- 1 -令和4年6月23日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和元年(ワ)第21705号国家賠償請求事件口頭弁論終結日令和4年2月24日判決主文 1 被告は、原告に対し、10万円及びこれに対する平成30年10月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は、これを50分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。 4 この判決は、第1 項に限り、本判決が被告に送達された日から14日を経過したときは、仮に執行することができる。ただし、被告が原告のために10万円の担保を供するときは、その仮執行を免れることができる。 事実 及び理由第1 請求 被告は、原告に対し、500万円及びこれに対する平成30年10月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、退去強制令書の発付を受け、その執行として東京入国管理局収容場 (当時。以下、東京入国管理局を「東京入管」、東京入国管理局収容場を「東京入管収容場」という。)に収容されていた原告が、茨城県牛久市所在の入国者収容所東日本入国管理センター(以下「東日本センター」という。)へ移収(以下「本件移収」という。)されるに際して、東京入管に所属する入国警備官(以下「東京入管入国警備官」という。)において、①移収の必要がないの に有形力を行使し、②仮に移収するとしても原告の身体を押さえ付けるなどの - 2 -有形力を行使したことが、国家賠償法(以下「国賠法」という。)上違法であり、これによって左肩に傷害を負い、傷害慰謝料145万円、後遺症慰謝料550万円及び逸失利益588万6161円の合計1283万6161 を行使したことが、国家賠償法(以下「国賠法」という。)上違法であり、これによって左肩に傷害を負い、傷害慰謝料145万円、後遺症慰謝料550万円及び逸失利益588万6161円の合計1283万6161円の損害が発生したと主張して、被告に対し、国賠法1条1項に基づく損害賠償として、前記1283万6161円のうち500万円及びこれに対する不法行為の日 (本件移収が実施された日)である平成30年10月9日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 関係法令等の定め本件に関係する法令等の定めは、別紙「関係法令等」のとおりである。 3 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに括弧内に記載した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。以下、単に「前提事実」という。)(1) 当事者原告は、1986年(昭和61年)生まれのブラジル国籍を有する男性である。(甲1、乙12の1及び2) (2) 東日本センターへの移収に至る経緯等ア東京入管収容場への収容及びその後の仮放免に至る経緯等(ア) 原告は、平成17年6月5日、成田空港に到着し、上陸許可を得て本邦に上陸した後、複数回にわたって在留期間更新許可を受けた。 (イ) 東京地方裁判所は、平成28年11月7日、原告に対し、麻薬及び 向精神薬取締法違反の罪により、懲役1年6月に処し、その執行を3年間猶予する旨の有罪判決を宣告し、同判決は同月22日に確定した。 (ウ) 東京入管入国警備官は、平成28年12月5日、原告を、出入国管理及び難民認定法(入管法)24条4号チに該当する容疑者として立件した。 (エ) 東京入管主任審査官は、平成29年4月7日、前記(ウ)の容疑により 平成28年12月5日、原告を、出入国管理及び難民認定法(入管法)24条4号チに該当する容疑者として立件した。 (エ) 東京入管主任審査官は、平成29年4月7日、前記(ウ)の容疑により - 3 -原告に係る収容令書を発付した。その後、東京入管入国警備官は、同月13日、同収容令書を執行し、原告を東京入管収容場に収容したが、東京入管主任審査官は、同日、原告を仮放免した。 (乙1、2)イ東京入管収容場への再度の収容に至る経緯等 (ア) 原告は、前記収容令書に基づき収容された日である平成29年4月13日、違反審査を受け、入管法24条4号チ所定の退去強制の理由に該当する旨の認定通知がされた。原告は、同日、同認定について、口頭審理を請求した。 (イ) 原告は、平成29年6月7日、在留資格変更許可申請をしたが、東 京入管局長は、同年7月31日、前記申請に対する不許可処分をしたため、原告は、同日の経過により本邦に不法残留することとなった。 (ウ) 東京入管特別審理官は、平成29年10月3日、口頭審理を行い、前記(ア)の認定に誤りがない旨の判定をし、原告に対して、その旨を通知した。原告は、同日、同判定に対し、異議の申出をした。 (エ) 法務大臣から権限の委任を受けた東京入管局長は、平成29年11月20日、前記(ウ)の異議の申出に理由がない旨の裁決をし、東京入管主任審査官に対して、同裁決を通知した。 (オ) 東京入管主任審査官は、平成30年1月10日、原告に対して、前記(エ)の裁決を通知するとともに、退去強制の理由を入管法24条4号 チ、執行方法を入管法52条3項本文、送還先をブラジルとする退去強制令書(以下「本件退去強制令書」という。)を発付した(以下「本件退令発付処分」という。)。東京入管入国警 を入管法24条4号 チ、執行方法を入管法52条3項本文、送還先をブラジルとする退去強制令書(以下「本件退去強制令書」という。)を発付した(以下「本件退令発付処分」という。)。東京入管入国警備官は、同日、本件退去強制令書を執行し、原告を東京入管収容場に収容した。 原告は、平成30年7月9日、東京地方裁判所に対し、本件退令発付 処分の取消し等を求める訴訟を提起した(同裁判所平成30年(行ウ)第 - 4 -270号)。同裁判所は、平成31年3月22日、原告の請求をいずれも棄却する旨の判決をした。原告が同判決に対して控訴を提起したところ、東京高等裁判所は、令和元年8月8日、原告の控訴を棄却する旨の判決をし、同判決は、同月24日、確定した。 (乙1、3、6、7、17ないし19) ウ東京入管収容場から東日本センターへの移収に至る経緯等(ア) 東京入管執行第一部門送還要件具備担当職員は、平成30年10月5日、原告に対し、原告を東京入管収容場から東日本センターに移収すること(本件移収)が決定した旨を告げた。 (イ) 東京入管入国警備官は、平成30年10月9日午前8時37分、本 件移収を実施するため、原告が収容されている東京入管収容場Hブロック共同1号室(以下「原告居室」という。)内に向かったところ、原告が同室内に設置している長机2台をトイレ内に持ち込み、立てこもっている状況を確認した。同警備官は、複数名で、トイレ内から出た原告を制圧し、後ろ手錠を施した後、原告の身体を支えて持ち上げ、原告を原 告居室から入出所手続室に連行した。 その後、東京入管入国警備官は、平成30年10月9日午前8時45分頃、入出所手続室において、原告が未だ抵抗を続けていると認識して、原告の頭部、四肢及び腰部を床のマットに押さえ付 手続室に連行した。 その後、東京入管入国警備官は、平成30年10月9日午前8時45分頃、入出所手続室において、原告が未だ抵抗を続けていると認識して、原告の頭部、四肢及び腰部を床のマットに押さえ付ける制圧行為を実施した。原告が頭部を動かすなどしたことから、それまで頭部の押さえ付 けを担当していた者に替わって、東京入管処遇部門所属の入国警備官A(以下「A警備官」という。)が、原告の頭部を押さえ付けた。 東京入管入国警備官は、原告が態度を軟化させ、抵抗がなくなったと認識したことから、前記制圧行為を停止し、同日午前9時02分頃、原告を、両手後ろ手錠のまま長椅子に座らせた。 