主文 一本件訴えのうち、支出票及び支出命令額整理票に係る部分、並びに、被告が原告に対して平成九年五月二〇日付けでなした公文書一部公開決定のうち別紙文書目録記載一2、4(二)及び三2(二)に係る部分をいずれも却下する。 二被告が原告に対して平成九年五月二〇日付けでなした公文書一部公開決定のうち、別紙文書目録記載一3、4(一)、三1及び2(一)を非公開とする部分を取り消す。 三原告のその余の請求を棄却する。 四訴訟費用は、これを二分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第一請求被告が原告に対して平成九年五月二〇日付けでなした公文書一部公開決定(以下「本件処分」という。)のうち、支出票、支出命令額整理票及び別紙文書目録記載の文書についての非公開部分を取り消す。 第二事案の概要本件は、原告が香川県公文書公開条例(昭和六一年一二月二四日香川県条例第三〇号。以下「本件条例」という。)に基づき香川県土木部土木監理課(以下「土木監理課」という。)の食糧費に関する公文書の公開を請求したところ、被告がその一部につき非公開とする本件処分をしたため、原告がその非公開部分(ただし、本件処分を変更した後も非公開とされた部分)についての処分の取消しを求めた事案である。 一前提事実等(証拠番号の記載のないものは当事者間に争いがない。) 1 当事者原告は、香川県内に住所を有する者である。 被告は、本件条例にいう実施機関である。 2 本件公開請求原告は、平成九年五月七日、被告に対し、本件条例八条に基づき、土木監理課の食糧費について、平成四年六月から平成五年三月までの間に行った懇談会等の会合(以下、単に「会合」という。)に係る一件の支出確定額が九万九一一〇円のものについての執行伺書、支出金調書、内訳 木監理課の食糧費について、平成四年六月から平成五年三月までの間に行った懇談会等の会合(以下、単に「会合」という。)に係る一件の支出確定額が九万九一一〇円のものについての執行伺書、支出金調書、内訳書、請求書、参加者名簿その他の一切の資料の公開を請求した(以下「本件公開請求」という。)。 3 本件処分被告は、平成九年五月二〇日付けで、本件公開請求に係る公文書を「土木監理課の食糧費について、平成四年六月から平成五年三月までの間に行った会合に係る一件の支出確定額が九万九一一〇円のものについての執行伺票兼支出命令票及びこれに添付する請求書、食糧費経費内訳」(以下「本件公文書」という。)と特定した上で、そのうち、(一) 債権者の銀行口座に関する取引金融機関名、預金種目、口座番号、口座名義及び印影(以下、まとめて「債権者の銀行口座等」という。)が記載された部分については、本件条例六条二号本文に、(二) 出席者が記載された部分については、同条一号本文及び五号に該当し、(三)債権者の住所、氏名、コード番号、電話番号、ファックス番号及び執行場所(以下「債権者住所等」という。)が記載された部分については、同条一号本文、二号本文及び五号に、(四) 開催内容が記載された部分については同条一号本文及び五号にそれぞれ該当することを理由にいずれも非公開とし、その余を公開する旨の本件処分を行い、原告にその旨通知した。 4 本件処分の変更決定被告は、本訴係属中に、平成一〇年三月九日付けで本件処分の一部を変更し、本件公文書のうち(一) 債権者の銀行口座等(口座名義を除く。)が記載された部分については、本件条例六条二号本文に、(二) 県側職員の出席者氏名が記載された部分については、同条一号本文に、(三) 相手方出席者の氏名、職名(役職名)及び所属(省庁及び地方 く。)が記載された部分については、本件条例六条二号本文に、(二) 県側職員の出席者氏名が記載された部分については、同条一号本文に、(三) 相手方出席者の氏名、職名(役職名)及び所属(省庁及び地方公共団体の名称を除く。)が記載された部分については同条一号本文及び五号にそれぞれ該当することを理由にいずれも非公開決定を維持し、その余を変更して公開する旨決定をし、原告にその旨通知した。 5 本件条例の内容(乙二ないし六)(一) 本件処分の非公開事由とされる本件条例六条一号、二号及び五号の規定は次のとおりである。 六条実施機関は、公文書に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されているときは、当該公文書を公開しないことができる。 一号個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で、特定の個人が識別され得るもの。ただし、次に掲げる情報を除く。 イ法令の規定により何人でも閲覧できるとされている情報ロ公表を目的として作成し、又は取得した情報ハ法令の規定による許可、免許、届出等に際して作成し、又は取得した情報で、公益上公開することが必要であると認められるもの二号法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報で、公開することにより、当該法人等又は当該個人に不利益を与えることが明らかであると認められるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。 イ事業活動によって生じ、又は生じるおそれのある危害から人の生命、身体又は健康を保護するため、公開することが必要であると認められる情報ロ違法又は不当な事業活動によって生じ、又は生じるおそれのある支障から人の生活を保護するため、公開することが必要であると認められる情報ハイ又はロに掲げる情報に準ずる情報で、公益上公開 られる情報ロ違法又は不当な事業活動によって生じ、又は生じるおそれのある支障から人の生活を保護するため、公開することが必要であると認められる情報ハイ又はロに掲げる情報に準ずる情報で、公益上公開することが必要であると認められるもの五号県の機関又は国等の機関が行う監査、検査、取締り、試験、入札、交渉、争訟等の事務に関する情報で、公開することにより、当該若しくは将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正若しくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの(二) なお、本件条例の一部を改正する条例(平成九年香川県条例第一八号)により、本件条例六条一号ただし書きにニ及びホの規定が追加されたが、右追加規定は、改正後の本件条例の施行日(平成九年八月一日)以後に決裁又は閲覧の手続が終了した公文書について適用し、同日前に決裁又は閲覧の手続が終了した公文書については適用されないので(本件条例附則二条)、本件公文書については適用がない(以下、単に「本件条例」というときは、右改正前のものを指す。)