平成20(少コ)3509 解約予告不足金請求事件

裁判年月日・裁判所
平成21年2月20日 東京簡易裁判所 その他
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判決文本文3,440 文字)

- 1 -平成21年2月20日判決言渡東京簡易裁判所平成20年(少コ)第3509号解約予告不足金請求事件少額訴訟判決主文 被告らは原告に対し,連帯して,金7万2000円及びこれに対する平成21年1月8日から支払済みまで年14.6パーセントの割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用はこれを6分し,その1を被告らの連帯負担とし,その余を原告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求の趣旨被告らは原告に対し,連帯して,金43万2000円及びこれに対する平成21年1月8日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年36.5パーセントの割合による金員を支払え。 第2事案の概要 請求原因の要旨( )原告は,被告らとの間で,平成18年7月15日,下記のとおり賃貸借契 (「」。),。 約以下本件契約というを締結し被告Aに対し本物件を引き渡した被告Bは原告に対し,被告Aの本件契約上の債務につき書面により連帯保証した。 記物件所在地東京都杉並区ab丁目c番d号Ce号契約期間平成18年7月15日から2年間(2年ごとの自動更新)- 2 -賃料月額7万2000円(共益費3000円を含む)遅延損害金年36.5パーセント解約被告Aが賃貸借期間中に解約する場合は,次の区分に応じた予告期間を置かなければならない。ただし,予告に代えて予告期間分の賃料・共益費を原告に支払い即時解約することができる。 9・10・11月に解約通知する場合3ヵ月12・1月に解約通知する場合1ヵ月2・3・4・5月に解約通知する場合9ヵ月6・7・8月に解約通知する場合6ヵ月( )被告Aは原告に対し,平成20年8月上旬頃,本件 約通知する場合3ヵ月12・1月に解約通知する場合1ヵ月2・3・4・5月に解約通知する場合9ヵ月6・7・8月に解約通知する場合6ヵ月( )被告Aは原告に対し,平成20年8月上旬頃,本件契約の即時解約を通知 した。 (3)よって,原告は被告らに対し,賃料・共益費の6ヶ月分である43万2000円(7万2000円×6)及びこれに対する平成21年1月8日から支払済みまで年36.5パーセントの割合による金員の支払を求める。 被告らの主張の要旨( )被告Aが本契約書に署名押印したことは認めるが,被告Aが契約時に解約 予告期間について説明を受け,承諾書に署名押印したことは争う。承諾書は原告が勝手に作成した偽造書面である。 ( )仮に解約予告期間及び違約金の合意が成立したとしても,本件のような賃 貸借契約においては,賃借人が契約期間内に解約する場合の予告期間は30日,違約金額は賃料の30日分とするのが通常であるが,本件契約の解約予告期間・違約金額は解約予告する月によってまちまちであるなど,賃借人の解約権を不当に制約するものであり,消費者契約法10条に反して無効であるだけでなく,公序良俗にも反し無効である(民法90条。 )(3)遅延損害金利率は,消費者契約法9条2号により14.6パーセントを超える部分は無効である。 第3当裁判所の判断- 3 - 被告らが本件契約書(甲1)に署名押印し,原告及び被告らの間で本件契約が締結され,これが合意により更新されたことは,当事者間に争いがない。本件契約書第19条には,原告主張の解約予告期間及び違約金の記載がある。 また,本件契約書(甲1)の被告Aの署名押印と承諾書(甲2)の署名押印とは同一のものと認められ,いずれも被告Aが署名押印したものと認めるのが相当であり,被告Aは本件解約予告 及び違約金の記載がある。 また,本件契約書(甲1)の被告Aの署名押印と承諾書(甲2)の署名押印とは同一のものと認められ,いずれも被告Aが署名押印したものと認めるのが相当であり,被告Aは本件解約予告期間及び違約金の定めについて,一応の説明を受けたものと推認するのが相当である。したがって,原告及び被告らの間で解約予告期間及び違約金についての合意が成立したと認められる。 