及び中間処理(破砕,再資源化等の減容量化)後の不燃物の埋立処分をα処分場において行っている。α処分場は,計画期間を平 付記することとする。)。 (1)本件組合は,本件組織団体から排出される焼却残さ及び中間処理(破砕,再資源化等の減容量化)後の不燃物の埋立処分をα処分場において行っている。α処分場は,計画期間を平成9年度から平成24年度までの16年間とし,用地面積59.1ha,廃棄物埋立容量約250万m,覆土容量約120 万m,全体埋立容量370万mの施設であり,平成10年1月から供用を 開始したが,土地の選定に着手したのは平成元年度であり,事業計画,設計,環境影響評価,施設建設等を経て供用を開始するまでに10年の歳月を費やしていた。(乙26)(2)本件組合は,平成8年9月,本件組織団体に対し,平成13年度までの搬入予定量についてアンケートによる調査を実施し,その結果を基に平成9年度から平成24年度までの総搬入量を想定したところ,約270万mとなり, α処分場の埋立可能容量の250万mを約20万m上回るという結果とな った。現状のまま埋立処分を続けていくと,α処分場は,平成24年度には満杯となるので,新たな最終処分場が必要となる。しかし,多摩地域では,土地の高密度利用化が進み,地域住民の自然環境保全の意識が強まってきつつあるという状況があり,今後焼却灰を埋め立てるとしても,多摩地域に新たな最終処分場を建設する用地を確保することは極めて困難な状況にある。 したがって,ごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策を展開するとともに,焼却灰を資源化し,最終処分場であるα処分場の延命を図ることが最大の課題であり,急務となっていた。(乙6,7,26)(3)東京都清掃局は,多摩地域の全31市町村に対し,平成9年7月,多摩地域の全市町村が共同で焼却灰全量の資源化を図るため,多摩地域にエコセメント工場を建設することを提案し,多摩地域 ,7,26)(3)東京都清掃局は,多摩地域の全31市町村に対し,平成9年7月,多摩地域の全市町村が共同で焼却灰全量の資源化を図るため,多摩地域にエコセメント工場を建設することを提案し,多摩地域の全31市町村が設置した本件推進会議は,エコセメント技術の導入について検討し,同10年2月,多摩地域の広域的な焼却残さの処理(資源化)の技術として,エコセメント化技術を有力な選択肢の1つとして早期に導入の方向性を決定する必要があり,より具体的な検討に着手すべきである旨の検討結果を出し,本件組合がその具体的な検討を担当することになった。本件組合は,同年8月,プロジェクト・チームを設置して,エコセメント化施設を導入するための本件導入基本計画について検討を開始し,同11年2月,多摩地域の最終処分場に埋立処分されている廃棄物のうち全埋立容量の約6割を占めている焼却残さを資源化することによって最終処分場の延命を図ることを主たる目的とする本件導入基本計画を策定した。本件推進会議は,同月,焼却残さのエコセメント化 を多摩地域の全市町村で取り組んでいくことを再確認した。日野市長は,同年3月,エコセメント事業を実施するために必要な本件規約の一部改正案を日野市議会に提出し,同議会は,同月,これを可決し,また,本件組合を組織する日野市以外の本件組織団体の長も,日野市長と同様にエコセメント事業を実施するために必要な本件規約の一部改正案を議会に提出し,議会はこれを可決した。そこで,本件組合は,同月ころ,本件組織団体の協議により本件規約の一部を改正し,本件組合が処理すべき事務として,新たに一般廃棄物の焼却残さ等の処理を広域的に行う事業に関する事務を加え,東京都知事は,同年6月11日,上記改正を認可した。本件組合は,同年8月,エコセメント事業は今後の多摩地域におけ 事務として,新たに一般廃棄物の焼却残さ等の処理を広域的に行う事業に関する事務を加え,東京都知事は,同年6月11日,上記改正を認可した。本件組合は,同年8月,エコセメント事業は今後の多摩地域における廃棄物に関する施策の中で重要な役割を担うことになるとの認識から,本件導入基本計画を基に具体的に事業化を図る際の課題となっている事業の運営の方式や販路の確保等について検討を深めた本件事業基本計画を作成する方針を決定し,これを受けて,東京都,本件組織団体代表及び本件組合事務局から構成された本件検討委員会が設置され,本件検討委員会は,同月から約8か月にわたり,焼却残さの発生量,事業の運営の主体,販路の確保等について検討を行って,その検討結果を取りまとめるとともに,エコセメントの施設用地としてα処分場内を選定した。 本件組合は,上記検討結果及び上記選定結果に基づき,同12年4月,エコセメント事業を実施するために本件事業基本計画を策定し,同13年4月,α処分場内に設置する予定のエコセメント化施設について環境影響評価調査計画書概要を取りまとめ,また,同14年7月,エコセメント事業を実施するために本件実施計画を策定し,さらに,環境影響評価調査計画書概要に従 って環境影響評価を実施し,同15年1月,その結果を環境影響評価書に取りまとめた。(前記前提となる事実)(4)本件組合は,P4等共同企業体との間で,平成14年10月31日,エコセメント化施設のための用地造成工事請負契約を締結し,同15年2月,α処分場の敷地内においてエコセメント化施設の建設のための用地造成工事を開始する一方,同年7月,P9等共同企業体との間でエコセメント化施設の建築工事請負契約を,P10との間で運営業務委託契約を,それぞれ締結し,同16年1月,α処分場内においてエコセメント化施設 工事を開始する一方,同年7月,P9等共同企業体との間でエコセメント化施設の建築工事請負契約を,P10との間で運営業務委託契約を,それぞれ締結し,同16年1月,α処分場内においてエコセメント化施設の建設を開始した。 本件施設は,同18年3月,しゅん工し,同年7月1日から稼働を始めた。 (前記前提となる事実)(5)本件施設の建設費の総額は271億8450万円であり,本件施設の運営業務委託費は平成18年4月から同38年3月までの20年間で,総額530億0305万9200円である。本件事業のために支出する費用は,遅くとも同15年7月の時点では,本件施設の建設費のうち補助金を控除した残額180億円,本件施設の20年間の運営業務委託費及び修繕費の合計640億円,総計820億円であり,これに敷地造成などの関連工事費約40億円及び起債利子分を加えると,860億円を上回る金額であり,運営業務委託費は,固定費分163億円を除くその余の分が変動費として処理量に応じて変動するとともに,物価変動によっても上昇するものと試算されていた。 (乙14,15,弁論の全趣旨)(6)施設建設費は,平成12年4月に策定された本件事業基本計画では約240億円であったのが,同14年7月に策定された本件実施計画では約265 億円に増えた。これは,施設の設計について施設の設計,施工,運転,維持管理及びエコセメントの販売を一体的に民間業者が請け負うDBO方式を採用して,本件組合が基本仕様(性能条件)を示し,民間事業者が運転及び維持管理の面における効率化を考慮して創意工夫を加えた設計及び施工を行うことにより施設設計費の縮減を図ろうとしたところ,エコセメント対象量の変更により施設の規模を縮小した反面,用地選定に伴う条件の追加や重金属回収システムの仕様を変更した結果により生じたも び施工を行うことにより施設設計費の縮減を図ろうとしたところ,エコセメント対象量の変更により施設の規模を縮小した反面,用地選定に伴う条件の追加や重金属回収システムの仕様を変更した結果により生じたものである。(乙6,7,弁論の全趣旨)(7)事業運営費は,平成12年4月に策定された本件事業基本計画において1年当たり約25億円であったのが,同14年7月に策定された本件実施計画において同約26.4億円に増え,修繕費及び大型修繕の年積立分同5.6億円を加えると,同約32億円に増えた。これは,DBO方式の採用及び契約期間が15年から20年という長期間であることから,事業運営費の縮減を図ることができた反面,環境対策等として,搬入車両及び搬出車両の削減のために原料を運んできた車両をエコセメントの搬出に再利用することができるように原料を石灰石から単価の高い石灰石粉に変更したり,本件事業基本計画の策定時には未試算であった修繕費,外注費,事務部門の人件費及び諸経費等を追加したりしたなどの結果によるものである。(甲30,乙6,7,弁論の全趣旨)。 (8)多摩地域の最終処分量は,次のとおりである。 焼却灰不燃残さ合計平成10年12.2万t4.2万t16.4万t 平成11年11.1万t4.7万t15.8万t平成12年10.9万t4.3万t15.2万t平成13年10.9万t3.3万t14.2万t平成14年11.0万t2.2万t13.2万tまた,α処分場の埋立実績は,次のとおりである。 焼却灰不燃残さ合計体積換算平成14年10.6万t2.1万t12.7万t(13.0万m) 平成15年10.5万t1.7万t12.2万t(11.9万m) さらに,日野市内において発生したごみの処理費は,大ざっぱに把 14年10.6万t2.1万t12.7万t(13.0万m) 平成15年10.5万t1.7万t12.2万t(11.9万m) さらに,日野市内において発生したごみの処理費は,大ざっぱに把握すると,次のとおりである。 発生抑制収集運搬中間処理最終処分合計費(円)費(円)費(円)費(円)(円)平成13年7800万11億6900万9億5300万4億8900万27億0900万平成14年8600万11億9100万9億0200万4億3400万26億1300万平成15年8600万11億6800万8億8600万3億8300万25億2300万(乙23,弁論の全趣旨)(9)日野市では,昭和62年,焼却施設として日野市P11を単独で建設して一般廃棄物の焼却を行っており,日野市P11に搬入される廃棄物の処理は,可燃ごみについてはこれを焼却し,不燃ごみ及び粗大ごみについてはこれを破砕した後に鉄やアルミを選別し,破砕不適物については手作業で鉄やアルミを選別し,選別された鉄やアルミは,それぞれの資源化のルートに乗せ,焼却灰と不燃破砕物は,α処分場に埋め立てている。また,日野市では,平 成元年からは資源回収を,同6年からは生ごみ堆肥化容器の補助及びリサイクル事業等を,それぞれ施策化してきたが,多摩地域の各市がごみの排出量を減量していく中で,平成11年度には日野市の不燃ごみの量が多摩地域の全31市町村の中で最悪という結果になった。そこで,日野市は,平成12年10月,ごみ減量化の施策として,ダストボックスの廃止,ごみ有料化及びごみの各戸収集を実施したところ,家庭系のごみの収集量は半減し,リサイクル量は約3倍となった。日野市は,同14年3月,市民参画によって「ごみゼロプラン(日野市一般廃棄物処理基本計画) ごみ有料化及びごみの各戸収集を実施したところ,家庭系のごみの収集量は半減し,リサイクル量は約3倍となった。日野市は,同14年3月,市民参画によって「ごみゼロプラン(日野市一般廃棄物処理基本計画)」を策定し,日野市としてごみゼロ社会を目指す基本理念(循環型社会の形成)並びに具体的な行動計画として,ごみの発生の回避,発生の抑制,再使用,再利用(マテリアルリサイクル・サーマルリサイクル)及び適正処理から成る施策を掲げた。 その後も,日野市は,事業系ごみ減量の取組やごみゼロプランを推進するための「ごみ減量推進市民会議」によるマイバック運動,情報誌「エコー」の作成及び配布による啓発活動などを行ってきた。その結果,日野市における平成15年度1日1人当たりの可燃ごみ収集量は373.4gとなった。これは,多摩地域の全30市町村(多摩地域の全市町村は,平成13年1月に保谷市と田無市とが合併して西東京市となったことにより31市町村から30市町村に減じた。)では最小量である。また,資源ごみのうち,新聞紙,段ボール,牛乳パック,雑誌,瓶,缶,古布,ペットボトル及び発泡トレーについては,各戸収集して資源化しており,総資源化率は,平成15年度には30.0%に達し,多摩地域の全30市町村中10位である(30市町村の平均は26.2%)。さらに,プラスチックを資源化することを前提に, 平成16年10月現在,分別収集のモデル実験を実施中であり,平成16年度の総ごみ量は更に減少している。(乙23,24,36,37,40,41,弁論の全趣旨)(10)エコセメントとは,都市部などで発生する廃棄物のうち主たる廃棄物である都市ごみを焼却した際に発生する焼却残さを主とし,必要に応じて下水汚泥などの廃棄物を従としてエコセメントクリンカーの主原料に用い,製品1トンにつきこれ 部などで発生する廃棄物のうち主たる廃棄物である都市ごみを焼却した際に発生する焼却残さを主とし,必要に応じて下水汚泥などの廃棄物を従としてエコセメントクリンカーの主原料に用い,製品1トンにつきこれらの廃棄物をJISA1203に規定される乾燥ベースで500kg以上使用して造られるセメントである。エコセメント技術の実証研究は,技術委員会(委員長はP12京都大学名誉教授。構成メンバーは,学識経験者,厚生省,通産省,運輸省及び建設省の各職員及び民間企業代表)を設けて行われ,平成5年度,通産省の事業として開始され,その外郭団体であるNEDOが財団法人P13に委託して実施された。同実証研究は,官民共同で同年度から平成9年度まで実証プラント(エコセメント生産量1日当たり50トン規模)を使用して行われ,エコセメントの特性,塩素対策,環境対策,プラント連続運転の可否等について様々な角度から検討が加えられ,その研究成果から普通エコセメント及び速硬エコセメントが開発され,同年度にエコセメント技術として確立された。エコセメント技術は,セメント製造技術を応用して開発された技術であり,平成14年7月20日にJIS規格(JISR5214)として制定された。(乙5,6,12)(11)エコセメントクリンカーの原料に用いられる都市ごみの焼却残さ及び下水汚泥には,重金属類及び有機化合物であるダイオキシン類を含むことがある。しかし,重金属類である鉛,銅,カドミウム,水銀などの大部分は,1 300度以上の焼成工程で塩化物の形態でセメントクリンカーから分離,冷却されて,アルカリ塩化物と共にダストとしてバグフィルタで回収されるので,エコセメントに含まれる重金属類は減少する。また,エコセメント中に残存している重金属類も,焼成によって生成した鉱物の結晶構造に取り込まれること 塩化物と共にダストとしてバグフィルタで回収されるので,エコセメントに含まれる重金属類は減少する。また,エコセメント中に残存している重金属類も,焼成によって生成した鉱物の結晶構造に取り込まれることにより,溶出が防止される。その結果,将来,エコセメントで造られた構造物を廃棄するときでも,重金属類の溶出は防止される。(乙6,弁論の全趣旨)(12)エコセメントは,ポルトランドセメントより塩素分が高いので,鉄筋コンクリートとして使用した場合には,鉄筋の腐食が進み,コンクリートが劣化するおそれがあり,他方,成分調整をして塩素分を除去すると,アルカリ化が起こって,アルカリ骨材反応が起こるおそれがあるので,無筋の2次製品(セメントボード,ブロック等)や固化材(土壌改良材)等にしか使用することができない。多摩地域で生産されるエコセメント量は,年間16万トン(低塩素型)から19万トン(標準型)と試算されているが,関東地区における無筋系用途のセメントの販売量は,年間約300万トンと推計されているので,今後,本件組合の発注に係る工事にエコセメントを使用するとともに,東京都及び多摩地域の市町村の公共工事において積極的にエコセメントを使用するよう関係機関と協議し,更なる需要が喚起されるよう取り組んでいくことが求められている。(乙5,弁論の全趣旨)(13)本件施設のプラント設備は,受入れ,前処理,焼成,仕上げ,排ガス処理,煙突,重金属の回収等を行う設備によって構成されているが,その概要は,次のとおりである。(乙28,32) ア受入設備(ア)受入設備は,焼却残さ及び副資材である石灰石粉,鉄原料粉等を受け入れて一時貯留し,前処理施設へ供給する設備で構成されている。 (イ)焼却残さには湿灰と乾燥灰がある。湿灰は,専用の搬入車両で搬入され,受入ピット 焼却残さ及び副資材である石灰石粉,鉄原料粉等を受け入れて一時貯留し,前処理施設へ供給する設備で構成されている。 (イ)焼却残さには湿灰と乾燥灰がある。湿灰は,専用の搬入車両で搬入され,受入ピットに投入され,乾燥灰は,専用の搬入車両から受入タンクに直接空気圧送し,空気抜きにはバグフィルタを設置してその飛散を防止する。投入後,搬入車両は管理棟内に設置する洗車設備で洗車される。受入ピット内の空気は脱臭装置へ強制的に吸引し,受入ピット内部を負圧に保つとともに,管理棟1階の焼却残さ等搬入車両出入口には電動鋼製ドアを設け,臭気の外部への流出を防止する。 (ウ)石灰石粉及び鉄原料粉は,受入サイロに直接空気圧送する。空気抜きにはバグフィルタを設置してその飛散を防止する。 イ前処理設備(ア)前処理設備は,湿灰の乾燥,粉砕,鉄及びアルミニウム類の回収(磁選等)の処理を行う設備並びに乾燥させた湿灰又は乾燥灰と副資材とを調合する設備で構成されている。 (イ)湿灰は,乾燥,破砕並びに鉄及びアルミニウム類の選別除去を行った後,エコセメントの原料として最適にするため粉砕する。粉砕後の湿灰及び乾燥灰は,副資材である石灰石粉及び鉄原料粉を加え,エコセメントの原料として一定の化学成分が得られるように調合,混合する。 (ウ)湿灰を粉砕する設備並びに鉄及びアルミニウム類を回収する設備は,建屋内に設置し,焼却残さの飛散を防止するとともに,騒音及び振動の 発生を抑制する。回収された鉄及びアルミニウム類はリサイクルする。 ウ焼成設備(ア)焼成設備は,調合された焼却残さと副資材とを焼成する設備及び焼成することにより生成されるクリンカを冷却する設備で構成されている。 (イ)エコセメントの原料は,焼却残さ,副資材である石灰石粉,鉄原料粉等を均一に調合したものであり, 副資材とを焼成する設備及び焼成することにより生成されるクリンカを冷却する設備で構成されている。 (イ)エコセメントの原料は,焼却残さ,副資材である石灰石粉,鉄原料粉等を均一に調合したものであり,回転する円筒形の焼成炉(ロータリキルン)の中で重油バーナーにより1350度以上の温度で焼成してクリンカを生成し,生成したクリンカはクリンカクーラーで空気により急冷される。 (ウ)焼却残さに含まれるダイオキシン類は1350度以上の高温度で分解され,重金属類は焼却残さ中の塩素と結合し,揮発しやすい化合物となって排ガス中に移行し,移行した重金属類は排ガス処理工程を経て重金属回収設備において回収される。焼成炉中の温度は連続測定して記録されている。 エ仕上げ設備(ア)仕上げ設備は,粉砕設備,捕集及び集じん設備並びに貯留設備で構成されている。 (イ)焼成設備で生成されたクリンカに石こうを加えて粉砕し,エコセメントに仕上げる。 オ排ガス処理設備(ア)排ガス処理設備は,排ガス冷却設備,ろ過式集じん機,触媒脱硝塔及び活性コークス塔で構成されている。 (イ)前処理設備の乾燥工程及び粉砕工程から排出される約200度の排ガスには,消石灰を吹き込んで硫黄酸化物及び塩化水素を除去し,粉末活性炭を吹き込んでダイオキシン類を吸着させて除去した上,残余の排ガスをばいじんと共にろ過式集じん機により除去する。ろ過式集じん機により処理した排ガスは,昇温炉で灯油バーナーにより220度まで加熱し,脱硝効率の促進と煙突からの白煙防止を図った後,触媒脱硝塔(アンモニアを吹き込んで塔内で触媒により反応を促進させて窒素酸化物を分解して窒素酸化物を除去する施設)で窒素酸化物を除去する。 (ウ)焼成炉から排出される約800度の排ガスは,水と空気により約200度以下まで急速 込んで塔内で触媒により反応を促進させて窒素酸化物を分解して窒素酸化物を除去する施設)で窒素酸化物を除去する。 (ウ)焼成炉から排出される約800度の排ガスは,水と空気により約200度以下まで急速に冷却してダイオキシン類の再合成の抑制を図り,急速冷却後,排ガス中に消石灰を吹き込んで,ろ過式集じん機によりばいじん,硫黄酸化物,塩化水素及びダイオキシン類を除去する。ろ過式集じん機により処理した排ガスには,アンモニアを加えて活性コークス塔(硫黄酸化物を除去し,また,アンモニアを添加することによって窒素酸化物を除去するとともに,ダイオキシン類及び水銀を除去する施設)により窒素酸化物,硫黄酸化物及びダイオキシン類を吸着させて除去する。 カ煙突高さ59.5mの2本の鋼製煙突を鉄筋コンクリート製の外筒の中に設置する。1本が焼成炉からの排ガス用であり,1本が焼却残さ等の乾燥工程又は粉砕工程から排出される排ガス用である。 キ重金属回収設備 (ア)焼成炉からの排ガスに含まれるばいじんは,ろ過式集じん機により捕集され,除去されるが,捕集されたばいじん(焼成飛灰)中には銅,亜鉛,鉛等の有用な重金属が含まれている。 (イ)重金属回収設備では,焼成飛灰を水により溶解し,酸又はアルカリによる重金属類の溶出処理,溶液の脱水処理等を経て,銅,亜鉛,鉛等の有用な重金属を金属産物(人工鉱石)として分離回収し,金属産物(人工鉱石)は民間の精錬工場に搬出する。 (ウ)処理工程から残さいとして水酸化カルシウムを主体とした殿物が生ずるが,この残さいは焼成工程に戻し,エコセメント原料として再使用する。 (エ)処理に伴って排出される排水は,下水の排除基準を十分満足する水質として公共下水道に放流する。 (14)本件組合は,本件施設において本件事業を実施するに際し,次 メント原料として再使用する。 (エ)処理に伴って排出される排水は,下水の排除基準を十分満足する水質として公共下水道に放流する。 (14)本件組合は,本件施設において本件事業を実施するに際し,次のような公害防止対策を行うこととしている。(乙28,29,32)ア大気汚染防止対策(ア)本件組合は,大気汚染防止に係る自己規制値を,大気汚染防止法,ダイオキシン類対策特別措置法,都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(平成12年東京都条例第215号。以下「環境確保条例」という。)等を勘案し,本件施設における焼成炉,乾燥機及び原料粉砕機のそれぞれについて,各種法令に定められている排出基準値の最も厳しい基準値以下になるよう設定した。すなわち,本件施設においては,焼成炉には大気汚染防止法におけるセメント焼成炉の基準が,乾燥機及び 原料粉砕機には大気汚染防止法等における乾燥炉の基準が,それぞれ適用されるが,本件施設では廃棄物の焼却残さを処理することを踏まえて,窒素酸化物,ばいじん及びダイオキシン類については廃棄物焼却炉の基準を考慮して自己規制値を設定し,硫黄酸化物,塩化水素及び水銀については現在稼働中又は計画中の清掃工場の排出濃度を参考に自己規制値を設定した。自己規制値は,窒素酸化物が50ppm以下,硫黄酸化物が10ppm以下,塩化水素が10ppm以下,ばいじんが0.01mg/mN以下,水銀が0.05mg/mN以下,ダイオキシンが0. 05ng/mN以下である。 (イ)本件施設では,自己規制値を達成するために,排ガス冷却設備,ろ過式集じん機(バグフィルタ),触媒脱硝塔及び活性コークス塔等の排ガス処理設備を設置する。 (ウ)ダイオキシン類は,①1350度以上での焼成による分解,②排ガスを空冷,水冷併用方式により200度以 過式集じん機(バグフィルタ),触媒脱硝塔及び活性コークス塔等の排ガス処理設備を設置する。 (ウ)ダイオキシン類は,①1350度以上での焼成による分解,②排ガスを空冷,水冷併用方式により200度以下に急速冷却することによる再合成の防止,③活性炭を吹き込んでろ過式集じん機(バグフィルタ)による吸着除去,④活性コークス塔による吸着除去等によって,ダイオキシン類対策特別措置法に基づく焼却施設に係る排出基準値0.1ng-TEQ/mNを下回る0.05ng-TEQ/mN以下を達成する。 イ水質汚濁防止対策(ア)降雨水は,雨水貯留槽(1600m)に貯留し,プラント用水とし て再利用する。 (イ)本件施設の稼働に伴う排水は,重金属回収設備により下水排出基準 以下の水質に処理し公共下水道に放流する。 (ウ)ダイオキシン類は,重金属回収設備で廃水処理することにより,ダイオキシン類対策特別措置法に定める排出基準(10pg-TEQ/l)以下として公共下水道に放流する。 ウ騒音防止対策(ア)騒音の発生源となる機器類は,原則として建屋内に設置し,必要に応じて消音器の設置や防音施工を行う。 (イ)屋外に設置する機器類は,必要に応じて低騒音型機器の採用や吸音材の使用により騒音の発生を防止する。 エ振動防止対策振動の発生源となる機器類は,十分な強度を有する基礎に設置し,必要に応じて機器類と基礎との間にスプリングや緩衝ゴム等の防震装置を設置し,振動対策を施す。 オ悪臭防止対策(ア)管理棟1階の焼却残さ等搬入車両の出入口には,電動鋼製ドアを設ける。 (イ)焼却残さの受入ピット内の空気は強制的に吸引し,受入ピット内部を負圧に保ち,臭気が外部へ漏えいすることを防ぐ。ピット内では必要に応じて消臭剤を噴霧するとともに,吸引した空気は吸着式脱臭 る。 (イ)焼却残さの受入ピット内の空気は強制的に吸引し,受入ピット内部を負圧に保ち,臭気が外部へ漏えいすることを防ぐ。