平成24年5月9日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成23年(行ケ)第10204号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年4月11日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2010-800203号事件について平成23年5月24日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,被告の下記2の本件発明に係る特許に対する原告の特許無効審判の請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記3のとおり)には,下記4の取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。 1 特許庁における手続の経緯(1) 被告は,平成17年6月17日,発明の名称を「マッサージ機」とする特許出願(特願2005-177177号,国内優先権主張日:平成10年11月2日(特願平10-312446号))をし,平成20年9月19日,設定の登録(特許第4188946号)を受けた。以下,この特許を「本件特許」といい,本件特許に係る明細書(甲8)を「本件明細書」という。 (2) 原告は,平成22年11月4日,本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)について,特許無効審判を請求し,無効2010-800203号事件として係属した。 (3) 特許庁は,平成23年5月24日,「本件審判の請求は,成り立たない。」旨の本件審決をし,同年6月2日,その謄本が原告に送達された。 2 本件発明の要旨 件として係属した。 (3) 特許庁は,平成23年5月24日,「本件審判の請求は,成り立たない。」旨の本件審決をし,同年6月2日,その謄本が原告に送達された。 2 本件発明の要旨 本件審決が判断の対象とした発明は,特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。文中の「/」は,原文の改行部分を指す。 座部及び背凭れ部と,前記座部の前部に上下揺動自在として設けられたフットレストと,を有し,前記フットレストは,上方へ揺動して前記座部から前方へ突出している状態となることができ,前記フットレストは,使用者の脚にマッサージすることが可能な空気式のマッサージ具を有している椅子型マッサージ機において,/前記フットレストが,脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割され,/前記座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームと,前記固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームと,前記第一スライドフレームに対して前後に移動調整自在である第二スライドフレームとを有し,/前記第一フットレスト部は,前記第一スライドフレームに固着され,前記第二フットレスト部は,前記第二スライドフレームに固着されており,/前記フットレストが前方へ突出している状態で,前記第一フットレスト部及び前記第二フットレスト部が全体として前記座部に対して前後に接離調整可能で,かつ,この第二フットレスト部が前記第一フットレスト部に対して前後方向に接離調整可能に構成されていることを特徴とする椅子型マッサージ機 3 本件審決の理由の要旨(1) 本件審決の理由は,要するに,本件発明は,下記アの引用例に記載された発明(以下「引用発明」という。)及び下記イないしキの周知例1な とする椅子型マッサージ機 3 本件審決の理由の要旨(1) 本件審決の理由は,要するに,本件発明は,下記アの引用例に記載された発明(以下「引用発明」という。)及び下記イないしキの周知例1ないし6に記載された事項又は周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない,というものである。 ア引用例:実公昭35-585号公報(甲1) イ周知例1:特開平10-196817号公報(平成10年7月31日公開。 甲2)ウ周知例2:特開平8-322895号公報(甲3)エ周知例3:特公平3-15910号公報(甲4)オ周知例4:特開平9-154667号公報(甲5)カ周知例5:特開平2-206406号公報(甲6)キ周知例6:特開昭50-136994号公報(甲7)(2) 本件審決が認定した引用発明並びに本件発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。 ア引用発明:座褥及び背面凭掛と,座褥の前縁に起伏可動状に設けられた脛当座及び足台と,を有し,脛当座及び足台は,上方へ揺動して座褥から前方へ突出している状態となることができ,脛当座及び足台は,按摩する人のふくらはぎと足裏に振動按摩することが可能な電磁バイブレーターの振動子を有している安楽椅子において,脛当座及び足台が,ふくらはぎを振動按摩する脛当座と足裏を振動按摩する足台とに分割され,座褥の前縁に起伏可動状に連結されている剛性フレームと,剛性フレームに対して可動なく字形板金とを有し,脛当座は剛性フレームに固着され,足台は,く字形板金に固着されており,脛当座及び足台が前方へ突出している状態で,足台が座褥に対して伸縮下降可能で,かつ,足台が脛当座に対して伸縮下降可能に構成されている安楽椅子イ一致点:座部及び背凭れ部と, 金に固着されており,脛当座及び足台が前方へ突出している状態で,足台が座褥に対して伸縮下降可能で,かつ,足台が脛当座に対して伸縮下降可能に構成されている安楽椅子イ一致点:座部及び背凭れ部と,前記座部の前部に上下揺動自在として設けられたフットレストと,を有し,前記フットレストは,上方へ揺動して前記座部から前方へ突出している状態となることができ,前記フットレストは,使用者の脚にマッサージすることが可能なマッサージ具を有している椅子型マッサージ機において,前記フットレストが,脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と,マッサージする第二フットレスト部とに分割され,前記座部の前端に上下揺動自在として連結されている固定フレームと,フレームに対して前後に移動調整自在である第二ス ライドフレームとを有し,前記第一フットレスト部は,フレームに固着され,前記第二フットレスト部は,前記第二スライドフレームに固着されており,前記フットレストが前方へ突出している状態で,前記第二フットレスト部が前記座部に対して前後に接離調整可能で,かつ,この第二フットレスト部が前記第一フットレスト部に対して前後方向に接離調整可能に構成されている椅子型マッサージ機という点ウ相違点1:マッサージ具について,本件発明では「空気式のマッサージ具」であるのに対し,引用発明では「電磁バイブレーターの振動子」である点エ相違点2:第二フットレスト部が,本件発明では「脚の下側」(ふくらはぎないし足首周辺(足裏は含まない)のうちの下側)をマッサージするものであるのに対し,引用発明では「足裏」をマッサージするものである点オ相違点3:固定フレームについて,本件発明では座部の「前端下部」に連結されているのに対し,引用発明では「前端」に連結されている点カ相違点4 発明では「足裏」をマッサージするものである点オ相違点3:固定フレームについて,本件発明では座部の「前端下部」に連結されているのに対し,引用発明では「前端」に連結されている点カ相違点4:本件発明は「前記固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームと,前記第一スライドフレームに対して前後に移動調整自在である第二スライドフレームとを有し,前記第一フットレスト部は,前記第一スライドフレームに固着され」,「前記フットレストが前方へ突出している状態で,前記第一フットレスト部及び前記第二フットレスト部が全体として前記座部に対して前後に接離調整可能」であるのに対し,引用発明は,本件発明の「固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレーム」に相当する構成を有していない点,及びそれに伴って,第二スライドフレーム(く字形板金)は,「第一スライドフレーム」に対して前後に移動調整自在なものでなく,第一フットレスト部(脛当座)は,「第一スライドフレーム」に固着されるものでなく,第一フットレスト部(脛当座)及び第二フットレスト部(足台)が「全体として」座部(座褥)に対して前後に接離調整可能なものでもない点 4 取消事由(1) 本件発明の要旨認定の誤り(取消事由1) (2) 相違点1及び2に係る判断の誤り(取消事由2)(3) 相違点4に係る判断の誤り(取消事由3)第3 当事者の主張 1 取消事由1(本件発明の要旨認定の誤り)について〔原告の主張〕本件審決は,周知例1,2及びその他の公知例に基づき,本件発明の要旨として,空気式のマッサージ具によってふくらはぎ又は足をマッサージするためには,ふくらはぎ等を空気式のマッサージ具で挟持するか,ふくらはぎ等を空気式のマッサージ具と壁とで挟持す づき,本件発明の要旨として,空気式のマッサージ具によってふくらはぎ又は足をマッサージするためには,ふくらはぎ等を空気式のマッサージ具で挟持するか,ふくらはぎ等を空気式のマッサージ具と壁とで挟持するように構成する必要があると認定した。 