昭和60(行コ)14 課税処分取消請求控訴事件(原審・静岡地方裁判所昭和56年(行ウ)第17号)

裁判年月日・裁判所
昭和60年12月17日 東京高等裁判所 租税
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【DRY-RUN】- 1 - ○ 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 控訴人 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人が控訴人に対して昭和五五年一月二五日付で

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- 1 -○ 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実 第一当事者の求めた裁判一控訴人 原判決を取り消す。 被控訴人が控訴人に対して昭和五五年一月二五日付でした控訴人の昭和五二年分(以下「本件係争年」という)所得税についての更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分。 (これら処分を以下「本件処分」という)を取り消す。 。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 との判決を求める。 二被控訴人主文と同旨の判決を求める。 第二当事者の主張一控訴人 控訴人は、昭和五三年三月一五日、本件係争年の所得税について、次表各該当欄記載のとおりの内容の確定申告をしたところ、被控訴人は、同表各該当欄記載のとおりの内容の更正処分及びこれに伴う一二八、六〇〇円の過少申告加算税賦課決定処分(すなわち本件処分)をした。 そこで、控訴人は、本件処分を不服として昭和五五年三月一〇日被控訴人に対して異議申立をしたが、同年六月一〇日これを棄却され、さらに同年七月八日国税不服審判所長に対して審査請求をしたが、昭和五六年六月一日これを棄却された。 被控訴人が本件処分の理由として主張するところは、別表一「被告主張額計算表」及び別表二「譲渡物件等明細表」記載のとおりであつて、被控訴人において控訴人の長期譲渡所得金額にかかる収入金額として第二物件の譲渡収入二、六〇〇万円を計上している点を除くその余の所得金額等及び税額等の計算関係については、控訴人もこれを争わない。 そして、右第二物件の譲渡に関する事実関係は、次のとおりである。 すなわち、控訴人は、昭和五二年一月一〇日、妻訴外A、長女訴外B及び二女訴外Cとの間において(1)控訴人は、訴外Aに対して、第二物件4の土地の所有権持分二分の、一を無償で譲渡し、訴外Aは、控訴人 なわち、控訴人は、昭和五二年一月一〇日、妻訴外A、長女訴外B及び二女訴外Cとの間において(1)控訴人は、訴外Aに対して、第二物件4の土地の所有権持分二分の、一を無償で譲渡し、訴外Aは、控訴人が第三者に対して負担する債務のうち一、〇〇〇万円を控訴人に代わつて支払うものとする(2)控訴人は、訴外B及び同Cに対して、第、二物件5の土地の所有権持分各二分の一宛をそれぞれ無償で譲渡し、訴外B及び同Cは、控訴人が第三者に対して負担する債務のうちそれぞれ八〇〇万円宛を控訴人に代わつて支払うものとするとの契約(以下「本件契約」という)を締結し、控訴人は、本件契約に。 基づいて、同年四月七日訴外Aのために第二物件4の土地について贈与を原因とする所有権- 2 -持分の移転登記をし、同月八日訴外B及び同Cのためにそれぞれ第二物件5の土地について贈与を原因とする所有権持分の移転登記をし、他方、控訴人が第三者に対して負担していた債務の弁済として、同年九月九日に訴外Aは一、〇〇〇万円、訴外Bは八〇〇万円、訴外Cは二〇〇万円を控訴人の債権者に支払い、さらに、訴外Cは同月一二日に四〇〇万円、同月二四日に二〇〇万円を控訴人の債権者に支払つた。 そして、被控訴人は、訴外Aら三名が本件契約に基づき控訴人の債務を弁済したことにより債務を免れたことをもつて所得税法三三条一項所定の譲渡所得が発生したとして、控訴人に対して本件処分をしたものである。 、「」、 しかしながら所得税法三三条一項にいわゆる資産の譲渡とは有償譲渡を意味し同項にいわゆる「所得」とは資産の譲渡と対価関係にあるものをいうのであるところ、本件契約は典型的な負担付贈与であつて、贈与契約の付款とされた受贈者の負担は贈与財産の対価たる性質をもつものではないから、本件契約によつて控訴人に譲渡所得の発生 価関係にあるものをいうのであるところ、本件契約は典型的な負担付贈与であつて、贈与契約の付款とされた受贈者の負担は贈与財産の対価たる性質をもつものではないから、本件契約によつて控訴人に譲渡所得の発生する余地はない。このことは、所得税法五九条及び六〇条の各規定に照らしても、明らかである。 また「相続税財産評価に関する基本通達(昭和三九年四月二五日直資五六直審(資)、」一七)による評価額は、市場価額の二割前後に過ぎないのが通例であり、現に本件契約による訴外Aら三名の各負担額は、その後訴外Aら三名が昭和五二年八月二七日に受贈土地を訴外浜名湖競艇企業団に売却した価額二億一、五五一万七、三二二円の約一割二分に過ぎないのであつて、本件契約による訴外Aら三名の負担額と受贈土地の価額との間には等価性はない。 したがつて、本件契約によつて控訴人に譲渡所得が発生したとしてされた本件処分は違法であるから、控訴人は、本件処分の取消しを求める。 二被控訴人 控訴人の1及び2の主張事実は認め、同3の主張中訴外Aら三名が昭和五二年八月二七日に受贈土地を訴外浜名湖競艇企業団に売り渡したことは認め、その余の事実を否認する。 訴外Aら三名が受贈土地を訴外浜名湖競艇企業団に売り渡した代金額は合計一億五、六七七万七、〇四四円である。 前掲「相続税財産評価に関する基本通達」によれば、本件契約当時における第二物件4の土地の所有権持分二分の一の価額は一、〇〇六万六、三三七円、第二物件5の土地の所有権持分二分の一の価額は八四〇万〇、一二五円であつて、訴外Aら三名が本件契約によつて控訴人に代わつてその債権者に支払うことを約した債務の額と見合うものである。 したがつて、本件契約によつて控訴人において訴外Aら三名にそれぞれ前記土地の所有権持分を譲渡することを約し、訴外Aら三名 つて控訴人に代わつてその債権者に支払うことを約した債務の額と見合うものである。 