ピット内では必要に応じて消臭剤を噴霧するとともに,吸引した空気は吸着式脱臭装置を通過させ,吸着処理する。 カ粉じん飛散防止対策粉砕設備や移送設備など粉じんの発生が懸念される設備は,密閉構造と する。建屋にろ過式集じん機を設置して,粉じんの外部への飛散を防止する。 (15)本件組合が地域の状況の概況及び本件事業における環境影響要因を考慮して選定した環境影響評価項目及び予測・評価小項目について現況調査を行ったところ,本件施設において実施する本件事業が環境に及ぼす影響は,平成15年1月の時点においては,次のとおりであると予測,評価された。 (乙8,28,32)ア大気汚染(ア)α処分場敷地境界における建設機械の稼働に伴う排ガスの将来濃度は,二酸化窒素が0.031~0.45ppm(付加率3.8~42. 7%),浮遊粒子状物質が0.065~0.070mg/m(付加率 1.0~10.1%)となり,環境基準値のゾーン内に収まる。 (イ)工事用車両の走行に伴う排ガスの将来濃度は,二酸化窒素が0.031~0.036ppm(付加率2.1%),浮遊粒子状物質が0.068~0.071mg/m(付加率0.6%以下)となり,環境基準 値を下回る。 (ウ)本件施設の稼働に伴う排ガスの予測最大着地濃度地点における将来濃度(長期平均濃度)は,二酸化硫黄が0.008ppm(付加率1. 6%),二酸化窒素が0.032ppm(付加率1.1%),浮遊粒子状物質が0.064mg/m(付加率0.2%),ダイオキシン類が 0.12ng-TEQ/m(付加率0.3%),塩化水素0.000 17ppm(付加率40.6%),水銀0.003ug/m( 遊粒子状物質が0.064mg/m(付加率0.2%),ダイオキシン類が 0.12ng-TEQ/m(付加率0.3%),塩化水素0.000 17ppm(付加率40.6%),水銀0.003ug/m(付加率 9.4%)となり,環境基準値その他評価の指標を下回る。塩化水素の付加率が一番高いのは,一般環境中のバックグラウンド濃度が十分に低いためである。 (エ)本件施設の稼働に伴う排ガスの予測最大着地濃度地点における将来濃度(短期高濃度)は,環境基準値その他の評価の指標を下回る。 (オ)本件施設の搬入車両及び搬出車両の走行に伴う排出ガスの将来濃度は,二酸化窒素が0.030~0.034ppm(付加率1.7%以下),浮遊粒子状物質が0.066~0.069mg/m(付加率0. 4%以下)となり,環境基準値を下回る。 イ悪臭本件施設の稼働時におけるα処分場敷地境界での臭気指数は,環境確保条例に基づく規制基準値で10以下になると考えられる。風向き及びα処分場埋立地からの臭気との複合によって規制基準を超過することがないよう,環境保全のための措置を確実に実行する。α処分場敷地境界での特定悪臭物質濃度は,悪臭防止法に基づく規制基準値を下回る。 ウ騒音(ア)建設機械の稼働に伴う建設作業騒音は,α処分場敷地境界において最大68デシベルであり,環境確保条例に基づく指定建設作業に適用する勧告基準(80デシベル)を下回る。 (イ)工事用車両の走行に伴う道路交通騒音は,73~74デシベルであり,すべての地点で騒音レベルが環境基準(昼間70デシベル)を上回るが,工事用車両の走行による増加分は1デシベル未満である。 (ウ)本件施設の稼働に伴う工場及び事業場に係る騒音は,α処分場敷地境界において最大44デシベルであり,環境確保条例に基づく工場及び が,工事用車両の走行による増加分は1デシベル未満である。 (ウ)本件施設の稼働に伴う工場及び事業場に係る騒音は,α処分場敷地境界において最大44デシベルであり,環境確保条例に基づく工場及び指定作業場に係る騒音の規制基準(夜間45デシベル)を下回る。 (エ)搬入車両及び搬出車両の走行に伴う道路交通騒音は,昼間72~74デシベルであり,すべての地点で騒音レベルが環境基準(昼間70デシベル)を上回るが,搬入車両及び搬出車両の走行による増加分は1デシベル未満である。 エ振動(ア)建設機械の稼働に伴う建設作業騒音は,α処分場敷地境界において最大58デシベルであり,環境確保条例に基づく指定建設作業に適用する勧告基準(65デシベル)を下回る。 (イ)工事用車両の走行に伴う道路交通振動は,昼間が31~53デシベル,夜間が30~51デシベルであり,すべての予測地点で環境確保条例に基づく工場及び指定作業場に係る振動の規制基準(55デシベル)を下回る。 (ウ)本件施設の稼働に伴う工場及び事業場に係る振動は,α処分場敷地境界において最大48デシベルであり,環境確保条例に基づく工場及び指定作業場に係る振動の規制基準(55デシベル)を下回る。 (エ)搬入車両及び搬出車両の走行に伴う道路交通振動は,昼間が30~53デシベル,夜間が30~51デシベルであり,すべての予測地点で環境確保条例に基づく工場及び指定作業場に係る振動の規制基準(55デシベル)を下回る。 オ水質汚濁晴天時には洗車設備からの濁水はその処理水を洗車用水として循環使用する。降雨時には環境保全のための措置を施すことにより,大雨,豪雨時を除き,濁水を浮遊物質量(SS)濃度25mg/l以下に処理して,βに放流することができる。 カ地形,地質(ア)本件施設の建設予定地の切土上 は環境保全のための措置を施すことにより,大雨,豪雨時を除き,濁水を浮遊物質量(SS)濃度25mg/l以下に処理して,βに放流することができる。 カ地形,地質(ア)本件施設の建設予定地の切土上部は,分布する地質に対する標準切土法面こう配に準拠し,安定計算における最小安全率が計画安全率を上回る。切土下部は,アンカー工法によって十分に補強し,造成に伴う斜面の安定性を確保する。 (イ)本件施設は,十分な地耐力を有する川井層及び大荷田れき層下部層を基礎地盤として施工し,盛土部は転圧締め固めにより盛土するとともに,基礎地盤の十分な深さまで杭基礎を施工することから,本件施設の荷重により盛土部の沈下は生じない。本件施設の建設予定地周辺の長大法面付近の地盤は,建設予定地の切土こう配の安定性が確保されており,地盤の変形は生じない。 キ水循環(ア)工事完了後の河川の流量は,α処分場直下において5.2%,γ川流末において1.1%増加し,流速も増加すると予測されるが,増加の割合は少なく,年間流量の変動幅内であることから,河川等の流況に著しい影響を及ぼすことはない。 (イ)工事完了後の地下水の水位は,本件施設の建設予定地内において, 切土及び掘削により最大25m程度低下するが,基礎地盤である大荷田れき層下部層の主な土質が透水性の低いシルトであり,地下水低下の影響範囲は狭く,α処分場の第2期建設工事による地下水の水位が低下した範囲からみて,地下水の変化は本件施設の建設予定地内に限られる。 また,本件施設の建設予定地の周辺においては,α処分場直下の地下浸透水の量が13.2%,γ川地域の地下浸透水の量が1.3%程度減少するが,雑用水としての地下水利用があるδ集落での地下浸透量の減少の割合は少なく,地下水の水位の変化も少ない。 ク生物,生態系(ア 透水の量が13.2%,γ川地域の地下浸透水の量が1.3%程度減少するが,雑用水としての地下水利用があるδ集落での地下浸透量の減少の割合は少なく,地下水の水位の変化も少ない。 ク生物,生態系(ア)本件事業により,杉及びひのきの植林を中心に建設予定地の75%程度が改変され,主に植林環境による生息ないし生育環境が縮小し,樹林地を含む生態系の規模が縮小する。 (イ)しかし,本件施設の建設予定地の23%程度は残留緑地として保全し,その林縁植生の育成を促進すること,本件施設の建設予定地の周辺の樹林との連続性も維持することから,植物及び動物への影響の緩和等が可能である。なお,α処分場内の改変域に生育する注目される植物種については,移植による保全措置を実施し,α処分場内の改変域の表土については法面小段等の緑化に有効活用することにより,種の多様性を確保する。 そして,α処分場内の改変域は,既に樹木の伐採等がおおむね終了し,動物の生育はほとんど確認されていないため,新たに植物及び動物に及ぼす影響はわずかである。埋立終了区域では迅速な緑化を行うことで, 人工改変地から草地を基盤とする生態系が構築される。 また,α処分場内の残留緑地には,本件施設の建設時に生態系への影響が一時的に生じるが,残留緑地内の非優良林分に対して多種混交林への林相転換を図ることから,動物ないし植物の生息ないし生育環境の多様性が向上し,周辺地域の生息ないし生育基盤と一体となって猛きん類を頂点とする高次の生態系を維持することが可能である。 さらに,水辺環境の保全ゾーンの維持管理,伐採樹木を用いたエコスタック(小動物の隠れ場所となるように配置した石積みや丸太積み等)の設置等を行う計画であり,多様な生育環境が確保される。 (ウ)以上によれば,本件事業の実施は,動物及び植物の生息ない を用いたエコスタック(小動物の隠れ場所となるように配置した石積みや丸太積み等)の設置等を行う計画であり,多様な生育環境が確保される。 (ウ)以上によれば,本件事業の実施は,動物及び植物の生息ないし生育環境,植物相,動物相及び生態系の多様性に著しい影響を与えることはない。 ケ景観(ア)本件施設の建設予定地の造成及びプラント等の設置に伴い,人工的な景観構成要素が増えるが,法面等の植栽,緑化等により緑の回復に努めることから,主要な景観構成要素である樹林の改変は最小限に抑えられる。したがって,ε丘陵の稜線のスカイラインに変化を生じさせることはない。 (イ)ハイキングコースを含む近景域からの眺望については,α処分場の建設による景観の変化を加え,自然的な景観の中へ人工的な景観構成要素を付加することになるが,法面等の植栽,緑化等を行い,煙突及びプラント設備については周辺景観と調和の取れた色彩とし,さらに眺望点 での植栽による遮へいを行うことにより,本件事業の実施が樹林を主体とした景観構成及び眺望の状況を損なわないようになる。中景域以遠からの眺望については影響はない。 コ自然とのふれあい活動の場本件事業の実施に伴い,自然とのふれあい活動の場であるハイキングコースを物理的に改変することはないし,樹林内を通過し,移動するという主要な活動内容を損なうことはない。樹林の間から人工的な施設をかいま見ることができるようになるが,本件施設の色彩に配慮すること,植栽等の検討を行うこと,本件施設の稼働に伴う悪臭,騒音,振動等について十分な施策を施すことによって,自然とのふれあい活動を妨げる著しい障害とはならないことから,自然とのふれあいや親しむ場は確保される。 サ廃棄物本件事業の実施に伴い,伐採樹木等及び建設発生土が発生する。伐採樹木等のうち, って,自然とのふれあい活動を妨げる著しい障害とはならないことから,自然とのふれあいや親しむ場は確保される。 サ廃棄物本件事業の実施に伴い,伐採樹木等及び建設発生土が発生する。伐採樹木等のうち,発生量の約60%は売却し,発生量の約40%は売却することができない木材,根及び枝であり,チップ化等の再利用を図る。建設発生土は,本件施設の建設予定地内での盛土材として利用することにより排出量を発生量の約87%に抑え,排出した建設発生土は本件組合の管理地内に仮置きして,その全量をα処分場の覆土等として有効利用する。 シ温室効果ガス比較対照する既存の灰融解処理の方式によりその程度は異なるが,1トンの焼却残さの処理と約1.58トンのエコセメントの製造を同時に行うエコセメント製造方式は,相対的に温室効果ガスである二酸化炭素の排出 量の少ない焼却残さの処理技術である。 (16)ア本件施設が稼働する前に既に稼働していたエコセメント化施設は,国内ではP8及びP14の出資によって設立されたP15が市原市内に所有する件外施設のみであり,件外施設は,平成12年以降,千葉県内で発生する一般廃棄物(都市ごみ焼却灰等)及び産業廃棄物(汚泥等)を受け入れてエコセメントを製造している。 イ市原市議会議員は,平成15年12月に開かれた市原市議会において,①件外施設はロータリキルン内の耐火れんがを頻繁に交換しなければならず,そのための設備保全作業がエコセメントの製造原価を圧迫していること,②脱塩素工程における炭酸ナトリウム添加剤噴射方式を,件外施設の操業開始後に,原料との混合方式に変更し,さらに炭酸ナトリウムを高価な炭酸カリウムに変更せざるを得なくなったこと,③排ガス処理工程における排水計画を当初の1.7倍に上方修正しなければならなくなったことなどを指摘した。 ウ 合方式に変更し,さらに炭酸ナトリウムを高価な炭酸カリウムに変更せざるを得なくなったこと,③排ガス処理工程における排水計画を当初の1.7倍に上方修正しなければならなくなったことなどを指摘した。 ウ平成16年11月2日,件外施設において,除害施設の要である排ガス処理系の脱硝設備に充てんした活性コークス粉じんが固結したもの約280kgが,煙突から周辺工場の敷地内に飛散するという事故が発生した。事故の原因は,脱硝塔及び活性コークス再生塔の改造工事を実施した後の負荷運転の過程で,各所ショート及びホッパーで活性コークスが詰まり,その詰まりの解消時に活性コークスが飛散したというものであった。件外施設においては,同月2日以降断続的に事故が発生したにもかかわらず,P15が市原市に事故を報告したのは,同月11日であった。 (甲24,25の1及び2,弁論の全趣旨) 争点(1)(本件支出等は,違法な公金の支出に当たるか。)について(1)地方自治法242条の2の規定に基づく住民訴訟は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による同法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実の予防又は是正を裁判所に請求する権能を住民に与え,もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とするものである(最高裁昭和51年(行ツ)第120号同53年3月30日第一小法廷判決・民集32巻2号485頁参照)。そうすると,同法242条の2第1項4号の規定に基づいて同法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実があると認められる当該普通地方公共団体の職員に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める訴訟は,住民訴訟の1類型として,財務会計上の行為を行う権限を有する当該職員に対し,職務上の義務に違反する財務会 は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める訴訟は,住民訴訟の1類型として,財務会計上の行為を行う権限を有する当該職員に対し,職務上の義務に違反する財務会計上の行為又は怠る事実に係る当該職員の個人としての損害賠償義務又は不当利得返還義務の履行を求めるよう,当該執行機関又は職員に対して求めるものにほかならないというべきである。したがって,同法242条の2第1項4号の規定に基づいて当該職員に損害賠償義務又は不当利得返還義務の履行を求めるよう当該執行機関又は職員に対して求めることができるのは,当該職員の行為又は怠る事実自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られ,たとえ当該職員の行為又は怠る事実に先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても,その原因行為を前提としてされた当該職員の行為又は怠る事実自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものでなければ,同号の規定 に基づいて損害賠償義務又は不当利得返還義務の履行を求めるよう当該執行機関又は職員に対して求めることはできないものと解するのが相当である(最高裁昭和61年(行ツ)第133号平成4年12月15日第三小法廷判決・民集46巻9号2753頁,最高裁平成12年(行ツ)第369号,同年(行ヒ)第352号同15年1月17日第二小法廷判決・民集57巻1号1頁参照)。 (2)ア本件において,原告らは,第1に,日野市が本件事業のために負担する債務及び日野市が本件事業のために本件組合に支出する負担金は膨大な金額に上るが,日野市がそのような債務を負担し,本件組合に負担金を支出することによって,日野市の財政を圧迫するばかりか,日野市が環境基本条例に基づいて策定した環境基本計画における大きな柱である「ごみゼロプラン」を始めとするごみの 債務を負担し,本件組合に負担金を支出することによって,日野市の財政を圧迫するばかりか,日野市が環境基本条例に基づいて策定した環境基本計画における大きな柱である「ごみゼロプラン」を始めとするごみの抑制策及びその他の施策を圧迫しかねないから,日野市は,α処分場の延命化を図るという目的を達成するために,本件事業を営む本件施設の導入のみならず種々の方法を検討すべきであったにもかかわらず,本件施設の導入以外の他の方法を検討することなく,本件組合に指示されるがままに本件施設の導入をそのまま受け入れ,本件事業に係る負担金を支出し,又は支出しようとしていることを理由に,本件支出等がいずれも地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に違反して違法である旨主張する(以下,この主張を「本件主張1」という。)。 イ(ア)地方財政法4条1項は,「地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最小の限度をこえて,これを支出してはならない。」と規定するが,地方公共団体の経費は,同法3条1項の規定に基 づき,「法令の定めるところに従い,且つ,合理的な基準により」「算定」され,予算に計上されるところ,本来歳出予算は執行機関に支払を可能ならしめ,かつ,支出の最高限度額として執行機関を拘束するものであって,支出額自体を定めるものではないことから,同法4条1項は,予算の執行において,執行機関による支出額自体を個々の経費の支出目的を達成するための必要かつ最小の限度にとどめるよう執行機関を拘束する趣旨で設けられた規定であり,したがって,執行機関は,同項の規定に基づき,歳出予算に計上された個々の経費の執行に当たって,個々の具体的な事情に基づいて最も少ない額をもって当該経費の支出目的を達成するように努める義務を負うものと解するのが相当である。 そうすると,執行機関 歳出予算に計上された個々の経費の執行に当たって,個々の具体的な事情に基づいて最も少ない額をもって当該経費の支出目的を達成するように努める義務を負うものと解するのが相当である。 そうすると,執行機関がした財務会計上の行為が同項に違反して違法であるというのは,執行機関が,歳出予算に計上された個々の経費の執行に当たって,個々の具体的な事情に基づいて最も少ない額をもって当該経費の支出目的を達成するように努める義務に違反して財務会計上の行為をしたことを指すことになる。 (イ)しかし,本件主張1は,前記アのとおりであるから,本件主張1のうち,本件支出等がいずれも地方財政法4条1項に違反して違法である旨の部分(以下「本件主張1-1」という。)は,日野市長が,平成14年度日野市一般会計予算に計上された平成14年度負担金及び平成15年度日野市一般会計予算に計上された平成15年度負担金の各執行に当たって,個々の具体的な事情に基づいて最も少ない額をもって当該経費の支出目的を達成するように努める義務に違反して支出負担行為等を した旨の主張としてされたものであると解することができないことは明らかである。そうすると,本件主張1-1は,本件支出等が地方財政法4条1項に違反して違法である旨主張するものの,地方財政法4条1項に違反する点を全く明らかにしていないわけであるから,本件主張1-1は,地方財政法4条1項に違反する点を全く明らかにしていないという点において,主張自体失当であるといわざるを得ない。 (ウ)以上によれば,本件主張1-1は,主張自体失当である。 ウ(ア)また,本件主張1のうち,本件支出等がいずれも地方自治法2条14項に違反して違法である旨の部分(以下「本件主張1-2」という。)は,要するに,日野市長がα処分場の延命化を図るという目的を達成す )また,本件主張1のうち,本件支出等がいずれも地方自治法2条14項に違反して違法である旨の部分(以下「本件主張1-2」という。)は,要するに,日野市長がα処分場の延命化を図るという目的を達成するために採り得る種々の政策のうち本件事業を営む本件施設の導入を選択したことが,日野市の財政を圧迫するばかりか,日野市が環境基本条例に基づいて策定した環境基本計画における大きな柱である「ごみゼロプラン」を始めとするごみの抑制策及びその他の施策を圧迫しかねないにもかかわらず,本件施設の導入以外の他の方法を検討することなく,本件組合に指示されるがままに本件施設の導入をそのまま受け入れたという点において,同項に違反して違法であるから,本件支出等はいずれも同項に違反して違法であるというものであると解することができる。 (イ)前記認定事実によると,平成8,9年,多摩地域ではごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策を展開するとともに,焼却灰を資源化し,α処分場の延命を図ることが最大の課題であり,急務とな っていたこと,東京都清掃局は,多摩地域の全31市町村に対し,同9年7月,多摩地域の全市町村が共同で焼却灰全量の資源化を図るため,多摩地域にエコセメント工場を建設することを提案し,多摩地域の全31市町村が設置した本件推進会議は,エコセメント技術の導入について検討し,同10年2月,多摩地域の広域的な焼却残さの処理(資源化)の技術として,エコセメント化技術を有力な選択肢の1つとして早期に導入の方向性を決定する必要があり,より具体的な検討に着手すべきである旨の検討結果を出し,本件組合がその具体的な検討を担当することになったこと,本件組合は,同年8月,プロジェクト・チームを設置して,エコセメント化施設を導入するための本件導入基本計画について検討 ある旨の検討結果を出し,本件組合がその具体的な検討を担当することになったこと,本件組合は,同年8月,プロジェクト・チームを設置して,エコセメント化施設を導入するための本件導入基本計画について検討を開始し,同11年2月,多摩地域の最終処分場であるα処分場に埋立処分されている廃棄物のうち全埋立容量の約6割を占めている焼却残さを資源化することによってα処分場の延命を図ることを主たる目的とする本件導入基本計画を策定したこと,本件推進会議は,同月,焼却残さのエコセメント化を多摩地域の全市町村で取り組んでいくことを再確認したこと,日野市長は,同年3月,エコセメント事業を実施するために必要な本件規約の一部改正案を日野市議会に提出し,同議会は,同月,これを可決し,本件組合を組織する日野市以外の本件組織団体の長も,日野市長と同様にエコセメント事業を実施するために必要な本件規約の一部改正案を議会に提出し,議会がこれを可決したので,本件組合は,同月ころ,本件組織団体の協議により本件規約の一部を改正し,本件組合が処理すべき事務として,新たに一般廃棄物の焼却残さ等の処理を広 域的に行う事業に関する事務を加え,東京都知事は,同年6月11日,上記改正を認可したこと,本件組合は,P4等共同企業体との間で,同14年10月31日,エコセメント化施設のための用地造成工事請負契約を締結し,同15年2月,α処分場の敷地内においてエコセメント化施設の建設のための用地造成工事を開始し,同年7月,P9等共同企業体との間でエコセメント化施設の建築工事請負契約を,P10との間で運営業務委託契約を,それぞれ締結し,同16年1月,α処分場内においてエコセメント化施設の建設を開始し,本件施設は,同18年3月,しゅん工し,同年7月1日から稼働を始めたことが認められる。 上記事実による 務委託契約を,それぞれ締結し,同16年1月,α処分場内においてエコセメント化施設の建設を開始し,本件施設は,同18年3月,しゅん工し,同年7月1日から稼働を始めたことが認められる。 上記事実によると,エコセメント化施設として本件施設を設置したのは日野市ではなく,一部事務組合である本件組合であるが,本件組合が本件施設を設置したのは,多摩地域の全31市町村が設置した本件推進会議が同11年2月にα処分場の延命化を図るという目的を達成するために焼却残さのエコセメント化を多摩地域の全市町村で取り組んでいくことを再確認したことを受けて,日野市長が同年3月にエコセメント事業を実施するために必要な本件規約の一部改正案を日野市議会に提出し,同議会が同月にこれを可決し,本件組合を組織する日野市以外の本件組織団体の長も,日野市長と同様にエコセメント事業を実施するために必要な本件規約の一部改正案を議会に提出し,議会がこれを可決したので,本件組合が同月ころに本件組織団体の協議により本件規約の一部を改正し,本件組合が処理すべき事務として,新たに一般廃棄物の焼却残さ等の処理を広域的に行う事業に関する事務を加えたことに基づくのである から,本件組合が本件施設を設置したことの一因として,日野市長が遅くとも同年2月までにα処分場の延命化を図るという目的を達成するためにエコセメント化施設を導入するという政策を選択したことがあったということができる。