令和4年4月28日判決言渡令和3年(行ウ)第153号措置命令取消請求事件 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求消費者庁長官が令和3年3月23日付けで原告に対してした不当景品類及び不当表示防止法7条1項の規定に基づく措置命令(消表対第426号)を取り 消す。 第2 事案の概要本件は、健康茶及び健康食品等の通信販売等を営む事業者である原告が、「A」という名称のポット用ティーバッグ30個入りの食品の取引について、通信販売の商品に同梱して配布した広告冊子において同食品の痩身効果に関する表示 をしていたところ、内閣総理大臣から権限の委任を受けた消費者庁長官から、上記表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出がないため、不当景品類及び不当表示防止法7条2項により、上記表示は同法5条1号のいわゆる優良誤認表示に該当する表示であるとみなされるとして、同法7条1項に基づき、上記表示が同法に違反するものであること等を一般消費者に対して周知徹底す ること、再発防止策を講じること等を命じる措置命令を受けたことから、その取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め⑴ 不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という。)5条は、事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、同条各号のいずれかに該 当する表示をしてはならない旨定めているところ、同条1号は、「商品又は役 務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客 し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」と規定し ている(以下、同号に該当する表示を「優良誤認表示」ということがある。)。 ⑵ 景表法7条1項は、内閣総理大臣は、4条の規定による制限若しくは禁止又は5条の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができ、そ の命令は、当該違反行為が既になくなっている場合においても、当該違反行為をした事業者(7条1項1号)等に対し、することができる旨定めている。 ⑶ 景表法7条2項は、内閣総理大臣は、前項の規定による命令に関し、事業者がした表示が5条1号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付け となる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、この場合において、当該事業者が当該資料を提出しないときは、同項の規定の適用については、当該表示は同号に該当する表示とみなす旨定めている(以下、同項のみなし規定を「不実証広告規制」ということがある。)。 ⑷ 上記⑴ないし⑶のほか、本件に関連する法令等の定めは別紙2のとおりで ある。 2 前提事実(当事者間に争いがないか後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)⑴ 原告について原告は、健康茶、健康食品及び化粧品等の通信販売等を目的とする株式会 社であり、「A」や「B」 実(当事者間に争いがないか後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)⑴ 原告について原告は、健康茶、健康食品及び化粧品等の通信販売等を目的とする株式会 社であり、「A」や「B」という名称のティーバッグ入りの茶葉を、通信販売 の方法により販売している(甲2、34)。 ⑵ 前回措置命令等について消費者庁長官は、平成29年9月29日、原告に対し、「B」のポット用ティーバッグ35個入りの食品及び4個入りの食品の取引に関し、原告の行った表示が、景表法5条1号の優良誤認表示に当たるとして、当該表示が同法 に違反するものであること等を一般消費者に対して周知徹底すること、再発防止策を講じること等を命じる措置命令(以下「前回措置命令」という。)を発し、これを消費者庁のウェブサイトにおいて公表した。 原告は、平成29年10月21日、前回措置命令を受けて、「B」に係る上記表示が景表法に違反するものであったこと等について訂正及び謝罪をする 旨の謝罪広告を毎日新聞及び産経新聞に掲載するとともに自社ウェブサイトにおいても同様の内容の謝罪文を掲載した。 原告は、平成31年3月22日、景表法の規定に基づき、上記優良誤認表示について課徴金納付命令を受けた。 (甲35・添付資料2、乙13、弁論の全趣旨) ⑶ 原告が配布したAに係る広告冊子ア原告は、平成30年4月から令和元年6月までの間、Aのポット用ティーバッグ30個入りの商品(以下「本件商品」といい、本件商品に限らず、A一般を指すなどの他の場合には単に「A」という。)について、カタログ通販事業を営む株式会社Cが同社の会員に対して通信販売の方法により販 売する商品に同梱する方法によって、別紙3の1ないし7の「D」と題する本件商品の広告冊子(以下、7冊の冊子を併 て、カタログ通販事業を営む株式会社Cが同社の会員に対して通信販売の方法により販 売する商品に同梱する方法によって、別紙3の1ないし7の「D」と題する本件商品の広告冊子(以下、7冊の冊子を併せて「本件各冊子」という。)を配布していた。本件各冊子の配布部数は合計175万8000部であった。 原告は、別紙4の別表1「配布日」欄記載の日に配布した本件各冊子に おいて、同別表「表示内容」欄記載のとおりの表示(以下「本件各表示」 という。)をした。同別表の「別添写し1」ないし「別添写し7」は、別紙3の1ないし7(本件各冊子)と同一である。なお、本件各冊子の外形的な表示それ自体については当事者間に争いがないので、以下、本件各冊子の表示内容を摘示する際には、証拠を掲記しないですることがある。 (乙1、2、14) イ本件各冊子の内容は、一部の文言等の違いを除いておおむね共通しており、具体的には以下のとおりである(乙2)。 表表紙部分本件各冊子の表表紙部分(1枚目)の上部には「D」という表題が記載され、その下には、同じ服装を身に着けた太った体型の暗い表情をし た女性のイラスト(後記の漫画部分の主人公)と、痩せた体型の明るい表情をした女性のイラスト(同上)が配置されるとともに、ほぼ中央部分に比較的大きなフォントで「もう一度、あの頃のスリムな私に!」、左側部分に「漫画でわかる!」、その左横に比較的大きなフォントで「メーカーシェア日本一の中年太りサポート茶とは!?」との文章が記載さ れている(ただし、別紙3の1については、上記文章中「メーカーシェア日本一の」とある部分が「日本一売れている」とされている。)。 漫画部分本件各冊子の2ないし9枚目には、漫画が掲載されているところ、その内容は、中年太りに悩む ては、上記文章中「メーカーシェア日本一の」とある部分が「日本一売れている」とされている。)。 漫画部分本件各冊子の2ないし9枚目には、漫画が掲載されているところ、その内容は、中年太りに悩む59歳の女性キャラクター(以下「主人公」 という。)が、無理な食事制限や運動によるダイエットを試みるも失敗していたところ、突如登場した男性キャラクターからAを紹介され、これを日々の食事とともに毎日摂取すること等により、体重が減少して体型の変化を遂げ、これを見た家族も影響を受けてAの摂取を開始して体型の変化を遂げるというものである。 また、漫画部分の下には、「お役立ちコラム」、「Aと一緒に実践したい! ラクやせ5つのコツ!」と題するコラムが掲載されている。 体験談部分本件各冊子の10、11枚目には「日本全国、Aがお取寄せ殺到の理由とは?」との見出しとともに、Aの愛用者として「E」、「F」、「G」の3名の体験談が記載されている。 商品開発経緯や購入方法等に係る部分本件各冊子の12ないし15枚目には、Aの開発経緯や本件商品の購入方法の説明等が記載されている。 本件各冊子の13枚目の左下には、「社員も飲んでここまでスッキリ!」との文言とともに、原告従業員がAを摂取した際の体験談が記載 されている(なお、本件各冊子のうち別紙3の1及び2については原告従業員Nの体験談であり、別紙3の3ないし7については原告従業員Hの体験談である。)。 本件各冊子の15枚目には、本件商品の価格等とともに、「M」のAの摂取による体験談が記載されている。 裏表紙部分本件各冊子の裏表紙部分(16枚目)には、中央部分に「Aで大違い」との文章が記載されており、その右側には「まだ、飲んでいない人。」との文言とともに比 験談が記載されている。 裏表紙部分本件各冊子の裏表紙部分(16枚目)には、中央部分に「Aで大違い」との文章が記載されており、その右側には「まだ、飲んでいない人。」との文言とともに比較的太った体型の女性の画像が、左側には「飲んでいる人。」との文言とともに比較的痩せた女性の画像が配置されている。 ⑷ 本件各冊子に係る調査の経緯等ア公正取引委員会事務総局中部事務所(以下「中部事務所」という。)は、令和元年7月下旬頃、本件各冊子に関する調査を開始した。原告は、同年8月9日、中部事務所に対し、Aの原材料や成分、原告が当時行っていたAに係る広告の状況等を記載した調査票(甲34)を提出するとともに、 その添付資料として、Aに係る痩身作用に関して実施した実証試験(以下 「本件実証試験」という。)の結果に関する論文等を提出し、同年9月5日及び10月9日にも補足説明書(甲51)等を提出した。(甲34、51、52)イ原告は、上記アの調査票作成の過程において、本件各冊子に掲載されていた「F」、「E」の体験談がAを摂取したことによるものではなく、別商 品であるBを摂取したことによるものであったことが判明したことから、令和元年10月5日、上記2名の体験談(以下「本件別商品体験談」という。)が、別商品によるものであったことについて訂正及び謝罪をする旨の謝罪広告を毎日新聞及び産経新聞に掲載するとともに、自社ウェブサイトにおいても同様の内容の謝罪文を掲載した。(甲31、32、52) ⑸ 措置命令に係る経緯ア消費者庁長官は、令和2年11月10日、原告に対し、景表法7条2項及び8条3項に基づき、提出期限を同月25日と定めて、本件各表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めた(以下「本件資料提出要求 庁長官は、令和2年11月10日、原告に対し、景表法7条2項及び8条3項に基づき、提出期限を同月25日と定めて、本件各表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めた(以下「本件資料提出要求」という。)。 本件資料提出要求に係る資料提出要求書(甲5。以下「本件資料提出要求書」という。)には、「1 資料の提出を求める表示」として「別添1ないし別添7の表示物における別紙記載の表示」と記載され、別紙として本件各表示の内容(本判決別紙4の別表1の「表示内容」欄と同内容)が記載された書面が添付されるとともに、別添1ないし7として本件各表示の 範囲を赤枠で囲んだ本件各冊子が添付されていた。 (甲5)イ原告は、令和2年11月24日、消費者庁長官に対し、本件各表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料であるとして、「資料提出要求に対する回答書」と題する書面及び添付資料1ないし41(以下、これらを併せて 「本件提出資料」といい、各添付資料を順に「資料1」などという。)を提 出した。 資料1ないし41の標目は別紙5のとおりであり、上記「資料提出要求に対する回答書」と題する書面は、資料1ないし41の内容を補足説明する書面であった。また、資料1は前記⑷アの本件実証試験の結果に関する論文であった。 (甲6)ウ消費者庁長官は、令和3年2月22日、原告に対し、景表法7条1項に基づく措置命令を予定していることから、行政手続法13条1項2号に規定する弁明の機会の付与を行うとして、提出期限を同年3月8日と定めて、弁明書及び証拠を提出することができる旨を通知した(甲7)。 エ原告は、令和3年3月8日、消費者庁長官に対し、弁明書及び証拠を提出した。上記証拠の中には「黒茶の製造過程における化学成分の変化」と題す 拠を提出することができる旨を通知した(甲7)。 エ原告は、令和3年3月8日、消費者庁長官に対し、弁明書及び証拠を提出した。上記証拠の中には「黒茶の製造過程における化学成分の変化」と題する論文(甲16。以下「本件追加提出資料」という。)が含まれていた。 (甲8、16)オ消費者庁長官は、令和3年3月23日、原告に対し、本件提出資料は、 本件各表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められず、本件各表示は景表法5条1号の優良誤認表示とみなされるとして、同法7条1項に基づき、別紙4「1 命令の内容」のとおり、本件各表示が景表法に違反するものであったこと等を速やかに一般消費者に周知徹底すること、合理的な根拠を有することなく同様の表示が行われることを防止する ための再発防止策を講じること等を命じる措置命令(以下「本件措置命令」という。)をした(乙1)。 カ原告は、令和3年4月13日、本件訴えを提起した(顕著な事実)。 ⑹ 本件実証試験の概要本件実証試験は、原告が一般財団法人日本臨床試験協会(以下「JACT A」という。)に委託して実施した試験であり、その内容は、一定の運動プロ グラムを行いながらAを摂取するグループ(A群)、Aを摂取するグループ(B群)及びプラセボ品(麦茶)を摂取するグループ(C群)の3群を設定し、12週間後のウエスト、ヒップ、体重、BMI及び体脂肪率の値を測定して、群間比較を実施したものである。本件実証試験の結果に係る論文(資料1)は、J第56号に掲載された。(甲9) 3 争点⑴ 本件各表示の意味内容(争点1)⑵ 本件資料提出要求の必要性及び適法性(争点2)⑶ 本件提出資料の合理的根拠資料該当性(争点3)⑷ 本件措置命令の対象範囲に係る違法の有無(争点4 争点 ⑴ 本件各表示の意味内容(争点1)⑵ 本件資料提出要求の必要性及び適法性(争点2)⑶ 本件提出資料の合理的根拠資料該当性(争点3)⑷ 本件措置命令の対象範囲に係る違法の有無(争点4) ⑸ 本件措置命令に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無(争点5)⑹ 本件措置命令に係る手続上の瑕疵の有無(争点6) 4 争点1(本件各表示の意味内容)に関する当事者の主張(被告の主張)以下のとおり、本件各表示は、本件商品(A)に含まれる成分の作用により 著しい痩身効果が得られるかのように示すものである。 ⑴ 本件各表示が掲載された本件各冊子を手に取る一般消費者は、まず表紙に関心を持ち、その後に本件各冊子の本文から裏表紙に至るまで目を通すものと認められる。表表紙部分では、「D」との表題、主人公の太った体型と痩せた体型とを比較対照させたイラスト、「スリムな私に!」、「-43kg」等の 文言等が強調されて表示されていることから、これらを目にした一般消費者は、Aが中年太りを大幅に解消させる効果、効能を有するかもしれないとの印象や期待を強く抱く。次に、漫画部分は、これを目にした一般消費者に対し、Aの摂取を開始すれば、Aに含まれる成分等の作用によって、主人公に生じたのと同様の身体的な変化が自身にも生じて痩せられるかもしれないと の印象や期待を抱かせる。さらに、その次に展開される体験談部分では、性 別や元々の身長・体重を問わず、Aを摂取することで中年太りの悩みを解決している実在の人物が数多くいると認識させ、Aの効果、効能が自身も含む摂取者一般に発揮されるものであるとの印象や期待を一層抱かせる。商品開発経緯や購入方法等に係る部分では、Aが特別なお茶の効果、効能を利用してダイエットの苦労を解消するために開発され 効能が自身も含む摂取者一般に発揮されるものであるとの印象や期待を一層抱かせる。商品開発経緯や購入方法等に係る部分では、Aが特別なお茶の効果、効能を利用してダイエットの苦労を解消するために開発された商品であって、現にその効 果、効能によって苦労なく大幅な減量を遂げた人物が少なからず存在すると認識させ、Aを摂取すれば自身も同様の体験をすることができるとの印象や期待を強固にする。裏表紙部分は、上記強固な印象や期待感を改めて確認させることとなる。 このように、本件各表示は、本件各冊子を通読する一般消費者に対し、読 み進めるにつれて、Aの特別な茶葉に含まれる成分の作用により、漫画の主人公や体験談を語る愛用者等に生じた顕著な身体的変化が当該一般消費者自身にも生じ、苦労なく中年太りを解決することができるとの印象や期待をより一層強くさせていく構造となっていると認められる。 ⑵ 本件各表示には、別紙4の別表2のとおり、「※ 個人の感想であり実感さ れない方もいらっしゃいます。」等の注意書きによるいわゆる打消し表示の文言が散りばめられてはいるが、これらの打消し表示の文言は、痩身効果を強調している文言や画像等の表示の大きさや配色と比べて、いずれも小さく、配色的にも目立ちづらく、本件各冊子中に占める割合も極めて小さく表示されており、一般消費者の目に留まるものとは認められない。また、上記打消 し表示の文言は、その内容においても、強調して表示されたAの効果、効能を打ち消すようなものであるとは到底いえない。 ⑶ 上記⑴及び⑵は、行動心理学の専門家であるI教授の意見書(乙8。以下「I意見書」という。)の内容及びそこに記載されている、人が最初に見聞きした単語や概念に無意識下に注意を向けてしまうことにより、その後の発想 や読解が方向づ 家であるI教授の意見書(乙8。以下「I意見書」という。)の内容及びそこに記載されている、人が最初に見聞きした単語や概念に無意識下に注意を向けてしまうことにより、その後の発想 や読解が方向づけられてしまうという「プライミング」と呼ばれる心理現象 とも整合する。 原告は、I意見書の記載内容について論難するが、消費者庁長官は、本件各表示の文書、図表、写真等の表示内容全体という客観的事実を、景表法の目的や関係条文の趣旨を踏まえた経験則によって認定、評価したものであるから、本件措置命令の適法性は、I意見書の記載内容の当否によって直接左 右されるものではない。なお、I教授は行動心理学について相応の経歴及び研究業績を有する専門家であるところ、引用文献の内容を専門家として理解した上で、それらの全趣旨を踏まえ、本件各表示について、専門的知見に基づき合理的に検討、評価し、その内容をI意見書に簡潔に記載しており、その信用性に疑いを差し挟むべき点は見当たらない。 ⑷ 原告は、別紙4の別表2記載の各表示以外にも打消し表示と評価されるべき表示が多数存在する旨主張するが、原告が指摘する具体的な表示部分を打消し表示と呼称するか否かにかかわらず、消費者庁長官は、これらの各表示部分をも含む本件各表示全体を基礎として、当該表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識を基準に、本件各表示が、Aを摂取することにより、 Aに含まれる成分の作用による著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた旨認定したものである。