【DRY-RUN】○ 主文 一 原告らの本件訴えをいずれも却下する。 二 訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の申立 一 請求の趣旨 1 被告松戸市長に対する請求の趣旨 (一) 被告松戸市長が、昭和六
○ 主文一原告らの本件訴えをいずれも却下する。 二訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実第一当事者の申立一請求の趣旨 1 被告松戸市長に対する請求の趣旨(一) 被告松戸市長が、昭和六〇年九月二六日なした松戸市指令第一一一号の二八開発許可処分を取消す。 (二) 被告松戸市長が、右の開発許可について、昭和六〇年一〇月一八日なした松戸市指令第六五四号地位承継承認処分を取消す。 (三) 被告松戸市長が、(一)の開発許可について、昭和六〇年一〇月一八日なした松戸市指令第一一二号の二三工事完了公告以前の建築承認処分を取消す。 (四) 被告松戸市長が、(一)の開発許可について、昭和六二年一月一四日なした松戸市指令第九六一号開発変更許可処分を取消す。 (五) 被告松戸市長が、昭和六二年二月四日検第二六号をもって、(一)の開発許可及び(四)の開発行為変更許可にかかる開発行為に関する工事が、開発許可の内容に適合している旨の確認をした処分を取消す。 (六) 右(五)の請求が認められないときは被告松戸市長が、昭和六二年二月四日なした検第二六号開発行為に関する工事の検査済証交付処分を取消す。 2 被告松戸市建築主事に対する請求の趣旨(一) 被告松戸市建築主事が、昭和六〇年一二月二一日なした建築確認番号第九〇六号建築確認処分を取消す。 (二) 被告松戸市建築主事が、昭和六二年二月四日、(一)の建築確認にかかる工事が建築確認の内容に適合している旨の確認をした処分を取消す。 (三) 右(二)の請求が認められないときは被告松戸市建築主事が、昭和六〇年一二月二一日建築確認番号第九〇六号について、昭和六二年二月四日なした検査済証交付処分を取消す。 3 被告松戸市建築審査会に対する請求の趣旨被告松戸市建築審査会が、被告松戸市建築主事に対する請求の趣旨(一)の建築確認 番号第九〇六号について、昭和六二年二月四日なした検査済証交付処分を取消す。 3 被告松戸市建築審査会に対する請求の趣旨被告松戸市建築審査会が、被告松戸市建築主事に対する請求の趣旨(一)の建築確認処分に関する審査請求について、昭和六一年七月二四日なした松建審第一号裁決を取消す。 4 訴訟費用は被告らの負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁 1 本案前の答弁(被告ら)主文同旨。 2 本案に対する答弁(被告ら)(一) 原告らの請求をいずれも棄却する。 (二) 訴訟費用は原告らの負担とする。 第二当事者の主張一請求の原因 1 原告ら(一) 原告Aは、別紙物件目録一記載の各土地と同地上に建築されている別紙物件目録五記載の建物の所有者で、右建物(八世帯用アパート、名称こけし荘)の二階の一室に居住し、他室を賃貸している者である。 (二) 原告Bは、別紙物件目録二記載の土地と同地上に建築されている別紙物件目録六記載の建物の所有者であり、原告Cは同人の妻、原告Dは同人の長女、原告Eは同人の二女である。 (三) 原告F、原告Gは、別紙物件目録三記載の各土地(以下原告H所有地という)の所有者(共有)である。 2 本件行政処分(一) 被告松戸市長(1) 被告松戸市長は、別紙物件目録四記載の土地(以下本件開発地という)の開発に関して、別紙行政処分目録一ないし四記載のとおりの行政処分をした(以下同目録一の処分を本件開発許可処分、同二の処分を本件地位承継承認処分、同三の処分を本件建築承認処分、同四の処分を本件開発変更許可処分という)。 (2) 被告松戸市長は、本件開発変更許可処分の申請者から、昭和六二年一月一六日、本件開発許可処分及び本件開発変更許可処分に係る開発行為が完了した旨の工事完了届が提出されたのに対して、同年二月四日、工事が都市計画法二九条の規 件開発変更許可処分の申請者から、昭和六二年一月一六日、本件開発許可処分及び本件開発変更許可処分に係る開発行為が完了した旨の工事完了届が提出されたのに対して、同年二月四日、工事が都市計画法二九条の規定による開発許可の内容に適合しているとして、開発工事に関する工事の検査済証(以下本件開発工事検査済証という)を、右申請者に交付した。 イ被告松戸市長が、右完了届が提出された工事が、本件開発許可処分及び本件開発変更許可処分の内容に適合している旨の確認をした行為は、準法律的行政処分であり、審査請求及び行政訴訟の対象となる行政処分である(以下これを本件開発工事適合確認処分という)。 ロ仮に、そうでないとしても、本件開発工事検査済証を交付した行為は行政処分に該当する(以下これを本件開発工事検査済証交付処分という)。 (二) 被告松戸市建築主事(1) 被告松戸市建築主事(以下被告主事という)は、別紙行政処分目録五記載のとおりの建築確認処分をした(以下本件建築確認処分という)。 (2) 被告主事は、本件建築確認処分の申請者から、昭和六二年一月二二日、建築工事が完了した旨の工事完了届が提出されたのに対して、同年二月四日、建築工事が完了した建物が、本件建築確認処分の内容に適合しているとして、建築確認検査済証(以下本件建物検査済証という)を、右申請者に交付した。 イ被告主事が、右完了届が提出された建物が本件建築確認の内容に適合している旨の確認をした行為は、準法律的行政処分であり、審査請求及び行政訴訟の対象となる行政処分である(以下これを本件建物適合確認処分という)。 ロ仮に、そうでないとしても、本件建物検査済証を交付した行為は行政処分に該当する(以下これを本件建物検査済証交付処分という)。 (三) 被告松戸市建築審査会原告らは、昭和六一年三月八日、被告松戸 ロ仮に、そうでないとしても、本件建物検査済証を交付した行為は行政処分に該当する(以下これを本件建物検査済証交付処分という)。 (三) 被告松戸市建築審査会原告らは、昭和六一年三月八日、被告松戸市建築審査会(以下被告審査会という)に対して、本件建築確認処分の取消しを求める審査請求をしたところ、被告審査会は、同年七月二四日、右審査請求を棄却する旨の裁決(以下本件裁決という)をし、右裁決書は同月三〇日、原告らに到達した。 3 本件開発地及び本件開発行為の内容(一) 原告ら所有の別紙物件目録一ないし三記載の各土地および本件開発地を含む松戸市松戸字赤発毛地区一帯は、長さ五〇〇メートル、高さ一五メートルの、オーバーハングのある勾配五〇ないし八〇度の急傾斜地である。 原告らの所有土地と本件開発地との位置関係は別紙図面記載のとおりである。 (二) 本件開発地は、約三九パーセント(二三九・〇八平方メートル)が急傾斜地(がけ地)となっており、がけ地の底辺に長さ二六メートル、高さ一・八メートルのコンクリート製擁壁が設置されていて、その擁壁の上端から勾配五〇ないし八〇度、高さ一一・五メートルの急傾斜となっていた。そしてその上部は、更に高さ三ないし五メートル、同一勾配のオーバーハングのある国有地に接続していた。 (三) 別紙行政処分目録一記載の本件開発許可処分の申請者若しくは同二記載の本件地位承継承認処分の申請者らは、本件開発地を掘削、盛土するなどして宅地造成した上、共同住宅を建築する目的で、別紙行政処分目録一ないし五記載の各処分の申請をし、その処分を得て、本件開発地の開発工事(以下本件開発工事又は本件開発工事という)及び共同住宅(以下本件建物という)の建築工事(以下本件建築工事という)を行った(以下これらの工事を一括して単に本件工事ということもある)。 (四 開発工事(以下本件開発工事又は本件開発工事という)及び共同住宅(以下本件建物という)の建築工事(以下本件建築工事という)を行った(以下これらの工事を一括して単に本件工事ということもある)。 (四) 本件開発行為の概要は、本件開発地のうち、がけ地部分を底辺二六メートル、周囲四三・六六メートル、高さ最高一三・五メートルの範囲にわたって掘削、盛土するなどして宅地造成した上、鉄筋コンクリート造地上四階、地下一階の本件建物を建築するというものであった。 (五) 前記申請者らは、本件工事を行った後、昭和六二年一月一六日、被告松戸市長に対して本件開発行為の工事完了届を、また、同月二二日、被告主事に対して本件建物の工事完了届を、それぞれ提出した。 4 本件処分の違法性(一) 本件開発許可処分の違法性(1) 手続上の違法性本件開発許可処分は、別紙行政処分目録一記載のとおりの申請者九名に対してなされたが、そのうち、Iは昭和六〇年八月二〇日、Jは同年九月一九日、Kは同月二六日、いずれも本件開発地のうち、各自の所有土地を売却し、Iは同年八月二二日、Jは同年九月二一日、Kは同月二七日、それぞれその旨の各所有権移転登記手続を了し、本件開発許可処分時には、申請者としての地位を脱退していたから、このような脱退者をも含めてなされた本件開発許可処分は無効であり、仮に無効でないとしても違法である。 (2) 宅地造成等規制法違反の違法イ宅地造成等規制法(以下宅造法という)によれば、宅地造成工事規制区域内において、切土であって高さ二メートルを超えるがけを生ずる宅地造成工事を施行する場合には、都道府県知事の許可を受けなければならないこととされている(同法八条、二条二号、同法施行令三条)。 ロ本件開発地は、昭和四二年一二月一日、建設大臣から宅地造成工事規制区域の指定を受け る場合には、都道府県知事の許可を受けなければならないこととされている(同法八条、二条二号、同法施行令三条)。 ロ本件開発地は、昭和四二年一二月一日、建設大臣から宅地造成工事規制区域の指定を受けた土地である。 ハ本件開発行為は、本件開発地内に高さ一三・五メートルの切土を生ずる工事であり、また、原告H所有地との境界線上の合計二九・五八メートルの部分について、従前存した高さ〇・四ないし〇・五メートルの盛土によるがけ地が、高さ一・九メートルに拡大される盛土工事であるから、宅造法に定める宅地造成工事に該当する。 ニ被告松戸市長は、宅造法に基づく宅地造成工事について許可の権限を有する処分庁であるから、その審査の権利義務を有するところ、右審査義務を怠り、また、右許可手続をしないで本件開発許可処分をしたから、右処分は、同法に違反し、違法である。 (3) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律との関係による違法イ急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(以下急傾斜地災害防止法という)によれば、急傾斜地崩壊危険区域の指定がなされた場合には、更に、建築基準法三九条一項の規定による災害危険区域の指定が義務づけられている(急傾斜地災害防止法一九条)。 ロ本件開発地は、昭和六一年度急傾斜地崩壊危険区域の指定手続中の土地である。 ハしたがって、本件開発地は、急傾斜地の崩壊の危険性が極めて高い土地であり、また、これにより隣接する原告らの居住地の急傾斜地の崩壊を助長、誘発する危険性が極めて高い土地である。 ニしかるに、急傾斜地における地形の変更を審査の対象から除外してなされたから、本件開発許可処分は違法である。 (4) がけ地部分の擁壁に関する違法性イ擁壁の底板の欠如と擁壁の厚さ本件開発地は、宅地造成工事規制区域であるから、切土及び盛土によって生 ら除外してなされたから、本件開発許可処分は違法である。 (4) がけ地部分の擁壁に関する違法性イ擁壁の底板の欠如と擁壁の厚さ本件開発地は、宅地造成工事規制区域であるから、切土及び盛土によって生じたがけ地についての擁壁設置の技術的基準としては、宅造法及び同法施行令の基準が準用される。 (a)右基準によれば、擁壁の下部に底板を必要とするところ、これが設置されていない。 (b)また、擁壁の高さに応じて、その厚さについての基準が定められているが、本件の場合、擁壁の厚さについて審査を行っていない。 ロ擁壁の水抜穴の欠如擁壁には、裏面全面に透水層を設け、水抜穴を必ず設置しなければならない(都市計画法施行規則二七条一項二号、二項、宅造法一〇条、一一条、建築基準法施行令一三八条、一四二条)。 しかるに、本件建物は、前記3の(四)記載のとおりの掘削をした本件開発地のがけ地の中に建築されているため、建物の三階部分全体ががけ地に接着し、これが擁壁となっているのであるが、この擁壁に該当する部分に水抜穴が皆無であるから、このような擁壁を許可したことは違法である。 (5) 排水施設都市計画法によれば、非自己用の排水については自然浸透式の排水施設は禁止されている(同法三三条一項三号、同法施行令二六条二号、三六条一項一号イ)。 本件開発行為は、排水施設を非自己用としてなされているのに、自然浸透式の排水処理を許可したから違法である。 (6) 道路イ都市計画法三三条一項二号、同法施行令二五条一項二号によれば、予定建築物等の用途、敷地の規模等に応じて、六メートル以上一二メートル以下で建築省令の定める幅員以上の幅員のある道路が、当該予定建築物等の敷地に接するように配置されていることを要するものとされている。 したがって、本件開発地も幅員六メートル以上の道路に接していな トル以下で建築省令の定める幅員以上の幅員のある道路が、当該予定建築物等の敷地に接するように配置されていることを要するものとされている。 したがって、本件開発地も幅員六メートル以上の道路に接していなければならないことになる。 ところが、本件開発地は、南西側一三・六四メートルが、道路(以下本件接地道路という)に接しているが、右道路の幅員は四メートルである。 ロまた、本件開発許可処分は、本件開発地のうち、本件接地道路と接している長さ一三・六四メートル、幅二メートルの部分を将来拡幅される道路予定地と想定して行われた(以下この部分を道路予定地部分という)。 しかしながら、右道路予定地部分は舗装もされておらず、土砂が露出したままで道路としての構造、形態を備えていないし、また、道路予定地部分に接して本件建物が建築されているため、将来、道路予定地部分全部について、完全な道路としての構造形態を備えることも不可能である。 ハ仮に、道路予定地部分について、道路としての構造形態を備えることができたとしても、都市計画法の定める開発地に接続することを要する道路は、自己の敷地部分だけを意味するものではなく、それが相当の区間にわたり、しかもその一端が他の幅員の大きな道路(主要道路)に連続しなければならないところ、本件開発地からこのような主要道路に達するまでの本件接地道路の距離は三三三メートルで、その間の幅員は平均三・五メートル、最狭部分は二・四二メートルであり、また、その間はがけ地と民家のため、幅員六メートルの道路拡幅計画が達成される可能性は皆無である。 ニ以上のとおり、本件開発許可処分は都市計画法の道路に関する規定に反するから違法である。 (7) 松戸市まちづくり指導要綱違反イ本件開発地は、その約四〇パーセントが急傾斜地で、樹木の緑によって保全されていたとこ 本件開発許可処分は都市計画法の道路に関する規定に反するから違法である。 (7) 松戸市まちづくり指導要綱違反イ本件開発地は、その約四〇パーセントが急傾斜地で、樹木の緑によって保全されていたところ、本件開発行為は本件開発地の緑地部分を全壊する環境破壊である。 ロ本件開発行為は、隣接地地権者との調整がなされておらず、その同意が得られていない。 ハ公益施設及び排水施設に対する審査がなされていない。 ニ以上から、本件開発許可処分は、松戸市まちづくり指導要綱に違反し違法である。 (二) 本件地位承継承認処分の違法性前記4の(一)の(1)記載のとおり、本件開発許可処分時までの間に、I、J、Kの三名は、本件開発地のうち、各自の所有地を他に売却し、これにより本件開発許可処分の申請者としての地位を脱退し、本件開発行為参加の意思も喪失したのであるから、本件開発許可処分を受けた者としての地位を有しなかった。 したがって、右三名は本件地位承継承認処分の被承継人としての地位も有しなかったことになるから、このように地位を有しなかった者からの本件地位承継承認処分は無効である。 仮に、無効でないとしても違法性は大であり、取消されるべきである。 (三) 本件建築承認処分の違法性(1) 都市計画法三六条、三七条によれば、開発許可を受けた開発区域内の土地において、建築物を建築しようとする場合には、開発行為完了の届出をし、検査を受け、検査済証の交付を受け、更に、都道府県知事の工事完了の公告がなされた後でなければならず、「都道府県知事が支障がないと認めたとき」等同法三七条に定める例外的な場合にのみ、これができることとされている。 (2) 右の「支障がないと認めたとき」というのは、官公署、地区センターその他の公益的施設を先行的に建設する場合、既存の建築物等を開発区域内に移転 る例外的な場合にのみ、これができることとされている。 (2) 右の「支障がないと認めたとき」というのは、官公署、地区センターその他の公益的施設を先行的に建設する場合、既存の建築物等を開発区域内に移転し改築する場合、自己の居住又は業務の用に供する建築物の建築を宅地の造成と同時に行う場合で、これを切離して施行することが不適当な場合に限られる。 (3) 被告松戸市長は右の「支障がないと認めるとき」に該当するものとして、本件建築承認処分を行った。 (4) しかしながら、本件開発行為は非自己用としてなされたものであり、また、本件建築承認処分は、本件地位承継承認処分と同時になされたものであるが、前記の例外規定が適用される事情は存在しなかった。 しかも、本件工事そのものが宅造法に違反する犯罪行為である上、前記のとおり、急傾斜地崩壊危険区域指定手続中のがけ地に、法律が要件として規定する底板や水抜穴を設置せず、隣地へ雨水の浸透水を流出させるものであって、がけ地の崩壊を助長、誘発するものである。 