そうすると,日野市が本件監査請求前1年間に本件組合に対して負担金として支出した金員に本件事業に係る分が含まれることとなり,また,日野市が本件監査請求後に本件組合に対して負担金として支出する金員に本件事業に係る分が含まれることとなるのは,日野市長が遅くとも同年2月までにα処分場の延命化を図るという目的を達成するためにエコ ,日野市が本件監査請求後に本件組合に対して負担金として支出する金員に本件事業に係る分が含まれることとなるのは,日野市長が遅くとも同年2月までにα処分場の延命化を図るという目的を達成するためにエコセメント化施設を導入するという政策を選択をしたことを受けて,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を導入することを決定したことによって,本件事業に係る分が本件組織団体の負担金に上乗せされたことによるということができる。 ところで,①一般廃棄物の焼却残さ等の処理は,普通地方公共団体の自治事務(地方自治法2条8項)の1つであるが,同法138条の2は,「普通地方公共団体の執行機関は,…(略)…法令,規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を,自らの判断と責任において,誠実に管理し及び執行する義務を負う。」と規定していること,及び②一般廃棄物の焼却残さ等の処理という事務の性質上,それを具体的にどのような方法によって処理するかの判断を当該普通地方公共団体の長の裁量にゆだねるのでなければ,到底適切な事務処理を期待することができないものというべきであることにかんがみれば,普通地方公共団体の長には一般廃棄物の焼却残さ等の処理という事務の執行に当たって広範な 裁量権があるものと認められるから,当該普通地方公共団体の長にその事務の執行において裁量権の逸脱又は濫用があると認められる場合に限り,その事務の執行は違法となり,その場合には,その事務の執行を原因としてされた財務会計上の行為又はその事務の執行を前提にされた財務会計上の行為も,財務会計法規に違反して違法となると解するのが相当である(最高裁昭和46年(行ツ)第69号同52年7月13日大法廷判決・民集31巻4号533頁,最高裁昭和55年(行ツ)第84号同60年9月12日第一小法 計法規に違反して違法となると解するのが相当である(最高裁昭和46年(行ツ)第69号同52年7月13日大法廷判決・民集31巻4号533頁,最高裁昭和55年(行ツ)第84号同60年9月12日第一小法廷判決・判例時報1171号62頁参照)。 そうすると,日野市長が遅くとも平成11年2月までにα処分場の延命化を図るという目的を達成するためにエコセメント化施設を導入するという政策を選択をしたことが,「ごみゼロプラン」を始めとするごみの抑制策及びその他の施策を圧迫しかねないにもかかわらず,エコセメント化施設の導入以外の他の方法を検討することなく,本件組合に指示されるがままにエコセメント化施設の導入をそのまま受け入れたという点において地方自治法2条14項に違反して違法であることを理由に,本件支出等がいずれも地方自治法2条14項に違反して違法であるということができるのは,日野市長がした上記選択が日野市長に付与された裁量権を逸脱し,又は濫用したものと認められる場合に限られることになる。 (ウ)そこで,日野市長がしたエコセメント化施設の導入という政策の選択が日野市長に付与された裁量権を逸脱し,又は濫用したものと認められるか否かについて検討する。なお,原告らは,本件主張1-2におい て,平成11年2月より後になって発生した事実に基づいて主張する部分があるが,日野市長がした上記選択が日野市長に付与された裁量権を逸脱し,又は濫用した場合に当たるか否かは,日野市長がα処分場の延命化を図るという目的を達成するためにエコセメント化施設を導入するという政策を選択をした,遅くとも同月までの時点を基準として判断すべきであるから,本件主張1-2において同月より後になって発生した事実に基づいて主張する部分は,いずれも主張自体失当といわざるを得ない。したがって,日野 た,遅くとも同月までの時点を基準として判断すべきであるから,本件主張1-2において同月より後になって発生した事実に基づいて主張する部分は,いずれも主張自体失当といわざるを得ない。したがって,日野市長がした上記選択が日野市長に付与された裁量権を逸脱し,又は濫用した場合に当たるか否かの判断に当たっては,本件主張1-2において同月より後になって発生した事実に基づいて主張する部分はしんしゃくしないこととする。 前記認定事実によると,日野市が本件事業のために負担する債務及び日野市が本件事業のために本件組合に支出する負担金はかなりの金額に上ることが予想され,また,日野市がそのような債務を負担し,本件組合に負担金を支出することによって,日野市の財政を圧迫することが懸念されるということができる。そして,証拠(甲28)及び弁論の全趣旨によると,日野市長がα処分場の延命化を図るという目的を達成するための政策としてエコセメント化施設の導入を選択した,遅くとも同月までの時点では,エコセメント化施設の開設及び運営に要する費用の具体的な積算はされていなかったものの,日野市は,エコセメント化施設の導入によって日野市がかなりの財政的な負担をしなければならないことや日野市の財政を圧迫する懸念があることを承知していたことを認め ることができる。 しかし,①前記認定事実のとおり,同8,9年には,現状のまま埋立処分を続けていくと,α処分場は,平成24年度には満杯となるので,新たな最終処分場が必要となるが,多摩地域では,土地の高密度利用化が進み,地域住民の自然環境保全の意識が強まってきつつあるという状況があり,今後焼却灰を埋め立てるとしても,多摩地域に新たな最終処分場を建設する用地を確保することは極めて困難な状況にあることから,ごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサ 強まってきつつあるという状況があり,今後焼却灰を埋め立てるとしても,多摩地域に新たな最終処分場を建設する用地を確保することは極めて困難な状況にあることから,ごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策を展開するとともに,焼却灰を資源化し,α処分場の延命を図ることが最大の課題であり,急務となっていたこと,②前記認定事実のほか,証拠(乙6)によると,本件組合が平成11年2月に策定した本件導入基本計画において,多摩地域の最終処分場に埋立処分されている廃棄物のうち全埋立容量の約6割を占めている焼却残さを資源化することによってα処分場の延命を図ることが可能であるとの見通しが示されたことが認められ,③前記認定事実のとおり,多摩地域の最終処分量が同10年から同14年にかけて漸次減少しつつあり,また,α処分場の同15年の埋立実績は同14年と比べて減少しているものの,これは,前記①においてごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策を展開することとした結果であるとも考えられ,これをもってα処分場の延命を図るためにエコセメント事業を採用する必要はなかったということはできないこと,④証拠(甲19の1及び2,20の1及び2,21,22)及び弁論の全趣旨によると,ごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策と して,(i)分別収集の徹底によるごみの資源化,(ii)生ごみをたい肥化し,そのたい肥を使った有機野菜を市民が食べるという地域内資源循環を目指す山形県長井市の「レインボープラン」,(iii)平成14年度において32.9%の総資源率を平成19年度までに60%にするというごみ減量計画を立てることなどに取り組んでいるP16組合の例,(iv)生ごみのバイオガス化の実証実験に取り組んでいる横須賀市の例,(v)デポジット制による回収,家庭 19年度までに60%にするというごみ減量計画を立てることなどに取り組んでいるP16組合の例,(iv)生ごみのバイオガス化の実証実験に取り組んでいる横須賀市の例,(v)デポジット制による回収,家庭ごみの過半を占める生ごみの回収及びたい肥化事業,ローコスト・ローテク(既存技術)による処理などによって,平成7年から同12年までの5年間にごみ量の半減に成功しているカナダのノバスコシア州の例,(vi)プラスチックの再資源化があることが認められるが,本件全証拠を精査しても,上記(i)から(vi)までの全部又は一部が,本件推進会議が焼却残さのエコセメント化を多摩地域の全市町村で取り組んでいくことを再確認した同11年2月当時において,α処分場の延命を図るためにエコセメント事業に代えて採用すべき適当な方策であったことを認めることはできないのであり,また,本件全証拠を精査しても,本件推進会議が焼却残さのエコセメント化を多摩地域の全市町村で取り組んでいくことを再確認した同月当時において,α処分場の延命を図るためにエコセメント事業に代えて採用すべき適当な方策が他にあったことを認めることはできないこと,⑤前記認定事実のとおり,日野市では,同元年からは資源回収を,同6年からは生ごみ堆肥化容器の補助及びリサイクル事業等を,それぞれ施策化してきたが,多摩地域の各市がごみの排出量を減量していく中で,平成11年度には日野市の不 燃ごみの量が多摩地域の全31市町村の中で最悪という結果になっていることからすると,本件推進会議が焼却残さのエコセメント化を多摩地域の全市町村で取り組んでいくことを再確認した平成11年2月当時において,ごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策に対する日野市の取組は不十分であったというべきであるが,本件全証拠を精査しても,日野市 取り組んでいくことを再確認した平成11年2月当時において,ごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策に対する日野市の取組は不十分であったというべきであるが,本件全証拠を精査しても,日野市がその当時にごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策に対する十分な取組をしていれば,α処分場の延命を図るためにエコセメント化施設の導入という政策を選択する必要はなかったと認めることはできないこと,⑥前記認定事実のほか,証拠(甲28,29)によると,日野市長が遅くとも同月までにα処分場の延命化を図るという目的を達成するためにエコセメント化施設を導入するという政策を選択をした際に,エコセメント化施設の導入以外の他の方法を十分に検討していないまま,本件組合が同月に策定した本件導入基本計画をそのまま受け入れたことが認められるものの,前示のとおり,同月の時点において,α処分場の延命を図るためにエコセメント事業に代えて採用すべき適当な方策が他にあったことを認めることはできず,また,日野市がその当時にごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策に対する十分な取組をしていれば,α処分場の延命を図るためにエコセメント化施設の導入という政策を選択する必要はなかったと認めることはできないことを総合すれば,日野市長が,遅くとも同月までに,エコセメント化施設の導入による日野市の財政的な負担に関する予想や懸念を承知した上で,本件組合が同月に策定した本件導入基本計画をその まま受け入れて,α処分場の延命を図る目的で焼却灰を資源化するためのエコセメント化施設の導入という政策を選択したことが,日野市長に付与された裁量権を逸脱し,又は濫用した場合に当たると認めることはできない。 そうすると,日野市長が遅くとも同月までにα処分場の延命化を図るという目的を の導入という政策を選択したことが,日野市長に付与された裁量権を逸脱し,又は濫用した場合に当たると認めることはできない。 そうすると,日野市長が遅くとも同月までにα処分場の延命化を図るという目的を達成するためにエコセメント化施設を導入するという政策を選択をしたことが,「ごみゼロプラン」を始めとするごみの抑制策及びその他の施策を圧迫しかねないにもかかわらず,エコセメント化施設の導入以外の他の方法を十分に検討することなく,本件組合に指示されるがままにエコセメント化施設の導入をそのまま受け入れたという点において地方自治法2条14項に違反して違法であるということはできないから,その違法を理由に,本件支出等がいずれも地方自治法2条14項に違反して違法であるということもできない。 (エ)以上によれば,本件主張1-2は,理由がない。 (3)ア本件において,原告らは,第2に,本件施設が適法かつ合理性を有するものでなければならないことは地方自治法及び地方財政法の趣旨から当然であるところ,①エコセメントは,いわばごみであり,再資源化という点からみておよそ役に立たないものであり,本件施設は,従来廃棄物処分場に埋め立てていた焼却灰をエネルギーと鉱物という貴重な資源を消費し,かつ,多大な費用をかけて固形のごみに転換させるだけの施設であり,循環型社会形成推進基本法に逆行し,ごみゼロ社会を目指すという方向性に真っ向から反する施設であり,②仮に,エコセメントに何らかの使い道が あり,かつ,その利用を何らかの形で強制することができたとしても,その製造の過程における費用支出や環境負荷に見合うものではないことを理由に,本件施設が違法かつ合理性のない施設であることは明らかであるから,本件支出等がいずれも地方自治法及び地方財政法の趣旨に違反して違法である旨主張する( 支出や環境負荷に見合うものではないことを理由に,本件施設が違法かつ合理性のない施設であることは明らかであるから,本件支出等がいずれも地方自治法及び地方財政法の趣旨に違反して違法である旨主張する(以下,この主張を「本件主張2」という。)。 イ(ア)前示のとおり,エコセメント化施設として本件施設を設置したのは,日野市ではなく,一部事務組合である本件組合であり,本件施設の概要及び本件施設において営む本件事業の内容を決定したのは,日野市ではなく,本件組合である。そうすると,本件主張2は,要するに,①一部事務組合である本件組合が設置することを決めた本件施設が,従来廃棄物処分場に埋め立てていた焼却灰をエネルギーと鉱物という貴重な資源を消費し,かつ,多大な費用をかけて,再資源化という点からみておよそ役に立たないエコセメントという固形のごみに転換させるだけの施設であり,循環型社会形成推進基本法に逆行し,ごみゼロ社会を目指すという方向性に真っ向から反する施設であるという点,及び②本件施設において製造されるエコセメントがその製造の過程における費用支出や環境負荷に見合うものではないという点において,本件施設は違法でありかつ合理性を欠く施設として地方自治法及び地方財政法の趣旨に違反して違法であり,したがって,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したことが違法であるから,本件支出等がいずれも財務会計法規に違反して違法である旨の主張であると解することができる。 (イ)一部事務組合は,複数の地方公共団体がその事務の一部を共同で処理するために設立される地方自治法上の特別地方公共団体である(同法284条1項,2項,1条の3第3項)が,①一部事務組合が成立すると,それによって共同処理するものとされた事務は,一部事務組 共同で処理するために設立される地方自治法上の特別地方公共団体である(同法284条1項,2項,1条の3第3項)が,①一部事務組合が成立すると,それによって共同処理するものとされた事務は,一部事務組合を組織する地方公共団体の権能から除外され,当該地方公共団体は,その事務を一部事務組合に引き継がなければならず,一部事務組合の成立によって当該地方公共団体についてその執行機関の権限に属する事項がなくなったときは,その執行機関は一部事務組合の成立と同時に消滅し(同法284条2項),一部事務組合の権能に属することとなった事務に関する当該地方公共団体の条例又は規則は,一部事務組合の成立によって当然には消滅するものではないものの,一部事務組合の権能に属することとなった範囲ではその効力を発揮する余地がないことになる。また,②一部事務組合には執行機関として管理者又はこれに代わる理事会が置かれ,一部事務組合を代表する管理者の選任方法,管理者に代えて理事会を置くこと等は,当該一部事務組合の規約に定めるべきものとされている(同法287条1項6号,2項)が,証拠(乙1)によると,本件規約10条は,本件組合には管理者1名及び副管理者3名を置き,管理者及び副管理者は本件組織団体の長から互選し,管理者及び副管理者の任期は本件組織団体の長の任期により,管理者及び副管理者が本件組織団体の長の職を失ったときはその職を失う旨定め,本件規約11条は,本件組合には本件組織団体の長をもって構成する理事会が置かれ,理事会は組合議会に提案すべき議案その他本件組合の運営にかかわる基本的 事項について審議する旨定めていることが認められる。また,③一部事務組合には意思決定機関として組合議会が置かれ,組合議会の議員の定数,任期,被選挙資格,選挙の方法,議長及び副議長に関すること等は, 事項について審議する旨定めていることが認められる。また,③一部事務組合には意思決定機関として組合議会が置かれ,組合議会の議員の定数,任期,被選挙資格,選挙の方法,議長及び副議長に関すること等は,当該一部事務組合の規約に定めるべきものとされている(同法287条1項5号)が,証拠(乙1)によると,本件規約5条から7条までは,本件組合には26名の議員から成る組合議会を置き,議員は本件組織団体の議員のうちから各1名ずつ選出され,議員の任期は本件組織団体の議会の議員の任期により,議員が本件組織団体の議員の職を失ったときはその職を失う旨定めていることが認められる。また,④一部事務組合の経費の支弁の方法,すなわち,その経費を当該地方公共団体に分賦するか否か,分賦するとすればその割合,組合財産の収入で経費を支弁するか等は,当該一部事務組合の規約に定めるべきものとされている(同法287条1項7号)が,証拠(乙1)によると,本件規約15条は,本件組合の経費は本件組織団体の負担金その他の収入をもって支弁し,負担金は本件組合の組合議会の議決を経て定める旨定めていることが認められる。そして,一部事務組合の経費の分賦に関し,違法又は錯誤があると認めるときは,当該地方公共団体は経費の分賦の告知を受けた日から30日以内に当該一部事務組合の管理者等に異議を申し出ることができ(同法291条1項),当該管理者等は,一部事務組合の組合議会に諮問し,その意見を踏まえて異議の申出について決定しなければならない(同条2項,3項)ものとされている。また,⑤一部事務組合の組合議会が,(i)条例を設け,若しくは改廃する議決,(ii)予算を定める議 決,(iii)決算を認定する議決,又は(iv)その他重要な事件として一部事務組合の規約で定める事件に関する議決をしようとする場合 (i)条例を設け,若しくは改廃する議決,(ii)予算を定める議 決,(iii)決算を認定する議決,又は(iv)その他重要な事件として一部事務組合の規約で定める事件に関する議決をしようとする場合には,その管理者又は理事会は,あらかじめその旨を当該地方公共団体の長に通知しなければならず,一部事務組合の組合議会が上記(i)から(iv)までの議決をした場合には,その管理者又は理事会は,その旨を当該地方公共団体の長に通知しなければならない(同法287条の3,地方自治法施行令211条の2)ものとされている。また,⑥一部事務組合を組織する地方公共団体の当該一部事務組合からの脱退は,当該一部事務組合を組織する地方公共団体の議会の議決を経た上で行われる当該地方公共団体の協議が整い,かつ,都道府県知事の許可がされた場合に行われる(地方自治法286条1項,290条)が,協議が整わない場合には,当該地方公共団体は脱退することができず,これに関する法律上の救済方法はない。さらに,⑦一部事務組合の解散は,これを組織する地方公共団体の議会の議決を経た上で行われる当該地方公共団体の協議により,総務大臣又は都道府県知事に届け出ることによって行われ(同法288条,290条),解散の要件を定めた規定はなく,当該一部事務組合又はこれを組織する地方公共団体の自発的な意思に基づいて行われる。一部事務組合が解散すれば,当該一部事務組合の事務は,当該一部事務組合を組織する地方公共団体に引き継がれ,それまで効力を発揮する余地のなかった当該地方公共団体の条例又は規則は効力を発揮し,また,消滅した執行機関も旧に復するから,その選任又は選挙を行わなければならないことになる。 上記①から⑦までを総合すると,地方自治法は,一部事務組合によって共同処理するものとされた事務について ,消滅した執行機関も旧に復するから,その選任又は選挙を行わなければならないことになる。 上記①から⑦までを総合すると,地方自治法は,一部事務組合によって共同処理するものとされた事務については,これを当該一部事務組合の固有の権限とすることにより,当該事務の処理の安定の確保を図るとともに,当該事務の処理のための財源を当該地方公共団体の負担金その他に求めることにより,当該事務の処理のための財政的基盤の確立を期することとし,当該地方公共団体の当該一部事務組合に対するコントロールは,当該一部事務組合の管理者若しくは理事会又は議員を通じてのみ行うものとすることにとどめ,一部事務組合の財務会計上の事務の全部又は一部に限って地方公共団体の長の権限とすることなどによって,一部事務組合の財政的側面を地方公共団体の一般財政の一環として位置付け,地方公共団体の財政全般の総合的運営の中で一部事務組合の財政的基盤の確立を期することとはしていないものと解することができる。 以上のような一部事務組合とこれを組織する地方公共団体との権限の配分関係及び本件規約の内容にかんがみると,一部事務組合である本件組合がした事務の執行については,本件組合の組織団体である地方公共団体の長は,上記事務の執行が著しく合理性を欠き,そのため上記事務の執行のために必要な財務会計上の措置に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する場合でない限り,上記事務の執行を尊重しその内容に応じた財務会計上の措置を採るべき義務があり,これを拒むことは許されないものと解するのが相当である(前掲最高裁平成4年12月15日第三小法廷判決,最高裁同15年1月17日第二小法廷判決参照)。 (ウ)そこで,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したことが 裁平成4年12月15日第三小法廷判決,最高裁同15年1月17日第二小法廷判決参照)。 (ウ)そこで,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したことが著しく合理性を欠き,そのため上記事務の執行のために必要な財務会計上の措置に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存すると認められるか否かについて検討する。 a前記認定事実のとおり,エコセメントクリンカーの原料に用いられる都市ごみの焼却残さ及び下水汚泥には,重金属類及び有機化合物であるダイオキシン類を含むことがあり,重金属類である鉛,銅,カドミウム,水銀などの大部分は,1300度以上の焼成工程で塩化物の形態でセメントクリンカーから分離され,冷却されて,アルカリ塩化物と共にダストとしてバグフィルタで回収されるので,エコセメントに含まれる重金属類は減少するものの,エコセメント中には重金属類が残存する。 また,前記認定事実のとおり,エコセメントは,ポルトランドセメントより塩素分が高いので,鉄筋コンクリートとして使用した場合には,鉄筋の腐食が進み,コンクリートが劣化するおそれがあり,他方,成分調整をして塩素分を除去すると,アルカリ化が起こってアルカリ骨材反応が起こるおそれがあるので,無筋の2次製品(セメントボード,ブロック等)や固化材(土壌改良材)等にしか使用することができず,用途が限られている上,多摩地域で生産されるエコセメント量は年間16万トン(低塩素型)から19万トン(標準型)であると試算されているのに対し,関東地区における無筋系用途のセメントの販 売量は年間約300万トンと推計されていることから,今後,本件組合の発注の工事にエコセメントを使用するとともに,東京都及び多摩地域の市町村の公共工事において積極的にエコセメントを使用 ントの販 売量は年間約300万トンと推計されていることから,今後,本件組合の発注の工事にエコセメントを使用するとともに,東京都及び多摩地域の市町村の公共工事において積極的にエコセメントを使用するべく関係機関と協議し,更なる需要が喚起されるよう取り組んでいくことが求められている。そうすると,多摩地域で生産されるエコセメントの全量を賄うだけの需要を開拓することができないおそれもあり得るものと考えられる。 