原告が指摘する、食材の選択方法や調理方法、調味料や飲料の選択方法、食事制限や運動の必要性及び食事制限の一環として実践すべき推奨事項に係る部分は、漫画部分における一連の完結したストーリーの主流には含まれない部分であるから、一般消 調理方法、調味料や飲料の選択方法、食事制限や運動の必要性及び食事制限の一環として実践すべき推奨事項に係る部分は、漫画部分における一連の完結したストーリーの主流には含まれない部分であるから、一般消費者が本件各 表示によって最終的に受ける印象、認識には含まれず、よって、上記認識を打ち消すに足りるものとはいえない。 また、原告は、本件各冊子の原案の作成意図が痩身効果の促進の訴求であった旨主張するが、景表法上の不当表示の成否には、表示を行う事業者の主観的意図は問題とされないから、原告の主張は失当である。 (原告の主張) 本件各表示は、本件商品(A)を摂取するだけで著しい痩身効果を得られる旨を表示するものではなく、本件商品を摂取することに加えて食生活の見直しや適度な運動を取り入れることにより、痩身効果の促進作用が得られる旨を表示するものである。 ⑴ 本件各冊子の漫画部分のストーリーは、主人公が無理な食事制限や激しい 運動に取り組んだもののうまくいかなかったところに、男性キャラクターが効率的で無理のない中年太りの人のためのダイエット法として食生活の改善方法を説明した上、ダイエット法の1つとして、甘いペットボトルのジュース等の代わりにAを飲むことを提案することから始まる。続いて、主人公がAの摂取を決意する場面の「教えていただいたこともあわせて気長に続けて みようかしら!」(本件各冊子6枚目)との記載によって、男性キャラクターから教えられた食事制限等の重要性が強調されている。そして、主人公が、Aを飲みつつ、中年太りのためのダイエット法として上記男性キャラクターから教えられた食べる順番は野菜からなどの食生活の見直しに加え、「軽い運動も取り入れて続けるうちに」(本件各冊子7枚目)、少しずつ体型に変化が 表 めのダイエット法として上記男性キャラクターから教えられた食べる順番は野菜からなどの食生活の見直しに加え、「軽い運動も取り入れて続けるうちに」(本件各冊子7枚目)、少しずつ体型に変化が 表れる様子が描かれている。このように、漫画部分のいずれのコマにもAに含まれる成分の作用により著しい痩身効果が得られるなどとは一切表示されておらず、むしろAの摂取に加えて適度な運動や食事制限が重要であることが繰り返し強調されている。また、漫画部分のキャラクターのセリフ及びストーリーによる説明、漫画部分下部のコラム欄等により、Aを摂取するだけ でなく食生活の改善や適度な運動にも取り組むべきこと及びその具体的方法や注意点が分かりやすく説明されている。 また、体験談部分にもAにより著しい痩身効果が得られるかのような表示は一切なく、客観的事実に基づくAの利用期間や体重減少幅が記載されているにすぎない。本件各冊子の大半を占める漫画部分において食事制限や運動 の重要性が強調されていることを併せて考慮すれば、体験談部分等の記載か らも一般消費者がAを摂取するだけで著しい痩身効果が得られるとの認識を抱くおそれはない。 ⑵ 被告は、本件各冊子のうちの一部分を本件各表示として抽出し、本件各表示が、Aを摂取することにより著しい痩身効果が得られるかのように示すものである旨主張する。 しかしながら、本件各表示は、本件各冊子の一部分にすぎず、一般消費者が本件各表示のみに着目してAの効用を理解することはない。むしろ、本件各冊子の中心は漫画部分であり、漫画部分は通常5分程度で読み終えることのできる短いものであって、読者は、漫画の一部分のみを殊更閲覧するということは通常あり得ず、イラスト及び文章とともに漫画全体のストーリーを 全体として理解する 分は通常5分程度で読み終えることのできる短いものであって、読者は、漫画の一部分のみを殊更閲覧するということは通常あり得ず、イラスト及び文章とともに漫画全体のストーリーを 全体として理解するから、本件各冊子の表示内容の評価に当たっては、漫画全体から受ける認識を対象としなければならない。被告の主張は、漫画部分の一部や本件各冊子の中心ではない体験談部分を抜き出した上で、本件各表示が、著しい痩身効果が得られるかのように表示するものであるなどとするものであって、本件各冊子の漫画部分を通読した一般消費者が受ける認識の 実態とかけ離れたものである。 ⑶ 被告は、本件各冊子における表示が一般消費者に与える印象・認識を示す証拠として、I意見書(乙8)を提出する。しかしながら、I意見書は、本件各冊子の実際の表示内容を殊更無視し、又はこれを曲解することで、本件措置命令における認定とつじつまを合わせつつ、かつ、自身が主張する「プ ライミング」効果と強引に結び付けられるように、恣意的な事実認定及び評価を行っており、本件措置命令における認定に沿うように作成された結論ありきのものである。 また、I意見書では複数の英語の文献が引用されているが、具体的な被引用箇所や頁番号は記載されていない。この点を措くとしてもI意見書の内容 は、上記引用文献に係る論文の執筆者が作成した要旨の内容や当該論文中の 具体的な記載内容と明らかに整合しておらず、全く事案の異なる論文の記載内容を曲解して、本件の事案へ強引に当てはめたのではないかとの疑念を払拭できない。さらに、本件各冊子の読み手が、その記載内容のうち4項目を超えて記憶することができないなどとするI意見書の内容は、日常の経験則にも明らかに反する。 したがって、I意見書を本件各冊子に係る表示 さらに、本件各冊子の読み手が、その記載内容のうち4項目を超えて記憶することができないなどとするI意見書の内容は、日常の経験則にも明らかに反する。 したがって、I意見書を本件各冊子に係る表示に関する事実認定及び法的評価の基礎とすることはできない。 ⑷ 仮に、本件各表示が「著しい痩身効果」を表示するものであるとしても、十分な打消し表示がある。すなわち、別紙4の別表2の各表示のほかにも、漫画のコマ又は漫画下部のコラム欄において、食習慣の改善や年齢に応じた 食事制限の重要性、食事制限に当たり推奨される食材や調理方法等、継続的な運動を併せて行うことの重要性等が強調されているのであって、Aを摂取するだけで痩せられるわけではないことを示す表示は本件各冊子中に多数存在している。 これに対し被告は、原告が指摘する部分は、漫画部分における一連の完結 したストーリーの主流には含まれない旨主張する。しかしながら、本件各冊子の原案の作成意図は、Aの摂取とともに一定の運動や食生活の見直しを行うことにより痩身効果の促進作用が得られる旨を訴求することにあるところ、原告担当者は、本件各冊子の制作会社に対し、コラム欄の内容を漫画に反映させることを要望するとともに、食生活の見直しや運動の実施に関する事項 の記載を求めていたのであって、被告の主張は上記制作経緯と相容れないものである。 5 争点2(本件資料提出要求の必要性及び適法性)に関する当事者の主張(原告の主張)⑴ 資料提出要求の必要性の判断基準 景表法7条2項は、同項に基づく資料提出要求は、事業者がした表示が同 法5条1号に該当するか否かの判断に必要な場合に限り、認められる旨定めている。そして、同項の資料提出要求の規定は、不当表示を迅速に規制し、一般消費者の利益を確 出要求は、事業者がした表示が同 法5条1号に該当するか否かの判断に必要な場合に限り、認められる旨定めている。そして、同項の資料提出要求の規定は、不当表示を迅速に規制し、一般消費者の利益を確保する観点から導入されたものであるから、資料提出要求を発することができるのは、同法5条1号の表示(優良誤認表示)に当たる蓋然性が高いと判断された場合に限られると解される。また、資料提出 要求の必要性は、表示の内容、見込まれる信憑性、表示内容が合理的根拠となる裏付けを伴うかについての判断材料の所在の状況などを勘案して判断される。そうすると、消費者庁長官が資料提出要求を発することができるのは、①対象の表示の内容からして景表法5条1号の表示に当たる蓋然性が高い場合であり(実体的要件)、かつ、②資料提出要求を発することなくして表示の 合理的根拠についての判断材料を消費者庁長官が得ることができない場合(手続的要件)に限られると解される。そして、景表法7条2項は、同法29条1項に基づく調査が必要な場合よりも限られた場面でのみ許容されるものであり、立証責任の転換という強力な効果を伴うことからすれば、その必要性については、通常の調査では足りず資料提出要求によることが真に必要 かという観点から、厳格に判断されるべきである。 ⑵ 本件各表示が優良誤認表示に該当する蓋然性がないこと(⑴①)前記4(原告の主張)のとおり、本件各冊子は、全体としてAが有する痩身効果の促進作用を表示していたのであり、本件措置命令が認定したような著しい痩身効果を表示したものではないから、本件各表示が優良誤認表示に 該当する蓋然性は認められない。 ⑶ 本件資料提出要求がなくとも表示内容の検討が可能であったこと(⑴②)ア本件各冊子の表示に対する消費者庁及び中部事 ないから、本件各表示が優良誤認表示に 該当する蓋然性は認められない。 ⑶ 本件資料提出要求がなくとも表示内容の検討が可能であったこと(⑴②)ア本件各冊子の表示に対する消費者庁及び中部事務所の調査は令和元年7月下旬に開始され、同年8月9日には調査票及び本件実証試験に係る論文(資料1)も含めた資料を提出するなどしていた。さらに、原告は、同年 10月9日に中部事務所に対して補足説明書(甲51)を提出し、その後 も消費者庁や中部事務所の要請に応じて質問への回答や資料の提出を繰り返し行うなどしていた。このように、消費者庁は、本件資料提出要求がされた令和2年11月から1年以上前の時点で、本件実証試験に関する論文等を入手して、その内容を十分理解していたはずであって、本件資料提出要求の時点で、消費者庁長官が本件各表示の根拠を示す資料の提出を重ね て要求する必要性はなかった。 イ原告は、本件各冊子の表示に係る調査が始まってから、消費者庁及び中部事務所からの調査依頼に対し、一貫して協力しており、かつ、任意の協力に応じるとの意思を伝えてきたのであって、仮に消費者庁長官が本件各表示の根拠について更なる資料が必要であると考えたとしても、原告に対 し、任意の協力を求めれば足りたはずであり、立証責任の転換という強力な効果を伴う本件資料提出要求による必要はなかった。 ⑷ 本件資料提出要求の対象及び適法性についてア本件資料提出要求書には、「下記1の表示について、その裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めます」との記載があり、「1 資料の提 出を求める表示」には「別添1ないし7の表示物における別紙記載の表示」と記載されている。そして、別紙には本件各冊子から抜き出された個々の表示が特定して列挙されており、別添1な 「1 資料の提 出を求める表示」には「別添1ないし7の表示物における別紙記載の表示」と記載されている。そして、別紙には本件各冊子から抜き出された個々の表示が特定して列挙されており、別添1ないし7には本件各冊子の画像のうち上記各表示に対応する部分が赤枠囲いによって示されている。このような記載からすれば、本件資料提出要求は、本件各冊子又は本件各表示が 全体として示す漠然とした意味内容や消費者庁の表示に対する評価ではなく、本件資料提出要求書の別紙において特定された個々の表示に対する根拠資料の提出を求めていることが明らかである。 イこれに対し、被告は、本件資料提出要求書に記載のない消費者庁長官の本件各表示に係る認定(Aを摂取することによりAに含まれる成分の作用 による著しい痩身効果が得られること)に対する根拠資料を提出すること が必要であった旨主張する。しかしながら、仮に被告の主張するとおりであるとすれば、消費者庁長官は、合理的な根拠を示すべき対象を明らかにせずに本件資料提出要求を行い、本件各表示を優良誤認表示とみなしたことになる。このような場合、事業者が表示の意味内容に係る消費者庁長官の認定を争うことができるのは弁明の機会のみとなり、事業者は手続上極 めて不利な立場に立たされる。以上の事情を踏まえると、本件資料提出要求は、消費者庁長官が認定した効果、効能を明示せずに不意打ち的態様で行われ、原告の防御の機会を失わせたものであって、違法な手続であった。 ⑸ 小括以上によれば、本件資料提出要求の必要性は認められない。仮に必要性が 認められるとしても、本件資料提出要求の対象に係る被告の主張を前提とすれば、その手続に違法があったものである。 (被告の主張)⑴ 資料提出要求の必要性の判断基準景表法7 仮に必要性が 認められるとしても、本件資料提出要求の対象に係る被告の主張を前提とすれば、その手続に違法があったものである。 (被告の主張)⑴ 資料提出要求の必要性の判断基準景表法7条2項は、資料提出要求をすることができる要件として、「事業者 がした表示が第5条第1号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるとき」と定めるのみである。また、同項の不実証広告規制の制度趣旨は、本来消費者庁長官は、事業者が行った表示が「著しく優良であると示」す表示に該当すること及び当該「表示」と「実際のもの」との間に乖離があることを立証することが必要であるところ、事業者が行う表示が特定の効果・性 能を強調する表示である場合に、当該事業者に上記立証責任を転嫁し、事業者がその表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を提出しないとの事実から優良誤認表示のみなし効果を発生させることによって、速やかに処分を行うことを可能ならしめるものである。このような同項の文言や同項が定める不実証広告規制の制度趣旨を踏まえると、「(優良誤認表示に)該当するか 否かを判断するため必要があると認めるとき」とは、当該事業者がした表示 について商品等の内容に関する優良誤認表示の疑いがある場合を意味すると解される。 そして、消費者庁長官が、個別の事案において、景表法7条2項の規定を用いるか否かは、同項の趣旨を踏まえつつ、表示の内容、見込まれる信憑性、表示内容が合理的根拠となる裏付けを伴うかについての判断材料の所在の状 況などを勘案して、消費者庁長官が一定の裁量の下で判断することができると解される。 ⑵ 判断基準に係る原告の主張に対する反論原告は、景表法7条2項の適用要件として、「対象の表示の内容からして景表法5条1号の表示に当たる蓋然性 一定の裁量の下で判断することができると解される。 ⑵ 判断基準に係る原告の主張に対する反論原告は、景表法7条2項の適用要件として、「対象の表示の内容からして景表法5条1号の表示に当たる蓋然性が高い場合」なる実体的要件を充足する ことが必要である旨主張するところ、その意味が、当該表示について、商品等の内容に関する優良誤認表示の疑いがある場合を指すのであれば、被告の解釈と大きな相違はない。 他方、原告は、「資料提出要求を発することなくして表示の合理的根拠についての判断材料を消費者庁長官が得ることができない場合」なる手続的要件 をも充足する必要がある旨主張するが、景表法7条2項の文言上、そのような要件を定めていると解すべき理由は見当たらない。また、同項の「求めることができる」との文言及び不実証広告規制の制度趣旨からすれば、事業者が行う商品の効能・効果表示に優良誤認の疑いがある場合に、消費者庁長官が同項を用いるか、あるいは同法5条1号の要件充足のために自ら証拠収集 をするかの選択は、事案に応じた調査方法の問題であり、事柄の性質上、消費者庁長官の合理的な裁量に委ねられていると解すべきである。また、消費者庁長官が、景表法7条2項の適用の前段階において、事業者から表示の根拠であるとする資料を入手し、当該資料が表示の合理的根拠とならないとの一定の心証を得たからといって、そのことのみで、直ちに同法5条1号の要 件を満たすことにはならない。したがって、上記手続的要件が必要であると の原告の主張は理由がない。 ⑶ 本件資料提出要求の必要性が認められること本件各表示は、前記4(被告の主張)のとおり、Aを摂取することにより、Aに含まれる成分の作用により著しい痩身効果が得られるとの印象・認識を一般消費者に与えるものであ 出要求の必要性が認められること本件各表示は、前記4(被告の主張)のとおり、Aを摂取することにより、Aに含まれる成分の作用により著しい痩身効果が得られるとの印象・認識を一般消費者に与えるものであり、「著しく優良であることを示す表示」に該当 するものである。仮に本件商品を摂取することにより上記の表示された著しい痩身効果を得られない場合には、優良誤認表示に該当することになるところ、消費者庁長官は、原告が任意に提出した資料の内容を踏まえて、本件商品を摂取することにより表示された「著しい痩身効果」を得られない可能性があると認めたことから、本件各表示が優良誤認表示に該当する疑いがある と判断したものである。したがって、本件資料提出要求の必要性は認められる。 ⑷ 本件資料提出要求の対象及び適法性に係る原告の主張ついてア景表法7条2項に基づき、表示の裏付けとなる合理的根拠資料の提出を要求する対象は、資料提出要求書で示された「事業者がした表示」である ところ、景表法における「著しく優良であると示す」表示か否かの判断は、運用指針においても明記されているとおり、表示上の特定の文章、図表、写真等から一般消費者が受ける印象・認識ではなく、表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識が基準となる。原告は、本件資料提出要求書では、その別紙で特定された個々の表示に対する根拠資料の提出が求めら れたものである旨主張するが、このような主張は、景表法における「著しく優良であると示す」表示か否かの上記判断基準を正解しないものである。 イ原告は、上記アのように解する場合、本件資料提出要求書に消費者庁長官が認定した本件各表示の評価が記載されていないため、本件資料提出要求は、事業者である原告に対する不意打ちであって、違法である旨主張す 記アのように解する場合、本件資料提出要求書に消費者庁長官が認定した本件各表示の評価が記載されていないため、本件資料提出要求は、事業者である原告に対する不意打ちであって、違法である旨主張す る。 しかしながら、景表法施行規則7条1項2号は資料提出要求書に「資料の提出を求める表示」を記載すべきことを定めているところ、ここでいう「表示」及び景表法7条2項の「事業者がした表示」は、いずれも表示媒体上の記載自体をいうものであり、資料提出要求書に当該記載自体から認識される効果・性能までを記載することは求められていない。また、不実 証広告規制の趣旨に鑑みると、事業者は、表示を作成する際に表示全体が一般消費者に対して与える効果、性能に関する印象、認識を正しく解釈した上で、これに対応した合理的根拠資料をあらかじめ保有していることが前提とされている。