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主文 1 被告は,原告に対し,金1042万5624円及びこれに対する平成11年4月1日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。2 原告のその余の請求を棄却する。3 訴訟費用はこれを2分し,それぞれを各自の負担とする。事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し,金2230万4596円及びこれに対する平成10年9月1日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。2 訴訟費用は被告の負担とする。3 仮執行宣言。第2 事案の概要本件は,被告の元職員である原告が,在職中であった平成7年4月1日から定年退職した平成11年3月末日までの期間(以下,「本件係争期間」という。)に,任命権者である被告市長から,浜松市職員組合(以下,「市職」という。)に所属し,役員として組合活動を積極的に行っていることなどを理由に,昇任等において不当な差別的取扱いを受け,これにより経済的及び精神的損害を被ったとして,国家賠償法1条1項又は民法715条に基づき,損害賠償を求めた事案である。1 争点(1) 原告の昇任が,他の同期採用同学歴職員と比較して著しく遅れていることが,原告の能力や勤務実績に起因するのか,それとも原告が積極的に組合活動を行っていたことに対する差別行為によるものなのか。(2) 差別行為とされた場合,原告が被った損害額。2 争点に対する原告の主張(1) 被告当局の市職に対する敵視政策被告当局は,原告が市職組合員の権利と要求実現のために組合活動を進めてきたことを嫌悪し,他の職員に対する見せしめとして,昇任に当たり原告を不当に差別し続けてきた。原告と他の同期採用同学歴職員の本件係争期間中を含めた被告在職中における昇任の推移は,別紙「同期同学歴職員昇任状況一覧表」記載のとおりである。このような, に当たり原告を不当に差別し続けてきた。原告と他の同期採用同学歴職員の本件係争期間中を含めた被告在職中における昇任の推移は,別紙「同期同学歴職員昇任状況一覧表」記載のとおりである。 員に対する見せしめとして,昇任に当たり原告を不当に差別し続けてきた。原告と他の同期採用同学歴職員の本件係争期間中を含めた被告在職中における昇任の推移は,別紙「同期同学歴職員昇任状況一覧表」記載のとおりである。このような, に当たり原告を不当に差別し続けてきた。原告と他の同期採用同学歴職員の本件係争期間中を含めた被告在職中における昇任の推移は,別紙「同期同学歴職員昇任状況一覧表」記載のとおりである。このような,被告当局の原告に対する昇任差別は,憲法14条の平等原則及びこれを受けた地方公務員法13条,同法56条の,平等取扱の原則,不利益取扱禁止の原則に違反する違法行為である。(2) 損害について① 原告は,他の同期採用同学歴職員と比較して決して劣らない能力と勤務実績を有していたにもかかわらず,被告は,上記のような不当労働行為的差別意思に基づき,原告を昇任において差別してきたものであって,原告を他の同期採用同学歴職員と同様に処遇するとすれば,遅くとも,平成7年4月には8級(次長,参事級)13号に,平成8年4月には9級(部長,参与級)9号に,平成10年4月には9級10号に昇任,昇格させるべきであった。そうして,上記のとおり昇任した場合の想定賃金額から現に原告が支給を受けた賃金額を差し引いた金額は,別紙「賃金損害額計算書(1)(請求分)」記載のとおり,合計1730万4596円である。② よって,原告は,被告に対し,国家賠償法1条又は民法715条に基づき,違法な差別人事によって被った損害(上記①のとおり昇任,昇格をした場合の想定賃金との差額相当額1730万4596円,慰謝料300万円,弁護士費用200万円)の合計2230万4596円及びこれに対する平成10年9月1日(請求を拡張する以前の係争期間の最終日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。3 争点に対する被告の主張(1) 被告の人事制度について被告は,職員の任用を地方公務員法の趣旨に基づき勤務成績その他能力の実証に基づいて行っている。