加えて、本件開発許可処分は、急傾斜地部分についての掘削等を含む宅地造成工事を開発行為の対象から除外しているが、このように許可の対象から除外されている急傾斜地の宅地造成を認容する本件建築承認処分は違法である。 (四) 本件開発変更許可処分の違法性(1) 本件開発変更許可処分は、すでに完了した本件工事の内容が、都市計画法その他の法令に違反する違法なものであること及び本件開発許可処分の内容に適合しないことが明らかになったため、これを隠蔽、糊塗し、検査の形式を整える目的でなされたもので違法である。 (2) また、本件開発変更許可処分は、昭和六二年一月一三日に提出された変更申請に対して、翌一四日なされたものであり、次いで、同月一六日、工事完了届が提出されたが、わずか一日の審査期 で違法である。 (2) また、本件開発変更許可処分は、昭和六二年一月一三日に提出された変更申請に対して、翌一四日なされたものであり、次いで、同月一六日、工事完了届が提出されたが、わずか一日の審査期間で審査することは不可能である。 本件開発変更許可処分は、内容無審査のまま、違法な既成事実を隠蔽、糊塗し、検査の完了のみを意図してなされたもので違法である。 (3) 被告松戸市長は、本件開発変更許可処分申請以前から、本件工事の内容が都市計画法に違反するものである上、本件開発許可処分の内容に適合しないものであることを知っており、松戸市の担当課職員も現地を調査してこのことを確認していた。 しかるに、被告松戸市長はこれを放置し、また松戸市職員は本件工事施行者と連絡を密にし、後日、本件開発変更許可処分がなされることを予測して違法工事を推進せしめた。 したがって、本件開発変更許可処分は、権限を濫用してなされたもので違法である。 (4) 更に、本件開発変更許可処分の対象となった工事内容が、次のとおり違法であったから、本件開発変更許可処分は違法である。 イ本件開発行為の対象工事の範囲は、本件開発地のうち、急傾斜地部分を除く部分の切土、盛土等であったところ、本件開発変更許可処分は、急傾斜地部分の盛土工事を内容とする工事について許可処分をした。 しかしながら、本件開発行為の対象となっていない工事について変更ということはあり得ない。 また、盛土工事は、長さ一二・〇三メートル、勾配五〇ないし八〇度のがけ地の地表に、地すベり防止のための段切りをしないで一ないし三メートルの高さの盛土をするものであるが、このような工事は宅造法に違反するものである。 ロ本件開発許可処分は、がけ地の切上部分と建物の接する部分の底辺に、建物に接して延長五七・七メートル、直径一五センチメートルの浸 土をするものであるが、このような工事は宅造法に違反するものである。 ロ本件開発許可処分は、がけ地の切上部分と建物の接する部分の底辺に、建物に接して延長五七・七メートル、直径一五センチメートルの浸透管(以下本件浸透管という)が埋設されることとしてなされていたところ、本件開発変更許可処分はこれを廃止することとしてなされた。 しかしながら、これが廃止されれば、本件開発地の高所から流出した浸透水が、本件建物に遮断されて両側のがけ地の崩壊を助長、誘発する危険性が明白で、これにより原告らの生命、身体、財産が危険にさらされることになるから、右の廃止を許可した本件開発変更許可処分は違法である。 (五) 本件開発工事適合確認処分の違法性(1) 本件開発工事は、次の点において、本件開発許可処分及び本件開発変更許可処分の内容に反する。 イ浸透管の不設置前記のとおり、本件開発許可処分においては、本件浸透管が設置されることになっていたところ、本件工事にはこれが設置されていない。 ロ擁壁本件開発許可処分においては、本件開発地と原告H所有地との境界に接して築造される擁壁は、鉄筋コンクリート造で高さが一・四六メートルとされていたところ、本件工事により設置された擁壁は、ブロック積みで、底盤(基礎)が露出し、鉄筋も法の規定に反して三本の差筋構造であり、裏込め、水抜穴もなく、かつ、高さも二メートルを超えるものである。 ハ盛土工事本件開発地のうち、平坦部分における盛土は、高さ一・三六三ないし一・五六五メートルで、宅造法の適用を受ける盛土にあたる。 また、本件開発地のうち、がけ地部分における盛土は、前記のとおり宅造法に違反するものである上、右工事は本件工事完了届が提出された後の昭和六二年一月一八日に完了したものである。 (2) 被告松戸市長は、本件開発工事のうち、本件 け地部分における盛土は、前記のとおり宅造法に違反するものである上、右工事は本件工事完了届が提出された後の昭和六二年一月一八日に完了したものである。 (2) 被告松戸市長は、本件開発工事のうち、本件開発許可処分の内容に違反した、右のような事項について、検査の形式を整える目的で、本件開発変更許可処分を行い、しかも、本件開発変更許可処分をするについて、事前審査も事後審査もすることなく、本件開発工事が本件開発許可処分及び本件開発変更許可処分の内容に適合している旨の確認をしたものであって、それは本件開発行為の違法性を隠蔽、糊塗した違法な検査であるから、権限の濫用であり、違法である。 (六) 本件開発工事検査済証交付処分の違法性(1) 本件開発工事の内容が、本件開発許可処分及び本件開発変更許可処分の内容に適合していないことは前記(五)記載のとおりである。 (2) しかるに、被告松戸市長は、本件開発工事の内容が右許可処分の内容に適合しているかどうかの確認も検査もしないで、検査済証を交付したから、右処分は違法である。 (七) 本件建築確認処分の違法性(1) 敷地の安全に関する違法本件建物は、前記のとおり、掘削したがけ地に接着して建築されるのであるから、このような建物についての建築確認は、がけ地の地形、形質に応じて関係諸法令の規制を検討して判断されなければならないところ、本件建築確認処分は、次のとおり、がけ地における擁壁の設置と安全性及び構造耐力に関する法令の解釈適用を誤ってなされたから違法である。 イ宅造法違反建物の建築にともなう宅地造成工事が、宅地造成工事規制区域で施行されることが明らかな場合、建築主事は、事前許可手続をするように指導する義務を負う(建設省通達)が、本件開発行為は前記4の(一)の(2)記載のとおり、宅造法に違反するものであったの 事規制区域で施行されることが明らかな場合、建築主事は、事前許可手続をするように指導する義務を負う(建設省通達)が、本件開発行為は前記4の(一)の(2)記載のとおり、宅造法に違反するものであったのに、被告主事は、擁壁の設置その他安全上の措置及び構造耐力についての同法の規準も考慮しなかった。 ロ急傾斜地災害防止法との関係による違法本件開発地は、前記4の(一)の(3)記載のとおり、急傾斜地崩壊危険区域の指定手続中の土地であり、建築基準法三九条所定の災害危険区域の実体的要件を具備した敷地であるから、その敷地の安全についての審査は、敷地の実態に即した内容でなければならないところ、本件建築確認処分はこの点を考慮しなかった。 ハ擁壁に関する違法本件建物のうち、がけ地と接着している部分は、建物が擁壁となっているが、これは違法であるし、また、前記4の(一)の(4)記載のとおり、右擁壁には底板及び水抜穴が設置されておらず、擁壁の厚さについての審査もされなかった。 (2) 高度制限違反イ本件開発地は、第一種高度地区であるが、千葉県における第一種高度地区は、建物の各部分の高さ(地盤面からの高さ)が、当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の一・二五倍に五メートルを加えたもの以下で、かつ、当該水平距離から四メートルを加えたものの〇・六倍に一〇メートルを加えたもの以下とされている。 ロところが、本件の場合、実際の地盤面から一・四メートルの高さの盛土をして、地盤面を人工的に上げる前提で本件建物の高さを計算しているのであるが、このような計算方法は建築基準法の脱法行為である。 ハまた、本件建物は、傾斜面にヒナ段状に計画されているが、四階部分は最下位地盤面に垂直に接続しているから、四階部分の高さは最下位地盤面から計算されることになるので 法は建築基準法の脱法行為である。 ハまた、本件建物は、傾斜面にヒナ段状に計画されているが、四階部分は最下位地盤面に垂直に接続しているから、四階部分の高さは最下位地盤面から計算されることになるのであるが、このようにして計算すると、本件建物の四階部分は第一種高度地区の制限に違反する。 (3) 容積率違反イ本件接地道路の幅員は、前記の4の(一)の(6)記載のとおり、四メートル以下であるから、本件開発地に建築される建物の容積率は一六一パーセントである。 ロしかるに、本件建築確認処分は、本件接地道路の幅員を六メートルとし、本件建物の容積率を一八一パーセントとしてなされたから、容積率の制限を規定する建築基準法五二条一項に違反する。 (4) 地下室設置の違法性イ本件建物の構造は、地上四階、地下一階であるが、地下室は面積が四九・八平方メートル、高さが二・三五メートルで、その三分の一の部分に土盛がされることになっている。 ロしかしながら、地下室の本件接地道路側は、右道路に接しているため、盛土が不可能であるし、また、建物を建築してから周囲の一部に盛土をして地下室と認定することは、高度制限地区において高さを制限した法令の規定を脱法するものである。 (5) 排水施設の違法イ本件開発行為が、排水施設を非自己用としてなされたこと、非自己用の排水について自然の浸透式の排水施設が禁止されていることは、前記4の(一)の(5)記載のとおりである。 しかるに、本件建築確認処分は、自然浸透式の排水としているから違法である。 ロまた、本件建物の建築は、前記のとおり、切土と盛土を伴うものであるが、このような本件建物の敷地の形質状況からみても、自然浸透式の排水施設は許されず、敷地の排水について規制した法令(建築基準法一九条三項、同法施行令一二九条の二、都市計画法三三 盛土を伴うものであるが、このような本件建物の敷地の形質状況からみても、自然浸透式の排水施設は許されず、敷地の排水について規制した法令(建築基準法一九条三項、同法施行令一二九条の二、都市計画法三三条一項三号)に違反する。 (6) 松戸市まちづくり指導要綱違反イ本件建物の建築も、前記4の(一)の(7)のイ、ロと同じく、環境破壊を増進するものであり、隣接地権者との調整もとれておらず、その同意が得られていない。 ロまた、自然浸透式の排水施設のため、雨水、汚水による近隣の被害を拡大するものである。 ハ更に、接地道路の幅員は六メートルを要するところ、本件接地道路の平均幅員は三・五メートルしかなく、排水、下水管、下水溝の設備についての対策及び火災、災害等に際しての避難、通行上の安全についての対策もなされていない。 ニ以上から、本件建築確認処分は松戸市まちづくり指導要綱に違反し、違法である。 (八) 本件建物適合確認処分の違法性本件建物適合確認処分は、次の点において違法である。 (1) 前記4の(五)の(1)のロ記載のとおり、本件開発地のうち、原告H所有地に接する部分に築造された擁壁は、高さ二メートルを超えるものであるから、その築造については建築確認を要する(建築基準法八八条、同法施行令一三八条一項五号)ところ、本件建築確認処分においては、擁壁の高さが一・四メートルとされていたため、建築確認を要する工作物の対象とされず、建築確認がなされなかった。 しかるに、被告主事は、原告らの指摘を無視して建築確認に関する検査をしないで、建築確認検査済証を発行、交付したが、建築確認を要する工作物の築造を、その対象から除外してなされた本件建物適合確認処分は無効であり、権限の濫用である。 (2) 本件開発地のうち、がけ地部分の盛土工事については、前記のとおり、建 たが、建築確認を要する工作物の築造を、その対象から除外してなされた本件建物適合確認処分は無効であり、権限の濫用である。 (2) 本件開発地のうち、がけ地部分の盛土工事については、前記のとおり、建築確認も検査もなされなかった。 (3) 本件建築確認処分においては、本件建物と切上部分が接する底辺部分に、延長五七・七メートルの本件浸透管が埋設されることになっていたが、これが埋設されないまま、工事完了届が提出された。 しかるに、被告主事は、この事実を知りながら、これを隠蔽、糊塗し、検査もしないで、本件建築確認処分の内容に適合する旨の処分をしたのであり、権限の濫用である。 (4) なお、本件建物に対する本件建築確認処分の内容が違法であることは、前記のとおりである。 (九) 本件建物検査済証交付処分の違法性前記4の(八)記載のとおり、本件開発地と原告H所有地との間に設置された擁壁及び本件開発地のうち、がけ地部分の盛土工事については、いずれも建築確認も検査もなされておらず、また、本件建物の底辺部分に設置されるべき本件浸透管については、検査がなされなかったから、本件建物検査済証交付処分は違法である。 (一〇) 本件裁決の違法性(1) 審理不尽の違法本件裁決には、次のとおり、判断を脱漏し、また、審理を尽くさなかった違法がある。 イがけ地部分の安全性に関する判断脱漏(a) 被告審査会は、がけ地の掘削工事が、前記4の(一)の(2)記載のとおり、宅地造成工事であるのに、これを基盤工事のための地盤の掘削を意味する「根切り」であると重大な誤認をした結果、建築物と擁壁との安全性に関する判断を脱漏した。 (b) 前記4の(一)の(4)記載のとおり、本件建物のうち、建物が擁壁となっている部分については、底板も水抜穴も設置されていないのに、この点についての判断を脱漏 の安全性に関する判断を脱漏した。 (b) 前記4の(一)の(4)記載のとおり、本件建物のうち、建物が擁壁となっている部分については、底板も水抜穴も設置されていないのに、この点についての判断を脱漏した。 (c) 前記4の(四)の(4)のロ及び同4の(1)のイ記載のとおり、本件開発許可処分において設置されることになっていた本件浸透管の設置が、廃止され、設置されなかったが、この点及びこれが廃止されることによって生ずるがけ地の崩壊等の危険性についての判断を脱漏した。 ロ原告H所有地との間の擁壁及びその敷地部分についての判断の脱漏(a) 前記4の(五)の(1)のロ及び同4の(ハ)の(1)記載のとおり、右擁壁は建築確認を要する工作物であるのに、被告審査会は、原告らのこの点についての申立を無視し、また、検証の申立も無視して、審理を尽くさないまま本件裁決をした。 (b) 右擁壁の構造耐力についての自重、積載荷重、土庄、水圧、地震その他の振動及び衝撃に対しての完全性に関する判断並びに右擁壁が構造計算によって安全であるか否かについての審査を脱漏した。 (c) 右擁壁の敷地について、盛土や地盤の改良その他衛生上または安全上必要な措置を講じたか否かについての判断及び同地における雨水、下水管、下水溝、溜めます等の施設並びに盛土部分のがけ崩れ防止のための擁壁の設置、その他安全上適当な措置を講じたか否かについての判断を脱漏した。 ハ本件建物に関する判断の脱漏(a) 前記4の(七)の(2)記載の高度制限の基準となる実際地盤面に関する判断を脱漏した。 (b) 前記4の(七)の(3)記載の本件建物の容積率算定に関する本件接地道路についての判断を脱漏した。 (c) 前記4の(七)の(4)記載のとおり、地下室と認められない建物部分を地下室と判断した。 (d) 前記4の(七 の(3)記載の本件建物の容積率算定に関する本件接地道路についての判断を脱漏した。 (c) 前記4の(七)の(4)記載のとおり、地下室と認められない建物部分を地下室と判断した。 (d) 前記4の(七)の(5)記載のとおり、非自己用の場合、自然浸透式排水施設は禁止されているのに、この点についての判断を脱漏した。 (2) 理由付記、理由不備の違法イ本件接地道路に関する判断(a) 被告審査会は、本件裁決において、本件接地道路の幅員につき、「平均三・五六メートルであるとの請求人(原告ら)の主張は認められない」と判断した。 しかしながら、右道路の幅員が三・五六メートルであることは、松戸市が千葉地方裁判所松戸支部昭和六一年(ワ)一〇五号事件において、裁判上主張していることであるのに、何らの理由も付さないでこれを否定したことは、重大な事実誤認である。三・五六メートルを基準とすると、本件建物の延べ面積は建築基準法五二条一項に違反し、違法となる。 (a) 原告らが、建築基準法四二条二項の規定する道路には、将来の道路予定地は入らず、その道路幅員の制限は自己の敷地と接する部分だけでは足らず、「相当区間」にわたり、しかも、その一端が他の幅員の大きな道路に連続していなければならないと主張したのに、被告審査会は、この点についての判断を故意に避け、理由を付さなかった。 (c) 被告審査会が、右のように、本件接地道路に関する原告らの主張を否定し、故意に判断を避け、理由を付さなかったのは、本件建物の延べ面積が違法であることを隠蔽するためであった。 ロ本件建物の敷地に関する判断建築確認の対象は、建築物に限定されず、敷地も含まれる。 被告審査会は、原告らの敷地に関する違法事実の指摘中、宅造法との関係のみについて、申請棄却の理由を付記するにとどめ、建築基準法に関する事項につ 建築確認の対象は、建築物に限定されず、敷地も含まれる。 被告審査会は、原告らの敷地に関する違法事実の指摘中、宅造法との関係のみについて、申請棄却の理由を付記するにとどめ、建築基準法に関する事項については何らの理由を付記しなかった。 ハ以上のとおり、本件裁決には理由付記、理由不備の違法がある。 5 審査請求(一) 原告らは、昭和六一年一月一四日、本件開発許可処分のあったことを知り、同年三月七日、訴外千葉県開発審査会に対し、右処分の取消しを求める審査請求をしたが、右審査請求の日から三か月を経過しても裁決がなされなかった。 (二) 原告らは、本件建築確認処分について、前記2の(三)記載のとおり、審査請求をしたが、棄却の裁決がなされた。 