平成26(行ウ)627 東京都市計画△西地区第一種市街地再開発事業に係る損失補償事件

裁判年月日・裁判所
平成29年5月30日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文43,179 文字)

平成29年5月30日判決言渡平成26年(行ウ)第627号東京都市計画△西地区第一種市街地再開発事業に係る損失補償事件 主文 1 本件訴えのうち,平成28年10月1日から同年11月30日までの期間の補償金及びこれに対する過怠金の支払を求める部分を却下する。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨被告は,原告に対し,35億5904万1712円及びうち29億9967万9806円に対する平成26年7月11日から支払済みまで年14.5%の割合による金員を支払え。 2 請求の趣旨に対する答弁主文同旨第2 事案の概要本件は,都市再開発法に基づく△西地区第一種市街地再開発事業(以下「本件事業」という。)の施行区域(以下「本件施行区域」という。)内に別紙1物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)及び同目録記載2の建物(以下「本件建物」といい,本件土地と併せて「本件不動産」という。)を所有していた原告が,本件事業の施行者である被告が認めた同法97条1項の本件不動産の明渡しに伴う損失補償金(以下「本件補償金」という。)の額を不服として,東京都収用委員会に裁決を申請したところ,同委員会から原告の申請の一部について認める旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受けたことから,同条3項及 び同法85条3項が準用する土地収用法133条2項及び3項所定の訴えとして,被告に対し,本件補償金の未払分及びこれに対する平成25年4月2日から平成26年7月10日までの過怠金の合計35億5904万1712円及びうち本件補償金の未払分である29億9967万9806円に対する平成26年7月11日から支払済 これに対する平成25年4月2日から平成26年7月10日までの過怠金の合計35億5904万1712円及びうち本件補償金の未払分である29億9967万9806円に対する平成26年7月11日から支払済みまで年14.5%の割合による過怠金の支払を求める事案である。 1 関係法令等の定め本件に関係する法令等の定めは,別紙2「関係法令等の定め」記載のとおりである(同別紙において定義した略語等は,本文においても用いることとする。)。 2 前提事実(1) 当事者ア原告は,不動産の売買,賃貸及び管理等を目的とする株式会社であるところ,本件施行区域内に本件不動産を所有していた者であって,被告の組合員である。 イ被告は,都市再開発法11条の規定により,平成23年7月12日に東京都知事の認可を受けて設立された市街地再開発組合(以下「再開発組合」という。)であり,本件事業の施行者である。 (2) 本件事業の概要及び進行状況ア本件事業は,本件施行区域において,細分化された二つの街区を統合した上で,地上32階,地下3階の再開発棟(以下「本件施設建築物」という。)を新たに建築するとともに,地上8階,地下2階の既存建物を歴史的建築物棟として改修すること等を内容とする第一種市街地再開発事業である(甲1,乙4)。 イ原告を含む本件施行区域内の地権者らは,平成18年2月14日,△西地区再開発準備組合(以下「本件準備組合」という。)を設立した(甲1,乙4,71)。 ウ本件準備組合は,平成23年4月25日,東京都知事に対し,本件事業 に係る再開発組合の設立認可を申請し,同年7月12日,東京都知事の認可を受けて被告が設立された(甲1,乙4,71)。 エ被告は,平成24年12月7日,東京都知事から,権利変換期日を同月14日とする本件事業 発組合の設立認可を申請し,同年7月12日,東京都知事の認可を受けて被告が設立された(甲1,乙4,71)。 エ被告は,平成24年12月7日,東京都知事から,権利変換期日を同月14日とする本件事業の権利変換計画の認可を受けるとともに,都市再開発法96条1項所定の明渡期限(以下,単に「明渡期限」という。)を平成25年4月1日(以下「本件明渡期限」という。)と定め,平成24年12月7日付けで,被告の組合員等に対し,本件事業の施行のため,その占有する土地を本件明渡期限までに明け渡すことを請求し,これを受けて,本件不動産は本件明渡期限までに明け渡された(乙2,71)。 (3) 本件建物の賃借状況ア原告は,平成10年8月31日,Z1株式会社(以下「本件賃借人」という。)との間で,賃料を月額合計5390万8320円(共益費を含む。 消費税別)とする本件建物に係る建物賃貸借契約(契約面積は6833. 12㎡。以下「本件賃貸部分」という。)及び駐車場使用契約(契約台数は6台。1台当たり7万円(消費税別)。以下,併せて「本件賃貸借契約」といいう。)を締結した(甲30の1及び2)。 イその後,原告及び本件賃借人は,本件賃貸借契約の更新を繰り返し,平成22年4月1日,同日以降の本件賃貸借契約の賃料を月額合計4947万8702円(共益費含む。消費税別。駐車場使用契約の契約台数は3台(1台当たり6万4500円(消費税別))とする旨合意した(甲30の3及び4)。 ウ本件賃借人は,平成22年10月19日,原告に対し,平成23年4月19日をもって本件賃貸借契約を解約する旨通知した上で(以下,この通知を「本件解約通知」という。),同年2月13日に本件建物から退去し,本件賃貸借契約は同年4月19日に終了した(甲3)。 エ原告は,平成23年3月31日,本件賃 約する旨通知した上で(以下,この通知を「本件解約通知」という。),同年2月13日に本件建物から退去し,本件賃貸借契約は同年4月19日に終了した(甲3)。 エ原告は,平成23年3月31日,本件賃借人の承諾を得た上で,株式会 社Z2(以下「本件定期借家人」という。)との間で,賃料月額1350万円(消費税別),賃貸期間を平成23年4月19日から平成25年3月31日まで(ただし,4か月はフリーレント期間)として,本件建物に係る定期建物賃貸借契約(契約面積は8976.2㎡。以下「本件定期賃貸借契約」という。)を締結した。 なお,原告が平成25年3月31日までに本件定期借家人から受領した賃料は合計2億7000万円(消費税別)である。(甲31)オ原告は,本件建物に関して,本件賃借人あるいは本件定期借家人以外の複数の者との間でも賃貸借契約を締結しており,本件明渡期限の時点における同各賃貸借契約に係る賃料は月額合計128万7872円であった(甲5)。 (4) 本件訴訟に至る経緯ア原告及び被告は,平成24年5月頃から,本件補償金の額について,都市再開発法97条2項所定の協議をしていたが,同協議は成立しなかった。 イ被告は,平成25年3月29日,原告に対して,本件補償金として5億6107万7300円を支払った(乙38)。 なお,上記金額のうち5億4254万9500円は,本件明渡期限から本件事業に係る工事の竣工予定時期である平成28年6月までの39か月に準備期間として2か月を加えた41か月分の家賃減収補償(明渡期限後の家賃の減収分の補償をいう。以下同じ。)である。 ウ原告は,平成25年4月30日,被告が認めた上記イの本件補償金の額を不服とし,東京都収用委員会に裁決を申請した(甲5)。 エ被告は,平成26年4月14日,本件 償をいう。以下同じ。)である。 ウ原告は,平成25年4月30日,被告が認めた上記イの本件補償金の額を不服とし,東京都収用委員会に裁決を申請した(甲5)。 エ被告は,平成26年4月14日,本件事業における本件施設建築物の新築工事の工期が4か月延長されたことを理由に,これに伴う追加の補償(4か月分の家賃減収補償)として5293万1700円を原告に支払った。 オ東京都収用委員会は,平成26年6月19日付けで,本件明渡期限まで に被告が原告に支払うべき家賃減収補償の額を6億0016万5878円(43か月分)とし,被告が既に支払った補償金との差額である3115万0509円及びこれに対する過怠金を支払わなければならないとする旨の本件裁決をした。 なお,本件裁決においては,原告が家賃減収補償に係る補償すべき月数を45か月(本件施設建築物の新築工事の工期43か月に準備期間として2か月を加えたもの)と主張していたことについて,収用委員会が裁決することができるのは,明渡期限までに生じた事由に基づく補償額であるところ,本件明渡期限までに生じた事由により予定されていた補償の月数は上記新築工事の工期41か月(本件明渡期限から平成24年8月8日付け事業計画の変更認可に基づき延長された竣工予定時期である平成28年8月までの41か月)に準備期間2か月を加えた43か月であり,その余の2か月分に相当する家賃減収補償は東京都収用委員会が判断すべき事項ではないとされた。(甲5)カ被告は,本件裁決を受けて,平成26年7月10日,追加の補償(家賃減収補償)として4390万1677円(上記オの差額3115万0509円及び上記東京都収用委員会が判断すべき事項ではないとされた2か月分の家賃減収補償1275万1168円),過怠金あるいは遅延損害金として108 て4390万1677円(上記オの差額3115万0509円及び上記東京都収用委員会が判断すべき事項ではないとされた2か月分の家賃減収補償1275万1168円),過怠金あるいは遅延損害金として1081万5266円(うち上記オの裁決に係る過怠金として972万8538円,上記2か月分の家賃減収補償に係る遅延損害金として108万6728円)を原告に支払った(甲23)。 キ原告は,平成26年12月15日,本件裁決を不服として本件訴訟を提起した。 ク被告は,平成29年3月28日,第7回弁論準備手続において,家賃減収補償として19円及びこれに対する平成25年4月2日から平成29年3月28日までの過怠金として11円を原告に支払った。 3 主な争点(1) 本件補償金算定に当たっての補償期間等(2) 原告に対する家賃欠収補償(明渡期限前の家賃の減収分の補償をいう。 以下同じ。)の要否及びその額(3) 原告に対する家賃減収補償の額(4) 原告の資金調達に係る増加費用等の補償の要否 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件補償金の算定に当たっての補償期間等)について(原告の主張)平成23年3月10日には,既に本件再開発事業の区域に隣接する△×番が埋蔵文化財包蔵地に指定されており,その時点から埋蔵文化財調査による工事延長の可能性があったのであるから,本件明渡期限よりも2年前の時点で工期が延長されることは予想されていた。 また,平成25年3月28日に第5回臨時総会において配付された「△西地区マスタースケジュール(案)」(甲106)では,「埋蔵文化財調査」という項目が加えられ,「中央区教育委員会と調査方法・調査期間・費用等について協議中」,「埋蔵文化財協議,土壌汚染調査と並行して工程計画等への影響 ュール(案)」(甲106)では,「埋蔵文化財調査」という項目が加えられ,「中央区教育委員会と調査方法・調査期間・費用等について協議中」,「埋蔵文化財協議,土壌汚染調査と並行して工程計画等への影響を検証する予定」と記載されているのであるから,遅くとも明渡期限前である同日時点では,埋蔵文化財調査により工事期間が延長することは明らかであった。 したがって,埋蔵文化財調査により延長された2か月分に係る補償金についても本件訴訟の審理対象に含まれる。 (被告の主張)ア都市再開発法の定めによれば,施行者は,権利者に対して,明渡期限までに同法97条1項所定の補償金を支払わなければならず(同条3項前段),施行者と権利者との間で同補償金についての協議が成立しない場合は,施 行者は,権利者に対し,審査委員の過半数の同意を得るなどして定めた金額を支払わなければならないこととされており(同項後段),この場合に施行者が権利者に支払わなければならない金額は,明渡期限までに生じた事由に基づいて算定される金額に限られる。 また,都市再開発法97条4項は,同条1項所定の補償金の金額について収用委員会に対する裁決を申請することができると定めており,収用委員会が裁決の対象とすることができるのは,明渡期限までに生じた事由に基づいて算定される補償金の金額のみであり,明渡期限後に生じた事由に基づき算定される補償金の金額については,収用委員会の裁決の対象とはならず,収用委員会の裁決に不服がある場合の訴えも,収用委員会の裁決に対する司法審査を求めるものであるから,当該訴えにおける裁判所の審理の対象も収用委員会の裁決の対象と同一となる。 