【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人弁護士西橋儀三郎の上告理由について。 (一)本件建物はもと亡Dの
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理由 上告代理人弁護士西橋儀三郎の上告理由について。 (一)本件建物はもと亡Dの所有に属していたところ、同人が昭和二〇年六月一一日死亡したので、その家督相続人であつた長女E(亡)の所有に帰したこと、(二)右Dの妻で右Eの母である亡Fは、当時出征中の長男亡GがDの死亡による家督相続によつて右建物の所有権を取得したものと信じ、Gの代理人として昭和二二年一二月二七日右建物及びGの所有であつたその敷地(この土地については、後記Gの死亡により遺産相続が開始し、その父母であるD及びFの共有に帰し、次いで前記Dの死亡によりEが家督相続によつてDの持分を承継し、結局昭和二二年一二月当時はF及びEの共有に属していたわけである)を被上告人に売り渡しその所有権を移転したこと、(三)然るに、右Gは右契約前でしかもDの死亡前である昭和二〇年五月二〇日戦死しており、F及びEは公報によりこれを知ると同時にDの家督相続人もGでなくEであること従つて本件建物もその敷地もEの所有物であることを覚知し、Eは昭和二五年三月三一目被上告人に対しFのなした前示売買契約を追認する旨の意思表示をなしたこと等の各事実を確定していることはその判文上明らかである。思うに右のように先代の所有に属していた不動産がその死亡によつて家督相続人の所有に帰したものと思惟したその母が、右家督相続人たる者を本人としこれを代理して売買契約を締結したところ、たまたまその家督相続人たる者は死亡しており、実は次順位者において家督相続をなし右不動産もその所有に帰していたというような場合に、その家督相続人たる者が後日右契約を追認する旨の意思表示をしたときは、民法一一三条、一一六条の類推適用によつて右契 実は次順位者において家督相続をなし右不動産もその所有に帰していたというような場合に、その家督相続人たる者が後日右契約を追認する旨の意思表示をしたときは、民法一一三条、一一六条の類推適用によつて右契約はその締結の- 1 -日に遡つて効力を生ずるものと解するを相当とする。けだし右の場合右追認者はいわゆる無権代理行為における本人ではないが、本来本人たり得べかりし者であり、かゝる地位にある者が自己に属する権利を処分するに帰するその意思表示の効果を阻止すべき何らの理由がないからである。しからば上叙の事実関係に基いて結局右と同趣旨に出でた原判決の判断は正当と認めざるを得ない。 なお、前示のように、本件契約はFがGの代理人として締結したものであるが、たまたまGが契約当時死亡していたというだけのことであるから、その故に右契約が当然に無効になるものではなく、また、そのように事実を判示したからといつて原判決が当事者特定の原則に反する判示をしたものとも言い難い。また、原判示によれば、上告人らは本件家屋の被上告人主張の部分を不法に占拠するものと断じてその退去明渡を求めているのであるから、この場合被上告人に所論登記の完備していることを必要とするものでもない。 以上に関する所論はすべて独自の見解に立脚するもので到底首肯するを得ない。 その他の所論は原審の専権に属する事実認定を非難するものでしかなく、上告適法の理由とするを得ない。 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官下飯坂潤夫裁判官真野毅裁判官斎藤悠輔 長裁判官下飯坂潤夫裁判官真野毅裁判官斎藤悠輔裁判官入江俊郎- 2 -
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