職員の昇任については 損害金の支払を求める。3 争点に対する被告の主張(1) 被告の人事制度について被告は,職員の任用を地方公務員法の趣旨に基づき勤務成績その他能力の実証に基づいて行っている。職員の昇任については,浜松市職員の採用及び昇任に関する規則10条に基づき選考により行い,昇任のための競争試験は行っていない。 職員の任用を地方公務員法の趣旨に基づき勤務成績その他能力の実証に基づいて行っている。職員の昇任については 損害金の支払を求める。3 争点に対する被告の主張(1) 被告の人事制度について被告は,職員の任用を地方公務員法の趣旨に基づき勤務成績その他能力の実証に基づいて行っている。職員の昇任については,浜松市職員の採用及び昇任に関する規則10条に基づき選考により行い,昇任のための競争試験は行っていない。そして,選考については,所属長からのヒアリング,役職の欠員・必要性,本人の職務に対する知識,専門性,所属長等からの推薦の有無等を総合的に検討,判断して行っている。(2) 原告の勤務成績,勤務態度等原告の担当事務量は,組合活動が多忙であるという配慮から,常に他係職員の平均もしくは平均以下に留められており,高度の処理能力が必要なものではない。また,原告は,組合活動に対する意気込みに比して,職務に対しては積極的な姿勢が窺えず,さらに,勤務時間内に恒常的に無断離席を繰り返すことがあった。このような原告の能力や勤務態度からは,原告が役職への昇任に値する勤務をしていたとは到底考えられない。加えて,原告は,昭和55年から同59年にかけて訓告等の処分を5回受け,昭和48年11月から翌49年11月までと,昭和63年4月から平成4年2月までの間,職員組合専従のため休職をし,自ら昇任の機会を逃していた。(3) その他諸事情原告が長期間にわたり農業委員会事務局に留まったのは,原告の希望によるものであり,必要職である農地主事は2人とする被告の人員配置の慣行も起因して,原告の昇任を抑える結果となった。また,原告以外の同期採用同学歴職員は,途中退職者を除く全員が課長級以上の職に昇任しているが,昭和35年に採用された職員の中には,原告と同様に係長級の職に留まった者が3人おり,いずれも市職における組合役員としての活動経歴はない。(4) このように,原告は, 長級以上の職に昇任しているが,昭和35年に採用された職員の中には,原告と同様に係長級の職に留まった者が3人おり,いずれも市職における組合役員としての活動経歴はない。(4) このように,原告は,職務遂行能力,精勤の度合いが低く,勤務評定上も上位役職者に求められる指導力や統率力に欠け,また,農業委員会事務局からの転任を希望しなかった。したがって,農業委員会においては,原告には,係長相当で部下を持たないスタッフ職としての副主幹が相当であり,より上位の役職に見合うだけの実績はなかったから,昇任する余地がなかったものである。 市職における組合役員としての活動経歴はない。(4) このように,原告は,職務遂行能力,精勤の度合いが低く,勤務評定上も上位役職者に求められる指導力や統率力に欠け,また,農業委員会事務局からの転任を希望しなかった。したがって,農業委員会においては,原告には,係長相当で部下を持たないスタッフ職としての副主幹が相当であり,より上位の役職に見合うだけの実績はなかったから,昇任する余地がなかったものである。4 争いのない事実等(1) 被告の人事制度について① 職員の任用について,地方公務員法15条は,勤務成績その他の能力の実証に基づいて行わなければならないとし,さらに,昇任については,同法17条4項で競争試験又は選考によるものと定めている。これを受けて,被告では,役職への昇任は,浜松市職員の採用及び昇任に関する規則(昭和41年浜松市規則第6号)10条,11条に基づき,勤務評定等成績の評定に基づき,選考により行うこととされている。農業委員会事務局職員の昇任管理事務についても,浜松市農業委員会規則12条で浜松市の例によると規定されており,地方自治法138条の3で普通地方公共団体の長の所轄の下に執行機関相互の連絡を図り,すべて一体として行政機能を発揮するようにしなければならないと規定されていることから,毎年実施する市長事務部局の人事当局とのヒアリングその他の人事作業を通じて総合調整を図ることで,人事に関する公平性や適正性を任命権者の裁量と責任において確保すべきとされている。