原告は、東京入管収容場の出所に伴う所定の手続を済ませ、同日午前 - 5 -9時51分に同収容場を出所し、同日午前11時37分、東日本センターに到着して入所した。原告は、同日、東日本センターに到着した後、看護師に対し、左肩及び右膝の痛みを訴えた。 (ウ) 原告は、令和元年8月10日、本件訴訟を提起した。 (エ) 東日本センター所長が、令和元年9月24日、原告を仮放免したた め、原告は、同日、東日本センターを出所した。 (甲1、2、乙1、3ないし5、12及び13の各1及び2、乙15、22、23、弁論の全趣旨) 4 争点(1) 東京入管入国警備官の原告に対する制圧行為等が国賠法上違法であるか。 (争点1)(2) 損害の発生及びその数額(争点2) 5 争点に関する当事者の主張(1) 東京入管入国警備官の原告に対する制圧行為等が国賠法上違法であるか。 (争点1) (原告の主張)ア本件移収の実施について原告を東京入管収容場から東日本センターに移送すること自体に必要性がなく、本件移収を実施した日に原告を移送する必要性もな あるか。 (争点1) (原告の主張)ア本件移収の実施について原告を東京入管収容場から東日本センターに移送すること自体に必要性がなく、本件移収を実施した日に原告を移送する必要性もなかったのであるから、本件移収に際して行われた東京入管入国警備官による制圧行 為等もまた必要性を欠き、国賠法上違法である。 イ東京入管入国警備官の原告に対する制圧行為等について原告に対する制圧行為等は、仮に移収するとしても、以下のとおり違法である。 (ア) 東京入管入国警備官は、本件移収を実施するため、原告居室のトイ レに立てこもった原告を、同トイレの中から原告居室内に出した。同警 - 6 -備官は、原告居室内において、原告の全身を掴むという身体接触を開始した。その後、東京入管入国警備官は、原告に対し、特に以下のような行為をした上で、入出所手続室において、原告の体を押さえるのを止めて手錠を外すまで、制圧行為等を継続した。 a 東京入管入国警備官は、原告に対し、歩行して入出所手続室に向か えるか否かを尋ねた後、原告の回答を聞くことなく原告の体を無理やりに掴んで持ち上げた上で、原告が抵抗をしていないにもかかわらず相当距離の移動を継続し、これによって原告は左肩を負傷した。 b 東京入管入国警備官が原告の全身を持ち上げている際に、同警備官のうち1名の手又は腕が原告の首の下に入り、原告の首が絞められる 状態となった。原告は息ができず、せき込んだり、息ができない旨訴えたりするなどしたが、同警備官は何らの対処もしなかった。 c 原告は、原告居室から入出所手続室に移動した後、手錠を掛けられたまま、全身を床に押さえ付けられている状態であったが、東京入管入国警備官は、無理やり、過大な力で原告の頭部を捻った上で床に押 c 原告は、原告居室から入出所手続室に移動した後、手錠を掛けられたまま、全身を床に押さえ付けられている状態であったが、東京入管入国警備官は、無理やり、過大な力で原告の頭部を捻った上で床に押 さえ付け、長時間にわたって体重を掛けて原告を押さえ付け続けた。 (イ) 原告は、原告居室内において、本件移収を担当していた東京入管入国警備官に対して抵抗していないし、暴れていないにもかかわらず、同警備官は、原告の身体を押さえ付けたり、自ら歩行させることなく身体を持ち上げて運んだりした。 また、東京入管入国警備官は、入出所手続室において、原告が抵抗、自傷行為その他本件移収の妨害になり得る行為をしていないにもかかわらず、原告の身体を押さえ続けたり、手錠を掛けたままにしたりした。 したがって、東京入管入国警備官は、本件移収に際して、原告に対して制圧行為等をする必要性がないにもかかわらず、前記(ア)の行為に及 んだのであり、かかる行為は、国賠法上違法である。 - 7 -(被告の主張)ア本件移収の実施について(ア) 入管法52条5項は、入国警備官が退去強制令書に基づき、送還可能のときまで被退去強制者を収容施設に収容できることを定めており、収容場所をいずれにするかについて、その要件等を定める法の規定はな いことなどから、その判断は入管当局の裁量に委ねられている。そして、出入国在留管理行政の公正な実現を図るという公益上の目的を達成するため、東京入管収容場を含む地方出入国在留管理局収容場に収容中であるが長期間にわたって送還可能となる見込みがない被退去強制者を、東日本センターを含む入国者収容所に移収して収容を継続することもまた、 入管法が予定しており、収容場所の判断に係る入管当局の裁量の範囲内にある。 (イ) 能となる見込みがない被退去強制者を、東日本センターを含む入国者収容所に移収して収容を継続することもまた、 入管法が予定しており、収容場所の判断に係る入管当局の裁量の範囲内にある。 (イ) 原告は、本件退令発付処分を受けて東京入管収容場に収容された後、本国への送還忌避や本件退令発付処分の取消し等に係る訴訟提起に及んだことから、長期間にわたって送還可能となる見込みがなかった。 加えて、原告は、本件移収当日に抵抗行為に及び、原告自身又は入国警備官が受傷したり、東京入管収容場内の設備等の物を損壊する事故が発生したりするおそれが相当程度予想される状況にあったことから、東京入管は、他業務との調整の上、必要な人員や機材の確保等の人的・物的な負担を伴う事前準備をした。このような状況下では、特別の事情の ない限り本件移収を実施する必要性が認められるべきであるところ、原告は自己都合で本件移収を拒んでいたにすぎず、かかる特別の事情はない。 (ウ) 以上からすると、入管当局は、本件移収の実施判断に当たって、その裁量を逸脱していないから、本件移収の実施そのものが違法であるこ とをもって本件移収に際して行われた制圧行為等が国賠法上違法である - 8 -とする原告の主張には理由がない。 イ東京入管入国警備官の原告に対する制圧行為等について(ア) 入管法61条の7第6項並びに処遇規則7条1項及び17条の2の各規定からすると、入国警備官が、護送の職務執行を妨害する行為をし、又はこれを妨害する行為をしようとする被収容者に対し、その当時の状 況に応じ、合理的に必要と判断される限度で、制止等の一定の実力行使をすることは許されるから、当該入国警備官がかかる実力行使をしたとしても、被退去強制者に対して負担する職務上の法的義務に 時の状 況に応じ、合理的に必要と判断される限度で、制止等の一定の実力行使をすることは許されるから、当該入国警備官がかかる実力行使をしたとしても、被退去強制者に対して負担する職務上の法的義務に違反するとして国賠法上違法と評価されるものではない。そして、処遇規則17条の2の文言からすれば、一定の実力行使が合理的に必要と判断される限 度か否かの判断は、事後的・客観的な判断によってされるものではなく、当該入国警備官がその当時の状況において、制止等の措置が必要であると判断したことが社会通念に照らして合理的か否かという基準によってされるべきものである。 (イ) そして、以下のとおり、東京入管入国警備官が本件移収に際して原 告に対してとった有形力の行使を伴う制止等の各措置は、いずれも、当該入国警備官が、本件移収の当時の状況に照らして、安全にして確実な護送の職務執行を遂行するために原告に対して制止等の措置を講ずる必要があると判断したのは、その当時の状況において、社会通念に照らして合理的なものであったといえ、また、前記各措置が、それぞれの状況 に応じて相当性を欠いていたとはいえない。したがって、前記各措置は、国賠法上違法ではない。 a 原告居室内における制圧行為等について原告は、東京入管収容場に収容中、本件移収の実施前において、他の被収容者に暴行を加えるなどの遵守事項違反を起こしたり、本件移 収に際して実力行使を伴う抵抗行為に及ぶものとうかがわせる言動を - 9 -取ったりしていた。