本件では,本件明渡期限までに生じた事由により計画されていた補償月数は,平成25年4月から平成28年8月ま るから,当該訴えにおける裁判所の審理の対象も収用委員会の裁決の対象と同一となる。 本件では,本件明渡期限までに生じた事由により計画されていた補償月数は,平成25年4月から平成28年8月までの工期41か月に準備期間2か月を加えた43か月であり,本件明渡期限後の事業変更における2か月の工期延長に伴う2か月分の補償金については,本件訴訟における審理対象にはならない。 イなお,都市再開発法97条5項において準用される同法91条2項2号所定の過怠金は,施行者ができるだけ正確公平に土地等の明渡しに伴う補償金を定めるよう施行者による過小な補償金の算定に対してペナルティを課すためのものであるところ,本件のように明渡期限後に工期が延長されて追加補償をしなければならなくなった場合には,上記趣旨が当てはまらないのであるから,仮に,上記アの2か月分の補償金が本件訴訟における審理対象になるとしても,同補償金に関して過怠金の支払を命じることはできないというべきである。 (2) 争点(2)(原告に対する家賃欠収補償の要否及びその額)について (原告の主張)ア都市再開発法97条1項の「通常受ける損失」とは,土地の明渡しによって,具体的に現に受ける損失のうち,当該土地の権利者のみならず,一般の何人でもその地位にある場合に受けると認められる損失,つまり,客観的,社会的観点からみて,通常の事情の下において,土地の明渡しの結果として,当該権利者が受ける経済的損失をいうものと解され,経済的損失には,将来得べかりし財産的利益の損失などの消極的損失も含まれる。 そして,「通常受ける損失」であるか否かは,具体的な事例に即して,公平の観点から,社会通念に従って判断せざるを得ないものであり,その判断の際には,明渡し時点に存在する客観的事実を基礎と も含まれる。 そして,「通常受ける損失」であるか否かは,具体的な事例に即して,公平の観点から,社会通念に従って判断せざるを得ないものであり,その判断の際には,明渡し時点に存在する客観的事実を基礎として,客観的社会的に見て,明渡期限に当該権利者が受けるであろうことが予想される損失が補償される必要があり,明渡期限前に生じた家賃欠収補償についても,公平の原則という視点から,都市再開発事業に基づく明渡しに起因する損失であると認めるべき場合があり得る。 イ本件賃借人は,本件準備組合が平成22年4月16日に公表した本件事業のスケジュール(以下「本件スケジュール」という。)により,明渡期限に原告から本件建物を被告へ明け渡すことが確定的になったと判断し,それに伴い,近く本件賃借人が本件建物から退去しなければならないことも確定的になったとして本件解約通知をした。そして,このように確定的と思われる本件スケジュールが公表されれば,本件賃借人において移転先の選定に入るのは合理的な行動であり,原告としては,本件賃借人による本件賃貸借契約の解約を受忍せざるを得ず,また,本件事業により本件建物の明渡しが予定されている状況の下では,その損失額を軽減するためには低額の賃料で定期建物賃貸借契約を締結する以外の選択肢はなかったのであり,本件建物の収益価値自体が下落したわけではない。 そして,原告が本件定期賃貸借契約を締結したことは,原告に収益をも たらしただけでなく,普通借家人を入居させた場合に生じる借家人補償などの損失補償額を縮減させるものであり,本件事業にとっても有益なものであって,本件定期賃貸借契約の締結をもって,本件明渡期限前における家賃の差額分の補償(家賃欠収補償)が否定されるべきものではない。 ウ以上からすれば,本件定期賃貸借契約の締結等によ も有益なものであって,本件定期賃貸借契約の締結をもって,本件明渡期限前における家賃の差額分の補償(家賃欠収補償)が否定されるべきものではない。 ウ以上からすれば,本件定期賃貸借契約の締結等により原告が受領する賃料額が減少したことは「通常受ける損失」に当たるというべきであるところ,原告は,本件事業がなければ,平成25年3月31日まで,本件賃貸借契約に基づく賃料収入が得られたはずであるから,本件賃貸借契約の解約日の翌日である平成23年4月20日から平成25年3月までの分の本件賃貸借契約に基づく賃料相当額である11億5615万2336円のうち,原告が本件定期借家人から受領した賃料2億7000万円(月額1350万円の20か月分)を控除した8億8615万2336円について,原告の「通常受ける損失」として補償されるべきである。 (被告の主張)ア都市再開発法97条に定める損失補償として認められるためには,少なくとも,同法96条1項に基づく明渡請求と土地等の明渡しとの間に因果関係が認められ,通常の事情の下において客観的に受けるべきものと認められる損失をいい,特別の事情に基づく特別損失は,事前にその発生が予見し得ないもののみならず,その発生が十分に予見し得るものであっても,補償の対象には含まれないというべきである。 イ本件補償基準は,家賃欠収補償に関し,都市再開発法19条1項に規定する公告があった日以降に限り,相当と認められる期間を定め,これを補償することができる旨規定し,上記相当の期間は,本件補償基準等運用において,平成25年3月までの6か月間と決定されたものであり,この基準は,用対連基準に沿って定められた公正妥当な基準であり,原告も本件補償基準等を承認したものである。 そして,建物所有者との建物移転補償契約以前に 6か月間と決定されたものであり,この基準は,用対連基準に沿って定められた公正妥当な基準であり,原告も本件補償基準等を承認したものである。 そして,建物所有者との建物移転補償契約以前に借家人が移転することにより,建物所有者が家賃を得ることができないという不利益に係る補償については,借家人の事情に起因するものであるから,原則として,消極的な取扱いをするのが妥当であり,家賃欠収補償は,借家人が建物を退去した事情が物件の明渡しに関連してやむを得ないと認められる場合にのみ認められるべきである。 ウ本件賃借人が原告に対して本件解約通知をしたのは再開発組合設立の約9か月も前であり,本件賃借人が本件建物から退去した時点も再開発組合設立の約3か月も前であること,本件賃借人の退去時期は本件明渡期限よりも2年以上も前のことであること,本件準備組合においては,組合員及び関係権利者に対して,具体的な物件の明渡期限も定めたことはなく,本件事業のスケジュールの変更可能性があることを説明し,原告もそれを認識していたこと,本件賃借人としては,本件施設建築物への再入居を選択することは可能であったし,また,都内で本件建物と同規模のオフィスビルを見つけることはさほど困難ではなく,具体的な明渡期限が定まってから移転することも十分に可能であったこと等の事情からすれば,本件賃借人が本件建物から退去したのは,いずれ退去しなければならないのであれば,本件事業の不確定なスケジュールに合わせて退去するよりも独自の判断で退去できるよう有利な時点で自主的に退去した方がよいという経営判断によるものであるというべきである。 そして,一般的に,市街地再開発事業は,それが計画されてから具体的に実現するまでに長期間を要することは十分に知られていることであり,施行区域内の賃借人が 営判断によるものであるというべきである。 そして,一般的に,市街地再開発事業は,それが計画されてから具体的に実現するまでに長期間を要することは十分に知られていることであり,施行区域内の賃借人が,将来的に市街地再開発事業が予定されていることを検討要素の一つとして他の地区に移転したとしても,それによって賃貸人に生じた収入源が全て通常損失として補償の対象になるなどということはあり得ない。 エしたがって,本件事業に基づく本件不動産の明渡しと本件賃借人の本件建物からの退去との間に因果関係は認められず,原告が主張する家賃欠収補償に係る補償金を支払う必要はない。 (3) 争点(3)(原告に対する家賃減収補償の額)について(原告の主張)ア家賃減収補償は,将来発生する得べかりし財産的利益の喪失という消極的損失に対する補償であり,都市再開発法97条1項所定の「通常受ける損失」に対する補償に当たるものである。 そして,都市再開発法96条1項に基づく原告の被告に対する本件建物の明渡しという事象に起因して,本件賃借人が本件明渡期限を待たずに本件建物から退去したという行為によって原告が被った財産的損失も,将来発生する得べかりし財産的利益の喪失として,「通常受ける損失」に当たるというべきである。 イまた,本件建物を失うということは,本件建物の明渡し前に得ていた収入を失うことではなく,本件建物本来の収益獲得機会を失うこと,すなわち期待利益(将来得べかりし利益)の喪失を意味するものであるところ,本件建物は,希少価値の高い優良物件であり,本件建物に係る家賃減収補償としては,本件建物本来の収益獲得能力を示す賃料として,普通借家契約である本件賃貸借契約に係る賃料額を基準に補償額を算定すべきである。 このことに加え,本件事業に あり,本件建物に係る家賃減収補償としては,本件建物本来の収益獲得能力を示す賃料として,普通借家契約である本件賃貸借契約に係る賃料額を基準に補償額を算定すべきである。 このことに加え,本件事業における家賃減収補償は,明渡請求により原告が本件建物を明け渡すことに起因して,明渡時点を起点とした将来に発生する損失であり,明渡時点に存在する客観的事実を基礎とした損失の算定が行われる必要があるところ,本件では,平成22年4月16日時点に公表された本件スケジュールでは,再開発組合設立が同年10月,明渡期限が平成24年2月とされていたものであり,本件賃借人が平成22年6月の時点で本店の移転先候補の選定に入ることを原告に告げたことは極め て合理的であること,本件スケジュールにおける再開発組合設立時の本件建物の賃借人は本件賃借人であったところ,空室補償か否かの判断は再開発組合設立の時点で行うため,仮に再開発組合設立の時点の賃借人が本件賃借人であった場合には,本件賃貸借契約に係る賃料額を基準として補償されていたにもかかわらず,被告あるいは本件準備組合は,確定的と思われる本件スケジュールの発表後も,本件事業のスケジュールを度々変更して明渡期限を延期し,そのために本件賃貸借契約の解約時から本件明渡期限までの期間が長くなったことなどの客観的事実を基礎とすれば,本件賃貸借契約に係る賃料額を基準として損失補償がされる必要がある。 ウ(ア) このほか,本件スケジュールの公表により,原告は,平成24年2月末に明渡期限が到来するものと信頼し,本件賃借人も,実質的な退去勧告として本件建物からの移転を決意したところ,本件補償基準の策定過程においては,本件細則における「従前の建物の家賃」の判定基準日は再開発組合設立の時点とされており,本件スケジュールに従 質的な退去勧告として本件建物からの移転を決意したところ,本件補償基準の策定過程においては,本件細則における「従前の建物の家賃」の判定基準日は再開発組合設立の時点とされており,本件スケジュールに従っていれば,再開発組合設立の時点で本件賃借人が本件建物の賃借人の立場にあったのであるから,原告としては,本件賃貸借契約に係る賃料額を基準として損失補償がされるものと信頼していた。そして,被告あるいは本件準備組合には,明渡期限を含む再開発事業のスケジュールを公表するに当たっては,信義則上,その実現可能性を十分に見極める注意義務があるにもかかわらず,本件準備組合は,故意に実現不可能な本件スケジュールを公表した,あるいはその確実性について十分に見極めることなく,確実であるかのような印象を与えるスケジュールを公表したものであって,本件準備組合には本件スケジュールの公表につき重過失があるのであって,本件賃貸借契約の賃料額を基準として補償しないことは信義則に違反するものである。 (イ) さらに,本件補償基準等には,組合設立時より1日でも早く賃借人 が退去した場合には,新たな賃借人が入居しなければ空室補償として,賃料額が極めて低額の賃料額で新たに定期借家人が入居すれば当該賃料額を基準として,それぞれ補償額が算定されることになるが,いずれも補償額が極端に圧縮され,正当な補償が実現しないという問題がある。 そして,本件のように,代替借家が少なく移転計画が定めにくい等の理由から借家人等の段階的かつ早期移転が行われる事例につき,家主に対する補償基準を整備することは重要な課題であり,そうした補償基準を整備しなかったことについて被告に重大な過失があるというほかないことからすれば,本件賃貸借契約に係る賃料額を基準に補償額を算定すべきである。 