したがつて、本件契約によつて控訴人において訴外Aら三名にそれぞれ前記土地の所有権持分を譲渡することを約し、訴外Aら三名においてはこれと等価性のある金銭を対価として控訴人の債権者に支払うことを約したものであり、控訴人はこれによつて訴外Aら三名に対して自己の債務を消滅させるべきことを請求する権利を取得するのであるから、本件契約は売買類似の諾成、双務の無名契約というべきであつて、それが債務の引受であれ履行の引受であれ、いずれにしてもそれによつて控訴人に譲渡所得が発生したことは明らかである。 - 3 -また、仮に本件契約が負担付贈与であるとしても、負担付贈与も所得税法三三条一項にいわゆる「資産の譲渡」に当たるものというべきであつて、控訴人は本件契約によりAら三名に対して前記土地の所有権持分を譲渡するとともに、それとの関連において訴外Aら三名に対して合計二、六〇〇万円の自己の債務を消滅させるべきことを請求する権利を取得し、資産の譲渡と因果関係のある経済的利益を得たのであるから、それが同条同項所定の譲渡所得に当たることは明らかである。 したがつて、本件処分には、なんらの違法もない。 第三証拠関係(省略)○ 理由 一控訴人の1及び2の主張事実並びに同3の主張中訴外Aら三名が昭和五二年八月二七日に受贈土地第二物件を訴外浜名湖競艇企業団に売り渡したことの事実は、当事者間に争いがない。 したがつて、本件処分の適否は、結局、訴外Aら三名が本件契約によつて控訴人の第三者に対する債務合計二、六〇〇万円を控訴人に代わつて支払うことを控訴人との間において約しこれを履行したことによつて、控訴人に長期譲渡所得にかかる二、六〇〇万円の収入が生じたものということができるかどうかにかかることが明 、六〇〇万円を控訴人に代わつて支払うことを控訴人との間において約しこれを履行したことによつて、控訴人に長期譲渡所得にかかる二、六〇〇万円の収入が生じたものということができるかどうかにかかることが明らかである。 二そこで、検討するに、所得税法三三条の定める譲渡所得課税の性質は、保有資産の値上がりによつてその所有者に帰属した増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に譲渡されたのを機に、これを清算して課税するものであつて、通常の場合には右増加益は資産の対価として具体化することになるので、右対価額をもつて譲渡所得の金額の計算上収入金額とすべき金額とすることになる(同法三六条一項参照)が、譲渡所得課税の性質が右のとおりのものである以上、同法三三条一項にいわゆる「資産の譲渡」は必ずしも右のように収入すべき金銭その他の経済的利益の対価としての受け入れを伴う有償譲渡に限られるものではなく、資産の贈与その他の無償譲渡を含むものと解するのが相当である。そして、このことは、昭和四八年法律第八号による改正前の所得税法五九条一項及び六〇条二項の規定が譲渡所得の金額の計算上収入金額とすべき金額及び控除すべき取得費について特例を定め、居住者が個人に対すると法人に対するとを問わず資産の贈与又は政令で定める著しく低い価額による譲渡(以下「低額譲渡」という)をした場合においては、譲渡人はその時に。 時価によつて資産を譲渡したものとみなして譲渡所得課税をすることとし、他方、このようにして資産の譲渡を受けた譲受人が当該資産を他に譲渡した場合においては、譲受人は右贈与又は低額譲渡の時にその時価によつて当該資産を取得したものとみなして譲渡所得課税をするものとしていた(いわゆる「みなし譲渡課税)ことに照らしても、明らかなと」ころである。 ところで、昭和四八年法律 は低額譲渡の時にその時価によつて当該資産を取得したものとみなして譲渡所得課税をするものとしていた(いわゆる「みなし譲渡課税)ことに照らしても、明らかなと」ころである。 ところで、昭和四八年法律第八号は右みなし譲渡課税の制度を改め、法人に対する贈与及(、)び低額譲渡等についてはみなし譲渡の制度を存置した所得税法五九条一項六〇条二項ものの、個人に対する贈与及び低額譲渡のうち当該対価の額が譲渡所得の計算上控除すべき取得費及び譲渡費用の額の合計額に満たないものについては、みなし譲渡課税の制度を- 4 -廃止して、その譲渡人については譲渡損がなかつたものとみなす一方、その譲受人については、その者が当該資産を移転したときの譲渡所得の計算上、その者が引き続きこれを所有していたものとみなして、譲渡人が取得した時にその取得価額で取得したものとし、いわゆる取得価額の引き継ぎによる課税の繰り延べを行うこととした(同法五九条二項、六〇条一項)ところである。そして、居住者が個人に資産を低額譲渡した場合において、当該対価の額が譲渡所得の計算上控除すべき取得費及び譲渡費用の額の合計額を超えるときは、その差額は、資産の譲渡によつて譲渡人に生じた所得として譲渡所得課税の対象となることはいうまでもない。そして、同法五九条二項にいう「対価」とは、必ずしも私法上の有償契約におけるような資産の譲渡と対価関係に立つ給付に限られるものではなく、当該資産の譲渡に起因しそれと因果関係のある給付であれば足りるものと解するのが相当であつて、売買における代金、交換において相手方に移転すべき財産権などの私法上の有償契約における反対給付のほか、無償契約に属する負担付贈与における負担についても、それが経済的な利益に当たるものであ()、(、る限りは同法三六条一項右にいう対価に き財産権などの私法上の有償契約における反対給付のほか、無償契約に属する負担付贈与における負担についても、それが経済的な利益に当たるものであ()、(、る限りは同法三六条一項右にいう対価に当たるものというべきであるしたがつて受贈者が経済的利益を給付することを付款とする負担付贈与は、同法五九条一項一号及び六〇条一項一号にいわゆる贈与には含まれないものと解すべきである。蓋し、同法三。)三条一項にいわゆる「資産の譲渡」が有償譲渡に限られず無償譲渡をも含むものであることは先に説示したとおりであり、また、有償契約における対価たる給付といい、無償契約における付款による給付といつても、その区別はあくまで当事者の意思に依拠する相対的なものに過ぎず、経済的実質に即応することが要請される租税法の解釈においてそれがそのまま妥当するものとは限らないのであつて、資産の贈与契約において経済的利益を給付することが付款とされた場合であつても、その給付が保有資産の値上がりによる増加益の具体化したものであることに変わりはない以上、これを同法五九条二項にいう「対価」から除外すべき理由はないからである。 