また,前記認定事実のとおり,エコセメント化施設として本件施設が稼働する前に既に稼働していたのは,P15が市原市内に所有する件外施設のみであり,件外施設は,平成12年以降,千葉県内で発生する一般廃棄物(都市ごみ焼却灰等)及び産業廃棄物(汚泥等)を受け入れてエコセメントを製造しているが,市原市議会議員は,同15年12月に開かれた市原市議会において,件外施設はロータリキルン内の耐火れんがを頻繁に交換しなければならず,そのための設備保全作業がエコセメントの製造原価を圧迫していることや,脱塩素工程や排ガス処理工程において操業前の計画を操業後に変更せざるを得なくなったことなどを指摘しており,また,同16年11月2日には,件外施設において,除害施設の要である排ガス処理系の脱硝設備に充てんした活性コークス粉じんが固結したもの約280kgが,煙突から周辺工場の敷地内に飛散するという事故が発生し,その後も断続的に事故が発生しており,そうすると,エコセメント化施設には技術的に未熟な部分がないではないものと考えられる。 また,前示のとおり,日野市長がα処分場の延命化を図るという目的を達成するための政策としてエコセメント化施設の導入を選択した,遅くとも同11年2月までの時点では,エコセメント化施設の開設及び運営に要する費用の具体的な積算はされてい 分場の延命化を図るという目的を達成するための政策としてエコセメント化施設の導入を選択した,遅くとも同11年2月までの時点では,エコセメント化施設の開設及び運営に要する費用の具体的な積算はされていなかったというべきである。もっとも,原告らは,本件組合が設置しようとするエコセメント化施設で生産されるエコセメントの販売価格をポルトランドセメントの販売価格に近似するものとするために多額の税金を投入しなければならなくなる旨主張するものの,本件全証拠を精査しても,本件組合が設置しようとするエコセメント化施設で生産されるエコセメントの販売価格をポルトランドセメントの販売価格に近似するものとするために多額の税金を投入しなければならなくなるかという問題が将来起こり得るかということについては,遅くとも同月までの時点では,そのような問題が将来起こり得るか否かを予想し,かつ,検討することができる状況にあったということはできない。 さらに,前記認定事実によると,エコセメント化施設は,その開設及び運営によって,その周辺環境に相応の負荷を与えるものであるということができる。 b他方,前記認定事実のとおり,エコセメント技術は,セメント製造技術を応用して開発された技術であり,平成14年7月20日にJIS規格(JISR5214)として制定されている。 また,前記認定事実のとおり,エコセメント中に残存している重金属類も,焼成によって生成した鉱物の結晶構造に取り込まれることに より溶出が防止され,その結果,将来,エコセメントで造られた構造物を廃棄するときでも,重金属類の溶出が防止される。 また,前示のとおり,本件推進会議が焼却残さのエコセメント化を多摩地域の全市町村で取り組んでいくことを再確認した同11年2月当時において,α処分場の延命を図るためにエコセメント事業 出が防止される。 また,前示のとおり,本件推進会議が焼却残さのエコセメント化を多摩地域の全市町村で取り組んでいくことを再確認した同11年2月当時において,α処分場の延命を図るためにエコセメント事業に代えて採用すべき適当な方策が他にあったことを認めることはできないことからすると,仮に,原告らが主張するように,本件組合が設置しようとするエコセメント化施設で生産されるエコセメントの販売価格をポルトランドセメントの販売価格に近似するものとするために多額の税金を投入しなければならなくなるとしても,その場合に比較検討すべきであるのは,エコセメント化施設の開設及び運営に要する費用とエコセメントの販売価格をポルトランドセメントの販売価格に近似するものとするのに要する税金との合計並びにエコセメント化施設の開設及び運営によってその周辺環境に与える負荷の内容及び程度と,α処分場の延命を図るためにごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策を展開するのに要する費用とα処分場に代わる最終処分場の開設及び運営に要する費用との合計並びにα処分場に代わる最終処分場の開設及び運営によってその周辺環境に与える負荷の内容及び程度とであるが,本件全証拠を精査しても,後者の方が前者よりもはるかに低廉であり,周辺環境に与える負荷もはるかに少ないことを認めるに足りる証拠はない。 また,前記認定事実のとおり,同8,9年には,ごみの発生の回避, 抑制,再使用及びリサイクルの施策を展開するとともに,焼却灰を資源化し,最終処分場であるα処分場の延命を図ることが最大の課題であり,急務となっていた。 さらに,前示のとおり,同11年2月の時点において,α処分場の延命を図るためにエコセメント事業に代えて採用すべき適当な方策が他にあったことを認めることはできず,また,日野市がその当 務となっていた。 さらに,前示のとおり,同11年2月の時点において,α処分場の延命を図るためにエコセメント事業に代えて採用すべき適当な方策が他にあったことを認めることはできず,また,日野市がその当時にごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策に対する十分な取組をしていれば,α処分場の延命を図るためにエコセメント化施設の導入という政策を選択する必要はなかったと認めることはできない。 cそうすると,前記aに掲げた点に上記bに掲げた点も加えて総合すると,本件施設が従来廃棄物処分場に埋め立てていた焼却灰をエネルギーと鉱物という貴重な資源を消費し,かつ,多大な費用をかけて,再資源化という点からみておよそ役に立たないエコセメントという固形のごみに転換させるだけの施設であり,循環型社会形成推進基本法に逆行し,ごみゼロ社会を目指すという方向性に真っ向から反する施設であるなどということはできない。 dまた,エコセメントがその製造の過程における費用支出や環境負荷に見合うものであるか否かの点については,①エコセメント中には重金属類が残存すること,②エコセメントの用途が限られていて多摩地域で生産されるエコセメントの全量を賄うだけの需要を開拓することができないおそれもあり得るものと考えられること,③エコセメント化施設の開設及び運営に要する費用の具体的な積算もないままエコセ メント化施設の導入を決定していること,④エコセメント化施設には技術的に未熟な部分がないではないものと考えられること,⑤エコセメント化施設が,その開設及び運営によって,その周辺環境に相応の負荷を与えるものであることを勘案しても,エコセメントがその製造の過程における費用支出や環境負荷に見合うものではないとまでいうことはできない。 eそうすると,①エコセメントは,いわばごみで 相応の負荷を与えるものであることを勘案しても,エコセメントがその製造の過程における費用支出や環境負荷に見合うものではないとまでいうことはできない。 eそうすると,①エコセメントは,いわばごみであり,再資源化という点からみておよそ役に立たないものであり,本件施設は,従来廃棄物処分場に埋め立てていた焼却灰をエネルギーと鉱物という貴重な資源を消費し,かつ,多大な費用をかけて固形のごみに転換させるだけの施設であり,循環型社会形成推進基本法に逆行し,ごみゼロ社会を目指すという方向性に真っ向から反する施設であること,②エコセメントがその製造の過程における費用支出や環境負荷に見合うものではないということを認めることはできないから,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したことが著しく合理性を欠き,そのため上記事務の執行のために必要な財務会計上の措置に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存すると認めることはできない。 そうすると,本件組合が設置することを決めた本件施設が,上記①及び②を理由に違法かつ合理性を欠く施設であるという点において,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したことが違法であるということはできないから,そ の違法を理由に,本件支出等がいずれも財務会計法規に違反して違法であるということはできない。 (エ)以上によれば,本件主張2は,理由がない。 (4)ア本件において,原告らは,第3に,本件事業が,本件施設の建設及び操業によって,本件施設の周辺住民の生命身体の安全,すなわち,身体権的人格権及び平穏生活権的人格権を脅かす違法な事業であることを理由に,本件支出等がいずれも違法である旨主張する(以下,この主張を「本件主張3」という。)。 イ( 民の生命身体の安全,すなわち,身体権的人格権及び平穏生活権的人格権を脅かす違法な事業であることを理由に,本件支出等がいずれも違法である旨主張する(以下,この主張を「本件主張3」という。)。 イ(ア)前示のとおり,エコセメント化施設として本件施設を設置したのは,日野市ではなく,一部事務組合である本件組合であり,本件施設の概要及び本件施設において営む本件事業の内容を決定したのは,日野市ではなく,本件組合である。そうすると,本件主張3は,要するに,一部事務組合である本件組合が設置することを決めた本件施設において営む本件事業が,本件施設の建設及び操業によって,本件施設の周辺住民の生命身体の安全,すなわち,身体権的人格権及び平穏生活権的人格権を脅かす点において,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したことが違法であるから,本件支出等がいずれも財務会計法規に違反して違法である旨の主張であると解することができる。 (イ)そこで,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したことが著しく合理性を欠き,そのため上記事務の執行のために必要な財務会計上の措置に予算執行の適正確保の 見地から看過し得ない瑕疵が存すると認められるか否かについて検討する。 原告らは,①多摩地域25市1町から集めた焼却灰及び飛灰には重金属類,極めて有害性の高い化学物質及びダイオキシン類が大量に含まれており,本件施設は多摩地域25市1町から集めた焼却灰等の全部を原料として投入する予定であるから,大量の重金属類,極めて有害性の高い化学物質及びダイオキシン類が本件施設に持ち込まれることになる,②廃棄物の焼却残さの焼成に至るまでの過程及びその後の過程において,重金属類(例えば,ヒ素,クロム,ニッケル,鉛 類,極めて有害性の高い化学物質及びダイオキシン類が本件施設に持ち込まれることになる,②廃棄物の焼却残さの焼成に至るまでの過程及びその後の過程において,重金属類(例えば,ヒ素,クロム,ニッケル,鉛,カドミウム,アンチモン,マンガン,水銀など),極めて有害性の高い化学物質(塩素化芳香族化合物(ポリ塩化フェノール,塩化ベンゼン及び塩化ナフタリン),脂肪族炭化水素,多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素),ダイオキシン類(PCDDS,PCDFS,CO-PCBS及び臭素化ダイオキシン類(臭素化ダイオキシン,臭素化ジベンゾフラン,臭素化塩素化ダイオキシン及び臭素化塩素化ジベンゾフラン)),窒素化合物及び塩化水素などの有害ガス並びに粉じんなどの粒子状物質(以下,以上を総称して「重金属類等」という。)が飛散し,又は発生するが,重金属類等を除去するために設けられたバグフィルタ,消石灰及び粉末活性炭の吹き込み並びに脱硝装置は,その効果が限局的なもので十分でないので,重金属類等を本件施設の外に全く排出させないようにすることは困難である上,③排ガスを200度にまで急速に冷却してダイオキシン類の再合成を防ごうとしようとしているが,200度ではダイオキシ ン類の再合成を防ぐのに十分ではない,④塩素化芳香族炭化水素,脂肪族炭化水素,多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素,臭素化ダイオキシン類,ヒ素,クロム,鉛,水銀などは,極めて重大な毒性を有するにもかかわらず,法的な排出規制がないので,その排出を抑制されることなく,周辺環境に排出される,⑤本件施設から排出される重金属類等によって本件施設の周辺に住む住民には重大な健康被害が惹起されるおそれが大きい旨主張し,証拠(甲31,32の1及び2,33から43まで,44の1及び2,45から50まで,52 ら排出される重金属類等によって本件施設の周辺に住む住民には重大な健康被害が惹起されるおそれが大きい旨主張し,証拠(甲31,32の1及び2,33から43まで,44の1及び2,45から50まで,52の1から6まで,53から73まで)中には上記主張に沿う部分がある。 しかし,本件施設のプラント設備の概要,本件組合が本件施設において本件事業を実施するに際して行おうとしている公害防止対策,並びに本件施設において本件事業を実施することが環境に及ぼす影響についての予測及び評価は,平成14年7月に策定された本件事業計画及び同15年1月に取りまとめられた環境影響評価において明らかにされたとおりであり,それぞれの内容は,前記認定のとおりであって,それぞれの内容からすると,本件施設の建設及び操業によって,本件施設から人体に有害な窒素酸化物,硫黄酸化物,ばいじん,水銀,ダイオキシン類等(以下,以上を総称して「窒素酸化物等」という。)が排出されるおそれがあり,騒音,振動及び悪臭(以下,以上を総称して「騒音等」という。)が発生することが認められるものの,窒素酸化物等の排出量がそれに被ばく等した本件施設の周辺住民の生命身体に重大な影響を与えるほどの量に上ること,及び騒音等の発生量が本件施設の周辺住民の受忍 限度を超えるほどのものであることを認めることはできない。 また,原告らの主張に沿う上記証拠を加えて検討しても,本件施設の建設及び操業によって,窒素酸化物等も含めて本件施設から人体に有害な重金属類等が排出されるおそれがあり,騒音等が発生することが認められるものの,重金属類等の排出量がそれに被ばく等した本件施設の周辺住民の生命身体に重大な影響を与えるほどの量に上ること,及び騒音等の発生量が本件施設の周辺住民の受忍限度を超えるほどのものであることを認めること 重金属類等の排出量がそれに被ばく等した本件施設の周辺住民の生命身体に重大な影響を与えるほどの量に上ること,及び騒音等の発生量が本件施設の周辺住民の受忍限度を超えるほどのものであることを認めることはできない。 そして,他に,本件施設の建設及び操業によって本件施設から排出される重金属類等の排出量がそれに被ばく等した本件施設の周辺住民の生命身体に重大な影響を与えるほどの量に上ること,及び本件施設の建設及び操業によって発生する騒音等の発生量が本件施設の周辺住民の受忍限度を超えるほどのものであることを認めるに足りる証拠はない。 以上によれば,当審に提出された証拠(なお,上記証拠には,当裁判所が却下した原告らの申請に係る人証も含むが,原告らの申請に係る人証は,その立証趣旨及び尋問事項等に照らし,いずれも上記の点の解明には全く無関係か,又は上記の点の解明のために的確な人証とは認められない。)を前提とする限り,本件施設の建設及び操業によって本件施設の周辺住民の生命身体の安全が脅かされるおそれがあることを認めることはできないから,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したことが著しく合理性を欠き,そのため上記事務の執行のために必要な財務会計上の措置に予算執行の適 正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存すると認めることはできない。 そうすると,本件組合が設置することを決めた本件施設において営む本件事業が,本件施設の建設及び操業によって,本件施設の周辺住民の生命身体の安全,すなわち,身体権的人格権及び平穏生活権的人格権を脅かすという点において,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したことが違法であるということはできないから,その違法を理由に,本件支出等がいずれも財務会計法規 かすという点において,本件組合がエコセメント化施設として本件事業を営む本件施設を設置することを決定したことが違法であるということはできないから,その違法を理由に,本件支出等がいずれも財務会計法規に違反して違法であるということはできない。 (ウ)以上によれば,本件主張3は,理由がない。 (5)以上によれば,本件主張1-1は,主張自体失当であり,本件主張1-2,本件主張2及び本件主張3は,いずれも理由がない。 そして,他に,本件支出等が財務会計法規に違反して違法であることを認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件支出等が違法な公金の支出に当たるということはできない。 結論 以上のとおりであるから,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 杉原則彦裁判長裁判官鈴木正紀裁判官松下貴彦裁判官 別紙1第1争点(1)(本件支出等は,違法な公金の支出に当たるか。)について エコセメントとは,ごみ焼却施設から発生する焼却残さや下水汚泥などを主原料として作られるセメント類似のものをいう。焼却残さとは,焼却灰(廃棄物を焼却した後の残さ物)及び飛灰(集じん機により捕集された排ガスの中のばいじん)を総称したものであるが,様々な化学組成の廃棄物を焼却させた後に残るものであるため,カドミウム,鉛,水銀等の重金属類が濃縮されており,また,廃棄物の焼却過程で生成されるダイオキシン類など毒性の極めて強い有害物質を濃厚に含んでいる。本件施設では,主として焼却残さを主原料として,石灰,鉄原料及び硬化遅延剤としての石こう(硫酸カル ,また,廃棄物の焼却過程で生成されるダイオキシン類など毒性の極めて強い有害物質を濃厚に含んでいる。本件施設では,主として焼却残さを主原料として,石灰,鉄原料及び硬化遅延剤としての石こう(硫酸カルシウム)を成分調整の目的で混和してエコセメントを製造する。 本件施設の概要等は,次のとおりである。 (1)本件施設の主要諸元及び構成の概要は,本件組合が作成した平成14年7月付け「環境影響評価書案」によると,次のとおりである。 ア本件施設の主要諸元(ア)焼却残さ等の処理能力は,1日当たり約330トンである。 (イ)エコセメントの生産能力は,1日当たり約520トン(ただし,平成15年の本件組合ニュースでは1日当たり平均430トン)である。 (ウ)運転計画は,24時間連続運転であり,年間310日稼働する予定である。 (エ)排ガス処理は,排ガス冷却設備,ろ過式集じん機(バグフィルタともいう。),触媒脱硝塔(アンモニアを吹き込んで塔内で触媒により反 応を促進させて窒素酸化物を分解して窒素酸化物を除去する施設)及び活性コークス塔(硫黄酸化物を除去し,また,アンモニアを添加することによって窒素酸化物を除去するとともに,ダイオキシン類及び水銀を除去する施設)により行う。 (オ)煙突は,2本で,いずれも高さ59.5mの内筒鋼製煙突であり,1本が焼成系で,煙突内径が1.96mであり,1本が乾燥系で,煙突内径が0.96mである。 (カ)重金属の回収は,焼却灰を処理し,金属産物として1日当たり約9トン(ただし,水分を含む。)を回収する。 イ本件施設の構成の概要本件施設のフローシートは,受入れ,前処理(乾燥,破砕,選別,粉砕,貯留等),クリンカ焼成(ロータリキルンによる高温処理),仕上げ(クリンカ粉砕,石こう添加等),排ガス処理(冷却塔,バグフ 成の概要本件施設のフローシートは,受入れ,前処理(乾燥,破砕,選別,粉砕,貯留等),クリンカ焼成(ロータリキルンによる高温処理),仕上げ(クリンカ粉砕,石こう添加等),排ガス処理(冷却塔,バグフィルタ等),煙突及び重金属の回収等を行う設備で構成されている。 (2)本件施設の建設計画は,次のとおりである。 ア本件施設を設置するための地盤造成工事は,平成15年2月に着工された。本件組合は,P4等共同企業体との間で,同14年10月31日,代金12億9150万円として地盤造成工事を請け負った。 イ本件施設の建設工事は,平成16年1月に着工された。本件組合は,P9等共同企業体との間で,同15年7月31日,代金258億9000万円(ただし,消費税を除く。)とする「多摩地域廃棄物エコセメント化施設整備運営事業に係わる施設建設請負契約」を締結した。P8株式会社 (以下「P8」という。)は,民間企業として国内で唯一エコセメント化施設(千葉県市原市内に所在)を所有し運営する会社であり,P9は,焼却炉建設メーカーである。 ウ本件組合には本件施設を運営する能力がなく,そのためP10との間で,期間20年間,代金504億7910万円として施設運営の業務委託契約を締結している。同社は,本件施設の運営を目的として設立された会社である。 (3)本件事業のために支出する費用は,次のとおりである。 ア本件施設の地盤造成工事代金は,12億9150万円である。 イ本件施設の建設工事代金は,258億9000万円(ただし,消費税を除く。)であり,本件施設の建設に伴う上下水道整備工事及び電力関係工事の代金は,約27億円と試算されている。 ウ本件施設の運営費は,運営期間20年間として,504億7910円である。 エ本件施設の修繕費及び大型修繕年積立金は,年間約5.6 整備工事及び電力関係工事の代金は,約27億円と試算されている。 ウ本件施設の運営費は,運営期間20年間として,504億7910円である。 エ本件施設の修繕費及び大型修繕年積立金は,年間約5.6億円と試算されている。 オ本件施設が稼働を開始してから20年間の以上の費用の合計は,消費税込みで約960億円と試算され,本件組合が起債した地方債の利息が24億円から50億円としてこれを加算すると,1000億円を超える費用が必要と試算される。 (4)本件施設の焼却残さ等の1日当たりの処理能力及び運転計画は,今後発生する焼却灰の量から割り出されており,20年間の焼却灰の総量を計算する と,次式のとおり,330(t) × 310(日) × 20(年)=2,046,000(t)204万6000トンとなり,これで総費用1000億円を除すと,1トン当たり4万8875円となる。本件事業を実施すると,焼却費用に更に焼却灰1トン当たり4万8875円の費用が上乗せされることになるが,管理型廃棄物処理場での処理費用が1トン当たり約3万円であることを考えると,上記費用は,高額である。その上,上記費用は,本件施設の稼働開始から20年間多摩地域25市1町の焼却灰を本件事業によって処理し,かつ,本件事業の運営の過程で発生する環境破壊や本件事業において製造されたエコセメントの処分による環境負荷を捨象した場合の費用である。 (5)本件施設の建設費の本件組織団体別負担金は,本件組織団体の焼却灰の埋立比率に基づいて算出するものとされており,日野市の負担金は,平成14年度が5178万6000円(埋立比率6.00782%),平成15年度が8127万9000円(埋立比率5.60599%)である。 日野市の本件事業に対する支出は,地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項 78万6000円(埋立比率6.00782%),平成15年度が8127万9000円(埋立比率5.60599%)である。 日野市の本件事業に対する支出は,地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に違反しているというべきである。その理由は,次のとおりである。 (1)仮に,被告が主張するとおり,最終廃棄物である焼却灰の埋立量を減少させ,埋立地の延命を図るという本件施設の主たる目的を実現することができたとしても,不燃破砕物が年々α処分場の寿命を縮めていくことに変わりはなく,本件施設は,その寿命を縮める進行の度合いを緩めるという限りで,効果があるにすぎない。そうすると,本件施設は,ごみの発生を抑制し,分別収集を徹底して焼却及び埋立てをせずに資源化する方策と同じ意義を有す る施設であるというにすぎず,本件施設が完成しても,焼却し埋め立てるべきごみはなくならないのであり,他方において,ごみの発生を抑制し,分別収集を徹底して焼却及び埋立てをせずに資源化する方策を実現することができれば,本件施設がなくても,α処分場の延命を図ることができる。したがって,焼却及び埋立てをせずに再利用又は再資源化することができる量を増やせるかどうか,そのためにどのくらいのコストが必要であるかを具体的に検討すべきである。 (2)ア多摩地域の最終処分量は,次のとおり,焼却灰及び不燃残さのいずれも減少傾向にある。 焼却灰不燃残さ合計平成10年12.2万t4.2万t16.4万t平成11年11.1万t4.7万t15.8万t平成12年10.9万t4.3万t15.2万t平成13年10.9万t3.3万t14.2万t平成14年11.0万t2.2万t13.2万tイα処分場の埋立実績は,次のとおりである。 焼却灰不燃残さ合計体積換算平 5.2万t平成13年10.9万t3.3万t14.2万t平成14年11.0万t2.2万t13.2万tイα処分場の埋立実績は,次のとおりである。 