また、原告は、本件移収当日、原告居室内のトイレに長机2台を持ち込むなどして本件移収の実施を妨害するなどして抵抗し、その意思も強固であった。よって、本件移収に際して、原告自身又は東京入管入国警備官が受傷するなどの事故が発生したり 居室内のトイレに長机2台を持ち込むなどして本件移収の実施を妨害するなどして抵抗し、その意思も強固であった。よって、本件移収に際して、原告自身又は東京入管入国警備官が受傷するなどの事故が発生したり、原告が同警備官に対し暴行等の危害を加えたりするなどのおそれが相当 程度高く、同警備官が安全にして確実に原告を護送する職務を遂行するのに多大な支障を及ぼすおそれがあった。 そこで、東京入管入国警備官は、複数名で、原告居室内において、原告の腕、腰部、左右の足をそれぞれ把持して、頭部を保護しながら、原告の身体を床上にうつ伏せに組み伏せた。かかる措置には、原告の 抵抗を確実に阻止し、原告又は東京入管入国警備官の受傷事故等の発生を防ぎ、安全に護送の職務を執行できるという合理性があった。 また、東京入管入国警備官は、原告がうつ伏せに組み伏せられた状態になっても体の力を抜くことなく抵抗を続けていたため、両手後ろの両手錠をした。かかる措置には、東京入管入国警備官がうつ伏せの 状態の原告を制圧しながら短時間で手錠を掛け、さらに原告が暴行に及ぶおそれを抑止することができるという合理性があった。 b 原告居室から入出所手続室までの移動の間における制圧行為等について原告は、前記aの措置が開始された後、興奮状態にあり、素直に自 ら歩行して護送に従う様子もうかがえなかった。また、原告が前記aの措置を受けていた際、原告の居室内の他の被収容者3名が、それぞれ壁際にのけぞったり、部屋の隅に居たりするなどして、日常生活が阻害されている状況にあった。さらに、他の居室内から被収容者が興奮して発した叫び声が響き渡るなど、収容場内における集団騒じょう の発生が懸念される状況にあった。よって、前記aの措置が解かれた - 10 -ときには に、他の居室内から被収容者が興奮して発した叫び声が響き渡るなど、収容場内における集団騒じょう の発生が懸念される状況にあった。よって、前記aの措置が解かれた - 10 -ときには原告が実力行使を伴う抵抗に及ぶおそれがあるため、当該措置を継続する必要があり、また、収容場内の秩序維持の観点から、速やかに原告を居室内から移動させる必要があった。 そこで、東京入管入国警備官は、前記aの措置を継続しつつ、原告の両腕、両足及び頭部を把持し、原告の胸部を下から支え、原告に両 手錠を施した状態で原告を担ぎ上げて、入出所手続室に連行した。かかる措置は、前記の必要性に照らして合理的であった。また、受傷事故の防止に配慮しながら、原告の各部位を支えて確実に移動させる方法によって行われたし、原告が抵抗の意思を示し続ける余裕があった状況に照らすと、原告に対して身体的に大きな苦痛を与えるほどのも のではなかったから、前記措置が相当性を欠いていたとはいえない。 なお、東京入管入国警備官が原告を入出所手続室に連行した際に行使した有形力によって、原告の首が絞められる状態になったり、原告の肩に過重な荷重がかかった状態になったりしたことはない。 c 入出所手続室内における制圧行為等について 原告は、前記bの措置が開始された後も、東京入管入国警備官に対し、護送に応じない意思を示し、悪態をつくほか、身体を持ち上げて頭部の向きを強引に変えるなどの抵抗を続けていた。よって、前記措置が解かれたときには原告が実力行使を伴う抵抗に及ぶおそれがあったから、原告又は同警備官の受傷事故、設備等の物品損壊事故の発生 を防止し、安全にして確実な護送を遂行するため、制止等の措置をとる必要があった。 そこで、東京入管入国警備官は、複数名で、原告を入出所 原告又は同警備官の受傷事故、設備等の物品損壊事故の発生 を防止し、安全にして確実な護送を遂行するため、制止等の措置をとる必要があった。 そこで、東京入管入国警備官は、複数名で、原告を入出所手続室内のマットの上にうつ伏せの状態で制圧し、両腕、腰部、両足及び頭部を固定し続けた。かかる措置は、被制圧者の頭部を保護しながら、両 腕、両足、腰部の各部位を複数名で把持することで、被制圧者又は入 - 11 -国警備官の受傷事故等の発生を防ぐことができる方法として入管局において用いられていたものであったこと、原告が抵抗等を続けており前記措置を継続する必要性があったこと、原告は抵抗の意思を示し続けるなどしており、前記措置が原告に身体的に大きな苦痛を与えるほどのものではなかったことからすると、合理的なものであった。 その後、東京入管入国警備官が原告の身柄と共に護送する所持品を原告に確認させる手続を進めようとしたところ、原告が「知らねーよ。」などと述べて拒否しつつ、頭部を押さえられていたにもかかわらず、強引に頭部を反対向きにしたので、確実に頭部を固定する措置を継続する必要が生じた。 そこで、A警備官は、頭部の押さえ付けを担当していた入国警備官と交代し、頭部を荷物の方に向け直した上で、頭部を固定した。A警備官によるかかる措置は、その後に行われる所持品確認のためにスムーズであると考えられたこと、同警備官は、自身が制圧される側としての制圧訓練を受けていること、被制圧者である原告の安全に配慮 した制圧方法を取り、原告の力の入れ具合によって押さえる力を加減していたことからすると、合理的なものであった。 (2) 損害の発生及びその数額(原告の主張)ア後遺障害に係る損害について(主位的主張) 東京入管入 れ具合によって押さえる力を加減していたことからすると、合理的なものであった。 (2) 損害の発生及びその数額(原告の主張)ア後遺障害に係る損害について(主位的主張) 東京入管入国警備官が、本件移収時において、原告の身体を不適切な方法で抱えて移動し、さらに入出所手続室において原告の身体を床に押さえ付けたことなどにより、原告の左肩に力が加えられた。原告は、左肩に痛みを残しており、現在もその可動域が制限されているが、かかる後遺障害は、自動車損害賠償保障法施行令別表第二第10級11号「一下 肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの」に該当する。 - 12 -これにより、原告には、以下のような損害が発生した。 (ア) 傷害慰謝料 145万円(イ) 後遺症慰謝料 550万円(ウ) 逸失利益 588万6161円本件退去強制令書所定の送還先であるブラジルにおいて、平均収入は 1万2701米ドルである。令和元年7月25日現在、1米ドルは106円であるから、同国における平均収入は、日本円で134万6306円となる。 そして、前記後遺障害による労働能力低下率が27%であること、原告が本件訴訟提起当時33歳であり、67歳までの就労可能期間が34 年間であること(ライプニッツ係数が16.1929)も考慮すると、前記後遺障害による逸失利益は、以下の計算式のとおり、588万6161円となる。 (計算式) 134 万6306 円×0.27×16.1929≒588 万6161 円 イ精神的苦痛に係る損害について(予備的主張)本件移収時における東京入管入国警備官の制圧行為は、その全部又は一部が不必要かつ過大であり、これによって原告は、身体の各所を暴力的に押さえ付けられ、擦り傷、切 苦痛に係る損害について(予備的主張)本件移収時における東京入管入国警備官の制圧行為は、その全部又は一部が不必要かつ過大であり、これによって原告は、身体の各所を暴力的に押さえ付けられ、擦り傷、切り傷、その他の傷や痛みを負った。助けを求めることができない状況において、多数の職員に囲まれ、不必要に 怒鳴られて身体を押さえ付けられる恐怖は想像を超えるものであり、人格と尊厳をないがしろにされたことによる原告の精神的苦痛は極めて大きく、精神的苦痛に係る損害として、500万円の範囲内で予備的に請求する。 (被告の主張) ア後遺障害に係る損害について(主位的主張) - 13 -東日本センターへの移収後である平成31年2月5日及び同月8日、原告が庁内診療において左肩の痛みを訴えたため撮影した写真によれば、同月5日には認められなかった左肩の皮下の赤色変色が、同月8日に至って、変色箇所が拡大している。その後、原告の左肩の皮下の赤色変色は、同月13日に撮影した写真によると、同月8日よりも減少してお り、同年3月17日に撮影した写真によると、さらに減少している。このような左肩の皮下の変色状況の経過に照らせば、同年2月5日頃に、原告の左肩の皮下の赤色変色を生じさせる何らかの原因行為があり、同月8日に悪化し、その後軽快していったと考えるのが合理的である。 また、原告が平成31年2月5日、同月8日、同月13日及び同年3月 17日に左肩の痛みを訴え、撮影した箇所は、本件移収の翌日である平成30年10月10日の庁内診療時に腫脹が認められた箇所である「背面」とは部位が異なり、同月17日の庁内診療時に原告が痛みを訴えていた「左肩後面」とも部位が異なる。 以上からすると、原告は、本件移収時における東京入管入国警備官の制 められた箇所である「背面」とは部位が異なり、同月17日の庁内診療時に原告が痛みを訴えていた「左肩後面」とも部位が異なる。 以上からすると、原告は、本件移収時における東京入管入国警備官の制 圧行為等によって左肩に痛みを生じたものではないから、かかる痛みに伴って発生した損害は、前記制圧行為等との間で相当因果関係を有するとはいえない。 イ精神的苦痛に係る損害について(予備的主張)否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(東京入管入国警備官の原告に対する制圧行為等が国賠法上違法であるか。)について(1) 原告は、東京入管入国警備官が本件移収に際して原告に対して行った制圧行為等について、本件移収自体に必要性が欠けるため、本件移収に伴う有形 力行使もまた必要性を欠くものとして直ちに国賠法上違法と評価すべきであ - 14 -ると主張する。 しかしながら、退去強制令書が発付された者に対しては、入国警備官は、速やかにその者を送還先に送還する必要があり、直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能なときまで、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容する ことができるのであるから(入管法52条3項、5項)、退去強制令書が発付され、送還先に送還される者を収容する場所については、法務大臣又はその委任を受けた主任審査官による広範な裁量が認められるというべきであるところ、本件移収がその裁量を逸脱することを認めるに足りる証拠はない。 したがって、本件移収自体が必要性を欠き、本件移収に伴う有形力行使が 必要性を欠き国賠法上違法となるという原告の主張は理由がない。 (2) 原告は、仮に移収するとしても、本件移収に伴う原告に対する制圧行為 本件移収自体が必要性を欠き、本件移収に伴う有形力行使が 必要性を欠き国賠法上違法となるという原告の主張は理由がない。 (2) 原告は、仮に移収するとしても、本件移収に伴う原告に対する制圧行為等は違法であるとして、東京入管入国警備官の制圧行為等のうち、とりわけ、①原告居室内において、原告の全身を押さえ付け、両手錠を掛けたこと及び自発的に歩行するか否かの質問に対する回答を待たずして原告の体を掴んで 持ち上げたこと、②原告居室から入出所手続室までの移動の間において、原告の体を掴んだ状態で相当距離の移動をし、その後、原告の体を掴んでいた同警備官の腕又は手が原告の首の下に入り、原告の首が絞められる状態になったこと、並びに③入出所手続室内において、原告の頭部を捻った上で床に押さえ付け、長時間にわたって体重を掛けて原告を押さえ続けたことが違 法であると主張する。 (3) 検討ア判断基準(ア) 本件移収は、被退去強制者を直ちに本邦外に送還することができないときに、送還可能のときまで入国者収容所等に収容することができる ことを定めた入管法52条5項に基づくものであるところ、退去強制手 - 15 -続を行う入国警備官が被退去強制者に対して行うことが予定される収容、護送などは、退去強制令書の執行という被退去強制者を速やかに所定の送還先に送還し、もって出入国管理業務の公正な実現を図るという公益的な目的(同法1条参照)を達成するために必要な行為であること及び入国警備官が行う収容、護送等の職務においては、その性質上、一定限 度の有形力を行使することが避けられないことの各点に鑑みると、入国警備官が前記職務を遂行するに際して被退去強制者に対して一定限度の有形力を行使することは許容されているものと解される(同法24条 度の有形力を行使することが避けられないことの各点に鑑みると、入国警備官が前記職務を遂行するに際して被退去強制者に対して一定限度の有形力を行使することは許容されているものと解される(同法24条、52条1項及び3項、61条の3の2第2項2号)。 また、本件移収は、被収容者を収容施設内で移動させることを含む ものであるところ、入管法61条の7第6項による委任を受けて定められた被収容者処遇規則(処遇規則)は、入国者収容所等の被収容者の遵守すべき事項の一つとして「職員の職務執行を妨害しないこと」を挙げ、被収容者がこれに違反する行為をし又は違反する行為をしようとする場合には、入国警備官がその行為の中止を命じ、合理的に必要と判断され る限度で、その行為を制止し、その他その行為を抑止するための措置をとることができ、入国警備官がとることのできる制止措置のうち特に隔離の実施及び戒具の使用については、自傷他害、収容所等の設備等の損壊などを防止するために行うことができると定めており(処遇規則7条8号、17条の2、18条、19条)、入国警備官が、その職務執行を 妨害しようとする被収容者に対して、被収容者又は入国警備官の生命、身体等の自由を保護し、入国者収容所等の規律及び秩序を維持するために一定限度の有形力を行使することは、前記各規定によっても許容されているものと解される。 (イ) 他方で、入国警備官が前記有形力を行使するにあたっては、被収容 者が退去強制という行政上の目的を達成するために居住を入国者収容所 - 16 -等に限定されているにすぎないことに留意し、一般市民として享受すべき自由に配慮する必要があると解するべきである(入管法61条の7第1項参照)。 (ウ) 以上を踏まえると、入国警備官が、移収を実施す 等に限定されているにすぎないことに留意し、一般市民として享受すべき自由に配慮する必要があると解するべきである(入管法61条の7第1項参照)。 (ウ) 以上を踏まえると、入国警備官が、移収を実施するに際して被退去強制者に対して有形力を行使することは、①法令に明文の定めがある場 合のほかに、②被収容者が入国警備官の職務執行を妨害する場合に、被収容者又は入国警備官の生命、身体等の自由を保護し、入国者収容所等の規律及び秩序を維持するために必要かつ相当な限度にとどまるとき、又は③送還という目的を実現するために必要かつ相当な限度にとどまる場合に許容されており、事後的・客観的にみて、いずれの場合に当たる とも認められない有形力の行使は、国賠法上違法と評価すべきである。 イ ①原告居室内における制圧行為等について(ア) そこで、前記ア(ウ)の基準に照らし、まず、東京入管入国警備官による原告居室内における制圧行為等について検討する。 (イ) この点について、前提事実(2)ウ(イ)及び当事者間に争いのない事実、 証拠(甲1、2、乙12及び13の各1及び2、乙16、証人A、原告本人)並びに弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 a 東京入管入国警備官が、平成30年10月9日午前8時37分(以下、時刻のみを指摘する場合には、本件移収が実施された平成30年10月9日のものを指す。)