エ 整備することは重要な課題であり,そうした補償基準を整備しなかったことについて被告に重大な過失があるというほかないことからすれば,本件賃貸借契約に係る賃料額を基準に補償額を算定すべきである。 エ以上を前提に原告に対する家賃減収補償を算定すると,本件賃借人からの賃料(月額4947万8702円)及び本件賃借人以外の賃借人からの賃料(月額128万7872円)を合わせて家賃減収補償の対象となる損失を算定することになるところ,共益費込みの賃料に係る家賃減収補償については,月額賃料に管理修繕費相当額10%を控除した乗率0.9を乗じて算定することとした上で,本件事業のスケジュール(平成28年10月末竣工)を踏まえると,本件賃借人からの賃料に係る家賃減収補償が20億0388万7431円(月額4947万8702円×45か月(工期43か月と準備期間2か月)×0.9),本件賃借人以外の賃借人からの賃料に係る家賃減収補償が5215万8816円となり,原告が受けるべき家賃減収補償としての補償金の合計額は20億5604万6247円となる。 (被告の主張)ア家賃減収補償は,土地等の取得又は土地等の使用により,その前後において土地等の所有者に対して生じる賃料収入の差額を補償する趣旨のものであるから,理論的に本件建物の客観的な相当賃料額を基準として算定す べきものではない。そして,補償金算定の基準となるのは,明渡期限の日における「従前の建物の家賃」であるというべきであり,用対連基準,用対連細則においても,補償すべき「賃料相当額」しては「従前の建物の家賃」とする旨が定められており,当該建物の収益獲得能力や収益力によって算定されるべきものではないことは明らかである。 イ原告は,再開発組合設立時を基準に「従前の建物の家賃」を判定すること 物の家賃」とする旨が定められており,当該建物の収益獲得能力や収益力によって算定されるべきものではないことは明らかである。 イ原告は,再開発組合設立時を基準に「従前の建物の家賃」を判定することが予定されていたとも主張するが,そもそも,本件において,本件賃借人は再開発組合設立の時点において本件建物の借家人ではなかった。また,都市再開発法97条1項所定の損失補償は,同法96条1項に基づく明渡時点における賃料を基準として算出することになるものであるし,家賃減収補償の趣旨からすれば,家賃減収補償は,実際の事業スケジュールに従って同項に基づく明渡しがなされた時点に立って,建物所有者に通常生じる損失としての家賃の減収を補償すれば足りるものであり,組合が作成した仮定的な事業スケジュールにおける組合設立時点等において仮定的に算出すべきものでもない。 ウまた,本件準備組合には事業スケジュールを公表するに当たって,その実現可能性を見極める注意義務があるという点については,そもそも本件準備組合がそのような注意義務を負うことがあるのか疑問であるし,その点を措くとしても,本件スケジュールにおける平成22年10月の再開発組合設立は飽くまで目標であり,スケジュールがこれで確定というものではないことは十分に説明しているのであって,このことは本件スケジュールを示した説明会における配付資料の記載からも明らかである。そのような配付資料の内容を根拠に,原告が平成24年2月末に明渡しが行われると信頼した,あるいは,本件賃借人が支払う賃料額を基準として損失補償がされると信頼を抱いていたなどということはあり得ない。 なお,本件事業において事業スケジュールが遅延したのは,最終的には, 再開発組合の設立のために原告,Z3,Z4の3件のうちから2件の同意を取得しな 抱いていたなどということはあり得ない。 なお,本件事業において事業スケジュールが遅延したのは,最終的には, 再開発組合の設立のために原告,Z3,Z4の3件のうちから2件の同意を取得しなければ再開発組合を設立できない状況になり,そのために再開発組合の設立が遅れ,全体的に事業スケジュールが遅れたというだけである。再開発組合の設立は飽くまで多数決であり,同意しない者がいたとしてもそれ自体はやむを得ないことであるから,少なくともその原因が被告にあるということはあり得ない。 (4) 争点(4)(原告の資金調達に係る増加費用等の補償の要否)について(原告の主張)ア原告は,本件賃貸借契約の解約により長年にわたる優良賃借人(本件賃借人)を失い,貸しビル業を営む原告の企業融資に関する信用力を大幅に低下させたものであって,原告のメインバンクであった香港上海銀行からは,本件賃貸借契約が解約されたことを理由に資金の引上げが行われた。 そのため,原告としては,残債務の借換えをせざるを得ない状態となり,原告の事業規模で必要となる多額の資金を調達するために,AMI株式会社から年利9%で,平成23年6月30日に38億円,同年7月29日に15億円をそれぞれ借り入れた。 原告が年利9%もの高金利で資金調達を行わざるを得なかったのは,本件事業により優良賃借人である本件賃借人が退去したこと,本件事業のスケジュールが度々延期され,補償額も未定であった上,本件事業の特定業務代行者であったZ5のZ6から補償契約書及び承諾書に捺印しなければ補償金を供託すると言われたことにより原告の返済能力に疑問を持たれたためである(なお,補償金額の合意がない場合でも,再開発組合は,その提示する補償金額を支払わなければならず,合意ができないことのみをもっ を供託すると言われたことにより原告の返済能力に疑問を持たれたためである(なお,補償金額の合意がない場合でも,再開発組合は,その提示する補償金額を支払わなければならず,合意ができないことのみをもって補償金を供託することはできない。)。 これらのことからすれば,上記年9%の利率と香港上海銀行からの借入利率年5.8775%と金利差年3.1225%を支払うことによる原告 の損失は,本件事業の明渡しに関する損失といえ,平成23年6月30日から平成25年3月29日(みずほ銀行から年1.975%の利率で融資を受けた日)までの残債務36億9571万6238円(平成23年6月30日時点)に対する上記金利差による利息負担増加分2億0162万7242円は本件事業の明渡しに関する損失である。 イそのほか,本件賃借人との間の本件賃貸借契約の解約によって生じた別紙3記載の各費用についても,本件事業に基づく明渡しに関する費用であり,それらの合計4億5595万0107円及びこれに対する平成23年7月29日から平成25年3月29日までの利息負担分(年利9%)3928万6751円も損失となる。 (被告の主張)ア都市再開発法97条1項による補償対象となるのは通常損失であるところ,企業が銀行から借入れをすること自体は一般的なことであっても,市街地再開発事業の施行区域内の土地等の占有者全員が多額の借入れ等を行っているというわけではなく,原告の香港上海銀行からの借入れの事実のみを見ても,一般の権利者に共通する通常の事情とはいい難く,また,上記借入れも本件不動産の取得費用ではなく,本件不動産とは何ら関係ない事業資金であることは明らかであるから,上記借入れに関する損失が通常損失ということはできない。 イまた,原告による香港上海銀行 入れも本件不動産の取得費用ではなく,本件不動産とは何ら関係ない事業資金であることは明らかであるから,上記借入れに関する損失が通常損失ということはできない。 イまた,原告による香港上海銀行からの借入れについては,もともと原告が借換えを行うまでの一時的なものであったところ,その借換えについても本件賃借人の退去とは全く関係のない理由により長期間できなかったにすぎないことのほか,香港上海銀行が返済期限の延長に応じなかった理由として原告の報告義務違反が指摘されていることなどの事情からすれば,原告が高金利で借換えを行ったことと,都市再開発法96条1項に基づく明渡請求とは何ら因果関係がない。 ウまた,Z6は,原告代表者らから補償契約書に同意できない場合についての質問がされたため,損失補償金の金額について合意が得られず,当該補償金を受領しなければ,当該補償金を供託する旨述べたのであり,原告が主張するように被告が定めた補償金額に原告が将来の請求権を放棄する形で合意しない限り,補償金を供託すると述べたことはないし,その説明内容を措くとしても,供託がされた場合には原告が供託金還付請求をすることができるほか,実際には都市再開発法97条3項所定の支払期限までに本件補償金が振込みにより支払われているのであるから何ら問題はない。 エそのほか資金調達等に係る増加費用に関しては,都市再開発法96条1項の明渡請求と因果関係のない本件賃借人の退去や借換えに関するものであることなどからすれば,これらが「通常受ける損失」に当たることはない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実(1) 本件事業の経緯ア都市再生特別地区の都市計画決定までの経緯(ア) 本件事業については,平成13年8月に△西地区まちづくり検討会が発足し, 第3 当裁判所の判断 1 認定事実(1) 本件事業の経緯ア都市再生特別地区の都市計画決定までの経緯(ア) 本件事業については,平成13年8月に△西地区まちづくり検討会が発足し,平成15年7月に△西地区再生協議会が発足した後,平成18年2月14日に本件準備組合が設立された。 なお,本件事業に関して,平成16年6月16日付けで長期目標スケジュールが示されており,それによると,平成18年3月末に再開発組合を設立し,平成19年3月末を明渡期限とすることとされていた。(甲1,32,乙4)(イ) 本件準備組合の通常総会が平成18年4月26日に開催され,本件事業のスケジュールについて,平成19年10月に組合を設立し,平成21年2月を明渡期限とすることを予定していることなどが説明された (乙1)。 (ウ) 本件準備組合は,平成19年1月22日,原告に対して,中央区を介して,原告の従前資産の概要及び従後資産の概要等を説明した(乙55,68・7頁)。 (エ) 本件準備組合の理事会が平成20年6月23日に開催され,都市再生特別地区の都市計画決定の提案に同意していない原告への対応について議論がされた。その際,Z7(当時の中央区副区長。以下「Z7副区長」という。)から,原告が上記同意に当たっての条件を提示してきたこと,条件について合意できない部分が残っており,まだ原告から同意書の提示はないことが説明されるなどした上で,本件準備組合の理事会の方針として,原告から同月26日午後5時までに無条件の同意書が得られない場合には,原告が所有する本件土地を本件施行区域から除外することが承認された(乙21)。 (オ) 原告は,平成20年6月26日,都市計画決定の提案をすることについて同意書を提出し,これにより都市計画決定の提案をする 有する本件土地を本件施行区域から除外することが承認された(乙21)。 (オ) 原告は,平成20年6月26日,都市計画決定の提案をすることについて同意書を提出し,これにより都市計画決定の提案をする要件が満たされることとなった。 (カ) 本件準備組合の理事会が平成20年10月21日に開催され,本件事業のスケジュールについて,平成22年3月に組合を設立し,明渡期限を平成24年3月とすることを予定していることなどが説明された(甲10,乙24)。 (キ) 本件準備組合は,平成21年1月15日,東京都に対し,「都市計画決定等の提案書」を提出した(乙6)。 (ク) 本件準備組合の理事会が平成21年6月16日に開催され,本件事業のスケジュールについて,平成22年3月に組合設立の認可を受けることを予定していることなどが説明された(甲11)。 (ケ) 平成21年6月22日,東京都により「東京都市計画都市再生特別 地区(△三地区)」につき,「中央区△地内」を追加する旨の都市計画の変更決定がされたほか,東京都中央区により「都市計画の種類・名称」を「東京都市計画第一種市街地再開発事業 △西地区第一種市街地再開発事業」,「都市計画を定める土地の区域」を「中央区△地内」とする都市計画決定,及び「東京都市計画地区計画 Z8・Z9駅前地区計画」につき「都市計画を定める土地の区域」に△を追加する旨の都市計画の変更決定がされた(乙7~9)。 イ再開発組合設立等までの経緯等(ア) 本件準備組合の理事会が平成21年10月20日に開催され,コンサルタントである株式会社Z5(以下「Z5」という。なお,平成23年2月7日に特定業務代行者となった。)から本件事業のスケジュールが示され,「組合設立認可を今年度末から7月上旬に,組合設立を4月から8月上旬と ある株式会社Z5(以下「Z5」という。なお,平成23年2月7日に特定業務代行者となった。)