6 よって、原告らは被告らに対し、請求の趣旨記載のとおりの判決を求める。 二被告らの本案前の主張(被告松戸市長) 1 本件開発許可処分、本件地位承継承認処分、本件建築承認処分、本件開発変更許可処分の取消しを求める訴えについて(一) 行政事件訴訟法九条に定める原告適格の要件である「法律上の利益」は、行政法規が私人等権利主体としての個人的利益を保護することを目的として、行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益であって、行政法規が他の目的、特に公益の実現を目的として、行政権の行使に制約を課している結果、たまたま一定の者が受けることとなる反射的利益とは区別されるべきものである。 都市計画法の定める開発許可及びその変更、開発許可に基づく地位承継、工事完了公告前の建築に関する規定は、公共の利益の実現、特定承継人の便宜等を目的としたものであって、当該開発区域の周辺に居住する住民の権利若しくは具体的利益を直接保護することを目的とするものではないから、本件の場合、原告らは前記目的の結果として生ずる反射的利益を 便宜等を目的としたものであって、当該開発区域の周辺に居住する住民の権利若しくは具体的利益を直接保護することを目的とするものではないから、本件の場合、原告らは前記目的の結果として生ずる反射的利益を有するに過ぎず、右各処分の取消しを求める訴えの原告適格を有しないというべきである。 (二) 都市計画法二九条に基づく開発許可処分及びその変更許可処分の取消しを求める訴えの利益は、右許可にかかる工事が完了したときには失われると解すべきであるところ、本件開発工事は、昭和六二年一月一六日ころ完了したから、右訴えの利益は失われたというべきである。 そして、これに伴い、本件地位承継承認処分及び本件建築承認処分の各取消しを求める訴えの利益も失われたと解すべきである。 2 本件開発工事適合確認処分の取消しを求める訴えについて原告らが主張するような、開発許可及び開発変更許可にかかる工事が、当該許可の内容に適合している旨を確認する行政処分なるものは存在しないから、その取消しを求める訴えは不適法である。 3 本件開発工事検査済証交付処分の取消しを求める訴えについて(一) 前記1の(一)記載のとおり、原告らは本件開発許可処分及び本件開発変更許可処分の取消しを求める訴えについて原告適格を有しないから、同様に、本件開発工事検査済証交付処分の取消しを求める訴えについても、原告適格を有しないというべきである。 (二) 都市計画法三六条二項の規定による開発行為に関する工事の検査済証の交付は、開発行為に関する工事が、開発許可の内容に適合していることを公権的に判断する行為であって、検査済証の交付を受け、かつ、同条三項の公告の間は、原則として建築物を建築することができないという法的効果が付与されている。 しかしながら、同法は、建築物が建築され、その使用が開始された後においては、たとえ の交付を受け、かつ、同条三項の公告の間は、原則として建築物を建築することができないという法的効果が付与されている。 しかしながら、同法は、建築物が建築され、その使用が開始された後においては、たとえその使用が違法であっても、都道府県知事(又は知事からその権限に属する事務を委任された市長)は、専ら同法八一条一項の規定による是正命令により、その使用を禁止し、又は制限することができるものとしている。そして、知事が、右の是正命令を発するかどうか、いかなる種類内容の是正命令を発するかは、専ら知事の裁量にゆだねられているのであるから、判決で検査済証の交付が違法として取消されても、右の是正命令を発すべき法的拘束力が生ずるものではない。したがって、建築物の使用が開始された後においては、検査済証の交付の取消しを求める訴えの利益は失われるものというべきである。 本件建物には、昭和六二年一月三一日から同年三月二八日までの間に、建築主が全員入居し、その使用が開始されたから、原告らの本件開発工事検査済証交付処分の取消しを求める訴えの利益は失われたものといわなければならない。 (被告主事) 1 本件建築確認処分の取消しを求める訴えについて建築基準法六条三項に基づく建築主事の建築確認処分の取消しを求める訴えの利益は、建築確認にかかる建築物の建築工事が完了した場合には失われるものと解すべきである(最高裁判所第二小法廷昭和五九年一〇月二六日判決)。 本件建築確認処分の対象である本件建物は、昭和六二年一月一七日、その建築工事が完了したから、右処分の取消しを求める訴えの利益は失われたものと解するのが相当である。 2 本件建物適合確認処分の取消しを求める訴えについて原告らが主張するような、建築確認にかかる工事が、建築確認の内容に適合している旨を確認する行政処分なるものは存在しない と解するのが相当である。 2 本件建物適合確認処分の取消しを求める訴えについて原告らが主張するような、建築確認にかかる工事が、建築確認の内容に適合している旨を確認する行政処分なるものは存在しないから、その取消しを求める訴えは不適法である。 3 本件建物検査済証交付処分の取消しを求める訴えについて(一) 右訴えは、処分についての審査請求に対する裁決を経ていないから不適法である。 (二) 建築基準法七条三項による検査済証の交付は、工事が完了した建築物及び敷地が建築関係法規に適合していることを公権的に判断する行為であって、同法六条一項一号ないし三号の場合には、それを受けなければ原則として当該建築物の使用を開始することができないという法的効果が付与されている。 しかしながら、当該建築物の使用がすでに開始された後においては、たとえその使用が違法な場合であっても、その使用を禁止し、又は制限するのは、専ら同法九条一項による特定行政庁の是正命令によることとされており、特定行政庁が右の是正命令を発するかどうか、いかなる種類内容の是正命令を発するかは、専ら特定行政庁の裁量にゆだねられているから、判決で検査済証の交付が違法として取消されても、右の是正命令を発すべき法的拘束力を生ずるものではない。 したがって、建築物の使用が開始された後においては、検査済証の交付の取消しを求める訴えの利益は失われるものというべきである。 本件建物は、被告松戸市長の主張するとおり、昭和六二年三月二八日までの間に、建築主が全員入居し、その使用が開始されたから、原告らの本件建物検査済証交付処分の取消しを求める訴えの利益は失われたものというべきである。 (被告審査会)建築確認にかかる建築物の建築工事が完了した場合には、建築確認処分の取消しを求める訴えの利益が失われると解すべきところ、本 分の取消しを求める訴えの利益は失われたものというべきである。 (被告審査会)建築確認にかかる建築物の建築工事が完了した場合には、建築確認処分の取消しを求める訴えの利益が失われると解すべきところ、本件建物の建築工事が、昭和六二年一月一七日、完了したことは、被告主事の主張のとおりである。 仮に、本件建物の建築工事が、右の日に完了しなかったとしても、遅くとも同年二月四日には完了した。 そして、建築確認処分の取消しを求める訴えの利益が失われた以上、右処分の審査請求に対する裁決の取消しを求める訴えの利益も失われたことは当然である。 よって、被告審査会に対する訴えは不適法である。 三被告らの本案前の主張に対する反論 1 行政事件訴訟法九条に定める「法律上の利益」とは、法律の保護している利益に限らず、法律上の保護に値する利益をも含むものである。 本件訴訟によって護られるべき原告らの法的利益は、被告らのなした違法行政処分により作出された不法状態を排除することによって回復されるべき法的地位ないし可能性をもって足りる。 請求の趣旨記載の各行政処分が違法であることは、請求原因記載のとおりであり、これらの行政処分に起因する本件開発行為および本件建築工事により、原告らは、住居や諸施設が、現に破壊されており、また、がけ崩れ、鉄砲水、擁壁倒壊等の危険にさらされているから、右各処分の取消しを求める法律上の利益を有する。 2 都市計画法一条、三三条一項二号、三号、七号、建築基準法一条、一九条三号、二〇条、三九条、五八条、五二条、五三条、宅造法一条、三条、八条、一二条、一五条一項、一六条の規定やその他関連法規を含も法体系全体を考慮に入れると、都市計画法、建築基準法、宅造法の右諸規定は、単に環境上の利益を一般的公益として保護するだけにとどまらず、著しい利益侵害(ないしはそのおそれ 条の規定やその他関連法規を含も法体系全体を考慮に入れると、都市計画法、建築基準法、宅造法の右諸規定は、単に環境上の利益を一般的公益として保護するだけにとどまらず、著しい利益侵害(ないしはそのおそれ)がある場合には、その被侵害者個々人の個別的利益を保護しているものと理解されるべきである。 本件の場合、急傾斜地において前記諸法規に明白に違反した宅地造成並びに建築が行われたのであり、それらの工事によって、地盤崩壊の危険性が極端に高まり、原告らの生命、身体、財産が著しい危険にさらされているから、都市計画法、建築基準法、宅造法の前記のような諸規定は、原告らに原告適格を認めていると理解するべきである。 