昭和52(行ウ)32 法人税更正決定等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和58年12月19日 神戸地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告が原告に対して昭和五一年六月三〇日付でした、原告の昭和四八年一〇月

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○ 主文原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が原告に対して昭和五一年六月三〇日付でした、原告の昭和四八年一〇月一日から昭和四九年九月三〇日までの事業年度分法人税の更正処分(但し、昭和五二年八月九日付裁決により取消された部分を除く。)のうち、所得金額四五四万五四五五円、納付すべき税額一一五万二六〇〇円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分(但し、右裁決により取消された部分を除く。)をいずれも取消す。 2 被告が原告に対して昭和五一年六月三〇日付でした、原告の昭和四九年一〇月一日から昭和五〇年九月三〇日までの事業年度分法人税の更正処分(但し、昭和五二年八月九日付裁決により取消された部分を除く。)のうち、所得金額二二七万八七一二円を超える部分及び納付すべき税額を三九〇万三二〇〇円とした部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分(但し、右裁決により取消された部分を除く。)をいずれも取消す。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁主文と同旨。 第二当事者の主張一請求原因 1 本件各処分に至る経緯(一) 原告は、自動車用ラジオチユーナー(以下、「チユーナー」ともいう。)の製造販売を目的として設立された資本金一〇〇〇万円の株式会社であつて、決算期は毎年一〇月一日から翌年九月三〇日までの年一期であり、青色申告を行つているものである。 (二) 原告は、昭和四八年一〇月一日から昭和四九年九月三〇日までの事業年度(以下、「第六期」という。)及び同年一〇月一日から昭和五〇年九月三〇日までの事業年度(以下、「第七期」という。)における各法人税につき、いずれも法定期限内に被告に対し、それぞれ別表(一)の各確定申告欄記載のとおり確定申告をしたところ、被 一日から昭和五〇年九月三〇日までの事業年度(以下、「第七期」という。)における各法人税につき、いずれも法定期限内に被告に対し、それぞれ別表(一)の各確定申告欄記載のとおり確定申告をしたところ、被告は、昭和五一年六月三〇日付で同表の各更正、賦課決定欄記載のとおりの各更正処分(以下、「本件各更正処分」という。)及び各過少申告加算税の賦課決定処分をした。 (三) そこで、原告は、これらの処分を不服として、訴外国税不服審判所長に対して審査請求をしたところ、同所長は、昭和五二年八月九日付で別表(一)の各裁決欄記載のとおり、それぞれ前記各処分の一部を取り消す旨の裁決をした(以下、右取消し後の本件各更正処分及び賦課決定処分をそれぞれ、「本件各更正処分(取消後)」、「本件各賦課決定処分」といい、これらの各処分を合わせて「本件各処分」という。)。 2 本件各処分の違法についてしかしながら、次に述べるように本件各更正処分はいずれも違法であるから、本件各賦課決定処分も違法である。 (一) 寄付金に関する事実誤認及び法令解釈の誤りについて被告は、原告の第六期及び第七期(以下、「本件係争各年分」という。)の各法人税につき、原告が訴外チユーナー商事株式会社(以下、「チユーナー商事」という。)、同日本チユーナー株式会社(以下、「日本チユーナー」という。)、同結城チユーナー株式会社(以下、「結城チユーナー」という。)、同ワールドチユーナー株式会社(以下、「ワールドチユーナー」という。)及び同那須チユーナー株式会社(以下、「那須チユーナー」という。)の五社とともに結んだ拠出金還元金規約(以下、「本件規約」という。なお、右規約を結んだ各社を総称して「グループ各社」ともいう。)に基づいて支出した各拠出金(以下、「本件各拠出金」という。)をいずれも贈与として法人税法(以下 還元金規約(以下、「本件規約」という。なお、右規約を結んだ各社を総称して「グループ各社」ともいう。)に基づいて支出した各拠出金(以下、「本件各拠出金」という。)をいずれも贈与として法人税法(以下、「法」という。)三七条二項、五項にいう寄付金と認めた。 しかしながら、右の各拠出金はいずれも損金とみるべきであるから、本件各更正処分(取消後)には、寄付金に関する事実誤認又は法令の解釈を誤つた違法がある。 (二) 理由不備について本件各更正処分には、「グループ各社規約による拠出金の支出は、金銭の贈与であり、寄付金と認める。」との理由が附記されている(以下、「本件附記理由」という。)。 しかしながら、右附記理由は、法一三〇条二項に照らし、適法な程度に理由が記載されているとはいえないから、本件各更正処分には、理由不備の違法がある。 3 よつて、原告は、本件各更正処分(取消後)のうち、確定申告にかかる所得金額を超える金額を認めた部分及び本件各賦課決定処分の取り消しを求める。 二請求原因に対する認否 1 請求原因第1項の事実は認める。 2 請求原因第2項について(一) 同項冒頭部分の主張は争う。 (二) 同項(一)前段の事実は認め、同後段の主張は争う。 (三) 同項(二)前段の事実は認め、同後段の主張は争う。 三被告の主張 1 本件各処分に至る経緯(一) 原告は、チユーナーの製造販売を業とする資本金一〇〇〇万円の同族会社であつて、青色申告を行つていたものであるが、本件係争各年分の法人税について、それぞれ法定期限内に別表(一)の各確定申告欄記載のとおり確定申告をした。 (二) そこで、被告の担当者が調査したところ、原告が雑損失として損金に計上した仕入先拡張費(第六期分三八二万二〇〇〇円、第七期分一二〇五万九〇〇〇円)は、本件規約に基づく拠出金であつて、法 た。 (二) そこで、被告の担当者が調査したところ、原告が雑損失として損金に計上した仕入先拡張費(第六期分三八二万二〇〇〇円、第七期分一二〇五万九〇〇〇円)は、本件規約に基づく拠出金であつて、法三七条所定の寄付金に該当することが判明したので、被告は、右各金額の損金算入限度超過額をそれぞれ申告額に加算し、かつ、第七期分については、第六期分未納事業税三四万七七七〇円を損金と認めて減算した結果、別表(一)の各更正、賦課決定欄記載の各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定処分をした。 (三) そこで、原告は、これらの処分を不服として、訴外国税不服審判所に審査請求をしたところ、同所長は、昭和五二年八月九日付で別表(一)の各裁決欄記載のとおり、前記各処分の一部をそれぞれ取り消す旨の裁決をした(その明細は、別表(二)及び(三)記載のとおりである。)。 2 本件各処分の適法性本件各更正処分(取消後)は、次のとおり適法であるから、本件各賦課決定処分も適法である。 (一) 本件各拠出金について(1) 法所定の寄付金について法三七条五項は、寄付金を「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」と規定している。 ところで、営利法人は、個人のように消費生活を営むものではなく、常に利益の追求を目的とするものであり、金銭その他の資産の贈与又は経済的利益の無償の供与を事業活動それ自体として行うことはないと一般に考えられるから、このような支出は事業活動の費用としては考えられず、益金から損金を引いた所得又は更に所得から租税公課を差し引いた利益金から支出すべきものとも考えられる。しかし、一方では、営利法人の無償の行為であつてもその活動範囲の広狭等に応じて、これを事業活動として行われたものと認めるのが相当な場合もありうる。このような事業活動として行われた無償の行 えられる。