三これを本件についてみるに、本件契約は、控訴人においてはその所有する土地を妻及び子である訴外Aら三名にそれぞれ無償で譲渡し、訴外Aら三名においては控訴人が第三者に対して負担する債務のうち合計二、六〇〇万円をそれぞれ控訴人に代わつて支払うというものであつて、控訴人は、訴外Aら三名に対して所有権移転登記を了してその履行を終え、他方、訴外Aら三名は、右土地を訴外浜名湖競艇企業団に売り渡し、約旨どおり控訴人が第三者に対して負担する債務のうち合計二、六〇〇万円を控訴人に代わつて債権者に支払つたというのであり、成立に争いがない乙第一号証の二ないし四によれば、右土地の訴外 業団に売り渡し、約旨どおり控訴人が第三者に対して負担する債務のうち合計二、六〇〇万円を控訴人に代わつて債権者に支払つたというのであり、成立に争いがない乙第一号証の二ないし四によれば、右土地の訴外浜名湖競艇企業団への売買代金額は合計一億五、六七七万七、〇四四円であつたことを認めることができるのであつて、これらの事実によれば、控訴人及び訴外Aら三名は、控訴人が右土地を訴外Aら三名に譲渡する対価として訴外Aら三名が控訴人の債務を控訴人に代わつて支払うという意思で本件契約を締結したものではないことが明らかである一方、訴外Aら三名は控訴人から譲り受けた右土地を売却してその代金をもつて控訴人の債務を弁済することを予定して本件契約を締結したものであることを推認することができ、したがつて、本件契約は、売買又はそれに類似した有償契約ではないとともに、なんら相互に関連のない二つの給付- 5 -を相互に行うことを単一の契約において約したというに過ぎないものでもなく、訴外Aら三名が控訴人の債務を控訴人に代わつて支払うことを付款とする右土地の負担付贈与契約であると解するのが相当である。また、控訴人は、本件契約によつて訴外Aら三名に対し控訴人の第三者に対する債務のうち二、六〇〇万円を控訴人に代わつて弁済するよう請求する権利を取得するのであるから、その性質が債務の引受であれ履行の引受であれ、これによつて控訴人が所得税法三六条一項及び二項にいう経済的な利益をもつて収入することになることは明らかであり、右経済的な利益の額は、右債務の額と同額の二、六〇〇万円というべきである。 そして、以上によれば、本件契約による訴外Aら三名への右土地の譲渡は、同法五九条一項二号、所得税法施行令一六九条の定める「資産の譲渡の時における価額の二分の一に満たない額」によるいわゆる低額譲渡に そして、以上によれば、本件契約による訴外Aら三名への右土地の譲渡は、同法五九条一項二号、所得税法施行令一六九条の定める「資産の譲渡の時における価額の二分の一に満たない額」によるいわゆる低額譲渡に当たる(なお、右「資産の譲渡の時における価額」、「」、は前掲相続税財産評価に関する基本通達に準拠して評価した額によるべきではなく実際の取引価額によるべきであり、本件においては、訴外浜名湖競艇企業団への売買代金、、。)。 額一億五六七七万七〇四四円をもつて右価額とすべきであることが明らかであるまた、弁論の全趣旨によつて真正に成立したものと認める乙第六号証及び弁論の全趣旨によれば、贈与にかかる右土地は、控訴人の父が昭和二七年一二月三一日以前に取得したものを控訴人が昭和四〇年三月三一日相続によつて取得したものであることが認められ、したがつて、所得税法六〇条一項及び昭和五四年法律第一五号による改正前の租税特別措置法三一条の三第一項の規定の適用により、右土地の取得費は一三〇万円となり、譲渡費用が二五九万二六七三円(ただし、第一物件及び第二物件を併せた譲渡費用である)であることは当。 事者間に争いがないところであるから、控訴人が本件契約によつて収入すべき経済的な利益の額(二、六〇〇万円)が右土地の譲渡にかかる譲渡所得の計算上控除すべき取得費及び譲渡費用の合計額に満たない場合ではないことが明らかである。 そうすると、本件契約による訴外Aら三名への右土地の譲渡は、同法六〇条一項の定める場合には該当せず、訴外Aら三名にいわゆる取得価額の引き継ぎによる譲渡所得課税の繰り延べが認められるべき余地はないのであるから、控訴人が収入すべき経済的な利益の額二、六〇〇万円と右土地の取得費及び譲渡費用との差額が右土地の譲渡による所得として譲渡所得課税の対 る譲渡所得課税の繰り延べが認められるべき余地はないのであるから、控訴人が収入すべき経済的な利益の額二、六〇〇万円と右土地の取得費及び譲渡費用との差額が右土地の譲渡による所得として譲渡所得課税の対象となることは当然のことといわなければならない。 したがつて、結局、本件契約によつて控訴人に長期譲渡所得にかかる二、六〇〇万円の収入が生じたものとして被控訴人がした本件処分にはなんらの違法もなく、その取消しを求める控訴人の本訴請求は失当というべきである。 四よつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担については行政事件訴訟法七条並びに民事訴訟法九五条及び八九条の各規定を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官西山俊彦越山安久村上敬一)別表二譲渡物件等明細表(省略)※(譲渡資産の収入金額(A(買換資産の取得価額(B(譲渡資産の取得費(譲渡)))))経- 6 -費)155、633、692円-103、751、340円-(7、781、684円+2、、)、、()、、() 673円×155 692円A-103 340円B/155、633、692円(A)原審判決の主文、事実及び理由一原告の請求を棄却する。 二訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一当事者の求めた裁判一原告 被告が原告に対して昭和五五年一月二五日付でなした原告の昭和五二年分所得税についての更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 二被告主文同旨第二当事者の主張一請求原因 原告は、昭和五三年三月一五日、昭和五二年分の所得税に関し、総所得金額をマイナス三五一六万三五六四円、分離長期譲渡所得金額を二四〇七万〇六〇三円、還付さ 主文同旨第二当事者の主張一請求原因 原告は、昭和五三年三月一五日、昭和五二年分の所得税に関し、総所得金額をマイナス三五一六万三五六四円、分離長期譲渡所得金額を二四〇七万〇六〇三円、還付されるべき税額を一〇万五七三八円とする確定損失申告書を被告に提出した。 原告が申告した昭和五二年分の分離長期譲渡所得金額二四〇七万〇六〇三円は、原告が昭和五二年八月二七日に所有地三筆(別紙物件目録記載(三)ないし(五)の土地)を売却したことによる売買代金収入一億二九六三万三六九二円から、買換資産等の取得価額一億〇三七五万一三四〇円及び必要経費一八一万一七四九円を差引いて算出したものである。 