しかし,本件発明の特許請求の範囲では,単に「前記フットレストは,使用者の脚にマッサージすることが可能な空気式のマッサージ具を有している」と記載されているだけであり,脚を挟持する構成に限定する旨の記載はない。本件審決の上記認定は,発明の要旨認定については,特段の事情のない限り,願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきであるとする判例(最高裁昭和62年(行ツ)第3号平成3年3月8日第二小法廷判決・民集45巻3号123頁)に反するものである。 したがって,本件審決による本件発明の要旨認定は誤りである。 〔被告の主張〕原告は,本件審決による本件発明の要旨認定は誤りであると主張する。 しかし,原告が指摘している本件審決の説示部分は,本件発明の要旨を認定したものではなく,引用発明に対する周知例1,2及び6に記載された事項の適用可能性を論じたものである。原告の主張は,引用発明に対する適用可能性の問題を本件発明の要旨認定と混同したものであり,失当である。 2 取消事由2(相違点1及び2に係る判断の誤り)について〔原告の主張〕(1) 相違点1について ア本件審決は,相違点1について,周知例1,2及び6に基づき,椅子型マッサージ機のフットレストに空気式のマッサージ具を設けることや,足裏を指圧することが可能な空気式の指圧装置は,周知技術であると認定したが,①引用発明は椅子型マッサージ機であって,そのフットレスト部はふくらはぎと足裏をマッサージする構成であるが,周知 ることや,足裏を指圧することが可能な空気式の指圧装置は,周知技術であると認定したが,①引用発明は椅子型マッサージ機であって,そのフットレスト部はふくらはぎと足裏をマッサージする構成であるが,周知例1及び2記載の空気式マッサージ具は足裏をマッサージするものではなく,周知例6記載の空気式マッサージ具も椅子型マッサージ機に配されたものではない,②引用発明における振動子を空気式マッサージ具とすることは,引用発明の目的に沿わない,③引用発明の脛当座及び足台の形状は,ふくらはぎと足裏を挟持するように空気式のマッサージ具を配置できる形状ではないとして,引用発明に周知例1,2及び6に記載された事項又は周知技術を適用し,空気式のマッサージ具とすることは,当業者が容易に想到し得たことではないと判断した。 イしかし,次のとおり,本件審決の判断は誤りである。 (ア) 上記①について椅子型マッサージ機のフットレストに配設されるマッサージ手段として,エアセルとバイブレーターの振動子とを相互に置換し得ることは従来から知られている(甲11)。したがって,周知例1及び2記載の空気式マッサージ具が足裏をマッサージするものではないことや,周知例6記載の空気式マッサージ具が椅子型マッサージ機に配されたものではないことは,引用発明について,椅子型マッサージ機のフットレストに空気式のマッサージ具を設けるという周知技術の適用を否定する根拠にはならない。 (イ) 上記②について引用発明の目的は,最も適当な圧力と位置で按摩をすることである。この目的は,マッサージ手段の具体的構成によって影響されるものではないから,引用発明の振動子を空気式マッサージ具とすることが引用発明の目的に沿わないとした本件審決の判断は誤りである。 (ウ) 上記③について 本件 体的構成によって影響されるものではないから,引用発明の振動子を空気式マッサージ具とすることが引用発明の目的に沿わないとした本件審決の判断は誤りである。 (ウ) 上記③について 本件審決の判断は,本件発明に関する誤った要旨認定を前提とするものであるから,この判断も誤りである。 仮に,本件審決による要旨認定を前提とした場合であっても,椅子型マッサージ機のフットレストに施療部位を挟持しない空気式マッサージ具を設ける構成は,従来から存在する(甲10)。また,必ずしもU字型の壁部を有さなくても,平面形状のフットレストに施療部位を挟持する空気式のマッサージ具を配することも,技術常識として存在している(甲19,20,29)。したがって,本件審決の判断は誤りである。 ウ被告の主張について(ア) 被告は,振動子と空気式マッサージ具とでは技術的意義が異なるから,その置換可能性については,これらが設置される周辺構造と一体に検討されるべきであり,これらを抽象的に取り出して他の引用例と組み合わせることはできないと主張する。 しかし,本件特許の出願当初の特許請求の範囲では,フットレスト部に配設されるマッサージ具について,空気式又は振動子との限定はなかったが(甲21),拒絶査定の後,補正により「空気式の」との文言が加えられたものである(甲24)。 また,本件明細書においても,「座部及びフットレストにおいてマッサージ具によるマッサージとともに振動によるマッサージを施すことができる」(【0039】【0040】)と記載されている。 したがって,本件発明の技術的意義との関係で,フットレストに配されるマッサージ具が空気式であるか否かは重要な要素ではない。 また,甲25には,ふくらはぎを振動装置によってマッサージする平面状フットレストに て,本件発明の技術的意義との関係で,フットレストに配されるマッサージ具が空気式であるか否かは重要な要素ではない。 また,甲25には,ふくらはぎを振動装置によってマッサージする平面状フットレストについて,必要に応じて,人の足首背面側をかたどった表面形状を有するエアマッサージ部を設けるため,両足首を下と横から包み込むような形状にすることが開示されている。 したがって,仮に,振動子又は空気式マッサージ具の置換可能性については,こ れらが配設される装置の構造を一体として検討されるべきであるとしても,フットレスト部の形状を平面状にするか又は人体の脚部の形状にかたどった表面形状にするかは,必要に応じて選択し得ることである。 (イ) 被告は,引用発明において空気式マッサージ具を用いると,その伸長時に脚が左右にずれるなどして適切なマッサージができないと主張する。 しかし,甲26及び甲28には,椅子型マッサージ機の平面状のフットレストの表面側に空気式マッサージ具を配設する技術が開示されている。また,甲27にも,椅子型マッサージ機における,脚部を挟み込むための壁を有しないフットレストの構成に相当する表面部分に空気式マッサージ具を配設する構造が開示されている。 したがって,引用発明の脛当座及び足台についても,脚が左右にずれるなどして適切なマッサージ効果を得られないという不具合を生じさせることなく,空気式マッサージ具を採用することはできるといえる。 (2) 相違点2について本件審決は,引用発明の足台は足裏を載置し,これを押し下げて,適当な圧力で足裏をマッサージすることを前提とするから,マッサージ対象を足裏に代えて,ふくらはぎないし足首周辺(足裏は含まない)のうちの下側とすることには,阻害要因がある,仮に,フットレストに配設するマッサージ 足裏をマッサージすることを前提とするから,マッサージ対象を足裏に代えて,ふくらはぎないし足首周辺(足裏は含まない)のうちの下側とすることには,阻害要因がある,仮に,フットレストに配設するマッサージ具の施療範囲を足裏付近とするか,足裏からふくらはぎの下側ないし足首までも含めるかということが設計事項であるとしても,「足裏からふくらはぎの下側ないし足首」は足裏を含む以上,「脚の下側」とはいえないから,引用発明の足台を「脚の下側」,すなわち「ふくらはぎないし足首周辺(足裏は含まない)のうちの下側」をマッサージするものとすることは,当業者が容易に想到し得たこととはいえないと判断した。 しかし,例えば,甲10の図1及び2では,フットレストの当接位置及びこれに配設するマッサージ具の施療範囲を足裏から足首付近までを含めた部分とする構成が開示され,図8ないし10では,これを足裏からふくらはぎの下側までを含めた部分とする構成が開示されているから,フットレストを有する椅子型マッサージ機 に関する技術分野において,フットレストの当接位置及びこれに配設するマッサージ具の施療範囲を足裏付近とするか,あるいは,足裏からふくらはぎの下側ないし足首までとするかは,単なる設計事項である。 したがって,マッサージ具の施療範囲として,足裏から足首ないしふくらはぎまでとするか,足裏を除外した脚の下側とするかも,単なる設計事項というべきであって,引用発明の足台について,ふくらはぎないし足首周辺(足裏は含まない)のうちの下側をマッサージするものとすることは,当業者が容易に想到し得たことである。 (3) よって,相違点1及び2に係る本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕(1) 相違点1についてア原告は,甲11には,エアセルとバイブレーターの振動子とを たことである。 (3) よって,相違点1及び2に係る本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕(1) 相違点1についてア原告は,甲11には,エアセルとバイブレーターの振動子とを置換し得ることが開示されていると主張する。 