しかし、一方では、営利法人の無償の行為であつてもその活動範囲の広狭等に応じて、これを事業活動として行われたものと認めるのが相当な場合もありうる。このような事業活動として行われた無償の行為については、税法上もそれ相応の取扱いをしてしかるべきであるが、実際問題として、ある無償の行為が事業活動として行われたものかどうか、すなわち、それが費用性を持つものか、あるいは、単なる利益処分にすぎないのかを判定することは決して容易ではない。 そこで、法は二二条とは別に特に三七条を設け、事業活動の費用であることが判然としている同条五項かつこ書きの支出を例外として寄付金から除くとともに、損金に計上された寄付金について、どれだけが費用の性質をもち、どれだけが利益処分の性質をもつかを客観的に判定することが困難であることを考慮し、行政的便宜及び公平の維持の観点から、一種のフイクシヨンとして損金算入限度額を設けたものである。 従つて、法三七条五項にいう寄付金とは、その名義のいかんを問わず、対価性のない金銭その他の資産又は経済的利益の贈与又は無償の供与であつて、同項かつこ書き所定の広告宣伝費、見本品費、交際費、接待費及び福利厚生費にあたるものを除いたものをいうと解すべきである。 (2) 本件規約について本件規約の概要は、次のとおりである。すなわち、同規約は、グループ各社の自動車用ラジオチユーナー部品、組立品を複数の仕入先から購買するのを促進することを目的とし(第一条)、そのため、グループ各社の仕入先のうち、別に指定する特定の仕入先(以下、「指定仕入先」という。)からの各月度購買金額が別に指定仕入先別に指定した特定の各仕入先別購買金額(解除金額)を超えるときは、その購買金額に各仕入先別に定めた率(指定係数)を乗じたものを拠出金として拠出し(第二条)、 。)からの各月度購買金額が別に指定仕入先別に指定した特定の各仕入先別購買金額(解除金額)を超えるときは、その購買金額に各仕入先別に定めた率(指定係数)を乗じたものを拠出金として拠出し(第二条)、その拠出金はグループ各社において既に指定仕入先から購買している部品組立品と同様のものを指定仕入先以外(新仕入先)から購買したときは、指定仕入先から購買したと仮定した場合の購買金額に一定の率(還元率)を乗じたそれぞれの金額を各社に還元するというものである。 (3) そこで、右規約に基づく本件各拠出金が法所定の寄付金に該当するかどうかについてみるのに、(イ) 本件規約は、チユーナー商事を中心とするグループ各社(そのいずれもが原告代表者及びその一族並びに原告代表者が主宰する訴外日本信和工業株式会社を株主とする同族会社である。)間で合意されている形式をとつてはいるけれども、もともとは、チユーナー商事の内規として同社の監査室において作成されたものを、右のような特殊な関係にあるグループ各社に承認させたものであり、チユーナー商事を中心とする企業グループを支配し、リードする手段たる趣旨及び目的を有するものである。 (ロ) ところで、法人税は、個々に独立した法人を課税客体とし、各独立した法人の担税力に応じて適正に課税されるものであつて、数社からなる企業グループ全体をひとつの課税対象とするものでないことは、いうまでもない。そして、企業グループ全体としてみれば極端に広い意味での対価性を持ち、何らかの経済的利益をもたらす行為であつても、一企業ごとにこれをみれば、常に必ず対価性を持ち、又はその企業に経済的利益をもたらすとは限らない。従つて、法人税の課税は、独立した経済主体である企業グループ内の各法人ごとにその経済的実質に基づいて各事業年度の所得金額、いいかえれば、益金 を持ち、又はその企業に経済的利益をもたらすとは限らない。従つて、法人税の課税は、独立した経済主体である企業グループ内の各法人ごとにその経済的実質に基づいて各事業年度の所得金額、いいかえれば、益金の額と損金の額を算出して行うべきものである。 (ハ) これを本件についてみるのに、原告を含むグループ各社は、それぞれ独立した商号をもつて設立された株式会社であり、伝票その他の徴憑を備えて財務諸表を作成し、これを各期の定時株主総会の承認を得たうえ確定決算書とし、これに基づいて各納税地を所轄する税務署長に対し法人税の確定申告書を提出しており、独立した経済主体であることは多言を要しない。 他方、本件各拠出金は、前述した趣旨及び目的を持つ本件規約に基づく支出であつて、それは企業グループを構成する個別的企業の経済的利益よりも、むしろ企業グループ全体としてみた場合の利益ないし企業グループ全体の支配の見地から支出させられるものであり、原告自身にとつてはそれが事業上の収益に直接結びつくわけでもない。すなわち、本件各拠出金は、還元金の元資となるものであり、チユーナー商事を通じてグループ各社に益金として受け入れられることになるが、原告の拠出金を受け入れるグループ各社は、原告に対しては何ら具体的な役務の提供を義務付けられているわけではなく、原告にとつては、右の拠出金は何らの反対給付も伴つていない。そして、独立の企業体である原告自身の立場からみれば、グループ各社が新しい仕入先の開発に消極的になるのを防止しなければならない事情はないし、他社が支出した費用や損失を原告において補償しなければならない必要性も、何ら存在しない。 更に、拠出金は、その拠出をしたときにおいてこれを収受すべき相手方が特定しておらず、また、原告が他のグループ五社が開拓した新仕入先と将来取引を行うこと しなければならない必要性も、何ら存在しない。 更に、拠出金は、その拠出をしたときにおいてこれを収受すべき相手方が特定しておらず、また、原告が他のグループ五社が開拓した新仕入先と将来取引を行うことがあるとしても、少くともその拠出をした時点においては、右取引を行うことが確定しているものではないから、いまだ対価としての具体的な給付原因事実が成立しているとはいえない。 (4) 従つて、原告が本件規約に基づいて支出した本件各拠出金は、給付とその給付原因との間の直接かつ密接な因果関係、すなわち、対価性を欠如しているので、その支出は反対給付を伴わない贈与であつて、原告の事業遂行上通常かつ必要な費用であるとはいえないから、法三七条五項に定める寄付金に該当するものといわなければならない。 (二) 理由附記について(1) 法一三〇条二項は、青色申告に係る法人税につき更正をする場合には、更正通知書にその更正の理由を附記すべきものと定めているが、これは、(イ)更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、(ロ)処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものであり、かつ、(ハ)申告に係る所得の計算が法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿書類の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障したものである。 (2) 本件においては、原告の本件係争各年分の確定申告書に添付の雑益、雑損失等内訳書に別表(四)のような記載が存在した。 そこで、被告が右記載内容について調査したところ、原告が仕入先拡張費として申告した金額は、具体的行為の対価として支出されたものではなく、対価性のない金銭の支出であること及び仕入先拡張費との記載は存するものの、営業外の支出であることが判明したので、これを金銭の贈与と判断し、 告した金額は、具体的行為の対価として支出されたものではなく、対価性のない金銭の支出であること及び仕入先拡張費との記載は存するものの、営業外の支出であることが判明したので、これを金銭の贈与と判断し、「雑損失勘定に仕入拡張費として計上したグループ各社による拠出金の支出は、金銭の贈与であり、寄付金と認める。」旨理由を附記した。 (3) このように、本件附記理由は、多少言葉が不足しているとはいえ、原告が営業外の損失として計上していた仕入先拡張費は仕入先拡張費と認めることができず、本件規約に照らしてみても具体的な行為に対する対価であるとは判断できなかつたので、金銭の贈与と判断した旨を論旨に従つて簡潔に記載しているから、処分理由の記載としては十分である。 (4) よつて、本件附記理由には何らの違法はない。 