更に、原告らの所有、居住する土地は、いずれも本件開発、造成、建築の土地に隣接若しくは近接しており、周辺住民の中でも最も被害を受けやすい立場にあるから、被告らの本件各処分によって地盤崩壊の高度の危険性を伴う工事が可能とされた以上、原告らの生命、身体、財産が著しい危険にさらされたというべきであり、原告らの原告適格は承認されるべきである。 四請求原因の認否(被告松戸市長) 1 請求原因1の(一)ないし(三)のうち、原告Gが別紙物件目録三の二記載の土地を所有していることは否認するが、その余の事実は認める。 2 同2の(一)のうち、原告の主張する本件開発工事適合確認処分が行政処分であることは争うが、その余の事実は認める。 3 同3のうち、(一)、(三)、(五)の事実は認める。 同3の(二)のうち、擁壁の上端から上部の状況については否認するが、その余の事実は認める。右擁壁上の本件開発地内のがけの高さは二ないし一〇・五メートル、勾配は約四二度であり、その上の国有地のがけの高さは一ないし九・五メートルである。 同3の(四)のうち、掘削の範囲は否認するが、その余の事実 壁上の本件開発地内のがけの高さは二ないし一〇・五メートル、勾配は約四二度であり、その上の国有地のがけの高さは一ないし九・五メートルである。 同3の(四)のうち、掘削の範囲は否認するが、その余の事実は認める。掘削の深さは最高約五・三メートルである。 4 同4の(一)の(1)のうち、原告ら主張の三名が申請者の地位を脱退していたこと、本件開発許可処分が無効であることは否認するが、その余の事実は認める。 同4の(一)の(2)のうち、イ、ロは認めるが、ハ、ニは争う。本件の場合は、宅造法二条二号の宅地造成にあたらない。 同4の(一)の(3)はいずれも争う。 同4の(一)の(4)のうち、本件建物が掘削したがけ面に密着して建てられていること、水抜穴が設置されていないことは認めるが、その余は否認する。がけ面に接する部分は一階と二階の一部である。 同4の(一)の(5)は争う。本件の場合、雨水について自然浸透式がとられたが、雨水については自然浸透式が禁止されておらず(都市計画法施行令二六条三号)、また、雨水以外の下水については、自然浸透式排水施設の計画はない。 同4の(一)の(6)のうち、道路予定地部分を含めると本件接地道路の幅員が六メートルとなること、道路予定地部分が道路としての形態を備えていなかったことは認めるが、その余は争う。 本件開発地と接する本件接地道路の幅員は四・五三ないし四・九メートルである。 同4の(一)の(7)は争う。同要綱の規定は開発許可の基準とされていない。 同4の(二)のうち、原告ら主張の三名が各自の所有地を他に売却していたことは認めるが、その余は争う。 同4の(三)のうち、(3)の事実と(4)のうち、本件開発行為が非自己用としてなされたこと、本件建築承認処分と本件地位承継承認処分が同時になされたことは認めるが、その余は争う。 同4の(四)な う。 同4の(三)のうち、(3)の事実と(4)のうち、本件開発行為が非自己用としてなされたこと、本件建築承認処分と本件地位承継承認処分が同時になされたことは認めるが、その余は争う。 同4の(四)ないし(六)は全て争う。 (被告主事) 1 請求原因1、3に対する認否は、被告松戸市長の認否と同じ。 2 同2の(二)のうち、原告の主張する本件建物適合確認処分が行政処分であることは争うが、その余の事実は認める。 3 同4の(七)のうち、本件建物に水抜穴が設置されていないこと、(2)のイ(但し、それは松戸市の第一種高度地区に関することである)、本件建物の構造、地階部分の面積、高さが原告らの主張のとおりであること、地階部分が前面道路に接していることは認めるが、その余は争う。 地階とは、「床面積が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のもの」をいうのであり(建築基準法施行令一条二号)、ここにいう地盤面というのは、「建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面」をいうのであって(同令二条二項の類推適用)、この点に関する原告らの主張は独自のものである。 建築基準法施行令一二九条の二は、給水、排水その他の配管設備について規定しているのであり、排水施設について規制しているものではない。排水施設について規制する都市計画法及び同法施行令の規定は建築主事が適合性を審査すべき法令ではない。 また松戸市まちづくり指導要綱の規定も、建築主事が適合性を審査すべき法令に当たらない。 4 同4の(八)(九)は全て争う。 (被告審査会) 1 請求原因2の(三)の事実は認める。 2 同4の(一〇)は全て争う。 原告らが本件裁決の取消しを求める理由として主張している事由は、すべて原処分である本件建築確認処分の違法事由である。しかしながら、 請求原因2の(三)の事実は認める。 2 同4の(一〇)は全て争う。 原告らが本件裁決の取消しを求める理由として主張している事由は、すべて原処分である本件建築確認処分の違法事由である。しかしながら、原告らは本件訴訟において、被告主事に対する右処分の取消しを求める訴えを提起しているのであるから、行政事件訴訟法一〇条二項によりこのような違法事由を理由として本件裁決の取消しを求めることはできない。 第三証拠(省略)○ 理由一原告もの主張する行政処分のうち、本件開発工事適合確認処分及び本件建物適合確認処分を除く、その余の各行政処分がなされたことについては、当事者間に争いがない。 二原告らは、本件開発工事適合確認処分及び本件建物適合確認処分が審査請求及び行政訴訟の対象となる行政処分に該当すると主張するので、まずこの点について検討する。 1 本件開発工事検査済証及び本件建物検査済証が、交付されたことについては当事者間に争いがない。 2 都市計画法三六条一項、二項によれば、開発許可を受けた者は、当該開発行為に関する工事を完了したときは、建設省令で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならず(同条一項)、知事は右の届出があったときは、遅滞なく、当該工事が開発許可の内容に適合しているかどうかについて検査し、その検査の結果、当該工事が当該開発許可の内容に適合していると認めたときは、建設省令で定める様式の検査済証を当該開発許可を受けた者に交付しなければならないこととされている(同条二項)。 したがって、当該工事が当該開発許可(開発変更許可を含も、以下同)の内容に適合しているかどうかについての知事(その委任を受けた市長)の検査の結果は、検査済証の交付又はその拒否という形式で外部に表示されるのであるから、当該工事が当該開発許可の内容に適合してい 同)の内容に適合しているかどうかについての知事(その委任を受けた市長)の検査の結果は、検査済証の交付又はその拒否という形式で外部に表示されるのであるから、当該工事が当該開発許可の内容に適合しているかどうかを確認することは、内部的な行為であり、独立の行政処分には該当しないというべきである。 3 また、建築基準法七条一項ないし四項によれば、建築主は、当該建築工事を完了したときは、その旨を建築主事に届け出なければならず(同条一項)、建築主事又はその委任を受けた市町村若しくは都道府県の吏員は、届出に係る建築物及びその敷地が同法六条一項の法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合しているかどうかを検査しなければならないのであり(同条二項)、その検査の結果、これが適合していることを認めたときは、建築主に対して建設省令で定める様式の検査済証を交付しなければならないこととされている(同条三、四号)。 したがって、建築主事(又はその委任を受けた吏員)は、工事完了の届出に係る建築物及びその敷地が同法六条一項の法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合しているかどうかを検査するのであって、当該建築物が建築確認の内容に適合しているかどうかの検査をする訳ではなく、また、その検査の結果は検査済証の交付又はその拒否という形式で外部に表示されるのであるから、当該建築物が建築確認の内容に適合している旨の独立の行政処分を行う訳ではないのである。 4 以上のとおりであるから、原告らの主張する本件開発工事適合確認処分及び本件建物適合確認処分は、いずれも行政訴訟の対象となる行政処分に該当しないというべきである。 よって、右各適合確認処分の取消しを求める訴えは、その余の点について判断するまでもなく、いずれも不適法であり、却下を免れない。 三次に、本件訴えの原告適格及び訴え 分に該当しないというべきである。 