焼却灰不燃残さ合計体積換算平成14年10.6万t2.1万t12.7万t(13.0万m) 平成15年10.5万t1.7万t12.2万t(11.9万m) ウ以上によると,本件組織団体及び住民のごみ減量及び再資源化の努力によって,確実に埋立量が減少している。 (3)本件事業のために日野市が支出する費用は,次のとおりである。 ア本件事業のために支出する費用は,前述のとおり,1000億円以上であるが,本件施設の建設費272億円のうち補助金を控除した残額が180億円,本件施設の20年間の運営業務委託費及び修繕費が640億円,合計820億円が本件事業のために支出する費用である旨の被告の主張を前提としても,上記820億円には敷地造成などの関連工事費約40億円及び起債利子分が含まれていないから,これを加えると,860億円を上回る金額ということになる(甲17)。 その上,運営業務委託費は,固定費分163億円を除くその余の分が変動費として処理量に応じて変動するとともに,物価変動によっても上昇することとされている(乙16〔16頁〕)。このような場合,運営業務委託費は,当初に計画した額よりも増えるのが常であるが,平成12年4月に策定された本件事業基本計画では740億円とされていたものが,同14年7月に策定された本件実施計画では945億円(ただし,補助金の額を含む。)に増え,実際の契約では,補助金を入れると,その予定額を上回っている。 イ本件事業のために日野市が本件施設の完成後20年間にわたり支出する費用は,上記880億円に平成15年度の埋立率5.6%を乗じて得た約 の契約では,補助金を入れると,その予定額を上回っている。 イ本件事業のために日野市が本件施設の完成後20年間にわたり支出する費用は,上記880億円に平成15年度の埋立率5.6%を乗じて得た約49億円であり,年間に換算すると,約2.4億円であるが,これは,日野市の同年度の最終処分費3.8億円の6割を超える金額であり,ごみの発生の抑制のための費用8500万円の2.7倍にも達する(乙23)。 (4)日野市内において発生するごみの処理量及びその処理費は,次のとおりである。 ア日野市内において平成15年度に発生したごみの総量は,約5万3000トンであり,日野市の人口は,17万人弱であるから,市民1人の1日当たりのごみの排出量は,848gであり,これは,多摩地域の平均よりは低い(乙23)。ごみの総量のうち約7割に相当する3万7000トンが焼却処理され,約4200トンが残灰として処分場に搬入される。そして,家庭で発生するごみのうち約45%が生ごみである(乙24)から,これが焼却されないこととなると,残灰も半分に減ることになる。資源化率は30%であり,処分場の埋立実績は,平成11年度以降減少傾向が続いており,平成15年度で焼却残灰が4200トン,破砕不燃が900トンという状態である(乙23)。 イ日野市内において発生したごみの処理費は,大ざっぱに把握すると,次のとおりである(乙23)。 発生抑制収集運搬中間処理最終処分合計費(円)費(円)費(円)費(円)(円)平成13年7800万11億6900万9億5300万4億8900万27億0900万平成14年8600万11億9100万9億0200万4億3400万26億1300万平成15年8600万11億6800万8億8600万3億8300万25億23 0万27億0900万平成14年8600万11億9100万9億0200万4億3400万26億1300万平成15年8600万11億6800万8億8600万3億8300万25億2300万最終処分費の7,8割が本件組合の負担金であり,また,本件施設は廃棄物が焼却灰となることを前提にするものであることからすると,日野市内において発生したごみの処理費のうち,中間処理費及び最終処分費の半分以上が焼却による処理に起因して発生する費用である。収集運搬費が高いのは,資源ごみの回収量の増加や容器包装サイクル法による回収におけ る自治体の負担が大きいことによる(乙24)。 ウ以上によると,日野市内において平成15年度に発生したごみの総量を処理する費用は,資源化も含めて,1トン当たり4万8000円にすぎないが,本件施設において焼却灰を処理する費用は,焼却灰1トン当たり平均5万7000円である。そして,日野市は,本件施設の操業開始後は,同市内において発生したごみの処理費としてそれ以前の倍以上の財政支出を義務付けられることになるのである。したがって,本件施設のために負担金を支出することや債務を負担することは,日野市の財政を圧迫するばかりか,日野市が日野市環境基本条例(平成7年日野市条例第18号。以下「環境基本条例」という。)に基づいて策定した環境基本計画における大きな柱である「ごみゼロプラン」を始めとするごみの抑制策及びその他の施策を圧迫しかねない。 (5)日野市は,次のとおり,本件組合が本件施設を導入するに当たって,本件施設の効果と負担を検討していない。 ア日野市におけるごみ行政の目的は,一般廃棄物の処理であり,その基本方針は,環境基本条例に基づいて策定された環境基本計画における大きな柱である「ごみゼロのまちづくり」である。最終 検討していない。 ア日野市におけるごみ行政の目的は,一般廃棄物の処理であり,その基本方針は,環境基本条例に基づいて策定された環境基本計画における大きな柱である「ごみゼロのまちづくり」である。最終処分場の延命策は,循環型社会形成推進基本法にいう優先順位の低い最後のごみ処理方策であり,その前にリデュース,リユース及びリサイクルを検討しなければならないはずである。 イそして,最終処分場の延命化を図るという行政目的を達成するための方法で他に安価な方法は,次のとおり,複数存在する。 (ア)ごみの収集において分別を徹底すれば,ごみの収集が資源の収集となり,ごみの発生を抑制する結果となる。 (イ)家庭及び事業所から出る生ゴミ,枯れ葉,せん定枝などの有機物を分別収集して生分解してたい肥化又は土壌化を図れば,焼却するごみの量はほぼ半分に減少する。そして,次のとおり,これを実践している自治体の例がある。 a山形県長井市の「レインボープラン」とは,生ごみをたい肥化し,そのたい肥を使った有機野菜を市民が食べるという地域内資源循環を目指す計画であり,平成9年からコンポストセンターが稼働を開始し,5014世帯が年間1500トンの生ごみを出し,もみ殻や畜ふんを混ぜて約600トンのたい肥を作り,農家がそのたい肥を利用して農作物を栽培している。「レインボープラン」の実施によって可燃ごみが33%以上減った旨報告されている(甲19の1及び2)。 b一部事務組合であるP16組合は,平成14年度において39.2%の総資源率を平成19年度までに60%にするというごみ減量計画を立てるとともに,同年度を目標として「生ごみ」と「せん定枝」をすべてたい肥にする「全量たい肥化」を推進し,大規模たい肥化施設だけでなく,家庭用,会社用,地域用及びせん定枝用と,きめ細かく対 計画を立てるとともに,同年度を目標として「生ごみ」と「せん定枝」をすべてたい肥にする「全量たい肥化」を推進し,大規模たい肥化施設だけでなく,家庭用,会社用,地域用及びせん定枝用と,きめ細かく対応している。生ごみたい肥化処理施設「P17」は,大規模たい肥化施設のモデル地区として全世帯の約50%に相当する8600世帯を選定して処理を開始し,平成15年の処理量の予定は166トン,年間1600トンの処理能力を持っている(甲20の1及び2)。 c横須賀市は,生ごみのバイオガス化の実証実験に取り組み,ガス化施設によってクリーンなエネルギーを生成するとともに,生成されたバイオガスでごみ収集車を走らせ,可燃ごみの約37%の減量化に成功している。可燃ごみを大幅に減らすことによって,その分焼却炉を小さくすることができるというメリットがある。新技術ではあるが,燃やすことができるごみを全量焼却した場合と,焼却施設とバイオガス化プラントを組み合わせた場合との経済性及び環境負荷の比較などを行いつつ,実証実験を重ねている(甲21)。 d人口94万人のカナダのノバスコシア州において,埋立地の紛争をきっかけに,市民と市役所が協同で「ごみエミッションプラン」を策定し,ごみを焼却せずに資源として取り扱い,デポジット制による回収,家庭ごみの過半を占める生ごみの回収及びたい肥化事業,ローコスト・ローテク(既存技術)による処理などによって,平成7年から同12年までの5年間にごみ量の半減に成功している。 (ウ)日野市では容器包装リサイクル法に伴う再資源化の検討がいまだされていないため,プラスチックが焼却されているが,再資源化の検討の結果によっては,プラスチックを焼却しないで済むことになる。 ウ上記の方法と本件事業とを比較検討して初めて本件事業に対する支出の合法性 ていないため,プラスチックが焼却されているが,再資源化の検討の結果によっては,プラスチックを焼却しないで済むことになる。 ウ上記の方法と本件事業とを比較検討して初めて本件事業に対する支出の合法性が担保されるにもかかわらず,日野市は,そのような検討を一切行うことなく,また,本件組合に対しそのような検討を指示することなく,本件組合が決定し指示するままに,本件事業に係る負担金を支出し,又は支出しようとしている。したがって,本件事業に対する支出の合法性が担 保されているとはいえない。 エまた,日野市は,焼却工場でごみを焼却することによって発生する焼却灰をそのまま貯蔵した場合のコストの計算すら検討していない。今後20年という歳月が経過する間には,科学技術が進歩して,安全で効率的な処理技術が開発されたり,再資源化の技術やシステムが向上したりすることによって,焼却灰の量が減少していく可能性が十分にあるから,焼却灰をそのまま貯蔵した場合のコストの計算をすることは意味のあることであるにもかかわらず,日野市は,そのような計算すら検討していないのである。 したがって,本件事業に対する支出の合法性が担保されているとはいえない。 (6)以上によれば,本件事業に対する支出は,地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に違反して違法であるというべきである。 本件施設が違法であり,合理性を有しないことは,明らかであるから,日野市の本件事業に対する支出は,地方自治法及び地方財政法の趣旨に照らし違法である。その理由は,次のとおりである。 (1)本件施設は,次のとおり,廃棄物処理政策において社会的有用性がなく何らの効果も有しない施設である。 アエコセメントは,焼却残さというごみからエコセメントというごみへと形を変えるだけの施策である。 (ア)エコセメントは ,廃棄物処理政策において社会的有用性がなく何らの効果も有しない施設である。 アエコセメントは,焼却残さというごみからエコセメントというごみへと形を変えるだけの施策である。 (ア)エコセメントは,次のとおり,いまだ商品としての評価も安全性も耐久性も定まらないごみである。 aエコセメントは,有害物質を含んでいるので,質が悪く,また,焼 却灰という成分の一定しない廃棄物を利用するため,製品としての品質が一定せず,不安定である。 bまた,製品が安全であるというためには,当該製品の使用期間の全期間にわたって,当該製品の安全性についての実証研究がされるべきであるが,エコセメントは,平成5年から同8年まで,通商産業省(現在は経済産業省。以下「通産省」という。)管轄の「新エネルギー・産業技術総合開発機構」の実証研究として開発が行われ,愛知県渥美郡ζに建設した実証プラント(年間2万トン弱の製造能力)で製造技術が確立したとされた。しかし,エコセメントは,1350度という高温を24時間連続して維持したまま焼却灰を処理することにより生産されるものであるが,ロータリキルン(焼却炉)を高温の状態に維持するための耐火れんが,処理の過程で発生する排ガスから有害物質を除去するための除害施設等の維持管理技術が定まっておらず,排ガスを急激に冷却することによってダイオキシンの再合成を防止することは,技術的に解決されておらず,高温維持のためのエネルギーコストや施設の維持管理のための膨大なコストの削減という問題も解決されていないのであり,また,科学者からは,6分の1規模の実証試験だけで,技術が確立したと判断するのは早計である旨の批判がある。したがって,エコセメントは,実証研究が始まったばかりの研究途上の技術であり,10年程度の研究で一応の生産技術が確立されたに 実証試験だけで,技術が確立したと判断するのは早計である旨の批判がある。したがって,エコセメントは,実証研究が始まったばかりの研究途上の技術であり,10年程度の研究で一応の生産技術が確立されたにすぎないのであり,製品としての安定性,安全性又は耐久性が実証されたわけではない。 ところが,山陽新幹線などのコンクリート落下事件などにおいて,ポルトランドセメントを使用したコンクリートには30年,40年といった長期的な安全性の検証が求められていることが示されている。 したがって,エコセメントは,製品としての安定性,安全性又は耐久性が実証されていない以上,ポルトランドセメントのように橋脚や高速道路の主要構造の部分などに使用することはできない。仮に,エコセメントを橋脚や高速道路の主要構造の部分に使用したとしても,その後の補修等に莫大な手間とコストを要することになりかねず,大事故につながる可能性がある。 そのためエコセメントは,コンクリート2次製品にしか利用されていない。実証プラントにおいて製造されたエコセメントは,P15株式会社(以下「P15」という。)が千葉県市原市内に所有するエコセメント化施設(以下「件外施設」という。)の構造物に用いられたが,件外施設は,同11年に建築されたにもかかわらず,同17年には一部にはく離やひび割れが生じている(甲26)。 cまた,エコセメントは,ポルトランドセメントより塩素分が高いので,鉄筋コンクリートとして使用した場合には,鉄筋の腐食が進み,コンクリートが劣化する可能性があり,他方,成分調整をして塩素分を除去すると,アルカリ化が起こって,アルカリ骨材反応が起こる危険をはらんでいる。 dさらに,現在稼働しているエコセメント化施設は,国内ではP8及びP14株式会社(以下「P14」という。)が出資して設立され と,アルカリ化が起こって,アルカリ骨材反応が起こる危険をはらんでいる。 dさらに,現在稼働しているエコセメント化施設は,国内ではP8及びP14株式会社(以下「P14」という。)が出資して設立された P15が千葉県市原市内に所有する件外施設のみであり,件外施設は,千葉県内で発生する一般廃棄物(都市ごみ焼却灰等)及び産業廃棄物(汚泥等)を年間9万トン受け入れて11万トンのエコセメントを製造しているといわれている。 しかし,件外施設は,平成12年から稼働しているものの,エコセメントの技術がいまだ確立していないため,次のとおり,事故や焼成炉内の耐火れんがの劣化等により運転停止を繰り返しており,このことからすると,エコセメントの技術は,技術的に未熟であり,エコセメント化施設は,工場として全く未完成なものとしかいいようがない。 件外施設も,施設の継ぎ足しや改造によって何とか操業を続けているにすぎず,完成された施設としての設計及び稼働は,本件施設が初めてであり,本件施設がきちんと稼働するかどうかは,不明である。 (a)件外施設は,操業開始の当初から,ロータリキルン内の耐火れんがを頻繁に交換しなければならず,その度に件外施設を停止しており,その設備保全作業が件外施設で生産されるエコセメントの製造原価を圧迫してきた。そのため,市原市が件外施設に搬入する焼却灰の料金は,当初は焼却灰1トン当たり3万5000円から4万円程度と発表されていたにもかかわらず,平成16年度からはストーカー飛灰が6万0900円,流動飛灰が4万4100円に値上げされたが,それでもP15の経営は苦しいといわれている。 (b)脱塩素工程における炭酸ナトリウム添加剤噴射方式を,件外施設の操業開始後に,原料との混合方式に変更し,さらに炭酸ナトリ ウムを高価な炭酸カリウムに変更 15の経営は苦しいといわれている。 (b)脱塩素工程における炭酸ナトリウム添加剤噴射方式を,件外施設の操業開始後に,原料との混合方式に変更し,さらに炭酸ナトリ ウムを高価な炭酸カリウムに変更せざるを得なくなった。 (c)排ガス処理工程における排水計画を当初の1.7倍に上方修正しなければならなくなった。 (d)平成16年11月2日,件外施設において,除害施設の要である排ガス処理系の,脱硝設備に充てんした活性コークス粉じんが固結したもの約280kgが,煙突から周辺工場の敷地内に飛散するという事故が発生した。事故の原因は,脱硝塔及び活性コークス再生塔の改造工事を実施した後の負荷試運転の過程で,各所ショート及びホッパーで活性コークスが詰まり,その詰まりの解消時に活性コークスが飛散したというものであった。 (e)件外施設においては,平成16年11月2日以降断続的に事故が発生したにもかかわらず,P15は,環境への影響が少なく,重大な事故ではないと勝手に判断して,同月11日まで市原市に事故を報告しなかった。 (イ)エコセメントは,前述のとおり,用途も需要も限られるから,次のとおり,生産コストを価格に反映させることができず,多額の税金を投入せざるを得ないが,これは,再資源化のための税金の投入としては全く異質なものである。 aエコセメントは,焼却灰を原料として製造する過程において,多大のエネルギー資源を浪費し,多大の費用が掛かるものである。また,エコセメントを製造する本件施設にも多大の税金が浪費されている。 多摩地域25市1町は,本件事業によって莫大な負担増に苦しむこと になる。日野市についていえば,本件組合の事業負担金が年間3.4億円であったものが,本件事業の開始によって年間約5.7億円と1. 7倍に跳ね上がることになる。 bまた 莫大な負担増に苦しむこと になる。日野市についていえば,本件組合の事業負担金が年間3.4億円であったものが,本件事業の開始によって年間約5.7億円と1. 7倍に跳ね上がることになる。 bまた,エコセメントの生産コストをそのまま価格に転嫁すると,エコセメントの価格は,1トン当たり4万9000円となる。これは,ポルトランドセメントよりもはるかに高い。エコセメントは,コスト意識のない公共事業に使うか,民間事業に使ってもらう場合には補助金の支給を受けて価格を引き下げることになる。ポルトランドセメントの価格は,1トン当たり8000円から9000円であるのに対し,P10が引き受けることになっているエコセメントの価格は,600円であり,両者の価格の相違からすると,エコセメントは,流通性のない形を変えたごみである。 cまた,本件施設の事業運営費は,年間32億円(ただし,修繕費を含む。)と試算されているが,これは,エコセメントの売却益を含む金額であるから,エコセメントの製造という事業運営のためのランニングコストは,年間32億円の赤字となることを予定しているということになる。 dまた,本件施設は,経済性の観点から優れている公設民営方式(以下「DBO方式」という。)で運営される予定であるといわれている。 しかし,本件施設の運営に当たるP10は,本件施設の運営のためだけに設立された民間会社であり,しかも同社との間で,独占的にかつ20年間という長期にわたって業務委託契約を締結しているのであり, その委託費も年26億4000万円と定められており,その実態からみれば,経済性とは関係なく支出金額が確定していることになる。 eさらに,廃棄物の再利用又は再生利用という場合,例えば,古紙の再生利用では,古紙の収集運搬にこそ税金が投入されるべきであるが,古 らみれば,経済性とは関係なく支出金額が確定していることになる。 eさらに,廃棄物の再利用又は再生利用という場合,例えば,古紙の再生利用では,古紙の収集運搬にこそ税金が投入されるべきであるが,古紙が業者に引き渡された後はその再生費用は業者の負担であり,税金は投入されていない。ところが,エコセメント化施設では,再資源化に莫大な税金が投入されている。これは,エコセメント化施設が再資源物を価値のあるものにする(市場価値が付く)という再資源化施設という位置付けではなく,焼却灰を埋め立てずに済むように別の形に作り変えるという廃棄物の最終処分の1つの形態にほかならないことによる。これは,一見すると,地方公共団体の職員やボランティアが粗大ごみを修復して幾らでもいいから住民に引き取ってもらうという,採算を度外視した,市場流通とは別の再生利用と似ているが,エコセメント化施設で製造される製品が安全性も販路も確保されない危険で無用なもの,すなわち,形を変えた廃棄物に転化するという可能性を秘めているものに,毎年32億円もの税金を投入するという点においては,再生利用とは全く異質のものである。 (ウ)以上によると,本件施設は,マテリアルリサイクル施設というには,およそ不確定で不合理な施設である。特に,本件施設において1日当たり520トンも生産されるエコセメントが有効利用されない場合には,本件施設の運営業務を請け負ったP10が所在するα処分場内にエコセメントを保管せざるを得なくなると考えられるが,これは,最終処分場 の延命化とは逆行することである。また,そのような事態を避けるために,本件組織団体がエコセメントを引き取らざるを得ないことになり,これは,本件組織団体が搬入したごみの1.5倍に上るエコセメントというごみを引き取ることを意味する。 したがって, な事態を避けるために,本件組織団体がエコセメントを引き取らざるを得ないことになり,これは,本件組織団体が搬入したごみの1.5倍に上るエコセメントというごみを引き取ることを意味する。 したがって,本件施設は,多くのごみ処理の最先端技術による施設がたどったのと同じ運命,すなわち,予定の支出を超えて税金ばかりかかるが,その効果は一向に現れず,結局,税金の無駄遣いをして破棄される運命をたどるという危険性をはらんでいるというべきである。 イエコセメント事業は,資源の再利用の原則に反している。 (ア)循環型社会形成推進基本法7条柱書第2文は,「この場合において,次に定めるところによらないことが環境への負荷の低減にとって有効であると認められるときはこれによらないことが考慮されなければならない。」と規定しているから,循環資源の循環利用においては,やみくもに廃棄物を再利用することができるものに形を変えることが重要なのではなく,環境への負荷の低減に必要である否かが重要となる。 (イ)日野市や本件組合は,最終処分場の残余埋立量が減少し,新規立地も困難であるので,α処分場の全埋立量の6割を占める焼却残さをエコセメント化すれば,最終処分場の延命が図れる旨主張する。しかし,上記主張において低減されるべき環境への負荷は,埋立処分場の延命化のみであり,他方,エコセメント事業によって新たに生じる環境への負荷は,①焼却灰の破砕,乾燥などの前処理及び1350度の高温での連続運転による焼却過程における地域環境への負荷,②このうち特に莫大な エネルギーの消費並びに大量の熱,水分及び有害物質の発生(重金属のガス化,挙動や毒性の不明な合成化学物質の放出),③それらによって生じる有害な排ガスの処理工程自体の環境負荷等であり,これらを定量化して比較考量すれば,環境負荷の大 水分及び有害物質の発生(重金属のガス化,挙動や毒性の不明な合成化学物質の放出),③それらによって生じる有害な排ガスの処理工程自体の環境負荷等であり,これらを定量化して比較考量すれば,環境負荷の大小からは到底エコセメント化施設の導入を避けなければならなかったというべきである。 (ウ)また,法令に従って環境負荷の低減を行政目的とするのであれば,脱埋立から脱焼却への方策を検討すべきであり,現在の焼却を半減させれば,焼却費用も半減し,焼却残さの処理費用としてエコセメント化の費用も不要となる。 例えば,日野市において平成13年度に一般家庭から排出された可燃,不燃,粗大及び有害ごみの総量は,1日当たり80.3トンであり,このうち焼却された生ごみは36.3トンで,45%にも上り,これに草木類を加えると,約50%にもなるが,これらの生ごみを分別収集して古くからの技術の蓄積があるたい肥化施設に送り込めば,265億円の施設建設費や年間26.4億円の施設運営費といった高額の費用は掛からない。また,日野市の年間収集運搬費,中間処理費及び最終処分費の合計は,約24億円であるが,仮に,家庭用の生ごみ処理機を日野市内の7万4000世帯のすべてに配付したすると,その価格が1台10万円程度として74億円が必要となるが,家庭用生ごみ処理機の配付によって生ごみ分を処理する費用が節約されるのであり,その節約分が2分の1とすれば,その節約分約12億円の約6年間分の費用で家庭用の生ごみ処理機の購入費用が賄えることになるのであり,その節約分が3分 の1としても,その節約分約8億円の約9年間分の費用で家庭用の生ごみ処理機の購入費用が賄えることになる。これに対し,本件施設の20年間の総費用は,1000億円と試算されており,日野市がその5%を負担するとなると,50億円を負担 円の約9年間分の費用で家庭用の生ごみ処理機の購入費用が賄えることになる。これに対し,本件施設の20年間の総費用は,1000億円と試算されており,日野市がその5%を負担するとなると,50億円を負担することになり,中間処理費用年間8億円の負担を加えると,日野市が20年間に負担する金額は,膨大な金額となる。