したがって、資料提出要求書に消費者庁長官による表示の評価や当該評価に対する根拠資料の提出を求める趣旨が記載されて いなくとも、事業者は、保有する上記合理的根拠資料を提出し得るものであるから、事業者に対して不意打ちを与えるものではなく、手続違反となるものでもない。さらに、弁明の機会の付与に際し、予定される措置命令の案として、消費者庁長官による表示の評価が記載されるから、その段階で事業者には十分な防御の機会が確保されている。したがって、原告の主 張には理由がない。 ⑸ 小括以上によれば、本件資料提出要求の必要性は認められ、本件資料提出要求は適法である。 6 争点3(本件提出資料の合理的根拠資料該当性)に関する当事者の主張 (原告の主張)⑴ 本件提出資料が、本件各表示に対応した合理的根拠資料であること本件各表示は、「Aの摂取に加えて、食生活の見直しや適度な運動 合理的根拠資料該当性)に関する当事者の主張 (原告の主張)⑴ 本件提出資料が、本件各表示に対応した合理的根拠資料であること本件各表示は、「Aの摂取に加えて、食生活の見直しや適度な運動を取り入れることにより痩身効果の促進を得られる」という効果を示す表示であって、及びのとおり、本件提出資料はその裏付けとなる合理的根拠資料に当た る。 ⑵ 資料1が合理的根拠資料に該当することア本件実証試験の内容等原告は、Aが痩身効果の促進作用を有していることを実証することを目的として、第三者専門機関であるJACTAに対し、Aの効果、効能を実証するための試験(本件実証試験)の実施を委託した。本件実証試験の結 果は、客観的に実証された試験結果として、医学・医療の専門雑誌であるJ第56号に掲載されている。本件実証試験は、一定の運動プログラムを行いながらAを摂取するグループ(A群)、Aを摂取するグループ(B群)、プラセボ品(麦茶)を摂取するグループ(C群)の3群を設定し、無作為化並行群間比較試験(介入実施者(各グループの割付責任者)と測定者(体 重、体脂肪等の測定者)がブラインドされた単盲検)を実施したものである。なお、単盲検とは、偽薬(プラセボ品)を用いる比較試験等において、一般的には被験者のみが投与された試薬の中身を知らず、試験実施者は各被験者に投与した試薬の中身を知っている試験方法をいい、被験者と試験実施者のいずれもが投与された試薬の中身を知らずに比較試験を行う方 法を「二重盲検」という。本件実証試験の結果、A群は12週間後、体脂肪率で減少傾向、ウエスト、ヒップ、体重及びBMIで有意に減少し、B群は全ての項目で有意に減少し、C群はヒップ及び体重の2項目で有意に減少した。グループ間の比較では、A群はC A群は12週間後、体脂肪率で減少傾向、ウエスト、ヒップ、体重及びBMIで有意に減少し、B群は全ての項目で有意に減少し、C群はヒップ及び体重の2項目で有意に減少した。グループ間の比較では、A群はC群に対してウエスト、ヒップ、体重及びBMIで有意な差がみられ、B群に対してヒップで有意な差がみ られるという結果が得られた。この結果からAによる痩身効果の促進作用が裏付けられた。 イ無作為化について本件実証試験では、試験総括責任医師の判断の下で、試験に関係しない割付責任者(介入実施者)が、年齢とBMIを考慮した上で乱数表を用い て被験者をA群ないしC群に割り付けた。割付内容は、割付責任者が厳重 に保管し、臨床試験データ固定後に試験実施機関に開示している。このように、本件実証試験に当たっては被験者をA群ないしC群に振り分ける段階から一切の作意を排除すべき措置が執られ、さらに、被験者をA群ないしC群に振り分けた結果は試験実施後まで試験実施機関には開示されていないのであるから、試験実施機関側で無意識又は意識的に結果にバイア スがかかる危険性が取り払われている。 ウ単盲検試験であっても許容されるべきであること本件実証試験においては、A群の被験者には運動プログラムをしてもらうことを伝えていたため、全被験者に対して自身が割り付けられている群の内容を完全にブラインドする(知らせない)ことはできず、医学文献へ の掲載上は「単盲検」と表記した。もっとも、各群の被験者においては自身がA又はプラセボ品のいずれを摂取しているかという点は完全にブラインドされており、B群とC群の二者を比較すれば、被験者、介入実施者、測定者がいずれもブラインドされた二重盲検の試験となっている。そして、B群とC群の比較においてもAの効果、効能を裏 点は完全にブラインドされており、B群とC群の二者を比較すれば、被験者、介入実施者、測定者がいずれもブラインドされた二重盲検の試験となっている。そして、B群とC群の比較においてもAの効果、効能を裏付ける試験結果が得られ ている。加えて、運動プログラムを行うA群の被験者は、自身が何を摂取しているか、他のグループの被験者がどのようなプログラムを実施しているかについては一切認識しておらず、何らかの不適切なバイアスがかかることはない。したがって、本件実証試験が単盲検試験であっても、その結果は合理的根拠資料として許容されるべきである。 エ K元〇○大学大学院医学研究科教授は、本件実証試験等に関する意見書(甲57。以下「K意見書」という。)において、本件実証試験の結果について「Aを摂取しつつ、軽い運動を続けることが痩身効果を促進させることが科学的に証明されていることが、本件論文から明らかである」とし、資料1は「査読の結果を以て編集会議を経て掲載に至った科学論文と言え る。」とされており、本件実証試験は十分に科学的根拠を有するものである。 他方で、被告が依拠する国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所L作成の技術的意見同意書(乙9。以下「被告意見書」という。)については、K意見書において、本件実証試験の目的に対する理解を誤っているため、資料1に対する技術的評価とは到底いえないと評価されている。 ⑶ 資料8、9、17及び本件追加提出資料が合理的根拠資料に該当すること 原告は、Aの含有成分(重合カテキン、没食子酸)の効果、効能に関する各表示(「健康に嬉しい成分が桁違い!」等)の合理的根拠資料として、資料8、9、17及び本件追加提出資料を提出している。 ア資料8(甲13)は、公益社団法人日本油化学会掲載の「人 果、効能に関する各表示(「健康に嬉しい成分が桁違い!」等)の合理的根拠資料として、資料8、9、17及び本件追加提出資料を提出している。 ア資料8(甲13)は、公益社団法人日本油化学会掲載の「人における茶カテキン類の抗肥満効果作用」に関する論文であり、同論文中にはヒトの 肥満及び体脂肪代謝について、茶カテキン類の長期摂取がもたらす影響に係る実験結果が記載されている。資料8により、茶葉には、多様な生理活性作用が報告されている茶カテキン類が多量に含まれており、その量は乾燥重量の14~18%にも及んでいることや、茶カテキン類の摂取によるヒトにおける抗肥満作用及び血中総コレステロール、血中グルコース、血 中インスリン等の低下作用という効果、効能が実証されている。 イ資料9(甲14)は、日本栄養・食糧学会誌掲載の「茶カテキンの構成成分である(-)エピガロカテキンガレートの血中コレステロール低下作用」に関する論文である。資料9により、茶葉に含まれる茶カテキンの主要構成成分であるエピガロカテキンガレートにはコレステロール投与ラッ トの血中コレステロール低下作用を持つことが実証されている。 ウ資料17(甲15)は、原告が販売するプーアール茶と緑茶(R)の成分分析に関する検査証明書であり、プーアール茶には、重合カテキンが6. 36g/100g、没食子酸が0.40g/100g含まれている旨が記載されている。また、本件追加提出資料(甲16)では、黒茶(プーアー ル茶)の製造過程におけるカテキン類の変化についてペーパークロマトグ ラフィーにより調べた結果、GA(没食子酸)及び酸化重合物(重合カテキン)がいずれも経時的に増加したことが報告されている。このように、資料17及び本件追加提出資料により、プーアール茶を原材料の一つ ラフィーにより調べた結果、GA(没食子酸)及び酸化重合物(重合カテキン)がいずれも経時的に増加したことが報告されている。このように、資料17及び本件追加提出資料により、プーアール茶を原材料の一つとするAに重合カテキンや没食子酸といった成分が凝縮されていることが実証されている。 エ被告は、資料8について、プラセボ群が設定されていないとの理由のみで、Aの効果、性能に関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法によって実施されたものではないと主張する。しかし、運用指針においてもプラセボ品との比較がなければ試験方法として認められないなどとは記載されていない。資料8 は、医薬品ではない茶カテキン類の作用を検証するものであり、プラセボ品との比較試験でないことの一事をもって、学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法によって実施したものではないと評価されるものではない。 被告は、資料9、17及び本件追加提出資料について、いずれもその実 験、検査状況や検討過程が必ずしも明らかではないから、学術界又は産業界において一般的に認められた方法等によって得られた結果であるとは判断し難いと主張するにとどまり、客観的に実証されたものでないと判断した理由を一切示していない。 (被告の主張) ⑴ 本件提出資料が本件各表示による効果、効能に対応したものとはなり得ないこと事業者が提出した資料が表示の合理的根拠資料として認められるためには、①提出資料が客観的に実証された内容のものであること及び②表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していることの二 つの要件を満たす必要がある。 原告は、本件各表示は、「Aの 的に実証された内容のものであること及び②表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していることの二 つの要件を満たす必要がある。 原告は、本件各表示は、「Aの摂取に加えて、食生活の見直しや適度な運動を取り入れることにより痩身効果の促進を得られる」という印象を一般消費者に与えるものであるとし、これを前提として、本件提出資料がAについて表示された効果、性能を裏付けるものであると主張する。しかしながら、前記4(被告の主張)のとおり、本件各表示によって表示された効果、効能は 「Aを摂取することにより、Aに含まれる成分の作用による著しい痩身効果が得られる」というものであるから、本件提出資料は、本件各表示による効果、効能に対応したものとはなり得ず、上記②の要件を満たさない。 ⑵ 本件提出資料を個別にみても本件各表示の合理的根拠資料とはいえないこと ア資料1について本件実証試験は、その目的がAの摂取と運動プログラム実施の併用による痩身効果を検証するというものであり、Aのみの摂取による効果を検証するための試験設計がされておらず、そのため、一定の運動プログラムを行いながらAを摂取した群において痩身効果がみられたという結果が得 られたものにすぎない。 原告は、本件実証試験において、無作為化がされ、また、二重盲検と同等程度にバイアスがかかるリスクが取り払われている旨主張するが、そのような事情を資料1から看取することはできない。被験者に、痩身効果が期待できるお茶を飲んでいることが認識されているような場合には、潜在 的に日常行動にも変容を及ぼすバイアスが生じ、当該変容によって痩身効果が得られる可能性が否定できないことから、当該試験結果の再現性を確保するためには、通常、論文には適切なヒト試 合には、潜在 的に日常行動にも変容を及ぼすバイアスが生じ、当該変容によって痩身効果が得られる可能性が否定できないことから、当該試験結果の再現性を確保するためには、通常、論文には適切なヒト試験を実施するために必要な盲検試験条件や介入指導条件等を記載すべきところ、資料1の論文にはこれらの記載が欠如している。また、そもそも本件実証試験の試験デザイン において、Aの摂取に運動を加えた群(A群)につきプラセボ群(C群) と比較して痩身効果が得られたとしても、A群には運動による痩身効果の影響が付加されるものとなっている。また、A単独摂取のB群とプラセボ摂取のC群との有意差の比較がされていないなど本論文においてAの効果を客観的に評価できる試験デザインとなっていない。以上の点は、被告意見書によっても裏付けられている。 以上のとおり、本件実証試験に係る試験・調査の方法は、本件各表示によって表示されたAの効果、性能に関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法であるとは認められず、資料1は合理的根拠資料には該当しない。 イ資料8、9、17及び本件追加提出資料について 資料8は茶カテキン類の摂取による抗肥満効果等についての試験に関する論文であるが、試験に用いられた500mlの飲料には低含有のもので118.5mg、高含有のものでは483.0mgのカテキンを含有するとされている。その含有量は、Aに含有されるカテキン量4.4ないし4. 7mg/100mlに照らすと、低含有のものでもA約2.5ないし2. 6L分、高含有のものではA約10L分相当であり、試験に用いられた飲料のカテキン含有量が、Aのそれよりも格段に多いことが明らかである。 また、資料8(甲13)の実証試験は、原告と利害関係のない専門家によって行わ 有のものではA約10L分相当であり、試験に用いられた飲料のカテキン含有量が、Aのそれよりも格段に多いことが明らかである。 また、資料8(甲13)の実証試験は、原告と利害関係のない専門家によって行われたものではあるものの、被験者について、カテキン含有量の多い飲料の摂取群と少ない飲料の摂取群の2群に分けて実施したというも のであって、プラセボ群が設定されていない点で、その試験方法が、本件各表示によって表示されたAの効果、性能に関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法であるとは到底いえない。 資料9は、茶カテキンに含まれるエピガロカテキンガレートの血中コレ ステロール低下作用についての試験に関する論文であるが、動物実験の結 果であり、ヒトにおいてどのような結果が得られるかは不明である。 資料17は原告が販売する「Q」及び「R」と称する茶葉の成分分析に係る検査証明書であり、本件追加提出資料(甲16)は、「黒茶の製造過程における化学成分の変化」に関する実験に係る資料である。上記各資料は、その実験、検査状況や検討過程が必ずしも明らかではないからいずれ も学術界又は産業界において一般的に認められた方法等によって得られた結果であるとは即断し難い。 また、資料8、9、17及び本件追加提出資料により実証された内容が、別紙4・別表1「表示内容」欄におけるAの含有成分である重合カテキン及び没食子酸に係る記載部分との関係では適切に対応するとしても、これ らの実証内容は、消費者庁長官が本件各表示により表示されているものと認定した、Aを摂取することにより成分の作用による著しい痩身効果が得られるという効果、効能と適切に対応するとはいえない。 したがって、資料8、9、17及び本件追加提 各表示により表示されているものと認定した、Aを摂取することにより成分の作用による著しい痩身効果が得られるという効果、効能と適切に対応するとはいえない。 したがって、資料8、9、17及び本件追加提出資料は合理的根拠資料に該当しない。 7 争点4(本件措置命令の対象範囲に係る違法の有無)に関する当事者の主張(原告の主張)⑴ 効果、効能ではない単なる客観的事実を本件各表示に含めるべきでないこと本件各表示には、Aの効果、効能に関する表示ではない客観的事実に基づ く表示が多数含まれている。このような表示を措置命令の対象に含めるとすれば、客観的事実に基づく表示までが優良誤認表示として事実に反するものであるとの誤認を一般消費者に与えかねない。したがって、以下に挙げる表示のような客観的事実に基づく各表示については、本件各表示から除外されるべきである。 ア本件各表示のうち体験者2名(G、M)の体験談に係る表示は、体験者 2名に「A3ヶ月トライアルダイエット」のモニターとして参加してもらい、その体重・体型の変化の結果を記録した測定データ表(資料27)記載の客観的事実に基づいた表示である。モニター参加者の選定に当たっては、相当数の応募の中から無作為に選定し、作為が生じないように考慮して参加者を決定しており、統計的に客観性が十分確保されている。 上記各表示は、実際にAの摂取とともに食事の管理や運動を実施した結果として、体重・体型の変化を示すものである以上、当該資料は、客観的に実証された内容を記載したものである。さらに、体験者2名の実際の測定記録に基づいて表示をしている以上、表示と実証された内容は、適切に対応している。 イ本件各表示のうち原告従業員(N又はH)の体験談に係る表示は、同人らが実際に に、体験者2名の実際の測定記録に基づいて表示をしている以上、表示と実証された内容は、適切に対応している。 イ本件各表示のうち原告従業員(N又はH)の体験談に係る表示は、同人らが実際にAを飲用するとともに軽い運動や食生活の見直しに取り組んだ結果として体重が減少した減少幅を記載したものであり、客観的事実に基づいた表示である。Nの体験談については、過去の自社会員向けカタログに掲載された取材や健康診断結果から、Hの体験談については、同人から 聴取を行った際のメモやダイエットグラフの記載から、それぞれ事実に合致することが証明されている。 ウ本件各表示には「中年太りに悩む方々からお取り寄せが殺到」、「日本一売れている」、「メーカーシェア日本一」との各表示が含まれている。上記の各顧客層及び売上げに関する表示は、Aの効果や性能に関する表示では ないところ、原告は上記表示の根拠としてAの購入年齢層やマーケット調査会社による調査等のデータを提出しており、合理的な根拠によって裏付けられている。 エ本件各表示には、Aの効果、効能に関する表示ではない利用者からの意見に基づく表示(「中年太りを解決している人、続々!」)が含まれている。 上記利用者からの意見に基づく表示は、Aの効果や性能に関する表示では ないところ、原告は上記表示の根拠としてAの利用者から寄せられたアンケート・手紙を収集したデータを集計した資料を提出しており、表示内容が実証されている。 ⑵ 本件別商品体験談に係る部分を本件措置命令の対象とすべきでないこと本件措置命令においては、本件別商品体験談について、「本件商品を摂取し たことによるものではなかった」と認定されている。 しかしながら、原告は、令和元年8月頃、AではなくBによる体験談を掲載する 件措置命令においては、本件別商品体験談について、「本件商品を摂取し たことによるものではなかった」と認定されている。 しかしながら、原告は、令和元年8月頃、AではなくBによる体験談を掲載するという本件別商品体験談の誤りが発覚したことを受けて直ちにその掲載を中止するとともに、同月7日付け調査票において、当該事実を消費者庁に報告した。