から本件事業のスケジュールが示され,「組合設立認可を今年度末から7月上旬に,組合設立を4月から8月上旬としている。これ以上遅れると全体の事業スケジュールの見直しが必要になってくる。(中略)ただし,組合設立は権利者の合意があってのものなので,この時期にこだわるわけではなく,ヒアリングや部会等での検討や意見交換を通じて議論をしながら柔軟に進めていきたいと考えている。」などと説明された(甲95,乙50の1及び2)。 (イ) 本件準備組合は,平成22年1月22日,「△西地区再開発ニュース」を発行したが,そこには,「本年は,8月の組合設立認可に向けて部会や説明会を開催し,施設計画や事業計画をご提示させていただき,地権者の皆様のご理解,ご協力をいただきながら進めてまいりたいと存じます」などと記載されている(甲17)。 (ウ) 本件準備組合の理事会が平成22年3月2日に開催され,同年10月に再開発組合設立を予定していることが説明され,同年3月12日に開催された本件準備組合の説明会においても,同様の説明がされた(甲17,乙51の1及び2,乙52の1及び2)。 (エ) 本件準備組合の理事会が平成22年4月9日に開催され,Z5から,配付された事業計画案に関して「事業計画案は,再開発事業の進捗とともに徐々に精度を高めていくため,これで確定というわけではない」,「事業スケジュールは,10月の組合設立を目標として今年度中に実施設計,来年度8月に権利変換計画認可,来年度末に除却,平成24年度末から新築工事が着工し工事期間を約36ヶ月と想定し平成27年度に竣工としている。」などと説明された(甲82,乙53)。 (オ) 本件準備組合による説明会が平成22 可,来年度末に除却,平成24年度末から新築工事が着工し工事期間を約36ヶ月と想定し平成27年度に竣工としている。」などと説明された(甲82,乙53)。 (オ) 本件準備組合による説明会が平成22年4月16日に開催され,同説明会において,平成21年度に基本設計や各種調査,資金計画作成等の作業を実施した結果である「△西地区再開発事業計画(案)について」と題する資料(本件スケジュールを含むもの)に基づいて説明がされているところ,本件事業のスケジュールについては,平成22年10月に再開発組合設立の認可を受け,平成24年3月を明渡期限とすることを予定している旨説明された(なお,原告は,本件スケジュールの明渡期限につき,平成24年2月であることが記載されていると主張するが,平成23年度2月の枠(1枠2箇月刻みである。)の平成24年度側に寄った部分に「○」「土地明渡期日」との記載があるほか,上記(エ)の理事会において平成23年度末に除却の工事に着工する旨の説明がされていることからすれば,本件スケジュール案においては,平成24年3月を明渡期限とすることを予定していたと認めるのが相当である。)。 なお,上記資料においては,「再開発事業では,事業の進捗とともに徐々に事業計画の諸条件を確定していくことから,今回の事業計画も,引き続き見直しや詳細検討を行っていきます。」,「平成22年4月時点での想定スケジュールであり,今後変更となる場合があります。」と記載されていたほか,再開発組合設立の認可を受けるまでの段階における「事業リスク」として「権利者合意形成」,「床処分確実性」,「事業期間」,「事 業費変動要素」が,権利変換計画の決定がされるまでの段階における「事業リスク」として「権利者合意形成」,「床処分価額」,「事業期間」,「明渡しの確 ,「床処分確実性」,「事業期間」,「事 業費変動要素」が,権利変換計画の決定がされるまでの段階における「事業リスク」として「権利者合意形成」,「床処分価額」,「事業期間」,「明渡しの確実性」と記載されていた。(甲12,17,50,82)(カ) 本件準備組合は,平成22年5月24日,原告と面談し,従前資産の価額の概算及び従後資産の概要等を説明した(乙60,68・22頁)。 (キ) 本件事業に係る大家部会が平成22年5月27日に開催され,同年10月に再開発組合設立の認可を受け,平成24年3月を明渡期限とするスケジュールに基づいて借家人への対応等に関する説明がされた(甲13,17)。 (ク) 本件準備組合の理事会が平成22年6月15日に開催され,再開発組合設立を同年10月から同年12月に,明渡期限を平成24年3月から同年5月に,それぞれ変更することが承認された。この変更は,本件事業に係る特定業務代行者及び参加組合員の選定について,提案期間及び審査期間をより十分に確保するために行ったものである(甲17,乙35,Z6・10~11頁)。 (ケ) 建通新聞社は,平成22年6月22日,本件準備組合が本件事業に関して特定業務代行者の公募手続を開始し,同年10月を目処に特定業務代行者を選定すること,平成24年9月に工事に着工し,平成27年8月に本件施設建築物を完成させることが予定されている旨報道した(甲14)。 (コ) 本件準備組合の臨時総会が平成22年11月4日に開催され,平成23年3月に組合設立認可を受けることを予定していることなどが説明された。なお,組合設立認可の時期が前記(ク)の時期から変更されているのは特定業務代行者候補者との間の条件協議に時間を要したためである(甲17,108,Z6・11頁)。 (サ) 本件準備組合の理 された。なお,組合設立認可の時期が前記(ク)の時期から変更されているのは特定業務代行者候補者との間の条件協議に時間を要したためである(甲17,108,Z6・11頁)。 (サ) 本件準備組合の理事会が平成22年12月21日に開催され,Z5 から設計の提案が基本設計と大きく変わったことから本件事業のスケジュールを見直した旨の説明があり,具体的には,平成23年1月13日に臨時総会を開催して本件事業の事業計画案等について承認を得た後から個別ヒアリングを実施し,同年3月末までに組合設立の同意を得て,同年6月に組合設立の認可を受けることなどを予定しているとの説明がされた。 また,平成23年1月13日に開催された本件準備組合の臨時総会においても,同様にスケジュールの説明がされた。(甲90,92,111の1及び2)。 (シ) その後,本件準備組合は,関係権利者への個別ヒアリングを経て,平成23年3月頃から組合設立の同意書の提出を求め始めているところ,同年2月1日,原告と面談し,従前資産の価額の概算と従後資産の概要等を説明し,原告からは同年4月1日に組合設立の同意書が提出されている(甲89,乙26,61,Z6・27頁)。 (ス) 本件準備組合の理事会が平成23年4月12日に開催され,同月11日にZ3から再開発組合設立の同意の承認が得られたとの報告があり,これにより東京都から要請されている同意要件(権利者数及び面積共に8割以上)が満たされることになったこと,同月中に再開発組合設立の認可を申請し,同年6月末から7月初旬にかけて再開発組合設立の認可を受けることを予定するとともに,平成25年4月を明渡期限とすることを当面の目標として進めていく予定であることなどが説明された(甲89)。 (セ) 本件準備組合の通常総会が平成23年4月19日 可を受けることを予定するとともに,平成25年4月を明渡期限とすることを当面の目標として進めていく予定であることなどが説明された(甲89)。 (セ) 本件準備組合の通常総会が平成23年4月19日に開催され,本件組合設立のための同意要件が満たされたこと,平成25年3月末を明渡期限とすることを目標に本件事業を進めていくことが説明された(甲17)。 (ソ) 本件準備組合は,平成23年4月25日,本件事業に係る再開発組合設立の認可を申請し,同年7月12日に組合設立認可を受けたが,その時点での本件事業の竣工予定時期は平成28年6月であった(甲17,乙71)。 ウ被告設立後の経緯(ア) 被告は,平成24年8月8日,本件施設建築物の竣工時期を平成28年8月に変更する旨の事業計画変更の認可を受けた(甲5)。 (イ) 被告は,平成24年12月7日に権利変換計画の認可を受け,同日付けで関係権利者に対して,平成25年4月1日までに土地の明渡しをすることを求め,同日から本件施行区域内の既存建物の解体工事が開始された(乙2,71)。 (ウ) 被告の臨時総会が平成25年3月28日に開催され,同臨時総会において配付された「△西地区マスタースケジュール(案)」には,調査項目として「埋蔵文化財調査」が記載されており,当該埋蔵文化財調査については,「中央区教育委員会と調査方法・調査期間・費用等について協議中」と記載されているほか,「埋蔵文化財協議,土壌汚染調査と並行して,工程計画等への影響を検証する予定」と記載されている。なお,上記埋蔵文化財調査を実施することになったのは,平成23年3月10日に本件施行区域に隣接する△×番において埋蔵文化財が発見され,埋蔵文化財包蔵地に指定されたことに伴い,本件施行区域が埋蔵文化財包蔵地の近接地として取り扱 施することになったのは,平成23年3月10日に本件施行区域に隣接する△×番において埋蔵文化財が発見され,埋蔵文化財包蔵地に指定されたことに伴い,本件施行区域が埋蔵文化財包蔵地の近接地として取り扱われることになったことによるものである。 (甲106,107の1)(エ) 被告の理事会が平成25年4月16日に開催され,同理事会で配付された資料には,埋蔵文化財調査について,「発掘調査」及び「現場内基礎整理作業」の調査期間は平成25年10月1日から平成25年12月末日と記載されているところ,同理事会においては,発掘調査の深さ, 範囲,調査方法を教育委員会及び業務委託先と協議していく旨説明されており,上記理事会の時点においても埋蔵文化財調査の期間は確定していなかった(甲107の1及び2)。 (オ) 被告は,平成25年10月22日,本件施設建築物の竣工時期を平成28年10月に変更する旨の事業計画変更の認可を受けた(甲5)。 (2) 本件補償金等についてア本件補償基準等(ア) 本件補償基準の策定等本件準備組合は,平成21年11月からその下部組織として補償部会(原告も部会員であった。)を設置し,補償部会において同月から平成22年4月にかけて5回にわたり本件事業における補償の在り方について議論された(乙58の1及び2,乙71)。 その結果,本件補償基準については,平成24年1月11日開催の被告の臨時総会において,本件細則については,同年2月21日開催の被告の理事会において,本件補償基準等運用については,同年10月26日開催の被告の理事会において,それぞれ原告も賛成の上で承認された(乙13の1~3,乙15の1及び2,乙16の1及び2)。 (イ) 補償部会等での本件補償基準等についての説明内容等本件補償基準等の策定ま 被告の理事会において,それぞれ原告も賛成の上で承認された(乙13の1~3,乙15の1及び2,乙16の1及び2)。 (イ) 補償部会等での本件補償基準等についての説明内容等本件補償基準等の策定までの過程において以下のような説明等がされている。 a 平成22年2月4日に開催された補償部会において,補償に対する地権者からの主な意見と対応方針について検討され,その上で同月12日に開催された本件準備組合の補償基準案中間報告会において,「地権者からの主な意見」として①「空室の場合の補償はどうなるのか。」という意見,②「事業実施の際,円滑にテナント退去を図るため,定期借家としたため,家賃が下がったが,その分を補償してくれるのか。」 という意見,③「欠収補償対象期間はどう決めるのか。」という意見があり,これらの意見に対しては,①「組合設立以前に空室になっているものに対しては,家賃減収補償の対象にはできません。しかし,現在の不動産市況や再開発事業の予定地であることの制約でテナント入居が思わしくない実情を踏まえ,空室補償をしていく方針です。」,「ただし,補償額は,家賃減収補償との公平性や追加投資等をしなくても良い実情を踏まえ,理事会承認を得た上で実態に応じて支払額を決定します。」,「現時点では明渡しまでの期間が明確になっていないため,できる限りテナントの確保をご検討ください。」,②「定期借家への変更は,大家にとってテナントからの借家権分割請求のリスクを避けるための有効な手段の一つです。」,「今後のトラブルを回避するメリットはあるものの,あくまでも貸主としての防衛策であり,事業推進上の要請ではないため家賃差額の補償は困難です。」,③「欠収補償は,事業実施が確実になった以降に契約更新を迎える大家さんに対して,積極的にテナント解除して くまでも貸主としての防衛策であり,事業推進上の要請ではないため家賃差額の補償は困難です。」,③「欠収補償は,事業実施が確実になった以降に契約更新を迎える大家さんに対して,積極的にテナント解除してもらうことで明渡しを円滑に行ってもらうことを目的にした補償です。」