そして,被告の人事制度において,1回の昇任においては,一つ上位の職に昇任させ,また,昇任は年1回,4月に行われるのが通例である。② 被告における一般職 量と責任において確保すべきとされている。そして,被告の人事制度において,1回の昇任においては,一つ上位の職に昇任させ,また,昇任は年1回,4月に行われるのが通例である。② 被告における一般職給料表級別職務分類について昭和32年4月1日,新給料表(5等級制)の適用を開始し,昭和42年4月1日,従来の2等級と3等級の間に新3等級(課長補佐級制度)が新設された結果,4等級が5等級となり5等級が6等級となる。昭和60年7月給料表の改編が行なわれ,係長級(新4級)と次長級(新7級)が新設され,6等級制から8級制へと変わる。平成3年4月1日から新5級(係長級)を新設し,同時に4級主任制度が導入され,8級制から9級制になった。 32年4月1日,新給料表(5等級制)の適用を開始し,昭和42年4月1日,従来の2等級と3等級の間に新3等級(課長補佐級制度)が新設された結果,4等級が5等級となり5等級が6等級となる。昭和60年7月給料表の改編が行なわれ,係長級(新4級)と次長級(新7級)が新設され,6等級制から8級制へと変わる。平成3年4月1日から新5級(係長級)を新設し,同時に4級主任制度が導入され,8級制から9級制になった。そのため,8級は9級に,7級は8級に,6級は7級に,5級は6級へとそれぞれ変更された。現時点における,一般職給料表級別職務分類表各級の補職名の抜粋は以下のとおりである。1級事務員2級事務吏員3級事務吏員4級主任5級係長・副主幹・副技監6級課長補佐・主幹・技監7級課長・副参事8級次長・参事9級部長・参与(2) 原告の職務歴原告は,昭和36年3月に大学卒業後,同月20日に被告の雇員(現在の1級)として採用され,当初は市長公室企画課に配属,昭和37年7月1日付けで理財部資産税課へ異動,昭和38年6月1日付けで事務吏員に任命され,昭和47年4月1日付けで農業委員会事務局へ出向し,以後定年退職する平成11年3月末日まで農業委員会事務局にて勤務した。その昇任,昇格の推移は,下記のとおりである。昭和36年3月20日,事務雇員に任命される(5等級,現在の1級に格付け)。昭和38年6月1日,事務吏員に昇任。昭和38年7月1日,4等級(現在の2級)6号給に昇格。昭和48年4月1日,4等級(現 年3月20日,事務雇員に任命される(5等級,現在の1級に格付け)。昭和38年6月1日,事務吏員に昇任。昭和38年7月1日,4等級(現在の2級)6号給に昇格。昭和48年4月1日,4等級(現在の3級)に昇格。平成5年4月1日,主任(4級)に昇任。平成7年4月1日,副主幹(5級)に昇任。なお,原告は,昭和48年11月5日から昭和49年11月21日までと昭和63年4月1日から平成4年2月29日までの間,組合専従休職をしている。(3) 他の同期採用同学歴職員との昇任比較原告と同日に被告に採用された同期採用同学歴職員は,早い者では12年経過後,遅い者でも20年経過後には,全員係長に昇任している。また,昭和56年から昭和61年までに課長補佐に,さらに,平成2年までに課長級になっている。その後も退職をした1人を除き,平成3年から平成7年までには次長級に昇任し,翌8年には,同期採用同学歴職員全員が部長級(参与を含む)となっている。 3) 他の同期採用同学歴職員との昇任比較原告と同日に被告に採用された同期採用同学歴職員は,早い者では12年経過後,遅い者でも20年経過後には,全員係長に昇任している。また,昭和56年から昭和61年までに課長補佐に,さらに,平成2年までに課長級になっている。その後も退職をした1人を除き,平成3年から平成7年までには次長級に昇任し,翌8年には,同期採用同学歴職員全員が部長級(参与を含む)となっている。これに対し,原告は,最も遅く係長に昇任した者から14年後の平成7年に係長級の副主幹に昇任したにすぎず,以後昇任することなく,平成11年3月末日,定年退職に至った。(4) 原告の組合活動歴原告は,職務の傍ら,被告の職員をもって組織する市職の組合員であると同時に,執行委員長をはじめとする組合役員を務め,同副執行委員長及び浜松市職員労働組合連合会中央執行委員長を務めてきた。その経歴は,下記のとおりである。