ところで、原告は、昭和五二年一月一〇日付証書により、妻訴A、長女訴外B及び次、(「」。)女訴外Cとの間で次のとおりの内容の土地所有権移転契約以下本件契約というを締結した。 (一)別紙物件目録記載(一)の土地の二分の一の共有持分を同日付でAに譲渡する。 Aは、原告の第三者に対する債務のうち一〇〇〇万円につき、原告に代わつて支払う。 (二)別紙物件目録記載(二)の土地の各二分の一の共有持分をB及びCにそれぞれ譲渡する。 B及びCは、それぞれ、原審の第三者に対する債務のうち八〇〇万円につき、原告に代わつて支払う。 そして、同年四月七日別紙物件目録記載(一)の土地につき、右(一)の契約に基づく贈与を原因とする所有権移転登記が、同年四月八日別紙物件目録記載(二)の土地につき、右(二)の契約に基づく贈与を原因とする所有権移転登記が、それぞれ経由された。 同年九月九日、原告の債務の弁済として、Aが一〇〇〇万円、Bが八〇〇万円、Cが二〇〇万円を原告の債権者に支払い、更に、Cは同様に同月一二日に四〇〇万円、同月二四日に二〇〇万円を支払つた。 - 7 - 九月九日、原告の債務の弁済として、Aが一〇〇〇万円、Bが八〇〇万円、Cが二〇〇万円を原告の債権者に支払い、更に、Cは同様に同月一二日に四〇〇万円、同月二四日に二〇〇万円を支払つた。 - 7 - 被告は、昭和五五年一月二五日、本件契約に基づくA、B及びCら第三者による弁済によつて原告が自己の債務を免れたことにつき、所得税法三三条所定の譲渡所得が発生するとの見解の下に、原告の前記申告に係る分離長期譲渡所得金額を四八四二万三九三七円に、納付すべき税額を二四六万一八〇〇円に更正し、かつ、過少申告加算税一二万八六〇〇円を賦課する決定(以下「本件処分」という)をした。 。 原告は、本件処分を不服として、昭和五五年三月一〇日、被告に対して異議申立をしたが、被告は同年六月一〇日異議を棄却する決定をしたので、同年七月八日、国税不服審判所長に対して審査請求を申立てたところ、同所長は昭和五六年六月一日、これを棄却する裁決をし、同裁決書の謄本は同月一三日に原告に送達された。 しかしながら、本件契約は負担付贈与契約であり、贈与契約の付款として特約される受贈者の負担が、法律上、贈与財産の対価と解される余地のないことは明らかであつて、本件契約によつて原告に譲渡所得が発生する理由は全くない。したがつて、本件処分は被告の誤つた見解に基づいてなされた違法な処分である。 よつて、原告は、本件処分の取消しを求める。 二請求原因に対する認否 請求原因1ないし5の事実は認める。 同6の主張は争う。 三被告の主張 本件処分の計算根拠(一)総所得金額マイナス三一五九万八〇六六円(1)事業所得金額マイナス三二三八万五九八六円(2)配当所得金額三万一九二〇円(3)給付所得金額七五万六〇〇〇円(4)譲渡所得金額〇円原告は、昭和五二年中に自 五九万八〇六六円(1)事業所得金額マイナス三二三八万五九八六円(2)配当所得金額三万一九二〇円(3)給付所得金額七五万六〇〇〇円(4)譲渡所得金額〇円原告は、昭和五二年中に自己所有の井戸と自動車二台を売却し、その売却代金から取得費及び譲渡費用の合計額を差し引いた額は、マイナス三五六万五四九八円になるところ、右譲渡による譲渡所得金額は租税特別措置法(以下「措置法」という)三一条の規定によ。 り長期譲渡所得金額と通算されるので〇となる。 (二)長期譲渡所得金額四四八五万八四三九円(1)譲渡収入金額一億五五六三万三六九二円別紙物件目録記載(三)ないし(五)の土地の譲渡収入一億二九六三万三六九二円と、同目録記載(一)及び(二)記載の土地の譲渡収入二六〇〇万円との合計額(2)取得費七七八万一六八四円別紙物件目録記載(一)ないし(五)の土地は、いずれも、原告の父が昭和二七年一二月()三一日以前に取得していたものを原告が昭和四〇年三月三一日相続単純承認に係るものにより取得したものであるから、原告が引き続き所有していたものとして(所得税法六〇条一項一号、)その取得費は措置法三一条の三第一項(昭和五四年法一五号による改正前のもの)本文。 の- 8 -規定により、収入金額の一〇〇分の五に相当する金額とされる。 (3)譲渡に要した費用二五九万二六七三円(4)原告は、措置法三七条一項一四号に規定する買換資産を一億〇三七五万一三四〇円で取得しているので、譲渡所得は、譲渡収入金額と買換資産の取得価額の差額に相当する部分についてだけ譲渡があつたものとして計算され(同法三七条、同法施行令二五条四項、別紙算式のとおり、四八四二万三九三七円となる。 )しかして、右四八四二万三九三七円と前記井戸及び自動車二台の譲渡による についてだけ譲渡があつたものとして計算され(同法三七条、同法施行令二五条四項、別紙算式のとおり、四八四二万三九三七円となる。 )しかして、右四八四二万三九三七円と前記井戸及び自動車二台の譲渡による譲渡所得金額マイナス三五六万五四九八円とを通算すれば、長期譲渡所得金額は四四八五万八四三九円となる。 (三)課税長期譲渡所得金額一二八七万六〇〇〇円長期譲渡所得金額四四八五万八四三九円から総所得金額の損失額三一五九万八〇六六円を損益通算し、更に所得控除額三八万四〇五〇円を控除して算出した金額一二八七万六三二三円から国税通則法(以下「通則法」という)一一八条一項の規定により一〇〇〇円未。 満の端数を切り捨てた額。 (四)納付すべき税額二四六万一八〇〇円原告の課税長期譲渡所得金額の百分の二〇に相当する二五七万五二〇〇円から、配当控除一五九六円(所得税法九二条、特別減税額六〇〇〇円(昭和五二年分所得税の特別減税)のための臨時措置法(以下「臨時措置法」という)四条、原泉徴収税額一〇万五七三八。 )円を控除したもの。 (五)過少申告加算税一二万八六〇〇円原告の申告による還付されるべき税額一〇万五七三八円と、原告の納付すべき税額二四六万一八〇〇円及び特別減税額六〇〇〇円(臨時措置法一二条二項)の合計金額二五七万三〇〇〇円(通則法一一八条一項の規定により一〇〇〇円未満の端数切捨て)に百分の五を乗じて算定したもの(通則法六五条、一一九条一項。 ) 本件契約をめぐる事実関係(一)原告は、訴外浜名湖競艇企業団(以下「競艇企業団」という)が経営する浜名。 湖競艇場の敷地に近接して養鰻池を所有し、養鰻業を経営する者である。 ()、、二昭和五一年末頃から昭和五二年初め頃にかけて養鰻業界は極めて業況が厳しく原告の経営する養鰻場におい る浜名。 湖競艇場の敷地に近接して養鰻池を所有し、養鰻業を経営する者である。 ()、、二昭和五一年末頃から昭和五二年初め頃にかけて養鰻業界は極めて業況が厳しく原告の経営する養鰻場においても、更に生産性を向上させるため、多額の事業資金が入用になつており、一方競艇企業団も競艇場の避難区を確保する必要があつたことなどから、昭和五二年に入、()()つて間もなく前記競艇場敷地に近接する原告所有の別紙物件目録記載一ないし五の土地を競艇企業団に売却することについて、両者の間で話が具体化し、競艇企業団は、同年二月二八日に開催された全員協議会で、原告の所有する前記土地を買収することに異議はない旨の決定をした。 (三)同年三月末頃から同年四月初め頃にかけて、同年一月一〇日付で別紙物件目録記- 9 -載(一)の土地の各二分の一の共有持分を、原告からA及び原告の長男訴外Dに贈与し、同目録記載(二)の土地の各二分の一の共有持分を、原告からB及びCに贈与する旨の贈与証書が作成されたが、A、B及びCの三名に対する贈与証書には、Aら三名が原告の第三者に対する債務合計二六〇〇万円を引き受ける旨の特約の記載があつた。 (四)本件契約により、Aが譲り受けた土地の共有持分の当時の相続税評価額は一〇〇六万六三三七円、B及びCが譲り受けた土地の共有持分の当時の相続税評価額は各八四〇万〇一二五円であつた。 (五)その後、原告は、別紙物件目録記載(三)ないし(五)の土地を競艇企業団に売却しAほか三名も本件契約に基づいて原告から譲り受けた土地の各共有持分以下本、、(「件土地」という)をいずれも競艇企業団に売却した。そして、Aら三名は、同年九月九。 日に競艇企業団から支払われた売買代金(総額一億二九六三万三六九二円)の一部を、原告が浜名湖養 本、、(「件土地」という)をいずれも競艇企業団に売却した。そして、Aら三名は、同年九月九。 日に競艇企業団から支払われた売買代金(総額一億二九六三万三六九二円)の一部を、原告が浜名湖養魚漁業協同組合及び遠州信用金庫に対して負つていた債務の一部合計二六〇〇万円の支払に充てた。 ()、、、六しかしながらAB及びCはいずれも原告と同一所帯に属していたのであつて壮健な原告とは別にAら三名が本件土地を用いて養鰻業を営む予定があつたとはうかがえず、現に営んだ事実も存しない。 そうすると、本件契約は、原告が別紙物件目録記載(一)ないし(五)の土地の全部を直接競艇企業団に譲渡することにより、多額の所得税を課されるのを回避するためになされたものと考えられる。 譲渡所得の発生の要件所得税法三三条一項は、譲渡所得を「資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする、地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。 )による所得」と定義している。右規定によれば、譲渡所得の要件は(1)資産の譲渡、が存在すること(2)所得が存在すること(3)資産の譲渡と所得との間に因果関係が、、存在することの三点であることが明らかである。 譲渡所得に対する課税は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、これを清算して課税する趣旨のものであるから、右規定にいう「資産の譲渡」とは、有償無償を問わず資産を移転させるいつさいの行為をいうものと解すべきである(最高裁判所昭和五〇年五月二七、)。 、、日第三小法廷判決民集二九巻五号六四一ページしたがつて売買はもちろんのこと交換、贈与、代物弁済、物 させるいつさいの行為をいうものと解すべきである(最高裁判所昭和五〇年五月二七、)。 、、日第三小法廷判決民集二九巻五号六四一ページしたがつて売買はもちろんのこと交換、贈与、代物弁済、物納、競売、公売、収用、財産分与、負担付贈与等あらゆる資産移転行為がこれに含まれる。 また、右規定にいう「所得」とは、暦年中に発生した経済的利益をいうものと解すべきであり、支出すべき失費を免れる場合のように消極的に財産的不利益を免れる場合もこれに含まれる。 - 10 -なお、所得金額の計算の通則につき、所得税法三六条一項は「その年分の各種所得の計、算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする」と。 規定して、金銭以外の物又は権利その他の経済的な利益も所得金額の計算上収入金額とすべき旨を定めている。 更に、資産の譲渡と所得との間の因果関係とは「あれ無ければ、これ無し」といわれ、。 るような連鎖関係(端的にいえば牽連性)をいうものであるが、特に租税法においては、応能負担の原則及び平等負担の原則が重要であるから、資産の譲渡と所得との牽連関係の有無は、単なる当事者の主観的意図によつてではなく、その経済的な実態を斟酌したうえで客観的に判断されるのである。けだし、経済的に同一の効果を収める行為に対する課税関係が当事者の主観的意図によつて異なる結果となることは、到底容認することができないからである。 したがつて、納税義務者が資産の譲渡に関連して取得した経済的利益は、所得税法三三条一項所定の譲渡所得に該当するのである。 本件契約による譲渡所得の発生(一)本件 ることができないからである。 したがつて、納税義務者が資産の譲渡に関連して取得した経済的利益は、所得税法三三条一項所定の譲渡所得に該当するのである。 本件契約による譲渡所得の発生(一)本件契約には、前記のとおり、原告が負担する債務のうち、一〇〇〇万円をAが、各八〇〇万円をB及びCが負担する旨、、の特約が付されているところAら三名がそれぞれ負担することになつた原告の債務額は本件契約によりAら三名がそれぞれ譲り受けた土地の共有持分の相続税評価額にほぼ見合つている。このことは、とりもなおさず、前記特約によるAら三名の合計二六〇〇万円の負担が、本件土地の所有権移転の対価であつたことを示している。 (なお、Aら三名は、譲り受けた土地の共有持分の相続税評価額と前記特約による負担額との差額が、いずれも贈与税の基礎控除額である六〇万円(相続税法二一条の五)以下で、、。)、、あつたため土地の共有持分の取得につき贈与税の負担を免れたまたAら三名はCが九月二四日に支払つた二〇〇万円を除き、いずれも本件契約が成立した日以後に新たに発生した原告の債務について、原告に代わつて支払をしており、前記特約中で意味を有するのは、Aら三名が原告のために特約に定められた額の金銭を支払うということに尽きる。そうだとすれば、Aら三名は、原告から本件土地の譲渡を受ける代わりに、原告に対して一定額の金員の支払を約したものといわざるを得ず、このことはまた、Aらの支払つた二六〇〇万円が本件土地の譲渡の対価そのものであつたことを示している。 