しかし,引用発明は,椅子の脛当座に足台を設け,脛当座や足台に振動子を設けるという構成を有しているところ,振動子は椅子に座った使用者が自ら脚をこれに押し当ててマッサージするというものであり,空気の供給によって伸長する空気式マッサージ具が能動的に脚を押圧する構成とは技術的意義が異なる。これらの作用からすれば,振動子と空気式マッサージ具との置換可能性は,これらが設置される装置の構造と一体に検討されるべきものであって,装置の他の要素との関係を無視して,振動子又は空気式マッサージ具のみを抽出して他の引用例に組み合せることはできないというべきである。引用発明の脛当座及び足台の振動子を空気式マッサージ具に置換すると,空気式マッサージ具の伸長時に押された脚が押圧方向に持ち上がったり,左右にずれたりして適切なマッサージ効果を得ることができなくなるのであり,空気式マッサージ具を用いるのであれば,引用発明のような構成を採用することはない。 イ原告は,引用発明の目的は最も適当な圧力と位置で按摩することに限定され るから,引用発明の振動子を空気式マッサージ具に代えるとその目的に沿わなくなるとした本件審決の判断は誤りであると主張する。 しかし,本件審決は,空気式マッサージ具と振動子とは作用形態が異なるから,引用発明のマッサージ具を空気式マッサージ具とすることは,ふくらはぎと足裏を振動子で振動按摩するという引用発明の目的に沿わないと指摘したのであって,足台の伸縮下降機能の目的について述べたものではないから,原 のマッサージ具を空気式マッサージ具とすることは,ふくらはぎと足裏を振動子で振動按摩するという引用発明の目的に沿わないと指摘したのであって,足台の伸縮下降機能の目的について述べたものではないから,原告の主張は前提において誤りである。 ウ原告は,甲10を挙げて,施療部位を挟持しない空気式のマッサージ具を設ける構成は従前から存在すると主張する。 しかし,甲10記載のフットレストは,ふくらはぎを挟持するように空気式マッサージ具が配置される構成に加えて,底部にも空気袋を備えたものであって,ふくらはぎを挟持する構成が存在しないものではない。 また,原告は,甲19及び20には,マッサージ用袋体を平面状のフットレストに配置して施療部位を挟み得る構成が記載されているとも主張する。 しかし,甲19及び20には,フットレストは開示されておらず,脚に対応する位置にマッサージ用袋体が配置されたマット式のエアマッサージ機が開示されているだけである。当業者は,甲19及び20から,マット式のエアマッサージ機では,寝転んだ使用者の脚の両側にマットから盛り上がるように膨張する空気袋を設けるものがあることを把握するにすぎない。 (2) 相違点2について原告は,甲10の図1及び2には,足裏及び足首付近を施療範囲とすることが開示され,同図8ないし10にも,足裏及びふくらはぎ下側を施療範囲とすることが開示されていると主張する。 しかし,甲10の図1及び2は,地面設置型のエアーマッサージ機を開示しているにすぎず,同図8ないし10も,ブーツ式のエアーマッサージ機を開示しているにすぎない。相違点2は,フットレスト部に関するものであり,フットレストでは ない装置について議論しても無意味である。 (3) よって,相違点1及び2に係る本件審決の判断に誤り 示しているにすぎない。相違点2は,フットレスト部に関するものであり,フットレストでは ない装置について議論しても無意味である。 (3) よって,相違点1及び2に係る本件審決の判断に誤りはない。 3 取消事由3(相違点4に係る判断の誤り)について〔原告の主張〕(1) 本件審決は,周知例1ないし3に基づき,椅子型マッサージ機において,脚をマッサージするマッサージ具を備えたフットレストを座部に対して前後に接離調整可能な構成とすることは周知技術であると認定し,また,周知例4及び5に基づき,椅子において,フットレストを着座者の体格や脚長に応じて伸縮できるように2つに分割し,分割された部分をそれぞれ又は全体として座部に対して前後に接離調整可能な構成とすることも周知技術であると認定したが,①周知例4及び5は,単に椅子のフットレストの長さを調整するものであって,脚をマッサージするものではない,②引用発明は,使用者の脚の長さが所定以上である場合に,足台を前後に接離調整可能としたものであり,使用者の脚が短い場合には,足台を前後に接離調整しないことが想定されているとして,引用発明において,固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームを適用することは,当業者が容易に想到し得たものではないと判断した。 (2) しかし,本件審決の判断は,次のとおり,誤りである。 ア上記①について周知例4及び5に記載された事項が椅子に関する技術であって,椅子型マッサージ機に関する技術ではないとしても,当業者は,椅子型マッサージ機の開発業務を遂行するに当たり,厳密な意味での椅子型マッサージ機だけでなく,椅子に関する技術も調査,分析するのであるから,上記各周知例は,本件発明の容易想到性の検討において,副引用例としての適格性を十分に 務を遂行するに当たり,厳密な意味での椅子型マッサージ機だけでなく,椅子に関する技術も調査,分析するのであるから,上記各周知例は,本件発明の容易想到性の検討において,副引用例としての適格性を十分に有するものである。 イ上記②について使用者の脚が所定よりも短い場合に,足台を前後に接離調整する必要がないことは,引用発明だけでなく,本件発明にも当てはまるから,引用発明に「固定フレー ムに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレーム」の適用を否定する根拠にはならない。 (3) そこで,相違点4に係る本件発明の構成の容易想到性について検討すると,まず,椅子型マッサージ機に関する周知例1ないし3には,本件発明の第一スライドフレームに相当する部材が開示されており,その構成は,周知技術に属するものである。また,座席用のレッグレスト装置に関する周知例4には,レッグクッション(本件発明の第一フットレスト部に相当する。)とフットレスト本体(同様に第二フットレスト部に相当する。)が前方へ突出している状態で,レッグクッションとフットフレーム(同様に第二フットレスト部に相当する。)が全体として座席(本件発明の座部に相当する。)に対して接離調整可能となる構成や,フットフレームが両側枠(同様に第一スライドフレームに相当する。)に前後移動可能に嵌合されることにより,レッグクッションに対してフットフレームが接離調整可能となる構成が開示されている。さらに,ベッド式椅子に関する周知例5には,各足受け体として脚の上側と下側に各々分割された2つの足受け体に係る構成(本件発明のフットレストに相当する。)が前方へ突出している状態で,第1の足受け体(同様に第一フットレスト部に相当する。)及び第2の足受け体(同様に第二フットレスト部に相当する。)が,第3の水 構成(本件発明のフットレストに相当する。)が前方へ突出している状態で,第1の足受け体(同様に第一フットレスト部に相当する。)及び第2の足受け体(同様に第二フットレスト部に相当する。)が,第3の水平杆(同様に第一スライドフレームに相当する。)により,座体(同様に座部に相当する。)に対して全体として伸縮動可能となる構成や,第4の水平杆(同様に第二スライドフレームに相当する。)により,第1の足受け体に対して,第2の足受け体(同様に第二フットレスト部に相当する。)が伸縮動可能となる構成が開示されている。そして,引用発明や周知例1ないし3は,使用者の脚の長さ等に合わせて脚の希望する部分をマッサージするという本件発明と共通の課題を有し,椅子型マッサージ機という技術分野でも共通している。また,周知例4は,フットレストを使用者の脚の長さ等に合わせて任意の位置に調節可能とすることを課題とし,周知例5も,椅子の状態の場合において各部を各人の身体に適合するように調整することを課題とするものである。これらの課題の共通性か らすれば,当業者は,引用発明に周知例1ないし5記載の事項又は周知技術を適用することにより,相違点4に係る本件発明の構成を容易に想到することができるものというべきである。 (4) よって,相違点4に係る本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕(1) 原告は,周知例4及び5は本件発明の容易想到性の検討において,副引用例としての適格性を十分に有するものであると主張する。 しかし,周知例4及び5には,相違点4に係る本件発明の構成は開示されていないから,引用発明に周知例4及び5に記載された事項を適用しても,相違点4に係る本件発明の構成は想到されない。 (2) 原告は,使用者の脚が所定よりも短い場合に,足台を前後に接離調整す 示されていないから,引用発明に周知例4及び5に記載された事項を適用しても,相違点4に係る本件発明の構成は想到されない。 (2) 原告は,使用者の脚が所定よりも短い場合に,足台を前後に接離調整する必要がないことは,引用発明だけでなく,本件発明にも当てはまるから,引用発明に「固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレーム」の適用を否定する根拠にはならないと主張する。 