昭和37年6月下旬,企画課から市職執行委員に立候補。同年10月31日,市職執行委員となり,組合活動に積極的に参加しはじめる。昭和37年から昭和47年3月にかけて,市職執行委員(昭和37,38,39,42年)計4期,市職青年婦人部教宣部長,自治労静岡県本部執行委員,組織部担当。昭和48年,市職執 に参加しはじめる。昭和37年から昭和47年3月にかけて,市職執行委員(昭和37,38,39,42年)計4期,市職青年婦人部教宣部長,自治労静岡県本部執行委員,組織部担当。昭和48年,市職執行委員1期。昭和54年から昭和59年にかけて,市職副執行委員長を計5期,市労連副中央執行委員長計5期。昭和60年から平成5年にかけて,市職執行委員長を連続9期,市労連中央執行委員長を9期,自治労連静岡県本部副執行委員長。平成6年から平成10年にかけて,市職副執行委員長を計5期,市労連中央執行委員長を計4期。(5) 市職の沿革等について市職は,原告が採用された昭和36年頃には当時の社会党系(原告が主張する旧主流派,以下単に「旧主流派」という。)が指導する組合であった。昭和51年初め,執行委員長を9年間連続して務めていたP8(旧主流派)の後任として,同年4月1日付けで公営企業局交通部から市長事務部局に出向となり,その結果,市職組合員の資格を得たP1(旧主流派)が,同年9月18日に執行委員長に就任した。P1は,4年間執行委員長を務めた後,昭和56年4月1日付けで再び交通部に出向となり,同時に係長に昇任した。 派,以下単に「旧主流派」という。)が指導する組合であった。昭和51年初め,執行委員長を9年間連続して務めていたP8(旧主流派)の後任として,同年4月1日付けで公営企業局交通部から市長事務部局に出向となり,その結果,市職組合員の資格を得たP1(旧主流派)が,同年9月18日に執行委員長に就任した。P1は,4年間執行委員長を務めた後,昭和56年4月1日付けで再び交通部に出向となり,同時に係長に昇任した。その後は毎年のように,執行委員長以下大半の役員について選任選挙が実施され,昭和56年から昭和60年にかけては,毎年,執行委員長が旧主流派と,旧社会党系や連合と対立する立場にある現執行部派(以下単に「現執行部派」という。)で入れ替わるというものであった。昭和59年当時の執行委員長はP2(現執行部派)であったが,P2は,同年8月に行われた役員選挙で落選し,昭和60年4月1日付けで公営企業局下水道部へと出向となり,市職の資格を喪失した。他方,昭和59年4月,交通部係長であったP1が,市長事務部局に出向となり,市職の組合員資格を得て昭 役員選挙で落選し,昭和60年4月1日付けで公営企業局下水道部へと出向となり,市職の資格を喪失した。他方,昭和59年4月,交通部係長であったP1が,市長事務部局に出向となり,市職の組合員資格を得て昭和60年8月に行われた役員選挙に執行委員長として再び立候補し,また,原告が,インフォーマル組織と称するグループ404(以下単に「グループ404」という。)の構成員であるとする者も立候補し,その対立候補として,原告ら(現執行部派)が立候補した。結果として,現執行部派から立候補した者については,執行委員長(原告)を含めた三役4人中3人が,執行委員も定数16人中12人が,それぞれ当選した。そして,昭和61年度の役員選挙においても,現執行部派への対立候補として,旧主流派とグループ404の構成員が立候補したが,いずれも落選した。以後,市職の執行委員長を含めた三役は現執行部派が占めており,平成2年以降は信任投票が行われているにすぎない。第3 争点に対する判断1(1) 格差の有無について,証拠(甲156,甲202,乙1)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。原告と他の同期採用同学歴職員の本件係争期間中を含めた被告在職中における昇任の推移は,別紙「同期同学歴職員昇任状況一覧表」記載のとおりである。 いずれも落選した。以後,市職の執行委員長を含めた三役は現執行部派が占めており,平成2年以降は信任投票が行われているにすぎない。第3 争点に対する判断1(1) 格差の有無について,証拠(甲156,甲202,乙1)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。