、本件移収を実施するために原告居室内 に向かったところ、原告は、同室内に設置している長机(大きさは、163cm×45cm×35cmである。)2台を、同室内のトイレに持ち込んでバリケードを作り、トイレ内に立てこもっていた。同警備官が長机の撤去を試みたものの、原告は長机を力強く掴んで拒んだ。 また、同警備官が原告の左腕を掴もうと試みたものの、原告は「 内のトイレに持ち込んでバリケードを作り、トイレ内に立てこもっていた。同警備官が長机の撤去を試みたものの、原告は長机を力強く掴んで拒んだ。 また、同警備官が原告の左腕を掴もうと試みたものの、原告は「俺、 行かないから。」などと述べながらこれをかわして、数分間抵抗して - 17 -いた。 この頃、原告居室内に所在する他の被収容者が、本件移収の実施に反応し、叫び声を上げていた。なお、本件移収実施当時、原告居室内には、原告の他に、被収容者が3名程度所在していた。 b 東京入管入国警備官は、午前8時43分頃、原告が掴んでいた長机 2台を撤去し、5、6名で、原告を原告居室内のトイレから連れ出して、四肢を掴んで床に組み伏せ、うち1名が腰部にまたがり、うち1名が左側頭部を床に付ける格好で頭部を押さえ付けるなどして、原告を制圧した。原告は、同警備官のうち1名に右腕を掴まれたのに対して強い力を込めて抵抗する様子を見せ、「いってー。」などと間断な く叫んでいたことから、A警備官は、原告に対して「ほら、抵抗するなー。」と叫んだ。 c 東京入管入国警備官は、前記bのとおり制圧したにもかかわらず、なおも原告が全身に力を込めて抵抗することから、「力を抜け。」、「抵抗するなー。」、「暴れんじゃねえ。」などと述べながら、原告 の右手首を手の平側に曲げるなどしながら両手後ろの状態にして、午前8時45分頃、原告に手錠を掛けた。 d 東京入管入国警備官は、原告に対して、「歩けますか。」と歩行の意思を確認する発問を3回繰り返したものの、原告は、「いってー。」などと発言するにとどまり、要領を得た回答をしなかった。そこで、 同警備官は、午前8時45分頃、原告の頭部、胸部及び四肢を抱えて、うつ伏せの状態で原告を持ち上げて、移動すること 「いってー。」などと発言するにとどまり、要領を得た回答をしなかった。そこで、 同警備官は、午前8時45分頃、原告の頭部、胸部及び四肢を抱えて、うつ伏せの状態で原告を持ち上げて、移動することとした。 (ウ) まず、東京入管入国警備官が原告の全身を押さえ付け、両手に後ろ手錠を掛けたことについて、前記(イ)で認定した各事実からすれば、興奮状態にあった原告が自身の身体を傷つけるか、護送を実施する東京入 管入国警備官の身体を傷つける具体的な危険が生じており、護送任務の - 18 -遂行に支障を来すおそれがあったということができる。そうであるにもかかわらず、原告が全身に力を込めて抵抗していたのであるから、処遇規則20条所定の戒具である手錠を原告の後ろ手にした両手に掛けることによって前記危険の現実化を防ごうとしたことはやむを得ない措置であったというべきである。そして、かかる状況下において、前記のとお り戒具を使用したことは、入国警備官の職務の執行について適正を期することを目的とした内部規則である違反調査及び令書執行規程13条(5)の定めに沿うところである。 したがって、東京入管入国警備官が原告の全身を押さえ付け、後ろ手に両手錠を掛けたことは、送還という目的を実現するために必要かつ相 当な限度にとどまるものであったといえる。 (エ) 次に、自発的に歩行するか否かの回答を待たずして原告の体を掴んで持ち上げたことについて、前記(イ)で認定した各事実からすれば、興奮状態にあった原告が東京入管入国警備官の発問に対して直ちに答えることは期待できず、その回答を相当時間待つことにすると、原告居室内 に居住していた他の被収容者の生活の平穏が害されるだけでなく、他の被収容者の叫び声に始まる、いわゆる集団騒じょう行為を誘発し ことは期待できず、その回答を相当時間待つことにすると、原告居室内 に居住していた他の被収容者の生活の平穏が害されるだけでなく、他の被収容者の叫び声に始まる、いわゆる集団騒じょう行為を誘発し、東京入管収容場全体の規律及び秩序が害される危険が発生していたというべきである。また、同警備官は、原告に対して複数回の発問を試みて自発的に歩行する機会や時間を与えたのであるから、確答を待たずして原告 を入出所手続室に移動したとしても、原告の自由に配慮しつつ、前記危険の現実化を避けるための措置としてやむを得なかったというべきである。 したがって、原告の体を掴んで持ち上げたことは、東京入管収容場の規律及び秩序を維持するために必要かつ相当な限度にとどまるもので あったといえる。 - 19 -(オ) 以上によれば、原告居室内における東京入管入国警備官による制圧行為等については、同警備官による有形力の行使として許容される限度にとどまっていたといえ、その他一切の事情を考慮しても、前記制圧行為等に国賠法上の違法はないというべきである。この認定に反する原告の主張は採用できない。 ウ ②原告居室から入出所手続室までの移動の間における制圧行為等について(ア) 次に、東京入管入国警備官による原告居室から入出所手続室までの移動の間における制圧行為等について検討する。 (イ) この点について、前提事実(2)ウ(イ)及び当事者間に争いのない事実、 証拠(甲1、2、乙12及び13の各1及び2、乙16、証人A、原告本人)並びに弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 a 東京入管入国警備官5名は、午前8時45分頃、原告の頭部、胸部及び四肢を抱えて、うつ伏せの状態で原告を持ち上げて、移動した。 この頃、他の被収容者が、本件 趣旨によれば、以下の事実が認められる。 a 東京入管入国警備官5名は、午前8時45分頃、原告の頭部、胸部及び四肢を抱えて、うつ伏せの状態で原告を持ち上げて、移動した。 この頃、他の被収容者が、本件移収の実施に反応し、叫び声を上げて いた。 b 東京入管入国警備官により持ち上げられている原告が、原告居室を出てエレベーターに至るまでの廊下において、「いてー。いてー。いてー。」などと叫んだところ、A警備官は、「うるさい。静かにしろ。」、「大きな声を出すな。」、「大きな声を出すなっつってんだ ろうが」などと叫んだ。 c 原告は、東京入管入国警備官に持ち上げられた状態のままエレベーターに乗せられ、原告居室を出た約1分30秒後、入出所手続室内に入れられた。 d 原告は、入出所手続室内に入ってすぐ、東京入管入国警備官のうち 1名が左腕で原告の左側頭部を、右腕で原告の頭頂部を抱え、うち1 - 20 -名が左腕で原告の右肩を抱え、右前腕が原告の首下に入る格好になったことから、10秒程度、原告の首元が絞まり得る状態になった。この間、原告は、複数回せき込んだほか、「息ができない。」などと訴えた。 e 東京入管入国警備官は、午前8時48分頃、入出所手続室の床の マットに、原告をうつ伏せの状態で横たえた。 (ウ) 東京入管入国警備官が原告の体を前記のように支えた状態で入出所手続室まで移動をしたことは、移動させる途中においても原告が相当程度興奮して大声を上げ、他の被収容者も叫び声を上げる状況が続いていたことや、原告を前記状態で移動した時間が2分間にも満たないことか らすれば、集団騒じょう行為の発生を未然に防ぐために必要かつやむを得ない措置であったというべきである。また、同警備官のうち1名の右前腕が原告の首下に入る 動した時間が2分間にも満たないことか らすれば、集団騒じょう行為の発生を未然に防ぐために必要かつやむを得ない措置であったというべきである。