しかし,本件審決は,要するに,引用発明においては,脚の長い使用者に対しては足台を伸ばすことによって対処しようとしているから,引用発明に対して,第一フットレスト部をスライド可能なものとする技術を適用する必然性はないと判断しているのであって,本件発明において,使用者の脚が短いときに足台を調整する必要があるか否かは,引用発明に上記技術を適用することの必然性の有無とは関係がない。 (3) 原告は,周知例1ないし3に基づき,本件発明の第一スライドフレームに相当する構成は,周知技術であると主張する。 しかし,本件発明の第一スライドフレームは,座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームに対して前後に移動調整自在であり,第一フットレスト部が固着され,かつ,第二フットレスト部の固着される第二スライドフレームが前後に移動調整自在に設けられたものである。つまり,本件発明は,第一スラ イドフレームをこのような構成とすることにより,上下揺動自在なフットレストが前方へ突出している状態で,第一フットレスト部及び第二フットレスト部が全体として座部に対して前後に接離調整可能で,かつ,この第二フットレスト部が第一フットレスト部に対して前後方向に接離調整可能であることが実現可能となったものである。周知例1ないし3には,上記のような構成をした第一スライドフレ に接離調整可能で,かつ,この第二フットレスト部が第一フットレスト部に対して前後方向に接離調整可能であることが実現可能となったものである。周知例1ないし3には,上記のような構成をした第一スライドフレームの開示はなく,原告の主張は理由がない。 (4) 原告は,引用発明や周知例1ないし3の課題は,本件発明の課題と共通すると主張する。 しかし,本件発明の課題は,フットレストの上下揺動や使用者の脚の長さ等に合わせて使用者の脚の希望する部分をマッサージすべく,脚の上側と脚の下側との両方に対してそれぞれ個別調整して好適なマッサージが行えるようにすることにある。 他方,引用発明は,単に人の脚の長さに応じてその足を載せる足台の位置が下降できるようにすることを目的としたものであり,脛当座及び足台の全体を座部に対して接離調整可能なものとすることは全く示唆されていない。また,周知例1ないし3は,1つのフットレストを前後に移動させるにすぎず,フットレストの上下揺動時や使用者の脚の長さ等が変わったときにも,脚の上側と脚の下側との両方に対してそれぞれ個別に好適なマッサージを行えるものではない。 したがって,引用発明や周知例1ないし3の課題は,本件発明の課題と同じではない。 (5) 原告は,周知例4の両側枠が本件発明の第一スライドフレームに相当し,フットフレームが第二スライドフレームに相当すると主張する。 しかし,周知例4の両側枠は,連結ブラケットに対して前後に移動調整自在なものではなく,かつ,レッグクッションが固着されるものでもないから,本件発明の第一スライドフレームに相当しない。また,周知例4のフットフレームは,第一スライドフレームではない両側枠に接続され,かつ,フットレスト本体が固着されるものでもないから,本件発明の第二スライドフレームに相当し イドフレームに相当しない。また,周知例4のフットフレームは,第一スライドフレームではない両側枠に接続され,かつ,フットレスト本体が固着されるものでもないから,本件発明の第二スライドフレームに相当しない。 また,原告は,周知例5の第3の水平杆が本件発明の第一スライドフレームに相当し,第4の水平杆が第二スライドフレームに相当するとも主張する。 しかし,周知例5の第3の水平杆は,座部の前端下部に上下揺動自在として連結された固定フレームに対して移動調整自在に設けられたものではなく,本件発明の第一スライドフレームに相当しない。また,第4の水平杆は,フットレストの固定フレームに対して前後に移動調整自在なスライドフレームに対して前後に移動調整自在なものではなく,本件発明の第二スライドフレームに相当しない。 (6) よって,相違点4に係る本件審決の判断にも誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明について本件発明は,前記第2の2のとおりであるところ,本件明細書(甲8)には,本件発明について,概略,次の記載がある。 (1) 本件発明は,使用者の脚の長さ等に合わせて使用者の脚の希望する部分をマッサージすることのできる椅子型マッサージ機を提供することを目的とするものである(【0005】)。 (2) 座部の前部に上下揺動自在として設けられたフットレストは,上方へ揺動して座部から前方へ突出した状態となることができる。また,フットレストは,脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割され,座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームと,固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームと,第一スライドフレームに対して前後に移動調整自在である第二ス され,座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームと,固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームと,第一スライドフレームに対して前後に移動調整自在である第二スライドフレームとを有する。第一フットレスト部は,第一スライドフレームに固着され,第二フットレスト部は,第二スライドフレームに固着されており,フットレストが前方へ突出している状態で,第一フットレスト部及び第二フットレスト部が全体として座部に対して前後に接離調整可能で,かつ,この第二フットレスト部が第一フットレスト部に対して前後方向に接離調整可能に構成されていることを特徴とする。フ ットレストについて,このように接離調整可能に構成されているようにしたので,使用者の脚の長さ等に合わせて使用者の脚の希望する部分をフットレストのマッサージ具で良好にマッサージすることが可能になる(【0006】【0016】)。 2 引用発明について(1) 引用発明は,前記第2の3(2)アのとおりであるところ,引用例(甲1)には,引用発明について,概略,以下の記載がある。 ア登録請求の範囲安楽椅子の座褥の後背部に背面凭掛を枢着し又その前縁には脛当座を起伏可動状に備えて之等を脚台上に載置し且つ該脛当座の下端に足台を設けてその表面に電磁バイブレーターの振動子を露出し又前記脛当座と足台の両側面にはく字形板金を当てて両者はバネを介して可動的に結合して成る電磁バイブレーター付安楽椅子の構造イ実用新案の説明(ア) 引用発明は,固定座褥を脚台上に備え,電磁バイブレーターを内蔵した背面凭掛と,脛当座を起伏可動状に設けて凭掛けながら肩部背面やふくらはぎ等を振動按摩する安楽椅子において,更に足裏に振動を与えてその治療作用を増進するため,按摩する人の脚の長さに応 ーターを内蔵した背面凭掛と,脛当座を起伏可動状に設けて凭掛けながら肩部背面やふくらはぎ等を振動按摩する安楽椅子において,更に足裏に振動を与えてその治療作用を増進するため,按摩する人の脚の長さに応じて足を載せる足台の位置が下降できるようにすることと,適当な圧力で足裏を押すことを目的とする。 (イ) 引用発明の安楽椅子は,足台の位置が調節でき,脚長によって伸縮下降機能があるから,最も適当な圧力と位置で按摩をすることができる等の効果がある。 (2) 以上のとおり,引用発明は,ふくらはぎ等を振動按摩する安楽椅子において,按摩する人の脚の長さに応じてその足を載せる足台の位置が下降できるようにしたことと適切な圧力で足裏を押すことを目的としたものであり,使用者の足の長さに合わせるという点で,本件発明と共通の課題を有している。 しかし,引用例には,マッサージ手段として,電磁バイブレーターの振動子に代えて,空気式マッサージ具を採用することができるかについては特段の記載はない。 また,引用例には,使用者の脚の長さに合わせる構成に関しては,脛当座と足台が バネを介して可動的に結合している点が開示されているが,脚の下側をマッサージするために,脛当座とを分割し,これを個別に調整可能なものとする点についても,特段の記載や示唆はない。 3 周知例について(1) 周知例1についてア周知例1(甲2)には,概略,以下の記載がある。 (ア) オットマンは,座部の前端部に回動可能に設けたフレーム,アーム部,アーム部に進退可能に装着したガイドレール,ガイドレールに固定された足受部,足受部の狭持溝に設けられた空気袋を備え,足受部は,ガイドレールとともにフレームのアーム部に沿って左右方向に移動可能となっている(【0020】図2)。 (イ) 足受 イドレールに固定された足受部,足受部の狭持溝に設けられた空気袋を備え,足受部は,ガイドレールとともにフレームのアーム部に沿って左右方向に移動可能となっている(【0020】図2)。 (イ) 足受部の底面にはスプリング受板が取り付けられ,スプリング受板と係止板との間にスプリングが介在され,足受部がスプリングによって右方向へ移動するように付勢されている。