原告と他の同期採用同学歴職員の本件係争期間中を含めた被告在職中における昇任の推移は,別紙「同期同学歴職員昇任状況一覧表」記載のとおりである。原告の同期採用同学歴職員は,本件係争期間初期の平成7年4月1日においては,部長(9級)が1人,次長(8級)が2人であり,また,平成5年に課長(7級)のまま退職した者が1人いる。これに対し,原告は,副主幹(同日付けで5級に昇任)であった。また,本件係争期間終期である平成11年3月末日においては,部長(9級)が2人(いずれも同日付けで退職)おり,加えて,平成10年3月31日付けで退職した3人は,参与(9級),参事(8級),副校長であった(参事, 争期間終期である平成11年3月末日においては,部長(9級)が2人(いずれも同日付けで退職)おり,加えて,平成10年3月31日付けで退職した3人は,参与(9級),参事(8級),副校長であった(参事,副校長については,本件係争期間初期の役職は証拠上明らかではない。)。これに対し,原告は,副主幹(5級)のままであった。さらに,原告以外の同期採用同学歴職員は,早い者では採用から12年経過後,遅い者でも20年経過後には,全員係長(5級)に昇任し,昭和56年から昭和61年までに課長補佐(6級)に,平成2年までには,原告以外の全ての同期採用同学歴職員が課長級(7級)に昇任している。その後も退職した1人を除き,平成3年から平成7年までには次長級(8級)に昇任し,平成8年には全ての同期採用同学歴職員が部長級(9級)になっている。これに対し,原告は,最も遅く係長に昇任した者から14年後の平成7年に係長級の副主幹(5級)に昇任し,以後昇任することなく,平成11年3月末日に定年退職するに至った。(2) 上記の事実からすれば,原告の処遇は,本件係争期間の初期及び終期を含めて在職した全期間において,上記のとおり専従休職期間が約5年間あったことを考慮しても,他の同期採用同学歴職員のうち,最も劣位の者の処遇よりも低かったと認められる。2 違法性の有無について(1) 昇任等に関する被告市長の裁量権成績主義を基本原則とする任用及び給与制度のもとにおいては,学歴や経験年数が同じであっても,年数を経るに従って勤務実績ないしその評価に影響を及ぼす事情に相応した格差が生じることになるのは当然のことであり,単に原告と同期採用同学歴職員との間に,集団として対比してみると,昇任の格差が存在していることから,直ちに原告について,組合活動を積極的に行っていたことを理由とす 1) 昇任等に関する被告市長の裁量権成績主義を基本原則とする任用及び給与制度のもとにおいては,学歴や経験年数が同じであっても,年数を経るに従って勤務実績ないしその評価に影響を及ぼす事情に相応した格差が生じることになるのは当然のことであり,単に原告と同期採用同学歴職員との間に,集団として対比してみると,昇任の格差が存在していることから,直ちに原告について,組合活動を積極的に行っていたことを理由とす じることになるのは当然のことであり,単に原告と同期採用同学歴職員との間に,集団として対比してみると,昇任の格差が存在していることから,直ちに原告について,組合活動を積極的に行っていたことを理由とする差別扱いがされたと言うことはできない。そして,被告の昇任等を規律する規定に照らすと,昇任等に関する被告市長の行為は,成績主義の基本原則の下で職員各自の経歴,学歴,知識,資格,能力,適性,勤務実績等を総合的に勘案して,限られた役職数や級別定数に応じ,より上位の役職等(役職,級及び号俸)に昇任等をさせることが適当かどうかという,高度に合目的的,技術的な見地からなされる裁量行為であるといえるところ,その判断は日々行われる広汎かつ大量の業務の円滑かつ効率的な遂行に密接に関わるものであるから,被告市長の裁量の範囲は,広範なものと解せられる。他方,上記裁量権が,地方公務員法13条,同法56条の,平等取扱の原則,不利益取扱禁止の原則に違反して,組合活動に従事していたことを理由として行使されたときは,原告を昇任,昇格させなかったことが原告の昇任,昇格に関する法律上の利益を侵害するものとして不法行為が成立するものと言うべきである。もっとも,昇任,昇格の制度が当該職員の能力,適性や勤務成績を反映させるものとなっている以上,原告が他の同期採用同学歴職員に比べて昇任において差別扱いを受けたといえるためには,その差別扱いを受けたとする特定の査定時期において,原告について,比較の対象とされた同期採用同学歴職員との間で勤務実績や能力等に差がないことが個別的,具体的に立証されなければならない。