続いて、原告は、前提事実イのとおり、同年10月5日付け で全国紙2紙の朝刊に本件別商品体験談に対する謝罪広告を掲載するとともに、定期購入する顧客等へ自社カタログを送付する際に本件別商品体験談に関するお詫びと訂正を同封した。これにより一般消費者の誤認のおそれは既に解消されているといえる。 また、景表法8条2項は「課徴金対象期間」を「課徴金対象行為をやめた 後そのやめた日から6月を経過する日」と定めており、不当表示が取りやめられた場合、一般消費者への影響が継続するのは長くとも6か月間であると理解されている。本件では本件別商品体験談の掲載を取りやめてから本件措置命令の発出までに約1年8か月もの期間が経過している。 以上によれば、本件別商品体験談による一般消費者への影響は既に消滅し ており、本件別商品体験談を本件措置命令の対象に含めるべきではない。 (被告の主張)⑴ 効果、効能ではない単なる客観的事実を本件各表示に含めるべきでないとの原告の主張について原告は、本件各表示のうち体験者及び従業員による体験談に係る表示部分、 顧客層及び売上げに関する表示部分並びに利用者の意見に関する表示部分 は、Aの効果、効能ではない単なる客観的事実に基づく表示であって、措置命令の対象となる本件各表示から除外されるべきである旨主張する。 しかしながら、上記原告の評価方法は、正に運用指針が不適 は、Aの効果、効能ではない単なる客観的事実に基づく表示であって、措置命令の対象となる本件各表示から除外されるべきである旨主張する。 しかしながら、上記原告の評価方法は、正に運用指針が不適切な評価手法として例示する「表示上の特定の文章、図表、写真等から一般消費者が受ける印象・認識」をとらえる手法にほかならない。また、仮に表示されている 個々の文章が全て正しくても、共に表示されている図表、写真等を含めた表示内容全体からみて一般消費者の誤認を生じさせる場合には不当表示として問題となるということにも反する。 特に体験談に係る表示部分は、これらを目にする一般消費者に対し、性別や元々の身長・体重を問わず、Aを摂取することで中年太りの悩みを解決し ている実在の人物が数多くいると認識させ、Aのこのような効果、効能が、特別な属性の者に対してのみならず、広く自身も含む摂取者一般に生じるものとの印象や期待を強固なものとするものである。 したがって、原告指摘に係る上記各表示部分を本件各表示に含めて本件措置命令をした消費者庁長官の判断には誤りはない。 ⑵ 本件別商品体験談に係る部分を本件措置命令の対象とすべきでない旨の原告の主張について本件別商品体験談の誤りについて原告が行った対応は、飽くまでも本件別商品体験談がAとは別の商品によるものであったことに係るものであって、本件各表示による優良誤認表示に係るものではない。したがって、原告の行 った対応によって本件各表示に係る一般消費者の誤認のおそれが解消されたとはいえないから、本件別商品体験談を本件措置命令の対象とすべきでない旨の原告の主張は前提を欠くものである。 8 争点5(本件措置命令に係る裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無)に関する当事者の主張 (原告の主張) 商品体験談を本件措置命令の対象とすべきでない旨の原告の主張は前提を欠くものである。 8 争点5(本件措置命令に係る裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無)に関する当事者の主張 (原告の主張) ⑴ 本件措置命令の必要性がないことア本件各表示による一般消費者への影響が消滅していること本件各冊子は、7か月間の間に通販カタログ「C」の会員である購読者に対してのみ配布されたものである。このように、本件各冊子は、比較的短い期間において、一部の限られた一般消費者に対してのみ配布されたも のにすぎず、不特定多数の一般消費者が目にするものではない。本件各冊子が最後に配布されたのは令和元年6月24日であり、「C」への同梱の方法によるAの広告冊子の配布も令和2年2月29日を最後に取りやめられている。現在では、Aの広告には全く異なる表示が用いられている。また、前記7(原告の主張)のとおり、景表法8条2項の「課徴金対象期間」の 定めは、行為終了から6か月を経過すれば、一般消費者への影響が消滅することを前提としている。さらに、本件別商品体験談についての訂正及び謝罪を行ったことは前記のとおりである。 したがって、本件各冊子における本件各表示が一般消費者の意思決定に与える影響は既に消滅しており、本件措置命令により本件各表示の影響を 払拭すべき必要性はない。 イ既に再発防止策が講じられていること原告は、前回措置命令の後、外部コンサルティング会社へ委託して広告の表示内容について必要な助言及び指導を受けており、適法性確保に努めている。また、本件別商品体験談の誤りが発覚したことを受け、代理人弁 護士による調査を実施し、指摘された課題克服のためコンプライアンス体制の改善や強化に取り組んできた。令和2年8月1日付けで就任した 。また、本件別商品体験談の誤りが発覚したことを受け、代理人弁 護士による調査を実施し、指摘された課題克服のためコンプライアンス体制の改善や強化に取り組んできた。令和2年8月1日付けで就任した代表取締役社長Oは、広告表現の訴求力に頼る従来の事業方針を見直し、事業の多角化に取り組んでいる。加えて、原告は、内部統制及びコンプライアンスの強化のため、広告制作部門の人事異動、広告表示の適法性を審査す る部署である品質管理部門の大幅増員等の施策を実施している。これらを 受けて、原告は、広告活動の方針についても大きな変更を行っている。このように、原告は新たな経営陣の主導の下に、社内体制の変更や広告活動方針の変更等によって、既に十分な再発防止措置を講じているのであり、今後は再度の景表法違反の表示を行うおそれはないから、本件措置命令に係る再発防止命令を発する必要はない。 ⑵ 本件措置命令が相当性を欠くことア営業及び営利的表現の自由が憲法上保障されていること企業による営利活動及び広告における表現は、営業の自由及び営利的表現の自由として憲法上保障されており、本件においても、原告の営業活動及び広告表現に対して過度の規制がされる場合には、景表法の適用におい て憲法違反の問題を生じるおそれがあり、これが景表法に基づく措置命令としてされれば、当該命令は裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法な処分となる。 イ本件措置命令による不利益が大きいこと本件措置命令は、発出当日に消費者庁のウェブサイトにおいてその概要 が公表されるとともに、午後3時には同庁による記者発表が行われ、各種報道機関により本件措置命令に関する報道がされた。これにより、原告は、多くの利用者からの苦情や商品の解約申出を受けるとともに、インターネッ れるとともに、午後3時には同庁による記者発表が行われ、各種報道機関により本件措置命令に関する報道がされた。これにより、原告は、多くの利用者からの苦情や商品の解約申出を受けるとともに、インターネット販売及び宣伝広告に関する取引先からの取引中止等が申し入れられるなど商品や事業への信頼性が大きく損なわれ、売上げにも深刻な悪影響が 生じている。本件各冊子の配布された範囲が限られているにもかかわらず、措置命令のような原告の事業全体へのイメージ低下を招く措置をもって臨むことは、手段としての相当性を欠くものである。景表法の理念に従い、法令順守のために抜本的な社内改革を推し進めてきた原告に対して、本件措置命令をすることは明らかに酷であり、景表法の目的にもそぐわない。 また、本件措置命令は、前回措置命令からわずか数年後に再度の措置命 令がされたものとして、消費者や取引先からの注目を集め、原告のブランドイメージを深刻に毀損するものである。他方で、原告は、本件別商品体験談の誤りについて訂正及び謝罪を行っており、それにもかかわらず本件措置命令がされれば、事実上二重の制裁が加えられたに等しい結果を生じることとなる。 ⑶ 本件措置命令の必要性等について十分な検討がされていないことア原告の報告内容や提出資料が考慮されていないこと原告は、中部事務所に対して、令和2年11月13日付けの報告書を提出し、前回措置命令への対応や社内体制の見直し等について詳細かつ具体的に報告した。また、本件資料提出要求に対する回答書においても、再発 防止策が講じられており本件措置命令の必要性がないことを詳細に述べた。 それにもかかわらず本件措置命令がされた経緯からすれば、本件措置命令の必要性等の検討において、考慮されるべきである原告の上記報告内容が が講じられており本件措置命令の必要性がないことを詳細に述べた。 それにもかかわらず本件措置命令がされた経緯からすれば、本件措置命令の必要性等の検討において、考慮されるべきである原告の上記報告内容が十分に検討されたとは考え難い。 イ調査方針が不合理に変遷したこと 原告は、令和2年12月17日、中部事務所から、原告従業員であるPの調書作成のための面談をする旨告げられ、具体的なスケジュールも決められていたが、上記面談実施前の令和3年2月16日、弁明の機会を付与する旨を告知され、同月24日、上記面談は一方的にキャンセルされることとなり、消費者庁は、同年3月23日、本件措置命令を発した。このよ うに、中部事務所は更なる調査が不可欠であると理解していたにもかかわらず、消費者庁は、異なる理解に基づき、弁明の機会の付与の時点で既に本件措置命令の内容を作成していたものである。以上の経緯のとおり、本件措置命令は消費者庁と中部事務所との間での情報共有が不十分な状況下で作成されたものであり、その必要性等について十分な検討がされたとは 到底考えられない。 ⑷ 本件措置命令が景表法の定める目的を逸脱していることア原告の提出資料に対して何ら指摘がなかったこと原告は、令和元年8月7日に中部事務所に調査票とともに本件実証試験等の資料を提出し、約1年半近くにわたって事情聴取等に協力していたにもかかわらず、令和3年2月22日の弁明の機会の付与において、本件実 証試験の結果への信頼性が十分でないことなどの指摘を受けるまで、何ら問題点等を指摘することはなかった。このような消費者庁による対応は、不当表示による誤認の防止に取り組んできた原告の努力及び調査協力を反故にし、必要な範囲を超えた制裁を与えるものであって、景表法1条の目的を逸 指摘することはなかった。このような消費者庁による対応は、不当表示による誤認の防止に取り組んできた原告の努力及び調査協力を反故にし、必要な範囲を超えた制裁を与えるものであって、景表法1条の目的を逸脱している。 イ本件措置命令が自主的な誤認の解消措置を促す景表法の趣旨に反していること平成26年11月改正により導入された景表法上の課徴金制度の重要な目的の一つは事業者による自主的な是正措置を促すことにあるところ、原告は、本件別商品体験談の誤りについて、自主的な是正措置を促すという 上記景表法の目的に従って、問題の発覚後直ちに訂正及び謝罪を日刊新聞2紙に掲載するなどの誤認のおそれの解消措置を講じており、その内容は消費者庁及び中部事務所にも報告している。 上記のように自主的な是正措置を講じたにもかかわらず、消費者庁は、本件措置命令において、本件別商品体験談の誤りに関する事実が本件措置 命令の根拠となる事実と認定した上、本件措置命令の記者発表に当たり、本件別商品体験談の誤りを殊更強調し、しかも、当該体験談が架空のものであったなどと、一般消費者に誤った印象を与えかねない不適切な表現を用いて説明した。このような消費者庁の行為は、自主的な誤認の解消措置を講じた事業者に対して、当該措置を理由に不利益を与えているに等しく、 ひいては、事業者に対し消費者庁への自主的な違反行為とその是正の報告 を委縮させるおそれすらあるものである。 ⑸ 小括以上によれば、本件措置命令は、消費者庁長官に与えられた裁量の範囲を逸脱し、又は濫用するものとして違法であり、取り消されるべきである。 (被告の主張) ⑴ 本件措置命令に消費者庁長官の裁量権の逸脱、濫用は認めらないこと景表法7条1項は、消費者庁長官がどのような内容の措置 するものとして違法であり、取り消されるべきである。 (被告の主張) ⑴ 本件措置命令に消費者庁長官の裁量権の逸脱、濫用は認めらないこと景表法7条1項は、消費者庁長官がどのような内容の措置を命じるかについての判断を消費者庁長官の合理的な裁量に委ねているから、本件措置命令が違法となるのは、消費者庁長官の判断に裁量権の逸脱、又はその濫用があった場合に限られる。 本件各表示は、景表法7条2項により優良誤認表示とみなされるものであり、原告による自主的な誤認排除措置が講じられたものではないから、一般消費者による自主的かつ合理的な商品選択を阻害するおそれを排除し、一般消費者の利益を保護する必要性が認められた。しかも、原告については、本件措置命令に先立ち、本件各表示と同様の優良誤認表示に係る前回措置命令 を受けていたところ、前回措置命令からわずか約半年後の遅くとも平成30年4月3日に、本件各表示による優良誤認表示を開始している。本件各表示に含まれる本件別商品体験談は、前回措置命令の対象となったBの利用者であったはずの体験談が、Aについての本件各表示にそのまま掲載されていたというものである。上記の事実経過に鑑みれば、原告が本件別商品体験談に ついて、自ら中部事務所に報告したことや社告を行ったこと等の事情を踏まえてもなお、原告においては、景表法における法令順守意識が低く、法令順守のための体制も脆弱で、いずれについても大幅な改善の必要性が高いと認められる状況にあった。以上の事情を踏まえると、本件措置命令をした消費者庁長官の判断に裁量権の範囲の逸脱、又はその濫用があったとは認められ ない。 ⑵ 本件措置命令について必要性を欠く旨の原告の主張に理由がないこと本件各冊子の配布部数は合計175万部超であり、その配 量権の範囲の逸脱、又はその濫用があったとは認められ ない。 ⑵ 本件措置命令について必要性を欠く旨の原告の主張に理由がないこと本件各冊子の配布部数は合計175万部超であり、その配布の規模は小さいとはおよそいい難い。 また、景表法8条2項の規定は、課徴金算定に当たり、不当表示によって惹起される「一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれ」が残 存する期間を政策的に6か月としたにすぎず、実態として6か月の経過により一般消費者に生じた誤認が解消するものではない。本件各表示によって一般消費者に生じたAの効果、効能に係る誤認も、時の経過によって当然に解消されるものではない。 したがって、本件各冊子の配布規模や本件各冊子の配布終了から約1年9 か月を経過したことは、本件措置命令の必要性を否定する理由とはならない。 また、原告が令和2年11月13日付け報告書により消費者庁に報告した再発防止策は、前回措置命令及び本件別商品体験談の誤りを踏まえたものにすぎず、本件各表示による景表法違反に係る再発防止策を講じているとは認められない。 ⑶ 本件措置命令が相当性を欠く旨の原告の主張に理由がないこと原告は、本件措置命令の公表及びその報道によって原告の事業全体に対して重大な影響を及ぼしており、本件措置命令による不利益の程度が必要性に比して不相当である旨主張する。 しかしながら、事業者が、不当表示を行ったことについて景表法違反を理 由とする措置命令を受けた場合、原告の主張するような事業への影響があり得るとしても、そのことは、景表法7条1項の措置命令の性質上、当初から予定されているものである。したがって、原告の指摘する事業への影響が認められるとしても、本件措置命令の相当性が失われるものとはいえない。 また そのことは、景表法7条1項の措置命令の性質上、当初から予定されているものである。したがって、原告の指摘する事業への影響が認められるとしても、本件措置命令の相当性が失われるものとはいえない。 また、原告は、平成29年9月29日付けで前回措置命令がされたことが 本件措置命令の相当性を減殺する事情であると主張するが、前回措置命令が されたことはむしろ本件措置命令の必要性及び相当性を高める事情である。 ⑷ 本件措置命令の必要性等について十分な検討がされていないとする原告の主張に理由がないこと消費者庁長官は、原告が任意調査において提出した報告書等を踏まえてもなお本件措置命令について必要性及び相当性があると判断したものである。 本件措置命令に至る調査経緯が本件措置命令の必要性及び相当性の判断に影響を与えるものではないことを措くとしても、措置命令に至るまでの調査過程においていかなる措置をいつ行うかは消費者庁長官の合理的な裁量に委ねられている上、原告の主張を踏まえても本件の調査経過に何ら不合理又は不可解と認められる点はない。 ⑸ 本件措置命令が景表法の定める目的を逸脱している旨の原告の主張に理由がないこと景表法違反被疑事件の調査過程において対象事業者から提出される個々の資料に対し、消費者庁長官が個別の指摘を行うか否かについても、消費者庁長官の有する合理的な裁量に委ねられている。したがって、本件において、 消費者庁長官が、弁明の機会の付与までの間に、原告が提出した資料に関し何ら指摘をしなかったことにより、本件措置命令が違法となるものではない。 また、本件別商品体験談の誤りについて原告が行った対応は、飽くまでも同体験談がAとは別の商品によるものであったことに係るものであって、本件各表示による優良誤認表示に係るもの 法となるものではない。 また、本件別商品体験談の誤りについて原告が行った対応は、飽くまでも同体験談がAとは別の商品によるものであったことに係るものであって、本件各表示による優良誤認表示に係るものではないから、これによって、本件 各表示に係る一般消費者の誤認のおそれが解消されたとはいえない。本件措置命令に係る記者会見において、消費者庁担当者が、本件別商品体験談が「架空」のものであると言及したことは事実であるが、その趣旨は、本件別商品体験談に係る表示について、Aの摂取に基づくものであるという根拠がなかったことをいうものであって、本件の事態に即した評価にほかならないから、 何ら一般消費者の誤解を誘発するものではなく、景表法の趣旨を逸脱するも のでもない。 9 争点6(本件措置命令に係る手続上の瑕疵の有無)に関する当事者の主張(原告の主張)⑴ 前記8(原告の主張)のとおり、消費者庁長官は、中部事務所により原告従業員の調書作成が予定されていたにもかかわらず、この予定を知らずに又 は殊更これを無視して、本件措置命令の内容を作成し、これを予定された命令内容として弁明の機会を付与する旨の通知をした。このような、従前の調査の経緯を無視した弁明の機会の付与は、余りに不意打ち的なものであって、弁明の機会の付与に係る手続の趣旨を没却する行為である。 ⑵ 消費者庁長官は、令和3年3月8日に弁明書を受領した後、わずか約1週 間後の同月16日に本件措置命令の発令のため、原告に対し、同月23日に中部事務所を訪れるよう指示している。また、本件措置命令は、弁明の機会の付与の際に提示された予定される処分の内容とほぼ同一の内容であった。 