したがつて、本件契約は、原告がAら三名に対して本件土地を譲渡し、他方、Aら三名が原告に対して本件土地と等価性のある金銭の支払を約する趣旨の契約であると評価できるから、売買類似の諾成、双務の無名契約とみるべきであり、これにより、 Aら三名に対して本件土地を譲渡し、他方、Aら三名が原告に対して本件土地と等価性のある金銭の支払を約する趣旨の契約であると評価できるから、売買類似の諾成、双務の無名契約とみるべきであり、これにより、原告に譲渡所得が発生することは明らかである。 (二)(1)本件契約が負担付贈与契約であるとしても、負担付贈与も資産の移転であるから所得税法三三条一項の「資産の譲渡」にあたり、また、原告は、本件契約により、- 11 -Aら三名に対し、合計二六〇〇万円の自己の債務を消滅させることを請求する権利を取得して二六〇〇万円に相当する経済的利益を得ているから右資産の移転と因果関係のある「所得」の存在を認めることができる。 したがつて、右所得が同項所定の譲渡所得にあたることは明らかである。 (2)なお、同法五九条一項は、いわゆる「みなし譲渡課税」を行うことを規定してい、、「」、るがこれは同法三三条にいう資産の譲渡に無償譲渡が含まれることを前提としてただ、無償譲渡の場合には、収入すべきものがないため、当該譲渡が時価によつてされたものとみなして総収入金額に算入すべき金額を算定すべき旨を定めたもの、すなわち、総収入金額に算入すべき金額を擬制したものと解されるのであつて、個人に対する贈与については一切課税しない趣旨の規定ではない。 (三)原告は、Aら三名は原告の第三者に対する債務の履行を引き受けたに過ぎないから、本件土地の譲渡とAらが支払を約した二六〇〇万円とは対価関係になく、また原告に所得が生ずる余地はない旨主張するけれども、履行の引受であれ債務の引受であれ、本件、、契約においてAらが本件土地の譲渡を受ける代わりに二六〇〇万円の出損を約した以上本件土地の譲渡と右二六〇〇万円の出絹とは対価関係にあるというべきであり、また、原告は二六〇〇万円 であれ、本件、、契約においてAらが本件土地の譲渡を受ける代わりに二六〇〇万円の出損を約した以上本件土地の譲渡と右二六〇〇万円の出絹とは対価関係にあるというべきであり、また、原告は二六〇〇万円に相当する経済的利益を得たというべきである。 なお、所得税法は、所得の発生時期に関し、いわゆる権利確定主義を採つたものと解されており、また、一般に、譲渡資産の引渡しがあつたときには権利が確定して所得が実現したとみるのが通説であるところ、本件契約に基づく本件土地についての移転登記手続は、Aに対する関係では昭和五二年四月七日に、B及びCに対する関係では同月八日にそれぞ、。 れ完了しているから原告のAらに対する債権は右同日に確定したものというべきである 以上のとおり、本件契約によつて原告に二六〇〇万円の譲渡収入が生じたとの認定に基づいて被告が行つた本件処分は適法である。 四被告の主張に対する原告の認否及び反論 被告の主張1について(一)被告の主張1(一)の総所得金額の項のうち(1)ないし(3)の金額は認め、るが、同(4)の金額は争う。同(4)の譲渡所得の金額はマイナス三五六万五四九八円である。 ()()、()()二同1三の長期譲渡所得金額の項のうち別紙物件目録記載三ないし五、()、の土地についての譲渡収入金額取得費及び譲渡に要した費用の額及び同目録紀載一(二)の土地の譲渡について譲渡所得の課税が行われるとすれば、その取得費が被告主張額のとおりになることは認めるが、その余は争う。 (三)同1(三)の課税長期譲渡所得金額の項のうち、所得控除額が三八万四〇五〇円であることは認めるが、その余は争う。 (四)同1(四、同1(五)の納付すべき税額、)過少申告加算税の金額は争う。 被告の主張2について 譲渡所得金額の項のうち、所得控除額が三八万四〇五〇円であることは認めるが、その余は争う。 (四)同1(四、同1(五)の納付すべき税額、)過少申告加算税の金額は争う。 被告の主張2について(一)被告の主張2(一)の事実は認める。 - 12 -(二)同2(二)の事実は知らない。 (三)同2(三)の事実は、贈与証書が昭和五二年三月末頃から同年四月初め頃にかけて作成されたとの点を除き、認める。 (四)同2(四)の事実は明らかには争わない。 (五)同2(五)の事実は認める。 (六)同2(六)後段の主張は争う。 本件契約が、売買類似の諾成、双務の無名契約である旨の被告の主張について本件契約は、原告がAら三名に本件土地を贈与するに際し、特約をもつて、原告の第三者に対する債務の一部についてAら三名が履行の引受をすることを約したいわば典型的な負担付贈与契約であるから、右契約が売買類似の無名契約である旨の被告の主張は失当である。 Aらは、特約により、原告の債務合計二六〇〇万円を支払う旨の負担を負うことになつたが、これは、Aらが、原告の債務の履行を引き受けたものに過ぎず、原告の債権者との関係では、右契約後も依然として原告が債務者であり、また、仮にAらが特約上の義務を履行しなかつたとしても、右契約による本件土地の所有権移転の効果には消長を来たさないのであるから、Aらが特約により負うことになつた負担をもつて、本件土地所有権移転の対価とみることはできない。 また、被告は、本件土地の各相続税評価額と特約によるAらの各負担額とがほぼ一致することを、前記主張の根拠として挙げているが、相続税評価額は、相続、遺贈、贈与により個人が取得した財産の課税価格を算定するためのもので、通例、市場価格の二割前後になつており、現に、Aらの各負担額は、競艇企業団への本件 の根拠として挙げているが、相続税評価額は、相続、遺贈、贈与により個人が取得した財産の課税価格を算定するためのもので、通例、市場価格の二割前後になつており、現に、Aらの各負担額は、競艇企業団への本件土地の売却代金額の一割七分に過ぎないから、本件契約において、Aらが本件土地と等価的な負担を負つたとみることはできない。 本件契約が負担付贈与契約であるとしても、本件契約により原告に譲渡所得が発生する旨の被告の主張について所得税法三三条一項の「資産の譲渡」とは、有償譲渡を意味し、同項の「所得」とは、資産の譲渡と対価関係にあるもの(典型は売買代金の収入による所得)を意味すると解すべきである。そして、負担付贈与契約における負担は、契約当事者において主観的対価関係に立つものではなく、負担付贈与も無償の譲渡であると解されているから、負担付贈与の負担は同項の所得にあたらない。 また、本件契約によつて、本件土地の所有権は原告からAら三名に移転するが、原告の債務は消滅しないのであるから、いかなる意味においても原告に所得が生ずる余地はない。 