3 以上のとおりであるから、本件各処分の違法をいう原告の主張は、理由がない。 四被告の主張に対する認否 1 被告の主張第1項(一)の事実は認める。同項(二)のうち、被告がそのような処分をしたことは認め、その余の事実は否認する。同項(三)の事実は認める。 2 被告の主張第2項について(一) 同項冒頭部分の主張は争う。 (二) 同項(一)について(1) 同(1)のうち、法三七条五項及び同項かつこ書の記載は認め、その余は争う。 (2) 同(2)の事実は認める。 (3) 同(3)の(イ)の事実は否認する。同(ロ)の主張は争う。同(ハ)第二段及び第三段は争う。 (4) 同(4)の主張は争う。 (三) 同項(二)について(1) 同(2)のうち、確定申告書の記載及び本件附記理由の内容は認め、その余の事実は否認する。 (2) 同(3)及び(4)の各主張は争う。 3 被告の主張第3項の主張は争う。 五原告の反論 1 寄付金について(一) 本件各拠出金に関する事実誤 附記理由の内容は認め、その余の事実は否認する。 (2) 同(3)及び(4)の各主張は争う。 3 被告の主張第3項の主張は争う。 五原告の反論 1 寄付金について(一) 本件各拠出金に関する事実誤認及び法令解釈の誤りについて(1) 法三七条五項にいう寄付金とは、法人が事業遂行上通常必要ではなく、また、事実上拒み得たにもかかわらず、期間的対価性を欠いて支出された金銭その他の資産又は供与された経済的な利益と解すべきものである。そして、同条の趣旨は、寄付金の中には全く必要性がないのに支出される場合のほか、公益上又は社会的存在としての必要性から支出されるときもあるので、公益上の寄付金は無条件に損金とし、その他は区別が困難なので損金算入の限度を設けたものと解すべきである。 (2) ところで、グループ各社は、いずれもチユーナーの生産販売を専門とする会社であるが、元来チユーナーは、自動車用ラジオの主要部品を占める半製品であつて、その需要先は弱電メーカーであり、弱電メーカーが自動車用ラジオを完成品として製作のうえ、自動車メーカーに供給し、自動車メーカーがこれを自動車の車体に取付けて自動車とともに一般需要者に供給するものであるから、その供給先は極めて限定されたものであるとともに、右のようなチユーナーの商品としての特殊性から、その部品及び組立品の仕入先も比較的限定されたものである。従つて、チユーナーの部品及び組立品については、容易に価格操作及び生産数量の変動がされやすく、こうした部品及び組立品の価格、生産数の変動は、チユーナー、自動車用ラジオ及び自動車の各生産業者に直ちに影響を及ぼすものである。そして、グループ各社はいずれも日本チユーナーの役員又は従業員が設立した会社であるが、グループ各社における部品、組立品の仕入先は日本チユーナーの仕入先であつた指定仕 者に直ちに影響を及ぼすものである。そして、グループ各社はいずれも日本チユーナーの役員又は従業員が設立した会社であるが、グループ各社における部品、組立品の仕入先は日本チユーナーの仕入先であつた指定仕入先二一社であり、同社を除くグループ各社の設立以後仕入数量の増加に伴い仕入数量の安定を欠き、仕入価格の高騰が生じたため、右指定仕入先以外に新仕人先を開発する必要に迫られた。しかしながら、新仕入先の開発には仕入先の調査、金型の作成供給、技術指導等多くの費用、労力を要するため、これを促進するためにグループ各社間の契約として成立したものが本件規約である。 本件規約は、グループ各社について従来の仕入先より合理的基準に基づいて設定された一定の金額を超える仕入の必要が生じたときは、その必要の生じた部分については指定仕入先以外から仕入れることを義務付け、これに違反したときは、合理的基準に基づいて設定された特定の係数により算定された違約金又は賠償的意義を有する損害金の支出(以下、「拠出金」という。)を負担させ、他方、新仕入先を開発した企業に対しては、その開発に要した費用の補填及び新仕入先の開発により生じる仕入先相互間の競争に基づく仕入商品の向上、数量の安定、価格の低廉等が新仕入先のみならず従来の仕入先についても生ずることによる経済的利益の対価として金銭を取得させることとし(以下、この取得金を「還元金」という。)前記拠出金をもつてその資金にあてることとしている。 すなわち、本件規約では、グループ各社が指定仕入先以外から部品、組立品を購入したときは各規約で定める還元金を取得する反面、指定仕入先から各指定仕入先ごとにグループ各社別に定めた部品、組立品の購買金額を超えて仕入れをしたときは、その指定仕入先から購入した部品、組立品の購買金額に指定係数を乗じて算出した金額 得する反面、指定仕入先から各指定仕入先ごとにグループ各社別に定めた部品、組立品の購買金額を超えて仕入れをしたときは、その指定仕入先から購入した部品、組立品の購買金額に指定係数を乗じて算出した金額を拠出金として支払うものとし、これらの計算事務をチユーナー商事監査室が行うこととしている。そして、前記指定仕入先ごとのグループ各社別の購買金額は、本件規約の実施(昭和四八年四月一日)直前における指定仕入先ごとのグループ各社別の購入実績を基礎としており、指定仕入先ごとに定められた指定係数の率は、当該指定仕入先の営業内容、購入額の多少、購入実績、新仕入先開発の難易などを総合的に考慮し、新仕入先の開発の必要性が比較的高く、かつ、その開発が比較的容易なものは高率にし、新仕入先の開発の必要性が比較的低く、かつ、その開発が比較的困難なものは低率になつている。 従つて、還元金は新仕入先を開発したことに対する報償金であり、反面、拠出金は新仕入先を開発しなかつたことに対して支払を義務付けられる課徴金の性格を有し、この拠出金をもつて還元金の支払が行われることによりグループ各社間における新仕入先の開発が促進されるのである。 このように、本件規約は、グループ各社においてより広い仕入市場を形成し、こうした広い仕入市場の自由かつ公正な競争により低廉な仕入価格によつて、数量的にも安定した部品、組立品を購入することを目的として、グループ各社間において多数当事者間の契約として締結されたものであるから、これをもつて企業グループを支配、リードする手段であるとみることはできない。 (3) 本件規約は、前述したように昭和四八年四月一日から実施されたが、これによつてグループ各社の部品、組立品の仕入先は着実に増加して、仕入数量は安定し、また、仕人価格も仕入先相互間の自由公正な競争により適正な 規約は、前述したように昭和四八年四月一日から実施されたが、これによつてグループ各社の部品、組立品の仕入先は着実に増加して、仕入数量は安定し、また、仕人価格も仕入先相互間の自由公正な競争により適正な価格となり、恣意的な価格高騰も抑止されており、右各規約の効果は明白である。 そして、グループ各社が部品、組立品の仕入先を可能な限り最多数開発することは、これらの物について公正な競争を仕入先間に生じさせ、その結果比較的低廉な価格をもつてこれを購入することができ、かつ、仕入先が多数であればあるほどその仕入れについて安定性があるので、こうした仕入先の開発を促進することはグループ各社にとつて通常行われる営業活動であり、この活動に関連して要する費用は経費である。 よつて、拠出金は経費として法上損金に計上されるべきものであり、還元金は営業外収益となるものである。 もつとも、本件規約上は、グループ各社について合計還元金が拠出金額を超えるときはその差額を雑収入とし、合計還元金が拠出金額に満たないときはその差額を雑損として処理するものと定めている(昭和四八年一〇月一日改正前の本件規約第一一、一二条、同改正後の規約第九、一〇条。)が、これはグループ各社に前記拠出金と還元金のそれぞれを損失と収入に計上したうえ、損益計算をする煩を避けるための便宜上の措置にすぎない。 (4) 以上のとおりであるから、本件規約に基づく拠出金は新市場の開発に必要な経費であり、仮に経費でないとしても、新市場の開発を履行しないために他のグループ各社に対し、支払いを義務付けられる損害金であつて、いずれにしても法にいう損金に該当するから、本件各拠出金を寄付金とした本件各更正処分は違法である。 (二) 課税の不公平について(1) 本件各拠出金は、グループ各社間において締結された本件規約所定の支出要 ても法にいう損金に該当するから、本件各拠出金を寄付金とした本件各更正処分は違法である。 (二) 課税の不公平について(1) 本件各拠出金は、グループ各社間において締結された本件規約所定の支出要件によつて支出されたものであるが、拠出金を支出したのは原告のみではなく、グループ各社に共通するものである。 (2) ところで、日本チユーナー、ワールドチユーナー及びチユーナー商事は東京国税局管内に、結城チユーナー及び那須チユーナーは関信越国税局管内に、原告は大阪国税局管内に各納税地を有するものであるところ、本件規約に基づく拠出金について損金算入を否認され、更正処分の対象となつたのは原告のみである。 すなわち、原告以外のグループ各社の各所轄税務署長は、それぞれ拠出金の損金算入を是認すべきか、寄付金として法三七条二項により損金算入限度超過額についてこれを否認すべきか、換言すれば、拠出金が法三七条二項、五項にいう寄付金に該当するかどうかについて東京国税局又は関信越国税局の見解を求め、両国税局は、これに基づいて国税庁(審理課及び法人税課)の見解を求めた結果、寄付金にあたらないものとして、いずれも更正処分をしなかつた。 (3) このように、本件各更正処分は、被告の上級庁である国税庁や他の課税庁の扱いとは異なり、ひとり原告に対してのみ、本件各拠出金が法三七条二項、五項にいう寄付金にあたるとして損金算入を否認したものである。従つて、本件各更正処分は、単に拠出金の法的性質、その支出の効果等に関する事実の認定を誤つているのにとどまらず、寄付金の解釈の誤り又はその概念の濫用によつて、原告と他のグループ各社との間における課税の公平を害し、ひいては租税平等主義にも反するものであるから、この点においても違法である。 2 理由附記について(一) 法一三〇条二項は、「税務署長 よつて、原告と他のグループ各社との間における課税の公平を害し、ひいては租税平等主義にも反するものであるから、この点においても違法である。 2 理由附記について(一) 法一三〇条二項は、「税務署長は、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には、その更正に係る国税通則法第二十八条第二項(更正通知書の記載事項)に規定する更正通知書にその更正の理由を附記しなければならない。」と規定し、青色申告者に対する更正処分に関する理由附記制度を採用している。 ところで、法がこのような理由附記制度を採用しているのは、法が青色申告制度を採用して、青色申告法人については、申告にかかる所得の計算が法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿書類の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障したものである。そこで、右のような理由附記制度の趣旨から考えると、帳簿書類の記載を否認して更正する場合において更正通知書に附記すべき理由としては、更正にかかる勘定科目とその金額を示すほか、そのような更正をした根拠を、右帳簿書類の記載以上に信憑力のある資料を摘示することによつて、具体的に明示することを要するものと解すべきである。 (二) ところが、本件附記理由は、何らの更正の根拠を示すことなく、また、帳簿書類の記載以上に信用力のある資料の摘示もしないで雑損失という帳簿の記載を無視し、寄付金と認めて更正をしたものであり、かつ、寄付金と認める具体的合理的根拠を記載していないから、本件各更正処分には理由不備の違法がある。 (三) なお、更正に関する理由附記は、その理由を納税者が推知できると否とにかかわりのない問題であり、附記された理由が法の定める要件を具備しているかどうかは通知書の記載自体によつて決すべきであるから、納税義 なお、更正に関する理由附記は、その理由を納税者が推知できると否とにかかわりのない問題であり、附記された理由が法の定める要件を具備しているかどうかは通知書の記載自体によつて決すべきであるから、納税義務者においてその理由を知つているかどうかも関係はなく、その記載自体から更正の理由を理解できる程度に記載すべきものとされている。 従つて、税務調査の際に被告職員が本件各拠出金の性格に問題があると告知した事実が存在したとしても、そのことのゆえをもつて本件附記理由を正当化することはできない。 3 以上のとおりであるから、本件各処分は、違法である。 六原告の反論に対する認否 1 原告の反論第1項について(一) 同項(一)について(1) 同(1)の主張は争う。 (2) 同(2)第一段の事実は否認する。同第二段の事実は認める。同第三段の事実は否認する。同第四段及び第五段の各主張は争う。 (3) 同(3)第一段及び第二段の各事実は否認する。同第三段の主張は争う。 同第四段のうち、本件規約に原告主張のような規定が存することは認め、その余の事実は否認する。 (4) 同(4)の主張は争う。 (二) 同項(二)について(1) 同(1)のうち、原告を除く他のグループ各社が拠出金を支出したことは知らない。その余の事実は認める。 (2) 同(2)前段の事実は認め、同後段の事実は否認する。 (3) 同(3)の主張は争う。 2 原告の反論第2項(二)及び(三)の各主張は争う。 3 原告の反論第3項の主張は争う。 七被告の反論 1 本件規約の運用について(一) 原告は、本件規約制定後も新仕入先を開発するよりも指定仕入先からの仕入を充実する途を選んでいた。すなわち、原告は、あえて拠出金を支出しても指定仕入先との取引を継続していたのであり、このことは、原告にとつては、他の仕入先に転換 入先を開発するよりも指定仕入先からの仕入を充実する途を選んでいた。すなわち、原告は、あえて拠出金を支出しても指定仕入先との取引を継続していたのであり、このことは、原告にとつては、他の仕入先に転換するよりも指定仕入先と取引する方が仕入条件がよかつたということを示しているものと考えられる。従つて、原告の場合、転換の必要性が存したのかどうか疑わしいし、拠出金を支出しても指定仕入先との取引を増加させているのであるから、積極的に仕入先の転換を促進していたとは到底認め得ない。 (二) また、原告の本件規約に基づく新規購買金額報告書には、規約の趣旨に反し、指定仕入先でない仕入先を旧仕入先に記入して新仕入先が開発されたとしたり、旧仕入先欄に記入され、転換しなければならないとされていた仕入先が、他方では転換されるにふさわしい新仕入先として記載されているなど、原告は、本件規約に関する事務を正確に実施していたとはいえない。そして、このような矛盾が生じているということは、本件規約が取引の実情にも合わず、本件規約に関する事務が理解されていなかつたことを示しているものというべきである。 (三) よつて、本件各拠出金は、原告の事業遂行上通常かつ必要な費用であるとはいえない。 2 理由附記について(一) 更正の態様には、(1)帳簿書類の記載を否認して更正する場合(以下、「帳簿否認による更正」という。)と、(2)帳簿書類に記載された基本的事実はそのまま認めたうえ、その事実に対する法的評価につき納税者と見解を異にして更正する場合(以下、「法的評価による更正」という。)とがあり、それぞれの更正の具体的態様に応じて理由附記の程度に相異があつてしかるべきである。 すなわち、帳簿否認による更正の場合にあつては、課税庁において帳簿記載以上に信憑力のある資料が見出されたため、初めて帳 れぞれの更正の具体的態様に応じて理由附記の程度に相異があつてしかるべきである。 すなわち、帳簿否認による更正の場合にあつては、課税庁において帳簿記載以上に信憑力のある資料が見出されたため、初めて帳簿記載事項を否認して更正することとなるのであるから、その更正理由の記載に当たつて課税庁側に当該資料の摘示を求めることは理由がある。 これに対し、法的評価による更正の場合にあつては、帳簿の記載によつてその存在が担保されるような事実に関する問題ではなく、法の解釈、適用につき納税者と課税庁との間においてその見解を異にするものである。