これらの事情からすれば、形式的には弁明の機会の付与がされたものの、消費者庁長官としては、原告による弁 本件措置命令は、弁明の機会の付与の際に提示された予定される処分の内容とほぼ同一の内容であった。 これらの事情からすれば、形式的には弁明の機会の付与がされたものの、消費者庁長官としては、原告による弁明の内容を真摯に検討する意思を当初か ら有していなかったと考えざるを得ない。したがって、本件措置命令に先立つ弁明の機会の付与の手続は、全く形骸化されていたのであり、実質的な弁明の機会の付与の手続が行われたとはいえない。 ⑶ 以上によれば、本件措置命令は行政手続法13条1項2号に違反する重大な瑕疵がある。 (被告の主張)⑴ 景表法違反被疑事件に係る調査結果を踏まえていつ弁明の機会を付与するかについては、消費者庁長官の合理的な裁量に委ねられているところ、従前の調査の過程で相手方に伝えていた調査の予定を変更して弁明の機会を付与したとしても、その後の弁明の機会の付与手続が適正に行われていれば、不 利益処分の名宛人となるべき者に対して事前に弁明の機会を保障するという 同手続の趣旨に抵触する点はない。原告が論難する原告従業員の供述調書の録取については、令和3年2月2日に中部事務所の所在する愛知県内における新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言が同年3月7日まで継続されることが発表されたことを受け、そのような状況下において、県外に所在する会社の従業員の供述調書を録取する現実的可能性及びこれに伴うリスク と消費者保護の観点から本件措置命令を早期に行う必要性等を検討しつつ、何度か録取のための日程調整を行ったものの、最終的に消費者庁長官において、これを行わずに弁明の機会を付与することを決定したものである。この過程については、中部事務所と消費者庁との間で情報共有が図られていた。 ⑵ 弁明手続は対審的手続を採らず、不意打ちを 庁長官において、これを行わずに弁明の機会を付与することを決定したものである。この過程については、中部事務所と消費者庁との間で情報共有が図られていた。 ⑵ 弁明手続は対審的手続を採らず、不意打ちを回避するための最低限度の手 続であって、当事者等の防御権行使も必要最小限度のものであることから、行政庁には弁明手続を経た上で事実認定を行うべき義務があるものの、提出された弁明書及び証拠書類等を取り上げるかどうかは行政庁の裁量に委ねられる。また、弁明手続において行政庁には弁明書や証拠書類等に対する応諾義務もない。 本件において、消費者庁長官は、原告が提出した弁明書についてその内容によって本件措置命令の内容を変更等すべきか否かを検討した上で、本件措置命令を発出しているのであって、当該検討の期間が約1週間であり、本件措置命令発出の際に弁明書における原告の主張に言及することがなかったとしても、そのことによって本件措置命令の手続が違法となるものではない。 ⑶ 以上によれば、本件措置命令の手続は適法である。 第3 当裁判所の判断 1 本件の審理の対象について⑴ 景表法7条2項の趣旨等商品等の品質、規格その他の内容について優良性を強調する表示は、一般 消費者に対して強い訴求力を有し、顧客誘引力が高く、一般消費者は表示に 沿った効果や性能等を備えているものと期待するのが通常であって、当該商品等の効果や性能等について、実際のものよりも著しく優良であると示す表示が行われた場合には、事業者との商品等の取引における一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害し、一般消費者の利益を損なうおそれが大きい。 しかし、消費者庁長官が、当該商品が表示に沿った効果や性能等を備えてい ないことを立証するには、専門機関による調査や鑑定等が 的かつ合理的な選択を阻害し、一般消費者の利益を損なうおそれが大きい。 しかし、消費者庁長官が、当該商品が表示に沿った効果や性能等を備えてい ないことを立証するには、専門機関による調査や鑑定等が必要になり、そのために多大な時間、労力及び費用を要することが少なくないことから、その立証が可能となるまでの間、このような不当な表示が社会的に放置され、一般消費者の被害が広範に拡大するおそれがある。他方、上記のように商品の効果や性能等について優良性を強調する表示を行い、顧客誘引力を高めて利 益の獲得を図ろうとする事業者は、そのような表示を行う合理的な根拠資料をあらかじめ有しているべきであるといえる。 そこで、景表法7条2項の規定(不実証広告規制)は、消費者庁長官が事業者に対し表示の裏付けとなる合理的根拠資料の提出を求め、事業者がこれを提出しない場合には、当該表示を同法5条1号に該当する表示(優良誤認 表示)とみなすという法的効果を与えることによって、消費者庁長官が迅速かつ適正な審査を行い、速やかに措置命令を発することを可能にして、一般消費者の利益の保護という法の目的(同法1条)を達成しようとするものである。 ⑵ 本件措置命令の処分要件及び本件審理の対象等 本件措置命令は、景表法7条2項に基づき、本件各表示が同法5条1号の優良誤認表示とみなされることを理由に発せられたものであるから、本件措置命令が適法であるといえるためには、同法7条2項に規定された要件、すなわち、消費者庁長官による本件資料提出要求が、本件各表示が景表法5条1号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるとき(同法7条1 項)にされたものであること(争点2)及び本件資料提出要求に対し、原告 が本件各表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を 該当するか否かを判断するため必要があると認めるとき(同法7条1 項)にされたものであること(争点2)及び本件資料提出要求に対し、原告 が本件各表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を提出しなかったこと(争点3)が必要である。 また、本件においては、上記各要件の有無を判断する前提として、本件各表示が本件商品(A)の効果や性能等についていかなる内容を表示しているかについて争いがあるため、以下では、まず本件各表示の意味内容(争点1) を検討した上で、上記各要件の有無(争点2及び3)並びに原告らの主張するその余の違法事由の有無(争点4ないし6)を検討する。 2 争点1(本件各表示の意味内容)について⑴ 優良誤認表示の意義について景表法の不当表示規制が、不当表示による顧客の誘引を防止し、一般消費 者による自主的かつ合理的な選択を確保して、一般消費者の利益を保護することを目的とするものであること(同法1条参照)に鑑みれば、同法5条1号(優良誤認表示の禁止)にいう「一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示」す表示とは、商品等の品質、規格その他の内容について、表示の内容全体から通常の知識や情報を有する一般消費者が受ける印象 ないし認識と実際のものとの間に差異を生じさせるものであって、一般消費者に対して、社会一般に許容される誇張の限度を超えて商品等の優良性を示す表示をいうものと解するのが相当である。 そして、一般消費者に対して、社会一般に許容される誇張の限度を超えて商品等の優良性を示すといえるか否かは、表示が文字、イラスト、画像、動 画等のどのような表現方法によっていかなる媒体(商品そのものへの表示か、チラシ、小冊子、新聞、TV、ネット上等への表示か。)に表示されているか、各表現方法の量的比 が文字、イラスト、画像、動 画等のどのような表現方法によっていかなる媒体(商品そのものへの表示か、チラシ、小冊子、新聞、TV、ネット上等への表示か。)に表示されているか、各表現方法の量的比率や組合せの態様、各表現の内容自体、各表現方法及び内容が媒体上においてどのように表示全体を構成しているかなどの当該表示自体に係る事情、商品等の性質や一般的周知性等の当該商品に係る事情、当 該表示の受け手である一般消費者の当該商品等についての知識、理解等の表 示の受け手である一般消費者側の事情の各事情を総合し、社会通念に照らして、一般消費者が当該表示の内容全体についてどのような印象ないし認識に至るかに基づいて判断するのが相当であり、表示上の特定の文章、図表、写真等から一般消費者が受ける印象ないし認識のみに基づいて判断することは相当ではないというべきである。 ⑵ 表示の意味内容の判断方法について上記⑴を踏まえて本件各表示の内容についてみると、前提事実のとおり、本件各冊子は、通信販売の商品に同梱された16頁の小冊子であるから、読み手としては、表表紙を見て、頁の順に内容を読み進め、裏表紙に至るか、小冊子という体裁から表表紙及び裏表紙を見た上で、頁の順に内容を読み進 めると考えられ、本件各小冊子もその読み方を前提とした構成となっている。 そこで、以下、表表紙部分、漫画部分、体験談部分、商品開発経緯や購入方法等に係る部分、裏表紙部分の順に(表表紙部分と裏表紙部分を最初に見た場合も含む。)、上記の判断基準に従って各部分を検討し、各部分の検討を総合して本件各表示全体の意味内容について検討する。 本件各表示の意味内容についてア表表紙部分(本件各冊子1枚目)について表表紙部分には、「D」という表題が大きく記載され、 検討を総合して本件各表示全体の意味内容について検討する。 本件各表示の意味内容についてア表表紙部分(本件各冊子1枚目)について表表紙部分には、「D」という表題が大きく記載され、その下には、同じ服装を身に着けた、後記イの漫画の主人公である太った体型で暗い表情を浮かべている女性のイラストと、痩せた体型で明るい表情をした女性のイ ラストが配置されるとともに、ほぼ中央部分に比較的大きなフォントで「もう一度、あの頃のスリムな私に!」、左側部分に「漫画でわかる!」、その左横に比較的大きなフォントで「メーカーシェア日本一の中年太りサポート茶とは!?」との文章が記載されており、カップに入ったお茶の画像も表示されている。 以上の表示を目にした一般消費者は、対照的に描かれている女性の体形 のように中年太りを解消する効果を有するお茶の広告冊子であり、そのお茶の飲用によって、イラストのようにスリムになれるとの印象を持つことが認められる。 イ漫画部分(本件各冊子2ないし9枚目)について本件各冊子の漫画部分のストーリーを全体としてみると、おおむね以 下の内容である。 「どうして!?年々太りやすく、やせにくく…。」「それ、中年太りかもしれません…。」という文字と、鏡で自分を見る主人公のコマから始まる。主人公(59歳の女性)は、同窓会に参加した際に、同級生から担任の先生と間違えられた上、その際に撮影した写真に写る自分の姿が、 「中年太り」が原因で同級生よりも老けて見えることにショックを受ける。主人公は、これを機にダイエットを決意して食事制限や運動等に取り組んだものの、ひざを痛めるなどして失敗する。すると、突如、男性キャラクター(後に、原告の当時の代表取締役社長であることが判明する。)が登場し、主人公に にダイエットを決意して食事制限や運動等に取り組んだものの、ひざを痛めるなどして失敗する。すると、突如、男性キャラクター(後に、原告の当時の代表取締役社長であることが判明する。)が登場し、主人公に対し、「中年太り」の原因は代謝の低下であっ て、無理な食事制限等は有効ではなく、「中年太り」のためのダイエットには食事の量よりも質が重要であるなどと指摘する。男性キャラクターは、続けて、飲み物の質も同様であるとして、主人公に「日本一の中年太りサポート茶」とされるAを紹介し、その茶葉は男性キャラクターが自ら世界中を歩き回り、中華人民共和国雲南省でようやく見つけたもの であって、Aはこれを「中年太り」向けにブレンドしたものであるなどと説明する。Aを飲んでその美味しさに驚いた主人公は、日々の食事とともに毎日Aの摂取を続けるなどしていたところ、以前はきつくて履くことができなかったズボンがすんなりと履けるようになり、これまで一向に変化しなかった体重が減少していることに驚く。主人公は、娘から も体型の変化に気付かれるようになり、これを見た主人公の夫、娘及び 娘の夫もAの摂取を開始して、同様にすっきりした体型へ変化を遂げる。 その後、娘家族とともに海水浴に出かけた主人公が、孫から「おばあちゃん」と声を掛けられると、周囲の人から「お母さんじゃないんですか!?」と驚かれ、主人公は、若く見られるようになったと喜ぶ。 上記の漫画部分のストーリーを全体としてみると、「中年太り」に対し ては食事制限や過度な運動によるダイエットが必ずしも有効ではないこと、Aが「中年太り」に有効な特別な茶葉を使用した商品であること及び日々摂取する飲料をAに代えるだけで大幅な体型の変化を遂げることができることが強調されているといえ、これを目にした一般消費者と いこと、Aが「中年太り」に有効な特別な茶葉を使用した商品であること及び日々摂取する飲料をAに代えるだけで大幅な体型の変化を遂げることができることが強調されているといえ、これを目にした一般消費者としては、Aそれ自体に大幅な痩身効果があるとの印象を受けるものといえ る。 また、漫画の各コマの具体的描写を見ても、主人公がAの摂取を開始する場面では、「この美味しさで、嬉しい成分が凝縮されているなんて!」、「これなら無理なく続けられるかも…」、「これは簡単!」等の表現により、Aの摂取が、食事制限や運動によるダイエットよりも簡単な方法で あることが強調されている。そして、Aの摂取を開始した主人公は、イラストの見た目上も明らかに体型が大きく変化し、体重計に乗って「ビクともしなかった体重が落ちてる!」などと自らの体重の変化に驚く様子や、周囲からも「すっごくスッキリしてる!」などと体型の変化に驚かれる様子が描写されている。 さらに、男性キャラクターが、お茶に含まれるカテキンは「とっても嬉しい成分」が凝縮されているが日本ではカテキンが少ないので世界中を行脚し、ついにこの地にしか採れない雲南省ハニ族のプーアール茶を見つけたこと、これに杜仲茶や烏龍茶等を独自の配合で「“中年太り”向けにブレンドし」(同一箇所の5行中では大きなフォントとなっている。)、 毎日がぶがぶ飲んでもクセになる美味しさに仕上げたことなどが記載さ れている。 そして、漫画がイラストと文字から成るコマによって構成され、両者の表示や文章によって全体としてストーリーを構成するという表示形式の特質に鑑みれば、一般消費者としては、個々のコマや文章を読み進めて漫画全体を読み、ストーリー全体が表示する内容をその漫画の意味内 容として認識し、全体と してストーリーを構成するという表示形式の特質に鑑みれば、一般消費者としては、個々のコマや文章を読み進めて漫画全体を読み、ストーリー全体が表示する内容をその漫画の意味内 容として認識し、全体として形成される印象の方が、個々のコマが与える印象よりも強いものであることが通常であるといえる。 以上の点を踏まえると、この漫画部分全体を見た一般消費者としては、Aには産地が極めて限定された茶葉が他のお茶と中年太り向けにブレンドされており、主人公と同様に食事制限や運動によって痩せることがで きなかった者についても、毎日飲めるおいしい味のAの摂取を継続するだけで、Aに含まれる成分の作用によって容易に大幅な痩身効果が得られるかのような印象を受けるものと認められる。 これに対し、原告は、漫画部分では、Aの摂取に加えて適度な運動や食事制限が重要であることが繰り返し強調されており、Aに含まれる成 分の作用により著しい痩身効果が得られるなどとは一切表示されていない旨主張する。 a 確かに、漫画部分には、男性キャラクターが、主人公に対し、中年太りのダイエットには、食事量や運動量を減らすのではなく質が重要であると指摘し、具体例として肉の種類や調理法によってカロリーを 抑えられること等を紹介する場面がある(本件各冊子4枚目)。しかしながら、漫画は、上記部分に続き、男性キャラクターが「さらに、飲み物の質もそう」、「Aを選んでいる方が増えている」、「今、日本一売れている中年太りサポート茶」であると話す部分に続くこと、主人公がAの摂取を開始して大幅な体型の変化を遂げる場面においては、具 体的に食事制限に取り組んだ様子はほとんど描かれていないことに加 え、前判示に係る漫画部分全体のストーリーを踏まえると、一般消費者としては、摂取す 体型の変化を遂げる場面においては、具 体的に食事制限に取り組んだ様子はほとんど描かれていないことに加 え、前判示に係る漫画部分全体のストーリーを踏まえると、一般消費者としては、摂取するものの質が重要であるとの上記指摘は、飲み物の質も重要であるとしてAを紹介するための導入にすぎないとの印象を持つにとどまるものと認められる。 b また、原告は、主人公がAの摂取を決意する場面(本件各冊子6枚 目)の「教えていただいたこともあわせて気長に続けてみようかしら!」との記載によって、男性キャラクターから教えられた食事制限等の重要性が強調されている旨主張する。しかしながら、上記部分を含むコマは、Aの入ったコップを前にして驚いた様子の主人公のイラストや、Aの入ったコップを右手に持ち、左手で拳を握り締めている 主人公のイラストとともに、「何、これ!香ばしくて、本当においしーいっ!」、「この美味しさで、嬉しい成分が凝縮されているなんて!」、「これなら無理なく続けられるかも…」等の文章が記載されており、上記コマでは、Aが味においても優れているため無理なく続けられるダイエット法であることが強調されている上、「教えていただいたこ と」が具体的に何を指すものか必ずしも明確とはいえないから、上記部分をもって食事制限等の重要性が強調されているとはいい難く、一般消費者において、原告指摘に係る部分について、食事制限が重要であるとの印象を抱くとは認められない。 c 他方、主人公がAの摂取を開始した場面においては、「食べる順番は 野菜からね!」、「そして、ひとくち30回噛む!」などと後述のコラム欄において推奨されている食事方法を原告が取り入れている様子も描かれている(本件各冊子7枚目)。しかしながら、主人公は元々食事制限によるダイエ 」、「そして、ひとくち30回噛む!」などと後述のコラム欄において推奨されている食事方法を原告が取り入れている様子も描かれている(本件各冊子7枚目)。しかしながら、主人公は元々食事制限によるダイエットでは効果が現れなかったのであって、上記のような食事方法を取り入れるだけで、直ちに、その後に描かれているよ うな著しい体型の変化が生じるとは常識的にみて考え難いから、上記 部分を見た一般消費者は、主人公に生じた体型の変化は、食事方法の改善ではなく、主としてAの摂取によってもたらされたものであると認識することが認められる。 d 運動の重要性が強調されているとする原告の主張についてみても、「軽い運動も取り入れて続けるうちに…」という部分は、主人公が体 型の変化を遂げる前後のコマの間(本件各冊子7枚目)に文章が記載されているにとどまり、主人公が体型の変化を遂げる前後に具体的に運動に取り組んだ様子は描写されていない。したがって、上記説明書きをもって運動の重要性が強調されているとみることはできない。 