。改正後の右追加規定は次のとおりである。 ニ公務員(国家公務員法二条一項に規定する国家公務員及び地方公務員法二条に規定する地方公務員をいう。)又は総務庁設置法四条一一号に規定する法人(同号の規定の適用を受けない法人を除く。以下「特殊法人」という。)の役員若しくは職員の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員又は特殊法人の役員若しくは職員の職の名称その他職務上の地位を表す名称及び氏名ホ公益上公開することが必要である情報として実施機関が定める情報で、公開したとしても個人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められるものちなみに、右ホの規定にいう「実施機関が定める情報」は、「会議等の開催に伴う食糧費の支出に係る香川県会計規則(昭 情報で、公開したとしても個人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められるものちなみに、右ホの規定にいう「実施機関が定める情報」は、「会議等の開催に伴う食糧費の支出に係る香川県会計規則(昭和三九年香川県規則第一九号。以下「会計則」という。)五一条一項の執行伺票、同規則五六条一項の支出命令票又はこれらに添付されている書類に記載された当該会議等に出席した者の職の名称その他職務上の地位を表す名称及び氏名」と定められている(平成九年改正後の本件条例施行規則(昭和六二年香川県規則第四号)一条の二)。 二争点 1 本案前の争点(一) 本件訴え中、「支出票」及び「支出命令額整理票」(以下、まとめて「支出票等」という。)についての非公開決定の取消しを求める部分は適法か。 (被告の主張)(1) 本件公開請求に係る各支出の関係書類は、転記、複写等により、膨大な量に上るのが実情であり、関係書類全部の開示はそれに要する費用及び時間に照らして事実上困難な場合が多い。地方公共団体の事務にかかる費用は結局、住民全体の負担に帰する以上、その効果との関係において過大な労力及び費用を伴うことは極力避けなければならないところである。ところで、本件条例の定める公文書の公開は、基本的には公文書に記録された情報の開示を意味する。そこで、実施機関においては、本件条例に基づく公文書公開請求において「その他一切の資料」と記載されている場合、数多くの公文書に共通の情報が記載されているときには、その代表的な文書、すなわち最も多量の情報を記載した文書を公開請求の対象とし、一部を転記、複写したものは、明示の請求がない限り公開請求の対象としていないものとして取り扱っている。 (2) 本件において原告が指摘する支出票等は、会計則で定めるとおり、本件公文書中の執行伺票兼支出命令票の記載事 したものは、明示の請求がない限り公開請求の対象としていないものとして取り扱っている。 (2) 本件において原告が指摘する支出票等は、会計則で定めるとおり、本件公文書中の執行伺票兼支出命令票の記載事項の一部を転記、複写したものであるから、被告は、支出票等については本件公開請求の対象とはなっていないものとして本件処分をした。したがって、本件処分は、支出票等についての非公開決定を含むものではない。 なお、会計則を見れば支出票等が公文書として存在することは明らかであり、また、本件処分通知書の「請求のあった公文書」欄の記載によれば支出票等が本件公文書に含まれていないことが明らかであるから、原告は支出票等を対象文書として明示して別途その公開を求めることが容易にできるのあって、何ら不都合はない。 (3) したがって、本件訴えのうち、本件処分により支出票等の非公開決定がなされたとしてその取消しを求める部分は不適法である。 (原告の主張)(1) 本件条例二条一項は、「公文書」とは、単に、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び写真(これらを撮影したマイクロフイルムを含む。)で、決済又は閲覧の手続が終了し、実施機関において管理しているものをいう」としているにすぎず、公開を請求する公文書の具体的名称等を特定することを要求していない。公文書は、行政機関が独自に作成、取得しているもので、その数も膨大であり、住民が個々の文書につきその名称を特定して公開を請求することは不可能であることから、本件条例八条二号は、公開を求める公文書の指定にあたり、その名称ではなく「公文書の内容」を記載すれば足りるとしている。 本件において、原告は、本件公開請求にあたり前記一2のとおり記載して公文書を指定しており、支出票等は当然に公開請求の対象に含まれるものである。 はなく「公文書の内容」を記載すれば足りるとしている。 本件において、原告は、本件公開請求にあたり前記一2のとおり記載して公文書を指定しており、支出票等は当然に公開請求の対象に含まれるものである。 (2) 被告は、会計則を見れば支出票等が公文書として存在することを知り得る旨主張するが、香川県(以下「県」という。)の内部規則を全部調査することは事実上不可能である。また、被告が主張するような取扱いが許されるのであれば、実施機関は公開したくない公文書は恣意的に公開請求の対象外とすることにより、本件条例の定める公文書公開制度を潜脱できることになり、制度の目的が達成できなくなる。本件公文書に係る支出については、支出票等が公開されて初めて右支出が実際になされた蓋然性が高いことが分かるのであり、被告が、このような重要な意味を持つ公文書を本件条例上の根拠もなく、恣意的に本件公開請求の対象外とすることは許されない。 (3) したがって、被告が、本件公開請求に対する本件処分にあたって支出票等を公開しなかったのは、右公開請求に対する非公開決定に当たる。 (二) 本件公文書中の「開催内容」及び「相手方出席者の所属する省庁又は地方公共団体の名称(以下「相手方出席者の所属する省庁等の名称」という。)」の記載につき非公開決定の取消しを求める部分の訴えの利益の有無。 (被告の主張)(1) 本件公文書に係る会合の相手方出席者はいずれも国又は地方公共団体に勤務する公務員であり、被告は、本件公文書中の相手方出席者の所属する省庁等の名称については、本件処分の変更決定により、既に原告に対してすべて公開している。なお、原告の指摘する文書中には相手方出席者の所属する省庁等の名称は記載されていない。 (2) また、被告は、本件公文書中の開催内容の記載についても、本件処分の変更決定により てすべて公開している。なお、原告の指摘する文書中には相手方出席者の所属する省庁等の名称は記載されていない。 (2) また、被告は、本件公文書中の開催内容の記載についても、本件処分の変更決定により、既に原告に対してすべて公開している。 (3) したがって、本件訴えのうち、これらについての非公開決定の取消しを求める部分は訴えの利益を欠き、不適法である。 (原告の主張)(1) 本件公文書に係る会合が実際に行われたのであれば、会合の相手方を明らかにするため、相手方出席者の氏名や職名のみならず、その所属する省庁又は地方公共団体の名称が記載されているはずである。被告は、相手方出席者の所属する省庁等の名称は既に公開したというが、本件公文書中の執行伺票兼支出命令票及び食糧費経費内訳の一部(甲二八ないし三〇、三四、三五、三七、三八、四三、四六、四九の各1及び3)については、相手方出席者の所属する省庁等の名称が記載されているにもかかわらず、公開されていないと思われる。 (2) また、本件公文書中の開催内容の記載についても、未だ公開されていない部分があると思われる。 (3) したがって、本件訴えにおいてこれらの非公開部分の開示を求める利益はある。 2 本件処分の変更決定後の非公開部分(別紙文書目録記載のうち一2、4(二)、三2(二)を除く部分)は、本件条例六条各号所定の非公開事由に該当するか。 (被告の主張)(一) 県側職員の出席者氏名について(1) 本件条例は、個人に関する情報で特定の個人が識別され得るもの(以下「個人情報」という。)が記載されている公文書は原則として非公開とし(六条一号本文)、実施機関に対し個人情報が十分保護されるよう最大限の配慮を義務づけている(三条二項)。これは、日本国憲法が保障する個人の尊厳及び基本的人権を尊重し、個人のプライバ として非公開とし(六条一号本文)、実施機関に対し個人情報が十分保護されるよう最大限の配慮を義務づけている(三条二項)。これは、日本国憲法が保障する個人の尊厳及び基本的人権を尊重し、個人のプライバシーを最大限に保護しようとするものである。ただ、プライバシーの具体的内容は必ずしも明確でないことから、本件条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含め、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開とすることで保護した上で、非公開とすべき必要のないものを六条一号ただし書きで例外的に公開することとしたものである。 (2) 本件につき、県側職員の出席者氏名は、本件条例六条一号本文にいう「特定の個人が識別され得る」情報に当たる。公務員に関する情報を同号の個人情報から除く旨の定めはなく、改正後の本件条例六条一号ただし書きニで、公務員の氏名等が非公開除外事由として追加されたことは、これらが同号本文の個人情報に含まれることを示している。また、実質的にみても、普通地方公共団体の事務を遂行し対外的折衝等を行う過程で行われる接遇を内容とする会合は、通常、出席者が飲食を共にする中で、公務に関する情報、意見を交換すると共に、個人的な懇親を深めることを目的としているのであって、会合自体は公的活動であっても、出席者にとって私的側面を有することは避けられないから、かかる会合に出席した公務員に関する情報を個人情報でないとすることはできない。 したがって、県側職員の出席者氏名は本件条例六条一号本文の個人情報に該当し、同号ただし書きイないしハのいずれにも該当しないから、公開することができない。 (二) 相手方出席者の氏名、職名及び所属(ただし、省庁等の名称を除く。以下、単に「所属」というときは、省庁等の名称を除いたものをいう。)(以下、まとめて「相手方出席者の氏名等」とい ができない。 (二) 相手方出席者の氏名、職名及び所属(ただし、省庁等の名称を除く。以下、単に「所属」というときは、省庁等の名称を除いたものをいう。)(以下、まとめて「相手方出席者の氏名等」という。)について(1) 本件条例六条一号本文該当性相手方出席者の氏名は、本件条例六条一号本文にいう「特定の個人が識別され得る」情報である。また、同号の「特定の個人が識別され得るもの」とは、特定の個人が当該情報から直接識別される情報のほか、他の情報と結びつけることにより間接的に特定の個人が識別され得る情報を含むところ、相手方出席者の職名及び所属は、その所属団体等の名簿等と照合することにより具体的な特定の個人が識別され得る情報である。 したがって、相手方出席者の氏名等は、本件条例六条一号本文に該当し、同号ただし書きイないしハのいずれにも該当しないから、非公開とすることができる。 (2) 本件条例六条五号該当性本件条例六条五号は、県の機関等が行う監査、交渉等の事務に関する情報で、公開することにより当該若しくは将来の同種の事務の目的が達成できなくなり又はこれらの事務の公正若しくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるものについては非公開としている。 本件公文書に係る会合は、出席者が飲食を共にする中で、公務に関する情報、意見等を交換するとともに、出席者(機関)相互の懇親を深めることを目的とするものであるから、本件条例六条五号にいう「交渉」に含まれるといえる。仮にそうではなくても、同号は「監査、検査、取締り、試験、入札、交渉、争訟等の事務」と規定しており、右に列挙されている監査以下の七つの事務は例示であり、限定列挙の趣旨ではないことが明らかであるから、右会合は同号の事務に含まれる。 土木監理課は、土木部で実施している道路、河川、ダム、港湾、下水 り、右に列挙されている監査以下の七つの事務は例示であり、限定列挙の趣旨ではないことが明らかであるから、右会合は同号の事務に含まれる。 土木監理課は、土木部で実施している道路、河川、ダム、港湾、下水道、公園、住宅及び砂防のほか、サンポート高松、四国横断自動車道等の各事業全体につき企画・総合調整の事務を所管しており、具体的には、各種事業に係る工事請負契約、設計積算等、建設省所管の国有財産の管理、建設業法等の施行、土木部全体の庶務事務の集中管理等を行っている。