【DRY-RUN】主 文 本件上告及び附帯上告はいずれも之を棄却する。 上告費用は上告人の負擔とし、附帯上告費用は附帯上告人の負擔とす る。 理 由 上告理由及び附帯
主文 本件上告及び附帯上告はいずれも之を棄却する。 上告費用は上告人の負擔とし、附帯上告費用は附帯上告人の負擔とする。 理由 上告理由及び附帯上告理由は、それぞれ、別紙上告理由書及び附帯上告理由書に記載してある通りである。 上告理由第一點に對する判断地上權の存續期間について、登記簿上「無期限」と云う記載がある場合には、反鐙がないかぎり、その地上權を存續期間の定のない地上權と解するのが相當であることは、すでに大審院判決(昭和十五年六月二十六日言渡同年(オ)第一八〇七号事件判決)が示す通りである。したがつて、たとえ(イ)本件土地に設定された地上権が永久の地上権であり、その意味を表わすため登記簿上「無期限」と記載され、また最初の地上權者から上告人に、上告人から被上告人に、それぞれ本件地上權が賣買された際にも、常に永久の地上權として取引された事實があり、(ロ)本件土地が、その競売手續において、永久の地上權附のものとして、最低競賈價格を一坪金五十圓と評價された事實があり、(ハ)訴外Aが右競賈において本件土地を一坪金百圓の割合で競落した事實があり、また(ニ)本件土地が東京都中大區(舊京橋區)ab丁目c番地ノdと云う東京都の繁華街にあるとしても、かような事實だけで、訴外Aが本件土地に設定された地上權が永久の地上權であることを承認して、本件土地を競落したものだと認定しなければならないものではない。蓋し、右(イ)の事實は競落人たるAが當然知り得たものだと云うことができないのは勿論、(ロ)の事實中本件土地が永久の地上權附のものとして評價された事實もまた同人が當然知り得たものと云うことはできない。また一坪五十圓と云う評償が本件土地の位置に比較して低額であると云ひ得るとしても、土地の評價はその負擔する が永久の地上權附のものとして評價された事實もまた同人が當然知り得たものと云うことはできない。また一坪五十圓と云う評償が本件土地の位置に比較して低額であると云ひ得るとしても、土地の評價はその負擔する地上權等の存續期間ばかりではなく、その地代の多寡(原審の認定によれば本件地上權の地代は全部で一ケ月金三圓七十一銭である)その他諸般の事情を斟酌してなされるのが普通であるから、評價が低額であると云うことだけで、Aが本件地上權が永久の地上權であることを承認したものと推定することはできない。また右(ハ)及び(ニ)のような事實からも、かような推定を下し得ないことは云うまでもない。したがつて原審が、以上の事實を認定し又は成立に争のない甲第十號證の二、同第十四號證によつて認定すべきものであつたとしても、訴外Aが本件地上權が永久の地上權であることを承認して本件土地を競落したものとは認定できないとしたことを以て、論旨で云うような違法があるものと云うことはできない。論旨は要するに、原審が適正にした事實認定を、上告人獨自の見解によつて非難するものであつて、到底採用することはできない。 上告理由第二點に對する判断原審が、本件地上權設定登記の「無期限」の記載を、反證のないかぎり、「期限の定のない」と云う趣旨に解するのが相當であると云う見解を終始維持してきたことは、原判決を通覧すれば、容易に了解できるのであつて、ただ原審が被上告人において右「無期限」の記載をどう解したか、その解釋に過失があつたかどうかを認定するについて、「無期限」と云う語は通常の用語例としては「永久」の意味にも解し得られないこともなく、またこの意味に使用される事例も絶無とは云えないと説明したのにすぎないのであつて、「無期限」の記載を「永久」の意見に解するのが通例であると説明したのでないことは、論 味にも解し得られないこともなく、またこの意味に使用される事例も絶無とは云えないと説明したのにすぎないのであつて、「無期限」の記載を「永久」の意見に解するのが通例であると説明したのでないことは、論旨の冐頭に引用してある原判文を精讀すれば解ることである。したがつて原判決には、論旨で云うような理由齟齬の違法はない。而して右「無期限」の記載を反鐙のないかぎり「期限の定のない」と云う趣旨に解するのが相當であることは、理由第一點で説明した通りであつて、一部學者の著書に論旨で云うような用語例があるからと云つて、この見解を左右することはできない。本論旨もまた理由がない。 附帯上告理由第一點に對する判断<要旨>賣買の目的物に隠れた瑕疵があり、賣主になんら過失その他有責原因がない場合に、賣主が民法第五百七十</要旨>條及び同第五百六十六條の規定によつて買主に對して負擔する損害賠償義務の範圍は、買主が負擔した代金額から賣買契約締結當時における(その後瑕疵が減少したような場合は格別、そうでない場合はこの時を標準とすべきである)瑕疵ある目的物の客観的取引價格を控除した残額に制限せられるのが相當である。蓋しこの場合の賣主の擔保責任は、賣主の債務不履行その他の義務違反又は特別の擔保契約によるものではなく、賣買は元來目的物に關する原始的一部不能によつて全部若しくは少くとも一部の無効を來たし、賣主にはならん責任がない筈であるが、買主が目的物について瑕疵がないものとしての對價的出捐をしている關係上、衡平の観念に基いて買主を保護するために、法律が特に認めた無過失責任であるから、その損害賠償義務の範圍についても、一般債務不履行による損害賠償義務の範圍を定めている民法第四百十六條の規定に従わなければならないものではなく、右賣主の擔保責任が認められる趣旨に従つて合理的に判 ら、その損害賠償義務の範圍についても、一般債務不履行による損害賠償義務の範圍を定めている民法第四百十六條の規定に従わなければならないものではなく、右賣主の擔保責任が認められる趣旨に従つて合理的に判断して、かような制限を設けるのが相當だからである。