このような単なる法的評価ないし法解釈の問題に係る更正の理由附記については、後述する青色申告制度の趣旨から論理必然的に要求されるものではなく、これを要するとしても、その程度は、当該法的評価ないし判断がどのような事項に対するものであるかが明確仁判別できる程度に表示、記載されていることをもつて足りるというべきである。そして、それ以上に事実関係の細部にわたり当該法的評価ないし判断の根拠となつた事実までも表示することは、税務職員に事務の煩瑣と過重を強いる結果となるので、法は毎年回帰的に限られた期間内に、しかも、大量の事務をしなければならない更正処分について、そこまで要求しているものとは到底解されない。 更に、更正の理由附記の制度の趣旨は、青色申告書の提出の承認を受けた納税義務者に対して記帳義務を課していることの代償として、帳簿書類の実額調査の保障ないし推計課税の禁止を処分手続の面から担保することにあるものと解される。 そうすると、その附記すべき理由の程度は、青色申告帳簿の有している実質的証明力との関係において考察されなければならない。すなわち、青色申告帳簿の記載によつて強度の証明力が認められるのは、取引年月日、取引の相手方、取引の対象 き理由の程度は、青色申告帳簿の有している実質的証明力との関係において考察されなければならない。すなわち、青色申告帳簿の記載によつて強度の証明力が認められるのは、取引年月日、取引の相手方、取引の対象物件、取引金額等の生の会計事実に限られるのであつて、当該取引が税法の適用上どのように取り扱われるのか、つまり、収入の課税(非課税)所得性、支出の損金(費用)性、資産の属性等についてまでは証明力を有しないものと考えられる。 従つて、税法適用上の法的評価による更正の場合において附記すべき理由としては、その法的評価の結論を示すもので足りるというべきである。 (二) そこで、これを本件についてみるのに、本件各更正処分は、帳簿否認による更正ではなく、帳簿書類に記載された基本的事実、すなわち、原告が雑損失勘定に仕入先拡張費としてグループ各社に対して第六期において三八二万二〇〇〇円、第七期において一二〇五万九〇〇〇円をそれぞれ拠出した事実はそのまま認めたうえで、これに対する法的評価、つまり、本件各拠出金が法三七条五項に定める寄付金に該当するかどうかの判断につき、納税者たる原告と課税庁たる被告とがその見解を異にして更正する場合に当たるから、その理由附記は事実とこれに対する法的評価の結論とを示すもので足りるというべきである。そして、右の考え方に基づいて本件更正に係る通知書には、いずれも本件附記理由が明記されている。 更に、本件係争各年分についての被告職員の調査に立会した訴外A公認会計士(以下、「A」という。)は、従前から原告の法人税確定申告書の作成に関与し、また、本件係争各年分のそれにも関与したものであるが、同人も右調査の時点で既に本件各拠出金が税務処理上費用と寄付金とのいずれに該当するかについて問題が存在することを認識していたのであるから、原告は、課税庁たる被告 各年分のそれにも関与したものであるが、同人も右調査の時点で既に本件各拠出金が税務処理上費用と寄付金とのいずれに該当するかについて問題が存在することを認識していたのであるから、原告は、課税庁たる被告の判断を理解し、不服申立手続において争点となるべき事項を知りうることに何らの支障はなかつた。 (三) 従つて、本件各更正処分における本件附記理由は、更正の理由附記制度に照らして十分なものであるから、同処分には、理由不備の違法はない。 八被告の反論に対する認否 1 被告の反論第1項(一)及び(二)の各事実は否認する。同項(三)の主張は争う。 2 被告の反論第2項について(一) 同項(一)の主張は争う。同項(二)の事実は否認する。同項(三)の主張は争う。 第三証拠(省略)○ 理由一原告が自動車用のチユーナーの製造販売を業とする、青色申告の資本金一〇〇〇万円の同族会社であること、原告の本件係争各年分の法人税の課税経過が別表(一)記載のとおりであること及び被告が原告において雑損失として損金に計上して確定申告をした本件各拠出金(第六期分三八二万二〇〇〇円、第七期分一二〇五万九〇〇〇円。但し、国税通則法一一八条一項により、一〇〇〇円未満の端数は切捨て。)を法三七条所定の寄付金に当たるとしたうえ、原告の所得金額を別表(二)及び(三)記載のとおり認定したことは、当事者間に争いがない。 二本件各処分の適否についてそこで、本件各処分が適法であるかどうかについて検討することとする。 1 本件各更正処分について(一) 原告は、本件各更正処分には理由不備の違法がある旨の主張もしているが、この主張を除けば、本件各拠出金が寄付金に該当することのみを争つているので、以下、この点について検討することとする。 (二) 法三七条所定の寄付金について(1) 税法上の「寄付 の主張もしているが、この主張を除けば、本件各拠出金が寄付金に該当することのみを争つているので、以下、この点について検討することとする。 (二) 法三七条所定の寄付金について(1) 税法上の「寄付金」という概念については、法三七条五項が「寄付金、きよ出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人」の行う「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」と規定していることに照らすならば、寄付金の概念は、民法上の贈与のそれと実質的には同一であり、ただ移転の対象となるものが財産に限定されず、財産以外の経済的利益を含むところに違いがあるだけであると解するのが相当である。そして、民法上の贈与については、財産上の給付が「無償ニテ」なされることを要し、ここにいう無償とは、何らの対価を伴わないことを意味し、贈与者が贈与をする動機には種々のものがあるにしても、給付自体に対して反対給付が伴つていなければ、無償というのを妨げないものと解されている。もつとも、法三七条五項かつこ書きは、「広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきもの」を寄付金から除外しているので、これらは当然に寄付金から除外されることになる。 (2) ところで、法は、内国法人(以下、「法人」という。)の各事業年度の所得の金額について、これを「当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。」と規定し(法二二条一項)、この損金の額に算入される損失は、「資本等取引以外の取引に係るもの」とされ(同条三項)、右「資本等取引」とは、「法人の資本等の金額の増加又は減少を生ずる取引及び法人が行う利益又は剰余金の分配(商法第二九三条ノ五第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)をいう。」とされている(法二二 本等取引」とは、「法人の資本等の金額の増加又は減少を生ずる取引及び法人が行う利益又は剰余金の分配(商法第二九三条ノ五第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)をいう。」とされている(法二二条五項)ので、寄付金、役員賞与又は使用人賞与を利益処分により支出したとすれば、これらは、法二二条五項にいう利益又は剰余金の分配には該当しないことから、損金の額に算入されることになるはずである。そこで、法は、寄付金又は使用人賞与を確定した決算における利益処分により支出した場合には、損金の額に算入しない旨の規定を特に設け(法三五条三項、三七条一項)、また、役員賞与についても損金不算入の別段の定めを設けている(同三五条一項)。 このように、法は、寄付金の無償性から、これが利益処分として支出されることがあることを予定し、寄付金について利益処分の経理をしたときは、これを損金に算入しない旨の別段の定めをしている。 次に、法人が寄付金について損金経理をした場合に、これを税法上どのように扱うべきかが問題になる。営利法人は、通常は資産の贈与又は経済的利益の無償の供与を事業活動そのものとして行うことはないと考えられるので、このような支出は事業活動の費用とはいえないと一応は考えられるものの、他方、営利法人は、個人のように消費生活を営まず、利益の追求を目的として活動しているものであるから、営利法人が支出するもので事業活動に全く関連しないものはあり得ず、何らかの形で事業活動に関連しているはずであり、たとえそれが無償の行為であつても、すべて事業活動から生じたものであると考える余地もないではない。