そのため、国や他の地方公共団体等との間で、入札、契約制度や積算単価のあり方等、秘密を要する事項につき会合を開催することも多いのが実情である。このような会合における相手方出席者の氏名等は、県の機関が行う交渉等の事務に関する情報であり、相手方出席者は、その氏名、職名及び所属の公表を前提として会合に出席しているものではなく、一般にその公開を望まないと考えられ、これらを公開すると、県と相手方との信頼関係が損なわれ、将来同種の交渉等を行うことが困難又は不可能となることが予測される。 したがって、相手方出席者の氏名等は、本件条例六条五号に該当するから公開することができない。 (三) 債権者の銀行口座等について(1) 本件条例六条二号は、法人等又は事業を営む個人(以下「事業者」という。)の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公開することにより当該事業者に不利益を与えることが明らかであると認められる情報については、同号ただし書きに定める情報を除き、非公開とすることを定めたものである。 (2) 債権者の銀行口座等については、債権者が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、これらの情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来 き、非公開とすることを定めたものである。 (2) 債権者の銀行口座等については、債権者が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、これらの情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、当該債権者が自らの事業活動との関わりの中で自主的に決定すべきことであり、当該債権者の事業活動に関わりなくその意思を無視して、本件条例により広く住民一般に公開することは、当該債権者に不利益を与えることになり、その不利益性は、例えば、公開された情報に基づき金融機関に対する債権の差押等を受けた場合を考えれば明らかである。なお、原告主張のように、事業者が、公金による支払を受けるか否かで、自己の銀行口座等の情報の管理について影響を受けるとすることは、公権力側の私人に対する過大な要求となろう。 したがって、債権者の銀行口座等は、本件条例六条二号本文に該当し、同号ただし書きのいずれにも該当しないから公開とすることができない。 (原告の主張)(一) 県側職員の出席者氏名について県の本件条例の解釈運用基準に関する「公文書公開事務の手引」(以下「手引」という。)は、本件条例六条一号本文につき、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に尊重するため、特定の個人が識別され得るような情報は、原則として非公開とすることを定めたものであるとしている。 本件公文書に係る会合は、県がその土木行政の推進についての協議・懇談等のために公金を用いて開催した公務であり、県側職員は公務としてこれに出席したものである。したがって、手引が示す右解釈運用基準に照らしても、本件公文書中の県側職員の出席者氏名の記載は、出席者個人のプライバシーに属するものでないことが明らかである。 なお、本件条例の改正により六条一号ただし書き二で「公務員等の職名等及び氏名」が非 も、本件公文書中の県側職員の出席者氏名の記載は、出席者個人のプライバシーに属するものでないことが明らかである。 なお、本件条例の改正により六条一号ただし書き二で「公務員等の職名等及び氏名」が非公開事由の除外事項として追加されたのは、これらの情報が非公開が許される個人情報に含まれないことを明確化するために注意的に規定されたものである。 したがって、県側職員の出席者氏名は、本件条例六条一号本文に該当しない。 (二) 相手方出席者の氏名等について(1) 本件条例六条一号本文該当性について前記のとおり、本件公文書に係る会合は、県がその土木行政の推進についての協議・懇談等のために公金を用いて開催した公務であり、相手方出席者は公務としてこれに出席したものである。したがって、相手方出席者の氏名等は、出席者個人のプライバシーに属するものでないことが明らかであり、本件条例六条一号本文に該当しない。 (2) 本件条例六条五号該当性について本件公文書に係る会合の相手方出席者の氏名等は、それ自体、本件条例六条五号にいう「監査、検査、取締り、試験、入札、交渉、争訟」についての情報に当たらない。また、手引では、「交渉」とは、相手方と取り決めを行うことを目的として行う折衝をいい、補償、賠償に係る交渉、労務上の交渉等をいうとされているところ、本件公文書に記載されている会合の内容は県の土木行政の推進についての協議・懇談等にすぎず、これが「交渉」に当たらないことは明らかである。したがって、相手方出席者の氏名等は、本件条例六条五号に該当しない。 (三) 債権者の銀行口座等について一般の個人や個人事業者、法人等にとって、自己の取引金融機関名や口座番号等の金融情報はプライバシーに属する事項であり、一般に公表しているものではなく、第三者から当然に公開を求められる性質 について一般の個人や個人事業者、法人等にとって、自己の取引金融機関名や口座番号等の金融情報はプライバシーに属する事項であり、一般に公表しているものではなく、第三者から当然に公開を求められる性質のものではない。しかしながら、本件公文書に係る債権者は、多数の来客を対象として飲食店等を営んでいる者であり、その売掛代金を請求する場合には、自己の氏名、住所、振込先金融機関名、口座の種類、口座番号等を記載して捺印した請求書を発行するのが通常であるから、債権者の銀行口座等は、債権者が秘密にしている事項ではない。 また、債権者は、県に対して本件公文書に係る会合の飲食代金等を請求し、公金の支払を受ける者であるから、県の会計担当者以外の者にその取引金融機関名や口座番号等を知られないことを要求する権利はなく、これらが公開されても、債権者に事業上の不利益を与えることが明らかであるとはいえない。 したがって、債権者の銀行口座等は、本件条例六条二号本文に該当しない。 