また、主人公に影響を受けた夫がAの摂取を開始した場面(本件各 冊子9枚目)では、主人公と夫がウォーキングに取り組む様子が描かれたコマが一つ存在するものの、漫画全体のごく一部にすぎないものである上、そのコマには「ラクやせ生活はすっかり習慣に」という文章も記載されていることを考慮すれば、一般消費者において、上記場面を見て適度な運動が重要であるとの印象を抱くとは認められない。 e 以上のとおり、一般人においては、漫画部分を読んで適度な運動や食事制限が重要であることが繰り返し強調されていると認識するとは認められないから、原告の主張は採用することはできない。 さらに、原告は、漫画部分の下部の「お役立ちコラム」においても、各種 運動や食事制限が重要であることが繰り返し強調されていると認識するとは認められないから、原告の主張は採用することはできない。 さらに、原告は、漫画部分の下部の「お役立ちコラム」においても、各種調味料に含まれるカロリーやペットボトル飲料に含まれる糖分の量 を紹介するほか、「Aと一緒に実践したい!ラクやせ5つのコツ!」として、食事は野菜から順に食べると血糖値の上昇を緩和できること、食事は小さめの器に盛り付ける方が目の錯覚で食べ過ぎを防ぐことができること、よく噛んで食べると満腹感が得られること、よく噛んで食べるためには食材を大きめに切って食感を出すことが有効であること、代謝を 上昇させる食物酵素を含む生ものを摂ることが有効であること等が記載 されており、運動や食事制限が重要であることが繰り返し強調されている旨主張する。 しかしながら、漫画部分の各頁をみると、漫画のコマ部分が各頁の上部分4分の3以上を占めており、上記コラムの表示範囲は4分の1に満たないものである。そして、上記コラムは、食品等の画像やグラフが一 部挿入されているものの、相当部分が文章による説明であって、イラストによってストーリーが構成される漫画部分と比較すると、一般消費者の印象に残りやすいものであるとはいえない。また、上記コラムの文字の大きさは、見出しの文字を除いて漫画部分よりも小さく、コマの下部にあるという位置関係からしても、漫画を読み進める読者の目に留まり やすいものであるとはいい難い。さらに、上記コラムの内容についてみても、ダイエットに当たって推奨される食材の選択方法や調理方法等に関して、一般的な事柄を指摘するものにすぎず、前判示に係るAの詳細かつ具体的な説明や、様々なイラストの活用により表示されたAの摂取による痩身効果について、 って推奨される食材の選択方法や調理方法等に関して、一般的な事柄を指摘するものにすぎず、前判示に係るAの詳細かつ具体的な説明や、様々なイラストの活用により表示されたAの摂取による痩身効果について、一般消費者が受ける印象、認識を左右するも のであるとは認められない。 以上に判示した事情を総合的に考慮すれば、一般消費者は、漫画部分について、Aの効果や性能が、原告主張に係る食事制限や運動による痩身効果の促進にとどまると認識するものではなく、Aに含まれる成分に大幅な痩身効果があるとの印象を受けることが認められる。 ウ体験談部分(本件各冊子10、11枚目)について体験談部分は「E」、「F」、「G」という3名の人物について、Aの摂取によって中年太りを解消し、痩身効果を得たとする体験談が記載されている。同部分には、「-3.7kg減」、「-43kg減」、「4ヶ月で5kg減!2年半で43kg減!!」、「3ヶ月で約7kg減」、「-6.9kg減」 などとAの摂取によって減少したとする体重の値が、赤の丸囲みの中で大 きなフォントで表示され、また、文章の後ろの部分で赤字の相当大きなフォントで表示されている。さらに、「F」、「G」の体験談については、Aを摂取する前後を比較する趣旨で明らかに体型の異なる写真が配置されている。また、文章の部分でも、3名とも減少したとする体重の数値を含む部分が黄色のマーカー表示で協調されている。 上記のような体験談部分を見た一般消費者としては、Aを摂取することによって実際に大幅な減量や体型の変化を遂げた人物が存在しており、Aを摂取すれば、自らにも同様の効果が現れる可能性があるとの印象を受けるものと認められる。 エ商品開発経緯や購入方法等に係る部分(本件各冊子12ないし15枚目) に た人物が存在しており、Aを摂取すれば、自らにも同様の効果が現れる可能性があるとの印象を受けるものと認められる。 エ商品開発経緯や購入方法等に係る部分(本件各冊子12ないし15枚目) について商品開発経緯に係る部分(本件各冊子12、13枚目)には、「静岡の小さな情熱お茶屋のAが日本一になるまで」、「ダイエットで苦労している人を特別なお茶で助けたい!それが始まりでした」、「お茶の力でなんとかできんもんかと世界中を行脚」、「ついに見つけた!これだ!」との見出しと ともに、原告の当時の代表取締役社長がAの原材料を発見した経緯等が記載されている。また、本件各冊子13、15枚目には、Aを摂取した原告従業員(N又はH)、及び「M」の体験談が、「-34kg!」、「-15. 7kg!」、「私は1ヶ月で2.7kg減」との文言とともに記載され、本件各冊子14枚目には「次にスッキリするのはあなたの番」と記載されて いる。 上記の表示部分を見た一般消費者としては、Aが、ダイエットに効果がある特別な茶葉を使用した商品であるとの印象を受けるとともに、上記ウと同様、Aを摂取することによって大幅な減量や体型の変化を遂げた人物が実際に存在しており、Aを摂取すれば、自らにも同様の効果が現れる可 能性があると認識するものと認められる。 オ裏表紙部分(同16枚目)について裏表紙部分には、「全国から静岡へお取寄せ殺到!Aで大違い」の文字が大きく記載され、その右側には「まだ飲んでいない人。」の文字とともに、比較的太った体型の女性の写真が配置され、左側には「飲んでいる人。」の文字とともに体験談部分に登場した女性(F)の比較的痩せた体型の写 真が配置されており、体験談部分にも記載されていた「2年半で-43kg」という減少体重が記載 され、左側には「飲んでいる人。」の文字とともに体験談部分に登場した女性(F)の比較的痩せた体型の写 真が配置されており、体験談部分にも記載されていた「2年半で-43kg」という減少体重が記載されている。 上記表示部分は、一見して強い印象を残すことができる大きく異なる体形の写真を並べて表示することによってA摂取前後の体型の変化を強調し、減少した体重を具体的に表示することによって痩身効果を強調するも のであるといえるから、一般消費者が漫画部分や体験談部分等から受ける印象をより強めるものであるといえる。 また、表表紙と裏表紙を同時に見た場合でも、対照的な女性の体形のように中年太りを解消する効果を有するAの広告冊子であり、Aの飲用によって、イラストや写真の女性のように著しい痩身効果が得られるとの印象 を持つことが認められる。 カ打消し表示等について本件各表示には、別紙4の別表2のとおり、「※個人の感想であり実感されない方もいらっしゃいます」等の注意書きによる打消し表示の文言が記載されているが、これらの記載はいずれもフォントの大きさが痩身効果に 関する文字と比較して小さく、配色も痩身効果についての文字のように目立つ色は使用されておらず、その内容も結論だけの簡潔な内容にとどまっていることに照らしても、本件各表示が一般消費者に対して与えるAの痩身効果に関する印象ないし認識を打ち消すものであるとはいえない。 原告は、Aを摂取するだけで痩せられるわけではないことを示す表示が 漫画部分やコラム欄において多数存在している旨主張するが、原告が指摘 する部分がAの痩身効果について一般消費者に対して与える印象ないし認識を左右するものでないことは、前判示のとおりである。 キ小括以上に判示した本件各冊子の内容は、 張するが、原告が指摘 する部分がAの痩身効果について一般消費者に対して与える印象ないし認識を左右するものでないことは、前判示のとおりである。 キ小括以上に判示した本件各冊子の内容は、表表紙及び裏表紙を含む16枚のうちの半分に当たる8枚が漫画部分であって、量的に中心を占めているだ けでなく、表示形式としてみても、漫画は、文字だけでなくイラストと併せてストーリーを構成するものであるから、文字だけの文章と比較すると、読者にとって理解が容易であって、印象に残りやすいものであるといえることに照らせば、本件各冊子の表示内容は、漫画部分を中心とし、漫画部分以外の部分もそれ自体及び漫画部分の表示内容との関連も踏まえて、一 般人の印象ないし認識を判断すべきである。そして、一般人において、漫画部分を中心に本件各表示を全体としてみた場合には、本件各表示は、本件商品を含むAが「中年太り」を解消するための特別な茶葉を用いた商品であって、それ自体に大きな痩身効果があるとの印象、認識を持つに至ることが認められる。したがって、本件各表示は、Aを摂取することにより、 これに含まれる成分の作用によって著しい痩身効果が得られるかのように示す表示であると認めるのが相当である。 3 争点2(本件資料提出要求の必要性及び適法性)について⑴ 景表法7条2項に基づく資料提出要求の必要性に係る判断枠組みア景表法7条2項の趣旨が、優良誤認表示につき消費者庁長官が迅速かつ 適正な審査を行い、速やかに措置命令を発することを可能にすることによって一般消費者の利益を保護することにあることに加え、同項が「事業者がした表示が第5条第1号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるとき」と規定するにとどまることからすれば、同項に基づく資料提出要求を 者の利益を保護することにあることに加え、同項が「事業者がした表示が第5条第1号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるとき」と規定するにとどまることからすれば、同項に基づく資料提出要求をするか否かの判断は、消費者庁長官の合理的な裁量に委ねられて おり、消費者庁長官は、当該表示の内容や表示の裏付けとなる資料の所在、 当該商品等の性質やその効果、性能等に係る立証の難易等諸般の事情を勘案して、資料提出要求の必要性の有無を判断する裁量権が付与されているものと解すべきである。したがって、景表法7条2項に基づく資料提出要求をした消費者庁長官の判断が違法となるのは、同項の資料提出要求の必要性があると認めた消費者庁長官の判断が、裁量権の範囲を逸脱し、又は これを濫用したと認められる場合に限られると解するのが相当である。 イこれに対して、原告は、消費者庁長官が資料提出要求を発することができるのは、景表法5条1号の表示に当たる蓋然性が高いという実体的要件に加え、資料提出要求を発することなくして表示の合理的根拠についての判断材料を消費者庁長官が得ることができないという手続的要件を満たす 場合に限られ、また、景表法7条2項が、立証責任の転換という強力な効果を伴うこと等からすれば、同項の必要性の要件は厳格に判断されるべきである旨主張する。 しかしながら、景表法7条2項は「事業者がした表示が第5条第1号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるとき」と規定するにと どまり、原告の主張するような実体的要件及び手続的要件を課すべき法令上の根拠は見当たらない。資料提出要求をする必要性は、当該表示が優良誤認表示に該当する蓋然性の高低だけでなく、当該表示の内容、当該商品が有する効果、性能等に係る立証の難易やこれに関する資料 べき法令上の根拠は見当たらない。資料提出要求をする必要性は、当該表示が優良誤認表示に該当する蓋然性の高低だけでなく、当該表示の内容、当該商品が有する効果、性能等に係る立証の難易やこれに関する資料の所在等によっても左右されるものであるから、原告の主張する実体的要件を満たす場 合に限って同項の必要性が認められると解することは相当とはいえない。 また、原告の主張する手続的要件を課すとした場合には、資料提出要求は、消費者庁長官が表示の合理的根拠資料を自ら入手することができない場合に限り補充的に認められるものにすぎないこととなるが、そのように解すると、消費者庁長官が迅速かつ適正な審査を行い、速やかに措置命令を 発することを可能にするという景表法7条2項の趣旨が没却されること となりかねない。さらに、同項の資料提出要求は、事業者が合理的根拠資料を提出しない場合には当該表示が優良誤認表示に該当するとみなされるという重大な効果を伴うものであるが、前判示のとおり、商品の効果や性能等につき優良性を強調する表示を行う事業者としては、そのような表示を行う合理的な根拠をあらかじめ有しているべきであるから、同項が事 業者に過度の負担を課すものであるということはできない。そうすると、資料提出要求が事業者に与える影響は、同項の必要性の判断に係る考慮要素の一つとなり得るとしても、消費者庁長官に与えられた裁量権の範囲を直ちに制約するものであるとはいえないから、原告の上記主張を採用することはできない。 ⑵ 本件資料提出要求の必要性の有無ア上記⑴アの判断基準に基づき、本件資料提出要求の必要性についてみると、前判示のとおり、本件各表示は、Aを摂取することにより、これに含まれる成分の作用によって著しい痩身効果が得られる旨を表示するもので 記⑴アの判断基準に基づき、本件資料提出要求の必要性についてみると、前判示のとおり、本件各表示は、Aを摂取することにより、これに含まれる成分の作用によって著しい痩身効果が得られる旨を表示するものであり、商品の効果や性能等につき優良性を強調する表示であるといえる。 そして、Aの摂取による痩身効果の有無や程度は、その原材料や成分等から直ちに明らかになるものではないから、消費者庁長官が自ら本件各表示が実際のものより著しく優良であることを立証するためには、専門機関による調査や鑑定等が必要になり、そのために多大な時間、労力及び費用を要することが想定される。他方、Aの効果や性能に関する資料は、前判示 のとおり、本件各表示を行う合理的な根拠をあらかじめ有しているべきであることも踏まえると、Aに係る商品開発や販売を行うとともに本件各表示をした原告が有しているものと推認される。そうすると、本件各表示について、景表法7条2項に基づき資料提出要求をする必要があるとした消費者庁長官の判断は、与えられた裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用 したものとは認められない。 イこれに対して、原告は、本件資料提出要求の1年以上前には、消費者庁長官は本件実証試験に係る論文(資料1)を入手してその内容を理解していたはずである上、原告は消費者庁及び中部事務所からの調査依頼に一貫して協力していたのであるから、資料提出要求による必要はなかった旨主張する。 しかしながら、消費者庁長官において、景表法7条2項の適用によらずに本件各表示が優良誤認表示に当たると認定をするためには、仮に任意の調査において原告から入手した資料が表示の裏付けとして合理的なものではないとの心証を得た場合であっても、それだけでは足りず、Aが表示に沿った効果や性能等を備えてい ると認定をするためには、仮に任意の調査において原告から入手した資料が表示の裏付けとして合理的なものではないとの心証を得た場合であっても、それだけでは足りず、Aが表示に沿った効果や性能等を備えていないという事実を積極的に立証する証 拠資料等を収集する必要があるのであって、そのために調査や鑑定等が必要となり、多大な時間、労力及び費用を要すると見込まれることに変わりはないといえる。そうすると、原告が本件資料提出要求に先立って消費者庁長官に資料1等を提出し、任意の調査に一貫して協力していたとの事情があるとしても、そのことのみによって資料提出要求の必要性がなかった ことが基礎付けられるとはいえないから、原告の主張は理由がない。なお、資料1も含めた本件提出資料が、客観的にみて合理的根拠資料に該当するものであったか否かは、本件資料提出要求の必要性とは別個の問題である。 ウ小括以上によれば、本件資料提出要求の必要性を認めた消費者庁長官の判断 が違法であったとはいえない。 ⑶ 本件資料提出要求の対象及びその適法性について本件では、本件資料提出要求の対象について当事者間に争いがあるところ、原告は、この点を被告主張のとおり消費者庁長官の本件各表示に係る認定についての根拠資料が対象であったとした場合には、本件資料提出要求は、資 料提出要求書においてその対象を明示していない点で違法がある旨主張する ので、以下で検討する。 ア本件資料提出要求の対象について原告は、本件資料提出要求の対象とされたのは、本件資料提出要求書の別紙において特定された個々の表示部分であるから、事業者としては当該個々の表示部分に対する合理的根拠資料の提出をすれば足り、本件各表示 が示す漠然とした意味内容や評価に対する根拠資料の提出を求めら 紙において特定された個々の表示部分であるから、事業者としては当該個々の表示部分に対する合理的根拠資料の提出をすれば足り、本件各表示 が示す漠然とした意味内容や評価に対する根拠資料の提出を求められたものではない旨主張する。 しかしながら、前判示のとおり、優良誤認表示に該当するか否かは、表示の内容全体が一般消費者にもたらす印象ないし認識に基づいて判断すべきであって、表示上の特定の文章、図表、写真等から一般消費者が受け る印象ないし認識のみに基づいて判断することは相当とはいえない。このように優良誤認表示該当性が表示の内容全体から一般消費者が受ける印象ないし認識によって判断される以上、景表法7条2項にいう「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料」の該当性についても、提出された資料が、一般消費者が当該表示内容全体から受ける印象ないし認識を裏 付けるものとして合理的であるか否かという観点から判断されるべきものであって、必ずしも当該表示上の個々の文章、図表、写真等が事実であることの根拠資料を提出するだけで足りるものではないというべきである。 イ本件資料提出要求の適法性について 原告は、上記アのように解する場合、本件資料提出要求書には、消費者庁長官が認定した表示の意味内容(Aを摂取することにより、Aに含まれる成分の作用による著しい痩身効果が得られること)が明記されておらず、資料提出を求める対象が明らかでないため、本件資料提出要求は原告の防御権を侵害するものであって違法である旨主張する。 しかしながら、景表法施行規則7条1項2号は、資料提出要求書に「資 料の提出を求める表示」を記載すべき旨定めているにとどまり、当該表示の示す意味内容について資料提出要求書に記載しなければならないとする法令上の根 施行規則7条1項2号は、資料提出要求書に「資 料の提出を求める表示」を記載すべき旨定めているにとどまり、当該表示の示す意味内容について資料提出要求書に記載しなければならないとする法令上の根拠は見当たらない。また、前判示のとおり、顧客誘引力を高めるために自ら商品の効果や性能等につき優良性を強調する表示をした事業者としては、表示の内容全体から受ける印象ないし認識に対応 した合理的な根拠資料をあらかじめ有しているべきである。