民法第五百六十六條が損害賠償の範圍について、明文を以てなんらの制限を設けていないことを理由として、この場合の損害賠償も、目的物に瑕疵が存しなかつたら買主が得たであらう利益を標準として、民法第四百十六條の規定に従つて算定すべきであると云う附帯上告人の主張は採用することができない。尤も以上のように解するときは、賣主が支拂わなければならない損害賠償の額は、實質的には代金減額と差異がないこととなつて、第五百六十六條が代金減額と云わずに損害賠償と云つていることに反するようにみえるが、第五百七十條及び之によつて準用せられる第五百六十六條の場合は、賣買の目的物に量的不足が存する第五百六十三條又は第五百六十五條の場合と異つて、質的な目的物の瑕疵又は欠缺の「割合ニ應シテ代金ノ減額」を数字的に定めることが困難であると云う見方によつて、「代金減額」の字句を避けたのにすぎないものと解せられるから、かような字句の末に捉われて合理的な判断を抛擲しなければならないものではない。また第五百六十六條第一項を第五百七十條の場合に準用するについて、賣主に過失のないときは、原判決が説明している通り、目的物の瑕疵のため買主が契約を爲した目的を達することができない場合は、買主は契約を解除して原状回復を請求することができるが、その他の場合には前記のような損害賠償を請求することができるにすぎないものと解して、少しも不都合な結果を生ずるものではない。賣主の擔保責任はその種類態様が一様ではないから、擔保責任に關する民法の規定を適用するについて のような損害賠償を請求することができるにすぎないものと解して、少しも不都合な結果を生ずるものではない。賣主の擔保責任はその種類態様が一様ではないから、擔保責任に關する民法の規定を適用するについては、各場合に應じた合理的判断を爲すべきであつて、論旨で云うように、各條文の字句を比較して、その統一的意義を求め、これを解釋の標準とすることを以て滿足すべきではない。原審の判断は右當裁判所の見解と同一趣旨に出るものであつて、法律の解釋適用を誤つた違法はなく、これと所見を異にする本論旨は採用することができない。 附帯上告理由第二點に對する判断地上權の存續期間が満了する前に、地上權者が土地所有者から建物収去土地明渡の訴訟を提起されたからと云つて、該地上權の存續期間満了當時の價格が皆無であるものと認定しなければならないものではない。蓋し訴訟の推行中に和解又は調停が成立して地上權者が引續いてその土地を使用できるようにならないものとは限らないし、その他地上權が存在していたことを前提として特別の利益を得られないとも限らないからである。従つて本件地上權の存續期間満了の時である昭和十四年五月二十二日以前に本件土地の競落人である訴外Aから地上權者である附帯上告人に對して所論のような建物収去土地明渡の訴訟が提起されていたとしても、原審が右期間満了當時の本件地上權の價格を皆無としないで、論旨に引用してある通りの認定をしたことを以て直ちに違法であると云うことはできない。また原審は訴外Aと附帯上告人との間に成立した和解契約の内容を考慮し、鑑定人Bの鑑定の結果を斟酌して、本件地上權の賣買當時の相當價格を認定したものであつて、その詳細な理由は論旨に引用してある原例文を讀めば容易に解るのであり、それ以上の説明を附加しなければならないものではない。されば右原審の事實認定には 地上權の賣買當時の相當價格を認定したものであつて、その詳細な理由は論旨に引用してある原例文を讀めば容易に解るのであり、それ以上の説明を附加しなければならないものではない。されば右原審の事實認定には所論のような經験則背反又は審理不言等の違法はなく、論旨は採用できない。 附帯上告理由第三點に對する判断原審がその理由前段において、論旨の冐頭に引用してある通り説明しているのは、原審が民法第五百七十條及び第五百六十六條の決意を説明するに當つて、これらの法條の場合には損害賠償と云う方法が採られ、代金減額と云う方法が採られなかつたのは、同條の場合には瑕疵が質的に存し、量的不足の場合のように代金の割合から算術的に代金減額をすることが性質上不能又は困難であらうことに着眼して損害賠償とされたものと解するのが相當であり、両者が本質を異にするものとは認め難いと説示したのであつて、「代金の割合から算術的に代金減額をすることが性質上不能又は困難であらう」と云つたのは、單に立法者の意思を推測説明したのにすぎないのであつて、これら法條の場合には代金減額の割合を算定することが不能又は困難であると判示したのでないことは原判文上明かであるから、理由後段において論旨に引用してある通りの判示があつても、前後の判示は矛盾するものでなく、原判決には所論のような理由齟齬の違法はない。本論旨もまた採用することができない。 以上説明した通り、本件上告及び附帯上告はいずれも理由がないから、民事訴訟法第三百九十六條、第三百八十四條、第九十五條、第八十九條によつて主文の通り判決する。 (裁判長判事箕田正一判事大野璋五判事柳川昌勝判事渡邊葆判事二宮節二郎) 長判事箕田正一判事大野璋五判事柳川昌勝判事渡邊葆判事二宮節二郎)
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