第三当裁判所の判断一争点1(一)(本件訴え中、「支出票」及び「支出命令額整理票」の非公開決定の取消しを求める部分は適法か。)について 1 前記第二の一(前提事実等)及び証拠(甲一、二六、乙一、二、四)によれば、次の事実が認められる。 (一) 本件条例により公文書の公開を求めようとする場合には請求書に「公開を請求しようとする公文書の内容」を記載すれば足り(八条二号)、手引では、右記載につき、公文書の件名が記載されることが望ましいが、実施機関の職員が公文書を特定し得る程度の記載があればよい旨の解釈運用指針が示されている。 (二) 原告は、本件公開請求にあたり、公文書公開請求書の「請求する公文書の内容」欄に「土木監理課の食糧費について、平成四年六月から平成五年三月までの間に実施した懇談会等の会合に係 が示されている。 (二) 原告は、本件公開請求にあたり、公文書公開請求書の「請求する公文書の内容」欄に「土木監理課の食糧費について、平成四年六月から平成五年三月までの間に実施した懇談会等の会合に係る一件の支出確定額が九万九一一〇円のものについての執行伺書、支出金調書、内訳書、請求書、参加者名簿その他の一切の資料」と記載した。 (三) 食糧費は歳出予算に係る節の区分としては需用費にあたり(地方自治法施行規則一五条二項別記「歳出予算に係る節の区分の11」、会計則別表第六その一の科目11)、その口座振替の方法による支出手続は次のとおりである。 (1) 支出負担行為(地方自治法(以下「地自法」という。)二三二条の三)をしようとするときは、執行伺票(会計則第一八号様式)によりしなければならず(会計則五一条一項)、食糧費の支出負担行為にあっては、執行伺票の「内容・計算基礎」の欄の記入に代えて、食糧費経費内訳に関係事項を記載して添付する取扱いである。 (2) 食糧費の支出をするときは、債権者の請求書(会計則第二一号様式)によらなければならず(会計則五三条一項本文)、請求書の内容が実施された会合の実績と合致していれば、執行伺票に添付された食糧費経費内訳の確認印欄に所属長の押印を得る取扱いである。 (3) 収支命令者は、支出負担行為が法令又は予算に適合しているか否かを調査した上、支出命令票(会計則第二三号様式)により支出の命令をする(地自法二三二条の四第一項、会計則五六条一項)。支出命令票には、右(2)の請求書、支出負担行為の決裁書類及び食糧費経費内訳を添付して出納機関に送付する(会計則五六条二項一一号)。 (4) 出納機関は、支出命令票の送付を受けたときは、その内容を審査し(地自法二三二条の四第二項、会計則八条二項)、支払を決定したときは、支出命令票の 納機関に送付する(会計則五六条二項一一号)。 (4) 出納機関は、支出命令票の送付を受けたときは、その内容を審査し(地自法二三二条の四第二項、会計則八条二項)、支払を決定したときは、支出命令票の添付書類に確認の押印後、支払伝票(会計則第二六号様式)を作成し、支出命令票及びその添付書類に支出命令額整理票を添付して、収支命令者に返付する(会計則六〇条一項)。支払伝票は、支出票、支出命令額整理票、支払票(正・副)及び支払案内書の五枚複写であり(会計則第二六号様式)、支出票は出納機関で、支出命令額整理票は収支命令者でそれぞれ保管し、支払票は指定金融機関等に、支払案内書は債権者にそれぞれ送付される。 (5) 出納機関は、支払票(正・副)に支払票送達書及び支払票受領書からなる送達伝票(会計則第二七号様式)を添付して取引店等に送付し、口座振替の方法により支払手続をさせる(会計則六五条一項、六三条の二第一項)。取扱店等は、支払票の送付を受けて直ちに債権者の口座へ振替手続を行い、債権者にその旨通知し(会計則二三四条一項)、支払票に押印してその日に総括店に送付する(同条二項)。指定金融機関等は、毎日の支払高を現金出納日報(会計則第八一号様式)に記載して、支払の証拠書類と共にその日に総括店に送付する(会計則二四四条一項)。総括店は、総括の現金出納日報に記載して直ちに知事及び出納長に報告し(同条三項)、右現金出納日報記載の指定金融機関等の支払金額につき、その日に出納長に資金交付請求をする(会計則二三五条)。 これらによれば、支出票等は本件公文書に係る支出に関する公文書であり、本件公開請求の「請求する公文書の内容」欄に記載された「その他の一切の資料」に含まれ、本件公開請求の対象となるものと解される。 2 他方、右1(三)、前記第二の一(前提事実等)及び証拠(甲 書であり、本件公開請求の「請求する公文書の内容」欄に記載された「その他の一切の資料」に含まれ、本件公開請求の対象となるものと解される。 2 他方、右1(三)、前記第二の一(前提事実等)及び証拠(甲二、二七、乙一、証人A)によれば、被告は、公文書公開事務の経済的合理的運営の見地から、本件条例に基づく公文書公開請求書の「請求する公文書の内容」欄に「その他一切の資料」と記載されている場合、数多くの公文書に共通の情報が記載されているときには、最も多量の情報を記載した文書を代表的な文書として公開請求の対象とし、一部を転記、複写したものは、明示の請求がない限り公開請求の対象としていないものとして取り扱っていること、支出票及び支出命令額整理票の様式は別紙様式1及び2のとおりであり、その記載内容は、本件公文書中の執行伺票兼支出命令票及び請求書の記載内容の一部が転記されたものであると推認されること、被告は、本件処分通知書の「請求のあった公文書」欄に「土木監理課の食糧費について、平成四年六月から平成五年三月までの問に実施した懇談会等の会合に係る一件の支出確定額が九万九一一〇円のものについての執行伺票兼支出命令票及びこれに添付する請求書、食糧費経費内訳」と記載し、これらに対して本件処分を行ったことが認められる。 これらの事実によれば、被告は、本件公開請求の対象とされた公文書の中に支出票等は含まれていないものとして取り扱ったため、本件処分においては、これらに対する非公開決定はしていないものと認められる。 3 これに対し、原告は、本件公開請求の対象に支出票等が含まれている以上、これらについても、本件処分において実質的に非公開決定がなされたものと主張するが、本件条例による公文書公開の可否についての第一次的な判断権は実施機関にあると解されるところ、右2で認定した いる以上、これらについても、本件処分において実質的に非公開決定がなされたものと主張するが、本件条例による公文書公開の可否についての第一次的な判断権は実施機関にあると解されるところ、右2で認定した事実に照らせば、支出票等の公開の可否につき実施機関たる被告が実質的に非公開決定をしたとまでいうことはできない。 