本件契約は,事業者たる原告と一般消費者である被告らとの間の消費者契約に該当する(消費者契約法2条3項,一般の居住用建物の賃貸借契約である。 )賃貸借契約において,賃借人が契約期間内に解約する場合の解約予告期間及び予告に代えて支払うべき違約金額をどのように設定するかは,原則として契約自由の原則にゆだねられると解される。しかし,その具体的内容が賃借人に一方的に不利益で,解約権を著しく制約する場合には,公序良俗に反し無効となるか(民法90条,消費者契約法10条に反して無効となるか,又は同法9条)1号に反して一部無効となる場合があり得る。 これを本件についてみると,まず解約予告期間を時季に応じて1ヶ月間ないし9ヶ月間とする条項は,いまだ公序良俗に反し無効とすべき程度であるとまではいえない。 次に,本件のような解約予告期間を設定することは賃借人の解約権を制約することは明らかであるが,このような解約予告期間の設定は,民法上にも期間の定めのない建物賃貸借につき3ヶ月間とし,期間の定めのある場合でも期間内に解約する権利を留保したときはこれを準用するとの定めがある(民法617条1項2号,同法618条)ことからすると,本件契約上の解約予告期間の定めが民法その他の法律の任意規定の適用による場合に比して,消費者の権利を制限し又は義務を加重して,民法1条2項の信義則に反し消費者の利益を一方的に 8条)ことからすると,本件契約上の解約予告期間の定めが民法その他の法律の任意規定の適用による場合に比して,消費者の権利を制限し又は義務を加重して,民法1条2項の信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものとして一律に無効としなければならないものとはいえない。 しかし,解約予告に代えて支払うべき違約金額の設定は,消費者契約法9条- 4 -1号の「消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,又は違約金を定める条項」に当たると解されるので,同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害を超えるものは,当該超える部分につき無効となる(被告らの主張はこの点をも含むものと解される。これを本件についてみると,一)般の居住用建物の賃貸借契約においては,解約予告期間及び予告に代えて支払うべき違約金額の設定は1ヶ月(30日)分とする例が多数であり(乙1標準契約書の10条,解約後次の入居者を獲得するまでの一般的な所要期間として)相当と認められること,及び弁論の全趣旨に照らすと,解約により原告が受けることがある平均的な損害は賃料・共益費の1ヶ月分相当額であると認めるのが相当である(民事訴訟法248条。そうすると,原告にこれを超える損害の)あることが主張立証されていない本件においては,1ヶ月分を超える違約金額を設定している本件約定は,その超える部分について無効と解すべきである。 本件解約が1回目の更新がなされ更新料が支払われた直後である8月上旬にされたこと,契約時に預け入れた保証金(賃料・共益費の1ヶ月分である7万2000円)は解約に伴い償却され被告Aに返還されていないこと等を総合して考えると,解約時における賃貸人,賃借人双方の公平負担の観点からも妥当な結論であると解する。したがって,原告が請求しうる解約予告に代わる違約金額は,賃料・共益 告Aに返還されていないこと等を総合して考えると,解約時における賃貸人,賃借人双方の公平負担の観点からも妥当な結論であると解する。したがって,原告が請求しうる解約予告に代わる違約金額は,賃料・共益費の1ヶ月分である7万2000円の限度と解するのが相当である。 本件契約上の遅延損害金利率は,消費者契約法9条2号に規定する損害賠償の予定に当たるので,本条項に規定する年14.6パーセントを超える部分は無効といわなければならない。 以上のとおりであるから,原告の請求は,解約予告に代わる違約金として賃料・共益費の1ヶ月分である7万2000円及びこれに対する年14.6パーセントの遅延損害金の支払を求める限度で理由があるのでこれを認容し,その余は理由がないのでこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京簡易裁判所民事第9室- 5 -藤岡謙三裁判官

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