スプリング受板とフレームに設けた支持板部との間に空気袋が配設され,空気袋の膨張によってスプリングの付勢力に抗して足受部を左方向へ移動させていくものであり,その移動量は空気袋の膨張の度合いによって調整できるようになっている(【0021】)。 (ウ) スイッチS1を操作して電磁弁を作動させると,エアコンプレッサと空気袋とが連通し,空気袋が膨出することにより,足受部がスプリングの付勢力に抗して左方向へ移動するので,足受部が丁度よい位置へきたらスイッチS1をオフにする。足受部が左方向へ行きすぎた場合には,スイッチS2を操作して,空気袋を収縮させると,足受部がスプリングの付勢力により右方向へ移動するので,足受部の位置を調整することができる(【0034】)。 (エ) スイッチS3の操作により第3モード又は第4モードが設定されると,空気袋が膨張,収縮され,ふくらはぎのマッサージが行われる(【0037】【0038】)。 イ以上のとおり,周知例1記載のエアマッサージ装置は,本件発明と同様に, 空気袋の膨張,収縮によってふくらはぎをマッサージするものであって,空気袋の膨張の度合いを調整することによって,足受部の移動量を調整し,足受部の位置を丁度よい位置に調整するものであるから,使用者の脚の長さ等に合わせて脚の希望する部分をマッサージするものである本件発明とは,共通の課題を有している。 って,足受部の移動量を調整し,足受部の位置を丁度よい位置に調整するものであるから,使用者の脚の長さ等に合わせて脚の希望する部分をマッサージするものである本件発明とは,共通の課題を有している。 そして,周知例1には,足受部の位置の調整に関して,単体の足受部をフレームのアーム部に沿って所望の位置に移動させる構成が示され,その構造からするとフレームは本件発明の固定フレームに,足受部は本件発明の第一フットレスト部に,ガイドレールは本件発明の第一スライドフレームにそれぞれ相当するといえるが,脚の下側をマッサージするために,足受部を分割し,これを個別に調整可能なものとすることについて,特段の記載や示唆はない。 (2) 周知例2についてア周知例2(甲3)には,概略,次の記載がある。 (ア) 特許請求の範囲【請求項1】座部とこの座部の後部に設けられた背もたれ部を有する椅子本体と前記座部の前方に位置して前記椅子本体に設けられた脚載置台とを備えるとともに少なくとも前記座部または背もたれ部にエアーの給排気により膨縮する複数の袋体を配設し,制御手段によって制御されるエアー供給装置からエアー給排気路を介して前記袋体にエアーを給排気し前記袋体を膨縮させてマッサージを行う椅子式エアーマッサージ機において,前記脚載置台を前記本体に取り付けられた支持台とこの支持台に前後方向に移動可能に設けられ一対の溝状の脚載部を形成するとともにこの両脚載部の両側壁に脚用袋体を互いに対向させて配設した脚支持台とから構成するとともに前記脚支持台を前後方向に移動させる移動手段を設けたことを特徴とする椅子式エアーマッサージ機(イ) 発明の詳細な説明a 従来の椅子式エアーマッサージ機に設けた脚載置台は,座部側の端部から先端部までの長さが一定であり,椅子本体の座部に けたことを特徴とする椅子式エアーマッサージ機(イ) 発明の詳細な説明a 従来の椅子式エアーマッサージ機に設けた脚載置台は,座部側の端部から先端部までの長さが一定であり,椅子本体の座部に対して一定の位置に位置決めされ ていることから,標準的体形ではない使用者は,座部に座ったとき所望する脚の被施療部が脚用袋体の位置に位置せず,あらためて座部に座り直して被施療部の位置決めをしなければならないという問題や,脚載置台に配設した脚用袋体は一定の位置に位置決めされていることから,座ったままで被施療部の位置を変えたい場合は足を折り曲げたり,体の位置をずらすなどの必要があった。本発明は,これらの問題を解決するものである(【0006】【0007】)。 b 請求項1記載の発明は,脚支持台を前後方向に移動させることにより使用者の所望の被施療部位置に脚用袋体を位置させることができる(【0008】)。 c 椅子本体の座部の前方に設けられる脚載置台は,椅子本体に肘掛け部内に設けられたフレーム枠に取り付けられた回動軸によって上下方向に回動自在に取り付けられた支持台と,この支持台に前後方向に移動可能に設けられた脚支持台とから構成されている(【0011】)。 d 脚支持台には,底壁部とその両側に側壁が形成され,底壁部には両側壁の中間部に中央壁が形成されている。中央壁,両側壁及び上側底壁部によって,上方を開放し,ほぼU字形溝状に形成された一対の脚載部が形成され,脚載部には脚用袋体が配設されている(【0013】【0015】)。 e 使用者は,使用に当たって足を脚支持台の脚載置部に載置し,脚の被施療部の位置が脚載置部の脚用袋体と対応する位置にあるかを確認し,対応する位置にないときは,リモートコントロール装置を操作して脚支持台を移動させ,脚用袋体を って足を脚支持台の脚載置部に載置し,脚の被施療部の位置が脚載置部の脚用袋体と対応する位置にあるかを確認し,対応する位置にないときは,リモートコントロール装置を操作して脚支持台を移動させ,脚用袋体を所望の被施療部に位置させることができる(【0033】)。 イ以上の記載からすると,周知例2記載の椅子式エアーマッサージ機は,本件発明と同様に,エアーによる脚用袋体の膨張,収縮によりふくらはぎをマッサージするものであり,脚支持台を前後方向に移動させることにより使用者の所望の被施療部位置に脚用袋体を位置させるものであるから,使用者の脚の長さ等に合わせて脚の希望する部分をマッサージするものである本件発明とは,共通の課題を有している。 そして,周知例2には,脚支持台の位置の調整に関して,単体の脚支持台を支持台に沿って所望の位置に移動させる構成が示され,その構造からすると支持台は本件発明の固定フレームに,脚支持台,脚載置部及び脚用袋体が本件発明の第一スライドフレーム及び第一フットレスト部にそれぞれ相当するといえるが,脚支持台を分割し,これを個別に調整可能なものとすることについての特段の記載や示唆はない。 (3) 周知例3についてア周知例3(甲4)には,概略,次の記載がある。 (ア) 本発明は,座部に足載台が連結されているマッサージ機に関する。 (イ) 足載台は,ガイド部材を介して椅子のシートの前端に連結されている。ガイド部材は椅子に対して回動自在なものとし,足載台はガイド部材に対してスライド自在に取り付けられている。 (ウ) 足載台の下面に配設され,ガイド部材の各側片に係合している一対の取付部材は,足載台の下面に両側縁がビス止め固定される断面U字型の取付板と,この取付板で保持されてガイド部材の側片にスライド自在に嵌 ) 足載台の下面に配設され,ガイド部材の各側片に係合している一対の取付部材は,足載台の下面に両側縁がビス止め固定される断面U字型の取付板と,この取付板で保持されてガイド部材の側片にスライド自在に嵌合するスリーブ及び取付板に対するスリーブの位置決めと防振とを行なう一対のリングとから構成されている。 (エ) 取付部材はスリーブをスラスト軸受として機能させ,ガイド部材に対し足載台をスライド自在としているが,スリーブに被せられている一対のリングはスリーブの全長のうち両端部を除く中央部にのみ被せられており,スリーブの両端部と取付板との間に空隙が生じるようになっている。 (オ) 足載台の上面はブレーキ機構によって任意の傾斜角度にセットすることができ,このときのシート前端から足載台までの距離も,ガイド部材に対して足載台をスライドさせることによって設定することができるため,使用者は体格や好みに応じた姿勢をとることができる。また,足載台は振動マッサージ器を内蔵しているから,大腿部やふくらはぎに対する振動マッサージを得ることができる。 イ以上の記載からすると,周知例3記載の椅子型のマッサージ機は,振動マッサージをするという点では本件発明と相違するが,足載台を前後方向に移動させることにより使用者の所望の被施療部位置に振動マッサージ機を位置させるものであり,使用者の脚の長さ等に合わせて脚の希望する部分をマッサージするものである本件発明とは,共通の課題を有しているといえる。 そして,周知例3には,足載台の位置の調整に関して,単体の足載台をガイド部材に沿って所望の位置に移動させる構成が示され,その構造からするとガイド部材は本件発明の固定フレームに,足載台が第一フットレスト部に,取付部材は第一スライドフレームにそれぞれ相当するといえるが, 部材に沿って所望の位置に移動させる構成が示され,その構造からするとガイド部材は本件発明の固定フレームに,足載台が第一フットレスト部に,取付部材は第一スライドフレームにそれぞれ相当するといえるが,足載台を分割し,これを個別に調整可能なものとすることについての特段の記載や示唆はない。 (4) 周知例4についてア周知例4(甲5)には,概略,次の記載がある。 (ア) 本発明は,座席の前端部にレッグレスト本体を垂れ下がった状態の格納姿勢と斜め前方へ引き上げた状態の展開姿勢とに揺動可能に支持してなる座席用のレッグレスト装置において,レッグレスト本体に,フットレスト本体をレッグレスト本体側に収納された状態の収納位置と,レッグレスト本体側から突出した状態の使用位置とに移動可能に支持したことを特徴とする座席用のレッグレスト装置であり,具体的には,レッグフレームとレッグクッションとからなるレッグレスト本体をボトムフレームに揺動可能に支持し,レッグフレームに設けられたスライドレールにレッグクッションに設けられたガイド部材を嵌着し,フットフレームをレッグフレームに設けられたガイド部材に前後移動可能に嵌合するとともに,フットレスト本体をフットフレームに揺動可能に枢着するものである(【0001】【0004】【0012】~【0017】)。 (イ) フットレスト本体を前方に押し出すようにすると,フットレスト本体が,当初に突出した状態の使用位置において更に前後に移動し,その使用位置を調整することができる(【0021】)。 イ以上の記載からすると,周知例4記載の座席用のレッグレスト装置は,レッグレスト本体とフットレスト本体を設ける構成であり,その機能に照らし,レッグフレームが本件発明の固定フレームに,ガイド部材が第一スライドフレームに,フ ,周知例4記載の座席用のレッグレスト装置は,レッグレスト本体とフットレスト本体を設ける構成であり,その機能に照らし,レッグフレームが本件発明の固定フレームに,ガイド部材が第一スライドフレームに,フットフレームが第二スライドフレームにそれぞれ対応するものであるが,フットフレームは,レッグフレームに対し前後方向に移動可能な構造であって,ガイド部材に対して前後方向に移動可能な構造ではないから,フットフレームは,本件発明の第二スライドフレームに相当するということはできない。 原告は,レッグフレームの両側枠が第一スライドフレームに相当すると主張するが,レッグフレームがスライドレールを介してレッグクッションを支持し,レッグクッションにガイド部材が固着されている構造からすると,ガイド部材が第一スライドフレームに対応するものであると認めるのが相当であり,原告の主張は採用できない。 (5) 周知例5についてア周知例5(甲6)には,概略,次の記載がある。 (ア) 本発明は,ベッド式椅子に関するものであり,使用者の各人の身体に適合するように腰受け体等の各部を自由に伸縮かつ回動することができるものである。 (イ) ベッド式椅子は,座体と,座体に軸支され,かつ,腰受け体角度調整部材により回動する腰受け体と,腰受け体に第1の水平杆を介し伸縮動可能に取り付けられ,かつ,背もたれ体角度調整部材により回動する背もたれ体と,背もたれ体に第2の水平杆を介して伸縮動可能に取り付けられ,かつ,第1の頭受け体角度調整部材により回動する第1の頭受け体と,座体に第3の水平杆を介して伸縮動可能に取り付けられ,かつ,第1の足受け体角度調整部材により回動する第1の足受け体と,第1の足受け体に第4の水平杆を介して伸縮動可能に取り付けられ,かつ,第2の足受け体角度調整部材に を介して伸縮動可能に取り付けられ,かつ,第1の足受け体角度調整部材により回動する第1の足受け体と,第1の足受け体に第4の水平杆を介して伸縮動可能に取り付けられ,かつ,第2の足受け体角度調整部材により回動する第2の足受け体とからなる。 (ウ) 第1の足受け体伸縮動手段は,座体に横方向(第5図を基準)に固設された駆動モータと,この駆動モータの突出する出力軸に設けられた駆動歯車と,この 駆動歯車とかみ合うように座体に並設された歯車と,この歯車と螺合し取付端部が第3の水平杆の中央部に取り付けられた螺杆の左右に平行に取り付けられた2本の案内杆からなり,同様に,第2の足受け体伸縮手段は,第1の足受け体に横方向(第5図を基準)に固設された駆動モータと,この駆動モータの突出する出力軸に設けられた駆動歯車と,この駆動歯車とかみ合うように第1の足受け体に並設された歯車と,この歯車と螺合し取付端部が第4の水平杆の中央部に取り付けられた螺杆の左右に平行に取り付けられた2本の案内杆からなる。 イ以上の記載からすると,周知例5記載のベッド式椅子は,第1の足受け体と第2の足受け体を設けた構成であって,使用者の身体に適合するように,第1の足受け体を座体に対して伸縮動させることができ,また,第2の足受け体も第1の足受け体に対して伸縮動させることができるものであるが,椅子の状態では,第1の足受け体は脚を支持し,第2の足受け体は足を支持するように構成されているから(第1図,第2図),第1の足受け体と第2の足受け体は,使用者の脚の長さに合わせるために分割された構成であるとはいい難い。また,水平状態(第5図)以外の角度では,第1の足受け体は前後方向(脚の長さ方向)に移動するものではない。 したがって,周知例5記載のベッド式椅子については,本件発明の固定フレーム, あるとはいい難い。また,水平状態(第5図)以外の角度では,第1の足受け体は前後方向(脚の長さ方向)に移動するものではない。 したがって,周知例5記載のベッド式椅子については,本件発明の固定フレーム,第一スライドフレーム,第二スライドフレームに相当する部材を見いだすことはできない。 原告は,第3の水平杆が本件発明の第一スライドフレームに,第4の水平杆が第二スライドフレームにそれぞれ相当すると主張しているが,第3の水平杆は大支持板に対し前後に移動調整自在なものではないから,原告の主張を採用することはできない。 (6) 周知例6について周知例6(甲7)には,流体圧の給排により伸縮作動を繰り返す一対の指圧筒を有する指圧装置を利用者の脚の大腿部,ふくらはぎ部,頸部及び足部を指圧するように指圧台に配置したものが記載されている。 (7) 甲10についてア甲10には,概略,次の記載がある。 (ア) 特許請求の範囲【請求項1】上面および前後両端を開放して凹状をなした施療凹部を有する本体と,前記凹部の底面から立ち上がって相対向する凹部側面の少なくとも一方に取付けられた空気袋と,この空気袋に連通して設けられ前記空気袋に対してエアーを給排気するエアー給排気装置とを具備したエアーマッサージ機(イ) 発明の詳細な説明a 従前のブーツタイプのエアーマッサージ機の内面には,底部に配置される第1空気袋と,側部に配置される一対の第2空気袋と,下腿収納部の内面をほぼ一回りする第3空気袋が取付けられ,第1,第2の空気袋で足の裏及び甲をマッサージし,第3空気袋で下腿のふくらはぎ回りをマッサージするが,筒状である本体に脚を出し入れしなければならないから,取扱いが面倒であるという問題がある(【0002】~【0004】【0006】)。 ッサージし,第3空気袋で下腿のふくらはぎ回りをマッサージするが,筒状である本体に脚を出し入れしなければならないから,取扱いが面倒であるという問題がある(【0002】~【0004】【0006】)。 b 第1の実施例において,マッサージ機本体は,平行な一対の側壁とその間に設けられた中間壁からなる一対の施療凹部を有し,各施療凹部は上面及び前後両端をそれぞれ開放して正面から見た形状がほぼU字形となる凹状に形成されている。 空気袋は,凹部の底面から立ち上がって相対向する凹部側面にそれぞれ取付けられ,各施療凹部の底面には半球状の施療突起がそれぞれ一つ以上突設されている(【0017】【0018】)。 c 本発明のエアーマッサージ機は,第1の実施例(図1及び2)のように単独で使用することに代えて,第2の実施例(図3ないし図7)のように椅子の座部前側に配置して椅子の構成の一部をなして使用してもよい(【0016】【0030】【0031】)。 d 第2の実施例において,椅子本体の前端部に連結された脚載置部は,椅子本体の両肘掛部の前端部直下に位置し,一対の支持脚に渡って横架された枢軸に取付 けられている。脚載置部は,枢軸を中心として回動可能であるとともに,ラチェット機構等からなる位置決め手段により複数の傾斜角度に位置決めされるように設けられている。そのため,座部の前方に脚載置部を突出した状態で固定することができ,座部に腰掛けた使用者の脚を傾斜配置の脚載置部上に載置できるようになっている。脚載置部は,幅方向両側にそれぞれ側壁を有し,幅方向中央位置に中間壁を有している。隣接する側壁間にほぼU字状に形成される施療凹部は,その上面及び長手方向両端がそれぞれ開放され,その内部に使用者の下肢を収納支持する。凹部側面には,それぞれ下肢をマッサージするた 間壁を有している。隣接する側壁間にほぼU字状に形成される施療凹部は,その上面及び長手方向両端がそれぞれ開放され,その内部に使用者の下肢を収納支持する。凹部側面には,それぞれ下肢をマッサージするための脚用第1空気袋が配設され,これら空気袋は,圧縮空気の給排気に伴い膨脹,収縮をするものである(【0037】~【0040】)。 イ以上のとおり,甲10には,ブーツタイプのマッサージ機に空気袋を配置する構造,上面及び前後両端を開放して凹状をなした一対の施療凹部を有する本体からなるエアーマッサージ機を使用して,足を空気袋によりマッサージするとともに,突起により足裏をマッサージする構造(第1の実施例)及びエアーマッサージ機を使用して,脚用空気袋により脚をマッサージする構造(第2の実施例)が開示されている。 (8) 甲11についてア甲11には,概略,次の記載がある。 (ア) 本発明は,下肢部マッサージユニットを備えた椅子型マッサージ機に関する。 (イ) 下肢部マッサージユニットは,ユニット本体にマッサージ子として空気袋を取付けている。ユニット本体は上面及び前後両端を開放して凹状をなした一対の施療凹部を有し,空気袋は両施療凹部の相対向する凹部側面にそれぞれ取付けられている。一対の施療凹部はその上方から椅子本体に腰掛けた使用者の下肢がそれぞれ出し入れされるようになっている。使用者の座り方により,下肢のうち足及びくるぶし回り又は下腿を使用位置の施療凹部に出し入れできる(【0014】)。 (ウ) 下肢部マッサージユニットは,ユニット移動手段としてのリンク機構を介して座部に取り付けられている(【0016】)。 (エ) 下肢部マッサージユニットに設けられるマッサージ子は,空気袋の膨脹,収縮を利用したものに代えて,打撃又はバイ 移動手段としてのリンク機構を介して座部に取り付けられている(【0016】)。 (エ) 下肢部マッサージユニットに設けられるマッサージ子は,空気袋の膨脹,収縮を利用したものに代えて,打撃又はバイブレーションによるマッサージを行うものとしてもよい(【0038】)。 イ以上のとおり,甲11には,椅子型マッサージ機において,上面及び前後両端を開放して凹状をなした一対の施療凹部を有する下肢部マッサージユニットにより,下肢をマッサージする構造が記載されている。 (9) 甲25についてア甲25には,概略,次の記載がある。 (ア) 特許請求の範囲【請求項1】マッサージを受ける人が着座する椅子と,当該椅子の前側に移動可能に配設され,一つまたは複数のマッサージ面を有するマッサージ部と,当該マッサージ部と椅子の座部を連結し,マッサージ部を第1及び第2の所定位置のいずれかに切換えて保持して支える中間節とを備え,前記マッサージ部が前記第1の所定位置でマッサージ面が椅子の座面と略等しい高さとなると共に,第2の所定位置でマッサージ面が椅子の座面より高い前上がりの傾き状態となるように設定されることを特徴とするマッサージ装置【請求項2】前記請求項1に記載のマッサージ装置において,前記中間節として座部の先端部に一端を軸支し,座部下側の略垂直位置から略水平位置まで起伏可能に取付けられる支持部材を備え,前記マッサージ部を,前記支持部材の他端に所定範囲で回動可能に軸支し,当該軸支部を挟んで対向する二面がマッサージ面となるよう形成し,前記マッサージ部を軸支部で折畳んで支持部材と近接した状態で支持部材を略水平位置まで起すと一のマッサージ面が椅子の座面と略等しい高さとなると共に,支持部材を略水平位置のままでマッサージ部を回動させて所定角度に起立させると で折畳んで支持部材と近接した状態で支持部材を略水平位置まで起すと一のマッサージ面が椅子の座面と略等しい高さとなると共に,支持部材を略水平位置のままでマッサージ部を回動させて所定角度に起立させると他のマッサージ面が椅子の座面より高い前上がりの傾き状態となるように設 定されることを特徴とするマッサージ装置【請求項3】前記請求項2に記載のマッサージ装置において,前記支持部材に人の足首背面側をかたどった表面形状を有するエアーマッサージ部を設けたことを特徴とするマッサージ装置(イ) 発明の詳細な説明a 足裏のマッサージにおいて,マッサージ部が座面より上にあり,かつ起立していることで,人は背中を椅子に押付けるとともに,脚を踏ん張ってマッサージ部に強く足裏を押付ける姿勢になる。その上,エアーマッサージ部で足首を支えられ,足裏の位置が変りにくいため,マッサージ部から足裏に高いマッサージ効果を与えることができる。足裏のマッサージの際に,エアーマッサージ部においては,空気圧により足首からふくらはぎ下部にかけてもマッサージを行うことができ,足裏マッサージと合せてマッサージ効果を大きくできる(【0032】)。 b 実施形態においては,エアーマッサージ部からの空気圧でマッサージを行う構成としているが,エアーマッサージ部に振動装置を内蔵させ,振動によりマッサージ効果を与えるなど,マッサージの方法としては他の方法を用いても構わない(【0034】)。 イ以上のとおり,甲25には,椅子型のマッサージ装置において,支持部材に設けられたエアーマッサージ部によりふくらはぎをマッサージするとともに,マッサージ部により足裏を振動マッサージする構造が記載されている。 4 取消事由1(本件発明の要旨認定の誤り)について(1) 原告は,本件審決は ジ部によりふくらはぎをマッサージするとともに,マッサージ部により足裏を振動マッサージする構造が記載されている。 4 取消事由1(本件発明の要旨認定の誤り)について(1) 原告は,本件審決は本件発明の要旨として,空気式のマッサージ具によってふくらはぎ又は足をマッサージするためには,ふくらはぎ等を空気式のマッサージ具で挟持するか,ふくらはぎ等を空気式のマッサージ具と壁とで挟持するように構成する必要があると認定しているが,特許請求の範囲には,脚を挟持する構成に限定する旨の記載はないから,本件審決による本件発明の要旨認定は誤りであると主張する。 しかし,本件審決は,引用発明に対して周知例1,2及び6に記載された事項を適用するには,ふくらはぎ等を空気式のマッサージ具で挟持するか,ふくらはぎ等を空気式のマッサージ具と壁とで挟持するように構成する必要があると指摘しているにすぎず,このような構成を本件発明の要旨として認定したものではない。 したがって,原告の主張は,その前提において誤りであり,これを採用することはできない。 また,以上のほかに,本件発明の要旨認定を誤りとすべき理由は見当たらず,この要旨認定を前提として本件審決が行った本件発明と引用発明との一致点及び相違点の認定にも誤りがあるとはいえない。 (2) よって,取消事由1は理由がない。 5 取消事由2(相違点1及び2に係る判断の誤り)について(1) 相違点2についてア前記2のとおり,引用発明は,ふくらはぎ等を振動按摩する安楽椅子において,按摩する人の脚の長さに応じてその足を載せる足台の位置が下降できるようにしたことと適切な圧力で足裏を押すことを目的としたものであるから,脛当座及び足台を必須の構成としている。 したがって,引用発明の足台において,足裏をマッサ その足を載せる足台の位置が下降できるようにしたことと適切な圧力で足裏を押すことを目的としたものであるから,脛当座及び足台を必須の構成としている。 したがって,引用発明の足台において,足裏をマッサージすることに代えて,脚の下側をマッサージする構成とすることは,当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 イまた,周知例1ないし3には,脚の下側をマッサージするために,椅子型マッサージ機のフットレストを分割した構成とすることについての特段の記載や示唆はない。周知例4には,レッグレスト本体とフットレスト本体を設ける構成,周知例5には,第1の足受け体と第2の足受け体を設ける構成がそれぞれ記載されているから,本件特許の出願当時,脚又は足を支持する手段を分割する構成は,周知の技術であったといえるものの,周知例4及び5は,乗物用座席やベッド式椅子に関するものであるから,これらの引用例における脚又は足を支持する手段を分割する 構成は,使用者の脚の長さ等に合わせて脚の希望する部分をマッサージするという本件発明と共通の課題に基づいて採用されたものではない。 したがって,引用発明において,脛当座を分割し,分割された脛当座にそれぞれマッサージ機能を備えた構成とすることや,足台に脚の下側をマッサージする構成を付加することも,当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。 ウ原告の主張について原告は,フットレストの当接位置及びフットレストに配設するマッサージ具の施療範囲を足裏付近とするか,足裏からふくらはぎの下側ないし足首までとするかは,設計事項にすぎないと主張する。 しかしながら,椅子型マッサージ機において,一般的に,フットレストの当接位置及びフットレストに配設するマッサージ具の施療範囲を足裏付近とするか,足裏からふくらはぎの下側な 項にすぎないと主張する。 しかしながら,椅子型マッサージ機において,一般的に,フットレストの当接位置及びフットレストに配設するマッサージ具の施療範囲を足裏付近とするか,足裏からふくらはぎの下側ないし足首までとするかということ自体は,設計事項ということができるとしても,引用発明は,足台が足裏を載置し,これを押し下げ,適当な圧力によって足裏をマッサージするという構成を有するものであるから,このような足台について,ふくらはぎないし足首周辺(足裏は含まない)のうちの下側部分をマッサージする構成とすることには阻害要因があるといわなければならない。 (2) 相違点1についてア前記(1)のとおり,引用発明は,脛当座及び足台を必須の構成とするものであるところ,引用発明の足台は,電磁バイブレーターの振動子により,足裏を振動按摩するものであって,引用例には,空気式のマッサージ具を採用することについて特段の記載はない。 イまた,前記3のとおり,周知例1,2及び甲11には,フットレストに空気式マッサージ具を設けた椅子型マッサージ機が記載されているが,いずれもふくらはぎをマッサージするものであって,足台を備えてはいない。周知例6には,足裏を指圧することができる空気式の指圧装置が記載され,甲10には,足裏をマッサージするための空気式マッサージ具を配置したブーツタイプのマッサージ機が記載 されているが,いずれも椅子型マッサージ機ではない。さらに,甲10の第1実施例に記載されたエアーマッサージ機は,単独で使用されるものであり,椅子型マッサージ機の一部を構成するものではないし,空気式マッサージ具で足裏をマッサージするものでもない。甲10の第2実施例記載のエアーマッサージ機は,空気式マッサージ具によりふくらはぎをマッサージするものであり,足台を備えては するものではないし,空気式マッサージ具で足裏をマッサージするものでもない。