日野市は,一気に分別収集し,資源化するとなると,収集体制と資源化施設の整備に多大なコストとエネルギーが必要となり,さらに,資源化したものの受け皿を用意しなければならない旨主張するが,その具体的な態勢や施設整備のコスト,物理的技術的立地上の可能性について検討を行った形跡がないのであり,本件組合に言われるがままに費用を支出しているだけである。 (エ)以上のとおり,日野市は,廃棄物の発生→中間処理(焼却)→最終処分(再資源化)よりも,廃棄物の発生→再資源化の方が環境負荷が少なく,支出する費用も少ないことが明らかであるにもかかわらず,あえて前者の方法を採用しているのであり,仮に,エコセメント化施設が再資源化のための施設であったとしても,エコセメント化施設は,中間処理=焼却灰の製造を前提とするものである限り,二重に環境に対する負荷を増加させ,有用か否かが不明なエコセメントを製造する施設であり,循環型社会形成推進基本法に逆行する施設である。 ウさらに,次のとおり,エコセメント事業は,再利用よりも上位に位置付けられるべき目標であるごみの発生の抑制という優先課題に真っ向から反している。 (ア)本件施設は,24時間連続運転及び年間310日の稼働を前提として,本件実施計画では,焼却残さ等の処理能力が1日当たり約330トン,エコセメント生産能力が1日当たり約520トンであり,環境影響評価調査計画書概要(乙8)では,焼却残さ等の処理能力が1日当た として,本件実施計画では,焼却残さ等の処理能力が1日当たり約330トン,エコセメント生産能力が1日当たり約520トンであり,環境影響評価調査計画書概要(乙8)では,焼却残さ等の処理能力が1日当たり約400トン,エコセメント生産能力が1日当たり約620トンである。 (イ)連続運転は,ロータリキルンで1350度という高温を維持するために必要不可欠であり,1350度という高温での連続運転は,ダイオキシン類の合成を阻害する条件となっている。焼却灰の減少は,連続運転を不可能にさせ,ひいては本件施設の有効利用を妨げるから,本件施設には,連続運転を可能にするだけの量の焼却灰が必要とされるということになる。また,本件施設には連続運転を可能にするだけの量の焼却灰が必要とされるとなると,市民の立場から見れば,本件施設の操業の開始によってごみが出しやすくなるということもできる。 そうすると,エコセメント事業とは,いわば埋立ごみのゼロを目指すだけの施策であり,ごみゼロ社会を目指すという方向性には真っ向から反する事業である。 (2)ア以上のとおり,エコセメントは,いわばごみであり,再資源化という点からみておよそ役に立たないものであり,本件施設は,従来廃棄物処分場に埋め立てていた焼却灰をエネルギーと鉱物という貴重な資源を消費し,かつ多大な費用をかけて固形のごみに転換させるだけの施設であり,循環型社会形成推進基本法に逆行し,ごみゼロ社会を目指すという方向性に真っ向から反する施設である。仮に,何らかの使い道があり,かつ,その利 用を何らかの形で強制することができたとしても,その製造の過程における費用支出や後述する環境負荷に見合うものではない。したがって,本件施設が違法でかつ合理性を有しないことは,明らかである。 イそして,被告の支出によって建設されるエコ としても,その製造の過程における費用支出や後述する環境負荷に見合うものではない。したがって,本件施設が違法でかつ合理性を有しないことは,明らかである。 イそして,被告の支出によって建設されるエコセメント化施設は,適法でかつ合理性を有するものでなければならないことは,地方自治法及び地方財政法の趣旨から当然のことであるから,本件事業に対する支出は,地方自治法及び地方財政法の趣旨から違法であるというべきである。 財務会計行為の原因となる行為が違法であれば,当該財務会計行為も違法である(昭和55年(行ツ)第84号同60年9月12日第一小法廷判決・判例時報1171号62頁参照)ところ,本件事業は,本件施設の建設及び操業によって,本件施設の周辺住民の生命身体の安全,すなわち,身体権的人格権及び平穏生活権的人格権を脅かす違法な事業であるから,日野市の本件事業に対する支出も違法である。その理由は,次のとおりである。 (1)本件施設に搬入される焼却灰及び飛灰に含まれる有害物質の量は,次のとおりである。 ア本件組合が平成10年から同14年までの間にα処分場に受け入れてきた焼却灰及び飛灰中に含まれる重金属類及びダイオキシン類の年平均の概算は,次のとおりである。 (ア)日本国内における一般廃棄物の発生量は,昭和59年以来,ほぼ横ばいであり,年間5000万トン前後で推移している。その80%から84%が焼却され,焼却された一般廃棄物のうち約10%から15%(重量比)が焼却灰であり,焼却灰の20%から25%(重量比)が飛 灰である。 α処分場に搬入された焼却灰及び飛灰は,平成10年から同14年までに10万トンから11万トンの間である(乙30)から,同年の総量を10万5000トンと仮定すると,焼却灰は8万4000トン,飛灰は2万1000トンとなる。 灰及び飛灰は,平成10年から同14年までに10万トンから11万トンの間である(乙30)から,同年の総量を10万5000トンと仮定すると,焼却灰は8万4000トン,飛灰は2万1000トンとなる。 (イ)一般廃棄物に含まれる重金属は,焼却によって消滅するものではないが,焼却灰及び飛灰中の量は,焼却炉の機能,構造及び燃焼温度によって大きく異なる。多摩市と町田市の測定データを比較すると,カドミウム,鉛,全水銀及びヒ素の濃度比は,毎年相当の変動があるものの,オーダーとしてはほぼ一致しており,平成5年の多摩市の測定データによると,カドミウム:鉛:全水銀:ヒ素の大ざっぱな比率は,25:1000:1:5であり,同年度の多摩市の焼却炉が混合貯留型であったことからすると,上記比率は,焼却灰と飛灰の混合物の分析値であると考えられる。 焼却灰及び飛灰に含まれる鉛及びカドミウムの含有濃度は,次のとおりである。 飛灰焼却灰鉛カドミウム鉛カドミウム濃度平均1000~10000mg/kg 100~300mg/kg 1000mg/kg10mg/kg 平均3000mg/kg150mg/kg1000mg/kg10mg/kg多摩市と町田市の測定データは,上記表と比較すると,一応,上記表の範囲内に含まれている。そして,本件組合に持ち込まれる焼却灰及び飛灰は,多摩地域25市1町から様々な条件下で生成された焼却灰及び飛灰の混合物であるから,上記表の平均値を使用して計算することには合理性があるといえる。 そこで,上記表に従って,同14年にα処分場に搬入された焼却灰及び飛灰に含まれるカドミウム及び鉛の量を計算すると,鉛は,飛灰1トン当たり0.003トン,焼却灰1トン当たり0.001トンであるから,次式のとおり,147トンとなる。 0.003(t) れた焼却灰及び飛灰に含まれるカドミウム及び鉛の量を計算すると,鉛は,飛灰1トン当たり0.003トン,焼却灰1トン当たり0.001トンであるから,次式のとおり,147トンとなる。 0.003(t)×21,000(t)+0.001(t)×84,000(t)=147(t)カドミウムは,飛灰1トン当たり0.00015トン,焼却灰1トン当たり0.00001トンであるから,次式のとおり,3.99トンとなる。 0.00015(t)×21,000(t)+0.00001(t)×84,000(t)=3.99(t)また,鉛147トンに対してカドミウム3.99トンという比率は,前述の鉛とカドミウムの比率40:1にほぼ一致しているから,同年にα処分場に搬入された焼却灰及び飛灰に含まれるヒ素及び全水銀の量は,概算で0.735トン及び0.147トンとなる。 (ウ)①本件組織団体の一部は,α処分場に搬入した焼却灰及び飛灰に含 まれるダイオキシン類の量を測定しているが,本件組織団体のかなりの部分は,α処分場に搬入した焼却灰及び飛灰に含まれるダイオキシン類の量を測定していないこと,②例えば,八王子市には1号炉から3号炉まで3基の焼却炉があるが,飛灰の分析値がどの焼却炉のものであるか,飛灰の分析値が純粋に飛灰のみの分析値であるか,飛灰と焼却灰とを混合したものの分析値であるかが明確でないこと,③例えば,P18組合の焼却炉には飛灰と焼却灰の分離貯留槽がないから,分析値は両者を混合したものの分析値であると考えられるにもかかわらず,飛灰と表示されており,ほかにも飛灰と焼却灰とを混合したものの分析値としか考えられないにもかかわらず,飛灰の分析値と表示されているものがあること,④α処分場に搬入されている飛灰と焼却灰の量についても,飛灰と焼却灰の総量としか考えられないものが飛 合したものの分析値としか考えられないにもかかわらず,飛灰の分析値と表示されているものがあること,④α処分場に搬入されている飛灰と焼却灰の量についても,飛灰と焼却灰の総量としか考えられないものが飛灰として表示されていること,⑤ダイオキシン類のうち,PCDDS(狭義のダイオキシン。以下「PCDDS」という。)は測定しているが,PCDFS(ポリ塩化ジベンゾフラン。以下「PCDFS」という。)は測定しているところと測定していないところがあり,CO-PCBS(コプラナPCB。以下「CO-PCBS」という。)は測定しているところが皆無であることからすると,α処分場に搬入された焼却灰及び飛灰に含まれるダイオキシン類の量については,本件組織団体の資料をそのまま使用するよりは,全国の平均値を用いた方が,より真実に近い値が得られると考えられる。 焼却灰及び飛灰中のダイオキシン類の量は,焼却技術の進展又は内容によって異なるから,比較的最近である平成9年に厚生省が全国の市町 村及び一部事務組合から報告を求めて集計した測定値の平均値を使用することとする。その値は,次のとおりである(なお,次の表のダイオキシン類とは,PCDDSとPCDFSである。次の表にいう「平均」とは,加重平均又は重みつき平均であり,旧ガイドライン適用・不適用の加重平均は,飛灰が(14.8×399+2.5×88)÷(399+88)=12.6であり,焼却灰が(0.333×89+0.053×15)÷(89+15)=0.293である。)。 旧ガイドライン適用適用・非適用トータル旧ガイドライン以前施設数平均値施設数平均値施設数平均値飛灰 14.8ngTEQ/g 2.5ngTEQ/g 12.6ngTEQ/g焼却灰 0.333ngTEQ/g 0.05 設数平均値施設数平均値施設数平均値飛灰 14.8ngTEQ/g 2.5ngTEQ/g 12.6ngTEQ/g焼却灰 0.333ngTEQ/g 0.053ngTEQ/g 0.293ngTEQ/g上記表に従って,同14年にα処分場に搬入された焼却灰及び飛灰に含まれるダイオキシン類の量を計算すると,鉛は,飛灰1g当たり12. 6ナノグラム,焼却灰1g当たり0.293ナノグラムであり,1ナノグラムは10-9g,1トンは106gであるから,飛灰は,次式のとおり,33.6gTEQとなる。 12.6(ngTEQ/g)×10-9×21,000(t)×106=33.6(gTEQ)また,焼却灰は,次式のとおり,24.6gTEQとなる。 0.293(ngTEQ/g)×10-9×84,000(t)×106=24.6(gTEQ)したがって,飛灰と焼却灰の合計は,次式のとおり,58.2gTEQとなる。 33.6(gTEQ/g)+24.6(gTEQ/g)=58.2(gTEQ)また,ダイオキシン類対策特別措置法によると,CO-PCBSも含めた値が必要であり,一般廃棄物の焼却によって生じるCO-PCBSは,PCDDSとPCDFSの5%から10%とされているので,CO-PCBSを中間の7.5%と仮定して計算すると,次式のとおり,4. 36gTEQとなる。 58.2(gTEQ)×0.075=4.36(gTEQ)CO-PCBSの分を加えたダイオキシン類の総量は,次式のとおり,62.56gTEQとなる。 58.2(gTEQ)+4.36(gTEQ)=62.56(gTEQ)(エ)以上によれば,平成14年にα処分場に搬入された焼却灰及び飛灰に含まれる有害物質の量は,鉛が147トン,カドミウムが3.99トン,全水銀が0.147 36(gTEQ)=62.56(gTEQ)(エ)以上によれば,平成14年にα処分場に搬入された焼却灰及び飛灰に含まれる有害物質の量は,鉛が147トン,カドミウムが3.99トン,全水銀が0.147トン,ヒ素が0.735トン,ダイオキシン類のうちPCDDSとPCDFSが58.2gTEQ,ダイオキシン類のうちCO-PCBSが4.36gTEQである。 (オ)上記数値は,平成9年のデータに基づいて同14年にα処分場に搬入された焼却灰及び飛灰に含まれる有害物質の量について計算した数値であるが,①重金属は,焼却技術が進歩しても,焼却の過程においてその量を減ずることはなく,かえって高温での焼却は飛灰中の重金属の濃 度を高めること,②ダイオキシン類の量は,焼却技術の進歩によって減ずる可能性があるが,焼却炉の更新は,直ちにされるわけではないから,同9年の時点における平均値を大幅に下回ることは,特段の事情のない限り,考えられないこと,③ごみの質及び種類については,焼却の対象となる廃棄物中の重金属や塩素系プラスチック等が減少していくことをうかがわせる証拠は全くなく,焼却を強化するという傾向に応じて,埋立廃棄物中の飛灰や焼却灰の比率は増加する可能性があることを勘案すると,上記数値をもって本件施設に搬入される重金属及びダイオキシン類の量と考えることには合理性があるということができる。 イ本件組合が約14年間にわたってη処分場に受け入れてきた焼却灰及び飛灰中に含まれる重金属類及びダイオキシン類の合計及びその年平均の概算は,次のとおりである。 14年間の合計年平均鉛2,228t159tカドミウム58.5t4.18t水銀2.23t0.16tPCDD +PCDF4,192gTEQ299gTEQss C -PCB304gTE 平均鉛2,228t159tカドミウム58.5t4.18t水銀2.23t0.16tPCDD +PCDF4,192gTEQ299gTEQss C -PCB304gTEQ21.7gTEQosダイオキシン類合計4,506gTEQ322gTEQ本件組合が多摩地域25市1町から集めた焼却灰等の全部を本件施設に原料として投入する予定であるから,上記の表に示されたとのとほぼ同じ内容の有害物質が毎年本件施設に持ち込まれるとみることができる。 (2)本件施設のフローシートを大気汚染等をもたらす有害物質の排出プロセスという視点から分類すると,①焼却残さ等の乾燥,破砕,選別,貯留及び調合貯留等の前処理過程(原料の乾燥等の際に発生する排ガス処理プロセスを含む。),②ロータリキルンによる焼成及びキルンからの排ガス処理プロセス,③クリンカの貯留,破砕,石こう等の混合のプロセスなど焼成後の製品の製造に至るプロセス,④灯油,重油等の燃料の燃焼プロセス及び多量の電力消費に分類することができ,各過程において有害物質が排出されているが,上記①から③までの詳細は,以下のとおりである。 ア焼却残さ等の乾燥,破砕,選別,貯留及び調合貯留等の前処理過程(原料の乾燥等の際に発生する排ガス処理プロセスを含む。)から排出される有害物質(ア)エコセメントの主原料である廃棄物の焼却残さには,焼却後にロータリキルンの燃焼室に残る残灰(主灰,ボトムアッシュ,BAなどと呼ばれるもの)と,燃焼室から排ガス中を移動して集じん装置で捕そくさ れたり,捕そくされずに煙突から排出される飛灰(集じん灰,フライアッシュ,FAなどと呼ばれるもの)がある。 (イ)乾燥工程においてエコセメントの主原料である廃棄物の焼却残さを加熱するので,その中に含まれる有害物質 れずに煙突から排出される飛灰(集じん灰,フライアッシュ,FAなどと呼ばれるもの)がある。 (イ)乾燥工程においてエコセメントの主原料である廃棄物の焼却残さを加熱するので,その中に含まれる有害物質の一部がこの過程において気体状又は微粒子状で排ガス中に排出されてくる(以下,この過程において発生する排ガスを「乾燥機排ガス」という。)。また,廃棄物の焼却残さが粉砕されると,その中に含まれる有害物質がすべてそのまま微粒子となって飛散する(以下,この過程において発生する排ガスを「原料粉砕機排ガス」といい,乾燥機排ガス及び原料粉砕機排ガスを総称して「前処理系排ガス」という。)。 (ウ)エコセメントの主原料である廃棄物の焼却残さ並びにその焼却後の残灰及び飛灰には,無数の,かつ,極めて有害性の高い化学物質や重金属類が含まれるが,そのうち主要なものは,次のとおりである。なお,粉じんは,重金属やダイオキシン類などを含んでいるために危険であるという側面もあるが,仮に,そのような有害物質を含まなくても,気管支や肺胞などの呼吸器系に付着してそれらを損傷するという独自の有害性を有する。 aダイオキシン類(PCDDS,PCDFS,CO-PCBS)b塩素化芳香族化合物(PCPhS(ポリ塩化フェノール),PCBZS(塩化ベンゼン),PCNS(塩化ナフタリン))及び脂肪族炭化水素c多核芳香族炭化水素(PAHS) dニトロ多核芳香族炭化水素(ニトロPAHS)e臭素化ダイオキシン類(臭素化ダイオキシン(PBDDS),臭素化ジベンゾフラン(PBDFS),臭素化塩素化ダイオキシン,臭素化塩素化ジベンゾフラン)f重金属類(例えば,ヒ素,クロム,ニッケル,鉛,カドミウム,アンチモン,マンガン,水銀など)g窒素化合物,塩化水素などの有害ガスh粉じんな 素化ダイオキシン,臭素化塩素化ジベンゾフラン)f重金属類(例えば,ヒ素,クロム,ニッケル,鉛,カドミウム,アンチモン,マンガン,水銀など)g窒素化合物,塩化水素などの有害ガスh粉じんなどの粒子状物質(エ)乾燥機排ガス中の有害物質の除去における問題点a乾燥機排ガスに含まれている可能性がある有害物質は,水銀,カドミウム,ヒ素及び鉛などの重金属類,脂肪族塩素系炭化水素,多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素及び臭素化ダイオキシン類などである。 b乾燥機排ガス中の有害物質を除去する装置は,バグフィルタのみである。以前は廃棄物の焼却炉の排ガス中の粉じん,ばいじん等の除去には,バグフィルタよりも電気集じん機の方が多用されていたが,排ガスが電気集じん機を通ることによってダイオキシン類の合成が加速されることが判明してからは,バグフィルタが多用されることになった。 cしかし,バグフィルタには,次のような欠点がある。 (a)バグフィルタは,粉じんなどの粒子状物質しか除去することができない。また,粉じんの粒径によっては,除去することができな いものがある。 (b)バグフィルタの粉じん等の除去機能は,バグフィルタの表面に層を成している粉じん,ばいじん等の厚さに依存し,パルスジェットでこれらをふるい落とすと,上記除去機能が著しく低下し,他方,これらをふるい落とさないと,バグフィルタが目詰まりを起こし,多大の圧力損失を生じて,爆発又はバグフィルタの破損等を招く。 (c)バグフィルタには気体状のものを除去する機能がないが,窒素酸化物及び硫黄酸化物は,通常気体状のものであるので,除去することができず,また,ダイオキシン類,脂肪族塩素系炭化水素,多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素,臭素化ダイオキシン類,水銀,カドミウム び硫黄酸化物は,通常気体状のものであるので,除去することができず,また,ダイオキシン類,脂肪族塩素系炭化水素,多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素,臭素化ダイオキシン類,水銀,カドミウム,ヒ素及び鉛などの重金属類は,気体状のものとなっている限り,除去することができない。 ダイオキシン類は,180度でも,その10%程度はガス状であり,被告の主張のとおり,乾燥機排ガスが200度程度であるとすると,ダイオキシン類は気体状である。重金属類は,沸点や融点以下の温度でもその一部が気化するので,その一部は,バグフィルタでは捕そくされない。 (d)例えば,埼玉県所沢市の一般廃棄物焼却炉(P19工場),P20のθ工場の自社焼却炉,兵庫県宝塚市の一般廃棄物焼却炉のように,バグフィルタを装着した廃棄物焼却炉において,高濃度のダイオキシン類が排出された例が少なからず存在する。 (e)本件施設は,年間55日間の操業停止期間を除くその余の期間 には24時間の連続運転による操業を行うこととされているが,排ガスの物理的(例えば,急激な高温化など),化学的性状が常に変動する不安定操業を強いられる場合があるが,その場合には,バグフィルタの使用が困難であるので,バグフィルタを使用しないための「バイパス」を設置することが多い。本件施設においてバイパスを設置しないとすると,不安定操業によるバグフィルタの破損等は避けられず,また,不安定操業時にバグフィルタを使用しないと,有害物質を含んだ排ガスがそのまま外部に放出されることになる。 dまた,被告は,乾燥機排ガス中の硫黄酸化物及び酸化水素を除去するために消石灰を,乾燥機排ガス中のダイオキシン類を除去するために粉末活性炭を,それぞれ吹き込む旨主張する。消石灰は,塩基性(アルカリ性とほぼ同義)であるから,塩化水素 黄酸化物及び酸化水素を除去するために消石灰を,乾燥機排ガス中のダイオキシン類を除去するために粉末活性炭を,それぞれ吹き込む旨主張する。消石灰は,塩基性(アルカリ性とほぼ同義)であるから,塩化水素などの酸性ガスを吸着して粒子状物質に転化する化学的作用があり,活性炭は,その多孔性という物理的性質に応じて,分子状のもの又は粒子状のものを吸着する物理的作用がある。 eしかし,消石灰及び粉末活性炭の吹き込みによる効果は,次のとおり,限定的なものである。 (a)排ガス中の塩化水素を現実にどの程度まで吸着することができるかは,排ガス中の塩化水素と消石灰の粉末との衝突確率に依存し,衝突確率は,相互の大きさと空間中の分布濃度,通過速度と通過経路,滞留時間によって左右されるが,本件施設では衝突確率を計算して設計している形跡が見当たらない。したがって,消 石灰による塩化水素の吸着に過大な期待は持てない。 (b)廃棄物の処理によって発生する硫黄酸化物の大部分は,二酸化硫黄と三酸化硫黄であり,二酸化硫黄が全体の90%から95%を占める。硫黄酸化物の消石灰による物理的吸着は極めて遅く,硫黄酸化物の消石灰による化学的吸着は,物理的吸着に比べると速い。そして,二酸化硫黄は,三酸化硫黄と比べて吸着速度がはるかに遅い。したがって,硫黄酸化物が消石灰に吸着され,粒子状物質に転化した後に,バグフィルタによって捕そくされる割合は,50%以下とみるべきである。 (c)ダイオキシン類が活性炭に吸着される割合はわずかである。 (d)多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素,臭素化ダイオキシン類及び脂肪族塩素系炭化水素は,ごく一部しか除去することができない。 f塩素化芳香族炭化水素,脂肪族塩素系炭化水素,多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素,臭素化ダイ 素,臭素化ダイオキシン類及び脂肪族塩素系炭化水素は,ごく一部しか除去することができない。 f塩素化芳香族炭化水素,脂肪族塩素系炭化水素,多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素,臭素化ダイオキシン類,水銀,鉛,クロム,ヒ素などは,その極めて重大な毒性にもかかわらず,法的な排出規制がないので,その排出を抑制されることなく周辺環境に排出されている。 (オ)原料粉砕機排ガス中の有害物質の除去における問題点原料粉砕機排ガス中の有害物質を除去する装置は,バグフィルタのみのようである。しかし,バグフィルタに欠点があることは,前述のとおりである。 (カ)前処理系排ガス中の有害物質の除去における問題点a前処理系排ガス中の有害物質を除去する装置は,脱硝施設であり,要するに,触媒による窒素酸化物の化学分解である。 bしかし,触媒による窒素酸化物の化学分解の効果は,①脱硝施設に入る排ガス中の窒素酸化物濃度,単位時間内の存在量,②脱硝施設内における触媒と窒素酸化物との平均的接触時間,③触媒毒の存在量と触媒能力の維持時間,④触媒の分解速度に関する基礎データと温度係数によって左右され,本件施設におけるこれらの要素が明らかにされない限り,触媒による窒素酸化物の化学分解の効果を期待することができるなどとはいえない。 イロータリキルンによる焼成及びキルンからの排ガス処理プロセスから排出される有害物質(ア)ロータリキルンによるクリンカ焼成プロセスでは,1350度を超える高温で原料としての残灰及び飛灰を焼くのであるから,前記有害物質や重金属類が排ガス中に放出される危険が高まる(以下,この過程において発生する排ガスを「焼成炉排ガス」という。)。本件組合が約14年間にわたってη処分場に受け入れてきた焼却灰及び飛灰中に含まれる重金属類及びダイオキ 中に放出される危険が高まる(以下,この過程において発生する排ガスを「焼成炉排ガス」という。)。本件組合が約14年間にわたってη処分場に受け入れてきた焼却灰及び飛灰中に含まれる重金属類及びダイオキシン類の年平均の概算,又は平成10年から同14年までの間にα処分場に受け入れてきた焼却灰及び飛灰中に含まれる重金属類及びダイオキシン類の年平均の概算によると,本件施設の操業開始後の1年間だけに限っても,相当な量の有害物質が本件施設に持ち込まれるわけであり,その一部がエコセメントに含まれて搬出される ことになり,その余の相当部分が本件施設の操業の過程において周辺環境にまき散らされるわけである。 (イ)本件施設の詳細が明らかではないので,定量的な記述は困難であり,定性的な記述にとどめるが,第1に,本件施設に投入される原料には濃厚かつ有害性の高い重金属類が無数に含まれており,高温で気化し,排出される。第2に,高温における重金属類の気化蒸気圧は極めて高く,これまで廃棄物焼却炉の主流であったストーカー炉の900度前後における燃焼の場合と比べると,重金属類の排出濃度は比べものにならない。 第3に,ダイオキシン類は,高温ではいったんはその大部分が分解されるが,排出されるまでのプロセスにおいて焼却残さ中のコバルトやニッケルを触媒として再合成される。第4に,窒素化合物は,高温で極端に生成量が増加するので,除害施設を使用しても,大量の排出は避けられない。ニトロ多核芳香族炭化水素などのニトロ基を有する有害物質は,高温の方が発生しやすいので,ストーカー炉よりも大量に発生し,高温による分解や濃度の減少は期待することができない。 (ウ)被告は,焼成炉排ガスを急速に冷却してダイオキシン類の再合成を抑制する旨主張するが,200度の冷却ではダイオキシン類の再合成を 発生し,高温による分解や濃度の減少は期待することができない。 (ウ)被告は,焼成炉排ガスを急速に冷却してダイオキシン類の再合成を抑制する旨主張するが,200度の冷却ではダイオキシン類の再合成を防ぐのに十分ではない。 また,被告は,焼成炉排ガスを急速に冷却した後はバグフィルタや活性コークス塔により有害物質を除去する旨主張するが,ダイオキシン類の15%から20%は気体状のままであるので,バグフィルタでは捕そくすることができない。気体状のダイオキシン類は,よほどゆっくり通 過させないと,活性炭に吸着させることはできない。また,硫黄酸化物,重金属類,ダイオキシン類,多核芳香族炭化水素,ニトロ多核芳香族炭化水素等に対する対策としても不十分である。 ウクリンカの貯留,破砕,石こう等の混合のプロセスなど焼成後の製品の製造に至るプロセスから排出される有害物質(ア)クリンカクーラーの上部のガス中には,ロータリキルンの排ガスほどではないにしても,前述した各種の有害物質が含まれている。この排ガスは,冷却塔などにおいて処理せずにバグフィルタを通しただけで,窒素酸化物の分解処理もせずにそのまま大気中に放出される。 (イ)クリンカと石こう等を混合して粉砕するプロセスに伴って生ずる排ガスも,バグフィルタを通すだけである。 (ウ)粉じんには様々な粒径のものがあり,直径10ミクロン以下のものは,バグフィルタでは捕そくすることができない。 エ排ガス中の有害物質の除害施設の欠陥(ア)本件施設には,排ガスの除害施設として,バグフィルタ,アンモニア添加後の脱硝設備及びサイクロンなどが設置され,それらが組み合わされたり,単独に使用されている。 (イ)バグフィルタは,使用可能な温度領域が狭く,維持管理が厄介な代物で,破損等の事故も多い上,気体状物質は除去する 及びサイクロンなどが設置され,それらが組み合わされたり,単独に使用されている。 (イ)バグフィルタは,使用可能な温度領域が狭く,維持管理が厄介な代物で,破損等の事故も多い上,気体状物質は除去することができないという基本的な機能の限界がある。また,前述のとおり,窒素化合物,ニトロ多核芳香族炭化水素などには,バグフィルタはほとんど無力である。 (ウ)コークスの吸着機能は,物理吸着であって,化学吸着ではないから, 活性コークス塔と組み合わせた脱硝設備は,有害物質のうち粒子状のものを除くと,その一部を除去することができるにすぎない。 また,廃棄物の燃焼中には,廃棄物中の窒素分が窒素化合物となる場合(燃料に起因する窒素化合物という意味で「フューエルノックス」と呼ばれる。)と,燃焼空気中の窒素及び酸素が高温酸化して窒素化合物が発生する場合(「サーマルノックス」と呼ばれる。)とがあるが,フューエルノックスは,廃棄物中の主として有機態窒素分に影響されるのに対し,サーマルノックスは,温度1400度より高温で顕著に発生するのであり,焼却炉の内部温度は局所的に高温部が存在し,燃焼出口においておおむね800度を超えると,サーマルノックスが急激に増加するといわれているから,本件施設から発生する窒素化合物の濃度は,極めて高濃度になるものと予想される。仮に,上記脱硝設備の能力が90%であるとしても,排出される窒素化合物は,高濃度にならざるを得ない。 (3)本件施設の操業によって発生するダイオキシン類を始めとする有害化学物質,重金属類等は,次のとおり,様々な環境媒体を通じて原告らを含む周辺住民の下に到達し,直接的な被害を及ぼすのみならず,その生活環境を含めて甚大な被害を与える。 ア大気中の有害物質は,人の呼吸器を通じて,生命及び身体に対する危険をもた 媒体を通じて原告らを含む周辺住民の下に到達し,直接的な被害を及ぼすのみならず,その生活環境を含めて甚大な被害を与える。 ア大気中の有害物質は,人の呼吸器を通じて,生命及び身体に対する危険をもたらす。すなわち,第1に,人の呼吸によって体内に侵入した塩化水素や窒素酸化物などは,肺胞組織を直接に侵襲して,その本来有する毒性を発揮する。第2に,粉じん等の粒子物質は,気管支や肺胞などの呼吸器 の組織に沈着して一時的又は恒久的に細胞を壊死させるなどする場合がある。第3に,有害物質が土壌等に降下して表土に付着し,その土壌粒子が乾燥して粉じんとなって舞い上がり,人の呼吸によって体内に侵入する場合がある。この場合,様々な有害物質が土壌粒子でいったん濃縮蓄積されていることを考えると,身体への影響は大きい。また,粉じんが舞い上がらない日でも,背の低い子供は,土に接して遊ぶ機会が多いので,被害を受けやすい。 また,本件施設の操業によってダイオキシン類を始めとして皮ふから吸収されることが知られている有害物質が排出されるので,それによる危険も考慮されなければならない。 イ本件施設は,α処分場内に建設される予定であるが,廃棄物処分場のようなすり鉢状の地形においては,日中は谷の斜面とそれに接する空気は地表面によって温められ,それらの上方にある空気よりも温度が高くなるので,谷に沿って昇る谷風が生じるのに対し,夜間は谷の斜面に沿って下降する山風が生じる。したがって,本件施設から排出される有害物質は,谷風及び山風によってα処分場の外に運び出され,汚染は広範囲に拡散することになる。 また,汚染された大気は,多摩川及び平井川の冷気によって停滞するので,取り分け両河川の周辺に住む原告らは,長期間にわたり有害物質にさらされ続けることになる。 さらに,夜間には接地逆転 ことになる。 また,汚染された大気は,多摩川及び平井川の冷気によって停滞するので,取り分け両河川の周辺に住む原告らは,長期間にわたり有害物質にさらされ続けることになる。 さらに,夜間には接地逆転層が生じるから,原告らは,夜間に高濃度に汚染された大気にさらされ続けることになる。 ウ本件施設の周辺では,古くから農業が盛んで,多摩川,平井川及びその周辺には水田,畑,果樹園等の農業地が広がっており,取り分けしいたけ栽培は農家の副業として現在でも盛んに行われている。また,農業を営んでいない住民の中には,野菜や果物等を自家栽培し,ヤギや鶏等を飼ってその乳や卵を自家用に供している者もいる。そして,本件施設から排出される有害物質は,降雨と共に地表に向かって降下し,又はそれ自体が微細粒子として地表に向かって降下して,直接野菜,果物,きのこ及び乳等の食物に降り掛かり,又は土壌を通して水分と共に上記食物に吸収され,原告らがそれらを食することによって有害物質が体内に摂取される。 また,本件施設から排出される有害物質は,直接水道源である水の中に入り,又は汚染された土壌からゆう水を経由して水道源である水の中に取り込まれ,地下水に達して飲料水等の生活用水となって,それらを飲んだ住民の体内に摂取される。 (4)本件施設の操業に伴って多量の燃料及び電気が使用される。燃料の消費による環境への影響は,①燃焼によって生ずる多量の水分及び二酸化炭素による周辺の大気への影響,②エネルギーの消費によって生ずる熱による周辺地域のヒートアイランド化,③燃料輸送のために本件施設に出入りする多数の車両による公害という観点から,検討されるべきである。 ア本件組合の計画によると,本件施設で使用される燃料及び電力は,次表(ただし,数値は原告らの主張のままに引用した。)のとおりであ 入りする多数の車両による公害という観点から,検討されるべきである。 ア本件組合の計画によると,本件施設で使用される燃料及び電力は,次表(ただし,数値は原告らの主張のままに引用した。)のとおりである。 燃料使用設備油種日使用量年間使用量 焼成炉A重油62,000l19,220kl焼却残さ乾燥機A重油7,600l2,356kl原料ミルA重油1,700l527kl昇温炉灯油2,400l744kl燃料使用A重灯71,300l22,300kl量の合計灯油2,400l744kl年間消費電力量40,110,000kwhイ換算値を1kwh=860kcal=3,600kJ,A重油の原油換算係数=1.01,灯油の原油換算係数=0.96,原油燃焼エネルギー=10,000kcal=41,860kJ/kg,原油比重=0.92,原油のC:H=1:2,操業日数を310日と仮定して,上記アの表に基づいて計算すると,本件施設のエネルギーの消費による発熱量,二酸化炭素排出量及び水分発生量は,次のとおりとなる。 発熱量1日平均7億9500万kcal年間2463億kcal二酸化炭素排出量1日平均203トン 年間6万3070トン水分発生量1日平均83トン年間2586トン上記二酸化炭素排出量には,原料としての石灰石の焼成によって発生する二酸化炭素排出量年間4万5400トンは加えていない。上記水分発生量は,燃料の燃焼に伴うものであり,そのほかに原料乾燥時に原料自体から発生するもの,重金属回収装置と称する設備から発生するもの,及び本件施設で使用する計画であるとされている1日当たり最大約700トンの水がある。 以上によれば,本件施設の総合によって発生する熱によるヒートアイランド化, 回収装置と称する設備から発生するもの,及び本件施設で使用する計画であるとされている1日当たり最大約700トンの水がある。 以上によれば,本件施設の総合によって発生する熱によるヒートアイランド化,二酸化炭素及び水分の大量散布による周辺の気象条件及び生態系に与える影響は,極めて大きいものと予測される。 (5)現在操業しているエコセメント化施設は,工場内の敷地に入ると,声を張り上げないと,通常の会話もすることができないほどに騒音が著しいところである。このような施設を集落が点在する東京都青梅市と東京都ιとの境界山頂付近に建設し,24時間操業するとなると,周辺の住民の生活環境に及ぼす騒音振動の影響は計り知れないというべきである。 (6)以上によれば,本件事業は,本件施設の建設及び操業によって,本件施設の周辺住民の生命身体の安全,すなわち,身体権的人格権及び平穏生活権的人格権を脅かす違法な事業であるというべきである。 第2争点(2)(本件支出2は,相当の確実さをもって予想されるか。)について日野市が本件組織団体となり,焼却灰を本件組合に搬出している以上,本件 組合が本件事業を行うことを決定し,また,建設工事請負契約及び本件施設の運営のための業務委託契約を締結した現在,日野市が,今後20年間にわたって,本件施設のための分担金の支出を余儀なくされるのは確実であり,今後違法な支出が毎年度発生する蓋然性が高いので,原告らは,その将来の差止めを求める。 以上 別紙2第1争点(1)(本件支出等は,違法な公金の支出に当たるか。)について エコセメントとは,ごみ焼却施設から発生する焼却残さや下水汚泥などを主原料として作られる新しいセメントであり,セメント類似のものではない。本件施設では,主として,焼却残さ,すなわち,焼却灰(廃棄物を焼却 セメントとは,ごみ焼却施設から発生する焼却残さや下水汚泥などを主原料として作られる新しいセメントであり,セメント類似のものではない。本件施設では,主として,焼却残さ,すなわち,焼却灰(廃棄物を焼却した後の残さ物)及び飛灰(集じん機により捕集された排ガスの中のばいじん)を総称したものを主原料として,石灰,鉄原料及び硬化遅延剤としての石こう(硫酸カルシウム)を成分調整の目的で混和してエコセメントを製造するが,焼却残さには,カドミウム,鉛,水銀等の重金属類が濃縮されているとか,廃棄物の焼却過程で生成されるダイオキシン類など毒性の極めて強い有害物質が濃厚に含まれているなどということはない。 日野市の本件事業に対する支出が地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に違反しているということはできない。その理由は,次のとおりである。 (1)日野市がごみの減量化及び資源化のために行った施策は,次のとおりである。 ア日野市では,平成元年からは資源回収を,同6年からは生ごみ堆肥化容器の補助及びリサイクル事業等を,それぞれ検討し,タイムリーに施策化してきたが,多摩地域の各市がごみの排出量を減量していく中で,平成11年度には日野市の不燃ごみの量が多摩地域全31市町村の中で最悪という結果になった。そこで,日野市は,同12年10月,ごみ減量化の施策として,ダストボックスの廃止,ごみの有料化及びごみの各戸収集を実施 したところ,家庭系のごみの収集量は半減し,リサイクル量は約3倍となった(乙23)。日野市は,同14年3月,市民参画によって「ごみゼロプラン(日野市一般廃棄物処理基本計画)」(乙24)を策定し,日野市としてごみゼロ社会を目指す基本理念(循環型社会の形成)及び具体的な行動計画として,ごみの発生の回避,発生の抑制,再使用,再利用(マテリアルリ 市一般廃棄物処理基本計画)」(乙24)を策定し,日野市としてごみゼロ社会を目指す基本理念(循環型社会の形成)及び具体的な行動計画として,ごみの発生の回避,発生の抑制,再使用,再利用(マテリアルリサイクル・サーマルリサイクル)及び適正処理から成る施策を掲げた。 イその後も,日野市は,事業系ごみ減量の取組やごみゼロプランを推進するための「ごみ減量推進市民会議」によるマイバック運動,情報誌「エコー」の作成及び配布による啓発活動などといった,ごみの発生抑制運動にも積極的に取り組み,市民参画及び市民協働のごみ減量化及び資源循環型社会の創生に鋭意努力してきた(乙37,40)。その結果,日野市の平成15年度における1日1人当たりの可燃ごみ収集量は373.4gとなったが,これは,多摩地域の全30市町村では最小量であり(乙41),市民と行政が一体となった日野市の以上のような努力によって,平成16年度の総ごみ量は,さらに減少している(乙36)。 ウまた,日野市では,昭和62年,焼却施設として日野市P11を単独で建設して一般廃棄物の焼却を行っており,日野市P11に搬入される廃棄物の処理は,可燃ごみについては焼却し,不燃ごみ及び粗大ごみについては,破砕後に鉄やアルミを選別し,破砕不適物については手作業で鉄やアルミを選別し,選別された鉄やアルミは,それぞれの資源化のルートに乗せ,焼却灰と不燃破砕物はα処分場に埋め立てている。資源ごみのうち, 新聞紙,段ボール,牛乳パック,雑誌,瓶,缶,古布,ペットボトル及び発泡トレーについては,各戸収集して資源化しており,総資源化率は,平成15年度には30.0%に達し,多摩地域の全30市町村中10位である(30市町村の平均は26.2%)。さらに,プラスチックを資源化することを前提に,平成16年10月現在,分別収集 総資源化率は,平成15年度には30.0%に達し,多摩地域の全30市町村中10位である(30市町村の平均は26.2%)。さらに,プラスチックを資源化することを前提に,平成16年10月現在,分別収集のモデル実験を実施中である。 (2)本件組合が本件事業を導入するに至った経緯は,次のとおりである。 ア本件組合は,本件組織団体から排出される焼却残さ及び中間処理(破砕,再資源化等の減容量化)後の不燃物の埋立処分をα処分場において行っている。 イα処分場は,計画期間を平成9年度から平成24年度までの16年間とし,用地面積59.1ha,廃棄物埋立容量約250万m,覆土容量約12 0万m,全体容量370万mの施設であり,平成10年1月から供用を 開始したが,土地の選定に着手したのは平成元年度であり,事業計画,設計,環境影響評価及び施設建設を経て供用を開始するまでに10年もの歳月を費やしていた(乙26)。 ウ本件組合は,平成8年9月,本件組織団体に対し,平成13年度までの搬入予定量についてアンケートによる調査を実施し,その結果を基に平成9年度から平成24年度までの総搬入量を想定したところ,約270万mとなり,α処分場の埋立可能容量の250万mを約20万mを上回ると いう算出結果となったので,α処分場の使用期間として16年間を確保するには上記超過分を解消する必要があった。本件組合は,上記超過分を削 減し,α処分場を計画的かつ安定的に利用していくために,年度別及び本件組織団体別の配分計画を策定し,配分量を最新のデータにより毎年更新し,現在第3次廃棄物減容(量)化基本計画を策定中である(乙26)。 エ現状のまま埋立処分を続けていくと,α処分場は,平成24年度には満杯となるので,新たな最終処分場が必要となる(乙6)。しかし,多 し,現在第3次廃棄物減容(量)化基本計画を策定中である(乙26)。 エ現状のまま埋立処分を続けていくと,α処分場は,平成24年度には満杯となるので,新たな最終処分場が必要となる(乙6)。しかし,多摩地域では,土地の高密度利用化が進み,地域住民の自然環境保全の意識が強まってきつつあるという状況があり,今後焼却灰を埋め立てるとしても,多摩地域に新たな最終処分場を建設する用地を確保することは極めて困難な状況にある。したがって,ごみの発生の回避,抑制,再使用及びリサイクルの施策を展開するとともに,焼却灰を資源化し,最終処分場であるα処分場の延命を図ることが最大の課題であり,急務となっていた(乙7)。 オまた,本件組織団体は,前述の日野市における取組も含めて,ごみの有料化や資源化の推進などを始めとする様々な施策を展開してごみの減量化を図ってきており,その結果,家庭系の可燃ごみ及び不燃ごみについては減量効果が出ているが,事業系のごみについては増加しており,そのため資源ごみを除いたごみ量は,平成14年度が111万6000トン,平成15年度が112万4000トンと増加している(乙41)。 カ本件組織団体の一部では,減量効果のある溶解技術の導入が検討されていたが,多摩地域にある中間処理施設のほとんどが市街地にあり,その建て替えの時期も本件組織団体ごとに異なっていたため,一律の技術の導入など,早期に現在のシステムを変更していくことは困難な状況であった。 多摩地域においては,最終処分される廃棄物のうち容量で5割強を焼却残 さが占めていたが,この焼却残さを主原料として土木建築資材に再生するエコセメント技術が開発され,既に千葉県市原市において実用施設が稼働していた(乙7)。 キそこで,本件組合は,本件組織団体のごみ焼却施設から排出される焼却残さ等を 原料として土木建築資材に再生するエコセメント技術が開発され,既に千葉県市原市において実用施設が稼働していた(乙7)。 キそこで,本件組合は,本件組織団体のごみ焼却施設から排出される焼却残さ等を安全に処理し,土木建築資材であるエコセメントに再生させるエコセメント化施設をα処分場内に建設し運営することによって,埋め立てられる廃棄物の量を大幅に減少させることを目的とする「多摩地域廃棄物エコセメント化施設整備運営事業」を計画した(乙7)。 (3)本件事業は,第1に,現在埋立処分されている焼却残さ等の資源化及び有効利用を図ることによってリサイクル先進地である多摩地域における更なるリサイクルの向上に寄与し,第2に,現在埋め立てられている焼却残さの全量を資源化することによってα処分場への負荷を軽減してその有効活用及び延命化を図り,第3に,埋立処分の対象から焼却残さを除外することによってα処分場の安全な埋立対策の一層の推進を図ることを可能にするものである(乙7)。 日野市は,前述のとおり,ごみの減量化及び資源化のための様々な施策を実行してきたが,原告らの主張に係るごみゼロ社会の実現には社会そのものの漸進的改革が必要であり,一朝一夕にごみゼロ社会を実現することができるものではなく,ごみの減量及び資源としての有効利用と平行して,最終処分場の延命化のために本件事業は必要不可欠である。 (4)日野市の本件事業に対する支出が地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に違反して違法である旨の原告らの主張に対する反論等は,次のとお りである。 ア多摩地域の最終処分量及びα処分場の埋立実績は,原告らの主張のとおりである。 イ本件事業のために支出する費用は,本件施設の建設費272億円のうち補助金を控除した残額180億円,本件施設の20年間の運営業務委託 終処分量及びα処分場の埋立実績は,原告らの主張のとおりである。 イ本件事業のために支出する費用は,本件施設の建設費272億円のうち補助金を控除した残額180億円,本件施設の20年間の運営業務委託費及び修繕費640億円,合計820億円であり,これに敷地造成などの関連工事費約40億円及び起債利子分を加えると,860億円を上回る金額ということになる。 ウ運営業務委託費は,固定費分163億円を除くその余の分が変動費として処理量に応じて変動するとともに,物価変動によっても上昇する。 エ施設建設費は,本件事業基本計画では約240億円であった(乙6)のが,本件実施計画では約265億円に増えた(乙7)。これは,施設の設計について施設の設計,施工,運転,維持管理及びエコセメントの販売を一体的に民間事業者が請け負うDBO方式を採用して,本件組合が基本仕様(性能条件)を示し,民間事業者が運転及び維持管理の面における効率化を考慮して創意工夫を加えた設計及び施工を行うことにより施設設計費の縮減を図ろうとしたところ,エコセメント対象量の変更により施設の規模を縮小した反面,用地選定に伴う条件の追加や重金属回収システムの仕様を変更した結果生じたものである。 オ事業運営費は,本件事業基本計画において1年当たり約25億円であった(乙6)のが,本件実施計画において同約26.4億円に増え,修繕費及び大型修繕の年積立分同5.6億円を加えると,同約32億円に増えた (乙7)。これは,DBO方式の採用及び契約期間が15年から20年という長期間であることから,事業運営費の縮減を図ることができた反面,環境対策等として,搬入車両及び搬出車両の削減のために原料を運んできた車両をエコセメントの搬出に再利用することができるように原料を石灰石から単価の高い石灰石粉に変更したり, を図ることができた反面,環境対策等として,搬入車両及び搬出車両の削減のために原料を運んできた車両をエコセメントの搬出に再利用することができるように原料を石灰石から単価の高い石灰石粉に変更したり,本件事業基本計画の策定時には未試算であった修繕費,外注費,事務部門の人件費及び諸経費等を追加したりしたなどの結果によるものである(乙7〔7頁〕)。 カ実際の契約金額は,エコセメント化施設に関する建設工事請負契約金額が258億9000万円(乙15),エコセメント化施設に関する運営業務委託契約金額が504億7910万円(乙15)であるから,本件実施計画における施設建設費約265億円,事業運営費約528億円(乙7)を下回っている。 キα処分場の埋立率は,平成15年度が5.6%であるが,平成16年度が5.31%,平成17年度が5.1%であり,負担金の推定額は,原告らが推定する金額よりも少なくなっている。また,日野市の平成15年度の発生抑制費用は,8500万円ではなく,8554万円である。 ク日野市内において発生する平成15年度のごみの処理量は,概数としては,原告らの主張のとおりである。 しかし,原告らの主張に係る平成15年度のごみの処理費のうち,1トン当たり4万8000円とは,平成15年度のごみ処理費25億2283万円を総ごみ量5万2729トンで除して得られる4万7845円の概数であり,1トン当たり5万7000円とは,日野市が本件施設の完成後2 0年間にわたり本件事業に対して支出する費用として原告らが推計した金額の1年当たりの金額2億4000万円を平成15年度の日野市の焼却残灰の量4181トンで除して得られる5万7402円の概数であるが,本来比較の対象とはならない2つの数値を比較して,本件事業には多額の資金を要する旨主張するのは,いたずら 平成15年度の日野市の焼却残灰の量4181トンで除して得られる5万7402円の概数であるが,本来比較の対象とはならない2つの数値を比較して,本件事業には多額の資金を要する旨主張するのは,いたずらに混乱を招くものというべきである。 処理費として考えるのであれば,上記25億2283万円に上記2億4000万円を加えた27億6283万円を総ごみ量5万2729トンで除して得られる約5万2400円と比較すべきである。 