よつて、こうした無償の行為のすべてについて事業関連性を肯定することができないとしても、法人の活動範囲の広狭等に応じ、無償の行為であつても、これを事業活動として行われたものと認め、 もないではない。よつて、こうした無償の行為のすべてについて事業関連性を肯定することができないとしても、法人の活動範囲の広狭等に応じ、無償の行為であつても、これを事業活動として行われたものと認め、費用性を肯定するのが相当な場合もありうる。そして、このように無償の行為であつても、事業活動として行われたものについては、税法上もそれ相応の扱いをしてしかるべきであるが、ある無償の行為が事業活動として行われたものとして費用性を肯定すべきものであるか、それとも、これを否定して利益処分によらせるべきものであるかをいちいち判定することは容易なことではない。そこで、法は、二二条とは別に特に三七条を設け、事業活動の費用であることが明らかな同条五項かつこ書きの支出を例外として寄付金から除くとともに、行政的便宜及び公平の維持の観点から、一種の擬制として、統一的な損金算入限度額を設け、その範囲内の金額は当然に費用性があるものとして損金算入を認め、それを超える部分については、仮に何らかの事業関連性があるとしても、損金算入を認めないものとしているものと解される(同条二項、五項)。 なお、原告は、寄付金は事業遂行上通常必要でないもの、すなわち、事業関連性のないものに限られる旨主張するが、事業関連性のないものについて、租税相当分だけ国家に負担が転嫁される結果になる損金計上を認める必要性があるとは考えられないので、寄付金について損金算入限度額を認めたこと自体からも、法は事業関連性のあるものをも寄付金に含ましめる趣旨であると解することができる。 (3) よつて、これら規定の趣旨等に照らすならば、法三七条五項にいう寄付金とは、どのような名義をもつてするかに関係なく、対価性のない金銭その他の資産又は経済的利益の給付又は供与であつて、同項かつこ書き所定の広告宣伝及び見本品の費用そ らすならば、法三七条五項にいう寄付金とは、どのような名義をもつてするかに関係なく、対価性のない金銭その他の資産又は経済的利益の給付又は供与であつて、同項かつこ書き所定の広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除くものをいい、事業関連性の全くないものに限定されるものではないと解するのが相当である。そして、法は、個々の法人を課税主体として、それぞれの担税力に応じて課税を行うこととしており、複数の会社が企業グループを構成している場合であつても、構成員である各会社の損益を合算して課税するような方式を採用してはいないことに照らすならば、前記寄付金に該当するかどうかの判定は、複数の関連会社が存在し、それぞれ密接な関連性を有している場合においても、独立した経済主体である各社ごとにその経済的実質に基づいて行われるべきものであると解するのが相当である。 (三) 成立に争いのない甲第一号証の一、二、第二号証、第三号証の一、二、第四号証、第五、第六号証の各一、二、乙第一号証、証人Bの証言(以下、「B証言」という。)により真正に成立したものと認められる甲第一号証の三、B証言及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。 (1) 原告の所属するチユーナーグループは、原告代表者である訴外Cが昭和三〇年に東京都杉並区<地名略>でチユーナーの生産を目的とする日本チユーナーを設立したことに始まり、その後、得意先である電機メーカー(自動車用ラジオメーカー)の需要に応じるべく、電機メーカーの工場などに近接して順次、原告(昭和四三年設立)、訴外日本テクニカル株式会社(以下、「日本テクニカル」という。 昭和四四年設立)、結城チユーナー(同年設立)、チユーナー商事(昭和四五年設立)、ワールドチユーナー(昭和四六年設 告(昭和四三年設立)、訴外日本テクニカル株式会社(以下、「日本テクニカル」という。 昭和四四年設立)、結城チユーナー(同年設立)、チユーナー商事(昭和四五年設立)、ワールドチユーナー(昭和四六年設立)及び那須チユーナー(昭和四八年設立)が設立され、これらの各社が集つて、一つの企業グループを形成したものである。そして、そのうち、チユーナー商事がグループ各社の営業面及び技術面全般を、日本テクニカルがチユーナー開発面全般及び特許面の管理を、原告、日本チユーナー及び結城チユーナーがチユーナー生産を、那須チユーナーがチユーナー生産及びコイル巻線を、ワールドチユーナーが腕金生産をそれぞれ主として担当している。 ところで、右の各社は、いずれもC及びその親族並びにCと特殊な関係のある法人が株主となつている法人税法上の同族会社であり、Cは、原告及びチユーナー商事の代表取締役の地位にあつてグループ各社を実質的に支配している。更に、原告については、本件係争各年とも、C及びその親族が全株式を所有する一〇〇パーセントの同族会社に該当し、Cの妻が取締役に、その次女及び妻の母が監査役に、それぞれ就任していた。 (2) 本件規約は、チユーナー商事監査室のB(同人は、当時日本チユーナーの代表取締役であるとともに、原告の取締役でもあつた。)らが中心となつて起草したものであり、昭和四八年二月一日付でチユーナー商事(代表者C)、日本チユーナー(同B)、原告(同C)、結城チユーナー(同訴外D)及びワールドチユーナー(同訴外E)の各社間の契約として締結された。 なお、本件規約の概要は次のとおりである(この点は、当事者間に争いがない。)。 (イ) 本件規約は、グループ各社の部品、組立品の複数社購買を促進することを目的とする(第一条)。 (ロ) グループ各社の仕入先のうち、特に指定す とおりである(この点は、当事者間に争いがない。)。 (イ) 本件規約は、グループ各社の部品、組立品の複数社購買を促進することを目的とする(第一条)。 (ロ) グループ各社の仕入先のうち、特に指定する仕入先(指定仕入先)よりの各月度購買金額が、別に定める各仕入先別購買金額(解除金額)を超えるときは、その購買金額に各仕入先ごとに定められた率(指定係数)を乗した金額を拠出金として拠出する(第二条)。 (ハ) 右指定仕入先は、訴外秋山精機など二一社であり、これらの指定係数は、各仕入先ごとに最高二五パーセントから最低一〇パーセントの範囲において定められている。しかし、原告については、原告以外のグループ各社に対して適用される指定係数の二分の一とされている(第二条、三条)。 (ニ) グループ各社において既に指定仕入先から購買している部品、組立品と同種のものを指定仕入先以外(新仕入先)から購買したときは、指定仕入先から購買したと仮定した場合の購買金額に一定の率(還元率)を乗じたそれぞれの金額を各社に還元する。但し、新部品、新組立品であつて指定仕入先から購買したことのないものについては、新仕入先の購買金額に還元率を乗じたものを還元金とする。なお、この還元率は、指定係数の算術平均である一四・一パーセントとする(第六条)。 (ホ) 第六条により還元金の対象となる購買金額は、当該月度分ごとにまとめて翌月一〇日までにチユーナー商事監査室に報告する(第七条)。 (ヘ) これらの拠出金の預り及び還元の事務は、チユーナー商事監査室においてこれを行い、還元金は、同社で預つている拠出金の中から還元する(第四条、五条、八及び九条)。 (ト) 拠出金及び還元金の会計処理については、一応拠出金は借方を仮受金、貸方を売掛金とし、還元金は借方を現金、貸方を仮払金とすることとしている 拠出金の中から還元する(第四条、五条、八及び九条)。 (ト) 拠出金及び還元金の会計処理については、一応拠出金は借方を仮受金、貸方を売掛金とし、還元金は借方を現金、貸方を仮払金とすることとしているが、グループ各社への一定期間の還元金及び再還元金の合計額がその期間の拠出金額を超えるときは、差額は雑収入に、合計還元金額が拠出金額に満たないときは、差額は雑損にするものとしている(第一一、一二条)。 