4 なお付言するに、原告は、公文書公開請求の対象公文書の特定につき被告のような取扱いが許されるのであれば、恣意的取扱いにより公文書公開制度の潜脱を許すことになると主張する。しかしながら、そもそも、本件条例による公文書公開制度は、情報公開制度の創設によって県民の県政に対する理解と関心を深め、県政への参加を促進するとともに、県政の運営の公正な執行、県民と県との信頼関係の確保を図ることが期待される旨の提言を受けて制定されたものであり(甲二五及び弁論の全趣旨)、公文書の公開の意味は当該公文書に記載された情報の公開にあることが明らかである。そうすると、公文書公開請求にあたり、ある公文書についてその名称等当該文書を特定できるような明示的記載がなく、「その他一切の資料」等という包括的記載がされている場合には、多数の公文書に共通の情報が記載されている場合、最も情報量の多いものを請求の対象とする被告の取扱いは、情報公開という公文書公開制度の趣旨・目的に照らして一定の合理性を有するものであるといえる。また、このように解しても、本件につき、原告が新たに支出票等を請求公文書として明示してその公開を求めることは自由かつ容易であるから、格別の不都合もない。 5 したがって、本件訴え中、支出票等につき、本件処分により非公開決定がなされていることを前提として、その取消しを求める部分は不適法である。 二争点1(二)(本件公文書中の「開催内容」及び「相手方出席者の所属す て、本件訴え中、支出票等につき、本件処分により非公開決定がなされていることを前提として、その取消しを求める部分は不適法である。 二争点1(二)(本件公文書中の「開催内容」及び「相手方出席者の所属する省庁等の名称」の記載につき非公開決定の取消しを求める部分の訴えの利益の有無。)について証拠(甲二、二七、二八ないし四九の各1及び3、証人A)及び弁論の全趣旨によれば、本件公文書に係る支出の相手方はすべて国又は地方公共団体の公務員であること、被告は、本件処分の一部変更決定により、本件公文書中の開催内容及び相手方出席者の所属する省庁等の名称については既に公開していることが認められる。 なお、原告は、これらの一部については未だ非公開であると主張するが、前掲各証拠に照らせば、執行伺票兼支出命令票の「内容・計算基礎」欄の開示部分の記載以外に開催内容についての記載があるとは認められず、また、相手方出席者の所属する省庁等の名称については、なるほど、原告が指摘する本件公文書の一部(甲二八ないし三〇、三四、三五、三七、三八、四三、四六、四九の各1及び3)の開示部分には相手方出席者の所属する省庁等の名称に関する記載がなく、一見、未だその一部が非公開であるかのようにも見えるが、相手方出席者の所属する省庁等の名称自体を記載しなくとも、その余の所属ないし職名を記載すれば所属する省庁等の名称が分かる場合もあり得るほか、被告において相手方出席者の所属する省庁等の名称の一部を公開しながら、一部については非公開とする理由もないと解されるから、右原告指摘部分につき相手方出席者の所属する省庁等の名称が記載されているものとは認められない。 したがって、本件公文書中の開催内容及び相手方出席者の所属する省庁等の名称の記載は、いずれも既に公開されているから、これらにつき非公開決 所属する省庁等の名称が記載されているものとは認められない。 したがって、本件公文書中の開催内容及び相手方出席者の所属する省庁等の名称の記載は、いずれも既に公開されているから、これらにつき非公開決定の取消しを求める部分の訴えの利益は消滅したものというべきであり、本件訴えのうち、右の部分は不適法である。 三争点2(本件処分の変更決定後の非公開部分は、本件条例六条各号所定の非公開事由に該当するか。)について 1 県側職員の出席者氏名の本件条例六条一号本文該当性について(一) 手引(甲二六)によれば、本件条例六条一号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するため、特定の個人が識別されるような情報は、原則として非公開とすることを定めたものであり、同号にいう「個人に関する情報」とは、思想、心身の状況、病歴、学歴、職歴、家族状況、所得、財産に関する情報等個人に関するすべての情報をいい、「特定の個人が識別され得るもの」とは、特定の個人が当該情報から直接識別される情報のほか、他の情報と結びつけることにより間接的に特定の個人が識別され得る情報を含むものとされている。 (二) 一般に、個人の氏名は「特定の個人が識別され得る情報」であり、確かに、県側職員の出席者氏名も形式的にはこれに当たるように見える。 しかしながら、証拠(甲二八ないし四九の各1及び3)によれば、本件公文書に係る会合は、県の土木行政の推進についての協議・懇談等のために公金を用いて公務として開催されたものであり、これに出席した県側職員は土木監理課等関係部署の職員であることが認められる。このように、公務員が関係部署の所轄事項に関して公務としての会合に出席することは、特段の事情がない限り、公務として出席したものと認めるべきである。 この点につき、被告は 職員であることが認められる。このように、公務員が関係部署の所轄事項に関して公務としての会合に出席することは、特段の事情がない限り、公務として出席したものと認めるべきである。 この点につき、被告は、本件公文書に係る会合への出席は、公務に関する情報や意見の交換のみならず、個人的な懇親をも目的としているから、出席者にとって私的側面を有することは避けられない旨主張する。しかし、公務員が公務に関する情報交換等のため公費を用いて開催した会合に出席した際に公務を離れて個人的な懇親の機会を持ったとしても、基本的には公務員が職務として当該会合に出席したのであって、当該出席はプライバシーと関係ないものである。公務を離れた個人的な懇親は会合の性質上付随的な事柄というべきで、この点を強調するのは相当でない。そうすると、特定の県側職員が右会合に出席したという情報自体は、当該職員個人の私的領域に属する情報でもなく、個人のプライバシーの保護を目的とする本件条例六条一号本文には該当しないものというべきである。 