,「そのため,権変認可の目途が立った時点から土地明渡し期日までの期間を欠収補償対象期間とする方針です。」という対応方針とすることが説明された(乙14,58の1及び2,乙59)。 b 本件細則が承認された平成24年2月21日開催の被告の理事会において,Z5から,「家賃減収補償は実態的に,今大家が受け取っている家賃を基準に算定する」としつつ,家賃減収補償について「今の実態家賃とは異なるという事の明確な説明が出来て,それが,理事会で承認されれば運用の中で対応したい。」などと説明されている(乙16の1及び2)。 c 本件補償基準等運用が承認された平成24年10月16日開催の被 告の理事会において,原告から,本件補償基準の「その他補償」につき空室補償及び地代欠収補償以外にも考慮の余地があるのかという質問がされ,これに対し,被告の事務局から,本件補償基準の「その他補償」につき,新たな補償が必要になった場合には理事会に諮って定められることになるが,現時点では,提案した項目以外に本件補償基準の「その他補償」は考えられないなどと説明された(乙13の1~3)。 イ本件補償金に関するやり取り等について(ア) 被告は,平成24年8月24日,同年9月4日及び同年11月12日,原告に対して,原告に支払われる本件補償金の額について,それぞれ5億2911万6000円(うち地代・家賃減収補償は5億1302万9000円),5億5107万2000円(うち地代・家賃減収補償は5億3498万5 ,原告に支払われる本件補償金の額について,それぞれ5億2911万6000円(うち地代・家賃減収補償は5億1302万9000円),5億5107万2000円(うち地代・家賃減収補償は5億3498万5000円)及び5億6107万7000円(うち地代・家賃減収補償は5億4254万9000円)であると説明したほか,家賃欠収補償については,いずれも実績にて算定と説明した(乙62~64)。 (イ) 原告は,平成24年12月21日,Z5などと面談し,原告に支払われる本件補償金について話をしたが,その際,原告から「弊社の借家人は欠収補償の対象となり得るものはいない。」,「我々は3月中には移転する。」との話がされている(甲22,26,乙17)。 (ウ) Z6は,平成24年12月26日,原告と面談し,「補償契約締結のご案内」,「都市再開発法第97条に係る補償契約書」及び「承諾書」等を提示しながら,補償契約締結までの手続の流れ等を説明した。原告は,Z6から提示された本件補償金の額には合意できないとした上で,補償契約がまとまらなかったらどうなるのかとZ6に質問したところ,Z6は組合としては本件明渡期限までに本件補償金を支払わなければならな いため,納得できないのであれば本件補償金を供託することになると説明した。(甲19,20,乙65,68・28~29頁,Z6・13~15頁,原告11頁)(エ) 原告は,平成25年1月22日付けで「97条補償のお支払いに関する要望書」を被告に送付し,本件明渡期限である平成25年4月1日には本件不動産を被告に明け渡すことを示すとともに,本件明渡期限までに本件補償金5億6107万7300円を振込みにより支払ってもらいたい旨要望した(乙36)。 (オ) 被告は,平成25年2月7日付けで「「97条補償のお支払いに関 とを示すとともに,本件明渡期限までに本件補償金5億6107万7300円を振込みにより支払ってもらいたい旨要望した(乙36)。 (オ) 被告は,平成25年2月7日付けで「「97条補償のお支払いに関する要望書」に対する回答書」を原告に送付し,本件明渡期限までに本件不動産を明け渡すことの確約を得られるのであれば,都市再開発法97条3項の規定に従い,市街地再開発審査委員会の過半数の同意を得て定めた本件補償金に係る金額を指定口座に振り込む旨回答をした(乙37)。 (カ) 被告は,平成25年2月12日付けで,原告から本件明渡期限である同年4月1日までに本件不動産を明け渡すことを確約する旨の「確約書」の送付を受けたため,同年3月29日,本件補償金として5億6107万7300円を原告が指定する口座に振り込んだ(乙37,38)。 (3) 本件建物の賃貸借契約についてア本件賃貸借契約について(ア) 本件建物は,東京都中央区△に所在する地上7階,地下3階,屋階3階,総床面積1万0563.14㎡の建物であり,三井不動産販売株式会社(以下「三井不動産」という。)により,「Z9駅から徒歩3分,Z10駅から徒歩1分の優れたロケーション。本社機能を収納し得る延2,000坪超の大規模ビルです。」などと紹介されていた(甲2の1及び2)。 (イ) 原告は,平成10年8月31日,本件賃借人との間で,本件賃貸借 契約を締結して,本件建物の大部分を本件賃借人に使用させてきた(甲30の1~4)。 なお,本件賃借人は,東京証券取引所市場第一部に上場する資本金178億4190万円の株式会社であり,本件建物の上記賃貸部分を本件賃借人の本社として使用していた。 (ウ) 本件賃借人は,本件建物が本件施行区域内にあることから,遅くとも平成19年頃から,いず 78億4190万円の株式会社であり,本件建物の上記賃貸部分を本件賃借人の本社として使用していた。 (ウ) 本件賃借人は,本件建物が本件施行区域内にあることから,遅くとも平成19年頃から,いずれは本社ビルを本件建物から移転しなければならないという認識を有していた。 (エ) 本件賃借人は,平成22年6月頃,原告に対して,移転先の候補の選定に入る旨を伝えたほか,「2-3ビルのように立地がよく,一棟貸し2000坪以上でZ1本社ビル所在地にふさわしい賃貸物件はなかなか得難く,借家人補償のことよりも本社機能の保全を優先させたい。」,「借りられる期限の不確定さと東証一部上場企業本社の移転手続となるため,転出先の選定,定款変更手続など周到かつ長期の準備期間が必要となることと,本ビルに匹敵する優れた立地,床面積2000坪を超える東証一部上場企業の本社所在地に適したオフィス物件は希少性があり,代替物件は早めに手当てしておきたい。」などと述べた。 なお,本件賃借人の移転先候補のビルは複数存在した。(甲15,乙69,原告22~23頁)(オ) 本件賃借人は,平成22年10月19日,原告に対して,退去(引越し)予定日を平成23年2月13日,解約日を同年4月19日として,本件賃貸借契約を解約する旨通知し(本件解約通知),同年2月13日に本件建物から退去し,同年4月19日に本件賃貸借契約が終了した(甲3)。 なお,本件賃借人は,本件解約通知をするに当たって,本件準備組合に対して本件事業の進捗状況等を確認することはなかった。 (カ) 本件賃借人の本社移転に関し,本件賃借人の第42期の事業年度(平成22年4月1日から平成23年3月31日まで)の有価証券報告書において,「旧本社ビル所在地の再開発計画の動きを踏まえ平成23年2月に本社を移転 の本社移転に関し,本件賃借人の第42期の事業年度(平成22年4月1日から平成23年3月31日まで)の有価証券報告書において,「旧本社ビル所在地の再開発計画の動きを踏まえ平成23年2月に本社を移転いたしました。その際,子会社オフィスを集約するなどグループ連携強化と業務効率化を図っております。」と記載されている(甲7)。 また,本件賃借人の本社移転プロジェクトを担った株式会社Z11のホームページには,「移転までの流れ」として,「旧本社ビルのあった東京:Z10地区は再開発計画に含まれており,社内では数年間,本社移転の青写真を描いておられました。移転と同時に掲げた4つのコンセプトを実現すべく社内移転プロジェクトを発足,2010年には移転準備室が設置されます。新オフィスに求められる要件をまとめ,数ある候補ビルの中から営業活動としての効率,またブランド性の高い官庁街:虎ノ門に居を構えることに決定。新本社ビルでは社員の職務環境を向上させるオフィスを構築するとともに,都内3つのビルに分散していたグループの集約も実現。まさに一丸となっての船出となります。」と記載されている(甲15)。 (キ) なお,千代田区,中央区及び港区の都心3区において,平成22年に本件賃借人のように2000坪以上の一棟の建物を借りて移転した事例は,千代田区で1件,中央区で2件,港区で3件であった(甲100)。 イ本件定期建物賃貸借契約について(ア) 原告は,平成22年12月21日,三井不動産の担当者に対し,平成23年4月19日に本件賃貸借契約が終了することから,本件建物に係る新たな賃借人の募集を依頼した。三井不動産は,本件事業のスケジュール等を考慮し,建替え予定の場合の一般的な定期借家契約でのテナント募集を推奨し,原告もそれを了承した(甲4)。 から,本件建物に係る新たな賃借人の募集を依頼した。三井不動産は,本件事業のスケジュール等を考慮し,建替え予定の場合の一般的な定期借家契約でのテナント募集を推奨し,原告もそれを了承した(甲4)。 (イ) 原告は,平成23年3月31日,本件定期借家人との間で,期間を同年4月19日から平成25年3月31日,賃料月額1350万円(消費税別)として,本件定期借家契約を締結した(甲31)。 (4) 原告の資金調達等についてア原告は,香港上海銀行との間で,平成20年12月29日付けで,利率を年5.8775%,返済期限を平成21年3月27日として消費貸借契約を締結して金銭を借り入れたが,その後8回にわたり返済期限が延長され,その結果,最終的な返済期限は平成23年3月28日となっていた(甲18)。 イ香港上海銀行は,原告に対して,平成23年2月24日付け「ご返済についてのお知らせ」を送付し,①貸付金については,貸付当初から原告が借換えを行うまでの短期的融資との理解であったが,当初の返済期限である平成21年3月27日を超えて,8回にわたり期限が延長されたが,現在に至るまで借換えが実行されておらず,その見通しもないこと,②本件賃借人が退去することは,原告の経営,業況,財務状態に重大な変化を及ぼすことであり,平成22年10月19日に本件賃借人から本件賃貸借契約の解約の通知を受けていたにもかかわらず,平成23年1月24日まで香港上海銀行に通知しなかったことは報告義務違反となること,③期限延長後の現在の返済期限である同年3月28日までに本件事業の開始も見込まれず,上記貸付金の元利金返済原資の確保の見通しもなく,債権保全を必要とする相当な事由が生じているなどとして,同日以後の返済期限の延長に応じることはできないことを伝えた(甲18 件事業の開始も見込まれず,上記貸付金の元利金返済原資の確保の見通しもなく,債権保全を必要とする相当な事由が生じているなどとして,同日以後の返済期限の延長に応じることはできないことを伝えた(甲18)。 なお,原告の香港上海銀行からの借入金債務の残額は,平成23年6月30日時点で36億9571万6238円であった。 ウ原告は,香港上海銀行から上記イのとおり借入金の一括返済を求められたことから,AMIとの間で,平成23年6月30日,利率を年9%,貸 付金額38億円(貸付実行日は同日)とする消費貸借契約を締結したほか,同年7月29日,利率を年9%,貸付金額を15億円(貸付実行日は,10億円につき同日,5億円につき平成24年3月28日)とする消費貸借契約を締結した(甲39,42)。 エ原告は,平成25年3月28日,株式会社みずほ銀行との間で,上記ウのAMIからの借入金債務に係る借換えのための資金として,60億円を借り入れた(甲70)。 2 争点(1)(本件補償金の算定に当たっての補償期間等)について(1) 都市再開発法97条4項,土地収用法94条2項による補償額についての収用委員会による裁決の申請は,飽くまで都市再開発法97条3項所定の明渡期限までに支払うべき補償金の額についてされるものであるから,収用委員会による裁決も明渡期限までに存在する事由により判断されるべきものである。したがって,収用委員会の裁決においては,明渡期限後の事情に基づいて補償金の額を判断することは予定されていないと解され,収用委員会のした裁決の補償額に関する不服を実質的な内容とする同法97条3項及び85条3項の準用する土地収用法133条2項,3項所定の訴えにおける裁判所の判断も同様と解される。 本件においては,前記認定事実によれば,本件明渡期限の時 不服を実質的な内容とする同法97条3項及び85条3項の準用する土地収用法133条2項,3項所定の訴えにおける裁判所の判断も同様と解される。 本件においては,前記認定事実によれば,本件明渡期限の時点では本件施設建築物の新築工事は平成24年4月から平成28年8月までの41か月が工期として予定されており,補償期間はそれに準備期間2か月(同工事の期間の前後1か月)を加えた43か月であったが,平成25年10月22日の事業計画の変更の認可により,同工事の期間が平成28年10月までの43か月(2か月延長)に変更されて,その補償の期間の終期も平成28年9月から同年11月までになったことが認められる。