また、同警備官のうち1名の右前腕が原告の首下に入る格好になり、10秒程度、原告の首元が絞まり得る状態になったことは認められるものの、これは原告を支えていた同警備官の腕の位置がずれたことによるものにすぎないと考えられるし、 原告の首元が締まっていた時間もわずか10秒程度にとどまることからすれば、かかる事情を考慮しても、前記方法が相当性を欠くことにはならない。 したがって、原告の体を掴んで入出所手続室まで移動をしたことは、東京入管収容場の規律及び秩序を維持するために必要かつ相当な限度に とどまるものであったといえる。 (エ) 以上によれば、原告居室から入出所手続室までの移動の間における制圧行為等について、東京入管入国警備官による有形力の行使として許容される限度にとどまっていたといえ、その他一切の事情を考慮しても、前記制圧行為等に国賠法上の違法はないというべきである。この認定に 反する原告の主張は採用できない。 - 21 -エ ③入出所手続室内における制圧行為等について(ア) 最後に、東京入管入国警備官による入出所手続室内における制圧行為等、特にA警備官が原告の頭部を捻った上で床に押さえ付け、長時間にわたって体重を掛けて原告を押さえ続けたとの点について、検討する。 (イ) この点について、前提事実(2)ウ(イ)及び当事者間に争いのない事実、 証拠(甲1、2、乙12及び13の各1及び2、乙16、証人A、原告本人)並びに弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 a 東京入管入国警備官は、午前8時48分頃、入出所手続室の床のマットに横たえ、複数名で頭部及 及び13の各1及び2、乙16、証人A、原告本人)並びに弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 a 東京入管入国警備官は、午前8時48分頃、入出所手続室の床のマットに横たえ、複数名で頭部及び四肢を押さえ付けていた原告の抵抗状況について、「力どうすか。」、「今は(原告の全身の力は)抜 けてます。」などとやり取りした。 b 東京入管入国警備官は、4名でそれぞれ、原告の頭部、左上腕及び左肩、腰部、並びに両足を押さえ付けながら、原告に対し、東日本センターへの移収を実施する旨告げた。これに対し、原告は、「なんで俺行くんだよ。あそこ(東日本センター)は自殺した人もいるんだ よ。」などと大きな声を上げて、不満の意を示し、その後、頭部を少し動かした。このとき、原告は、入国警備官に頭頂部及び後頭部を固定されていたところ、特に苦痛の表情までは浮かべていなかった。 c 東京入管入国警備官は、原告が全身に力を入れたと認識し、「動かないで。力入れるの止めなさい。」と述べたところ、原告は、「デ ブ。」などと悪態をついた。その後、原告の腰部にまたがってこれを押さえ付けていた同警備官は、自らは原告の右上腕を掴みつつ、原告の左上腕及び左肩を押さえ付けていた別の警備官に対しては、原告の左上腕を強く掴むように指示したところ、原告は、「いたたた。」などと痛みを感じる旨述べた。 d 原告が、午前8時48分頃、頭部の向きを自ら変えたので、原告の - 22 -頭部を固定していた東京入管入国警備官が原告の側頭部及び額を押さえ付けるなどしたところ、原告は、「痛い痛い。腕痛いんだよ。」などと述べた。 e 東京入管入国警備官は、午前8時49分頃、東京入管が預かっていた原告の所持品であるリュックサックを入出所手続室内に持参し、原 告 ころ、原告は、「痛い痛い。腕痛いんだよ。」などと述べた。 e 東京入管入国警備官は、午前8時49分頃、東京入管が預かっていた原告の所持品であるリュックサックを入出所手続室内に持参し、原 告に確認させようとした。これに対して、原告が、「知らねーよ。」などと述べながら頭部を動かし、リュックサックと反対の方向を向いたことから、A警備官は、それまで頭部の押さえ付けを担当していた東京入管入国警備官に代わって、抵抗する原告の頭部を無理やりリュックサックの方向に向き直させ、原告のこめかみから左側頭部と、 左耳下からあごの部分に自分の両手を当て、自分は膝をついて両足を伸ばした状態で、自分の両腕を伸ばして真上から体重を預けるような格好で、原告の頭部を押さえ付け始めた。原告は、苦悶の表情を見せ始め、痛みを感じる旨を叫んで訴えた。その後も、東京入管入国警備官は、原告に対して所持品を確認させる手続を続けたが、原告は苦痛 のために表情をゆがめた。 本件移収実施当時、原告の身長は約173センチメートル、体重は約80キログラムであり、A警備官の身長は約180センチメートル、体重は約90キログラムであった。A警備官は、原告に対して自分の体重の約半分の力を加え、制圧しているものと認識していた。 f 原告が、頭部の押さえ付けのために耳が痛い旨を訴えたところ、A警備官は、原告の左耳下からあごの部分を押さえ付けていた自分の左手の位置を、原告の耳裏から後頭部を押さえるような位置に変更した。 原告は、継続して、押さえ付けに対する痛みがあることや、この痛みのために、東日本センターへの移収に関する東京入管入国警備官の説 明が聞こえない旨を訴えた。その後、A警備官は、自分の膝をついた - 23 -状態から体勢を変更し、自分の膝を折り曲げ のために、東日本センターへの移収に関する東京入管入国警備官の説 明が聞こえない旨を訴えた。その後、A警備官は、自分の膝をついた - 23 -状態から体勢を変更し、自分の膝を折り曲げ、自分の右膝が原告の頭部に沿う格好で、自分の両腕を伸ばして真上から体重を掛けた。 g 原告が、頭部を押さえ付けているA警備官について言及していたところ、東京入管入国警備官が一斉に、午前8時51分頃、「おら、力入れんなよ。」などと述べながら、原告を押さえ付ける力を強めた (なお、このとき、原告が実際に全身に力を込めたか否かは、外見上明らかでない。)。A警備官は、再度体勢を変更し、前記eと同様に、自分の膝をついて両足を伸ばした状態で、自分の両腕を伸ばして真上から体重を預けるような格好で、原告の頭部を押さえ付け始めた。これに対して、原告も、再び苦悶の表情を見せ、「痛い、痛い。」、 「すごい思いっきり押さえてんだよ。頭が。」、「病院行きたい。すぐに着いたら(東日本センターに到着したらすぐに、の意であると解される。)病院に連れて行ってください。頭のこと、話したい。」などと述べた。 h 原告は、午前8時54分頃、特にA警備官に対し、「暴れない、暴 れないから、もう、ちょっと楽にして。」などと述べたものの、A警備官は力を緩めることなく、頭部の押さえ付けを継続した。その後、原告が「今、耳が痛い。いってー。」と述べ、体を動かしたのに対して、東京入管入国警備官は、「力入れるな。」と叫び、力を強めて制圧行為を継続した。この頃、A警備官は、さらに体勢を変更し、自分 の膝を折り曲げ、自分の両腕を伸ばして真上から体重を掛けるようにした。 i 原告は、午前8時55分頃、A警備官の制圧行為に着目して、「(A警備官の手が頭部から)離れたら俺(原 変更し、自分 の膝を折り曲げ、自分の両腕を伸ばして真上から体重を掛けるようにした。 i 原告は、午前8時55分頃、A警備官の制圧行為に着目して、「(A警備官の手が頭部から)離れたら俺(原告)、絶対暴れないから。」と訴えたものの、A警備官は、頭部の押さえ付けを継続した。 j 原告と東京入管入国警備官との間でやり取りが繰り返された後、午 - 24 -前8時57分頃、同警備官の間で、原告が力を入れていないことが確認され、指揮官の命令により、原告をうつ伏せの状態で床のマットに押さえ付ける制圧行為が解除されることとなり、A警備官も原告の頭部から自分の両手を解放した。その後、原告は、マットの上に座らされた。 (ウ)a 前記(イ)の認定事実を踏まえて検討すると、入出所手続室内における所持品確認は、移収に伴って入国者収容所等を退去する被収容者に対して自己の所持品を確認する機会を保障するとの趣旨に出たものと解されるところ、その機会を与えれば足り、被収容者が積極的に求めないような場合であっても、所持品を強制的に確認させる措置を講ず ることまでは要求されていないというべきであるから、リュックサックの所在する方向とは逆の方向にあえて頭部の向きを変更して所持品確認を求めなかった原告について、頭部の向きを強いて変更させて所持品確認をさせようとしたことが相当であったということはできない。 