本件条例の改正により、同号ただし書きニで、公務員の氏名等が非公開情報から除外されたのは、公務員の氏名等も形式的には同号本文の個人情報に当たるように見えるが、同号の趣旨に照らして実質的にみれば非公開とすることができる個人情報に当たらないことを明確化するために、注意的に規定したものと解するのが相当である。 2 相手方出席者の氏名、職名(役職名)及び所属の本件条例六条一号本文及び五号該当性について(一) 本件条例六条一号本文該当性について前記のとおり、相手方出席者はすべて国又は地方公共団体の公務員であり、本件公文書に係る会合は、県がその土木行政の推進についての協議・懇談等のために公金を用いて開催した公務であり、相手方出席者は公務としてこれに出席したものである べて国又は地方公共団体の公務員であり、本件公文書に係る会合は、県がその土木行政の推進についての協議・懇談等のために公金を用いて開催した公務であり、相手方出席者は公務としてこれに出席したものである。そして、前判示のとおり、公務員が公務として会合に出席することは、事柄の性質上、当該公務員個人の私的領域に属する事項ではなく、かかる会合に出席したという情報自体は、特段の事情のない限り、当該公務員個人のプライバシーとは関係のない事柄であって、当該公務員の氏名を開示することにより、直ちに当該公務員個人の私的領域に影響が生じ得る性質のものではないと解される。本件において、公務員である相手方出席者が個人的立場で当該会合に出席した等の特段の事情は認められないから、相手方出席者の氏名は本件条例六条一号本文には該当しない。 なお、相手方出席者の職名及び所属は、他の情報と結びつけることにより特定の個人が識別され得る情報であるが、右のとおり、本件においては直接的な個人識別情報である氏名でさえ同号本文に該当しないと解されるから、間接的に個人を識別し得る情報にすぎない相手方出席者の職名及び所属がこれに該当しないことは明らかである。 (二) 本件条例六条五号該当性について(1) 手引によれば、本件条例六条五号は、行政が行う事務事業に関する情報の中には、検査の要領や試験問題等事務事業の性質、目的等から見て、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務事業の実施の目的を失い、又は公正若しくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすものがあること、また、検査の要領、試験問題、交渉結果等反復継続的な事務事業に関する情報の中には、事務事業実施後であっても、公開することにより、将来の同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正若しくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすものがあ 渉結果等反復継続的な事務事業に関する情報の中には、事務事業実施後であっても、公開することにより、将来の同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正若しくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすものがあることから、これらの情報を非公開としたと認められる。そして、同号に列挙されている事務は、代表的な事務の例示であり、「事務の目的が達成できなくなるおそれのあるもの」とは、事務事業の性質上、その情報を公開すれば、当該事務事業を実施する意味を喪失するおそれのある情報をいい、また、「事務の公正若しくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの」とは、例えば、公開することにより、特定のものに不当な利益を与えるおそれのある情報や、経費が著しく増大したり、事務事業の実施の時期が大幅に遅れるなど行政の質の低下を来すおそれのある情報、事務事業実施のために必要な情報又は関係者の理解・協力が得られなくなるおそれのある情報をいうとされている。 (2) このように、同号に列挙された事務は例示にすぎず、また、前記のとおり、本件公文書に係る会合は県の土木行政の推進についての協議・懇談等に関するものであるから、右会合の相手方出席者の氏名等は、本件条例六条五号にいう「県の機関が行う事務に関する情報」に当たる。 (3)① 次に、同号にいう、公開により「将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正若しくは円滑な執行に著しい支障が生じるおそれ」があるというためには、本件公文書に係る会合が、県の事務事業の施行のために必要な事項についての関係者との内密の協議を目的として行われたものであり、かつ、本件公文書に記載された情報につき、相手方が了知されることにより、相手方との信頼関係が損なわれ、以後の会合への出席拒否や率直な意見交換の阻害といった不都合が生じるおそれがあ われたものであり、かつ、本件公文書に記載された情報につき、相手方が了知されることにより、相手方との信頼関係が損なわれ、以後の会合への出席拒否や率直な意見交換の阻害といった不都合が生じるおそれがあることを主張立証する必要があると解される(最高裁判所平成六年二月八日第三小法廷判決・民集四八巻二号二五五頁参照)。 ② この点につき、被告は、土木監理課においては、国や他の地方公共団体等との間で秘密を要する事項につき会合を開催することも多いと主張するが、本件公文書に係る会合がいずれも内密の協議を目的として行われたものと認めるに足りる証拠はない。 ③ また、被告は、このような会合の相手方出席者はその氏名等の公開を前提としておらず、公開を望まないと考えられ、これを公開すると、県と相手方との信頼関係が損なわれ、将来同種の交渉等を行うことが困難又は不可能となることが予測されると主張し、証人Aは、近時、同種の会合がほとんどなくなったため、経済対策等に関する情報の入手が遅れるなどの影響が生じている旨証言する。しかし、本件公文書には、会合の日時、場所及び概括的内容、出席者の氏名、職名及び所属並びに所要経費とその内訳が記載されているにすぎず、会合の具体的内容まで記載されているわけではないから(甲二八ないし四九の各1ないし3)、相手方出席者の氏名等が公開されたとしても、相手方公務員において不快、不信の念を抱き、以後同種の会合への参加を拒否したり、率直な意見表明を控えたりするような事態が生じるとは認め難い。