同法五九条は、法人に対する贈与、法人に対する遺贈等による譲渡所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時価に相当する金額により、資産の譲渡があつたものとみなすと規定しているが、このような明文の規定のない限り、無償譲渡の場合には同法三三条一項の適用の余地はないと解すべきである(法人に対する贈与について特別の規定が設けられたのは、この時点で課税しないと、以後永久に所得税の課税の機会が得られない場合が予想されるからにすぎない。 。)また、被告の引用する最高裁判所昭和五〇年五月二七日第三小法廷判決にいう「無償」とは、代価の現実の支払がなくても、権利の移転が債務の消滅と表裏一体の関係にあり、そ- 13 -の意味にお 。 。)また、被告の引用する最高裁判所昭和五〇年五月二七日第三小法廷判決にいう「無償」とは、代価の現実の支払がなくても、権利の移転が債務の消滅と表裏一体の関係にあり、そ- 13 -の意味において対価性が十分に認められる場合に自ら限定して理解すべきである。 所得税法上、昭和三七年から昭和四八年の改正までは、贈与又は低額譲渡により個人の資産の移転があつた場合には、その時における価額で譲渡があつたものとみなして譲渡所得、、課税を行うことを原則としながらもこの適用を受けない旨の明細書を提出した場合には贈与者等の取得価額を引き継ぐことによつて課税の繰り延べを行うこととしていた。ところが昭和四八年の改正によつて、右の「みなし譲渡課税」は廃止され、法人に対するものを除き、すべて取得価額の引継ぎによる課税の繰り延べが認められるように改められた。 右改正前の同法五九条一項一号の贈与に負担付贈与が含まれることは明白であるところ、右改正の趣旨及び法文の構成から判断して、個人間の贈与の概念は右改正の前後を通じて全く変わらないはずであるから、改正後の同法六〇条一項一号の贈与の概念には、すべての贈与が包含されると解すべきである。 したがつて、改正後の右規定により、負担付贈与も含め、個人に対する贈与がなされた場合にはすべて取得価額の引継ぎによる課税の繰り延べが認められることになつたから、贈与者に対する譲渡所得の課税の余地はなくなつたと解すべきである。 第三証拠(省略)○ 理由 一請求原因1、2及び同4、5の各事実(本件訴訟に至る経過、請求原因3及び被告)の主張2(一、)同2(三(但し、贈与証書が昭和五二年三月末頃から同年四月初め頃にかけて作成され)た、との点を除く、同2(五)の各事実(本件土地の譲渡の経緯等)は、いずれも当事者。)間に争いが (一、)同2(三(但し、贈与証書が昭和五二年三月末頃から同年四月初め頃にかけて作成され)た、との点を除く、同2(五)の各事実(本件土地の譲渡の経緯等)は、いずれも当事者。)間に争いがない。 二そこで、被告が、本件契約によつて原告に譲渡所得が生じたとして、行つた本件処分の適否について検討する。 (一)本件契約の法律的性質について原告は、本件契約が負担付贈与契約であると主張するのに対し、被告は、これを売買類似の諾成、双務の無名契約であると主張するので、まず、この点について検討するに、本件契約締結の際に作成された乙第六号証添付の贈与証書(弁論の全趣旨により、真正に成立したものと認められる)中に、原告がAら三名に対して本件土地を無償で贈与する旨の。 記載があること、本件契約は、原告とその妻A、長女B及び次女Cとの間で締結されたものであること、前記贈与証書中の特約によつてAら三名が負担することになつた原告の債務の額(総額二六〇〇万円)は、Aらが本件土地を競艇企業団に売却した代金の額(総額一億二九六三万三六九二円)と大きく隔つていること等からすれば、原告による本件土地の譲渡とAらが負担した債務の履行とが、私法上対価関係にあるとは認められないから、本件契約は負担付贈与契約であると認めるのが相当であり、右認定を左右するに足りる証拠はない。 (二)本件契約による譲渡所得の発生について- 14 -所得税法三三条一項の「資産の譲渡による所得」に対する課税は、保有資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益(キヤピタル・ゲイン)を所得として捉え、右値上り益が発生する毎にこれを評価して課税することは実際上の困難を伴うこと等から、当該資産が所有者の支配を離れて他に移転する機会に、それまでの当該資産の値上り益に対して一括して課税する趣旨 捉え、右値上り益が発生する毎にこれを評価して課税することは実際上の困難を伴うこと等から、当該資産が所有者の支配を離れて他に移転する機会に、それまでの当該資産の値上り益に対して一括して課税する趣旨のものであり、同項の「譲渡」には有償譲渡のみならず無償譲渡も含まれると解すべきである(最高裁判所昭和四七年一二月二六日第三小法廷判決民集二六巻一〇号二〇八三頁、同昭和五〇年五月二七日第三小法廷判決民集二九巻五号六四一頁。 )譲渡所得の金額は、同法三三条三項各号所定の譲渡所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費、その資産の譲渡に要した費用及び譲渡所得の特別控除額を控除した金額とされる(同条三項)が、右総収入金額には、所得金額の計算の通則を定める同法三六条一項の規定により、金銭のほか「物又は権利その他経済的な利益」も金銭的評価が可能な利益である限り含まれる。 そこで、これを本件についてみれば、原告が本件土地をAら三名に贈与する旨の昭和五二年一月一〇日付贈与証書中には、特約として、Aら三名が原告の第三者に対する債務金の内金合計二六〇〇万円を引き受ける旨の記載があり、同年四月七日には原告からAへ、同月八日には原告からB及びCへ、いずれも贈与を原因とする前記土地所有権移転登記が経由され、Aら三名は、同年九月一日から同月二四日までの間に原告の第三者に対する債務の弁済として合計二六〇〇万円を支払つたものであるところ、右の事実関係によれば、原告は、本件契約の成立により、Aらに対して、原告の第三者に対する債務のうち合計二六〇〇万円分につき、原告に代わつて弁済することによりこれを消滅させるよう請求しうる権利を取得したものと認められる(なお、原告の右権利は、原告からAらへの右所有権移転登記が経由されたことによつて確実なものになつたということができる て弁済することによりこれを消滅させるよう請求しうる権利を取得したものと認められる(なお、原告の右権利は、原告からAらへの右所有権移転登記が経由されたことによつて確実なものになつたということができる。 。)