b また、前記(イ)の認定事実のほか、前記イ(イ)及びウ(イ)の認定事実 も併せて考慮すると、原告は、本件移収開始当初は、原告居室内において長机2台を同居室内のトイレに持ち込んでバリケードを作るなどして強く抵抗し、両手に後手で手錠を掛けられ、入出所手続室まで連行されても、なお大声を出すなどの抵抗を続けていたことが認められる。他 いて長机2台を同居室内のトイレに持ち込んでバリケードを作るなどして強く抵抗し、両手に後手で手錠を掛けられ、入出所手続室まで連行されても、なお大声を出すなどの抵抗を続けていたことが認められる。他方で、同室内のマット上で両手に後手で手錠を掛けられたまま、 東京入管入国警備官複数名に押さえ付けられた後は、移収には抵抗していた状態ではあったものの、頭部の押さえ付けを担当する者がA警備官に交代する直前は全身に力を込めていたとまでは認められず、単に頭部を動かしていたにとどまる。原告が行っていた抵抗は、移収手続開始当初の状況と比較すれば、相当程度弱くなっていたというべき である。そうであるにもかかわらず、A警備官は、自分の体重を預け - 25 -るような格好で、強い力で原告の頭部を押さえ付け、原告が同警備官に対して抵抗しない旨を告げた後もなお制圧行為を継続し、その時間は全部で約8分間にも及んだ。 そうすると、A警備官は、原告が興奮して自傷他害に及ぶ具体的な危険が減少していたにもかかわらず、身体の枢要部である頭部を強く 押さえ付けたといえるのであり、同警備官による前記制圧行為は相当ではなかったというべきである。 c さらに、移収に際しては、関与する入国警備官のうちに、自ら制圧行為等を実行することなく、移収の全体的な状況を監督し、制圧行為等の要否等を判断して、指示に徹する役割を与えられている指揮官が いること、制圧行為等を実行する入国警備官は、指揮官の指示に従って実行することが求められていること、本件移収において、A警備官は、東京入管処遇部門からの応援という立場で関与しており、移収計画上、制圧行為等に指揮官の指示なく直接的に関与することが予定されていなかったにもかかわらず、前記指揮官の指揮・命令もないまま 警備官は、東京入管処遇部門からの応援という立場で関与しており、移収計画上、制圧行為等に指揮官の指示なく直接的に関与することが予定されていなかったにもかかわらず、前記指揮官の指揮・命令もないまま に、A警備官自身の判断で原告頭部の押さえ付けを開始したこと、といった事実が認められる。(乙16、証人A、弁論の全趣旨)指揮官の指揮・命令に従って制圧行為等を実施する規律の趣旨は、実際に制圧行為に関与しない指揮官の指示にのみ従うことによって、入国警備官が過分な強度による制圧行為を実施するおそれを排除しよ うとすることにあると解されるところ、A警備官は、本件移収において、前記のとおり、指揮官からの特段の指揮・命令もないままに原告に対する制圧行為に及んでおり、被収容者の生命及び身体の安全を保護しようとする極めて重要な規律に背いたものといえ、この点からも相当とはいえない。 d 以上からすると、入出所手続室内における制圧行為等のうち、A警 - 26 -備官が、原告の頭部を捻った上で、約8分間にわたって、原告の頭部に自分の体重を掛けて押さえ続けた行為は、被収容者である原告又は入国警備官の生命、身体等の自由を保護し、東京入管収容場の規律及び秩序を維持するために必要かつ相当な限度にとどまっていたとはいえず、送還という目的を実現するために必要かつ相当な限度にとど まっていたともいえないから、国賠法上違法であると評価すべきである。 (エ) これに対して、被告は、所持品確認を実施するためにA警備官が原告の頭部をリュックサックの方向に向け直した理由として、その後の手続のためにスムーズであると判断したとの点が挙げられると主張する。 しかしながら、入国警備官は、被収容者の自由に配慮し、その自由を可能な限り侵害しない方 向に向け直した理由として、その後の手続のためにスムーズであると判断したとの点が挙げられると主張する。 しかしながら、入国警備官は、被収容者の自由に配慮し、その自由を可能な限り侵害しない方法によって職務を遂行すべきであるから(前記ア(ウ)参照)、東京入管入国警備官がリュックサックを持ち運んで原告の視線の方向に置く、という原告の自由を侵害しない方法によらなかったことは、相当でなかったといわざるを得ず、被告の前記主張は採用で きない。 また、被告は、入国警備官が被収容者に対し制圧を実施する際には、被収容者に頸部のねん挫等の受傷事故が発生することを防止するため、頭部、四肢及び腰部の全てが動かないように固定する手法を取っているところ、A警備官の制圧行為は、同警備官に交代するまで十分には固定 されていなかった原告の頭部を固定することで、受傷事故発生を防止するため必要であった旨主張し、証人Aも同旨の証言をする。 しかしながら、一般に身体の制圧が実施されている状況において被収容者に頸部のねん挫の受傷事故が発生する機序は明確とはいえないほか、現に原告の置かれた状況において受傷事故が発生する具体的な危険性が 明らかとはいえず、被告の前記主張は採用できない。 - 27 -さらに、被告は、前記のような手法による制圧行為が、格闘技の有段者等の専門家に教わる逮捕術の一つであること、被制圧者に対して加える力の強さ等については、入国警備官が被制圧者役を担当して行う訓練において、生命に危険のない限度を確認していること、被制圧下にあった原告には悪態をつく余裕があったことなどの理由から、原告に対して 行われた制圧行為が相当性を欠くことにはならないと主張し、証人Aもこれに沿う証言をする。 しかしながら、専門家に教わった方法 た原告には悪態をつく余裕があったことなどの理由から、原告に対して 行われた制圧行為が相当性を欠くことにはならないと主張し、証人Aもこれに沿う証言をする。 しかしながら、専門家に教わった方法によって、いかに訓練が実施されているとしても、体格のよい入国警備官が、数分間にわたって、自分の身を預けて被制圧者の頭部を押さえ続けても被制圧者の身体に危険が 何ら発生しないというのは、それ自体として合理的に理解し難い。また、原告は、A警備官に制圧されていた際、表情をゆがめるほどの痛みを感じていたのであって、東京入管入国警備官に対する反抗の意を示すために悪態をついたにすぎないとも解されるから、原告の言動を、同警備官の制圧行為が相当であったことの根拠とすることはできない。したがっ て、被告の前記主張は採用できない。 (4) 小括以上の次第であって、東京入管入国警備官が原告に対して実施した制圧行為等は、A警備官が入出所手続室内において実施した約8分間の原告の頭部への押さえ付けの限度で、国賠法上違法であると評価すべきである。 2 争点2(損害の発生及びその数額)について(1) 原告は、東京入管入国警備官の制圧行為等によって左肩を受傷して後遺障害が発生したと主張し、同旨の供述をする。 しかしながら、前記1(3)エ(イ)で認定した事実及び証拠(甲1、2、乙12及び13の各1及び2、乙16、証人A、原告本人)によれば、A警備官 の制圧行為によって直接圧迫されていた箇所が頭部であることまでは認めら - 28 -れるものの、両肩が床のマットに付くなどして圧迫されていたことまで認めることはできない。 したがって、原告が左肩を受傷していたとしても、A警備官による制圧行為との間で相当因果関係を有するとはいえない。 ( 、両肩が床のマットに付くなどして圧迫されていたことまで認めることはできない。 したがって、原告が左肩を受傷していたとしても、A警備官による制圧行為との間で相当因果関係を有するとはいえない。 (2) 他方で、前記1(3)エ(イ)で認定した事実及び証拠(甲1、2、乙12及び 13の各1及び2、乙14、16、原告本人)によれば、A警備官が制圧行為を実施した際に、両手で原告の頭部を圧迫したことによって、原告の左目の上まぶた、こめかみ、左ほほ等にうっ血が発生したことが認められる。 かかる受傷状況に加えて、前記1(3)エ(イ)で認定したA警備官の行為態様等も併せ鑑みると、原告は、入出所手続室内においては、本件移収に対する 明確な抵抗までは見せていなかったにもかかわらず、生命、身体等を保護するための規律に背いたA警備官によって、顔面にうっ血が残るほどの強い力を長時間にわたって加えられ続けたものである。職務行為として許容される限度を逸脱した制圧行為それ自体の有する危険性、かかる行為によって原告が覚えた恐怖感、一人の人間として尊重されることのない扱いを受けた屈辱 感、その他原告が被った一切の身体的、精神的苦痛を考慮すれば、これに対する慰謝料は10万円と認めるのが相当である。 第4 結論以上によれば、原告の請求は、主文1項の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとし、仮執行宣言及び同免脱 宣言につき主文4項のとおり付すこととして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第43部 裁判官伊藤康博 - 29 - 裁判官石原 拓 裁判長裁判官下澤良太は、転補のため、 裁判官伊藤康博 - 29 - 裁判官石原 拓 裁判長裁判官下澤良太は、転補のため、署名押印することができない。 裁判官伊藤康博 - 30 -(別紙)関係法令等 以下に記載した法令等は、本件移収が実施された平成30年10月9日当時のものである。また、以下、後記法令等を記載するときは、平成30年10月9日当時 のものを指す。 ○ 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」ということがある。)(退去強制) 第24条次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。 一~三 (略)四本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受け た者を除く。)で次のイからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するものイ~ト (略)チ昭和二十六年十一月一日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等 に関する法律(平成三年法律第九十四号)又は刑法第二編第十四章の規定に違反して有罪の判決を受けた者リ~ヨ (略)四の二~十 (略)(退去強制令書の執行) 第52条退去強制令書は、入国警備官が執行するものとする。 - 31 - 2 (略) 3 入国警備官(前項の規定により退去強制令書を執 二~十 (略)(退去強制令書の執行) 第52条退去強制令書は、入国警備官が執行するものとする。 - 31 - 2 (略) 3 入国警備官(前項の規定により退去強制令書を執行する警察官又は海上保安官を含む。以下この条において同じ。)は、退去強制令書を執行するときは、退去強制を受ける者に退去強制令書又はその写しを示して、速やかにその者を次条に規定する送還先に送還しなければならない。ただし、第五十九条の規定 により運送業者が送還する場合には、入国警備官は、当該運送業者に引き渡すものとする。 4 (略) 5 入国警備官は、第三項本文の場合において、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者 収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができる。 6、7 (略)(入国警備官)第61条の3の2 入国者収容所及び地方入国管理局に、入国警備官を置く。 2 入国警備官は、次に掲げる事務を行う。 一 (略)二収容令書及び退去強制令書を執行するため、その執行を受ける者を収容し、護送し、及び送還すること。 三~六 (略) 3~5 (略)(被収容者の処遇)第61条の7 入国者収容所又は収容場(以下「入国者収容所等」という。)に収容されている者(以下「被収容者」という。)には、入国者収容所等の保安上支障がない範囲内においてできる限りの自由が与えられなければならない。 2~5 (略) - 32 - 6 前各項に規定するものを除く外、被収容者の処遇に関し必要な事項は、法務省令で定める。 ○ 被収容者処遇規則(昭和56年法務省令第59号。以下「処遇規則」ということがあ - 32 - 6 前各項に規定するものを除く外、被収容者の処遇に関し必要な事項は、法務省令で定める。 ○ 被収容者処遇規則(昭和56年法務省令第59号。以下「処遇規則」ということがある。) (遵守事項)第7条収容所等の安全と秩序を維持するため及び収容所等における生活を円滑に行わせるため必要な被収容者の遵守事項(以下「遵守事項」という。)は、次のとおりとする。 一~七 (略) 八職員の職務執行を妨害しないこと九 (略)2~4 (略)(制止等の措置)第17条の2 入国警備官は、被収容者が遵守事項に違反する行為をし、又は違 反する行為をしようとする場合には、その行為の中止を命じ、合理的に必要と判断される限度で、その行為を制止し、その他その行為を抑止するための措置をとることができる。 (隔離)第18条所長等は、被収容者が次の各号の一に該当する行為をし、又はこれを 企て、通謀し、あおり、そそのかし若しくは援助した場合は、期限を定め、その者を他の被収容者から隔離することができる。この場合において、所長等は、当該期限にかかわらず、隔離の必要がなくなつたときは、直ちにその隔離を中止しなければならない。 一逃走、暴行、器物損壊その他刑罰法令に触れる行為をすること。 二職員の職務執行に反抗し、又はこれを妨害すること。 - 33 -三自殺又は自損すること。 2、3 (略)(戒具の使用)第19条所長等は、被収容者が次の各号の一に該当する行為をするおそれがあり、かつ、他にこれを防止する方法がないと認められる場合は、必要最小限度 の範囲で、入国警備官に、当該被収容者に対して戒具を使用させることができる。ただし、所長等の命令を受ける をするおそれがあり、かつ、他にこれを防止する方法がないと認められる場合は、必要最小限度 の範囲で、入国警備官に、当該被収容者に対して戒具を使用させることができる。ただし、所長等の命令を受けるいとまがないときは、入国警備官は、自ら戒具を使用することができる。 一逃走すること。 二自己又は他人に危害を加えること。 三収容所等の設備、器具その他の物を損壊すること。 2 (略)(戒具の種類)第20条戒具は、次の四種類とする。 一第一種手錠 二第二種手錠三、四 (略) 2 (略) ○ 違反調査及び令書執行規程(平成8年法務省管警訓第557号大臣訓令)(退去強制令書による護送) 第13条入国警備官は、退去強制令書を執行するため、退去強制を受ける者(以下「被退去強制者」という。)を護送するときは、特別な場合を除き、次に掲げる要領により護送を実施するものとし、安全にして確実な護送を図らなければならない。 (1)~(4) (略) - 34 -(5) 護送に当たっては、被退去強制者が逃走、暴行又は自殺等護送任務の遂行に支障を来すおそれがあると認められるときは、戒具を使用するものとする。 この場合において、使用する戒具の種類については、被収容者処遇規則(昭和56年法務省令第59号)第20条の規定による。 (6)~(14) (略) 以上
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