このように、事業者としては、顧客誘引力を考慮しつつ、自ら有する合理的な根拠資料の内容を前提として、実際のものよりも著しく優良となることや、事実と相違することがないように当該表示全体の内容を決定すべきものであるから、その際に当該表示の内容全体から一般消費者がどのような印 象ないし認識を受けるかについても、自らの責任により把握すべきものである。 本件資料提出要求書には、「資料の提出を求める表示」として別紙4の別表1の「表示内容」が記載されていたものであり、これまで判示してきたところを踏まえると、本件各表示は、一般消費者が、Aを摂取する ことにより、これに含まれる成分の作用によって著しい痩身効果が得られるかのように示す表示であるとの印象ないし認識を受ける内容であるといえるから、本件資料提出要求書だけでは資料提出を求める対象が明らかでないとする原告の主張は、前提を異にするものであり、採用することができない。 また、証拠(甲7)によれば、消費者庁長官が原告に対してした弁明の機会の付与に係る通知には、本件各表示が「あたかも、本件商品を摂取することにより、本件商品に含まれる成分の作用による著しい痩身効果が得られるかのように示す表示」であると消費者庁長官が認定した旨が記載されていたことが認めら 、本件各表示が「あたかも、本件商品を摂取することにより、本件商品に含まれる成分の作用による著しい痩身効果が得られるかのように示す表示」であると消費者庁長官が認定した旨が記載されていたことが認められるから、原告において、本件各表示の 意味内容について、消費者庁長官の表示内容の認定と齟齬があったとし ても、原告は、弁明の機会の付与の手続において、この点に関する消費者庁長官の認定を争うことが可能であったといえる。そうすると、本件資料提出要求書に消費者庁長官が認定した本件各表示の意味内容が明記されていなかったとしても、そのことによって原告の防御権が侵害されたともいえない。 以上のとおり、本件資料提出要求が違法であるとする原告の主張は採用することができない。 4 争点3(本件提出資料の合理的根拠資料該当性)について⑴ 「合理的な根拠」の判断基準前判示のとおり、本件提出資料が合理的根拠資料に該当するか否かについ ては、本件提出資料が、本件各表示の表示内容、すなわち、Aを摂取することにより、これに含まれる成分の作用により著しい痩身効果が得られることの裏付けとなる「合理的な根拠」を示すものであるといえるか否かという観点から判断されるべきであって、表示上の個々の文章、図表、写真等が事実であることの根拠資料を提出することのみでは足りないと解すべきである。 運用指針は、事業者から提出された資料が、当該表示の裏付けとなる「合理的な根拠」を示すものであると認められるためには、①当該資料が客観的に実証された内容のものであること、②表示された効果、性能と当該資料によって実証された内容が適切に対応していることが必要である旨定めているところ、上記運用指針の定めは、前判示に係る優良誤認表示の意義や景表法 7条2項の趣 と、②表示された効果、性能と当該資料によって実証された内容が適切に対応していることが必要である旨定めているところ、上記運用指針の定めは、前判示に係る優良誤認表示の意義や景表法 7条2項の趣旨等に照らして、同項の解釈として妥当なものであるといえる。 したがって、提出された資料が上記①及び②を満たさない場合には、原則として「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料」に該当しないというべきである。 そこで、以下、上記判断基準に従って、本件提出資料が本件各表示に係る 合理的根拠資料に該当するか否かについて検討する。 ⑵ 資料1についてア資料1は、本件実証試験に関する論文であり、証拠(甲9)によれば、その内容は以下のとおりであると認められる。 被験者以下の選択基準を満たし、除外基準に合致せず、Aの摂取を自ら希望 する者を被験者とした。 a 選択基準①20歳以上59歳以下の健康な男女、②ダイエットの実施を希望する者、③BMIが高めの者(BMI23kg/㎡以上の者)b 除外基準 ①食物に対するアレルギーの既往歴のある者、②試験結果に影響を及ぼす医薬品を服用している者、③痩身を目的とした健康食品、ドリンクを摂取している者、④その他、試験総括責任医師が適切でないと認めた者試験デザイン等 一定の運動プログラムを行いながらAを摂取する群(A群)、Aのみを摂取する群(B群)、プラセボ品(麦茶)のみを摂取する群(C群)の3群を設定し、無作為化並行群間比較試験(介入実施者と測定者がブラインドの単盲検)を実施した。 運動プログラムについては、運動器具「下腹スリムスイング」を用い て1日1分間の運動を行うものとした。 試験期間は平成30年7月から10月の12週間とし、被験者には試験 盲検)を実施した。 運動プログラムについては、運動器具「下腹スリムスイング」を用い て1日1分間の運動を行うものとした。 試験期間は平成30年7月から10月の12週間とし、被験者には試験品の摂取状況、食事の内容及び量並びにA群については運動プログラムの実施状況を記した日誌と、毎日の体重変化を記録したレコーディングシートの提出を義務付けた。 無作為化 試験総括責任医師の判断により71人の応募者から選択基準を満たし、除外基準に合致しない52人を選択した後、試験に関係のない割付責任者が、偏りを防ぐために年齢とBMIを考慮した上で、乱数表を用いてA群(18人)、B群(17人)、C群(17人)に振り分け、介入を開始した。割付内容は、割付責任者が厳重に保管し、臨床試験データ固定 後に試験実施機関に開示した。 制限事項等被験者は、試験期間中、食事、運動等の生活習慣を試験参加以前から変えずに維持すること等の制限事項を順守するよう指導を受けた。 統計処理 統計処理に当たっては、両側検定で、危険率5%未満(p<0.05)を有意差ありと判定することとされた。 試験結果被験者52人のうち、試験を途中で中止した者及び解析棄却基準に該当した者(データの信頼性が疑われる事情等が生じた者)を除く38名 (A群15人、B群11人、C群12人)が解析の対象とされた。 解析の結果、摂取前と12週後との比較で、A群は体脂肪率で減少傾向がみられ、ウエスト、ヒップ、体重及びBMIで有意な減少がみられた。B群は、ウエスト、ヒップ、体重、BMI及び体脂肪率で有意な減少がみられた。C群は、ヒップと体重の2項目で有意に減少した。 摂取前と12週後の変化量の群間比較において、A群は、C群に対してウエスト、ヒッ ト、ヒップ、体重、BMI及び体脂肪率で有意な減少がみられた。C群は、ヒップと体重の2項目で有意に減少した。 摂取前と12週後の変化量の群間比較において、A群は、C群に対してウエスト、ヒップ、体重及びBMIで有意な差がみられ、B群に対してヒップで有意な差がみられた。 イ原告は、資料1(本件実証試験)により、Aを摂取しつつ、軽い運動を続けることが、痩身効果を促進させることが科学的に証明されている旨主 張し、K意見書も同旨を述べる。 しかしながら、前判示のとおり、本件各表示は、単にAが運動による痩身効果を促進する作用を有する旨を表示するにとどまらず、Aの摂取自体によって著しい痩身効果が得られることを示すものであるから、そもそも本件各表示と資料1によって実証されたとする内容とが適切に対応しているとはいえない。この点を措くとしても、資料1が主に検討し ているA群(運動+A)とC群(プラセボ品)との群間比較については、A群にはAによる影響に加え、運動による影響が付加されているのであるから、A群とC群との間にみられた各項目の変化が、専ら運動プログラムの実施によって生じた可能性を排除できておらず、そもそもAが痩身効果に寄与しているか否か、仮に寄与しているとしてそれがどの程度 であるかは、本件実証試験からは明らかではないというべきである。この点、被告意見書(乙9)においても「C群と比較してA群に痩身効果が認められたとしても、A群には運動による痩身効果の影響が付加されておりA単独摂取の影響を評価できるものではないため不適切である」旨指摘されている。以上のとおり、本件実証試験は、Aの痩身作用を客 観的に実証する内容のものであるとは認め難いというべきである。 また、本件実証試験においては、A群とB群の群間比 切である」旨指摘されている。以上のとおり、本件実証試験は、Aの痩身作用を客 観的に実証する内容のものであるとは認め難いというべきである。 また、本件実証試験においては、A群とB群の群間比較や、A群ないしC群についての(群間比較ではなく)摂取前と12週後の比較も行われている。 しかしながら、A群(A+運動)とB群(A)を比較したとしても、 いずれの群もAを摂取している以上、Aによる痩身効果を実証したことにならないことは明らかである。 各群の摂取前と12週後の比較についてみても、資料1の論文自体においても指摘されているとおり、被験者は、食事の内容及び量を記載した日誌や毎日の体重変化を記録したレコーディングシートを作成してお り、これによって無意識下で生活の見直しがされた可能性があり、現に、 プラセボ品を摂取したC群においてもヒップや体重の有意な減少が確認されている。したがって、各群の摂取前と12週後の比較のみではAの痩身効果が客観的に実証されたとはいえない。 なお、原告は、B群(A)とC群(プラセボ品)との比較においても、Aの摂取による痩身効果があることを示す結果が現れている旨主張する。 しかしながら、そもそも資料1においては、B群とC群の群間比較がされていないから、原告の主張は前提を欠くものである。この点を措くとしても、被告意見書(乙9)にも記載があるとおり、B群とC群との間にみられるような体重1kg程度、ウエスト周囲径数cm程度の差は、食事や排便等により成人の通常生活においてみられる程度の増減である から、少なくともB群とC群との比較によって実証されたとする効果が、本件各表示が示すAの著しい痩身効果と適切に対応しているということはできない。 ウ以上によれば、資料1が本件各表示の裏付 から、少なくともB群とC群との比較によって実証されたとする効果が、本件各表示が示すAの著しい痩身効果と適切に対応しているということはできない。 ウ以上によれば、資料1が本件各表示の裏付けとなる合理的根拠資料に当たるとはいえない。 ⑶ 資料8、9、17及び本件追加提出資料について原告は、資料8、9、17及び本件追加提出資料がAの含有成分(重合カテキン、没食子酸)の効果、効能に関する表示の合理的根拠資料に当たる旨主張するので、検討する。 ア資料8について 証拠(甲13)によれば、資料8は、公益社団法人日本油化学会のJournalofoleoscience という雑誌に掲載された 「人における茶カテキン類の抗肥満効果作用」と題する論文であって、その内容は以下のとおりであると認められる。 資料8は、人における茶カテキン類の抗肥満効果の有無について実施 した実験結果に基づく論文であり、実験の内容は、BMIの値が普通体 重から肥満(1度)に属する27歳ないし47歳の男性23名を被験者とし、カテキン含量118.5mgの飲料500mlを摂取する群(以下「低含有群」という。)及びカテキン含量483.0mgの飲料500mlを摂取する群(以下「高含有群」という。)について、実験前、4週目及び12週目の体重、BMI、ウエスト、体脂肪率等の値を測定した というものである。その結果は、体重については、低含有群は12週目のみ有意な変化を認めたのに対し、高含有群では4週目、12週目でいずれも有意な変化を認め、BMI、ウエスト周囲長及び体脂肪率については低含有群、高含有群のいずれについても経時的な低下を認め、いずれの項目においても高含有群が低含有群より低い値を示す傾向があり、 高含有群においては、 MI、ウエスト周囲長及び体脂肪率については低含有群、高含有群のいずれについても経時的な低下を認め、いずれの項目においても高含有群が低含有群より低い値を示す傾向があり、 高含有群においては、12週目において血中総コレステロール、血中グルコース、血中インスリン等について有意な変化が認められたなどというものであった。 しかしながら、証拠(甲6・添付資料24及び26)によれば、Aに含有されるカテキン量は4.4ないし4.7mg/100ml(500 ml換算で22ないし23.5mg)であると認められるところ、資料8の実験で使用された飲料のカテキン量は、低含有群のものでA2.5リットル分以上に相当し、高含有群のものでA10リットル分以上に相当するものであって、Aに含有されるカテキン量を大きく上回っている。 本件各表示は、前判示のとおり、日々の飲料をAに代えることにより、 これに含まれる成分の作用によって著しい痩身効果が得られる旨を示すものであることからすれば、資料8によって実証されたとする内容と、本件各表示が示すAの効果、性能とが適切に対応しているとはいえない。 また、資料8の実験は、上記のとおり、カテキン含有量の多い飲料を摂取した群とカテキン含有量の少ない飲料を摂取した群について実施さ れたものであって、プラセボ群が設定されていないから、学術界又は産 業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法によって実施されたものとは認め難い。 したがって、資料8は、本件各表示を裏付ける合理的根拠資料であるとはいえない。 イ資料9について 資料9は、日本栄養・食糧学会誌に掲載された「茶葉カテキンの構成成分である(-)エピガロカテキンガレートの血中コレステロール低下作用」と題する論文であ とはいえない。 イ資料9について 資料9は、日本栄養・食糧学会誌に掲載された「茶葉カテキンの構成成分である(-)エピガロカテキンガレートの血中コレステロール低下作用」と題する論文である。証拠(甲14)によれば、資料9は、茶カテキンの構成成分であるエピガロカテキンガレートが血中コレステロールの低下作用を有する旨記載されていることが認められるものの、ラットによる実験 結果を基にしたものにすぎず、ヒトに対する痩身作用について客観的に実証されたものであるとはいえない。 したがって、資料9は本件各表示の裏付けとなる合理的根拠資料であるとは認められない。 ウ資料17について 証拠(甲15)によれば、資料17は、原告の販売するプーアール茶及び緑茶に含まれる重合カテキン及び没食子酸に関する検査証明書であり、プーアール茶には重合カテキンが6.36g/100g、没食子酸が0. 40g/100g含まれていることが記載されていることが認められる。 しかしながら、資料17は、Aの原材料に含まれる成分を示したものにす ぎず、仮に上記成分が一定の抗肥満効果を有するものであるとしても、Aを摂取したことにより生じる痩身作用の有無及び程度を示すものとはいえないから、本件各表示の裏付けとなる合理的根拠資料であるとは認められない。 また、原告は、資料17に加え、本件追加提出資料も、Aの含有成分の 効果、効能に関する表示を裏付けるものである旨指摘する。しかしながら、 本件追加提出資料は、本件資料提出要求に係る期限後に提出されたものであって、合理的な根拠資料として考慮してよいか、考慮してよいとしてどの範囲で考慮してよいか疑義がある上、この点を措くとしても、証拠(甲16)によれば、同資料は、黒茶の製造過程において没食子酸(GA) あって、合理的な根拠資料として考慮してよいか、考慮してよいとしてどの範囲で考慮してよいか疑義がある上、この点を措くとしても、証拠(甲16)によれば、同資料は、黒茶の製造過程において没食子酸(GA)及び酸化重合物(重合カテキン)が増加する旨を指摘するにとどまっており、 本件提出資料と併せ考慮しても、Aを摂取したことによる痩身効果を示すものであるとはいえない。 ⑷ その他の資料についてア証拠(甲6)によれば、上記⑵及び⑶を除く本件提出資料の内容は以下のとおりであると認められる。 資料2は、Aの購入年齢層に関する原告作成の資料であり、資料3は、Aの累積購入者数に関する原告作成の資料である。資料4ないし6は、平成29年ないし平成31年の健康茶のマーケティング調査の結果であり、原告が健康茶のメーカーシェア首位であること等が記載されている。 資料7は、基礎代謝と健康に関する書籍の抜粋であり、ヒトの基礎代 謝は中年を迎えるとともに急激に低下していくこと等が記載されている。 資料10及び11は、いずれもカテキン含有量と渋味との関係に関する論文であり、カテキン含有量が多いと渋味が強くなり、まずくなること等が記載されている。 資料12及び13は、それぞれプーアール茶の品質に関する資料、日 本茶の特性に関する資料であり、上記各資料には、プーアール茶の原料である雲南大葉樹は、日本茶の原料である小葉樹と比較して、カテキン類等の含有量が多いこと等が記載されている。 資料14及び15は、いずれも日本茶の育種(品種改良)に関する資料であり、資料16は、日本茶の品質評価に関する資料である。上記各 資料によれば、日本茶の評価において、旨味が評価項目とされる一方、 渋味は減点項目とされ、このような評価を基に育種(品種 料であり、資料16は、日本茶の品質評価に関する資料である。上記各 資料によれば、日本茶の評価において、旨味が評価項目とされる一方、 渋味は減点項目とされ、このような評価を基に育種(品種改良)が行われていたこと等が記載されている。 資料18は、原告従業員がプーアール茶の抗肥満効果についてまとめた「研究報告①プーアール茶の抗肥満効果の検討」と題する資料である。 上記各資料には、プーアール茶には、緑茶と比較して重合カテキン及び 没食子酸が多く含まれていること等が記載されている。 資料19は、Aの配合規格表であり、Aが黒豆55%、プーアール茶18%、ウーロン茶18%、杜仲茶9%から成る旨が記載されている。 資料20ないし23は、原告が、一般消費者から寄せられたAに関するコメントやレビュー等を取りまとめた資料である。 資料24ないし26は、Aの栄養分析の結果に係る検査証明書である。 資料27は、Gが「A3ヶ月トライアルダイエット」と称するダイエットプログラムに参加した際の体重、体型の変化について記録した測定データ表である。 資料28は、プーアール茶を含む黒茶の歴史等に関する資料である。 資料29は黒茶の機能性に関する資料であり、ラットによる実験結果を引用して黒茶に抗肥満作用があること等が記載されている。 資料30及び31は、Aの原材料の一つである黒豆の選別及び粉砕工程に関する資料である。資料32ないし34は、Aの原材料の一つである杜仲茶の成分に関する資料である。 資料35は茶ポリフェノールの多機能生理作用に関する論文であり、茶ポリフェノールにがん抑制効果、アレルギー緩和効果、生活習慣病予防効果、骨粗しょう症予防効果等があることが記載されている。資料36は、厚生労働省が作成した、日本人 機能生理作用に関する論文であり、茶ポリフェノールにがん抑制効果、アレルギー緩和効果、生活習慣病予防効果、骨粗しょう症予防効果等があることが記載されている。資料36は、厚生労働省が作成した、日本人が健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準(日本人の食事 摂取基準)を示す資料であり、カリウム、マグネシウム、鉄、リン、ビ タミンB1、ビタミンB2の必要量等が記載されている。