このように本件明渡期限後に工期が延長されたことにより,その補償期間も2か月延長されているところ,当裁判所としては,都市再開発法97条3項及び85条3項の準用する 土地収用法133条2項,3項所定の訴えに係る原告の請求について判断することが求められているのであるから,本件補償金のうち上記2か月分については,当裁判所の判断対象にはならないというべきである。 (2) これに対して,原告は,平成23年3月10日には,既に本件再開発事業の区域に隣接する△×番が埋蔵文化財包蔵地に指定されており,その時点から埋蔵文化財調査による工事延長の可能性があったことのほか,平成25年3月28日に第5回臨時総会において配付された「△西地区マスタースケジュール(案)」(甲106)では,「埋蔵文化財調査」という項目が加えられ,「中央区教育委員会と調査方法・調査期間・費用等について協議中」,「埋蔵文化財協議,土壌汚染調査と変更して工程計画等への影響を検証する予定」と記載されているのであるから,遅くとも本件明渡期限前である同日時点では,工事期間が延長されることは明らかで いて協議中」,「埋蔵文化財協議,土壌汚染調査と変更して工程計画等への影響を検証する予定」と記載されているのであるから,遅くとも本件明渡期限前である同日時点では,工事期間が延長されることは明らかであったのであるから,埋蔵文化財調査により延長された上記2か月分に係る補償金についても,裁判所において判断すべきものであると主張する。 しかしながら,本件明渡期限である平成25年4月1日より前に埋蔵文化財調査による工期延長の可能性が認められたとしても,同年3月28日時点において,当時想定されていた工程への影響が検証されている段階にあったにすぎず,本件明渡期限の時点においても延長される工期が具体的に確定していたとは認められない。そうすると,本件明渡期限の時点では当該延長部分に係る補償金の額を確定できる状態にはなかったのであるから,原告が主張するような事情をもって,上記2か月分に係る補償金について,当裁判所において判断すべき対象に含まれると解することはできず,上記原告の主張は採用することができない。 (3) 以上によれば,本件訴えのうち,本件明渡期限後に工期が延長されたことに伴い補償期間となった平成28年10月及び11月分の本件補償金及びこれに対する過怠金の請求に係る部分は,当裁判所の判断の対象とはならず, 不適法なものというべきである。 3 争点(2)(原告に対する家賃欠収補償の要否及びその額)について(1) 都市再開発法97条1項の「通常受ける損失」とは,土地等の明渡しにより通常の事情の下において客観的に受けるべきものと認められる損失をいい,特別の事情に基づく損失は含まれないものと解される。そして,ある損失が通常受ける損失であるのか,特別の事情に基づく損失であるのかは,公平負担の原則に照らして公共の費用として施行者にお る損失をいい,特別の事情に基づく損失は含まれないものと解される。そして,ある損失が通常受ける損失であるのか,特別の事情に基づく損失であるのかは,公平負担の原則に照らして公共の費用として施行者において負担すべき性質の損失であるか否かの観点から判断すべきであると解するのが相当である。 (2) 原告は,本件賃借人が本件賃貸借契約を解約したのは,本件準備組合が中央区主導の下,確定的と思われる本件スケジュールを公表したことによるものであって,その公表により本件賃借人が平成22年6月頃に移転先の選定に入ったことは合理的であるほか,原告が,月額1350万円の賃料で本件定期賃貸借契約を締結せざるを得なかったのは,本件事業に伴う本件建物の明渡しが予定されていたことによるものであり,本件建物の収益価値自体が下落したわけではないなどとして,本件明渡期限までの本件賃貸借契約の賃料額と本件定期賃貸借契約の賃料額との差額は,本件事業に基づく明渡しに起因する損失として補償されるべきと主張する。 アしかしながら,前記認定事実によれば,本件賃借人は,平成22年10月19日に原告に対して本件解約通知をした上,平成23年2月13日には本件建物から退去し,本件賃貸借契約は同年4月19日に終了しているところ,本件解約通知がされたのは,本件明渡期限である平成25年4月1日の約2年6か月も前であり,本件賃貸借契約が終了した日で見ても本件明渡期限の約2年前であって,いずれも再開発組合(被告)が設立されてもいない時期のことである。 また,第一種市街地再開発事業は,多数の関係権利者との利害調整等を図りつつ実施される事業であり,再開発組合設立の認可や権利変換計画の 認可の段階において一定数以上の組合員の同意が必要とされているなど,必ずしも施行者の意向のみで進められるも 利害調整等を図りつつ実施される事業であり,再開発組合設立の認可や権利変換計画の 認可の段階において一定数以上の組合員の同意が必要とされているなど,必ずしも施行者の意向のみで進められるものではないことからすれば,第一種市街地再開発事業において施行者側が一定のスケジュールを示したとしても,それは飽くまで一応の予定あるいは目標を示したものにすぎないというべきところ,前記認定事実によれば,本件準備組合が平成22年4月16日に示した事業計画案(本件スケジュールを含むもの。甲12,50)においても,「再開発事業では,事業の進捗とともに徐々に事業計画の諸条件を確定していくことから,今回の事業計画も,引き続き見直しや詳細検討を行っていきます。」,「平成22年4月時点での想定スケジュールであり,今後変更となる場合があります。」と記載されているというのであり,このことからすれば,上記スケジュールは,不確定要素を多分に含む一応の予定あるいは目標として示されたものにすぎないというべきである。このことは,本件スケジュールが示されるまでのみならず,本件スケジュールが示された後のわずか2か月後の同年6月15日には本件事業のスケジュールが変更されるなど,本件事業のスケジュールが度々変更されてきていることなどからもうかがわれるところであり,同年4月16日に示された事業計画案(本件スケジュールを含むもの)がそれまでに示されたものより相当程度詳細なものであったとしても,変わるものではない。そして,前記認定事実及び証拠(甲7,15,乙69,原告22~23頁)によれば,本件賃借人が本件解約通知をしたことの理由の一つとして本件事業の存在があったとはいえるものの,本件賃借人は,平成19年頃から本件建物が本件施行区域内にあることから,いずれは本件建物から本社を移転 ば,本件賃借人が本件解約通知をしたことの理由の一つとして本件事業の存在があったとはいえるものの,本件賃借人は,平成19年頃から本件建物が本件施行区域内にあることから,いずれは本件建物から本社を移転しなければならないと考えるとともに,子会社オフィスを集約するなどしてグループの連携強化と業務効率化を図ることを目的とした本社移転を行うこと予定していたところ,本件事業のスケジュールが不確定であり,本件賃借人が本件建物を使用できる期間も不確定であったことから,本件賃借 人の本社移転のための手続に一定の時間を要することも考慮しつつ,本件建物に代わる建物を早期に確保し,本社機能の移転を優先的に実施させたいという考えの下に本件解約通知をするに至ったものと認められる。そうすると,本件賃借人が再開発組合(被告)の設立すら待つこともなく本件解約通知に至った主たる理由は,不確定な本件事業のスケジュールに煩わされることなく,本社機能の移転を確実に実施するという一種の経営判断にあったものと認めるのが相当であり,本件賃借人による本件賃貸借契約の解約が本件事業の明渡しによるものということはできない。 なお,原告は,明渡期限は確定的ではないとしても,本件賃借人の近未来の退去は確定的であったのであるから,本件事業のスケジュールが順調に進んだ場合のことも考慮すれば,本件スケジュールの明渡期限は本件建物からの退去時期の指針となり得るものであるから,本件解約通知は本件事業による明渡しによるものであるとも主張する。 しかしながら,前記認定事実によれば,本件賃借人が原告に対して移転先の選定に入った旨を告げてからわずか4か月後に本件解約通知をしていること,平成22年の千代田区,中央区及び港区の都心3区における2000坪以上の一棟の建物を借りて移転した事例は合計6件あ して移転先の選定に入った旨を告げてからわずか4か月後に本件解約通知をしていること,平成22年の千代田区,中央区及び港区の都心3区における2000坪以上の一棟の建物を借りて移転した事例は合計6件あり,本件賃借人の移転先のビルについても複数の候補があったことからすれば,本件賃借人としては,本件解約通知の時点で本件賃貸借契約を解約して早期に移転しなければ,その移転先の確保等が困難であったということはできない。 このことに加え,前記認定事実によれば,本件賃借人が原告に対して移転先の選定に入った旨告げた頃である平成22年6月15日には本件スケジュールの見直しがされていること,本件賃貸借契約の終了時期は,本件スケジュールの明渡期限から見ても,その約1年も前であることなどからすれば,本件賃借人としては,飽くまで,本社機能の移転を優先的に実施するため,本件スケジュールの実現可能性がどの程度あるのかとは関係なく, 確実に本社の移転ができるよう相当の余裕をもって本件解約通知に踏み切ったものといわざるを得ない。そして,本件賃借人が本件解約通知をした理由の一つとして,それほど遠くない時期において,本件事業のために本件建物を明け渡すことになるという事情があり,本件スケジュールの公表が本件賃借人に本件解約通知をするという判断をさせる契機になったとしても,上記に説示したことに鑑みれば,本件解約通知が本件事業の明渡しによるものではないとの前記判断を覆すものとはいえない。 イまた,原告が主張するように,本件事業による明渡しが予定されていたことから,本件建物の収益価値が減退したわけではないにもかかわらず,本件建物につき月額1350万円という低額な賃料で本件定期賃貸借契約を締結せざるを得なかったとしても,それは,上記ア及びイのとおり,本件賃借人がその の収益価値が減退したわけではないにもかかわらず,本件建物につき月額1350万円という低額な賃料で本件定期賃貸借契約を締結せざるを得なかったとしても,それは,上記ア及びイのとおり,本件賃借人がその経営判断により本件賃貸借契約を解約したことによるものであって,本件事業の明渡しによるものであるということはできない。 ウしたがって,本件賃貸借契約の解約が本件事業の明渡しによるものであるとして,本件賃貸借契約の賃料と本件定期賃貸借契約の賃料との差額を家賃欠収補償として補償すべきという原告の主張は採用することができない。 (3) 以上によれば,本件賃貸借契約の賃料と本件定期賃貸借契約の賃料との差額については,原告が「通常受ける損失」ということはできない。 4 争点(3)(原告に対する家賃減収補償の額)について(1) 本件補償基準20条2項は,建築物等の全部又は一部を賃貸している者が,その明渡しにより賃貸料を得ることができないと認められるときは,賃貸料を得られないと認められる期間の賃貸料相当額から,当該期間中の管理費相当額及び修繕費相当額を控除した額を補償するものとすると定め,本件細則第7第1項において家賃減収補償額は「従前の建物の家賃」に補償月数等を乗じて算出する旨規定されている。そして,上記「従前の建物の家賃」 については,本件補償基準11条が,土地の明渡しに伴い通常生ずる損失の補償額についてはいわゆる補償契約締結時あるいは明渡期限の日(以下「補償契約締結時等」という。)を基準として算定する旨規定していることからすれば,飽くまで本件細則が規定する「従前の建物の家賃」の基準時は補償契約締結時等を基本とするものと解されるところ,本件補償基準等運用において,組合設立時点から明渡期限まで空室であった賃貸可能な事務所等について で本件細則が規定する「従前の建物の家賃」の基準時は補償契約締結時等を基本とするものと解されるところ,本件補償基準等運用において,組合設立時点から明渡期限まで空室であった賃貸可能な事務所等については家賃減収補償に準じて空室補償を行うことが規定されていることも考慮すると,上記「従前の建物の家賃」は,補償契約締結時等から見た最後の賃借人の家賃をいうと解される。このことは,前記認定事実のとおり,平成24年2月21日の被告の理事会において家賃減収補償は現時点で賃貸人が受け取っている賃料額を基準にする旨の説明がされていることからもうかがわれるところである。 