甲10の第2実施例記載のエアーマッサージ機は,空気式マッサージ具によりふくらはぎをマッサージするものであり,足台を備えてはいない。 甲25には,エアーマッサージ部において,ふくらはぎを空気圧によりマッサージし,マッサージ部で足裏を振動マッサージする構成が記載され,エアーマッサージ部では振動装置を内蔵することもできるとの記載はあるが,マッサージ部を空気圧式のものとすることができるとの記載はない。 ウ以上のとおり,引用例には,空気式マッサージ具を採用することについての特段の記載はなく,また,椅子型マッサージ機の足台に空気式のマッサージ具を配置する構成について開示した周知例等も見当たらない以上,引用発明には,脛当座及び足台に設けられた振動子を空気式マッサージ具に置換することの十分な動機付けがあるとはいえず,引用発明について相違点1に係る本件発明の構成とすることが,当業者が容易に想到し得るものであるということはできない。 エ原告の主張について(ア) 原告は,甲11を挙げて,椅子型マッサージ機のフットレストに配設されるマッサージ手段として,エアセルとバイブレーターの振動子は,相互に置換することができるものであると主張する。 確かに,甲11(【0038】)には,ふくらはぎをマッサージする手法として空気袋の膨張,収縮に代え,打撃又はバイブレーションによってもよいとの記載がある。 しかし,ユニット本体の上面及び前後両端が開放され,施療凹部に空気袋が取り付けられている甲11記載の椅子型マッサージ機において,施療凹部での空気袋の膨張,収縮によるマッサージを打撃又はバイブレーションによるマッサージに置換することができるとしても,施療凹部内で両側面から挟持するように 甲11記載の椅子型マッサージ機において,施療凹部での空気袋の膨張,収縮によるマッサージを打撃又はバイブレーションによるマッサージに置換することができるとしても,施療凹部内で両側面から挟持するように脚をマッサー ジすることを前提に,圧迫・弛緩を繰り返してマッサージする手段として,空気袋の膨張,収縮に代え,打撃又はバイブレーションによってもよいのであって,このような前提となる具体的構成を考慮することなく,甲11の上記記載から直ちに,一般的にエアセルとバイブレーターの振動子の相互置換が可能であるとまでいうことはできない。 (イ) 原告は,甲26ないし28には,椅子型マッサージ機の平面状のフットレストに空気式のマッサージ具を配置した構造が記載されているとして,引用発明の振動子についても,空気式のマッサージ具に置換することができると主張する。 しかし,甲26には,ポンプ,電磁弁,ホースに順次接続されたエアークッションを脚受台に取付け,そのエアークッションに脚を置き,電磁弁を動作させて空気圧により脚をマッサージする構成(第8図)が,甲27には,椅子,寝台などの休息具に,指圧頭部を有する多数の蛇腹状の伸縮筒を配設するなどした指圧装置の構成(第4図)が,甲28には,椅子本体の座席部の前端に回動可能に取り付けられたフットレスト部に装備され,フットレスト部の裏面盤の左右に設けられた孔内に空気の給排によって伸縮脈動して揉み動作を行うエアセルが配設された脚マッサージ装置(図3,5及び6)の構成がそれぞれ記載されているが,いずれも椅子型マッサージ機のフットレストに足裏をマッサージする空気式マッサージ具を配置した足台を設けることは記載されていない。これらの記載内容からすると,フットレストに平面状に配置された空気式のマッサージ具が,マッサージする部分 トレストに足裏をマッサージする空気式マッサージ具を配置した足台を設けることは記載されていない。これらの記載内容からすると,フットレストに平面状に配置された空気式のマッサージ具が,マッサージする部分を挟持する構造を備えていなくてもマッサージ具として機能し得る場合があることは理解できるものの,引用発明の足台について,相違点1に係る本件発明の構成を採用することが容易に想到し得ることを示すものであるということはできない。 (ウ) 原告は,甲19,20及び29に基づき,U字型の壁部を有しなくても,平面形状のフットレストに施療部位を挟持する空気式のマッサージ具を配することは技術常識であると主張する。 しかし,甲19,20及び29には,脚に対応する位置にマッサージ用袋体が配 置されたマット式のエアマッサージ機を設けることは開示されているものの,椅子型マッサージ機のフットレストに足裏をマッサージする空気式マッサージ具を配置した足台を設けることは記載されていないから,上記(イ)と同様,引用発明の足台について,相違点1に係る本件発明の構成を採用することが容易に想到し得ることを示すものということはできない。 (エ) 原告は,本件特許の出願当初の特許請求の範囲では,フットレスト部に配されるマッサージ具について,空気式又は振動子の限定はなかったとか,本件明細書【0039】【0040】には,振動式のマッサージ具を用いることも記載されているとして,本件発明の技術的意義との関係で,フットレストに配されるマッサージ具が空気式であるか否かは重要な要素ではないと主張する。 しかし,本件特許の出願当初の明細書(甲21)において,フットレストに配設されるマッサージ具として具体的な構成が開示されているのは,空気式のものだけである。また,本件明細書【0039】 張する。 しかし,本件特許の出願当初の明細書(甲21)において,フットレストに配設されるマッサージ具として具体的な構成が開示されているのは,空気式のものだけである。また,本件明細書【0039】【0040】には,フットレストでは,空気式のマッサージ具とともに振動によるマッサージを施すことができることが記載されているのであって,空気式のマッサージ具に代えて,振動式のマッサージ具を用いることができるものとは記載されていない。 したがって,原告の主張は採用できない。 (3) よって,取消事由2も理由がない。 6 取消事由3(相違点4に係る判断の誤り)について(1) 前記2及び3のとおり,引用例及び各周知例等には,相違点4に係る本件発明の構成を備えることについての記載はなく,その構成が公知又は周知の技術であったとは認められない。 また,本件発明は,相違点4に係る構造を有することによって,座部に対して上下揺動自在なものとして連結されている固定フレームを所望の角度にした状態で,第一フットレスト部及び第二フットレスト部について,それぞれ個別にその位置を調整することが可能となり,その結果,使用者の脚の長さ等に合わせて使用者の脚 の希望する部分をフットレストのマッサージ具で良好にマッサージすることが可能になるという格別の効果を奏するものであるから,相違点4に係る本件発明の構成が設計事項であるともいえない。 そうすると,引用発明において,相違点4に係る本件発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。 (2) 原告の主張について原告は,周知例1ないし3には,本件発明の第一スライドフレームに相当する構成が記載され,周知例4及び5には,本件発明の第一スライドフレーム及び第二スライドフレームに相 (2) 原告の主張について原告は,周知例1ないし3には,本件発明の第一スライドフレームに相当する構成が記載され,周知例4及び5には,本件発明の第一スライドフレーム及び第二スライドフレームに相当する構成が記載されているから,引用発明に周知例1ないし5記載の事項又は周知技術を適用して,相違点4に係る本件発明の構成とすることは,当事者が容易に想到し得ることであると主張する。 しかし,前記3のとおり,周知例1ないし3には,本件発明の第一スライドフレームに相当する構成が記載されているものの,第二フットレスト部を備えた第二スライドフレームに関する記載はない。また,周知例4の座席用のレッグレスト装置のフットフレームは,レッグフレームに対し前後方向に移動可能な構造であって,ガイド部材に対して前後方向に移動可能な構造ではないから,本件発明の第二スライドフレームに相当するということはできない。さらに,周知例5記載のベッド式椅子は,水平状態(第5図)以外の角度では,第1の足受け体は前後方向(脚の長さ方向)に移動するものではないから,本件発明の固定フレーム,第一スライドフレーム,第二スライドフレームに相当する部材を見いだすことはできない。 したがって,原告の主張は採用できない。 (3) よって,取消事由3も理由がない。 7 結論以上の次第であるから,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官滝澤孝臣 裁判官髙部眞規子 裁判官齋藤 巌 (別紙)当事者目録原告株式会社 眞規子 裁判官齋藤巌 (別紙)当事者目録 原告株式会社フジ医療器 同訴訟代理人弁護士畑郁夫 重冨貴光 髙田真司 黒田佑輝 辻本希世士 辻本良知 笠鳥智敬 松田さとみ 同弁理士辻本一義 神吉出大本久美 丸山英之 金澤美奈子 坂元孝之 被告ファミリー株式会社 同訴訟代理人弁護士三山峻司 井上周一 木村広行 松田誠司 同弁理士角田嘉宏 木村広行 松田誠司 同弁理士 角田嘉宏 古川安航 浦利之 下村裕昭 山田久就 高田聰
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