そして、右権利の取得は、贈与契約における附款として受贈者が負担したことによるものであるから、本件土地の譲渡と因果関係のある経済的利益であることが明らかであり、同法三三条による課税の対象となる所得にあたると解すべきである(この意味では、負担付贈与は、私法上は無償契約の範疇に属するが、所得税法上は、その負担が経済的利益に関わらないものを除き、原則として、資産の譲渡により譲渡者に収入すべき金銭その他の経済的利益があるもの、すなわち、有償譲渡にあたるということができる。 。)また、被告は、本件土地の譲渡による所得に係る原告の総収入金額を二六〇〇万円と認定したうえ、本件処分を行つたものであるが、原告は、本件契約により、自己の債務二六〇〇万円を免れたのと同様、二六〇〇万円に相当する経済的利益を取得したものと認められるから、被告の右認定は相当というべきである。 (三)所得税法五九条、六〇条について原告は、所得税法五九条が、法人に対する贈与、低額譲渡等の場合における譲渡所得の金額の計算について、譲渡事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、資産の譲渡があつたものとみなす旨規定していることを根拠に、このような明文の規定がない限り、無償譲渡の場合には同法三三条一項の適用の余地はないと解すべきである旨主張する。 しかしながら、同法五九条は、同法第二編第二章第二節第五款の資産の譲渡に関する総収- 15 -入金額等の計算の特例に関する規定中に位置していることからも明らかなように、同法三三条一項所定の譲渡所得に対する課税が保有資産の値上りに 第二編第二章第二節第五款の資産の譲渡に関する総収- 15 -入金額等の計算の特例に関する規定中に位置していることからも明らかなように、同法三三条一項所定の譲渡所得に対する課税が保有資産の値上りによる増加益に対する課税であり、同項の「譲渡」には無償譲渡も含まれることを前提としながら、課税の公平や爾後譲渡所得に対する所得税課税の機会がなくなること等を考慮して、譲渡所得に係る総収入金額の計算のため同条三項の特別を定めた規定にすぎないと解すべきである。そして、同法五九条一項一号は、単純贈与や相続の場合のように、資産を移転する者の側に収入すべき金銭その他の経済的利益が全くない場合には、同法三六条一項、二項の規定により、譲渡、、所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は零になるところこのような場合でも当該資産の移転が同法五九条一項一号所定の事由によるときは、時価によつて資産が譲渡されたものとみなして、総収入金額に算入すべき金額を算定すべきことを定めたもの、すなわち、総収入金額に算入すべき金額を擬制した規定であり、また同項二号は、法人に対して著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡がなされた場合にも、これと同様に、時価によつて資産が譲渡されたものとみなして総収入金額に算入すべき金額を算定することを定めた規定であつて、本件の場合のように、同条一項各号に該当しない事由による資産の譲渡がなされた場合には、原則に立ち帰つて、同法三三条三項、三六条の規定によつて所得金額が計算されることになるのであるから原告の右主張は失当であるな、(お、同法五九条二項に該当する譲渡がなされた場合、すなわち、著しく低い価額の対価として政令で定める額による個人から個人への譲渡で、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費及び譲渡に 条二項に該当する譲渡がなされた場合、すなわち、著しく低い価額の対価として政令で定める額による個人から個人への譲渡で、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費及び譲渡に要した費用の合計額に満たない場合には、累進税率を採用する所得税法の下における馴れ合い譲渡による譲渡損失を否認する趣旨から、譲渡者に対する課税を行わず、取得価額の引継ぎによる課税の繰延べを行うこととされているが、右規定の存在自体、所得税法三三条三項及び三六条一、二項と五九条との関係に関する前記説示の正当性を裏付けるものであるうえ、原告からAらへの本件土地の譲渡においては、原告が収入すべき金額は、原告の譲渡所得の金額の計算上控除する取得費及び譲渡に要した費用の合計額を上回つているから、同法五九条二項に規定する譲渡に該当しない。 。)更に、原告は、昭和四八年の改正後における同法六〇条一項一号の「贈与」には負担付贈与も含まれ、個人に対する贈与がなされた場合には、それが単純贈与であるか負担付贈与であるかにかかわらず、すべて取得価額の引継ぎにより課税が繰り延べられるのであるから、贈与者に対する譲渡所得の課税の余地はない旨主張する。 しかしながら、同号は、個人に対する贈与等による資産の移転があつた場合、移転者側に収入すべき金銭その他の経済的利益が全くない場合にまで、保有資産の値上りによる増加益を所得と捉えて、これに対する課税を行うことは納税者の理解を得難い面もあるので、このような場合には、譲渡人に対して直ちに課税せず、譲受人が更に当該資産を譲渡したときに、一括して資産の増加益に対する課税を行うことを前提にしながら、譲受人の譲渡、、所得金額の計算の際譲受人が前所有者の取得費を引き継ぐことを認めた規定であるから同号の贈与は贈与者側に収入すべき金銭その他の経 資産の増加益に対する課税を行うことを前提にしながら、譲受人の譲渡、、所得金額の計算の際譲受人が前所有者の取得費を引き継ぐことを認めた規定であるから同号の贈与は贈与者側に収入すべき金銭その他の経済的利益が全くない単純贈与負「」、(担付贈与であつても、受贈者の負担が、贈与者に対して、金銭その他の経済的利益を全くもたらさないものを含む)だけを意味すると解すべきであり、本件のように贈与者側に。 「収- 16 -入すべき金額」が生じる負担付贈与は、これを含まないものというべきであるから、原告の右主張も失当である。 三以上の次第で、被告が、本件契約による原告の譲渡所得に係る総収入金額を二六〇〇万円と認定したことは正当であり、他に本件処分を違法とすべき理由はない。 四よつて、原告の請求は理由がないから、これを棄却することにし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 別紙物件目録(省略)算式1億5563万3692円-1億0375万1340円-(778万1684円+259万2673円)×1億5563万3692円-1億0375万1340/1億5563万3692円=4842万3937円

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