なお、本件規約は前記のとおりグループ各社間の契約として締結されているが、その内容は秘密とし、グループ各社には写しさえも配付しないものとされ(附則第一条)、内容を知らされているのはグループ各社の取締役と購買課長のみである。 (3) 本件規約は、同年一〇月一日に全面改正されたが、主な改正点は、再還元制度を廃止し、拠出金は、三か月ごとにグループ各社において指定仕入先から新仕入先に転換された購買金額(指定仕入先単価×新仕入先購買数量)の合計の比に按分してそれぞれの各社に還元することとした点にあり(同規約第八条、七条)、その余の点については基本的な変更は加えられなかつた。 なお、右規約には、原告を含む前記五社のほか、新しく設立された那須チユーナー(代表者前記E)も加わつた。 (四) ところで、原告は、本件規約は、グループ各社が新仕入先を開発することによつて、仕入先相互間の競争に基づく仕入商品の品質の向上、数量の安定及び価格の低廉化に資せしめるために制定されたものであり、本件規約の実施により、グループ各社の部品、組立品の仕入先は着実に増加して仕入数量は安定し、仕入価格も適正となり、恣意的な価格の高騰は抑止されている旨主張するが、前掲甲第一号証の一ないし三、第三号証の一、二、第五、第六号証の各一、二、成立に争いのない甲第二一、第二二号証、乙第一三号証の二ないし五、 適正となり、恣意的な価格の高騰は抑止されている旨主張するが、前掲甲第一号証の一ないし三、第三号証の一、二、第五、第六号証の各一、二、成立に争いのない甲第二一、第二二号証、乙第一三号証の二ないし五、第一四ないし第一九号証、第二二号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第一三号証の一、第二三ないし第二五号証、B証言(但し、後記信用しない部分を除く。)、証人F、同Gの各証言(以下、「F証言」又は「G証言」という。なお、G証言については、後記信用しない部分を除く。)並びに弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。 (1) 原告の申告所得は第五期で約二〇〇〇万円あつたところ、本件規約施行後の第六期では四五四万五四五五円(雑損失とした拠出金と還元金の差額(以下、「差額金」という。)の支払額三八二万二〇〇〇円)、第七期では二二七万八七一二円(雑損失とした差額金一二〇五万九〇〇〇円)、第八期では一四七四万二九九二円の欠損(雑損失とした差額金一五九七万三〇〇〇円)、第九期では二六六四万〇六三一円の欠損(雑損失とした差額金四二二万四〇〇〇円)となつており、本件規約の施行に伴う差額金の支払が収益の大きな圧迫要因となつている。ところが、原告は、売上金額の増大とともに総仕入額のうち、指定仕入先からの仕入額合計の占める割合は低下しているものの、本件規約施行後も第一〇期までは、指定仕入先からの仕入額の合計額を毎年増加させており、特に転換の必要が最も高いとして最高率の指定係数が適用され、原告の最も大きな仕入先でもあるミナトについては、原告の仕入額は毎年増加し、昭和四八年の仕入額六一九三万六〇〇〇円に対し、昭和五三年には一億五一八八万二〇〇〇円となつている(もつとも、昭和五四年には九六七一万四〇〇〇円、昭和五五年には七四三四万六〇〇〇円と減少して 増加し、昭和四八年の仕入額六一九三万六〇〇〇円に対し、昭和五三年には一億五一八八万二〇〇〇円となつている(もつとも、昭和五四年には九六七一万四〇〇〇円、昭和五五年には七四三四万六〇〇〇円と減少しているが、右の各年には生産台数及び売上金額の双方が前年度よりも減少している。)。 (2) 本件規約は、仕入先の選択いかんによつては、個々のグループ各社の収益に重大な影響を及ぼす(前記のとおり、差額金の支払いは原告の収益を大きく圧迫しているが、その他のグループ各社においても、結城チユーナーは、昭和四八年一〇月一日から昭和四九年九月三〇日までの事業年度に三五九四万五〇〇〇円の差額金を支出しており、これに対し、ワールドチユーナーは、同事業年度に三六八二万九〇〇〇円の差額金を受け取つている。)にもかかわらず、前記のとおり、その内容は、グループ各社の取締役と購買課長しか知つておらず、経理担当者にも知らされていなかつた。そして、原告が昭和四八年一〇月一日改正後の本件規約第六条に基づいてチユーナー商事に対して提出する毎月の新仕入先実績に関する申請書(乙第二二号証は、原告の第六ないし第九期における申請書である。)には、本件規約の適用のない梱包業者(小山、昭和四九年一〇月から昭和五〇年六月度にかけて)又は指定仕入先ではない業者(明里スプリング、昭和四九年二月から同年一一月度にかけて、三和電気、昭和五〇年九、一〇月度、四葉電気株式会社、昭和五一年三月度)が旧仕入先として記載され、新仕入先の開発として申請されるなど規約の趣旨に適合しない運用がされていたこともあつた。 (3) 新仕入先を開発する際には、これに技術指導を行い、かつ、得意先である自動車用ラジオメーカーの承認を得る必要があるので、そのために種々の費用を要するが、最も多額の費用を要する金型の製作については、チユ 新仕入先を開発する際には、これに技術指導を行い、かつ、得意先である自動車用ラジオメーカーの承認を得る必要があるので、そのために種々の費用を要するが、最も多額の費用を要する金型の製作については、チユーナーグループは下請会社にその負担で製作させており、下請会社には、右金型代を製品の価格に上乗せしてグループ各社に納入することを認めているだけである。 (4) チユーナーグループは、個々の下請業者に対して半期に一度ぐらいの割合で全部品の一斉値下げを要求するなど下請業者に対して厳しい姿勢を取つており、また、これらの下請業者はその売上高の相当な部分をチユーナーグループに依存している関係上、受注単価の値上げなどを行いうる状況にはなかつた。 (5) 本件規約に基づく指定仕入先は当初二一社であつたが、その後、少なくとも昭和五二年七月までの間に訴外松原工業、同秋山精機株式会社、同有限会社井上プレス工業所、同国井トリーマー工業株式会社及び同有限会社東信精機の五社が倒産又は取引停止によつてこれから除外された。しかし、右期間内に、指定仕入先を追加して、更に、仕入先の転換を進めて行くというような措置も、また、新たな仕入先が開発されて複数社購買が可能になつたとして、指定仕入先を指定から除外してグループ各社の自由な仕入に任せるというような措置もとられていない。 (6) なお、当事者間に争いのない原告の第六期分拠出金三八二万二〇〇〇円、第七期分拠出金一二〇五万九〇〇〇円は、本件規約にいう拠出金そのものではなく、拠出金から還元金を差し引いた差額である。以上のような事実が認められ、B証言及びG証言中この認定に反する部分は前掲他の証拠に照らして信用することができず、他にこの認定を左右するに足りる証拠はない。 (五) 以上の事実によれば、本件規約は、これをチユーナーグループ全体の立場 言及びG証言中この認定に反する部分は前掲他の証拠に照らして信用することができず、他にこの認定を左右するに足りる証拠はない。 (五) 以上の事実によれば、本件規約は、これをチユーナーグループ全体の立場からみれば、拠出金の額と還元金の額は均衡しており、特段の経費を要することなく、グループ各社の仕入先の開発を促すことができ、仕入先間の競争による利益を享受することができるという利点を有しているといえなくもないが、これを一個の独立した法人としての原告の立場のみからみるときは、他のグループ各社が指定取引先との取引を停止し、又は指定取引先との取引を増大させることなく、新仕入先を開発してこれと取引したとしても(これにより、当該会社はグループ各社によつて拠出された金員を還元金として収受する権利が生じる。)、それによつて原告が何らの役務の提供を受けているわけではなく、また、将来原告が他のグループ各社の開発した新仕入先と取引することがあるとしても、三か月ごとの差額金支払額の確定時点では、右取引を行うことが確定しているわけではないから、その時点では、原告は何らの役務の提供も受けてはいないといわざるを得ない。