ケ原告らが最終処分場の延命化を図るための安価な方法として挙げるもののうち,①ごみの分別収集については,前述したとおり,既に日野市においても実施しており,②山形県長井市の「レインボープラン」については,日野市の職員が視察し,日野市環境基本計画市民ワーキングチームのメンバーも自主的に視察し,その結果が日野市環境基本計画に反映され,③P16組合の取組については,同組合の関係者を講師として日野市の環境講座に招いてこれを紹介しており,④横須賀市の取組についても,これを把握しており(乙44),⑤プラスチックの分別収集についても,前述したとおり,モデル実験を実施中である。このように,日野市は,原告らが最終処分場の延命化を図るための安価な方法として挙げるもののうち,カナダのノバスコシア州での取組を除くその余の取組を調査して把握し,日野市の状況に応じて取り入れることができるところは取り入れているのである。例えば,日野市は,平成15年度から平成16年度まで,日野市内の企業及び大学と連携して,P11内に設置した実証プラントにおいて,学 校給食の生ごみ残さを用いたメタン発酵実証実験を実施し,日量500kgを処理して有効にガス化が行われることを確認するとともに,生ごみ残さの中にある出し汁等に使う「がら」等が発酵不適物であり,それが生ごみ残さの20 さを用いたメタン発酵実証実験を実施し,日量500kgを処理して有効にガス化が行われることを確認するとともに,生ごみ残さの中にある出し汁等に使う「がら」等が発酵不適物であり,それが生ごみ残さの20%程度を占めることが判明している。 さらに,日野市は,毎年行われている全国的な「生ごみリサイクル交流会」に参加して,情報の収集にも努めており,平成16年度には日野市の生ごみの事例を発表している。また,日野市は,平成13年度には,東京都,学識経験者,JA,農家,栄養士,行政などで構成した「日野市生ごみリサイクル(堆肥化等)推進協議会」を発足させ,原告らが挙げた自治体等の取組以外にも,減量リサイクルシステムに関する情報を収集し,都市における堆肥化を含めた有機質資源の有効活用を検討している(乙44,45)。例えば,生ごみの堆肥化については,日野市内に養鶏・酪農農家が1件しかなく,家畜ふん尿がないため,P21動物園からふんを提供してもらって実験を進めたが,温度コントロールが難しく,実験は成功とはいえなかった。また,自治会単位の堆肥化の試行,NPOへの実験の委託,コンポスト容器の購入補助金の支出,学校給食の残さコンポスト化等,多くの試行を繰り返している。 以上のとおり,日野市は,ごみの発生抑制及び再資源化に積極的に取り組んでおり,その結果,可燃ごみ及び不燃ごみを合わせて50%を減量するという成果を上げている。 しかし,そのような成果を上げても,ごみがゼロになるものではない。 ごみゼロ社会の実現には社会そのものの漸進的改革が必要であり,一朝一 夕に実現することができるものではなく,ごみをゼロにすることは実際には不可能であることから,ごみの減量と資源としての有効利用と平行して,α処分場を延命させ,資源の再利用化を図るための現実的な施策として,本件事業 とができるものではなく,ごみをゼロにすることは実際には不可能であることから,ごみの減量と資源としての有効利用と平行して,α処分場を延命させ,資源の再利用化を図るための現実的な施策として,本件事業を採用する必要がある。日野市は,α処分場の受入量がこのままでは限界に達するのは明らかであるという現実を踏まえ,本件組合から本件組織団体に提示された本件事業に関する本件事業基本計画,本件実施計画,環境影響評価等を検討した結果,本件事業は,焼却灰を安全な有用物として再利用を可能にする先進的な施策であり,現時点において最も効果的かつ現実的に採り得る施策であると判断し,本件組織団体の1つとして,本件事業に賛同し,本件組合における議決及び日野市議会における予算の承認を経て,本件事業に公金を支出することとしたのである。 したがって,日野市が,原告が最終処分場の延命化を図るための安価な方法と本件事業との比較検討を一切行うことなく,本件組合が決定し指示するままに,本件事業に係る負担金を支出し,又は支出しようとしているということはできない。 コさらに,日野市の本件事業に対する負担金算定の基礎となる本件組織団体別焼却灰埋立比率は,平成15年度が5.6%(乙17),平成16年度が5.3%(乙30),平成17年度が5.1%(乙31)と,漸次減少の傾向にあり,同年度の本件事業に対する負担金算定の基準となっている平成9年度から平成15年度までの焼却灰埋立実績に基づいて,本件施設の運営期間である平成18年4月から同38年3月までの20年間の日野市の負担金を予測すると,約42億円弱となる。 原告らの主張に係る「残灰をそのまま貯蔵する」という方策を採用した場合,上記約42億円弱という金額で上記方策のために必要な用地の取得,施設建設及び管理運営を賄うことができるという 弱となる。 原告らの主張に係る「残灰をそのまま貯蔵する」という方策を採用した場合,上記約42億円弱という金額で上記方策のために必要な用地の取得,施設建設及び管理運営を賄うことができるという保証はなく,α処分場が土地の選定から供用開始までに10年を費やしていることからすると,α処分場が満杯となる平成24年度までに上記方策のために必要な用地の取得及び施設建設をなし得る可能性は極めて小さいと考えられる。 また,本件事業に取り組まなければ,即刻新たな処分場の造成に取り組まざるを得ない状況にあるが,現在の多摩地域の都市化による過密状態を考えれば,新たな処分場の造成は極めて困難である上,そのために要する費用も膨大なものとなることが予測される。 そうすると,上記約42億円弱という金額は,今後20年間排出されるごみの処分の経費としてやむを得ない許容範囲の額であり,到底財政的浪費とはいえないことは明らかである。 本件施設が違法で合理性を有しないことを理由に,日野市の本件事業に対する支出が地方自治法及び地方財政法の趣旨に照らして違法であるということはできない。その理由は,次のとおりである。 (1)エコセメントがいわばごみであり,再資源化という点からみておよそ役に立たないものであり,本件施設が,従来廃棄物処分場に埋め立てていた焼却灰をエネルギーと鉱物という貴重な資源を消費し,かつ多大な費用をかけて固形のごみに転換させるだけの施設であるなどということができないことは,以下の点から明らかである。 アエコセメント技術の開発の経過は,次のとおりである。 (ア)エコセメント技術の実証研究は,平成5年度に通産省の事業として開始され,その外郭団体である新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。)が財団法人P13に委託して実施された (ア)エコセメント技術の実証研究は,平成5年度に通産省の事業として開始され,その外郭団体である新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。)が財団法人P13に委託して実施された。 官民共同で同年度から平成9年度まで実証プラント(エコセメント生産量1日当たり50トン規模)を使用して行われ,実証研究を通して,エコセメントの特性,塩素対策,環境対策,プラント連続運転の可否等について様々な確度から検討が加えられ,同年度にエコセメント技術として確立された(乙6)。 (イ)エコセメント技術の実証研究は,技術委員会(委員長はP12京都大学名誉教授。構成メンバーは,学識経験者,厚生省(現在は厚生労働省),通産省,運輸省及び建設省(現在は国土交通省)の各職員並びに民間企業代表)を設けて行われ,この研究成果から普通エコセメント及び速硬エコセメントが開発された(乙5)。 (ウ)エコセメント技術は,長い歴史を持つセメント製造技術を応用して開発された技術であり,平成14年7月20日にJIS規格(JISR5214)として制定された(乙6,12)。 イ次のとおり,エコセメントに多量の有害物質が含まれているという事実も,エコセメントの製造によって多量の有害物質が排出されるという事実もない。 (ア)エコセメントとは,都市部などで発生する廃棄物のうち主たる廃棄物である都市ごみを焼却した際に発生する焼却残さを主とし,必要に応じて下水汚泥などの廃棄物を従としてエコセメントクリンカーの主原料 に用い,製品1トンにつきこれらの廃棄物をJISA1203に規定される乾燥ベースで500kg以上使用して作られるセメントであり(乙12),エコセメントクリンカーの原料に用いられる都市ごみの焼却残さ及び下水汚泥には,重金属類及び有機化合物であるダイオキシン類 定される乾燥ベースで500kg以上使用して作られるセメントであり(乙12),エコセメントクリンカーの原料に用いられる都市ごみの焼却残さ及び下水汚泥には,重金属類及び有機化合物であるダイオキシン類を含むことがある。 (イ)aしかし,重金属類である鉛,銅,カドミウム,水銀などの大部分は,1300度以上の焼成工程で塩化物の形態でセメントクリンカーから分離され,冷却されて,アルカリ塩化物と共にダストとしてバグフィルタで回収されるので,エコセメントに含まれる重金属類は減少する。 また,エコセメント中に残存している重金属類も,焼成によって生成した鉱物の結晶構造に取り込まれることにより,溶出が防止される。その結果,将来,エコセメントで造られた構造物を廃棄するときでも,重金属類の溶出が防止される(乙6)。 bNEDOが行った重金属溶出試験では,モルタル(砂を混ぜて固めた物),コンクリート(砂,砂利を混ぜて固めた物),ブロック(インターロッキングブロック),エコセメント粉末及び固化ペースト(水のみを混ぜて固めた物)のいずれについても土壌の汚染にかかわる環境基準(環境庁告示第46号)を満足し,ほとんど定量下限値未満であり,また,本件組合がα処分場内で2年間屋外暴露したエコセメント製品及び普通セメント製品の溶出試験においても同様の結果(平成14年1月)であったから,上記実験結果からも上記aは裏付けられている。 (ウ)aまた,ダイオキシン類は,焼成工程において800度以上の高温 によって分解され,排ガス,ダスト及びセメントクリンカーの中には残存しない(乙12)。 bNEDOが行った実証実験では,焼却残さが約1350度の高温で約40分以上にわたりロータリキルン内で焼却されることにより焼却残さに含まれるダイオキシン類は分解され,エコセメント内にダ 乙12)。 bNEDOが行った実証実験では,焼却残さが約1350度の高温で約40分以上にわたりロータリキルン内で焼却されることにより焼却残さに含まれるダイオキシン類は分解され,エコセメント内にダイオキシン類はほとんど含まれず,定量下限値未満から0.00028ng-TEQ/gであり,また,本件組合が平成11年7月から同年9月まで実施した測定においても同様の結果であったから,上記実験結果からも上記aは裏付けられている。 (エ)また,排ガス中に移行させた重金属類は,排ガス処理施設で捕そく,処理されるので,大気中に排出されない。そして,捕そくされた重金属類は,重金属回収設備によって回収されるので,本件事業の処理工程で発生する排水は,各種規制値を十分に満足するものである。 (オ)aさらに,排ガスに含まれるダイオキシン類は,800度以上の温度で約9秒以上の滞留時間を経て分解され,急冷を行うことにより再合成が抑制される。また,排ガス処理設備としてバグフィルタ及び活性コークス塔を設置することにより,煙突から排出されるダイオキシン類は,ダイオキシン類対策特別措置法,廃棄物の処理及び清掃に関する法律並びに大気汚染防止法による規制値を十分に満足するものである。また,重金属回収設備から出た排水も,各種規制値を十分に満足するものである。 bNEDOが行った実証実験では,煙突から排出されるダイオキシン 類は,定量下限値未満から0.00056ng-TEQ/gであり,各種規制値をはるかに下回るものであり,また,重金属回収設備から出た排水は,0.46pg-TEQ/Lであり,各種規制値を十分に下回るものであり,また,本件組合が平成11年7月から同年9月まで実施した測定においても同様の結果であったから,上記実験結果からも上記aは裏付けられている。 ウ次 Q/Lであり,各種規制値を十分に下回るものであり,また,本件組合が平成11年7月から同年9月まで実施した測定においても同様の結果であったから,上記実験結果からも上記aは裏付けられている。 ウ次のとおり,エコセメントの安全性が確認されている。 (ア)廃棄物学会は,平成11年8月,エコセメント製品の重金属溶出試験に関する検討委員会を設置し,同委員会は,各国で行われている安全性確認のための溶出試験方法及び基準を調査,検討し,また,エコセメントについて日本,アメリカ,カナダ,ドイツ,スイス及びオランダ等で実施されている溶出試験方法を用い,エコセメント製品の安全性を確認した。 (イ)エコセメントの試験は,JISR5201(セメントの物理試験方法),JISR5202(ポルトランドセメントの科学分析方法)及びJISR5204(セメントの蛍光X線分析方法)により行われ,エコセメントの検査は,合理的な抜取り方法によって試料を採取し,品質についてはJISR5201,JISR5202及びJISR5204によって試験を行い,合否を決定する(乙12)。そして,エコセメントの試験成績表,化学成分例,構成鉱物例,品質及び溶出試験結果は,JISR5201(乙12)記載のとおりであり,普通エコセメントは,普通ポルトランドセメントに類似する性質を持ち,レディーミスクコン クリートの材料の規格に適合する(乙27)。 (2)本件施設が違法で合理性を有しないことを理由に,日野市の本件事業に対する支出が地方自治法及び地方財政法の趣旨に照らして違法である旨の原告らの主張に対する反論等は,次のとおりである。 アP15が営む件外施設と本件施設とでは,構造も規模も異なっており,P15で起こった出来事が本件施設と直接の関連はないというべきである。 イエコセメント初の実用 対する反論等は,次のとおりである。 アP15が営む件外施設と本件施設とでは,構造も規模も異なっており,P15で起こった出来事が本件施設と直接の関連はないというべきである。 イエコセメント初の実用施設として,平成13年4月から生産を開始したP15の平成13年度のエコセメントの生産量は4万0992トン,販売量は3万8228トンであるが,その全量をP8が引き受け,P8が普通エコセメントとして販売し,その価格は普通ポルトランドセメントと同等レベルで個別に決定されている(乙7)。 多摩地域で生産されるエコセメント量は,年間16万トン(低塩素型)から19万トン(標準型)であると試算されているのに対し,関東地区における無筋系用途のセメントの販売量は,年間約300万トンと推計され,エコセメントの特性を活かした利用方法として無筋の2次製品(セメントボード,ブロック等)や固化材(土壌改良材)等としての用途があることから,本件事業において生産されるエコセメントを吸収するのに十分な需要があると考えられる。今後,本件組合の発注の工事にエコセメントを使用するとともに,東京都及び多摩地域の市町村の公共工事において積極的にエコセメントを使用するべく関係機関と協議し,更なる需要が喚起されるよう取り組んでいく(乙5)。 したがって,エコセメントが市場流通性を欠いているということはでき ない。 ウ本件組合を構成する25市1町は,第2次減容化計画に沿って,ごみの発生回避,抑制及び再使用の政策を展開中であるが,焼却ごみゼロを実現することは困難であり,最終処分場がひっ迫している状況にある。本件事業は,このような状況の中で,廃棄物処理に責任を持つ本件組織団体が,ごみの抑制及び減容政策を優先してもなお排出せざるを得ない焼却処理した焼却灰を原料として最終処分場の延命のため る状況にある。本件事業は,このような状況の中で,廃棄物処理に責任を持つ本件組織団体が,ごみの抑制及び減容政策を優先してもなお排出せざるを得ない焼却処理した焼却灰を原料として最終処分場の延命のためにマテリアルリサイクルをしようとする政策であり,現時点において選択することができる効果的かつ最も現実的な施策であるということができる。 そして,日野市は,①エコセメントそのものの製造方法,試験,検査,品質及び用途が日本工業規格に規定された安全な製品であること,②エコセメント化施設建設事業についての環境影響評価の結論が関係する法令基準に適合するばかりでなく,法令基準よりも厳しい自己規制値を設定してそれをクリアーした上で,本件事業の受注者に対してこれを保証することができる環境対策を講ずることを要求していること,③本件施設の施行者が法令等の規制値より厳しい自己規制値を遵守するために,環境対策前の排出ガス量,処理前のばい煙濃度等を把握し,それらを基礎として環境対策を適切に講じていること,④既に市原市においてP15が平成13年度から年間11万トンの実績を上げていること等から,焼却灰を原料とするエコセメント事業を安全と判断して本件事業の導入に踏み切ったのである。 したがって,本件事業は,日野市ごみゼロプラン及び循環型社会形成推進基本法と何ら矛盾するものではない。 4(1)本件施設のプラント設備は,受入れ,前処理,焼成,仕上げ,排ガス処理,煙突,重金属の回収等を行う設備によって構成されており,その概要は,環境影響評価書(乙28,32)記載のとおりである。また,本件組合は,本件施設において本件事業を行うに際し,大気汚染防止対策,水質汚濁防止対策,騒音防止対策,振動防止対策,悪臭防止対策及び粉じん飛散防止対策といった公害防止対策を行うこととしており, た,本件組合は,本件施設において本件事業を行うに際し,大気汚染防止対策,水質汚濁防止対策,騒音防止対策,振動防止対策,悪臭防止対策及び粉じん飛散防止対策といった公害防止対策を行うこととしており,その詳細は,環境影響評価書記載のとおりである。さらに,本件組合が地域の状況の概況及び本件事業における環境影響要因を考慮して選定した予測,評価項目について現況調査を行ったところ,本件施設において本件事業を実施することが環境に及ぼす影響は,大気汚染,悪臭,騒音,振動,水質汚濁,地形及び地質,水循環,生物及び生態系,景観,自然とのふれあい活動の場,廃棄物並びに温室効果ガスについて,それぞれ環境影響評価書記載のとおりであると予測,評価された。 そして,環境影響評価書によると,本件施設の周辺住民の生命身体の安全を脅かすことはないから,財務会計行為の原因となる行為が違法であるということはできないのであり,本件事業を先行行為として日野市が本件組合に対して負担金として支出した金員のうちエコセメント事業に係る分の支出が違法であるということはできない。 そして,本件事業は,東京都清掃局の提案を受け,多摩地域におけるごみ減量やリサイクルを推進するための施策として,官民の共同開発によるエコセメント技術を活用し,最終処分される廃棄物の過半を占める焼却残さを資源化することによって,リサイクルを進め,最終処分場の有効活用を図るため,本件組合において本件導入基本計画を策定し,次に,安全性,環境への 影響,販路の確実性,環境に対する影響,最終処分場の延命効果,財政負担等,様々な角度から検討した結果を踏まえて,本件事業基本計画を策定し,東京都,本件組織団体代表及び本件組合事務局で構成する本件検討委員会を設置して,本件検討委員会による検討,本件組合による適地選定調査,環境 角度から検討した結果を踏まえて,本件事業基本計画を策定し,東京都,本件組織団体代表及び本件組合事務局で構成する本件検討委員会を設置して,本件検討委員会による検討,本件組合による適地選定調査,環境影響調査等を行った上,本件組合の理事会及び組合議会において本件実施計画並びに予算及び負担金が議決され,承認されている。以上の経過に前述したことを考え併せると,本件事業の内容及び決定に至るまでの手続の両面において,原告らの主張に係る違法や瑕疵が存在しないことは明らかであって,本件事業を先行行為として日野市が本件組合に対して負担金として支出した金員のうちエコセメント事業に係る分の支出には何らの財務会計法規上の違法も存しないというべきである。 (2)仮に,本件事業に何らかの違法又は瑕疵があったとしても,その違法又は瑕疵は重大かつ明白な瑕疵ではないから,日野市の本件事業に対する支出が財務会計法規上違法であるということはできない。その理由は,次のとおりである。 ア地方自治法242条の2第1項4号の規定に基づく損害賠償請求訴訟は,住民訴訟の1類型として,財務会計上の行為を行う職員に対して職務上の義務に違反する財務会計上の行為による当該職員の個人としての損害賠償義務の履行を求めるものにほかならないから,当該職員の財務会計上の行為をとらえて損害賠償責任を問うことができるのは,これに先行する原因行為に違法事由が存するだけでなく,その原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体に財務会計法規上の義務に違反する違法がある場合に限 られる。 イそして,先行行為を行った機関が後行行為を行う機関に対して独立的な地位を有する場合,後行行為を行う機関は先行行為を尊重すべき義務を負うから,原則として先行行為の違法性は後行行為には承継されないことになり,著しく合理 行った機関が後行行為を行う機関に対して独立的な地位を有する場合,後行行為を行う機関は先行行為を尊重すべき義務を負うから,原則として先行行為の違法性は後行行為には承継されないことになり,著しく合理性を欠き,そのためにこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵,すなわち,いわゆる重大かつ明白な瑕疵が先行行為に存しない限り,後行行為を行う機関は,先行行為を尊重し,これを前提として,これに伴う所要の財務会計法規上の措置を執るべき義務があるということになるから,後行行為を行う機関の行為は,財務会計法規上違法とはならない。 ウ本件組合は,地方自治法284条2項の規定に基づいて昭和55年11月に設立された一部事務組合であり,①一般廃棄物の最終処分を広域的に行うための最終処分場の設置及び管理に関する事務,②一般廃棄物の焼却残さ等の処理を広域的に行う事業に関する事務を共同で処理するものとされ,日野市は,本件組合を組織する25市1町の1つである。一部事務組合が設立されると,それによって共同処理するものとされた事務は関係地方公共団体の権能から外され,その事務は一部事務組合に引き継がなければならないから,本件組合の構成員である日野市は,上記①及び②の事務を本件組合に引き継いでおり,本件組合の共同処理事務に関する事業や本件組合の組織団体別負担金の決定にはこれに従わざるを得ない立場にあることになる。したがって,日野市の本件事業に対する支出は,本件事業に重大かつ明白な瑕疵がない限り,財務会計上違法な行為であるということ はできない。そして,前述したところによると,本件事業に重大かつ明白な瑕疵があるということはできないから,日野市の本件事業に対する支出が財務会計上違法であるということはできない。 原告らが,財務会計行為の原因となる行為が違法で ろによると,本件事業に重大かつ明白な瑕疵があるということはできないから,日野市の本件事業に対する支出が財務会計上違法であるということはできない。 原告らが,財務会計行為の原因となる行為が違法であれば,当該財務会計行為も違法である旨の主張の論拠として引用する最高裁昭和60年9月12日第一小法廷判決は,要旨,「地方自治法242条の2の住民訴訟の対象が普通地方公共団体の執行機関又は職員の違法な財務会計上の行為又は怠る事実に限られることは,同条の規定に照らして明らかであるが,上記の行為が違法となるのは,単にそれ自体が直接法令に違反する場合だけではなく,その原因となる行為が法令に違反し許されない場合の財務会計上の行為もまた,違法となる」旨説示しているが,この説示は,同法242条の2第1項4号の請求に係る事案には当てはまるが,同項1号の請求に係る事案には当てはまらない。なぜなら,同項4号の請求に係る事案では,財務会計上の行為の違法性は,当該職員が普通地方公共団体に対し損害賠償義務を負うか否かという観点からのみ問題とされるので,仮に,原因となる先行行為が違法であるために当該財務会計上の行為も違法であるとされたとしても,その原因となる行為自体の効力まで覆されるわけではないが,同項1号の請求に係る事案では,その原因となる行為の違法性の主張を許すと,事実上,非財務会計上の行為の遂行を阻止する結果となって適当ではないからである。そして,住民訴訟制度の趣旨,目的,及び行政行為一般の違法を争う手段として設けられている抗告訴訟制度では,行政処分に該当する行政庁の行為のみを対象として,原告適格を有する者のみに抗告訴訟を認め,出訴期間も制限していることも勘案すれば,同項1号の請求に 係る事案においては,同項4号の請求に係る事案以上に積極的な理由により, 為のみを対象として,原告適格を有する者のみに抗告訴訟を認め,出訴期間も制限していることも勘案すれば,同項1号の請求に 係る事案においては,同項4号の請求に係る事案以上に積極的な理由により,重大かつ明白な瑕疵が先行行為に存しない限り,後行行為を行う機関は,先行行為を尊重し,これを前提として,これに伴う所要の財務会計法規上の措置を執るべき義務があるというべきである。 以上

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