(2)① 原告の本件係争期間における勤務評定について,証拠(甲186,甲196,乙2,乙9ないし15,証人P3,同P4,同P5,同P6,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば, されなければならない。(2)① 原告の本件係争期間における勤務評定について,証拠(甲186,甲196,乙2,乙9ないし15,証人P3,同P4,同P5,同P6,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 らない。(2)① 原告の本件係争期間における勤務評定について,証拠(甲186,甲196,乙2,乙9ないし15,証人P3,同P4,同P5,同P6,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば, されなければならない。(2)① 原告の本件係争期間における勤務評定について,証拠(甲186,甲196,乙2,乙9ないし15,証人P3,同P4,同P5,同P6,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。原告の平成6年の勤務評定は,評定点合計が35点(50点満点,以下同様)で,適性が「d」(定型的業務に適することを意味する),健康状態が「a」(健康であることを意味する),異動については,「異動可」,「g」(その理由として経験年数が長いことを意味する)となっている。この35点というのは,職員全体の平均よりやや高く,翌年4月に係長級に昇任した40人の中では最低点であるが,主任としての平均より少し高いか平均的なものである。原告の平成7年の勤務評定は,評定点合計が38点となっており,所見欄には何ら記載がない。また,原告は,平成7年の人事意向調書において,希望する職務,部課について,現在の農業委員会事務局を希望する旨記載した。原告の平成8年の勤務評定は,評定点合計が38点となっており,所見として「在課年数が長くマンネリ化している。異動可。部下との意志疎通に欠ける面がある。」と記載されている。もっとも,平成9年4月1日付けで課長補佐級に昇任した者の最低評定点は37点であった。原告の平成9年の勤務評定は,評定点合計が38点となっており,※印欄に「異動不可」,所見として「在課期間は長いが,本人も継続して在課を希望している。」とそれぞれ記載されている。また,原告は,平成9年の自己申告書には,担当職務については,適性は十分あり,やりがいがかなりあると申告し,異動希望については,異動したくないと記載している。そして,所属長の意見として,仕事に対するトータルでの理解力はまだまだであり,理想と現実の実態の認識が充分でなければ,他 りがいがかなりあると申告し,異動希望については,異動したくないと記載している。そして,所属長の意見として,仕事に対するトータルでの理解力はまだまだであり,理想と現実の実態の認識が充分でなければ,他の職員もついてこないし,自らの仕事に取り組む姿勢を律しないと,このままで終わってしまうなどと記載されている。 て,仕事に対するトータルでの理解力はまだまだであり,理想と現実の実態の認識が充分でなければ,他 りがいがかなりあると申告し,異動希望については,異動したくないと記載している。そして,所属長の意見として,仕事に対するトータルでの理解力はまだまだであり,理想と現実の実態の認識が充分でなければ,他の職員もついてこないし,自らの仕事に取り組む姿勢を律しないと,このままで終わってしまうなどと記載されている。② このような勤務評定書の記載内容に加え,原告の勤務態度や出勤状況等について消極に評価すべき事由があったと認めるべき証拠もないことからすれば,原告は,職務の一般的能力に関し,他の同期採用同学歴職員の平均的な能力を有していたと認められる。③ この点,被告は,原告が専ら組合活動のため恒常的に無断離席をしており,これは職務放棄と同視すべきと主張し,証人P6は,人事課に在職した間に,原告が在籍していた間の各農業委員会事務局長から原告の無断離席について報告を受けたとか,証人自身が総務部長時代に,原告の離席の事実を人事課職員が調査確認したことがある旨証言するが,上記勤務評定書にはこの点について言及している形跡はなく,他に原告が勤務時間中,組合活動のため恒常的に無断離席を繰り返していたことを窺わせる証拠はない。