そして、かえつて原告が右の新仕入先と取引をしてこれを現実に利用すれば、これについて還元金を収受する権利が発生し、原告の支払うべき差額金の額は減少し、又は逆に差額金を収受することができることになる。従つて、このような点を考慮すれば、他のグループ各社による新仕入先の開発をもつて、差額金支払いの対価であるとみることはできず、更に、その代表者の意図がどうであつたかはともかくとして、本件規約は、同一人によつて支配された同族会社で構成する企業グループ内において、グループ全体の利益に主眼を置いて締結されたものであり、これによつて原告が利益を受けうるような客観的な状況があ として、本件規約は、同一人によつて支配された同族会社で構成する企業グループ内において、グループ全体の利益に主眼を置いて締結されたものであり、これによつて原告が利益を受けうるような客観的な状況があつたかどうかさえも疑わしい契約であるといわざるを得ない(原告については、指定係数が他のグループ各社の二分の一と定められていることのみからでも、原告が仕入先を開発することは困難な状況にあつたことがうかがえる。)から、単に本件規約に基づいてその支出が義務付けられているというだけでは、本件各拠出金(差額金)の支払いが原告の事業遂行上、通常かつ必要な費用であるということはできない。そして、他に本件各拠出金(差額金)の支払いに対する対価として、他のグループ各社が原告に対して財産上の利益又は役務の提供をしていることを認めるに足りる証拠はない。 従つて、本件各拠出金(差額金)は、無償の金銭の給付であつて、原告の事業遂行上、通常必要な費用とは認められず、かつ、法三七条五項かつこ書きの除外費用に該当しないことは明らかであるから、法三七条所定の寄付金に該当するものというべきである。 (六) なお、原告は、本件規約に基づく拠出金を寄付金と認定されて更正処分を受けたのはグループ各社中原告一社にすぎないから、本件各更正処分(取消後)は、原告と他のグループ各社との間の課税の公平又は租税平等主義に反し、違法である旨主張し、原告以外のグループ各社には拠出金の損金算入を否認されたものはないことは、当事者間に争いがない。 しかしながら、本件全証拠によつても、原告の主張するように、原告を除くグループ各社の各所轄税務署長がいずれもこの点に関する国税庁の見解を求めたうえで、これに基づいて各社の拠出金を寄付金と認定しなかつたことを認めるに足りる証拠はなく、また、本件における被告の判断が正 グループ各社の各所轄税務署長がいずれもこの点に関する国税庁の見解を求めたうえで、これに基づいて各社の拠出金を寄付金と認定しなかつたことを認めるに足りる証拠はなく、また、本件における被告の判断が正当であることは、前述のとおりである。 よつて、原告の右主張は、理由がない。 (七) 以上のとおりであるから、被告が本件各拠出金を寄付金と認定した点には、何らの違法は認められない。 2 理由附記について(一) 法一三〇条二項は、青色申告にかかる法人税について更正をする場合には、更正通知書に更正の理由を附記すべき旨を定めているが、右のように法が更正通知書に更正の理由を附記すべきものとしているのは、法が青色申告制度を採用して、青色申告にかかる所得の計算については、それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障した趣旨にかんがみ、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきである。従つて、帳簿書類の記載を否認して更正をする場合において更正通知書に附記すべき理由としては、単に更正にかかる勘定科目とその金額を示すだけではなく、そのような更正をした根拠を帳簿記載以上に信憑力のある資料を摘示することによつて具体的に明示することを要するものと解すべきである(最高裁判所昭和三八年五月三一日第二小法廷判決・民集第一七巻第四号六一七頁、同同年一二月二七日第二小法廷判決・民集第一七巻第一二号一八七一頁、同昭和四七年三月三一日第二小法廷判決・民集第二六巻第二号三一九頁、同同年一二月五日第三小法廷判決・民集第二六巻第一〇号一七九五頁、同昭和五一年三月八日第二小法廷判決・民集第三〇巻第二号六四頁、同昭 同昭和四七年三月三一日第二小法廷判決・民集第二六巻第二号三一九頁、同同年一二月五日第三小法廷判決・民集第二六巻第一〇号一七九五頁、同昭和五一年三月八日第二小法廷判決・民集第三〇巻第二号六四頁、同昭和五四年四月一九日第一小法廷判決・民集第三三巻第三号三七九頁参照)。 しかしながら、帳簿書類に記載された基本的事実はそのまま認めながら、その事実に対する法的評価につき納税者と意見を異にして更正する場合には、当該法的評価又は判断の基礎となつた事実関係についての争いはないのであるから、理由附記の程度は、当該法的評価又は判断がどのような事項についてどのような結論に到達したかを青色申告者に通常理解しうる程度に記載されていることで足りるというべきである。 (二) そこで、これを本件についてみるのに、前掲甲第五及び第六号証の各一、二、乙第六及び第七号証の各一、二、成立に争いのない甲第七号証の一、二(乙第八及び第九号証の各一、二と同にもの)、F証言並びに弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。 (1) 原告の本件係争各年分の確定申告書に添付の雑益、雑損失等内訳書には、別表(四)記載のとおりの記載があつた(この点は、当事者間に争いがない。)。 (2) 被告は、右申告内容の検討の結果、雑損失が異常に高額であると判断したので、係員に実施調査を命じるとともに、本件規約を検討した結果、原告が仕入先拡張費と申告した金額の支出は認められるものの、これは、具体的行為の対価として支出されたものではなく、対価性のない金銭の支出であり、金銭の贈与であると判断した。 (3) そこで、被告は、本件各更正処分を行い、その更正通知書の更正理由を別表(五)記載のとおり附記した。 (三) 右認定の事実によれば、本件各更正処分は、帳簿書類の記載を否認して更正 判断した。 (3) そこで、被告は、本件各更正処分を行い、その更正通知書の更正理由を別表(五)記載のとおり附記した。 (三) 右認定の事実によれば、本件各更正処分は、帳簿書類の記載を否認して更正する場合ではなく、計上された申告金額を認めたうえで、その金額の計上すべき勘定科目の判断、すなわち、税法上の法的評価を異にした場合であり、本件附記理由は、その記載が簡単でやや言葉が足りないきらいがないわけでもないが、その判断がどのような事項(勘定科目等)についてどのような結論をとつたかを、その記載自体から理解しうる程度に特定して記載しているものというべきである。 従つて、本件附記理由は法一三〇条二項所定の理由の附記として欠けるところがないから、理由不備を主張する原告の主張は、採用できない。 3 本件各処分の適法性について前述したように、本件各更正処分(取消後)には何らの違法は認められないから、原告は、第六期及び第七期の法人税につきそれぞれ八二五万六八三五円及び一三八二万〇七五二円の所得金額を申告しなければならなかつたものであるところ、原告が右の額の確定申告をしなかつたため本件各賦課決定処分を受けたことは、弁論の全趣旨により明らかである。そして、原告が右の金額について確定申告をしなかつたことについて、国税通則法六五条二項但し書きに規定する「正当な理由」の存在を認めるに足りる証拠はないから、本件各賦課決定処分は適法である。 以上のとおりであるから、本件各処分は適法であり、これを違法とする原告の主張は、いずれも理由がない。 三結論よつて、原告の本訴請求は、いずれも理由がないものとして、これを棄却し、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官村上博巳笠井昇田中敦)別表(一)別表二 れも理由がないものとして、これを棄却し、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官村上博巳笠井昇田中敦)別表(一)別表二所得金額の内訳別表(三)~(五)(省略)

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