ところで,用対連基準33条及び用対連細則17条-2にも家賃減収補償に係る規定が設けられているところ,用対連基準等は,公共事業の用地取得に係る補償について,公正妥当を期するため,補償基準の適正化と統一を図ることを目的として,閣議決定あるいは閣議了解がされた「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」及び「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の施行について」を受けて,用地対策連絡協議会が策定したものであり,かかる用対連基準等の規定はその制定経過等に照らして,所有者が通常受けるであろう損失に対する補償の基準として合理的なものということができる。そして,本件補償基準等は,補償契約締結前の1年間における家賃収入額を12で除した額とするか否かにおいて用対連基準等とその算定方法に差異があるものの,補償契約締結時を基準として「従前の建物の家賃」を定めるものであるという基本的な考え方に変わりはなく,本件補償基準等により定められた家賃減収補償の内容は,特段の事情がない限り,合理的なものというべきである。 本件では,前記認定事実のとおり,原告は,平成23年3月31日に本件定期借家人との 等により定められた家賃減収補償の内容は,特段の事情がない限り,合理的なものというべきである。 本件では,前記認定事実のとおり,原告は,平成23年3月31日に本件定期借家人との間で,賃料を月額1350万円,期間を同年4月19日から平成25年3月31日までとする本件定期賃貸借契約を締結しており,本件定期借家人が,原告との補償契約締結時等から見て最後の賃借人ということになることから,本件補償基準等によれば,本件定期賃貸借契約の賃料額である月額1350万円が家賃減収補償の基準額になる。 (2) ところで,本件補償基準等運用においては,賃貸可能な事務所等で,被告設立時点で既に空室であり,土地の明渡し期日まで引き続き空室であった部分に対しては,家賃減収補償に準じて空室補償することが定められているところ,仮に,上記空室補償による場合の本件賃貸部分に係る原告への補償金の額は,月額1844万9424円(3000円/㎡×6833.12㎡(従前占有面積)×0.9)となり,本件定期借家契約の月額賃料である1350万円よりも高くなる。 しかしながら,前記認定事実のとおり,本件補償基準等運用は平成24年10月16日開催の理事会において承認されているところ,原告が,本件解約通知を受けて,本件定期借家人と本件定期賃貸借契約を締結したのは,本件補償基準等運用が承認される前の平成23年3月31日であって,原告が,本件定期賃貸借契約を締結する時点では,本件定期賃貸借契約を締結するべきか,そのまま本件賃貸部分を空室にして空室補償を得るべきかについて適切な選択が必ずしもできない状態にあり,仮に,本件定期賃貸借契約の締結当時,空室補償の定めのある本件補償基準等運用が存在したとすれば,原告としては,本件賃貸部分に関して,本件定期賃貸借契約を締結するこ な選択が必ずしもできない状態にあり,仮に,本件定期賃貸借契約の締結当時,空室補償の定めのある本件補償基準等運用が存在したとすれば,原告としては,本件賃貸部分に関して,本件定期賃貸借契約を締結することはせず,補償額の多い空室補償によるか,あるいは賃貸借契約を締結するとしても空室補償による補償額を超える賃料額を設定するとするのが通常といえる。 そうすると,原告に対する本件賃貸部分に係る家賃減収補償については,本件補償基準等をそのまま適用することは合理的とはいい難く,本件補償金 等運用における空室補償の金額に相当する金額(ただし,本件定期賃貸借契約により得られた賃料収入相当額を控除した額)をもって相当というべきである。 (3)アこれに対し,原告は,家賃減収補償の家賃の額は被告設立時を基準として決せられることになるところ,本件スケジュールに従えば,被告設立時点での本件建物の賃借人は本件賃借人であり,本件賃貸借契約の賃料額を基準に家賃減収補償がされたはずであるにもかかわらず,本件準備組合が本件スケジュールを示した後も度々そのスケジュールを変更したことにより,被告設立時点での本件建物の賃借人が本件賃借人ではなくなってしまったなど,本件の客観的事実を基礎とすれば,本件賃貸借契約に係る賃料額を基準に原告に対する家賃減収補償の金額が定められるべきであると主張する。 しかしながら,仮に,「従前の建物の家賃」は被告設立時を基準に定められるものであったとしても,前記3(2)アのとおり,本件スケジュールは飽くまで一応の予定あるいは目標として示された不確定なものにすぎず,本件賃借人も本件スケジュールが不確定であるという認識の下に,その経営判断において本件賃貸借契約を早期に解約したのであって,本件賃貸借契約の解約が本件事業の明渡しによるものとは 確定なものにすぎず,本件賃借人も本件スケジュールが不確定であるという認識の下に,その経営判断において本件賃貸借契約を早期に解約したのであって,本件賃貸借契約の解約が本件事業の明渡しによるものとはいえない以上,本件賃貸借契約に係る賃料額を基準として家賃減収補償を算定すべきものということはできない。 イまた,原告は,本件建物を明け渡すことは,本件建物の本来の収益獲得機会を喪失するというものであるから,本件建物の収益獲得能力を基準に家賃減収補償の金額が定められるべきであると主張する。 しかしながら,家賃減収補償は,建物所有者が,建物を再築するまでの間,従前得ていた賃料を得ることができなくなるという損失を補償するものであって,当該賃料の額は,個別の賃貸借契約で定められるものであり, 必ずしも当該建物の客観的な収益獲得能力と一致するものではないことからすれば,家賃減収補償は当該建物の収益獲得能力により定められるべき性質のものとはいえない。そして,用対連基準等においても,家賃減収補償額の算定に当たっての賃料に係る基本的な考え方は,建物所有者との補償契約締結時における従前建物の当該借家人の賃料とすることを前提にしているのであって(乙54),本件補償基準等が,収益獲得能力を基準とせず,個別の賃貸借契約を前提とした「従前の建物の家賃」を基準としたことには合理性があるものというべきである。 したがって,本件建物の収益獲得能力を基準に家賃減収補償の金額が定められるべきという原告の主張は採用することができない。 ウさらに,原告は,本件準備組合には本件スケジュールの実現可能性を見極める注意義務があったにもかかわらず,これを怠り本件スケジュールを公表したのであって,本件準備組合には実現不可能な明渡し時期を公表 さらに,原告は,本件準備組合には本件スケジュールの実現可能性を見極める注意義務があったにもかかわらず,これを怠り本件スケジュールを公表したのであって,本件準備組合には実現不可能な明渡し時期を公表したことにつき故意又は重過失があり,本件賃貸借契約の賃料額を基準とする補償をしないことは信義則に違反すると主張する。 しかしながら,前記3(2)アのとおり,第一種市街地再開発事業は,多数の関係権利者との利害調整等を図りつつ実施される事業であり,再開発組合設立認可や権利変換計画認可の段階において一定数以上の組合員の同意が必要とされているなど,必ずしも施行者の意向のみで進められるものではないことからすれば,第一種市街地再開発事業において施行者側がスケジュールを示したとしても,それは飽くまで一応の予定あるいは目標が示されたにすぎないものというべきところ,本件スケジュールも本件準備組合としての一応の予定あるいは目標を示したにすぎないものであり,本件準備組合において本件スケジュールのとおりに本件事業を進めることを確約したというような事情も見当たらない以上,本件準備組合に,原告が主張するような本件スケジュールの実現可能性を見極める注意義務があった ということはできない。 エそのほか,原告は,代替借家が少なく移転計画が定めにくい等の理由から借家人等の段階的かつ早期移転が行われる事例に関しては,空室補償あるいは新たに締結した定期建物賃貸借契約に係る低額な賃料による補償がされることになり,いずれの場合もその補償額が極端に圧縮されることなどから,このような事例に関する家主に対する補償の基準を整備しなかったことについて被告に重大な過失があると主張する。 しかしながら,用対連基準等においては,原告が主張するような補償基準 どから,このような事例に関する家主に対する補償の基準を整備しなかったことについて被告に重大な過失があると主張する。 しかしながら,用対連基準等においては,原告が主張するような補償基準の定めはなく,本件補償基準等を策定した当時,一般的にそのような補償基準を定めなければならないことが要求されていたということはできず,そのような定めをしなかったことについて被告に過失があるということはできない。また,本件補償基準等運用の空室補償の金額については,前記認定事実のとおり,空室の事務所等一般の補償額として原告も賛成した上で理事会において承認されており,当該理事会において,その空室補償の算定方法自体に異論が唱えられたというような事情も見当たらないのであって(乙13の3),かかる空室補償の定めの策定経緯等にも照らせば,仮に,本件賃貸部分に係る前記(2)の算定方法により算定された補償額が通常の賃貸借契約を締結した場合における賃料額を基準とした補償額より低額なものになるとしても,前記(3)の方法により算定した額を超えて補償しないことが不合理であるということはできない。 (4)ア以上を前提とすると,被告が支払うべき本件建物に係る家賃減収補償としては,本件賃貸部分の家賃減収補償(空室補償相当額)である5億5032万5232円(3000円/㎡×6833.12㎡×0.9(管理修繕費相当額の控除)×43か月-2億4300万円(原告が本件定期賃貸借契約より受領した金額に0.9(管理修繕相当額の控除)を乗じた金額))及び本件賃借人及び本件定期借家人以外の者との賃貸借契約に係る家賃減 収補償である4984万0646円(128万7872円×0.9(管理修繕費相当額を控除)×43か月)の合計6億0016万5878円となる。 そして との賃貸借契約に係る家賃減 収補償である4984万0646円(128万7872円×0.9(管理修繕費相当額を控除)×43か月)の合計6億0016万5878円となる。 そして,前記前提事実のとおり,原告は,被告から家賃減収補償として平成25年3月29日に5億4254万9500円,平成26年4月14日に2646万5850円(平成25年10月22日の事業計画の変更を受けて追加された2か月分の家賃減収補償として支払われた2646万5850円を除いた額),同年7月10日に3115万0509円の合計6億0016万5859円,平成29年3月28日に19円の各支払を受けており,上記家賃減収補償額については全て支払われている。 イ次に過怠金については,本件明渡期限において未払であった本件補償金の元金は5761万6378円(6億0016万5878円-5億4254万9500円)であったが,上記アのとおり,本件補償金の元金に対するものとして,平成26年4月14日に2646万5850円,同年7月10日に3115万0509円,平成29年3月28日に19円がそれぞれ支払われている。 これを前提に過怠金を計算すると,上記2646万5850円に対する平成25年4月2日から平成26年4月14日までの過怠金として397万4228円(2646万5850円×0.145×378日÷365日),上記3115万0509円に対する平成25年4月2日から平成26年7月10日までの過怠金として575万4310円(3115万0509円×0.145×465日÷365日),上記19円に対する平成25年4月2日から平成29年3月28日までの過怠金として11円(19円×0. 145×(3年+361日÷365日)),合計972万8549円の過怠金が発生す 5日÷365日),上記19円に対する平成25年4月2日から平成29年3月28日までの過怠金として11円(19円×0. 145×(3年+361日÷365日)),合計972万8549円の過怠金が発生することになる。 そして,前記前提事実のとおり,被告から原告に対して支払われた過怠 金は,平成26年7月10日に972万8538円,平成29年3月28日に11円の合計972万8549円であり,上記過怠金については全て支払われている。 