(3) 加えて,証拠(甲161の1及び2,甲162ないし164,甲186,甲196,甲217,証人P2,同P7,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,現執行部派として市職役員に立候補した職員は,その昇任状況の実情によると,全体的にみて,旧主流派やグループ404から役員選挙に立候補した職員との間で格差があり,これらの者と比較して低位に処遇されており,また,被告における配置状況の実情も,財政部の市民税課,資産税課,納税課,市民生活部の国民健康保険課,社会福祉部の高齢者福祉課,都市計画部の街路課,建築・住宅部の建築指導課,公共建築課,農政部の土 また,被告における配置状況の実情も,財政部の市民税課,資産税課,納税課,市民生活部の国民健康保険課,社会福祉部の高齢者福祉課,都市計画部の街路課,建築・住宅部の建築指導課,公共建築課,農政部の土地改良課等の部署に現執行部派の者が多数配置され,他方,総務部,企画部等の部署には,ほとんど配置されていないことがそれぞれ認められ,このことは偶然の結果とは考えにくい。 部の建築指導課,公共建築課,農政部の土 また,被告における配置状況の実情も,財政部の市民税課,資産税課,納税課,市民生活部の国民健康保険課,社会福祉部の高齢者福祉課,都市計画部の街路課,建築・住宅部の建築指導課,公共建築課,農政部の土地改良課等の部署に現執行部派の者が多数配置され,他方,総務部,企画部等の部署には,ほとんど配置されていないことがそれぞれ認められ,このことは偶然の結果とは考えにくい。(4) 上記第3の1及び2(1)ないし(3)の各事実に加え,争いのない事実をも併せ考慮すると,被告当局においては,上記のような現執行部派として積極的に組合活動をする職員を,旧主流派やグループ404の構成員とされる職員と比較して昇任について別個に基準を設け,低位に処遇するという差別的取扱いの姿勢は,その具体的内容や方法は明らかではないものの,少なくとも本件係争期間を含む相当前の時期から,全体的,一般的指針として採られていた可能性を否定することができず,被告当局は,本件係争期間中,市職を差別する意思を有していたと推認することができる。そうすると,原告の昇任が,他の同期採用同学歴職員よりも著しく遅れているのも,上記原告の勤務評定の内容や組合活動歴等からすれば,組合活動を積極的に行っていたことによると認められ,それは,被告市長の裁量の範囲を超えるものであるから,この点で,被告市長の上記行為は故意による不法行為を構成するものと言うべきである。3 原告の損害について(1) 経済的損害について昇任等の適否は,当該職員が在職した全期間中の勤務成績に関する諸事情が考慮されるべきものであるところ,証拠(甲196,証人P6)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,昭和55年から昭和59年にかけて,地方公務員法上違法なストライキの首謀者であったとして訓告等の処分を5回受けていることが認められ,また 証拠(甲196,証人P6)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,昭和55年から昭和59年にかけて,地方公務員法上違法なストライキの首謀者であったとして訓告等の処分を5回受けていることが認められ,また,上記第2の4(2)のとおり,昭和48年11月5日から翌49年11月21日までと昭和63年4月1日から平成4年2月29日までの間,組合専従休職を任命権者から許可され,この期間は勤務成績の評定対象とはなっていないことから,昇任,昇格は考え難い。 全趣旨によれば,原告は,昭和55年から昭和59年にかけて,地方公務員法上違法なストライキの首謀者であったとして訓告等の処分を5回受けていることが認められ,また,上記第2の4(2)のとおり,昭和48年11月5日から翌49年11月21日までと昭和63年4月1日から平成4年2月29日までの間,組合専従休職を任命権者から許可され,この期間は勤務成績の評定対象とはなっていないことから,昇任,昇格は考え難い。