証人Aが証言するような情報入手の遅滞については、そもそも県の土木行政の推進を目的とする同種の会合が行われなくなった理由が必ずしも明らかでないが、同種会合に代わる方途で同じ目的が達成されないかも検討されるべきであり、その検討結果が明らかとはいえない本件にあっては、 政の推進を目的とする同種の会合が行われなくなった理由が必ずしも明らかでないが、同種会合に代わる方途で同じ目的が達成されないかも検討されるべきであり、その検討結果が明らかとはいえない本件にあっては、この程度の支障をもって本件条例六条五号にいう、事務の目的が達成できなくなったり、事務の公正・円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるとまでは認められない。 ④ 右①ないし③によれば、相手方出席者の氏名等は、本件条例六条五号に該当しない。 3 債権者の銀行口座等の本件条例六条二号本文該当性について(一) 手引によれば、本件条例六条二号は、事業者の事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、事業者に不利益を与えると認められる情報については非公開としたと認められる。そして、同号にいう「不利益を与えることが明らかであると認められるもの」とは、生産技術上、販売上のノウハウに関する情報や、経理・人事等内部管理に属する事項で、公開することにより事業者の事業活動が損なわれると認められるもの、その他公開することにより、事業者の名誉、社会的評価、社会活動の自由等が損なわれると認められる情報をいい、法令の規定により何人でも閲覧できる情報や、公表することを目的として作成・取得した情報(公表することが了承され又は慣例となっている情報を含む。)、事業者がPR等のため自主的に公表した資料から何人でも知り得る情報、情報が加工され、個々の事業者が識別できなくなっているものは、これに当たらないとされている。 (二) 本件につき、債権者の銀行口座等は、事業者の当該事業に係る金銭の出納に関わる情報であるから、本件条例六条二号本文にいう事業者の「当該事業に関する情報」に当たる。 そして、債権者の銀行口座等については、債権者が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報で 出納に関わる情報であるから、本件条例六条二号本文にいう事業者の「当該事業に関する情報」に当たる。 そして、債権者の銀行口座等については、債権者が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、一般に公表しているものでなく、第三者から当然に公開を求められる性質のものではないのであって、これらの情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、当該債権者が自らの事業活動との関わりの中で自主的に決定すべき事項であるといえる。 この点につき、原告は、本件公文書に係る債権者は多数の来客を対象として飲食店等を営んでいる者であり、売掛代金の請求に際して、銀行口座等を記載して捺印した請求書を発行するのが通常であるから、これらの金融情報は、債権者が秘密にしている事項ではないと主張する。しかしながら、本件条例六条二号は、事業者が秘密にしている事項に限って非公開としているものではないことは明らかであるし、事業者が個々の取引先に対して代金を請求するにあたり、即時払とするか売掛払とするか、現金払とするか振込払とするかは、当該事業者が個別に判断する事項であり、常に銀行口座等を記載した請求書によるわけでもないから、一般に、県と取引関係にある事業者が、県からその代金の支払を受けるために自己の銀行口座等を請求書に記載したからといって、取引関係にない一般の住民にまで広くこれを公開することを予定しているものとは到底言い難く、債権者の銀行口座等が一般に公表することが了承され又は慣例となっている情報であるとはいえない。そうすると、債権者の事業活動に関わりなくその意思を無視して、本件条例により当該債権者の内部管理事項である銀行口座等を広く住民一般に公開することは、当該債権者に不利益を与えることが明らかであり、また、公開された情報に基づき金融機関に対する預金債権の差押等 、本件条例により当該債権者の内部管理事項である銀行口座等を広く住民一般に公開することは、当該債権者に不利益を与えることが明らかであり、また、公開された情報に基づき金融機関に対する預金債権の差押等を受ける危険性等に照らしても、その不利益性は明らかである。 したがって、債権者の銀行口座等は、本件条例六条二号本文に該当し、同号ただし書きのいずれにも該当しないから非公開とすることができる。 四結論以上の次第で、本件訴え中、本件処分のうち開催内容及び相手方出席者の所属する省庁等の名称(別紙文書目録記載一2、4(二)、三2(二))に係る部分、並びに、支出票及び支出命令額整理票に係る部分はいずれも不適法であり、本件処分のうち、債権者の銀行口座等(同目録記載一1、二)を非公開としたことは正当であるが、県側職員の出席者氏名並びに相手方出席者の氏名、職名及び所属(同目録記載一3、4(一)、三1、2(一))を非公開としたことは違法である。 よって、主文のとおり判決する。 (口頭弁論終結の日平成一一年一月二六日)高松地方裁判所民事部裁判長裁判官馬渕勉裁判官橋本都月裁判官廣瀬千恵別紙文書目録一執行伺票兼支出命令票の記載のうち、1 債権者の銀行口座に関する取引金融機関名、預金種目、口座番号 2 開催内容(会合の名称、目的) 3 県側職員の出席者の氏名 4 相手方出席者の、(一) 氏名、職名(役職名)及び所属(ただし、省庁又は地方公共団体の名称を除く。)(二) 所属する省庁又は地方公共団体の名称二請求書の記載のうち、債権者の銀行口座に関する取引金融機関名、預金種目、口座番号、印影三食糧費経費内訳の記載のうち、 1 県側職員の出席者の氏名 2 相手方出席者の、(一) 氏名、職名(役職名)及び所属(ただし、省庁又は地方公共団体の名称を 引金融機関名、預金種目、口座番号、印影三食糧費経費内訳の記載のうち、 1 県側職員の出席者の氏名 2 相手方出席者の、(一) 氏名、職名(役職名)及び所属(ただし、省庁又は地方公共団体の名称を除く。)(二) 所属する省庁又は地方公共団体の名称
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