資料37は、Aの原材料の一つであるウーロン茶に含まれる成分に関する資料であり、ウーロン茶にはポリフェノールの一種であるカテキン、カリウム、マグネシウム、鉄、リン、ビタミンB1、ビタミンB2が含まれている旨記載されている。 資料38の1 及び2は、原告従業員のNがAを摂取した際の体験談及び同人の健康診断結果である。資料39及び40は、原告従業員のHが、Aを摂取してダイエットに取り組んだ際の体重の推移等を記載した資料である。 資料41は、前回措置命令を受けて原告が講じた再発防止策等を中部 事務所に報告した際の報告書である。 イ上記アの各資料は、資料1ないし41の内容を説明した「資料提出要求に対する回答書」と題する書面(前提事実⑸参照。甲6)によれば、いずれも本件各表示に含まれる個々の文章等の根拠として提出された資料にとどまるものであると認められる。そして、Aに含まれる原材料や成分に関 する資料(資料10ないし16、18、19、24ないし26、28、29、32ないし37)についてみると、Aの原材料や成分に一定の抗肥満効果があるものが含まれているとしても、Aを摂取したことにより生じる痩身作用の有無及び程度が直ちに実証されたとはいえないから、これらの資料が本件各表示を裏付ける合理的根拠資料に該当する 一定の抗肥満効果があるものが含まれているとしても、Aを摂取したことにより生じる痩身作用の有無及び程度が直ちに実証されたとはいえないから、これらの資料が本件各表示を裏付ける合理的根拠資料に該当するとは認められない。 また、Aを摂取した際の体験談や体重等の変化を示す資料(資料27、38の1及び2、39、40)についてみても、一部の利用者や原告従業員による体験談等にすぎず、統計的に客観性が確保されているとはいえないから、Aの痩身作用が客観的に実証されたとは認められない。その他の資料は、Aのマーケティングに関する資料(資料2ないし6、20ないし2 3)、ヒトの基礎代謝に関する資料(資料7)、原材料の製造工程に関する 資料(資料30及び31)、前回措置命令を踏まえた再発防止策等に係る資料(資料41)等であって、いずれも本件各表示の合理的根拠資料には該当しない。 ⑸ 小括以上によれば、本件提出資料は、本件各表示の裏付けとなる合理的な根拠 を示すものであるとは認められない。したがって、本件各表示は、景表法7条2項により、同条1項の適用において、同法5条1号に該当する表示であるとみなされる。 5 争点4(本件措置命令の対象範囲に係る違法の有無)について⑴ 客観的事実に基づく部分を措置命令の対象範囲に含めた違法があるとの原 告の主張について本件措置命令の対象とされた本件各表示の範囲は別紙4・別表1のとおりであるところ、原告は、Aの効果、効能を除く客観的な事実に基づく表示として、体験者2名(G、M)の体験談に係る部分、原告従業員(N又はH)の体験談に係る部分、Aの顧客層や売上げに関する部分、利用者からの意見 に基づく部分については、本件措置命令の対象から除外されるべきである旨主張する。 しかしながら、 原告従業員(N又はH)の体験談に係る部分、Aの顧客層や売上げに関する部分、利用者からの意見 に基づく部分については、本件措置命令の対象から除外されるべきである旨主張する。 しかしながら、前判示のとおり、優良誤認表示に該当するか否かは、表示上の特定の文章、図表、写真等から一般消費者が受ける印象ないし認識に基づいて判断するのではなく、一般消費者が表示の内容全体からどのような印 象ないし認識に至るかに基づいて判断するのが相当であるから、当該表示上の特定の記載についてそれ自体に誤りがないとしても、そのことのみによって当該部分を措置命令の対象から除外すべきであるとはいえない。 原告が指摘する表示部分について具体的に検討しても、Aの体験談に係る部分は、これを目にする一般消費者に対して、Aを摂取することによって大 幅な痩身効果を得た人物が実際に多数存在すると認識させ、Aを摂取するこ とによって自らも同様の痩身効果を得ることが可能であるとの印象を与えるものである。したがって、上記体験談に係る部分は、他の表示部分と一体となって、Aを摂取することにより著しい痩身効果が得られるかのように表示するものといえる。また、原告の指摘する本件商品の顧客層や売上げに関する部分及び利用者からの意見に基づく部分、すなわち、「中年太りに悩む方々 からお取り寄せが殺到」、「日本一売れている」、「メーカーシェア日本一」、「中年太りを解決している人、続々!」という文章についても、本件各表示の他の部分と一体となって、Aが著しい痩身効果を有するものとして、中年太りに悩む多数の消費者から支持されているとの印象を与えるものであるといえるから、これを本件措置命令の対象から除外すべき理由はない。 したがって、本件措置命令は、客観的事実に基づく部 、中年太りに悩む多数の消費者から支持されているとの印象を与えるものであるといえるから、これを本件措置命令の対象から除外すべき理由はない。 したがって、本件措置命令は、客観的事実に基づく部分を対象範囲に含めた点で違法であるとの原告の主張には理由がない。 ⑵ 本件別商品体験談に係る部分を措置命令の対象範囲に含めた違法があるとの原告の主張について本件措置命令の対象とされた本件各表示には、本件別商品体験談に係る部 分が含まれているところ、原告は、本件別商品体験談については、既に全国紙2紙に謝罪広告を掲載するなどの対応を行った結果、一般消費者に生じた誤認は解消されているから、これを本件措置命令の対象に含めた点は違法である旨主張する。 しかしながら、本件別商品体験談について原告が行った対応は、本件別商 品体験談がAの摂取によるものではなく、Bの摂取による体験談であったことについて、一般消費者の誤認を解消するために採った措置にすぎず、その内容に照らしてもAが著しい痩身効果を有する旨の本件各表示に係る誤認を解消する実質を有するものとはいえないから、本件別商品体験談に係る部分を本件措置命令の対象から除外すべき理由はない。 したがって、本件措置命令が、本件別商品体験談に係る部分を含めている 点で違法がある旨の原告の主張は採用することができない。 6 争点5(本件措置命令に係る裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無)について⑴ 本件措置命令の必要性を欠く旨の原告の主張についてア原告は、本件各冊子は、7か月間という比較的短い期間に「C」の会員のみに配布されたものであって、最後に配布されたのは令和元年6月 24日であること、本件別商品体験談について謝罪広告等をしたこと等からすれば、既に一般消費者の意思決定に与 短い期間に「C」の会員のみに配布されたものであって、最後に配布されたのは令和元年6月 24日であること、本件別商品体験談について謝罪広告等をしたこと等からすれば、既に一般消費者の意思決定に与える影響は消滅しており、本件措置命令の必要性はない旨主張する。 しかしながら、景表法5条1号に反して優良誤認表示がされた場合、当該表示を取りやめたとしても、当然に一般消費者に生じた誤認が解消 され、自主的かつ合理的な選択が可能となるとはいえず、景表法7条1項は、このことを前提に当該違反行為が既になくなっている場合においても同項各号に該当する者に対して措置命令を発することができる旨定めているものと解される。前提事実⑶のとおり、本件各冊子の配布部数は合計175万8000部にも及んでいることからすれば、原告が指摘 する事情を踏まえても、本件措置命令を発し、一般消費者に生じた誤認を解消する必要性は十分にあったといえる。また、本件別商品体験談に係る謝罪広告等によって、本件各表示により一般消費者に生じた誤認が解消されたとみることはできないことは前判示のとおりである。 なお、原告は、景表法8条2項が、優良誤認表示も含めた不当な表示 に対する「課徴金対象期間」は、課徴金対象行為をやめた後そのやめた日から6月を経過する日までの間に当該事業者が当該課徴金対象行為に係る商品又は役務の取引をしたときは、当該課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間を加えた期間とする旨定めているところ、これは当該不当表示による一般消費者への影響が継続するのは 長くとも6か月であるという理解に基づくものである旨主張する。 しかしながら、同項が、課徴金対象行為をやめた後も当該行為に係る商品等の取引を継続している場合、課徴金対象期間の るのは 長くとも6か月であるという理解に基づくものである旨主張する。 しかしながら、同項が、課徴金対象行為をやめた後も当該行為に係る商品等の取引を継続している場合、課徴金対象期間の終期を、当該行為をやめた日から6月を経過する日としているのは、課徴金対象期間が期間末日から遡って最長3年間とされていることから、違反行為者が当該課徴金対象行為をやめた後に当該商品等に係る取引を少しずつ継続する ことによって課徴金額を不当に低くすることを防ぎ、また、課徴金対象期間の終期を画一的に定めることによって課徴金納付命令を迅速に発出することができるようにするとともに、事業者の予見可能性を確保するという政策的な理由によるものであると解される。 したがって、本件各冊子の配布を取りやめてから6か月以上が経過し ているからといって、一般消費者の誤認が当然に解消したとはいえず、本件措置命令の必要性が消滅したということはできない。 イ原告は、前回措置命令の後、既に再発防止措置を講じているから本件措置命令において再発防止を原告に命ずる必要はない旨主張する。 しかしながら、原告は、平成29年9月29日にBの優良誤認表示に係 る前回措置命令を受けたにもかかわらず、わずか約6か月後の平成30年4月に本件各冊子の配布を開始して、再び優良誤認表示をしたものであって、同様の違反行為を繰り返さないよう再発防止措置を講じる必要性は高いといえる。また、証拠(甲35)によれば、原告が講じたとする再発防止策は、飽くまで前回措置命令や本件別商品体験談の誤りに対する各種の 対策であることが認められるから、これをもって、本件各表示について再発防止を命じる必要性が失われたということはできない。 ウしたがって、本件措置命令につき必要性を欠く旨の原告の主 る各種の 対策であることが認められるから、これをもって、本件各表示について再発防止を命じる必要性が失われたということはできない。 ウしたがって、本件措置命令につき必要性を欠く旨の原告の主張は理由がない。 ⑵ 本件措置命令が相当性を欠く旨の原告の主張について 原告は、営業の自由や営利的表現の自由が憲法上保障されていることから すれば、広告表現に対する過度の規制は許されないところ、本件措置命令は、既に前回措置命令を受けている原告の事業やブランドイメージに深刻な悪影響を与えるものであって相当性を欠く旨主張する。 しかしながら、優良誤認表示は、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害し、一般消費者の利益を損なうおそれが大きいことから、これによ って一般消費者に生じた誤認を解消する必要があり、そのためには当該表示が景表法に違反して実際のものよりも著しく優良であることを示すものであった旨を一般消費者に周知徹底することが必要であるといえる。他方で、このような一般消費者の利益を考慮すれば、措置命令に伴って事業者の社会的評価が低下することがあるとしても、そのことによる不利益は、景表法が予 定するところであるから、基本的には優良誤認表示を行った当該事業者が受忍すべきものというべきである。 本件についてみても、本件措置命令を発する必要性が十分に認められることは前判示のとおりであり、本件措置命令によって原告の事業やブランドイメージに悪影響を与えるとしても、そのことは、前回措置命令を受けて間も ない時期に再び優良誤認表示をした原告自身において受忍すべきものといえるから、本件措置命令が相当性を欠くものであるとはいえない。 ⑶ 本件措置命令の必要性等について十分な検討がされていない旨の原告の主張について原告は 示をした原告自身において受忍すべきものといえるから、本件措置命令が相当性を欠くものであるとはいえない。 ⑶ 本件措置命令の必要性等について十分な検討がされていない旨の原告の主張について原告は、本件措置命令の発令に当たり、原告が提出した報告書や提出資料 の内容が考慮されていない上、原告従業員の調書作成の予定が一方的にキャンセルされたこと等から、消費者庁長官において、本件措置命令の必要性等について十分な検討がされていない旨主張する。 しかしながら、本件提出資料が合理的根拠資料に該当しないことや、本件措置命令について必要性及び相当性が認められることは前判示のとおりであ って、上記の点について十分な検討がされていない旨の原告の主張は前提を 欠くものである。また、景表法は、消費者庁長官に対し、同法7条1項の措置命令を発するため必要があると認めるときは、当該事業者等に、業務若しくは財産に関して報告をさせ、若しくは帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又はその職員に、当該事業者等の事務所等に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる旨定めているとこ ろ(29条1項、33条1項)、措置命令に至る過程でどのような調査を行うかは、消費者庁長官の合理的な裁量に委ねられているものと解されるから、原告の指摘する各点は、いずれも本件措置の必要性及び相当性に関する判断を左右するものであるとはいえない。 ⑷ 本件措置命令が景表法の定める目的を逸脱している旨の原告の主張につい てア原告は、本件実証試験等の資料を任意に提出していたにもかかわらず、消費者庁長官が弁明の機会の付与に至るまで何ら問題点を指摘しなかったことが、不当表示防止に取り組んできた原告の努力や調査協力を反故にするものであって、景 等の資料を任意に提出していたにもかかわらず、消費者庁長官が弁明の機会の付与に至るまで何ら問題点を指摘しなかったことが、不当表示防止に取り組んできた原告の努力や調査協力を反故にするものであって、景表法1条の趣旨を逸脱するものである旨主張する。 しかしながら、消費者庁長官が措置命令について必要な調査をする際に、当該事業者が提出した資料の問題点について指摘する義務があることを定める法令上の根拠は見当たらない上、そもそも事業者としては、商品等の優良性を強調する表示をするに先立って根拠資料を有しているべきであることは前判示のとおりであるから、消費者庁長官が原告の提出した資 料について問題点を指摘しなかったとしても、これをもって違法、不当であるということはできない。 イ原告は、景表法の課徴金制度の重要な目的の一つは、事業者による自主的な是正措置を促すことにあるところ、原告が本件別商品体験談について自主的に謝罪広告等をしたにもかかわらず、消費者庁長官は、本件別商品 体験談の誤りについても措置命令の対象に含め、本件措置命令の記者発表 に当たって、本件別商品体験談が架空のものであったなどと不適切な表現を用いて説明した点で本件措置命令が景表法の定める目的を逸脱している旨主張する。 しかしながら、本件別商品体験談に係る表示を本件措置命令の対象に含めた点に違法がないこと及び本件別商品体験談の謝罪広告によって本件 各表示により一般消費者に生じた誤認が解消されたといえないことは前判示のとおりである。また、本件措置命令に係る記者発表における消費者庁担当者の発言は、本件措置命令の適法性を直ちに左右するものではないし、この点を措くとしても、原告は、本件各表示において、別商品の摂取に係る体験談をあたかもAの摂取に係る体験談であるか おける消費者庁担当者の発言は、本件措置命令の適法性を直ちに左右するものではないし、この点を措くとしても、原告は、本件各表示において、別商品の摂取に係る体験談をあたかもAの摂取に係る体験談であるかのように表示し ていたのであるから、本件別商品体験談に係る表示は事実の裏付けを全く欠いていたと評価されてもやむを得ないものであったといえ、消費者庁担当者が架空の体験談である旨説明したことが違法であるとはいえない。 ウしたがって、本件措置命令が景表法の定める目的を逸脱したものであるとは認められない。 ⑸ 小括以上のとおり、本件措置命令が必要性及び相当性を欠くものであったとはいえず、また、景表法の定める目的を逸脱したものであるともいえないから、本件措置命令を発した消費者庁長官の判断が、その裁量権の範囲を逸脱又は濫用したものであったとは認められない。 7 争点6(本件措置命令に係る手続上の瑕疵の有無)について⑴ 原告は、中部事務所により原告従業員の調書作成が予定されていたにもかかわらず、この予定を知らずに又は殊更無視して、弁明の機会の付与の通知をした点で、本件措置命令に係る弁明の機会の付与は不意打ち的であって違法である旨主張する。 しかしながら、前判示のとおり、措置命令に至る過程でどのような調査を 行うかは、消費者庁長官の合理的な裁量に委ねられているものであるから、原告従業員の調書作成の予定がキャンセルされたからといって、それによって本件措置命令に係る手続が違法性を帯びるとはいえない。また、弁明の機会の付与の手続自体が、不利益処分について不意打ちを回避して処分の名宛人に対して防御権の行使を保障することを目的とした事前手続であって、原 告としては、同手続において防御権を行使することができるのである の手続自体が、不利益処分について不意打ちを回避して処分の名宛人に対して防御権の行使を保障することを目的とした事前手続であって、原 告としては、同手続において防御権を行使することができるのであるから、弁明の機会の付与の通知が原告にとって不意打ち的であったとしても、そのことをもって手続に違法があるということもできない。 ⑵ 原告は、消費者庁長官が、弁明書を受領した1週間後に、本件措置命令の発令のために中部事務所を訪れるよう指示していること等からすれば、原告 の弁明の内容を真摯に検討する意思をそもそも有しておらず、実質的には弁明の機会の付与の手続が行われたとはいえない旨主張する。 しかしながら、消費者庁長官が、弁明の機会の付与に先立って、任意の調査や本件資料提出要求等を行っていたことは既に認定判示したとおりであり、このように事前に本件措置命令の発出の可否や内容について検討を行ってい たことに照らせば、原告の弁明書の提出から本件措置命令の発出までの期間が1週間であったことをもって、原告の弁明の内容を真摯に検討する意思を有していなかったとはいえず、何らかの違法があるとはいえない。 ⑶ 以上によれば、本件措置命令に係る手続が違法であったとはいえない 8 結論 以上によれば、本件措置命令は適法であって、原告の請求は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官春名 茂 裁判官下道良太 裁判官 瀬 智 彦(別紙1~5省略) 瀬智彦(別紙1~5省略)
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