よって、右各適合確認処分の取消しを求める訴えは、その余の点について判断するまでもなく、いずれも不適法であり、却下を免れない。 三次に、本件訴えの原告適格及び訴えの利益について検討する。 1 本件開発許可処分、本件開発変更許可処分、本件建築承認処分の取消しを求める訴えの利益について(一) 都市計画法によれば、市街化区域又は市街化調整区域内において、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更(開発行為)をしようとする者(開発行為者)は、あらかじめ建設省令で定めるところにより、都道府県知事の許可(開発許可)を受けなければならないとされ(同法二九条)、開発許可を受けないで開発行為をした者は処罰される(同法九二条三号)ほか、建築基準法六条一項の建築主事の確認が受けられず、建築物等の建築ができないことになる(建築基準法六条一項、八八条一項)。 そして、開発許可を受けた者は、当該開発行為に関する工事を完了したときは、前示のとおり、その旨を都道府県知事に届け出なければならず(都市計画法三六条一項)、都道府県知事は、右の届出があったときは、遅滞なく、当該工事が開発許可の内容に適合しているかどうかについて検査し、適合していると認めたときは、検査済証を開発許可を受けた者に交付し(同条二項)、右検査済証を交付したときは、遅滞なく、当該工事が完了した旨を公告しなければならないこととされており(同条三項)、開発許可を受けた区域内においては、右の公告があるまでの間は、建築物の建築等をしてはならず(同法三七条、ただし、都道府県知事が支障がないと認めたとき等同条所定の事由があるときはこの限りではない)、右の公告があった後は、当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物等を建築してはならないとされて 法三七条、ただし、都道府県知事が支障がないと認めたとき等同条所定の事由があるときはこの限りではない)、右の公告があった後は、当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物等を建築してはならないとされている(同法四二条一項)。 なお、建設大臣又は都道府県知事は、同法若しくは同法に基づく命令の規定に基づく処分に違反した者等に対して、開発許可等の取り消し、変更、工事の停止、建築物の除去等違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができることとされている(同法八一条)。 (二) これら一連の規定に照らすと、都市計画法二九条の開発許可(開発変更許可を含む、以下同)は、当該開発行為の内容が関係法規に適合していることを公権的に判断する行為であって、それを受けなければ当該開発行為に関する工事をすることができないという法的効果が付与されているものと解することができる。 なお、開発工事に関する検査済証は、当該工事が完了した後、それが開発許可の内容に適合しているかどうかを基準として交付されることとされているから、もし検査済証が交付される以前に、開発許可処分が判決により取消されれば、検査済証の交付は拒否されることになると解せられるけれども、当該工事が完了し、検査済証が交付された後に、これが判決により取消されたとしても、違反是正の命令を発するかどうか、どのような種類内容の命令を発するかについては建設大臣又は都道府県知事の裁量にゆだねられているから、これらについて法的拘束力が生ずるものとは解せられない。 そうだとすると、当該開発許可に係る工事が完了し、検査済証が交付されたときは、開発許可処分の取消しを求める訴えの利益は失われたものと解するのが相当である。 (三) また、前示のとおり、同法三七条一号によれば、開発許可を受けた開発区域内においては、開発許可に係る工事 ときは、開発許可処分の取消しを求める訴えの利益は失われたものと解するのが相当である。 (三) また、前示のとおり、同法三七条一号によれば、開発許可を受けた開発区域内においては、開発許可に係る工事完了の公告があるまでの間は、建築物の建築等をしてはならないこととされ、ただし、知事が支障がないと認めたときはこの限りでないとされているから、右の知事の承認があった場合には、工事完了公告の以前においても建築物の建築等をすることができることになる。したがって、この知事の承認は、それを受けなければ建築物の建築等をすることができないという法的効果が付与されているということができるが、当該承認に係る建築物の建築等の工事が完了した後においては、たとえその建築物の建築等が違反であったとしても、その違反に対してはこれを是正する命令によって対処しようとしているものと理解される。 しかしながら、その命令を発するかどうかは建設大臣又は都道府県知事の裁量にゆだねられているのであって、同法三七条一号の知事の承認の存在が、これを発する上において法的障害となるものではなく、また、たとえ右知事の承認が違法であるとして判決で取消されたとしても、右是正の命令を発すべき法的拘束力が生ずるものでもない。 したがって、承認に係る建築物の建築工事等が完了したときは、右知事の承認処分の取消しを求める訴えの利益は失われると解するのが相当である。 (四) これを本件についてみるに、成立に争いのない丙第三、五号証、松戸市事務吏員が昭和六二年一月三〇日撮影した本件開発地付近の写真であることについて争いのない丙第六号証の一ないし一七、同市技術事務吏員が同年六月八日及び同月一六日撮影した本件建物の写真であることについて争いのない丁第二号証の一ないし七、真正な公文書と推定すべき乙第二号証(丁第三号証)、 い丙第六号証の一ないし一七、同市技術事務吏員が同年六月八日及び同月一六日撮影した本件建物の写真であることについて争いのない丁第二号証の一ないし七、真正な公文書と推定すべき乙第二号証(丁第三号証)、丙第四、七号証、公署作成部分については成立に争いがなく、その余の部分については弁論の全趣旨により成立の認められる丁第一号証によれば、本件開発許可処分の対象である本件開発地の開発行為については、開発行為者から被告松戸市長に対して、昭和六二年一月一六日、工事完了届が提出され、被告松戸市長から命令を受けた松戸市吏員が同月一九日検査を行い、一部指示事項を指示した後、同月一九日、同年二月三日にそれぞれ再度検査をした結果、工事が完了したことを確認し、また、開発許可の内容に適合していることを認め、同月四日、開発行為者に対して検査済証を交付したこと、本件建築確認処分の対象である本件建物について、建築主から被告主事に対して昭和六二年一月二二日工事完了届が提出され、被告主事から委任を受けた松戸市吏員が同月二六日、二九日、同年二月三日、同月四日にそれぞれ検査した結果、工事が完了したことを確認し、また、法令等の規定に適合していることを認め、同月四日建築主に対して検査済証を交付したこと、その後、本件建物に入居者が入居し、使用に供されたことが認められる。 右事実によれば、本件開発許可処分及び本件開発変更許可処分に係る本件開発行為は、既にその工事が完了し、検査済証が交付されたから、原告らが右各処分の取消しを求める訴えの利益は失われたものというべきである。 また、右事実によれば、本件建築承認処分の対象である本件建物の建築工事も既に完了したから、原告らの右処分の取消しを求める訴えの利益も失われたといわざるを得ない。 よって、右各訴えは、いずれも却下を免れない。 2 本件地位承継 建築承認処分の対象である本件建物の建築工事も既に完了したから、原告らの右処分の取消しを求める訴えの利益も失われたといわざるを得ない。 よって、右各訴えは、いずれも却下を免れない。 2 本件地位承継承認処分の取消しを求める訴えについて都市計画法四五条によれば、開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権その他当該開発行為に関する工事を施行する権原を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができることとされている。これによれば、右の知事の承認は、開発許可に基づく地位を承継させる効果が付与されているだけであるから、右処分により原告らの権利若しくは法律上保護された利益が侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあるとはいえない。 したがって、原告らは、右の承認処分の取消しを求める訴えについて、行政事件訴訟法九条に定める、当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に当たらず、その原告適格を有しないから、本件地位承継承認処分の取消しを求める訴えは不適法であって、却下を免れない。 