5 争点(4)(原告の資金調達に係る増加費用等の補償の要否)について(1) 前記3(1)のとおり,都市再開発法97条1項の「通常受ける損失」とは,通常の事情の下において客観的に受けるべきものと認められる損失をいい,特別の事情に基づく損失は含まれないものと解される。 (2) 金利差額分等についてア原告は,香港上海銀行から借入金債務の一括返済を求められたため,AMIから年9%もの利率で借入れをすることとなったが,このように高金利で資金調達をせざるを得なくなったのは,本件賃貸借契約が解約され,優良賃借人(本件賃借人)を失ったことにより,その信用力が大幅に低下したこと,本件事業のスケジュールが度々延期され,補償額も未定であったこと,原告としては一部であっても補償金を受領するつもりであったのにZ6が補償金を供託する旨述べたことに原因があるとし,香港上海銀行からの借入金に係る利息と上記AMIからの借入金に係る利息との差額は,「通常受ける損失」に当たると主張する。 イしかしながら,原告が,本件定期賃貸借契約を締結したのは,本件賃貸借契約が解約されたことによるものであるところ,前記3(2)アに説示したとおり,本件賃貸借契約の解約は,本件事業の明渡しによるものということはできない。また,そ 期賃貸借契約を締結したのは,本件賃貸借契約が解約されたことによるものであるところ,前記3(2)アに説示したとおり,本件賃貸借契約の解約は,本件事業の明渡しによるものということはできない。また,そもそも借入金債務の一括返済を求めるか否かについても,借入金の額を始めとする消費貸借契約の内容,借入金債務の返済状況,借主の損益あるいは資産状況等のほか貸主側の事情も含めて種々の事情を勘案して決せられるものであって,本件事業により本件建物を明け渡すことになれば,本件建物の所有者が,当然にその融資を受けている金融機関等から債務の一括返済を求められることになるものとはいえない し,具体的に見ても,前記認定事実のとおり,香港上海銀行からの借入れについては,もともと原告が借換えをするまでの短期的融資であったが,原告において借換えが実行される見通しがないこと,原告が香港上海銀行に本件賃借人の退去を報告しなかったこと,香港上海銀行からの借入れに係る債務返済の原資を確保する見通しが立っていないこと(なお,本件事業により得られる補償金は返済原資の一つにすぎない。)といった借入態様や報告状況等の個別の事情を勘案して原告は香港上海銀行から一括返済を求められるに至ったものというべきである。また,仮に,原告が主張するZ6による供託に係る発言についても,本件補償金について供託を受ければ,その供託金の還付を受けることで当該供託された補償金を受領できるところ,金融機関がこのことを知らないわけはなく,仮に,原告が主張するようなZ6の供託に係る発言があったとしても,そのことをもって香港上海銀行からの一括返済の求めにつがなるとは考え難い。 したがって,香港上海銀行からの一括返済及びそれに続くAMIからの借入れが,本件事業の明渡しによるものということはできず, をもって香港上海銀行からの一括返済の求めにつがなるとは考え難い。 したがって,香港上海銀行からの一括返済及びそれに続くAMIからの借入れが,本件事業の明渡しによるものということはできず,原告が主張する上記利息の差額分は,「通常受ける損失」には当たらない。 ウまた,原告が「通常受ける損失」として主張する別紙3の項目2ないし38は,いずれもAMIからの借入れに関連するものであって,上記イのとおり,香港上海銀行からの一括返済及びそれに続くAMIからの借入れが,本件事業の明渡しによるものということはできない以上,上記各項目に係る損失も「通常受ける損失」には当たらない。 (3) 仲介手数料(別紙3の項目1)原告は,本件賃借人の退去後,本件定期賃貸借契約を締結したが,これは原告の損失を減少させるために合理的な経営判断に基づき行ったものであるから,原告が,本件定期賃貸借契約を締結するために三井不動産に支払った仲介手数料は,「通常受ける損失」に当たると主張する。 しかし,本件定期賃貸借契約を締結したのは,本件賃貸借契約が解約されたことによるものであるところ,前記3(2)アに説示したとおり,本件賃貸借契約の解約は本件事業の明渡しによるものとは評価できないのであるから,本件定期賃貸借契約を締結したことも本件事業の明渡しに通常起因するものとはいえず,上記仲介手数料は,「通常受ける損失」には当たらない。 第4 結論以上によれば,本件訴えのうち,平成28年10月1日から同年11月30日までの期間に係る補償金及びこれに対する過怠金の支払を求める部分は不適法であるから,これを却下し,原告のその余の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官 怠金の支払を求める部分は不適法であるから,これを却下し,原告のその余の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官林俊之 裁判官池田好英 裁判官齊藤充洋は,転官のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官林俊之(別紙1及び3省略) (別紙2)関係法令等の定め 1 都市再開発法(1) 都市再開発法96条1項(平成28年法律第72号による改正前のもの。 以下同じ。)は,施行者は,権利変換期日後第一種市街地再開発事業に係る工事のため必要があるときは,施行地区内の土地又は当該土地にある物件を占有している者に対し,期限を定めて,土地の明渡しを求めることができると規定している。 (2) 都市再開発法97条1項は,施行者は,前条の規定による土地若しくは物件の引渡し又は物件の移転により同条1項の土地の占有者及び物件に関し権利を有する者が通常受ける損失を補償しなければならないと規定しており,同条2項は,上記の損失の補償額については,施行者と土地の占有者又は物件に関し権利を有する者とが協議しなればならないと規定している。また,同条4項は,同条2項による協議が成立しないときは,施行者又は損失を受けた者は,収用委員会に土地収用法94条2項の規定による補償額の裁決を申請することができると規定している。 2 △西地区第一種市街地再開発事業補償基準(以下「本件補償基準」という。乙11)(1) 本件補償基準11条は,補償額算定の基準時点は,都市再開発法97条2項の規定に基づき協議が成立した日とし,同法96条2項に規定する明渡しの期限まで 以下「本件補償基準」という。乙11)(1) 本件補償基準11条は,補償額算定の基準時点は,都市再開発法97条2項の規定に基づき協議が成立した日とし,同法96条2項に規定する明渡しの期限までに協議が整わないときは,上記明渡しの期限の日とする旨規定している。 (2) 本件補償基準20条2項は,建築物等の全部又は一部を賃貸している者が,その明渡しにより賃貸料を得ることができないと認められるときは,賃貸料を得られないと認められる期間の賃貸料相当額から,当該期間中の管理費相当額 及び修繕費相当額を控除した額を補償するものとする旨規定している。 (3) 本件補償基準24条は,その1項において,都市再開発法96条1項に規定する宅地等の明渡し期限日前に,借家人が移転することにより,あるいは,借家人との賃貸借等の契約が解約されることにより,建物等の全部又は一部を賃貸している者が賃貸料を得ることができないと認められるときは,都市再開発法19条1項に規定する公告があった日以降に限り,相当と認められる期間を定め,これを補償することができる旨,同条2項において,前項の場合における補償の額は,本件補償基準20条に規定する家賃減収補償に準じる旨規定している。 (4) 本件補償基準25条は,本章に規定するもののほか,通常生ずる損失の補償とすべき補償項目が発生した場合には,理事会に諮り,これを補償するものとする旨規定している。 3 △西地区第一種市街地再開発事業補償基準細則(以下「本件細則」という。乙12)(1) 本件細則第7第1項は,本件補償基準20条の地代減収補償額及び家賃減収補償額は,次式により算定する旨規定している。 補償額=従前の地代・駐車場賃料,従前の建物の家賃(月額)×(1-α)×補償月数α=土地の管理費相当額,建物の 準20条の地代減収補償額及び家賃減収補償額は,次式により算定する旨規定している。 補償額=従前の地代・駐車場賃料,従前の建物の家賃(月額)×(1-α)×補償月数α=土地の管理費相当額,建物の管理費及び修繕費相当額を考慮して定めた率(家賃減収の場合は0.1)(2) 本件細則第11は,本件補償基準24条(家賃欠収補償)は,次により処理するとし,その第1項において,土地の明渡し期日前に借家人が立ち退いた建物所有者で,理事会が承認した者に対し補償する家賃欠収額は,細則第7に規定する家賃減収補償に準じる旨規定し,その第2項において,補償期間は,都市再開発法19条1項の公告後,借家人の立退き期日の月から,都市再開発法 96条1項に規定する土地の明渡し期日の月までの期間のうち,相当と認められる期間とする旨規定している。 3 補償基準及び補償基準細則の運用について(以下「本件補償基準等運用」といい,本件補償基準及び本件細則と併せて「本件補償基準等」という。乙13の2)(1) 本件補償基準等運用「1.家賃欠収補償について」は,本件細則第11第2項の「相当と認められる期間」に関して,その開始時期を平成24年10月とし,補償期間を平成25年3月までの6か月間とすることとしている。 (2) 本件補償基準等運用「2.その他補償」は,本件補償基準25条が定める補償項目につき,「①空室補償」として,賃貸可能な事務所等で,再開発組合設立時点で既に空室であり,土地の明渡し期日まで引き続き空室であった部分に対し,家賃減収補償(本件補償基準20条,本件細則第7)に準じて次のとおり補償を行うこととしている。 補償額=従前占有面積(㎡)×3000円/㎡×(1-α)×補償月数-地代相当額・α=建物の管理費及び修繕費相当額を考慮して定めた率=0. 細則第7)に準じて次のとおり補償を行うこととしている。 補償額=従前占有面積(㎡)×3000円/㎡×(1-α)×補償月数-地代相当額・α=建物の管理費及び修繕費相当額を考慮して定めた率=0.1・補償月数は家賃減収補償と同月数とする。 ・借地上の建物の空室補償額は,地代相当額を控除する。 3 公共用地の取得に伴う損失補償基準(以下「用対連基準」という。乙18)用対連基準33条は,家賃減収補償という項目において,土地等の取得又は土地等の使用に伴い建物の全部又は一部を賃貸している者が当該建物を移転することにより移転期間中賃貸料を得ることができないと認められるときは,当該移転期間に応ずる賃貸料相当額から当該期間中の管理費相当額及び修繕費相当額を控除した額を補償するものとする旨規定している。 4 公共用地の取得に伴う損失補償基準細則(以下,「用対連細則」といい,用対連基準と併せて「用対連基準等」という。乙19)(1) 用対連細則第17条-2は,用対連基準33条(家賃減収補償)は,次により処理するとして,本条の補償額は,次式により算定する旨規定し,その第1項は,土地を取得する場合について,次のとおり規定している。 従前の建物の家賃(月額)×(1-α)×補償期間(月)α 管理費及び修繕費相当額を考慮し,0.1の範囲内で適正に定めた率(2) 用対連細則第17条-2第3項は,前2項の従前の建物の家賃(月額)は,補償契約締結前の1年間における当該建物に係る家賃収入額(次項により相当と認められる期間を加える場合にあっては,当該借家人が移転してから補償契約締結までの期間の家賃収入の相当額を加えた額)を12で除した額とする旨規定している。 (3) 用対連細則第17条-2第4項は,第1項及び第2項の補償期間は あっては,当該借家人が移転してから補償契約締結までの期間の家賃収入の相当額を加えた額)を12で除した額とする旨規定している。 (3) 用対連細則第17条-2第4項は,第1項及び第2項の補償期間は,貸家用の建物の移転料の算定に当たり採用した移転工法に応じた家賃を得ることができないと認められる期間として別表第4(建物移転工法別補償期間表)に定める期間とするが,用対連基準第34条の借家人に対する補償を行う場合(建物の移転が構外再築工法によるときを含む。)は借家人の入退去の準備に要する期間(原則として各1か月)を加えることができるものとし,やむを得ない事由により,建物所有者との建物移転補償契約以前に借家人が移転することにより,建物所有者が家賃を得ることができない場合は,相当と認められる期間を加えることができるものとする旨規定している。

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