加えて,証拠(甲196,乙2,乙12,乙14,証人P3,同P4,同P5,同P6,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,昭和57,58年ころ以降は,在職していた農業委員会事務局から他部署への異動を希望していなかったことが認められ,これらの事情が昇任等に影響したとしても理由がないとは言えない。そうすると,原告に生じた上記第3の1(1)で認定した格差は,非違行為等に対する適法な査定による部分と,適法な査定によるとは言えない部分とが含まれていると言うべきであることからして,直ちに,原告が,上記第2の2(2)のとおり,他の同期採用同学歴職員と同様に昇任,昇格し得べきであったとまでは言えない。しかしながら,これまでに検討してきたところからすると,平成5年4月1日の時点で,少なくとも副参事(7級)に昇任し得べきであったと言うべきである。そして,上記のとおり昇任した場合の賃金の想定額から現に原告が支給を受けた賃金額を差し引いた金額は,別紙「賃金損害額計算書(2)(認容分)」記載のとおり,合計842万5624円である(弁論の全趣旨)。(2) 精神的損害について原告は,被告市長が原告に対して昇任についてした違法な差別的査定によって,原告が同期採用同学歴職員のうち,最も昇任につき劣位に査定された者の給与より (弁論の全趣旨)。(2) 精神的損害について原告は,被告市長が原告に対して昇任についてした違法な差別的査定によって,原告が同期採用同学歴職員のうち,最も昇任につき劣位に査定された者の給与よりも低額な給与,退職金等を支給されたにすぎなかったほか,職級及び役職位等を低位に据え置かれたことにより,他の同期採用同学歴職員の全員(途中退職者を除く)及び後輩に当たる職員よりも下位の地位になり,その結果,社会的信用評価が損なわれ,名誉感情も傷つき,自己及び家族に物心両面で多大の犠牲を強いられるなど,精神的苦痛を被っていることは明らかであり,このような原告の精神的苦痛は,上記の経済的損害の賠償のみによっては回復し難い損害と認められる。 すぎなかったほか,職級及び役職位等を低位に据え置かれたことにより,他の同期採用同学歴職員の全員(途中退職者を除く)及び後輩に当たる職員よりも下位の地位になり,その結果,社会的信用評価が損なわれ,名誉感情も傷つき,自己及び家族に物心両面で多大の犠牲を強いられるなど,精神的苦痛を被っていることは明らかであり,このような原告の精神的苦痛は,上記の経済的損害の賠償のみによっては回復し難い損害と認められる。そうすると,被告は,原告に対し,上記精神的苦痛に対する慰謝料を支払う義務があると言うべきであり,本件の違法行為の内容,程度,結果及び本件で顕れた事情等を総合すると,慰謝料の金額は100万円と認めるのが相当である。(3) 弁護士費用について原告が本訴の提起,遂行を原告訴訟代理人らに委任したことは当裁判所に顕著であり,本件の事案の内容,認容額その他一切の事情を考慮すると,本件不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の損害は100万円と認めるのが相当である。(4) 遅延損害金について上記損害賠償請求権は,原告は,平成5年4月1日の時点で,少なくとも副参事(7級)に昇任し得べきであったとの判断から導き出したものであって,本件係争期間中,毎月,具体的に発生していたとするのは相当ではなく,これに対する遅延損害金は,本件係争期間の最終日(原告が被告を退職した日)の翌日である平成11年4月1日から認めるべきこととするのが相当である。4 結論以上によれば,原告主張の損害のうち,金1042万5624円及びこれに対する平成 の最終日(原告が被告を退職した日)の翌日である平成11年4月1日から認めるべきこととするのが相当である。4 結論以上によれば,原告主張の損害のうち,金1042万5624円及びこれに対する平成11年4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。よって,主文のとおり判決する(尚,仮執行の宣言は付さない。)。静岡地方裁判所浜松支部民事部裁判長裁判官田中優裁判官溝口稚佳子裁判官村瀬憲士
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