3 本件開発工事検査済証交付処分の取消しを求める訴えの利益について前示の都市計画法の規定によれば、同法三六条二項の検査済証の交付は、当該工事が当該開発許可の内容に適合していることを公権的に判断する行為であって、それが交付されなければ、当該工事の完了公告がなされず、予定建築物の建築等もできないという法的効果が付与されているということができるが、予定建築物の建築工事が完了した後においては、たとえそれが違法であったとしても、それについてはこれを是正する命令によって対処しようとしているものと理解される。 しかしながら、その命令を発するかどうかは建設大臣又は都道府県知事の裁量にゆだねられているの れが違法であったとしても、それについてはこれを是正する命令によって対処しようとしているものと理解される。 しかしながら、その命令を発するかどうかは建設大臣又は都道府県知事の裁量にゆだねられているのであって、検査済証の交付の存在がこれを発するうえにおいて法的障害となるものではなく、また、たとえ検査済証が違法であるとして判決で取消されたとしても、右是正の命令を発すべき法的拘束力が生ずるものでもない。 したがって、予定建築物の工事が完了したときは、右検査済証の交付処分の取消しを求める訴えの利益は失われると解するのが相当である。 本件の場合、前示の事実によれば、本件開発許可処分に係る開発地については、千葉県知事の委任を受けた被告松戸市長が、都市計画法三七条一号の開発工事の完了公告前の本件建築承認処分をした後、本件建物の建築工事が開始され、これが昭和六二年二月四日完了したのであるから、これにより本件開発工事検査済証交付処分の取消しを求める訴えの利益は失われたものというべきである。 よって、右訴えも却下を免れない。 4 本件建築確認処分の取消しを求める訴えの利益について建築基準法によれば、建築主は、同法六条一項の建築物の建築等の工事をしようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が当該建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合するものであることについて、建築主事の確認を受けなければならず(同法六条一項)、建築確認を受けない建築物の建築等の工事はすることができないものとされ(同条五項)、また、建築主は、工事を完了した場合においては、その旨を建築主事に届け出なければならず(同法七条一項)、建築主事が右の届出を受理した場合においては、建築主事等は建築関係規定に適合しているかどうかを検査し(同条二項)、 を完了した場合においては、その旨を建築主事に届け出なければならず(同法七条一項)、建築主事が右の届出を受理した場合においては、建築主事等は建築関係規定に適合しているかどうかを検査し(同条二項)、適合していることを認めたときは、建築主に対し検査済証を交付しなければならないものとされ(同条三項)、そして、特定行政庁は、建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に違反した建築物又は建築物の敷地については、建築主等に対し、当該建築物の除却その他これらの規定に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができるとされている(同法九条一項)。 これらの一連の規定に照らせば、建築確認は、建築基準法六条一項の建築物の建築等の工事が着手される前に、当該建築物の計画が建築関係法規に適合していることを公権的に判断する行為であって、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果が付与されており、建築関係規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目的としたものということができるが、右工事が完了した後における建築主事の検査は、当該建築物及びその敷地が建築関係規定に適合しているかどうかを基準とし、同じく特定行政庁の違反是正の命令は、当該建築物及びその敷地が建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合しているかどうかを基準とし、いずれも当該建築物及びその敷地が建築確認に係る計画どおりのものであるかどうかを基準とするものでない以上、違反是正の命令を発するかどうかは、特定行政庁の裁量にゆだねられているから、建築確認の存在は、検査済証の交付を拒否し又は違反是正の命令を発する上において法的障害となるものではなく、また、たとえ建築確認が違法であるとして判決で取り消されたとしても、検査済証の交付を拒否し又は違反是正の命令を発すべき法 交付を拒否し又は違反是正の命令を発する上において法的障害となるものではなく、また、たとえ建築確認が違法であるとして判決で取り消されたとしても、検査済証の交付を拒否し又は違反是正の命令を発すべき法的拘束力が生ずるものではないから、建築確認は、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであり、当該工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われるというべきである(最高裁判所昭和五九年一〇月二六日第二小法廷判決・民集三八巻一〇号一一六九頁参照)。 前示の事実によれば、本件建築確認処分に係る本件建物は、既にその工事が完了したのであるから、原告らが右処分の取消しを求める訴えの利益は失われたものというほかはない。 5 本件建物検査済証交付処分の取消しを求める訴えの利益について前示の建築基準法の規定によれば、同法七条三項の検査済証の交付は、当該工事が完了した建築物及びその敷地が建築関係法規に適合していることを公権的に判断する行為であって、それが交付されなければ、当該工事完了に係る建築物の使用を開始することができないという法的効果を付与されているものということができるが、当該建築物の使用が開始された後においては、たとえその使用の開始が違法であったとしても、それについては違反を是正する命令によって対処しようとしているものであると理解される。 しかしながら、その命令を発するかどうかは特定行政庁の裁量にゆだねられているのであって、検査済証の交付の存在がこれを発する上において法的障害となるものではなく、また、たとえ検査済証の交付が違法であるとして判決で取り消されたとしても、右の違反是正の命令を発すべき法的拘束力が生ずるものでもない。 したがって、当該建築物の使用が開始されたときは るものではなく、また、たとえ検査済証の交付が違法であるとして判決で取り消されたとしても、右の違反是正の命令を発すべき法的拘束力が生ずるものでもない。 したがって、当該建築物の使用が開始されたときは、右検査済証の交付処分の取消しを求める訴えの利益は失われると解するのが相当である。 これを本件についてみるに、前掲の丁第二号証の一ないし七と弁論の全趣旨によれば、本件建物は昭和六二年六月ころにはその使用が開始されたことが認められるから、これにより原告らが本件建物検査済証交付処分の取消しを求める訴えの利益は失われたものといわざるを得ない。 6 本件裁決の取消しを求める訴えの利益について建築確認処分取消しの訴えにおいて、当該建築確認に係る建築物等の工事が完了したときは、右の訴えの利益は失われると解すべきであることは前記説示のとおりであるが、このことは建築確認処分に対する裁決の取消しを求める訴えについても同様に解すべきである。すなわち、建築確認処分に対する審査請求を棄却した裁決の取消しを求める訴えも、結局は、建築確認処分の取消しを求める趣旨であるから、当該建築確認に係る建築物等の工事が完了したときは、たとえ建築確認処分に対する審査請求を棄却した裁決が、違法であるとして判決により取り消されたとしても、右工事が完了した以上、建築確認処分の取消しを求める実益がないからである。 したがって、建築確認に係る建築物等の工事が完了したときは、当該建築確認処分に対する裁決の取消しを求める訴えの利益も失われると解するのが相当である。 本件の場合、本件建築確認にかかる本件建物の建築工事が昭和六二年二月四日、完了したことは前示のとおりであるから、これにより、本件裁決の取消しを求める訴えの利益も失われたと解すべきである。 四以上の次第で、原告らの被告らに対する本件各訴えは、 築工事が昭和六二年二月四日、完了したことは前示のとおりであるから、これにより、本件裁決の取消しを求める訴えの利益も失われたと解すべきである。 四以上の次第で、原告らの被告らに対する本件各訴えは、その余の点について判断するまでもなく、不適法または原告適格若しくは訴えの利益を欠き、いずれも失当であるから、これを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官村田長生春日通良本間健裕)別紙行政処分目録、物件目録、図面(省略)一
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